IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

<>
  • 特許-布地材料を接合するための接着テープ 図1
  • 特許-布地材料を接合するための接着テープ 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】布地材料を接合するための接着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240312BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20240312BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240312BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/06
C09J11/06
C09J11/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020532748
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018083903
(87)【国際公開番号】W WO2019115367
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】17207590.5
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】セシル・オラニエ
(72)【発明者】
【氏名】アーニャ・シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・フォス
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137471(JP,A)
【文献】特表平11-507400(JP,A)
【文献】特開2015-165023(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057406(WO,A1)
【文献】特開2004-196867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)第一剥離ライナー;および
ii)前記第一剥離ライナー上に配置された感圧接着剤層
を含んでなるテープであって、
前記感圧接着剤層は、
a)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸のC~C12アルキルエステルと、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸から選択される少なくとも1つの酸モノマーとを含んでなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマー;
b)金属キレート架橋剤;
c)少なくとも1つの粘着付与樹脂;
d)有機溶媒;および、任意に
e)添加剤
を含んでなる接着剤組成物を硬化させることにより得られたものであり、
前記テープは、場合により、iii)前記感圧接着剤層の前記第一剥離ライナーと反対側に配置された第二剥離ライナーを含んでなり、
前記金属キレート架橋剤は:
Al、Ti、Fe、Co、Ba、Zr、KおよびZnからなる群から選択される金属;並びに
1,3-ジカルボニル配位子供給有機化合物
の少なくとも1つの錯体からな
前記少なくとも1つの粘着付与樹脂は、70~90℃の軟化点を有する第一ロジンエステル樹脂および90~110℃の軟化点を有する第二ロジンエステル樹脂を含む、テープ。
【請求項2】
5~20mmの幅を有する、請求項1に記載のテープ。
【請求項3】
前記剥離ライナーまたは各剥離ライナーは、片側または両側に剥離層を備えたキャリアフィルムを含んでなる、請求項1または2に記載のテープ。
【請求項4】
感圧接着剤層は、
3~250μmの乾燥フィルム厚さ;および/または
3~250g/mの塗布量
を特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のテープ。
【請求項5】
感圧接着剤層は、接着剤層の総重量に基づいて、30~90重量%の前記アクリル系コポリマーと;1~70重量%の前記粘着付与樹脂とを含んでなる、請求項1~4のいずれかに記載のテープ。
【請求項6】
接着剤組成物は溶媒系である、請求項1~5のいずれかに記載のテープ。
【請求項7】
接着剤組成物は、モノマーの重量で、70~99重量%の少なくとも2つの(メタ)アクリル酸のC~C12アルキルエステルの混合物と;1~30重量%の前記少なくとも1つの酸モノマーとを含んでなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマーを含んでなる、請求項1~6のいずれかに記載のテープ。
【請求項8】
接着剤組成物は、モノマーの重量で、
a)80~99重量%の、2-エチルヘキシルアクリレートおよびn-ブチルアクリレートの混合物と;
b)1~20重量%のアクリル酸
とからなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマーを含んでなる、請求項7に記載のテープ。
【請求項9】
前記金属キレート架橋剤は、アルミニウムアセチルアセトネートまたはチタンアセチルアセトネートである、請求項8に記載のテープ。
【請求項10】
接着剤組成物の有機溶媒は、溶媒の重量で、少なくとも50重量%の酢酸エチルを含んでなる、請求項1~のいずれかに記載のテープ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のテープを含んでなるディスペンスデバイス。
【請求項12】
材料を修繕または接合するための、請求項1~10のいずれかに記載のテープの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地材料を接合または修繕するために使用され得るテープを対象とする。より具体的には、本発明は、その上に感圧接着剤層が配置されたテープであって、接着剤層が布地材料間に耐久性のある接合をもたらすことができるテープを対象とする。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、摩耗したり、ほつれたり、裂けたり、擦り切れたり、またはボロボロになった衣服などの布地材料を単に消費者が交換することは必ずしも実用的ではない。同様に、消費者、または工業的生産者でさえ、エンブレム、学校やチームの記章、ブランドの識別などを既存の布地材料に縫い付ける必要がある状況は沢山存在する。したがって、実際のところ、布地材料を修繕したり、回復したり、縫い付けたりする設備は必要とされている。
【0003】
概して、そのような修繕または変更の方法には、手縫い、ミシン縫製、熱活性化熱可塑性接着剤での接合、音波溶接、直接の縫い付け、および熱活性化転写が含まれる。これらのうち、布地材料の縫製および手縫いは、現在、平均的な国内消費者にとって最も手軽な方法である。本発明者らは、これを非常に不利であると考えている。
【0004】
ミシンは通常重いため、移動が面倒である。使用中、ミシンは作業に適した高さの平らで安定した表面を必要とする:この表面の不規則性または不安定性は、使用中のミシンの動きにつながり、その結果、表面にステッチの欠陥および/または損傷を引き起こす可能性がある。そしてもちろん、ミシンは鋭利で動きの速い針を採用しているため、注意散漫なユーザーや子供にとって危険であり得る。
【0005】
手で縫うと針が速く動くという問題はないが、鋭く細い物体はそれ自体が危険である。針は消費者の皮膚や肉に刺さる可能性があり、とりわけ下記サイトに記載されているように、子供がそのような針を摂取することが知られていないわけではない:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3364664/。
【0006】
