(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】液体処理デバイス用の駆動ユニットおよび液体処理デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
A61M5/142 500
A61M5/142 522
(21)【出願番号】P 2020564187
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019062136
(87)【国際公開番号】W WO2019219564
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-19
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ハルムス
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-526633(JP,A)
【文献】実開平03-056884(JP,U)
【文献】国際公開第2018/083062(WO,A1)
【文献】特表2010-535057(JP,A)
【文献】特表2010-501282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイス(10)用の駆動ユニット(12)であって:
駆動ユニットハウジング(18)と、
該駆動ユニットハウジング内に保持され、医療デバイスを動作させるために駆動ユニットハウジングに対して可動である駆動部材(38)であって、液体処理ユニット(14)に動作可能に連結されるように構成されているカプラ出力部分(40)を含む駆動部材と、
駆動ユニットハウジング内に保持された駆動機構(48、64、66)であって、機構インターフェース(54)を介して駆動部材に連結可能であるか、または連結されており、駆動力または駆動トルクを駆動部材へ伝達するように構成されている駆動機構と、
駆動部材との封止インターフェースを確立するように設けられている封止部材(42)であって、封止インターフェースは、駆動ユニットハウジングの内部の封止セクション(46)を画成し、機構インターフェースは封止セクションに配置され、カプラ出力部分は封止セクションの外側に配置される、封止部材と
を含み、
駆動部材(38)は封止部材(42)に対して、第1の位置から第2の位置まで軸方向に可動であり、駆動ユニットは、封止インターフェースの耐密さが第1の位置と第2の位置で異なるように構成さ
れ、
第1の位置で封止部材(42)が係合する駆動部材(38)の第1のセクションは、第2の位置で封止部材が係合する駆動部材の第2のセクションよりも大きい外径を有する、前記駆動ユニット。
【請求項2】
駆動ユニットは、駆動部材を第1の位置の方へ付勢するように構成されている付勢機構(60)を含む、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
駆動部材(38)は、付勢力を付勢機構(60)から第1の位置の封止部材まで伝達する伝達部材(82)を含み、付勢力は、封止部材と駆動部材の間の封止力を高めるために用いられる、請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
封止部材(42)は、第1の位置および第2の位置で駆動部材(38)に封止係合する
、請求項1
~3のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
駆動ユニット(12)は、封止インターフェースが、第1の位置の方が第2の位置よりも耐密であるように構成される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
封止部材(42)は径方向軸封止材である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
駆動機構は電動の駆動機構であり、電気モータ(48)を含み、電源(50)は駆動ユニットハウジング(18)内に配置される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の駆動ユニット(12)と、液体処理ユニット(14)とを含む医療デバイス(10)であって、液体処理ユニットは、液体(35)を含む、または液体を受けるように適用されているリザーバ(30)と、液体を該リザーバから、および/または該リザーバまで動かすように動作可能であるポンプ機構(26、27、28)とを含み、該ポンプ機構は、液体処理ユニット(14)のカプラ入力部分(36)を介して駆動ユニット(12)の駆動部材(38)のカプラ出力部分(40)に動作可能に連結されるポンプ駆動部(28)を含む、前記医療デバイス。
【請求項9】
液体処理ユニット(14)は解放可能に駆動ユニット(12)に連結される、請求項
8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
液体処理ユニット(14)は液体処理ユニットハウジング(18)を含み、リザーバ(30)およびポンプ機構(26、27、28)は、液体処理ユニットハウジング内に配置または保持される、請求項
8または
9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
医療デバイス(10)は、医療デバイスを哺乳動物の体に取り付けるように構成されている取付面(58)を含む、請求項
8~
10のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
取付面(58)が粘着剤を備える、請求項
11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
駆動ユニット(12)は再使用可能ユニットであり、液体処理ユニット(14)は使い捨てユニットである、請求項
8~
12のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
医療デバイス(10)はパッチポンプである、請求項
8~
13のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
医療デバイス(10)は、液体薬物(35)がリザーバ(30)に保持される薬物送達デバイスである、請求項
8~
14のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項16】
医療デバイス(10)用の駆動ユニット(12)であって:
駆動ユニットハウジング(18)と、
該駆動ユニットハウジング内に保持され、医療デバイスを動作させるために駆動ユニットハウジングに対して可動である駆動部材(38)であって、液体処理ユニット(14)に動作可能に連結されるように構成されているカプラ出力部分(40)を含む駆動部材と、
駆動ユニットハウジング内に保持された駆動機構(48、64、66)であって、機構インターフェース(54)を介して駆動部材に連結可能であるか、または連結されており、駆動力または駆動トルクを駆動部材へ伝達するように構成されている駆動機構と、
駆動部材との封止インターフェースを確立するように設けられている封止部材(42)であって、封止インターフェースは、駆動ユニットハウジングの内部の封止セクション(46)を画成し、機構インターフェースは封止セクションに配置され、カプラ出力部分は封止セクションの外側に配置される、封止部材と
を含み、
駆動部材(38)は封止部材(42)に対して、第1の位置から第2の位置まで軸方向に可動であり、駆動ユニットは、駆動部材を第1の位置の方へ付勢するように構成されている付勢機構(60)を含
み、
第1の位置で封止部材(42)が係合する駆動部材(38)の第1のセクションは、第2の位置で封止部材が係合する駆動部材の第2のセクションよりも大きい外径を有する、前記駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、特に薬物送達デバイスなどの液体処理デバイス用の駆動ユニットに関する。さらに、本開示は、そのような駆動ユニットを備えた液体処理デバイスおよび/または医療デバイス、特に薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液体処理デバイス用の駆動ユニットは比較的複雑であり、かつ製造するのに費用がかかることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、薬物送達デバイスなどの液体処理デバイスおよび/または医療デバイス用の改善された駆動ユニットを提供することである。さらに、改善された液体処理デバイスおよび/または医療デバイス、特に薬物送達デバイスを提供することが目的である。
