(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】マルチビーム検査装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/147 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H01J37/147 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022172820
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2021533578の分割
【原出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-11-24
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,キアン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-513543(JP,A)
【文献】国際公開第2018/197169(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0284505(US,A1)
【文献】特開2000-252207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイであって、各多極構造は複数のポール電極を備え、前記マイクロ構造偏向器アレイは、
複数の多極構造のうちの第1の多極構造であって、前記マイクロ構造偏向器アレイの中心軸からの第1の半径シフトを有する、第1の多極構造と、
複数の多極構造のうちの第2の多極構造であって、前記マイクロ構造偏向器アレイの中心軸からの第2の半径シフトを有する、第2の多極構造と、
を備え、
前記第1の半径シフトは前記第2の半径シフトより大きく、また前記第1の多極構造は前記第2の多極構造よりも多数のポール電極を備える、
複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイ。
【請求項2】
前記第1の多極構造は、前記複数の多極構造が複数の荷電粒子ビームを偏向させるときの偏向収差を減少させるために、前記第2の多極構造よりも多数のポール電極を備える、
請求項1に記載のアレイ。
【請求項3】
前記第1の多極構造の前記複数のポール電極は、第1のドライバによって電気的に接続及び駆動され、また、
前記第2の多極構造の前記複数のポール電極は、第2のドライバによって電気的に接続及び駆動される、
請求項1及び2のいずれか一項に記載のアレイ。
【請求項4】
前記第1のドライバ及び前記第2のドライバは、前記第1の多極構造及び前記第2の多極構造が、複数の荷電粒子ビームを偏向させるために、マルチビーム装置内のイメージ形成要素又は事前屈曲マイクロ偏向器として機能できるように構成される、請求項3に記載のアレイ。
【請求項5】
前記第1の多極構造が前記第2の多極構造よりも大きな内径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアレイ。
【請求項6】
複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイを製造する方法であって、各多極構造は複数のポール電極を備え、方法は、アレイの中心軸からの第1の半径シフトを有するように、第1の多極構造を形成すること、及び、
アレイの中心軸からの第2の半径シフトを有するように、第2の多極構造を形成することを含み、前記第1の半径シフトは前記第2の半径シフトより大きく、また前記第1の多極構造は前記第2の多極構造
よりも多数のポール電極を有する、
マイクロ構造偏向器アレイを製造する方法。
【請求項7】
前記第1の多極構造及び前記第2の多極構造の収差特徴に基づいて、前記第1の多極構造のポール電極の数及び前記第2の多極構造のポール電極の数を選択することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の多極構造のポール電極の数及び前記第2の多極構造のポール電極の数を選択することは、それらの電場の高次成分を減少させるために、対応する数のポール電極を選択することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の多極構造のポール電極の数は前記第2の多極構造よりも大きい、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の多極構造を1つ以上の層内に配置することを更に含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の層のうちの第1の層内の1つの多極構造は、前記1つ以上の層のうちの第2の層内の1つの多極構造と位置合わせされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1つのドライバを共有するために多極構造のサブセットをグループ化することを更に含み、多極構造の前記サブセットは、
同じ数のポール電極を有し、また、
半径シフト及び配向角において等しいか又は実質的に等しい、
請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第1のドライバを共有するために、前記1つ以上の層のうちの第1の層内の多極構造のサブセットをグループ化することを更に含み、前記第1の層内の多極構造のサブセットは、
同じ数のポール電極を有し、また、
半径シフト及び配向角において等しいか又は実質的に等しい、
請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第2のドライバを共有するために、前記1つ以上の層のうちの第2の層内の多極構造のサブセットをグループ化することを更に含み、前記第2の層内の多極構造のサブセットは、同じ数のポール電極を有し、また、半径シフト及び配向角において等しいか又は実質的に等しい、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
複数の荷電粒子ビームを偏向させるように構成された複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイであって、各多極構造は複数のポール電極を備え、前記マイクロ構造偏向器アレイは、
前記複数の多極構造のうちの多極構造の第1の層であって、前記第1の層は、アレイの中心軸からの第1の半径シフトを有する第1の多極構造、及び、アレイの中心軸からの第2の半径シフトを有する第2の多極構造を備え、前記第1の半径シフトは前記第2の半径シフトより大きく、また前記第1の多極構造は、前記第2の多極構造よりも多数のポール電極を備える、多極構造の前記第1の層と、前記複数の多極構造のうちの多極構造の第2の層であって、前記第2の層は、アレイの中心軸からの第3の半径シフトを有する第3の多極構造を備える、多極構造の前記第2の層と、
を備える、前記複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2018年12月31日出願の米国出願第62/787,157号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書に提供された実施形態は、一般に、マルチビーム検査装置に関し、より具体的には、改良されたソース変換ユニットを含むマルチビーム検査装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造するとき、製造プロセス中に、パターン欠陥又は招かれざる粒子(残余物)が必然的にウェーハ又はマスク上に現れ、それによって歩留まりが減少する。例えば、招かれざる粒子は、ますます高度になるICチップの性能要件を満たすように選定されたより小さなクリティカルフィーチャディメンションを伴うパターンにとって、厄介なものであり得る。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いるパターン検査ツールを使用して、欠陥又は招かれざる粒子が検出された。これらのツールは、典型的には走査電子顕微鏡(SEM)を採用する。SEMにおいて、相対的に高いエネルギーを有する一次電子のビームは、相対的に低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために減速され、サンプル上にプローブスポットを形成するために合焦される。この一次電子の合焦プローブスポットに起因して、表面から二次電子が生成される。二次電子は、サンプルとの一次電子の相互作用から生じる、後方散乱電子、二次電子、又はオージェ電子を含む。サンプル表面全体にわたるプローブスポットのスキャン及び二次電子の収集によって、パターン検査ツールはサンプル表面のイメージを取得することができる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本明細書において提供される実施形態は、粒子ビーム検査装置を開示し、より具体的には、複数の荷電粒子ビームを使用する検査装置を開示する。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態において、検査装置内のマイクロ構造偏向器アレイは複数の多極構造を含み、各多極構造は複数のポール電極を備える。マイクロ偏向器アレイは、アレイの中心軸からの第1の半径シフトを有する複数の多極構造のうちの第1の多極構造、及び、アレイの中心軸からの第2の半径シフトを有する複数の多極構造のうちの第2の多極構造を含む。第1の半径シフトは第2の半径シフトより大きい。更に、第1の多極構造は、複数の多極構造が複数の荷電粒子ビームを偏向させるときの偏向収差を減少させるために、第2の多極構造よりも多くの数のポール電極を備える。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態において、マイクロ構造偏向器アレイは、多極構造の1つ以上の層を含むことができる。複数の多極構造の第1の層は、アレイの中心軸からの第1の半径シフトを有する第1の多極構造、及び、アレイの中心軸からの第2の半径シフトを有する第2の多極構造を備える。第2の半径シフトは、第2の半径シフトより大きい。更に、第1の多極構造は、対応する荷電粒子ビームの偏向収差を減少させるために、第2の多極構造よりも多くの数のポール電極を備える。マイクロ構造偏向器アレイは、アレイの中心軸からの第3の半径シフトを有する第3の多極構造を備える、複数の多極構造のうちの多極構造の第2の層も含む。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態において、マイクロ構造偏向器アレイを製造する方法が提供される。マイクロ構造偏向器アレイは複数の多極構造を含み、各多極構造は複数のポール電極を備える。方法は、アレイの中心軸からの第1の半径シフトを有するように第1の多極構造を形成することを含む。方法は、アレイの中心軸からの第2の半径シフトを有するように第2の多極構造を形成することを更に含み、第1の半径シフトは第2の半径シフトより大きく、第1の多極構造は第2の多極構造とは異なる数のポール電極を有する。