当技術分野では、以下に記載するように、縫製および手縫いの代替法が提案されている。しかし、専用の装置を必要とせず、縫製による固定よりも時間および労力がかからず、大人と子供の両方が安全に実施でき、繰り返しの洗濯に耐えることができる布地の接合をもたらし得る、布地製品を接着接合する方法を提供する必要性が依然として存在すると主張されている。
【0007】
DE 29922950 U1(Coroplast Fritz Mueller GMBH)には、帯状布地キャリア(1)およびその上に適用された接着剤被膜(2)からなる接着テープであって、帯状キャリア(1)は、少なくとも部分的に熱可塑性繊維からなるニードルフェルトを少なくとも部分的に含んでなり、前記繊維の少なくとも一部は接着剤被膜(2)に溶融接合されている、接着テープが記載されている。
【0008】
US 2015/299522 A1(Coroplast Fritz Mueller GMBH)には、帯状基材(2)を有し、0.05mm~1.8mmの範囲の厚さを有する、横方向に引き裂き可能な工業用自己巻回性布地接着テープ(1)であって、基材(2)は糸で作られたステッチ(5)を有する編物(3)からなり、片側に感圧接着剤被膜を備えており、この被膜は、単位面積当たり20g/m~300g/mの範囲の特定の重量で基材(2)に直接適用されている、工業用自己巻回性布地接着テープ(1)が記載されている。一態様では、基材(2)は横方向に相互に平行に走る横糸を含み、横糸は編物(3)のステッチ(5)に保持されている。
【0009】
US 2011/168319 A1(Baqaiら)には、ワッペン、エンブレム、ラベルおよび切断した布地部材などの統合された布地片を、布地片の裏面にアクリルポリマー感圧接着剤をラミネートすることにより別の布地物品に接合する方法が記載されている。アクリルポリマー感圧接着剤は、架橋添加剤または試薬を含まず、接合および剥離が予期される0.1885Hz~628Hzの周波数範囲内での損失弾性率よりも大きい貯蔵弾性率を特徴とする。アクリルポリマー感圧接着剤は水溶性ではなく、洗濯耐久性のある布地と布地との接合をもたらすのに妥当な厚さである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】DE 29922950 U1
【文献】US 2015/299522 A1
【文献】US 2011/168319 A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様では、
i)第一剥離ライナー;および
ii)前記第一剥離ライナー上に配置された感圧接着剤層
を含んでなるテープであって、
前記感圧接着剤層は、
a)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸のC~C12アルキルエステルと、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸から選択される少なくとも1つの酸モノマーとを含んでなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマー;
b)金属キレート架橋剤;
c)少なくとも1つの粘着付与樹脂;
d)有機溶媒;および、任意に
e)添加剤
を含んでなる接着剤組成物を硬化させることにより得られたものであり、
前記テープは、場合により、iii)前記感圧接着剤層の前記第一剥離ライナーと反対側に配置された第二剥離ライナーを含んでなる、テープを提供する。好適には、接着剤組成物は溶媒系である。
【0012】
好ましくは、テープは、下記パラメーターの少なくとも1つを特徴とする:
i)5~20mmの幅;
ii)3~250μm、好ましくは10~200μmの乾燥フィルム厚さを有する感圧接着剤層;および
iii)3~250g/m、好ましくは10~200g/mの塗布量を有する感圧接着剤層。
完全を期するならば、テープは上記パラメーターi)~iii)の1つ、2つまたは好適には3つを特徴としてよい。
【0013】
更に好ましくは、テープの感圧接着剤層は、接着剤層の総重量に基づいて、30~90重量%、好ましくは60~80重量%の前記アクリル系コポリマー;および1~70重量%、好ましくは20~50重量%前記粘着付与樹脂を含んでなる。
【0014】
多くの重要な態様では、接着剤組成物は、モノマーの重量で、70~99重量%の少なくとも2つの(メタ)アクリル酸のC~C12アルキルエステルの混合物;および1~30重量%の前記少なくとも1つの酸モノマーを含んでなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマーを含んでなる。良好な結果は、例えば、接着剤組成物が、モノマーの重量で、80~99重量%、好ましくは90~99重量%の2-エチルヘキシルアクリレートおよびn-ブチルアクリレートの混合物;および1~20重量%、好ましくは1~10重量%のアクリル酸からなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマーを含んでなる場合に得られる。
【0015】
好ましくは、接着剤組成物の金属キレート架橋剤は、Al、Ti、Fe、Co、Ba、Zr、KおよびZnからなる群から選択される金属;並びに1,3-ジカルボニル配位子供給有機化合物の少なくとも1つの錯体からなる。上記群から、AlおよびTiを好ましいものとして挙げるべきである。特に効果的な金属キレート架橋剤は、アルミニウムアセチルアセトネートおよびチタンアセチルアセトネートである。
【0016】
本発明のテープの更に好ましい態様は、少なくとも1つの粘着付与樹脂を含んでなることを特徴とし、
i)各々の前記樹脂は、50~130℃、好ましくは60~120℃、より好ましくは70~110℃の軟化点を有し;かつ
ii)各々の前記樹脂は、ガムロジンエステル樹脂;水素化ガムロジンエステル樹脂;ウッドロジンエステル樹脂;水素化ウッドロジンエステル樹脂;トール油ロジンエステル樹脂;および水素化トール油ロジンエステル樹脂からなる群から選択されるロジンエステル樹脂である。
この実施形態は、かなり異なる軟化点を有するそのような2つの粘着付与樹脂の使用を排除するものではなく、接着剤組成物が70~90℃の軟化点を有するそのような第一ロジンエステル樹脂および90~110℃の軟化点を有するそのような第二ロジンエステル樹脂を含む場合に、確かに良い結果が得られる。
【0017】
本発明の第二の態様では、上記したまたは添付の特許請求の範囲に記載のテープを含んでなるディスペンスデバイスを提供する。
【0018】
本発明の更に別の態様では、材料、好ましくは布地材料を修繕または接合するための、上記したまたは添付の特許請求の範囲に記載のテープの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、接着テープの例示的なスプールを示す図である。
図2図2は、図1の例示的なスプールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、単数表現の「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでない場合を除き複数の指示対象を包含する。
【0021】
本明細書において用いる用語「含んでなり」、「含んでなる」および「含まれる」は、「包含し」、「包含する」、「含有し」または「含有する」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の記載されていない要素、成分または方法工程を排除するものではない。
【0022】
量、濃度、寸法および他のパラメーターが範囲、好ましい範囲、上限値、下限値または好ましい上限値および好ましい下限値の形態で表現されている場合、任意の上限または好ましい値と任意の下限または好ましい値とを組み合わせることにより得られる任意の範囲も、本明細書に明記されているかにかかわらず本明細書に具体的に記載されている、と理解すべきである。
【0023】
