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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】送信装置および受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20240313BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20240313BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20240313BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20240313BHJP
   H04J 99/00 20090101ALI20240313BHJP
   H04N 21/2385 20110101ALI20240313BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20240313BHJP
【FI】
H04L27/26 300
H04B1/04 E
H04H20/28
H04H40/18
H04J99/00 100
H04N21/2385
H04N21/438
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020054754
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2020167677
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2019067812
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】本田 円香
(72)【発明者】
【氏名】川島 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】井地口 朋也
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】蔀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】白井 規之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】中戸川 剛
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】土田 健一
(72)【発明者】
【氏名】高田 政幸
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-067825(JP,A)
【文献】特開2015-162848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04N 21/2385
H04N 21/438
H04H 20/28
H04H 40/18
H04B 1/04
H04J 99/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方式の信号と、第2の方式の信号とを多重して送信する送信装置であって、
前記第1の方式により送信されるデータ信号から、所定の周波数帯域内の第1の周波数帯域の信号である第1の放送信号を生成する第1の信号生成部と、
前記第2の方式により送信されるデータ信号から、前記所定の周波数帯域内の第2の周波数帯域の信号である第2の放送信号を生成する第2の信号生成部と、
前記第2の放送信号の電力レベルが、前記第1の放送信号の電力レベルよりも低くなるように、前記第1の放送信号および前記第2の放送信号の電力レベルを調整するレベル調整部と、
前記レベル調整部による電力レベルの調整後の第1の放送信号と第2の放送信号とを合成する合成部と、
前記合成部による合成後の信号を用いてOFDMフレームを構成するOFDMフレーム構成部と、
前記OFDMフレーム構成部により構成されたOFDMフレームをOFDM変調して送信するOFDM変調部と、を備え、
前記第2の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域と、前記第1の周波数帯域の両側に隣接する調整帯域とを含む、送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置において、
前記第1の周波数帯域は、複数のセグメントにより構成され、
前記調整帯域は、1つの前記セグメントよりも狭い帯域である、送信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送信装置において、
伝送路を推定するためのパイロット信号、および、前記第2の方式によるデータ信号の送信に関する制御信号を生成する第3の信号生成部をさらに備え、
前記OFDMフレーム構成部は、前記第3の信号生成部により生成されたパイロット信号および制御信号を前記調整帯域に割り当てる、送信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の送信装置において、
前記レベル調整部は、前記セグメントごとに、前記第1の放送信号と前記第2の放送信号との電力比を調整可能であり、
前記制御信号には、前記セグメントごとの前記第1の放送信号と前記第2の放送信号との電力比が含まれる、送信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の送信装置において、
前記複数のセグメントは、固定受信用セグメントと、移動受信用セグメントとからなり、
前記レベル調整部は、前記移動受信用セグメントにおける第2の放送信号の電力レベルが、前記固定受信用セグメントにおける第2の放送信号の電力レベルよりも大きくなるように、前記第2の放送信号の電力レベルを調整する、送信装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、
前記調整帯域における第2の放送信号の電力レベルと、前記第1の周波数帯域における受信信号の電力レベルとに基づき、前記第1の周波数帯域における前記第1の放送信号と前記第2の放送信号との電力比を取得し、該取得した電力比を用いて受信信号から前記第2の方式により送信されたデータ信号を取得する、受信装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、
前記調整帯域には、伝送路を推定するためのパイロット信号、および、前記第2の方式によるデータ信号の送信に関する制御信号が割り当てられ、
前記調整帯域に割り当てられた制御信号を取得し、該取得した制御信号を用いて受信信号から前記第2の方式により送信されたデータ信号を取得する、受信装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の受信装置において、
