(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
C08L 65/00 20060101AFI20240313BHJP
C08G 63/20 20060101ALI20240313BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20240313BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20240313BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20240313BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
C08L65/00
C08G63/20
C08L45/00
C08L67/02
G02B1/04
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2019211378
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】吉村 洋志
(72)【発明者】
【氏名】氏原 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】田尻 裕輔
【審査官】前田 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-153317(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230123(WO,A1)
【文献】特開2018-048250(JP,A)
【文献】特開2015-111293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08G
G02B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オレフィン樹脂と、下記式(1)で表されるポリエステル樹脂とを含む光学材料用樹脂組成物
であって、
前記ポリエステル樹脂の含有量が、前記環状オレフィン樹脂100質量部に対して0.01~8質量部である光学材料用樹脂組成物。
【化1】
(前記式(1)中、
B
1は、それぞれ独立に、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
Gは、炭素原子数2~15のアルキレングリコール残基、炭素原子数4~12のオキシアルキレングリコール残基、又はポリオキシアルキレングリコール残基を含む2価の連結基を表す。
Aは、炭素原子数2~12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素原子数6~12のアリールジカルボン酸残基を表す。
mは括弧で括られた繰り返し単位数を表し、mは1以上の整数である。
括弧で括られた繰り返し単位毎にA及びGはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記B
1が、それぞれ独立に、炭素原子数11~17の脂肪族モノカルボン酸残基である請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項3】
前記Aが炭素原子数4~12のアルキレンジカルボン酸残基である請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂が、炭素原子数2~15のアルキレングリコール、炭素原子数4~12のオキシアルキレングリコール、及びポリオキシアルキレン構造を含むグリコールから選択される1以上のグリコールと炭素原子数4~14のアルキレンジカルボン酸及び炭素原子数8~14のアリールジカルボン酸から選択される1以上のジカルボン酸と水添植物油脂肪酸とを反応原料とするポリエステル樹脂である請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項5】
前記水添植物油脂肪酸が、水添ヤシ油脂肪酸、水添パーム核油脂肪酸、水添パーム油脂肪酸、水添オリーブ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸及び水添ナタネ油脂肪酸から選択される1以上である請求項4記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が300~4000の範囲である請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリエステル樹脂の含有量が、前記環状オレフィン樹脂100質量部に対して0.1~5質量部である請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項8】
前記環状オレフィン樹脂が極性基を有する請求項1記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項記載の光学材料用樹脂組成物を含有する光学フィルム。
【請求項10】
偏光板保護用である請求項9記載の光学フィルム。
【請求項11】
タッチパネルセンサー用である請求項9記載の光学フィルム。
【請求項12】
請求項9~11のいずれかに記載の光学フィルムを備える画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、ノートパソコン、テレビ等のディスプレイは種々の機能を有する光学フィルムの積層体となっており、当該光学フィルムには、例えばディスプレイ内に入った外光反射を打ち消す機能を有する円偏光板を構成する偏光板保護フィルムや、静電容量の変化を感知するタッチパネルのベースフィルム等が含まれる。
上記光学フィルムには、従来からセルロースアセテートフィルムが用いられていたが、セルロースアセテートフィルムは吸湿性が高く、高湿下での性能変化や耐久性に課題があった。そこでセルロースアセテートフィルムの代わりに低吸湿性の環状オレフィン樹脂(シクロオレフィンポリマー,COP)フィルムの利用が進んでいる。
【0003】
例えばスマートフォン用の有機ELディスプレイでは、さらなる薄型化のために円偏光板の内側にタッチパネルが設置された構造が出てきている。この構成において高度な外光反射防止を達成するためには、タッチパネルのベースフィルムとして、厚み方向の位相差Rthの小さいフィルムを使用する必要がある。しかしながら、上記環状オレフィン樹脂は、正の固有複屈折を有しており、且つ、フィルム化工程で生じる応力によって厚み方向の位相差Rthを生じやすく、環状オレフィン樹脂フィルムをタッチパネルのベースフィルムとした場合に、斜めから見た際の外光反射の光漏れによる画質低下を生じるという問題があった。
【0004】
光学フィルムの製造工程においては、通常、平滑性の向上や強度向上のために延伸処理が実施される。環状オレフィン樹脂フィルムでは、延伸時に生じる応力によって樹脂鎖が配向し、Rth発現の要因になると考えられる。
延伸時の応力を低下させるために、樹脂のガラス転移温度よりも著しく高温で延伸を行い、低Rth化を目指す手法があるが、その場合、フィルムの物性が悪化するという課題があった。
【0005】