【0009】
[0009] 本発明の他の利点は、本発明の特定の実施形態が例示及び例として記載される、添付の図面に関した下記の説明から明らかとなろう。
【0010】
[0010] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面に関した例示の実施形態の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]本開示の実施形態に一致する、例示の荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
【
図2】[0012]本開示の実施形態に一致する、
図1の例示の荷電粒子ビーム検査システムの一部である、例示のマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図3A】[0013]本開示の実施形態に一致する、
図1の例示の荷電粒子ビーム検査システムのソース変換ユニットの例示の構成を示す、例示のマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図3B】[0014]
図3Aの例示のソース変換ユニットの一部である、3×3構造を伴う例示の多極構造アレイを示す概略図である。
【
図4】[0015]多極構造内の半径及び接線の静電場の分布を示す図である。
【
図5A】[0016]例示の多極構造を示す概略図である。
【
図5B】[0016]例示の多極構造を示す概略図である。
【
図5C】[0016]例示の多極構造を示す概略図である。
【
図5D】[0016]例示の多極構造を示す概略図である。
【
図5E】[0016]例示の多極構造を示す概略図である。
【
図6A】[0017]本開示の実施形態に一致する、例示の多極構造アレイを示す概略図である。
【
図6B】[0018]本開示の実施形態に一致する、
図6Aの例示の多極構造アレイの多極構造のグループ化を示す概略図である。
【
図6C】[0019]本開示の実施形態に一致する、
図6Bに示されるグループのサブグループ化を示す概略図である。
【
図7A】[0020]本開示の実施形態に一致する、多層を伴う例示の多極構造アレイを示す概略図である。
【
図7B】[0021]本開示の実施形態に一致する、
図7Aの多極構造アレイの例示の層を示す概略図である。
【
図8A】[0022]本開示の実施形態に一致する、多層を伴う例示の多極構造アレイを示す概略図である。
【
図8B】[0022]本開示の実施形態に一致する、多層を伴う例示の多極構造アレイを示す概略図である。
【
図8C】[0023]本開示の実施形態に一致する、
図8Aの多極構造アレイの例示の層を示す概略図である。
【
図8D】[0023]本開示の実施形態に一致する、
図8Aの多極構造アレイの例示の層を示す概略図である。
【
図8E】[0023]本開示の実施形態に一致する、
図8Aの多極構造アレイの例示の層を示す概略図である。
【
図9】[0024]本開示の実施形態に一致する、多極構造アレイの例示の構成を製造する例示の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0025] 次に、例示的実施形態について詳細に言及し、その例が添付の図面に示されている。下記の説明は添付の図面に言及するものであり、異なる図面内の同じ番号は、特に提示されていない限り同じか又は同様の要素を表す。例示的実施形態の下記の説明に示される実施例は、本発明に一致するすべての実施例を表すものではない。むしろ、添付の特許請求の範囲に記載される本発明に関する態様に一致する装置及び方法の単なる例である。
【0013】
[0026] デバイスの物理サイズが減少する一方で、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントのパッキング密度を大幅に増加させることによって、電子デバイスの計算能力の強化を達成することができる。例えば、サムネイルサイズのスマートフォンのICチップは、20億個を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは人毛の1/1000未満である。したがって、半導体ICの製造は、個別の数百のステップを伴う複雑で時間のかかるプロセスであるのも当然のことである。たとえ1つのステップにおけるエラーであっても、最終製品の機能に劇的な影響を与える可能性がある。たとえ1つの「キラー欠陥」であっても、デバイス障害を引き起こす可能性がある。製造プロセスの目標は、プロセス全体の歩留まりを向上させることである。例えば、50ステップのプロセスが75%の歩留まりに達するためには、各個別のステップは99.4%より高い歩留まりを有さなければならず、個別のステップの歩留まりが95%の場合、プロセス全体の歩留まりは7%まで下落する。
【0014】
[0027] ICチップ製造施設において高いプロセス歩留まりが望ましい場合、1時間に処理されるウェーハの数として定義される高いウェーハスループットも不可欠である。欠陥を再調査するために特にオペレータの介入が不可欠である場合、高いプロセス歩留まり及び高いウェーハスループットは欠陥の存在によって影響を受ける可能性がある。したがって、高歩留まり及び低コストを維持するためには、(SEM)などの検査ツールによる、高スループット検出並びにミクロ及びナノサイズの欠陥の識別が不可欠である。
【0015】
[0028] SEMは、一次電子の合焦ビームを用いてサンプルの表面をスキャンする。一次電子はサンプルと相互作用し、二次電子を生成する。合焦ビームを用いてサンプルをスキャンすること、及びディテクタを用いて二次電子をキャプチャすることによって、SEMはサンプルのスキャンエリアのイメージを作成する。高スループット検査の場合、いくつかの検査システムは一次電子の複数の合焦ビームを使用する。複数の合焦ビームはウェーハの異なる部分を同時にスキャンすることができるため、マルチビーム検査システムは単一ビーム検査システムよりもはるかに高速でウェーハを検査することができる。
【0016】
[0029] しかしながら、従来のマルチビーム検査システムにおいて、合焦ビームの数が増加することは、より多くのオフアクシスの(システムの一次光軸上にない)合焦ビームが採用されることを意味する。オフアクシス合焦ビームは、一次光軸からのその半径シフトと共に増加する収差を有し、したがって検査のために生成されるイメージの質を劣化させる。この収差の増加は、場合によっては、ウェーハの表面をスキャンするためにいくつかの電子ビームの方向を実質的に変更することが必要な結果である。電子ビームの数が増加するとき、いくつかの電子ビームはスキャニングデバイスの中心軸から離れてルーティングする必要がある。すべての電子ビームがウェーハの表面に直角に到達することを保証するために、これらの中心から外れた電子ビームは中心軸周辺の他の電子ビームよりも多く操作される。このより高水準の操作は、不鮮明で焦点の外れたサンプルウェーハのイメージを生じさせる可能性がある。本開示の一態様は、イメージ品質の劣化を最小限にするためにオフアクシス合焦ビームの収差を減少させるシステム及び方法に関する。これは、本質的に小収差のソース変換ユニットを使用することによって達成可能である。
【0017】
[0030] 図面内のコンポーネントの相対寸法は、図が見やすいように誇張されている場合がある。下記の図面の説明では、同じか又は同様の参照番号は同じか又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に関する相違のみを説明する。本明細書で使用する際、具体的に明記されていない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除きすべての可能な組み合わせを包含する。例えば、データベースがA又はBを含むことができると記載されている場合、具体的に明記されていないか又は実行不可能でない限り、データベースは、A、又はB、又はA及びBを含むことができる。第2の例として、データベースがA、B、又はCを含むことができると記載されている場合、具体的に明記されていないか又は実行不可能でない限り、データベースは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことができる。
【0018】
[0031] 次に
図1を参照すると、本開示の実施形態に一致する、例示の荷電粒子ビーム検査システム100を示す概略図である。
図1に示されるように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、ロードロックチャンバ20、電子ビームツール40、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。説明及び図面は電子ビームを対象としているが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されるものではないことを理解されよう。
【0019】
[0032] EFEM30は、第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bを含む。EFEM30は、追加のローディングポートを含んでもよい。第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bは、例えば、ウェーハ(例えば、半導体ウェーハ又は他の材料で作られたウェーハ)又は検査すべきサンプル(以下、ウェーハ及びサンプルは集合的に「ウェーハ」と呼ぶ)を含む、ウェーハフロントオープニング統合ポッド(FOUP)を受け取ることができる。EFEM30内の1つ以上のロボットアーム(図示せず)は、ウェーハをロードロックチャンバ20へと移送する。
【0020】
[0033] ロードロックチャンバ20は、大気圧より低い第1の圧力に達するようにロードロックチャンバ20内の気体分子を除去する、ロードロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続可能である。第1の圧力に達した後、1つ以上のロボットアーム(図示せず)がウェーハをロードロックチャンバ20からメインチャンバ10へと移送する。メインチャンバ10は、第1の圧力より低い第2の圧力に達するようにメインチャンバ10内の気体分子を除去する、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール40による検査を受ける。いくつかの実施形態において、電子ビームツール40は単一ビーム検査ツールを備えることができる。他の実施形態において、電子ビームツール40はマルチビーム検査ツールを備えることができる。
【0021】
[0034] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータとすることができる。コントローラ50は、様々な信号及びイメージ処理機能を実行するように構成された処理回路要素を含むこともできる。コントローラ50は、
