IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7454612半導体処理チャンバコンポーネント用の保護コーティングの原子層堆積
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】半導体処理チャンバコンポーネント用の保護コーティングの原子層堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240314BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20240314BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240314BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
C23C16/40
C23C16/455
C23C26/00 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022128697
(22)【出願日】2022-08-12
(62)【分割の表示】P 2017086912の分割
【原出願日】2017-04-26
(65)【公開番号】P2022176952
(43)【公開日】2022-11-30
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】62/328,588
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/495,624
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】デイビット フェンウィック
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ワイ サン
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-005545(JP,A)
【文献】特開2001-355070(JP,A)
【文献】特表2013-503490(JP,A)
【文献】特表2015-512848(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0376760(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0377504(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0307982(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0194233(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0052833(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0042165(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0216821(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0037282(KR,A)
【文献】Kiho Bae, Kyung Sik Son, Jun Woo Kim, Suk Won Park, Jihwan An, Fritz B. Prinz, Joon Hyung Shim,Proton incorporation in yttria-stabilized zirconia during atomic layer deposition,International Journal of Hydrogen Energy,Elsevier,2014年01月08日,39,2621-2627,https://doi.org/10.1016/j.ijhydene.2013.11.023
【文献】Cynthia N. Ginestra, Raghavasimhan Sreenivasan, Annamalai Karthikeyan, Shriram Ramanathan and Paul C. McIntyre,Atomic Layer Deposition of Y2O3/ZrO2 Nanolaminates: A Route to Ultrathin Solid-State Electrolyte Membranes,Electrochemical and Solid-State Letters,米国,Electrochemical Society,2007年07月23日,10,B161,https://doi.org/10.1149/1.2759606
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/40
C23C 16/455
C23C 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積プロセスの第1の反復回数を使用して、処理チャンバ用のチャンバコンポーネントの表面上に酸化アルミニウムの第1の層膜を堆積する工程と、
原子層堆積プロセスの第2の反復回数を使用して、チャンバコンポーネントの表面上に酸化イットリウムの第2の層膜を堆積する工程であって、第2の層膜は1マイクロメートルまでの範囲の厚さを有する工程と、
原子層堆積プロセスの第3の反復回数を使用して、チャンバコンポーネントの表面上に酸化ジルコニウムの第3の層膜を堆積する工程であって、第3の層膜は、1マイクロメートルまでの範囲の厚さを有する工程と、
第2の層膜及び第3の層膜のYZr固体相を含む耐腐食性及び耐侵食性コーティングを形成する工程であって、x及びyは、第2の層膜を堆積するために使用される原子層堆積プロセスの第2の反復回数と、第3の層膜を堆積するために使用される原子層堆積プロセスの第3の反復回数に基づく値を有する工程を含む方法。
【請求項2】
第1の層膜が1マイクロメートルまでの範囲の厚さを有し、第2の層膜及び第3の層膜は第1の層膜の上に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の層膜を堆積するために用いられる前駆体は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(III)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)の少なくとも1つを含み、第2の層膜を堆積するために用いられる反応物は、HO、O、又はOの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第3の層膜を堆積するために使用される前駆体は、臭化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、ジルコニウム(IV)tert‐ブトキシド、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)、又はテトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)の少なくとも1つを含み、第3の層膜を堆積するために使用される反応物は、HO、O、又はOの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
酸化イットリウムの第1の複数の追加層の1つをチャンバコンポーネントの表面上に、酸化ジルコニウムの第2の複数の追加層の1つをチャンバコンポーネントの表面上に交互に堆積する工程であって、堆積は第2の層膜、第3の層膜、第1の複数の追加層及び第2の複数の追加層の合計が目標厚さに達するまで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1の層膜はチャンバコンポーネントの表面上に直接堆積され、チャンバコンポーネントの表面と個別の境界を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第2の層膜及び第3の層膜のYZr固体相の形成は、第1の層膜、第2の層膜及び第3の層膜を含むチャンバコンポーネントをアニーリングして、第2の層膜及び第3の層膜を相互拡散させることを含み、アニーリングは1000℃から1800℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
チャンバコンポーネントは、処理チャンバ用のシャワーヘッド又はガス分配板(GDP)の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
チャンバコンポーネントは、静電チャック、リング、ガスライン、ノズル、蓋、ライナ、シールド、プラズマスクリーン、フローイコライザ、冷却ベース、チャンバ蓋、及びチャンバビューポートからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
チャンバコンポーネントはセラミック体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