用語「好ましい」、「好ましくは」、「好適には」、「とりわけ」、「特に」およびそれらの類義語は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る開示の態様を説明するために本明細書においてしばしば用いられている。しかし、1つ以上の好ましいまたは好適な態様の記載は、他の態様が有用でないことを示唆するものではなく、開示の範囲から他の態様を排除することを意図するものではない。
【0024】
本明細書において用語「硬化」は、当技術分野における通常の意味に従って用いられており、従って、架橋を包含する。本発明を限定することを意図するものではないが、硬化は、とりわけ、加熱、紫外線への暴露、電子線、または放射線への暴露によって実施されてよい。硬化前、接着剤組成物は、20℃で液体、半固体または結晶性である化合物を含んでいてよい。
【0025】
本明細書および特許請求の範囲において略語「(メタ)アクリル」が使用されている場合、これは、「アクリル」および「メタクリル」を包含することが意図されている。
【0026】
本明細書において「C~C12アルキル」基は、1~12個の炭素原子を有する一価基を意味し、これはアルカンの基であり、直鎖有機基および分岐有機基を包含する。アルキル基の例は下記を包含するが、これらに限定されない:メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;n-ブチル;イソブチル;sec-ブチル;tert-ブチル;n-ペンチル;n-ヘキシル;イソヘキシル;へプチル;オクチル;イソオクチル;sec-オクチル;tert-オクチル;および2-エチルヘキシル。本発明では、そのようなアルキル基は、非置換であってもよいし、またはハロ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミドおよびヒドロキシのような1つ以上の置換基で置換されていてもよい。上記した例示的な炭化水素基のハロゲン化誘導体は、とりわけ、適当な置換アルキル基の例として挙げられる。しかし、概して、1~10個の炭素原子を有する非置換アルキル基(C~C10アルキル)、例えば1~8個の炭素原子を有する非置換アルキル基(C~Cアルキル)が好ましいことに注意すべきである。
【0027】
本明細書において使用される「ハロゲン化物」は、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物を意味する。同様に、「ハロゲン化」炭化水素類は、少なくとも1つの水素がハロゲンに置換された炭化水素類化合物を意味する。
【0028】
本明細書において使用される用語「剥離ライナー」は、当技術分野ではしばしばベースストックまたはキャリアウェブとも称される単層または多層キャリアフィルムの表面に適用された少なくとも1つの剥離層を含んでなる(サンドイッチ)積層品を意味する。剥離剤は、キャリアフィルムへの転写接着剤の付着を可能にする。
【0029】
本明細書において、用語「テープディスペンスデバイス」は、テープをディスペンスするデバイスを単に意味する用語として使用される。この用語の意味を限定することは特に意図されておらず、本発明の接着テープのためのテープディスペンサーとしての有用性が見られる公知かつ従来のデバイスを限定することも意図されていない。しかし、適切なテープディスペンサーが、テープを特定の寸法にカットする、および/または表面または基材にテープを適用する際にユーザーを更に支援し得ることは述べておく。また、好ましくは、テープディスペンスデバイスは、基礎部材により支持され、テープのロールを受けるために配置されたスプール配置を有する。テープディスペンスデバイスの説明のための非限定的な例は、米国特許第2,910,217号;米国特許第3,489,324号;米国特許第4,130,229号;EP 2559643 B1;US 2009/0179061;US 2010/0018653;および米国特許第9,254,611号に記載されている。
【0030】
所定のテープには、その長さに沿って間隔をおいて横方向の鋸歯状切込みを設けることができる。この鋸歯状切込みは、テープを使用可能な切片、例えば長さが10~20cmの切片に分割することを容易にする。本明細書において使用される用語「鋸歯状切込み」は、剥離ライナーおよび場合により接着剤層に配置されてよい、V字切込み、ねじ溝、ミシン目、歯および/または他の表面のへこみ若しくは構成を包含する。
【0031】
本明細書において、分子量、適用可能な場合には数平均分子量(Mn)または重量平均分子量(Mw)として記載している分子量は、示差屈折率検出器を備えたWaters 150 Gel Permeation Chromatographを用いたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定し、標準ポリスチレンを用いて較正したものである。45℃でテトラヒドロフラン中の試料について実行される。分子量は、ポリスチレン当量分子量(単位:g/mol)として記載される。
【0032】
コポリマーのガラス転移温度(Tg)は、コポリマーのモノマー組成から計算できる。コポリマーが均一で、統計的共重合法により調製されたものであれば、Tgは、Foxの式に従って、全ての対応するホモポリマーのTg値から計算できる。
式中、TgはコポリマーのTg(Kelvin単位)であり;
Tgはコモノマー1のホモポリマーのTg(Kelvin単位)であり;
Tgはコモノマー2のホモポリマーのTgであり;および
はコポリマー中のコモノマー1の重量割合であり;など。
【0033】
アクリル系コポリマーおよび本明細書における他の樹脂の実際のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定できる。Tgを測定するためのDSCの使用は、当技術分野で公知であり、B. CasselおよびM. P. DiVitoにより"Use of DSC To Obtain Accurate Thermodynamic and Kinetic Data", American Laboratory, 1994年1月、14~19頁に、また、B. WunderlichによりThermal Analysis, Academic Press, Inc., 1990に記載されている。
【0034】
本明細書における「軟化点」(℃)は、Ring-and-Ball軟化点である。前記ring-and-ball軟化点は、水またはグリセロールの浴内において所定の速度で試料を加熱したときに、水平リング内に保持された試料のディスクが、鋼球の重量で1インチ(25.4mm)下方に押し下げられた温度として定義される。測定方法は、DIN 52011に規定されている。
【0035】
本明細書において、用語「乾燥フィルム厚さ」は、当技術分野で通常理解されるように、元は液状だったものを乾燥した後のフィルムの厚さを意味する。
【0036】
本明細書に記載の全ての塗布量(g/m(gsm)単位)は、Oxford 3000(英国在Oxford Inc.)のようなX線蛍光装置で測定できる。
【0037】
本明細書に記載の全ての粘度は、スピンドル番号1LVを備えたBrookfield Viscometerを用い、60回転/分、20℃、相対湿度50%(RH)で測定した値である。粘度は、既知の粘度を有するシリコーン油を用いて較正したものである。
【0038】
本明細書において用語「溶媒系」は、その粘度が有機溶媒を用いて調節される組成物を意味するものとして使用されている(Art. 2, Directive 2004/42/CE of the European Parliament and of the Council)。とりわけ本明細書では、溶媒系接着剤組成物の含水量は、組成物の重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満であってよい。
【0039】
上述したように、本発明のテープの感圧接着剤層は、アクリル系コポリマー、金属キレート架橋剤、少なくとも1つの粘着付与樹脂および有機溶媒を含んでなる接着剤組成物を硬化させることにより得られる。
【0040】
接着剤被覆組成物
本発明のアクリル系コポリマーは、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの(メタ)アクリル酸のC~C12アルキルエステルと;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸から選択される少なくとも1つの酸モノマーとを含んでなるモノマー混合物から得られる。
