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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】粘性又は弾性の測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/14 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
G01N11/14 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020095902
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021189078
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】酒井 啓司
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146312(JP,A)
【文献】特開昭48-035874(JP,A)
【文献】特開2008-020465(JP,A)
【文献】特開平11-290668(JP,A)
【文献】特開2012-141246(JP,A)
【文献】特開2016-031352(JP,A)
【文献】特開2002-071698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部又は全部が導電性を有する材料から成る回転子であって、その重心よりも鉛直上方において回転軸上に位置する回転中心点を含み、該回転中心点のみにおいて支持される回転子と、
粘性又は弾性を測定する対象である測定対象物質、及び、該測定対象物質に接触した状態の前記回転子を収容する試料容器と、
前記回転中心点を回転可能に保持する保持部を含む回転子保持部材と、
前記回転子に時間変動する磁場を印加し、前記回転子内に誘導電流を誘起し、該誘導電流と前記回転子に印加される磁場とのローレンツ相互作用によって、前記回転子に回転トルクを与えて回転させる駆動ユニットと、
前記回転子の回転速度を検出する回転検出部と、
前記回転子の回転速度によって、前記回転子に接触する測定対象物質の粘性又は弾性を検出する粘弾性検出部と
を有することを特徴とする粘性又は弾性の測定装置。
【請求項2】
前記回転中心点と前記保持部との接触半径は、以下の式によって決定される請求項1に記載の粘性又は弾性の測定装置。
C <{3α/2μ(M-ρV)g}Tvis
C :接触半径
ρ:測定対象物質の密度
V:回転子の測定対象物質に没する部分の体積
μ:回転子と回転子保持部材との摩擦係数
α:要求される粘性又は弾性の測定精度
g:重力加速度
vis :回転子に加わる粘性抵抗トルク
【請求項3】
粘性が既知である複数の測定対象物質と接触した前記回転子に加わる回転トルクと、前記回転子の回転速度との関係をあらかじめ測定した標準データを記憶する標準データ記憶部を更に有し、
前記粘弾性検出部は、検出した測定対象物質の回転トルクと回転速度との関係と、前記標準データとを比較することによって、前記測定対象物質の粘性を検出する請求項1又は2に記載の粘性又は弾性の測定装置。
【請求項4】
前記回転検出部は、前記回転子に付加されたマークの回転を検出することによって、前記回転子の回転速度を検出する請求項1~3のいずれか1項に記載の粘性又は弾性の測定装置。
【請求項5】
前記回転子に対してレーザを照射し、反射又は干渉パターンの変化を光学的に測定することによって、前記回転子の回転速度を検出する請求項1~4のいずれか1項に記載の粘性又は弾性の測定装置。
【請求項6】
前記回転子は円筒状の本体部を含み、該本体部の内側面及び外側面が前記測定対象物質に接して該測定対象物質にずり変形を与える請求項1~5のいずれか1項に記載の粘性又は弾性の測定装置。
【請求項7】
前記回転子は下面が前記測定対象物質に接する回転板を含み、前記下面は前記回転板の中心から半径方向外側に向かって上昇する円錐面であり、前記測定対象物質の各部に一様なずり変形を与える請求項1~5のいずれか1項に記載の粘性又は弾性の測定装置。
【請求項8】
一部又は全部が導電性を有し、かつ、その重心よりも鉛直上方において回転軸上に位置する回転中心点を含み、該回転中心点のみにおいて支持される回転子を、粘性又は弾性を測定する対象である測定対象物質に接触した状態で、該測定対象物質とともに試料容器に収容する工程と、
前記回転中心点を回転子保持部材の保持部に回転可能に保持させる工程と、
前記回転子に時間変動する磁場を印加し、前記回転子内に誘導電流を誘起し、該誘導電流と前記回転子に印加される磁場とのローレンツ相互作用によって、前記回転子に回転トルクを与えて回転させる工程と、
前記回転子の回転速度を検出する工程と、
前記回転子の回転速度によって、前記回転子に接触する測定対象物質の粘性又は弾性を検出する工程と
を有することを特徴とする粘性又は弾性の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粘性又は弾性の測定装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、対象とする物質の力学物性を検出するため、粘性(以下の記載において、粘度と示すこともある。)や弾性の測定が行われている。粘性や弾性の測定は、医薬品、食品、塗料、インク、化粧品、化学製品、紙、粘着剤、繊維、プラスチック、ビール、洗剤、コンクリート混和剤、シリコン等の製造過程で、品質管理、性能評価、原料管理、研究開発等に必要不可欠な測定技術である。
【0003】
従来の粘性測定装置や測定方法としては、測定対象試料に接した回転プローブ(回転子)に対し、駆動するためのトルクを非接触に印加し、その回転プローブの回転速度から対象試料の粘性を非接触に測定する装置や方法が存在する(例えば、特許文献1~4参照。)。
【0004】
特許文献1に記載されている装置においては、回転子として導電性の小球を使用し、該小球を試料内に沈め、小球に所定のトルクを非接触で印加し、小球の回転速度から、試料の粘性を非接触で測定している。
【0005】
特許文献2に記載されている装置においては、浮力若しくは表面張力のいずれか、又は、双方を用いて、円板状の回転子を試料表面に浮かべ、回転子に所定のトルクを非接触で印加し、回転子の回転速度から、試料の粘性を非接触で測定している。
【0006】
特許文献3に記載されている装置においては、円板状の回転子の下部から突出する回転中心の先端が凸形状に形成されており、その先端が試料を収容する容器の内側の底部と接触するとともに、回転子の上部に回転軸が設けられており、回転軸が保持機構の貫通孔に挿入されて回転可能、かつ、横方向に移動不能に保持されている。そして、回転子に所定のトルクを非接触で印加し、回転子の回転速度から、試料の粘性を非接触で測定している。
【0007】
特許文献4に記載されている装置においては、回転子の下部から突出する回転中心の先端が凸形状に形成されており、その先端が試料を収容する容器の内側の底部と接触し、かつ、回転子の重心位置と浮心位置とが調整されることによって、回転子が垂直に自立して回転するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-264982号公報
【文献】特開2012-242137号公報
【文献】特開2016-031352号公報
