(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】試料の試験のための欠陥位置の決定
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240313BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/956 A
(21)【出願番号】P 2022546408
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(86)【国際出願番号】 IL2020051144
(87)【国際公開番号】W WO2021165947
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-11-01
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ギルモンスキー ドロン
(72)【発明者】
【氏名】ベン アミ ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン ボアズ
(72)【発明者】
【氏名】シェメシュ ドロール
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/100180(WO,A1)
【文献】特開2002-141384(JP,A)
【文献】米国特許第7271891(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0156550(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0242425(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0203439(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0033838(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0244336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体試料の試験のシステムであって、前記システムが、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)を含み、前記プロセッサおよびメモリ回路(PMC)が、
試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の第1の区域の画像を得ることと、
前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attを決定することと、
前記試料の少なくとも一部の欠陥性の空間的分布の情報を提供する確率モデルと、前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attの空間的傾向、前記1つまたは複数の第1の区域においてD
attに相関するデータの空間的傾向のうちの少なくとも1つを含む前記第1の区域の情報を提供するデータとを用いて、前記試料の複数の区域における欠陥の存在の確率を決定することであって、前記複数の区域が前記1つまたは複数の第1の区域と異なる、決定することと、
前記複数の区域における欠陥の存在の確率の少なくとも一部を用いて、前記試験ツールによる検査のために、前記試料の前記複数の区域の中から、欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を選択することと
を行うように構成され、
前記第1の区域の情報を提供するデータを用いて、前記複数の区域について決定された前記欠陥の存在の確率が、前記試験ツールによって前記1つまたは複数の第2の区域の画像を取得する前に、前記1つまたは複数の第2の区域を選択することを可能にする、システム。
【請求項2】
前記1つまたは複数の第2の区域の決定が、D
attの極値の探索に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attと、前記1つまたは複数の第1の区域の前記半導体試料の厚さを表すデータとの間の相関を表すD
correlを決定することと、
欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を決定することであり、前記1つまたは複数の第2の区域が、D
correl、またはそれを表すデータ、および前記半導体試料の厚さを表すデータに基づいて決定される、決定することと、
前記試験ツールによる検査のために前記1つまたは複数の第2の区域を選択することと
を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
データD
correlが、範囲Rにわたる前記半導体試料の厚さを表すデータに依存する関数Fを含む場合、前記システムが、以下の(i)、(ii)、および(iii)、すなわち、
(i)前記第2の区域の前記半導体試料の厚さを表すデータが、前記範囲Rにおいて前記関数Fに従うこと、
(ii)前記第2の区域の前記半導体試料の厚さを表すデータが、Rと異なる範囲R’にわたる前記関数Fのテストを可能にすること、および
(iii)前記第2の区域の前記半導体試料の厚さを表すデータが、前記関数Fの出力の極値に向かって進もうとするように選択されること
のうちの少なくとも1つが満たされるように第2の区域を選択するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の第1の区域の前記半導体試料の厚さを表すデータ、および前記半導体試料の厚さを表すデータのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの光学試験ツールによって取得された画像のピクセル強度に基づいて得られる、または、
前記1つまたは複数の第1の区域の前記半導体試料の厚さを表すデータ、および前記半導体試料の厚さを表すデータのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの光学試験ツールによって取得された複数の画像のピクセル強度に基づいて得られ、前記複数の画像が、前記光学試験ツールの照明光信号の波長によって異なる、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の第2の区域の前記決定は、前記試験ツールによる前記1つまたは複数の第2の区域の画像がまだ利用可能でない場合でさえ、可能である、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記試験ツールによる1つまたは複数の区域の画像の取得を必要とすることなく、前記1つまたは複数の区域の前記半導体試料または別の半導体試料の厚さを表すデータに基づいて、欠陥が前記半導体試料または前記別の半導体試料の前記1つまたは複数の区域に存在する確率を表すデータを出力するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
1に等しいiから、停止基準が満たされるまで、
(1)試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の区域A
iの画像を得ることと、
(2)前記1つまたは複数の区域A
iの欠陥性の情報を提供するデータD
attを決定することと、
(3)欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の区域A
i+1を、前記1つまたは複数の区域A
iにおけるD
attの発生に少なくとも基づいて決定することと、
(4)iを1だけ増やして(1)に戻ることと
を繰り返して実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
1に等しいiから、停止基準が満たされるまで、
(1)試験ツールによって取得された半導体試料の区域A
iの画像を得ることと、
(2)前記区域A
iの欠陥性の情報を提供するデータD
attと、
前記区域A
iの前記半導体試料の厚さを表すデータと
の間の相関を表すデータD
correlを決定することと、
(3)欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の区域A
i+1を決定することであり、前記1つまたは複数の区域A
i+1が、D
correl,i、またはそれを表すデータ、および前記半導体試料の厚さを表すデータに少なくとも基づいて決定される、決定することと
(4)iを1だけ増やして(1)に戻ることと
を繰り返して実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記確率が、以下の(i)ならびに(ii)、すなわち、
(i)前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
att、ならびに
(ii)前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attと、前記1つまたは複数の第1の区域の前記半導体試料の厚さを表すデータとの間の相関を表すデータD
correl、および前記半導体試料の厚さを表すデータ
のうちの少なくとも1つに基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の第1の区域の画像を得ることと、
前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attを決定することと、
前記確率モデルと、前記試料のモデルと、前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attの発生、および前記1つまたは複数の第1の区域においてD
attに相関するデータの発生のうちの少なくとも1つとを用いて、前記試料の複数の区域における欠陥の存在の確率を決定することであって、前記複数の区域が前記1つまたは複数の第1の区域と異なる、決定することと、
前記試料の前記複数の区域の中から、欠陥の存在が疑われる1つまたは複数の第2の区域を決定することと、
前記試験ツールによる検査のために、前記1つまたは複数の第2の区域を選択することと、
前記1つまたは複数の第2の区域における欠陥の存在を決定し、前記試料のモデルを更新すること