【0004】
この目的は、独立請求項に定義された主題によって達成される。有利な改良点および実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの態様は、医療デバイス、特に薬物送達デバイスなどの液体処理デバイス用の駆動ユニットに関する。本開示の別の態様は、駆動ユニットを含む液体処理デバイスおよび/または医療デバイス、特に薬物送達デバイスに関する。このデバイスは、駆動ユニットおよび液体処理ユニットを含むことができる。液体処理ユニットは駆動ユニットに、たとえば解放可能に固定される。液体処理ユニットは、使い捨て品または使い捨てユニットを形成し得る。駆動ユニットは再使用される。デバイスは投薬デバイスとすることができ、この場合、液体がそのデバイスおよび/または回収もしくは吸引デバイスから投薬され、液体物質がデバイスの外部からデバイスの中へ吸引される。
【0006】
本明細書では、駆動ユニットに関連する機能はまた、駆動ユニットを含むデバイスにも適用され、逆も同様であることに留意されたい。すなわち、たとえば、ある機能がデバイスと併せて開示された場合、その機能はまた、デバイスの他の機能を参照しなくても、駆動ユニットに関して開示されていると考えられたい。さらに、異なる態様または実施形態と併せて論じられる諸機能は、互いに組み合わされることが、たとえそのような組合せが明確に開示されていなくてもあり得る。
【0007】
一実施形態では、駆動ユニットは、駆動ユニットハウジングと、駆動ユニットハウジング内に保持され、デバイスを動作させるために駆動ユニットハウジングに対して可動である駆動部材とを含む。駆動部材はカプラ出力部分を含む。カプラ出力部分は適宜、液体処理ユニット(たとえば液体処理ユニットのカプラ入力部分)に動作可能に連結されるように構成される。カプラ出力部分は自由端を有することができる。液体処理ユニットはデバイスの一部とすることができる。カプラ出力部分は、インターフェースを画成することができ、たとえば、駆動ユニットを液体処理ユニットに連結するための、1つまたはそれ以上の機械的連結機能を提供する。駆動部材のカプラ出力部分は、残りの駆動部材を備えた別個の部材または単体として形成される。すなわち、駆動部材は複数の部材(たとえば、駆動軸および連結部材などの2つの部材)を有することができ、または単体とすることができる。駆動部材が複数の部材を有する場合、これらの部材は、駆動部材が単一の部材として機能するように好ましくは堅く連結される。液体処理ユニットが動作可能に駆動ユニットに連結される場合、たとえばデバイスが組み立てられている場合、カプラ出力部分は、動き、力および/またはトルクを駆動部材から液体処理ユニットへ伝達する(transfer)ために、液体処理ユニットのカプラ入力部分に連結される。カプラ出力部分は、駆動部材の動きが駆動ユニットから液体処理ユニットへ伝達されるように、カプラ入力部分に回転不能に、かつ/または軸方向にロックされる。駆動部材から液体処理ユニットへ伝達される動きは、液体処理ユニット内の液体を操作するために用いられる。液体処理ユニットのカプラ入力部分は、ポンプ駆動部連結部分とすることができ、これは、駆動部材と液体処理ユニットのポンプ駆動部との間の連結をもたらす。ポンプ駆動部は、液体処理ユニットのポンプ動作を駆動するように構成される。ポンプ駆動部は、液体処理ユニットの中の液体を動かすように構成される。駆動部材と液体処理ユニットが動作可能に連結される場合、駆動ユニットハウジングは、好ましくは、液体処理ユニットの液体処理ユニットハウジングに解放可能に固定される。
【0008】
さらに、駆動機構が駆動ユニットハウジング内に保持される。駆動機構は、機構インターフェースを介して駆動部材に連結されているか連結可能である。駆動機構は、駆動力または駆動トルクを機構から駆動部材へ伝達するように構成される。力またはトルクの伝達は、機構インターフェースを介して行うことができる。駆動部材は、たとえば、駆動軸とすることも駆動軸を含むこともできる。
【0009】
駆動ユニットはさらに、封止部材を含む。封止部材は、好ましくは、駆動部材との封止インターフェースを確立するように設けられる。封止部材は、駆動部材に封止係合することができる。たとえば、封止部材は、駆動部材に係合して駆動部材との封止インターフェースを提供する封止リップを有することができる。封止インターフェースは、駆動ユニットハウジングの内部の封止セクションを画成または限定することができる。カプラ出力部分は適宜、封止セクションの外側に配置される。このようにして、カプラ出力部分は、液体処理ユニットとのインターフェースを提供することができる。駆動部材と駆動機構の間の機構インターフェースは、好ましくは封止セクションの中に配置される。機構インターフェースだけでなく、駆動機構全体も、また必要であれば、駆動機構を駆動するためのエネルギーを提供するエネルギー源または動力源も、駆動ユニットハウジング内に、特に封止セクションに設けられる。駆動部材との封止インターフェースを確立する封止部材を設けることによって、駆動ユニットハウジングの封止セクションに配置される駆動ユニットの要素が、湿気、汚れ、および/または塵埃などの環境の影響に対して保護されることが確実になる。封止インターフェースは、湿気密、水密、噴流水密、および/または塵埃密とすることができる。
【0010】
したがって、液体処理ユニットの要素まで動きを伝達する要素、すなわち駆動部材は、駆動ユニットハウジングの封止セクションから封止セクションの外側へと封止部材を越えて案内され、液体処理ユニットとの好ましくは機械的なインターフェースを提供するのに役立つ。駆動ユニットハウジングの内部の残りの部分は、適切に封止される。
【0011】
一実施形態では、駆動部材は封止部材に対して、たとえば軸方向に、かつ/または回転可能に可動である。駆動部材は封止部材に対して、第1の位置から第2の位置まで、かつ/またはその逆に、たとえば軸方向に可動とすることができる。駆動部材は、カプラ出力部分が液体処理ユニットのカプラ入力部分に動作可能に連結されているとき、第2の位置にあり得る。駆動部材は、液体処理ユニット全体および/またはそのカプラ入力部分が駆動ユニットから切り離されているとき、第1の位置にあり得る。駆動ユニットが液体処理ユニットに動作可能に連結されているとき、駆動部材は、第1の位置から離れて第2の位置に向けて動かすことができる。第2の位置では、駆動ユニットと液体処理ユニットが連結される。
【0012】
したがって、駆動部材は、前記液体処理ユニットとの連結が確立しているときに軸方向に可動とすることができる。この動きは、カプラ出力部分から見たときに封止部材へ向かうものになり得る。その結果、第2の位置では、駆動ユニットハウジングの封止セクションに配置されている駆動部材のセクションが、第1の位置で封止セクションに配置されているものよりも長くなり得る。
【0013】
一実施形態では、駆動ユニットは、駆動部材をたとえばそれが第2の位置にあるときに第1の位置の方へ、またはそこに向けて付勢するように構成されている付勢機構を含む。すなわち、第1の位置は、特に駆動部材が動作可能に液体処理ユニットに連結されていないときに、駆動部材の標準位置になり得る。液体処理ユニットが駆動ユニットから切り離されているとき、駆動部材は、付勢機構によって第2の位置から出発して第1の位置に向けて、またはその位置の方へ後退させることができる。付勢機構は、ばね(たとえば、圧縮ばね)を含むことができる。ばねは、第1の位置から第2の位置への動きの間に変形する。付勢機構は、駆動ユニットハウジングの封止セクションに配置される。
【0014】
