(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】処理チャンバ表面または部品上に保護コーティングを形成するための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20240312BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/40
(21)【出願番号】P 2022514992
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(86)【国際出願番号】 US2020043833
(87)【国際公開番号】W WO2021050168
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】201941036160
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バジャージ, ギーティカ
(72)【発明者】
【氏名】パリーク, ヨギタ
(72)【発明者】
【氏名】ゴラディア, プレルナ ソンサリア
(72)【発明者】
【氏名】カダム, アンクル
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/149205(WO,A1)
【文献】特開2016-020418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0032163(US,A1)
【文献】特開2009-203113(JP,A)
【文献】特表2018-506859(JP,A)
【文献】特開2015-122486(JP,A)
【文献】特表2004-525517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0169704(US,A1)
【文献】M.Golalikhani etal.,Atomic layer deposition of CeO2 using a heteroleptic cyclopentadienyl-amidinate precursor,J.Vac.Sci.Technol. A,2018年06月,36,051502-1-051502-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
C23C 16/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積(ALD)プロセス中にチャンバ表面またはチャンバ部品上に酸化セリウム層を堆積することを含む、処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法であって、前記ALDプロセスは、
ALDサイクル中に前記チャンバ表面または前記チャンバ部品をセリウム前駆体、パージガス、酸化剤、およびパージガスに連続して曝すことと、
前記酸化セリウム層を堆積するために前記ALDサイクルを繰り返すことと
を含み、前記セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトナート化合物
、セリウムアルコキシド化合物、セリウムアミド化合物、セリウムアセトアミジネート化合物、それらの付加物、またはそれらの任意の組合せを含む、方法。
【請求項2】
前記セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトナート化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セリウムβ-ジケトナート化合物は、Ce(thd)
4、Ce(thd)
3、Ce(thd)
3(phen)、それらの付加物、またはそれらの任意の組合せである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セリウム前駆体は、セリウムアルコキシド化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記セリウムアルコキシド化合物は、Ce(mmp)
4(セリウムテトラ(1-メトキシ-2-メチル-2-プロパノレート))、Ce(dmap)
4(セリウムテトラ(1-(ジメチルアミノ)プロパン-2-オレート))、Ce(dmop)
4(セリウムテトラ(2-(4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)プロパン-2-オレート))、それらの付加物、またはそれらの任意の組合せである、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記セリウム前駆体は、セリウムアミド化合物またはセリウムアセトアミジネート化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記セリウム前駆体は、(hmdsa)
3Ceまたは(
iPrCp)
2Ce(N-
iPr-amd)である、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化剤は、水、酸素(O
2)、原子状酸素、オゾン、亜酸化窒素、過酸化物、それらのプラズマ、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ALDサイクルは、前記酸化セリウム層
が1nmか
ら100nmの厚さを有するまで繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記チャンバ表面または前記チャンバ部品は、前記ALDプロセス中
に50℃か
ら400℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記温度は、前記ALDプロセス中
、100℃か
ら350℃である、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記チャンバ表面または前記チャンバ部品は、その上に配置された中間酸化物フィルムを含み、前記酸化物セリウムは、前記中間酸化物フィルム上に堆積されている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記中間酸化物フィルムは、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、それらの合金、それらのドーパント、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
原子層堆積(ALD)プロセス中にチャンバ表面またはチャンバ部品上に酸化セリウム層を堆積することを含む、処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法であって、前記チャンバ表面または前記チャンバ部品は、前記ALDプロセス中
に50℃か
ら400℃の温度に加熱され、前記ALDプロセスは、
ALDサイクル中に前記チャンバ表面または前記チャンバ部品を、セリウム前駆体、パージガス、酸化剤、および前記パージガスに連続して曝すことであって、前記セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトナート化合物
、セリウムアルコキシド化合物、セリウムアミド化合物、セリウムアセトアミジネート化合物、それらの付加物、またはそれらの任意の組合せを含む、連続して曝すことと、
前記酸化セリウム層を堆積するために前記ALDサイクルを繰り返すこととを含む、方法。