を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記半導体試料にわたる欠陥の存在の確率を表す第1の確率マップに基づいて前記1つまたは複数の第1の区域を選択するように構成され、前記第1の確率マップが、
光学試験ツールによって取得された前記半導体試料の画像、
光学試験ツールによって取得された前記半導体試料の画像に基づく欠陥位置の推定、
欠陥位置に関する過去データ、
電子ビーム試験ツールによって取得された前記半導体試料の画像、
前記半導体試料のシミュレートされた画像、
前記半導体試料の合成画像、および
前記半導体試料の生産データ
のうちの少なくとも1つに基づいて構築される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
半導体試料の試験の方法であって、前記方法が、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)によって、
試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の第1の区域の画像を得ることと、
前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attを決定することと、
前記試料の少なくとも一部の欠陥性の空間的分布の情報を提供する確率モデルと、前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attの空間的傾向、前記1つまたは複数の第1の区域においてD
attに相関するデータの空間的傾向のうちの少なくとも1つを含む前記第1の区域の情報を提供するデータとを用いて、前記試料の複数の区域における欠陥の存在の確率を決定することであって、前記複数の区域が前記1つまたは複数の第1の区域と異なる、決定することと、
前記複数の区域における欠陥の存在の確率の少なくとも一部を用いて、前記試料の前記複数の区域の中から、欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を選択することであって、前記第1の区域の情報を提供するデータを用いて、前記複数の区域について決定された前記欠陥の存在の確率が、前記試験ツールによって前記1つまたは複数の第2の区域の画像を取得する前に、前記1つまたは複数の第2の区域を選択することを可能にする、選択することと、
前記試験ツールによる検査のために前記1つまたは複数の第2の区域を選択することと
を行うように構成される、方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数の第2の区域の決定が、D
attの極値の探索に基づく、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1に等しいiから、停止基準が満たされるまで、
(1)試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の区域A
iの画像を得ることと、
(2)前記1つまたは複数の区域A
iの欠陥性の情報を提供するデータD
attを決定することと、
(3)欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の区域A
i+1を、前記1つまたは複数の区域A
iにおけるD
attの発生に少なくとも基づいて決定することと、
(4)iを1だけ増やして(1)に戻ることと
を繰り返して実行することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
1に等しいiから、停止基準が満たされるまで、
(1)試験ツールによって取得された半導体試料の区域A
iの画像を得ることと、
(2)前記区域A
iの欠陥性の情報を提供するデータD
attと、
前記区域A
iの前記半導体試料の厚さを表すデータと
の間の相関を表すデータD
correlを決定することと、
(3)欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の区域A
i+1を決定することであり、前記1つまたは複数の区域A
i+1が、D
correl,i、またはそれを表すデータ、および前記半導体試料の厚さを表すデータに少なくとも基づいて決定される、決定することと
(4)iを1だけ増やして(1)に戻ることと
を繰り返して実行することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記区域A
iの前記半導体試料の厚さを表すデータ、および前記半導体試料の厚さを表すデータのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの光学試験ツールによって取得された複数の画像のピクセル強度に基づいて得られ、前記複数の画像が、前記光学試験ツールの照明光信号の波長によって異なる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記確率が、以下の(i)ならびに(ii)、すなわち、
(i)前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
att、ならびに
(ii)前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attと、前記1つまたは複数の第1の区域の前記半導体試料の厚さを表すデータとの間の相関を表すデータD
correl、および前記半導体試料の厚さを表すデータ
のうちの少なくとも1つに基づく、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記1つまたは複数の第1の区域のデータD
attが、
前記1つまたは複数の第1の区域に存在する要素の形状を表すデータ、
前記1つまた複数の第1の区域に存在する要素の寸法を表すデータ、および
前記1つまたは複数の第1の区域に存在する要素と、前記1つまたは複数の第1の区域の参照画像に存在する要素との間の差を表すデータ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の第1の区域の画像を得ることと、
前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attを決定することと、
前記試料の少なくとも一部の欠陥性の空間的分布の情報を提供する確率モデルと、前記1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータD
attの空間的傾向、前記1つまたは複数の第1の区域においてD
attに相関するデータの空間的傾向のうちの少なくとも1つを含む前記第1の区域の情報を提供するデータとを用いて、前記試料の複数の区域における欠陥の存在の確率を決定することであって、前記複数の区域が前記1つまたは複数の第1の区域と異なる、決定することと、
前記複数の区域における欠陥の存在の確率の少なくとも一部を用いて、前記試料の前記複数の区域の中から、欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を決定することであって、前記第1の区域の情報を提供するデータを用いて、前記複数の区域について決定された前記欠陥の存在の確率が、前記試験ツールによって前記1つまたは複数の第2の区域の画像を取得する前に、前記1つまたは複数の第2の区域を選択することを可能にする、決定することと、
前記試験ツールによる検査のために前記1つまたは複数の第2の区域を選択することと
を含む動作を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、一般に、試料の試験の分野に関し、より詳細には、試料の試験の自動化に関する。
【背景技術】
【0002】
製造されたデバイスの超大規模集積に関連する高い密度および性能への現在の要求は、サブミクロンの特徴部と、トランジスタおよび回路の速度の向上と、信頼性の改善とを必要とする。そのような要求は、高い精度および均一性をもつデバイス特徴部の形成を必要とし、その結果として、デバイスがまだ半導体ウエハの形態である間デバイスの自動試験を含む製造プロセスの注意深いモニタリングを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
試料の欠陥を検出および分類するために、試験プロセスが、半導体製造中の様々なステップで使用される。試験の有効性は、例えば、自動欠陥分類(ADC)、自動欠陥レビュー(ADR)などのプロセスの自動化によって向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の主題の特定の態様によれば、半導体試料の試験のシステムが提供され、このシステムは、試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の第1の区域の画像を得ることと、1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータDattを決定することと、1つまたは複数の第1の区域におけるDattの発生またはDattと相関するデータの発生に少なくとも基づいて、欠陥の存在が疑われる半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を決定することと、試験ツールによる検査のために1つまたは複数の第2の区域を選択することを行うように構成されたプロセッサおよびメモリ回路(PMC)を含む。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第2の区域の決定は、Dattの極値の探索に基づく。