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特許7453608液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
G02F1/1337 520
G02F1/1337 525
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019106852
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020201335
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 祐太
(72)【発明者】
【氏名】根木 隆之
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0073024(KR,A)
【文献】国際公開第2018/181356(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/074547(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/199052(WO,A1)
【文献】特表2009-512903(JP,A)
【文献】国際公開第2019/202884(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/117082(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/225632(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/220970(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分及び溶媒を含有する液晶配向剤。
(A)成分:下記(A-1)~(A-3)の構造を有する重合体であって、(A-1)の構造を有する部位の導入割合が(A)成分の重合体に対して15~80mol%、(A-2)の構造を有する部位の導入割合が(A)成分の重合体に対して15~50mol%、(A-3)の構造を有する部位の導入割合が(A)成分の重合体に対して5~35mol%であることを特徴とする重合体。
(A-1)イソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する構造。
(A-2)下記式(pa-1)で表される構造。
【化1】

式中、Aは場合によりフッ素、塩素、シアノから選択される基によるか、又は炭素数1~5のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル残基(これは、場合により1個のシアノ基又は1個以上のハロゲン原子で置換されている)で置換されている、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、2,5-チオフェニレン、2,5-フラニレン、1,4-若しくは2,6-ナフチレン又はフェニレンを表し、Rは単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-であり、Rは2価の芳香族基、2価の脂環式基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基であり、Rは単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-であり、Rは炭素数1~40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3~40の1価の有機基であり、Dは、酸素原子、硫黄原子又は-NR-(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~3のアルキルを表す)を表し、X及びYは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素数1~3のアルキル基を表し、aは0~3の整数であり、*は結合位置を表す。
(A-3)オキセタニル基、オキシラニル基、下記式(3)で表される基、下記式(4)で表される基、下記式(5)で表される基及びチイラン基から選択される少なくとも1種の官能基を有する構造。
【化2】
【請求項2】
前記(A-2)が、下記式(b-1-m)で表されるモノマー由来である請求項1に記載の液晶配向剤。
【化3】

式中、Mは第2の重合性基を表し、Mは、単結合、(r+1)価の複素環、置換、又は非置換の炭素数1~10の分岐状アルキル基、又は非置換の炭素数1~10の直鎖状アルキル基、(r+1)価の芳香族基、(r+1)価の脂環式基から選ばれる基であり、それぞれの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていても良く、Sは、単結合、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、2価の芳香族基又は2価の脂環式基を示し、Iは式(pa-1)で表される基であり、rは、1≦r≦3を満たす整数である。
【請求項3】
前記(A-2)が下記式(pa-1-a)で表される光配向性を有する部位である、請求項1又は請求項2に記載の液晶配向剤。
【化3】

式中、Sは、式(b-1-m)と同じ定義であり、Zは酸素原子、または硫黄原子であり、X及びXは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素数1~3のアルキル基であり、Rは単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-であり、Rは2価の芳香族基、2価の脂環式基、又は2価の複素環式基であり、Rは単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-であり、Rは炭素数1~40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3~40の1価の有機基であり、Rは炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、フッ素原子またはシアノ基であり、aは0~3の整数であり、bは0~4の整数である。
【請求項4】
前記(A-1)が、下記式(a-1-m)で表されるモノマー由来である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【化4】

(式中、Maは第1の重合性基を表し、
Mbは、単結合、2価の複素環、3価の複素環、4価の複素環、置換又は非置換の分岐である炭素数1~10のアルキル基、2価の芳香族基、3価の芳香族基、4価の芳香族環、2価の脂環式基、3価の脂環式基、4価の脂環式基、2価の縮合環式基、3価縮合環式基または4価の縮合環式基であり、それぞれの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
Saはスペーサー単位を表し、
Iaはイソシアネート基又はブロック化されたイソシアネート基であり、
cは1から3の整数である)
【請求項5】
前記(A-3)が、下記式(c-1-m)で表されるモノマー由来であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【化5】

式中、Iは、分子内にオキセタニル基、オキシラニル基、上記式(3)で表される基、上記式(4)で表される基及び上記式(5)で表される基及びチイラン基からなる群から選択される1価の有機基であり、Sは、単結合又は2価の連結基を表し、Mは第3の重合性基を表す。
【請求項6】
前記(A)成分の重合体がさらに(A-4)分子内にカルボキシル基、アミノ基及び水酸基及びから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する構造を有することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
前記(A)成分の重合体の重量平均分子量が、2000~1000000であることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜が液晶層と接触していない状態で又は液晶層と接触した状態で前記塗膜に光照射する工程と、を含む液晶配向膜の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤、これにより得られる液晶配向膜、及び得られた液晶配向膜を具備する液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、液晶配向性が良好であり、プレチルト角発現能にも優れ、且つ高い信頼性が得られる液晶配向膜を与えることのできる液晶配向剤および表示品位に優れる液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子において、液晶配向膜は液晶を一定の方向に配向させるという役割を担っている。現在、工業的に使用されている主な液晶配向膜は、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸ともいわれる)、ポリアミック酸エステルや、ポリイミドの溶液からなるポリイミド系の液晶配向剤を、基板に塗布し成膜することで作製される。
また、基板面に対して液晶を平行配向又は傾斜配向させる場合は、成膜した後、更にラビングによる表面延伸処理が行われている。
【0003】
一方、基板に対して垂直に液晶を配向させる場合(垂直配向(VA)方式と呼ばれる)は、長鎖アルキルや環状基又は環状基とアルキル基の組み合わせ(例えば特許文献1参照)、ステロイド骨格(例えば特許文献2参照)などの疎水性基をポリイミドの側鎖に導入した液晶配向膜が用いられている。この場合、基板間に電圧を印加して液晶分子が基板に平行な方向に向かって傾く際に、液晶分子が基板法線方向から基板面内の一方向に向かって傾くようにする必要がある。このための手段として、例えば、基板上に突起を設ける方法、表示用電極にスリットを設ける方法、ラビングにより液晶分子を基板法線方向から基板面内の一方向に向けてわずかに傾けておく(プレチルトさせる)方法、さらには、あらかじめ液晶組成物中に光重合性化合物を添加し、ポリイミド等の垂直配向膜と共に用いて、液晶セルに電圧を印加しながら紫外線を照射することで、液晶をプレチルトさせる方法(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【0004】
近年、VA方式の液晶配向制御における突起やスリットの形成、及びPSA技術に代わるものとして偏光紫外線照射等による異方的光化学反応を利用する方法(光配向法)も提案されている。すなわち、光反応性を有する垂直配向性のポリイミド膜に、偏光紫外線照射し、配向規制能およびプレチルト角発現性を付与することにより、電圧印加時の液晶分子の傾き方向を均一に制御できることが知られている(特許文献4参照)。
【0005】
VA方式の液晶表示素子はコントラストが高い、視野角が広いといった特徴から、TVや車載ディスプレイに使用されている。TV用の液晶表示素子は高輝度を得るために発熱量が大きいバックライトを使用していたり、車載用途で用いられる液晶表示素子、例えば、カーナビゲーションシステムやメーターパネルでは、長時間高温環境下で使用あるいは放置される場合がある。そのような過酷条件において、プレチルト角が徐々に変化した場合、初期の表示特性が得られなくなったり、表示にムラが発生したりなどの問題が起こる。さらに、液晶を駆動させた際の、電圧保持特性や電荷蓄積特性も液晶配向膜の影響をうけ、電圧保持率が低い場合は表示画面のコントラストが低下する、直流電圧に対する電荷の蓄積が大きい場合は表示画面が焼き付くという現象が生じる。特に、透過率を高めるために、垂直から3°以上の傾きといった比較的大きなチルト角を付与することが求められるが、光配向処理によってそのような大きなチルト角を付与しうるとともに、付与されたチルト角を安定に維持しうるような材料がこれまで存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平3-179323号公報
【文献】特開平4-281427号公報
【文献】特許第4504626号公報
【文献】特許第4995267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
筆者らが検討した結果、光配向性基の量を調節するだけでは、87°を超えるチルト角を安定して発生させることはできなかった。本発明は、87°を超えるチルト角を安定して発生させることが可能であり、且つ高い信頼性が得られる液晶配向膜ならびに液晶配向剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、以下の<1>を要旨とする発明を見出した。
<1> 下記(A)成分及び溶媒を含有する液晶配向剤。
(A)成分:下記(A-1)~(A-3)の構造を有する重合体。
(A-1)イソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する構造。
(A-2)下記式(pa-1)で表される構造(以下、「光配向性基」とも称する)。
【化1】