上記のような製造条件の変更のみで光学フィルムの特性改善が困難な場合、添加剤による特性改善を目指す手法がある。環状オレフィン樹脂フィルムの添加剤としては、水蒸気透過を抑制することを目的としてポリエステル系添加剤を使用することが提案がされている(特許文献1)。当該ポリエステル系添加剤を環状オレフィン樹脂フィルムに添加することで、得られるフィルムの低Rth化の傾向はみられるが、Rth低減効果は十分ではなかった。また、例えばタッチパネルのベースフィルムでは、その製造過程で高温処理が必要とされるために高い耐熱性(高いガラス転移温度)が求められるが、多量の添加剤を配合した環状オレフィン樹脂はガラス転移温度が大きく低下してしまい、耐熱性が損なわれてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、透明性及び耐熱性を損なうことなく、環状オレフィン樹脂の面内及び面外位相差の発現を抑制した光学フィルムを製造できる光学材料用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を有するポリエステル樹脂と環状オレフィン樹脂とを含む光学材料用樹脂組成物であれば、透明性及び耐熱性を損なうことなく面内及び面外位相差の発現を抑制した光学フィルムが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、環状オレフィン樹脂と、下記式(1)で表されるポリエステル樹脂とを含む光学材料用樹脂組成物に関するものである。
【0010】
【化1】
(前記式(1)中、
B
1は、それぞれ独立に、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
Gは、炭素原子数2~15のアルキレングリコール残基、炭素原子数4~12のオキシアルキレングリコール残基、又はポリオキシアルキレングリコール残基を含む2価の連結基を表す。
Aは、炭素原子数2~12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素原子数6~12のアリールジカルボン酸残基を表す。
mは括弧で括られた繰り返し単位数を表し、mは0以上の整数である。
括弧で括られた繰り返し単位毎にA及びGはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0011】
本発明により、透明性及び耐熱性を損なうことなく面内及び面外位相差の発現を抑制した光学フィルムを製造できる光学材料用樹脂組成が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
本願明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の一方又は両方をいう。
【0013】
[光学材料用樹脂組成物]
本発明の光学材料用樹脂組成物は、環状オレフィン樹脂とポリエステル樹脂とを含み、前記ポリエステル樹脂が、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を有するポリエステル樹脂である。
本発明の光学材料用樹脂組成物においては、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基をを導入することによってポリエステル樹脂は高い運動性を示すことができ、当該ポリエステル樹脂によって環状オレフィン樹脂の主鎖の配向を効果的に乱すことができる。これにより、延伸後の光学フィルムの緩和が促進され、面内及び面外位相差の発現を抑制した光学フィルムが得られる。
また、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を有するポリエステル樹脂は運動性が高いので、少量添加でも効果を発現することができ、得られる光学フィルムの透明性及び耐熱性を損なうこともない。
【0014】
以下、本発明の光学材料用樹脂組成物が含む各成分について説明する。
(環状オレフィン樹脂(A))
環状オレフィン樹脂(A)は、主鎖が炭素-炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物であって、ノルボルネン、テトラシクロドデセン等の環状炭化水素構造中に少なくとも1つの重合性炭素-炭素不飽和結合を有する化合物(環状オレフィン)に由来する構造単位を有する高分子化合物である。
環状オレフィン樹脂(A)の構造は、特に制限はなく、鎖状、分岐状及び架橋状のいずれでもよいが、好ましくは直鎖状である。
【0015】
環状オレフィン樹脂(A)は、例えば、環状オレフィンの付加(共)重合体又はその水素添加物(1)、環状オレフィンとα-オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物(2)、環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物(3)に分類される。
【0016】
前記環状オレフィンとしては、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン;シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン等の1環の環状オレフィン;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、5-メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5,5-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ブチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクタデシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-メチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ビニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-プロペニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン等の2環の環状オレフィン;
【0017】
トリシクロ[4.3.0.12.5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12.5]デカ-3-エン;トリシクロ[4.4.0.12.5]ウンデカ-3,7-ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12.5]ウンデカ-3,8-ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12.5]ウンデカ-3-エン;5-シクロペンチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-フェニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン等の3環の環状オレフィン;
【0018】
テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン(テトラシクロドデセン)、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン、8-メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン、8-ビニルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン、8-プロペニル-テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン等の4環の環状オレフィン;
【0019】
