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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】基板処理中の基板温度の決定および制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020555409
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019026276
(87)【国際公開番号】W WO2019199641
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】62/656,647
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス・ジェレミー・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】パペ・エリック・エー.
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-507473(JP,A)
【文献】特表2009-512193(JP,A)
【文献】国際公開第2015/004804(WO,A1)
【文献】特開2010-086986(JP,A)
【文献】特開2005-011258(JP,A)
【文献】特開平10-240356(JP,A)
【文献】特開2006-339457(JP,A)
【文献】特開2006-080222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/67
H01L 21/3065
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムための温度コントローラであって、
熱伝達ガス圧力および基板支持体の第1温度を、前記基板支持体上に配置されている基板の第2温度に相関させる温度制御モデルおよび前記基板支持体内における熱伝達ガス流量に基づいて入力圧力と前記熱伝達ガス圧力とを関連付ける熱伝達ガス圧力モデルを格納するメモリと、
前記熱伝達ガス圧力モデルを用いて前記熱伝達ガス圧力を算出し、前記熱伝達ガス圧力、前記基板支持体の前記第1温度、および、前記温度制御モデルを用いて、前記基板の前記第2温度を算出するよう構成されている温度算出モジュールと、
前記温度算出モジュールによって算出された前記基板の前記第2温度と、前記基板の所望の第3温度とに基づいて、前記熱伝達ガス圧力を調整するよう構成されている熱伝達ガス制御モジュールと、
を備える、温度コントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の温度コントローラであって、前記基板支持体は、複数の区画を備え、前記基板支持体の前記第1温度は、前記複数の区画の各々におけるそれぞれの温度に対応する、温度コントローラ。
【請求項3】
請求項2に記載の温度コントローラであって、前記基板の前記第2温度は、複数の基板温度に対応し、前記複数の基板温度は、前記基板支持体の前記複数の区画に対応する、温度コントローラ。
【請求項4】
請求項3に記載の温度コントローラであって、前記熱伝達ガス圧力を調整するために、前記熱伝達ガス制御モジュールは、複数の圧力コントローラを調整するよう構成され、前記複数の圧力コントローラの各々は、前記基板支持体の前記複数の区画の1つに対応する、温度コントローラ。
【請求項5】
請求項1に記載の温度コントローラであって、前記基板の前記所望の第3温度は、レシピ設定点に対応する、温度コントローラ。
【請求項6】
請求項1に記載の温度コントローラであって、前記温度算出モジュールは、前記所望の第3温度をユーザインターフェースから受信するよう構成されている、温度コントローラ。
【請求項7】
請求項1に記載の温度コントローラであって、前記温度算出モジュールは、前記基板の前記第2温度をディスプレイに提供するよう構成されている、温度コントローラ。
【請求項8】
請求項1に記載の温度コントローラであって、前記温度制御モデルは、前記基板と前記基板支持体との間での制御熱伝達ガス圧力と実際の熱伝達ガス圧力との間の関係性に基づいて、前記熱伝達ガス圧力を算出するよう構成されている、温度コントローラ。
【請求項9】
請求項8に記載の温度コントローラであって、前記基板の前記第2温度を算出するために、前記温度算出モジュールは、(i)前記熱伝達ガス圧力モデルを用いて、前記制御熱伝達ガス圧力に基づいて前記実際の熱伝達ガス圧力を算出し、(ii)前記実際の熱伝達ガス圧力および前記基板支持体の前記第1温度に基づいて前記基板の前記第2温度を算出するよう構成されている、温度コントローラ。
【請求項10】
請求項1に記載の温度コントローラであって、前記基板の前記第2温度を算出するために、前記温度算出モジュールは、(i)前記基板支持体内に配置された圧力センサから前記熱伝達ガス圧力を受信し、(ii)前記圧力センサから受信した前記熱伝達ガス圧力に基づいて前記基板の前記第2温度を算出するよう構成されている、温度コントローラ。
【請求項11】
基板処理システム内で基板支持体の温度を制御するための方法であって、
熱伝達ガス圧力および基板支持体の第1温度を、前記基板支持体上に配置されている基板の第2温度に相関させる温度制御モデルをメモリ内に格納し、
前記基板支持体内における熱伝達ガス流量に基づいて入力圧力と前記熱伝達ガス圧力とを関連付ける熱伝達ガス圧力モデルを前記メモリ内に格納し、
前記熱伝達ガス圧力モデルを用いて前記熱伝達ガス圧力を算出し、
前記熱伝達ガス圧力、前記基板支持体の前記第1温度、および、前記温度制御モデルを用いて、前記基板の前記第2温度を算出し、
算出された前記基板の前記第2温度と、前記基板の所望の第3温度とに基づいて、前記熱伝達ガス圧力を調整すること、
を備える、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記基板支持体は、複数の区画を備え、前記基板支持体の前記第1温度は、前記複数の区画の各々におけるそれぞれの温度に対応する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記基板の前記第2温度は、複数の基板温度に対応し、前記複数の基板温度は、前記基板支持体の前記複数の区画に対応する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記熱伝達ガス圧力を調整することは、複数の圧力コントローラを調整することを含み、前記複数の圧力コントローラの各々は、前記基板支持体の前記複数の区画の1つに対応する、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、前記基板の前記所望の第3温度は、レシピ設定点に対応する、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、さらに、前記所望の第3温度をユーザインターフェースから受信することを備える、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、さらに、前記基板の前記第2温度をディスプレイに提供することを備える、方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、さらに、前記基板と前記基板支持体との間での制御熱伝達ガス圧力と実際の熱伝達ガス圧力との間の関係性に基づいて、前記熱伝達ガス圧力を算出することを備える、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記基板の前記第2温度を算出することは、(i)前記熱伝達ガス圧力モデルを用いて、前記制御熱伝達ガス圧力に基づいて前記実際の熱伝達ガス圧力を算出し、(ii)前記実際の熱伝達ガス圧力および前記基板支持体の前記第1温度に基づいて前記基板の前記第2温度を算出すること、を含む、方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法であって、前記基板の前記第2温度を算出することは、(i)前記基板支持体内に配置された圧力センサから前記熱伝達ガス圧力を受信し、(ii)前記圧力センサから受信した前記熱伝達ガス圧力に基づいて前記基板の前記第2温度を算出すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2018年4月12日出願の米国仮出願第62/656,647号の利益を主張する。本開示は、2016年12月15日出願の米国仮出願第62/434,665号の利益を主張する2017年11月28日出願の米国特許出願第15/824,447号に関連する。上記の出願の開示全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システムにおける基板の温度の推定および制御に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【0004】