式中、Aは場合によりフッ素、塩素、シアノから選択される基によるか、又は炭素数1~5のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル残基(これは、場合により1個のシアノ基又は1個以上のハロゲン原子で置換されている)で置換されている、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、2,5-チオフェニレン、2,5-フラニレン、1,4-若しくは2,6-ナフチレン又はフェニレンを表し、Rは単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-であり、Rは2価の芳香族基、2価の脂環式基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基であり、Rは単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-であり、Rは炭素数1~40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3~40の1価の有機基であり、Dは、酸素原子、硫黄原子又は-NR-(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~3のアルキルを表す)を表し、aは0~3の整数であり、*は結合位置を表す。
(A-3)オキセタニル基、オキシラニル基、下記式(3)で表される基、下記式(4)で表される基、下記式(5)で表される基及びチイラン基から選択される少なくとも1種の官能基を有する構造(以下、「熱架橋性基」とも称する)。
【化2】
【発明の効果】
【0009】
本発明により、87°を超えるチルト角の付与が可能で、且つ高い信頼性が得られる液晶配向膜ならびに液晶配向剤を提供できる。
また、本発明の方法によって製造された液晶表示素子は優れた表示特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液晶配向剤は、上記(A-1)~(A-3)の構造を有する重合体(以下、「特定重合体」とも称する)及び溶媒を含有する液晶配向剤を含有する。以下、本発明の各構成要件につき詳述する。
<(A)成分:特定重合体>
本発明の特定重合体は下記式(I)で表される。
【化3】

式中、
、S、及びSは、それぞれ独立したスペーサー単位を表し、
は、後述する式(a-1-m)においてする定義と同義であり、
は、前記式(pa-1)で表される基であり、
は、オキセタニル基、オキシラニル基、前記式(3)で表される基、前記式(4)で表される基、前記式(5)で表される基及びチイラン基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する1価の有機基を表す。
M’、M’、M’は、それぞれに後述するM、M、M、に由来する主鎖の構造を表し、M、M、c、rは、後述する式(a-1―m)、式(b-1-m)及び式(c-1-m)においてする定義と同様である。
またx、y、zは特に限定はないが、例えば、x、y、zはそれぞれ独立して、0.01以上、0.89以下の値をとることができる。
【0011】
なお、式(I)は、各側鎖ごとがx、y、zの割合で存在することを意味するものであって、重合体において、各側鎖がブロック化したブロック共重合体を意味するものではない。
【0012】
本発明の液晶配向剤中に含有される特定重合体は、光に対して感度が高いため、低露光量の偏光紫外線照射においても、配向制御能を発現できる。さらに、特定重合体は上記熱架橋性基とアミノ基及び水酸基もしくはカルボキシル基との反応によって、液晶配向剤の焼成時間が短い場合でも特定重合体内での架橋反応が可能となる。これにより、特定重合体の光配向性部位が光反応により異方性を発現した際に、液晶配向膜に異方性が残存(メモリー)しやすくなるため、液晶配向性を高め、且つ液晶のプレチルト角を発現することが可能となる。
【0013】
<<(A-1)イソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する部位>>
本発明の(A)成分中の(A-1)イソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する部位は、下記式(1)であることが好ましい。
また、該部位は、下記式(1m)のモノマー由来であるのがよい。
【0014】
【化4】

式(1)又は(a-1-m)中、Saはスペーサー単位を表し、Saの左の結合子は特定重合体の主鎖に、任意にスペーサーを介して結合することを示し、Iaはイソシアネート基又はブロック化されたイソシアネート基である。
また、式(a-1-m)中、Maは第1の重合性基を表す。該第1の重合性基して、(メタ)アクリレート、フマレート、マレエート、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、スチレン、ビニル、マレイミド、ノルボルネン、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体のラジカル重合性基、及びシロキサンを挙げることができる。好ましくは(メタ)アクリレート、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、スチレン、ビニル、マレイミド、アクリルアミドであるのがよい。
cは1から3の整数であり、好ましくは1または2である。
Mbは、単結合、2価の複素環、3価の複素環、4価の複素環、置換又は非置換の分岐である炭素数1~10のアルキル基、2価の芳香族基、3価の芳香族基、4価の芳香族環、2価の脂環式基、3価の脂環式基、4価の脂環式基、2価の縮合環式基、3価縮合環式基または4価の縮合環式基であり、それぞれの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい。
【0015】
Saは下記式(2)由来であるのがよい。
【化5】
【0016】
の左の結合はMbへの結合を表し、Wの右の結合はIaへの結合を表し、W、W及びWは、それぞれ独立して単結合、二価の複素環、-(CH)n-(式中、nは1~20の整数である。)、-OCH-、-CHO-、―COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCF-又は-C≡C-を表すが、これらの置換基において非隣接のCH基の一つ以上は独立して、-O-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-Si(CH-O-Si(CH―、-NR-、-NR-CO-、-CO-NR-、-NR-CO-O-、-OCO-NR-、-NR-CO-NR-、-CH=CH-、-C≡C-又は-O-CO-O-(式中、Rは独立して水素又は炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)で置換することができる。
及びAは、それぞれ独立して、2価の芳香族基、2価の脂環式基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基であり、それぞれの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていても良い。
【0017】
Iaは、上述したとおり、イソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基である。
ブロック化されたイソシアネート基とは、イソシアネート基(-NCO)が適当な保護基(BL)によりブロック化されたイソシアネート基であり、例えば下記式(5)で表すことができる。
本発明の液晶配向剤において、ブロック化されたイソシアネート基は、液晶配向膜の形成時の加熱焼成により、保護基(ブロック部分)が熱解離して外れて、反応性のイソシアネート基が生じる。生じたイソシアネート基は、液晶配向膜を構成する重合体との間で架橋反応が進行する。また、該イソシアネート基は、分子内にアミノ基およびヒドロキシル基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を2つ以上有する化合物と反応する。
【0018】
【化6】

【0019】
ブロック化されたイソシアネート基は、イソシアネート基を有する化合物に対して適当なブロック剤を作用せしめることにより得ることができる。
ブロック剤として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-エトキシヘキサノール、2-N,N-ジメチルアミノエタノール、2-エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;フェノール、o-ニトロフェノール、p-クロロフェノール、o-、m-又はp-クレゾール等のフェノール類;ε-カプロラクタム等のラクタム類;アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、3-メチルピラゾールなどのピラゾール類;ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類;マロン酸ジエチル等のカルボン酸エステル類;などが挙げられる。好ましくは、エタノール、イソプロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3,5-ジメチルピラゾール、γ-カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシムであるのがよい。
【0020】
以下にBLの好ましい具体的構造として、BL-1~Bl-7を示すがこれに限定されるものではない。なお、破線の結合子は、式(5)のカルボニル炭素との結合箇所を示し、式BL-7のRは炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基(ただし、非隣接のCH基の一つ以上は独立して、酸素原子に置き換えられてもよい)を表す。
【0021】
【化7】
【0022】
Iaとして、以下のIa-1~Ia-8を挙げることができるが、これらに限定されない。式中、破線は上記式(1)のSaへの結合を表し、Rは炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基(ただし、非隣接のCH基の一つ以上は独立して、酸素原子に置き換えられてもよい)を表す。
【0023】
【化8】
【0024】
(A-1)としてイソシアネート基、即ちブロック化されていないイソシアネート基を含有する場合、該イソシアネート基は、分子内にアミノ基及びヒドロキシル基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を2つ以上有する化合物と優れた反応性を示すことから、低温での焼成においても効率良く架橋反応することができる。
【0025】
イソシアネート基とアミノ基やヒドロキシル基との反応温度は50℃から200℃であることが好ましく、より好ましくは80℃~200℃であり、より好ましくは80℃~180℃である。
【0026】
イソシアネート基はアミノ基やヒドロキシル基、特にアミノ基との反応性に優れ、低温でも架橋反応が進行することがあり、液晶配向剤の保存安定性が悪くなることがある。そのため液晶配向剤を長期に保存する場合は、ブロック化されたイソシアネート基を用いる場合がある。
【0027】
ブロック化されたイソシアネート基は、液晶配向膜の形成時の加熱焼成の温度のような高温の状態では、ブロック部分の熱解離が生じてイソシアネート基を介して架橋反応が進行するものである。ブロック化されたイソシアネート基は、液晶配向剤を保存する低温の状態では、イソシアネート基による架橋が進行しないものであることが好ましい。そのような熱反応性を実現するために、ブロックイソシアネート化合物は、ブロック部分の熱解離の温度が液晶配向剤の保存時よりも相当に高いもの、例えば、50℃~230℃であるものが好ましく、60℃~150℃であるものがより好ましい。
【0028】
(A-1)イソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する部位は、上述したように、上記式(a-1-m)で表されるモノマー由来であるのがよい。該式(a-1-m)で表されるモノマーとして、以下のものを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0029】
【化9】
【0030】
(A-1)イソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する部位の導入量は、(A)成分である特定重合体の5~90molであることが好ましく、5~85mol%であることがより好ましく、さらに好ましくは15~80mol%である。
【0031】
<(A-2)光配向性を有する構造>
本発明の液晶配向剤中に含有される特定重合体は、分子内に、好ましくは側鎖に、上記式(pa-1)で表される光配向性を有する構造を有する。
光配向性を有する部位の構造を上記の構造とすることで、熱などの外部ストレスに曝されたとしても、垂直配向制御能を長期間安定に保持できる。また、光に対して感度が高いため、低露光量の偏光紫外線照射においても、配向制御能を発現でき、液晶配向膜の製造工程を簡略化する観点からも好ましい。
【0032】
本発明において、分子内に上記式(pa-1)で表される光配向性を有する部位は、例えば下記式(b-1)で表すことができる。また、該部位は、下記式(b-1-m)で表されるモノマー由来の構造を挙げることができるがこれに限定されない。
【化10】