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、このシステムは、1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータDattと、1つまたは複数の第1の区域の半導体試料の厚さを表すデータとの間の相関を表すDcorrelを決定することと、欠陥の存在が疑われる半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を決定することであり、1つまたは複数の第2の区域が、Dcorrel、またはそれを表すデータ、および半導体試料の厚さを表すデータに基づいて決定される、決定することと、試験ツールによる検査のために1つまたは複数の第2の区域を選択することとを行うように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、このシステムは、1に等しいiから、停止基準が満たされるまで、(1)試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の区域Aiの画像を得ることと、(2)1つまたは複数の区域Aiの欠陥性の情報を提供するデータDattを決定することと、(3)欠陥の存在が疑われる半導体試料の1つまたは複数の区域Ai+1を、1つまたは複数の区域AiにおけるDattの発生に少なくとも基づいて決定することと、(4)iを1だけ増やして(1)に戻ることとを繰り返して実行するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、このシステムは、半導体試料の画像に存在するピクセルの複数のサブセットの各々について、欠陥が各サブセットに存在する確率を生成するように構成され、第2の区域は、その確率に少なくとも基づいて選択され、その確率は、以下の(i)ならびに(ii)、すなわち、(i)1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータDatt、ならびに(ii)1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータDattと、1つまたは複数の第1の区域の半導体試料の厚さを表すデータとの間の相関を表すデータDcorrel、および半導体試料の厚さを表すデータのうちの少なくとも1つに基づく。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第1の区域のデータDattは、1つまたは複数の第1の区域に存在する要素の形状を表すデータ、および1つまたは複数の第1の区域に存在する要素と、1つまたは複数の第1の区域の参照画像に存在する要素との間の差を表すデータのうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、データDcorrelが、範囲Rにわたる半導体試料の厚さを表すデータに依存する関数Fを含む場合、このシステムは、
(i)第2の区域の半導体試料の厚さを表すデータが、範囲Rにおいて関数Fに従うこと、
(ii)第2の区域の半導体試料の厚さを表すデータが、Rと異なる範囲R’にわたる関数Fのテストを可能にすること、および
(iii)第2の区域の半導体試料の厚さを表すデータが、関数Fの出力の極値に向かって進もうとするように選択されること
のうちの少なくとも1つが満たされるように第2の区域を選択するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第1の区域の半導体試料の厚さを表すデータ、および半導体試料の厚さを表すデータのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの光学試験ツールによって取得された画像のピクセル強度に基づいて得られる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第1の区域の半導体試料の厚さを表すデータ、および半導体試料の厚さを表すデータのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの光学試験ツールによって取得された複数の画像のピクセル強度に基づいて得られ、複数の画像は、光学試験ツールの照明光信号の波長によって異なる。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、このシステムは、半導体試料にわたる欠陥の存在の確率を表す第1の確率マップに基づいて1つまたは複数の第1の区域を選択するように構成され、第1の確率マップは、光学試験ツールによって取得された半導体試料の画像、光学試験ツールによって取得された半導体試料の画像に基づく欠陥位置の推定、欠陥位置に関する過去データ、電子ビーム試験ツールによって取得された半導体試料の画像、半導体試料のシミュレートされた画像、半導体試料の合成画像、および半導体試料の生産データのうちの少なくとも1つに基づいて構築される。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第1の区域の半導体試料の厚さを表すデータ、および半導体試料の厚さを表すデータのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの光学試験ツールによって取得された画像のピクセル強度に基づいて得られる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第1の区域の半導体試料の厚さを表すデータ、および半導体試料の厚さを表すデータのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの光学試験ツールによって取得された複数の画像のピクセル強度に基づいて得られ、複数の画像は、光学試験ツールの照明光信号の波長によって異なる。
【0016】
本開示の主題の特定の態様によれば、半導体試料の試験の方法が提供され、この方法は、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)によって、試験ツールによって取得された半導体試料の1つまたは複数の第1の区域の画像を得ることと、1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータDattを決定することと、1つまたは複数の第1の区域におけるDattの発生またはDattと相関するデータの発生に少なくとも基づいて、欠陥の存在が疑われる前記半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を決定することと、試験ツールによる検査のために1つまたは複数の第2の区域を選択することとを含む。
【0017】
本開示の主題の他の態様によれば、コンピュータによって実行されたとき、コンピュータに上述の方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、信号対雑音比(例えば、光学試験ツールによって取得された画像における)が低い小構造を含む試料の効率的な試験を可能にする。いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、相反する要件、すなわち、限られた時間および予算での試料の試験のための低速高解像度試験ツール(このツールは、特に、小構造の試験のために必要とされるが、妥当の時間では試料の小さい区域しか検査することができない)の効率的な使用に対処する。いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、試験ツールを試料の関連区域の方に洗練された効率的な方法で導くことを可能にする。いくつかの実施形態によれば、提案される解決策は、試料の試験に必要とされる時間およびコストを最適化する。
【0019】
本開示を理解するために、およびそれを実際にどのように実行できるかを認識するために、実施形態が、次に、単に非限定的な例として、添付の図面を参照して、説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の主題の特定の実施形態による試験システムの一般化されたブロック図である。
【
図2】試料内の対象の位置の情報を提供する第1の確率マップを構築する方法の一般化された流れ図である。
【
図3】試験ツールによる検査のために試料内の対象の位置を決定する方法の一般化された流れ図である。
【
図3A】試料に対して
図3の方法を使用する非限定的な例を示す図である。
【
図4】試験ツールによる検査のために試料内の対象の位置を決定する反復方法の一般化された流れ図である。
【
図5】
図3の方法の別の可能な実施形態の一般化された流れ図である。
【
図5A】少なくとも1つの取得パラメータによって異なる複数の画像に基づいて試料の厚さを表すデータを決定する方法の一般化された流れ図である。
【
図5B】区域内の欠陥の存在を示すデータと、ピクセル強度(厚さを表す)とを相関させる関数の一例を示す図である。
【
図5C】区域内の欠陥の存在を示すデータと、ピクセル強度(厚さを表す)とを相関させる関数の別の例を示す図である。
【
図6】
図5の方法が反復して適用される一般化された流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明において、多数の特定の詳細が、本開示の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、本開示の主題はこれらの特定の詳細なしに実践され得ることが当業者によって理解されるであろう。他の場合には、よく知られた方法、手順、構成要素、および回路は、本開示の主題を不明瞭にしないように詳細には記載されていない。
【0022】
特に明記されない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書の全体を通して、「処理する」、「得る」、「選択する」、「決定する」、「生成する」、「出力する」などの用語を利用する議論は、データを他のデータに操作および/または変換するコンピュータの動作および/またはプロセスを参照し、前記データは、電子量などの物理量として表され、および/または前記データは物理的対象を表すことが認識される。「コンピュータ」という用語は、非限定の例として、本出願で開示されるシステム103、およびそれのそれぞれの一部を含む、データ処理能力をもつ任意の種類のハードウェアベースの電子デバイスを包含するように広く解釈されるべきである。
【0023】
本明細書で使用される「非一時的メモリ」および「非一時的ストレージ媒体」という用語は、本開示の主題に適する任意の揮発性または不揮発性コンピュータメモリを包含するように広く解釈されるべきである。
【0024】
本明細書で使用される「試料」という用語は、半導体集積回路、磁気ヘッド、フラットパネルディスプレイ、および他の半導体製造製品を生産するために使用される任意の種類のウエハ、マスク、および他の構造体、それらの組合せおよび/または一部を包含するように広く解釈されるべきである。
【0025】