図1において、メインチャンバ10、ロードロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外側にあるものとして示されているが、コントローラ50は構造の一部であり得ることを理解されよう。本開示は電子ビーム検査ツールを収容するメインチャンバ10の例を提供しているが、本開示の態様は、最も広義には、電子ビーム検査ツールを収容するチャンバに限定されないことに留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する他のツールにも適用可能であることを理解されよう。
【0022】
[0035] 次に
図2を参照すると、本開示の実施形態に一致する、
図1の例示の荷電粒子ビーム検査システム100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む、例示の電子ビームツール40を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では、装置40とも呼ぶ)は、電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、一次投影システム230、電動式ステージ209、及び、検査すべきサンプル208(例えば、ウェーハ又はフォトマスク)を保持するために電動式ステージ209によって支持されるサンプルホルダ207を備える。マルチビーム電子ビームツール40は、二次投影システム250及び電子検出デバイス240を更に備えることができる。一次投影システム230は対物レンズ231を備えることができる。電子検出デバイス240は、複数の検出要素241、242、及び243を備えることができる。ビームセパレータ233及び偏向スキャンユニット232は、一次投影システム230の内部に位置決めすることができる。
【0023】
[0036] 電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、ビームセパレータ233、偏向スキャンユニット232、及び一次投影システム230は、装置40の一次光軸204と位置合わせすることができる。二次投影システム250及び電子検出デバイス240は、装置40の二次光軸251と位置合わせすることができる。
【0024】
[0037] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を備えることができ、動作中、電子源201は一次電子をカソードから放出するように構成され、一次電子は、一次電子ビーム202を形成するために抽出機及び/又はアノードによって抽出又は加速され、一次ビームクロスオーバー(仮想又は現実)203を形成する。一次電子ビーム202は、一次ビームクロスオーバー203から放出されるように視覚化することができる。
【0025】
[0038] ソース変換ユニット220は、イメージ形成要素アレイ(例えば、
図3Aのイメージ形成要素アレイ322)、収差補償器アレイ(例えば、
図3Aの収差補償器アレイ324)、ビーム制限アパーチャアレイ(例えば、
図3Aのビーム制限アパーチャアレイ321)、及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイ(例えば、
図3Aの事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323)を備えることができる。いくつかの実施形態において、事前屈曲マイクロ偏向器アレイは、ビーム制限アパーチャアレイ、イメージ形成要素アレイ、及び収差補償器アレイに垂直に入るように、一次電子ビーム202の複数の一次ビームレット211、212、213を偏向させる。いくつかの実施形態において、集光レンズ210は、一次電子ビーム202を合焦させ、平行ビームになり、ソース変換ユニット220上に法線入射するように、設計される。イメージ形成要素アレイは、一次電子ビーム202の複数の一次ビームレット211、212、213に影響を与えるため、及び、一次ビームレット211、212、及び213の各々について1つの、一次ビームクロスオーバー203の複数の並列イメージ(仮想又は現実)を形成するための、複数のマイクロ偏向器又はマイクロレンズを備えることができる。いくつかの実施形態において、収差補償器アレイは、フィールド曲率補償器アレイ(図示せず)及び非点収差補償器アレイ(図示せず)を備えることができる。フィールド曲率補償器アレイは、一次ビームレット211、212、及び213のフィールド曲率収差を補償するための、複数のマイクロレンズを備えることができる。非点収差補償器アレイは、一次ビームレット211、212、及び213の非点収差を補償するための、複数のマイクロスティグメータを備えることができる。ビーム制限アパーチャアレイは、個々の一次ビームレット211、212、及び213の直径を制限するように構成可能である。
図2は、一例として3つの一次ビームレット211、212、及び213を示しており、ソース変換ユニット220は任意数の一次ビームレットを形成するように構成可能であることを理解されよう。コントローラ50は、ソース変換ユニット220、電子検出デバイス240、一次投影システム230、又は電動式ステージ209などの、
図1の荷電粒子ビーム検査システム100の様々な部分に接続可能である。いくつかの実施形態において、下記でより詳細に説明するように、コントローラ50は様々なイメージ及び信号処理機能を実行することができる。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システムの動作を管理するために、様々な制御信号を生成することもできる。
【0026】
[0039] 集光レンズ210は、一次電子ビーム202を合焦するように構成される。集光レンズ210は、集光レンズ210の合焦力を変動させることによって、ソース変換ユニット220の下流にある一次ビームレット211、212、及び213の電流を調節するように更に構成可能である。代替として、電流は、個々の一次ビームレットに対応するビーム制限アパーチャアレイ内のビーム制限アパーチャの半径サイズを変更することによって、変化させることができる。電流は、ビーム制限アパーチャの半径サイズ及び集光レンズ210の合焦力の両方を変更することによって、変化させることができる。集光レンズ210は、その第1の原理面の位置が移動可能であるように構成可能な、可動集光レンズとすることができる。可動集光レンズは磁性を持つように構成可能であり、結果として、オフアクシスビームレット212及び213は回転角でソース変換ユニット220を照明することができる。回転角は、可動集光レンズの合焦力又は第1の主平面の位置と共に変化する。集光レンズ210は、集光レンズ210の合焦力が変化する一方で回転角は変化せずに維持するように構成可能な、回転防止集光レンズとすることができる。いくつかの実施形態において、集光レンズ210は可動回転防止集光レンズであり得、その第1の主平面の位置及びその合焦力が変動するときに、回転角は変化しない。
【0027】
[0040] 対物レンズ231は、検査のためにビームレット211、212、及び213をサンプル208上に合焦させるように構成可能であり、現行の実施形態において、サンプル208の表面上に3つのプローブスポット221、222、及び223を形成することができる。ガンアパーチャプレート271は、動作時に、クーロン効果を低減させるために一次電子ビーム202の最外殻電子を遮断するように構成される。クーロン効果は、一次ビームレット211、212、213のプローブスポット221、222、及び223の各々のサイズを拡大し、したがって検査結果を損なう可能性がある。
【0028】
[0041] ビームセパレータ233は、例えば、静電双極子場及び磁気双極子場(
図2には図示せず)を生成する静電偏向器を備える、ウィーンフィルタとすることができる。動作時、ビームセパレータ233は、静電双極子場によって、一次ビームレット211、212、及び213の個々の電子に静電力を及ぼすように構成可能である。静電力は、ビームセパレータ233の磁気双極子場によって個々の電子に及ぼされる磁力と、大きさは等しいが、方向は反対である。したがって一次ビームレット211、212、及び213は、少なくとも実質的にゼロ偏向角で、少なくとも実質的に一直線に、ビームセパレータ233を通過することができる。
【0029】
[0042] 偏向スキャンユニット232は、動作時に、サンプル208の表面のあるセクション内の個々のスキャン域にわたって、プローブスポット221、222、及び223をスキャンするために、一次ビームレット211、212、及び213を偏向させるように構成される。一次ビームレット211、212、及び213又はサンプル208上のプローブスポット221、222、及び223の発生に応答して、電子がサンプル208から出現し、3つの二次電子ビーム261、262、及び263を生成する。二次電子ビーム261、262、及び263の各々は、典型的には二次電子(≦50eVの電子エネルギーを有する)及び後方散乱電子(50eVと、一次ビームレット211、212、及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する)を備える。ビームセパレータ233は、二次電子ビーム261、262、及び263を二次投影システム250に向かって偏向させるように構成される。その後、二次投影システム250は、二次電子ビーム261、262、及び263を電子検出デバイス240の検出要素241、242、及び243上に合焦させる。検出要素241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263を検出するように、及び、例えば、サンプル208の対応するスキャン域のイメージを構築するためにコントローラ50又は信号処理システム(図示せず)に送信される対応する信号を生成するように、配置される。
【0030】
[0043] いくつかの実施形態において、検出要素241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263をそれぞれ検出し、イメージ処理システム(例えば、コントローラ50)への対応する強度信号出力(図示せず)を生成する。いくつかの実施形態において、各検出要素241、242、及び243は、1つ以上のピクセルを含むことができる。検出要素の強度信号出力は、検出要素内のすべてのピクセルによって生成される信号の和であり得る。
【0031】
[0044] いくつかの実施形態において、コントローラ50は、イメージ獲得器(図示せず)、ストレージ(図示せず)を含む、イメージ処理システムを備えることができる。イメージ獲得器は1つ以上のプロセッサを備えることができる。例えばイメージ獲得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを備えることができる。イメージ獲得器は、とりわけ、導電体、光ファイバケーブル、ポータブルストレージ媒体、IR、ブルートゥース(登録商標)、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線、又はそれらの組み合わせなどの媒体を介して、装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合可能である。いくつかの実施形態において、イメージ獲得器は電子検出デバイス240から信号を受信して、イメージを構築することができる。したがってイメージ獲得器は、サンプル208のイメージを獲得することができる。イメージ獲得器は、等高線を生成すること、獲得したイメージ上にインジケータを重畳することなどの、様々な事後処理機能を実行することもできる。イメージ獲得器は、獲得したイメージの輝度及びコントラストの調節を実行するように構成可能である。いくつかの実施形態において、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの、ストレージ媒体とすることができる。ストレージは、イメージ獲得器と結合可能であり、スキャンされたローイメージデータをオリジナルデータ及び事後処理されたイメージとして保存するために使用可能である。