【文献】特開2018-146312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の特許文献1に記載されているような装置では、非ニュートン性の液体については、小球の周囲の試料の流動速度が既知でなく、粘性を与えるずり速度を一意に決定することができず、また、純水などの低い粘性の液体については、十分に高い測定精度を得ることが困難である。
【0010】
また、特許文献2に記載されているような装置では、粘性を測定する際に、回転子と容器の底部との距離(浮上高さ)を正確に測定する必要があるが、浮上高さは、容器に収容される試料の量によって変化するので、測定毎に正確に測定するために、精度の高い測定器が必要となる。また、浮上高さは、試料の蒸発、温度の変化に伴う試料の比重の変化、又は、回転子と試料とのぬれ性の変化によって変動する。そのため、周囲環境によって、試料の粘性の測定精度が変化してしまう場合がある。
【0011】
さらに、特許文献3に記載されているような装置では、回転軸の保持機構の貫通孔と回転軸との機械摩擦を無視することができないため、試料の粘性の測定精度を向上させることが困難な場合がある。
【0012】
さらに、特許文献4に記載されているような装置では、試料中に没した回転子に加わる重力、浮力の大きさ、及び、重心と浮心との位置を適切に調整した回転子によって、安定に垂直に自立する回転子を実現することができるが、試料液体の比重に応じてその構造を調整する必要がある。
【0013】
本開示は、前記従来の問題点を解決して、測定対象物質を収容する試料容器の構成が簡素で低コストなものとすることを可能とし、かつ、低粘度から高粘度までの広い領域に亘る測定対象物質の粘性又は弾性を、簡易にかつ高い精度によって測定することができる粘性又は弾性の測定装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、粘性又は弾性の測定装置においては、一部又は全部が導電性を有する材料から成る回転子であって、その重心よりも鉛直上方において回転軸上に位置する回転中心点を含み、該回転中心点のみにおいて支持される回転子と、粘性又は弾性を測定する対象である測定対象物質、及び、該測定対象物質に接触した状態の前記回転子を収容する試料容器と、前記回転中心点を回転可能に保持する保持部を含む回転子保持部材と、前記回転子に時間変動する磁場を印加し、前記回転子内に誘導電流を誘起し、該誘導電流と前記回転子に印加される磁場とのローレンツ相互作用によって、前記回転子に回転トルクを与えて回転させる駆動ユニットと、前記回転子の回転速度を検出する回転検出部と、前記回転子の回転速度によって、前記回転子に接触する測定対象物質の粘性又は弾性を検出する粘弾性検出部とを有する。
【0015】
他の粘性又は弾性の測定装置においては、さらに、前記回転中心点と前記保持部との接触半径は、以下の式によって決定される。
C <{3α/2μ(M-ρV)g}Tvis
C :接触半径
ρ:測定対象物質の密度
V:回転子の測定対象物質に没する部分の体積
μ:回転子と回転子保持部材との摩擦係数
α:要求される粘性又は弾性の測定精度
g:重力加速度
vis :回転子に加わる粘性抵抗トルク
【0016】
更に他の粘性又は弾性の測定装置においては、さらに、粘性が既知である複数の測定対象物質と接触した前記回転子に加わる回転トルクと、前記回転子の回転速度との関係をあらかじめ測定した標準データを記憶する標準データ記憶部を更に有し、前記粘弾性検出部は、検出した測定対象物質の回転トルクと回転速度との関係と、前記標準データとを比較することによって、前記測定対象物質の粘性を検出する。
【0017】
更に他の粘性又は弾性の測定装置においては、さらに、前記回転検出部は、前記回転子に付加されたマークの回転を検出することによって、前記回転子の回転速度を検出する。
【0018】
更に他の粘性又は弾性の測定装置においては、さらに、前記回転子に対してレーザを照射し、反射又は干渉パターンの変化を光学的に測定することによって、前記回転子の回転速度を検出する。
【0019】
更に他の粘性又は弾性の測定装置においては、さらに、前記回転子は円筒状の本体部を含み、該本体部の内側面及び外側面が前記測定対象物質に接して該測定対象物質にずり変形を与える。
【0020】
更に他の粘性又は弾性の測定装置においては、さらに、前記回転子は下面が前記測定対象物質に接する回転板を含み、前記下面は前記回転板の中心から半径方向外側に向かって上昇する円錐面であり、前記測定対象物質の各部に一様なずり変形を与える。
【0021】
粘性又は弾性の測定方法においては、一部又は全部が導電性を有し、かつ、その重心よりも鉛直上方において回転軸上に位置する回転中心点を含み、該回転中心点のみにおいて支持される回転子を、粘性又は弾性を測定する対象である測定対象物質に接触した状態で、該測定対象物質とともに試料容器に収容する工程と、前記回転中心点を回転子保持部材の保持部に回転可能に保持させる工程と、前記回転子に時間変動する磁場を印加し、前記回転子内に誘導電流を誘起し、該誘導電流と前記回転子に印加される磁場とのローレンツ相互作用によって、前記回転子に回転トルクを与えて回転させる工程と、前記回転子の回転速度を検出する工程と、前記回転子の回転速度によって、前記回転子に接触する測定対象物質の粘性又は弾性を検出する工程とを有する。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、測定対象物質を収容する試料容器の構成を簡素で低コストなものとすることが可能となり、かつ、低粘度から高粘度までの広い領域に亘る測定対象物質の粘性又は弾性を、簡易にかつ高い精度によって測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施の形態における測定装置の全体構成を示す概略構成図である。
図2】第1の実施の形態における測定装置の測定対象ユニットを示す側断面図である。
図3】第1の実施の形態における測定装置の駆動ユニットの変形例を示す概略平面図である。
図4】第1の実施の形態における回転子駆動磁石の回転速度と回転子の回転速度との差と、回転子の回転速度との関係を表すグラフである。
図5図4のグラフの傾きと粘性との関係を表すグラフである。
図6】第1の実施の形態における試料の弾性が異なる場合の駆動磁石の回転速度と回転子の回転角との関係を表すグラフである。
図7図6のグラフの傾きと弾性との関係を表すグラフである。
図8】第2の実施の形態における測定装置の測定対象ユニットを示す側断面図である。
図9】第3の実施の形態における測定装置の測定対象ユニットを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は第1の実施の形態における測定装置の全体構成を示す概略構成図、図2は第1の実施の形態における測定装置の測定対象ユニットを示す側断面図、図3は第1の実施の形態における測定装置の駆動ユニットの変形例を示す概略平面図、図4は第1の実施の形態における回転子駆動磁石の回転速度と回転子の回転速度との差と、回転子の回転速度との関係を表すグラフ、図5図4のグラフの傾きと粘性との関係を表すグラフである。
【0026】
図1に示されるように、本実施の形態における粘性又は弾性の測定装置は、測定対象ユニット30と、駆動ユニット50と、測定ユニット80とを備えている。
【0027】
