(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】プッシャ、基板搬送装置、および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/30 20120101AFI20240313BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240313BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240313BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240313BHJP
【FI】
B24B37/30 A
H01L21/68 A
H01L21/304 622L
B24B37/30
B24B41/06 A
(21)【出願番号】P 2019228056
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 昭尋
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-114468(JP,A)
【文献】特開2006-303249(JP,A)
【文献】特開2006-232468(JP,A)
【文献】特開2014-218324(JP,A)
【文献】特開2010-215308(JP,A)
【文献】特開2007-084282(JP,A)
【文献】特表2005-517613(JP,A)
【文献】実開昭63-017147(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
H01L 21/304
H01L 21/677
H01L 21/68
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形の基板を支持するための支持面を一方の端部に有する複数の第1支持柱と、
前記複数の第1支持柱の他方の端部と連結される第1ベースと、
前記第1ベースを昇降させる第1昇降機構と、
を含み、
前記支持面は、前記基板をトップリングに受け渡す際および前記基板を前記トップリングから受け取る際に前記基板を支持するように構成され、
前記複数の第1支持柱の少なくとも1つには、真空源に連通し前記支持面に開口する吸引路が形成さ
れ、
前記複数の第1支持柱は、前記支持面に向かって細くなるように構成され、
さらに、
前記基板を前記トップリングに受け渡す際および前記基板を前記トップリングから受け取る際に前記トップリングを支持するための支持面を一方の端部に有する複数の第2支持柱と、
前記複数の第2支持柱の他方の端部と連結される第2ベースと、
前記第1ベースおよび前記第2ベースを昇降させる第2昇降機構と、
を含み、
前記複数の第2支持柱のうちの4つの角部にある第2支持柱のそれぞれの一方の端部において、前記第2支持柱の前記支持面は、基板を前記トップリングから受け取る際に前記トップリングを支持する平坦な支持面であり、さらに、前記トップリングを案内するための傾斜面を含む、
プッシャ。
【請求項2】
前記複数の第1支持柱の少なくとも1つは、前記基板を前記トップリングから受け取る際に前記吸引路を介して前記基板を吸引するように構成される、
請求項1に記載のプッシャ。
【請求項3】
前記第1昇降機構は、前記基板を前記トップリングから受け取る際に、前記第1ベースを上昇させて
前記第1支持柱の前記支持面を前記基板に接触させ、前記吸引路を介して前記基板を吸引している状態で前記第1ベースを下降させるように構成される、
請求項1または2に記載のプッシャ。
【請求項4】
前記第1支持柱の前記支持面上の基板の有無を検知するためのセンサをさらに含み、
前記第1昇降機構は、前記基板を前記トップリングから受け取る際に、前記第1ベースを下降させた状態において前記センサにより基板が無いと検知された場合には、前記第1ベースの昇降を繰り返すように構成される、
請求項3に記載のプッシャ。
【請求項5】
基板を搬送するための基板搬送装置であって、
基板の下面を支持するように構成される複数の第1搬送ローラと、
前記複数の搬送ローラが取り付けられる複数の第1ローラシャフトと、
前記複数の第1ローラシャフトを回転させるためのモータと、
前記複数の第1搬送ローラの上にある基板を持ち上げて前記トップリングに受け渡すとともに前記トップリングから受け取った基板を前記複数の第1搬送ローラの上に置くための請求項1から
4のいずれか1項に記載のプッシャと、を有し、
前記プッシャは、前記複数の第1支持柱が前記複数の第1ローラシャフトの間の隙間を通過するように配置される、
基板搬送装置。
【請求項6】
前記プッシャは、前記複数の第1支持柱とともに前記複数の第2支持柱が前記複数の第1ローラシャフトの間の隙間を通過するように配置される、
請求項
5に記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記基板の上面を支持するように構成される複数の第2搬送ローラと、
前記複数の第2搬送ローラが取り付けられる複数の第2ローラシャフトと、
をさらに含み、
前記モータは、前記第1ローラシャフトとともに前記第2ローラシャフトを回転させるように構成される、
請求項
5または
6に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記第2搬送ローラの直径は、前記第1搬送ローラの直径よりも小さい、
請求項
7に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記第1ローラシャフトに取り付けられた第1ギアと、
前記第2ローラシャフトに取り付けられ、前記第1ギアの回転に連動して回転する第2ギアと、を含む、
請求項
7または
8に記載の基板搬送装置。
【請求項10】
前記基板の厚みを測定する厚みセンサと、
前記厚みセンサによる測定結果に応じて、前記複数の第1搬送ローラおよび前記複数の第2搬送ローラの少なくとも一方の位置を動かせて前記複数の第1搬送ローラと前記複数の第2搬送ローラとの間の間隔を調整する駆動装置と、
をさらに含む、
請求項
7から
9のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項11】
前記第2搬送ローラを前記第1搬送ローラの方向に向けて付勢するように構成された弾性部材をさらに含む、
請求項
10に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
前記第2ローラシャフトの両端部はそれぞれ支持部材に連結されており、
