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特許7454656レーザ維持プラズマ照射源用の回転ランプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】レーザ維持プラズマ照射源用の回転ランプ
(51)【国際特許分類】
   H01J 65/04 20060101AFI20240314BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01J65/04 Z
H05H1/24
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022518311
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 US2020051892
(87)【国際公開番号】W WO2021061583
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】62/904,289
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/024,565
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベゼル イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ズベデヌク レオニード
(72)【発明者】
【氏名】スチェパノフ アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】デミンスキー マクシム
(72)【発明者】
【氏名】ポタプキン ボリス
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0316550(US,A1)
【文献】特表2018-528568(JP,A)
【文献】特表2019-511819(JP,A)
【文献】特表2016-524798(JP,A)
【文献】特表2017-514271(JP,A)
【文献】特表2015-521789(JP,A)
【文献】特表2016-531316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 65/04
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを封じ込め、プラズマを維持するための回転可能なガス封じ込め構造体と、
前記回転可能なガス封じ込め構造体を水平軸を中心に回転させ、前記回転可能なガス封じ込め構造体内の対流プルームを抑制するように構成された回転駆動システムと、
ポンプ光照射を生成するように構成されたポンプ光源と、
前記ポンプ光照射の一部を前記ガスへと方向付けて、前記プラズマを維持するように構成された反射体要素であって、前記プラズマから放出される広帯域光の少なくとも一部を集光するように反射体が構成された反射体要素と、
を備え、前記回転可能なガス封じ込め構造体は、前記ポンプ光照射を前記回転可能なガス封じ込め構造体内に透過し、前記回転可能なガス封じ込め構造体からの広帯域照射を透過する透明部を備える、広帯域源。
【請求項2】
前記反射体要素が、その反射面が水平方向に沿った前記ポンプ光照射を受けるような向きに配置される、請求項に記載の広帯域源。
【請求項3】
前記回転駆動システムが、前記プラズマのプルームを抑制するのに十分な回転速度で、前記回転可能なガス封じ込め構造体を回転させるように構成される、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項4】
前記回転駆動システムが、前記プラズマ内に回転対称の温度分布を生じさせるのに十分な回転速度で、前記回転可能なガス封じ込め構造体を回転させるように構成される、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項5】
前記回転駆動システムが、10~20,000RPMの回転速度で、前記回転可能なガス封じ込め構造体を回転させるように構成される、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項6】
前記回転駆動システムが、1000~8000RPMの回転速度で、前記回転可能なガス封じ込め構造体を回転させるように構成される、請求項に記載の広帯域源。
【請求項7】
前記回転駆動システムが、10~600RPMの回転速度で、前記回転可能なガス封じ込め構造体を回転させるように構成される、請求項に記載の広帯域源。
【請求項8】
前記反射体要素が、楕円または放物面の反射体要素を含む、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項9】
前記回転駆動システムが、
モータと、
シャフトを備え、前記シャフトが、前記回転可能なガス封じ込め構造体に結合され、前記モータが、前記シャフトを介して前記回転可能なガス封じ込め構造体を回転させるように構成される、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項10】
前記シャフトが、前記反射体要素の開放アクセス孔を貫く、請求項に記載の広帯域源。
【請求項11】
前記ポンプ光源が、
1つまたは複数のレーザ
を備える、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項12】
前記ポンプ光源が、
赤外レーザ、可視レーザ、または紫外レーザのうちの少なくとも1つ、
を備える、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項13】
前記反射体要素が、前記プラズマからの広帯域のUV、VUV、またはDUV光のうちの少なくとも1つを集光するように構成される、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項14】