8-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキシル-テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキセニル-テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン、8-フェニル-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ-3-エン;テトラシクロ[7.4.13.6.01.9.02.7]テトラデカ-4,9,11,13-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[8.4.14.7.01.10.03.8]ペンタデカ-5,10,12,14-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-へキサヒドロアントラセン);ペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.7.09.14]-4-ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]-4-ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02.7.13.6.110.13]-4-ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12.9.14.7.111.17.03.8.012.16]-5-エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12.9.03.8.14.7.012.17.113.16]-14-エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィン等が挙げられる。
これら環状オレフィンは、それぞれ1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0020】
前記環状オレフィンと共重合可能なα-オレフィンの具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-へキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-へキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素原子数2~20のエチレン又はα-オレフィン等が挙げられる。
これらのα-オレフィンは、それぞれ1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのα-オレフィンの使用量は、例えば、前記環状オレフィンに対して、5~200mol%の範囲である。
【0021】
環状オレフィン又は環状オレフィンとα-オレフィンとの重合方法及び得られた重合体の水素添加方法に、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0022】
環状オレフィン樹脂(A)は、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等の極性基を有していてもよい。
環状オレフィン樹脂(A)が極性基を有することにより、アクリル樹脂フィルムやセルロースエステル樹脂フィルム等の他のフィルムと本発明の光学フィルムとが接着層を介して積層した積層フィルムを製造する際に、前記接着層との密着性が良好な光学フィルムが得られる。
【0023】
極性基を有する環状オレフィン樹脂は、例えば、環状オレフィン樹脂(A)を製造した後、極性基を有する不飽和化合物をグラフト重合する、環状オレフィン樹脂(A)を製造する際に極性基を有する不飽和化合物を環状オレフィン樹脂の反応原料に含める等の方法により得ることができる。
【0024】
前記極性基を有する不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0025】
環状オレフィン樹脂(A)に極性基を導入する場合における極性基の導入量は、アクリル樹脂フィルムやセルロースエステル樹脂フィルム等の他のフィルムと本発明の光学フィルムとが接着層を介して積層した積層フィルムを製造する際に、前記接着層との密着性が良好な光学フィルムが得られることから環状オレフィン樹脂(A)1kg当り0.1~1molであることが好ましい。
【0026】
環状オレフィン樹脂(A)は、下記式(A-1)~(A-15)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を含む樹脂であると好ましい。
【0027】
【0028】
【0029】
環状オレフィン樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、強度に優れ、且つ、製造もしやすい光学フィルムが得られることから、5,000~300,000が好ましく、10,000~150,000がより好ましく、15,000~150,000がさらに好ましい。
【0030】
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエージョンクロマトグラフィー(GPC)測定に基づきポリスチレン換算した値である。尚、GPCの測定条件は以下の通りである。
【0031】
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製高速GPC装置「HLC-8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK GURDCOLUMN SuperHZ-L」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM-M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM-M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ-2000」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ-2000」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「EcoSEC Data Analysis バージョン1.07」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
測定試料:試料7.5mgを10mlのテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液をマイクロフィルターでろ過したものを測定試料とした。
試料注入量:20μl
標準試料:前記「HLC-8320GPC」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0032】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-300」
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
東ソー株式会社製「F-288」
【0033】
環状オレフィン樹脂(A)は市販品を用いることができ、当該市販品としては、APL5014DP、APL6011T、APL6013T、APL6015T、APL5514ML、APL6013T(以上、三井化学株式会社製);D5450、D4540、D4531、D4531F、D4532、D4520、F5023、F4520、G7810、RH5200、FX4727(以上、JSR株式会社製);ZEONEX K26R、ZEONEX K22R、ZEONEX E48R、ZEONEX E48R、ZEONEX F52R、ZEONEX F62R、ZEONEX 330R、ZEONEX 480R(以上、日本ゼオン株式会社製)等が挙げられる。