一実施形態では、駆動部材と駆動機構の間の機構インターフェースは解放可能なインターフェースである。ハウジングおよび/または封止部材に対する駆動部材の第1の位置では、機構インターフェースは解放される。すなわち、この位置では、駆動部材と駆動機構はデカップリングされる。したがって、液体処理ユニットが駆動ユニットから切り離されると、このとき第1の位置にあり得る駆動部材は、デバイスの使用者(たとえば患者)による操作を受ける。液体処理ユニットが駆動ユニットから切り離されるときに機構インターフェースが確立されていない場合には、駆動部材と駆動機構の間の連結が解放されているので、使用者は、操作力または操作トルクを駆動機構へ伝達するリスクなしに駆動部材を操作することができる。すなわち、液体処理ユニットが動作可能に駆動ユニットに連結されていないときに機構インターフェースが解放されていれば、使用者が駆動機構を損傷するリスクが低減される。第2の位置では、この機構は適宜に確立される。すなわち、駆動機構と駆動部材は動作可能に連結されて、互いの間で適宜に、駆動機構から駆動部材まで力および/またはトルクが伝達される。
【0015】
一実施形態では、封止部材は駆動ユニットハウジングに固定される。封止部材は、軸方向に、かつ/または回転不能に駆動ユニットハウジングに固定される。したがって、駆動ユニットハウジングに対する封止部材の軸方向運動および/または回転運動が防止される。その結果、封止部材は、それが駆動ユニットハウジングに固定される固定セクションを有することができる。封止部材はさらに、それが駆動部材とインターフェースをとる封止セクションを有することができる。封止セクションは、固定セクションに対して径方向に、たとえば内向きにオフセットされる。封止セクションと固定セクションは、軸方向に重なり合うことができる。駆動部材は、封止セクションを貫通して、たとえば、封止セクションによって周方向に範囲が定められた開口部を貫通して延びることができる。
【0016】
一実施形態では、駆動部材は、動作中に封止部材に対して回転するように、かつ/または軸方向に動くように構成される。たとえば、駆動部材が第2の位置にあるときに、駆動部材は、たとえば液体処理ユニット内の液体を動かすために、動作中に封止部材および/または駆動ユニットハウジングに対して軸方向に可動、かつ/または回転可能であり得る。封止部材は、動作中に駆動部材が動く間、駆動部材と係合される。すなわち、封止インターフェースは適宜、駆動ユニットの動作中にも起動している。
【0017】
一実施形態では、封止部材は通路(たとえば開口部)を画成する。駆動部材は、この通路を通って延びることができる。
【0018】
一実施形態では、第1と第2のセクション間の動きの間に封止部材に沿って移動する駆動部材のセクションは、一定の外径を有することができる。駆動部材の少なくともこのセクションは、円筒形の外形を有することができる。
【0019】
一実施形態では、駆動部材は、外径が異なる少なくとも2つのセクション、たとえば大きい外径のセクションおよび小さい外径のセクションを含む。たとえば、第1のセクションは、第2のセクションよりも大きい外径を有することができる。封止部材は、たとえば第1の位置および/または第2の位置で、駆動部材の小さい方の外径のセクションに係合することができる。このことは、駆動ユニットの動作中の封止部材と駆動部材の間のいずれの軸方向相対位置でも当てはまる。大きい方の外径のセクションは、封止セクションの外側に、たとえば第1の位置および/または第2の位置に配置される。第1と第2の位置間の動きの間に封止部材に沿って移動する駆動部材のセクションは、一定の外径を有することができる。このセクションは円筒形とすることができる。外径が大きい方のセクションは、封止セクションの外側に、たとえば第1および第2の位置に配置される。したがって、封止部材と駆動部材の間の接触領域は小さく保たれ、このことは、駆動部材が第1の位置にあるときの動作中の摩擦損失に関して、かつ/または、駆動部材を第1の位置から第2の位置へ動かすのに必要な力に関して、有利であり得る。外径が大きい方のセクションは、カプラ出力部分の一部になり得る。
【0020】
一実施形態では、封止部材は周方向に駆動部材と係合する。したがって、封止インターフェースは周方向に、たとえばリング状に、駆動部材のまわりに延びることができる。
【0021】
一実施形態では、封止部材は弾性封止材である。したがって、封止部材は、駆動部材と相互作用する、またはその全体で相互作用する、少なくとも封止セクションで特に弾性的に変形可能とすることができる。封止部材は、たとえばゴム封止材とすることができ、あるいはゴムの封止セクションを含む。弾性封止材は、耐密に封止されたインターフェースを提供するのに特に適している。封止部材が弾性的に変形可能である場合、封止部材の変形していない形状を再確立する傾向がある弾性復元力を用いて、封止部材の封止効率を高めることができる。
【0022】
一実施形態では、封止部材は径方向軸封止材である。径方向軸封止材は、特に、封止インターフェースが確立される間に駆動部材が封止部材に対して動くときの摩擦損失が小さいので、耐密に封止されたインターフェースを提供するのに特に有利である。封止部材と相互作用する駆動部材セクションは、軸の形のセクションとすることができる。
【0023】
一実施形態では、封止部材は、駆動部材の径方向に向く面と係合する。
【0024】
一実施形態では、封止部材によって提供された封止インターフェースは、第1の位置および第2の位置で確立される。したがって、駆動ユニットが動作可能に液体処理ユニットに結合されるときに、また液体処理ユニットが提供されないときにも、封止は動作中に効果的であり得る。
【0025】
一実施形態では、封止部材は、第1の位置および/または第2の位置で、特に封止して、駆動部材に係合する。したがって、封止インターフェースは両方の位置で確立される。
【0026】
一実施形態では、駆動ユニットは、封止インターフェースの耐密さが第1の位置と第2の位置で異なるように構成される。好ましくは、封止インターフェースは、第1の位置における方が第2の位置におけるよりも耐密である。その結果、駆動ユニットが液体処理ユニットに動作可能に連結されていないときに、すなわち、駆動ユニットが潜在的に外部の影響をより多く受けるときに、液体処理ユニットが存在しないので、封止セクションはより耐密に封止される。この封止または封止インターフェースがより耐密であると、封止部材と駆動部材の間の封止力または接触力は、封止インターフェースがあまり耐密ではないときよりも大きくなる。すなわち、第1の位置では、封止インターフェースが第2の位置におけるよりも第1の位置における方が耐密である場合、封止力または接触力が第2の位置におけるよりも大きくなり、第2の位置の封止インターフェースの方がより耐密である場合には、その逆になる。
【0027】
あるいは、第1と第2の位置で、封止インターフェースは同じ耐密さを有することもある。
【0028】
一実施形態では、駆動ユニット(たとえば駆動部材)は伝達部材を含む。この伝達部材は、力を封止部材へ伝達することができる。この力は、たとえば、ばね力などの、付勢機構から生み出される付勢力であり得る。力は、第1の位置で、好ましくは第1の位置だけで封止部材まで伝達され、かつ/または第2の位置では封止部材まで伝達されない。力は、封止の耐密さを高めるために用いられる。したがって、力は、封止部材と駆動部材の間の封止力、または封止部材と駆動部材の間の接触力を高めるために用いられる。封止力を高めるために、付勢力の方向が変更される。たとえば、軸方向の付勢力は径方向の、好ましくは内向きの力に変換され、この変換により、封止部材が駆動部材に及ぼす力および/または圧力を高めることができる。
【0029】
伝達部材が駆動部材の一部である場合には、付勢機構の付勢力が、駆動部材を第1の位置へ動かすためだけでなく、駆動部材が第1の位置にあるときに封止力または接触力を高めるためにも用いられることが促進される。したがって、駆動ユニットにおいて封止部材を固定するインターフェースが、第1の位置を越えて駆動部材をなお動かす傾向のある残りの付勢力に反対に作用できるため、第1の位置では、封止部材によって第1の位置が画成されるように、付勢機構に残っている付勢力があり得る。すなわち、第1の位置においては、駆動部材を第2の位置および/または第1の位置から離れるように動かす傾向のある付勢力があり得る。
【0030】