本明細書で使用される「試験」という用語は、任意の種類の計測関連操作、ならびに製造中の試料の欠陥の検出および/または分類に関連する操作を包含するように広く解釈されるべきである。試験は、試験されるべき試料の生産中または生産後に非破壊試験ツールを使用することによって行われる。非限定の例として、試験プロセスは、同じまたは異なる検査ツールを使用して、試料またはその一部に関して行われる実行時走査(単一の走査または多数の走査での)、サンプリング、レビュー、測定、分類、および/または他の操作を含むことができる。同様に、試験は、試験されるべき試料の生産の前に行うことができ、例えば、試験方策の生成および/または他のセットアップ操作を含むことができる。特に明記されない限り、本明細書で使用される「試験」という用語またはその派生語は、検査区域の解像度またはサイズに関して限定されないことに留意されたい。様々な非破壊試験ツールは、非限定の例として、走査電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、光学検査ツールなどを含む。
【0026】
非限定の例として、実行時試験は、2つのフェーズの手順、例えば、試料の検査と、それに続く、潜在的な欠陥のサンプリングされた位置のレビューを使用することができる。第1のフェーズ中に、試料の表面が、高速および比較的低い解像度で検査される。第1のフェーズにおいて、欠陥マップが、欠陥の可能性が高い試料の疑わしい位置を示すために作り出される。第2のフェーズ中に、疑わしい位置の少なくとも一部が、比較的高い解像度でより徹底的に分析される。ある場合には、両方のフェーズは、同じ検査ツールによって実施されてもよく、他の場合には、これらの2つのフェーズは、異なる検査ツールによって実施される。
【0027】
本明細書で使用される「欠陥」という用語は、試料上または試料内に形成された任意の種類の異常なまたは望ましくない特徴部を包含するように広く解釈されるべきである。
【0028】
本明細書で使用される「設計データ」という用語は、試料の階層的な物理的設計(レイアウト)を示す任意のデータを包含するように広く解釈されるべきである。設計データは、それぞれの設計者によって提供されてもよく、および/または物理的設計(例えば、複雑なシミュレーション、簡単な幾何学的およびブール演算などによる)から導出されてもよい。設計データは、非限定的な例として、GDSIIフォーマット、OASISフォーマットなどの様々なフォーマットで提供することができる。設計データは、ベクトルフォーマット、グレイスケール強度画像フォーマットなどで提示することができる。
【0029】
特に明記されない限り、別個の実施形態の文脈に記載されている本開示の主題の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが認識される。逆に、単一の実施形態の文脈に記載されている本開示の主題の様々な特徴はまた、別々にまたは任意の適切なサブ組合せで提供されてもよい。以下の詳細な説明では、多数の特定の詳細が、方法および装置の完全な理解を提供するために記載される。
【0030】
これを念頭に置いて、本開示の主題の特定の実施形態による試験システムの機能ブロック図を示す
図1に注目する。
図1に示された試験システム100は、試料製造プロセスの一部として試料(例えば、ウエハおよび/またはその一部)を試験するために使用することができる。図示の試験システム100は、試料製造中に得られた画像を使用して計測関連情報および/または欠陥関連情報を自動的に決定することができるコンピュータベースシステム103を含む。システム103は、1つまたは複数の低解像度試験ツール101、および/または1つまたは複数の高解像度試験ツール102、および/または他の試験ツールに動作可能に接続され得る。試験ツールは、画像を捕捉し、および/または捕捉した画像をレビューし、および/または捕捉した画像に関連する測定を可能にするかまたは行うように構成される。システム103は、さらに、CADサーバ110およびデータリポジトリ109に動作可能に接続され得る。
【0031】
システム103は、ハードウェアベース入力インタフェース105およびハードウェアベース出力インタフェース106に動作可能に接続されたプロセッサおよびメモリ回路(PMC)104を含む。PMC104は、以下でさらに詳細に説明するように、システム103を動作させるために必要なすべての処理を行うように構成され(システム103によって少なくとも部分的に実行することができる
図3~
図5に記載される方法を参照)、プロセッサ(個別に示されていない)およびメモリ(個別に示されていない)を含む。PMC104のプロセッサは、PMCに含まれる非一時的コンピュータ可読メモリに実装されたコンピュータ可読命令に従っていくつかの機能モジュールを実行するように構成することができる。そのような機能モジュールは、以下、PMCに含まれるとして参照される。PMC104に含まれる機能モジュールは、ディープニューラルネットワーク(DNN)112を含む。DNN112は、試料の画像に基づいてアプリケーション関連データを出力するための機械学習アルゴリズムを使用してデータ処理を可能にするように構成される。
【0032】
非限定の例として、DNN112の層は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アーキテクチャ、回帰型ニューラルネットワークアーキテクチャ、再帰型ニューラルネットワークアーキテクチャ、敵対的生成ネットワーク、などに従って編成することができる。オプションとして、層のうちの少なくともいくつかは、複数のDNNサブネットワークに編成することができる。DNNの各層は、当技術分野で、一般に、次元、ニューロン、またはノードと呼ばれる多数の基本計算要素(CE)を含むことができる。
【0033】
一般に、所与の層の計算要素は、先行層および/または後続層のCEと接続することができる。先行層のCEと後続層のCEとの間の各接続は、重み付け値に関連付けられる。所与のCEは、それぞれの接続を介して前の層のCEから入力を受け取ることができ、各所与の接続は、所与の接続の入力に適用することができる重み付け値に関連付けられる。重み付け値は、接続の相対強度、したがって、所与のCEの出力へのそれぞれの入力の相対的影響を決定することができる。所与のCEは、活性化値(例えば、入力の加重和)を計算し、さらに、計算された活性化に活性化関数を適用することによって出力を導出するように構成することができる。活性化関数は、例えば、恒等関数、決定論的関数(例えば、線形、シグモイド、閾値など)、確率関数、または他の適切な関数とすることができる。所与のCEからの出力は、それぞれの接続を介して後続の層のCEに送出することができる。同様に、上述のように、CEの出力の各接続は、後続の層のCEの入力として受け取られる前にCEの出力に適用することができる重み付け値に関連付けることができる。重み付け値に加えて、接続およびCEに関連付けられる閾値(制限関数を含む)が存在してもよい。
【0034】
DNN112の重み付け値および/または閾値は、訓練前に最初に選択することができ、訓練中にさらに反復して調節または修正して、訓練済みDNNの重み付け値および/または閾値の最適なセットを達成することができる。各反復の後、DNN112によって作り出された実際の出力と、データのそれぞれの訓練セットに関連する目標出力との間の差(損失関数とも呼ばれる)を決定することができる。この差は、誤差値と呼ばれることもある。訓練は、誤差値を示すコスト関数または損失関数が所定の値未満になったとき、または反復の間の性能の限られた変化が達成されたとき、完了したと決定することができる。オプションとして、DNNサブネットワーク(もしあれば)の少なくとも一部は、DNN全体の訓練の前に別個に訓練することができる。
【0035】
システム103は、入力インタフェース105を介して、入力データを受け取るように構成される。入力データは、試験ツールによって作り出されたデータ(および/またはその派生物および/またはそれに関連するメタデータ)、および/または1つまたは複数のデータリポジトリ109において、および/またはCADサーバ110および/または別の関連データリポジトリにおいて作り出されたおよび/または格納されたデータを含むことができる。入力データは、画像(例えば、捕捉した画像、捕捉した画像から導出された画像、シミュレートされた画像、合成画像など)および関連する数値データ(例えば、メタデータ、手作りの属性など)を含むことができることに留意されたい。画像データは、試料の対象の層および/または1つまたは複数の他の層に関連するデータを含むことができることにさらに留意されたい。
【0036】
システム103は、さらに、受け取った入力データの少なくとも一部を処理し、結果(またはその一部)を、出力インタフェース106を介して、ストレージシステム107に、試験ツールに、結果をレンダリングするためのコンピュータベースのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)108に、および/または外部システム(例えば、FABの歩留り管理システム(YMS))に送るように構成される。GUI108は、さらに、オペレーティングシステム103に関連するユーザ指定の入力を可能にするように構成することができる。
【0037】
非限定の例として、試料を1つまたは複数の低解像度試験装置101(例えば、光学検査システム、低解像度SEMなど)で試験することができる。試料の低解像度画像の情報を提供する、結果として生じるデータ(以下、低解像度画像データ121と呼ぶ)を、システム103に送出することができる(直接、または1つまたは複数の中間システムを介して)。代替としてまたは追加として、試料を高解像度装置102で試験することができる(例えば、レビューのために選択された潜在的な欠陥位置のサブセットを走査電子顕微鏡(SEM)または原子間力顕微鏡(AFM)でレビューすることができる)。試料の高解像度画像の情報を提供する、結果として生じるデータ(以下、高解像度画像データ122と呼ぶ)を、システム103に送出することができる(直接、または1つまたは複数の中間システムを介して)。
【0038】
試料の所望の位置の画像は、異なる解像度で捕捉することができることに留意されたい。非限定の例として、所望の位置のいわゆる「欠陥画像」は、欠陥と誤警報とを区別するために使用可能であり、一方、所望の位置のいわゆる「クラス画像」は、より高い解像度で得られ、欠陥分類のために使用可能である。いくつかの実施形態では、同じ位置の複数の画像(同じ解像度または異なる解像度の)は、それらの間で位置合わせされたいくつかの画像(例えば、所与の位置から捕捉された画像、および所与の位置に対応する1つまたは複数の参照画像)を含むことができる。