チャンバコンポーネントはアルミナ体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
チャンバコンポーネントは、1つ以上の高アスペクト比フィーチャを含み、1つ以上の高アスペクト比フィーチャの内部は、第1の層膜、第2の層膜、及び第3の層膜でコーティングされ、高アスペクト比フィーチャは50:1を超えるアスペクト比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第1の層膜を堆積するために使用される前駆体は、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム、アルミニウムsec‐ブトキシド、三臭化アルミニウム、三塩化アルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、又はトリス(ジエチルアミド)アルミニウムの少なくとも1つを含み、第1の層膜を堆積するために使用される反応物は、HO、O、又はOの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2016年4月27日に出願された係属中の米国仮特許出願第62/328
,588号に基づく優先権を主張し、参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、原子層堆積(ALD)を使用して半導体処理チャンバコンポーネ
ント用の保護コーティングを調製するための方法、多成分保護コーティング、及び多成分
保護コーティングでコーティングされた半導体処理チャンバコンポーネントに関する。
【背景】
【0003】
様々な製造プロセスは、高温、高エネルギープラズマ、腐食性ガスの混合物、高ストレ
ス、及びそれらの組み合わせに半導体処理チャンバコンポーネントを曝露させる。これら
の極端な条件は、チャンバコンポーネントを腐食させ、チャンバコンポーネントを浸食さ
せ、チャンバコンポーネントの欠陥に対する感受性を増加させる可能性がある。このよう
な極端な環境において、これらの欠陥を低減し、コンポーネントの耐腐食性及び/又は耐
浸食性を改善することが望ましい。保護コーティングで半導体処理チャンバコンポーネン
トをコーティングすることは、欠陥を低減し、それらの耐久性を延ばすのに有効な方法で
ある。
【0004】
保護コーティング膜は、典型的には、様々な方法(例えば、熱溶射、スパッタリング、
又は蒸発技術)によってチャンバコンポーネント上に堆積される。これらの技術では、蒸
発源に直接曝露されない(例えば、材料源の視線内にない)チャンバコンポーネントの表
面は、蒸発源に直接曝露される面よりも著しく薄い膜、低品質膜、低密度膜のいずれかで
コーティングされるか、又は全くコーティングされない。
【概要】
【0005】
本発明のいくつかの実施形態は、半導体処理チャンバコンポーネント上に多成分コーテ
ィング組成物を形成する方法を網羅する。本方法は、半導体処理チャンバコンポーネント
の表面上に、酸化イットリウム又はフッ化イットリウムの第1の膜層を堆積させる工程を
含み、第1の膜層は、原子層堆積プロセスを用いて少なくとも2つの前駆体から成長され
る。本方法は、追加の酸化物又は追加のフッ化物の第2の膜層を半導体処理チャンバコン
ポーネントの表面上に堆積させる工程を更に含み、第2の膜層は、原子層堆積プロセスを
用いて少なくとも2つの追加の前駆体から成長される。本方法は、第1の膜層及び第2の
膜層を含む多成分組成物を形成する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は
、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムを含む少なくとも1つの追加の膜層を堆積させ
る工程を更に含むことができ、少なくとも1つの追加の膜層は、原子層堆積プロセスを用
いて少なくとも2つの追加の前駆体から成長される。
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明は、コーティングされた半導体処理チャンバコンポー
ネントを網羅する。コーティングされた半導体処理チャンバコンポーネントは、表面を有
する半導体処理チャンバコンポーネントと、表面上にコーティングされた多成分コーティ
ングとを含むことができる。特定の実施形態では、多成分コーティングは、原子層堆積プ
ロセスを用いて表面上にコーティングされた酸化イットリウム又はフッ化イットリウムの
少なくとも1つの第1の膜層と、原子層堆積プロセスを用いて表面上にコーティングされ
た追加の酸化物又は追加のフッ化物の少なくとも1つの第2の膜層とを含むことができる
。いくつかの実施形態では、多成分コーティングは、原子層堆積プロセスを用いて表面上
にコーティングされた酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムを含む少なくとも1つの追
加の膜層を更に含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、本発明は、半導体処理チャンバコンポーネントの表面用の多
成分コーティング組成物を網羅する。多成分コーティング組成物は、原子層堆積プロセス
を用いて半導体処理チャンバコンポーネントの表面上にコーティングされた酸化イットリ
ウム又はフッ化イットリウムの少なくとも1つの第1の膜層と、原子層堆積プロセスを用
いて半導体処理チャンバコンポーネントの表面上にコーティングされた追加の酸化物又は
追加のフッ化物の少なくとも1つの第2の膜層とを含むことができる。多成分コーティン
グ組成物は、YO、YAl、YZr、及びYZrAlからな
る群から選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、同じ参照符号が同様の要素を示す添付図面の図において、限定としてではな
く例として示されている。本開示における「1つの」又は「一」実施形態への異なる参照
は、必ずしも同じ実施形態への参照ではなく、そのような参照は少なくとも1つを意味す
ることが留意されるべきである。
図1】処理チャンバの一実施形態の断面図を示す。
図2】様々な原子層堆積技術に係る堆積プロセスを示す。
図3A】一実施形態に係る、半導体処理チャンバコンポーネント上に多成分コーティングを形成する方法を示す。
図3B】一実施形態に係る、半導体処理チャンバコンポーネント上に多成分コーティングを形成する方法を示す。
図4A】~
図4D】異なる実施形態に係る多成分コーティング組成物の変形を示す。
図5A】一実施形態に係るコーティングされたチャンバコンポーネント(シャワーヘッド)を示す。
図5B】一実施形態に従ってコーティングされた大きなアスペクト比を有するガス導管の拡大図を示す。
図6】コーティングされたまま及びアニーリング後のAlとYの交互層のスタックのX線回折パターンを示すグラフである。
【実施形態の詳細な説明】
【0009】
実施形態は、原子層堆積(単原子層堆積又はALDとも呼ばれる)を使用して堆積され
た複数の層を含む多成分コーティングを参照して本明細書に記載される。各成分は、コー
ティングの1以上の層に含まれる構成材料とすることができる。多成分コーティングの一
例は、イットリウムの第1成分と酸素の第2成分とを含むコーティング(例えば、イット
リア(Y))である。別の一例では、多成分コーティングは、Yの第1成分
及びYFの第2成分を含むことができる。第1及び第2成分は、多成分コーティングの
異なる層に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、処理(例えば、アニーリング)
の後、多成分コーティングの複数の層が相互拡散して、異なる層の構成材料を含む均質な
又はほぼ均質なコーティングを形成することができる。例えば、異なる層からの複数の成
分は、第1の膜層及び第2の膜層の固体状態相を形成することができる。更なる一例では
、Y層とYF層の交互スタックが相互拡散して、酸フッ化イットリウムの固体状
態相を形成することができる。多成分コーティングは、複数の異なる酸化物、複数の異な
るフッ化物、又は相互拡散している又は相互拡散していない1以上の酸化物と1以上のフ
ッ化物との組み合わせを有するコーティングとすることができる。代替的に又は追加的に
、多成分コーティングは、金属と酸素、金属とフッ素、金属と酸素とフッ素、又は酸素及
びフッ素のうちの1以上を有する複数の金属の混合物を有するコーティングとすることが
できる。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る多成分コーティングでコーティングされた1以上のチ
ャンバコンポーネントを有する半導体処理チャンバ100の断面図である。処理チャンバ
100は、プラズマ処理条件を有する腐食性プラズマ環境が提供される処理に対して使用
することができる。例えば、処理チャンバ100は、プラズマエッチング装置又はプラズ
マエッチング反応器、プラズマ洗浄装置などのためのチャンバとすることができる。多成
分コーティングを含むことができるチャンバコンポーネントの例には、複雑な形状及び大
きなアスペクト比を有する孔を有するチャンバコンポーネントが含まれる。いくつかの例