半導体ウエハなどの基板を処理するために、基板処理システムが利用されうる。基板に実行されうる処理の例は、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、導体エッチング、誘電体エッチング、および/または、その他のエッチング、蒸着、もしくは、洗浄処理を含むが、これらに限定されない。基板は、基板処理システムの処理チャンバ内の基板支持体(ペデスタル、静電チャック(ESC)など)上に配置されうる。エッチング中、1以上のガスを含むエッチングガス混合物が、処理チャンバに導入されてよく、プラズマが、化学反応を開始するために利用されうる。
【0005】
基板支持体は、基板を支持するように構成されているセラミック層を備えうる。例えば、基板は、処理中にセラミック層にクランプされうる。基板支持体は、熱伝達ガス(例えば、ヘリウム)をセラミック層上に配置された基板の背面に供給するための複数の流路を備えうる。熱伝達ガスは、基板および/またはセラミック層の冷却を促進する。
【発明の概要】
【0006】
基板処理システムための温度コントローラは、熱伝達ガス圧力および基板支持体の第1温度を、基板支持体上に配置されている基板の第2温度に相関させる温度制御モデルを格納するメモリと、熱伝達ガス圧力、基板支持体の第1温度、および、温度制御モデルを用いて、基板の第2温度を算出するよう構成されている温度算出モジュールと、温度算出モジュールによって算出された基板の第2温度と、基板の所望の第3温度とに基づいて、熱伝達ガス圧力を調整するよう構成されている熱伝達ガス制御モジュールと、を備える。
【0007】
他の特徴において、基板支持体は、複数の区画を備え、基板支持体の第1温度は、複数の区画の各々におけるそれぞれの温度に対応する。基板の第2温度は、複数の基板温度に対応し、複数の基板温度は、基板支持体の複数の区画に対応する。熱伝達ガス圧力を調整するために、熱伝達ガス制御モジュールは、複数の圧力コントローラを調整するよう構成され、複数の圧力コントローラの各々は、基板支持体の複数の区画の1つに対応する。
【0008】
他の特徴において、基板の所望の第3温度は、レシピ設定点に対応する。温度算出モジュールは、所望の第3温度をユーザインターフェースから受信するよう構成されている。温度算出モジュールは、基板の第2温度をディスプレイに提供するよう構成されている。
【0009】
他の特徴において、温度制御モデルは、基板と基板支持体との間での制御熱伝達ガス圧力と実際の熱伝達ガス圧力との間の関係性に基づいて、熱伝達ガス圧力を算出するよう構成されている。基板の第2温度を算出するために、温度算出モジュールは、(i)熱伝達ガス圧力モデルを用いて、制御熱伝達ガス圧力に基づいて実際の熱伝達ガス圧力を算出し、(ii)実際の熱伝達ガス圧力および基板支持体の第1温度に基づいて基板の第2温度を算出するよう構成されている。基板の第2温度を算出するために、温度算出モジュールは、(i)基板支持体内に配置された圧力センサから熱伝達ガス圧力を受信し、(ii)圧力センサから受信した熱伝達ガス圧力に基づいて基板の第2温度を算出するよう構成されている。
【0010】
基板処理システム内で基板支持体の温度を制御するための方法は、熱伝達ガス圧力および基板支持体の第1温度を、基板支持体上に配置されている基板の第2温度に相関させる温度制御モデルをメモリ内に格納し、熱伝達ガス圧力、基板支持体の第1温度、および、温度制御モデルを用いて、基板の第2温度を算出し、基板の算出された第2温度と、基板の所望の第3温度とに基づいて、熱伝達ガス圧力を調整すること、を備える。
【0011】
他の特徴において、基板支持体は、複数の区画を備え、基板支持体の第1温度は、複数の区画の各々におけるそれぞれの温度に対応する。基板の第2温度は、複数の基板温度に対応し、複数の基板温度は、基板支持体の複数の区画に対応する。熱伝達ガス圧力を調整することは、複数の圧力コントローラを調整することを含み、複数の圧力コントローラの各々は、基板支持体の複数の区画の1つに対応する。
【0012】
他の特徴において、基板の所望の第3温度は、レシピ設定点に対応する。方法は、さらに、所望の第3温度をユーザインターフェースから受信することを備える。方法は、さらに、基板の第2温度をディスプレイに提供することを備える。
【0013】
他の特徴において、方法は、さらに、基板と基板支持体との間での制御熱伝達ガス圧力と実際の熱伝達ガス圧力との間の関係性に基づいて、熱伝達ガス圧力を算出することを備える。基板の第2温度の算出は、(i)熱伝達ガス圧力モデルを用いて、制御熱伝達ガス圧力に基づいて実際の熱伝達ガス圧力を算出し、(ii)実際の熱伝達ガス圧力および基板支持体の第1温度に基づいて基板の第2温度を算出すること、を含む。基板の第2温度の算出は、(i)基板支持体内に配置された圧力センサから熱伝達ガス圧力を受信し、(ii)圧力センサから受信した熱伝達ガス圧力に基づいて基板の第2温度を算出すること、を含む。
【0014】
詳細な説明、特許請求の範囲、および、図面から、本開示を適用可能なさらなる領域が明らかになる。詳細な説明および具体的な例は、単に例示を目的としており、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、詳細な説明および以下に説明する添付図面から、より十分に理解できる。
【0016】
図1】本開示に従って、基板処理システムの一例を示す図。
【0017】
図2A】本開示の原理に従って、基板の一例を示す図。
【0018】
図2B】本開示の原理に従って、基板支持体の一例を示す平面図。
【0019】
図2C】本開示の原理に従って、基板支持体における熱伝達ガス流のモデルの一例を示す図。
【0020】
図3A】本開示の原理に従って、基板支持体に提供された熱伝達ガス圧力センサの構成例を示す図。
図3B】本開示の原理に従って、基板支持体に提供された熱伝達ガス圧力センサの構成例を示す図。
図3C】本開示の原理に従って、基板支持体に提供された熱伝達ガス圧力センサの構成例を示す図。
【0021】
図4】本開示の原理に従って、熱伝達ガス圧力センサの構成例をより詳細に示す図。
【0022】
図5A】本開示の原理に従って、圧力センサを備えた基板支持体の例を示す平面図。
図5B】本開示の原理に従って、圧力センサを備えた基板支持体の例を示す平面図。
図5C】本開示の原理に従って、圧力センサを備えた基板支持体の例を示す平面図。
【0023】
図6】本開示に従って、温度コントローラの一例を示す図。
【0024】
図7】本開示の原理に従って、基板の温度を制御するための方法の一例を示す図。
【0025】
図面において、同様および/または同一の要素を特定するために、同じ符号を用いる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一部の基板処理システムは、比較的高い電力(例えば、60kW以上)を用いて、動作する(例えば、基板に対してプラズマエッチングを実行する)。静電チャック(ESC)などの基板支持体が、処理チャンバ内で高電力プラズマの存在下で所望の基板温度を維持するために制御(例えば、冷却)されうる。一部の例において、基板支持体は、30kWもの熱を放散しうる。