【0039】
画像データは、それに関連するメタデータ(例えば、ピクセルサイズ、欠陥タイプのテキスト記述、画像捕捉プロセスのパラメータなど)とともに受け取られ処理され得ることに留意されたい。
【0040】
入力データ(例えば、低解像度画像データおよび/または高解像度画像データ、オプションとして、例えば、設計データ、合成データなどのような他のデータと一緒に)を処理すると、システム103は、結果(例えば、命令関連データ123および/または124)を試験ツールのいずれかに送り、結果(例えば、欠陥属性、欠陥分類など)をストレージシステム107に格納し、結果をGUI108を介してレンダリングし、および/または外部システムに(例えば、YMSに)に送ることができる。
【0041】
当業者は、本開示の主題の教示が、
図1に示されたシステムに拘束されず、等価なおよび/または変更された機能が、別の方法で統合または分割されてもよく、ソフトウェアとファームウェアおよび/またはハードウェアとの適切な組合せで実装されてもよいことを容易に認識するであろう。
【0042】
本開示の範囲を決して限定することなく、試験ツールは、光学イメージング装置、電子ビーム検査装置などのような様々なタイプの検査装置として実装することができることにも留意されたい。場合によっては、同じ試験ツールが、低解像度画像データおよび高解像度画像データを提供することができる。場合によっては、少なくとも1つの試験ツールは、計測機能を有することができる。
【0043】
図1に示された試験システムは、分散コンピューティング環境で実装することができ、
図1に示された前記の機能モジュールは、いくつかのローカルおよび/またはリモートデバイスにわたって分散させることができ、通信ネットワークによってリンクさせることができることに留意されたい。他の実施形態では、少なくともいくつかの試験ツール101および/または102、データリポジトリ109、ストレージシステム107、および/またはGUI108は、試験システム100の外部にあり、入力インタフェース105および出力インタフェース106を介してシステム103とデータ通信して動作することができることにさらに留意されたい。システム103は、試験ツールとともに使用することができるスタンドアロンコンピュータとして実装することができる。代替として、システムのそれぞれの機能は、少なくとも部分的に、1つまたは複数の試験ツールに統合することができる。
【0044】
次に、半導体試料内の対象の位置を決定する方法を示す
図2に注目する。この方法は、欠陥位置を表すデータを得ること(動作200)を含む。いくつかの実施形態によれば、データは、光学試験ツール(例えば、参照番号101を参照)によって取得された半導体試料の画像を含むことができる。特に、いくつかの実施形態によれば、半導体試料の光学画像と、参照画像との間の差分画像を生成することができ、ピクセル強度の差が閾値を超えている差分画像の位置は、対象の位置(欠陥を含む可能性がある)を示すことができる。上記のように、様々な用途において、光信号は低解像度であり、それゆえに、差分画像は、一般に、それ自体、欠陥を検出するのに十分ではない。いくつかの実施形態では、参照画像は、試験中の試料と同じタイプの別の試料の画像である(実際、欠陥の分布は、ランダム分布としてモデル化することができ、それゆえに、ピクセル強度の有意な差が同じタイプの2つの試料間に存在する場合、これは欠陥を示している可能性がある)。いくつかの実施形態では、参照画像は、欠陥がないと仮定される試料の画像(シミュレートされた画像または真の画像)である。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、データは、欠陥位置(特に、試験中の試料のタイプに対する)に関する過去データを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、データは、光学試験ツール(例えば、参照番号101を参照)によって取得された試料の画像を含むことができる。実際、いくつかの実施形態では、光学試験ツールは欠陥を検出するのに十分な解像度をもつ画像を提供しない(例えば、小さい構造の場合)が、光学試験ツールによって提供されるデータは、依然として、欠陥の存在が疑われる区域の最初の推定を含むことができる(それによって、欠陥を検出する方法の後続の動作で考慮されるべき区域のサイズが減少する)。いくつかの実施形態では、光学試験ツールによって提供されるデータは、照明ビームの異なる波長を使用して取得された画像に対応することができる。いくつかの実施形態によれば、データは、電子ビーム試験ツール(例えば、参照番号102を参照)によって取得された半導体試料の画像を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、データは、半導体試料の1つまたは複数の区域にわたる限界寸法均一性(CDU)を含むことができる。製造プロセス中に、複数のパターン特徴部が、基板に形成される。限界寸法(CD)は、例えば、ゲート幅、ラインの最小幅、または試料の生産において許容される2つのライン間の最小間隔を含む。CDUは、試料の区域内の限界寸法の変動の特性を示す。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、データは、半導体試料のシミュレートされた画像を含むことができる。特に、これは、CADデータ(例えば、ユーザによって提供された)などの設計データを含むことができそれは、欠陥が存在する可能性が高い試料に存在する構造化要素に関する情報(「CADホットスポット」)を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、データは、半導体試料の合成画像を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、データは、半導体試料の生産データ(例えば、温度、圧力、ガスのタイプ、生産ツールのタイプ)を含むことができる。実際、生産データは、半導体試料の欠陥の位置に影響を及ぼす可能性がある。一般に、試料への生産データの変動の影響は、光学試験ツールの解像度よりも大きい寸法を有する。
【0047】
この方法は、試料にわたる欠陥の存在の確率を表す第1の確率マップを構築するためにデータを使用すること(210)を含むことができる。いくつかの実施形態では、データは、訓練済みのディープニューラルネットワーク(DNN112など)に供給することができ、このディープニューラルネットワークは、試料のピクセルごとに、または試料のピクセルの区域ごとに、欠陥が存在する第1の確率を出力することができる。ディープニューラルネットワークは、必要とされるマップを提供するために教師あり学習を使用して事前訓練することができる。教師あり学習の間、オペレータによって提供され、欠陥の存在を示すラベルが、動作200において得られたデータを含む訓練セットと一緒に使用される。第1の確率マップを生成するためにディープニューラルネットワークを使用することは、単に可能な例であり、物理モデリング(1つまたは複数の統計モデルの使用を含む)などの他の方法を使用することができる。この第1の確率マップに基づいて、試料内の対象の位置の第1の推定(この位置は、欠陥の存在の確率が閾値を超えている第1の確率マップ内の位置に対応することができる)を得ることが可能であり、それは、さらに試験されるべきである。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、試料の複数の画像を試験ツール(光学試験ツール101など)によって取得することができ、画像は、少なくとも1つの取得パラメータ、例えば、波長などによって異なる。上記のように、差分画像は、試料の画像と参照画像との間で生成することができる。波長ごとの差分画像は、欠陥の位置を表す他のデータと一緒に、波長ごとの第1の確率マップを構築するために使用することができる。いくつかの実施形態では、集約された第1の確率マップを構築することができる(例えば、すべての波長の確率の最大値を使用することによって - 他の集約を使用して、複数の第1の確率マップを集約することができる)。
【0049】
次に、
図3に注目する。方法は、試験ツールによって取得された試料の第1の区域の画像を得ること(305)ことを含むことができる。いくつかの実施形態では、試験ツールは、高解像度試験ツールとすることができる(
図1の参照番号102を参照)。いくつかの実施形態によれば、第1の区域は、
図2の方法に従って計算された第1の確率マップに基づいて選択することができる。特に、第1の区域は、欠陥の存在の確率が閾値を超えていることを確率マップが示している区域として選択することができる。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、動作305は、試験ツール(試験ツール102など)によって取得された半導体試料の複数の第1の区域の各々の画像を得ることを含むことができる。複数の第1の区域は、
図2の方法に従って計算された確率マップに基づいて選択することができる。いくつかの実施形態によれば、複数の第1の区域は、十分に散在する(特に、試料の半径方向に沿って)ように選択される。いくつかの実施形態によれば、複数の第1の区域は、試料の厚さの漸進的変化が第1の区域の少なくとも一部の間で異なるように、および/または第1の区域の少なくとも一部の試料の厚さが、漸進的に変化し、一定でないように選択される(以下で説明するように、光学画像のピクセル強度は、厚さと相関し、試料の厚さの特性を示すために使用することができる)。これにより、処理される情報の多様化の拡大が可能になる。
【0051】
所与の第1の区域に対して、この方法は、所与の区域の欠陥性の情報を提供するデータDatt(すなわち、欠陥の存在の情報を提供するデータ)を決定すること(310)を含むことができる。1つまたは複数の属性に対するそのようなデータの様々な例が、以下で提供される。以下で説明するように、Dattは、Dattの極値に対応するDattの値で欠陥が存在する傾向があるという点で特有であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第1の区域の各々におけるデータDattは、1つまたは複数の第1の区域の複数の光学画像に基づいて決定される。複数の光学画像は、照明光信号の波長によって異なることがある。それゆえに、波長ごとに、異なるデータDattを得ることができる。