【0034】
(ポリエステル樹脂(B))
ポリエステル樹脂(B)は、下記式(1)で表されるポリエステル樹脂である。
【0035】
【化4】
(前記式(1)中、
B
1は、それぞれ独立に、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
Gは、炭素原子数2~15のアルキレングリコール残基、炭素数原子数4~12のオキシアルキレングリコール残基、又はポリオキシアルキレングリコール残基を含む2価の連結基を表す。
Aは、炭素原子数2~12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素原子数6~12のアリールジカルボン酸残基を表す。
mは括弧で括られた繰り返し単位数を表し、mは0以上の整数である。
括弧で括られた繰り返し単位毎にA及びGはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0036】
2つのB1は、互いに同じでもよいし、異なってもよい。
Aが2つ以上ある場合、2つ以上のAは、互いに同じでもよいし、異なってもよい。
Gが2つ以上ある場合、2つ以上のGは、互いに同じでもよいし、異なってもよい。
【0037】
尚、前記式(1)で表されるポリエステル樹脂において、m=0の場合は下記式(1-1)ジエステル化合物であり、ポリエステル樹脂(B)は当該ジエステル化合物を含む。
【0038】
【化5】
(前記式(1-1)中、B
1及びGは前記式(1)と同じである。)
【0039】
本発明において「カルボン酸残基」とは、カルボン酸が有するカルボキシル基を除いた残りの有機基を示すものである。尚、「カルボン酸残基」の炭素原子数については、カルボキシ基中の炭素原子は含まないものとする。
本発明において「アルコール残基」とは、アルコールから水酸基を除いた残りの有機基を示すものである。
本発明において「グリコール残基」とは、グリコールから水酸基を除いた残りの有機基を示すものである。
【0040】
B1の炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基としては、例えばカプリル酸残基、カプリン酸残基、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、ペンタデシル酸残基、パルチミン酸残基、マルガリン酸残基、ステアリン酸残基、アラキジン酸残基等が挙げられる。
【0041】
B1は、好ましくは炭素数11~17の脂肪族モノカルボン酸残基であり、より好ましくはラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルチミン酸残基又はステアリン酸残基である。
式(1)で表されるポリエステル樹脂の2つのB1のうち、少なくとも1つが炭素数11~17の脂肪族モノカルボン酸残基であることでポリエステル樹脂の運動性を高めることができる。
【0042】
Aの炭素原子数2~12のアルキレンジカルボン酸残基としては、例えば、コハク酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、グルタール酸残基、アジピン酸残基、アゼライン酸残基、セバシン酸残基、ドデカンジカルボン酸残基、シクロヘキサンジカルボン酸残基、ヘキサヒドロフタル酸残基等が挙げられる。
【0043】
Aの炭素原子数6~12のアリールジカルボン酸残基としては、例えば、フタル酸残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸ジメチル残基、2,6-ナフタレンジカルボン酸残基、1,5-ナフタレンジカルボン酸残基、1,4-ナフタレンジカルボン酸残基、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル残基、1,5-ナフタレンジカルボン酸ジメチル残基、1,4-ナフタレンジカルボン酸ジメチル残基等が挙げられる。
【0044】
Aは、好ましくは炭素原子数4~12のアルキレンジカルボン酸残基であり、より好ましくは炭素原子数7~12のアルキレンジカルボン酸残基であり、さらに好ましくは炭素原子数8~12のアルキレンジカルボン酸残基であり、特に好ましくはアゼライン酸残基、セバシン酸残基、ドデカン二酸残基である。
Aを上記とすることでポリエステル樹脂の運動性を高めることができる。
【0045】
Gの炭素原子数2~15のアルキレングリコール残基としては、例えば、エチレングリコール残基、1,2-プロピレングリコール残基、1,3-プロピレングリコール残基、1,2-ブタンジオール残基、1,3-ブタンジオール残基、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)残基、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロ-ルペンタン)残基、2-n-ブチル-2-エチル-1,3プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基、シクロヘキサンジメタノール残基、2,2,4-トリメチル1,3-ペンタンジオール残基、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール残基、2-メチル-1,8-オクタンジオール残基、1,9-ノナンジオール残基、1,10-デカンジオール残基、1,12-ドデカンジオール残基、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン残基(水添ビスフェノールA残基)等が挙げられる。これらのうち1,2-プロピレングリコール残基、1,3-プロピレングリコール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基が好ましい。
【0046】
Gの炭素原子数4~12のオキシアルキレングリコール残基としては、例えば、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、テトラエチレングリコール残基、ジプロピレングリコール残基、トリプロピレングリコール残基等が挙げられる。
【0047】
Gのポリオキシアルキレングリコール残基を含む2価の連結基は、例えば下記式(B-1)で表される構造を含む有機基であり、好ましくは下記式(B-1)で表される有機基であり、より好ましくはポリエチレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、ポリテトラメチレングリコール残基、ポリテトラメチレンエーテルグリコール残基又はポリネオペンチルグリコール残基である。
尚、前記式(B-1)で表されるポリオキシアルキレングリコール残基を構成する炭素の合計数は13以上であると好ましい。
【0048】
【化6】
(前記式(B-1)中、
R
1は炭素原子数1~6のアルキレン基である。
xは繰り返し数であり、xは例えば4以上の整数であり、好ましくは5以上の整数であり、より好ましくは8以上の整数である。xの上限は例えば60である。
複数のR
1はそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0049】
Gのポリオキシアルキレングリコール残基を含む2価の連結基は、2つのポリオキシアルキレン構造がエーテル結合を含む連結基で結合した有機基でもよく、当該有機基としては、例えば下記式(B-2)で表される有機基である。
【0050】
【化7】
(前記式(B-2)中、
R
1はそれぞれ独立に炭素原子数1~6のアルキレン基である。
p及びqはそれぞれ括弧で括られた繰り返し単位数を表し、p及びqはそれぞれ独立に2以上の整数である。