前記第2ローラシャフトの両側に、基板の搬送方向に延びるベースが設けられており、
前記弾性部材は、前記ベースの上面と前記支持部材の下面との間に配置されている、
請求項
11に記載の基板搬送装置。
【請求項13】
基板を研磨するための研磨ユニットと、
基板を搬送するための搬送ユニットと、
基板を乾燥させるための乾燥ユニットと、を含み、
前記搬送ユニットは、請求項
5から
12のいずれか1項に記載の基板搬送装置を含む、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、プッシャ、基板搬送装置、および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に、基板の表面を平坦化するために化学機械研磨(CMP)装置が使用されている。半導体デバイスの製造に使用される基板は、多くの場合、円板形状である。また、半導体デバイスに限らず、CCL基板(Copper Clad Laminate基板)やPCB(Printed Circuit Board)基板、フォトマスク基板、ディスプレイパネルなどの四角形の基板の表面を平坦化する際の平坦度の要求も高まっている。また、PCB基板などの電子デバイスが配置されたパッケージ基板の表面を平坦化することへの要求も高まっている。
【0003】
CMP装置は、研磨前の基板をトップリングに受け渡したり、研磨後の基板をトップリングから受け取ったりするためのプッシャを備えている。例えば特許文献1には、研磨前の基板を支持してトップリングに受け渡すための複数の基板支えピンと、研磨後の基板をトップリングから受け取るための複数の柱状の基板支え部材と、を備えるプッシャが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理対象の基板には配線や機能性チップなどが形成される領域(パターン領域)があり、このパターン領域にプッシャが接触するのは好ましくない。この点、特許文献1に記載されているプッシャは、研磨前の基板に対して基板支えピンが接触し、研磨後の基板に対して基板支え部材が接触するので、プッシャと基板との接触面積が増加し得る。これは、基板のパターン領域の自由度を広げるという観点では好ましくない。
【0006】
また、プッシャがトップリングから基板を受け取る方法として、基板の近傍までプッシャを上昇させた状態でトップリングの基板吸着を解除することによって基板をプッシャに落下させることが知られているが、この場合、落下の衝撃で基板が破損するおそれがある。これに対して、プッシャを基板に接触するまで上昇させて、プッシャが基板に接触した状態でトップリングの基板吸着を解除することにより、基板を破損させず安全に受け取ることも考えられる。しかしながら、この方法では、基板がトップリングに張り付くことによってプッシャが確実に基板を受け取れないおそれがある。
【0007】
そこで、本願は、基板とプッシャとの接触面積を抑え、かつ、基板の受け取りの安全性および確実性を向上させることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、プッシャが開示される。プッシャは、基板を支持するための支持面を一方の端部に有する複数の第1支持柱と、前記複数の第1支持柱の他方の端部と連結される第1ベースと、前記第1ベースを昇降させる第1昇降機構と、を含み、前記支持面は、前記基板をトップリングに受け渡す際および前記基板を前記トップリングから受け取る際に前記基板を支持するように構成され、前記複数の第1支持柱の少なくとも1つには
、真空源に連通し前記支持面に開口する吸引路が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による、基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】一実施形態による、処理対象物である基板を概略的に示す平面図である。
【
図3】一実施形態による、研磨ユニットを概略的に示す斜視図である。
【
図4】一実施形態による、トップリングの構造を模式的に示す側面断面図である。
【
図5】一実施形態による、搬送ユニットを模式的に示す側面図である。
【
図6】一実施形態による、搬送ユニットを示す斜視図である。
【
図7】一実施形態による、プッシャを示す斜視図である。
【
図8】
図7に示されるプッシャを矢印8の方に見た部分断面図である。
【
図9】一実施形態による、第2ステージの支持柱の1つを示す断面図である。
【
図10】一実施形態による、第1ステージの支持柱の1つを示す断面図である。
【
図11】第1ステージおよび第2ステージが上位置にあるときを示す部分断面図である。
【
図12】第1ステージおよび第2ステージが上位置にあり、さらに第1ステージが、第2ステージに対して上昇した位置にあるときを示す部分断面図である。
【
図13】一実施形態による、搬送ユニットを模式的に示す側面図である。
【
図14】
図13に示される搬送ユニットを矢印14の方に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るプッシャ、基板搬送装置、および基板処理装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0011】
図1は、一実施形態による基板処理装置1000の全体構成を示す平面図である。
図1に示される基板処理装置1000は、ロードユニット100、搬送ユニット200、研磨ユニット300、乾燥ユニット500、およびアンロードユニット600を有する。図示の実施形態において、搬送ユニット200は、2つの搬送ユニット200A、200Bを有し、研磨ユニット300は、2つの研磨ユニット300A、300Bを有する。一実施形態において、これらの各ユニットは、独立に形成することができる。これらのユニットを独立して形成することで、各ユニットの数を任意に組み合わせることで異なる構成の基板処理装置1000を簡易に形成することができる。また、基板処理装置1000は、制御装置900を備え、基板処理装置1000の各構成要素は制御装置900により制御される。一実施形態において、制御装置900は、入出力装置、演算装置、記憶装置などを備える一般的なコンピュータから構成することができる。
【0012】
<ロードユニット>
ロードユニット100は、研磨および洗浄などの処理が行われる前の基板WFを基板処理装置1000内へ導入するためのユニットである。一実施形態において、ロードユニット100は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0013】