2つの異なる信号が重畳された1つの信号について一方を干渉成分とみなして除去する復調方式、または、2つの信号成分を元に参照信号を複製して復調する復調方式により、前記受信信号から前記第1の方式により送信されたデータ信号および前記第2の方式により送信されたデータ信号を取得する、受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置および受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国の現行の地上デジタル放送では、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式が用いられている。現行方式の放送(以下、「現行放送」と称する。)から次世代方式の放送(以下、「次世代放送」と称する。)へ段階的に移行させる際には、両方式の放送を併存させる必要がある。
【0003】
特許文献1には、現行放送の放送信号と次世代放送の放送信号とを多重して送信する技術が開示されている。特許文献1に開示されている技術では、送信装置は、現行放送の放送信号と次世代放送の放送信号とを同一の周波数および時間帯において送信する。ここで、送信装置は、次世代放送の放送信号の電力を、現行放送の放送信号の電力と比べて、ノイズとみなせる程度に低くする。受信装置は、送信装置から送信された信号を受信し復調などの処理を行うことで、受信信号から現行放送の放送信号を取得する。ここで、受信装置は、次世代放送の放送信号の電力は現行放送の放送信号の電力と比べて、ノイズとみなせる程度に低いので、受信信号には現行放送の放送信号のみが含まれるものとして処理する。そして、受信装置は、取得した現行放送の放送信号を受信信号から相殺して復調などの処理を行うことで、次世代放送の放送信号を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-67825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
次世代放送では、更なる大容量コンテンツのサービスの提供などのために、伝送容量の拡大が求められている。ここで、現行放送と次世代放送との併存を考慮すると、現行放送への影響を抑制しつつ、次世代放送における伝送容量の拡大を図ることが求められる。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、現行放送への影響を抑制しつつ、伝送容量の拡大を図ることができる送信装置および受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る送信装置は、第1の方式の信号と、第2の方式の信号とを多重して送信する送信装置であって、前記第1の方式により送信されるデータ信号から、所定の周波数帯域内の第1の周波数帯域の信号である第1の放送信号を生成する第1の信号生成部と、前記第2の方式により送信されるデータ信号から、前記所定の周波数帯域内の第2の周波数帯域の信号である第2の放送信号を生成する第2の信号生成部と、前記第2の放送信号の電力レベルが、前記第1の放送信号の電力レベルよりも低くなるように、前記第1の放送信号および前記第2の放送信号の電力レベルを調整するレベル調整部と、前記レベル調整部による電力レベルの調整後の第1の放送信号と第2の放送信号とを合成する合成部と、前記合成部による合成後の信号を用いてOFDMフレームを構成するOFDMフレーム構成部と、前記OFDMフレーム構成部により構成されたOFDMフレームをOFDM変調して送信するOFDM変調部と、を備え、前記第2の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域と、前記第1の周波数帯域の両側に隣接する調整帯域とを含む。
【0008】
また、本発明に係る送信装置において、前記第1の周波数帯域は、複数のセグメントにより構成され、前記調整帯域は、1つの前記セグメントよりも狭い帯域であることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る送信装置において、伝送路を推定するためのパイロット信号、および、前記第2の方式によるデータ信号の送信に関する制御信号を生成する第3の信号生成部をさらに備え、前記OFDMフレーム構成部は、前記第3の信号生成部により生成されたパイロット信号および制御信号を前記調整帯域に割り当てることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る送信装置において、前記レベル調整部は、前記セグメントごとに、前記第1の放送信号と前記第2の放送信号との電力比を調整可能であり、前記制御信号には、前記セグメントごとの前記第1の放送信号と前記第2の放送信号との電力比が含まれることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る送信装置において、前記複数のセグメントは、固定受信用セグメントと、移動受信用セグメントとからなり、前記レベル調整部は、前記移動受信用セグメントにおける第2の放送信号の電力レベルが、前記固定受信用セグメントにおける第2の放送信号の電力レベルよりも大きくなるように、前記第2の放送信号の電力レベルを調整することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る送信装置において、前記レベル調整部は、前記調整帯域における第2の放送信号の電力レベルが、前記第1の周波数帯域における第2の放送信号の電力レベルよりも大きくなるように、前記第2の放送信号の電力レベルを調整することが好ましい。
【0013】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、上述した送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、前記調整帯域における第2の放送信号の電力レベルと、前記第1の周波数帯域における受信信号の電力レベルとに基づき、前記第1の周波数帯域における前記第1の放送信号と前記第2の放送信号との電力比を取得し、該取得した電力比を用いて受信信号から前記第2の方式により送信されたデータ信号を取得する。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、上述した送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、前記調整帯域には、伝送路を推定するためのパイロット信号、および、前記第2の方式によるデータ信号の送信に関する制御信号が割り当てられ、前記調整帯域に割り当てられた制御信号を取得し、該取得した制御信号を用いて受信信号から前記第2の方式により送信されたデータ信号を取得する。
【0015】