示的なチャンバコンポーネントは、基板支持アセンブリ148、静電チャック(ESC)
、リング(例えば、プロセスキットリング又は単一リング)、チャンバ壁、ベース、ガス
分配板、シャワーヘッド130、ガスライン、ノズル、蓋、ライナー、ライナーキット、
シールド、プラズマスクリーン、フローイコライザー、冷却ベース、チャンバビューポー
ト、チャンバ蓋などを含む。以下でより詳細に説明される多成分コーティングは、ALD
プロセスを用いて施される。図2を参照してより詳細に説明されるALDは、複雑な形状
及び大きなアスペクト比を有する孔を有するコンポーネントを含む全てのタイプのコンポ
ーネントに比較的均一な厚さのコンフォーマルなコーティングを施すことができる。
【0011】
多成分コーティングは、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、及び炭化物系
セラミックスを含む様々なセラミックスでALDを使用して成長又は堆積させることがで
きる。酸化物系セラミックスの例は、SiO(石英)、Al、Y、Y
、Y-ZrO等を含む。炭化物系セラミックスの例は、SiC、Si-
SiC等を含む。窒化物系セラミックスの例は、AlN、SiN等を含む。
【0012】
一実施形態では、処理チャンバ100は、チャンバ本体102と、内部容積106を囲
むシャワーヘッド130とを含む。シャワーヘッド130は、シャワーヘッドベース及び
シャワーヘッドガス分配板を含むことができる。あるいはまた、いくつかの実施形態では
、シャワーヘッド130は、蓋及びノズルで置き換えてもよい。チャンバ本体102は、
アルミニウム、ステンレス鋼、又は他の適切な材料から製造することができる。チャンバ
本体102は、一般的に、側壁108及び底部110を含む。シャワーヘッド130(又
は蓋及び/又はノズル)、側壁108、及び/又は底部110のいずれも、多成分コーテ
ィングを含むことができる。
【0013】
外側ライナー116は、側壁108に隣接して配置され、チャンバ本体102を保護す
ることができる。外側ライナー116は、多成分コーティングで製造及び/又はコーティ
ングすることができる。一実施形態では、外側ライナー116は、酸化アルミニウムから
製造される。
【0014】
排気ポート126は、チャンバ本体102内に画定されることができ、内部容積106
をポンプシステム128に結合することができる。ポンプシステム128は、排気して処
理チャンバ100の内部容積106の圧力を調節するために使用される1以上のポンプ及
びスロットルバルブを含むことができる。
【0015】
シャワーヘッド130は、側壁108及び/又はチャンバ本体102の上部に支持され
ることができる。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド130(又は蓋)は、処理チ
ャンバ100の内部容積106にアクセスできるように開けることができ、閉じた状態で
処理チャンバ100に対してシールを提供することができる。ガスパネル158は、処理
チャンバ100に結合され、シャワーヘッド130又は蓋及びノズルを介して内部容積1
06に処理ガス及び/又は洗浄ガスを提供することができる。シャワーヘッド130は、
誘電体エッチング(誘電体材料のエッチング)用に使用される処理チャンバに対して使用
される。シャワーヘッド130は、GDP全体にわたって複数のガス供給孔132を有す
るガス分配板(GDP)を含むことができる。シャワーヘッド130は、アルミニウムシ
ャワーヘッドベース又は陽極酸化アルミニウムシャワーヘッドベースに結合されたGDP
を含むことができる。GDP133は、Si又はSiCから作ることができる、又はセラ
ミックス(例えば、Y、Al、YAGなど)とすることができる。シャワー
ヘッド130及び供給孔132は、図4A及び図4Bに関して以下でより詳細に説明され
るように、多成分コーティングでコーティングすることができる。図示されるように、シ
ャワーヘッド130は、一実施形態によれば、シャワーヘッド130の表面(例えば、シ
ャワーヘッドベースの表面及び/又はGDPの表面)及びシャワーヘッド(例えば、シャ
ワーヘッドベース及び/又はGDP)内のガス導管(孔とも呼ばれる)132の壁の両方
に多成分コーティング152を有する。しかしながら、他のチャンバコンポーネント(例
えば、ガスライン、静電チャック、ノズル、及びその他)のいずれも、多成分コーティン
グでコーティングすることができることを理解すべきである。
【0016】
導体エッチング(導電性材料のエッチング)用に使用される処理チャンバでは、シャワ
ーヘッドではなく蓋を使用する可能性がある。蓋は、蓋の中心穴に嵌合する中心ノズルを
含むことができる。蓋は、セラミックス(例えば、Al、Y、YAG)、又
はYAlとY-ZrOの固溶体とを含むセラミックス化合物とすること
ができる。ノズルもまた、セラミックス(例えば、Y、YAG)、又はYAl
とY-ZrOの固溶体とを含むセラミックス化合物とすることができる。蓋
、シャワーヘッド130(例えば、シャワーヘッドベース、GDP、及び/又はガス供給
導管/孔を含む)、及び/又はノズルは、一実施形態に係る多成分コーティングですべて
コーティングされてもよい。
【0017】
処理チャンバ100内で基板を処理するために使用することができる処理ガスの例は、
ハロゲン含有ガス(例えば、とりわけ、C、SF、SiCl、HBr、NF
、CF、CHF、CH、F、NF、Cl、CCl、BCl、及びSi
)、及び他のガス(例えば、O又はNO)を含む。キャリアガスの例は、N
He、Ar、及び処理ガスに対して不活性な他のガス(例えば、非反応性ガス)を含む。
基板支持アセンブリ148は、シャワーヘッド130又は蓋の下方の処理チャンバ100
の内部容積106内に配置される。基板支持アセンブリ148は、処理中に基板144を
保持し、冷却板に結合された静電チャックを含むことができる。
【0018】
内側ライナーは、基板支持アセンブリ148の周囲にコーティングされてもよい。内側
ライナーは、ハロゲン含有ガス耐性材料(例えば、外側ライナー116を参照して論じら
れたもの)とすることができる。一実施形態では、内側ライナー118は、外側ライナー
116と同じ材料から製造されてもよい。更に、内側ライナー118はまた、多成分コー
ティングでコーティングされてもよい。
【0019】
図2は、様々なALD技術による堆積プロセスを示す。様々なタイプのALDプロセス
が存在し、特定のタイプは、いくつかの要因(例えば、コーティングされる表面、コーテ
ィング材料、表面とコーティング材料との間の化学的相互作用など)に基づいて選択する
ことができる。様々なALDプロセスの一般的な原理は、自己限定的に一度に1つずつ表
面と化学的に反応するガス状化学前駆体の連続した交互パルスにコーティングされる表面
を繰り返し曝露させることによって薄膜層を成長させることを含む。
【0020】
図2は、表面205を有する物品210を示す。物品210は、基板支持アセンブリ、
静電チャック(ESC)、リング(例えば、プロセスキットリング又は単一リング)、チ
ャンバ壁、ベース、ガス分配板、ガスライン、シャワーヘッド、ノズル、蓋、ライナー、
ライナーキット、シールド、プラズマスクリーン、フローイコライザー、冷却ベース、チ
ャンバビューポート、チャンバ蓋などを含むがこれらに限定されない様々な半導体処理チ
ャンバコンポーネントを表すことができる。物品210及び表面205は、金属(例えば
、アルミニウム、ステンレス鋼)、セラミックス、金属セラミックス複合材料、ポリマー
、ポリマーセラミックス複合材料、又は他の適切な材料から作製することができ、AlN
、Si、SiC、Al、SiO等の材料を更に含んでもよい。
【0021】
前駆体と表面との間のそれぞれ個々の化学反応は、「半反応」として知られている。各
半反応の間、前駆体は、前駆体が表面と完全に反応できるのに十分な時間の間、表面上に
パルス供給される。この反応は、前駆体が表面上の有限数の利用可能な反応部位とのみ反
応し、表面上に均一な連続吸着層を形成するので、自己限定的である。前駆体と既に反応
した任意の部位は、反応した部位が均一な連続コーティング上に新たな反応部位を形成す
る処理に付されない限り、及び/又は反応した部位が均一な連続コーティング上に新たな
反応部位を形成する処理に付されるまで、同じ前駆体との更なる反応は利用できなくなる
。例示的な処理は、プラズマ処理、均一な連続吸着層をラジカルに曝露させることによる
処理、又は表面に吸着された直近の均一な連続膜層と反応することができる異なる前駆体
の導入とすることができる。
【0022】
図2において、表面205を有する物品210は、第1の前駆体260の表面205と
の第1の半反応が、吸着層214を形成することによって部分的に層215を形成するま
で、第1の期間の間、第1の前駆体260を導入されることができる。その後、物品21
0は、(反応剤とも呼ばれる)第2の前駆体265に導入され、吸着層214と反応して
層215を完全に形成する第2の反反応を引き起こすことができる。第1の前駆体260
は、例えば、アルミニウム又は他の金属のための前駆体とすることができる。第2の前駆
体265は、層215が酸化物であるならば、酸素前駆体とすることができ、又は層21
5がフッ化物であるならば、フッ素前駆体とすることができる。層215は、均一で、連