【0027】
不均一な熱放散が、処理および基板の不均一性を引き起こしうる。例えば、基板温度は、6kWプラズマの存在下で約45℃(例えば、+/-1℃)上昇しうる。その他の不均一性(例えば、基板支持体の熱スタック、基板の表面に対するイオン束、などの不均一性)が、基板にわたる温度を望ましくなく変動させうる。
【0028】
一部の例において、基板支持体および基板にわたる温度のばらつきは、基板支持体の冷却流路パターンを最適化すること、基板支持体のベースプレートとセラミック層との間に提供される熱ボンド層の特性(例えば、厚さ)を最適化すること、などによって低減されうる。しかしながら、利用可能な冷却パターンは、ベースプレートの形状制約およびその他の構造的な制約(電気接続、熱伝達ガス流路など)によって制限される。逆に、熱ボンド層の厚さを最適化すること(例えば、基板支持体にわたって熱ボンド層の均一な厚さを保証すること)は、基板支持体における局所的な温度不均一性を補償しえない。
【0029】
本開示の原理に従った基板温度システムおよび方法は、処理中の基板にわたる温度のばらつきを低減する。基板にわたる温度が、制御変数および処理変数に従って推定される。一例において、変数と基板温度との間の相関が、(例えば、その場で、製造、較正、修理などの間の)様々なセンサ測定値と温度検知テスト基板の温度の実際の測定値とを用いて決定されてよい。基板温度は、変数を示すセンサ測定値に対応付けられてよく、変数は、基板温度(例えば、ウエハ温度)、基板支持体(例えば、セラミック層)温度、および、熱伝達ガス流モデリング(例えば、熱伝達ガス流量および熱伝達ガス圧力)を含むが、これらに限定されない。次いで、温度制御パラメータ(例えば、熱伝達ガス流量および圧力)が、基板にわたって一定温度を維持するように調整されてよい。対応付けは、各処理チャンバ、基板支持体、処理などに対して実行されてよい。したがって、基板温度制御システムおよび方法は、特定の処理チャンバで処理される基板にわたる温度のばらつきを補償するよう構成されうる。
【0030】
ここで、図1を参照すると、基板処理システムの一例100が示されている。単に例として、基板処理システム100は、RFプラズマを用いたエッチングおよび/またはその他の適切な基板処理を実行するために用いられてよい。基板処理システム100は、基板処理システム100の他の構成要素を収容すると共にRFプラズマを閉じ込める処理チャンバ102を備える。基板処理チャンバ102は、上側電極104と、基板支持体106(ESCなど)とを備える。動作中、基板108が、基板支持体106上に配置される。具体的な基板処理システム100および処理チャンバ102が一例として示されているが、本開示の原理は、その場でプラズマを生成する基板処理システム、(例えば、プラズマチューブ、マイクロ波チューブを用いて)遠隔プラズマの生成および供給を実施する基板処理システムなど、他のタイプの基板処理システムおよび処理チャンバに適用されてもよい。
【0031】
単に例として、上側電極104は、処理ガスを導入して分散させるガス分配装置(シャワーヘッド109など)を備えてよい。シャワーヘッド109は、処理チャンバの上面に接続された一端を備えるステム部分を備えてよい。ベース部分は、略円筒形であり、処理チャンバの上面から離れた位置でステム部分の反対側の端部から半径方向外向きに広がる。シャワーヘッドのベース部分の基板対向面すなわちフェースプレートは、処理ガスまたはパージガスが流れる複数の穴を備える。あるいは、上側電極104は、導電性のプレートを備えてもよく、処理ガスは、別の方法で導入されてもよい。
【0032】
基板支持体106は、ベースプレート110を備える。一部の例において、ベースプレート10は、導電性で、下側電極として機能してよい。他の例において、ベースプレート110は、非導電性で、埋め込み電極を備えてもよい。ベースプレート110は、セラミック層112を支持する。ボンド層114(例えば、ボンド層)が、セラミック層112とベースプレート110との間に配置されてよい。ベースプレート110は、ベースプレート110に冷却材を流すための1または複数の冷却材流路116を備えてよい。基板支持体106は、基板108の外周を取り巻くよう配置されたエッジリング118を備えてよい。
【0033】
RF発生システム120が、RF電圧を生成して、上側電極104および下側電極(例えば、基板支持体106のベースプレート110)の一方に出力する。上側電極104およびベースプレート110のもう一方は、例えば、DC接地、AC接地、または、浮遊している、などであってよい。この例では、RF電圧は、下側電極に供給される。単に例として、RF発生システム120は、整合/配電ネットワーク124によって上側電極104またはベースプレート110に供給されるRF電圧を生成するRF電圧発生器122を備えてよい。他の例において、プラズマは、誘導的にまたは遠隔で生成されてよい。例示の目的で示すように、RF発生システム120は、容量結合プラズマ(CCP)システムに対応するが、本開示の原理は、単に例として、トランス結合プラズマ(TCP)システム、CCPカソードシステム、遠隔マイクロ波プラズマ生成/供給システムなど、他の適切なシステムで実施されてもよい。
【0034】
ガス供給システム130は、1以上のガス源132-1、132-2、・・・、および、132-N(集合的に、ガス源132)を備えており、ここで、Nはゼロより大きい整数である。ガス源は、1以上のエッチングガスおよびそれらの混合物を供給する。ガス源は、搬送ガスおよび/またはパージガスを供給してもよい。ガス源132は、バルブ134-1、134-2、・・・、および、134-N(集合的に、バルブ134)ならびにマスフローコントローラ136-1、136-2、・・・、および、136-N(集合的に、マスフローコントローラ136)によってマニホルド140に接続されている。マニホルド140の出力は、処理チャンバ102に供給される。単に例として、マニホルド140の出力は、シャワーヘッド109に供給される。
【0035】
温度コントローラ142が、流路116を通る冷却材の流れを制御するために冷却材アセンブリ146と連絡してよい。例えば、冷却材アセンブリ146は、冷却材ポンプおよびリザーバを備えてよい。温度コントローラ142は、基板支持体106を冷却するために流路116を通して冷却材を選択的に流すように、冷却材アセンブリ146を作動させる。
【0036】
バルブ150およびポンプ152が、処理チャンバ102から反応物質を排出するために用いられてよい。システムコントローラ160が、基板処理システム100の構成要素を制御するために用いられてよい。ロボット170が、基板支持体106上へ基板を供給すると共に、基板支持体106から基板を除去するために用いられてよい。例えば、ロボット170は、基板支持体106およびロードロック172の間で基板を搬送してよい。別個のコントローラとして示しているが、温度コントローラ142は、システムコントローラ160内に実装されてもよい。一部の例において、保護シール176が、セラミック層112とベースプレート110との間のボンド層114の周囲に提供されてもよい。
【0037】
基板支持体106は、熱伝達ガス源182から基板108の背面へ熱伝達ガス(ヘリウムなど)を供給するように配置された複数の流路180を備える。熱伝達ガスは、基板108および/またはセラミック層112の冷却を促進する。別個に図示されているが、熱伝達ガス源182は、ガス供給システム130内に実装されてもよい。さらに、基板支持体106は、簡単のために3つの流路180を備えるよう図示されているが、基板支持体106は、任意の数の流路180を備えてよい。
【0038】