【請求項15】
前記温度は、前記ALDプロセス中
、100℃か
ら350℃である、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法であって、
チャンバ表面またはチャンバ部品上に中間酸化物フィルムを堆積することと、
原子層堆積(ALD)プロセス中に前記中間酸化物フィルム上に酸化セリウム層を堆積することとを含み、前記ALDプロセスは、
ALDサイクル中に前記チャンバ表面または前記チャンバ部品を、セリウム前駆体、パージガス、酸化剤、および前記パージガスに連続して曝すことと、
前記ALDサイクルを繰り返して
、1nmか
ら100nmの厚さに前記酸化セリウム層を堆積することとを含み、前記セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトナート化合物
、セリウムアルコキシド化合物、セリウムアミド化合物、セリウムアセトアミジネート化合物、それらの付加物、またはそれらの任意の組合せを含む、方法。
【請求項17】
前記中間酸化物フィルムは、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、それらの合金、それらのドーパント、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバ表面または前記チャンバ部品は、前記ALDプロセス中
に50℃か
ら400℃の温度に加熱される、請求項
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は概して、蒸着プロセスに関し、より詳細には、原子層堆積プロセスによって保護コーティングを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスまたは集積回路デバイスの製造は、典型的には、半導体、誘電体および導電性基板上で行われる数百の個別のステップを必要とする複雑なプロセスシーケンスを含む。これらのプロセスステップの例として、酸化、拡散、イオン注入、薄膜堆積、洗浄、エッチングおよびリソグラフィが挙げられる。プラズマプロセスはしばしば、プラズマチャンバ内で行われる薄膜堆積およびエッチングに使用される。化学気相堆積では、反応性種は適切なプロセスガスに電圧を加えることによって生成され、その後の化学的反応は、基板上の薄膜の形成につながる。プラズマエッチングでは、前に堆積された膜は、しばしば、前のリソグラフィステップで形成されるパターン化されたマスク層を通して、プラズマ内の反応性種に曝される。反応性種と堆積された膜の間の反応は、堆積された膜の除去、またはエッチングにつながる。
【0003】
チャンバ部またはプロセスキットが延長された期間、プラズマ環境に曝されると、プラズマ種との反応により劣化が発生することがある。例えば、プラズマチャンバの既存のプロセスキットまたは構成部品はしばしば、(酸化アルミニウム、アルミニウム酸窒化物または窒化アルミニウムなどの)アルミニウム含有材料で作られる。ハロゲン含有ガス、例えばフッ素または塩素含有ガスは、回路製造中で様々な材料層をエッチングする際に使用される。アルミニウム含有材料はハロゲン種による攻撃に対して弱く、その結果、構成部品の表面上に様々なハロゲン化アルミニウムが形成されると考えられる。このようなエッチング副産物は、処理中に粒子として落下し、その結果、処理中の基板上の汚染および欠陥につながる可能性がある。また、エッチングされる表面および部品は次第に交換しなければならなく、製造の費用およびダウンタイムを増加させる。
【0004】
したがって、プラズマ応用例で使用される処理チャンバ内での表面および部品上の保護コーティングの必要がある。
【発明の概要】
【0005】
開示の実施形態は、処理チャンバ内でプラズマに曝される表面などの、処理チャンバ表面および/または部品上に酸化セリウムを含有した保護コーティングを製造、あるいは形成する方法を提供する。1つまたは複数の実施形態では、処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法は、原子層堆積(ALD)プロセス中にチャンバ表面またはチャンバ部品上に酸化セリウム層を堆積することを含む。ALDプロセスは、ALDサイクル中にチャンバ表面またはチャンバ部品を、セリウム前駆体、パージガス、および酸化剤に連続して曝すことと、酸化セリウム層を堆積するためにALDサイクルを繰り返すこととを含む。
【0006】
他の実施形態では、処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法は、ALDプロセス中にチャンバ表面またはチャンバ部品上に酸化セリウム層を堆積することを含み、チャンバ表面またはチャンバ部品は、ALDプロセス中に約50℃から約400℃の温度に加熱される。ALDプロセスは、ALDサイクル中にチャンバ表面またはチャンバ部品を、セリウム前駆体、パージガス、酸化剤、およびパージガスに連続して曝すことと、その後酸化セリウム層を堆積するためにALDサイクルを繰り返すことを含む。セリウム前駆体は、1つまたは複数のセリウムβ-ジケトナート化合物、1つまたは複数のセリウムシクロペンタジエニル化合物、1つまたは複数のセリウムアルコキシド化合物、1つまたは複数のセリウムアミド化合物、1つまたは複数のセリウムアセトアミジネート化合物、1つまたは複数のそれらの付加物、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれらを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法は、チャンバ表面またはチャンバ部品上に中間酸化物フィルムを堆積することと、ALDプロセス中に中間酸化物フィルム上に酸化セリウム層を堆積することとを含む。ALDプロセスは、ALDサイクル中にチャンバ表面またはチャンバ部品を、セリウム前駆体、パージガス、酸化剤、およびパージガスに連続して曝すことと、ALDサイクルを繰り返して、約1nmから約100nmの厚さに酸化セリウム層を堆積することとを含む。
【0008】
本開示の上記特徴を詳細に理解することができるように、上に簡単に要約した開示のより特定の説明は、実施形態を参照して行われ得るが、そのうちのいくつかは添付の図面に図示されている。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを図示しており、したがって、開示は他の同等の効果的な実施形態を認めることができるので、その範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、コーティング層が中に形成された少なくとも1つのチャンバ部品を有するプラズマリアクタの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能である場合、図面に共通する同一の要素を示すために、同一の参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴は、さらなる言及を行うことなく、他の実施形態に有益に組み込むことができると考えられる。しかし、添付の図面は本開示の例示的な実施形態を図示しているだけであり、したがって、開示は他の同等の効果的な実施形態を認めることができるので、その範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【0011】