【0041】
通常、アクリル系コポリマーは、モノマーの重量で、70~99重量%の少なくとも2つの(メタ)アクリル酸のC~C12アルキルエステルの混合物と;1~30重量%の前記少なくとも1つの酸モノマーとを含んでなるモノマー混合物から得られる。
より具体的には、コポリマーは、80~99重量%の前記した少なくとも2つの(メタ)アクリル酸のC~C12アルキルエステルと;1~20重量%の前記少なくとも1つの酸モノマーとを含んでなるモノマー混合物から得られる。
【0042】
そのようなアクリル系コポリマーにおいて、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのC~C12アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸のC~C10またはC~Cアルキルエステルである。好適には、少なくとも2つの(メタ)アクリル酸のC~C12アルキルエステルは、メチルアクリレート;エチルアクリレート;ブチルアクリレート;2-エチルヘキシルアクリレート;ラウリルアクリレート;イソデシルメタクリレート;n-ブチルメタクリレート;イソブチルメタクリレート;2-ヒドロキシエチルアクリレート;および2-クロロエチルアクリレートからなる群から選択されるべきである。
【0043】
そのようなアクリル系コポリマーにおいて、好ましくは、前記少なくとも1つの酸モノマーはアクリル酸および/または(メタ)アクリル酸を含んでなる。好適には、前記少なくとも1つの酸モノマーはアクリル酸である。
【0044】
従って、本発明の例示的なしかし非限定的な態様では、コポリマーは、モノマーの重量で、
a)80~99重量%、好ましくは90~99重量%の2-エチルヘキシルアクリレートおよびn-ブチルアクリレートと;
b)1~20重量%、好ましくは1~10重量%のアクリル酸
とからなるモノマー混合物から得られる。
【0045】
完全を期するならば、多くの態様では、アクリル系コポリマーが、1つ以上の重合性コモノマー、とりわけ下記:アクリロニトリルおよびC~C12アルキル置換アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド;ビニルエステル;ビニルエーテル;ビニルアミド;ビニルケトン;スチレン、C~Cアルキル置換スチレンおよびハロゲン化スチレン;ビニルハロゲン化物;オレフィン;並びにそれらの2以上の混合物からなる群から選択される重合性コモノマーを含み得ることが指摘される。
【0046】
(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリルアミド並びにそのN-置換アルキルおよびアリール誘導体を包含する。これらは、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、t-オクチルアクリルアミドなどを包含する。
【0047】
ビニルエステルコモノマーは、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルバレレート、ビニルバーサテートおよびビニルイソブチレートを包含するが、これらに限定されない。ビニルエーテルは、1~8個の炭素原子を有するビニルエーテル、例えば、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルおよび2-エチルヘキシルビニルエーテルを包含するが、これらに限定されない。ビニルアミドは、1~8個の炭素原子を有するビニルアミド、例えばピロリドンを包含するが、これらに限定されない。ビニルケトンも同様に、1~8個の炭素原子を有するビニルケトン、例えば、エチルビニルケトンおよびブチルビニルケトンを包含するが、これらに限定されない。ビニルハロゲン化物モノマーは、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデンおよびフッ化ビニリデンを包含する。
【0048】
前記オレフィンコモノマーは、イソプレン、ブタジエン並びにC~C直鎖および分岐α-オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ジイソブチレン、4-メチルペンテン-1,1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンを包含するが、これらに限定されない。
【0049】
アクリル系コポリマーの組成は、コポリマーが20℃未満、好ましくは0℃未満のガラス転移温度(Tg)を特徴とするように調整されなければならない。それに加えてまたは代えて、アクリル系コポリマーは、10,000~1,000,000、好ましくは20,000~500,000の重量平均分子量(Mw)を特徴とすべきである。
【0050】
当技術分野で知られているように、アクリル系コポリマーは、フリーラジカル開始剤を用いた任意の適当なフリーラジカル開始重合技術、例えば、エマルション、ミニエマルション、溶液、サスペンション、マイクロサスペンションまたはバルク重合、および(例えば30℃~90℃での)適当な加熱を採用することにより調製され得る。
【0051】
適当なフリーラジカル開始剤は、使用されるモノマーの総重量に基づいて0.05~6重量%の量で通常使用され、下記化合物を包含する:過酸化水素;アルキルヒドロペルオキシド、例えばt-ブチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシド;過硫酸塩、例えばNH-ペルスルフェート、K-ペルスルフェートおよびNa-ペルスルフェート;有機ペルオキシド、例えばベンゾイルペルオキシドを包含するアシルペルオキシド;ジアルキルペルオキシド、例えばジ-t-ブチルペルオキシド;並びにペルオキシエステル、例えばt-ブチルペルベンゾエート。
【0052】
ペルオキシ化合物は、幾つかの場合に、ピロ亜硫酸または重亜硫酸のNa塩またはK塩、およびイソアスコルビン酸のような適当なレドックス系と組み合わせて有利に使用される。Fe.EDTAのような金属化合物もまた、レドックス開始剤系の一部として有用に使用され得る。また、アゾ官能性開始剤、例えば、アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリルニトリル)(AMBN)および4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)もまた使用され得る。
【0053】
好ましい態様では、アクリル系コポリマーは、酢酸エチルと、任意にイソプロピルアルコールなどの共溶媒とを含んでなる溶液中で調製される。このような溶液重合の際の固形分は、コポリマーの所望の重量平均分子量を達成し、反応容器内で実施可能な粘度を保つために、典型的には約30%~約80%の範囲であり得る。
【0054】
コポリマーの提供方法に関係なく、アクリル系コポリマーは、得られる感圧接着剤層が接着剤層の重量に基づいて30~90重量%、好ましくは60~80重量%の前記コポリマーを含む量で接着剤組成物に含まれるべきである。
【0055】
本発明の接着剤組成物は更に、金属キレート架橋剤を含んでなる。前記金属キレートは、40℃までの温度で安定でなければならない。
【0056】
多くの態様では、金属キレート架橋剤は、
i)Al、Ti、Fe、Co、Ba、Zr、KおよびZnからなる群から選択される金属(AlおよびTiが好ましいことが認められる);並びに
ii)1,3-ジカルボニル配位子供給有機化合物
の少なくとも1つの錯体からなる。
【0057】
本明細書において、有機化合物を供給する1,3-ジカルボニル配位子は、金属とのキレート化に関与でき、それらが結合される炭素原子に対して1,3空間配置に配置されたカルボニル基を少なくとも2つ有する化合物であり、この配置は:
【化1】
として概略的に表すことができる。
【0058】
