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特許7453604コアシート、ロータコア、ロータ、電動モータおよび高強度鋼板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】コアシート、ロータコア、ロータ、電動モータおよび高強度鋼板
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/02 20060101AFI20240313BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20240313BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H02K1/02 Z
H02K1/22 Z
H02K15/02 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023549741
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 JP2022035341
(87)【国際公開番号】W WO2023048215
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2021156023
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113664
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 正往
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【弁理士】
【氏名又は名称】井川 浩文
(72)【発明者】
【氏名】濱田 典彦
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-087360(JP,A)
【文献】特開2015-201997(JP,A)
【文献】特開2011-067027(JP,A)
【文献】特開2005-130604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/02
H02K 1/22
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質材と共に溶融されてなる改質部を有するケイ素鋼板からなり
該改質部は、該ケイ素鋼板の表面から裏面まで貫通しており、
該改質部と該ケイ素鋼板の非改質部との境界部に、該非改質部から改質部へ突出した楔部が該ケイ素鋼板の表面側と裏面側にある電動モータ用のコアシート。
【請求項2】
前記改質部は、ロータコアのブリッジ部となる領域の少なくとも一部に設けられる請求項1に記載のコアシート。
【請求項3】
請求項1または2のコアシートが複数積層されてなるロータコア。
【請求項4】
請求項3に記載のロータコアと、
該ロータコアの磁石孔に埋め込まれた永久磁石と、
を備えたロータ。
【請求項5】
請求項4に記載のロータと、
ステータと、
を備える電動モータ。
【請求項6】
改質材と共に溶融されてなる改質部を有するケイ素鋼板からなり
該改質部は、該ケイ素鋼板の表面から裏面まで貫通しており、
該改質部と該ケイ素鋼板の非改質部との境界部に、該非改質部から改質部へ突出した楔部が該ケイ素鋼板の表面側と裏面側にある高強度鋼板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動モータなどに用いるコアシート等に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータのロータコアは、ケイ素鋼板製のコアシートが多数枚積層されて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-130604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コアシートは、磁化特性に優れ、かつ、鉄損が小さい材料が望ましい。このため、一般的に、ケイ素鋼板がコアシートとして利用されている。さらに、高速で回転するロータコアにおいては、当該コアシートの各部位に大きな遠心力が作用する。このためコアシートは、磁化特性に優れ、鉄損が小さく、高引張強度を備えることが望ましい。
【0005】
本明細書では、上記点に鑑み、磁気特性、電気的特性(鉄損等)または機械的特性等に優れるコアシート等を例示的に開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コアシートは、例えば、改質材と共に溶融されてなる改質部(5)を有するケイ素鋼板(2A)と、該改質部と該ケイ素鋼板の非改質部(6)との境界部の一部が該改質部と該非改質部のうち少なくとも一方側に突出した楔部(7)とを備えることが望ましい。
【0007】
これにより、非改質部よりも高強度となり得る改質部が境界部で楔部を介して係合し、非改質部が改質部により補強される。
【0008】