【0032】
[0045] いくつかの実施形態において、イメージ獲得器は、電子検出デバイス240から受信したイメージング信号に基づいて、サンプルの1つ以上のイメージを獲得することができる。イメージング信号は、荷電粒子イメージングを行うためのスキャン動作に対応することができる。獲得したイメージは、複数のイメージング域を含む単一のイメージとすることができる。単一イメージをストレージ内に記憶することができる。単一イメージは、複数の領域に分割可能なオリジナルイメージとすることができる。領域の各々は、サンプル208の特徴を含む1つのイメージング域を含むことができる。獲得したイメージは、時系列にわたって複数回サンプリングされたサンプル208の単一イメージング域の複数のイメージを含むことができる。複数イメージをストレージ内に記憶することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ50は、サンプル208の同じロケーションの複数のイメージを用いてイメージ処理を実行するように構成可能である。
【0033】
[0046] いくつかの実施形態において、コントローラ50は、検出された二次電子の分布を取得するための測定回路要素(例えば、アナログデジタル変換器)を含むことができる。検出時間ウィンドウ中に収集された電子分布データは、ウェーハ表面に入射する一次ビームレット211、212、及び213の各々の対応するスキャン経路データと組み合わせて、検査中のウェーハ構造のイメージを再構築するために使用可能である。再構築されたイメージは、サンプル208の内部又は外部構造の様々な特徴を明らかにするために使用可能であり、それによって、ウェーハ内に存在し得る任意の欠陥を明らかにするために使用可能である。
【0034】
[0047] いくつかの実施形態において、コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動式ステージ209を制御することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ50は、電動式ステージ209がサンプル208を一定の速さである方向に連続的に移動できるようにすることができる。他の実施形態において、コントローラ50は、電動式ステージ209が、スキャンプロセスのステップに依存して、サンプル208の移動速度を経時的に変更できるようにすることができる。
【0035】
[0048]
図2は、装置40が3つの一次電子ビームを使用するように示されているが、装置40は2つ以上の一次電子ビームが使用可能であることを理解されよう。本開示は、装置40において使用される一次電子ビームの数を制限するものではない。
【0036】
[0049] 次に、
図3Aを参照すると、本開示の実施形態に一致する、
図1の例示の荷電粒子ビーム検査システムのソース変換ユニットの例示の構成を示す、例示のマルチビーム装置の概略図である。いくつかの実施形態において、装置300は、電子源301、事前ビームレット形成アパーチャアレイ372、集光レンズ310(
図2の集光レンズ210と同様)、ソース変換ユニット320(
図2のソース変換ユニット120と同様)、対物レンズ331(
図2の対物レンズ231と同様)、及びサンプル308(
図2のサンプル208と同様)を備えることができる。電子源301、事前ビームレット形成アパーチャアレイ372、集光レンズ310、ソース変換ユニット320、及び対物レンズ331は、装置の一次光軸304と位置合わせされる。電子源301は、一次光軸304に沿って、ソースクロスオーバー(仮想又は現実)301Sと共に、一次電子ビーム302を生成する。事前ビームレット形成アパーチャアレイ372は、クーロン効果を低減させるために、一次電子ビーム302の最外殻電子をカットする。一次電子ビーム302は、事前ビームレット形成機構の事前ビームレット形成アパーチャアレイ372によって、3つのビームレット311、312、及び313にトリミングすることができる。
【0037】
[0050] いくつかの実施形態において、ソース変換ユニット320は、一次電子ビーム302のビームレット311、312、及び313を制限するように構成されたビーム制限アパーチャを伴う、ビームレット制限アパーチャアレイ321を含むことができる。ソース変換ユニット320は、ソースクロスオーバー301Sの仮想イメージを形成するために、ビームレット311、312、及び313を光軸304に向かって偏向させるように構成された、イメージ形成マイクロ偏向器322_1、322_2、及び322_3を伴うイメージ形成要素アレイ322を含むこともできる。仮想イメージは、対物レンズ331によってサンプル308上に投影され、サンプル308上にプローブスポット391、392、及び393を形成する。ソース変換ユニット320は、プローブスポット391、392、及び393の収差を補償するように構成された、収差補償器アレイ324を更に備えることができる。いくつかの実施形態において、収差補償器アレイ324は、プローブスポット391、392、及び393のフィールド曲率収差をそれぞれ補償するように構成されたマイクロレンズを備える、フィールド曲率補償器アレイ(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施形態において、収差補償器アレイ324は、プローブスポット391、392、及び393の非点収差をそれぞれ補償するように構成されたマイクロスティグメータを備える、非点収差補償器アレイ(図示せず)を含むことができる。
【0038】
[0051] いくつかの実施形態において、ソース変換ユニット320は、ビームレット311、312、及び313をそれぞれビームレット制限アパーチャアレイ321上に法線入射するように屈曲させるために、事前屈曲マイクロ偏向器323_1、323_2、及び323_3を伴う事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323を更に備えることができる。いくつかの実施形態において、集光レンズ310は、3つのビームレット311、313、及び313を、一次光軸304に沿った平行ビームになり、ソース変換ユニット320上に垂直に入射するように、合焦させることができる。
【0039】
[0052] いくつかの実施形態において、イメージ形成要素アレイ322、収差補償器アレイ324、及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323は、マイクロ偏向器、マイクロレンズ、又はマイクロスティグメータの複数の層を備えることができる。
【0040】
[0053] ソース変換ユニット320において、一次電子ビーム302のビームレット311、312、及び313は、それぞれ、イメージ形成要素アレイ322のマイクロ偏向器322_1、322_2、及び322_3によって、一次光軸304に向けて偏向される。ビームレット311はマイクロ偏向器322_1に到達するのに先立って、すでに光軸304上にあり得、したがってビームレット311はマイクロ偏向器322_1によって偏向されなくてよいことを理解されよう。
【0041】
[0054] 対物レンズ331は、ビームレットをサンプル308の表面上に合焦させ、すなわち、3つの仮想イメージをサンプル表面上に投影する。3つのビームレット311~313によってサンプル表面上に形成される3つのイメージは、サンプル表面上に3つのプローブスポット391、392、及び393を形成する。ビームレット311~313の偏向角は、対物レンズ331に起因する3つのプローブスポット391~393のオフアクシス収差を低減させるように調節され、したがって3つの偏向されたビームレットは、対物レンズ331の前焦点を通過するか又はこれに接近する。
【0042】
[0055] マイクロ偏向器(例えば、イメージ形成要素アレイ322内のマイクロ偏向器)によって偏向されるビームレットの偏向角は、ビームレットの半径シフト(すなわち、光軸304から対応するビームレットまでの距離)に対応する。半径シフトが増加するにつれて偏向角は増加する。同じ半径シフトを有するビームレットは、同じか又は実質的に同じ偏向角を有する。例えば、
図3Bの3×3アレイ構成を伴う例示の多極構造アレイに示されるように、マイクロ偏向器322_2の偏向角と、マイクロ偏向器322_3の偏向角とは、それらの半径シフト328及び329が同じである場合、等しいものとすることができる。更に、ビームレットの偏向方向は、それらの対応する半径シフト方向に関連する。更にビームレットの収差(例えば、フィールド曲率収差及び非点収差)は、半径シフトが増加するにつれて増加する。同じか又は実質的に同じ半径シフトを有するビームレットの収差、及び非点収差の方向は、それらの半径シフトの方向に関連する。
【0043】
[0056]
図3Bは、合計9つのビームレットを同時に偏向可能な、3×3イメージ形成マイクロ偏向器アレイ構成を示す。ビームレットの数が増加するにつれて、アレイのサイズも同様に増加する。したがって、大きなイメージ形成マイクロ偏向器アレイでは、ビームレットのいくつかは、装置の光軸(例えば、
図3Aの光軸304)から更に離れて位置することになり、それに応じてその偏向角が増加する。マイクロ偏向器によって生成される偏向収差は、それらの偏向角と共に増加する。したがって、対応するプローブスポットの不均一性は、ビームレットの数と共に増加する。
図3Bは一例としてイメージ形成マイクロ偏向器アレイを示しているが、偏向収差とアレイのサイズとの間の同様の関係が他のタイプのマイクロ偏向器アレイにも存在し得ることを理解されよう。
【0044】
[0057] 次に
図4を参照すると、偏向器内の1次電場E
1の半径及び接線の静電場の分布を示す図である。中心軸を備える偏向器内部の空間点(r,θ)における電場Eの半径及び接線成分E
r及びE
θは、それぞれ数式(1)及び(2)として表すことができる。
【0045】
【0046】
K次電場E
kの強度及び方向角α
kは、E
k=k・r
k-1・d
k及びα
k=kθである。d
kは、中心軸上のK次成分であるか、又はK次オンアクシス成分と呼ばれる。したがって、
図4に示されるE
1は、E
1=d
1及びα
k=θである。1次電場E
1の強度及び方向は、r又はθと共に変化しない。したがって、1次電場(すなわち、E
1場又はd
1成分)は、電子ビームを偏向させることが望ましく、他の高次のオンアクシス成分(例えば、d
2n+1)は低減されるかあるいは消去される必要がある。偏向角が大きくなるほど、E
1場がより強くなるか、又はd
1成分が必要になる。
【0047】