続的で、コンフォーマルであってもよい。物品210は、第1の前駆体260及び第2の
前駆体265に交互にx回まで曝露して、層215の目標厚さを達成することができる。
xは、例えば、1~100の整数とすることができる。
【0023】
続いて、表面205及び層215を有する物品210は、層215と反応する第3の前
駆体270に導入され、第2の吸着層218を形成することによって第2の層220を部
分的に形成することができる。続いて、物品210は、(反応剤とも呼ばれる)別の前駆
体275に導入され、第2の半反応が層220を完全に形成させることができる。第2の
膜層220は、均一で、連続的で、コンフォーマルであってもよい。物品210は、第3
の前駆体270及び第4の前駆体275に交互にy回まで曝露され、層220の目標厚さ
を達成することができる。yは、例えば、1~100の整数とすることができる。
【0024】
その後、物品210を前駆体260及び265にx回導入し、次いで前駆体270及び
275にy回導入するシーケンスを繰り返してn回行うことができる。nは、例えば、1
~100の整数とすることができる。シーケンスの結果は、追加の交互の層225、23
0、235、240、245及び250を成長させることとすることができる。層の数及
び厚さは、目標とするコーティングの厚さ及び特性に基づいて選択することができる。様
々な層はインタクト(完全)なままとすることができ、又はいくつかの実施形態では、相
互拡散されてもよい。
【0025】
表面反応(例えば、半反応)は順次行われる。新しい前駆体を導入する前に、ALDプ
ロセスが行われるチャンバは、不活性キャリアガス(例えば、窒素又は空気)でパージさ
れ、未反応の前駆体及び/又は表面前駆体反応副生成物を除去することができる。少なく
とも2つの前駆体が使用される。いくつかの実施形態では、3以上の前駆体を使用して、
同じ組成を有する膜層を成長させる(例えば、互いの上にYの多層を成長させる)
ことができる。他の実施形態では、異なる前駆体を使用して、異なる組成を有する異なる
膜層を成長させることができる。
【0026】
ALDプロセスは、ALDプロセスのタイプに応じて様々な温度で行うことができる。
特定のALDプロセスの最適な温度範囲は、「ALD温度ウィンドウ」と呼ばれる。AL
D温度ウィンドウを下回る温度は、不良な成長速度と非ALDタイプの堆積をもたらす可
能性がある。ALD温度ウィンドウを上回る温度は、物品の熱分解又は前駆体の迅速な脱
離をもたらす可能性がある。ALD温度ウィンドウは、約20℃~約400℃の範囲とす
ることができる。いくつかの実施形態では、ALD温度ウィンドウは、約150℃~35
0℃の間である。
【0027】
ALDプロセスは、複雑な幾何学的形状、大きなアスペクト比を有する孔、及び三次元
構造を有する物品及び表面上に均一な膜厚を有するコンフォーマルな膜層を可能にする。
前駆体の表面への十分な曝露時間は、前駆体がその三次元の複雑な構造の全てを含むその
表面全体に分散して完全に反応することを可能にする。高アスペクト比の構造内にコンフ
ォーマルなALDを得るために利用される曝露時間は、アスペクト比の2乗に比例し、モ
デリング技術を使用して予測することができる。また、ALD技術は、原材料(例えば、
粉末原料及び焼結されたターゲット)の長期にわたる困難な製造を必要とせずに、特定の
組成物又は配合物のインサイチューオンデマンドの材料合成を可能にするので、他の一般
的に使用されるコーティング技術よりも有利である。
【0028】
ALD技術では、(例えば、以下の例において詳細に示されるように、Y、Al
、YF、及びZrOを成長させるために使用される前駆体の適切なシーケンシ
ングによって、)多成分膜(例えば、YO、YAl、YZr、及びY
ZrAl)を成長させることができる。
【0029】
図3Aは、一実施形態に係る、半導体処理チャンバコンポーネント上に多成分コーティ
ングを形成する方法300を示す。本方法は、オプションとして、多成分コーティング用
の組成物を選択することによって開始することができる。組成物の選択及び形成方法は、
同じエンティティによって、又は複数のエンティティによって実行することができる。ブ
ロック305によれば、本方法は、半導体処理チャンバコンポーネントの表面上に、酸化
イットリウム又はフッ化イットリウムの第1の膜層を堆積させる工程を含み、第1の膜層
は、ALDプロセスを用いて少なくとも2つの前駆体から成長される。ブロック310に
よれば、本方法は、半導体処理チャンバコンポーネントの表面上に追加の酸化物又は追加
のフッ化物の第2の膜層を堆積させる工程を更に含み、第2の膜層は、ALDプロセスを
用いて少なくとも2つの追加の前駆体から成長される。第1の膜は、第2の膜が堆積され
る前又は後に堆積させることができることに留意すべきである。したがって、第1の膜を
第2の膜の上に堆積させることができるか、又は第2の膜を第1の膜の上に堆積させるこ
とができる。いくつかの実施形態では、ブロック315によれば、本方法は、オプション
として少なくとも1つの追加の膜層を堆積させる工程を更に含み、少なくとも1つの追加
の膜層は、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムを含み、少なくとも1つの追加の膜層
は、ALDプロセスを使用して追加の前駆体から成長される。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の膜層が酸化イットリウムを含む場合、層は、以下の処
理シーケンスによって形成することができる。
1)前駆体の基板表面との反応。前駆体は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)
アミド)イットリウム(III)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(II
I)、トリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2
,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)を含
むことができる。
2)ALD処理チャンバからの未反応前駆体のパージ。
3)第2の前駆体の表面との反応。第2の前駆体は、HO、O、又はOを含むこと
ができる。
4)ALD処理チャンバからの第2の未反応前駆体のパージ。
いくつかの実施形態では、第1の膜層がフッ化イットリウムを含む場合、使用される2
つの前駆体は、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イ
ットリウム(III)及びTiFとすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、第2の膜層が酸化アルミニウムを含む場合、1つの前駆体は
、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム、アル
ミニウムsec-ブトキシド、アルミニウムトリブロミド、アルミニウムトリクロリド、
トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、又は
トリス(ジエチルアミド)アルミニウムを含むことができる。第2の前駆体は、HO、
、又はOを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の膜層が酸化ジルコ
ニウムを含む場合、1つの前駆体は、臭化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(I
V)、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、テトラキス(ジエチルアミド)ジル
コニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)、又はテトラキ
ス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)を含むことができる。第2の前駆体は、
O、O、又はOを含むことができる。
【0032】
上記の前駆体又は他の適切な前駆体は、酸化イットリウム層、フッ化イットリウム層、
酸化アルミニウム層、又は酸化ジルコニウム層が、第1層、第2層、又は第N層であるか
どうかにかかわらず、ALDを使用して成長されるたびに使用することができ、第N層は
、半導体処理チャンバコンポーネントの表面上に成長され、目標とされる保護コーティン
グの厚さ及び特性に基づいて選択された有限数の層を表す。
【0033】
ブロック325によると、本方法は、最終的に、第1の膜層、第2の膜層、及び任意の
追加の膜層の多成分組成物を形成する工程を含む。いくつかの実施形態では、ブロック3
20によると、多成分組成物を形成する工程は、半導体処理チャンバコンポーネント上に
堆積された、第1の膜層、第2の膜層、及び追加の膜層を含む半導体処理チャンバコンポ
ーネントをアニーリングする工程を含む。いくつかの実施形態では、アニーリングは、少
なくとも1つの第1の膜層と少なくとも1つの第2の膜層と少なくとも1つの追加の膜層