本開示の原理に従った温度コントローラ142(および/またはシステムコントローラ160)は、後に詳述するように、基板温度算出システムおよび方法を実装する。例えば、温度コントローラ142は、基板支持体106(例えば、セラミック層112)の温度、熱伝達ガス流量、および、熱伝達ガス圧力に基づいて、基板108の温度を算出および制御するよう構成されている。一例において、温度コントローラ142は、基板支持体106の温度、制御(例えば、入力)熱伝達ガス圧力および/または流量、ならびに、実際の(すなわち、基板支持体106に提供される通りの)熱伝達ガス圧力および/または流量に基づいて、基板108の温度を算出するよう構成されている。
【0039】
ここで、図2Aおよび図2Bを参照すると、基板204を支持するよう構成された基板支持体の一例200が示されている。基板支持体200は、導電性のベースプレート208と、セラミック層212と、一部の例において、セラミック層212およびベースプレート208の間に配置されたボンド層216と、を備える。ベースプレート208は、ベースプレート208に冷却材を流すための1以上の冷却材流路220を備えてよい。基板支持体200は、基板204の外周を囲むように配置されたエッジリング224を備えてよい。基板支持体200は、熱伝達ガス源232から基板204の背面(すなわち、下面)へ熱伝達ガス(ヘリウムなど)を供給するように配置された複数の流路228を備える。熱伝達ガスは、基板204および/またはセラミック層212の冷却を促進する。
【0040】
温度コントローラ236が、流路220を通る冷却材の流れを制御するために冷却材アセンブリ240と連絡する。温度コントローラ236は、(例えば、図1で上述したガス供給システム130などのガス供給システムのバルブを介して)熱伝達ガスの流量を制御するために熱伝達ガス源232と連絡する。温度コントローラ236は、基板支持体200を冷却するために流路220を通して冷却材を選択的に流すように、冷却材アセンブリ240を作動させてもよい。温度コントローラ236は、独立したコントローラ、システムコントローラ244内に実装されたコントローラ、などであってよい。
【0041】
温度コントローラ236は、後に詳述するように、基板支持体200の温度に部分的に基づいて基板204の温度を測定および/または算出するよう構成されている。一例において、温度コントローラ236は、基板支持体200の異なる半径方向区画にわたって配置された1以上の温度センサを用いて測定された基板支持体200の温度に従って、基板204の温度を決定する。例えば、セラミック層212は、内側区画248-1、中間内側区画248-2、中間外側区画248-3、および、外側区画248-4(集合的に区画248と呼ぶ)を備えてよい。4つの同心の区画248が示されているが、実施形態において、基板支持体200は、1、2、3、または、4を超える区画248を備えてもよい。区画248の形状は様々であってよい。例えば、区画248は、四分円または別の格子状配列として提供されてもよい。温度コントローラ236は、1以上のセンサから受信した信号(例えば、センサ入力252として示されている)に従って、基板支持体200の温度(例えば、セラミック層212の区画248の各々の温度)を決定する。換言すると、この例において、温度コントローラ236は、基板支持体200の温度を直接的に測定するよう構成されている。
【0042】
別の例において、温度コントローラ236は、モデル(例えば、基板支持体の冷却材流のモデル)など、他の測定値および/または推定値を用いて、基板支持体200の温度を算出するよう構成されてもよい。例えば、2017年11月28日出願の米国特許出願第15/824447号(その内容全体が本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されるように、温度コントローラ236は、冷却材アセンブリ240から基板支持体200へ供給される冷却材の温度、基板支持体200から冷却材アセンブリ240へ戻る(すなわち、基板支持体200から流れ出る)冷却材の温度、基板支持体200に供給されるRF電力などの内の1以上に基づいて、基板支持体200の温度を算出するよう構成されてよい。
【0043】
温度コントローラ236は、熱伝達ガス源232と基板支持体200との間に配置された1以上のセンサ(例えば、ヘリウムセンサ)256から熱伝達ガスの流量を受信してよい例えば、センサ256は、基板支持体200の異なる区画248に提供される熱伝達ガス流量(および/または圧力)を測定するセンサに対応してよい。基板204の温度は、基板204の下方の熱伝達ガス圧力に対応し、熱伝達ガス圧力は、熱伝達ガス流量に依存する。一部の例において、基板支持体200の温度は、基板204の温度を調整するために調整されてよい。しかしながら、基板支持体200の温度の調整は、基板204全体の温度を調整するものであり、基板204の異なる部分の独立した調整は可能ではない。したがって、ユーザは、区画248におけるそれぞれの熱伝達ガス圧力を調整するために区画248の個々の区画における熱伝達ガス流量を調整することによって、基板204の温度をさらに調整するよう試みてよい。
【0044】
典型的に、基板204の温度は、基板支持体200の温度に相関し、後者は、熱伝達ガス源232によって提供される熱伝達ガス圧力および対応する熱伝達ガス流量に相関しうる。例えば、基板204の温度は、Q=h/ΔTに相関してよく、ここで、Qは、プラズマ熱負荷の存在下で基板204に関連する熱流束であり、hは、熱伝達ガスの熱伝達率であり、ΔTは、基板204の温度(T基板)と基板支持体200の温度(T支持体)との間の差(例えば、T基板-T支持体)に対応する。したがって、基板204の温度は、基板支持体204の温度と熱伝達率hとに従って変化する。熱伝達率hは、熱伝達ガス圧力の関数であるので、ユーザは、熱伝達ガス流量を調整することで、基板204の温度を調整することができる。しかしながら、センサ256から受信された測定熱伝達ガス流量は、後に詳述するように、基板204の実際の温度を正確に示さない場合がある。
【0045】
例えば、熱伝達率hは、熱伝達ガス圧力およびその他のシステム変数の関数である。一例において、区画248の所与の1区画に対する熱伝達ガスの熱伝達率hは、h=k/(d+g+g)に従って定義されてよく、ここで、kは、熱伝達ガスの熱伝導率であり、dは、基板204と基板支持体200との間の距離(例えば、熱伝達ギャップ)であり、g+gは、区画248と、区画248の内の隣接する区画との間(または、一部の例では、区画248と処理チャンバとの間)の界面の熱伝達効率である。熱伝導率kは、k=f(P)のように熱伝達ガス圧力Pの関数であってよい。
【0046】
図2Bに示す一例において、熱伝達ガスは、流路228を通して基板204の背面に(すなわち、セラミック層212と基板204との間の熱伝達ギャップに)供給され、熱伝達ガスは、溝260を通して区画248全体に分配される。溝260は、区画248の各々の中で熱伝達ガス圧力を分散させる。セラミック層212は、さらに、区画248にわたって分散された複数の高くなった突起(例えば、図2Bに点で示された円柱形突起であり、「メサ」とも呼ばれる)を備えてよい。突起264は、セラミック層212と基板204との間の熱伝達ギャップを維持する。熱伝達ガスは、基板204からセラミック層212へ熱を伝導(すなわち、伝達)させるために、それぞれの区画248において、選択された圧力でこのギャップ内に供給される。
【0047】
一部の例において、セラミック層212は、区画248の内の隣接する区画の間に配置されたシールバンド268を備えてよい。シールバンド268は、基板204の下面に接触することで、シールを形成し、区画248の間の熱伝達ガスの移動を制限する。したがって、シールバンド268は、区画248の各々を、異なる圧力に、したがって、異なる温度に、維持することを容易にする。例えば、第1圧力が、区画248の1区画(例えば、区画248-1)で維持されてよく、第1圧力は、区画248の内の隣接する区画(例えば、区画248-2)で維持される第2圧力よりも大きい。シールバンド268は、熱伝達ガスが、より大きい第1圧力を有する区画248-1から、より小さい第2圧力を有する区画248-2へ漏れるのを防ぐ。他の例において、セラミック層212は、シールバンド268を備えなくてもよい。