前記測定装置は、測定対象ユニット30の試料容器31内に収容された測定対象物質としての試料32の粘性及び/又は弾性を測定するためのものであり、前記試料32は、例えば、液体、スラリー、又は、ソフトマテリアルである。ここで、ソフトマテリアルとは、高分子、液晶、コロイド、生体分子等の一連の分子性物質群である。なお、コロイドとは、例えば、乳液、乳剤、ゾル等のエマルジョンである。また、生体分子とは、例えば、生体膜、タンパク質、DNA等である。そして、本実施の形態における測定装置は、典型的には、医薬品、食品、塗料、インク、化粧品、化学製品、紙、粘着剤、繊維、プラスチック、ビール、洗剤、コンクリート混和剤、シリコン等の製造過程で、品質管理、性能評価、原料管理、研究開発等において使用されるが、いかなる分野でいかなる目的のために使用されてもよい。
【0028】
なお、本実施の形態において、測定装置の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記測定装置の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0029】
前記駆動ユニット50は、図1に示されるように、駆動磁石53と、該駆動磁石53を下から支える駆動磁石保持台52と、該駆動磁石保持台52を回転させる回転駆動源としてのモータ51とを備える。該モータ51は、回転軸であるモータ回転軸51aを回転させる。なお、前記駆動磁石保持台52は、前記モータ回転軸51aに接続され、該モータ回転軸51aを中心に回転する。
【0030】
図に示される例において、駆動磁石保持台52は、平面視において略正方形の平板であり、その中心に前記モータ回転軸51aの軸端が接続されている。また、前記駆動磁石53は、第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bから成る一対の磁石である。前記第1駆動磁石53aと第2駆動磁石53bとは、互いに、同一の大きさで、かつ、同一の磁力を備え、平面視において、前記モータ回転軸51aを対称軸として点対称となるように駆動磁石保持台52上に載置されて固定されている。なお、第1駆動磁石53aと第2駆動磁石53bとは、上下方向に関する磁極の向きが互いに反対となるように配設されている。すなわち、図に示される例において、第1駆動磁石53aは、上側がN極で下側がS極となるように配設され、第2駆動磁石53bは、上側がS極で下側がN極となるように配設されている。
【0031】
図に示される例において、駆動磁石53は、第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bの一対の磁石から構成されているが、回転する磁場を発生させることができるのであれば、駆動磁石53を構成する磁石の数は、いくつであってもよい。例えば、N個(N=2n、nはn≧1の整数)の小型の磁石を駆動磁石保持台52の回転方向に沿って、磁石の上面の磁極が交互にN極とS極とになるように配置してもよい。前記駆動磁石保持台52は、第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bの上面が垂直面となるように、試料容器31内に収容された試料32の液面と平行に磁場が生成される構成にしてもよい。
【0032】
図2に示されるように、本実施の形態において、測定対象ユニット30は、試料容器31、該試料容器31内に収容された測定対象物質としての試料32、前記試料容器31に下端が接続された回転子保持部材33、前記試料32に接するように配設された、すなわち、少なくとも一部が試料32に没するように配設された回転子20、及び、前記試料容器31を下方から支持する試料台36を有する。
【0033】
前記回転子20は、上下方向に延在する円筒状の本体部21と、該本体部21の下端に接続された円板状の回転板22と、前記本体部21の上端に接続された上部23とを有する。なお、前記回転子20は、一体的に形成された部材であってもよいし、それぞれ個別に形成された本体部21、回転板22及び上部23を相互に接続した部材であってもよい。また、前記回転子20は、少なくとも一部が導体(例えば、金属材料)によって形成されている。例えば、前記回転子20は、一部分のみがアルミニウム等の導電性材料によって形成され、その他の部分がプラスチック、ビニール等の誘電体で形成されたものであってもよい。また、例えば、前記回転板22を、プラスチック製の円板の上面に市販のアルミ箔などを貼着させることによって作成することもできる。これにより、市販のプラスチック製の円板と市販のアルミ箔とから、容易に、かつ、低コストで、回転板22を形成することができる。なお、本実施の形態において、前記回転板22は、アクリルの円板で形成されているものとする。
【0034】
前記回転板22は、回転子20の回転軸26が中心を通過する平坦な円板形状を有し、中心には貫通孔が形成されている。また、前記本体部21は、回転軸26が中心を通過する円筒形状を有し、前記回転板22と同軸である。さらに、前記上部23は、回転軸26が中心を通過する円柱形状を有し、前記回転板22及び本体部21と同軸である。なお、前記上部23の下面には、下方に突出する凸状の突起24が形成され、回転軸26が突起24の先端を通過する。
【0035】
前記本体部21又は回転板22のいずれか一方の表面には、回転子20の回転を検出するために測定ユニット80が有する回転検出センサ86によって検出可能な大きさのマーク21aが設けられている。なお、図に示される例においては、本体部21の外側面にマーク21aが設けられている。
【0036】
前記試料容器31は、平坦な円板状の底板31aと、該底板31aの周縁に接続された背の低い円筒状の側壁31bとを有する。また、該側壁31bの上端には、円筒状の容器蓋35が取り付けられている。そして、前記試料容器31は、力学的物性としての粘性(すなわち、粘性係数)ηを測定する対象物としての試料32を収容する。前記試料容器31及び容器蓋35の各々は、例えば、ガラス、プラスチック等の透明な材料で形成されている。前記試料容器31は、例えば、小型のシャーレなどのような有底円筒状の容器である。前記試料容器31の内径は、回転子20の回転板22の直径よりわずかに大きければよい。
【0037】
前記容器蓋35は、試料容器31に収容された試料32の蒸発や、試料32への異物の混入などを防止するため、外部環境(外気など)から完全に試料32を遮断するために用いるものであり、不要であれば省略することができる。
【0038】
前記試料容器31及び容器蓋35としては、ガラス又はプラスチックを材料とするディスポーザルな市販のシャーレ等を使用することができる。このため、前記試料容器31及び容器蓋35を安価に準備することができ、また、測定を行う度に、試料容器31及び容器蓋35を廃棄しても、測定のコストが上昇することがない。さらに、生体材料などのようにその廃棄に特段の注意を要する物質を試料32とするときであっても、回転子20、試料容器31及び容器蓋35を容易に廃棄することができ、焼却、減菌等の後処理の問題と同様に、他の医療器具の廃棄と同様に容易に廃棄することができる。
【0039】