式中、Iは、下記式(pa-1)で表される1価の有機基である。
【化11】

式中、Aは場合によりフッ素、塩素、シアノから選択される基によるか、又は炭素数1~5のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル残基(これは、場合により1個のシアノ基又は1個以上のハロゲン原子で置換されている)で置換されている、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、2,5-チオフェニレン、2,5-フラニレン、1,4-若しくは2,6-ナフチレン又はフェニレンを表し、Rは単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-であり、Rは2価の芳香族基、2価の脂環式基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基であり、Rは単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-であり、Rは炭素数1~40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3~40の1価の有機基であり、Dは、酸素原子、硫黄原子又は-NR-(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~3のアルキルを表す)を表し、aは0~3の整数であり、*は結合位置を表す。
【0033】
上記式(b-1)又は(b-1-m)中、Sは、スペーサー単位を表し、Sの左の結合子は特定重合体の主鎖に、任意にスペーサーを介して結合することを示す。
は、例えば下記式(Sp)の構造で表すことができる。
【化12】

式(Sp)中、
の左の結合はMへの結合を表し、
の右の結合はIへの結合を表し、
、W及びWは、それぞれ独立して、単結合、二価の複素環、-(CH-(式中、nは1~20を表す)、-OCH-、-CHO-、―COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCF-又は-C≡C-を表すが、これらの置換基において非隣接のCH基の一つ以上は独立して、-O-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-Si(CH-O-Si(CH―、-NR-、-NR-CO-、-CO-NR-、-NR-CO-O-、-OCO-NR-、-NR-CO-NR-、-CH=CH-、-C≡C-又は-O-CO-O-(式中、Rは独立して水素又は炭素原子数1から5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す)で置換することができ、
及びAは、それぞれ独立して、単結合、2価のアルキル基、2価の芳香族基、2価の脂環式基、又は2価の複素環式基から選ばれる基であり、それぞれの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていても良い。
式(b-1-m)中、Mは第2の重合性基を表す。該第2の重合性基として、 (メタ)アクリレート、フマレート、マレエート、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、スチレン、ビニル、マレイミド、ノルボルネン、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体のラジカル重合性基、及びシロキサンを挙げることができる。好ましくは(メタ)アクリレート、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、スチレン、ビニル、マレイミド、アクリルアミドであるのがよい。
【0034】
は、1≦r≦3を満たす整数である。
式(b-1-m)中、Mは、単結合、(r+1)価の複素環、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状アルキル基、(r+1)価の芳香族基、(r+1)価の脂環式基から選ばれる基であり、それぞれの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていても良い。
【0035】
、A2、及びMにおける芳香族基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレンのような炭素数6~18の芳香族炭化水素を挙げることができる。A、A2、及びMにおける脂環式基としては、例えばシクロヘキサン、ビシクロヘキサンのような炭素数6~12の脂環式炭化水素を挙げることができる。A、A2、及びMにおける複素環としては、例えばピリジン、ピペリジン、ピペラジン等の窒素含有複素環を挙げることができる。A、Aにおけるアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状アルキル基等を挙げることができる。
【0036】
良好な垂直配向制御能と安定なプレチルト角を発現し得る観点から、(b-1)の構造として、上記(pa-1)で表される基、又は、下記(pa-1-a)で表される基を挙げることができる。また、該部位は、下記式(pa-1-ma)で表されるモノマー由来の構造を挙げることができるがこれに限定されない。
【化13】

式中、M、M、S及びqは、上述と同じ定義である。
また、Zは酸素原子、または硫黄原子である。
及びXは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素数1~3のアルキル基である。
は単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-である。
は2価の芳香族基、2価の脂環式基、又は2価の複素環式基である。
は単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-である。
は炭素数1~40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3~40の1価の有機基である。
は炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、フッ素原子またはシアノ基、好ましくはメチル基、メトキシ基又はフッ素原子である。
aは0~3の整数であり、bは0~4の整数である。
【0037】
式(pa-1-a)又は(pa-1-ma)中、Sの炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基として、炭素数1~8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であることが好ましく、例えばメチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、t-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基が好ましい。
の2価の芳香族基として、例えば1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレン基等を挙げることができる。
【0038】
式(pa-1-a)又は(pa-1-ma)中、Sの2価の脂環式基として、例えばトランス-1,4-シクロヘキシレン、トランス-トランス-1,4-ビシクロヘキシレン等を挙げることができる。
の2価の複素環式基として、例えば1,4-ピリジレン基、2,5-ピリジレン基、1,4-フラニレン基、1,4-ピペラジン基、1,4-ピペリジン基等を挙げることができる。
は、炭素数1~8のアルキレン基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~6のアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数1~4のアルキレン基であるのがよい。
【0039】
の2価の芳香族基として、例えば1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。
の2価の脂環式基として、例えばトランス1,4-シクロヘキシレン、トランス-トランス-1,4-ビシクロヘキシレン等を挙げることができる。
の2価の複素環式基として、例えば1,4-ピリジレン基、2,5-ピリジレン基、1,4-フラニレン基、1,4-ピペラジン基、1,4-ピペリジン基等を挙げることができる。
は、1,4-フェニレン基、トランス1,4-シクロヘキシレン、トランス-トランス-1,4-ビシクロヘキシレンであるのがよい。
【0040】
の炭素数1~40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、例えば炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を挙げることができ、このアルキル基の水素原子の一部または全部はフッ素原子により置換されていてもよい。かかるアルキル基の例としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ラウリル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、4,4,4-トリフロロブチル基、4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチル、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2-(パーフルオロブチル)エチル基、2-(パーフルオロオクチル)エチル基、2-(パーフルオロデシル)エチル基等を挙げることができる。
の脂環式基を含む炭素数3~40の1価の有機基としては、例えばコレステニル基、コレスタニル基、アダマンチル基、下記式(Alc-1)または(Alc-2)(式中、Rは、それぞれ、水素原子、フッ素原子または炭素数1~20のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基であり、*は結合位置を示す)で表される基等を挙げることができる。
【化14】
【0041】
上記式(pa-1-ma)で表されるモノマーとして、式(paa-1-ma1)~(paa-1-ma18)で表される構造を挙げることができるがこれらに限定されない。なお、式中、「E」は、E体であることを表し、「t」は、シクロヘキシル基がトランス型であることを表す。
【化15】
【0042】
【化16】
【0043】
本発明の重合体に含有させる光反応性の部位は1種類単独で用いてもよく、また2種以上の部位を組合せて用いてもよい。
また、光反応性の部位は、特定重合体((A)成分)の5~50mol%、10~50mol%、又は15~50mol%の割合で含有されることが好ましい。
【0044】
<(A-3)熱架橋性基を有する部位>
本発明の液晶配向剤中に含有される特定重合体は、熱架橋性基を有する部位、即ち、分子内にオキセタニル基(1,2-エポキシ構造)、オキシラニル基(1,3-エポキシ構造)、下記式(3)で表される基、下記式(4)で表される基、下記式(5)で表される基及びチイラン基から選択される少なくとも1種の官能基を有する部位を有する。換言すると、特定重合体は、分子内にオキセタニル基、オキシラニル基、下記式(3)で表される基、下記式(4)で表される基、下記式(5)で表される基及びチイラン基から選択される少なくとも1種の官能基を有する部位を側鎖に有する。
【化17】

上記式(3)~(5)中、*は結合手を示す。
【0045】
上記(A-3)の熱架橋性基を有する部位は、上記極性基であるアミノ基及び水酸基やカルボキシル基と架橋反応を形成でき、液晶配向剤の焼成時間を短縮した場合においても、上記(A-2)の光配向性を有する部位の液晶配向能を安定化させ、プレチルト角発現能に優れる液晶配向膜を得ることを可能にする。
【0046】
本発明において、熱架橋性基を有する部位は、例えば下記式(c-1)で表すことができる。また、該部位は、下記式(c-1-m)で表されるモノマー由来の構造を挙げることができる。
【化18】

式(c-1)又は(c-1-m)中、Iは、分子内にオキセタニル基、オキシラニル基、上記式(3)で表される基、上記式(4)で表される基、上記式(5)で表される基及びチイラン基から選択される1価の有機基である。Sは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0047】
また、式(c-1-m)中、Mは第3の重合性基を表す。該第3の重合性基として、下記式(M-1)~(M-2)、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、マレイミド、ノルボルネン及びその誘導体のラジカル重合性基、シロキサンを挙げることができる。
【化19】