伝達部材は、封止部材の外面に係合するように調整され構成される。伝達部材は、軸方向の力を封止部材まで伝達することができる。伝達部材は傾斜面を有することができ、かつ/または封止部材は傾斜面を有することができる。斜めの、または傾斜した面によって、軸方向力は径方向の、好ましくは内向きの力に変換されて、封止部材と駆動部材の間の封止力または接触力が高められる。すなわち、斜めの、または傾斜した面によって、軸方向の力が径方向の力に変換される。他の変換機構もまた、実施可能なように適用される。
【0031】
一実施形態では、第1の位置で駆動部材の第1のセクションに封止部材が係合する。第2の位置で駆動部材の第2のセクションに封止部材が係合する。第1のセクションと第2のセクションは、外径が異なり得る。第1のセクションは第2のセクションよりも外径が大きい。したがって、駆動部材と相互作用する封止部材および/またはその一部分が弾性的に変形可能である場合、たとえば径方向内向きの弾性復元力は、第1の位置での直径の方が大きい故に弾性変形が増加するので、第1の位置における方が第2の位置におけるよりも大きくなり得る。このようにして、第1の位置における耐密さは、第1のセクションにおける駆動部材の外径の方が大きいことによって増加する。
【0032】
あるいは、第1のセクションと第2のセクションは、等しい外径を有することができる。このことにより、第1の位置と第2の位置で耐密さが等しい封止インターフェースを設けることが容易になる。
【0033】
一実施形態では、駆動機構は電気的に駆動され、または電気的に動作するか動作可能である。駆動機構は適宜、駆動ユニットハウジング内、たとえばその封止セクションに配置および/または保持される。
【0034】
一実施形態では、駆動機構はモータ、特に電気モータを含む。モータは適宜、駆動ユニットハウジング内、たとえばその封止セクションに配置される。
【0035】
一実施形態では、駆動ユニットは動力源、たとえば電源を含む。動力源は、駆動ユニットハウジング内に配置される。動力源は、駆動部材をハウジングおよび/または封止部材に対して動かすための動力を提供する駆動機構に動作可能に、たとえば伝導的に連結される。たとえば、動力源は電池である。電池は交換可能とすることができる。動力源は適宜、駆動ユニットハウジングの封止セクションに配置される。
【0036】
一実施形態では、駆動ユニットは再使用可能である。すなわち、駆動ユニットは、複数の液体処理ユニットと組み合わせて使用される。このことは、駆動機構(たとえば電子的に制御される駆動機構)、モータ、および/または動力源などの、かなり高価な構成要素が駆動ユニットハウジング内に配置されている場合に特に効率がよい。
【0037】
一実施形態では、液体処理ユニットはポンプ機構を含む。ポンプ機構は、液体をリザーバから、および/またはリザーバの中へ動かすように動作可能とすることができる。リザーバは、液体処理ユニットに備えられる。リザーバは、液体を含むことができ、かつ/または液体を受けるように適用される。ポンプ機構は、ポンプ駆動部を含むことができる。ポンプ駆動部は、駆動ユニットの駆動部材のカプラ出力部分に、特に液体処理ユニットのカプラ入力部分を介して、連結される。カプラ入力部分は、ポンプ駆動部、またはポンプ駆動部に連結された(たとえば堅く連結された)部材に設けられる。駆動ユニットと液体処理ユニットが動作可能に連結されると、駆動ユニットの駆動部材の動きがポンプ駆動部まで伝達される。たとえば液体処理ユニットハウジングに対するポンプ駆動部の動きは、ポンプ動作を駆動するために用いられる。デバイスが投薬デバイスである場合、ポンプ機構は、液体をリザーバからデバイスの出口まで動かすことができる。デバイスが回収デバイスである場合、ポンプ機構は、液体をデバイスの入口からリザーバの中へ動かすことができる。ポンプ機構はポンプチャンバを含むことができる。ポンプ駆動部、または少なくともそのセクションは、ポンプチャンバ内に配置される。ポンプチャンバに対するポンプ駆動部の動きにより、液体処理ユニット内に液体の動きが生じる。
【0038】
一実施形態では、液体処理ユニットは液体案内導管を含む。液体案内導管は、液体通路端(たとえば入口または出口)を有することができる。この入口または出口は、デバイスの入口または出口を形成し得る。液体案内導管はリザーバに流体連結される。ポンプ駆動部のポンプ部分が可動に配置されるポンプチャンバは、好ましくは液体案内導管内に、特に、リザーバと液体通路端の間の流路に沿って見たときの液体通路端とリザーバの間に配置される。したがって、ポンプ駆動部は、たとえば、リザーバから液体通路を通して液体を投薬するために、かつ/または対象(たとえば哺乳動物の体)から液体通路端を通して液体を回収するために、液体案内導管に沿った液体の動きを制御することができる。
【0039】
一実施形態では、液体処理ユニットは、たとえばスナップ嵌めまたは別の適切な連結部を介して駆動ユニットに解放可能に連結される。したがって、液体処理ユニットは駆動ユニットから取り外されて廃棄され、駆動ユニットは別の液体処理ユニットと組み合わせて再使用される。液体処理ユニットはポンプ機構およびリザーバを含むが、それでも、提案された構想概念では使用後に廃棄される。その理由は、ポンプ機構が、製造するのに比較的容易でコスト効率が高く、そのため、一体化ポンプ機構を備えた液体処理ユニットのコストがなお許容可能であるからである。さらに、液体処理ユニットが使い捨てである場合には、ポンプ機構および/または付随する導管も廃棄され、ポンプ機構および導管が汚染されるリスクが、ポンプ機構が再使用されるデバイスとは対照的に低減される。
【0040】
一実施形態では、液体処理ユニットは液体処理ユニットハウジングを含む。リザーバおよび/またはポンプ機構、特にポンプ駆動部は、液体処理ユニットハウジング内に配置および/または保持される。液体案内導管は、液体処理ユニットハウジング内に配置または画成される。
【0041】
一実施形態では、デバイスにおいて、液体処理または案内の機能は、液体処理ユニットに制限され、液体処理ユニット内の液体を動かすための駆動機能、好ましくは全駆動機能が駆動ユニットによって提供される。デバイスの動作中、駆動ユニットの一要素(好ましくは全要素)と液体の間の接触は防止される。
【0042】
一実施形態では、デバイスは取付面を含む。この取付面は、リザーバに保持された薬物によって治療されるべき哺乳動物、たとえば人間(たとえば患者)の体にデバイスを取り付けるように構成される。デバイスは、取付面を介して哺乳動物の皮膚に固定される。取付面は、液体処理ユニットの面または駆動ユニットの面とすることができる。取付面が液体処理ユニットの1つの面である場合、デバイスを体に固定するための固定手段は液体処理ユニットと一緒に交換される。取付面が駆動ユニットに設けられる場合には、液体処理ユニットは交換されるが、駆動ユニットは、たとえば医師によって選択された、たとえば所定の位置で体に取り付けられたままになる。
【0043】
一実施形態では、取付面は粘着剤を備える。粘着剤によって、デバイスは体に固定される。
【0044】
一実施形態では、デバイスは、長期間、たとえば数日または数週間、体に連結されたままでいるように設計される。
【0045】
一実施形態では、デバイスはパッチポンプである。その結果、デバイスはポンプ機構を含み、哺乳動物の体などの対象物または表面にパッチのように付けられる。
【0046】
一実施形態では、デバイスは薬物送達デバイスである。液体薬物はリザーバに保持される。したがって、液体薬物は、駆動ユニットによってリザーバから、またデバイスから投薬される。
【0047】
一実施形態では、デバイスはアクチュエータを含み、これは、動作したときに、たとえば薬物の用量、すなわちリザーバに含まれる薬物の選択されたサブ量をデバイスから投薬するための用量送達動作などのデバイスの動作(たとえば液体を投薬するための送達動作)をトリガする。アクチュエータは、使用者操作可能とすることができる。アクチュエータは、駆動ユニットに設けられる。たとえば、アクチュエータは、たとえばリザーバから液体を投薬するように投薬動作をトリガするために、使用者が触れることができるボタンとすることができる。当然ながら、外部に対してアクチュエータは、ハウジングの内部の封止セクションの封止が危うくならないように封止される。
【0048】