本発明は、コアシートの他、そのコアシートを積層したロータコア、そのロータコアに永久磁石を内包させたロータ、そのロータとそのロータの外周側または内周側に設けられるステータとを備える電動モータ(発電機を含む。)等としても把握される。なお、本明細書でいう「改質材」は、改質前のケイ素鋼板と溶融混合(さらには冷却、固化)されて合金化する元素を含むものであればよい。例えば、改質材は、混合材、単種または複数種の合金材等である。その形態は問わず、粉末状、箔状、ペースト状等のいずれでもよい。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るロータコア及びコアシートの正面図である。
図2】第1実施形態に係るロータコア及びコアシートの一部拡大図である。
図3図2のA部拡大図である。
図4図2のI-I断面図である。
図5図4のB部拡大図である。
図6図2のII-II断面図である。
図7】改質工程終了後のケイ素鋼板の構造を示す図である。
図8】レーザビームの走査方向の一例を示す図である。
図9】平坦化工程の説明図である。
図10】試験結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0013】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示されたロータコア等は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0014】
(第1実施形態)
<1.ロータコアの概要>
ロータコアは、電動モータ等の回転電機の回転子であって、電磁力によりステータ(固定子ともいう。)内で回転する。本実施形態に係るロータコアは、本開示に係る高強度鋼製のコアシートにて構成されている。
【0015】
なお、本実施形態に係るロータコアは、電動車両に用いられる走行用電動モータのロータコアである。そして、本実施形態に係るロータコアは、特に、高速度で回転するロータコアに適用すると有効である。
【0016】
図1に示されるロータコア1は、本開示に係る高強度鋼製のコアシート2が厚み方向に多数枚積層されたものである。厚み方向とは、各コアシート2の板厚方向(図1では、紙面垂直方向)をいう。
【0017】
当該ロータコア1には、永久磁石(図示せず。)が埋め込まれる。このため、各コアシート2には、複数の磁石孔3が設けられている。各磁石孔3は、当該永久磁石が埋め込まれる貫通孔である。なお、各磁石孔3に埋め込まれる永久磁石の種類、及び埋め込み手法は不問である。
【0018】
コアシート2のうち各磁石孔3に隣接する部位には、図1及び図2に示されるように、ブリッジ部4が設けられている。ブリッジ部4は、コアシート2のうち当該ブリッジ部4以外の部位に比べて透磁率が小さい箇所、つまり改質部5を少なくとも有する部位である。
【0019】
<2.コアシートの構造>
図3はブリッジ部4(例えば、図2のA部)を示している。図4図3のI-I断面を示している。図5図4のB部拡大図である。図6図3のII-II断面を示している。以下、図3のI-I断面と平行な方向をブリッジ部4の長手方向という。図3のII-II断面と平行な方向をブリッジ部4の幅方向という。
【0020】
なお、ブリッジ部4の幅方向は、ブリッジ部4を挟んで隣り合う空間を繋ぐ方向である。当該空間とは、磁石孔3又はコアシート2の外方側空間をいう。ブリッジ部4の長手方向は、ブリッジ部4の幅方向と直交する方向である。
【0021】
コアシート2は、ケイ素鋼板2Aを母材とする。当該ケイ素鋼板2Aの一部には、改質部5が設けられている。改質部5は、改質材(1種以上の改質用元素(金属(合金、純金属)、非金属、化合物、混合物等)と共に溶融され、その後に凝固した改質部位である。
【0022】
具体的には、改質部5は、例えば「50Ni50Cr(日本ウェルディングロッド製)」等の粉末を改質材として、レーザビーム又は電子ビーム等のビームが照射されて溶融改質されてなる。改質部5は、他の部位に比べて透磁率が小さい部位(非磁性部、低磁性部)となる。改質部5は、ブリッジ部4の少なくとも一部を構成する。
【0023】
図5に示されるように、ケイ素鋼板2A(本実施形態では、ブリッジ部4)のうち改質部5と非改質部6との境界部8には、楔部7が少なくとも1つ(図5では、2つ)設けられている。各楔部7は、境界部8の一部が改質部5及び非改質部6のうち少なくとも一方側に突出した部位である。以下、2つの楔部7A、7Bを総称する際には、楔部7と記す。
【0024】
本実施形態では、境界部8のうちケイ素鋼板2Aの表面側及び裏面側に楔部7が設けられている。表面側の楔部7A及び裏面側の楔部7Bは、共に境界部8から改質部5側に突出している。なお、表面側とはビームの入射側をいう。裏面側とは表面と反対側をいう。
【0025】
本実施形態に係る楔部7は、ブリッジ部4の長手方向一端側(図4の左端側)及び当該長手方向他端側(図4の右端側)の表面側並びに裏面側のみに設けられ、表面と裏面との中間部位等の他の部位には設けられていない。
【0026】