式(M-1)~(M-2)中、Rcは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、*は結合位置を示す。
として好ましくは、式(M-1)~(M-2)、α-メチレン-γ-ブチロラクトンマレイミドであるのがよい。
【0048】
前記式(c-1-m)のSにおける2価の連結基としては、例えば、炭素数1~10(好ましくは1~6)のアルカンジイル基、炭素数6~20(好ましくは6~14)のアリーレン基、(*A)-CONH-R-(*B)基、(*A)-COO-R-(*B)基等が挙げられる。ここで、R及びRは、相互に独立に、単結合、又は炭素数1~12(好ましくは1~6)のアルカンジイル基、炭素数6~20(好ましくは6~14)のアリーレン基、アルキレンオキシアリーレン基を示し、アルカンジイル基の任意の炭素-炭素結合は-O-結合又は-S-結合を有してもよく、(*A)は不飽和結合を有する炭素原子と結合する結合手であることを示し、(*B)はIa1と結合する結合手であることを示す。アルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等を挙げることができる。また、アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等を挙げることができる。アルキレンオキシアリーレン基としては、例えば、エチレンオキシフェニレン基、ヘキシレンオキシフェニレン基、ヘキシレンオキシビフェニル基等を挙げることができる。中でも、Sにおける2価の連結基としては、炭素数1~10(好ましくは1~6)のアルカンジイル基、炭素数6~20(好ましくは6~14)のアリーレン基、(*A)-COO-R-(*B)基が好ましく、Rとしては、炭素数2~6のアルカンジイル基が好ましい。尚、それぞれの基は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていても良い。
【0049】
オキシラニル基を有する式(c-1-m)の具体例としては、例えばアリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2-メチルグリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、α-n-プロピルアクリル酸グリシジル、α-n-ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4-エポキシブチル、メタクリル酸3,4-エポキシブチル、アクリル酸6,7-エポキシヘプチル、メタクリル酸6,7-エポキシヘプチル、α-エチルアクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、メタクリル酸3,4-エポキシシクロへキシルメチル、3-エテニル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,7-オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2-メチルグリシジル、メタクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、メタクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルが、共重合反応性及び液晶配向膜の配向性等の向上の観点から好ましい。
【0050】
オキセタニル基を有する式(c-1-m)の具体例としては、例えば3-(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2-メチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-3-エチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2-トリフルオロメチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2-ペンタフルオロエチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2-フェニルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2,2-ジフルオロオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2,2,4-トリフルオロオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2,2,4,4-テトラフルオロオキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)-2-エチルオキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)-3-エチルオキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)-2-トリフルオロメチルオキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)-2-ペンタフルオロエチルオキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)-2-フェニルオキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)-2,2-ジフルオロオキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)-2,2,4-トリフルオロオキセタン、3-(2-アクリロイルオキシエチル)-2,2,4,4-テトラフルオロオキセタン等のアクリル酸エステル;3-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-メチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-トリフルオロメチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-ペンタフルオロエチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-フェニルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2,2-ジフルオロオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2,2,4-トリフルオロオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2,2,4,4-テトラフルオロオキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2-エチルオキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-3-エチルオキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2-トリフルオロメチルオキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2-ペンタフルオロエチルオキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2-フェニルオキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2,2-ジフルオロオキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2,2,4-トリフルオロオキセタン、3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2,2,4,4-テトラフルオロオキセタン等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0051】
チイラン基を有する式(c-1-m)の具体例としては、下記式(S)で示される化合物、
【化20】

式中、XはO(CH、S(CH、または(CHを示し、nは0から6の整数を示す。Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはビニル基を示す。)、又は2,3-エピチオプロピルアクリレートまたはメタクリレート、及び2-または3―または4-(β-エピチオプロピルチオメチル)スチレン、2-または3―または4-(β-エピチオプロピルオキシメチル)スチレン、2-または3―または4-(β-エピチオプロピルチオ)スチレン、2-または3―または4-(β-エピチオプロピルオキシ)スチレン等を挙げることができる。
【0052】
本発明の重合体に含有させる熱架橋性基を有する部位は1種類単独で用いてもよく、また2種以上の部位を組合せて用いてもよい。
熱架橋性基を有する部位の導入量は、特定重合体((A)成分)の5~45mol%、又は5~40mol%、又は5~35mol%であることが好ましい。
【0053】
<(A-4)分子内に極性基を有する構造>
本発明の液晶配向剤中に含有される特定重合体は、分子内に極性基、即ち、カルボキシ基、アミノ基及び水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する構造を有していてもよい。
この構造は、本発明の特定重合体から得られる液晶配向剤の焼成時間が短縮された場合においても、得られる液晶配向膜の液晶配向性を高めると共に、液晶のプレチルト角を発現することができる。
本発明において、分子内に極性基を有する構造は、例えば下記式(x-1)で表すことができる。また、該構造は、下記式(x-1-m)で表されるモノマー由来の構造を挙げることができるが、これに限定されない。
【化21】

式中、Ix1は、カルボキシ基、水酸基、下記式(x2)の少なくとも一つの部分構造を有する基または1級アミノ基から選ばれる1価の有機基である。但し、下記式(x2)は1級アミノ基以外の基を示し、rは、1又は2である。
【化22】

式中、*は結合手を示す。
また、Sは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0054】
x1において、上記式(x2)の部分構造を有する基としては、例えば5員または6員の窒素含有複素環等を挙げることができ、例えばピペリジン、モルホリン等を挙げることができる。これらのそれぞれの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていても良い。Ix1の好ましい例として、カルボキシ基、および水酸基から選ばれる1価の有機基を挙げることができる。
【0055】
は第4の重合性基を表す。該第4の重合性基として、下記式(M-1)~(M-2)、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、マレイミド、ノルボルネン及びその誘導体のラジカル重合性基、シロキサンを挙げることができる。好ましくは、式(M-1)~(M-2)、及びα-メチレン-γ-ブチロラクトンマレイミドであるのがよい。
【化23】

式中、Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、*は結合手を示す。
【0056】
前記式(x-1-m)のSにおける2価の連結基としては、例えば、炭素数1~10(好ましくは1~6)のアルカンジイル基、炭素数6~20(好ましくは6~14)のアリーレン基、(*A)-CONH-R-(*B)基、(*A)-COO-R-(*B)基等が挙げられる。ここで、R及びRは、相互に独立に、単結合、又は炭素数1~12(好ましくは1~6)のアルカンジイル基、炭素数6~20(好ましくは6~14)のアリーレン基、アルキレンオキシアリーレン基を示し、アルカンジイル基の任意の炭素-炭素結合は-O-結合を有してもよく、(*A)は不飽和結合を有する炭素原子と結合する結合手であることを示し、(*B)はIx1と結合する結合手であることを示す。アルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等を挙げることができる。また、アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等を挙げることができる。アルキレンオキシアリーレン基としては、例えば、エチレンオキシフェニレン基、ヘキシレンオキシフェニレン基、ヘキシレンオキシビフェニル基等を挙げることができる。中でも、Sにおける2価の連結基としては、炭素数1~10(好ましくは1~6)のアルカンジイル基、炭素数6~20(好ましくは6~14)のアリーレン基、(*A)-COO-R-(*B)基が好ましく、Rとしては、炭素数2~6のアルカンジイル基が好ましい。
【0057】
カルボキシ基を有する上記式(x-1-m)の具体例として、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イソクロトン酸、α-エチルアクリル酸、β-エチルアクリル酸、β-プロピルアクリル酸、β-イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸、ビニル安息香酸等を挙げることができる。また、アミノ基を有する上記式(x-1-m)の具体例として、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル等を挙げることができる。水酸基を有する上記式(x-1-m)の具体例として、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、その他、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0058】
上記式(x2)の部分構造を有する基を有する上記式(x-1-m)の具体例としては、メタクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル等を挙げることができる。
【0059】
本発明の重合体に含有させる分子内に極性基を有する部位は1種類単独で用いてもよく、また2種以上の部位を組合せて用いてもよい。
また、分子内に極性基を有する部位を含有する場合の含有量は、特定重合体((A)成分)の5~85mol%、又は5~80mol%、又は5~65mol%の割合で含有されることが好ましい。
【0060】
<溶媒>
本発明の液晶配向剤に用いられる溶媒は、特定重合体を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。
具体例として、水、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドンなどのN- アルキル-2-ピロリドン類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルカプロラクタム、テトラメチル尿素、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのジアルキルイミダゾリジノン類、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトンなどのラクトン類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、イソアミルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどのケトン類、下記式(Sv-1)で表される化合物及び下記式(Sv-2)で表される化合物、酢酸4-メチル-2-ペンチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸2-メチルシクロヘキシル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、ジイソブチルカルビノール、ジイソペンチルエーテル等をあげることができる。
【0061】
【化24】