Xはアルキレン基及びアリーレン基からなる群から選択される1種以上が連結した連結基である。
複数のR
1はそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0051】
前記式(B-2)において、Xのアルキレン基は例えば炭素数1~6のアルキレン基であり、Yのアリーレン基は例えばフェニレン基である。
【0052】
前記式(B-2)で表される有機基の具体例としては、ネオペンチルグリコールの水酸基に対してテトラヒドロフランを開環付加させたジオールの残基、ビスフェノールAにエチレンオキサイドを付加したジオールの残基等が挙げられる。
【0053】
【0054】
ポリエステル樹脂(B)が含むポリオキシアルキレングリコール残基を含む2価の連結基のポリオキシアルキレングリコール残基部分の分子量は好ましくは300~2000である。
ポリオキシアルキレングリコール残基の分子量が上記範囲にあることで、ポリエステル樹脂Bは高い運動性によるRth低減効果が期待でき、かつ、環状オレフィン樹脂の透明性を維持しやすい。
【0055】
前記式(1)のmについて、mの上限は、特に限定されないが例えば15である。
ポリエステル樹脂(B)は、通常、前記式(1)中のmが互いに異なるポリエステル樹脂の混合物として本発明の光学材料用樹脂組成物に含まれる。このとき、mの平均値は例えば0~9である。
mの平均値は、ポリエステル(B)の数平均分子量から確認できる。
【0056】
ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量(Mn)は、例えば300~4000であり、好ましくは300~3700であり、より好ましくは1000~3600である。
ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量(Mn)が上記範囲にあることで、環状オレフィン樹脂との相溶性が十分得られ、得られる光学フィルムの透明性を確保することができる。
【0057】
ポリエステル樹脂(B)の酸価としては、環状オレフィン樹脂(A)の分解を起こすことなく、強度が十分な光学フィルムが得られることから5以下が好ましく、2以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂(B)の水酸基価は、フィルム化する際の熱に対する安定性に優れる光学材料用樹脂組成物が得られることから50以下が好ましく、20以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂(B)の酸価及び水酸基価は実施例に記載の方法にて確認する。
【0058】
ポリエステル樹脂(B)の性状は、数平均分子量や組成などによって異なるが、通常、常温にて液体、固体、ペースト状などである。
【0059】
本発明の光学材料用樹脂組成物におけるポリエステル樹脂(B)の含有量は、環状オレフィン樹脂100質量部に対して、例えば0.01~8質量部であり、好ましくは0.05~5質量部であり、より好ましくは0.1~5質量部であり、さらに好ましくは0.5~5質量部であり、特に好ましくは0.7~5質量部である。
ポリエステル樹脂(B)は少量の添加であっても十分な効果を発現することができ、ポリエステル樹脂(B)の含有量が上記範囲にあることで、透明性及び耐熱性を損なうことなく面内及び面外位相差の発現を抑制した光学フィルムが得られる。
【0060】
ポリエステル樹脂(B)は、例えば炭素原子数8~21の脂肪族モノカルボン酸;炭素原子数2~15のアルキレングリコール、炭素数原子数4~12のオキシアルキレングリコール、及びポリオキシアルキレン構造を含むグリコールからなる群から選択される1種以上のグリコール;並びに炭素原子数4~14のアルキレンジカルボン酸及び炭素原子数8~14のアリールジカルボン酸からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸を反応原料として得られるものである。
ポリエステル樹脂(B)が、前記式(1-1)で表されるジエステル化合物である場合は、例えば炭素原子数8~21の脂肪族モノカルボン酸;並びに炭素原子数2~15のアルキレングリコール、炭素数原子数4~12のオキシアルキレングリコール、及びポリオキシアルキレン構造を含むグリコールからなる群から選択される1種以上のグリコールを反応原料として得られるものである。
ここで反応原料とは、ポリエステル樹脂(B)を構成する原料という意味であり、ポリエステル樹脂(B)を構成しない溶媒や触媒を含まない意味である。
【0061】
ポリエステル樹脂(B)の製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、水添植物油脂肪酸を使用してもよい。当該水添植物油脂肪酸としては、水添ヤシ油脂肪酸、水添パーム核油脂肪酸、水添パーム油脂肪酸、水添オリーブ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸、水添ナタネ油脂肪酸等が挙げられる。これらは、それぞれヤシ、パーム核、パーム、オリーブ、ヒマシ、ナタネから得られる油剤を水素添加して得られるものであり、いずれも炭素原子数8~21の脂肪族モノカルボン酸を含む2種以上の長鎖脂肪族モノカルボン酸の混合物である。
尚、ポリエステル樹脂(B)の製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、本発明の効果を損なわない範囲で水素添加をしていない上記植物油脂肪酸を用いてもよい。また、植物油脂肪酸は上記に限定されない。
【0062】
ポリエステル樹脂(B)の製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、上記水添植物油脂肪酸を使用する場合、得られるポリエステル樹脂(B)は、2種以上の前記式(1)で表されるポリエステル樹脂の混合物として得られる。
【0063】
ポリエステル樹脂(B)の製造方法は特に限定されない。ポリエステル樹脂(B)は、公知の方法により製造することができ、例えば下記の製造方法により製造することができる。
【0064】
前記式(1)で表され、式中のmが1以上であるポリエステル樹脂(B)は、例えば、下記に示す方法で得ることができる。
方法1:式(1)で表されるポリエステル樹脂の各残基を構成するモノカルボン酸、ジカルボン酸及びグリコールを一括で仕込み、これらを反応させる方法。
方法2:式(1)で表されるポリエステル樹脂の各残基を構成するジカルボン酸とグリコールとを、水酸基の当量がカルボキシル基の当量よりも多くなる条件下で反応させて水酸基を主鎖の末端に有するポリエステル樹脂を得た後、得られたポリエステル樹脂とB1を構成するモノカルボン酸とを反応させる方法。
【0065】
一般式(1)で表され、式中のmが0であるポリエステル樹脂は、例えば、下記に示す方法で得ることができる。
方法3:式(1)で表されるポリエステル樹脂の各残基を構成するモノカルボン酸とグリコールとを水酸基の当量がカルボキシル基の当量よりも多くなるように仕込み、これらを反応させる方法。
【0066】
ポリエステル樹脂(B)の製造において、前記原料の反応は、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば180~250℃の温度範囲内で10~25時間エステル化反応させるとよい。
尚、エステル化反応の温度、時間などの条件は特に限定されず、適宜設定してよい。
【0067】
前記エステル化触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒;ジブチル錫オキサイド等のスズ系触媒;p-トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸系触媒などが挙げられる。