開示の実施形態は、処理チャンバ内でプラズマに曝される表面などの、処理チャンバ表面および/または部品上に酸化セリウムを含有する保護コーティングを製造あるいは形成する方法を提供する。保護コーティングは、プラズマチャンバ内で使用される伝統的コーティングに対して、強化された化学的またはプラズマ耐性などの性状を改善した。いくつかの実施例では、中間酸化物フィルムは最初に、チャンバ表面または部品上に堆積され、その後、酸化セリウム層が原子層堆積(ALD)プロセス中に中間酸化物フィルム上に堆積される。ALDプロセスは、他の堆積プロセスより濃くより等角のフィルムを平面または非平面表面上に提供する。特に、比較的高いアスペクト比特徴を有する表面は、他の伝統的な堆積プロセス上のALDによって保護コーティングで容易により等角的にコーティングされる。保護コーティングは、同じまたは様々な組成の1つまたは多数の層またはフィルムである、またはこれを含むことができる。
【0012】
保護コーティングは、プラズマが内側表面および/または部品に曝される処理チャンバ内で使用することができる。プラズマは、処理チャンバ内で、および処理の外部または遠隔で生成し、その後、処理チャンバ内に案内することができる。いくつかの実施例では、保護コーティングは、処理チャンバ内の内側表面および/または部品上に使用、堆積あるいは形成することができる。その後、保護コーティングを含む表面または部品は、別の処理チャンバ内に移動させ、使用することができる。
【0013】
一般的にハロゲンプラズマに、および部品の表面との反応およびその浸食の点で問題があるフッ素含有プラズマに耐性がある保護コーティングを製造あるいは形成する方法。本明細書に記載した材料および方法から特に利益を得る種類の例示的構成部品は、例としてであり、これに限らないが、ガス分配用シャワーヘッド、処理チャンバ壁および蓋内部表面、処理チャンバライナまたはシールド、静電チャックおよび/または基板支持体表面、および/またはリングおよび支持体部材などのプラズマ処理チャンバ装置を含む。本明細書に記載の種類の保護コーティング組成は、アルミニウム、アルミニウム合金、スチール、ステンレス鋼、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および/または他のタイプの金属、セラミック、またはガラス材料の表面上で有用である。本明細書に記載し論じる保護コーティングの使用は、部品または表面の性能寿命の間に生じる形成される粒子および金属汚染の量を減少させ、部品または表面の寿命も延ばす。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、少なくとも酸化セリウムを含有する保護コーティングは、ALDによって、1つまたは複数のチャンバ表面および/または1つまたは複数のチャンバ部品などの処理チャンバ内に形成されている。いくつかの実施例では、ALDプロセスは、ALDサイクル中にチャンバ表面またはチャンバ部品を、1つまたは複数のセリウム前駆体、パージガス、1つまたは複数の酸化剤、およびパージガスに連続して曝すことを含む。ALDサイクルは繰り返されて、酸化セリウム層を堆積あるいは形成する。
【0015】
セリウム前駆体は、1つまたは複数のセリウムβ-ジケトナート化合物、1つまたは複数のセリウムシクロペンタジエニル化合物、1つまたは複数のセリウムアルコキシド化合物、1つまたは複数のセリウムアミド化合物、1つまたは複数のセリウムアセトアミジネート化合物、それらの付加物、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれらを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施例では、セリウム前駆体は、1つまたは複数のセリウムβ-ジケトナート化合物である、またはこれを含むことができる。セリウムβ-ジケトナート化合物は、セリウム原子、および少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つのβ-ジケトナートリガンドを含み、任意では、1つまたは複数の他のタイプのリガンドを有することができる。1つの例示的β-ジケトナートリガンドは、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオンであり、これは「thd」としても知られている。thdを含む例示的セリウムβ-ジケトナート化合物は、Ce(thd)4、Ce(thd)3、Ce(thd)3(phen)、それらの任意の付加物、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれらを含むことができる。「phen」リガンドはまた、1,10-フェナントロリンとしても知られている。セリウムβ-ジケトナート化合物の完全な化学名のリストは表1を参照のこと。
【0017】
いくつかの実施例では、セリウム前駆体は、1つまたは複数のセリウムシクロペンタジエニル化合物である、またはこれを含むことができる。セリウムシクロペンタジエニル化合物は、セリウム原子、および少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つのシクロペンタジエニルリガンドを含み、任意では、1つまたは複数の他のタイプのリガンドを有することができる。例示的セリウムシクロペンタジエニル化合物は、(Cp)3Ce、(MeCp)3Ce、(EtCp)3Ce、(PrCp)3Ce、(BuCp)3Ce、それらの任意の付加物、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれらを含むことができる。「Cp」としても知られるシクロペンタジエニルリガンドは、置換されない、またはアルキル基およびアルキル基の様々な異性体などの1つ、2つ、またはそれ以上の基と置換することができる。例えば、MeCpリガンドはメチルシクロペンタジエニルであり、EtCpリガンドはエチルシクロペンタジエニルであり、PrCpリガンドはプロピルシクロペンタジエニルであり、プロピル(Pr)は、n-プロピルおよび/またはイソプロピルなどの全ての異性体を含み、BuCpリガンドはブチルシクロペンタジエニルであり、ブチル(Bu)は、n-ブチル、sec-ブチル、および/またはtert-ブチルなどの全ての異性体を含む。セリウムシクロペンタジエニル化合物の完全な化学名のリストは表1を参照のこと。
【0018】
いくつかの実施例では、セリウム前駆体は、1つまたは複数のセリウムアルコキシド化合物である、またはこれらを含むことができる。セリウムアルコキシド化合物は、セリウム原子、および少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つのアルコキシドリガンドを含み、任意では、1つまたは複数の他のタイプのリガンドを有することができる。例示的セリウムアルコキシド化合物は、Ce(mmp)4(セリウムテトラ(1-メトキシ-2-メチル-2-プロパノレート)、Ce(dmap)4(セリウムテトラ(1-(ジメチルアミノ)プロパン-2-オレート))、Ce(dmop)4(セリウムテトラ(2-(4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)プロパン-2-オレート))、それらの付加物、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれらを含むことができる。セリウムアルコキシド化合物の完全な化学名のリストは表1を参照のこと。
【0019】