(存在する場合)のいずれかとの相互拡散した固体状態相を含む多成分組成物をもたらす
ことができる。アニーリングは、約800℃~約1800℃、約800℃~約1500℃
、又は約800℃~約1000℃の範囲の温度で行うことができる。アニーリング温度は
、物品、表面、及び膜層の構成材料に基づいて選択され、それらの完全性を維持し、これ
らの成分の一部又は全部を変形、分解、又は溶融させないようにすることができる。
【0034】
図3Bは、一実施形態に係る、半導体処理チャンバコンポーネント上に多成分コーティ
ングを形成する方法350を示す。本方法は、オプションとして多成分コーティング用の
組成物を選択することによって開始することができる。組成物の選択及び形成方法は、同
じエンティティによって、又は複数のエンティティによって実行されてもよい。
【0035】
ブロック355によると、本方法は、ALDを介して物品の表面上に第1の酸化物又は
第1のフッ化物の膜層を堆積させる工程を含む。ブロック360によると、本方法は、A
LDを介して物品の表面上に第2の酸化物又は第2のフッ化物の膜層を堆積させる工程を
更に含む。第1の酸化物又は第1のフッ化物の膜層は、第2の酸化物又は第2のフッ化物
の膜層が堆積される前又は後に堆積させることができることに留意すべきである。したが
って、いくつかの実施形態では、第1の酸化物又は第1のフッ化物の膜層を、第2の酸化
物又は第2のフッ化物の膜層の上に堆積させることができる。他の実施形態では、第2の
酸化物又は第2のフッ化物の膜層を、第1の酸化物又は第1のフッ化物の膜層の上に堆積
させることができる。いくつかの実施形態では、ブロック365によると、本方法は、オ
プションとして、ALDを介して物品の表面上に第3の酸化物又は第3のフッ化物の追加
の膜層を堆積させる工程を更に含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ブロック370によると、本方法は、追加の層が追加される
べきかどうかを決定する工程を更に含むことができる。追加の層及び/又はいくつの層を
追加すべきかを決定することは、インサイチューで、又は堆積を開始する前に(例えば、
オプションの多成分組成物選択プロセスにおいて)行うことができる。追加の層を追加す
べきである場合には、ブロック355、360、及びオプションで365を繰り返すこと
ができる。追加の層を追加すべきでない場合には、本方法は先に進み、物品の表面上に堆
積された全ての膜層を含む多成分組成物を形成する。
【0037】
いくつかの実施形態では、いずれかの膜層の第1の酸化物、第2の酸化物、又は第3の
酸化物が酸化イットリウムを含む場合、ALDによって酸化イットリウムを形成するため
に使用される1つの前駆体は、トリス(N、N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イッ
トリウム(III)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス
(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6
-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択すること
ができ、第2の前駆体は、HO、O、又はOから選択することができる。いくつか
の実施形態では、いずれかの膜層の第1のフッ化物、第2のフッ化物、又は第3のフッ化
物がフッ化イットリウムを含む場合、この膜を形成するために使用される2つの前駆体は
、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(
III)及びTiFとすることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、いずれかの膜層の第1の酸化物、第2の酸化物、又は第3の
酸化物が酸化アルミニウムを含む場合、ALDによって酸化アルミニウムを形成するため
に使用される1つの前駆体は、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリス(エチルメチル
アミド)アルミニウム、アルミニウムsec-ブトキシド、アルミニウムトリブロミド、
アルミニウムトリクロリド、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リメチルアルミニウム、又はトリス(ジエチルアミド)アルミニウムから選択することが
でき、第2の前駆体は、HO、O、又はOから選択することができる。いくつかの
実施形態では、いずれかの膜層の第1の酸化物、第2の酸化物、又は第3の酸化物が酸化
ジルコニウムを含む場合、1つの酸化ジルコニウム前駆体は、臭化ジルコニウム(IV)
、塩化ジルコニウム(IV)、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、テトラキス
(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム
(IV)、又はテトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)から選択するこ
とができ、第2の前駆体は、HO、O、又はOから選択することができる。
【0039】
上記の前駆体又は他の適切な前駆体は、酸化イットリウム層、フッ化イットリウム層、
酸化アルミニウム層、又は酸化ジルコニウム層が、第1膜層、第2膜層、又は第N膜層で
あるかどうかにかかわらず、ALDを使用して成長されるたびに使用することができ、第
N膜層は、物品の表面上に成長され、目標とされる保護コーティングの厚さ及び特性に基
づいて選択された有限数の膜層を表す。
【0040】
いくつかの実施形態では、本方法はオプションのブロック375に進み、物品の表面上
に堆積された全ての膜層の多成分組成物をアニーリングすることができる。いくつかの実
施形態では、アニーリングは、物品の表面上に堆積された全ての膜層の相互拡散した固体
状態相を含む多成分組成物をもたらすことができる。アニーリングは、約800℃~約1
800℃、約800℃~約1500℃、又は約800℃~約1000℃の範囲の温度で行
うことができる。アニーリング温度は、物品、表面、及び膜層の構成材料に基づいて選択
され、それらの完全性を維持し、これらの成分の一部又は全部を変形、分解、又は溶融さ
せないようにすることができる。
【0041】
図4A図4Dは、異なる実施形態による多成分コーティング組成物の変形を示す。図
4Aは、一実施形態に係る物品410の表面405用の多成分コーティング組成物を示す
。表面405は、様々な物品410の表面とすることができる。例えば、物品410は、
基板支持アセンブリ、静電チャック(ESC)、リング(例えば、プロセスキットリング
又は単一リング)、チャンバ壁、ベース、ガス分配板、ガスライン、シャワーヘッド、ノ
ズル、蓋、ライナー、ライナーキット、シールド、プラズマスクリーン、フローイコライ
ザー、冷却ベース、チャンバビューポート、チャンバ蓋などを含むが、これらに限定され
ない様々な半導体処理チャンバコンポーネントを含むことができる。半導体処理チャンバ
コンポーネントは、金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼)、セラミックス、金属
セラミックス複合材料、ポリマー、ポリマーセラミックス複合材料、又は他の適切な材料
から作製することができ、例えば、AlN、Si、SiC、Al、SiO等の材
料を更に含んでもよい。
【0042】
図4Aにおいて、多成分コーティング組成物は、ALDプロセスを使用して物品410
の表面405上にコーティングされた酸化イットリウム又はフッ化イットリウムの少なく
とも1つの第1の膜層415と、ALDプロセスを使用して物品410の表面405上に
コーティングされた追加の酸化物又はフッ化物の少なくとも1つの第2の膜層425とを
含む。
【0043】
図4Aは、多成分コーティング組成物が第1の層415と第2の層425との交互の層
のスタックを含み、層はインタクトであり相互拡散されておらず、各層は等しい数(4つ
の415層と、4つの425層)であり、すべての層が均一な厚さの層である一実施形態
を示す。いくつかの実施形態では、第1の膜層は第2の膜層の堆積前に堆積され、第2の
膜層は第1の膜層の上に堆積される。いくつかの実施形態では、順序は逆にされてもよい
【0044】
図4Bは、物品410の表面405上に堆積された多成分コーティング組成物(例えば
、上記のような半導体処理チャンバコンポーネント)が、第1の層415と第2の層42
5と少なくとも1つの追加の層435の交互の層のスタックを含み、層は完全なままであ
り、所定の順序で均一な厚さで堆積及び/又は成長された一実施形態を示す。しかしなが
ら、層の数は等しくなくてもよく、ある層は他の層よりも優勢であってもよい(例えば、
3つの415層と、3つの425層と、2つの435層)。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の膜層は第1の連続単層を含み、少な
くとも1つの第2の膜層は第2の連続単層を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも
