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特許7454467基板処理システム、基板処理システムの制御装置及び基板処理システムの運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】基板処理システム、基板処理システムの制御装置及び基板処理システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020131408
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028176
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】出口 和摩
(72)【発明者】
【氏名】緑川 周吾
(72)【発明者】
【氏名】長澤 暢亮
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 天星
(72)【発明者】
【氏名】若林 秀樹
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-009215(JP,A)
【文献】特開2009-164254(JP,A)
【文献】特開2012-235087(JP,A)
【文献】特開2005-101078(JP,A)
【文献】特開2004-031572(JP,A)
【文献】特開2020-047078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理で使用される複数の機器によって構成された基板処理要素群と、前記基板処理要素群を制御する制御装置と、を有する基板処理装置を備え、
前記基板処理要素群は、基板を用いずに所定の動作を行う試運転と、前記基板を用いて前記基板処理を行う実運転と、を行うように構成され、
前記基板処理要素群は、前記実運転が複数回行われる場合に、1回目の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第1基板処理要素と、1回目の前記実運転では使用されずに、2回目以降の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第2基板処理要素と、を有し、
前記制御装置は、前記実運転が複数回行われる場合に、前記第1基板処理要素に前記試運転を行わせ、前記第1基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第1基板処理要素の前記実運転を開始させ、前記第1基板処理要素の前記実運転の実行中に、又は、前記第1基板処理要素の前記試運転の実行中に、前記第2基板処理要素の前記試運転を開始させ、前記第2基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第2基板処理要素の前記実運転を開始させる、基板処理システム。
【請求項2】
少なくとも1回目の前記実運転において、2枚の前記基板を一組とし、この一組の前記基板を用いて前記実運転が行われる、請求項1に記載の基板処理システム
【請求項3】
前記第1基板処理要素の前記試運転の実行中に前記第1基板処理要素の前記試運転における運転状態に基づいて、前記第1基板処理要素の故障を検知し、前記第2基板処理要素の前記試運転の実行中に前記第2基板処理要素の前記試運転における運転状態に基づいて、前記第2基板処理要素の故障を検知する、故障検知装置をさらに備える、請求項1又は2に記載の基板処理システム
【請求項4】
前記故障検知装置は、前記基板処理要素群の故障を検知した場合に、前記基板処理要素群の故障度合いを示す指標である故障レベルが、低レベルであるか、又は、前記低レベルよりも故障度合いの高い高レベルであるか、を判定し、この判定の結果を報知する、請求
項3に記載の基板処理システム
【請求項5】
前記故障レベルが前記高レベルである場合において、前記基板処理要素群を構成する複数の機器の中に、前記故障レベルが前記高レベルであると判定された機器と同一の処理を実行可能な代替機器がある場合、前記制御装置は、前記試運転及び前記実運転において、前記故障レベルが前記高レベルであると判定された機器に代えて前記代替機器を使用する、請求項4に記載の基板処理システム
【請求項6】
基板処理で使用される複数の機器によって構成された基板処理要素群を有する基板処理システムに適用された制御装置であって、
前記基板処理要素群は、基板を用いずに所定の動作を行う試運転と、前記基板を用いて前記基板処理を行う実運転と、を行うように構成され、
前記基板処理要素群は、前記実運転が複数回行われる場合に、1回目の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第1基板処理要素と、1回目の前記実運転では使用されずに、2回目以降の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第2基板処理要素と、を有し、
前記制御装置は、前記実運転が複数回行われる場合に、前記第1基板処理要素に前記試運転を行わせ、前記第1基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第1基板処理要素の前記実運転を開始させ、前記第1基板処理要素の前記実運転の実行中に、又は、前記第1基板処理要素の前記試運転の実行中に、前記第2基板処理要素の前記試運転を開始させ、前記第2基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第2基板処理要素の前記実運転を開始させる、基板処理システムの制御装置
【請求項7】
基板処理で使用される複数の機器によって構成された基板処理要素群を有する基板処理システムの運転方法であって、
前記基板処理要素群は、基板を用いずに所定の動作を行う試運転と、前記基板を用いて前記基板処理を行う実運転と、を行うように構成され、
前記基板処理要素群は、前記実運転が複数回行われる場合に、1回目の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第1基板処理要素と、1回目の前記実運転では使用されずに、2回目以降の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第2基板処理要素と、を有し、
前記運転方法は、前記実運転が複数回行われる場合に、前記第1基板処理要素に前記試運転を行わせ、前記第1基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第1基板処理要素の前記実運転を開始させ、前記第1基板処理要素の前記実運転の実行中に、又は、前記第1基板処理要素の前記試運転の実行中に、前記第2基板処理要素の前記試運転を開始させ、前記第2基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第2基板処理要素の前記実運転を開始させることを含む、基板処理システムの運転方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理システム、基板処理システムの制御装置及び基板処理システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に対して何らかの処理(基板処理と称する)を施すことが可能な基板処理装置を備える、基板処理システムが知られている。このような基板処理システムの基板処理装置の一例として、例えば、特許文献1や特許文献2には、基板にめっき処理を施すことが可能な基板処理装置が開示されている。このような基板処理装置は、基板処理で用いられる複数の機器(搬送装置やめっき槽等)によって構成された基板処理要素群と、この基板処理要素群を制御する制御装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-9215号公報