図示の実施形態において、ロードユニット100の搬送機構は、複数の搬送ローラ202(第1搬送ローラ)と、搬送ローラ202が取り付けられる複数のローラシャフト204とを有する。
図1に示される実施形態においては、各ローラシャフト204には3つの
搬送ローラ202が取り付けられている。基板WFは、搬送ローラ202上に配置され、搬送ローラ202が回転することで基板WFが搬送される。ローラシャフト204上の搬送ローラ202の取り付け位置は、基板WFを安定的に搬送することができる位置であれば任意とすることができる。ただし、搬送ローラ202は基板WFに接触するので、処理対象である基板WFに接触しても問題の無い領域に搬送ローラ202が接触するように配置すべきである。一実施形態において、ロードユニット100の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから構成することができる。一実施形態において、搬送ローラ202は、ローラシャフト204などを介して電気的に接地される。これは、基板WFが帯電して基板WF上の電子デバイス等を損傷することを防止するためである。また、一実施形態において、ロードユニット100に、基板WFの帯電を防止するためにイオナイザー(図示せず)を設けてもよい。
【0014】
図2は、一実施形態による、処理対象物である基板WFを概略的に示す平面図である。
図2に示されるように、一実施形態において、基板WFは略長方形(正方形を含む)の薄い板状の基板である。
図2に示される基板WFは、パターン領域10および非パターン領域20を備えている。「パターン領域」は、配線や機能性チップなどを備えた領域であり、基板上に形成されるデバイスとして使用される領域であり、デバイスの機能に意味のある配線や機能性チップなどが備えられている。また、「非パターン領域」とは、基板上のデバイスとして使用されない領域である。
図2に示される実施形態においては、基板WFは2つのパターン領域10を備え、それぞれパターン領域10が非パターン領域20に囲まれている。また、一実施形態において、基板WFは、非パターン領域20に基板WFのID情報を含むものとすることができ、たとえば、IDタグ12などを備えるものとすることができる。基板WFのIDは、ロードユニット100に設けたIDリーダーで読み取り可能とすることができる。
【0015】
ロードユニット100は、
図2に示される基板WFのパターン領域10が形成されている面が下面となるように基板WFを受け入れ、搬送する。そのため、搬送ローラ202は、基板WFの非パターン領域20にのみ接触するように配置されている。具体的には、搬送ローラ202は、基板WFの端部の非パターン領域20に接触する位置、および基板WFの中央の非パターン領域20に接触する位置に設けられている。搬送ローラ202の位置は、処理対象である基板WFに応じて変更することができる。そのため、図示の実施形態によれば、搬送ローラ202のローラシャフト204への取り付け位置を変更することで、異なる寸法や異なるパターンを備える基板WFの搬送に用いることができる。四角形の基板は、円形の半導体基板のように規格により寸法が決まっていないので、本開示の実施形態による搬送機構は、わずかな変更で様々な寸法の基板を搬送できるようになるので有利である。
【0016】
<研磨ユニット>
図3は一実施形態による、研磨ユニット300を概略的に示す斜視図である。
図1に示される基板処理装置1000は、2つの研磨ユニット300A、300Bを備えている。2つの研磨ユニット300A、300Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して研磨ユニット300として説明する。
【0017】
図3に示されるように、研磨ユニット300は、研磨テーブル350と、トップリング302と、を備える。研磨テーブル350は、テーブルシャフト351に支持される。研磨テーブル350は、図示していない駆動部によって、矢印ACで示すように、テーブルシャフト351の軸心周りに回転するようになっている。研磨テーブル350には、研磨パッド352が貼り付けられる。トップリング302は、基板WFを保持して研磨パッド352に押圧する。トップリング302は、図示していない駆動源によって回転駆動される。基板WFは、トップリング302に保持されて研磨パッド352に押圧されることによって研磨される。
【0018】
図3に示されるように、研磨ユニット300は、研磨パッド352に研磨液又はドレッシング液を供給するための研磨液供給ノズル354を備える。研磨液は、例えば、スラリである。ドレッシング液は、例えば、純水である。また、
図3に示されるように、研磨テーブル350およびテーブルシャフト351には、研磨液を供給するための通路353が設けられている。通路353は、研磨テーブル350の表面の開口部355に連通している。研磨テーブル350の開口部355に対応する位置において研磨パッド352は貫通孔357が形成されており、通路353を通る研磨液は、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357から研磨パッド352の表面に供給される。また、研磨ユニット300は、研磨パッド352のコンディショニングを行うためのドレッサ356を備える。また、研磨ユニット300は、液体、又は、液体と気体との混合流体、を研磨パッド352に向けて噴射するためのアトマイザ358を備える。アトマイザ358から噴射される液体は、例えば、純水であり、気体は、例えば、窒素ガスである。
【0019】
トップリング302は、トップリングシャフト304によって支持される。トップリング302は、図示していない駆動部によって、矢印ABで示すように、トップリングシャフト304の軸心周りに回転するようになっている。また、トップリングシャフト304は、図示しない駆動機構により、上下方向に移動可能である。
【0020】
基板WFは、トップリング302の研磨パッド352と対向する面に真空吸着によって保持される。研磨時には、研磨液供給ノズル354から、および/または研磨パッド352の貫通孔357から研磨パッド352の研磨面に研磨液が供給される。また、研磨時には、研磨テーブル350及びトップリング302が回転駆動される。基板WFは、トップリング302によって研磨パッド352の研磨面に押圧されることによって研磨される。
【0021】
図3に示されるように、トップリングシャフト304は、アーム360に連結されており、アーム360は、回転軸362を中心に揺動可能である。基板WFの研磨中に、トップリング302が研磨パッド352の中心を通過するように、アーム360を固定あるいは揺動させてもよい。また、基板WFの研磨中に、基板WFが研磨パッド352の貫通孔357を覆うようにアーム360を固定または揺動させてもよい。