また、前記底板31aの中心には、上下方向に延在する円柱状の回転子保持部材33の下端が接続されている。そして、回転子20は、前記回転子保持部材33の上端に回転可能に支持されている。具体的には、図2に示されるように、上部23の突起24の先端が、回転子保持部材33の上面に凹入するように形成された保持部としての保持凹部34内に受容され、回転中心点としての支持点25において保持凹部34と点接触するようにして、支持されている。これにより、回転子20は、前記支持点25を通過して鉛直方向に延在する回転軸26を中心にして回転することができる。また、前記回転子20の重心27は、前記支持点25の鉛直下方に位置している。このように、前記回転子20は、支持点25において支持された「やじろべえ」の構造となっているので、回転軸26を中心にして、回転板22が水平となるような姿勢に、自動的に保持される。
【0040】
なお、前記マーク21aは、図に示される例においては、本体部21の外側面に配置されているが、必ずしもこの例に限定される必要はなく、例えば、回転板22の上面における回転検出センサ86によって検出可能な位置に配置されていてもよい。前記マーク21aの位置の変化を前記回転検出センサ86や撮像装置等によって光学的に読み取って回転子20の回転数を求め、回転子20の回転速度を算出することができる。
【0041】
また、前記回転子保持部材33の高さ、本体部21の高さ、及び、上部23の高さは、試料32の厚さ32aが一定になるように作製される。これにより、回転板22の下面と試料容器31の底板31aの上面との間隔を、高い精度で一定に保つことができ、回転板22の回転に伴って生じる試料32中におけるずり速度を高い精度で決定することができるので、試料32の粘性測定の精度が向上する。
【0042】
前記試料台36は、試料32が充填された試料容器31を固定する平坦な板部材であり、上面が駆動磁石保持台52の上面と平行となるように配置されている。これにより、試料容器31内の試料32中における回転子20の回転板22と、回転した際の第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bの上面が形成する平面とが平行となる。
【0043】
前記駆動磁石保持台52を回転させるモータ51は、モータ回転軸51aが駆動磁石保持台52の上面に対して垂直となるように固定されている。
【0044】
また、回転子20の回転板22が試料容器31の側壁31bの内面に接触せず、かつ、試料32に接して回転するように、平面視における回転子20の回転軸26の位置関係、及び、モータ51のモータ回転軸51aの位置関係が決定されている。すなわち、平面視において、試料容器31の底板31aの中心と、モータ回転軸51aの軸方向とが重なるように、試料容器31とモータ51とが配置されている。
【0045】
このような測定対象ユニット30の各部と駆動ユニット50の各部との配置によって、回転子20に対して時間的に変動する磁場を発生させることができる。
【0046】
前述のように、駆動磁石保持台52の回転によって駆動磁石53が回転すると、回転する磁場が発生する。すると、回転する磁場によって、回転子20の導電性を有する部分、すなわち、導体によって形成されている部分の内部に誘導電流が発生し、該誘導電流と磁場とのローレンツ相互作用により、前記回転子20の導体によって形成されている部分に、磁場の回転に追随する方向の回転トルクTM が生じる。該回転トルクTM の大きさは、駆動磁石53の回転速度と回転子20の回転速度との差に比例し、また、試料32のずり変形速度は回転子20の回転速度に比例するため、回転子20の回転速度と、駆動磁石53の回転数、すなわち、モータ51の回転数とを測定すれば、試料32の粘性を測定することができる。
【0047】
図4は、試料32としてそれぞれ異なる既知の粘性ηを有する複数の物質である標準試料を使用した場合におけるモータ回転軸51aの回転速度、すなわち、単位時間(例えば、1秒)当たりの回転数ΩMと、各標準試料の表面に浮かんでいる回転子20の回転速度、すなわち、単位時間(例えば、1秒)当たりの回転数ΩDとの関係を表すグラフである。図4において、縦軸は回転数ΩMと回転数ΩDとの回転数差ΩMD(回転数ΩM-回転数ΩD)を示し、横軸は回転数ΩDを示している。ここで使用した各標準試料の粘性ηは、それぞれ異なり、例えば、試料Aの粘性ηは1.0〔mPa・s〕、試料Bの粘性ηは2.0〔mPa・s〕、試料Cの粘性ηは5.0〔mPa・s〕である。そして、図4に示される3本の直線のように、粘性ηの異なる標準試料毎の回転数差ΩMDと回転数ΩDとの関係、すなわち、傾きΩMD/ΩDの対応を示す直線を最小二乗法等の方法によって求める。前記傾きΩMD/ΩDは、各標準試料の粘性ηと比例するものである。
【0048】
また、図5は、図4に示される関係から求められた各標準試料(試料A、試料B及び試料C)の傾きΩMD/ΩDと標準試料の粘性ηとの関係を表すグラフである。図5において、縦軸はグラフの傾きΩMD/ΩDを示し、横軸は標準試料の粘性(viscosity、mPa・s)を示している。図5において、傾きΩMD/ΩDが粘性ηに比例した関係にあることが示されている。
【0049】
純水の粘性(粘度)は室温において、1.0〔mPa・s〕である。このことから、試料32が純水と同程度に低い粘性を有するものである場合であっても、本実施の形態により粘性の差を高い精度で検出可能であることが分かる。
【0050】
本実施の形態においては、測定ユニット80が試料32の粘性を算出する。前記測定ユニット80は、図1に示されるように、回転検出部81、粘弾性検出部としての粘性検出部82、回転磁場制御部83、標準データ記憶部84、装置制御部85及び回転検出センサ86を有している。
【0051】
該回転検出センサ86は、試料容器31内の試料32中の回転子20の検出可能な位置に設けられたマーク21aを検出することができる位置として、試料容器31の横方向の位置(具体的には、容器蓋35の横方向)に配置され、前記マーク21a(図に示される例においては、本体部21の外側面に配置されたマーク21a)の回転における位置を光学的に検出する。すなわち、回転検出センサ86は、図示されない光照射部からレーザ光を出射し、前記マーク21aからの反射光が図示されない受光部に入射され、入射光の強度に対応した検出電気信号を出力する。
【0052】
また、前記回転検出センサ86の代わりに、レンズとCCD等の撮像素子とを顕微鏡に付加した撮像装置を採用し、回転子20の回転における前記マーク21aの移動状態を拡大して撮像した撮像画像を出力させ、画像処理によって回転子20の回転数ΩD(マーク21aの周回数)を検出するようにしてもよい。また、回転子20の回転板22の上面に前記マーク21aを配置して、該マーク21aの移動状態を撮像装置によって撮像し、回転子20の回転数ΩDを検出するようにしてもよい。
【0053】
さらに、回転子20の回転板22の上面、又は、本体部21の外側面に対してレーザを照射し、回転による反射及び干渉パターンの変化を光学的に測定し、回転子20の回転数ΩDを検出するようにすることもできる。
【0054】
さらに、回転子20の回転板22又は本体部21の一部を誘電体で形成してマーク21aとし、一対の電極同士の間に回転板22又は本体部21が挟まれるような電極対を配置し、コンデンサを構成するようにしてもよい。この場合、回転検出センサ86は、回転を検出するためのマーク21aとしての誘電体が、前記一対の電極同士の間を通過する際、検出電気信号を出力する。すなわち、回転検出部81は、マーク21aとしての誘電体が電極間を通過する際、電極対で構成されたコンデンサの容量変化を検出し、所定の期間(例えば、1秒)における前記容量変化の回数を検出し、回転子20の回転数ΩDを検出するように構成されてもよい。