一実施形態では、液体処理ユニットの端部通路は、針もしくは針先端部および/またはコネクタによって提供され、このコネクタは、ねじ付コネクタのような針に、または液体案内導管をチューブに連結するルアーコネクタのようなチューブに、たとえば解放可能または恒久的に連結されるように設けられる。針コネクタが設けられない場合、針は、一体化部材として液体処理ユニットに一体化される。この場合、針は液体処理ユニットと一緒に廃棄される。
【0049】
本開示のさらなる機能、利点、および便宜的なものは、図面と併せた例示的な実施形態についての以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】異なる状態の、すなわち
図1では液体処理ユニットに連結されていなく、
図2では液体処理ユニットに連結されている駆動ユニットの1つの実施形態の一部分の概略断面図をそれぞれ示す図である。
【
図2】異なる状態の、すなわち
図1では液体処理ユニットに連結されていなく、
図2では液体処理ユニットに連結されている駆動ユニットの1つの実施形態の一部分の概略断面図をそれぞれ示す図である。
【
図3】異なる状態の、すなわち
図3では液体処理ユニットに連結されていなく、
図4では液体処理ユニットに連結されている駆動ユニットの1つの実施形態の一部分の概略断面図をそれぞれ示す図である。
【
図4】異なる状態の、すなわち
図3では液体処理ユニットに連結されていなく、
図4では液体処理ユニットに連結されている駆動ユニットの1つの実施形態の一部分の概略断面図をそれぞれ示す図である。
【
図5】異なる状態の、すなわち
図5では液体処理ユニットに連結されていなく、
図6では液体処理ユニットに連結されている駆動ユニットの1つの実施形態の一部分の概略断面図をそれぞれ示す図であり、
図5Aは、
図5の一領域を示す図であり、
図6Aは、同じ領域であるが
図6に描かれた状態の図である。
【
図6】異なる状態の、すなわち
図5では液体処理ユニットに連結されていなく、
図6では液体処理ユニットに連結されている駆動ユニットの1つの実施形態の一部分の概略断面図をそれぞれ示す図であり、
図5Aは、
図5の一領域を示す図であり、
図6Aは、同じ領域であるが
図6に描かれた状態の図である。
【
図7】異なる状態の、すなわち
図7では液体処理ユニットに連結されていなく、
図8では液体処理ユニットに連結されている駆動ユニットの1つの実施形態の一部分の概略断面図をそれぞれ示す図である。
【
図8】異なる状態の、すなわち
図7では液体処理ユニットに連結されていなく、
図8では液体処理ユニットに連結されている駆動ユニットの1つの実施形態の一部分の概略断面図をそれぞれ示す図である。
【
図9】
図1~
図4によって示された実施形態のうちの1つの実施形態の駆動ユニットを含むことができる液体処理デバイスの例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
全く同じ要素、同じ種類の要素、および全く同様に動作する要素は、図中で同じ参照番号が付けられることがある。
【0052】
図9は、特に医療デバイスである、液体処理デバイスの例示的な実施形態を示す。描かれた実施形態は薬物送達デバイス10であり、薬物または薬剤を送達するように設計されている。当然ながら、開示された構成概念は、他の液体処理デバイスまたは医療デバイスにも適用され、同様に液体投薬デバイスまたは液体回収デバイスであっても適用される。
【0053】
薬物送達デバイス10は、駆動ユニット12および液体処理ユニット14を含む。駆動ユニット12と液体処理ユニット14は、互いに解放可能に取り付けられるか固定される。液体処理ユニット14は、たとえば液体処理ユニット内の薬物または薬剤が使い果たされてしまうために、新しいものと取り替えることができる使い捨てユニットとすることができる。駆動ユニット12は適宜、再使用可能なユニットであり、いくつかの液体処理ユニットと一緒に使用される。解放可能な連結がスナップ嵌め連結、押し嵌め連結、Velcro連結、解放可能な粘着連結などによって行われる。駆動ユニット12と液体処理ユニット14の間の具体的な連結手段は明示されていない。液体処理ユニット14は、液体処理ユニットハウジング16を含む。駆動ユニット12は、駆動ユニットハウジング18を含む。明示されていない嵌合連結手段は、液体処理ユニットハウジング16および駆動ユニットハウジング18の各端面に設けられ、互いに向かい合い、機械的に協働すると、液体処理ユニットハウジング16が解放可能に駆動ユニットハウジング18に取り付けられる。
【0054】
液体処理ユニット14は、液体案内導管20を含む。液体案内導管20に沿って、液体は、デバイス10の動作中に液体処理ユニット内を案内される。導管20は、たとえば図示のようにハウジング内にチャネル構造物を設けることによって、または別法として、ハウジング内に配置されたチューブシステムによって、妥当な場合にはチャネル構造物と一緒に、ハウジング内に画成される。導管20は、少なくとも2つの異なるセクションである、第1のセクション22および第2のセクション24を有する。2つのセクション22と24の間の流路にポンプチャンバ26が配置され、このポンプチャンバは、導管20のセクション22およびセクション24と流体連通している。セクション22および24は、好ましくは、ポンプチャンバへのアクセスを提供する別々の開口部から離れるように延びる。ポンプチャンバ26の中に、ポンプ駆動部28の、たとえばポンプヘッドであるポンプ部分27が配置される。ポンプ駆動部28は、流体を導管に沿って、たとえば第1のセクション22から第2のセクション24へ、かつ/またはその逆に移動させるために、ポンプチャンバ26に対して可動である。ポンプ駆動部28は、たとえば、ポンプチャンバ26内で回転可能とすることができる。ポンプ駆動部28はロータとすることができる。チャンバの壁は、回転可能に動作するポンプのステータとして機能することができる。ステータは、ポンプ駆動部28がポンプチャンバおよび/または液体処理ユニットハウジングに対して回転するときに、ポンプ動作をもたらすようにロータと協働することができる。
【0055】
液体処理ユニット14はさらに、リザーバ30を含む。セクション24は、リザーバ30と流体連通している。特に、セクション24は、流路においてリザーバ30とポンプチャンバ26の間に配置される。セクション22は、液体通路端32と、または導管20の開放端と流体連通している。
【0056】
図9では、導管20の端部が参照符号32によって強調されている。セクション22は、流路においてポンプチャンバ26と端部32の間に配置される。端部32は、たとえば、液体処理ユニットハウジング16の開口部によって形成される。端部32は、チューブを液体処理ユニットの導管20に流体連結するための、たとえばルアーコネクタであるチューブコネクタなどのコネクタ(明示せず)を備え、かつ/または、たとえば解放可能にニードルユニットをハウジングに連結するための、また導管20に流体連結するための針コネクタを備えることができる。あるいは、図示のように、針34が液体処理ユニット14に、導管、特にそのセクション22と流体連通して設けられる。針34は、液体処理ユニットの一体化部材を形成することができ、すなわち、液体処理ユニットから取り外されるようには設計されていない。
【0057】
端部32を通して、液体が液体処理ユニットハウジング16から投薬される。針が針34で図示されているように設けられている場合、この針は、使用者、たとえば人間の患者、の皮膚に貫入することができる。デバイスが動作すると、針34を通して、液体、たとえば薬物が哺乳動物の体内に投薬され、あるいはその体内から、たとえば血液が取り出される。
【0058】
リザーバ30は、液体処理デバイスとしての薬物送達デバイスの場合には、適宜に液体薬物35または薬剤を含む。