[0058] 多等極偏向器は、中心軸及び偶数のポール電極(例えば、2、4、6、8、10など)を伴う多極構造偏向器として定義することができる。偏向器の中心軸に対して垂直なセクションにおいて、すべてのポール電極の内部輪郭は半径Rを有する円内にあり、セグメント角βを用いて等しくセグメント化される。例えば、
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、及び
図5Eは、それぞれ4、6、8、10、及び12のポール電極と、90°、60°、45°、36°、及び30°のセグメント角βとを伴う、偏向器を示す。
【0048】
[0059] 多等極偏向器内の、数P、分割角β、及びポール電極emの電位は、d2n+1をできる限り小さくしながら、d1を生成するように構成可能である。ポール電極emはX軸反時計回りからカウントされる。例えば
図5Aにおいて、電極511、512、513、及び514は、それぞれe
1、e
2、e
3、及びe
4である。表1は、X軸に対して平行なE
1を生成するために各電極e
mに印加可能な相対励起電圧の励起設定を示す。表1に従い、表2は、ポール電極の数に関する電場のオンアクシス成分を示す。表1の相対励起電圧の設定を、表3に示されるように、1つ以上のポール電極を介して回転させることによって、E
1はそれに応じてセグメント角βの1つ以上の倍数だけ回転する。表3において、表1の励起設定は4極偏向器及び6極偏向器はセグメント角の1倍、8極偏向器及び10極偏向器はセグメント角の2倍、12極偏向器はセグメント角の3倍、回転される。表1及び表3の励起設定を組み合わせて、表4に示されるように、表1のベース電圧V1及び表3のベース電圧V2を調節することで、任意の方向及び任意の強度のE
1を生成することが可能であり、ポール電極の数に関した電場のオンアクシス成分は表2と同じである。更に、表2に示されるように、より多数のポール電極を伴う偏向器を使用することによって、電場の高次成分のいくつかを消去することができる。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
[0060] 例えば、表2に示されるように、4等極偏向器はすべて高次の成分d
2n+1を有する。これに対して、6等極偏向器は高次成分のいくつかを有さない(例えば、d
3、d
9、及びd
15)。12等極偏向器の場合、多くの高次成分がなくなる(例えば、d
3、d
5、d
7、d
9、d
15、及びd
17)。一般に、高次成分は、偏向器の極数に応じてある期間ゼロになる。例えば、ゼロ成分の次数kは、下記の数式(3)に示されるように極数(P=4+2p)に依存する。
K=1+2i+n(4+2p)・・・(3)
上式でp、n、及びiは整数であり、i=1、2、・・・pであり、n=0、1、2、・・・∞である。いくつかの実施形態において、装置の光軸(例えば、
図3Aの光軸304)から更に離れたマイクロ偏向器は、より多くの高次のオンアクシス成分を減少させるために、光軸に近いマイクロ偏向器よりも多数のポール電極を有するように構成可能である。
【0054】
[0061] 非ゼロ成分d
kの場合、対応する電場E
k(r,θ)は、偏向器の半径位置r及び内径R並びに第1の成分d1の比率のk-1乗数で共に変化する。したがって、Ekは、比率を減少させることによって減少させることができる。いくつかの実施形態において、装置の光軸(例えば、
図3Aの光軸304)から更に離れたマイクロ偏向器は、非ゼロの電場Ekを減少させるために、軸に近いマイクロ偏向器よりも大きな内径を有するように構成可能である。
【0055】
[0062] 次に
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照すると、本開示の実施形態に一致する、例示の多極構造アレイ622を示す概略図である。多極構造アレイ622は、ソース変換ユニット(
図3Aのソース変換ユニット320など)の一部とすることができる。特に、多極構造アレイ622は、イメージ形成要素アレイ(
図3Aのイメージ形成要素アレイ322など)、又は事前屈曲マイクロ偏向器アレイ(
図3Aの事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323など)とすることができる。いくつかの実施形態において、多極構造アレイ622は、複数のマイクロ偏向器622_1~622_49を備えることができる。この7×7アレイ構成では、サンプル表面上にプローブスポットを形成するために49の荷電粒子ビーム(例えば、電子ビーム)を同時に偏向させることができる。いくつかの実施形態において、アレイの中央に位置するマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器622_1)の中心軸は、検査装置の光軸604(
図3Aの光軸304など)と位置合わせすることができる。
図6A、
図6B、及び
図6Cは7×7構成を伴う多極構造アレイの位置実施形態を示しているが、アレイは任意のサイズであってよいことを理解されよう。
【0056】
[0063] 49のマイクロ偏向器622_1~622_49のうちのいくつかはアレイ構造の外側部分に位置し、他よりも光軸604から更に離れ、それによってより大きな半径シフトを有する。例えば、4つの角のマイクロ偏向器(すなわち、マイクロ偏向器622_29、622_35、622_41、及び622_47)は光軸604から最も遠くに位置し、最も大きな偏向角を生成しなければならない可能性がある。更に、マイクロ偏向器622_1からマイクロ偏向器622_26へとX軸に沿って右へ移動するとき、対応する半径シフト(光軸604からの距離)は増加する。
【0057】
[0064] これらの外側マイクロ偏向器によって生成される電場の高次成分を減少させるため、及びしたがって、結果として生じる偏向収差及び対応するプローブスポットの不均一性を減少させるために、より多数のポール電極を伴うマイクロ偏向器を使用して、対応するビームを偏向させることができる。加えて、より大きな半径シフトを伴うマイクロ偏向器の内径Rは、より小さな半径シフトを伴うマイクロ偏向器の内径Rよりも大きい。したがって、
図6Aに示されるようにX軸に沿って移動するマイクロ偏向器622_1は、6極を備えることができ、マイクロ偏向器622_2は8極を備えることができ、マイクロ偏向器622_10は10極を備えることができ、またマイクロ偏向器622_26は12極を備えることができる。いくつかの実施形態において、マイクロ偏向器622_2の内径Rはマイクロ偏向器622_1より大きいものであり得、マイクロ偏向器622_10の内径Rはマイクロ偏向器622_2より大きいものであり得、またマイクロ偏向器622_26の内径Rはマイクロ偏向器622_10より大きいものであり得る。
【0058】
[0065]
図6Bは、光軸からの半径シフトへの近接に基づくマイクロ偏向器の例示的グループ化を示す。例えば、<50%範囲内の半径シフト差を有するマイクロ偏向器を、1グループに分類することができる。いくつかの実施形態において、あるグループのすべてのマイクロ偏向器は同じタイプのマイクロ偏向器を使用することができる。例えば、グループ1(
図6BではG1として注記される)は、アレイの中央のマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器622_1)を含み、6極マイクロ偏向器を含むことができる。グループ2(
図6BではG2として注記される)は、グループ1を取り囲む8つのマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器622_2~622_9)を含み、8極マイクロ偏向器を含むことができる。グループ3(
図6BではG3として注記される)は、グループ2を取り囲む16のマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器622_10~622_25)を含み、10極マイクロ偏向器を含むことができる。グループ4(
図6BではG4として注記される)は、グループ4を取り囲む24のマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器622_26~622_49)を含み、12極マイクロ偏向器を含むことができる。
【0059】
[0066]
図6Bでは、異なるグループは異なる数の極を伴うマイクロ偏向器を含むが、いくつかの異なるグループは同じ数の極を伴うマイクロ偏向器を含んでもよいことを理解されよう。例えば、いくつかの実施形態において、グループ1及びグループ2におけるマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器622_1~622_9)は、偏向収差の差がグループ1とグループ2との間の許容範囲内にある場合、すべて6極マイクロ偏向器を使用することができる。こうした実施形態において、グループ3及びグループ4は、8極、10極、12極、又はそれ以上などの、より多数の極を伴うマイクロ偏向器を使用することができる。
【0060】
[0067]
図6Aに関して前述したように、4つの角のマイクロ偏向器(すなわち、マイクロ偏向器622_29、622_35、622_41、及び622_47)などの、装置の光軸604からの同じ半径シフトを伴うマイクロ偏向器の場合、対応するビームについての偏向角は等しいか又は実質的に等しいものとすることができる。更に、同じ偏向角を伴うマイクロ偏向器は、同じ配向角を有するように構成可能である。したがって、多極構造アレイ622において、同じか又は実質的に同じ半径シフト及び同じか又は実質的に同じ配向角を有する多極偏向器のグループは、(様々な制御機能、例えば、各電極のための励起電圧を生成すること、偏向特徴を制御すること、及び制御信号をマイクロ偏向器へ送ることを、実行する)共通ドライバを共有するために、グループ化することができる。同じ偏向角を伴う対応するビームを偏向させるように構成された複数のマイクロ偏向器について、共通ドライバを共有することによって、電圧の共通セットをグループ内のすべてのマイクロ偏向器にルーティングすることができるため、アレイ構成内の接続回路数を減少させることができる。ドライバ共有技法の例は米国出願第62/665,451号に見られ、その全体が参照により組み込まれている。
【0061】
[0068]
図6Cは、所望の偏向角に基づくマイクロ偏向器のグループの例示のサブグループ化を示す。グループ4のマイクロ偏向器の中で、同じか又は実質的に同じ半径シフトを有するマイクロ偏向器をまとめてサブグループ化し、共通ドライバを共有することができる。例えば、G4_SG1と注記された(角にある)4つのマイクロ偏向器を、サブグループ1としてまとめてグループ化することができる。同様に、G4_SG2と注記された(サブグループ1の隣の)8つのマイクロ偏向器を、サブグループ2としてまとめてグループ化することが可能であり、G4_SG3と注記された(サブグループ2の隣の)8つのマイクロ偏向器を、サブグループ3としてまとめてグループ化することが可能であり、G4_SG4と注記された(X軸又はY軸上の)4つのマイクロ偏向器を、サブグループ4としてまとめてグループ化することが可能である。各サブグループ内のマイクロ偏向器は同じか又は実質的に同じ半径シフトを有し(及びしたがって同じ偏向角を有し)、また同じ数の極を有するため、サブグループ内のそれらのマイクロ偏向器は共通ドライバに接続することができる。