【0055】
さらに、回転子20の回転板22又は本体部21の一部を永久磁石で形成してマーク21aとするとともに、磁場検出素子を配置し、回転子20の回転に伴う磁場強度の変化から回転子20の回転速度を読み取るようにしてもよい。
【0056】
そして、回転検出部81は、回転検出センサ86から供給される検出電気信号により、回転子20の回転検出を行い、単位時間(例えば、1秒)当たりの検出回数を、単位時間当たりの回転数(rps:revolutions per second)(すなわち、回転速度)として、回転数ΩDを求めて出力する。また、回転検出部81は、回転子20の回転数ΩDの検出において、回転検出センサ86の検出電気信号を用いるのではなく、前述のように、撮像装置の撮像画像を用いることもできる。この場合、撮像装置が撮像して出力する撮像画像から、回転子20に付加したマーク21aを画像処理によって検出し、単位時間当たりの回転数ΩDを求めるようにしてもよい。また、回転検出部81は、前述のようにコンデンサを用いることもできる。この場合、回転検出部81は、コンデンサからの検出電気信号によって電極対で構成されたコンデンサの容量変化を検出し、所定の期間(例えば、1秒)における前記容量変化の回数を検出し、回転子20の回転数ΩDを検出するようにしてもよい。さらに、回転検出部81は、前述のように磁場検出素子を用いることもできる。この場合、回転検出部81は、ホール素子等の磁場検出素子の出力電圧を検出し、所定の期間(例えば、1秒)における前記電圧変化の回数を検出し、回転子20の回転数ΩDを検出するようにしてもよい。
【0057】
粘性検出部82は、試料32における傾きΩMD/ΩD(ΩMD=ΩM-ΩD)を求める。このとき、粘性検出部82は、回転磁場制御部83に対して、異なる複数の回転数ΩMでモータ51を回転させる制御を行い、回転数を変更する毎に制御信号を回転検出部81へ出力する。該回転検出部81は、粘性検出部82から制御信号が供給される毎に、回転数ΩMにおいて試料容器31に収容された試料32中の回転子20の回転数ΩDを回転検出センサ86から入力する。そして、回転検出部81は、検出した回転数ΩDを、制御信号に対応して粘性検出部82へ出力する。
【0058】
そして、該粘性検出部82は、標準データ記憶部84に記憶されている粘性検出テーブルから、試料32の傾きΩMD/ΩDに対応する粘性η〔mPa・s〕を読み出し、これを試料32の粘性η〔mPa・s〕として出力する。ここで、標準データ記憶部84に実験式が記憶されている場合、粘性検出部82は、標準データ記憶部84から前記実験式を読み出し、この実験式に対して傾きΩMD/ΩDを代入し、試料32の粘性η〔mPa・s〕を算出して求めるようにしてもよい。
【0059】
回転磁場制御部83は、設定された回転数でモータ回転軸51aが回転するように、モータ51に対する回転制御を行う。これにより、モータ回転軸51aを介して駆動磁石保持台52が回転することになり、第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bによって発生する磁場が回転し、回転子20を試料32中において等速回転させる回転磁場を発生させる。
【0060】
標準データ記憶部84には、図4に示されるような関係から求めた粘性η〔mPa・s〕と、傾きΩMD/ΩDとの対応を示す粘性検出テーブルが記憶されている。
【0061】
該粘性検出テーブルは、以下の様に作成されている。本実施の形態における粘性の測定装置において、粘度があらかじめ分かっている標準試料を試料容器31に入れ(充填し)、標準試料中に回転子20を入れ、あらかじめ設定した複数の回転数ΩMによってモータ51を回転させた場合に、該モータ51の各回転数ΩMに対応した回転子20の回転数ΩDを、回転検出部81によって測定する。この標準試料に対する回転数ΩDの測定を、複数の異なる粘性ηを有する標準試料(あらかじめ粘性ηの分かっている試料)に対して行う。また、粘性検出テーブルではなく、粘性η〔mPa・s〕と、傾きΩMD/ΩDとの対応を示す実験式が記憶されていてもよい。
【0062】
装置制御部85は、測定ユニット80内の各部の動作の制御を行う。
【0063】
次に、前記回転する磁場によって、回転子20に回転トルクTM を生じさせる、すなわち、回転子20に回転トルクTM を付与する方法について、より詳細に説明する。
【0064】
ここでは、回転子20の本体部21の全体が導電性材料であるアルミニウム製であるものとする。この場合、回転する磁場による渦電流が生じるのは、回転可能な円筒状の本体部21の側面であり、該側面において、磁場は、ほぼ水平方向を向き、かつ、その向きを一定の角速度ΩMで回転させている。説明を簡単にするために、ここでは、磁場の水平方向成分のみを考えるが、磁場に垂直成分があっても、この後の説明に支障はない。
【0065】
回転板22を含む平面をx-y平面とし、鉛直方向に延在する軸をz軸とする直交座標を考えると、前記本体部21の側面における磁場を表すベクトルは、次の式(1)で表される。
【0066】
【数1】
【0067】
一例として、時刻がt=2πn/ΩM(nは整数)であるとき、磁場の向きは+x方向であり、その後回転して順次、+y方向、-x方向、-y方向を向く。したがって、この時刻においては、磁場の+y方向成分が増加し、+x方向成分には増減はない。
【0068】
よって、回転子20を-y方向から+y方向に向かってみたとき、レンツの法則によって、本体部21の側面には、反時計回り方向の渦電流が生じる。
【0069】
【0070】
このように、回転する磁場によって回転子20に回転トルクTM が働くことが分かる。測定対象ユニット30においては、回転子20に対して働く回転トルクTM によって、回転板22が試料32中を回転するため、前記式(1)における磁場の回転数ΩMは、磁場の回転数ΩMと回転子20の回転数ΩDとの差である回転数差ΩM-ΩDで置き換えられる。また、磁場によって印加される回転トルクTM の大きさは磁場の強度の二乗に比例する。
【0071】
この結果、回転子20の導電体に発生する渦電流が回転トルクTM (トルクTM )を受けることによって、回転子20に対して回転トルクTM が印加されることになる。そして、回転子20に対して回転トルクTM が印加された結果、回転板22は、試料32中において回転トルクTM の印加される方向に回転することになる。
【0072】
また、回転板22の回転に伴い、試料32の粘性ηに対応したずり流動による粘性抵抗トルクTvis が、回転板22に対して印加される。この粘性抵抗トルクTvis のため、回転子20の回転数ΩDは、粘性抵抗トルクTvis に比例した分、磁場の回転数ΩMには達しない。
【0073】
したがって、回転子20に付与される回転トルクTM の大きさは、回転する磁場の回転数ΩM(モータ51の回転数ΩMと同様)と、回転子20の回転数ΩDとの差に比例することになる。
【0074】
そして、回転子20の本体部21に印加される回転トルクTM (すなわち、回転子20全体に印加されるトルクTM )と、試料32中において回転する回転子20の回転数ΩDと、回転子20の半径(すなわち、回転板22の半径)rと、回転板22の下面と試料容器31の底板31aの上面との間隔(すなわち、回転板22の下方の試料32の厚さ32a)とによって、試料32の粘性ηを求める。
【0075】