いくつかの実施例では、セリウム前駆体は、1つまたは複数のセリウムアミド化合物またはセリウムアセトアミジネート化合物である、またはこれらを含むことができる。セリウムアミド化合物およびセリウムアセトアミジネート化合物は、セリウム原子、およびアミド、アミン、および/またはアセトアミジネートなどの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの窒素含有リガンドを含む。セリウムアミド化合物およびセリウムアセトアミジネートはまた、β-ジケトナート、シクロペンタジエニル、アルコキシド、または他のリガンドなどの1つまたは複数の他のタイプのリガンドを有することができる。例示的セリウムアミド化合物は、(hmdsa)
3Ceであり、例示的セリウムアセトアミジネート化合物は(
iPrCp)
2Ce(N-
iPr-amd)であってもよい。「hmdsa」リガンドはまた、ヘキサメチルジシラミドとして知られている。「N-
iPr-amd」リガンドはまた、ジイソプロピルアセトアミジネートとしても知られている。セリウムアミド化合物およびセリウムアセトアミジネート化合物の完全な化学名のリストは表1を参照のこと。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、セリウム前駆体は、1つまたは複数の溶剤である、またはこれを含むことができる。溶剤は、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ピリジン、エチルエーテルまたは他のエーテル、1つまたは複数のアルカン(例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、および/またはオクタン)、1つまたは複数のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、および/またはブタノール)、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれらを含むことができる。
【0021】
ALDプロセス全体を通して、1つまたは複数のセリウム前駆体、1つまたは複数の酸化剤、およびパージおよび/またはキャリアは、処理チャンバ内に連続して案内される。各ALDサイクル中、チャンバ表面および/またはチャンバ部品は、1つまたは複数のセリウム前駆体および1つまたは複数の酸化剤に連続して曝される。酸化剤は、水、酸素(O2)、原子状酸素、オゾン、亜酸化窒素、1つまたは複数の過酸化物(例えば、過酸化水素および/または有機過酸化物)、それらのプラズマ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数である、またはこれらを含むことができる。パージガスおよび/またはキャリアガスは、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、水素(H2)、酸素(O2)、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数である、またはこれらを含むことができる。
【0022】
チャンバ表面またはチャンバ部品は、ALDプロセス中に、約30℃、約50℃、約80℃、約100℃、または約120℃から約150℃、約180℃、約200℃、約250℃、約300℃、約350℃、約400℃、約500℃、またはそれより高い温度に加熱される。例えば、チャンバ表面またはチャンバ部品は、ALDプロセス中に、約30℃から約500℃、約30℃から約400℃、約30℃から約350℃、約30℃から約300℃、約30℃から約250℃、約30℃から約200℃、約30℃から約150℃、約30℃から約100℃、約50℃から約500℃、約50℃から約400℃、約50℃から約350℃、約50℃から約300℃、約50℃から約250℃、約50℃から約200℃、約50℃から約150℃、約50℃から約100℃、約100℃から約500℃、約100℃から約400℃、約100℃から約350℃、約100℃から約300℃、約100℃から約250℃、約100℃から約200℃、約100℃から約150℃、約150℃から約500℃、約150℃から約400℃、約150℃から約350℃、約150℃から約300℃、約150℃から約250℃、または約150℃から約200℃の温度に加熱される。
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、蒸着プロセスはALDプロセスであり、方法は、酸化セリウム層を形成するために、セリウム前駆体および酸化剤にチャンバ表面またはチャンバ部品を連続して曝すことを含む。ALDプロセスの各サイクルは、セリウム前駆体にチャンバ表面またはチャンバ部品の表面を曝すことと、ポンプパージを行うことと、酸化剤にチャンバ表面またはチャンバ部品を曝すことと、酸化セリウム層を形成するためにポンプパージを行うこととを含む。ALDサイクルが、酸化剤にチャンバ表面またはチャンバ部品の表面を曝すことと、ポンプパージを行うことと、セリウム前駆体にチャンバ表面またはチャンバ部品を曝すことと、酸化セリウム層を形成するためにポンプパージを行うこととを含むように、セリウム前駆体および酸化剤の順序は逆にすることができる。
【0024】
いくつかの実施例では、各ALDサイクル中、チャンバ表面またはチャンバ部品は、約0.1秒から約10秒の間セリウム前駆体に、約0.1秒から約10秒の間酸化剤に、および約0.5秒から約30秒の間ポンプパージに曝される。他の実施例では、各ALDサイクル中、チャンバ表面またはチャンバ部品は、約0.5秒から約3秒の間セリウム前駆体に、約0.5秒から約3秒の間酸化剤に、および約1秒から約10秒の間ポンプパージに曝される。
【0025】
各ALDサイクルは、保護コーティングまたは酸化セリウム層を形成するために、2、3、4、5、6、8、約10、約12、または約15回から約18、約20、約25、約30、約40、約50、約65、約80、約100、約120、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約500、約800、約1,000回まで、またはそれより多くの回数繰り返される。例えば、各ALDサイクルは、保護コーティングまたは酸化セリウム層を形成するために、2回から約1,000回、2回から約800回、2回から約500回、2回から約300回、2回から約250回、2回から約200回、2回から約150回、2回から約120回、2回から約100回、2回から約80回、2回から約50回、2回から約30回、2回から約20回、2回から約15回、2回から約10回、2回から約5回、約8回から約1,000回、約8回から約800回、約8回から約500回、約8回から約300回、約8回から約250回、約8回から約200回、約8回から約150回、約8回から約120回、約8回から約100回、約8回から約80回、約8回から約50回、約8回から約30回、約8回から約20回、約8回から約15回、約8回から約10回、約20回から約1,000回、約20回から約800回、約20回から約500回、約20回から約300回、約20回から約250回、約20回から約200回、約20回から約150回、約20回から約120回、約20回から約100回、約20回から約80回、約20回から約50回、約20回から約30回、約50回から約1,000回、約50回から約500回、約50回から約350回、約50回から約300回、約50回から約250回、約50回から約150回、または約50回から約100回繰り返される。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、ALDサイクルは、保護コーティングまたは酸化セリウム層が所定または所望の厚さを有するまで繰り返すことができる。