【文献】特開2016-98399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の基板処理システムにおいて、基板処理要素群の「実運転(基板を用いて基板処理を行う運転)」に先立って、基板処理要素群の「試運転(基板を用いずに所定の動作を行う運転)」が行われる場合がある。そして、このような基板処理システムにおいて、基板処理要素群の実運転が複数回行われる際に、基板処理要素群に含まれる全ての機器の試運転が完了した後に、最初の実運転が開始される場合がある。しかしながら、この場合、基板処理要素群の最初の実運転が開始されるまでに長時間を要するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、基板処理要素群の実運転が複数回行われる場合に、最初の実運転を短時間で開始させることができる技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る基板処理システムは、基板処理で使用される複数の機器によって構成された基板処理要素群と、前記基板処理要素群を制御する制御装置と、を有する基板処理装置を備え、前記基板処理要素群は、基板を用いずに所定の動作を行う試運転と、前記基板を用いて前記基板処理を行う実運転と、を行うように構成され、前記基板処理要素群は、前記実運転が複数回行われる場合に、1回目の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第1基板処理要素と、1回目の前記実運転では使用されずに、2回目以降の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第2基板処理要素と、を有し、前記制御装置は、前記実運転が複数回行われる場合に、前記第1基板処理要素に前記試運転を行わせ、前記第1基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第1基板処理要素の前記実運転を開始させる。
【0007】
この態様によれば、基板処理要素群の実運転が複数回行われる場合に、基板処理要素群の第1基板処理要素の試運転の完了後に第1基板処理要素の実運転が開始されているので
、例えば、基板処理要素群の全ての機器の試運転の完了後に、基板処理要素群の最初の実運転が開始される場合に比較して、最初の実運転を短時間で開始させることができる。
【0008】
(態様2)
上記態様1において、前記制御装置は、前記第1基板処理要素の前記実運転の実行中に、又は、前記第1基板処理要素の前記試運転の実行中に、前記第2基板処理要素の前記試運転を開始させ、前記第2基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第2基板処理要素の前記実運転を開始させてもよい。この態様によれば、例えば、第1基板処理要素の実運転の完了後に、第2基板処理要素の試運転が開始される場合に比較して、第2基板処理要素の試運転を早期に開始させることができる。
【0009】
(態様3)
上記態様1又は2において、少なくとも1回目の前記実運転において、2枚の前記基板を一組とし、この一組の前記基板を用いて前記実運転が行われてもよい。この態様によれば、例えば、1回目の実運転において、1枚のみの基板を用いて実運転が行われる場合に比較して、基板処理装置のダウンタイムの削減を図ることができ、基板処理装置の単位時間当たりの基板処理能力を向上させることができる。
【0010】
(態様4)
上記態様1~3のいずれか1態様は、前記基板処理要素群の前記試運転の実行中に、前記基板処理要素群の運転状態に基づいて、前記基板処理要素群の故障を検知する故障検知装置をさらに備えていてもよい。この態様によれば、基板処理要素群の試運転の実行中に、基板処理要素群の故障を検知することができる。
【0011】
(態様5)
上記態様4において、前記故障検知装置は、前記基板処理要素群の故障を検知した場合に、前記基板処理要素群の故障度合いを示す指標である故障レベルが、低レベルであるか、又は、前記低レベルよりも故障度合いの高い高レベルであるか、を判定し、この判定の結果を報知してもよい。この態様によれば、この報知を受けたユーザは、基板処理要素群の故障レベルが低レベルであるか高レベルであるかを容易に把握することができる。
【0012】
(態様6)
上記態様5において、前記故障レベルが前記高レベルである場合において、前記基板処理要素群を構成する複数の機器の中に、前記故障レベルが前記高レベルであると判定された機器と同一の処理を実行可能な代替機器がある場合、前記制御装置は、前記試運転及び前記実運転において、前記故障レベルが前記高レベルであると判定された機器に代えて前記代替機器を使用してもよい。この態様によれば、代替機器を使用して基板処理要素群の試運転及び実運転を継続させることができるとともに、故障レベルが高レベルの機器を使用した実運転によって、基板に損傷が発生したり、基板処理の品質が許容範囲外になったりすることを抑制することができる。
【0013】
(態様7)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る基板処理システムの制御装置は、基板処理で使用される複数の機器によって構成された基板処理要素群を有する基板処理システムに適用された制御装置であって、前記基板処理要素群は、基板を用いずに所定の動作を行う試運転と、前記基板を用いて前記基板処理を行う実運転と、を行うように構成され、前記基板処理要素群は、前記実運転が複数回行われる場合に、1回目の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第1基板処理要素と、1回目の前記実運転では使用されずに、2回目以降の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第2基板処理要素と、を有し、前記制御装置は、前記実運転が複数回行われる場合に、前記第1基
板処理要素に前記試運転を行わせ、前記第1基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第1基板処理要素の前記実運転を開始させる。この態様によれば、基板処理要素群の実運転が複数回行われる場合に、最初の実運転を短時間で開始させることができる。
【0014】
(態様8)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る基板処理システムの運転方法は、基板処理で使用される複数の機器によって構成された基板処理要素群を有する基板処理システムの運転方法であって、前記基板処理要素群は、基板を用いずに所定の動作を行う試運転と、前記基板を用いて前記基板処理を行う実運転と、を行うように構成され、前記基板処理要素群は、前記実運転が複数回行われる場合に、1回目の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第1基板処理要素と、1回目の前記実運転では使用されずに、2回目以降の前記実運転で使用される複数の機器によって構成された第2基板処理要素と、を有し、前記運転方法は、前記実運転が複数回行われる場合に、前記第1基板処理要素に前記試運転を行わせ、前記第1基板処理要素の前記試運転の完了後に、前記第1基板処理要素の前記実運転を開始させることを含む。この態様によれば、基板処理要素群の実運転が複数回行われる場合に、最初の実運転を短時間で開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る基板処理システムの主要な構成を模式的に示す構成図である。
図2】実施形態1に係る第1基板処理要素を説明するための模式図である。
図3】実施形態1に係る第2基板処理要素を説明するための模式図である。
図4】実施形態1に係る試運転・実運転制御の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態2に係る基板処理システムの構成を示す機能ブロック図である。