【0068】
前記エステル化触媒の使用量は、適宜設定すればよいが、通常、原料の全量100質量部に対して、0.001~0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0069】
(その他成分)
本発明の光学材料用樹脂組成物は、環状オレフィン樹脂(A)と、ポリエステル樹脂(B)を含めばよく、これら成分以外のその他成分(任意の樹脂成分及び任意の添加剤)をさらに含んでもよい。
【0070】
前記任意の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、前記式(1)で表されるポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂等が挙げられる。これら樹脂成分を1種単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
【0071】
前記任意の添加剤としては、例えば、無機充填剤、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤等の光安定剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
【0072】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、又は99.9質量%以上が、環状オレフィン樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)並びに溶剤であってもよい。
本発明の光学材料用樹脂組成物は、本質的に環状オレフィン樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)並びに溶剤からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
また、本発明の光学材料用樹脂組成物は、環状オレフィン樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)並びに溶剤のみからなってもよい。
【0073】
本発明の光学材料用樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、環状オレフィン樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)と、必要に応じて上記その他成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて溶融混練する方法により得ることができる。
また、本発明の光学材料用樹脂組成物は、環状オレフィン樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)と、必要に応じて上記その他成分を有機溶剤中に溶解し、溶液として得ることもできる。有機溶剤としては、例えば、後述する溶液流涎法(ソルベントキャスト法)において環状オレフィン樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を含むドープ液を得る際に用いる有機溶剤を用いることができる。
【0074】
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、本発明の光学材料用樹脂組成物を用いて得られる。
本発明の光学フィルムは、高い透明性を有し、面内及び面外位相差の発現を抑制することができる。また、本発明の光学材料用樹脂組成物を用いることで、例えば、製造途中の乾燥工程及びアニール工程の加熱によるフィルム収縮等も防ぐことができ、本発明の光学フィルムは耐熱性にも優れる。
【0075】
本発明の光学フィルムは、面内及び面外位相差の発現を抑制することができる。ここで、面内レタデーション(Re)と厚み方向レタデーション(Rth)は下記式により定義される。
Re =(nx-ny)×d
Rth=((nx+ny)/2)-nz)×d
(式中、nxは、光学フィルム面内において屈折率が最大となる方向をxとした場合のx方向の主屈折率である。
nyは、光学フィルム面内においてx方向に垂直な方向をyとした場合のy方向の主屈折率である。
nzは、光学フィルムの厚み方向の主屈折率である。
dは、光学フィルムの厚み(nm)である。)
【0076】
本発明の光学フィルムは、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、又は99.9質量%以上が、環状オレフィン樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)からなってもよい。
本発明の光学フィルムは、本質的に環状オレフィン樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
また、本発明の光学フィルムは、環状オレフィン樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)のみからなってもよい。
【0077】
本発明の光学フィルムは、光学材料として、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、光反射防止部材、タッチパネルセンサーのベースフィルム等に好適に用いることができる。
【0078】
本発明の光学フィルムの膜厚は、20~120μmの範囲が好ましく、25~100μmの範囲がより好ましく、25~80μmの範囲が特に好ましい。
【0079】
本発明の光学フィルムは、本発明の光学材料用樹脂組成物を用いることにより製造できる。
本発明の光学フィルムは、例えば、本発明の光学材料用樹脂組成物を用いて、押し出し成形、キャスト成形等の方法により未延伸フィルムを製造し、当該未延伸フィルムを延伸することにより得られる。
【0080】
未延伸フィルムの製造方法としては、キャスト成形である溶液流延法(ソルベントキャスト法)が挙げられる。以下、溶液流延法について詳述する。
溶液流延法で得られる未延伸フィルムは、実質的に光学等方性を示す。前記光学等方性を示すフィルムは、例えば液晶ディスプレイ等の光学材料に使用することができ、中でも偏光板用保護フィルムに有用である。また、前記方法によって得られたフィルムは、その表面に凹凸が形成されにくく、表面平滑性に優れる。
【0081】
前記溶液流延法は、例えば、環状オレフィン樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とを溶剤中に溶解させ、得られた樹脂溶液を金属支持体上に流延させる第1工程と、流延させた前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤を留去し乾燥させてフィルムを形成する第2工程、それに続く、金属支持体上に形成されたフィルムを金属支持体から剥離し加熱乾燥させる第3工程からなる。
【0082】
環状オレフィン樹脂(A)及びポリエステル(B)を有機溶剤に混合させ溶解する際に使用できる有機溶剤としては、それらを溶解可能なものであれば特に限定しないが、例えば、クロロホルム、二塩化メチレン、塩化メチレン等の溶媒を挙げることができる。
【0083】
前記樹脂溶液中の環状オレフィン樹脂(A)の濃度は、10~50質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましい。
【0084】
前記第1工程で使用する金属支持体としては、無端ベルト状又はドラム状の金属製のもの等を例示でき、例えば、ステンレス製でその表面が鏡面仕上げの施されたものを使用することができる。