本実施形態では、ブリッジ部4の幅方向一端側(図6の左端側)及び当該幅方向他端側(図6の右端側)には、境界部8及び楔部7が存在しない。改質部5の幅方向においては、幅方向全域に改質部5が存在する構成となっている(図6参照)。
【0027】
その理由は、後述するように、本実施形態では、改質後、打ち抜き除去加工又は仕上げ打ち抜き工程により磁石孔3及びコアシート2の外縁形状が形成されるからである。
【0028】
つまり、本実施形態では、打ち抜き除去加工時又は仕上げ打ち抜き工程時に、ブリッジ部4の幅方向一端側及び他端側に存在する境界部8及び改質部5の一部が除去されるため、幅方向全域に改質部5が存在する構成となる。
【0029】
なお、図5に示される寸法Lsi1、Lsi2、及び寸法L1、L2に関して、以下の関係が成立することが望ましい。
【0030】
0≦Lsi1/L1≦49・・・関係式1
0≦Lsi2/L2≦49・・・関係式2
寸法L1は、楔部7Aの突出長さをいう。寸法L2は、楔部7Bの突出長さをいう。因みに、楔部7A、7Bは、ブリッジ部4の幅方向において、連続的で、かつ、ブリッジ部4の長手方向に変動する状態で存在し、かつ、その突出長さも同一長さでは無い。このため、上記L1、L2は、楔部7A、7Bそれぞれの平均突出長さを示している。
【0031】
寸法Lsi1、Lsi2は、境界部8からブリッジ部4の長手方向端部までの長さをいう。ここで、磁石孔3の幅方向とは、ブリッジ部4の長手方向と平行な方向である。つまり、ブリッジ部4の長手方向寸法は、磁石孔3の幅方向寸法と一致する。すなわち、ブリッジ部4の長手方向端部とは、磁石孔3の幅方向端部に対応する位置である。
【0032】
なお、寸法Lsi1、Lsi2は、ブリッジ部4の幅方向の部位において異なる。このため、本実施形態では、寸法Lsi1、Lsi2として、ブリッジ部4の幅方向全域の平均値を用いている。
【0033】
本実施形態に係るブリッジ部4は、図4に示されるように、少なくとも楔部7A、7Bを含む改質部5が設けられた部位は、表面及び裏面から陥没した凹状となっている。つまり、凹状部の厚み寸法T1は、他の部位の厚み寸法T2に比べて小さい。
【0034】
このため、コアシート2が積層された場合、隣り合うコアシート2の改質部5は、互いに非接触状態となる。なお、厚み寸法がT1となる範囲、つまり凹状部の外縁は、境界部8からブリッジ部4の長手方向端部側に所定寸法ずれた位置である。
【0035】
<3.コアシート(高強度鋼)の製造方法の一例>
コアシート2(特に、楔部7)の製造は、概ね以下の手順にて実行される。
【0036】
すなわち、コアシート2は、改質材載置工程→改質工程→打ち抜き除去工程→平坦化工程→仕上げ打ち抜き工程の順に従って製造される。
【0037】
改質材載置工程前に母材であるケイ素鋼板を準備する。母材を構成するケイ素鋼板2Aの表面及び裏面には、予め電気絶縁被膜が設けられている。
【0038】
改質材載置工程では、改質部5に相当する部位に改質材が載置される。具体的には、当該改質材載置工程では、擦切り方法にて改質材が載置される。このため、改質材載置工程が実施される時点では、改質部5は未だ形成されていない。
【0039】
改質工程では、少なくとも改質材が載置された部位にレーザビームが照射されて当該部位が溶融される。このとき、溶融した部位、つまり改質部5は、図7に示されるように、母材(ケイ素鋼板2A)の表面及び裏面から膨出した形状となるとともに、非改質部6に比べて透磁率が小さくなる。
【0040】
なお、母材(ケイ素鋼板2A)の表面、つまりレーザビームの入射側は、裏面より温度が上昇し易い。このため、境界部8は、裏面に近づくほど改質部5の範囲が縮小するように、厚み方向に対して傾いた状態となる。
【0041】
レーザビームは、改質部5に相当する部位に加え、図8に示されるように、磁石孔3の一部に相当する部位及びコアシート2の外方側空間に相当する部位、つまり最終的に除去される部位にも照射される。
【0042】
レーザビームは、例えば、ブリッジ部4の長手方向と略平行な方向に高速走査されながら、ブリッジ部4の幅方向と略平行な方向に走査される。このため、レーザビームの照射開始部位、及びレーザビームの照射終了部位は、最終的に除去される。
【0043】
打ち抜き除去工程では、磁石孔3の一部に相当する部位のうち少なくともレーザビームが照射されて溶融された部位がプレス加工等にて除去される。平坦化工程では、図9に示されるように、改質工程で発生した膨出部5A(図7参照)がプレス機にて押圧される。
【0044】
これにより、少なくとも膨出部5Aは、母材の表面及び裏面から陥没した凹状となるとともに、厚み寸法T1が他の部位の厚み寸法T2により小さくなる(図4参照)。このとき、改質部5及び非改質部6それぞれ一部が塑性流動し、境界部8に楔部7が形成される。
【0045】
なお、レーザビームが照射されると、電気絶縁被膜が破壊される。このため、平坦化工程では、少なくともレーザビーム照射された範囲が陥没した形状となるようにプレス加工が施される。そして、仕上げ打ち抜き工程では、磁石孔3の寸法及び形状、並びにコアシート2の外形寸法及び外形状等が整えられる。
【0046】
<4.本実施形態に係るコアシートの特徴>