図1に示されるように、揺動可能なアーム360により、トップリング302は、搬送ユニット200の方へ移動可能である。トップリング302が、後述する搬送ユニット200の基板受け渡し位置に移動することで、トップリング302は、後述するプッシャ230から基板WFを受け取ることができる。また、研磨ユニット300での基板WFの研磨後に、トップリング302からプッシャ230に基板WFを受け渡すことができる。
【0022】
図4は、一実施形態による、トップリング302の構造を模式的に示す側面断面図である。トップリング302は、トップリングシャフト304の下端に連結されている。トップリング302は、略四角形状のヘッド本体306と、ヘッド本体306の下部に配置されたリテーナ部材308と、を備えている。ヘッド本体306は金属やセラミックス等の強度および剛性が高い材料から形成することができる。また、リテーナ部材308は、剛性の高い樹脂材またはセラミックス等から形成することができる。
【0023】
ヘッド本体306およびリテーナ部材308の内側に形成された空間内には、基板WFに当接する弾性パッド310が収容されている。弾性パッド310とヘッド本体306との間には、圧力室(エアバッグ)P1が設けられている。圧力室P1は弾性パッド310とヘッド本体306とによって形成されている。圧力室P1には流体路312を介して加圧空気等の加圧流体が供給され、あるいは真空引きがされるようになっている。
図4に示される実施形態において、圧力室P1は保持する基板WFの全面に渡って形成される。
【0024】
基板WFの周端部はリテーナ部材308に囲まれており、研磨中に基板WFがヘッド本体306から飛び出さないようになっている。リテーナ部材308とヘッド本体306との間には弾性バッグ314が配置されており、その弾性バッグ314の内部には圧力室Prが形成されている。リテーナ部材308は、弾性バッグ314の膨張/収縮によりヘッド本体306に対して相対的に上下動可能となっている。圧力室Prには流体路316が連通しており、加圧空気等の加圧流体が流体路316を通じて圧力室Prに供給されるようになっている。圧力室Prの内部圧力は調整可能となっている。したがって、基板WFの研磨パッド352に対する押圧力とは独立してリテーナ部材308の研磨パッド352に対する押圧力を調整することができる。
【0025】
<乾燥ユニット>
乾燥ユニット500は、基板WFを乾燥させるための装置である。
図1に示される基板処理装置1000においては、乾燥ユニット500は、研磨ユニット300で研磨された後に、搬送ユニット200の洗浄部で洗浄された基板WFを乾燥させる。
図1に示されるように、乾燥ユニット500は、搬送ユニット200の下流に配置される。
【0026】
乾燥ユニット500は、搬送ローラ202上を搬送される基板WFに向けて気体を噴射するためのノズル530を有する。気体は、たとえば圧縮された空気または窒素とすることができる。搬送される基板WF上の水滴を乾燥ユニット500によって吹き飛ばすことで、基板WFを乾燥させることができる。
【0027】
<アンロードユニット>
アンロードユニット600は、研磨および洗浄などの処理が行われた後の基板WFを基板処理装置1000の外へ搬出するためのユニットである。
図1に示される基板処理装置1000においては、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500で乾燥された後の基板を受け入れる。
図1に示されるように、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500の下流に配置される。一実施形態において、アンロードユニット600は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0028】
<搬送ユニット>
図5は一実施形態による、搬送ユニット200を模式的に示す側面図である。
図1に示される基板処理装置1000は、2つの搬送ユニット200A、200Bを備えている。2つの搬送ユニット200A、200Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して搬送ユニット200として説明する。
【0029】
図6は、一実施形態による搬送ユニット200を示す斜視図である。なお、
図6においては、図示の明瞭化のために、後述する上搬送ローラ(第2搬送ローラ)290およびその駆動機構は省略している。図示の搬送ユニット200は、基板WFを搬送するための複数の搬送ローラ(第1搬送ローラ)202を備えている。搬送ローラ202を回転させることで、搬送ローラ202上の基板WFを所定の方向に搬送することができる。搬送ユニット200の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから形成されても、導電性のないポリマーから形成されてもよい。搬送ローラ202は、ローラシャフト(第1ローラシャフト)204に取り付けられており、ギア206を介して、モータ208により駆動される。一実施形態において、モータ208はサーボモータとすることができ、ギア206は、歯車式とすることができるが、マグネットギアとすることもできる。また、図示の搬送ユニット200は、搬送中の基板WFの側面を支持するガイドローラ212を備える。図示の搬送ユニット200は、搬送ローラ202上の所定の位置における基板WFの存在の有無を検知するためのセンサ216を有する。センサ216は任意の形式のセンサとすることができ、たとえば光学式のセンサとすることができる。
図5に示される実施形態において
は、センサ216は搬送ユニット200に7個(216a~216g)設けられている。一実施形態において、これらのセンサ216a~216gによる基板WFの検知に応じて、搬送ユニット200の動作を制御することができる。これらのそれぞれのセンサ216a~216gの位置および役割は後述する。
図5に示されるように、搬送ユニット200は、搬送ユニット200内に基板WFを受け入れるために開閉可能な入口シャッタ218を有する。
【0030】
図5に示されるように、搬送ユニット200は、ストッパ220を有する。ストッパ220は、ストッパ移動機構222に接続されており、ストッパ220は搬送ローラ202上を移動する基板WFの搬送経路内に進入可能である。ストッパ220が基板WFの搬送経路内に位置しているときは、搬送ローラ202上を移動する基板WFの側面がストッパ220に接触し、移動中の基板WFをストッパ220の位置で停止させることができる。また、ストッパ220が基板WFの搬送経路から退避した位置にあるときは、基板WFは、搬送ローラ202上を移動することができる。ストッパ220による基板WFの停止位置は、後述のプッシャ230が搬送ローラ202上の基板WFを受け取ることができる位置(基板受け渡し位置)である。