【0062】
[0069] 次に
図7Aを参照すると、本開示の実施形態に一致する、多層を伴う例示の多極構造アレイ722を示す概略図である。多極構造アレイ722は、ソース変換ユニット(
図3Aのソース変換ユニット320など)の一部とすることができる。特に、多極構造アレイ722は、イメージ形成要素アレイ(
図3Aのイメージ形成要素アレイ322など)又は事前屈曲マイクロ偏向器アレイ(
図3Aの事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323など)として機能することができる。
【0063】
[0070] いくつかの実施形態において、多極構造アレイ722は、層722a及び722bなどの多極構造の複数の層を備えることができ、また各層は複数の多極構造(例えば、マイクロ偏向器)を備えることができる。例えば、層722aはマイクロ偏向器722a_1~722a_5を備えることができる。同様に、層722bはマイクロ偏向器722b_1~722b_5を備えることができる。いくつかの実施形態において、層の中心は装置の光軸704と位置合わせすることができる。各層の中央にあるマイクロ偏向器(例えば、722a_1及び722b_1)の中心は、光軸704と位置合わせすることができる。
【0064】
[0071] いくつかの実施形態において、各層から1つの1対のマイクロ偏向器はまとめて位置合わせ可能であり、対応するビームを偏向させることができる。例えば、722a_1及び722b_1の両方がビーム711を偏向させることができる。同様に、722a_2及び722b_2の両方がビーム712を偏向させることができ、722a_3及び722b_3の両方がビーム713を偏向させることができ、722a_4及び722b_4の両方がビーム714を偏向させることができ、また722a_5及び722b_5の両方がビーム715を偏向させることができる。多層構成では、1対のマイクロ偏向器が単一ビームを順次偏向させるため、各マイクロ偏向器の所望の偏向角は単一層構成におけるよりも小さくなる可能性がある。
【0065】
[0072] いくつかの実施形態において、対のマイクロ偏向器は同じ数の極を有する同じタイプのマイクロ偏向器を使用することができる。例えば、マイクロ偏向器722a_1及び722b_1はどちらも8極マイクロ偏向器を備える。他の実施形態において、対のマイクロ偏向器は異なるタイプのマイクロ偏向器を使用することができる。例えば、マイクロ偏向器722a_4は12極マイクロ偏向器を使用することができ、マイクロ偏向器722b_4は10極マイクロ偏向器を使用することができる。
【0066】
[0073] 次に
図7Bを参照すると、本開示の実施形態に一致する、
図7Aの多極構造アレイの例示の層を示す概略図である。ビームの数が増加するにつれて、多極構造のサイズも同様に増加する。したがって、大きなアレイのマイクロ偏向器において、ビームのいくつかは装置の光軸(例えば、
図3Aの光軸304)から更に離れて位置することになる。それに応じて、アレイの外縁に位置するマイクロ偏向器の偏向角も増加する。外縁に位置するこれらのマイクロ偏向器によって偏向されるビームは、大きな偏向角により、より高い偏向収差を受ける可能性があり、それによって、対応するプローブスポットのサイズ及び不均一性が増加する。
図6Aに関連して説明したように、これらのマイクロ偏向器によって生成される電場の高次成分を減少させる(それによって、結果として生じる偏向収差及び対応するプローブスポットの不均一性を減少させる)ために、より多数のポール電極を伴うマイクロ偏向器を使用して、対応するビームを偏向させることができる。同じ手法は、多層マイクロ偏向器にも同様に利用可能である。
【0067】
[0074]
図7Bは、本開示の実施形態に一致する、3×3マイクロ偏向器アレイの一例を示す。アレイは、
図7Aのアレイ722の層722a又は722bなどの、多層マイクロ偏向器アレイの層とすることができる。
図6A及び
図6Bに関して説明したように、半径シフトに基づいて9つのマイクロ偏向器750_1~750_9をグループ化することができる。例えば第1のグループは、9つのマイクロ偏向器の中で最も低い半径シフトを有するマイクロ偏向器750_1を含むことができる。第2のグループは、第1のグループ(例えば、マイクロ偏向器750_1)より高い半径シフトを有する、X軸及びY軸上のマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器750_2、750_4、750_6、750_8)を含むことができる。第3のグループは、光軸704から最大の半径シフトを有する、4つの角にあるマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器750_3、750_5、750_7、750_9)を含むことができる。したがって、第1のグループ(マイクロ偏向器751_1)、第2のグループ(マイクロ偏向器750_2、750_4、750_6、750_8)、及び第3のグループ(マイクロ偏向器750_3、750_5、750_7、750_9)は、それぞれ、電場の高次成分を減少させ、それによって、結果として生じる偏向収差及び及び対応するプローブスポットの不均一性を減少させるために、6極マイクロ偏向器、8極マイクロ偏向器、及び12極マイクロ偏向器を含むことができる。
図7Bは3×3アレイ構成を示すが、アレイは任意のサイズであってよいことを理解されよう。更に、
図7Bは各々が異なるタイプのマイクロ偏向器を有する3つのグループを示すが、アレイは任意のグループ及びタイプのマイクロ偏向器の組み合わせを含むことができることを理解されよう。
【0068】
[0075] 更に、
図6Cに関して説明したドライバ共有技法は、多層マイクロ偏向器アレイにも適用可能である。例えば、第1のグループ(マイクロ偏向器750_1)は第1のドライバによって接続及び駆動可能である。同様に、第2のグループ内のすべてのマイクロ偏向器(マイクロ偏向器750_2、750_4、750_6、750_8)は、それらのマイクロ偏向器が同じ偏向角を有するため、第2のドライバによって接続及び駆動可能である。同様に、第3のグループ内のすべてのマイクロ偏向器(マイクロ偏向器750_3、750_5、750_7、750_9)は、第3のドライバによって接続及び駆動可能である。
【0069】
[0076] 次に
図8A及び
図8Bを参照すると、本開示の実施形態に一致する、多層を伴う例示の多極構造アレイを示す概略図である。多極構造アレイ822は、ソース変換ユニット(
図3Aのソース変換ユニット320など)の一部とすることができる。特に、多極構造アレイ822は、イメージ形成要素アレイ(
図3Aのイメージ形成要素アレイ322など)又は事前屈曲マイクロ偏向器アレイ(
図3Aの事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323など)として機能することができる。
【0070】
[0077] 複数のマイクロ偏向器を伴ういくつかの実施形態において、粒子ビームのいくつかは1つの層内のマイクロ偏向器によって偏向可能であるが、他の粒子ビームは別の層内のマイクロ偏向器によって偏向可能である。例えば、ビーム811、814、及び815は層822aのマイクロ偏向器822a_1、822a_4、及び822a_5によって偏向可能であるが、ビーム812及び813は層822bのマイクロ偏向器822b_2及び822b_3によって偏向可能である。マイクロ偏向器のうちのいくつかを1つの層内に配置し、他のマイクロ偏向器を別の層内に配置することによって、マイクロ偏向器の全セットを1つの層内にパッキングすることに比べて、各層内の極を接続する回路を減少させることができる。したがってこれが、電気的安全性を向上させ、また多極構造アレイの設計及び製造プロセスの複雑さも低減させることができる。
【0071】
[0078] いくつかの実施形態において、層822a及び822bはビーム経路ホール822a_2、822a_3、822b_1、822b_4、822b_5を含むことができ、これらは偏向なしにビームを通過させる。
図8Bに示されるように、ビーム経路ホールはマイクロ偏向器よりも狭い(例えば、ビーム経路ホール822a_3の幅はマイクロ偏向器822a_1の幅よりも狭い)ため、
図8A及び
図8Bに示されるようにマイクロ偏向器を交互に配置することによって、アレイ822全体の幅を減少させることができる。
【0072】
[0079] 次に
図8C、
図8D、及び
図8Eを参照すると、本開示の実施形態に一致する、
図8Aの多極構造アレイ822内で使用可能な例示の層を示す概略図である。ビーム数が増加するにつれて、多極構造アレイのサイズも同様に増加する。したがってマイクロ偏向器の大きなアレイでは、いくつかのビームは装置の光軸(例えば、
図3Aの光軸304)から更に離れて位置する。それに従って、構造アレイ822の外縁に位置するマイクロ偏向器の偏向角も増加する。外縁に位置するこれらのマイクロ偏向器によって偏向されるビームは、大きな偏向角により、より高い偏向収差を受ける可能性があり、それによって対応するプローブスポットのサイズ及び不均一性が増加する。
図6Aに関して説明したように、これらのマイクロ偏向器によって生成される電場の高次成分を減少させ、それによって、結果として生じる偏向収差及び対応するプローブスポットの不均一性を減少させるために、より多数のポール電極を伴うマイクロ偏向器を使用して対応するビームを偏向させることができる。同じ手法は、
図8Aのアレイ822のような多層マイクロ偏向器アレイにも同様に利用可能である。
【0073】
[0080]
図8Cは、25の粒子ビーム(5×5構成)を同時に偏向可能なマイクロ偏向器アレイ層の例示の対を示す。この実施形態では、マイクロ偏向器(
図8Bのマイクロ偏向器822a_1、822a_4、822a_5など)及びビーム経路ホール(
図8Bのビーム経路ホール822a_2及び822a_3など)は、1つの粒子ビームが1つの層内のみでマイクロ偏向器によって偏向されるように、各層内で交互に配置される。例えば、層822aは、マイクロ偏向器822a_1、822a_3、822a_5、822a_7、822a_9、822a_10、822a_12、822a_14、822a_16、822a_18、822a_20、822a_22、822a_24、及び、ビーム経路ホール822a_2、822a_4、822a_6、822a_8、822a_11、822a_13、822a_15、822a_17、822a_19、822a_21、822a_23、822a_25を備える。同様に、層822bは、マイクロ偏向器822b_2、822b_4、822b_6、822b_8、822b_11、822b_13、822b_15、822b_17、822b_19、822b_21、822b_23、822b_25、及び、ビーム経路ホール822b_1、822b_3、822b_5、822b_7、822b_9、822b_10、822b_12、822b_14、822b_16、822b_18、822b_20、822b_22、822b_24を備える、したがって、25のビームのうちの13のビームは層822aのマイクロ偏向器によって偏向されるが、残りの12のビームは層822bのマイクロ偏向器によって偏向される。
【0074】