図6】実施形態2において、故障が検知された場合に行われる一連の制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態では、同一又は対応する構成について、同一の符号を付して説明を適宜省略する場合がある。また、以下の各実施形態において、図面は、実施形態の特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、いくつかの図面には、参考用として、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る基板処理システム10の主要な構成を模式的に示す構成図である。本実施形態に係る基板処理システム10は、基板処理装置11を備えている。基板処理装置11は、基板Wfに対して所定の処理(基板処理と称する)を施すことが可能な装置である。本実施形態においては、この基板処理の一例として、めっき処理(具体的には、電気めっき処理)を用いている。すなわち、本実施形態に係る基板処理装置11は、めっき処理装置である。
【0018】
本実施形態に係る基板処理装置11は、基板処理要素群20と、制御装置40と、操作用コンピュータ50とを備えている。
【0019】
基板処理要素群20は、基板処理で使用される複数の機器によって構成されている。具体的には、基板処理要素群20は、複数の機器の一例として、搬送ロボット(搬送ロボット21a及び搬送ロボット21b)と、アライナ(アライナ22a及びアライナ22b)
と、締付ステージ23と、トランスポータ24と、ストッカ27と、プリウェットモジュール28と、プリソークモジュール29と、プリソークリンス槽30と、めっき槽31と、リンスモジュール32と、受渡槽33と、スピンリンスドライヤ(スピンリンスドライヤ34a及びスピンリンスドライヤ34b)と、を備えている。
【0020】
ここで、本実施形態に係る基板処理の実運転は、複数回行われる(この実運転の詳細は後述する)。本実施形態において、この複数回の実運転のうち、少なくとも1回目の実運転においては、2枚の基板Wfを一組とし、この一組の基板Wfを用いて1回目の実運転が行われる。この具体例として、本実施形態においては、複数回の実運転の全ての回の実運転において、2枚の基板Wfを一組として実運転が行われる。
【0021】
但し、複数回の実運転は、上記構成に限定されるものではない。他の一例を挙げると、例えば、各回の実運転は、1枚の基板Wfのみを用いて実運転を行うこともできる。
【0022】
搬送ロボット21aは、基板Wfを、アライナ22a、締付ステージ23、及び、スピンリンスドライヤ34aの間で搬送するための機器である。搬送ロボット21bは、基板Wfを、アライナ22b、締付ステージ23、及び、スピンリンスドライヤ34bの間で搬送するための機器である。
【0023】
アライナ22a及びアライナ22bは、基板Wfのオリフラやノッチ等の位置を、所定方向に合わせるための機器(すなわち、基板Wfの位置合わせを行う機器)である。
【0024】
締付ステージ23は、締付ステージ23に搬送された一組の基板Wf(2枚の基板Wf)を、基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bによって保持させるための機器である。具体的には、本実施形態に係る基板ホルダ13a,13bは、それぞれ、第1保持部材と第2保持部材とを備えており、第1保持部材と第2保持部材との間に1枚の基板Wfを挟持することで、基板Wfを保持する。本実施形態に係る締付ステージ23は、主として、この第1保持部材及び第2保持部材に基板Wfを挟持させる動作を行う機器である。
【0025】
トランスポータ24は、基板Wf(具体的には、基板Wfを保持した基板ホルダ13a,13b)を搬送するための機器である。本実施形態に係るトランスポータ24は、第1搬送装置25aと第2搬送装置25bと搬送軸26とを備えている。第1搬送装置25a及び第2搬送装置25bは、Y軸の方向(Y方向及び-Y方向)に延在する搬送軸26に沿って移動することができるとともに、Z軸の方向(Z方向及び-Z方向)にも移動することができる。すなわち、図1において、Y軸の方向は、トランスポータ24の「搬送軸方向(搬送軸26に沿う方向)」に相当する。
【0026】
本実施形態において、第1搬送装置25aは、基本的には、搬送軸方向で締付ステージ23から受渡槽33の範囲において、基板Wfを搬送する。第2搬送装置25bは、基本的には、搬送軸方向でプリソークリンス槽30からめっき槽31の範囲において、基板Wfを搬送する。但し、第1搬送装置25a及び第2搬送装置25bの搬送範囲(移動範囲)は、これに限定されるものではなく、基板処理装置11の構成機器の種類に応じて適宜設定すればよい。
【0027】
ストッカ27は、基板ホルダ13a,13bを収容するための機器である。本実施形態に係るストッカ27は、搬送軸方向に複数個、配置されている。各々のストッカ27には、一組の基板ホルダ(基板ホルダ13a及び基板ホルダ13b)がそれぞれ収容される。
【0028】
プリウェットモジュール28は、基板Wfを洗浄液(本実施形態では、一例として純水が用いられる)で洗浄するための機器である。具体的には、本実施形態に係るプリウェッ
トモジュール28は、基板Wfを洗浄液に浸漬させること、及び、基板Wfに対して洗浄液を吹きかけること(洗浄液のシャワーを基板Wfに対して吹きかけること)を、選択的に行うことができる。
【0029】
プリソークモジュール29は、基板Wfの表面に形成された導電層の酸化膜をエッチングによって除去するための機器である。このプリソークモジュール29には、エッチング液が貯留されている。また、プリソークモジュール29には、エッチング液の温度を調整するためのヒータや、エッチング液を循環させるためのポンプ等が配置されている。
【0030】
プリソークリンス槽30は、基板Wfに付着しているエッチング液を洗浄液(本実施形態では一例として純水が用いられる)で洗浄するための機器である。このプリソークリンス槽30には、純水が貯留されている。
【0031】
めっき槽31は、基板Wfの表面にめっき処理(すなわち、基板処理)を施すための機器である。本実施形態に係るめっき槽31は、搬送軸方向に複数個、配置されている。各々のめっき槽31には、一組の基板ホルダ(すなわち、基板ホルダ13a及び基板ホルダ13b)が搬送される。各々のめっき槽31の構成は、前述した特許文献2に開示されているような公知のめっき槽と同様であるので、詳細な説明は省略するが、その概要は以下のとおりである。
【0032】
めっき槽31には、めっき液が貯留されている。このめっき液の内部には、アノードホルダに保持されたアノードが配置されている。基板ホルダ13a,13bに保持された基板Wfは、このアノードに対向するように、めっき液の内部に配置される。また、めっき槽31には、ヒータが配置されており、このヒータによって、めっき液は所定の温度範囲内に調整されている。めっき槽31には、ポンプが配置されており、このポンプによって、めっき液は循環されている。めっき槽31には、パドルが配置されており、このパドルは、パドル駆動装置によって駆動されて、めっき液を撹拌する。アノードと基板Wfとの間にめっき電圧が印加されることで、基板Wfの表面に、めっき(例えば銅めっき等)が施される。すなわち、基板Wfの表面にめっき層が形成される。
【0033】
なお、本実施形態に係るアノードホルダには、特許文献2と同様に、可変開口式のアノードマスクが取り付けられている。このアノードマスクの開口部(アノード開口部)は、アノードと基板Wfとの間に位置しており、カメラの絞り機構のような開口方式で、その開口面積(開口部の大きさ)が変更できる構成になっている。このアノード開口部の開口面積を小さくするほど、基板Wfの中央部のめっき層の厚みを増大させることができる。
