(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】シート材搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/58 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
B65H29/58 A
B65H29/58 B
(21)【出願番号】P 2019137733
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】田中 瑞来
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100147(JP,A)
【文献】特開2013-245037(JP,A)
【文献】特開2005-162476(JP,A)
【文献】特開2017-156651(JP,A)
【文献】特開2018-200437(JP,A)
【文献】特開2008-285274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B65H 5/38
B65H 29/52
B65H 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の向きにシート材を搬送する第一搬送経路と、前記第一搬送経路を一部供用し、第一の向きとは反対の第二の向きにシート材を搬送する第二搬送経路と、前記第一搬送経路と前記第二搬送経路とが交差する箇所に設けられ、前記第一の向き用の第一姿勢と前記第二の向き用の第二姿勢との間で姿勢切り替え可能な分岐部搬送ガイド部材とを備えたシート材搬送装置において、
前記分岐部搬送ガイド部材を、互いに独立に姿勢切り替え可能にシート材の幅方向に複数設けられており、
前記分岐部搬送ガイド部材は、シート材の幅方向成分を持つ向きに倒れ得るようにガタを設けて支持されていることを特徴とするシート材搬送装置。
【請求項2】
前記第二姿勢を取る前記分岐部搬送ガイド部材は、シート材の先端との接触で前記第一姿勢に姿勢が切り替えられ、当該シート材の後端が抜けることで前記第二姿勢に復帰することを特徴とする請求項1に記載のシート材搬送装置。
【請求項3】
複数の前記分岐部搬送ガイド部材の少なくとも一つについての前記第二姿勢への復帰は、前記分岐部搬送ガイド部材の自重によって
なされることを特徴とする請求項2に記載のシート材搬送装置。
【請求項4】
前記分岐部搬送ガイド部材は、回動支点を中心に動作し、前記回動支点を挟んで前記分岐部搬送ガイド部材の重心とは反対側の箇所を回り止めに当てる事で前記第二姿勢を保ち、前記分岐部搬送ガイド部材の前記回り止めが当たる箇所から前記回動支点までの距離は、前記回動支点から前記分岐部搬送ガイド部材の重心までの距離よりも短く設定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のシート材搬送装置。
【請求項5】
前記分岐部搬送ガイド部材はシート材と接触するリブを有しており、前記リブは根元の幅に対して先端が細くなっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のシート材搬送装置。
【請求項6】
前記分岐部搬送ガイド部材は、回動支点を中心に動作し、前記第一搬送経路と前記第二搬送経路とは前記回動支点を挟んで互いに反対側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のシート材搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一に記載のシート材搬送装置と、シート材に画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部で画像が形成されたシート材を装置外に排出する排出経路が前記第一搬送経路であり、第一搬送経路を第一の向きに搬送されたシート材を再度画像形成部に送り込むために反転させて搬送する反転経路が前記第二搬送経路である請求項7の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、第一の向きにシート材を搬送する第一搬送経路と、第一搬送経路を一部供用し、第一の向きとは反対の第二の向きにシート材を搬送する第二搬送経路と、第一搬送経路と第二搬送経路とが交差する箇所に設けられ、第一の向き用の第一姿勢と第二の向き用の第二姿勢との間で姿勢切り替え可能な分岐部搬送ガイド部材とを備えたシート材搬送装置が知られている。