式(Sv-1)~(Sv-2)中、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~6の1価の炭化水素基であり、Xは酸素原子又は-COO-であり、X2は単結合又はカルボニル基であり、Rは炭素数2~4のアルカンジイル基である。nは1~3の整数である。nが2又は3の場合、複数のRは同じでも異なっていてもよい。Zは炭素数1~6の2価の炭化水素基であり、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~6の1価の炭化水素基である)等が挙げられる。
式(Sv-1)中、Y及びYの炭素数1~6の1価の炭化水素基として、例えば炭素数1~6の1価の鎖状炭化水素基、炭素数1~6の1価の脂環式炭化水素基及び炭素数1~6の1価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。炭素数1~6の1価の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~6のアルキル基等を挙げることができる。Rのアルカンジイル基は直鎖状でも分岐状でもよい。
式(Sv-2)中、Zの炭素数1~6の2価の炭化水素基として、例えば炭素数1~6のアルカンジイル基等を挙げることができる。Y及びYの炭素数1~6の1価の炭化水素基としては、炭素数1~6の1価の鎖状炭化水素基、炭素数1~6の1価の脂環式炭化水素基及び炭素数1~6の1価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。炭素数1~6の1価の鎖状炭化水素基としては炭素数1~6のアルキル基などが挙げられる。
【0062】
式(Sv-1)で表される溶媒の具体例としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコール-i-プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングルコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、3-メトキシブチルアセテート、3-エトキシブチルアセタート等を;
【0063】
(Sv-2)で表される溶媒の具体例としては、例えばグリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、エチル-3-エトキシプロピオネート、メチル-3-メトキシプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチルなどをそれぞれ挙げることができる。
【0064】
前記溶媒としては沸点が80~200℃にあることが好ましい。より好ましくは、80℃~180℃であり、好ましい溶媒として、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラメチル尿素、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、プロパノール、イソプロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、エチルアミルケトン、メチルエチルケトン、イソアミルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、酢酸4-メチル-2-ペンチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸2-メチルシクロヘキシル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、ジイソブチルカルビノール、ジイソペンチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコール-i-プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングルコールモノアセタート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシブチルアセテート、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、エチル-3-エトキシプロピオネート、メチル-3-メトキシプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸エチル、等を挙げることができる。沸点がこの範囲であることは、特に、前記溶媒を含む液晶配向剤が後述するプラスチック基板上に塗布される場合に好ましい。
【0065】
<特定重合体の製造方法>
本発明の液晶配向剤に含有される特定重合体は、上記の(A-1)分子内に(a)イソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基から選ばれる少なくとも1種を有するモノマーと、(b)光配向性を有する部位を有するモノマーと、(c)熱架橋性基を有するモノマーと、所望により(d)局性基を有するモノマーとを重合することによって得られる。また、上記以外のその他のモノマーと共重合することができる。その他のモノマーとしては、例えば工業的に入手できるラジカル重合反応可能なモノマーが挙げられる。
【0066】
その他のモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等、窒素含有芳香族複素環基および重合性基を含有するモノマーが挙げられる。
【0067】
アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルアクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルアクリレート、及び、8-エチル-8-トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
【0068】
メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート等のアルキル基含有メタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3-メトキシブチルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルメタクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、及び、8-エチル-8-トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
【0069】
ビニル化合物としては、例えば、ビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、及び、プロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0070】
スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0071】
窒素含有芳香族複素環は、下記式[N-a]~[N-b](式中、Zは炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)からなる群から選ばれる構造を少なくとも1個、好ましくは1個~4個含有する芳香族環式炭化水素であるのがよい。
【化25】

具体的には、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、1-ピラゾリン環、イソキノリン環、チアジアゾール環、ピリダジン環、トリアジン環、ピラジン環、フェナントロリン環、キノキサリン環、ベンゾチアゾール環、オキサジアゾール環、アクリジン環などを挙げることができる。さらに、これら窒素含有芳香族複素環の炭素原子には、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい。これらのうち、例えば、ピリジン環が挙げられる。
窒素含有芳香族複素環基及び重合性基を有するモノマーとして、例えば、2-(2-ピリジルカルボニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-ピリジルカルボニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ピリジルカルボニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0072】
本発明に用いるその他のモノマーは1種類単独で用いてもよく、また2種以上の部位を組合せて用いてもよい。
上記その他のモノマーの含有量は、特定重合体((A)成分)の0~20mol%、又は1~20mol%、又は5~20mol%含まれることが好ましい。この場合において前記分子内にイソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する部位と光反応性の部位及び熱架橋性を有する部位との合計が、特定重合体(A)成分の80~100mol%、又は80~99mol%、又は80~95mol%であることが好ましい。
【0073】
本発明における特定重合体の製造方法については、特に限定されるものではなく、工業的に扱われている汎用な方法が利用できる。具体的には、モノマーのビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、アニオン重合により製造することができる。これらの中では反応制御のしやすさなどの観点からラジカル重合が特に好ましい。
【0074】
ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤や、可逆的付加-開裂型連鎖移動(RAFT)重合試薬等の公知の化合物を使用することができる。
ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド類(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ジアシルパーオキサイド類(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド類(過酸化水素、tert-ブチルハイドパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド類(ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシケタール類(ジブチルパーオキシシクロヘキサン等)、アルキルパーエステル類(パーオキシネオデカン酸-tert-ブチルエステル、パーオキシピバリン酸-tert-ブチルエステル、パーオキシ 2-エチルシクロヘキサン酸-tert-アミルエステル等)、過硫酸塩類(過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、および2,2′-ジ(2-ヒドロキシエチル)アゾビスイソブチロニトリル等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0075】
ラジカル光重合開始剤は、ラジカル重合を光照射によって開始する化合物であれば特に限定されない。このようなラジカル光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン等、公知の化合物を挙げることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することもできる。
【0076】
ラジカル重合法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈殿重合法、塊状重合法、溶液重合法等を用いることができる。
【0077】
特定重合体の重合反応に用いる溶媒としては、生成した高分子が溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、上記の溶媒、例えば、N-アルキル-2-ピロリドン類、ジアルキルイミダゾリジノン類、ラクトン類、カーボネート類、ケトン類、上記式(Sv-1)で表される化合物及び上記式(Sv-2)で表される化合物、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホキシド等が挙げられる。
これら溶媒は単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、生成する高分子を溶解させない溶媒であっても、上述の溶媒に混合して使用してもよい。
また、ラジカル重合において溶媒中の酸素は重合反応を阻害する原因となるので、有機溶媒は可能な程度に脱気されたものを用いることが好ましい。
【0078】
ラジカル重合の際の重合温度は30~150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは50~100℃の範囲である。また、モノマー濃度は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することができる。
上述のラジカル重合反応においては、ラジカル開始剤の比率は重合させるモノマーに対して0.1~10mol%であることが好ましい。また重合時には各種モノマー成分や溶媒、開始剤などを追加することもできる。
【0079】
[重合体の回収]
上述の反応により得られた反応溶液から、生成した高分子を回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して、それら重合体を沈殿させれば良い。沈殿に用いる貧溶媒としては、メタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、エタノール、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、水等を挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2回~10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素等が挙げられ、これらの中から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
【0080】
本発明の重合体の分子量は、得られる塗膜の強度、塗膜形成時の作業性、および塗膜の均一性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量が、2000~1000000が好ましく、より好ましくは、5000~100000である。
【0081】
[液晶配向剤の調製]
本発明に用いられる液晶配向剤(すなわち、重合体組成物)は、液晶配向膜の形成に好適となるように塗布液として調製されることが好ましい。すなわち、本発明の液晶配向剤は、樹脂被膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液として調製されることが好ましい。ここで、その樹脂成分とは、既に説明した特定重合体((A)成分)である。その際、樹脂成分の含有量は、液晶配向剤全体に対して0.5~20質量%が好ましく、より好ましくは1~15質量%、特に好ましくは1~10質量%である。
【0082】
本実施形態の重合体組成物において、前述の樹脂成分は、全てが上述したイソシアネート基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する部位と、光配向性を有する部位と、熱架橋性基を有する部位とを有する重合体であってもよいが、それら以外の他の重合体(以下、「その他の重合体」ともいう)が混合されていてもよい。その際、樹脂成分中におけるその他の重合体の含有量として、(A)成分とその他の重合体の合計100質量部に対し、5~95質量部、又は10~90質量部を挙げることができる。
【0083】
そのような他の重合体は、例えば、ポリ(メタ)アクリレートやポリアミック酸エステルやポリイミド等からなり、本発明の特定重合体が有する(A-1)~(A-3)の部位を有していない重合体等が挙げられる。
【0084】
<他の成分>
本発明の液晶配向剤は、上記特性重合体成分以外の他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、ポリイミド及びその前駆体から選ばれる重合体であって、垂直配向性基及びターシャリーブトキシカルボニル基から選ばれる少なくとも1つの基を有するか、化学的イミド化されているかの少なくとも一方である重合体(以下、(B)成分とも称する)、分子内に2個以上のエポキシ基又はチイラン基 を含有する化合物やその他の架橋性化合物(以下、これらを総称して「架橋剤成分」とも称する)や、液晶配向剤を塗布した際の、膜厚均一性や表面平滑性を向上させる化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物、等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0085】
<(B)成分>
本発明の液晶配向剤は、(B)成分として、ポリイミド及びその前駆体から選ばれる重合体であって、垂直配向性基及びターシャリーブトキシカルボニル基から選ばれる少なくとも1つの基を有するか、化学的イミド化されているかの少なくとも一方である重合体を含有することができる。
【0086】
(B)成分の重合体は、ポリイミド及びその前駆体(以下、ポリイミド成分ともいう)であって、(A)成分である重合体と表面エネルギーが近い成分である。(A)成分のようなアクリル成分は基本的に極性が低く、表面エネルギーが低い。一方、ポリイミド成分は極性が高く、表面エネルギーが高い。しかし、この二成分の表面エネルギーの差異が大きすぎると、うまく相溶せず凝集が発生することにより、凹凸のある膜ができたり、ハジキやムラが発生することによりプロセスマージンが狭くなってしまうといった問題を生じる恐れがある。そこで、ポリイミド成分の極性を低くすることにより、表面エネルギーをアクリル成分よりは高いものの、差異が小さい値に制御することができる。ポリイミド成分の極性を下げる方法として、化学的イミド化をしたのちに(A)成分と混ぜる方法や、側鎖を導入する方法がある。
【0087】
そのような重合体としては、公知のテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸誘導体と公知のジアミンとを重合したのち、化学的イミド化して得られる重合体、側鎖を有するジアミンを用いて得られるポリイミド前駆体、それをイミド化して得られるポリイミド、ターシャリーブトキシカルボニルオキシ基を有するジアミンを用いて得られるポリイミド前駆体、それをイミド化して得られるポリイミドなどが挙げられる。このような側鎖や化学的イミド化により、表面エネルギーを(A)成分であるアクリルポリマーに近づけることができるため、液晶配向剤を塗布、焼成して硬化膜を形成した際に、凝集等が起こらず、平坦な硬化膜を与えることができる。側鎖を有するジアミンとしては、国際特許出願公開WO2016/125870の段落[0023]~[0039]に記載の、式(2)、(3)、(4)、(5)で表されるジアミン及びその具体例としての式[A-1]~[A-32]で表されるジアミンが挙げられる。ターシャリーブトキシカルボニルオキシ基を有するジアミンとしては、国際特許出願公開WO2017/119461の段落[0011]~[0034]に記載の式[A-1]、[A-2]、[A-3]の構造を有するジアミンおよびその具体例として例示されているジアミンが挙げられる。
【0088】
本発明の液晶配向剤における(A)成分である重合体と(B)成分である重合体との含有比率は、(A)成分:(B)成分の質量比が5:95~95:5であることが好ましく、10:90~90:10であることがさらに好ましく、20:80~60:40であることがさらに好ましい。
【0089】
<架橋剤成分>
1.分子内に2個以上のエポキシ基又はチイラン基を含有する化合物
このような構成にすることで、上記特定重合体に含まれる(A-1)の極性基であるアミノ基及び水酸基やカルボキシ基及び水酸基との架橋反応がより促進され、短時間の焼成においてもプレチルト角発現能に優れる液晶配向膜を得ることが可能となる。分子内に2個以上のエポキシ基又はチイラン基を有する化合物としては、分子末端にエポキシ基又はチイラン基を2個以上有していれば特に限定されない。分子末端にエポキシ基を2個以上有する化合物としては例えば、分子内に少なくとも1個以上の3級窒素原子を有するエポキシ化合物や、分子内に窒素化合物を有さないエポキシ化合物等を挙げることができる。
【0090】
分子内に少なくとも1個以上の3級窒素原子を有するエポキシ化合物としては、具体的には下記式(Ep-1)~(Ep-11)で表される構造のエポキシ化合物や脂肪族ジアミンを母核とする窒素原子を含有するエポキシ化合物等が挙げられる。
【化26】
【0091】
【化27】