【0034】
リンスモジュール32は、基板Wfに付着しているめっき液を洗浄液(本実施形態では一例として純水が用いられる)で洗浄するための機器である。このリンスモジュール32には、洗浄液が貯留されている。
【0035】
受渡槽33は、基板Wfを第1搬送装置25aと第2搬送装置25bとの間で受け渡す際に用いられる機器である。なお、本実施形態に係る受渡槽33は、容器の一種であり、後述する試運転及び実運転時において動作は行わない(つまり、動かない機器である)。
【0036】
但し、受渡槽33の構成はこれに限定されるものではなく、何らかの動作を行う構成であってもよい。この一例を挙げると、受渡槽33は、例えば、基板Wfに対してエアブローを行うことで(エアーを吹きかけることで)、基板Wfに付着している水滴を吹き飛ばす、といった動作を行ってもよい。
【0037】
スピンリンスドライヤ34a及びスピンリンスドライヤ34bは、基板Wfの洗浄及び
乾燥を行うための機器である。具体的には、スピンリンスドライヤ34a及びスピンリンスドライヤ34bは、モータによって基板Wfを回転駆動させながら、基板Wfに純水を吹きかけて基板Wfを洗浄し、その後、基板Wfに付着している水分を、高速回転させながら、遠心力を利用して除去する。
【0038】
制御装置40は、基板処理要素群20を制御するための装置である。本実施形態に係る制御装置40は、一例として、基板処理装置11の筐体の内部に配置されている。制御装置40は、基板処理要素群20を構成する各々の機器のうち、動作を行う機器に対して、電気的に接続されている。また、本実施形態に係る制御装置40は、マイクロコンピュータを備えている。このマイクロコンピュータは、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)41や、プログラムを記憶した記憶装置42等を備えている。記憶装置42は、ROM(Read Only Memory)等の非一時的(non-transitory)な記憶媒体を備えている。制御装置40は、プロセッサとしてのCPU41が、記憶装置52に記憶されているプログラムに基づいて動作することで、基板処理要素群20の各機器の動作を制御する。
【0039】
なお、図1において、基板処理装置11は一つの制御装置40を備えているように図示されているが、この構成に限定されるものではない。基板処理装置11は、複数の制御装置40を備え、この複数の制御装置40によって基板処理要素群20の各機器が分散的に制御されてもよい。
【0040】
操作用コンピュータ50は、基板処理システム10のユーザが操作するためのコンピュータである。具体的には、操作用コンピュータ50は、ユーザによって操作されるキーボードや、種々の情報を表示するディスプレイや、プロセッサとしてのCPU51や、プログラムを記憶した記憶装置52等、を備えている。記憶装置52は、非一時的な記憶媒体(例えばROM等)を備えている。操作用コンピュータ50と制御装置40とは、電気的に接続されており、相互に情報をやり取りする。具体的には、操作用コンピュータ50は、ユーザからの操作内容を制御装置40に伝える。これにより、ユーザは、操作用コンピュータ50を操作することで、制御装置40に対して指示を与えることができる。また、制御装置40は、操作用コンピュータ50のディスプレイに所定の情報を表示させることで、ユーザに対して所定の情報を報知することもできる。
【0041】
続いて、基板処理要素群20の動作の概要について説明する。まず、基板処理要素群20は、制御装置40の指示を受けて、基板Wfを用いずに所定の動作を行う「試運転」と、基板Wfを用いて基板処理を行う「実運転」と、を行うように構成されている。
【0042】
「実運転時」における基板処理要素群20の動作の概要は以下のとおりである。まず、搬送ロボット21aは基板Wfをアライナ22aに搬送し、搬送ロボット21bは基板Wfをアライナ22bに搬送する。アライナ22a及びアライナ22bは、それぞれ、基板Wfの位置(オリフラやノッチ等の位置)を所定方向に合わせる。次いで、第1搬送装置25aは、ストッカ27に収容されている一組の基板ホルダ(基板ホルダ13a及び基板ホルダ13b)を把持して、締付ステージ23にセットする。
【0043】
次いで、搬送ロボット21aは、アライナ22aで位置合わせがされた後の基板Wfを締付ステージ23に搬送して、締付ステージ23にセットされている基板ホルダ13aにセットする。同様に、搬送ロボット21bは、アライナ22bで位置合わせがされた後の基板Wfを締付ステージ23に搬送して、締付ステージ23にセットされている基板ホルダ13bにセットする。締付ステージ23は、これらの基板Wfを基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bにそれぞれ保持させる。
【0044】
次いで、第1搬送装置25aは、基板Wfを保持した基板ホルダ13aと基板Wfを保持した基板ホルダ13bとを把持して(すなわち、一組の基板Wfを保持した一組の基板ホルダを把持して)、プリウェットモジュール28に搬送する。プリウェットモジュール28においては、基板Wfが洗浄液(純水)で洗浄される。具体的には、本実施形態においては、ユーザの選択に基づいて、基板Wfを洗浄液に浸漬させること、又は、基板Wfに対して洗浄液を吹きかけることが選択的に行われる。
【0045】
次いで、第1搬送装置25aは、プリウェットモジュール28で処理された後の基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bを、プリソークモジュール29に搬送する。プリソークモジュール29においては、基板Wfの導電層の酸化膜がエッチングによって除去される。
【0046】
次いで、第1搬送装置25aは、プリソークモジュール29で処理された後の基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bを、プリソークリンス槽30に搬送する。プリソークリンス槽30においては、基板Wfに付着しているエッチング液が洗浄液(純水)で洗浄される。
【0047】
なお、仮に、実運転時にプリソークモジュール29によるエッチングが行われない場合には、第1搬送装置25aは、プリウェットモジュール28で処理された後の基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bを、プリソークモジュール29ではなく、プリソークリンス槽30に搬送する。
【0048】
次いで、第2搬送装置25bは、プリソークリンス槽30に収容されている基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bを把持して、めっき槽31に搬送する。めっき槽31においては、基板Wfがめっき液に浸漬されて、基板Wfの表面にめっき層が形成される。
【0049】
次いで、第2搬送装置25bは、めっき槽31で処理された後の基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bを把持して、リンスモジュール32に搬送する。リンスモジュール32においては、基板Wfが洗浄液(純水)で洗浄される。
【0050】
次いで、第2搬送装置25bは、リンスモジュール32で処理された後の基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bを把持して、受渡槽33に搬送する。
【0051】
次いで、第1搬送装置25aは、受渡槽33の基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bを把持して、締付ステージ23に搬送する。締付ステージ23においては、基板ホルダ13a及び基板ホルダ13bによる基板Wfの保持が解除される。これにより、基板Wfを基板ホルダ13a,13bから取り出すことができるようになる。
【0052】