【0048】
基板204の変動(例えば、ボーイング、下面の不均一性、処理中の応力、など)、セラミック層212の変動(例えば、ワーピング、突起264および/またはシールバンド268の高さの不均一性、など)、および、シールバンド268(例えば、経時的な腐食によるもの)の変動が、それぞれの区画248内の圧力の制御を妨げうる。例えば、基板204の変動(例えば、厚さのばらつき、ワーピング、など)は、区画248の間の流量のばらつきと、熱変動とに相関しうる。したがって、1または複数の変動が、区画248の間の熱伝達ガスの漏れ、および/または、区画248(例えば、外側区画248-4および/または区画248の内の他の区画)から処理チャンバへの熱伝達ガスの漏れを引き起こす場合があり、ひいては、基板温度の不正確な制御による処理および基板の不均一性を引き起こしうる。例えば、制御および/または測定された流量および/または圧力(例えば、ユーザによって入力され、センサ256で測定されたもの)が、区画248内の実際の圧力と異なる場合がある。
【0049】
図2Cは、基板支持体200における熱伝達ガスの流れを特徴付ける熱伝達ガス流モデルの一例280を示す。例えば、熱伝達ガスは、それぞれの圧力コントローラ(例えば、圧力コントローラ284-1、284-2、284-3、および、284-4:集合的に、圧力コントローラ284と呼ぶ)の制御に従って、熱伝達ガス源232から区画248の各々へ供給される。熱伝達ガスは、それぞれのフローパス288-1、288-2、288-3、および、288-4(集合的に、フローパス288と呼ぶ)を介して区画248へ流れる。フローパス288-1、288-2、288-3、および、288-4の各々は、それぞれの流体コンダクタンスC、C、C、および、Cを有しうる。さらに、熱伝達ガスは、リークパス292-1、292-2、および、292-3を介して、上述したような基板204および/または基板支持体200における変動により、区画248の内の隣接する区画の間で流れうる、ならびに/もしくは、リークパス292-4を介して外側区画248-4から処理チャンバへ流れうる(リークパスは、集合的にリークパス292と呼ぶ)。フローパス292-1、292-2、292-3、および、292-4の各々は、それぞれの流体コンダクタンスC、C、C、および、Cを有しうる。
【0050】
典型的には、基板支持体204の温度は、圧力コントローラ284を用いて基板支持体200に供給される熱伝達ガスの圧力を制御することによって調整される。しかしながら、区画248内の圧力は、以下のような要因によって、それぞれの制御された圧力とは異なる:リークパス292-1、292-2、および、292-3を介して区画248の間での、ならびに、リークパス292-4を介して処理チャンバへの、(例えば、フローパス288のコンダクタンスに従った)フローパス288内の圧力損失(ただし、要因はこれに限定されない)。したがって、制御された圧力およびそれぞれの所望の温度に従って基板204の温度を決定および調整しようとする試みは、困難でありうる。例えば、制御された圧力と所望の温度との間の関係性は、処理チャンバの間、基板ごとに変動しうる、所与の処理チャンバに対して経時的に変動しうる、などである。
【0051】
本開示の原理に従った温度コントローラ236(および/またはシステムコントローラ244)は、制御圧力と実際の圧力との間の差を補償するために基板204の温度を算出および制御するよう構成されている。単に例として、温度コントローラは、基板支持体200の温度、制御熱伝達ガス圧力、および、実際の(すなわち、基板支持体200の区画248内の)熱伝達ガス圧力に基づいて、基板204の温度を算出および制御するよう構成されてよい。後に詳述するように、一部の例において、実際の熱伝達ガス圧力が、(例えば、モデル、較正データなどに従って)算出されてよいが、他の例において、実際の熱伝達ガス圧力が、(例えば、基板支持体200に配置された1以上のセンサを用いて)直接測定されてもよい。他の例において、実際の熱伝達ガス圧力は、温度を算出および制御するために、算出も直接測定もされなくてよい。むしろ、温度は、後に詳述するように、モデル化され、測定された相関、または、温度とその他の変数(例えば、基板支持体200内のフローパスの流体コンダクタンス)との間のその他の所定の関係性に基づいて、決定および算出されてもよい。
【0052】
例えば、温度コントローラ236は、(例えば、熱伝達ガス流モデル280に従って)入力熱伝達ガス圧力を、区画248内の実際の圧力、基板支持体200の温度、および、基板204のそれぞれの温度と相関させる温度制御モデルを実装する。換言すると、温度コントローラ236は、入力(制御)圧力と実際の圧力との間の差に部分的に基づいて、基板204の温度を決定するよう構成されている。例えば、温度コントローラ236によって実装される処理レシピの設定点は、所望の制御入力(すなわち、制御された熱伝達ガス圧力)よりもむしろ所望の処理温度設定点に対応しうる。
【0053】
温度制御モデルは、所与の区画248における熱伝達ガス圧力Pと基板支持体200上に配置された基板204の対応する部分の温度との間の関係性を決定するために基板支持体200に対して実行される較正処理に従って生成されてよい(すなわち、較正処理は、その場で、製造、修理などの間に、所与の基板支持体に対して別個に実行されてよい)。換言すると、基板204の温度は、(例えば、固定された所定の熱流束Qに対する)熱伝達ガス圧力Pおよび基板支持体200の温度の関数として決定されてよい。したがって、熱伝達ガス圧力Pが、(例えば、後に詳述するようにモデリングまたはセンサ測定によって)基板支持体200の動作中に既知である場合、熱伝達ガスPは、基板204の温度を調整するために調整されてよい。
【0054】
熱伝達ガス圧力Pを基板204の温度に相関させる較正処理の一例において、制御圧力、実際の圧力(すなわち、区画248における熱伝達ガスの実際の圧力)、基板支持体200の温度、および、基板204の温度の間の関係性は、様々なセンサ測定値と温度検知テスト基板の温度の実際の測定値とを用いて決定されてよい。他の例において、基板支持体200の温度は、基板支持体内のフローパスの温度および流体コンダクタンスの間の所定の関係性に基づいて、決定および算出されてもよい。テスト基板は、区画248全体にわたる位置に対応するように配置された複数の温度センサを備えてよい。一部の例において、テスト基板は、区画248にわたって変動するエッチング速度を測定するよう構成されてよい。一部の例において、較正処理中、圧力センサが、様々な位置で熱伝達圧力Pを測定するために基板支持体にわたって(例えば、基板204とセラミック層212との間のギャップ内などに)分散されてよい。このように、基板204の温度は、対応する熱伝達ガス圧力Pに対して決定されてよい。
【0055】
次いで、基板支持体200の動作中、基板204の温度は、熱伝達ガス圧力Pに従って決定および制御されてよい。(他の例において後述するように)基板支持体200が基板支持体200に配置された熱伝達ガス圧力センサを備えない例において、(例えば、フローパス288、リークパス292などにおける)所与の基板支持体に対する熱伝達ガス流量および圧力は、熱伝達ガス圧力モデルとしてのそれぞれの入力圧力に対して決定および特徴付けられてよい。このように、区画248内の実際の熱伝達ガス圧力が、制御圧力に対して決定されてよい(例えば、圧力コントローラ284の可能性な入力圧力の全範囲に対して)。
【0056】
換言すると、(例えば、センサ256によって示される)制御圧力と、区画248内の実際の圧力との間の差が、熱伝達ガス流モデル280の特徴付けに従って決定されるので、温度コントローラ236は、それぞれの制御圧力に対して区画248内の実際の圧力を決定するよう構成されている。(例えば、モデルを用いて制御圧力に相関された)算出された実際の圧力および基板支持体200の温度が既知(および/または上述したように算出済み)であれば、温度コントローラ236は、制御圧力、算出/モデル化された実際の熱伝達ガス圧力、および、基板支持体200の温度を用いて、基板204の温度を算出するよう構成されている。