【0031】
センサ216aは、搬送ユニット200の入口側に設けられる。センサ216aによって基板WFの後ろが通過したことが確認されると、入口シャッタ218を閉じるようにすることができる。その後、センサ216aの下流側に配置されたセンサ216bにより基板WFの位置を監視しながら、搬送ローラ202で基板WFが搬送される。このときストッパ移動機構222によりストッパ220が基板WFの搬送経路内に移動されている。搬送ローラ202上を搬送されてきた基板WFは、ストッパ220に接触して基板WFが停止される。また、センサ216cはストッパ220の位置に配置されており、センサ216cにより基板WFを検知すると搬送ローラ202の動作を停止する。ストッパ220の位置(基板受け渡し位置)で停止した基板WFは、後述のプッシャ230を介して、トップリング302に受け渡される。
【0032】
<プッシャ>
図5、6に示されるように、搬送ユニット200はプッシャ230を有する。プッシャ230は、複数の搬送ローラ202の上にある基板WFを、複数の搬送ローラ202から離れるように持ち上げることができるように構成される。またプッシャ230は、保持している基板WFを搬送ユニット200の搬送ローラ202に受け渡すことができるように構成される。
【0033】
図7は、一実施形態によるプッシャ230を示す斜視図である。
図8は、
図7に示されるプッシャ230を矢印8の方に見た部分断面図である。
図8は、プッシャ230とともに、搬送ローラ202、搬送ローラ202上の基板受け渡し位置に配置された基板WF、および基板WFを受け取るトップリング302を概略的に示している。
図7、8に示される実施形態において、プッシャ230は、第1ステージ270および第2ステージ232を備える。
【0034】
第2ステージ232は、基板WFをプッシャ230から後述するトップリング302に受け渡す時に、トップリング302のリテーナ部材308を支持するためのステージである。第2ステージ232は、複数の支持柱(第2支持柱)234を備える。
図9は、一実施形態による、第2ステージ232の支持柱の1つを示す断面図である。
図9に示されるように、支持柱234の一方の端部は、基板WFをトップリング302に受け渡す際および基板WFをトップリング302から受け取る際にトップリング302のリテーナ部材308を支持する平坦な支持面234a、およびトップリング302を案内するための傾斜面234bを備える。一実施形態において、複数の支持柱234のうちの4つの角部にあ
る支持柱234が
図9に示されるような支持面234aおよび傾斜面234bを備えるようにしてもよい。4つの角部の支持柱234により形成される凹部でリテーナ部材308を位置合わせできる。4つの角部以外の支持柱234は支持面234aのみを備えていてもよい。各支持柱234の他方の端部は、共通のベース(第2ベース)236に連結されている。また、各支持柱234は、搬送ローラ202に干渉しない位置に設けられ、
図8に示される実施形態においては、各支持柱234は、搬送ローラ202の間に配置されている。
【0035】
第1ステージ270は、搬送ローラ202上の基板WFを受け取るように構成される。第1ステージ270は、複数の支持柱(第1支持柱)272を備える。
図10は、一実施形態による、第1ステージ270の支持柱272の1つを示す断面図である。
図10に示されるように、支持柱272の一方の端部は、基板WFをトップリング302に受け渡す際および基板WFをトップリング302から受け取る際に基板WFを支持する平坦な支持面272aを備える。また、複数の支持柱272の少なくとも1つには、支持面272aに開口する吸引路272bが形成される。吸引路272bは、真空源260に連通するようになっている。これにより、複数の支持柱272の少なくとも1つは、基板WFをトップリング302から受け取る際に吸引路272bを介して基板WFを吸引することができるように構成される。各支持柱272の他方の端部は共通のベース(第1ベース)274に連結されている。また、各支持柱272は、搬送ローラ202に干渉しない位置に設けられ、
図8に示される実施形態においては、各支持柱272は、搬送ローラ202の間に配置されている。また、各支持柱272は、基板WFの非パターン領域20を支持するように配置される。第1ステージ270および第2ステージ232は、以下で詳述するように、それぞれ昇降機構に連結されており、それぞれ高さ方向(z方向)に移動可能である。
【0036】
第2ステージ232は、高さ方向(z方向)に移動可能に構成される。一実施形態において、プッシャ230は第2昇降機構231を有する。一実施形態において、
図7、8に示されるように、プッシャ230の第2昇降機構231は、空圧式の昇降機構であり、シリンダ240およびピストン242を備える。ピストン242の端部は、可動台座244に連結されている。シリンダ240は、固定台座246に連結されている。固定台座246は、搬送ユニット200の全体を覆う筐体201または搬送ユニット200を設置する床面などに固定される。シリンダ240内の空気圧を調整することにより、ピストン242が移動し、可動台座244を高さ方向(z方向)に移動させることができる。可動台座244が高さ方向に移動することで、第1ステージ270および第2ステージ232が高さ方向に移動することができる。図示の実施形態において、可動台座244の上には、第1ステージ270および第2ステージ232を水平面内で移動させることが可能なXYステージ248が搭載されている。XYステージ248は、直動ガイドなどにより直交する2方向に移動可能に構成される公知のXYステージとすることができる。図示の実施形態において、XYステージ248の上には、回転ステージ250が搭載されている。回転ステージ250は、XY平面(水平面)において回転可能に構成される。換言すれば、回転ステージ250はz軸を中心に回転可能に構成される。回転ステージ250は、回転軸受などで構成される公知の回転ステージ250を採用することができる。
【0037】
回転ステージ250の上には、第1昇降機構233が搭載されている。第1昇降機構233は、シリンダ252およびピストン254を有する。シリンダ252は第2ステージ232のベース236に連結されている。また、シリンダ252には移動可能なピストン254が連結されており、シリンダ252内の空気圧を調整することで、ピストン254を移動することができる。ピストン254の端部には、第1ステージ270のベース274が連結されている。そのため、シリンダ252内の空気圧を調整することで、ピストン254および第1ステージ270を高さ方向(z方向)に移動させることができる。これ