1つの追加の層は、少なくとも1つの追加の単層を含むことができる。
【0046】
他の実施形態では、少なくとも1つの第1の膜層は、均一な厚さを有する第1の厚い層
を含み、均一な厚さは2つの単層の厚さから約1マイクロメートルまでの範囲であり、少
なくとも1つの第2の膜層は、第1の膜層の均一な厚さを有する第2の厚い層を含む。更
に他の一実施形態では、少なくとも1つの追加の膜層は、他の2つの厚い層の均一な厚さ
を有する少なくとも1つの追加の厚い層を含むことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、多成分コーティング組成物は、少なくとも1つの第1の膜層
と、少なくとも1つの第2の膜層と、オプションとして1以上の追加の膜層を含むことが
でき、層の厚さは変わってもよい。例えば、いくつかの層は単層とすることができ、いく
つかの層は厚い層とすることができる。
【0048】
図4Cは、物品410の表面405上に堆積された多成分コーティングが、一定の順序
又は一定の厚さではないインタクトな(完全なままの)均一な膜層のスタックを含む一実
施形態を示す。多成分コーティングは、第1の厚さを有する第1の厚い層420と、第1
の厚さとは異なる第2の厚さを有する第2の厚い層430と、第1及び第2の厚さとは異
なる第3の厚さを有する少なくとも1つの追加の厚い層440を含む。いくつかの層は、
他よりも優勢であることができ(例えば、第1の厚い層420が2つと、第2の厚い層4
30が1つと、追加の厚い層440が1つ)、多成分コーティングの特定の特性(例えば
、耐腐食性/耐浸食性)を達成する。
【0049】
いくつかの実施形態では、図4A図4Cに示される様々な膜層は、同じ組成を有して
いてもよい。他の実施形態では、層の組成は異なっていてもよい。いくつかの実施形態で
は、様々な膜層は、同様の特性(例えば、厚さ、空孔率、耐プラズマ性、CTE)を有し
ていてもよい。他の実施形態では、各膜層は異なる特性を有していてもよい。図4A~図
4Cは特定の数の膜層を示しているが、図は限定することを意図しておらず、特定の実施
形態では、より多くの又はより少ない膜層を表面上に堆積させることができることを理解
すべきである。いくつかの実施形態では、半導体処理チャンバコンポーネントの全表面を
コーティングすることができる。他の実施形態では、半導体処理チャンバコンポーネント
の表面の少なくとも一部をコーティングすることができる。
【0050】
図4Dは、物品410の表面405上に堆積された多成分コーティング組成物450が
、少なくとも1つの第1の膜層と、少なくとも1つの第2の膜層と、オプションとして少
なくとも1つの追加の膜層との相互拡散した固体状態相を含む一実施形態を示す。
【0051】
いくつかの実施形態では、多成分コーティング組成物は、インタクトな層又は相互拡散
した固体状態相を含むかどうかに関わらず、YO、YAl、YZr
及びYZrAlからなる群から選択される。これらの種々の多成分コーティング
組成物を製造するプロセスは、以下の実施例に例示されている。
【0052】
図5Aは、シャワーヘッド500の底面図を示す。以下に提供されるシャワーヘッドの
例は、本明細書の実施形態に記載されたような多成分コーティングの使用によって性能を
改善することができる1つの例示的なチャンバコンポーネントに過ぎない。他のチャンバ
コンポーネントの性能もまた、本明細書に開示された多成分コーティングでコーティング
された場合にも改善可能であることを理解すべきである。シャワーヘッド500は、本明
細書に示されるように、複雑な幾何学的形状及び大きなアスペクト比を有する孔を有する
表面を有する半導体処理チャンバコンポーネントの1つの例示として選択された。
【0053】
下面505の複雑な幾何学的形状は、多成分コーティングを受けるように構成される。
シャワーヘッド500の下面505は、均一に分布した同心円状のリング内に配置された
ガス導管510を画定する。他の実施形態では、ガス導管510は、代わりの幾何学的構
成で構成されてもよく、利用される反応器及び/又は処理のタイプに応じて、必要に応じ
て多くのガス導管又は少ないガス導管を有してもよい。多成分コーティングは、複雑な幾
何学的形状及び孔の大きなアスペクト比にもかかわらず、表面上ならびにガス導管の孔内
に比較的均一な厚さのコンフォーマルなコーティングを可能にするALD技術を用いて、
表面505上及びガス導管孔510内で成長される。
【0054】
シャワーヘッド500は、腐食性化学物質(例えば、フッ素)に曝露される可能性があ
り、シャワーヘッドとのプラズマ相互作用のために浸食する可能性がある。多成分コーテ
ィング層は、そのようなプラズマ相互作用を低減し、シャワーヘッドの耐久性を改善する
ことができる。ALDで堆積された多成分コーティング層は、シャワーヘッドの機能を妨
害しないように、下面505及びガス導管510の相対的な形状及び幾何学的形状を維持
する。同様に、他のチャンバコンポーネントに適用される場合、多成分コーティングは、
表面の形状及び幾何学的構成を維持することができ、コンポーネントの機能を妨げず、プ
ラズマ耐性を提供し、全表面にわたって耐腐食性及び/又は耐浸食性を改善するようにコ
ーティングされることが意図される。
【0055】
コーティング材料のプラズマに対する耐性は、「エッチング速度」(ER)によって測
定され、コーティングされたコンポーネントの動作及びプラズマへの曝露の持続時間全体
にわたって、オングストローム/分(Å/分)の単位を有することができる。耐プラズマ
性は、ナノメートル/高周波時間(nm/RF時間)の単位を有する浸食速度によって測
定することもでき、ここで、1RF時間は、プラズマ処理条件における1時間の処理を表
す。異なる処理時間の後に測定を行うことができる。例えば、測定は、処理前、50処理
時間後、150処理時間後、200処理時間後などに行うことができる。約100nm/
RF時間より低い浸食速度は、多成分耐プラズマコーティング材料にとって典型的である
。シャワーヘッド上又は任意の他の半導体処理チャンバコンポーネント上に成長された多
成分コーティングの組成の変更は、複数の異なるプラズマ耐性又は浸食速度値をもたらす
可能性がある。更に、様々なプラズマに曝露された単一組成物を有する多成分コーティン
グは、複数の異なるプラズマ耐性又は浸食速度値を有する可能性がある。例えば、ある耐
プラズマ材料は、第1のタイプのプラズマに関連する第1のプラズマ耐性又は浸食速度と
、第2のタイプのプラズマに関連する第2のプラズマ耐性又は浸食速度とを有する可能性
がある。
【0056】
図5Bは、一実施形態に従ってコーティングされた大きなアスペクト比を有するガス導
管510の拡大図を示す。ガス導管510は、長さL及び直径Dを有することができる。
ガス導管510は、L:Dとして定義される大きなアスペクト比を有することができ、ア
スペクト比は、約50:1から約100:1の範囲とすることができる。いくつかの実施
形態では、アスペクト比は、50:1未満又は100:1を超えてもよい。
【0057】
ガス導管510は、多成分コーティングでコーティングすることができる内面555を
有することができる。多成分コーティングは、少なくとも1つの第1の層560と、少な
くとも1つの第2の層565と、オプションとして少なくとも1つの追加の層(図示せず
)とを含むことができる。第1の膜層は、酸化イットリウム又はフッ化イットリウムを含
むことができる。第2の膜層は、追加の酸化物又は追加のフッ化物を含むことができる。
オプションの少なくとも1つの追加の層は、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムを含
むことができる。すべての層は、ALDプロセスを用いてコーティングすることができる
。ALDプロセスは、アスペクト比が大きいにもかかわらず、ガス導管510の内面全体
にわたって均一な厚さのコンフォーマルなコーティング層を成長させることができると同
時に、最終多成分コーティングはまた、シャワーヘッド内のガス導管を塞がないほど十分
に薄くすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、多成分コーティングは、少なくとも1つの第1の層と、少な
くとも1つの第2の層と、オプションとして少なくとも1つの追加の層とのインタクトな
層を含むことができる。一実施形態では、第1の層、第2の層、及び任意のオプションの
追加の層は、所定の順序で交互に配置されてもよい。別の一実施形態では、第1の層、第
2の層、及び任意のオプションの追加の層は、任意の順序で存在してもよい。いくつかの
実施形態では、第1の層、第2の層、及び任意のオプションの追加の層の各層の数は等し
くてもよい。他の実施形態では、層のうちのいくつかは、他の層よりも優勢であり、多層
コーティングの特定の特性を達成することができる。特定の特性は、コーティングされた
半導体処理チャンバコンポーネントの耐久性を改善する耐プラズマ性及び耐腐食性/耐浸
食性とすることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、インタクトな層は均一な厚さの単層を含むことができる。他
の実施形態では、インタクトな層は、均一な厚さのより厚い層を含むことができる。各々