【0057】
一例として、(例えば、システム内の所定の位置での熱伝達ガス圧力Pに対応する)未知の圧力Pが、その位置と、1以上のその他の隣接する空間(例えば、圧力PおよびPを有する第1および第2「圧力バス」)との間のフローパスに従って規定されうる。圧力バスは、無限に大きいな体積を表しうる。したがって、圧力PおよびPは、一定でありうる(例えば、PおよびPの変化が0でありうる)。圧力Pの変化は、以下に従って規定されうる。
【0058】
【数1】
【0059】
ここで、cは、Pに対する位置と第1圧力バスとの間の流体コンダクタンスに対応し、cは、Pに対する位置と第2圧力バスとの間の流体コンダクタンスに対応する。
【0060】
基板支持体200において、圧力コントローラ284の各々および処理チャンバは、上述したように一定の圧力を有する圧力バスとして表されうる。したがって、(内側区画248-1、248-2、248-3、および、248-4にそれぞれ対応する)熱伝達ガス圧力PIZ、PMIZ、PMOZ、および、POZの変化は、以下に従って規定されうる。
【0061】
【数2】
【0062】
【数3】
【0063】
【数4】
【0064】
【数5】
【0065】
ここで、PUPC1、PUPC2、PUPC3、および、PUPC4は、それぞれ、圧力コントローラ284-1、284-2、284-3、および、284-4の圧力(例えば、制御圧力)に対応し、Pchmbは、基板支持体200を含む圧力チャンバ内の圧力に対応し、C~Cは、図2Cに示すように、パス288および292の流体コンダクタンスに対応する。
【0066】
一例の較正処理の間に、C~Cの値は、圧力コントローラ284の圧力および処理チャンバ内の圧力など、上記の式におけるその他の既知の(例えば、測定または制御された)圧力に従って、熱伝達ガス圧力Pをモデル化するために決定されてよい。例えば、コンダクタンスC~Cは、基板支持体200上に基板204を配置することなしに圧力コントローラ284の圧力を制御しつつ、それぞれのフローパスにおいて流量センサを用いて測定されてよい。逆に、コンダクタンスC~Cは、基板204を基板支持体200にクランプすると共に様々な条件に従って圧力コントローラ284の圧力を設定して、測定されてよい。例えば、コンダクタンスCは、圧力コントローラ284の各々の圧力を同じ値(例えば、PUPC1=PUPC2=PUPC3=PUPC4)に設定して測定されてよい。コンダクタンスCおよびCは、圧力コントローラ284-1および284-4の圧力を同じ第1値に設定すると共に、圧力コントローラ284-2および284-3の圧力を同じ第2値に設定して(例えば、PUPC1=PUPC4≠PUPC2=PUPC3)、測定されてよい。コンダクタンスCは、圧力コントローラ284-1および284-2の圧力を同じ第1値に設定すると共に、圧力コントローラ284-3および284-4の圧力を同じ第2値に設定して(例えば、PUPC1=PUPC2≠PUPC3=PUPC4)、測定されてよい。
【0067】
熱伝達ガス圧力Pが上述したように較正処理に従ってモデル化される場合、熱伝達ガス圧力Pは、基板支持体の動作中に決定されてよい。一例において、熱伝達ガス圧力モデルに従って区画248の各々に対する制御圧力を熱伝達ガス圧力Pに相関させるために、ルックアップテーブルが(例えば、コントローラ236によって)用いられてよい。次いで、基板204の温度は、熱伝達ガス圧力および基板支持体200の温度に従って制御されてよい。
【0068】
ここで、図3A図3B、および、図3Cを参照すると、基板支持体の別の例300が示されている。この例において、基板支持体300は、セラミック層308に埋め込まれた1以上の圧力センサ(すなわち、熱伝達ガス圧力センサ)304を備える。圧力センサ304は、セラミック層308と基板316の背面との間の1または複数の熱伝達ギャップ312と流体連通するそれぞれの空洞310内に配置される。したがって、圧力センサ304は、熱伝達ギャップ312内の熱伝達ガス圧力Pを直接測定し、(例えば、温度コントローラ236、システムコントローラ244などに)熱伝達ガス圧力Pを示す信号320を生成するよう構成されている。
【0069】
一例において、圧力センサ304は、微小電気機械システム(MEMS)センサである。例えば、圧力センサ304は、0.8~1.2mmの厚さを有する平面MEMSセンサであってよい。一部の例において、圧力センサ304をベースプレート324から電気的に絶縁し、アーク放電と、RF電力およびDC電圧への暴露を低減して、圧力センサ304の絶縁破壊を防ぐために、RFグリッドまたはその他の構造が提供されてよい。例えば、セラミック層308に埋め込まれたファラデーケージ328が、圧力センサ304を囲むように配置されてよい。ファラデーケージ328に加えてまたは代えて、圧力センサ304は、電気絶縁コーティング(アルミナ、イットリア、および、シリカなどであるが、それらに限定されない)を備えてもよい。
【0070】
一部の例において、熱伝達ガスが熱伝達ギャップ312に供給されない動作工程またはモード中に空洞310に不活性ガスを供給するために、空洞310と流体連通するパージ流路332が用いられてもよい。例えば、基板316が存在しない時の洗浄処理中に、セラミック層308は、圧力センサ304を(例えば、エッチングによって)損傷しうる反応種に暴露されうる。したがって、空洞310に不活性ガスを供給することで、圧力センサ304を反応種から化学的に隔離する。例えば、パージ流路332は、ガス供給システム130、バルブ150、および、ポンプ152などと流体連通してよい。
【0071】
熱伝達ガス圧力Pを示す信号320は、圧力センサ304のデジタル信号に対応してよい。一例において、圧力センサ304の出力は、1以上の電気バス層(例えば、 セラミック層308の中に埋め込まれるかまたはその下に配置される:図3では図示せず)に接続される。他の例において、圧力センサ304の出力信号は、アナログ出力信号であり、セラミック層308内に埋め込まれたアナログ-デジタル(A/D)回路(336に概略的に示されている)が、アナログ出力信号をデジタル信号(すなわち、信号320)に変換する。さらに別の例において、圧力センサ304の出力信号は、アナログ出力信号であり、ベースプレート324の中または下に(例えば、外部に)配置されたA/D回路340が、アナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0072】
図3Aでは熱伝達ギャップ312の下方に流体連通して図示されているが、圧力センサ304および空洞310の他の構成が、図3Bおよび図3Cに示すように実施されてもよい。例えば、図3Bに示すように、空洞310は、熱伝達ギャップ312の側方に隣接するように(かつ、同一平面上に)配置されてもよい。逆に、図3Cに示すように、空洞310は、熱伝達ガス流路344と流体連通してもよい。
【0073】
ここで、図4を参照すると、圧力センサ404を備えた基板支持体の一例400の一部が、より詳細に示されている。例えば、熱伝達ギャップ412と、圧力センサ404を含む空洞416とを備えたセラミック層408が、複数の積層420を備えてよい。電気バス層424が、セラミック層408内に埋め込まれてよい。複数の圧力センサ404が、電気バス層424に接続されてよく、電気バス層424は、基板支持体400からの対応する圧力センサ信号(例えば、図3Aに示した信号320)を出力する。
【0074】