【0053】
1つまたは複数の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータは、様々な方法を使用して得ることができる。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第1の区域に存在する要素(例えば、接点、トランジスタなどの構造化要素)の形状を表すデータを得ることができる。これは、例えば、要素の輪郭を表すデータ(例えば、ラインエッジ粗さLER、それは試料に存在する要素のエッジの非平滑性を指す)、要素の表面を表すデータ、要素の周囲を表すデータ、および要素のサイズを表すデータを含むことができる。いくつかの実施形態では、このデータは、限界寸法均一性(CDU)を含むことができる。
この様々なデータは、光学試験ツール(試験ツール101など)によって以前に取得された光学画像に基づいて、および/または動作305において試験ツール(特に、試験ツール102とすることができる)によって取得された画像に基づいて得ることができる。このデータは、参照データ(CADデータなどの設計データ、または欠陥のない試料の参照画像)と比較することができる。差が閾値を超えている場合、これは、欠陥の存在を示している可能性がある。
【0055】
より一般的には、1つまたは複数の第1の区域にある構造化要素と、所与の第1の区域の参照画像に存在する構造化要素との間の差を表すデータを使用して、欠陥を検出することができる。これは、例えば、1つまたは複数の第1の区域の参照画像に対する1つまたは複数の第1の区域の構造化要素の位置(または配向)の差を含むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、構造化要素の形状を表すデータの発生は、1つまたは複数の第1の区域内で分析することができる。例えば、すべての構造化要素が同様の形状(例えば、円形)を有し、1つの構造化要素が、共通の平均形状とは異なっている形状を有するか、または既に異なる形状(例えば、楕円)を有する場合、これは欠陥を示している可能性がある。より一般には、欠陥を示すことができる他の属性では、1つまたは複数の第1の区域の属性の値の分布を計算することができ、平均値からのずれを検出することができる。
【0057】
この方法は、欠陥の存在が疑われる半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を決定すること(320)をさらに含むことができ、所与の第2の区域は、1つまたは複数の第1の区域のDatt(または以下で説明するようにDattと相関するデータ)に少なくとも基づいて決定される。
【0058】
一般に、欠陥性(CDU、LERなどのような)の情報を提供するデータDattは、欠陥を見つける確率が最も高い極値(属性に応じて最大もしくは最小のいずれか、または両方であり得る)が存在するようなデータである。それゆえに、この極値を見つけること、または少なくともこの極値に向かう傾向があることを試してみることができる。複数のDattの値が得られた(例えば、試料にわたる1つまたは複数の区域で)ので、第2の区域は、Dattの極値に向かって進もうとするように選択することができる。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の第2の区域の選択は、(限定はしないが)勾配降下法、ニュートン法、探索/活用アルゴリズムなどの方法に依拠することができる。
【0059】
簡単な(および非限定的な)例が
図3Aに示される。試料の9つの異なる区域(区域331~339)に関して、欠陥性の情報を提供する所与の属性に関するD
attが得られたと仮定する。D
attは、区域334~339では一定値を有するが、D
attの値は、区域331~区域332まで減少し、区域332~区域333まで再度増加すると仮定する。D
attが計算された特定の属性について、最小値が、欠陥を見つける高い確率に対応することが分かっている場合、これは、さらなる取得が、区域331と区域332との間で実行されるべきであることを示す。特に、この方法は、欠陥が見つかるまで、区域340および341でのD
attのより多くの値(より細かいサンプリング)を取得するために繰り返すことができる。
【0060】
図2を参照して、欠陥が存在する(深刻な)可能性がある対象の位置を示す第1の確率マップを構築できることが述べられた。いくつかの実施形態によれば、動作320は、D
attに基づいて第1の確率マップを更新することを含むことができる。特に、D
attが極値に対応する値を有することが予想される区域(1つまたは複数の第1の区域において動作310で発見されたD
attの傾向に基づいて)は、確率の増加を得ることができ、一方、他の区域は確率の減少を得ることができる。1つまたは複数の第2の区域が、更新された第1の確率マップに基づいて決定および選択され得る。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、Dattは、動作310において、複数の異なる属性の各々について1つまたは複数の第1の区域において別々に決定される(例えば、Datt,1はCDUに対応し、Datt,2はLERに対応する)。各属性は、ウエハ上でそれ自体の傾向をたどることができる。結果として、属性ごとに、所与の位置に欠陥が存在する異なる確率を得ることができる。集約された確率Pは、ピクセルごとにまたはピクセルの区域ごとに、例えば、すべての属性について決定されたすべての確率を乗算することによって計算することができ(これは限定ではなく、他の統計式を使用することができる)、P=ΠPattributeであり、ここで、Pattributeは、所与の属性について欠陥を見つける確率である。いくつかの実施形態では、Dattは複数の異なる波長に対して計算することができるので、欠陥が所与の位置に存在する複数の確率を得ることができる。結果として、集約確率は、上記のように、任意の適合した統計式を使用して生成することができる。
【0062】
1つまたは複数の第2の区域が識別された後、それらは、試験ツールによる検査のために選択され得る(動作330)。特に、いくつかの実施形態によれば、動作330は、1つまたは複数の第2の区域の画像を取得するように試験ツールに命令する試験ツールへの命令を生成することを含むことができる。1つまたは複数の第2の区域の画像に基づいて、第2の区域が欠陥を含むかどうかを検出することが可能である。例えば、試験ツールが高解像度試験ツール(電子ビーム顕微鏡102など)である場合、欠陥が存在するか否かに関する明確な決定を出力することができる。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、
図3の方法は、停止基準が満たされるまで、反復して繰り返すことができる。これが、
図4に示される。
【0064】
この方法は、試験ツールによる検査のために半導体試料の少なくとも1つの区域A
iを選択すること(動作400)と、試験ツールによって取得された少なくとも1つの区域A
iの画像を得ること(動作405)とを含む。動作405は、動作305と同様である。第1の反復において(i=1の場合)、A
iは、
図2を参照して説明したように、計算された第1の確率マップに基づいて選択することができる。
【0065】
この方法は、1つまたは複数の区域Aiの欠陥性の情報を提供するデータDattを決定すること(動作410)を含む。動作410は、動作310と同様である。この方法は、いくつかの実施形態では、Dattに基づいて確率マップ(現在使用中の)を更新すること(415)を含むことができる。
【0066】
この方法は、1つまたは複数の区域Ai+1を決定すること(動作420)を含む。これは、例えば、確率マップに基づいて(および/またはDattに基づいて)実行することができる。動作420は、動作320と同様とすることができる。次いで、試験ツールによる検査のために、1つまたは複数の区域Ai+1を選択することができる。
【0067】
次いで、この方法は繰り返すことができる(参照番号440を参照)。次の反復において、1つまたは複数の区域Ai+1のDattが、計算され、1つまたは複数の区域AiのDattについて決定された傾向が新しく選択された区域Ai+1において続行するかどうかを決定するのに役立つ。
【0068】
したがって、
図4の方法によれば、第1の粗いサンプリングが、試料にわたるD
att(1つまたは複数の属性の)の一般的傾向を検出するために実行され、後続の反復中に、D
attの値のより細かいサンプリングが、欠陥が見つかる確率が高いD
attの極値(属性に応じて最小および/または最大)に向かう傾向があることを試してみるために、試料の特定の区域で実行される、
【0069】
いくつかの実施形態によれば、動作415における確率マップの更新(確率マップのピクセルごとにまたは確率マップのピクセルの区域ごとに更新された確率Pnewを得るための)は、前の確率(前の反復「i」で得られたPprev)と、現在の確率(反復「i+1」で得られたPcurr)との間での重み付けされた組合せを実行することを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、以下の式を使用することができる(これは限定的ではない - αは、例えばオペレータによって選択された重みである)。
Pnew=αPprev+(1-α)Pcurr
【0070】
図4の方法の反復中に、ある段階で、試験ツールの出力が、選択された区域A
k(あるkの値に対して)における欠陥の存在を示すことが予想される。言い換えれば、D
attの使用は、欠陥に集中し、欠陥を見つけるのに有益であった。
【0071】
次に、
図3の方法の別の可能な実施態様を説明する
図5に注目する。特に、
図3において、1つまたは複数の第2の区域の選択が、D
attと相関するデータに基づいて実行され得ることが述べられた。
図5は、この方法の可能な実施形態を示す。
【0072】
この方法は、試料の少なくとも1つの所与の第1の区域(または複数の所与の第1の区域)の画像を得ること(動作505、動作305と同様)を含む。
【0073】