Xはそれぞれ、単結合または炭素数1~6の脂肪族基、または芳香族基を表し、Yはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、ビニレン基、ビニリデン基、オキシ基、イミノ基、チオ基、スルホニル基のいずれかを表し、R~Rは水素原子または、炭素数1~6の脂肪族基を表し、jは0~4の整数を表す。
【0092】
分子内に少なくとも1個以上の3級窒素原子を有するエポキシ化合物の中でも、3級窒素原子が脂肪族基、又は脂環式基の少なくとも1つと結合している化合物が、焼成時間を短縮できる点で好適である。
【0093】
分子内に少なくとも1個以上の3級窒素原子を有するエポキシ化合物の具体例としては、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N-ジグリシジルシクロヘキシルアミン、N,N-ジグリシジルメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-フェニレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-o-フェニレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-3,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-3,3’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,5-ジアミノナフタレン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-2,7-ジアミノフルオレン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン 、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-p-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,4-シクロヘキサンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-シクロヘキサンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ジアミノエタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ジアミノプロパン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ジアミノペンタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ジアミノヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ジアミノヘプタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ジアミノオクタン等が挙げられる。
【0094】
分子内に窒素化合物を有さないエポキシ化合物の具体例としては、三菱化学社製の商品名「エピコート828」、「エピコート834」、「エピコート1001」、「エピコート1004」、大日本インキ化学工業社製の商品名「エピクロン840」、「エピクロン850」、「エピクロン1050」、「エピクロン2055」、新日鉄住金化学社製の商品名「エポトート128」等のビスフェノールA型エポキシ化合物;
大日本インキ化学工業社製の商品名「エピクロン830S」、三菱化学社製の商品名「エピコート807」、新日鉄住金化学社製の商品名エポトートYDF-170」、「エポトートYDF-175」、「エポトートYDF-2004」等のビスフェノールF型エポキシ化合物;
日本化薬製の商品名「EBPS-200」、旭電化工業社製の商品名「EPX-30」、大日本インキ化学工業社製の商品名「エピクロンEXA1514」等のビスフェノールS型エポキシ化合物;
大阪ガス社製の商品名「BPFG」等のビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、三菱化学社製の商品名「YL-6056」、「YL-6021」、「YX-4000」、「YX-4000H」等のビキシレノール型、或いはビフェニル型エポキシ化合物、又はそれらの混合物;
新日鉄住金化学社製の商品名「エポトートST-2004」、「ST-2007」、「ST-3000」等の水添ビスフェノールA型エポキシ化合物;
三菱化学社製の商品名「エピコート152」、「エピコート154」、ダウケミカル社製の商品名「D.E.N.431」、「D.E.N.438」、大日本インキ化学工業社製の商品名「エピクロンN-690」、「エピクロンN-695」、「エピクロンN-730」、「エピクロンN-770」、「エピクロンN-865」、新日鉄住金化学社製の商品名「エポトートYDCN-701」、「エポトートYDCN-704」、日本化薬社製の商品名「EPPN-201」、「EOCN-1025」、「EOCN-1020」、
「EOCN-104S」、「RE-306」等のノボラック型エポキシ化合物;
三菱化学社製の商品名「エピコートYL-903」、大日本インキ化学工業社製の商品名「エピクロン152」、「エピクロン165」、新日鉄住金化学社製の商品名「エポトートYDB-400」、「エポトートYDB-500」等の臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物;
新日鉄化学社製の商品名「ESN-190」、「ESN-360」、大日本インキ化学工業社製の商品名「HP-4032」、「EXA-4700」、「EXA-4750」等のナフタレン骨格を有するエポキシ化合物;
大日本インキ化学工業社製の商品名「HP-7200」、「HP-7200H」等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物;
三菱化学社製の商品名「YL-933」、日本化薬社製の商品名「EPPN-501」「EPPN-502」等のトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物;
ダイセル化学工業社製の商品名「セロキサイド2011」、旭化成工業社製の商品名「アラルダイトCY175」、「アラルダイトCY179」、新日本理化社製の商品名「HBE-100」等の脂環式エポキシ化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらエポキシ化合物は単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0095】
前記分子末端にチイラン基を2個以上有する化合物としては、例えば上記エポキシ基を有するエポキシ化合物のエポキシ基をチイラン基に変換することで得られる。上記チイラン基に変換する方法としては、硫化剤を含む第1の溶液に、上記エポキシ基を有するエポキシ化合物を含む溶液を連続的又は断続的に添加した後、硫化剤を含む第2の溶液を連続的又は断続的にさらに添加する方法が好ましい。この方法により、上記エポキシ基をチイラン基に変換することができる。
上記硫化剤としては、チオシアン酸塩類、チオ尿素類、ホスフィンサルファイド、ジメチルチオホルムアミド及びN-メチルベンゾチアゾール-2-チオン等が挙げられる。上記チオシアン酸塩類としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム及びチオシアン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記チイラン基を2個以上有する化合物とすることで、架橋反応がより促進されるため、液晶配向剤の焼成時間を短縮することができる点で好適である。
【0096】
分子内に2個以上の成分の使用量は、重合体組成物に含有される樹脂成分100質量部に対して0.1質量部~40質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部~30質量部である。
【0097】
2.その他の架橋性化合物
その他の架橋性化合物としては、国際公開公報WO2016/047771の段落[0109]~[0113]に記載の、イソシアネート基、オキセタン基、若しくはシクロカーボネート基を有する化合物、又は、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物の他、ブロックイソシアネート基を有する化合物等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、例えば、コロネートAPステーブルM、コロネート2503、2515、2507、2513、2555、ミリオネートMS-50(以上、日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートB-830、B-815N、B-820NSU、B-842N、B-846N、B-870N、B-874N、B-882N(以上、三井化学(株)製)等を挙げることができる。
【0098】
これらの架橋剤成分の使用量は、重合体組成物に含有される樹脂成分100質量部に対して0.1質量部~40質量部であることが好ましく、より好ましくは1質量部~30質量部である。
【0099】
[膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物]
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびノ二オン系界面活性剤等が挙げられる。具体的には、例えば、エフトップ(登録商標)301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(登録商標)F171、F173、R-30(DIC社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガード(登録商標)AG710(旭硝子社製)、サーフロン(登録商標)S-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(AGCセイミケミカル社製)等が挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、重合体組成物に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01質量部~2質量部、より好ましくは0.01質量部~1質量部である。
【0100】
[液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物]