次いで、搬送ロボット21aは、基板ホルダ13aから基板Wfを取り出して、スピンリンスドライヤ34aに搬送する。同様に、搬送ロボット21bは、基板ホルダ13bから基板Wfを取り出して、スピンリンスドライヤ34bに搬送する。スピンリンスドライヤ34a,34bにおいて、基板Wfは洗浄及び乾燥される。
【0053】
以上のような一連の動作によって、1回当たりの実運転は行われる。また、以上のような一連の動作が繰り返し行われることで、実運転は複数回行われる。
【0054】
次に、「試運転時」における基板処理要素群20の動作の概要について説明する。本実施形態に係る基板処理要素群20は、試運転時において、基板Wfを用いずに、基板処理要素群20の実運転時に行われる動作の少なくとも一部を行う。この試運転時に行われる動作の具体的な内容は、特に限定されるものではないが、本実施形態に係る基板処理要素
群20は、一例として、以下の動作を行う。
【0055】
試運転時において、例えば搬送ロボット21a及び搬送ロボット21bは、所定の範囲内を移動する。例えばアライナ22a及びアライナ22bは、基板Wfの位置合わせ時に使用される所定部位を動作させる。例えば締付ステージ23は、基板ホルダ13a,13bの保持の際に使用される所定部位を動作させる。例えば、第1搬送装置25a及び第2搬送装置25bは、搬送軸方向及びZ軸方向(上下方向)にそれぞれ所定距離移動する。例えばストッカ27は、基板ホルダ13a,13bの受渡時に使用される所定部位を動作させる。
【0056】
試運転時において、例えばプリウェットモジュール28は、洗浄液をプリウェットモジュール28に貯留させた後に排出させる。具体的には、本実施形態に係るプリウェットモジュール28は、ポンプを動作させて、洗浄液を、プリウェットモジュール28に所定レベル(レベルH)まで貯留させる。なお、このとき、洗浄液が所定レベルにまで到達するのに要する時間や、ポンプの吐出圧力やポンプの吐出流量等を検出し、この検出結果に基づいて、ポンプに連通した配管(プリウェットモジュール28に洗浄液を供給するための配管)に詰まり等の故障が有るか否かを確認することができる。次いで、プリウェットモジュール28は、ポンプを停止させるとともに、洗浄液用の排出弁を開弁させることで、貯留されている洗浄液をプリウェットモジュール28から排出させる。なお、このとき、洗浄液が排出されるのに要する時間に基づいて、洗浄液が排出される際に通過する配管に詰まり等の故障が有るか否かを確認することができる。
【0057】
また、本実施形態に係るプリウェットモジュール28は、洗浄液を吹きかけるためのシャワーを上下させる機構(シャワー上下機構)を備えている。そこで、試運転時において、プリウェットモジュール28は、このシャワー上下機構を制御して、シャワーを上下させる。
【0058】
試運転時において、例えばプリソークモジュール29は、ヒータを動作させたり、ポンプを動作させたりする。試運転時において、例えば、プリソークリンス槽30は、洗浄液をプリソークリンス槽30に貯留させ、その後、洗浄液を排出させる。具体的には、プリソークリンス槽30は、前述したプリウェットモジュール28と同様の動作を行う。
【0059】
試運転時において、例えばめっき槽31は、ヒータを動作させたり、ポンプを動作させたり、パドルを動作させたりする。また、本実施形態のように、めっき槽31に、可変開口式のアノードマスクが配置されている場合には、このアノードマスクのアノード開口部の開口面積を変更させてもよい。
【0060】
試運転時において、例えばリンスモジュール32は、洗浄液をリンスモジュール32に貯留させた後に排出させる。具体的には、リンスモジュール32は、前述したプリウェットモジュール28と同様の動作を行う。但し、本実施形態に係るリンスモジュール32は、プリウェットモジュール28とは異なり、シャワー上下機構を備えていないので、試運転時において、洗浄液を吹きかけるシャワーを上下させる動作は行わない。
【0061】
試運転時において、例えばスピンリンスドライヤ34a,34bは、基板Wfの洗浄及び乾燥時に使用されるモータを回転させる。なお、前述したように、本実施形態に係る受渡槽33は、実運転時において動作を行わないため、試運転時においても動作を行わない。仮に、受渡槽33が、実運転時において、前述したようなエアブローを行う場合には、試運転時において、エアブローの際に使用されるエアブロー装置を作動させればよい。試運転時における基板処理要素群20の動作の概要は以上のとおりである。
【0062】
ここで、本実施形態に係る基板処理要素群20は、基板処理要素群20の実運転が複数回行われる場合に、1回目の実運転で使用される複数の機器によって構成された「第1基板処理要素100」と、1回目の実運転では使用されずに、2回目以降の実運転で使用される複数の機器によって構成された「第2基板処理要素110」と、を含んでいる。
【0063】
図2は、第1基板処理要素100を説明するための模式図である。図2において、第1基板処理要素100に含まれる機器にハッチングが施されている。図3は、第2基板処理要素110を説明するための模式図である。図3において、第2基板処理要素110に含まれる機器にハッチングが施されている。なお、図2及び図3において、制御装置40及び操作用コンピュータ50の図示は省略されている。
【0064】
図2に示すように、本実施形態に係る第1基板処理要素100は、搬送ロボット21aと、搬送ロボット21bと、アライナ22aと、アライナ22bと、締付ステージ23と、トランスポータ24と、複数のストッカ27のうち-Y方向側に配置されている一つのストッカ27と、プリウェットモジュール28と、プリソークモジュール29と、プリソークリンス槽30と、複数のめっき槽31のうち-Y方向側に配置されている一つのめっき槽31と、リンスモジュール32と、受渡槽33と、スピンリンスドライヤ34aと、スピンリンスドライヤ34bと、を含んでいる。
【0065】
図3に示すように、本実施形態に係る第2基板処理要素110は、複数のストッカ27のうち第1基板処理要素100に含まれるストッカ27以外のストッカ27と、複数のめっき槽31のうち第1基板処理要素100に含まれるめっき槽31以外のめっき槽31と、を含んでいる。
【0066】
制御装置40は、実運転が複数回行われる場合に、1回目の実運転では、第1基板処理要素100に含まれる機器を用いて、一組の基板Wfに対して基板処理を行う(この場合、第2基板処理要素110は使用されない)。次いで、制御装置40は、2回目以降の実運転では、第1基板処理要素100に含まれる機器及び第2基板処理要素110に含まれる機器から選択された所定の機器を用いて、一組の基板Wfに対して基板処理を行う。
【0067】
続いて、制御装置40の制御処理について説明する。制御装置40は、基板処理要素群20の実運転を複数回行う場合に、以下に説明する「試運転・実運転制御」を実行する。図4は、試運転・実運転制御の一例を示すフローチャートである。この図4のフローチャートの各ステップは、制御装置40の具体的にはCPU41が記憶装置42のプログラムに基づいて実行する。また、制御装置40は、基板処理要素群20の複数回の実運転を開始させる旨の「運転開始指令」を受けた場合に、この試運転・実運転制御の実行を開始する。具体例には、本実施形態に係る制御装置40は、基板処理要素群20の複数回の実運転を自動的に開始させる旨の「自動運転開始指令」を受けた場合に、この試運転・実運転制御の実行を開始する。
【0068】
まず、制御装置40は、基板処理要素群20における基板Wfの搬送ルートを確定する(ステップS10a)。具体的には、このステップS10aにおいて、本実施形態に係る制御装置40は、基板処理要素群20の中から、各回の実運転で使用される機器を選択して、この選択結果を確定する。このステップS10aの結果、本実施形態においては、前述した第1基板処理要素100(図2)と第2基板処理要素110(図3)とが選択されたものとする。
【0069】