【0059】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0060】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0061】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0062】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0063】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0064】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0065】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0066】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0067】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0068】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0069】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0070】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0071】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0072】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0073】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0074】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0075】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0076】
当業者には、本明細書に記載のAPI、製剤、装置、方法、システムおよび諸実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)が、このような修正、およびありとあらゆるその等価物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱せずに加えられることが理解されよう。
【0077】
リザーバ30は、液体処理ユニットハウジング16内のリザーバチャンバによって画成され、そのハウジングの壁によって範囲が定められ、このリザーバチャンバは、図示のように液体で充填され、または別法として、カートリッジもしくはバッグ、または別の、たとえば事前充填される容器などの別個の構成要素とすることができ、この構成要素は、液体処理ユニット14の製造中に導管20と流体連結される。
【0078】
ポンプ駆動部28は適宜、液体処理ユニットハウジング16内に恒久的に保持される。したがって、液体処理ユニット14が廃棄される場合には、ポンプ駆動部も廃棄される。すなわち、デバイスの動作中に液体に接触し液体を移動および案内するデバイス10のすべての部材が、特に液体処理ユニット14と一緒に廃棄される。
【0079】
液体処理ユニット14はさらに、カプラ入力部分または入力カプラ36を含む。カプラ入力部分36は、駆動ユニットとの機械的インターフェースを確立するために設けられる。カプラ入力部分は、ポンプ駆動部28に動作可能に連結される。カプラ入力部分は、ポンプ駆動部の一部分または液体処理ユニットの別の部材によって形成され、動作可能にポンプ駆動部に連結され、たとえばポンプ駆動部28に回転不能に、かつ/または軸方向にロックされる。このカプラ入力部分を介して力またはトルクが、ポンプ駆動部を動かしてポンプ動作を提供するために、駆動ユニット12からポンプ駆動部28へ伝達される。
【0080】
駆動ユニット12は駆動部材38を含む。駆動部材38は、駆動ユニットハウジング18内で可動に保持される。駆動ユニット12は、力またはトルクをポンプ駆動部28へ伝達するために駆動部材38を動かすように構成される。駆動部材はカプラ出力部分40を含む。
図9に描かれているように、駆動部材のカプラ出力部分40は、液体処理ユニット14のカプラ入力部分36に動作可能に、また好ましくは機械的に連結される。たとえば、カプラ出力部分40とカプラ入力部分36はスプライン連結によって連結することができるので、連結されると回転不能に噛み合わされ、駆動部材38の回転がカプラ入力部分36を介してポンプ28へ伝達されて、液体処理ユニットハウジング16に対してポンプ駆動部がポンプチャンバ26内で回転する。別法として、または加えて、ポンプ駆動部28が、たとえば軸方向運動だけである、または軸方向と回転の運動である、軸方向運動をポンプチャンバ26に対して行う場合には、駆動部材38は、駆動ユニットハウジング18に対して軸方向に、たとえば軸方向だけに、または軸方向かつ回転可能に、場合に応じて動くことができる。
【0081】
図9に概略的に描かれているように、駆動ユニット12は、封止部材42を含む。封止部材42は、駆動部材38と封止係合しており、たとえば、駆動部材38に当接する。駆動部材38は、封止部材を貫通して延びる。駆動部材の径方向に向く面は、封止部材42に接触して封止インターフェースを確立する。封止インターフェースは、駆動部材38の全周に沿って提供される。
【0082】
駆動部材38は、外径の異なる部分を有することができる。たとえば、封止部材42と当接するように配置されている駆動部材の部分44は、駆動部材38のカプラ出力部分40よりも径方向寸法、たとえば外径、が小さい。部分44は、円筒形外面を有することができる。部分44は、軸状に形成される。
【0083】
封止部材42は、駆動ユニットハウジング18の内部の封止内部46または封止セクションの範囲を定めること、または画成することができる。外部とのインターフェースが封止部材42によって封止されるので、湿気、水および/または塵埃のような環境の影響が駆動ユニットハウジングの内部に及ぶことが防止され、それゆえに、影響をより受けやすい駆動ユニットの構成部品がこのセクションに配置される。
【0084】
部分44は直径が小さいので、回転中の摩擦損失、および/または封止部材42に沿った駆動部材38の軸方向運動中の摩擦損失は、駆動部材と、たとえばカプラ出力部分40の外面と比べて小さい封止部材との間の接触面の故に、適度に保たれる。部分44の外径は、0.5D、0.3D、0.2D、0.15D、または0.1D以下とすることができ、ここでDは、駆動部材の別の部分、たとえばカプラ出力部分40などの封止セクションの外側の部分、の外径である。Dは、駆動部材38および/またはカプラ出力部分40の最大外径とすることができる。
【0085】
駆動ユニットハウジング18の封止内部セクション46の中に、駆動ユニットの1つまたはそれ以上の要素が配置される。内部の要素には:たとえばモータ48を含む駆動機構、電池などの動力源50、および/または電子制御ユニットなどの制御ユニット52が含まれる。
【0086】
駆動部材38は、封止部材42を貫通して延びることができ、したがって駆動ユニットの外部インターフェースを提供し、他の要素は封止内部46の中で保護される。モータ48は電動モータとすることができる。動力源50は、モータ48を動作させて駆動部材38を駆動ユニットハウジング18および/または封止部材42に対して動かすための動力を提供することができる。制御ユニット52は、動力源50および/またはモータ48に、これらの要素の動作を制御するように、かつ/または動力源からモータへの動力供給を制御するように動作可能に、かつ/または伝導的に接続される。駆動機構と駆動部材の間に、機構インターフェース54が設けられる。好ましくは封止内部セクション46に確立される機構インターフェースを介して、駆動力または駆動トルクが駆動機構から駆動部材38へ、たとえば動く軸(たとえば回転軸)を介して伝達され、この軸は、デバイス10の動作中に駆動部材38のたとえば回転運動を発生させるために、封止内部46の中の駆動部材に連結される。駆動部材38の動きはポンプ駆動部28へ、駆動ユニット12のカプラ出力部分40と液体処理ユニット14のカプラ入力部分36との間に確立された連結を介して伝達される。
【0087】