前記ガスが、
アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオン、窒素、または酸素のうちの少なくとも1つ、
を含む、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項15】
前記回転可能なガス封じ込め構造体が、
プラズマバルブ、プラズマセル、またはプラズマチャンバのうちの少なくとも1つ、
を含む、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項16】
前記回転可能なガス封じ込め構造体が、
プラズマチャンバを含み、前記反射体要素が前記プラズマチャンバの壁として構成される、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項17】
前記プラズマからの広帯域光出力を、1つまたは複数の下流の用途へと方向付けるように構成された1つまたは複数の追加の集光光学部品を、さらに備える、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項18】
前記1つまたは複数の下流の用途が、検査または計測のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の広帯域源。
【請求項19】
特性評価システムであって、
ガスを封じ込めるための回転可能なガス封じ込め構造体と、
前記回転可能なガス封じ込め構造体を水平軸を中心に回転させ、前記回転可能なガス封じ込め構造体内の対流プルームを抑制するように構成された回転駆動システムと、
ポンプ光照射を生成するように構成されたポンプ光源と、
前記ポンプ光照射の一部を前記ガスへと方向付けて、プラズマを維持するように構成された反射体要素であって、前記プラズマから放出される広帯域光の少なくとも一部を集光するように反射体が構成された反射体要素と、
を備え、前記回転可能なガス封じ込め構造体は、前記ポンプ光照射を前記回転可能なガス封じ込め構造体内に透過し、前記回転可能なガス封じ込め構造体からの広帯域照射を透過する透明部を備える、広帯域照射源と、
前記広帯域照射源からの広帯域光を、1つまたは複数の試料へと方向付けるように構成された照射光学部品セットと、
前記1つまたは複数の試料から放出される光を集光するように構成された集光光学部品セットと、
検出器組立体と、
を備える、特性評価システム。
【請求項20】
回転可能なガス封じ込め構造体を水平軸を中心に回転させ、前記回転可能なガス封じ込め構造体内の対流プルームを抑制することと、
ポンプ源によりポンプ光照射を生成することと、
反射体要素で前記ポンプ光照射の一部を前記回転可能なガス封じ込め構造体内のガスへと方向付けて、プラズマを維持することと、
前記プラズマから放出された広帯域光の一部を前記反射体要素で集光し、1つまたは複数の下流の用途へと方向付けることと、
を含む、広帯域照射を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、レーザ維持プラズマ(LSP)の広帯域光源に関し、詳細には、回転可能な回転式ガス封じ込め構造体を備えるLSPランプハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年9月23日に出願された米国仮出願第62/904,289号の35U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張し、その全体を参照によりここに援用する。
【0003】
半導体デバイスの微細化は進み続けており、その検査に使用する光源を改良する必要性は高まる一方である。かかる光源の1つに、レーザ維持プラズマ(LSP)広帯域光源が含まれる。LSP広帯域光源には、高パワーかつ広帯域の光を生成できるLSPランプが含まれる。LSPランプでは、そのガラス上に不均一な熱分布が生じ、対流によってレーザポンプ光照射にノイズが引き起こされる。その結果、LSPランプから出力されるプラズマ光が減少する。こういった問題は、ポンピングパワーが大きくなるにつれて深刻になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2012/0050706号
【文献】米国特許第9390902号
【文献】米国特許出願公開第2015/0076359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上記で特定した従来の手法の欠点を改良するためのシステムおよび方法を提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
広帯域プラズマ光源が開示される。例示的な一実施形態では、上記広帯域プラズマ光源は、ガスを封じ込めるための回転可能なガス封じ込め構造体を含む。別の例示的な実施形態では、上記広帯域プラズマ光源は、上記回転可能なガス封じ込め構造体を一軸を中心に回転させるように構成された回転駆動システムを含む。別の例示的な実施形態では、上記広帯域プラズマ光源は、ポンプ光照射を生成するように構成されたポンプ光源を含む。別の例示的な実施形態では、上記広帯域プラズマ光源は、上記ポンプ光照射の一部を上記ガスへと方向付けて、プラズマを維持するように構成された反射体要素を含み、上記反射体は、上記プラズマから放出される広帯域光の少なくとも一部を集光するように構成される。
【0007】