例えば、特許文献1には、前記分岐部搬送ガイド部材を、コイルスプリングと、コイルスプリングの付勢力に抗する力を発揮させるソレノイドとによって、第一姿勢と第二姿勢との間で姿勢切り替え可能にしたものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ソレノイドといった電気制御するアクチュエータを用いるためコストが上昇してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明のシート材搬送装置は、第一の向きにシート材を搬送する第一搬送経路と、前記第一搬送経路を一部供用し、第一の向きとは反対の第二の向きにシート材を搬送する第二搬送経路と、前記第一搬送経路と前記第二搬送経路とが交差する箇所に設けられ、前記第一の向き用の第一姿勢と前記第二の向き用の第二姿勢との間で姿勢切り替え可能な分岐部搬送ガイド部材とを備えたシート材搬送装置において、前記分岐部搬送ガイド部材を、互いに独立に姿勢切り替え可能にシート材の幅方向に複数設けられており、前記分岐部搬送ガイド部材は、シート材の幅方向成分を持つ向きに倒れ得るようにガタを設けて支持されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によればソレノイドといった電気制御するアクチュエータを用いることなく、姿勢切り替えが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】反転部分である反転搬送ガイド周辺の拡大図。
【
図7】幅方向で最大サイズの用紙を通紙した場合の説明図。
【
図8】小サイズ紙(例えばA6)を通紙した場合の説明図。
【
図10】用紙端部が分岐搬送ガイドに接触した状態の説明図。
【
図11】分岐搬送ガイドの待機位置に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明で「画像形成装置」とは、紙、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に現像剤やインクを付着させて画像形成を行う装置を意味する。また「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。また、「シート材」とは紙(用紙)に限らず、OHPシート、布帛なども含み、現像剤やインクを付着させることができる媒体の意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものも含む。以下の実施形態ではシート材を「用紙」として説明し、また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0008】
本発明を画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ100に適用した一実施形態について説明する。インクジェット方式などの電子写真方式以外の画像形成装置にも適用可能である。
【0009】
図1は、実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。同図に示すように、プリンタ100は、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)のトナー像を作像するための四つの作像ユニット(作像装置)110K,110C,110M,110Yを備えている。各部品に付された符号の末尾に添えるK,C,M,Yという添字は各色に対応させたものである。光書込ユニット120、中間転写ベルトユニット130、給紙装置140、定着装置150、排紙装置160及び再給紙装置170を備えている。
【0010】
作像ユニット110は、像担持体としての感光体、帯電チャージャ、現像ユニット、一次転写ユニット、クリーニングユニットなどを備えたものである。帯電チャージャにより電位を付与した感光体に、光書き込みユニットに120によって潜像を形成し、この潜像を現像ユニットにより顕像化されたトナー像を、一次転写ユニットで中間転写ベルトユニット130の中間転写ベルト3に転写する。また、転写されずに残ったトナーは、クリーニングユニットによりクリーニングされ、また、感光体表面に残った電位は、徐電ユニットにより零電位に戻される。この中間転写ベルト3上のトナー像が給紙搬送系を搬送されるシート材としての用紙に転写される。なお、この中間転写ベルト3にトナー像を形成するための作像ユニット、光書込ユニット及び中間転写ベルトユニット130で画像形成部が構成される。