このタイプの例示的な金属キレートは、下記化合物を包含するが、これらに限定されない:例えば金属アセトアセテートエステルであり、金属エチルアセトアセテート(配位子:エチルアセトアセテート)を包含する金属β-ケトエステル;金属マロネートエステル、例えば金属ジエチルマロネート;金属アセチルアセトネート(配位子:アセチルアセトン);金属ホルミルアセトネート(配位子:ホルミルアセトン);および金属ホルミルアセトフェノネート(配位子:ホルミルアセトフェノン)。
【0059】
特に好ましい態様では、金属キレート架橋剤は、アルミニウムアセチルアセトネートまたはチタンアセチルアセトネートである。
【0060】
金属キレート架橋剤は、接着剤組成物中に、組成物の重量に基づいて、0.01~5重量%、好ましくは0.05~2重量%、より好ましくは0.05~1重量%の量で含まれていてよい。架橋剤の含有量が0.01重量%未満の場合、接着剤の凝集力が低下するおそれがある。逆に、架橋剤の含有量が5重量%を超えると、特に層間剥離または緩みにより、被覆生成物の貯蔵安定性が低下するおそれがある。
【0061】
接着剤被覆組成物は、少なくとも1つの粘着付与樹脂を含んでなり、粘着付与樹脂は、好適には、それに由来する接着剤層が接着剤層の重量に基づいて1~70重量%、好ましくは20~50重量の前記粘着付与樹脂を含有するのに十分な量で該組成物に含まれる。
【0062】
例示的な粘着付与樹脂は、下記化合物を包含する:脂肪族炭化水素樹脂;水素化脂肪族炭化水素樹脂;芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂;水素化芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂;ポリシクロペンタジエン樹脂;水素化ポリシクロペンタジエン樹脂;脂環式炭化水素樹脂;水素化脂環式樹脂;脂環式/芳香族炭化水素樹脂;水素化脂環式/芳香族炭化水素樹脂;水素化芳香族炭化水素樹脂;マレイン酸/無水物変性粘着付与剤;テルペン変性芳香族および/または脂肪族炭化水素樹脂;水素化テルペン変性芳香族および/または脂肪族炭化水素樹脂;ポリテルペン樹脂;水素化ポリテルペン樹脂;芳香族変性ポリテルペン樹脂;水素化芳香族変性ポリテルペン樹脂;テルペン-フェノール樹脂;水素化テルペン-フェノール樹脂;ガムロジン樹脂;水素化ガムロジン樹脂;ガムロジンエステル樹脂;水素化ガムロジンエステル樹脂;ウッドロジン樹脂;水素化ウッドロジン樹脂;ウッドロジンエステル樹脂;水素化ウッドロジンエステル樹脂;トール油ロジン樹脂;水素化トール油ロジン樹脂;トール油ロジンエステル樹脂;水素化トール油ロジンエステル樹脂;ロジン酸樹脂;水素化ロジン酸樹脂;およびそれらの2以上の混合物。
【0063】
本発明を限定することを意図するものではないが、本発明において有用性が見出される市販の粘着付与剤の例は、以下を包含する:ESCOREZ(登録商標)1000、2000および5000シリーズの炭化水素樹脂;ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なECR-373、OpperaTMPR 100、101、102、103、104、105、106、111、112、115および120;荒川化学工業株式会社から入手可能なARKONTMMシリーズ、Arkon PシリーズおよびSUPER ESTERTMロジンエステル;Kraton Corporationから入手可能なSYLVARESTMフェノール変性スチレン-αメチルスチレン樹脂およびスチレン化テルペン樹脂;Kraton Corporationから入手可能なZONATACテルペン-芳香族樹脂およびテルペンフェノール樹脂;Kraton Corporationから入手可能なSYLVATACTMおよびSYLVALITETMロジンエステル;Cray Valleyから入手可能なNORSOLENETM脂肪族芳香族樹脂;DRT Chemical Companyから入手可能なDERTOPHENETMテルペンフェノール樹脂;Eastman Chemical Companyから入手可能なEASTOTACTM樹脂、PICCOTACTM/C樹脂、REGALREZTM芳香族およびREGALITETM脂環式/芳香族樹脂;Goodyear Chemical Companyから入手可能なWINGTACKTM樹脂;Eastman Chemical Companyから入手可能なFORALTM、PENTALYNTM、およびPERMALYNTMロジンおよびロジンエステル;日本ゼオン株式会社から入手可能なQUINTONETM酸変性C樹脂、C/C樹脂、および酸変性C/C樹脂;Neville Chemical Companyから入手可能なLXTM混合芳香族/脂環式樹脂;並びにヤスハラケミカル株式会社から入手可能なCLEARON水素化テルペン芳香族樹脂。
【0064】
本発明では、好ましくは、粘着付与剤は1つ以上の樹脂により構成され、前記した各樹脂は、10,000未満、好ましくは2,500未満、より好ましくは2000未満の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0065】
上記の分子量条件を相互に排除することを意図したものではないが、別の好ましい表現では、本発明において、好ましくは、前記粘着付与剤は1つ以上の樹脂からなり、
i)各々の前記樹脂は、50~130℃、好ましくは60~120℃、より好ましくは70~110℃の軟化点を有し;かつ
ii)各々の前記樹脂は、ガムロジンエステル樹脂;水素化ガムロジンエステル樹脂;ウッドロジンエステル樹脂;水素化ウッドロジンエステル樹脂;トール油ロジンエステル樹脂;および水素化トール油ロジンエステル樹脂からなる群から選択される。例えば粘着付与剤は、有利には、70~90℃の軟化点を有する第一のそのようなロジンエステル樹脂、および90~110℃の軟化点を有する第二のそのようなロジンエステル樹脂を含んでなり得る。
【0066】
ガムロジン、ウッドロジンおよびトール油ロジンの、グリセロールエステルおよびペンタエリスリトールエステルの使用が好ましいことも更に指摘でき、そのようなエステルの市販品の例は下記を包含する:Eastman Chemical Companyから入手可能なForal 105;Kraton Corporationから入手可能なSylvalite RE100S、SylvatacTMRE85およびSylvatacTMRE95。
【0067】
本発明の接着剤組成物は、アクリル系コポリマーがその中に溶解されている溶媒を含んでなる。溶解のために必要な場合は、接着剤組成物は高温で、例えば25~40℃で調製してもよい。いかなる場合も、本発明の使用に適した溶媒は、エーテル;エステル;ケトン;アルコール;ハロゲン化炭化水素;アルカン;アルケン;アミド;および芳香族炭化水素から選択され得る。
【0068】
例示的な溶媒は、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、グリムエーテル、酢酸エチル、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、グリコールジアセテート、メトキシブチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n-ブタノール、イソプロパノール、エタノール、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ヘプタン、ヘキサン、イソオクタン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、ジクロロベンゼン、または上記溶媒の2以上の混合物である。
【0069】
第一の重要な態様では、接着剤組成物の溶媒は、溶媒の重量で少なくとも50重量%の酢酸エチルを含んでなる。相互に排他的ではない第二の態様では、接着剤組成物は、溶媒系であることを特徴とする。
【0070】