光学特性評価システムが開示される。例示的な一実施形態では、上記システムは、広帯域照射源を含む。例示的な一実施形態では、上記広帯域光源は、ガスを封じ込めるための回転可能なガス封じ込め構造体と、上記回転可能なガス封じ込め構造体を一軸を中心に回転させるように構成された回転駆動システムと、ポンプ光照射を生成するように構成されたポンプ光源と、ポンプ光照射の一部を上記ガスへと方向付けて、プラズマを維持するように構成された反射体要素であって、上記プラズマから放出される広帯域光の少なくとも一部を集光するように上記反射体が構成された反射体要素と、を含む。別の例示的な施形態では、上記システムは、上記広帯域照射源からの広帯域光を、1つまたは複数の試料へと方向付けるように構成された照射光学部品セットを含む。別の例示的な実施形態では、上記システムは、上記1つまたは複数の試料から放出される光を集光するように構成された集光光学部品セットを含む。別の例示的な実施形態では、上記システムは、検出器組立体を含む。
【0008】
広帯域光を生成する方法が開示される。例示的な一実施形態では、上記方法は、回転可能なガス封じ込め構造体を一軸を中心に回転させることを含む。別の例示的な実施形態では、上記方法は、ポンプ光照射を生成することを含む。別の例示的な実施形態では、上記方法は、反射体要素で上記ポンプ光照射の一部を上記回転可能なガス封じ込め構造体内のガスへと方向付けて、プラズマを維持することを含む。別の例示的な実施形態では、上記方法は、上記プラズマから放出された広帯域光の一部を上記反射体要素で集光し、1つまたは複数の下流の用途へと方向付けることを含む。
【0009】
上記の概要と下記の詳細な説明は、例示および説明のためのものに過ぎず、ここに請求する本発明を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成するものであるが、本発明の実施形態を例示しており、上述の一般的な説明と併せて本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
以下の添付の図を参照することにより、本開示の多くの利点を当業者はよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来のLSP広帯域光源の概略図である。
図2A】ガス封じ込め構造体の概略図である。
図2B】ガス封じ込め構造体の概略図である。
図2C】ガス封じ込め構造体の概略図である。
図3】硫黄ランプの概略図である。
図4A】垂直ランプ構成内の対流パターンの図である。
図4B】水平ランプ構成内の対流パターンの図である。
図5A】本開示の1つまたは複数の実施形態による、ガス封じ込め構造体として回転プラズマバルブを備えるレーザ維持広帯域プラズマ光源の概略図である。
図5B】本開示の1つまたは複数の実施形態による、ガス封じ込め構造体として回転プラズマセルを備えるレーザ維持広帯域プラズマ光源の概略図である。
図5C】本開示の1つまたは複数の実施形態による、ガス封じ込め構造体として回転プラズマチャンバを備えるレーザ維持広帯域プラズマ光源の概略図である。
図6A】本開示の1つまたは複数の実施形態による、ガス封じ込め構造体の回転速度に応じたプラズマのプラズマプルームで生じる過程を示す図である。
図6B】本開示の1つまたは複数の実施形態による、ガス封じ込め構造体の回転速度に応じたプラズマのプラズマプルームで生じる過程を示す図である。
図6C】本開示の1つまたは複数の実施形態による、ガス封じ込め構造体の回転速度に応じたプラズマのプラズマプルームで生じる過程を示す図である。
図7】本開示の1つまたは複数の実施形態による、図5A~5Cのいずれかに示されているLSP広帯域光源を実装する光学特性評価システムの概略図である。
図8】本開示の1つまたは複数の実施形態による、リフレクトメトリおよび/またはエリプソメトリの構成に配置された光学特性評価システムの概略図である。
図9】本開示の1つまたは複数の実施形態による、回転式ガス封じ込め構造体を介してレーザ維持広帯域プラズマ照射を生成する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以上、本開示について、特定の実施形態およびその特有の特徴を特に示して説明した。こういった本明細書に記載の実施形態は、限定的ではなく例示的なものであると解釈されよう。当業者であれば、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく構成および細部に様々な変更および修正を加えることができることは明らかであろう。次に、添付の図面に示されている本開示の主題について詳細に参照する。
【0013】
図1は、従来のLSP広帯域光源100の概略図である。広帯域光源100は、ポンプ光照射104を生成するように構成されたポンプ光源102と、そのポンプ光照射104の一部をガス封じ込め構造体108の中に封じ込められたガスへと方向付けて、プラズマ110を点火かつ/または維持するように構成された楕円反射体要素106とを含む。楕円反射体要素106は、プラズマ110から放出された広帯域光115の一部を集光するように構成される。プラズマ110から放出された広帯域光115は、1つまたは複数の下流の用途(例えば、検査、計測、またはリソグラフィ)のために、1つまたは複数の追加の光学部品(例えば、コールドミラー112)を介して集光され得る。図2A~2Cに示されているように、ガス封じ込め構造体108は、プラズマバルブ(またはランプ)200、プラズマチャンバ210、またはプラズマセル220を含み得る。ガス封じ込め構造体108は、図2A~2Cのバルブ200、チャンバ210、およびセル220にそれぞれ示されている垂直軸204、206、および208によって示されているように、回転対称性を示し得る。
【0014】