【0011】
図2は給紙搬送系を示す概略構成図である。給紙装置140の給紙コロ1で給紙された用紙はレジストローラ2へ到達後、規定のたわみを形成させて待機する。中間転写ベルト3でトナー像が搬送されている。2次転写ローラ4にて用紙に転写できるようにタイミングを決めてレジストローラ2を駆動開始し用紙を搬送させ、2次転写ローラ4で用紙にトナー像を転写する。その後、定着装置150でトナーを用紙に定着する。具体的には加熱手段25を内蔵した定着ローラ5と加圧ローラ35との圧接部に用紙を通し、加圧・加熱によりトナーを用紙に定着する。
【0012】
片面印刷の場合は、排紙装置160により、排紙ローラ7と対向ローラ37とで挾持搬送して用紙を排紙トレイ27へ排出する。両面印刷の場合、定着ローラ5と加圧ローラ35との圧接部を用紙後端が抜けた後、反転搬送ガイド6に設けられた排紙センサにて用紙後端を検知し、反転搬送ガイド6の頂点を用紙後端が抜けたタイミングにて、排紙ローラ7を逆転させる。排紙ローラ7はステッピングモータにて駆動制御されており、排紙センサの検知結果に応じて回転方向を制御可能となっている。排紙ローラ7の逆転開始後は、再給紙装置170の両面ローラ8に用紙が到達し、ターンして再びレジストローラ2に到達して、たわみ作成後に待機する。あとは、片面印刷と同様に二次転写及び定着がなされ、排紙トレイ27へ排出される。
【0013】
図2中、符号11、12は排紙装置160における排紙下ガイド、排紙上ガイドを示す。符号38は再給紙装置170における外側ガイドを示す。
【0014】
図3は反転部分である反転搬送ガイド6周辺の拡大図である。排紙下ガイド11は排紙ローラ7を保持している搬送ガイドで、用紙の画像面側をガイドする。排紙上ガイド12は、排紙ローラ7へ用紙を導入させるための搬送ガイドである。反転搬送ガイド6は、図の左右両側に搬送経路を持っており、左側は排出もしくは反転前の用紙の非画像面側をガイドしている。それに対して右側は反転後の用紙を、外側ガイド38とともに、両面経路へ案内する機能を持っている。
【0015】
反転搬送ガイド6には、反転時の経路切替を行うための分岐搬送ガイド部材としての分岐搬送ガイド9が設置されている。分岐搬送ガイド9は、反転搬送ガイド6に設けられた回動支点としての回動軸10にて軸支されており、ソレノイド等の駆動手段はとられていない。また、スプリング等の付勢手段もとっておらず、用紙による押し上げもしくは自重のみで作動する。
【0016】
分岐搬送ガイド9の機能は次のものである。排出経路・両面経路の分岐部はどうしても搬送経路のスペースが大きくなってしまうため、用紙の搬送が安定しにくい。定着直後なので、カールの影響も大きい。例えば、先端が大きくバックカール(幅方向外側が中央よりも反転搬送ガイド6側に接近する図の右側へのカール)していた場合、分岐搬送ガイド9が無いと、反転搬送ガイド6から排紙上ガイド12の受け渡しにて排紙上ガイド12への到達時のカール紙先端の入射角が大きくなり、先端折れ、耳折れ、ジャムが発生してしまう。また、反転開始後はフェイスカール(図の左側へカール)していた場合やサイドカールが大きい場合、両面経路へ案内できずに元の定着側の経路に入ってしまう可能性がある。そこで、分岐搬送ガイド9を設けて、カールの状態によらず確実に用紙を搬送できるようにする。
【0017】
図4は、分岐搬送ガイドの作動を説明するための図である。用紙反転時の分岐搬送ガイド9の作動を説明する。定着ローラ5から排出された用紙Pは、排紙の向きである第一の向きに進みながら、分岐搬送ガイド9に到達する。するとその先端にて、分岐搬送ガイド9を持ち上げて、排紙上ガイド12へ受け渡される。この分岐搬送ガイド9が持ち上げられた姿勢が第一の向き用の第一姿勢に相当する。その後、排紙ローラ7へ導入される。用紙Pの後端が分岐搬送ガイド9を抜けた後は、自重にて待機位置に戻る。この待機位置は、排出経路を塞ぐ状態の第一位置(待機位置)であり、第二の向き用の第二姿勢に相当する。その後、排紙ローラ7が逆転して第二の向きに進む用紙Pが分岐搬送ガイド9の上側でガイドされ両面経路に案内される。このように分岐搬送ガイドは、その動作によって第一姿勢と第二姿勢との間で姿勢切り替え可能になっている。なお、排出経路と反転経路とは回動軸10を挟んで互いに反対側に位置する。このため、比較的単純な分岐搬送ガイド形状であっても、排出経路を塞ぐ第二姿勢とこれを開放する第一姿勢とを選択的に取らせるだけで、用紙の安定なガイドが可能になっている。