駆動ユニット12は、たとえばボタンであるアクチュエータ56を含む。アクチュエータは、たとえば、リザーバ30に保持された薬物をデバイスから送達する投薬動作をトリガするために、使用者によって作動可能とすることができる。アクチュエータのユーザインターフェースは、駆動ユニットハウジングの外部からアクセス可能とすることができる。アクチュエータは、制御ユニット52に動作可能に接続される。アクチュエータを作動させると、ポンプ駆動部28がポンプチャンバ26の中で動くことができるように、制御ユニット52が駆動機構を動作させることができる。アクチュエータに沿って駆動ユニットハウジングの内部に至る流体連通の経路がある場合には、この経路は適宜、封止内部を封止することが維持されるように封止される。
【0088】
図示のデバイス10は、パッチポンプとすることができる。パッチポンプは、使用者の皮膚に取り付けられ、そこに長期間、たとえば数日または数週間とどまるデバイスである。薬剤の送達が必要であると使用者が認識したならば、使用者は、好ましくは手動で、たとえばアクチュエータによって、投薬動作を作動させることができる。インスリンを送達するための人工膵臓として使用される閉ループシステムとは対照的に、パッチポンプは、たとえば血糖値を測定するセンサが不要であるので、それほど高機能ではない。しかし、パッチポンプは、自己投与によって薬剤を患者に提供するためには依然として有用であり得る。
【0089】
使用者に取り付けられるように設けられた固定面58は、駆動ユニット12に、たとえば図示のように液体処理ユニット14の反対側の、駆動ユニット12の面に設けられる。あるいは、固定面は、駆動ユニットとは反対側の面(図示せず)など、液体処理ユニットの上に設けられる。さらに、固定面の一部分は、駆動ユニット12および液体処理ユニット14のそれぞれに設けられる。したがって、固定面はデバイスの様々な位置に設けられる。しかし、
図9では1つの領域だけが、すなわち、駆動ユニット上の、固定面58が示されている領域だけが強調されている。固定面は粘着剤を備え得る。デバイス10が使用者の皮膚に粘着剤で取り付けられるように、上述の残りの固定面についても同じことがいえる。デバイス10が使用者によって長期間使用者の体に装着される場合には、駆動ユニットの内部を封止することは、たとえば、使用者がシャワーを浴びるときなどの湿気、塵埃または他の汚れが駆動ユニットハウジング18の内部に入るおそれがないようにするのに特に好都合である。
【0090】
封止部材42は、液体処理ユニット14が駆動ユニット12に取り付けられるときに、また取り外されるときにも、封止インターフェースに駆動部材38を提供する。駆動部材は、液体処理ユニットが取り付けられるときと取り外されるときとでは、封止部材42に対して異なる軸方向位置にある。
【0091】
以下では、封止部材42を使用するいくつかの実施形態について、
図9に示されたデバイス10の一部分の断面図に基づいて説明する。1つの実施形態が
図1および
図2と併せて、別の1つが
図3および
図4と併せて、なお別の1つが
図5、
図5A、
図6、および
図6Aと併せて、さらに別の1つが
図7および
図8と併せて論じられる。
【0092】
図2に、
図9に描写されたデバイスの一セクションが示されている。特に、封止部材42の周囲のセクションが示されている。
図1は、液体処理ユニット14が駆動ユニット12に動作可能に連結されていないときの、
図9の駆動ユニット12のセクションを示す。
【0093】
図から分かるように、駆動部材38は、駆動部材インターフェース部分62または部材を含む。駆動機構は、駆動機構インターフェース部材64を含む。駆動機構インターフェース部材は、駆動機構部材66(たとえば軸)に連結され、この駆動機構部材はモータに連結され、モータによって駆動可能とすることができる。少なくとも
図2に描かれた位置で、液体処理ユニットが取り付けられると(すなわち、駆動部材の第2の位置で)、機構インターフェース54が確立される。機構インターフェースは駆動部材を、図に明示されていない駆動機構またはモータに連結する。機構インターフェース54が確立されると、たとえばインターフェース部分62とインターフェース部材64の相手側の歯同士が係合することによって、駆動機構とインターフェース部材が互いに回転不能にロックされる。したがって、
図2に描かれた第2の位置では、駆動部材が動作可能にインターフェース部材64に連結されて、回転運動が駆動機構から駆動部材およびそのカプラ出力部分40に伝達され、そのため、矢印で示されているように、液体処理ユニット14のカプラ入力部分36が回転し、それに応じてポンプ駆動部が回転する。
図1の位置、すなわち第1の位置では、インターフェース部材64は、駆動部材から動作可能に切り離される。あるいは、動作可能な連結部があり、すなわち機構インターフェースが封止部材に対して、駆動部材38の第1の位置でも確立される(
図1参照)。しかし、駆動部材とインターフェース部材64が第1の位置で動作可能に切り離されている場合、すなわち機構インターフェースが確立されていない場合、カプラ出力部分40の操作は、封止内部46の中の駆動機構の要素へ伝達されない。このことは利点になり得る。
【0094】
図から明らかなように、好ましくは駆動ユニットハウジング18の内部の封止セクション46に、ばね60(たとえば圧縮ばね)を含む付勢機構が設けられる。付勢機構は、カプラ出力部分40および/または駆動機構38を、駆動部材が
図2に描かれた位置(第2の位置)にあるときに
図1の位置(第1の位置)に向けて付勢する。ばね60は、駆動部材インターフェース部分62と駆動機構インターフェース部材64の間に保持される。
図2に示された位置では、カプラ入力部分36はカプラ出力部分40に動作可能に連結されている。すなわち、液体処理ユニット14は駆動ユニット12に動作可能に、また好ましくは機械的に連結されている。第2の位置では、駆動部材38は、ばね60が圧縮されてカプラ出力部分40とカプラ入力部分36を係合した状態に維持するように、封止部材42に対して変位している。
【0095】
封止部材42は、駆動ユニットハウジング18に対して軸方向に、好ましくは回転不能に固定される。封止部材42は、固定部分68を有することができる。固定部分68において、封止部材42は、駆動ユニットハウジング18に固定される。封止部材42は、案内部分または封止部分70を有することができる。部分70は、駆動部材38に沿ってスリーブ状に延び得る。少なくとも封止部分70の中で封止部材42は、好ましくは弾性的に変形可能である。少なくとも封止部分70が、または封止部材42全体がゴムで作られる。固定部分68は、封止部分ほどに変形しやすくはなく、たとえばもっと剛性であるか堅い。固定部分68は、たとえば適切な剛性を提供するように、かつ/または弾性を持つように構造的に強化され、たとえば、ばね部材(たとえば金属で作られる)を含むことができる。径方向に弾性を持つ固定部分は、たとえば、ハウジングの内壁が反作用する径方向外向きの力を作用させることなどにより封止部材を駆動ユニットハウジングに留めることによって、封止部材42を駆動ユニットハウジング18に固定する助けになり得る。封止部分70は、固定部分68から径方向内向きにオフセットされる。封止部分70と固定部分68は、軸方向に位置合わせされる。封止部分70の径方向外向き面は、固定部分68の径方向内向き面から径方向にオフセットして配置される。封止部分70の径方向外向き面は、固定部分68の径方向内向き面と軸方向に重なり合い、かつ/または向かい合う。封止部材42は、封止面または封止リップを含む。封止面またはリップ72は、封止部分の内部に配置される。封止面またはリップ72は、封止部分70によって画成された空洞の中に径方向内向きに突出し得る。封止面またはリップ72は、先のとがった、かつ/または径方向内向きに突出する端部を有することができる。封止面またはリップ72は、駆動部材38のまわりに周方向に延びることができる。封止部分70は、覆い状またはスリーブ状の形を有することができる。封止面またはリップ72の径方向自由端は、駆動部材38に封止係合することができる。
【0096】
封止部分70は、径方向に強化される。この目的のために、強化部材74(たとえば剛性リング)が、封止部分70の外面のまわりに、特に、封止面またはリップ72が配置されている同じ軸方向領域に、延びることができる。強化部材は、広範囲にわたる径方向偏向に対して封止部分70を安定させることができる。したがって、封止力が高まる。しかし、封止面72は、好ましくは径方向になお変形可能である。
【0097】