次いで、制御装置40は、基板Wfの搬送を開始させる(ステップS10b)。次いで、制御装置40は、第1基板処理要素100の試運転を開始させる(ステップS10c)。この試運転時において、試運転を開始する機器の順番は、特に限定されるものではない
。例えば、第1基板処理要素100を構成する複数の機器が同時に試運転を開始してもよく、あるいは、所定の順番で試運転を開始してもよい。
【0070】
次いで、制御装置40は、第1基板処理要素100の試運転を完了させる(ステップS10d)。次いで、制御装置40は、第1基板処理要素100の実運転を開始させる(ステップS10e)。
【0071】
次いで、制御装置40は、第1基板処理要素100の実運転の実行中に、第2基板処理要素110の試運転を開始させる(ステップS10f)。具体的には、本実施形態に係る制御装置40は、一例として、第1基板処理要素100の実運転の開始後において、搬送ロボット21aによる搬送(実搬送)が開始された場合に、この搬送ロボット21aによる搬送中に、第2基板処理要素110の試運転を開始させる。
【0072】
なお、このステップS10fに係る試運転時において、試運転を開始する機器の順番は、特に限定されるものではない。例えば、第2基板処理要素110を構成する複数の機器が同時に試運転を開始してもよく、あるいは、所定の順番で試運転を開始してもよい。
【0073】
次いで、制御装置40は、第1基板処理要素100の実運転を完了させる(ステップS10g)。また、制御装置40は、第2基板処理要素110の試運転を完了させる(ステップS10h)。次いで、制御装置40は、この第2基板処理要素110の試運転の完了後に、第2基板処理要素110の実運転を開始させる(ステップS10i)。次いで、制御装置40は、第2基板処理要素110の実運転を完了させる(ステップS10j)。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る制御装置40は、基板処理要素群20の実運転が複数回行われる場合に、第1基板処理要素100の試運転を行わせ、この第1基板処理要素100の試運転の完了後に、第1基板処理要素100の実運転を開始させている。また、制御装置40は、この第1基板処理要素100の実運転の実行中に、第2基板処理要素110の試運転を開始させ、この第2基板処理要素110の試運転の完了後に、第2基板処理要素110の実運転を開始させている。
【0075】
なお、本実施形態に係る基板処理システム10の運転方法は、上述した制御装置40による制御によって実現されている。したがって、この運転方法の詳細な説明は、上述した説明と重複するため、省略する。
【0076】
以上説明したような本実施形態によれば、基板処理要素群20の実運転が複数回行われる場合に、基板処理要素群20の第1基板処理要素100の試運転の完了後に第1基板処理要素100の実運転が開始されているので、例えば、基板処理要素群20の全ての機器の試運転の完了後に、基板処理要素群20の最初の実運転が開始される場合に比較して、最初の実運転を短時間で開始させることができる。
【0077】
これにより、本実施形態によれば、基板処理装置11のダウンタイムの削減を図ることができ、基板処理装置11の単位時間当たりの基板処理能力(スループット)を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、第1基板処理要素100の実運転の実行中に、第2基板処理要素110の試運転が開始されているので、例えば、第1基板処理要素100の実運転の完了後に第2基板処理要素110の試運転が開始される場合に比較して、第2基板処理要素110の試運転を早期に開始させることができる。これにより、基板処理装置11のダウンタイムの削減を図ることができ、基板処理装置11の単位時間当たりの基板処理能力を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、少なくとも1回目の実運転において、2枚の基板Wfを一組とし、この一組の基板Wfを用いて実運転が行われているので、例えば、1回目の実運転において、1枚のみの基板Wfを用いて実運転が行われる場合に比較して、基板処理装置11のダウンタイムの削減を図ることができ、基板処理装置11の単位時間当たりの基板処理能力を向上させることができる。
【0080】
(実施形態1の変形例)
上述した実施形態1において、制御装置40は、第2基板処理要素110の試運転を第1基板処理要素100の実運転の実行中に開始させているが、この構成に限定されるものではない。制御装置40は、第2基板処理要素110の試運転を、第1基板処理要素100の「試運転」の実行中に開始させてもよい。
【0081】
本変形例によれば、前述した実施形態1の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、本変形例によれば、基板処理要素群20の第2基板処理要素110の試運転が、第1基板処理要素100の試運転の実行中に開始されているので、例えば、第1基板処理要素100の実運転の完了後に第2基板処理要素110の試運転が開始される場合や、第1基板処理要素100の実運転の実行中に第2基板処理要素110の試運転が開始される場合に比較して、第2基板処理要素110の試運転を早期に開始させることができる。これにより、基板処理装置11のダウンタイムの削減を図ることができ、基板処理装置11の単位時間当たりの基板処理能力を向上させることができる。
【0082】
(実施形態2)
続いて、本発明の実施形態2について説明する。図5は、本実施形態に係る基板処理システム10Aの構成を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る基板処理システム10Aは、故障検知装置70をさらに備えている点において、主として、前述した実施形態1(変形例を含む)に係る基板処理システム10と異なっている。
【0083】
故障検知装置70は、基板処理要素群20の試運転の実行中に、基板処理要素群20の運転状態に基づいて基板処理要素群20の故障を検知する装置である。具体的には、本実施形態に係る故障検知装置70は、第1基板処理要素100の試運転の実行中に、第1基板処理要素100の試運転時の運転状態に基づいて第1基板処理要素100の故障を検知し、第2基板処理要素110の試運転の実行中に、第2基板処理要素110の試運転時の運転状態に基づいて第2基板処理要素110の故障を検知する。
【0084】
本実施形態に係る故障検知装置70は、一例として、基板処理装置11とは別体の端末機器(すなわち、故障検知用の端末機器)によって構成されている。但し、この構成に限定されるものではなく、故障検知装置70は、基板処理装置11と一体化していてもよい。この具体例を挙げると、例えば、故障検知装置70は基板処理装置11の筐体に固定されていてもよい。また、この場合、基板処理システム10Aは、故障検知装置70と制御装置40とが一体化して、一つの制御装置となった構成を備えていてもよい。この場合、この一つの制御装置が、制御装置40としての機能と故障検知装置70としての機能を有することになる。
【0085】
本実施形態に係る故障検知装置70は、ユーザによって操作される操作部71(操作パネル等)や、種々の情報を表示するディスプレイ72や、プロセッサとしてのCPU73や、非一時的な記憶媒体(例えばROM等)を有する記憶装置74等、を備えている。本実施形態に係るディスプレイ72は、情報を報知する「報知部」としての機能を有する部材の一例である。記憶装置74はプログラム等を記憶している。故障検知装置70は、プロセッサとしてのCPU73が、記憶装置74に記憶されたプログラムに基づいて動作す
ることで、故障検知を行う。また、故障検知装置70の使用時において、故障検知装置70と制御装置40とは、有線又は無線によって電気的に接続される。これにより、故障検知装置70と制御装置40とは、相互に情報をやり取りすることができる。
【0086】