本実施形態に係るコアシート2、つまり高強度鋼板を用いたコアシート2及びロータコア1では、境界部8の一部が突出した楔部7により、改質部5に比べて引張強度が小さい非改質部6にておいて、断面積の縮小が抑制され得る。このため、非改質部6において、断面積の縮小に伴う応力上昇が抑制されるので、当該高強度鋼板の引張強度が向上し得る。
【0047】
ケイ素鋼板は、磁化特性に優れ、鉄損が小さい。このためコアシート2(高強度鋼板)は、磁化特性に優れ、鉄損が小さいと共に、高い引張強度を発揮し得る。このようなコアシート2を用いることで、高速回転が可能なロータコア1を得ることができ得る。
【0048】
なお、図10に示された表は、本実施形態に係る高強度鋼板の引張強度試験結果を示している。図10に示された表に示されるように、楔部7を備えた実施例は、比較材に比べて引っ張り強さが向上している。比較材とは、改質部を備えてないケイ素鋼のみからなるものである。
【0049】
また、少なくとも楔部7A、7Bを含む改質部5が設けられた部位は、表面及び裏面から陥没した凹状となっている。このため、コアシート2が積層された場合、隣り合うコアシート2の改質部5は、互いに非接触状態となる。したがって、改質時に破壊された電気絶縁被膜を修復することなく、隣り合うコアシート2間の電気絶縁を確保することが可能となる。
【0050】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るコアシートの製造方法では、改質時に破壊された電気絶縁被膜を修復する工程を有していなかった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、平坦化工程後に絶縁被覆膜成形工程を設けてもよい。
【0051】
上述の実施形態に係るコアシートの製造方法では、打ち抜き除去工程及び仕上げ打ち抜き工程を有していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、打ち抜き除去工程を廃止して仕上げ打ち抜き工程のみとしてもよい。
【0052】
上述の実施形態では、平坦化工程において、材料の一部が塑性流動することを利用して境界部8に楔部7を設けた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、その他の手法により楔部7を設けてもよい。
【0053】
上述の実施形態では、表側及び裏面側に楔部7が設けられた構成であった。しかし、楔部の形状及び位置は、上述の実施形態に係る開示に限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、厚み方向中間部において、境界部8から改質部5側又は非改質部6側に突出した楔部を備える高強度鋼板又はコアシートであってもよい。
【0054】
上述の実施形態に係る改質材載置工程では、擦切り方法にて改質材が載置された。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、改質材が混合された液体を塗布して改質材を載置してもよい。
【0055】
上述の実施形態では、表面及び裏面から陥没した凹状となっていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、表面又は裏面のみが陥没した凹状となっていてもよい。なお、平坦化工程後に絶縁被覆膜成形工程を設けた場合には、表面及び裏面を共に凹みが無いフラットな面としてもよい。
【0056】
上述の実施形態は、高強度鋼板がロータコア1のコアシート2に適用されたものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示に係る高強度鋼板は、その他の用途にも適用可能である。
【0057】
上述の実施形態に係る改質工程では、レーザビームが一方の面からのみ照射されたため、境界部8が厚み方向に対して傾いた状態となっていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、両面からレーザビームが照射されて改質されてもよい。
【0058】
上述の実施形態に係る改質部5は、表面から裏面まで貫通した構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、改質部5が裏面まで貫通していない構成であってもよい。
【0059】
上述の実施形態では、改質材と共に母材を溶融して母材の位置を改質した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、楔部7が境界面8にあれば十分であるので、例えば、改質材を載置することなく母材を溶融して膨出部5Aを形成した後、プレス加工にて楔部7を形成してもよい。
【0060】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0061】
2… コアシート 2A…ケイ素鋼板 3… 磁石孔
4… ブリッジ部 5…改質部 5A… 膨出部
6… 非改質部 7…楔部 8… 境界部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10