【0085】
前記金属支持体上に樹脂溶液を流延させる際には、得られるフィルムに異物が混入することを防止するために、フィルターで濾過した樹脂溶液を使用することが好ましい。
【0086】
前記第2工程の乾燥方法としては、特に限定しないが、例えば30~50℃の温度範囲の風を前記金属支持体の上面及び/又は下面に当てることで、流延した前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤の50~80質量%を蒸発させ、前記金属支持体上にフィルムを形成させる方法が挙げられる。
【0087】
次いで、前記第3工程は、前記第2工程で形成されたフィルムを金属支持体上から剥離し、前記第2工程よりも高い温度条件下で加熱乾燥させる工程である。前記加熱乾燥方法としては、例えば100~160℃の温度条件にて段階的に温度を上昇させる方法が、良好な寸法安定性を得ることができるため、好ましい。前記温度条件にて加熱乾燥することにより、前記第2工程後のフィルム中に残存する有機溶剤をほぼ完全に除去することができる。
【0088】
尚、前記第1工程~第3工程で、溶媒は回収し再使用することも可能である。
【0089】
得られた未延伸フィルムを延伸することで本発明の光学フィルムが得られる。具体的には、機械的流れ方向に縦一軸延伸、又は機械的流れ方向に直行する方向に横一軸延伸することで本発明の光学フィルムを得ることができる。また、得られた未延伸フィルムをロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、又はチューブラー延伸による2軸延伸法等によって二軸延伸することによっても本発明の光学フィルムを得ることができる。
【0090】
延伸における延伸倍率は少なくともどちらか一方向に0.1%以上1000%以下であることが好ましく、0.2%以上600%以下であることがさらに好ましく、0.3%以上300%以下であることがさらに好ましい。延伸倍率を当該範囲とすることにより、複屈折、耐熱性、強度の観点で好ましい延伸された光学フィルムとすることができる。
【0091】
本発明の光学材料用樹脂組成物から得られる成形品は、光学フィルムに限定されず、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの基材、被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバー等にも用いることができる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明についてさらに具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0093】
合成例1
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四つ口フラスコに、セバシン酸808g、プロピレングリコール380gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、220℃になるまで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸(新日本理化株式会社製)410g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.1gを加え、酸価が2以下になるまで220℃で反応させ、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、粘調液体であるポリエステル樹脂B-1を得た。
【0094】
尚、上記水添ヤシ油脂肪酸は、オクタン酸(炭素数8)を5質量%、カプリン酸(炭素数10)を5質量%、ラウリン酸(炭素数12)を51質量%、ミリスチン酸(炭素数14)を18質量%、パルミチン酸(炭素数16)を10質量%、オクタデカン酸(炭素数18)を11質量%含む脂肪族モノカルボン酸の混合物である。混合物である水添ヤシ油脂肪酸の平均分子量としては、上述の各脂肪酸の含有率と分子量から算出した値を用いた。
【0095】
得られたポリエステル樹脂B-1について、JIS K 0070-1992に準じた方法により酸価及び水酸基価を評価したところ、酸価は1.0mgKOH/g、水酸基価は14mgKOH/gであった。
また、得られたポリエステル樹脂B-1の数平均分子量(Mn)を前記方法により評価したところ1800であった。
【0096】
合成例2
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積1リットルの四つ口フラスコに、セバシン酸455g、プロピレングリコール230gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、220℃になるまで段階的に昇温した。次いで、ラウリン酸180g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.04gを加え、酸価が2以下になるまで220℃で反応させ、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、粘調液体であるポリエステル樹脂B-2を得た。
得られたポリエステル樹脂B-2について、合成例1と同様にして評価した結果、酸価は0.6mgKOH/g、水酸基価は11mgKOH/g、数平均分子量(Mn)は1900であった。
【0097】
合成例3
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積3リットルの四つ口フラスコに、セバシン酸1597g、プロピレングリコール752gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、220℃になるまで段階的に昇温した。次いで、ラウリン酸372g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.14gを加え、酸価が2以下になるまで220℃で反応させ、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、粘調液体であるポリエステル樹脂B-3を得た。
得られたポリエステル樹脂B-3について、合成例1と同様にして評価した結果、酸価は0.6mgKOH/g、水酸基価は13mgKOH/g、数平均分子量(Mn)は2800であった。
【0098】
合成例4
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積3リットルの四つ口フラスコに、セバシン酸1555g、プロピレングリコール734gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、220℃になるまで段階的に昇温した。次いで、ラウリン酸280g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.13gを加え、酸価が2以下になるまで220℃で反応させ、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、粘調液体であるポリエステル樹脂B-4を得た。
得られたポリエステル樹脂B-4について、合成例1と同様にして評価した結果、酸価は0.8mgKOH/g、水酸基価は14mgKOH/g、数平均分子量(Mn)3500はであった。
【0099】
合成例5