また、本発明に係る受信装置において、2つの異なる信号が重畳された1つの信号について一方を干渉成分とみなして除去する復調方式、または、2つの信号成分を元に参照信号を複製して復調する復調方式により、前記受信信号から前記第1の方式により送信されたデータ信号および前記第2の方式により送信されたデータ信号を取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る送信装置および受信装置によれば、現行放送への影響を抑制しつつ、伝送容量の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る送信装置の構成例を示すブロック図である。
図2図1に示すISDB-Tデータキャリア信号生成部および新規放送データキャリア信号生成部が生成する信号の一例を示す図である。
図3図1に示すISDB-Tデータキャリア信号生成部の構成例を示す図である。
図4図1に示すISDB-T付加信号生成部の構成例を示す図である。
図5図1に示すレベル調整部によるレベル調整後の信号を示す図である。
図6図1に示す合成部による合成後の信号を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る受信装置の構成例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る受信装置の他の構成例を示す図である。
図9図8に示す参照信号生成部の構成例を示す図である。
図10図8に示すキャリア復調部の構成例を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る送信装置の構成例を示す図である。
図12図11に示す電力レベル調整部による電力レベルの調整後の第2の放送信号の一例を示す図である。
図13図11に示す合成部による合成後の信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る送信装置10の構成例を示す図である。本実施形態に係る送信装置10は、異なる放送方式の信号をLDM(Layered Division Multiplexing)で多重して送信するものである。LDMとは、電力に差をつけて2つの階層を多重する方式である。以下では、送信装置10は、現行の地上デジタル放送(現行放送)の方式であるISDB-T方式(第1の方式)の信号と、新規放送で用いられる次世代方式(第2の方式)の信号とをLDMで多重して送信する例を用いて説明する。なお、現行放送への影響を抑えるために、次世代方式の放送(次世代放送)においても、FFT(Fast Fourier Transform)サイズ、GI(Guard Interval)比およびクロックなどは、現行放送と同じであるとする。
【0020】
図1に示す送信装置10は、ISDB-Tデータキャリア信号生成部11と、新規放送データキャリア信号生成部12と、ISDB-T付加信号生成部13と、新規放送付加信号生成部14と、レベル調整部15と、合成部16と、OFDMフレーム構成部17と、OFDM変調部18とを備える。ISDB-Tデータキャリア信号生成部11は、第1の信号生成部の一例である。新規放送データキャリア信号生成部12は、第2の信号生成部の一例である。新規放送付加信号生成部14は、第3の信号生成部の一例である。
【0021】
ISDB-Tデータキャリア信号生成部11は、ISDB-T方式により送信されるコンテンツ(ISDB-Tコンテンツ)のデータ信号から、1チャンネルに割り当てられた所定の周波数帯域内のある周波数帯域(以下、「第1の周波数帯域」と称する。)のデータキャリア信号(以下、「第1の放送信号」と称する。)を生成し、レベル調整部15に出力する。
【0022】
図2は、ISDB-Tデータキャリア信号生成部11および新規放送データキャリア信号生成部12が生成する信号の一例を示す図である。なお、以下の図では、白抜きの矩形で示した信号が、ISDB-Tデータキャリア信号生成部11が生成する信号(第1の放送信号)であり、右斜め上がりのハッチングを付した矩形で示した信号が、新規放送データキャリア信号生成部12が生成する信号(後述する「第2の放送信号」)であるものとする。また、矩形の高さは信号の電力レベルを示すものとする。
【0023】
ISDB-Tでは、1チャンネル分の周波数帯域として約6MHzが割り当てられ、その1チャンネル分の周波数帯域が14のセグメントに分割される。ISDB-Tデータキャリア信号生成部11は、図2に示すように、13セグメント分の周波数帯域(約5.57MHz)の信号を第1の放送信号として生成する。
【0024】
ISDB-Tでは、階層伝送が利用されており、同一チャンネルの中で、画質と雑音耐性の異なる複数のサービスが提供されている。具体的には、伝送帯域の中央にある1セグメントを移動受信端末(モバイル端末)向けの移動受信用セグメントとし、移動受信用セグメントを用いて、強い雑音耐性の映像を送信するサービス(いわゆる、ワンセグ放送)が提供される。また、他の12セグメントを固定受信端末(家庭用テレビなど)向けの固定受信用セグメントとし、固定受信用セグメントを用いて高画質な映像を送信するサービス(ハイビジョン放送)が提供される。
【0025】
図3は、ISDB-Tデータキャリア信号生成部11の構成例を示す図である。
【0026】
図3に示すISDB-Tデータキャリア信号生成部11は、誤り訂正符号化部111a,111b,・・・と、キャリア変調部112a,112b,・・・と、帯域合成インターリーブ部113とを備える。誤り訂正符号化部111aおよびキャリア変調部112aは、階層伝送における、例えば、移動受信端末向けのサービスの階層(以下、「A階層」と称する。)に対応して設けられる。誤り訂正符号化部111bおよびキャリア変調部112bは、階層伝送における、例えば、固定受信端末向けのサービスの階層(以下、「B階層」と称する。)に対応して設けられる。このように、誤り訂正符号化部111およびキャリア変調部112は、階層伝送の階層ごとに設けられる。
【0027】
誤り訂正符号化部111aは、A階層のデータ信号が入力され、入力されたデータ信号に対して、畳み込み符号化などの所定の誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化後の信号をキャリア変調部112aに出力する。
【0028】
キャリア変調部112aは、誤り訂正符号化部111aから出力された信号に対して、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying),16QAM(Quadrature Amplitude Modulation),64QAMなどの所定のキャリア変調を行い、キャリア変調後の信号を帯域合成インターリーブ部113に出力する。
【0029】
帯域合成インターリーブ部113は、キャリア変調部112a,112b,・・・から出力された各階層の信号を合成して、第1の周波数帯域のデータキャリア信号(第1の放送信号)としてレベル調整部15に出力する。現行放送では、帯域合成インターリーブ部113は、中央の1セグメントに移動受信用のデータを配置し、残りの12セグメントに固定受信用のデータを配置する。