試料32の粘性ηの測定においては、回転子20の回転板22に印加される回転トルクTM を、あらかじめ粘性ηが分かっている標準試料を用いて、図4に示されるように、回転磁界の回転数ΩMと回転子20の回転数ΩDとの回転数差ΩMDの関数として求めておく。
【0076】
前述のように、本実施の形態によれば、回転磁界を発生する第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bを、試料容器31を配設する試料台36の下方に配置することができ、粘性又は弾性を測定する測定装置を従来と比較して小型化することが可能である。
【0077】
また、図に示される例において、駆動磁石53は、第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bの一対の磁石から構成されている。この場合、平面視において、1個のN極と1個のS極とが対向して配設された1組の組み合わせによって回転磁場を発生している。これに対して、回転子20の本体部21にトルクを与える磁石の組の数は1組以上の任意でよく、例えば、平面視において正方形の磁石4個を、S極とN極とが互い違いになるように配置してもよい。
【0078】
なお、駆動磁石53を保持する駆動磁石保持台52を回転させることによって回転する磁場を生成するのではなく、電磁石を用いて回転磁界を生成するようにしてもよい。この場合、図1に示されるような駆動ユニット50に代えて、図3に示されるような駆動ユニット50の変形例を使用することができる。
【0079】
図3に示されるような駆動ユニット50においては、巻線55a及び55bに電流を流して磁場を生成し、流す電流の向きを周期的に変化させ、磁場の向きを回転させて回転磁場を形成することができる。すなわち、円周上に配列された電磁石54a~54dの各々が隣接する他の電磁石と異なる極性となるように、電磁石54a~54dの各々を駆動する。これらの電磁石54a~54dを駆動させる際、時間的に電磁石54a~54dの各々の極性を変化させることによって、回転磁場を生成することができる。この場合、回転磁場制御部83が前記巻線55a及び55bに対して電流を流し、この流す電流の向きを周期的に変えて、回転磁場を生成させる処理を行う。このような回転磁場によって、前記駆動磁石53を用いた駆動ユニット50と同様に、回転子20に対して回転トルクTM を印加し、回転軸26を回転中心として回転板22の回転運動を、試料32内で行わせて、該試料32の粘性ηを求めることができる。
【0080】
また、回転磁場制御部83は、回転子20に対して、印加する回転磁場の回転速度及び回転方向を任意に変化させるようにしてもよい。
【0081】
例えば、回転磁場の回転速度ΩMを、次の式(2)で表されるように、周期的に変調することによって、回転子20に対して、周期的に変化する回転トルクTM を与えることができる。
ΩM=Ω0sin (ωt) ・・・式(2)
【0082】
この場合、磁場の回転速度は時計回りに徐々に大きくなった後に減少し、いったん0になった後に反時計回りに徐々に大きくなった後に再び減少して0になる、という周期的な動きを2π/Ω0の時間周期で繰り返す。このとき、回転子20の回転運動の速度の最大値と、時間周期2π/ωで変動する磁場の周期運動からの位相遅れとを測定することによって、試料32の粘弾性を測定することも可能である。
【0083】
さらに、時間周期の逆数である磁場の変調周波数ωを掃引しながら、それぞれの変調周波数における粘弾性を測定することによって、粘弾性の周波数スペクトルを測定することも可能である。
【0084】
次に、本実施の形態による測定装置で試料32の粘性ηを測定する場合の測定精度について検討する。
【0085】
回転子20には、回転する磁場による回転トルクTM と試料32の粘性ηによる粘性抵抗トルクTvis とに加えて、回転子20の突起24の支持点25と回転子保持部材33の保持凹部34との接触による摩擦トルクTfricが加わるので、回転子20が一定速度で回転するときには、次の式(3)が成立する。
M =Tvis +Tfric ・・・式(3)
【0086】
ここで、摩擦トルクTfricは、未知であるために実験的に決定されるが、その値は、常に一定ではない。このため、既知の回転トルクTM に対し、不確定な摩擦トルクTfricの大きさを相対的に小さくすることによって、測定すべき量である粘性抵抗トルクTvis の測定精度が向上する。
【0087】
また、前記突起24の支持点25と回転子保持部材33の保持凹部34との接触点は、実際には有限の接触面積を有し、その形状が円であり、その半径がRC であるとすると、摩擦トルクTfricは、次の式(4)で表される。
fric=2/3μMgRC ・・・式(4)
【0088】
ここで、μは回転子20と回転子保持部材33との間の摩擦係数、Mは回転子20の重量、gは重力加速度である。
【0089】
よって、要求される粘性の測定精度をαとすると、粘性抵抗トルクTvis 及び摩擦トルクTfricに課される条件は、次の式(5)で表される。
αTvis >Tfric ・・・式(5)
【0090】
そして、該式(5)は、次の式(6)で表される。
C <(3α/2μMg)Tvis ・・・式(6)
【0091】
回転子20の一部が試料32に没している場合、試料32による浮力によって前記接触点に加わる力は小さくなるので、試料32の密度をρとし、回転子20の試料32に没する部分の体積をVとすると、次の式(7)が成立する。
C <{3α/2μ(M-ρV)g}Tvis ・・・式(7)
【0092】
ここで、1つの実施例に即して、粘性抵抗トルクTvis 及び摩擦トルクTfricの値を概算する。この場合、試料32に接する回転子20において、回転板22は、半径20〔mm〕、厚さ1〔mm〕のアクリル製の円板であり、本体部21は、外径10〔mm〕、内径9〔mm〕、長さ20〔mm〕のアルミニウム製の円筒であり、上部23は、直径9〔mm〕、高さ3〔mm〕の樹脂製部材であり、回転子20の重量は1.0〔g〕であるものとする。また、突起24の支持点25と回転子保持部材33の保持凹部34との接触点が、実際には有限の接触面積を有し、その形状は接触半径10〔μm〕の円形であるものとする。
【0093】
そして、回転子20が受ける粘性抵抗トルクTvis は、回転板22の半径をR、試料32の厚さをd、試料32の粘性をη、回転子20の回転数(角速度)をωとすると、次の式(8)で表される。
vis =πηωR4 /2d ・・・式(8)
【0094】
試料32として測定がより困難になる低粘性物質の代表である水を選び、回転子20の回転速度は従来の粘性測定においては十分に低い回転数と考えられる毎秒1回転、すなわち、ω=6π〔rad/s〕とし、試料32の厚さを1〔mm〕とすると、前記式(8)によって、粘性抵抗トルクTvis は10-7〔Nm〕となる。この値を前記式(6)に代入すれば、期待される測定精度としてα=0.01、すなわち、1〔%〕の測定精度を実現することができる。
【0095】
このように、本実施の形態によれば、特段な機構を用いることなく回転子20の水平を安定に保持することができ、また、回転子20と回転子保持部材33との接触点の大きさを適当な面積とすることによって、十分な精度での粘性測定が可能になる。従来は、この水平を保持する機構として、例えば、特許文献3に記載されているような装置では、回転子の軸を保持する筒状のガイドを採用していたが、回転子の軸の径に比例した摩擦トルクが発生し、測定精度を制限していた。本実施の形態は、この制限を解消するものである。