[0081] 前述の実施形態のように、同じか又は同様の半径シフト(例えば、<50%範囲内の半径シフト差)を伴うマイクロ偏向器は、偏向収差を減少させるために、まとめてグループ化すること、及び特定数のポール電極を有することが可能である。例えば、層822aにおいて、マイクロ偏向器822a_1は6極マイクロ偏向器であり、マイクロ偏向器822a_3、822a_5、822a_7、及び822a_9は8極マイクロ偏向器であり、マイクロ偏向器822a_10、822a_12、822a_14、822a_16、822a_18、822a_20、822a_22、及び822a_24は10極マイクロ偏向器である。同様に、層822bにおいて、マイクロ偏向器822b_2、822b_4、822b_6、及び822b_8は8極マイクロ偏向器であり、マイクロ偏向器822b_11、822b_13、822b_15、822b_17、822b_19、822b_21、822b_23、及び822b_25は10極マイクロ偏向器である。
図8Cは5×5アレイ構成を示しているが、アレイは任意のサイズであってよいことを理解されよう。また、アレイ構成は任意のグループ及びサイズのマイクロ偏向器の組み合わせを含むことができることを理解されよう。
【0075】
[0082] 更に、
図6C及び
図7Bに関して説明したドライバ共有技法は本実施形態にも適用可能である。例えば層822bにおいて、第1のグループ内のすべてのマイクロ偏向器(マイクロ偏向器822b_2、822b_4、822b_6、822b_8)は、それらのマイクロ偏向器が同じ偏向角及び同じ数のポール電極を有するため、第1のドライバによって接続及び駆動可能である。同様に、第2のグループ内のすべてのマイクロ偏向器(マイクロ偏向器822b_11、822b_13、822b_15、822b_17、822b_19、822b_21、822b_23、及び822b_25)は、第2のドライバによって接続及び駆動可能である。
【0076】
[0083]
図8D及び
図8Eは、49の粒子ビーム(7×7構成)を同時に偏向可能なマイクロ偏向器アレイ層の別の実施形態を示す。この実施形態において、特定数のポール電極を伴うマイクロ偏向器が1つの層内に配置される。例えば、6極又は10極を伴うすべてのマイクロ偏向器は
図8Dの層822a内に配置され、8極及び12極を伴うすべてのマイクロ偏向器は
図8Eの層822b内に配置される。合計49のビームの中で、17のビームは層822aによって偏向され、残りの32のビームは層822bによって偏向される。層822aにおいて、第1のグループは、6極を備えることが可能なマイクロ偏向器822a_1を中央に含む。第2のグループは、10極を備えることが可能なマイクロ偏向器822a_10~822a_25を含む。同様に、層822bにおいて、第3のグループは、8極を備えることが可能なマイクロ偏向器822b_2~822b_9を含む。第4のグループは、12極を備えることが可能なマイクロ偏向器822b_26~822b_49を含む。更に、
図6C及び
図7Bに関して説明したドライバ共有技法は本実施形態にも適用可能である。例えば、
図8Eの層822bにおいて、X軸又はY軸のうちの1つの上に位置決めされた第3のグループ内の4つのマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器822b_2、822b_4、822b_6、822b_8)は、それらのマイクロ偏向器が同じ偏向角、同じ配向角、及び同じ数のポール電極を有するため、1つの共通ドライバによって接続及び駆動可能である。同様に、角に位置決めされた第3のグループ内の他の4つのマイクロ偏向器(例えば、マイクロ偏向器822b_3、822b_5、822b_7、822b_9)は、別の共通ドライバによって接続及び駆動可能である。
【0077】
[0084] 次に
図9を参照すると、本開示の実施形態に一致する、多極構造アレイの例示の構成を製造する例示の方法を示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、多極構造アレイは半導体製作プロセスを使用して製造可能である。いくつかの実施形態において、多極構造アレイは、
図6Aのマイクロ偏向器アレイ622などのマイクロ偏向器アレイを含むことができる。いくつかの実施形態において、多極構造アレイは、
図6Aのマイクロ偏向器622_1~622_49などの複数のマイクロ偏向器を備えることができる。マイクロ偏向器によって生成された電場の高次成分を減少させ、それによって、結果として生じる偏向収差及び対応するプローブスポットの不均一性を減少させるために、より多数のポール電極を伴うマイクロ偏向器を使用して、検査装置の光軸から更に離れた対応するビームを偏向させることができる。例えば、第2の多極構造(
図6Aのマイクロ偏向器622_3など)よりも高い半径シフトを有する(すなわち、光軸から更に離れた)第1の多極構造(
図6Aのマイクロ偏向器622_29など)は、第2のマイクロ偏向器よりも多数のポール電極を伴うマイクロ偏向器を備えることができる。
【0078】
[0085] ステップ910において、第1の多極構造のポール電極の数は、第1の多極構造の偏向収差特徴に基づいて構成される。ステップ920において、第2の多極構造のポール電極の数は、第2の多極構造の偏向収差特徴に基づいて構成される。ステップ920において第2の多極構造用に選択されるポール電極の数は、ステップ910において第1の多極構造用に選択されるポール電極の数よりも少ない。
【0079】
[0086] ステップ930において、第1の多極構造は、アレイの中心軸からの第1の半径シフトを伴うロケーションにおいて形成される。ステップ940において、第2の多極構造は、アレイの中心軸からの第2の半径シフトを伴うロケーションにおいて形成される。光軸と第1の多極構造のロケーションとの間の距離は、光軸と第2の多極構造のロケーションとの間の距離よりも大きい。したがって、第1の多極構造は、第2の多極構造よりも大きい半径シフトを有する。
【0080】
[0087] 第1及び第2の多極構造は、例えば
図6Bに関して上記で説明した多極構造の別々のグループの一部とすることができることを理解されよう。更に、第1及び第2の多極構造は、例えば
図8Cに関して上記で説明した別々の層上に位置することができることを理解されよう。
【0081】
[0088] 下記の条項を使用して、実施形態を更に説明することができる。
1.複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイであって、各多極構造は複数のポール電極を備え、アレイは、
複数の多極構造のうちの第1の多極構造であって、第1の多極構造はアレイの中心軸からの第1の半径シフトを有する、第1の多極構造と、
複数の多極構造のうちの第2の多極構造であって、第2の多極構造はアレイの中心軸からの第2の半径シフトを有する、第2の多極構造と、
を備え、
第1の半径シフトは第2の半径シフトより大きく、また第1の多極構造は第2の多極構造よりも多数のポール電極を備える、
複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイ。
2.第1の多極構造は、複数の多極構造が複数の荷電粒子ビームを偏向させるときの偏向収差を減少させるために、第2の多極構造よりも多数のポール電極を備える、条項1に記載のアレイ。
3.第1の多極構造の複数のポール電極は、第1のドライバによって電気的に接続及び駆動され、また、
第2の多極構造の複数のポール電極は、第2のドライバによって電気的に接続及び駆動される、
条項1及び2のいずれか一項に記載のアレイ。
4.第1のドライバ及び第2のドライバは、第1の多極構造及び第2の多極構造が、複数の荷電粒子ビームを偏向させるために、マルチビーム装置内のイメージ形成要素又は事前屈曲マイクロ偏向器として機能できるように構成される、条項3に記載のアレイ。
5.第1の多極構造が第2の多極構造よりも大きな内径を有する、条項1から4のいずれか一項に記載のアレイ。
6.複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイであって、各多極構造は複数のポール電極を備え、アレイは、
複数の多極構造のうちの第1のグループの多極構造であって、第1のグループの多極構造はアレイの中心軸からの第1のセットの半径シフトを有し、第1のグループの各多極構造は同じ数の対応するポール電極を備える、第1のグループの多極構造と、
複数の多極構造のうちの第2のグループの多極構造であって、第2のグループの多極構造はアレイの中心軸からの第2のセットの半径シフトを有し、第2のグループの各多極構造は同じ数の対応するポール電極を備える、第2のグループの多極構造と、
を備え、
第1のセットの半径シフトのうちの半径シフトの最低値は、第2のセットの半径シフトのうちの半径シフトの最高値よりも大きく、第1のグループの多極構造は、第2のグループの多極構造よりも多数のポール電極を備える、
複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイ。
7.複数の多極構造が複数の荷電粒子ビームを偏向させるときの偏向収差を減少させるために、第1のグループの多極構造は第2のグループの多極構造よりも多数のポール電極を備える、条項6に記載のアレイ。
8.第1のグループ又は第2のグループは1つの多極構造のみを備えることができる、条項6及び7のいずれか一項に記載のアレイ。
9.複数の多極構造のうちの第1のグループの多極構造は、
第1のドライバによって電気的に接続及び駆動される第1のサブグループの多極構造を備え、第1のサブグループの多極構造の半径シフト及び配向角は等しいか又は実質的に等しい、
条項6から8のいずれか一項に記載のアレイ。
10.複数の多極構造のうちの第2のグループの多極構造は、
第2のドライバによって電気的に接続及び駆動される第2のサブグループの多極構造を備え、第2のサブグループの多極構造の半径シフト及び配向角は等しいか又は実質的に等しい、
条項6から9のいずれか一項に記載のアレイ。
11.第1及び第2のドライバのうちの少なくとも1つは、対応する多極構造が、複数の荷電粒子ビームを偏向させるために、マルチビーム装置内のイメージ形成要素又は事前屈曲マイクロ偏向器として機能できるように構成される、条項6から10のいずれか一項に記載のアレイ。
12.第1のグループのうちの1つの多極構造は、第2のグループのうちの1つの多極構造よりも大きな内径を有する、条項6から11のいずれか一項に記載のアレイ。
13.複数の荷電粒子ビームを偏向させるように構成された複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイであって、各多極構造は複数のポール電極を備え、アレイは、
複数の多極構造のうちの多極構造の第1の層であって、第1の層は、アレイの中心軸からの第1の半径シフトを有する第1の多極構造、及び、アレイの中心軸からの第2の半径シフトを有する第2の多極構造を備え、第1の半径シフトは第2の半径シフトより大きく、また第1の多極構造は、第2の多極構造よりも多数のポール電極を備える、多極構造の第1の層と、
複数の多極構造のうちの多極構造の第2の層であって、第2の層は、アレイの中心軸からの第3の半径シフトを有する第3の多極構造を備える、多極構造の第2の層と、