接着剤組成物中に存在する最少濃度の溶媒は、通常、組成物の適用温度でアクリル系コポリマーを溶解するのに必要な溶媒の最少量に相当する。接着剤組成物を適用できる所定の方法のための許容粘度、および適用後の接着剤組成物の使用可能な乾燥時間をもたらす要件により、組成物中に存在する溶媒の量の上限は決まる。もちろん、そのような上限は、適用可能な場合には試行錯誤により、当業者によって設定され得る。しかし、溶媒の量、並びにそれによる接着剤組成物の必須成分および任意成分の量的比率は、一般に、得られる組成物が下記条件:20~80重量%、好ましくは35~60重量%の固形分;および100~5000mPa・s、好ましくは100~2500mPa・sの、接着剤組成物の調製直後、例えば混合の2分後までに20℃の温度で測定された粘度の少なくとも1つを有するように設定されなければならないことを述べておく。
【0071】
接着剤被覆組成物は、組成物の硬化特性および貯蔵安定性、それから得られる硬化フィルム、およびその硬化フィルムの有用性に有害でないある種の添加剤を含むこともできる。この点について、水分掃去剤;顔料;充填剤;帯電防止剤;可塑剤;配合剤;希釈剤;光安定剤;および抗酸化剤を言及することができる。全体として、接着剤被覆組成物が接着剤被覆組成物の重量に基づいて15重量%未満の添加剤を含むことが好ましい。
【0072】
本発明に有用な水分掃去剤の例は、オルトエステル、例えば、トリメチルオルトアセテートおよびトリエチルオルトホルメート;オキサゾリジン化合物、例えば、3-エチル-2-メチル-2-(3-メチルブチル)-1,3-オキサゾリジン;シラン、例えばビニルトリメトキシシラン;および水素を引き抜き可能な基を有さない低分子量シロキサン、例えば、アルコキシ基が1~10個または1~6個の炭素原子を有するある種のアルコキシポリ(アルコキシシラン)である。粘度安定剤としばしば称される他の水分掃去剤は、当業者によく知られている。
【0073】
必要に応じて、接着剤に所望の色を付与するのに十分な量で顔料を供給する。本発明を限定することを意図するものではないが、例示的な顔料は、カーボンブラックおよび二酸化チタンなどの固体無機充填剤を包含する。上記顔料充填剤に加えて、有用な無機充填剤は、アルミニウム三水和物;クリストバライト;ガラス繊維;石英;カオリン;ウォラストナイト;マイカ;長石などのケイ酸塩;沈降シリカまたはヒュームドシリカ;銅;水酸化マグネシウム;タルク;および炭酸ニッケルおよび炭酸カルシウムを包含する。アルミニウム三水和物および水酸化マグネシウムなどの金属酸化物は、特に高温で難燃剤として機能し得、かつ凝集力も向上させ得るので、特に有用である。
【0074】
本発明の接着剤組成物を生成するために、接着剤組成物の上記成分を、得られる組成物が確実に均質になるように手段および条件を用いて混合する。場合により、混合は高温で実施してもよいが、加えられた熱が、著しい溶媒の蒸発を引き起こしたり、架橋反応を開始したりするべきではない。必要に応じた参照のためには、接着剤の製造方法の有用なガイドラインが、D.R. Gehman, 「Acrylic Adhesives」, Handbook of Adhesives, 第3版、I. Skeist編、Van Nostrand Reinhold, New York, 1990, Chapter 25に見られる。
【0075】
接着テープ
接着剤組成物は第一剥離ライナーの上に流延され、それから溶媒が蒸発させられる。そのような流延の適当な方法は、丸棒またはマイヤーバーによるキスコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、エアナイフコーティング、コンマコーティング、リバースコーティング、コンマリバースコーティング、リップコーティング、ウルトラダイコーティングまたはギアダイコーティングを包含するが、これらに限定されない。接着剤組成物の乾燥と同時に、またはその後に、接着剤組成物の温度を更に上昇、例えば0.03~2時間で80~250℃に上昇させ、架橋反応を促進させることにより接着剤を硬化させてよい。その後、必要に応じて、第二剥離ライナーを、架橋した接着剤層の前記第一剥離ライナーと反対側に配置してよい。
【0076】
接着剤組成物は典型的には、得られる接着剤層が3~250μm、好ましくは10~200μmの乾燥フィルム厚さを有するように、適用される。接着剤層の厚さが3μm未満であると、最終的な被着体への接着力は通常不十分であり、適用されたテープがそこから浮き上がる可能性がある。逆に、接着剤層の厚さが250μmを越えると、テープを剥がして適用したときに、低下した操作性または破損の原因となり得る。
【0077】
或いは、相互に排他的ではないコーティング操作の表現では、接着剤組成物は、得られる接着剤層が20~250g/m、好ましくは50~200g/mの塗布量を有するように適用され得る。
【0078】
上述したように、剥離ライナーは、片面または両面に剥離層を備えた単層または多層のキャリアフィルムで構成されている。本発明に有用な剥離ライナーの形態を限定することを特に意図するものではないが、とりわけ下記参考文献で提供される剥離ライナーに関する一般的な議論は有用であると考えられる:Satasら、Handbook of Pressure Sensitive Adhesives Technology, D. Satas編、第3版、1999, Satas & Associates, Warwick, 第632~351頁;Kinningら、Adhesion Science and Engineering-第2巻:Surfaces, Chemistry & Applications, M. Chaudhury, A. V. Pocius編、2002, Elsevier, Amsterdam, 第535~571頁;およびJonesら、Handbook of Pressure Sensitive Adhesives Technology. D. Satas編、第3版、1999, Satas & Associates, Warwick, 第652~683頁。
【0079】
上記は認められるが、剥離ライナーのキャリアフィルムが以下を含んでなることが本発明において好ましい:ポリオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンおよび/またはヘキシレンのホモポリマーおよびコポリマー、とりわけ二軸配向ポリプロピレン(BOPP);ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート(PEN);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリカーボネート(PC);ポリスルホン;ポリイミド(PI);ポリアクリロニトリル(PAN);スチレンアクリロニトリル(SAN);ポリウレタン(PU);ポリアミド;エチレン-スチレンコポリマー(ES);シクロオレフィン;ポリビニルアルコール(PVA);エチレン-ビニルアセテート(EVA);スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN);アイオノマー;合成紙、例えば、ポリプロピレン合成紙またはポリエチレン合成紙;前記ポリマーの混合物;前記ポリマーと無機粉末との混合物;または前記ポリマーと合成紙との複合材料。
【0080】
ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)および/またはポリエステルを含んでなるか、またはそれからなるキャリアフィルムが好ましいことが認められる。ポリオレフィンの好適さは、部分的には、ポリオレフィンがもたらされる重合プロセスおよび前記プロセスのためのモノマーの選択に由来し、とりわけその軟化温度および/または引張強さを包含するポリオレフィンフィルムの物理的および機械的特性を制御することが可能である。前記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましいことが更に指摘できる。そのようなPETフィルムの市販品の例は、以下を包含する:三菱から入手可能なHostophanTMフィルム;東レから入手可能なLumirrorTMフィルム;およびDuPont Teijinから入手可能なMelinexTMフィルム。
【0081】