により、第1昇降機構233は、基板WFをトップリング302から受け取る際には、ベース274を上昇させて支持面272aを基板WFに接触させるとともに、吸引路272bを介して基板WFを吸引している状態でベース274を下降させるように構成することができる。さらに、センサ216bは、支持面272a上の基板WFの有無を検知するように構成することができる。この場合、第1昇降機構233は、基板WFをトップリング302から受け取る際に、ベース274を下降させた状態においてセンサ216bにより基板WFが無いと検知された場合には、ベース274の昇降を繰り返すように構成することができる。すなわち、トップリング302から基板WFの受け取りが正常に行われなかった場合には、第1昇降機構233は、再度、ベース274を上昇させて支持面272aを基板WFに接触させ、吸引路272bを介して基板WFを吸引している状態でベース274を下降させることができる。
【0038】
上述の構成によれば、第2昇降機構231は、第1ステージ270および第2ステージ232の両方を高さ方向(z方向)に移動させ、第1昇降機構233は、第1ステージ270を第2ステージ232に対して高さ方向(z方向)に移動させることができる。また、第1ステージ270および第2ステージ232は、XYステージ248により、水平面内で直交する2方向(xy方向)に移動可能である。さらに、第1ステージ270および第2ステージ232は、回転ステージ250により、水平面内(z軸を中心に)で回転可能である。そのため、プッシャ230と後述するトップリング302との間で基板WFを授受するときに、プッシャ230とトップリング302との位置合わせを行うことができる。なお、図示の実施形態においては、第1昇降機構233および第2昇降機構231は、空圧式の昇降機構であるが、これらの昇降機構は液圧式でもよく、またモータおよびボールネジなどを使用した電動式の昇降機構としてもよい。第2昇降機構231により、第2ステージ232および第1ステージ270は下位置および上位置の間を移動することができる。
【0039】
次に、プッシャ230による基板WFの受け渡しについて説明する。
図8は、第1ステージ270および第2ステージ232が下位置にあるときを示している。第1ステージ270および第2ステージ232が下位置にあるときは、
図8に示されるように第2ステージ232の支持柱234の端部および第1ステージ270の支持柱272の端部は、搬送ローラ202の基板WFを支持する面より低い位置にある。基板WFをトップリング302に受け渡す場合、プッシャ230は、
図8に示す状態から第2昇降機構231により第1ステージ270および第2ステージ232を上昇させることにより、支持柱272の支持面272aを基板WFに接触させて基板WFを持ち上げ、
図11に示す状態になる。
【0040】
図11は、第1ステージ270および第2ステージ232が上位置にあるときを示している。第1ステージ270および第2ステージ232が上位置にあるときは、第2ステージ232の支持柱234の端部および第1ステージ270の支持柱272の端部は、搬送ローラ202の基板を支持する面より高い位置にある。すなわち、第2ステージ232および第1ステージ270が下位置から上位置に移動するときに、搬送ローラ202上に配置された基板WFを第1ステージ270で持ち上げて受け取ることができる。
図11に示す状態では、支持柱234の支持面234aがトップリング302のリテーナ部材308を支持する。プッシャ230は、
図11に示す状態から第1昇降機構233によって第1ステージ270を第2ステージ232に対して上昇させることによって、
図12に示す状態になる。
【0041】
図12は、第1ステージ270および第2ステージ232が上位置にあり、さらに第1ステージ270が、第2ステージ232に対して上昇した位置にあるときを示している。基板WFをプッシャ230からトップリング302に受け渡すときは、
図12に示されるように、プッシャ230は基板WFを保持する第1ステージ270を第2ステージ232
に対して上昇させる。これにより、
図12に示すように、基板WFがトップリング302に接触する。この状態でトップリング302の圧力室P1に対する真空引きを行うことによって基板WFはトップリング302に吸着され、基板WFはトップリング302に受け渡される。基板WFをトップリング302に受け渡した後、プッシャ230は
図8に示す状態に戻る。基板WFをトップリング302に受け渡す際には、真空源260による真空引きは停止されている。
【0042】
一方、プッシャ230がトップリング302から基板WFを受け取る際には、プッシャ230は、
図8に示す状態から
図11に示す状態に移行し、その後
図11に示す状態から
図12に示す状態に移行する。すなわち、プッシャ230は、
図12に示すように、第1昇降機構233によってベース274を上昇させて支持面272aを基板WFに接触させる。
図12の状態において、トップリング302の圧力室P1に対する真空引きを停止するとともに、真空源260による真空引きを開始する。これにより、吸引路272bを介して基板WFが支持面272aに吸着される。プッシャ230は、基板WFを支持面272aに吸着している状態で第1昇降機構233によってベース274を下降させることにより、
図11に示す状態になる。
【0043】
図11に示す状態において、センサ216bによって支持面272a上の基板WFの有無を検知する。プッシャ230は、支持面272a上に基板WFが無いと判定された場合には、再度、第1昇降機構233によってベース274を上昇させて、基板WFの受け取り動作を行う。プッシャ230は、支持面272a上に基板WFが無いと判定された場合の基板WFの受け取り動作の再試行を、あらかじめ設定された回数繰り返すことができる。基板WFの受け取り動作の再試行をあらかじめ設定された回数繰り返しても支持面272a上に基板WFが無いと判定された場合には、基板処理装置1000にアラームを発生させて、基板処理装置1000を停止することができる。
【0044】
一方、プッシャ230は、支持面272a上に基板WFが有ると判定された場合には、真空源260による真空引きを停止するとともに、第2昇降機構231を用いて第1ステージ270および第2ステージ232を下降させることによって、基板WFを搬送ローラ202上に置き、その後
図8に示す状態になる。
【0045】