保護コーティングまたは酸化セリウム層は、約0.5nm、約1nm、約2nm、約5nm、約8nm、約10nm、約12nm、約15nm、約18nm、または約20nmから約22nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約50nm、約60nm、約80nm、約100nm、約150nm、約200nm、またはそれより大きい厚さを有することができる。例えば、保護コーティングまたは酸化セリウム層は、約1nmから約200nm、約1nmから約150nm、約1nmから約100nm、約1nmから約80nm、約1nmから約50nm、約1nmから約30nm、約1nmから約20nm、約1nmから約10nm、約1nmから約5nm、約10nmから約200nm、約10nmから約150nm、約10nmから約100nm、約10nmから約80nm、約10nmから約50nm、約10nmから約30nm、約10nmから約20nm、約20nmから約200nm、約20nmから約150nm、約20nmから約100nm、約20nmから約80nm、約20nmから約50nm、約20nmから約30nm、または約20nmから約25nmの厚さを有することができる。
【0027】
保護コーティングまたは酸化セリウム層は、ALDプロセス中に形成あるいは堆積される多数のサブ層を含むことができる。サブ層は、ALDプロセスの各サイクルによって形成、あるいは堆積される。保護コーティングまたは酸化セリウム層は、2、3、4、5、6、8、約10、約12、または約15のサブ層から約18、約20、約25、約30、約40、約50、約65、約80、約100、約120、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約500、約800、約1,000、またはそれより多くののサブ層を含むことができる。例えば、保護コーティングまたは酸化セリウム層は、保護コーティングまたは酸化セリウム層を形成するために、2のサブ層から約1,000のサブ層、2のサブ層から約800のサブ層、2のサブ層から約500のサブ層、2のサブ層から約300のサブ層、2のサブ層から約250のサブ層、2のサブ層から約200のサブ層、2のサブ層から約150のサブ層、2のサブ層から約120のサブ層、2のサブ層から約100のサブ層、2のサブ層から約80のサブ層、2のサブ層から約50のサブ層、2のサブ層から約30のサブ層、2のサブ層から約20のサブ層、2のサブ層から約15のサブ層、2のサブ層から約10のサブ層、2のサブ層から5のサブ層、約8のサブ層から約1,000のサブ層、約8のサブ層から約800のサブ層、約8のサブ層から約500のサブ層、約8のサブ層から約300のサブ層、約8のサブ層から約250のサブ層、約8のサブ層から約200のサブ層、約8のサブ層から約150のサブ層、約8のサブ層から約120のサブ層、約8のサブ層から約100のサブ層、約8のサブ層から約80のサブ層、約8のサブ層から約50のサブ層、約8のサブ層から約30のサブ層、約8のサブ層から約20のサブ層、約8のサブ層から約15のサブ層、約8のサブ層から約10のサブ層、約20のサブ層から約1,000のサブ層、約20のサブ層から約800のサブ層、約20のサブ層から約500のサブ層、約20のサブ層から約300のサブ層、約20のサブ層から約250のサブ層、約20のサブ層から約200のサブ層、約20のサブ層から約150のサブ層、約20のサブ層から約120のサブ層、約20のサブ層から約100のサブ層、約20のサブ層から約80のサブ層、約20のサブ層から約50のサブ層、約20のサブ層から約30のサブ層、約50のサブ層から約1,000のサブ層、約50のサブ層から約500のサブ層、約50のサブ層から約350のサブ層、約50のサブ層から約300のサブ層、約50のサブ層から約250のサブ層、約50のサブ層から約150のサブ層、または約50のサブ層から約100のサブ層を含むことができる。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、チャンバ表面またはチャンバ部品は、その上に配置された中間酸化フィルムを含み、酸化セリウムは中間酸化フィルム上に堆積あるいは形成される。中間層は、酸化セリウムに対して接着および他の利点を提供することができる。中間酸化フィルムは、1つまたは複数の酸化物材料である、またはこれを含むことができる。例示的酸化物材料は、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、それらの合金、それらのドーパント、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれらを含むことができる。
【0029】
図1は、本明細書で記載および論じた1つまたは複数の実施形態による、酸化セリウム層を含む保護コーティングを堆積あるいは形成するために堆積プロセスを行うのに適切な処理チャンバ132の断面図である。いくつかの実施形態では、中間酸化物フィルムは、チャンバ表面またはチャンバ部品上に堆積あるいは形成され、その後、酸化セリウムは中間酸化物フィルム上に堆積あるいは形成される。処理チャンバ132は、熱および/またはプラズマプロセスを行うことができる。例えば、処理チャンバ132を使用して、熱化学気相堆積(CVD)、プラズマ成長CVD(PE-CVD)、熱ALD、プラズマ成長ALD(PE-ALD)、エピタキシー成長/堆積、物理的気相堆積(PVD)、スパッタリングと、プラズマエッチングまたは洗浄、および他のプロセスを行うことができる。インターフェースおよび保護コーティングから利益を得ることができるこれらのチャンバ部品の表面が、以下に記載されている。
【0030】
処理チャンバ132はチャンバ本体151を備えている。チャンバ本体151は、内部容量126を画定する、チャンバリッド125、側壁101、および底部壁122を備えている。基板支持体ペデスタル150は、チャンバ本体151の内部容量126内に設けられている。ペデスタル150は、アルミニウム、セラミック、窒化アルミニウム、および他の適切な材料から製造することができる。1つまたは複数の実施形態では、ペデスタル150は、ペデスタル150に熱損傷を生じさせることなく、プラズマプロセス環境などの高温環境内での使用に適した材料である、窒化アルミニウムなどのセラミック材料によって製造される。ペデスタル150は、リフト機構(図示せず)を使用して、チャンバ本体151内側で垂直方向に移動させることができる。
【0031】
ペデスタル150は、ペデスタル150上に支持された基板190の温度を制御するのに適した埋め込み式ヒータ要素170を備えることができる。1つまたは複数の実施形態では、ペデスタル150は、電流を電力供給装置106からヒータ要素170に加えることによって抵抗加熱することができる。1つまたは複数の実施形態では、ヒータ要素170は、ニッケル鉄クロム合金(例えば、INCOLOY(登録商標)合金)シース管内に封入されたニッケルクロムワイヤで作ることができる。電力供給装置106から供給される電流は、ヒータ要素170によって生成される熱を制御するためにコントローラ110によって調整され、したがって、任意の適切な温度範囲でのフィルム堆積中に実質的に安定した温度に基板190およびペデスタル150を維持する。他の実施形態では、ペデスタルは必要に応じて室温に維持することができる。いくつかの実施形態では、ペデスタル150はまた、必要に応じて室温より低い範囲でペデスタル150を冷却するために、必要に応じて冷却装置(図示せず)を備えることができる。供給された電流は、約50℃から約700℃にペデスタル250の温度を選択的に制御するために調節することができる。