【0096】
次に、本実施の形態における弾性の測定について説明する。
【0097】
図6は第1の実施の形態における試料の弾性が異なる場合の駆動磁石の回転速度と回転子の回転角との関係を表すグラフ、図7図6のグラフの傾きと弾性との関係を表すグラフである。
【0098】
本実施の形態によれば、液体のように粘性を求めるのではなく、ゲルやゴムなどのように弾性を有する物質、又は、粘性の緩和によって弾性が生じる高分子溶液のような物質に対し、一定のトルクを与えた際の静止位置からの変位によって、粘性(粘性率)及び弾性(弾性率)を同時に測定することが可能である。ここで、弾性率は、いわばばね定数であり、試料32の回転変形に比例した復元力に対応している。
【0099】
したがって、粘性に加えて弾性がある場合、弾性による復元力は、歪みの程度に比例して大きくなる。このため、回転子20は、回転を開始してから、試料32のばね定数に比例した弾性力と、回転磁場による回転トルクTM とが釣り合った回転角度θで回転を停止することになる。駆動磁石53が反時計回りに回転することによって、反時計回りの回転トルクTM が試料32中の回転子20に印加される。そして、該回転子20に対して印加される回転トルクTM と弾性による反発力とが釣り合う回転角度θの位置で、回転子20の回転が停止する。
【0100】
ここで、回転検出部81は、モータ51が回転しておらず、駆動磁石保持台52が停止状態にあるときの回転子20のマーク21aの位置と、所定の回転数ΩMでモータ51が回転した後、回転が停止した際のマーク21aの位置との各々の撮像画像から回転角度θを求める。この角度θから弾性を求めることができる。
【0101】
図6は、モータ51の回転速度、すなわち、回転数ΩM(すなわち、回転トルク)と、回転子20が停止する回転角度θとの関係を示すグラフである。図6において、横軸はモータ51の回転数ΩMを示し、縦軸は回転子20が停止する回転角度θを示している。
【0102】
図1及び2に示される例における測定装置の場合、駆動磁石保持台52がモータ51によって回転させられることにより、前記駆動磁石保持台52に保持されている第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bの各々が、モータ51の回転速度に対応した回転磁場を生成する。
【0103】
そして、回転磁場制御部83は、あらかじめ設定されたステップに従い、モータ51の回転速度を変化させ、回転速度毎の回転角度θを求め、回転数ΩMと回転角度θとの関係を求めて図6に示されるようなグラフを作成する。ここで、あらかじめ弾性が分かっている複数の標準試料に対して、粘性と同様に、弾性が未知の試料32の弾性測定に用いる標準データを作成するため、前述の処理を行う。粘性の標準データの作成時と同様に、標準試料を試料容器31に入れて、回転角度θの測定を行う。
【0104】
図7は、弾性と、回転速度及び回転角度の比との関係を示すグラフである。図7において、横軸は弾性(弾性率:Pa)を示し、縦軸は回転速度、すなわち、回転数ΩMと回転角度θとの比例係数を示している。ここで、弾性と回転角度θとは逆比例する。
【0105】
図7は、図6に示される各標準試料(#1~#3)の傾き(回転数ΩMと回転角度θとの比)と、対応する標準試料の弾性とを対応付けて作成した、弾性測定に用いる弾性の標準データを示している。
【0106】
弾性が未知の試料32の測定においては、該試料32を試料容器31に入れ、標準試料の場合と同様に、回転磁場制御部83がモータ51をあらかじめ設定した回転速度で回転させる。そして、回転検出部81は、回転速度毎の回転角度θを求めて、粘性検出部82に対して出力する。該粘性検出部82は、回転検出部81から供給される回転数ΩMと回転角度θとの比例係数を求め、該比例係数に対応する弾性のデータを、標準データ記憶部84に記憶された標準データから読み出し、読み出したデータを試料32の弾性として出力する。
【0107】
このように、本実施の形態によれば、試料32の粘性及び弾性を一括して同時に測定することが可能となる。
【0108】
また、回転子20に加える回転トルクを時間的に変化させることによって、弾性と粘性とを同時に測定することも可能である。この場合、回転磁場を生成する駆動ユニット50として、図3に示されるような電磁石54a~54dを有する変形例を使用する。
【0109】
例えば、電磁石54a~54dに対して励磁電流を印加し、回転子20に対して所定の回転トルクを印加した後、この励磁電流の印加を停止し、停止した後の回転子20の回転状態を観察する。
【0110】
このとき、回転子20は、自身が接している試料32の弾性に応じて回転振動を起こすことになる。ここで、弾性に対して回転振動の周期及び振動時間が比例し、粘性に対して回転振動の振幅の減衰率が比例している。
【0111】
したがって、あらかじめ粘性及び弾性の分かっている複数の標準試料毎に、その回転振動の振幅の減衰率と、周期及び振動時間とを、回転子20に対して回転磁界を印加することによって測定し、標準データを作成して標準データ記憶部84にあらかじめ記憶させておく。
【0112】
次に、未知の粘性及び弾性を有する物質を測定対象とする際、粘性検出部82は、測定対象物質である試料32の振幅の減衰率と、周期及び振動時間とを回転子20に対して回転磁界を印加することによって測定し、測定した振幅の減衰率に対応する粘性と、周期及び振動時間に対応する弾性とを、それぞれ、標準データ記憶部84に記憶された標準データから読み出す。
【0113】
そして、粘性検出部82は、標準データから読み取った粘性及び弾性を、測定対象の試料32の粘性及び弾性として出力する。
【0114】
このように、本実施の形態によれば、試料32の粘性及び弾性を一括して同時に測定することが可能となる。
【0115】
また、回転子20に印加する回転磁場の回転方向と、回転トルク(モータ51の回転数ΩM)とを周期的に変調することによって、回転子20に、向きと大きさとが周期的に変化する回転トルクを印加することができる。そして、回転方向と回転トルクとを掃引する周期を変化させつつ、回転子20の回転振動の振幅と位相とを、回転子20のマーク21aを撮像した撮像画像から観察することによって、粘性と弾性とを独立して測定することが可能となる。この回転振動の観察は、前述した磁場を消去した後の減衰振動を、周波数スペクトルとして検出するものであり、磁場を消去した後の粘性及び弾性の測定と原理的に同様である。
【0116】
次に、本実施の形態における測定装置の具体的な応用例について説明する。
【0117】
該応用例においては、試料容器31として、内径が25〔mm〕、側壁31bの高さが30〔mm〕のガラス製のシャーレを用いた。そして、試料容器31に測定対象物質である試料32を0.5〔mL〕入れた後、試料容器31を容器蓋35によって封止した。ここで、例えば、試料32の温度は20〔℃〕とした。
【0118】
あらかじめ粘性の分かっている標準試料としては、図4に示されるように、粘性が1.0〔mPa・s〕であるもの、2.0〔mPa・s〕であるもの、及び、5.0〔mPa・s〕であるものの3種類を用いた。
【0119】
そして、これら標準試料内の回転子20に回転トルクを印加して、回転子20を回転させた。この場合、回転板22の下面が標準試料と接している。
【0120】