を備える、複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイ。
14.第1の多極構造は、対応する荷電粒子ビームの偏向収差を減少させるために、第2の多極構造よりも多数のポール電極を備える、条項13に記載のアレイ。
15.第3の半径シフトは第1の半径シフトよりも小さい、条項13及び14のいずれか一項に記載のアレイ。
16.第3の半径シフトは第2の半径シフトよりも大きい、条項15に記載のアレイ。
17.第3の多極構造のポール電極の数は第2の多極構造よりも大きいか又は等しい、条項13から16のいずれか一項に記載のアレイ。
18.第3の多極構造のポール電極の数は第1の多極構造よりも小さいか又は等しい、条項13から16のいずれか一項に記載のアレイ。
19.第3の多極構造は第1の多極構造よりも多いか又は等しい数のポール電極を備える、条項13、14、16、及び17のいずれか一項に記載のアレイ。
20.複数の荷電粒子ビームのうちの1つは第1の層の多極構造によって偏向され、複数の荷電粒子ビームのうちの別の1つは第2の層の多極構造によって偏向される、条項13から19のいずれか一項に記載のアレイ。
21.複数の荷電粒子ビームのうちの1つは、第1の層の多極構造及び第2の層の多極構造によって順次偏向され、また第1の層の多極構造及び第2の層の多極構造は互いに位置合わせされる、条項13から19のいずれか一項に記載のアレイ。
22.複数の荷電粒子ビームのうちの第1のビームは、第1の層の多極構造によって偏向され、
複数の荷電粒子ビームのうちの第2のビームは、第2の層の多極構造によって偏向され、また、
複数の荷電粒子ビームのうちの第3のビームは、第1の層の多極構造及び第2の層の多極構造によって順次偏向される、
条項13から19のいずれか一項に記載のアレイ。
23.複数の多極構造のうちの各多極構造は、他の多極構造から電気的に遮蔽されるように電気的遮蔽キャビティ内部に配置される、条項13から22のいずれか一項に記載のアレイ。
24.第1の層の第1の多極構造は、第1の層の第2の多極構造よりも大きい内径を有する、条項13から23のいずれか一項に記載のアレイ。
25.第1の層の多極構造のうちの2つ以上は、
同じ数のポール電極を有し、
半径シフト及び配向角において等しいか又は実質的に等しく、また、
第1のドライバによって電気的に接続及び駆動される、
条項13から24のいずれか一項に記載のアレイ。
26.第2の層の多極構造のうちの2つ以上は、
同じ数のポール電極を有し、
半径シフト及び配向角において等しいか又は実質的に等しく、また、
第2のドライバによって電気的に接続及び駆動される、
条項13から25のいずれか一項に記載のアレイ。
27.条項13から26のいずれか一項に記載のアレイを備える、荷電粒子ビームシステム内のソース変換ユニット。
28.複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイを製造する方法であって、各多極構造は複数のポール電極を備え、方法は、
アレイの中心軸からの第1の半径シフトを有するように、第1の多極構造を形成すること、及び、
アレイの中心軸からの第2の半径シフトを有するように、第2の多極構造を形成することを含み、第1の半径シフトは第2の半径シフトより大きく、また第1の多極構造は第2の多極構造とは異なる数のポール電極を有する、
マイクロ構造偏向器アレイを製造する方法。
29.第1及び第2の多極構造の収差特徴に基づいて、第1の多極構造のポール電極の数及び第2の多極構造のポール電極の数を選択することを更に含む、条項28に記載の方法。
30.第1の多極構造のポール電極の数及び第2の多極構造のポール電極の数を選択することは、それらの電場の高次成分を減少させるために、対応する数のポール電極を選択することを含む、条項29に記載の方法。
31.第1の多極構造のポール電極の数は第2の多極構造よりも大きい、条項28から30のいずれか一項に記載の方法。
32.複数の多極構造を1つ以上の層内に配置することを更に含む、条項28から31のいずれか一項に記載の方法。
33.1つ以上の層のうちの第1の層内の1つの多極構造は、1つ以上の層のうちの第2の層内の1つの多極構造と位置合わせされる、条項32に記載の方法。
34.1つのドライバを共有するために多極構造のサブセットをグループ化することを更に含み、多極構造のサブセットは、
同じ数のポール電極を有し、また、
半径シフト及び配向角において等しいか又は実質的に等しい、
条項28から33のいずれか一項に記載の方法。
35.第1のドライバを共有するために、1つ以上の層のうちの第1の層内の多極構造のサブセットをグループ化することを更に含み、第1の層内の多極構造のサブセットは、
同じ数のポール電極を有し、また、
半径シフト及び配向角において等しいか又は実質的に等しい、
条項32から34のいずれか一項に記載の方法。
36.第2のドライバを共有するために、1つ以上の層のうちの第2の層内の多極構造のサブセットをグループ化することを更に含み、第2の層内の多極構造のサブセットは、同じ数のポール電極を有し、また、半径シフト及び配向角において等しいか又は実質的に等しい、条項32から35のいずれか一項に記載の方法。
37.複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイであって、各多極構造は複数のポール電極を備え、アレイは、
複数の多極構造のうちの第1のグループの多極構造であって、第1のグループの多極構造はアレイの中心軸からの第1のセットの半径シフトを有し、第1のグループの各多極構造は同じ数の対応するポール電極を備える、第1のグループの多極構造と、
複数の多極構造のうちの第2のグループの多極構造であって、第2のグループの多極構造はアレイの中心軸からの第2のセットの半径シフトを有し、第2のグループの各多極構造は同じ数の対応するポール電極を備える、第2のグループの多極構造と、
を備え、
第1のグループの多極構造は、第2のグループの多極構造よりも多数のポール電極を備え、また、第1のグループ及び第2のグループの各々は1つ以上の多極構造を備える、
複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイ。
38.第1のセットの半径シフトのうちの半径シフトの最低値は、第2のセットの半径シフトのうちの半径シフトの最高値よりも大きい、条項37に記載のアレイ。
39.複数の多極構造は、複数の荷電粒子ビームを実質的に同時に偏向させるように構成される、条項37に記載のアレイ。
40.第1のグループの多極構造は、
第1のドライバに電気的に接続され第1のドライバによって駆動される、第1のサブグループの多極構造を備え、第1のサブグループの多極構造の半径シフト及び配向角は実質的に等しい、条項39に記載のアレイ。
41.多極構造の第2のグループは、
第2のドライバに電気的に接続され、第2のドライバによって駆動される、多極構造の第2のサブグループを備え、多極構造の第2のサブグループの半径シフト及び配向角は等しいか又は実質的に等しい、条項40に記載のアレイ。
42.第1及び第2のドライバのうちの1つは、対応する多極構造がマルチビーム装置内の複数の荷電粒子ビームを偏向させることができるように構成され、更に複数の多極構造は、マルチビーム装置内のイメージ形成要素又は事前屈曲マイクロ偏向器として構成される、条項41に記載のアレイ。
43.第1のグループの多極構造は、第2のグループの多極構造よりも大きい内径を有する、条項37に記載のアレイ。
44.第1のグループ及び第2のグループはアレイの第1の層内に配置され、またアレイは、アレイの中心軸からの第3の半径シフトを有する第3のグループの多極構造を備える第2の層を更に備える、条項39に記載のアレイ。
45.第3の半径シフトは、第1のセットの半径シフト又は第2のセットの半径シフトとは異なる、条項44に記載のアレイ。
46.第3の多極構造のポール電極の数は、第1のグループの多極構造のうちの多極構造のポール電極の数とは異なるか又は等しい、条項45に記載のアレイ。
47.複数の荷電粒子ビームのうちの1つは第1の層の多極構造によって偏向され、また複数の荷電粒子ビームのうちの別の1つは第2の層の多極構造によって偏向される、条項45に記載のアレイ。
48.複数の荷電粒子ビームのうちの1つは、第1の層の多極構造及び第2の層の多極構造によって順次偏向され、また第1の層の多極構造及び第2の層の多極構造は互いに位置合わせされる、条項45に記載のアレイ。
49.複数の荷電粒子ビームのうちの第1のビームは、第1の層の多極構造によって偏向され、また第2の層のいずれの多極構造によっても偏向されず、
複数の荷電粒子ビームのうちの第2のビームは、第2の層の多極構造によって偏向され、また第2の層のいずれの多極構造によっても偏向されず、また、
複数の荷電粒子ビームのうちの第3のビームは、第1の層の多極構造及び第2の層の多極構造によって順次偏向される、
条項45に記載のアレイ。
50.荷電粒子ビームシステム内のソース変換ユニットであって、ソース変換ユニットは、複数の多極構造を含むマイクロ構造偏向器アレイを備え、多極構造の各々は複数のポール電極を備え、アレイは、
複数の多極構造のうちの第1のグループの多極構造であって、第1のグループの多極構造はアレイの中心軸からの第1のセットの半径シフトを有し、第1のグループの各多極構造は同じ数のポール電極を備える、第1のグループの多極構造と、
複数の多極構造のうちの第2のグループの多極構造であって、第2のグループの多極構造はアレイの中心軸からの第2のセットの半径シフトを有し、第2のグループの各多極構造は同じ数のポール電極を備える、第2のグループの多極構造と、
を備え、
第1のセットの半径シフトは第2のセットの半径シフトとは異なり、第1のグループの多極構造は第2のグループの多極構造よりも多数のポール電極を備え、また第1のグループ及び第2のグループの各々は1つ以上の多極構造を備える、
荷電粒子ビームシステム内のソース変換ユニット。
51.第1のグループ及び第2のグループはアレイの第1の層内に配置され、アレイは、アレイの中心軸からの第3の半径シフトを有する第3のグループの多極構造を備える第2の層を更に備える、条項50に記載のソース変換ユニット。
52.第1及び第2のドライバのうちの1つのドライバは、複数の荷電粒子ビームを偏向させるために、対応する多極構造がマルチビーム装置内のイメージ形成要素又は事前屈曲マイクロ偏向器として機能できるように構成される、条項6から10のいずれか一項に記載のアレイ。
53.構成される第1及び第2のドライバのうちのドライバは、構成される第1及び第2のドライバのすべてを含む、条項52に記載のアレイ。
【0082】
[0089] 以上、本発明を様々な実施形態に関連して説明してきたが、当業者であれば、本明細書で開示される本発明の仕様及び実施を考察することから、本発明の他の実施形態が明らかとなろう。仕様及び例は単なる例として考察されるものであり、本発明の真の範囲及び趣旨は、下記の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0083】
[0090] 上記の説明は限定的ではなく例示的なものであることが意図される。したがって、当業者であれば、下記に記載される特許請求の範囲を逸脱することなく、説明のように修正が実行可能であることを理解されよう。