本実施形態において、基板処理要素群20を構成する各々の機器には、各々の機器の運転状態を検出するセンサー60が配置されている。なお、図5においては、図示を簡略化させるために、センサー60は、一つのみ図示されているが、実際の基板処理装置11は、複数のセンサー60を備えている。各々のセンサー60は、検出した値(検出値)を制御装置40に伝える。制御装置40は、センサー60の検出値を故障検知装置70に伝える。
【0087】
故障検知装置70は、センサー60の検出値に基づいて、基板処理要素群20を構成する各々の機器の運転時に変化する物理量(運転に伴って変化する物理量)を取得する。次いで、故障検知装置70は、この取得された物理量と、予め設定された基準値とを比較することで、各々の機器の故障を検知する。なお、この基準値は、予め実験、シミュレーション等を行って適切な値を求めておき、記憶装置74に記憶しておく。故障検知装置70は、検知した結果を制御装置40に伝える。
【0088】
また、本実施形態に係る故障検知装置70は、基板処理要素群20の運転状態に基づいて、基板処理要素群20の故障度合いを示す指標である「故障レベル」を算出し、この算出された故障レベルが「低レベル」であるか、又は、低レベルよりも故障度合いの高い「高レベル」であるかを判定する。
【0089】
具体的には、故障検知装置70は、前述した基準値(故障を検知する際の判定の基準値)として、「第1基準値」と、この第1基準値よりも故障度合いの高い「第2基準値」とを用いる。第1基準値は、正常時の上限値である。故障検知装置70は、センサー60の検出値に基づいて取得された物理量が第1基準値未満の場合には、故障が無いと判定する。故障検知装置70は、センサー60の検出値に基づいて取得された物理量が第1基準値以上、第2基準値未満の場合には、故障レベルが低レベルであると判定する。故障検知装置70は、センサー60の検出値に基づいて取得された物理量が第2基準値以上の場合には、故障レベルが高レベルであると判定する。
【0090】
なお、この第1基準値及び第2基準値は、予め実験、シミュレーション等を行って適切な値を求めておき、記憶装置74に記憶しておけばよい。故障検知装置70は、この判定結果をユーザに報知する。具体的には、本実施形態に係る故障検知装置70は、この判定結果を、例えばディスプレイ72(報知部)に表示させる。また、故障検知装置70は、判定結果を制御装置40にも伝える。
【0091】
なお、本実施形態において、故障レベルが高レベルの場合とは、このような高レベルの機器の使用を停止した方がよいと考えられるような場合に相当する。具体的には、故障レベルが高レベルの場合は、このような高レベルの機器の使用を継続すると、基板Wfに損傷(例えば、ウエハスクラップ等)が発生したり、基板処理の品質(本実施形態では、めっき処理の品質)が低下して許容範囲外になったりすると考えられるような場合に相当する。
【0092】
一方、本実施形態において、故障レベルが低レベルの場合とは、故障レベルがこのレベルの機器を使用しても、基板Wfに損傷が発生したり、基板処理の品質が低下して許容範囲外になったりすることがないため、この機器の使用を停止する必要はないが、機器の交換時期が近くなっていることをユーザに報知すべきであると考えられるような場合に相当する。
【0093】
故障検知時に用いられる物理量の具体例としては、以下のものが挙げられる。例えば、基板処理要素群20の中にシリンダを有する機器がある場合には、このシリンダの動作時間(sec)や、シリンダの電磁弁の作動音量(dB)等の物理量を用いることができる。例えば、基板処理要素群20の中に、サーボモータを有する機器がある場合には、このサーボモータの発熱量(J)や、サーボモータの作動音量(dB)、サーボモータの振動レベル(dB)、サーボモータの負荷率(%)等の物理量を用いることができる。
【0094】
例えば、基板処理要素群20の中に、整流器を有する機器がある場合には、この整流器の電流値(A)や、整流器の電圧値(V)、整流器の抵抗値(Ω)等の物理量を用いることができる。例えば、基板処理要素群20の中に、ポンプを有する機器がある場合には、このポンプの吐出流量(m/sec)や、ポンプの吐出圧力(Pa)、ポンプの吐出時間(sec)等の物理量を用いることができる。例えば、基板処理要素群20の中に、開閉弁や流量調整弁等の弁を有する機器がある場合には、この弁の吐出流量(m/sec)や、弁の吐出圧力(Pa)、弁の吐出時間(sec)等の物理量を用いることができる。
【0095】
例えば、基板処理要素群20の中に、液体を貯留する槽(容器)がある場合には、この槽に貯留されている液体の貯留量(m)や、液体の貯留量が所定量に至るまでに要する時間(sec)や、液体の貯留量がゼロになるまでに要する時間(sec)(すなわち、液体を排出するのに要する時間)等の物理量を用いることができる。また、基板処理要素群20の中でも、特に、トランスポータ24については、動作させたときの負荷(%)や、振動レベル(dB)、作動音量(dB)等の物理量を用いることができる。
【0096】
前述したプリウェットモジュール28を例に挙げて、上述した故障レベルの判定の具体例を説明すると、次のようになる。例えば、前述したように、プリウェットモジュール28の試運転時において、ポンプを動作させて、洗浄液をプリウェットモジュール28に所定レベル(レベルH)まで貯留させた場合、故障検知装置70は、プリウェットモジュール28における洗浄液の貯留量に関する物理量を検出するセンサー60や、ポンプに関する物理量を検出するセンサー60の検出結果に基づいて、洗浄液が所定レベルにまで到達するのに要する時間や、ポンプの吐出圧力やポンプの吐出流量を取得する。そして、故障検知装置70は、これらの検出値と第1基準値及び第2基準値とを比較することで、故障レベルが低レベルであるか高レベルであるかを判定して、この判定結果を報知する。これにより、ユーザは、例えば、ポンプに連通した配管(プリウェットモジュール28に洗浄液を供給するための配管)に詰まり等の故障が発生しており、この故障レベルが低レベルであるか高レベルであるかを把握することができる。
【0097】
また、例えば、前述したように、プリウェットモジュール28の試運転時において、ポンプを停止させて、洗浄液用の排出弁(すなわち、開閉弁)を開弁させて、洗浄液をプリウェットモジュール28から排出させた場合、故障検知装置70は、プリウェットモジュール28における洗浄液の貯留量に関する物理量を検出するセンサー60の検出結果に基づいて、洗浄液が排出されるのに要する時間を取得する。そして、故障検知装置70は、この検出値と第1基準値及び第2基準値とを比較することで、故障レベルが低レベルであるか高レベルであるかを判定して、この判定結果を報知する。これにより、ユーザは、例えば、プリウェットモジュール28から洗浄液を排出するための配管に詰まり等の故障が生じており、この故障レベルが低レベルであるか高レベルであるかを把握することができる。
【0098】
続いて、故障が検知された場合に行われる一連の制御処理について説明する。図6は、故障が検知された場合に行われる一連の制御処理の一例を示すフローチャートである。図
6のフローチャートの各ステップは、故障検知装置70の具体的にはCPU73が、記憶装置74に記憶されているプログラムに基づいて実行する。
【0099】
ステップS20において、故障検知装置70によって基板処理要素群20に故障がある旨が検知された場合(すなわち、センサー60の検出値に基づいて取得された物理量が第1基準値以上の場合)、故障検知装置70は、基板処理要素群20の故障レベルが低レベルであるか、高レベルであるかを判定する(ステップS21)。
【0100】