この方法は、所与の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータDattと、所与の第1の区域の試料の厚さを表すデータとの間の相関を表すデータDcorrelを決定すること(動作510)をさらに含む。いくつかの実施形態では、動作310は、複数の所与の第1の区域に、または所与の第1の区域のすべてに実行することができる。様々な例が、Dattについて既に提供されており、この方法で使用することができる。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、所与の第1の区域の試料の厚さを表すデータは、特に、光学試験ツール(例えば、参照番号101を参照)によって取得された所与の第1の区域の画像に基づいて得ることができる。実際、試料(1つまたは複数の層を含むことがある)の厚さは、光信号の回折に影響を及ぼし、それゆえに、光学画像のピクセル強度に影響を及ぼす。照明光信号の波長に応じて、ある場合には、試料の厚さが厚いほど、光学画像内の対応するピクセルの強度(「グレーレベル」)が高くなり(正相関)、他の場合には、試料の厚さが薄くなるほど、光学画像内の対応するピクセルの強度(「グレーレベル」)が高くなる(負相関)。
【0075】
試料の光学画像のピクセル強度は試料の厚さと相関するので、ピクセル強度は、試料の厚さを表すデータとして使用することができる。ピクセル強度と試料の厚さとの間の関係を決定することは、この関係が必ずしも既知または利用可能でないので、必須ではなく、光学画像のピクセル強度が試料の厚さを表すことが分かれば十分である。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、所与の第1の区域の試料の厚さを表すデータは、所与の第1の区域の複数の光学画像に基づいて決定される。これが、
図5Aに示される。複数の光学画像(動作540において取得される)は、照明光信号の波長によって異なり得る。複数の光学画像の各々の所与の第1の区域のピクセル強度の分布は一般に異なる。実際、各光信号は異なる波長を有するので、異なるレベルの回折が得られ、それゆえに、波長ごとに、各々が膜厚分布を表す異なるピクセル強度分布が得られる。
【0077】
上記のように、動作510は、第1のデータ(所与の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータ)と、第2のデータ(所与の第1の区域の半導体試料の厚さを示すデータ - 実際、上記のように、光学画像のピクセル強度を使用して、試料の厚さの特性を示すことができる)との間のデータDcorrelを決定することを含む。実際、試料の厚さと、欠陥が存在する確率との間に相関があることが予想される。この相関は、実験的に観察されている。
【0078】
所与の第1の区域の欠陥性の情報を提供するデータDattは変数Zで表され、光学画像のピクセル強度は変数Yで表され、所与の第1の区域の半導体試料の厚さを表すデータは変数Xで表されると仮定する。データDcorrelの決定は、Z=F(Y)などの関数Fを決定することを含むことができる。YがXと相関することが分かっているので、これはZ=G(X)を決定することと等価である。以下で説明するように、あるタイプの属性Zでは、Zの値が高いほど、欠陥を見つける確率が高くなり、他のタイプの属性Zでは、Zの値が低いほど、欠陥を見つける確率が高くなる。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、Fは、例えば、補間などの方法(非限定的な例は線形回帰を含む)、または他の統計的方法を使用して、決定することができる。所与の第1の区域の欠陥を表す所与の属性(例えば、CDU)では、複数の対の値を得ることができる(Z=属性の値、Y=ピクセル強度)ことを仮定する。結果として、この属性に関して、関数Fを得ることができる。いくつかの実施形態によれば、欠陥を表す属性ごとに、関数Fattributeを別々に決定することができる。
【0080】
この方法は、欠陥の存在が疑われる半導体試料の1つまたは複数の第2の区域を決定すること(520)をさらに含むことができ、1つまたは複数の第2の区域は、Dcorrel(またはそれを表すデータ、例えば、Dcorrelに基づいて生成された欠陥確率など)、および試料の厚さを表すデータに基づいて決定される。実際には、上記のように、厚さの値は、一般に、直接利用可能ではなく、光学画像のピクセル強度を使用して厚さを表すことができる。
【0081】
実際、Dcorrelの一部であるF(またはFattribute)は、ピクセル強度の(さらには厚さの)どの値で、および/またはピクセル強度の(さらには厚さの)どの漸進的変化で、欠陥が所与の位置に存在する可能性があるかを決定するために使用することができる。例えば、属性の高い値が欠陥を見つける高い確率に対応するような属性である場合、Fattributeの高い値に関連するピクセル強度を決定することができ、それを使用して第2の区域を選択することができる。例えば、属性がCDUである場合、CDUの値が高いほど欠陥を見つける確率が高くなることが予想される。これは限定的ではなく、他の属性では、属性の低い値が、欠陥を見つける高い確率に対応する場合がある。
【0082】
試料の厚さを表すデータが利用可能であり(例えば、試料の光学画像に基づいて)、Dcorrelが、試料の厚さ(ピクセル強度による)と、欠陥性の情報を提供するデータとの間の関係を特徴付けるので、第2の区域は、ピクセル強度(それゆえに、試料の厚さ)が欠陥の存在を反映すると予想される区域として選択され得る。第2の区域は、第2の区域が欠陥を含むかどうかを確認するために、試験ツールによって検査されるように選択され得る(動作530)。
【0083】
図2を参照して、欠陥が存在する(深刻な)可能性がある対象の位置を示す第1の確率マップを構築できることが述べられた。いくつかの実施形態によれば、動作520は、D
correl、および試料の厚さを表すデータに基づいて第1の確率マップを更新することを含むことができる。言い換えれば、D
correlは、欠陥が存在する確率を計算するために使用することができる(区域が試験ツール102によって取得されていない場合でさえ)。特に、欠陥が存在する確率が高いことをD
correlが示すピクセル強度(例えば、ピクセル強度の値および/またはピクセル強度の漸進的変化)を有する区域は、確率の増加を得ることになり、一方、欠陥が存在する確率が低いことをD
correlが示すピクセル強度を有する区域は、確率の減少を得ることになる。1つまたは複数の第2の区域が、更新された確率マップに基づいて決定および選択され得る。
【0084】
例えば、Dcorrelがピクセル強度の特定の値(例えば、範囲[Y1;Y2]の)で欠陥の高い確率を示すと仮定する。次いで、第2の区域は、ピクセル強度がこの範囲にあるように選択することができる。いくつかの実施形態では、ピクセル(第1の確率マップに属する)は、ピクセル強度に基づいて複数のクラスタにクラスタ化することができ、それゆえに、選択されたピクセル強度の範囲に最も近いピクセルのクラスタは、高い確率を得ることになる。
【0085】
上記のように、いくつかの実施形態によれば、属性の値(欠陥の位置を表す)とピクセル強度との間の相関を表す関数F(またはFattribute)が、複数の属性の各々に対して決定される。第1の確率マップの更新は、マップのピクセルごとにまたはマップのピクセルの区域ごとに、欠陥が存在する確率Pattributeを、Fattributeおよびピクセル強度(試料の厚さを表す)に基づいて決定することを含むことができる。確率のモデリングの非限定的な例は、
【0086】
【数1】
を含むことができる。この式において、Yは、光学画像のピクセル強度(厚さを表す)である。μは、この属性に対して得られたF
attributeに基づいて決定することができる。例えば、ピクセル強度の所与の値Y
*に対して、欠陥を見つける確率が高い(およびY
*から離れるとき減少する)ことをF
attributeが示している場合、μは、μ=Y
*になるように選択することができる。
【0087】
集約された確率Pは、ピクセルごとにまたはピクセルの区域ごとに、例えば、すべての属性について決定されたすべての確率を乗算することによって計算することができ(これは限定ではなく、他の統計式を使用することができる)、P=ΠPattributeである。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、第2の区域は、前の反復(第1の区域に対する)で得られた関数F(またはFattribute)をテストするように選択することができる。例えば、関数Fがピクセル強度(厚さを表す)の範囲Rで欠陥の高い確率を示した場合、第2の区域は、この範囲のピクセル強度で選択することができる。他の例では、関数Fがピクセル強度(厚さを表す)の範囲Rで欠陥の高い確率を示した場合、第2の区域は、この範囲Rと異なる範囲R’(例えば、R’はRを含むことができる)のピクセル強度で選択することができる。
【0089】
上記のように、一般に、欠陥の存在を示すデータ(CDU、LERなどのような)は、欠陥を見つける確率が最も高い極値(属性に応じて最大および/または最小であり得る)が存在するようなデータである。それゆえに、この極値を見つけること、または少なくともこの極値に向かう傾向があることを試してみることができる。第2の区域は、関数Fの出力の極値に向かって進もうとするように選択することができる。例えば、CDUでは、CDUが欠陥区域で高い値を有することが予想され、それゆえに、最大値を見つけることになる。
【0090】
関数Fは、ピクセル強度がY
1からY
1+5まで増加するとき、欠陥の存在の高い確率を示す(Z=F(Y)の値によって反映される)ことを仮定する(
図5Bの例を参照 - この例では、属性の値が高いほど、欠陥の確率が高くなる)。この傾向が実際に欠陥を表しているかどうかを、ピクセル強度がY
1+5からY
1+10に展開する第2の区域を選択することによって、および/またはピクセル強度が既にY
1+10に等しい区域を選択することによって、チェックすることを試みることができる。言い換えれば、できればZの極値(
図5BではZ
max)に到達するために、前の反復で識別された傾向が正しいかどうかをチェックすることが試みられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、ピクセル強度が上記の関係に従うピクセル区域(上記の確率マップにおける)に割り当てられる確率を高めることができ、それによって、これらの区域が次の反復で選択されることになる可能性が高まる。
【0092】
同様に、別の属性の関数Fは、ピクセル強度がY
1からY
1-5まで減少するとき、欠陥の存在の高い確率を示す(Z=F(Y)の値によって反映される)ことを仮定する(