本実施形態によれば、トップリング302に対する基板WFの受け渡しおよび受け取りの際に、プッシャ230における支持柱272の支持面272aのみが基板WFに接触するので、プッシャ230と基板WFとの接触面積を抑えることができる。これにより、基板WFのパターン領域の自由度を広げることができる。また、プッシャ230を基板WFに接触するまで上昇させた状態でトップリング302から基板WFを受け取るので、基板WFをプッシャ230に落下させる場合に比べて、基板WFを破損させず安全に受け取ることができる。さらに、基板WFを受け取る際に、支持柱272に形成された吸引路272bを介して基板WFを吸引するので、プッシャ230が確実に基板WFを受け取ることができる。
【0046】
図5、6に示される搬送ユニット200は、洗浄部を有する。
図5、6に示されるように、洗浄部は洗浄ノズル284を有する。洗浄ノズル284は、搬送ローラ202の上側に配置される上洗浄ノズル284aと、下側に配置される下洗浄ノズル284bとを有する。上洗浄ノズル284aおよび下洗浄ノズル284bは、図示しない洗浄液の供給源に接続される。上洗浄ノズル284aは、搬送ローラ202上を搬送される基板WFの上面に洗浄液を供給するように構成される。下洗浄ノズル284bは、搬送ローラ202上を搬送される基板WFの下面に洗浄液を供給するように構成される。上洗浄ノズル284aおよび下洗浄ノズル284bは、搬送ローラ202上を搬送される基板WFの幅と同程度、またはそれ以上の幅を備え、基板WFが搬送ローラ202上を搬送されることで、基板
WFの全面が洗浄されるように構成される。
図5、
図6に示されるように、洗浄部は、搬送ユニット200の基板受け渡し領域よりも下流側に位置している。
【0047】
図5に示されるように、洗浄部において、搬送ローラ202の上には上搬送ローラ290が配置されている。上搬送ローラ290は、動力源に接続されており、回転可能に構成されている。一実施形態において、上搬送ローラ290は、搬送ローラ202と同様にギア206およびモータ208により駆動されるように構成される。
【0048】
図13は、一実施形態による、搬送ユニットを模式的に示す側面図である。
図14は、
図13に示される搬送ユニットを矢印14の方から見た図である。
図13、
図14に示すように、上搬送ローラ290は、上ローラシャフト(第2ローラシャフト)291に取り付けられている。
図14に示される実施形態において、上ローラシャフト291に3個の上搬送ローラ290が取り付けられている。一実施形態において、上搬送ローラ290は、搬送ローラ202の上に所定の間隔を空けて配置される。所定の間隔は、搬送される基板WFの厚さと同程度とすることができる。この所定の間隔は、後述するように調整可能である。上搬送ローラ290の寸法は任意であり、搬送ローラ202と同じ寸法でもよく、異なる寸法でもよい。一実施形態において、
図13、14に示されるように、上搬送ローラ290の直径は、搬送ローラ202の直径よりも小さい。上搬送ローラ290の直径を小さくすることで、搬送ユニット200の全体の寸法を小さくすることができる。
【0049】
図13、14に示されるように、ローラシャフト204にはギア282aが取り付けられており、上ローラシャフト291にはギア282bが取り付けられている。ローラシャフト204の回転力は、ギア 282a、282bを介して上ローラシャフト291に伝達される。一実施形態において、ギア282a、282bはマグネットギアとすることができ、また、機械式のギアとしてもよい。搬送ローラ202および上搬送ローラ290の寸法に応じて、搬送ローラ202および上搬送ローラ290の回転速度が適切になるようにギア282a、282bを調整したり、各ギアのサイズや仕様を変更したりことができる。
【0050】
上ローラシャフト291の両端部は、支持部材292に連結されている。また、複数の上ローラシャフト291の両側には、基板WFの搬送方向に伸びるベース295が設けられている。ベース295の上面と支持部材292の下面との間にはバネなどの弾性部材296が設けられており、弾性部材296により支持部材292はベース295に向けて付勢されている。そのため、支持部材292は、弾性部材296によりベース295に向けて付勢されているが、上方向に移動可能である。
【0051】
また、
図5に示すように、搬送ユニット200は、基板WFの厚みを測定する厚みセンサ217を含む。厚みセンサ217は、搬送ユニット200の入口付近に配置され、搬送ユニット200に搬入された基板WFの厚みを測定するように構成される。また、搬送ユニット200は、厚みセンサ217による測定結果に応じて、搬送ローラ202および上搬送ローラ290の少なくとも一方の位置を動かせて、互いに対向する搬送ローラ202と上搬送ローラ290との間の間隔を調整する駆動装置211を含む。
図13、
図14の実施形態では、駆動装置211は、ベース295にねじ込まれたねじ軸210と、ねじ軸210を回転駆動するモータ209と、を含む。駆動装置211は、厚みセンサ217によって測定された基板WFの厚みに応じてモータ209を回転駆動することによってベース295の位置を上下に駆動することができ、これによって搬送ローラ202と上搬送ローラ290との間の間隔を調整することができる。
【0052】
たとえば、駆動装置211は、厚みセンサ217によって測定された基板WFの厚みが薄い場合には、ベース295の位置を下げて搬送ローラ202と上搬送ローラ290との
間の間隔を狭くする。一方、駆動装置211は、厚みセンサ217によって測定された基板WFの厚みが厚い場合には、ベース295の位置を上げて搬送ローラ202と上搬送ローラ290との間の間隔を広くする。本実施形態によれば、様々な厚みを有する多種多様の基板WFを取り扱う場合、または、基板WFに反りがある場合であっても、上搬送ローラ290を基板WFに常に適切な応力で接触させて上搬送ローラ290の回転力を基板WFに伝達でき、搬送ローラ202と上搬送ローラ290とで基板WFを安定的に搬送することができる。
【0053】
これに加えて、支持部材292は、弾性部材296によりベース295に向けて付勢された状態で、上方向に移動可能である。そのため、搬送する基板WFに凹凸がある場合や、基板WFに反りがある場合にでも、上搬送ローラ290を基板WFに常に接触させて上搬送ローラ290の回転力を基板WFに伝達でき、搬送ローラ202と上搬送ローラ290とで基板WFを安定的に搬送することができる。なお、上搬送ローラ290の上ローラシャフト291への取り付け位置は、搬送ローラ202とともに搬送する基板WFの寸法に応じて変更することができる。
【0054】