【0030】
図1を再び参照すると、新規放送データキャリア信号生成部12は、次世代方式により送信されるコンテンツ(新規放送コンテンツ)のデータ信号から、ISDB-T方式と同じ1チャンネルに割り当てられた所定の周波数帯域内のある周波数帯域(以下、「第2の周波数帯域」と称する。)のデータキャリア信号(以下、「第2の放送信号」と称する。)を生成し、レベル調整部15に出力する。
【0031】
具体的には、新規放送データキャリア信号生成部12は、図2に示すように、第1の周波数帯域(5.57MHz)と、第1の周波数帯域の両側に隣接する調整帯域とからなる第2の周波数帯域の信号を生成する。このように、第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域を含み、かつ、第1の周波数帯域よりも広い帯域である。第2の周波数帯域は、例えば、5.83MHzの帯域である。第1の周波数帯域の両側に設けられた調整帯域を合わせた帯域は、1セグメントよりも狭い帯域である。
【0032】
新規放送データキャリア信号生成部12の構成は、次世代方式で用いられる誤り訂正符号化、キャリア変調などが適用される点以外は、ISDB-Tデータキャリア信号生成部11の構成と同様であるため説明を省略する。
【0033】
なお、ISDB-Tデータキャリア信号生成部11は、第1の周波数帯域の両側の、調整帯域に対応する領域に、Null信号を配置してもよい。こうすることで、第1の放送信号の周波数帯域と第2の放送信号の周波数帯域とを合わせることができる。
【0034】
図1を再び参照すると、ISDB-T付加信号生成部13は、ISDB-T方式のデータキャリア信号(第1の放送信号)に付加する付加信号を生成し、OFDMフレーム構成部17に出力する。付加信号には、伝送路を推定するためのパイロット信号、ISDB-T方式によるデータ信号の送信に関するTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)信号(制御信号)、緊急地震速報などの付加的な情報に関するAC(Auxiliary Channel)信号などが含まれる。ISDB-T付加信号生成部13が生成するTMCC信号(制御信号)には、例えば、第1の放送信号の誤り訂正符号化方式を示す情報、第1の放送信号のキャリア変調方式を示す情報などが含まれる。
【0035】
図4は、ISDB-T付加信号生成部13の構成例を示す図である。
【0036】
図4に示すISDB-T付加信号生成部13は、TMCC情報ビット生成部131と、同期ビット生成部132と、TMCC信号生成部133と、AC信号生成部134と、パイロット信号生成部135とを備える。
【0037】
TMCC情報ビット生成部131は、ISDB-T方式によるデータ信号の送信に関するTMCC情報が入力される。TMCC情報ビット生成部131は、入力されたTMCC情報に応じた情報ビットを生成し、TMCC信号生成部133に出力する。
【0038】
同期ビット生成部132は、TMCC信号の一部となる同期ビットを生成し、TMCC信号生成部133に出力する。
【0039】
TMCC信号生成部133は、TMCC情報ビット生成部131から出力された情報ビット、および、同期ビット生成部132から出力された同期ビットなどを含むTMCC信号(制御信号)を生成し、OFDMフレーム構成部17に出力する。
【0040】
AC信号生成部134は、緊急地震速報などの付加的な情報に関するAC情報が入力される。AC信号生成部134は、入力されたAC情報に基づきAC信号を生成し、OFDMフレーム構成部17に出力する。
【0041】
パイロット信号生成部135は、TMCC情報が入力される。パイロット信号生成部135は、入力されたTMCC情報に応じたパイロット信号(例えば、SP(Scattered Pilot)信号)を生成し、OFDMフレーム構成部17に出力する。
【0042】
図1を再び参照すると、新規放送付加信号生成部14は、次世代方式のデータキャリア信号(第2の放送信号)に付加する付加信号を生成し、OFDMフレーム構成部17に出力する。付加信号には、伝送路を推定するためのパイロット信号、次世代方式によるデータ信号の送信に関するTMCC信号(制御信号)、緊急地震速報などの付加的な情報に関するAC信号などが含まれる。新規放送付加信号生成部14が生成するTMCC信号(制御信号)には、例えば、第2の放送信号の誤り訂正符号化方式を示す情報、第2の放送信号のキャリア変調方式を示す情報(変調情報)、FEC(Forward Error Correction)ポインタ、および、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報などが含まれる。なお、詳細は後述するが、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比は、受信側において推定することが可能である。そのため、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報は、制御信号に含まれなくてもよい。
【0043】
新規放送付加信号生成部14の構成は、ISDB-T付加信号生成部13の構成と同様であるため説明を省略する。ただし、AC信号を調整帯域で伝送しない場合、AC信号生成部134は設けなくてよい。次世代方式に対応するために、ISDB-T付加信号生成部13の構成に適宜変更が加えられてもよい。
【0044】
レベル調整部15は、ISDB-Tデータキャリア信号生成部11により生成されたデータキャリア信号(第1の放送信号)および新規放送データキャリア信号生成部12により生成されたデータキャリア信号(第2の放送信号)の電力レベルを調整する。具体的には、レベル調整部15は、図5に示すように、第2の放送信号の電力レベルが、第1の放送信号の電力レベルよりも低くなるように、第1の放送信号および第2の放送信号の電力レベルを調整する。
【0045】
例えば、レベル調整部15は、第1の放送信号の受信品質に与える影響が一定以下となるように、第2の放送信号の電力レベルを調整する。こうすることで、受信側では、第1の放送信号に対して、第2の放送信号を雑音とみなすことができる。
【0046】
本実施形態においては、図5に示すように、レベル調整部15は、各セグメントにおける第1の放送信号の電力レベルを一定とする。また、レベル調整部15は、各セグメントおよび調整帯域における第2の放送信号の電力レベルを一定とする。
【0047】
図1を再び参照すると、レベル調整部15は、レベル調整後のISDB-T方式におけるデータキャリア信号および次世代方式におけるデータキャリア信号を合成部16に出力する。
【0048】