【0032】
熱電対などの温度センサ172は、従来の方法でペデスタル150の温度を監視するために、基板支持体ペデスタル150内に埋め込むことができる。測定した温度は、ヒータ要素170に供給される電力を制御して、所望の温度に基板を維持するために、コントローラ110によって使用される。
【0033】
ペデスタル150は普通、基板190をペデスタル150から持ち上げ、従来の方法でロボット(図示せず)での基板190の交換を容易にするように構成されたそこを通して配置された複数のリフトピン(図示せず)を備える。
【0034】
ペデスタル150は、ペデスタル150上に基板190を保持するための少なくとも1つの電極192を含む。電極192は、従来知られているように、ペデスタル表面に基板190を保持する静電力を発達させるためにチャック電源108によって駆動される。別の方法では、基板190は、クランプ、真空、または重力によってペデスタル150に保持することができる。
【0035】
1つまたは複数の実施形態では、ペデスタル150は、2つのRFバイアス電源184、186として
図1に示す、少なくとも1つのRFバイアス電源に結合された中に埋め込まれた電極192を有するカソードとして構成される。
図1に示した実施例は2つのRFバイアス電源184、186を示すが、RFバイアス電源の数は必要に応じて任意の数であってもよいことに留意されたい。RFバイアス電源184、186は、ペデスタル150内に配置された電極192と、処理チャンバ132のガス分配プレート142またはチャンバリッド125などの別の電極の間で結合される。RFバイアス電源184、186は、処理チャンバ132の処理領域内に配置されたガスから形成されたプラズマ放電を励起および保持する。
【0036】
図1に示す実施形態では、デュアルRFバイアス電源184、186は、マッチング回路104を通してペデスタル150に配置された電極192に結合されている。RFバイアス電源184、186によって生成される信号は、処理チャンバ132内に提供されたガス混合物をイオン化するために単一のフィードを通してペデスタル150にマッチング回路104を通して運ばれ、それによって、堆積または他のプラズマ成長プロセスを行うのに必要なイオンエネルギーを提供する。FRバイアス電源184、186は普通、約50kHzから約200MHzの周波数、および0ワットから約5,000ワットの電力を有するRF信号を生成することが可能である。
【0037】
真空ポンプ102は、チャンバ本体151の底部122に形成されたポートに結合されている。真空ポンプ102は、チャンバ本体151内で所望のガス圧力を維持するために使用される。真空ポンプ102はまた、チャンバ本体151からプロセスの処理後ガスおよび副産物を排出する。
【0038】
処理チャンバ132は、処理チャンバ132のチャンバリッド125を通して結合される1つまたは複数のガスデリバリ通路144を備えている。ガスデリバリ通路144および真空ポンプ102は、特定の汚染を最小限に抑えるために内部容量126内の層状流れを誘導するために、処理チャンバ132の両端部に位置決めされる。
【0039】
ガスデリバリ通路144は、内部容量126内にガス混合物を提供するために、遠隔プラズマ源(RPS)148を通してガスパネル193に結合されている。1つまたは複数の実施形態では、ガスデリバリ通路144を通して供給されるガス混合物はさらに、ガスデリバリ通路144の下に配置されたガス分配プレート142を通してさらにデリバリすることができる。一実施例では、複数の開孔143を有するガス分配プレート142は、ペデスタル150の上でチャンバ本体151のチャンバリッド125に結合されている。ガス分配プレート142の開孔143は、チャンバ本体151内にガスパネル193からのプロセスガスを案内するために利用される。開孔143は、異なるプロセス要求に対する様々なプロセスガスの流れを容易にするために、異なる寸法、数、分布、形状、設計および直径を有することができる。プラズマは、ガス分配プレート142から出るプロセスガス混合物から形成されて、プロセスガスの熱分解を助長して、基板190の表面191上の材料の堆積につながる。
【0040】
ガス分配プレート142および基板支持体ペデスタル150は、内部容量126内に1対の間隔を置いて配置された電極を形成することができる。1つまたは複数のRF源147は、ガス分配プレート142とペデスタル150の間のプラズマの生成を容易にするために、ガス分配プレート142にマッチングネットワーク145を通してバイアス電位を提供する。別の方法では、RF源147およびマッチングネットワーク145は、ガス分配プレート142、基板支持体ペデスタル150に結合する、またはガス分配プレート142および基板支持体ペデスタル150の両方に結合する、またはチャンバ本体151の外部に配置されたアンテナ(図示せず)に結合することができる。1つまたは複数の実施形態では、RF源147は、約30kHzから約13.6MHzの周波数で約10ワットと約3,000ワットの間を提供することができる。別の方法では、RF源147は、内部容量126内でのプラズマの生成を助けるガス分配プレート142にマイクロ波電力を提供するマイクロ波ジェネレータであってもよい。
【0041】
ガスパネル193から供給することができるガスの例としては、1つまたは複数のフッ素含有ガス、1つまたは複数の塩素含有ガス、1つまたは複数の酸素含有ガス、1つまたは複数の水素含有ガス、パージガス、キャリアガス、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。例示的パージガスおよび/またはキャリアガスは、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、水素(H2)、酸素(O2)、またはそれらの任意の組み合わせの1つまたは複数である、またはこれらを含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、遠隔プラズマ源(RPS)148は別の方法では、内部容量126内へガスパネル193から供給されるガスからプラズマを形成するのを助けるために、ガスデリバリ通路144に結合することができる。遠隔プラズマ源148は、処理チャンバ132にガスパネル193によって提供されるガス混合物から形成されるプラズマを提供する。
【0043】
1つまたは複数の実施形態では、処理チャンバ132は、熱ALDおよび/またはPE-ALDプロセスを行うように構成されている。ALDプロセスシステム162は、処理チャンバ132に結合されている。ALDプロセスシステム162は、チャンバリッド125および/またはチャンバ本体151に流体結合された1つ、2つ、3つ、またはそれより多くの源164、166、および168を備えることができる。源164、166、および168は、化学前駆体、キャリアガス、パージガス、および/またはALDプロセスで使用される化合物および/またはガスの他の源を含む。1つまたは複数の実施例では、源164は、1つまたは複数のセリウム前駆体を含み、源166は1つまたは複数の酸化剤または酸素源を含み、源168は1つまたは複数のパージまたはキャリアガスを含む。図示しないが、ALDプロセスシステム162はまた、バルブ、導管、コントローラ、コンピュータシステム、およびALDプロセスを行うために利用される他の構成要素を含むことができる。各源164、166、および168は、チャンバリッド125および/またはチャンバ本体151を介してガス分配プレート142と独立して流体連通している。例えば、