ここで、図5A図5B、および、図5Cを参照すると、圧力センサ512を備えた基板支持体500、504、および、508の平面図が示されている。図5Aに示すように、圧力センサ512の1つが、それぞれの半径方向区画516の各々に配置されてよい。この配置において、基板の温度は、半径方向区画516の内の対応する1区画において別個に制御されてよい。図5Bに示すように、複数(例えば、10以上)の圧力センサ512が、基板の特定の位置での温度の制御を可能にするために、基板支持体504全体にわたって分散されてもよい。図5Cに示すように、1以上の圧力センサ512が、(例えば、エッジリング520の温度が熱伝達ガスを用いて制御される実施例において)エッジリング温度の制御を可能にするためにエッジリング520に提供されてもよい。
【0075】
ここで、図6を参照すると、温度コントローラの一例600が示されている。温度コントローラ600は、様々な入力608に基づいて基板204の温度を算出するよう構成されている温度算出モジュール604を備える。入力608は、圧力コントローラ284の制御圧力(すなわち、ユーザ、レシピなどによって入力/要求された圧力)、センサ(例えば、圧力/流量センサ256、圧力センサ304など)からの測定値、および、基板支持体200の温度(例えば、区画248の各々の測定および/または算出温度)を含みうるが、これらに限定されない。本明細書で用いられる算出温度は、基板204の単一の算出温度、基板支持体200の区画248に対応する基板204のそれぞれの区画の複数の温度、などに対応しうる。
【0076】
例えば、温度算出モジュール604は、(例えば、熱伝達ガス圧力PおよびQ=h/ΔTに従って)図2A図2B、および、図2Cで上述したように入力608に基づいて基板204の温度を算出するために、温度制御モデル(例えば、式または等式、ルックアップテーブルなど)を実行するよう構成されてよい。熱伝達ガス圧力Pは、(例えば、上述したように熱伝達ガス圧力モデルに従って)算出されてよい、および/または、圧力センサ304を用いて測定されてよい。温度算出モジュール604は、(例えば、ユーザに対して表示される)ユーザインターフェース616に算出温度を提供してよい。例えば、ユーザインターフェース616は、温度コントローラ600、システムコントローラ(例えば、システムコントローラ244)、または、基板処理ツールの他の場所、に提供される表示および/または入力に対応してよい。
【0077】
温度コントローラ600は、図2A図2B、および、図2Cに関して上述した温度制御モデル、および、一部の例における熱伝達ガス圧力モデルなど、1以上のモデル、式などを格納するよう構成されているメモリ620を備えてよい。モデルは、処理チャンバ、実行されている処理、などに基づいて変化してよい。温度算出モジュール604は、入力608に従って基板204の温度を算出するために、温度制御モデルをメモリ620からリトリーブし、一部の例では、熱伝達ガス圧力Pを算出するために、熱伝達ガス圧力モデルをリトリーブする。
【0078】
温度コントローラ600は、基板204の所望の温度に基づいて、基板支持体200に提供される熱伝達ガスの圧力を調整するよう構成されている熱伝達ガス制御モジュール624を備えてよい。例えば、熱伝達ガス制御モジュール624は、温度算出モジュール604からの算出温度と基板204の所望の温度(例えば、ユーザインターフェース616でユーザによって入力/要求された温度、システムコントローラ244からレシピ設定点として提供された温度、など)とを受信し、それに従って、圧力コントローラ284の内の1以上の圧力を調整してよい。別の例において、温度算出モジュール604は、基板204の算出温度と所望の温度との間の差に基づいて圧力調整量を決定し、その調整量を熱伝達ガス制御モジュール624に提供するよう構成されてもよい。
【0079】
上述のように、温度制御モデルは、パス288および292内の流量および区画248内の圧力など、モデル化された変数を考慮して、既知の処理変数(例えば、制御圧力および基板支持体200の温度)に対応付けられた基板の実際の温度測定値に対応しうる。したがって、温度コントローラ600は、温度制御モデル(および、一部の例においては、熱伝達ガス圧力モデル)、基板支持体の温度、圧力コントローラ284の制御(入力)圧力、および/または、測定された熱伝達ガス圧力Pを用いて、それぞれの区画248内の基板204の温度を決定(および、例えばユーザインターフェース616で、表示)するよう構成されている。さらに、所望の温度を達成するために制御圧力を調整するのではなく、ユーザは、所望の温度を単に入力すればよく(および/または、所望の温度が、レシピ設定点として提供されてよく)、温度コントローラ600は、(例えば、PID制御を用いて)温度制御モデルに従って基板204の温度を調整および維持するために制御圧力を調整するよう構成されている。
【0080】
ここで、図7を参照すると、本開示の原理に従って基板の温度を測定するための方法の例700が、工程704で始まる。工程708で、熱伝達ガス圧力および基板支持体温度の関数として基板温度を決定する温度制御モデルが生成される。例えば、温度制御モデルの生成は、熱伝達ガス圧力Pに従って基板の温度を特徴付けるために、図2A図2B、および、図2Cで上述したように、異なる熱伝達ガス圧力Pおよび基板支持体温度で温度検知テスト基板の温度を測定することを含む。工程712で、熱伝達ガス圧力モデルが、(例えば、圧力センサを備えない実施例において)任意選択的に生成されてもよい。熱伝達ガス圧力モデルの生成は、図2A図2B、および、図2Cで上述したように、基板支持体内の熱伝達ガス流量を決定し、それに従って熱伝達ガス圧力Pを特徴付けることを含んでよい。
【0081】
工程716で、方法700は、基板の処理を開始する。例えば、基板は、基板支持体上に配置され、方法700(例えば、システムコントローラ244)は、熱伝達ガス圧力、冷却材流量、処理ガス流量などを含むがこれらに限定されない複数の変数を制御しつつ、1以上の処理工程を開始する。工程720で、方法700(例えば、温度コントローラ600)は、基板の1以上の区画の温度を算出する。例えば、温度コントローラ600は、測定または算出熱伝達ガス圧力、基板支持体の温度、および、温度制御モデルに基づいて、基板の温度を算出する。
【0082】
工程724で、方法700(例えば、温度コントローラ600)は、基板の算出温度が所望の温度(例えば、ユーザによる入力、レシピ設定点など)に対応するか否かを判定する。対応する場合、方法700は、工程728に進む。対応しない場合、方法700は、工程732に進む。工程732で、方法700(例えば、温度コントローラ600)は、熱伝達ガス圧力を調整する(例えば、対応する区画248における算出温度に従って圧力コントローラ284の内の1以上を調整する)。工程728で、方法800は、基板の処理が完了したか否かを判定する。完了している場合、方法800は、工程736で終了する。完了していない場合、方法700は、工程720に進む。
【0083】
上述の記載は、本質的に例示に過ぎず、本開示、応用例、または、利用法を限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施されうる。したがって、本開示には特定の例が含まれるが、図面、明細書、および、以下の特許請求の範囲を研究すれば他の変形例が明らかになるため、本開示の真の範囲は、それらの例には限定されない。方法に含まれる1以上の工程が、本開示の原理を改変することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして記載されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載された特徴の内の任意の1または複数の特徴を、他の実施形態のいずれかに実装することができる、および/または、組み合わせが明確に記載されていないとしても、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができる。換言すると、上述の実施形態は互いに排他的ではなく、1または複数の実施形態を互いに置き換えることは本開示の範囲内にある。
【0084】