合成部16は、レベル調整部15から出力されたレベル調整後のISDB-T方式におけるデータキャリア信号(第1の放送信号)と、次世代方式におけるデータキャリア信号(第2の放送信号)とを合成する。合成部16による合成後の信号は、図6に示すように、1チャンネル分の周波数帯域内で、ISDB-T方式におけるデータキャリア信号が第1の周波数帯域に配置される。また、ISDB-T方式におけるデータキャリア信号よりも電力レベルの低い次世代方式におけるデータキャリア信号が、第1の周波数帯域よりも調整帯域分だけ広い第2の周波数帯域に配置される。
【0049】
図1を再び参照すると、合成部16は、ISDB-T方式におけるデータキャリア信号と、次世代方式におけるデータキャリア信号との合成後のデータキャリア信号をOFDMフレーム構成部17に出力する。
【0050】
OFDMフレーム構成部17は、合成部16から出力されたデータキャリア信号を用いてOFDMフレームを構成する。具体的には、OFDMフレーム構成部17は、合成部16から出力されたデータキャリア信号に、ISDB-T付加信号生成部13から出力された付加信号と、新規放送付加信号生成部14から出力された付加信号とを付加して、OFDMフレームを構成する。
【0051】
ここで、OFDMフレーム構成部17は、ISDB-T付加信号生成部13から出力された付加信号を、ISDB-T方式において予め定められた配置に従い割り当てる。すなわち、OFDMフレーム構成部17は、予めパイロット信号を配置すると定められている領域(パイロット部)にISDB-T付加信号生成部13から出力されたパイロット信号を割り当て、予めTMCC信号を配置すると定められている領域(TMCC部)にISDB-T付加信号生成部13から出力されたTMCC信号を割り当て、予めAC信号を配置すると定められている領域(AC部)にISDB-T付加信号生成部13から出力されたAC信号を割り当てる。
【0052】
また、OFDMフレーム構成部17は、第1の周波数帯帯域から拡張された第2の周波数帯域のデータキャリアを含めてフレーム化する機能を有する。したがって、OFDMフレーム構成部17は、調整帯域に配置された次世代方式のデータキャリア信号を含めてOFDMフレームを構成することができる。また、OFDMフレーム構成部17は、新規放送付加信号生成部14から出力された付加信号を調整帯域に割り当てる。
【0053】
したがって、第1の周波数帯域には、ISDB-T方式におけるデータキャリア信号および付加信号と、次世代方式におけるデータキャリア信号とが割り当てられる。また、調整帯域には、次世代方式におけるデータキャリア信号および付加信号が割り当てられる。このように本実施形態では、第1の周波数帯域の外側の調整帯域においても、次世代方式のデータ信号が送信される。そのため、現行放送への影響を抑制しつつ、伝送容量の拡大を図ることができる。
【0054】
なお、次世代方式におけるTMCC信号を、ISDB-T方式のTMCC部に配置することも考えられる。しかしながら、この場合、現行のISDB-T方式のTMCC部を変更する必要があり、現行放送への影響が生じてしまうので好ましくない。また、この場合、次世代方式のデータキャリア信号に対する復調などを行うために、ISDB-T方式の信号を一度復調して、次世代方式におけるTMCC信号を取得する必要が生じ、処理負荷の増大を招いてしまう。
【0055】
OFDMフレーム構成部17は、構成したOFDMフレームをOFDM変調部18に出力する。
【0056】
OFDM変調部18は、OFDMフレーム構成部17から出力されたOFDMフレームをOFDM変調して送信する。
【0057】
次に、本実施形態に係る受信装置の構成について説明する。本実施形態に係る受信装置は、2つの異なる信号が重畳された1つの信号について一方を干渉成分とみなして除去する復調方式、または、2つの信号成分を元に参照信号を複製して復調する復調方式により、LDMで多重された信号を分離して取得(復調)することが可能である。2つの異なる信号が重畳された1つの信号について一方を干渉成分とみなして除去する復調方式としては、例えば、逐次干渉除去(SIC:Successive Interference Canceller)方式がある。また、2つの信号成分を元に参照信号を複製して復調する復調方式としては、例えば、統合復調方式、最尤復号方式(MLD:Maximum likelihood decoding)がある。逐次干渉除去方式とは、LDMにより多重された信号のうち、電力の高い階層の信号から順次に復調し、復調した信号を受信信号から除去して、他の階層の信号を復調する方式である。また、統合復調方式とは、LDMにより多重された複数の信号を一括して復調する方式である。また、最尤復号方式とは、取り得る信号点と受信信号の信号点との尤度を算出し、尤度の大きい(確率の大きい)信号点を選択していくことにより、信号を復調する方式である。以下では、逐次干渉除去方式を用いた受信装置の構成と、統合復調方式を用いた受信装置の構成とを説明する。
【0058】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る受信装置20の構成例を示す図である。図7に示す受信装置20は、逐次干渉除去方式を用いてLDMにより多重された信号を復調するものである。
【0059】
図7に示す受信装置20は、OFDM復調部21と、ISDB-T付加信号復調部22と、伝搬路推定部23と、等化部24と、新規放送付加信号復調部25と、レベル調整部26と、ISDB-Tキャリア復調部27と、ISDB-T誤り訂正復号部28と、ISDB-T再変調部29と、ISDB-T除去部31と、レベル調整部32と、新規放送キャリア復調部33と、新規放送誤り訂正復号部34とを備える。
【0060】
OFDM復調部21は、送信装置10から受信した受信信号が入力される。OFDM復調部21は、入力された受信信号にOFDM復調を施し、OFDM復調後の信号を、ISDB-T付加信号復調部22、伝搬路推定部23、等化部24および新規放送付加信号復調部25に出力する。
【0061】
ISDB-T付加信号復調部22は、OFDM復調部21から出力された信号から、所定のキャリアに配置されている付加信号の復調を行い、ISDB-T方式における付加信号を取得する。ISDB-T付加信号復調部22は、取得した付加信号を各ブロックに出力する。例えば、ISDB-T付加信号復調部22は、TMCC信号に含まれる、第1の放送信号のキャリア変調方式を示す情報を、ISDB-Tキャリア復調部27に出力する。また、ISDB-T付加信号復調部22は、TMCC信号に含まれる、第1の放送信号の誤り訂正符号化方式を示す情報を、ISDB-T誤り訂正復号部28に出力する。
【0062】
伝搬路推定部23は、OFDM復調部21から出力された信号に含まれるパイロット信号に基づき伝搬路応答を推定し、推定結果を等化部24に出力する。
【0063】
等化部24は、伝搬路応答の推定結果を用いて、OFDM復調部21から出力された信号の伝搬路歪を補正する等化処理を行い、等化処理後の信号をレベル調整部26に出力する。
【0064】