図1に示すように、源164、166、および168は、チャンバリッド125を通して通過し、ガス分配プレート142と独立して流体連通している。
【0044】
コントローラ110は、プロセスシーケンスを制御し、ガスパネル193からのガス流を調整するために利用される中央演算処理装置(CPU)112、メモリ116、および支持体回路114を備えている。CPU112は、産業的設定で使用することができる汎用コンピュータプロセッサの任意の形であってもよい。ソフトウェアルーティンは、ランダムアクセスメモリ、読取専用メモリ、フロッピー、またはハードディスクドライブなどのメモリ116、または他の形のデジタルストレージに記憶することができる。支持体回路114は従来、CPU112に結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力システム、電力供給装置などを含むことができる。コントローラ110と処理チャンバ132の様々な部品の間の双方向性通信は、いくつかが
図1に示された、信号バス118と集合的に呼ばれる多くの信号ケーブルを通して処理される。1つまたは複数の実施形態では、コントローラ110を使用して、RPS148および/またはALDプロセスシステム162を操作する。
【0045】
ガス分配プレート142、またはペデスタル150などの上に記載したチャンバ部品の全ては、表面保護および化学/プラズマ耐性を良くするために、以下に記載した方法によって製造された中間酸化物フィルムと共にコーティング層を有することができることに留意されたい。
【0046】
チャンバ部品(例えば、ベース構造)の表面はしばしば、プラズマおよび/または攻撃性ラジカルに直接接触する、および/またはこれに曝されている。したがって、チャンバ部品がプラズマプロセス内で生成された水素および/またはハロゲンラジカルによって消費されるのを防ぐために、頑強な表面仕上げが必要および望ましい。中間酸化物フィルムによって助けられるベース構造への強い結合を有する保護コーティングなしで、シリカまたはアルミニウムで構成されたベース構造はしばしば、水素および/またはハロゲンラジカルによって攻撃され、したがって、プロセス効率と生成プロセス副産物を減少させる。例えば、ベース構造からのアルミニウム表面は、プラズマプロセス後にフッ化アルミニウムまたは水酸化アルミニウムに転換することができる。合計チャンバランタイムが増加すると、フッ化アルミニウムの表面層がより厚く成長し、その結果、処理チャンバ内で処理される基板を汚すおよび汚染する粒子生成につながる。
【0047】
中間酸化フィルム上に形成された保護コーティング(例えば、酸化セリウム層)は、従来の表面と比較して、もしあっても、実質的により少ない水素/ハロゲンラジカルを消費する相対的に化学不活性および/または高いプラズマ耐性を提供することができる。したがって、保護コーティングで、プラズマ、および/または水素および/またはハロゲンラジカルなどのラジカルに曝されたチャンバ部品の表面をコーティングすることにより、チャンバ性能が改善し、プラズマプロセス中に処理チャンバ内に配置される基板上に形成された高品質フィルムの形成が可能になる。保護コーティングは、処理チャンバ表面上に中間酸化物フィルムによって提供される強いインターフェースコントロールと共に、時間の経過と共に、チャンバ性能の減少を、なくなりはしなくとも、実質的に減らすことができる。加えて、保護コーティングおよび中間酸化物フィルムでチャンバ表面をコーティングすることにより、処理チャンバの内側表面のプラズマ浸食耐性が改善される。
【0048】
本明細書に記載されたベース構造は、チャンバの壁面を含む任意の適切な処理チャンバ部品、例えば、シャワーヘッド、バッフル、ブロッカプレート、および基板支持体などの処理チャンバ内に含まれる任意の部品、および例えば、遠隔プラズマ源システム、ガスデリバリシステム、および真空システムなどのチャンバに結合された任意の部品に使用することができることに留意されたい。中間酸化物フィルムと共に保護コーティングから利益を得ることができる代表的な処理表面は、
図1に示す処理チャンバ132内に図示されている。
【0049】
ベース構造上に形成された中間酸化物フィルムと共に保護コーティングは相対的に頑丈な構造およびインターフェース結合構造を有するので、
図1に示す処理チャンバ132などの処理チャンバ内でチャンバ部品上へこのようなコーティング層および中間酸化物フィルムをコーティングする際、保護コーティングは、プラズマプロセス中に攻撃的プラズマ種の攻撃を受けながら、優れた表面状態を維持することができる。したがって、処理チャンバからのチャンバ壁面、基板支持体、ガス分配プレートまたは他のチャンバ部品による粒子または汚染の生成の可能性が少なくなる。
【0050】
本開示の実施形態を使用して、ALDプロセスによって堆積される酸化セリウムを含有する保護コーティングを製造あるいは形成することができる。保護コーティングは、様々な応用例で使用される処理チャンバの表面、部分、および/または部品上に形成される。改良された保護コーティング表面および部品は、プラズマプロセスで直面するような腐食性環境での使用に適している。様々なプラズマ堆積およびエッチチャンバは、本明細書で開示した教示から利益を得ることができる。他のプロセスタイプからのものを含む他の適切なプラズマリアクタは、開示から利益を得るように適合させることができると考えられる。
【0051】
本開示の実施形態はさらに、以下のパラグラフ1から22のいずれか1つまたは複数に関する。
【0052】
1.原子層堆積(ALD)プロセス中にチャンバ表面またはチャンバ部品上に酸化セリウム層を堆積することを含む、処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法であって、ALDプロセスは、ALDサイクル中にチャンバ表面またはチャンバ部品を、セリウム前駆体、パージガス、酸化剤、およびパージガスに連続して曝すことと、酸化セリウム層を堆積するためにALDサイクルを繰り返すこととを含む、方法。
【0053】
2.ALDプロセス中にチャンバ表面またはチャンバ部品上に酸化セリウム層を堆積することを含む、処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法であって、チャンバ表面またはチャンバ部品は、ALDプロセス中に約50℃から約400℃の温度に加熱され、ALDプロセスは、ALDサイクル中にチャンバ表面またはチャンバ部品を、セリウム前駆体、パージガス、酸化剤、およびパージガスに連続して曝すことであって、セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトナート化合物、セリウムシクロペンタジエニル化合物、セリウムアルコキシド化合物、セリウムアミド化合物、セリウムアセトアミジネート化合物、それらの付加物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、連続して曝すことと、酸化セリウム層を堆積するためにALDサイクルを繰り返すこととを含む、方法。
【0054】
3.処理チャンバ内に保護コーティングを形成する方法であって、チャンバ表面またはチャンバ部品上に中間酸化物フィルムを堆積することと、ALDプロセス中に中間酸化物フィルム上に酸化セリウム層を堆積することとを含み、ALDプロセスは、ALDサイクル中にチャンバ表面またはチャンバ部品を、セリウム前駆体、パージガス、酸化剤、およびパージガスに連続して曝すことと、ALDサイクルを繰り返して、約1nmから約100nmの厚さに酸化セリウム層を堆積することとを含む、方法。