ここで、回転板22は、直径20〔mm〕、厚さ1〔mm〕のアクリル製の円板であり、該円板の回転中心には直径10〔mm〕の貫通孔が形成され、その中心を通るようにアクリル製の回転子保持部材33が前記貫通孔に挿入されている。また、本体部21は、アルミニウム製の円筒である。さらに、回転子保持部材33は、高さ20〔mm〕、直径3〔mm〕であり、その上面に深さ0.5〔mm〕の滑らかな保持凹部34が形成されている。回転子20は、上部23の下面中心に形成された突起24の先端が前記保持凹部34に受容された状態で、支持点25において前記保持凹部34と点接触するように支持されているので、安定して水平を保ち、かつ、滑らかに回転することができる。
【0121】
そして、回転磁場制御部83は、モータ51を駆動して、第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bを保持する駆動磁石保持台52を回転させる。すると、第1駆動磁石53a及び第2駆動磁石53bが生成する磁場が回転し、回転子20の本体部21に回転磁場が印加される。この回転磁場によって、本体部21に回転トルクが付与されるので、回転子20は、回転磁界の回転方向と同一方向に回転を行う。
【0122】
そして、回転検出部81は、例えば、撮像装置が撮像した回転子20に付加されたマーク21aの回転する動画像を撮像画像として自身内部の記憶部に記憶し、画像処理によってマーク21aの回転周期を求め、該回転周期から回転子20の回転数ΩDを求める。また、粘性検出部82は、回転磁場制御部83に指令して異なる複数の回転速度ΩMでモータ51を回転させる制御を行わせる。そして、モータ51の回転数ΩMが変わる毎に、回転検出部81は対応する回転子20の回転数ΩDを求め、粘性検出部82は、図4に示されるように、粘性の異なる標準試料毎に、回転子20の回転数ΩDと、モータ51の回転数ΩMと回転子20の回転数ΩDとの差分との対応関係を求める。
【0123】
図4に示される例において、各標準試料についての回転数ΩDと、回転数差ΩM-ΩDとの関係は、直線となっている。このため、図4は、回転子20の回転数ΩDと、回転子20に印加される回転トルクの関係のみから粘性を求めることが可能であることを示している。したがって、標準データを用いることによって粘性を正確に測定することができることが分かる。
【0124】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0125】
図8は第2の実施の形態における測定装置の測定対象ユニットを示す側断面図である。
【0126】
前記第1の実施の形態においては、測定対象ユニット30の回転子20の回転板22が平坦で厚さが一定の円板形状を有する部材である場合について説明したが、本実施の形態における回転板22は、円板形状を有するが、その厚さが中心から外縁に向かって減少するように形成されている。具体的には、回転板22の下面22aは、回転板22の中心から半径方向外側に進むにつれて上昇する円錐面となるように形成されている。そのため、回転板22の下面22aと試料容器31の底板31aの上面との間に挟まれた試料32の厚さ32aは、回転中心である回転軸26からの距離に比例して厚くなっている。
【0127】
これにより、試料容器31に収容されている試料32内の至るところに、すなわち、各部に、一様なずり速度の変形を実現することができる。したがって、本実施の形態における回転板22は、ずり速度によって粘性の値が変化する非ニュートン流体の粘性及び/又は弾性の測定に有効である。
【0128】
なお、その他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0129】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0130】
図9は第3の実施の形態における測定装置の測定対象ユニットを示す側断面図である。なお、図において、(a)は回転子の全体が試料に没した形態を示す図、(b)は回転子の上部が試料の外側に露出した形態を示す図である。
【0131】
前記第1及び第2の実施の形態においては、測定対象ユニット30の回転子20が回転板22を有する場合について説明したが、本実施の形態における回転子20は、回転板22を有していない。そして、試料容器31は、前記第1及び第2の実施の形態と比較して、底板31aの径が小さく、側壁31bの高さが高くなるよう(望ましくは、回転子20の上部23よりも上方にまで到達するよう)に形成されている。また、試料容器31内に収容される試料32の量は、その液面32bが、図9(a)に示されるように、回転子20の上部23よりも上方にまで到達する程度、又は、図9(b)に示されるように、回転子20の上部23に近い高さに到達する程度である。
【0132】
これにより、円筒状の本体部21の内側面及び外側面が試料32に接することとなる。したがって、円筒状の本体部21の内側面と回転子保持部材33の外側面とに挟まれた領域の試料32、及び、円筒状の本体部21の外側面と試料容器31の側壁31bの内側面とに挟まれた領域の試料32にずり変形を与え、その際に回転子20の回転に対する粘性抵抗を検出するようになっている。
【0133】
また、本実施の形態においては、試料容器31が縦長の円筒形状となっているので、その側壁31bの上部及び下部に試料32の流入口及び排出口を形成することによって、前記試料容器31を図示されない試料流路に接続して、該試料流路内を流動する試料32の粘性及び/又は弾性を測定することができる。
【0134】
なお、その他の点の構成及び動作については、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0135】
また、本明細書の開示された測定装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって試料の粘性を求める処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0136】
さらに、「コンピュータシステム」とは、ホームページ提供環境(又は表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0137】
さらに、前記プログラムは、該プログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、又は、伝送媒体中の伝送波によって他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、前記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現することができるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0138】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本開示は、粘性又は弾性の測定装置及び方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0140】
20 回転子
21 本体部
21a マーク
22 回転板
22a 下面
25 支持点
26 回転軸
27 重心
31 試料容器
32 試料
33 回転子保持部材
34 保持凹部
50 駆動ユニット
81 回転検出部
82 粘性検出部
84 標準データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9