新規放送付加信号復調部25は、OFDM復調部21から出力された信号から、調整帯域に配置されている付加信号の復調を行い、次世代方式における付加信号を取得する。新規放送付加信号復調部25は、取得した付加信号を各ブロックに出力する。例えば、新規放送付加信号復調部25は、TMCC信号に含まれる、第2の放送信号のキャリア変調方式を示す情報(変調情報)を、新規放送キャリア復調部33に出力する。また、新規放送付加信号復調部25は、TMCC信号に含まれる、第2の放送信号の誤り訂正符号化方式を示す情報を、新規放送誤り訂正復号部34に出力する。また、新規放送付加信号復調部25は、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報を、レベル調整部26およびレベル調整部32に出力する。
【0065】
なお、上述したように、次世代方式におけるTMCC信号には、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報が含まれていなくてもよい。この場合、新規放送付加信号復調部25は、第1の周波数帯域における受信信号の電力と、調整帯域における第2の放送信号の電力とから、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を推定してもよい。
【0066】
本実施形態においては、第1の周波数帯域における受信信号の電力レベルは一定である。また、第1の周波数帯域および調整帯域における第2の放送信号の電力レベルは一定である。仮に、電力比がXdBであった場合、第1の放送信号の電力P1、第2の放送信号の電力P2、2つの信号を合成した信号の電力Pは以下の式で表される。
P1=10^(X/10)×P2
P=P1+P2=10^(X/10)×P2+P2=(10^(X/10)+1)P2
【0067】
第1の周波数帯域における受信信号の平均受信電力をP’、調整帯域における第2の放送信号の平均受信電力をP2’と定義した場合、送信側と同様に電力比Xに基づいて、P’とP2’とには電力差が付いている。P’とP2’との電力比をX’とすると、X’は以下の式で表すことができる。
X’=P’/P2’=(10^(X/10)+1)
【0068】
上式を解くことで、送信側で設定したXを推定することができるため、受信装置20は、推定したXに基づいて、放送信号の復調を行うことができる。
【0069】
レベル調整部26は、新規放送付加信号復調部25から出力された情報に示される電力比に基づき、等化部24から出力された信号の電力レベルを調整する。具体的には、レベル調整部26は、送信装置10のレベル調整部15による第1の放送信号に対するレベル調整を相殺するようにレベル調整を行う。レベル調整部26は、レベル調整後の信号を、ISDB-Tキャリア復調部27およびISDB-T除去部31に出力する。
【0070】
ISDB-Tキャリア復調部27は、レベル調整部26から出力された信号に対して、ISDB-T付加信号復調部22から出力された情報に示されるキャリア変調方式に対応するキャリア復調を行う。ISDB-Tキャリア復調部27は、キャリア復調後の信号を、ISDB-T誤り訂正復号部28およびISDB-T再変調部29に出力する。
【0071】
ISDB-T誤り訂正復号部28は、ISDB-Tキャリア復調部27から出力された信号に対して、ISDB-T付加信号復調部22から出力された情報に示される誤り訂正符号化方式に対応する誤り訂正復号を行い、ISDB-Tコンテンツを取得する。
【0072】
ISDB-T再変調部29は、ISDB-Tキャリア復調部27から出力された信号を、送信装置10のISDB-Tデータキャリア信号生成部11と同じパラメータにより再変調し、第1の放送信号のレプリカ信号を生成する。ISDB-T再変調部29は、生成したレプリカ信号をISDB-T除去部31に出力する。
【0073】
ISDB-T除去部31は、レベル調整部26から出力された信号から、ISDB-T再変調部29から出力されたレプリカ信号を除去する。こうすることで、ISDB-T除去部31は、第2の放送信号に対応する信号を抽出することができる。ISDB-T除去部31は、レプリカ信号の除去後の信号をレベル調整部32に出力する。
【0074】
レベル調整部32は、新規放送付加信号復調部25から出力された情報に示される電力比に基づき、ISDB-T除去部31から出力された信号の電力レベルを調整する。具体的には、レベル調整部32は、送信装置10のレベル調整部15による第2の放送信号に対するレベル調整を相殺するようにレベル調整を行う。レベル調整部32は、レベル調整後の信号を、新規放送キャリア復調部33に出力する。
【0075】
新規放送キャリア復調部33は、レベル調整部32から出力された信号に対して、新規放送付加信号復調部25から出力された情報に示されるキャリア変調方式に対応するキャリア復調を行う。新規放送キャリア復調部33は、キャリア復調後の信号を、新規放送誤り訂正復号部34に出力する。
【0076】
新規放送誤り訂正復号部34は、新規放送キャリア復調部33から出力された信号に対して、新規放送付加信号復調部25から出力された情報に示される誤り訂正符号化方式に対応する誤り訂正復号を行い、新規放送コンテンツを取得する。
【0077】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る受信装置20の他の構成例を示す図である。図8に示す受信装置20は、統合復調方式を用いてLDMにより多重された信号を復調するものである。図8において、図7と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0078】
図8に示す受信装置20は、OFDM復調部21と、ISDB-T付加信号復調部22と、伝搬路推定部23と、等化部24と、新規放送付加信号復調部25と、ISDB-T誤り訂正復号部28と、新規放送誤り訂正復号部34と、参照信号生成部35と、キャリア復調部36とを備える。すなわち、図8に示す受信装置20は、図7に示す受信装置20と比較して、レベル調整部26、ISDB-Tキャリア復調部27、ISDB-T再変調部29、ISDB-T除去部31、レベル調整部32および新規放送キャリア復調部33に代えて、参照信号生成部35およびキャリア復調部36を備える。
【0079】
図8に示す受信装置20においては、ISDB-T付加信号復調部22は、第1の放送信号のキャリア変調方式を示す情報を参照信号生成部35に出力する。新規放送付加信号復調部25は、第2の放送信号のキャリア変調方式を示す情報、および、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報を参照信号生成部35に出力する。
【0080】
参照信号生成部35は、第1の放送信号のキャリア変調方式の各信号点と、第2の放送信号のキャリア変調方式の各信号点とを合成した参照信号を生成し、キャリア復調部36に出力する。すなわち、参照信号生成部35は、第1の放送信号のキャリア変調方式の各信号点と、第2の放送信号のキャリア変調方式の各信号点とからとり得る全ての信号点を参照信号として生成する。