のより厚い層は、2つの単層の厚さから約1マイクロメートルまでの範囲の厚さを有する
ことができる。更に他の実施形態では、インタクトな層は、単層と厚い層との組み合わせ
を含むことができる。
【0060】
他の実施形態では、多成分コーティングは、少なくとも1つの第1の層と、少なくとも
1つの第2の層と、オプションとして少なくとも1つの追加の層との相互拡散された固体
状態相を含むことができる。一実施形態では、様々な層の相互拡散された固体状態相が、
アニーリングによって得ることができる。層の組成、層の数、各層の頻度(周期)、及び
層の厚さはすべて、多成分コーティング層の最終特性に寄与する。
【0061】
以下の実施例は、本明細書に記載の実施形態の理解を助けるために記載されており、本
明細書に記載され請求される実施形態を具体的に限定するものとして解釈されるべきでは
ない。当業者の知識の範囲内にある、現在知られているか又は後に開発される全ての均等
物の置換を含むそのような変形、及び実験設計における処方(設計)の変更又は軽微な変
更は、本明細書に組み込まれた実施形態の範囲内にあるとみなされるべきである。これら
の例は、上述の方法300又は方法350を実行することによって達成することができる
【0062】
(実施例1-酸化イットリウム及びフッ化イットリウムの単分子膜からのYOコー
ティングの形成)
第1の層は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(II
I)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル
-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択される前駆体と、H
、O、又はOから選択される第2の前駆体とからALDを用いて成長させた酸化イッ
トリウム単層とすることができる。第2の層は、前駆体のトリス(2,2,6,6-テト
ラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)とTiFとの単一の組
み合わせからALDを用いて成長させたフッ化イットリウム単層とすることができる。得
られた多成分コーティングは、YOを含むことができ、X及びYは、第1及び第2
の層の繰り返し数に依存する。
【0063】
(実施例2-酸化イットリウム及び酸化アルミニウムの単層からのYAlコーティ
ングの形成)
第1の層は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(II
I)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル
-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択される前駆体と、H
、O、又はOから選択される第2の前駆体とからALDを用いて成長させた酸化イッ
トリウム単層とすることができる。第2の層は、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリ
ス(エチルメチルアミド)アルミニウム、アルミニウムsec-ブトキシド、アルミニウ
ムトリブロミド、アルミニウムトリクロリド、トリエチルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリメチルアルミニウム、又はトリス(ジエチルアミド)アルミニウムか
ら選択される前駆体と、HO、O、又はOから選択される第2の前駆体とからAL
Dを用いて成長させた酸化アルミニウム単層とすることができる。得られた多成分コーテ
ィングは、YAlを含むことができ、X及びYは、第1及び第2の層の繰り返し数
に依存する。
【0064】
いくつかの実験では、YとAlの交互層のスタックを、ALDを介して堆
積させ、各層は5nmの厚さを有していた。個々の層に対して、他の厚さ(例えば、数オ
ングストロームから約10nm又はそれ以上の厚さ)を使用することもできる。実験にお
ける総コーティング厚さは、約200nmであった。試料は、500℃、750℃、80
0℃、900℃、及び/又は1000℃の温度で12時間アニーリングされた。アニーリ
ングされた試料及びコーティングされたままの試料を斜入射X線回折によって分析して、
各々の試料に対してコーティングの微細構造を決定した。試験は、800℃以上の温度で
アニーリングした結果、非晶質構造から主に立方晶系のYAl12又はYAl
13(すなわち、イットリウムアルミニウムガーネット)相からなる大部分が結晶質の
構造に転移することを示した。500℃と750℃の温度では、Yの結晶化は起き
たが、イットリウムアルミニウムガーネット相は形成されなかった。例えば、500℃で
アニーリングした後、非晶質相と結晶質のY相が形成された。非晶質相は、結晶化
していないYを含んでいる可能性がある。以下の表1は、堆積されたままと、種々
の温度でアニーリングされたAl/Yの交互層膜のスタックの相同定を示す

【表1】
表1:堆積されたまま及び種々の温度でアニーリングされたAl/Y交互層
膜の相同定
【0065】
図6は、コーティングされたまま605と1000℃の温度で12時間のアニーリング
後610のAlとYの交互層のスタックのX線回折パターンを示すグラフで
ある。図示されるように、交互層のスタックは、アニーリング後に互いに拡散してY
12を形成した。
【0066】
(実施例3-酸化イットリウム及び酸化ジルコニウムの単層からのYZrコーティ
ングの形成)
第1の層は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(II
I)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル
-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択される前駆体と、H
、O、又はOから選択される第2の前駆体とからALDを用いて成長させた酸化イッ
トリウム単層とすることができる。第2の層は、臭化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコ
ニウム(IV)、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、テトラキス(ジエチルア
ミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)、又
はテトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)から選択される前駆体と、H
O、O、又はOから選択される第2の前駆体とからALDを用いて成長させた酸化
ジルコニウム単層とすることができる。得られた多成分コーティングは、YZr
含むことができ、X及びYは、第1及び第2の層の繰り返し数に依存する。
【0067】
(実施例4-酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、及び酸化アルミニウムの単層からの
YZrAlコーティングの形成)
第1の層は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(II
I)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル
-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択される前駆体と、H
、O、又はOから選択される第2の前駆体とからALDを用いて成長させた酸化イッ
トリウム単層とすることができる。第2の層は、臭化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコ
ニウム(IV)、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、テトラキス(ジエチルア
ミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)、又
はテトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)から選択される前駆体と、H
O、O、又はOから選択される第2の前駆体とからALDを用いて成長させた酸化
ジルコニウム単層とすることができる。少なくとも1つの追加の層は、ジエチルアルミニ
ウムエトキシド、トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム、アルミニウムsec-ブ
トキシド、アルミニウムトリブロミド、アルミニウムトリクロリド、トリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、又はトリス(ジエチルア
ミド)アルミニウムから選択される前駆体と、HO、O、又はOから選択される第
2の前駆体とからALDを用いて成長させた酸化アルミニウム単層とすることができる。
得られた多成分コーティングは、YZrAlを含むことができ、X、Y、及びZ
は、第1、第2、及び少なくとも1つの追加の層の繰り返し数に依存する。
【0068】