封止部材42によって、汚れまたは湿気が駆動ユニット12の封止内部46に入ることが防止され、また同時に、封止部材によって生じる摩擦損失が最小限に保たれる。
【0098】
以下では、封止部材42を備えた駆動ユニット12のいくつか別の実施形態について論じる。それぞれの場合の議論では、他の実施形態(たとえば上で論じたもの)との差異に焦点が当てられる。しかし、たとえ明確に説明されていなくても、前に説明した機能は、それが該当し得ないことが明らかでない限り、以下の実施形態にも該当する。
図3および
図4に描かれた実施形態は、
図1および
図2に描かれたものと非常に類似している。しかし、封止部材42は異なる。図示のように、封止部材42はまた、径方向軸封止材である。封止部材42は、固定部分68および封止部分70も含む。しかし、封止部材42には補強材またはばね構造物が含まれていない。封止部材42はむしろ、弾性材料(たとえばゴム)からなる単一の本体とすることができる。固定部分は、封止部材を駆動ユニットハウジング18に圧力嵌め係合で、たとえばスナップ嵌めによって固定することができ、この場合、スナップインターフェースが駆動ユニットハウジングと封止部材の間に形成される。そうするために、たとえば、封止部材のリング状円周突起76が、対応する形をした駆動ユニットハウジングのリング状凹部に係合し得る。突起76は封止部材に設けられ、凹部はハウジングに設けられ、またはその逆に設けられる。封止部材42は、ハウジングに軸方向に固定される。封止部材42は、封止部材の径方向安定性を高める増大した径方向壁厚の、周方向に配置された領域を含むことができる。突起76は、この領域の外面によって形成することができる。封止部分70に面するように配置されている、内向きに先のとがった突起もまた形成される。内向きに先のとがった突起と突起76は、一緒にリング状構造物を画成することができる。
【0099】
図5、
図5A、
図6、および
図6Aに示された実施形態は、
図3および
図4に示されたものと大部分一致する。しかし、この実施形態では、
図5に描かれた第1の位置において、液体処理ユニットが駆動ユニット12に連結されていないとき、封止部材42と駆動部材38の間の封止インターフェースの耐密さが、
図3と比較して増加することが確実になる。封止インターフェースの耐密さを増加させるために、
図5に描かれている第1の位置で封止面72は、
図6に描かれた第2の位置の封止面72の位置に対して、径方向外向きに変位することが確実になる。封止面72、封止部分70または封止部材全体が弾性的に変形可能である、または弾性を持つので、
図5で、画成されていない封止部分70の形を復元する傾向がある復元力は、液体処理ユニット14が駆動ユニット12に連結されている
図6の状態と比較して増加する。
【0100】
駆動部材38は、2つの異なるセクションである、第1のセクション78および第2のセクション80を含む。第1の位置で、封止部材42は第1のセクション78に係合し、第2の位置で、封止部材は第2のセクション80に係合する。セクション78と80は外径が異なる。具体的には、第1のセクション78の外径が第2のセクション80の外径よりも大きい。したがって、第1の位置における弾性変形の方が大きく、それに応じて弾性復元力が増加することになり、この復元力は径方向内向きに作用し、第1の位置における封止の耐密さを、直径が小さい第2の位置における耐密さよりも増加させる。第1のセクション78と第2のセクション80の間に傾斜面が配置されて、封止面72のなめらかな径方向変位と、それに応じて封止部材42の封止部分70の弾性変形とが可能になる。第2の位置では、封止力は依然として存在するが、封止インターフェースをなお維持しながら液体処理ユニットを動作させる動きが大きく阻害されないように、第1の位置におけるよりも小さい。第2の位置では、駆動部材38は、第2のセクション80が封止部材42と係合するように、封止部材42に対して変位している。
【0101】
図7および
図8に描かれた実施形態もまた、駆動部材38の第1の位置における封止インターフェースの耐密さが第2の位置と比較して増加している実施形態である。しかし、この解決策は、以前に説明したものと比べて異なる。駆動部材は伝達部材82を含む。伝達部材82は、駆動部材上の突起とすることができる。伝達部材82は、駆動部材まわりの周方向に延びることがあり、延びないこともある。伝達部材82は、たとえば周方向の凹部84を有することができ、この凹部は、駆動部材38が封止部材42に対して第1の位置にある場合に、封止部材の一セクションを受けるように、かつ/または封止面72を径方向内向きに変位させて、変位した位置に封止面を維持するように構成される。径方向内向きの変位は、封止部材および伝達部材の一方の傾斜または湾曲した面によって行われ、この面は、駆動部材が封止部材に対して第2の位置から第1の位置へ動くときに、対応する他方の要素の面と相互作用する。図示のように、凹部84は、傾斜面または湾曲面86を有することができ、この面は、封止部分70の対応する面と相互作用する。伝達部材82と封止部材42の間の機械的協働により、力が封止部材42へ駆動部材を介して伝達される。この力は、第1の位置のばね60になお存在する残留付勢力であり得る。この力は、伝達部材の公面(public surface)の故に、封止面72を径方向内向きに変位させるために用いられる。駆動部材によって封止部材へ伝達される力は適宜、軸方向の力である。軸方向の力は、面86によって径方向内向きの力に変換され、この力は封止の耐密さを増加させる。伝達部材が第1の位置の封止部材と接触したままであるので、封止面の径方向外向きの動きが防止される。それに応じて、残っている軸方向の力(たとえば、ばね力)は、封止部材を軸方向に固定することによって、駆動ユニットハウジング18に対して反作用する。
【0102】
したがって、第1の位置(
図7)で封止インターフェースは、伝達部材82が封止部材42と機械的に協働しない第2の位置(
図8)とは対照的に、より耐密である。
【0103】
本開示では、駆動ユニット、液体処理ユニットおよび/または医療デバイス、特にそれぞれのエンティティの内部は、湿気、水、噴流水、および/または塵埃に対して封止される。それぞれの封止は、封止部材42、および/または1つもしくはそれ以上の追加の封止部材、たとえば、アクチュエータを封止するもの、および/または動力源を交換するために開放できる動力源交換品クロージャを封止するものによって行われる。たとえば、それぞれのエンティティ(駆動ユニット、液体処理ユニット、あるいは駆動ユニットと液体処理ユニットが互いに組み合わされる医療デバイス)には、たとえばEN60529に規定されている、水侵入保護があり得る。たとえば、液体処理ユニットが駆動ユニットに連結される場合、アセンブリは、好ましくは、EN60529によるクラスIPX5および/またはIPX8の水侵入保護を提供する。クラスIPX8の試験条件は次のように規定されている:水面下3.6mに少なくとも1h浸漬し、水面下1.0mに少なくとも2h浸漬する。再使用可能な駆動ユニットは個別に、すなわち、液体処理ユニットが駆動ユニットに連結されていないときに、または駆動部材が第1の位置にあるときに、好ましくはEN60529によるクラスIPX5および/またはIPX7の水侵入保護を提供する。
【0104】
添付の特許請求項の範囲は、上に提示された例示的な実施形態についての説明によって限定されるものではない。
【符号の説明】
【0105】
10 薬物送達デバイス
12 駆動ユニット
14 液体処理ユニット
16 液体処理ユニットハウジング
18 駆動ユニットハウジング
20 導管
22 セクション
24 セクション
26 ポンプチャンバ
27 ポンプ部分
28 ポンプ駆動部
30 リザーバ
32 端部
34 針
35 薬物
36 カプラ入力部分
38 駆動部材
40 カプラ出力部分
42 封止部材
44 部分
46 封止内部
48 モータ
50 動力源
52 制御ユニット
54 機構インターフェース
56 アクチュエータ
58 面
60 ばね
62 駆動部材インターフェース部分
64 駆動機構インターフェース部材
66 駆動機構部材
68 固定部分
70 封止部分
72 封止面
74 強化部材
76 突起
78 駆動部材セクション
80 駆動部材セクション
82 伝達部材
84 凹部
86 面