【0081】
図9は、参照信号生成部35の構成例を示す図である。
【0082】
図9に示す参照信号生成部35は、信号変調部351,352と、レベル調整部353,354と、合成部355とを備える。
【0083】
信号変調部351は、第1の放送信号のキャリア変調方式(ISDB-T方式におけるデータキャリア信号のキャリア変調方式)を示す情報が入力される。信号変調部351は、入力された情報に示されるキャリア変調方式で取り得る全ての信号点の信号をレベル調整部353に出力する。
【0084】
信号変調部352は、第2の放送信号のキャリア変調方式(次世代方式におけるデータキャリア信号のキャリア変調方式)を示す情報が入力される。信号変調部352は、入力された情報に示されるキャリア変調方式で取り得る全ての信号点の信号をレベル調整部354に出力する。
【0085】
レベル調整部353は、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報が入力される。レベル調整部353は、入力された情報に示される電力比に基づき、信号変調部351から出力された信号の電力レベルを調整する。具体的には、レベル調整部353は、送信装置10のレベル調整部15による第1の放送信号に対するレベル調整と同様に、信号変調部351から出力された信号の電力レベルを調整する。レベル調整部353は、レベル調整後の信号を合成部355に出力する。
【0086】
レベル調整部354は、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報が入力される。レベル調整部354は、入力された情報に示される電力比に基づき、信号変調部352から出力された信号の電力レベルを調整する。具体的には、レベル調整部354は、送信装置10のレベル調整部15による第2の放送信号に対するレベル調整と同様に、信号変調部352から出力された信号の電力レベルを調整する。レベル調整部354は、レベル調整後の信号を合成部355に出力する。
【0087】
合成部355は、レベル調整部353から出力された各信号に、レベル調整部354から出力された全信号を重畳させて合成し、参照信号としてキャリア復調部36に出力する。
【0088】
図8を再び参照すると、キャリア復調部36は、等化部24による等化処理後の受信信号に対して、参照信号生成部35から出力された参照信号を用いてキャリア復調を行う。図10は、キャリア復調部36の構成例を示す図である。
【0089】
図10に示すキャリア復調部36は、尤度生成部361と、尤度分離部362とを備える。
【0090】
尤度生成部361は、参照信号生成部35から出力された参照信号に基づき、全ての参照点(とり得る全ての信号点)から受信信号の信号点までのユークリッド距離を算出し、算出したユークリッド距離に基づき、全ての参照点について尤度を算出する。
【0091】
尤度分離部362は、尤度生成部361により算出された尤度が最も高い参照点から、ISDB-T方式のデータ信号に対応するビットと次世代方式のデータ信号に対応するビットとを分離する。そして、尤度分離部362は、ISDB-T方式のデータ信号に対応するビットをISDB-T誤り訂正復号部28に出力し、次世代方式のデータ信号に対応するビットを新規放送誤り訂正復号部34に出力する。
【0092】
このように本実施形態においては、送信装置10は、ISDB-T方式(第1の方式)により送信されるデータ信号から、第1の周波数帯域の信号である第1の放送信号を生成するISDB-Tデータキャリア信号生成部11(第1の信号生成部)と、次世代方式(第2の方式)により送信されるデータから、第2の周波数帯域の信号である第2の放送信号を生成する新規放送データキャリア信号生成部12(第2の信号生成部)とを備える。また、送信装置10は、第2の放送信号の電力レベルが、第1の放送信号の電力レベルよりも低くなるように、第1の放送信号および第2の放送信号の電力レベルを調整するレベル調整部15と、電力レベルの調整後の第1の放送信号と第2の放送信号とを合成する合成部16とを備える。そして、送信装置10は、合成後の信号からOFDMフレームを構成し、OFDMフレームをOFDM変調して送信する。ここで、第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域に対応する帯域と、その帯域の両側に隣接する調整帯域とを含む。
【0093】
現行放送の伝送帯域およびデータ構造などを変更することなく、調整帯域を次世代方式のデータ信号の送信に用いるので、現行放送への影響を抑制しつつ、伝送容量の拡大を図ることができる。
【0094】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、各セグメントにおける第1の放送信号の電力レベルは一定であり、各セグメントおよび調整帯域における第2の放送信号の電力レベルは一定である例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、セグメント毎に、第1の放送信号と第2の放送信号との電力レベルが異なる、また、調整帯域と、第1の周波数帯域とで、第2の放送信号の電力レベルが異なるといった電力レベルの調整が行われてもよい。以下では、このような電力レベルの調整が行われる送信装置およびその送信装置から送信された信号を受信する受信装置について説明する。
【0095】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る送信装置10Aの構成例を示す図である。
【0096】
図11に示す送信装置10Aは、図1に示す送信装置10と比較して、新規放送付加信号生成部14およびレベル調整部15をそれぞれ、新規放送付加信号生成部14Aおよびレベル調整部15Aに変更した点が異なる。
【0097】
新規放送付加信号生成部14Aは、第1の実施形態における新規放送付加信号生成部14と同様に、次世代放送におけるパイロット信号、TMCC信号(制御信号)およびAC信号などの付加信号を生成し、OFDMフレーム構成部17に出力する。ここで、本実施形態においては、新規放送付加信号生成部14Aは、制御信号として、セグメントごとの第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報(以下、「セグメント毎の電力情報」と称する)を生成し、レベル調整部15Aに出力する。また、新規放送付加信号生成部14Aは、制御信号として、調整帯域における第2の放送信号の電力レベルを示す情報(以下、「調整帯域電力情報」と称する。)を生成し、レベル調整部15Aに出力してもよい。
【0098】
レベル調整部15Aは、セグメント毎に、第1の放送信号と第2の放送信号との電力レベルを調整可能である。具体的には、レベル調整部15Aは、新規放送付加信号生成部14Aから出力されたセグメント毎の電力情報および/または調整帯域電力情報に基づき、第1の放送信号および第2の放送信号の電力レベルを調整する。