(実施例5-酸化イットリウム及びフッ化イットリウムの厚い層からのYOコーテ
ィングの形成)
第1の層は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(II
I)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル
-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択される少なくとも1つの
前駆体と、HO、O、又はOから選択される少なくとも1つの前駆体とからALD
を用いて成長させた酸化イットリウムの厚い層とすることができる。第2の層は、前駆体
のトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(
III)及びTiFからALDを用いて成長させたフッ化イットリウムの厚い層とする
ことができる。得られた多成分コーティングは、YOを含むことができ、X及びY
は、第1及び第2の層の繰り返し数に依存する。
【0069】
(実施例6-酸化イットリウム及び酸化アルミニウムの厚い層からのYAlコーテ
ィングの形成)
第1の層は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(II
I)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル
-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択される少なくとも1つの
前駆体と、HO、O、又はOから選択される少なくとも1つの前駆体とからALD
を用いて成長させた酸化イットリウムの厚い層とすることができる。第2の層は、ジエチ
ルアルミニウムエトキシド、トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム、アルミニウム
sec-ブトキシド、アルミニウムトリブロミド、アルミニウムトリクロリド、トリエチ
ルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、又はトリス(
ジエチルアミド)アルミニウムから選択される少なくとも1つの前駆体と、HO、O
、又はOから選択される少なくとも1つの前駆体とからALDを用いて成長させた酸化
アルミニウムの厚い層とすることができる。得られた多成分コーティングは、YAl
を含むことができ、X及びYは、第1及び第2の層の繰り返し数に依存する。
【0070】
(実施例7-酸化イットリウム及び酸化ジルコニウムの厚い層からのYZrコーテ
ィングの形成)
第1の層は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(II
I)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル
-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択される少なくとも1つの
前駆体と、HO、O、又はOから選択される少なくとも1つの前駆体とからALD
を用いて成長させた酸化イットリウムの厚い層とすることができる。第2の層は、臭化ジ
ルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、ジルコニウム(IV)tert-ブト
キシド、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルア
ミド)ジルコニウム(IV)、又はテトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(I
V)から選択される少なくとも1つの前駆体と、HO、O、又はOから選択される
少なくとも1つの前駆体とからALDを用いて成長させた酸化ジルコニウムの厚い層とす
ることができる。得られた多成分コーティングは、YZrを含むことができ、X及
びYは、第1及び第2の層の繰り返し数に依存する。
【0071】
(実施例8-酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、及び酸化アルミニウムの厚い層から
のYZrAlコーティングの形成)
第1の層は、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(II
I)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)イットリウム(III)、又はトリス(2,2,6,6-テトラメチル
-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)から選択される少なくとも1つの
前駆体と、HO、O、又はOから選択される少なくとも1つの前駆体とからALD
を用いて成長させた酸化イットリウムの厚い層とすることができる。第2の層は、臭化ジ
ルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、ジルコニウム(IV)tert-ブト
キシド、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルア
ミド)ジルコニウム(IV)、又はテトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(I
V)から選択される少なくとも1つの前駆体と、HO、O、又はOから選択される
少なくとも1つの前駆体とからALDを用いて成長させた酸化ジルコニウムの厚い層とす
ることができる。少なくとも1つの追加の層は、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリ
ス(エチルメチルアミド)アルミニウム、アルミニウムsec-ブトキシド、アルミニウ
ムトリブロミド、アルミニウムトリクロリド、トリエチルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリメチルアルミニウム、又はトリス(ジエチルアミド)アルミニウムか
ら選択される少なくとも1つの前駆体と、HO、O、又はOから選択される少なく
とも1つの前駆体とからALDを用いて成長させた酸化アルミニウムの厚い層とすること
ができる。得られた多成分コーティングは、YZrAlを含むことができ、X、
Y、及びZは、第1、第2、及び少なくとも1つの追加の層の繰り返し数に依存する。
【0072】
前述の説明は、本発明のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、具体的な
システム、コンポーネント、方法等の例などの多数の具体的な詳細を説明している。しか
しながら、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施
することができることが当業者には明らかであろう。他の例において、周知のコンポーネ
ント又は方法は、本発明を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明しないか、単純
なブロック図形式で提示されている。したがって、説明された具体的な詳細は、単なる例
示である。特定の実装では、これらの例示的な詳細とは異なる場合があるが、依然として
本発明の範囲内にあることが理解される。
【0073】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」への参照は、その実施形
態に関連して記載された特定の構成、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含ま
れることを意味している。したがって、本明細書を通じて様々な場所における「1つの実
施形態では」又は「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を
指すものではない。また、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく包含的な「又は」
を意味することを意図している。「約」又は「ほぼ」という用語が本明細書で使用される
場合、これは提示される公称値が±10%以内で正確であることを意味することを意図し
ている。
【0074】
本明細書内の本方法の操作は、特定の順序で図示され説明されているが、特定の操作を
逆の順序で行うように、又は特定の操作を少なくとも部分的に他の操作と同時に実行する
ように、各方法の操作の順序を変更することができる。別の一実施形態では、異なる操作
の命令又は副操作は、断続的及び/又は交互の方法とすることができる。
【0075】
なお、上記の説明は例示であり、限定的ではないことを意図していることが理解される
べきである。上記の説明を読み理解することにより、多くの他の実施形態が当業者にとっ
て明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、その
ような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲と共に参照して決定されるべきであ
る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6