剥離ライナーの収縮またはカールを伴わない取り扱い性および貯蔵性の理由から、そのキャリアフィルムは好適には、下記の1つ以上を特徴とすべきである:8~150μm、例えば10~100μmの厚さ;0.5~3N/25mmの曲げ強度;および50~200N/10mmの降伏点荷重。
【0082】
本明細書に記載の曲げ強度は、35℃で、幅25mm、長さ100mmのキャリアフィルムの試験試料の両端を300mm/分の速度で互いに近づけてU字状に曲げることにより測定される。本明細書に記載の降伏点は、幅10mmのキャリアフィルムの試験試料についてASTM D-638を用いて測定される。
【0083】
所望される剥離力の程度に応じて、剥離層は、下記からなる群から選択される剥離剤を含んでなるか、またはそれからなる:(i)シリコーン剥離剤;(ii)有機変性シリコーン;およびiii)非シリコーン剥離剤、例えば、フルオロケミカル剥離剤、脂肪酸アミド系剥離剤、および直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)。本発明では、シリコーン剥離剤の使用が好ましく、とりわけポリジメチルシロキサンおよびエポキシポリシロキサンを包含するポリオルガノシロキサンの使用が好ましい。有用なシリコーン剥離剤は、とりわけ下記文献に見ることができる:米国特許第3,288,482号;米国特許第3,527,659号;米国特許第4,563,539号;米国特許第4,576,999号;米国特許第4,547,431号;米国特許第4,279,717号;および米国特許第5,576,356号。
【0084】
前記剥離層または各剥離層は、下記方法を包含するがそれらに限定されない、公知の確立された方法を用いてキャリアフィルムに適用され得る:ディッピング、グラビアコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、バーコーティング、またはスプレーコーティング。この適用の最適な方法は、剥離剤の種類と、被覆液を分散液として適用するか、または水性若しくは有機溶媒の溶液として適用するかによって異なる。適用後、組成物を乾燥させる。
【0085】
剥離ライナーが剥離層をキャリアフィルムの片面に備えているか、両面に備えているかにかかわらず、剥離ライナーが8μm~150μm、例えば10μm~100μmの厚さを有することが好ましい。適用可能な場合には、キャリアフィルムの両側に配置された剥離ライナーの厚さは同じであっても異なっていてもよい。
【0086】
本発明の接着テープは、添付の図面を参照して説明できる:
図1は、接着テープの例示的なスプールを示す図であり;
図2は、図1の例示的なスプールの断面図である。
【0087】
図1には、接着テープ(1)が、上側に剥離ライナー(2)を備えて示されている。テープは、シリンダー(3)上に配置されたスプールとして提供されており、力を加えることでシリンダー(3)から巻き出すことができる。ここでは、テープはまた、テープの切片の容易な切り取りをもたらす、横方向の鋸歯状切込み(4)を備えている。テープ(1)は、典型的には5~20mmである、幅(L)を有する。
【0088】
横線5-5”に沿って切り出されたテープ(1)の切片を示す図2には、感圧接着剤層(6)を挟む第一剥離ライナー(2a)と第二剥離ライナー(2b)とが描かれている。
【0089】
接着テープの適用
使用の際、テープの接着剤層の部分を、テープから前記剥離ライナーまたは各剥離ライナーを除去することによりむき出しにする。次いで、接着剤層を第一布地基材の一部の上に配置し、続いてその上に、第一布地基材の別の一部または第二布地基材を配置する。衣服および他の布地の修繕用途では、この配置工程の第一の代替の例示として、ほつれた若しくは乱れたへりの折り畳み、または袖、ポケットなどの予め接合されている部分のシールが挙げられ;この配置工程の第二の代替の例示として、摩耗したり穴があいたりしている可能性がある布地の領域への継ぎ当て用の布の接着が挙げられる。もちろん、布地基材の修繕、縫い付けまたは装飾に使用される継ぎ当て用の布が、正方形、長方形、片、円、楕円などを包含する任意の規則的または不規則的な二次元形状で提供され得ることは明らかである。
【0090】
布地基材のそのように結合された部分は、典型的には5分未満の時間、圧力および場合により熱による処理に付されてよい。もちろん、関連する領域に標準的な家庭用アイロンをかけるか、または結合領域を(衣服)プレスに設置することにより、熱および圧力を同時に適用してもよい。
【0091】
本発明に従って、任意の天然、半合成または合成有機布地基材材料を接着できることが想定される。適当かつ一般的な天然および半合成有機布地材料は、綿、リネン、ラミー、麻、ジュート、木材パルプ、紙、皮革、毛皮、羽毛、セルロースエーテル、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートおよびセルロース)、再生セルロースレーヨン(例えば、ビスコース、キュプラなど)、天然シルク、タッソーレシルクおよびウールを包含する。適当な合成有機布地材料は、ナイロンおよびアラミド繊維などのポリアミド繊維;アクリル、ビニルおよびビニリデンタイプの繊維、例えばOrlon、Acrilan、Creslan、Dynel、Darlon、Verel、Zefran、Velon、VinyonおよびTeflon;並びにポリエステル繊維、例えばDacronおよびTeryleneからのモノフィラメントおよび連続糸から製造された合成有機布地材料を包含するが、これらに限定されない。上記した布地および繊維材料の中から選択された天然、半合成および合成繊維の組み合わせを紡糸することにより調製された混合または混紡糸から製造された布地を接着するために本発明が使用され得ることは、排除されない。
【0092】
本発明の説明のための態様
興味深く効果的な、しかし説明のためであって非限定的な本発明の態様では、
i)第一剥離ライナー;および
ii)前記第一剥離ライナー上に配置された感圧接着剤層
を含んでなるテープであって、
前記感圧接着剤層は、
a)モノマーの重量で、80~99重量%、好ましくは90~99重量%の少なくとも2つのアクリル酸のC~C10アルキルエステルと、1~20重量%、好ましくは1~10重量%のアクリル酸とを含んでなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマー;
b)アルミニウムアセチルアセトネートまたはチタンアセチルアセトネートを含んでなるか、またはそれからなる金属キレート架橋剤;
c)70~90℃の軟化点を有する第一粘着付与樹脂および90~110℃の軟化点を有する第二粘着付与樹脂(前記第一粘着付与樹脂および第二粘着付与樹脂の各々は、ガムロジンエステル樹脂;水素化ガムロジンエステル樹脂;ウッドロジンエステル樹脂;水素化ウッドロジンエステル樹脂;トール油ロジンエステル樹脂;および水素化トール油ロジンエステル樹脂からなる群から選択されるロジンエステル樹脂である);
d)溶媒の重量で少なくとも50重量%の酢酸エチルを含んでなる有機溶媒;および、任意に
e)添加剤
を含んでなる溶媒系接着剤組成物を硬化させることにより得られたものであり、
前記テープは、場合により、iii)前記感圧接着剤層の前記第一剥離ライナーと反対側に配置された第二剥離ライナーを含んでなり、かつ
前記テープは、感圧接着剤層が接着剤層の総重量に基づいて、30~90重量%、好ましくは60~80重量%の前記アクリル系コポリマーと、1~70重量%、好ましくは20~50重量%の前記粘着付与樹脂とを含んでなることを特徴とする、
テープが提供される。
【0093】
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
[1]i)第一剥離ライナー;および
ii)前記第一剥離ライナー上に配置された感圧接着剤層
を含んでなるテープであって、
前記感圧接着剤層は、
a)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸のC ~C 12 アルキルエステルと、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸から選択される少なくとも1つの酸モノマーとを含んでなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマー;