【0099】
図12は、レベル調整部15Aによる電力レベルの調整後の第2の放送信号の一例を示す図である。
【0100】
図12に示すように、レベル調整部15Aは、セグメント毎の電力情報に基づき、例えば、移動受信用セグメントにおける第2の放送信号の電力レベルを、固定受信用セグメントにおける第2の放送信号電力レベルよりも大きくする。また、レベル調整部15Aは、調整帯域電力情報に基づき、調整帯域における第2の放送信号の電力レベルを、第1の周波数帯域における第2の放送信号の電力レベルよりも大きくする。
【0101】
なお、レベル調整部15Aは、第1の放送信号については、第1の実施形態と同様に、セグメント毎の電力レベルを一定にする。したがって、レベル調整部15Aによる電力レベルの調整後の第1の放送信号と第2の放送信号とが合成部16により合成された信号は、図13に示すように、セグメント毎に(図13の例では、移動受信用セグメントと固定受信用セグメントとで)、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比が異なる。
【0102】
一般に、移動受信端末向けの放送は、固定受信端末向けの放送と比較して、所要C/Nが小さい。すなわち、移動受信用セグメントにおける所要C/Nは、固定受信用セグメントにおける所要C/Nよりも小さい。したがって、移動受信用セグメントにおける第2の放送信号の電力レベルを、固定受信用セグメントにおける第2の放送信号における電力レベルよりも大きくすることができる。すなわち、移動受信用セグメントにおける第1の放送信号に対する第2の放送信号の電力比を、固定受信用セグメントにおける第1の放送信号に対する第2の放送信号の電力比よりも大きくすることができる。
【0103】
また、調整帯域には、ISDB-T方式における信号は多重されない。そのため、次世代方式における信号の電力を大きくしても、現行放送への影響を抑制することができる。
【0104】
本実施形態に係る受信装置の構成は、第1の実施形態に係る受信装置20(図7に示す受信装置20あるいは図8に示す受信装置20)と同様であるため、説明を省略する。ただし、本実施形態においては、新規放送付加信号復調部25は、次世代方式におけるTMCC信号(制御信号)に含まれるセグメント毎の電力情報および/または調整帯域電力情報を取得し、レベル調整部26およびレベル調整部32に出力する。
【0105】
上述したように、第1の実施形態においては、調整帯域における第2の放送信号の電力レベルと、第1の周波数帯域における第1の放送信号の電力レベルとから、第1の周波数帯域における第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を推定することが可能であった。そのため、第1の実施形態においては、新規放送付加信号復調部25は必ずしも、第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を示す情報をTMCC信号から取得する必要はなかった。
【0106】
一方、本実施形態においては、セグメント毎の第1の放送信号と第2の放送信号との電力比、および/または、調整帯域における第2の放送信号と第1の周波数帯域における第2の放送信号との電力レベルが異なる。そのため、受信信号から第1の放送信号と第2の放送信号との電力比を推定することは困難である。そこで、本実施形態においては、新規放送付加信号復調部25は、次世代方式におけるTMCC信号(制御信号)に含まれるセグメント毎の電力情報および/または調整帯域電力情報を取得する。
【0107】
このように本実施形態においては、レベル調整部15Aは、セグメント毎に、第1の放送信号と第2の放送信号との電力レベルを調整可能である。
【0108】
そのため、例えば、現行放送における所要C/Nが低いセグメントについては、第2の放送信号の電力レベルを上げることで、次世代放送の伝送容量の拡大を図ることができる。また、次世代放送の信号の平均電力が増加するため、次世代放送の放送エリアの拡大を図ることができる。また、次世代放送の信号の平均電力が変化しないようにセグメント毎あるいは調整帯域における第2の放送信号のレベルを調整する場合、次世代放送の信号の固定受信用セグメントにおける第2の放送信号の電力レベルを下げることができるので、現行放送の伝送特性の劣化を抑制することができる。
【0109】
なお、本実施形態では、送信装置10,10Aおよび受信装置20の構成および動作について説明したが、本発明はこれに限られず、第1の方式の信号と、第2の方式の信号とを多重して送信する送信方法、第1の方式の信号と、第2の方式の信号とを多重して送信された信号を受信する受信方法として構成されてもよい。
【0110】
また、実施形態では特に触れていないが、送信装置10,10Aおよび受信装置20が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0111】
あるいは、送信装置10,10Aおよび受信装置20が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ、および、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成され、送信装置10,10Aおよび受信装置20に搭載されるチップが提供されてもよい。
【0112】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0113】
10,10A 送信装置
11 ISDB-Tデータキャリア信号生成部(第1の信号生成部)
12 新規放送データキャリア信号生成部(第2の信号生成部)
13 ISDB-T付加信号生成部
14,14A 新規放送付加信号生成部(第3の信号生成部)
15,15A レベル調整部
16 合成部
17 OFDMフレーム構成部
18 OFDM変調部
111a,111b 誤り訂正符号化部
112a,112b キャリア変調部
113 帯域合成インターリーブ部
131 TMCC情報ビット生成部
132 同期ビット生成部
133 TMCC信号生成部
134 AC信号生成部
135 パイロット信号生成部
20 受信装置
21 OFDM復調部
22 ISDB-T付加信号復調部
23 伝搬路推定部
24 等化部
25 新規放送付加信号復調部
26 レベル調整部
27 ISDB-Tキャリア復調部
28 ISDB-T誤り訂正復号部
29 ISDB-T再変調部
31 ISDB-T除去部
32 レベル調整部
33 新規放送キャリア復調部
34 誤り訂正復号部
35 参照信号生成部
36 キャリア復調部
351,352 信号変調部
353,354 レベル調整部
355 合成部
361 尤度生成部
362 尤度分離部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13