【0018】
ここで次の2点に配慮が必要である。第1に、用紙先端にて分岐搬送ガイド9を持ち上げるのに用紙先端に負荷がかかるので、薄紙や小サイズ紙でも持ち上げられるように分岐搬送ガイド9の重量を設定する必要がある。第2に、分岐搬送ガイド9を用紙Pの後端が抜けてから、反転開始して再び分岐搬送ガイド9に用紙Pが到達するまでに、分岐搬送ガイド9が元の位置に到達していなければいけない。分岐搬送ガイドの重量が大きければ戻ったときの衝撃も大きく、バウンドしてしまうため戻り時間が不安定となってしまう。ソレノイドにて分岐搬送ガイドを駆動させればこの課題は解消できるが、低コスト省スペースの装置では搭載困難な場合がある。また、戻り時間を早めるためにスプリングで分岐搬送ガイドを戻すことも可能だが、その場合は、第1の配慮点である用紙先端への負荷がさらに上がる方向となってしまう。
【0019】
以上の2点を考慮し、本実施形態では、幅狭な分岐搬送ガイド9を互いに独立に動作可能な状態で反転搬送ガイド6に複数配置する。
図5は分岐搬送ガイドの配置の説明図である。排紙上ガイド12や外側ガイド38を取り外し、反転部分である反転搬送ガイド6周辺を見た斜視図である。分岐搬送ガイド9は添え字a~dを付して示すように5つも受けられている。なお、反転搬送ガイド6の反転後の用紙をガイドする面には用紙に接触してガイドするリブ16が形成されている。
【0020】
幅狭とすることで1個当たりの重量が下げられる。小サイズ紙に対しては、持ち上げる分岐搬送ガイド9の数を大サイズ紙に比べて減らせるので、先端への負荷が低減でき、用紙へのダメージを防ぐことができる。また、1個あたりの重量が軽いので、待機位置に戻ったときの衝撃が小さくバウンドも小さく、静音性や生産性を高めることができる。これにより、反転までの時間を十分確保できる。さらに戻し用のスプリングを用いる必要が無くなるので、用紙先端にかかる負荷も小さく薄紙対応が可能となる。
【0021】
図6は分岐搬送ガイド9の回動動作の説明図である。各分岐搬送ガイド9は、
図6に示すように反転搬送ガイド6に分岐搬送ガイド9毎に設けられた回動軸10にて軸支される。
図6(a)に示す待機位置では、自重による回動軸10回りの回転モーメントにより反転搬送ガイド6に設けられた回り止めとしてのリブ形状の待機位置回転止め部14に当接した状態で静止している。
図6(b)に示すように、分岐搬送ガイド9を持ち上げたときは反転経路側の対向した外側ガイド38に設けられてリブの上昇位置回転止め部19に突き当たる。この位置では、カールを考慮しても排紙上ガイド12への受け渡しを確実に行うことが可能である。
【0022】
図7乃至9は、各サイズの用紙が到達した時の分岐搬送ガイドの状態を説明するための図である。各図は分岐搬送ガイド9に用紙が到達したときの幅方向の様子を画像面側(排紙下ガイド11側)から見た図である。
図7は幅方向で最大サイズの用紙を通紙した場合である。幅方向5箇所に設けられた分岐搬送ガイド9はほぼ同時に上がり、用紙P先端に対しては5個分の重量がかかることになる。このとき、最も腰が弱いのは端部なので、用紙サイズの端部に対して耳折れが発生しないように幅方向の位置を設定する必要がある。
【0023】
図7に示すように、分岐搬送ガイド9の配置は、A列、B列、米国規格レターなどの定型サイズの端部位置とは重ならないように設定する。これは、分岐搬送ガイド9の側面と用紙端部位置が一致してしまうと、側面へ衝突して耳折れが発生してしまうのを防ぐためである。
【0024】
図8は小サイズ紙(例えばA6)を通紙した場合である。この場合は中央3ヶ所(9b、9c、9d)を持ち上げるが、端部の9a、9eは持ち上がらない。よって、その分先端にかかる負荷も低減されるので、先端折れ等の不具合は発生しない。
図9に示すのは用紙に大きなサイドカール(幅方向外側が中央よりも反転搬送ガイド6側に接近するバックカール)が付いている場合である。この場合、用紙中央に比べて、端部の方が先に分岐搬送ガイド9a、9eに到達する。搬送パスの幅の中で、用紙中央は排紙下ガイド11、用紙端部は反転搬送ガイド6に沿って搬送されるので、用紙中央部は分岐搬送ガイド9の先端近傍、用紙端部は根元近傍に到達し、時間差が発生する。しかし、端部にかかる先端負荷は左右それぞれ1箇所分のみなので、耳折れに対しては有利な方向となる。