b)金属キレート架橋剤;
c)少なくとも1つの粘着付与樹脂;
d)有機溶媒;および、任意に
e)添加剤
を含んでなる接着剤組成物を硬化させることにより得られたものであり、
前記テープは、場合により、iii)前記感圧接着剤層の前記第一剥離ライナーと反対側に配置された第二剥離ライナーを含んでなる、テープ。
[2]5~20mmの幅を有する、[1]に記載のテープ。
[3]前記剥離ライナーまたは各剥離ライナーは、片側または両側に剥離層を備えたキャリアフィルムを含んでなり、好ましくは、キャリアフィルムはポリエチレンテレフタレートを含んでなるか若しくはポリエチレンテレフタレートからなり、前記剥離層はシリコーン剥離剤を含んでなるか若しくはシリコーン剥離剤からなる、[1]または[2]に記載のテープ。
[4]感圧接着剤層は、
3~250μm、好ましくは10~200μmの乾燥フィルム厚さ;および/または
3~250g/m 、好ましくは10~200g/m の塗布量
を特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載のテープ。
[5]感圧接着剤層は、接着剤層の総重量に基づいて、30~90重量%、好ましくは60~80重量%の前記アクリル系コポリマーと;1~70重量%、好ましくは20~50重量%の前記粘着付与樹脂とを含んでなる、[1]~[4]のいずれかに記載のテープ。
[6]接着剤組成物は溶媒系である、[1]~[5]のいずれかに記載のテープ。
[7]接着剤組成物は、モノマーの重量で、70~99重量%の少なくとも2つの(メタ)アクリル酸のC ~C 12 アルキルエステルの混合物と;1~30重量%の前記少なくとも1つの酸モノマーとを含んでなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマーを含んでなる、[1]~[6]のいずれかに記載のテープ。
[8]接着剤組成物は、モノマーの重量で、
a)80~99重量%、好ましくは90~99重量%の、2-エチルヘキシルアクリレートおよびn-ブチルアクリレートの混合物と;
b)1~20重量%、好ましくは1~10重量%のアクリル酸
とからなるモノマー混合物から得られたアクリル系コポリマーを含んでなる、[7]に記載のテープ。
[9]前記金属キレート架橋剤は:
Al、Ti、Fe、Co、Ba、Zr、KおよびZnからなる群から選択される金属;並びに
1,3-ジカルボニル配位子供給有機化合物
の少なくとも1つの錯体からなる、[1]~[8]のいずれかに記載のテープ。
[10]前記金属キレート架橋剤は、アルミニウムアセチルアセトネートまたはチタンアセチルアセトネートである、[9]に記載のテープ。
[11]接着剤組成物は少なくとも1つの粘着付与樹脂を含んでなり、
i)各々の前記樹脂は、50~130℃、好ましくは60~120℃、より好ましくは70~110℃の軟化点を有し;かつ
ii)各々の前記樹脂は、ガムロジンエステル樹脂;水素化ガムロジンエステル樹脂;ウッドロジンエステル樹脂;水素化ウッドロジンエステル樹脂;トール油ロジンエステル樹脂;および水素化トール油ロジンエステル樹脂からなる群から選択されるロジンエステル樹脂である、
[1]~[10]のいずれかに記載のテープ。
[12]接着剤組成物は、70~90℃の軟化点を有する第一ロジンエステル樹脂および90~110℃の軟化点を有する第二ロジンエステル樹脂を含んでなる、[11]に記載のテープ。
[13]接着剤組成物の有機溶媒は、溶媒の重量で、少なくとも50重量%の酢酸エチルを含んでなる、[1]~[12]のいずれかに記載のテープ。
[14][1]~[13]のいずれかに記載のテープを含んでなるディスペンスデバイス。
[15]材料、好ましくは布地材料を修繕または接合するための、[1]~[13]のいずれかに記載のテープの使用。
以下の例も本発明の説明のためのものであり、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0094】
下記材料を実施例で使用する。
BA:n-ブチルアクリレート
GAA:氷アクリル酸
2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
粘着付与剤1:97~105℃の軟化点を有するトール油ロジンエステル
粘着付与剤2:83℃の軟化点を有するトール油ロジンエステル樹脂
AlAA:アルミニウムアセチルアセトネート
【0095】
合成例1
モノマーの重量の重量%単位で定義される下記モノマー混合物:32重量%の2-EHA;65重量%のBA;3重量%のGAAに基づき、フリーラジカル重合を用いて、コポリマーAを合成した。得られたコポリマーは、0.1重量%未満の残留モノマー含有量を特徴としていた。
20℃での混合下、下記表1に記載の成分に基づき、接着剤組成物を調製した。
【0096】
【表1】
【0097】
実施例1:浸透および硬化特性の測定
この実施例では、本発明のテープは、下記式:
ギャップ=(塗布量×100)/(%単位の固形分×0.55)
を用いて設定したギャップを有するElcometer塗布機を用いて作製した。被覆フィルムを、乾燥のために110℃のオーブンに3分間投入した。
【0098】
浸透および硬化試験のために、表2に示した2片の布地を、作製したテープまたは記載の比較生成物を用いて接合し、24時間後に観察した。表2で用いている記載を以下に説明する。
a)浸透:
・「無」は、組成物が布地を通して観察されないことを意味する;
・「中」は、接合線の一部に組成物が布地を通して観察されることを意味する;
・「高」は、接合線の全てにわたって組成物が布地を通して観察されることを意味する。
b)硬化:
・「無」は、布地が接合されていないときに可撓性であることを意味する;
・「中」は、布地が少し硬いことを意味する;
・「高」は、触れると布地が非常に硬いことを意味する。
【0099】
表2の速度の結果を得るため、25×80mmの綿布地片を12.7mm(0.5インチ)重ねて接合した。記載されている時間(単位:秒)は、集成部材が3kgの重りを保持するために必要な時間である。
【0100】
【表2】
【0101】
実施例2:剥離強度の測定
上記方法により得たテープを、幅25mm、長さ100mmの寸法に切り、剥離ライナーを除去した後、平面上に配置された幅30mm、長さ120mmの布地片に貼り付けた。同じ材料および寸法の第二の布地片を、貼り付けた接着剤の上に配置した。全ケースにおいて、2kgのゴムローラーを、得られた集成部材の上に4往復動かした。以下の(*)に示す場合、予備加熱アイロンを用いて30秒間、集成部材を加圧した。
【0102】
比較の集成部材を提供するため、貼り付けた感圧接着剤層に代えてコニシボンドSufriを用いて上記工程を繰り返した。
【0103】
次いで、各集成部材について、180°の方向に剥がしたときの剥離力を、Instron 3367を用い、25℃で200mm/分の引張速度で測定した。各集成部材について、測定を3回行った:剥離力の平均値を求め、以下の表3に示す。
【0104】
【表3】
【0105】
実施例3:洗濯可能性の測定
試験片の洗濯可能性を、下記手順で調べた。2×6cmの長方形のポリエステル布地を6片切り出した:下記表4に詳述する各接着剤(テープまたはウェブ)を、2片に適用した。各片について、布地のへりをテープの上に折り畳み、6つの集成部材を作製した。各々の接着剤のタイプについて第一の集成部材を、追加の処理を伴わず更に処理した。各々の接着剤のタイプについて第二の集成部材を、更なる処理の前に30秒間予備加熱アイロンを用いた加圧に付した。
【0106】
次いで、集成部材をZanussi ZKG7125に投入し、BoldTM2-イン-1粉末洗剤を用いて40℃で洗濯した。へりの剥離を伴わずに実施された洗濯サイクル数(各々約40分間)を記録した。結果を以下の表4に示す。
【0107】
【表4】
【符号の説明】
【0108】
1 接着テープ
2 剥離ライナー
2a 第一剥離ライナー
2b 第二剥離ライナー
3 シリンダー
4 横方向の鋸歯状切込み
6 感圧接着剤層
L 幅
図1
図2