ステップS21において、故障レベルが低レベルであると判定された場合、故障検知装置70は、故障レベルが低レベルである旨を報知する(ステップS22)。このステップS22の具体的な内容は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る故障検知装置70は、一例として、故障検知装置70のディスプレイ72に、故障レベルが低レベルであると判定された機器の名称と、故障レベルが低レベルである旨とを表示させる。また、この場合、故障検知装置70は、故障レベルが低レベルであると判定された機器の交換時期(交換すべき時期)を報知してもよい。
【0101】
ステップS22の後に、故障検知装置70は、故障が検知された機器の使用を継続させることを判断する(ステップS23)。すなわち、この場合、機器の故障レベルが低レベルであるので、この機器の使用を継続しても基板Wfに損傷が発生したり、基板処理の品質が許容範囲外になったりすることがないと考えられるため、故障検知装置70は、この機器の使用を継続させると判断する。この判断結果を受けた制御装置40は、実際に、この機器の使用を継続させる。
【0102】
一方、ステップS21において、故障レベルが高レベルであると判定された場合、故障検知装置70は、故障レベルが高レベルである旨を報知する(ステップS24)。具体的には、本実施形態に係る故障検知装置70は、故障検知装置70のディスプレイ72に、故障レベルが高レベルであると判定された機器の名称と、故障レベルが高レベルである旨とを表示させる。
【0103】
ステップS24の後に、故障検知装置70は、ステップS25を実行する。ステップS25において、故障検知装置70は、故障レベルが高レベルであると判定された機器と同一の処理を実行可能な他の機器である「代替機器」があるか否かを判定する。
【0104】
図1を参照すると、本実施形態において、例えば、ストッカ27やめっき槽31は、同一の処理を実行可能な複数の機器(すなわち、同種の機器)が存在する。このため、故障検知装置70は、これらの機器のうち、いずれかの機器の故障レベルが高レベルであると判定した場合には、同一の処理を実行可能な代替機器がある(YES)と判定する。
【0105】
図6のステップS25において、代替機器があると判定された場合(YES)、故障検知装置70は、故障レベルが高レベルであると判定された機器の代わりに、この代替機器を使用することを判断する(ステップS26)。この判断結果を受けた制御装置40は、実際に、試運転及び実運転において、故障レベルが高レベルであると判定された機器の代わりに、この代替機器を使用する。すなわち、この場合、この代替機器を用いて、試運転が継続され、その後の実運転も行われる。
【0106】
上述したステップS25及びステップS26の具体例を挙げると、以下のとおりである。例えば、ステップS25において、複数のめっき槽31のうち、一つのめっき槽31(これを、特定めっき槽と称する)の故障レベルが高レベルであると判定された場合、故障検知装置70は、ステップS26において、特定めっき槽以外のめっき槽31の中から選択された一つのめっき槽31を代替機器として使用することを判断する。そして、この判
断結果を受けた制御装置40は、試運転時及び実運転時において、特定めっき槽の代わりに、この代替機器としてのめっき槽31を使用する。
【0107】
ステップS25において、代替機器がないと判定された場合(NO)、故障検知装置70は、「代替機器がないこと、及び、基板処理要素群20の運転を継続させるか否か」を報知する(ステップS27)。このステップS27の具体的な内容は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る故障検知装置70は、一例として、故障検知装置70のディスプレイ72に、上記の旨を表示させる。
【0108】
このステップS27の報知を受けたユーザは、故障レベルが高レベルであると判定された機器を用いて、基板処理要素群20の試運転を継続させるか否かを選択することができる。そして、ユーザは、試運転を継続させるか否かの指令を故障検知装置70に与える。具体的には、ユーザは、故障検知装置70の操作部71を操作することで、試運転を継続させる旨の指令(運転継続指令)、又は、試運転を中止させる旨の指令(運転中止指令)を故障検知装置70のCPU73に伝える。
【0109】
次いで、故障検知装置70は、運転継続指令があるか否かを判定する(ステップS28)。ステップS28で、運転継続指令があると判定された場合(YES)、故障検知装置70は、基板処理要素群20の試運転を継続させると判断して、この判断結果を制御装置40に伝える(ステップS29)。この判断結果を受けた制御装置40は、故障レベルが高レベルであると判定された機器を用いた状態で、基板処理要素群20の試運転を継続させ、その後の実運転も行う。
【0110】
一方、ステップS28で、運転継続指令がないと判定された場合(NO)、すなわち、運転中止指令がある場合、故障検知装置70は、基板処理要素群20の試運転を中止させると判断して、この判断結果を制御装置40に伝える(ステップS30)。この判断結果を受けた制御装置40は、基板処理要素群20の試運転を中止させる。この結果、基板処理要素群20の実運転も中止される。
【0111】
以上説明したような本実施形態によれば、前述した実施形態1(変形例を含む)の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、本実施形態によれば、基板処理システム10Aが故障検知装置70を備えているので、基板処理要素群20の試運転の実行中に、基板処理要素群20の故障を検知することができる(ステップS20)。
【0112】
また、本実施形態によれば、故障検知装置70が基板処理要素群20の故障レベルが低レベルであるか、又は、高レベルであるかを判定し、この判定結果を報知しているので(ステップS22、ステップS24)、この報知を受けたユーザは、故障レベルが低レベルであるか高レベルであるかを容易に把握することができる。この結果、ユーザは、故障レベルに応じて、適切な対応措置を早期に講じることができる。また、例えば、故障レベルが高レベルであるにもかかわらず、このような故障レベルが高レベルの機器を使用して基板処理を行ってしまい、この結果、基板Wfに損傷が発生したり、基板処理の品質が低下して許容範囲外になったりすることを抑制することができる。
【0113】
また、本実施形態によれば、故障レベルが高レベルである場合において、基板処理要素群20を構成する複数の機器の中に代替機器がある場合に、この代替機器を使用して、基板処理要素群20の試運転及び実運転を行うことができる(ステップS26)。これにより、代替機器を使用して基板処理要素群20の試運転及び実運転を継続させることができるとともに、故障レベルが高レベルの機器を使用した実運転によって、基板Wfに損傷が発生したり、基板処理の品質が許容範囲外になったりすることを抑制することができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態等について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0115】
例えば、基板処理要素群20の構成は、図1等に例示されたものに限定されず、基板処理装置11が行う基板処理の内容に応じて適宜設定されればよい。また、基板処理の具体例は、めっき処理に限定されるものではなく、めっき処理以外の公知の基板処理を用いることができる。
【符号の説明】
【0116】
10,10A 基板処理システム
11 基板処理装置
20 基板処理要素群
21a,21b 搬送ロボット
22a,22b アライナ
23 締付ステージ
24 トランスポータ
27 ストッカ
28 プリウェットモジュール
29 プリソークモジュール
30 プリソークリンス槽
31 めっき槽
32 リンスモジュール
33 受渡槽
34a,34b スピンリンスドライヤ
40 制御装置
50 操作用コンピュータ
60 センサー
70 故障検知装置
100 第1基板処理要素
110 第2基板処理要素
Wf 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6