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四つ口フラスコに、アジピン酸574g、1、3-ブタンジオール336g、1,6-ヘキサンジオール110gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、220℃になるまで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸(新日本理化株式会社製)169g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.06gを加え、酸価が2以下になるまで220℃で反応させ、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、粘調液体であるポリエステル樹脂B-5を得た。
得られたポリエステル樹脂B-5について、合成例1と同様にして評価した結果、酸価は0.7mgKOH/g、水酸基価は13mgKOH/g、数平均分子量(Mn)は2800であった。
【0100】
比較合成例1
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積3リットルの四つ口フラスコに、ジメチルテレフタレート554g、プロピレングリコール476g、パラトルイル酸817g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.130gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、220℃になるまで段階的に昇温することで、合計19時間縮合反応させた。反応後に未反応のプロピレングリコールを減圧除去することで、常温高粘度液体であるポリエステル樹脂B-6を得た。
得られたポリエステル樹脂B-6について、合成例1と同様にして評価した結果、酸価は0.2mgKOH/g、水酸基価は11mgKOH/g、数平均分子量(Mn)は500であった。
【0101】
比較合成例2
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積5リットルの四つ口フラスコに、アジピン酸1302g、プロピレングリコール1624g、安息香酸1086g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.24gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、230℃になるまで段階的に昇温することで、合計19時間縮合反応させた。反応後に未反応のプロピレングリコールを減圧除去することで、常温高粘度液体であるポリエステル樹脂B-7を得た。
得られたポリエステル樹脂B-7について、合成例1と同様にして評価した結果、酸価は0.6mgKOH/g、水酸基価は14mgKOH/g、数平均分子量(Mn)は760であった。
【0102】
比較合成例3
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四つ口フラスコに、セバシン酸303g、ジエチレングリコール350g、シクロヘキサンモノカルボン酸385g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.06gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、220℃になるまで段階的に昇温することで、合計26時間縮合反応させた。反応後に未反応のジエチレングリコールを減圧除去することで、常温高粘度液体であるポリエステル樹脂B-8を得た。
得られたポリエステル樹脂B-8について、合成例1と同様にして評価した結果、酸価は0.2mgKOH/g、水酸基価は15mgKOH/g、数平均分子量(Mn)は600であった。
【0103】
比較合成例4
温度計、攪拌器及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四つ口フラスコに、アジピン酸684g、1、3-ブタンジオール207g、1,4-ブタンジオール207gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、220℃になるまで段階的に昇温した。次いで、イソノニルアルコール135g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.06gを加え、酸価が2以下になるまで220℃で反応させ、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、粘調液体であるポリエステル樹脂B-9を得た。
得られたポリエステル樹脂B-9について、合成例1と同様にして評価した結果、酸価は0.3mgKOH/g、水酸基価は11mgKOH/g、数平均分子量(Mn)2900はであった。
【0104】
実施例1
市販の環状オレフィン樹脂であるシクロオレフィン樹脂A(株式会社JSR製のエステル基を有するノルボルネン樹脂:F5023、数平均分子量22,000)を100質量部及び合成例1で製造したポリエステル樹脂B-1を1質量部に、メチレンクロライド390質量部及びメタノール10質量部を加えて溶解し、ドープ液を得た。
得られたドープ液をガラス板上に流延し、溶媒を留去する(乾燥する)ことで膜厚約80μmのフィルムを得た。得られた未延伸フィルムの透明性及び耐熱性を下記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0105】
(未延伸フィルムの透明性)
得られた未延伸フィルムを40mm角の試験片として切り出し、この試験片についてHAZEメーターNDH-5000(日本電色工業製)にて、HAZE値の測定を行った。
尚、HAZE値は小さいほど、透明性に優れることを示す。
(未延伸フィルムの耐熱性)
得られた未延伸フィルムについて、示差走査熱量計(DSC)装置(株式会社パーキンエルマー製)により測定したチャートから、中点法にてガラス転移温度を評価した。昇温速度は10℃/分とした。
【0106】
未延伸フィルムを下記の方法と条件で熱延伸を行い、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの光学特性及び透明性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0107】
(熱延伸の方法と条件)
未延伸フィルムを切り抜いて幅10mm及び長さ30mmの試験片とし、熱延伸機(株式会社ユービーエム社製)を用いて、下記条件にて自由端一軸延伸を行った。延伸終了直後に空冷し、延伸フィルムを得た。
倍率 :1.3倍
初期長:20mm
速度 :100%/min
温度 :未延伸フィルムのガラス転移温度付近の最低2水準(延伸終了時の応力値が3MPaを内挿するように熱延伸を実施した)
【0108】
(延伸フィルムの光学特性)
延伸フィルムを23℃かつ相対湿度55%で1時間以上静置し、複屈折測定装置(KOBRA-WR,王子計測器(株)製)を用いて波長590nmにおける面内位相差(Re値)および面外位相差(Rth値)を測定した。熱延伸時の応力値を横軸に、面内位相差(Re値)および面外位相差(Rth値)を縦軸にプロットし、得られる直線から、応力が3MPaのRe値およびRth値を得た。Re値、Rth値が小さいほど、同一応力下での位相差発現抑制に優れることを示す。
(延伸フィルムの透明性)
得られた延伸フィルムについて、HAZEメーターNDH-5000(日本電色工業製)にて、HAZE値の測定を行った。尚、HAZE値は小さいほど、透明性に優れることを示す。
【0109】
実施例2-6及び比較例1-8
ポリエステル樹脂B-1の代わりに表1及び2に示すポリエステル樹脂を表1及び2に示す量で用いた他は実施例1と同様にしてドープ液を調製し、実施例1と同様にして得られたドープ液から未延伸フィルム及び延伸フィルムを製造し、評価した。結果を表1及び2に示す。
【0110】
【0111】