一実施形態において、上述の上搬送ローラ290は、基板受け渡し領域以外の領域に設けることができる。たとえば、上搬送ローラ290を基板受け渡し領域の下流にある洗浄部に設けることができ、また、基板受け渡し領域の上流側に設けてもよい。さらに、上搬送ローラ290は、上述したロードユニット100、後述する乾燥ユニット500、およびアンロードユニット600に設けてもよい。
【0055】
図5に示されるように、センサ216dは、洗浄部の入口付近に配置されている。一実施形態において、センサ216dにより基板WFを検知したら、洗浄ノズル284から洗浄液を噴射して基板WFの洗浄を開始することができる。また、基板WFの洗浄中は、搬送ローラ202の回転数を洗浄用の速度にしてもよい。センサ216eは洗浄部内に配置されており、センサ216eにより基板WFの位置を監視しながら、基板WFを洗浄しながら基板WFが搬送される。
図5の実施形態において、センサ216fは洗浄部出口点付近に配置される。一実施形態において、センサ216fにより基板WFを検知したら、洗浄ノズル284からの洗浄液の噴射を終了することができる。基板WFの洗浄中は、搬送ローラ202および上搬送ローラ290により基板WFが挟まれて搬送されるので、洗浄液の噴射中であっても基板WFを安定的に搬送することができる。
【0056】
図5に示されるように、搬送ユニット200は、開閉可能な出口シャッタ286を有する。また、搬送ユニット200は、出口付近にセンサ216gを備える。一実施形態において、センサ216gにより基板WFを検知したら、出口シャッタ286を開き、次のユニットに基板WFを搬送するようにしてもよい。一実施形態において、センサ216gにより基板WFを検知したら、出口シャッタ286を開かずに、搬送ローラ202での基板WFの搬送を停止し、次のユニットの処理を待ち、次のユニットの基板受け入れ準備が整った後に、出口シャッタ286を開き、基板WFを次のユニットへ搬送するようにしてもよい。
【0057】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0058】
上述の実施形態から少なくとも以下の技術的思想が把握される。
[形態1]形態1によれば、プッシャが提供され、プッシャは、基板を支持するための支持面を一方の端部に有する複数の第1支持柱と、前記複数の第1支持柱の他方の端部と連結される第1ベースと、前記第1ベースを昇降させる第1昇降機構と、を含み、前記支持面は、前記基板をトップリングに受け渡す際および前記基板を前記トップリングから受け取る際に前記基板を支持するように構成され、前記複数の第1支持柱の少なくとも1つには、真空源に連通し前記支持面に開口する吸引路が形成される。
【0059】
[形態2]形態2によれば、前記複数の第1支持柱の少なくとも1つは、前記基板を前記トップリングから受け取る際に前記吸引路を介して前記基板を吸引するように構成される。
【0060】
[形態3]形態3によれば、前記第1昇降機構は、前記基板を前記トップリングから受け取る際に、前記第1ベースを上昇させて前記支持面を前記基板に接触させ、前記吸引路を介して前記基板を吸引している状態で前記第1ベースを下降させるように構成される。
【0061】
[形態4]形態4によれば、プッシャは、前記支持面上の基板の有無を検知するためのセンサをさらに含み、前記第1昇降機構は、前記基板を前記トップリングから受け取る際に、前記第1ベースを下降させた状態において前記センサにより基板が無いと検知された場合には、前記第1ベースの昇降を繰り返すように構成される。
【0062】
[形態5]形態5によれば、プッシャは、前記基板を前記トップリングに受け渡す際および前記基板を前記トップリングから受け取る際に前記トップリングを支持するための支持面を一方の端部に有する複数の第2支持柱と、前記複数の第2支持柱の他方の端部と連結される第2ベースと、前記第1ベースおよび前記第2ベースを昇降させる第2昇降機構と、をさらに含む。
【0063】
[形態6]形態6によれば、基板を搬送するための基板搬送装置が提供される。基板搬送装置は、基板の下面を支持するように構成される複数の第1搬送ローラと、前記複数の搬送ローラが取り付けられる複数の第1ローラシャフトと、前記複数の第1ローラシャフトを回転させるためのモータと、前記複数の第1搬送ローラの上にある基板を持ち上げて前記トップリングに受け渡すとともに前記トップリングから受け取った基板を前記複数の第1搬送ローラの上に置くための上記のいずれかに記載のプッシャと、を有し、前記プッシャは、前記複数の第1支持柱が前記複数の第1ローラシャフトの間の隙間を通過するように配置される。
【0064】
[形態7]形態7によれば、前記プッシャは、前記複数の第1支持柱とともに前記複数の第2支持柱が前記複数の第1ローラシャフトの間の隙間を通過するように配置される。
【0065】
[形態8]形態8によれば、基板搬送装置は、前記基板の上面を支持するように構成される複数の第2搬送ローラと、前記複数の第2搬送ローラが取り付けられる複数の第2ローラシャフトと、をさらに含み、前記モータは、前記第1ローラシャフトとともに前記第2ローラシャフトを回転させるように構成される。
【0066】
[形態9]形態9によれば、基板搬送装置は、前記基板の厚みを測定する厚みセンサと、前記厚みセンサによる測定結果に応じて、前記複数の第1搬送ローラおよび前記複数の第2搬送ローラの少なくとも一方の位置を動かせて前記複数の第1搬送ローラと前記複数の第2搬送ローラとの間の間隔を調整する駆動装置と、をさらに含む。
【0067】
[形態10]形態10によれば、基板搬送装置は、前記第2搬送ローラを前記第1搬送ローラの方向に向けて付勢するように構成された弾性部材をさらに含む。
【0068】
[形態11]形態11によれば、基板処理装置が提供され、基板処理装置は、基板を研磨するための研磨ユニットと、基板を搬送するための搬送ユニットと、基板を乾燥させるための乾燥ユニットと、を含み、前記搬送ユニットは、上記のいずれかに記載の基板搬送装置を含む。
【符号の説明】
【0069】
200 搬送ユニット
202 搬送ローラ(第1搬送ローラ)
204 ローラシャフト(第1ローラシャフト)
208 モータ
209 モータ
211 駆動装置
216 センサ
217 厚みセンサ
230 プッシャ
231 第2昇降機構
233 第1昇降機構
234 支持柱(第2支持柱)
234a 支持面
236 ベース(第2ベース)
260 真空源
272 支持柱(第1支持柱)
272a 支持面
272b 吸引路
274 ベース(第1ベース)
290 上搬送ローラ(第2搬送ローラ)
291 上ローラシャフト(第2ローラシャフト)
296 弾性部材
300 研磨ユニット
302 トップリング
500 乾燥ユニット
1000 基板処理装置
WF 基板