要素の間(例えば、モジュールの間、回路要素の間、半導体層の間)の空間的関係および機能的関係性が、「接続される」、「係合される」、「結合される」、「隣接する」、「近接する」、「の上部に」、「上方に」、「下方に」、および、「配置される」など、様々な用語を用いて記載されている。第1および第2要素の間の関係性を本開示で記載する時に、「直接」であると明確に記載されていない限り、その関係性は、他に介在する要素が第1および第2の要素の間に存在しない直接的な関係性でありうるが、1または複数の介在する要素が第1および第2の要素の間に(空間的または機能的に)存在する間接的な関係性でもありうる。本明細書で用いられているように、「A、B、および、Cの少なくとも1つ」という表現は、非排他的な論理和ORを用いて、論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、および、Cの少なくとも1つ」という意味であると解釈されるべきではない。
【0085】
いくつかの実施例において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1以上の処理ツール、1以上のチャンバ、処理のための1以上のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0086】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1以上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1以上の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0087】
コントローラは、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。一部の例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されているツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1以上の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1以上の集積回路と通信するチャンバ上の1以上の集積回路である。
【0088】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0089】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
[適用例1]基板処理システムための温度コントローラであって、
熱伝達ガス圧力および基板支持体の第1温度を、前記基板支持体上に配置されている基板の第2温度に相関させる温度制御モデルを格納するメモリと、
前記熱伝達ガス圧力、前記基板支持体の前記第1温度、および、前記温度制御モデルを用いて、前記基板の前記第2温度を算出するよう構成されている温度算出モジュールと、
前記温度算出モジュールによって算出された前記基板の前記第2温度と、前記基板の所望の第3温度とに基づいて、前記熱伝達ガス圧力を調整するよう構成されている熱伝達ガス制御モジュールと、
を備える、温度コントローラ。
[適用例2]適用例1に記載の温度コントローラであって、前記基板支持体は、複数の区画を備え、前記基板支持体の前記第1温度は、前記複数の区画の各々におけるそれぞれの温度に対応する、温度コントローラ。
[適用例3]適用例2に記載の温度コントローラであって、前記基板の前記第2温度は、複数の基板温度に対応し、前記複数の基板温度は、前記基板支持体の前記複数の区画に対応する、温度コントローラ。
[適用例4]適用例3に記載の温度コントローラであって、前記熱伝達ガス圧力を調整するために、前記熱伝達ガス制御モジュールは、複数の圧力コントローラを調整するよう構成され、前記複数の圧力コントローラの各々は、前記基板支持体の前記複数の区画の1つに対応する、温度コントローラ。
[適用例5]適用例1に記載の温度コントローラであって、前記基板の前記所望の第3温度は、レシピ設定点に対応する、温度コントローラ。
[適用例6]適用例1に記載の温度コントローラであって、前記温度算出モジュールは、前記所望の第3温度をユーザインターフェースから受信するよう構成されている、温度コントローラ。
[適用例7]適用例1に記載の温度コントローラであって、前記温度算出モジュールは、前記基板の前記第2温度をディスプレイに提供するよう構成されている、温度コントローラ。
[適用例8]適用例1に記載の温度コントローラであって、前記温度制御モデルは、前記基板と前記基板支持体との間での制御熱伝達ガス圧力と実際の熱伝達ガス圧力との間の関係性に基づいて、前記熱伝達ガス圧力を算出するよう構成されている、温度コントローラ。
[適用例9]適用例8に記載の温度コントローラであって、前記基板の前記第2温度を算出するために、前記温度算出モジュールは、(i)熱伝達ガス圧力モデルを用いて、前記制御熱伝達ガス圧力に基づいて前記実際の熱伝達ガス圧力を算出し、(ii)前記実際の熱伝達ガス圧力および前記基板支持体の前記第1温度に基づいて前記基板の前記第2温度を算出するよう構成されている、温度コントローラ。
[適用例10]適用例1に記載の温度コントローラであって、前記基板の前記第2温度を算出するために、前記温度算出モジュールは、(i)前記基板支持体内に配置された圧力センサから前記熱伝達ガス圧力を受信し、(ii)前記圧力センサから受信した前記熱伝達ガス圧力に基づいて前記基板の前記第2温度を算出するよう構成されている、温度コントローラ。
[適用例11]基板処理システム内で基板支持体の温度を制御するための方法であって、
熱伝達ガス圧力および基板支持体の第1温度を、前記基板支持体上に配置されている基板の第2温度に相関させる温度制御モデルをメモリ内に格納し、
前記熱伝達ガス圧力、前記基板支持体の前記第1温度、および、前記温度制御モデルを用いて、前記基板の前記第2温度を算出し、
算出された前記基板の前記第2温度と、前記基板の所望の第3温度とに基づいて、前記熱伝達ガス圧力を調整すること、
を備える、方法。
[適用例12]適用例11に記載の方法であって、前記基板支持体は、複数の区画を備え、前記基板支持体の前記第1温度は、前記複数の区画の各々におけるそれぞれの温度に対応する、方法。
[適用例13]適用例12に記載の方法であって、前記基板の前記第2温度は、複数の基板温度に対応し、前記複数の基板温度は、前記基板支持体の前記複数の区画に対応する、方法。
[適用例14]適用例13に記載の方法であって、前記熱伝達ガス圧力を調整することは、複数の圧力コントローラを調整することを含み、前記複数の圧力コントローラの各々は、前記基板支持体の前記複数の区画の1つに対応する、方法。
[適用例15]適用例11に記載の方法であって、前記基板の前記所望の第3温度は、レシピ設定点に対応する、方法。
[適用例16]適用例11に記載の方法であって、さらに、前記所望の第3温度をユーザインターフェースから受信することを備える、方法。
[適用例17]適用例11に記載の方法であって、さらに、前記基板の前記第2温度をディスプレイに提供することを備える、方法。
[適用例18]適用例11に記載の方法であって、さらに、前記基板と前記基板支持体との間での制御熱伝達ガス圧力と実際の熱伝達ガス圧力との間の関係性に基づいて、前記熱伝達ガス圧力を算出することを備える、方法。
[適用例19]適用例18に記載の方法であって、前記基板の前記第2温度を算出することは、(i)熱伝達ガス圧力モデルを用いて、前記制御熱伝達ガス圧力に基づいて前記実際の熱伝達ガス圧力を算出し、(ii)前記実際の熱伝達ガス圧力および前記基板支持体の前記第1温度に基づいて前記基板の前記第2温度を算出すること、を含む、方法。
[適用例20]適用例11に記載の方法であって、前記基板の前記第2温度を算出することは、(i)前記基板支持体内に配置された圧力センサから前記熱伝達ガス圧力を受信し、(ii)前記圧力センサから受信した前記熱伝達ガス圧力に基づいて前記基板の前記第2温度を算出すること、を含む、方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7