【0025】
前述のように分岐搬送ガイド9の配置は、定型サイズの端部位置とは重ならないように設定するのであるが、ユーザーが不定形サイズを用いる場合もあるので、次のように構成することが好ましい。
【0026】
図10は、用紙端部が分岐搬送ガイドに接触した(当たった)状態を説明するための図である。
図10に示すように、分岐搬送ガイド9が幅方向に傾く(幅方向成分を持つ向きに倒れる)等して動けるガタ、具体的には、
図6の回動軸10の半径方向にガタを設ける。これによって、側面へ用紙端部が当たった場合でも、外側に逃げることで耳折れを回避できる。
図6の回動軸10の半径方向のガタの量によって傾き量を調整することができる。
【0027】
図11は分岐搬送ガイドの待機位置に関する説明図である。分岐搬送ガイド9が自重で戻る際には、その衝撃を出来るだけ小さくすることで、バウンドによる戻り時間の遅れや、衝突音の低減を行うことが好ましい。そのためには
図11に示すように、回動軸10を基準に見たときに重心位置Gまでの距離L1に対して待機位置回転止め部14までの距離L2を極力小さく設定することが好ましい。例えば、距離の比をおよそ3:1に設定する。自重による回動軸10回りの回転モーメントを、バウンドを速やかに収束させるのにより良好に寄与させることができるからである。
【0028】
図12は分岐搬送ガイドの搬送リブ構成の説明図である。分岐搬送ガイド9は
図12に示すように排出側(排紙下ガイド11と対向する位置)と反転側の両側に通紙リブを持たせることが好ましい。
図12(b)は
図12(a)に示すA-A線による断面図である。排出側通紙リブ17と反転側通紙リブ18とが形成されている。
【0029】
搬送経路でみると、分岐搬送ガイド9は定着ローラ5の真上に位置しているため、定着ローラ5を用紙が通過する際に発生する水蒸気により結露が発生しやすくなる。よって、排出側は
図12の断面ようにリブ先端を根元に比べて細くすることで、リブ先端へ結露による水滴付着を防ぐことが出来る。リブが細いため、水滴が付く面積が減るということと、熱容量が小さくなることによりリブ先端が温まりやすくなり結露しにくくなるという効果がある。また、同様に
図12(c)の反転搬送ガイド6や排紙上ガイド12も定着ローラ5の上方にあるため、水滴がたまりや安くなる。これに対しては、
図12(c)の分岐搬送ガイド9のように用紙Pを付勢することで反転搬送ガイド6や排紙上ガイド12と極力接触しないようにしながら搬送することで用紙への水滴付着を防止している。
【0030】
以上の実施形態では、5箇所の分岐搬送ガイド9のすべてを自重のみで待機位置に復帰するように構成したが、次の態様で軽めのスプリングを設けて待機位置への復帰などを補助するようにしてもよい。一つ目の態様は、5箇所すべてに弱めのスプリングを配置する態様である。すべての分岐搬送ガイドについてカール矯正や復帰を補助するためである。二つ目の態様は、両端の一つ9a、9eのみ設ける態様である。幅が広いほどカールが強いため、このカールを抑えて良好にガイドするため両端部のみスプリングを設けるのである。三目の態様は、中央の一つ9cのみスプリングを設けず、他の4つはスプリングを設ける態様である。中央の一つの分岐搬送ガイド9cのみに接触する小サイズでしかも薄い用紙でも分岐搬送ガイド9cを押し上げられるとともに、他の分岐搬送ガイドにも接触する大きめの用紙についてはカール矯正や復帰を補助するためである。なお、スプリングの配置箇所として
図13の箇所を用いることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 :給紙コロ
2 :レジストローラ
3 :中間転写ベルト
4 :2次転写ローラ
5 :定着ローラ
6 :反転搬送ガイド
7 :排紙ローラ
8 :両面ローラ
9 :分岐搬送ガイド
10 :回動軸
11 :排紙下ガイド
12 :排紙上ガイド
14 :待機位置回転止め部
16 :リブ
17 :排出側通紙リブ
18 :反転側通紙リブ
19 :上昇位置回転止め部
25 :加熱手段
27 :排紙トレイ
35 :加圧ローラ
37 :対向ローラ
38 :外側ガイド
100 :プリンタ
110 :作像ユニット
120 :光書込ユニット
130 :中間転写ベルトユニット
140 :給紙装置
150 :定着装置
160 :排紙装置
170 :再給紙装置
G :重心位置
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】