図5Cを参照- この例では、属性の値が低いほど、欠陥の確率が高くなる)。この傾向が実際に欠陥を表しているかどうかを、ピクセル強度がY
1-5からY
1-10に展開する第2の区域を選択することによって、および/またはピクセル強度が既にY
1-10に等しい区域を選択することによって、チェックすることを試みることができる。言い換えれば、できればZの極値(
図5CではZ
min)に到達するために、前の反復で識別された傾向が正しいかどうかをチェックすることが試みられる。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、第2の区域の選択は(この方法の前の反復で決定された相関関数の有効性をチェックするために)、勾配降下法、ニュートン法、探索/活用アルゴリズム(探索/活用アルゴリズムは、関数が複数の局所極値を含む場合に特に有用である)などの方法に依拠することができる。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの取得パラメータ(波長など)によって異なる複数の画像を得ることができることが
図5Aを参照して述べられた。それゆえに、取得パラメータごとに、ピクセル強度の異なる分布が得られ、D
correlは、取得パラメータごとに独立して計算することができる。いくつかの実施形態によれば、取得パラメータごとに異なる確率マップを得ることができ、第2の区域は、例えば、すべての異なる確率マップの中で確率が最も高い区域として選択することができる。
【0095】
第2の区域が識別された後、第2の区域は、動作330を参照して説明したように、試験ツールによる検査のために選択することができる(動作530)。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、
図5の方法は、停止基準が満たされるまで、反復して繰り返すことができる。これが、
図6に示される。
【0097】
この方法は、試験ツールによる検査のために半導体試料の少なくとも1つの区域A
iを選択すること(動作600)と、試験ツールによって取得された少なくとも1つの区域A
iの画像を得ること(動作405)とを含む。動作605は、動作505と同様である。第1の反復において(i=1の場合)、A
iは、
図2を参照して説明したように、計算された第1の確率マップに基づいて選択することができる。
【0098】
この方法は、区域Aiの欠陥性の情報を提供するデータDattと、区域Aiの試料の厚さ(特に、ピクセル強度は、区域Aiの試料の厚さを表す)を表すデータとの間の相関を表すデータDcorrel,iを決定すること(動作610)を含む。動作610は、動作510と同様である。この方法は、いくつかの実施形態では、Dcorrel,iに基づいて確率マップ(現在使用中の)を更新すること(615)を含むことができる。
【0099】
この方法は、少なくとも1つの区域Ai+1を決定すること(動作620)を含む。これは、例えば、確率マップに基づいて(および/またはDcorrel,i、および試料の厚さを表すデータに基づいて)実行することができる。動作620は、動作520と同様とすることができる。次いで、試験ツールによる検査のために、区域Ai+1を選択することができる。
【0100】
次いで、この方法は繰り返すことができる(参照番号640を参照)。次の反復において、区域Ai+1のDcorrel,i+1が、計算され、欠陥を表すとしてDcorrel,iで決定された傾向(および/またはピクセル強度の特定の値)が正しいかどうかを決定するのに役立つ。
【0101】
例えば、ピクセル強度の範囲[Y1;Y2]で欠陥を見つける確率が高いことをDcorrel,iが示していること、およびDcorrel,i+1がこの前提を確認していることを仮定する。次いで、確率マップは、この範囲にある厚さを有するピクセルの区域に割り当てられている確率をさらに高めるように更新すること(動作615)ができる。
【0102】
別の例では、例えば、ピクセル強度の範囲[Y3;Y4]で欠陥を見つける確率が高いことをDcorrel,iが示していること、およびDcorrel,i+1がこの前提を否定していることを仮定する。次いで、確率マップは、この範囲にあるピクセル強度を有するピクセルの区域に割り当てられた確率を低くするように更新すること(動作615)ができる。
【0103】
別の例では、ピクセル強度(さらには厚さ)における特定の勾配または傾向が欠陥を示すことをDcorrel,iが示していると仮定する。上記のように、ピクセル強度におけるこの勾配または傾向が、実際に、欠陥を示しているかどうかをテストするために、Ai+1を選択することができる。
【0104】
Dcorrel,i+1(区域Ai+1における欠陥の存在を示すデータと、区域Ai+1における試料の厚さを表すデータとの間の相関を表す)により、Dcorrel,iに存在するようなピクセル強度(さらには厚さ)の勾配または傾向が欠陥を示していることが確認された場合、確率マップは、Dcorrel,iおよびDcorrel,i+1に記載されるような勾配または傾向に従うピクセル強度を有するピクセルの区域に割り当てられた確率を高めるように更新することができる(動作615)。
【0105】
Dcorrel,i+1(区域Ai+1における欠陥の存在を示すデータと、区域Ai+1における試料の厚さを表すデータとの間の相関を表す)により、Dcorrel,iに存在するようなピクセル強度の勾配または傾向が欠陥を示していないことが示された場合、確率マップは、Dcorrel,iに記載されるような勾配または傾向に従うピクセル強度を有するピクセルの区域に割り当てられた確率を低くするように更新することができる(動作615)。欠陥を示す正しい勾配または傾向は、例えば、いくつかの後続の反復の後、見つけることができる。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、動作615における確率マップの更新(確率マップのピクセルごとにまたは確率マップのピクセルの区域ごとに更新された確率P
newを得るための)は、
図4を参照して既に説明したように、前の確率(前の反復「i」で得られたP
prev)と、現在の確率(反復「i+1」で得られたP
curr)との間での重み付けされた組合せを実行することを含むことができる。
【0107】
図6の方法の反復中に、ある段階で、試験ツールの出力が、選択された区域A
k(あるkの値に対して)における欠陥の存在を示すことが予想される。言い換えれば、D
correlの使用は、欠陥に集中し、欠陥を見つけるのに有益であった。いくつかの実施形態によれば、この区域A
kの厚さを表すデータD
Akを使用して、確率マップを更新することができる。特に、欠陥がこの区域A
kで検出されたので、確率マップを更新することができ、その結果、ピクセル強度が、D
Akと同様に(例えば、閾値を含むことができる類似性基準に従った)値を含みおよび/または進展するピクセルの区域は、高い確率(例えば、1に近い)を割り当てられる。結果として、この方法のこの先の反復中に(そのような反復を示す参照番号640を参照)、ピクセルのこれらの区域は、試験ツールによる検査のために選択され(動作600)、それによって、追加の欠陥を決定する可能性が高まることになる。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、試験ツールによって取得することができる区域の数に制限がある。この制限は、例えば、時間および/またはコスト制約条件に起因する可能性がある。この制限は、特に、試験ツール102(例えば、電子ビーム顕微鏡)などの高解像度試験ツールで発生する。結果として、試験ツールによってすべての区域を取得できるとは限らない。確率マップが、Dcorrel、および1つまたは複数の区域の半導体試料の厚さを表すデータに基づいて計算されたので、試験ツールによる1つまたは複数の区域の画像の取得を必要とすることなく、1つまたは複数の区域が欠陥を含む確率を出力することが可能である。特に、欠陥が存在する確率が閾値を超えている1つまたは複数の区域を出力することができる(実際、高解像度試験ツールが、これらの区域の画像を取得していないにもかかわらず)。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、Dcorrelおよび/または確率マップを第1の試料で決定することができ、Dcorrelおよび/または確率マップを他の試料(第1の試料と同様である、例えば同じタイプのウエハである、または同じ生産プロセスである)に使用して、試験ツール(例えば、102)で試験されるべき位置を選択することができる。いくつかの実施形態では、欠陥の高い確率が第1の試料で見つかった位置は、後続の同様の試料で試験することができる。いくつかの実施形態では、Dcorrelおよび/または確率マップは、ピクセル強度(厚さの漸進的変化を反映する)に基づいて欠陥が存在する確率の情報を提供する。それゆえに、試験ツール(例えば102)による試料全体の取得を必要とすることなく、ピクセル強度の分布に基づいて後続の同様の試料の対象の位置を決定することが可能である。
【0110】
本発明は、その用途において、本明細書に含まれる説明に記載されるか、または図面に示される詳細に限定されないことを理解されたい。
【0111】
本発明によるシステムは、少なくとも部分的に、適切にプログラムされたコンピュータに実装することができることも理解されよう。同様に、本発明は、本発明の方法を実行するためのコンピュータにより読取り可能なコンピュータプログラムを企図する。本発明は、本発明の方法を実行するためのコンピュータにより実行可能な命令のプログラムを有形に具現化する非一時的コンピュータ可読メモリをさらに企図する。
【0112】
本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践および実行することができる。したがって、本明細書で使用された語法および用語は、説明の目的のためのものであり、限定と見なされるべきでないことを理解されたい。そのため、本開示が基づいている概念は、本開示の主題のいくつかの目的を実行するために他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを当業者は認識するであろう。
【0113】
添付の特許請求の範囲内でおよび添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形および変更を上文に記載の本発明の実施形態に適用できることを当業者は容易に認識するであろう。