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物などが挙げられる。例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N-トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10-トリメトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、10-トリエトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、9-トリメトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、9-トリエトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シラン含有化合物が挙げられる。
【0101】
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、その使用量は、重合体組成物に含有される樹脂成分100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、より好ましくは1質量部~20質量部である。
【0102】
ある実施形態において、光配向性基の光反応性を向上させるために添加剤として、光増感剤を用いることもできる。具体例として、芳香族2-ヒドロキシケトン(ベンゾフェノン)、クマリン、ケトクマリン、カルボニルビスクマリン、アセトフェノン、アントラキノン、キサントン、チオキサントン、およびアセトフェノンケタール等を挙げることが出来る。
【0103】
<液晶配向膜及び液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤は、基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、又は一部の垂直配向用途などでは配向処理無しで液晶配向膜とすることができる。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル及びトリアセチルセルロースなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。
【0104】
基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム-酸化スズ(In-SnO)からなるITO膜などを用いることができる。
【0105】
<塗膜形成工程>
本発明の液晶配向剤の塗布方法は特に限定されないが、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット、ディップコーティング、ロールコーティング、スリットコーティング、スピンコーティングなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。これらの方法により基板上に塗布した後、ホットプレートなどの加熱手段により溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。
【0106】
液晶配向剤を塗布した後の焼成は、40~300℃の任意の温度で行うことができるが、好ましくは40℃~250℃であり、より好ましくは40℃~230℃である。プラスチック基板からなる透明基板を用いる場合は、40~150℃とすることが好ましく、80~140℃とすることがより好ましい。焼成時間は、0.1~15分とすることが好ましく、1~10分とすることがより好ましい。
【0107】
基板上に形成される塗膜の膜厚は、好ましくは5~1,000nmであり、より好ましくは10~500nm又は10~300nmである。この焼成はホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などで行うことができる。
ラビング処理には、レーヨン布、ナイロン布、コットン布などを使用することができる。
【0108】
<光照射工程>
ある実施形態において光照射による配向処理を行ってもよく、例えば上記の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜が液晶層と接触していない状態で又は液晶層と接触した状態で前記塗膜に光照射する工程とを含んでもよい。
【0109】
光照射による配向処理で照射する光としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを挙げることができる。これらのうち、300~400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光は偏光であっても非偏光であってもよい。偏光としては、直線偏光を含む光を使用することが好ましい。
【0110】
光の照射は、用いる光が偏光である場合には、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光を照射する場合には、基板面に対して斜めの方向から行うことが好ましい。
【0111】
光の照射量は、0.1mJ/cm以上1,000mJ/cm未満とすることが好ましく、1~500mJ/cmとすることがより好ましく、2~200mJ/cmとすることがさらに好ましい。
【0112】
本発明の液晶表示素子は通常の方法により作製することができ、その作製方法は特に限定されるものではない。上記一対の基板が、適正なギャップを介して対向し、基板間に挟持される液晶補厚さを均一とする目的で、基板間にスペーサーを配置することが好ましい。このスペーサーとしては、旧来からの散布型スペーサー、感光性のスペーサー形成用組成物から形成されたスペーサーなどの公知のスペーサー材料を使用することができるほか、液晶硬化物からなる層に形成した凹凸をスペーサーとして使用することも可能である。
【0113】
<液晶挟持工程>
基板間に液晶を挟持して液晶セルを構成するには、例えば以下の2つの方法を挙げることができる。第1の方法として、各液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して一対の基板を対向配置し、該一対の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面および適当なシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造する方法を挙げることができる。
【0114】
第2の方法として、液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数カ所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造する方法(ODF(One Drop Fill)法)を挙げることができる。
【0115】
液晶としては、用途に応じて正や負の誘電率異方性を有するフッ素系液晶やシアノ系液晶、また加熱および光照射のうちの少なくとも1種の処理によって重合する液晶化合物または液晶組成物(以下、重合性液晶又は硬化性液晶組成物ともいう)を用いても良い。
【0116】
前記液晶配向剤の塗膜を形成する工程が、ロール・ツー・ロール方式によって行われてもよい。ロール・ツー・ロール方式によって行われると、液晶表示素子の製造工程を簡略化し、もって製造コストを削減することが可能となる。
【0117】
そして、前記液晶セルの外側両面に偏光板を貼付することにより、液晶表示素子を得ることができる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
【0118】
上記のようにして本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜は、液晶配向性が良好であり、プレチルト角発現能にも優れ、且つ高い信頼性が得られる。また、本発明の方法によって製造された液晶表示素子は優れた表示特性を有する。
【実施例
【0119】
実施例で使用した略号は以下の通りである。
<メタクリルモノマー>
(光配向性モノマー)
【化28】
【0120】
MA-1は特許文献(WO-2017115790)に記載の合成法にて合成した。
【0121】
(エポキシ基含有モノマー)
GMA:メタクリル酸グリシジル
【化29】
【0122】
(カルボン酸基含有モノマー)
MAA:メタクリル酸
【化30】
【0123】
(イソシアネート基含有モノマー)
MOI-BP:2-[(3,5-ジメチル-1-ピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート
【化31】
【0124】
<テトラカルボン酸二無水物モノマー>
A1:下記の式[A1]で示されるテトラカルボン酸二無水物
A2:下記の式[A2]で示されるテトラカルボン酸二無水物
A3:下記の式[A3]で示されるテトラカルボン酸二無水物
A4:下記の式[A4]で示されるテトラカルボン酸二無水物
A5:下記の式[A5]で示されるテトラカルボン酸二無水物
A6:下記の式[A6]で示されるテトラカルボン酸二無水物
A7:下記の式[A7]で示されるテトラカルボン酸二無水物
A8:下記の式[A8]で示されるテトラカルボン酸二無水物
【化32】
【0125】
<側鎖ジアミンモノマー>
B1:下記の式[B1]で示される側鎖ジアミンモノマー
B2:下記の式[B2]で示される側鎖ジアミンモノマー
B3:下記の式[B3]で示される側鎖ジアミンモノマー
B4:下記の式[B4]で示される側鎖ジアミンモノマー
B5:下記の式[B5]で示される側鎖ジアミンモノマー
B6:下記の式[B6]で示される側鎖ジアミンモノマー
B7:下記の式[B7]で示される側鎖ジアミンモノマー
B8:下記の式[B8]で示される側鎖ジアミンモノマー
B9:下記の式[B9]で示される側鎖ジアミンモノマー
B10:下記の式[B10]で示される側鎖ジアミンモノマー
B11:下記の式[B11]で示される側鎖側ジアミンモノマー
B12:下記の式[B12]で示される側鎖ジアミンモノマー
B13:下記の式[B13]で示される側鎖ジアミンモノマー
B14:下記の式[B14]で示される側鎖ジアミンモノマー
【化33】
【0126】
<その他ジアミンモノマー>
C1:下記の式[C1]で示されるその他ジアミンモノマー
C2:下記の式[C2]で示されるその他ジアミンモノマー
C3:下記の式[C3]で示されるその他ジアミンモノマー
C4:下記の式[C4]で示されるその他ジアミンモノマー
C5:下記の式[C5]で示されるその他ジアミンモノマー
C6:下記の式[C6]で示されるその他ジアミンモノマー
C7:下記の式[C7]で示されるその他ジアミンモノマー
C8:下記の式[C8]で示されるその他ジアミンモノマー
C9:下記の式[C9]で示されるその他ジアミンモノマー
C10:下記の式[C10]で示されるその他ジアミンモノマー
C11:下記の式[C11]で示されるその他ジアミンモノマー
C12:下記の式[C12]で示されるその他ジアミンモノマー
C13:下記の式[C13]で示されるその他ジアミンモノマー
C14:下記の式[C14]で示されるその他ジアミンモノマー