【0055】
4.セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトナート化合物、セリウムシクロペンタジエニル化合物、セリウムアルコキシド化合物、セリウムアミド化合物、セリウムアセトアミジネート化合物、それらの付加物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、パラグラフ1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
5.セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトナート化合物を含む、パラグラフ1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
6.セリウムβ-ジケトナート化合物は、Ce(thd)4、Ce(thd)3、Ce(thd)3(phen)、それらの付加物、またはそれらの任意の組み合わせである、パラグラフ1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
7.セリウム前駆体は、セリウムシクロペンタジエニル化合物を含む、パラグラフ1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
8.セリウムシクロペンタジエニル化合物は、(Cp)3Ce、(MeCp)3Ce、(EtCp)3Ce、(PrCp)3Ce、(BuCp)3Ce、それらの付加物、またはそれらの任意の組み合わせである、パラグラフ1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
9.セリウム前駆体は、セリウムアルコキシド化合物を含む、パラグラフ1から8のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
10.セリウムアルコキシド化合物は、Ce(mmp)4(セリウムテトラ(1-メトキシ-2-メチル-2-プロパノレート))、Ce(dmap)4(セリウムテトラ(1-(ジメチルアミノ)プロパン-2-オレート))、Ce(dmop)4(セリウムテトラ(2-(4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)プロパン-2-オレート))、それらの付加物、またはそれらの任意の組み合わせである、パラグラフ1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
11.セリウム前駆体は、セリウムアミド化合物またはセリウムアセトアミジネート化合物を含む、パラグラフ1から10のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
12.セリウム前駆体は、(hmdsa)3Ceまたは(iPrCp)2Ce(N-iPr-amd)である、パラグラフ1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
13.酸化剤は、水、酸素(O2)、原子状酸素、オゾン、亜酸化窒素、過酸化物、それらのプラズマ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、パラグラフ1から12のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
14.ALDサイクルは、酸化セリウム層が約1nmから約100nmの厚さを有するまで繰り返される、パラグラフ1から13のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
15.チャンバ表面またはチャンバ部品は、ALDプロセス中に約50℃から約400℃の温度に加熱される、パラグラフ1から14のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
16.チャンバ表面またはチャンバ部品は、ALDプロセス中に約100℃から約350℃の温度に加熱される、パラグラフ1から15のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
17.チャンバ表面またはチャンバ部品は、その上に配置された中間酸化物フィルムを含む、パラグラフ1から16のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
18.酸化物セリウムは、中間酸化物フィルム上に堆積されている、パラグラフ1から17のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
19.中間酸化物フィルムは、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、それらの合金、それらのドーパント、またはそれらの任意の組み合わせを含む、パラグラフ1から18のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
20.チャンバ表面および/またはチャンバ部品は、処理チャンバ内にある、パラグラフ1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
21.パラグラフ1から20のいずれか1つに記載の保護コーティングを含む処理チャンバおよび/またはチャンバ部品。
【0073】
22.パラグラフ1から21のいずれか1つに記載の保護コーティング。
【0074】
前述は開示の実施形態を対象としているが、他のおよびさらなる実施形態を、その基本的範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決まる。本内容に矛盾しない範囲で、任意の優先権書類および/またはテスト処置を含む本明細書に記載した全ての文書は、本明細書に参照として組み込まれている。前述の一般的記載および特定の実施形態から明らかなように、本開示の形態を図示および記載しているが、様々な修正を本開示の精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。したがって、本開示はこれに限ることを意図していない。同様に、「備えた(comprising)」という用語は、米国法の目的で「含む(including)」という用語と同義と考えられる。同様に、組成物、要素、または要素の群が、「備えた」という移行句が前にある場合には、組成物、要素、または複数の要素の言及の前に「基本的に~からなる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」、「からなる群から選択した(selected from the group of consisting of)」、または「である(is)」という移行句を伴う同じ組成物または要素の群、およびその逆も同様であることが考えられることを理解されたい。
【0075】
特定の実施形態および特徴が、一式の数字的上限および一式の数字的下限を使用して記載されている。任意の2つの値の組合せ、例えば、任意の上限値との任意の下限値の組合せ、任意の2つの下限値の組合せ、および/または任意の2つの上限値の組合せを含む範囲は、そうでないと記されていない限り考えられることを理解されたい。特定の下限、上限および範囲は、以下の1つまたは複数の特許請求の範囲に現れる。