C15:下記の式[C15]で示されるその他ジアミンモノマー
C16:下記の式[C16]で示されるその他ジアミンモノマー
C17:下記の式[C17]で示されるその他ジアミンモノマー
C18:下記の式[C18]で示されるその他ジアミンモノマー
C19:下記の式[C19]で示されるその他ジアミンモノマー
C20:下記の式[C20]で示されるその他ジアミンモノマー
【化34】
【0127】
(架橋剤成分)
D-1:下記の式[D1]で示される架橋剤成分
D-2:下記の式[D2]で示される架橋剤成分
D-3:下記の式[D3]で示される架橋剤成分
【化35】
【0128】
その他、本実施例で用いる試薬の略号を以下に示す。
(重合開始剤)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
(溶媒)
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
【0129】
(分子量測定)
合成例におけるポリマーの分子量はセンシュー科学社製 常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(SSC-7200、Shodex社製カラム(KD-803、KD-805)を用い以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃、溶離液:DMF(添加剤として、臭化リチウム-水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、THFが10ml/L)、流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量約9000,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0130】
(イミド化率測定)
合成例におけるイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード φ5)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6、0.05%TMS混合品)1.0mlを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム社製NMR測定器(JNW-ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5~10.0ppm付近に現れるアミック酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。なお下記式において、xはアミック酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミック酸のNH基のプロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
イミド化率(%)=(1-α・x/y)×100
【0131】
<メタクリレートポリマー合成例1>
MA1(3.04g、6.00mmol)、GMA(0.71g、5.00mmol)及び、MOI-BP(2.26g、9.00mmol)をNMP(24.7g)中に溶解し、ダイアフラムポンプで脱気を行った後、重合開始剤としてAIBN(0.16g、0.5mmol)を加え、再び脱気を行った。この後、60℃で13時間反応させポリマー溶液を得た。
次いで、このポリマー溶液(4.0g)に、NMP(5.0g)、BCS(6.0g)を加え、室温にて攪拌することにより、メタクリレートポリマー溶液(MP1)を得た。
このポリマーの数平均分子量は33000、重量平均分子量は116000であった。
【0132】
<メタクリレートポリマー合成例2~4>
表1に示す組成にて、ポリマー合成例1と同様の方法を用いて、メタクリルポリマー2~4を合成した。
【表1】
【0133】
<ポリアミック酸ポリマー合成例5>
B1(2.28g、3.00mmol)、C2(1.22g、4.00mmol)、C7(1.45g、3.00mmol)及びA1(2.23g、6.00mmol)をNMP(27.2g)中に溶解し、60℃で5時間反応させたのち、A2(1.00g、2.00mmol)及びA4(0.87g、2.00mmol)とNMP(9.1g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸ポリマー溶液(MP5)を得た。
【0134】
<ポリアミック酸ポリマー合成例6~23>
表2に示す組成にて、ポリマー合成例1と同様の方法を用いて、ポリアミック酸ポリマー6~23を合成した。
【表2】
【0135】
<ポリイミドポリマー合成例24>
ポリアミック酸ポリマー溶液(MP5)(50g)にNMPを加え6.5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(8.8g)及びピリジン(2.7g)を加え、75℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(700ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミドポリマー粉末(E)を得た。このポリイミドポリマーのイミド化率は75%であり、数平均分子量は12400、重量平均分子量は42500であった。
得られたポリイミド粉末(E)(6.0g)にNMP(44.0g)を加え、70℃にて20時間攪拌して溶解させた。この溶液にNMP(10.0g)、BCS(40.0g)を加え、室温で5時間攪拌することによりポリイミドポリマー溶液(MP24)を得た。
【0136】
<ポリイミドポリマー合成例25~42>
ポリマー合成例6~23で得られたポリマー溶液にて、ポリマー合成例24と同様の方法を用いて、ポリイミドポリマー溶液MP25~MP42を合成した。
【0137】
(実施例1)
メタクリレートポリマー合成例1で得られたポリマー溶液(MP1)(10.0g)に、D3(0.04g)を加え、室温にて攪拌することにより、液晶配向処理剤(PM1)を得た。
【0138】
(実施例2)
ポリマー合成例2で得られたポリマー溶液(MP2)にて、実施例1と同様の方法を用いて、液晶配向処理剤(PM2)を得た。
【0139】
(実施例3)
メタクリレートポリマー合成例1で得られたポリマー溶液(MP1)(3.0g)に、ポリイミドポリマー合成例24で得られたポリマー溶液(MP24)(7.0g)を加え、更にD3(0.04g)を加え、室温にて攪拌することにより、液晶配向処理剤(PM3)を得た。
【0140】
(実施例4~43)
表3に示す組成にて、実施例1と同様の方法を用いて、液晶配向処理剤(PM4)~(PM43)を得た。
【表3】
【0141】
(比較例1)
メタクリレートポリマー合成例3で得られたポリマー溶液(MP3)(10.0g)に、D3(0.04g)を加え、室温にて攪拌することにより、液晶配向処理剤(RPM1)を得た。
【0142】
(比較例2)
メタクリレートポリマー合成例4で得られたポリマー溶液にて、比較例1と同様の方法を用いて、液晶配向処理剤(RPM2)を得た。
【0143】
(比較例3)
メタクリレートポリマー合成例3で得られたポリマー溶液(MP3)(3.0g)に、アミック酸ポリマー合成例5で得られたポリマー溶液(MP5)(7.0g)を加え、更にD3(0.04g)を加え、室温にて攪拌することにより、液晶配向処理剤(RPM3)を得た。
【0144】
(比較例4)
メタクリレートポリマー合成例4で得られたポリマー溶液(MP4)にて、比較例3と同様の方法を用いて、液晶配向処理剤(RPM4)を得た。
【0145】
(比較例5)
メタクリレートポリマー合成例3で得られたポリマー溶液(MP3)(3.0g)に、ポリイミドポリマー合成例24で得られたポリマー溶液(MP24)(7.0g)を加え、更にD3(0.04g)を加え、室温にて攪拌することにより、液晶配向処理剤(RPM5)を得た。
【0146】
(比較例6)
メタクリレートポリマー合成例4で得られたポリマー溶液(MP4)にて、比較例5と同様の方法を用いて、液晶配向処理剤(RPM6)を得た。
【0147】
<液晶表示素子の作製>
実施例で得られた液晶配向処理剤(PM1)~(PM43)及び比較例で得られた液晶配向処理剤(RPM1)~(RPM6)を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過した。
得られた溶液をITO膜からなる透明電極付きガラス基板のITO面にスピンコートし、70℃のホットプレートで90秒間乾燥した後、200℃のホットプレートで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
次いで、塗膜面に偏光板を介して、照射強度4.3mW/cm2の313nmの直線偏光紫外線を基板法線方向から40°傾斜した角度から50mJ/cm2照射し、液晶配向膜付き基板を得た。直線偏光紫外線は高圧水銀ランプの紫外光に313nmのバンドパスフィルターを通した後、313nmの偏光板を通すことで調製した。
上記の基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜上に4μmのビーズスペーサーを散布した後、シール剤(三井化学製、XN-1500T)を塗布した。次いで、もう一方の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が180°になるようにして張り合わせた後、120℃で90分シール剤を熱硬化させることで空セルを作製した。この空セルに液晶(メルク社製、MLC-3022)を減圧注入法によって注入し、液晶表示素子を得た。
【0148】
<評価>
(液晶配向性)
上記で得られた液晶表示素子を120℃で1時間の等方相処理を行った後、偏光顕微鏡にてセル観察を行った。光抜けやドメイン発生などの配向不良が無い場合や液晶セルに電圧印加を行った際に均一な液晶の駆動が得られる場合を良好とした。評価結果を表4に示す。
【0149】
(プレチルト角)
上記で作製した液晶表示素子に、液晶セルのプレチルト角の測定は、Axo Metrix社製のAxoScanを用いて、ミューラーマトリックス法により測定した。評価結果を表4に示す。
【表4】
【0150】
表4の結果からわかるように、実施例1~43と比較例1~6との比較から、光反応性モノマー、エポキシ基含有モノマー及び、イソシアネート基含有モノマーを共重合したポリメタクリレート溶液もしくは、そのポリメタクリレート溶液とポリアミック酸、ポリイミド溶液をブレンドした液晶配向膜は、比較例の液晶配向膜と比べて、チルト発現能が高かった。具体的には、実施例1と比較例1、2との比較である。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の液晶配向剤、それから得られる液晶配向膜を用いた液晶表示素子は、車載用等の耐久性が要求される液晶表示素子に、好適に用いることができる。