光維持プラズマの生成について、2008年10月14日発行の米国特許第7,435,982号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。プラズマの生成について、2010年8月31日発行の米国特許第7,786,455号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。プラズマの生成について、2011年8月2日発行の米国特許第7,989,786号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。プラズマの生成について、2012年5月22日発行の米国特許第8,182,127号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。プラズマの生成について、2012年11月13日発行の米国特許第8,309,943号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。プラズマの生成について、2013年2月9日発行の米国特許第8,525,138号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。プラズマの生成について、2014年12月30日米国特許第8,921,814号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。プラズマの生成について、2016年4月19日発行の米国特許第9,318,311号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。プラズマの生成について、2016年7月12日発行の米国特許第9,390,902号にも概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。一般に、本開示の様々な実施形態は、当技術分野で知られている任意のプラズマベースの光源にも適用されると解釈されたい。プラズマ生成の文脈で使用される光学システムについて、2010年4月27日発行の米国特許第7,705,331号に概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。
【0015】
図3は、硫黄ランプ300の概略図を示している。硫黄ランプは光源として使用され、ガス入りランプ306を含む。このガスは、マイクロ波エミッタ304からのマイクロ波放電によって加熱され、これにより、ガス内の硫黄化学反応が進められ、その結果、光の放出が生じる。放出された光は、集光器302によって集光され得る。この光源は立体的であり、ランプは放電を封じ込めるように構成される。ここで注目すべきは、ランプの回転が、ランプの冷却を助け、ランプの中心近傍に立体的な放電を閉じ込めている点である。尚、ライン308によって示される回転軸は垂直であり、重力ベクトルに対して対称性をもたらす。
【0016】
硫黄ランプ300のマイクロ波放電は、光源の明るさがLSP光源と比較して暗いことから(LSP光源の方が特にUVスペクトル範囲で何桁も明るい)、ほとんどのBBP用途で、使用に適さない。しかしながらLSPランプの動作には、ランプのガラス上の不均一な熱分布と、対流によって引き起こされるノイズが伴う。この不均一な熱の形態は、プラズマ領域から高温ガスの対流プルームが上昇し、上部の電極またはガラスに衝突することによって生じる。対流プルームの温度は数千ケルビン程度であり、その直径は約2~4mmである。この高温のプラズマプルームがガラスバルブの壁に接触すると、そのガラスに局所的な加熱が引き起こされる。ランプ壁の温度分布が不均一であるとランプの損傷が加速され、したがってランプ冷却の複雑な設計が必要になる。マイクロ波ランプについて、1999年2月2日発行の米国特許第5,866,990号に概要が記載されており、その全体を参照によりここに援用する。
【0017】
図4Aは、垂直ランプ400構成内の対流パターン410を示している。図4Bは、水平ランプ420構成内の対流パターンを示している。ランプ400、420は、ポンプ光照射404を透過させる透明バルブ402を含む。ポンプ光照射404は、プラズマ406を維持するために使用される。ここで注目すべきは、高温のプラズマプルーム408によって、ランプ400、420の内部に対流パターン410が引き起こされ、ランプ性能が低下する点である。ポンプ光のレーザビームが温度のばらつきがあるガスを通過すると、屈折率の変動によりレーザ光線が偏向し、焦点合わせの質が低下する(LSPでは100μmのスポットに厳密に焦点合わせする必要がある)。ランプ400、420の領域416には、プラズマプルームによる強い局所的な加熱が引き起こされ得る。このプラズマプルームによって定まる対流パターンにおける温度変動は、数千度に達する可能性がある。これらの対流パターンも変動しやすく、それによってレーザの焦点合わせが刻々と変化する。これにより、レーザの焦点合わせにノイズが生じ、その結果、プラズマ光の出力にノイズが生じる。
【0018】
光源100の欠点に基づいて、本開示の実施形態は、回転可能な回転式ガス封じ込め構造体を備える広帯域プラズマ(BBP)光源を対象とする。回転可能なガス封じ込め構造体が水平な軸(またはほぼ水平な軸)を中心に十分な速度(例えば、10~20,000RPM)で回転すると、その回転可能なガス封じ込め構造体内の対流プルームが抑制または排除され得る。この対流プルームの抑制により、回転可能なガス封じ込め構造体の壁全体にわたって、回転均一性を有する加熱分布がもたらされ、それと同時に、対流プルームによって引き起こされるレーザの屈折に関連する不安定性も解消される。また、本開示の回転式ガス封じ込め構造体の実装により、単純化されたランプ冷却構成が可能になり得る。
【0019】
図5Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、回転可能なガス封じ込め構造体502を備えるLSP広帯域光源500の概略図を示す。
【0020】
いくつかの実施形態では、広帯域光源500は、回転可能なガス封じ込め構造体502と、回転駆動システム503と、ポンプ光源508と、反射体要素512を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、回転可能なガス封じ込め構造体502は、その垂直対称軸515が水平方向に沿った向きになるように配置される。例えば、回転可能なガス封じ込め構造体502は、その対称軸515が図5Aのx軸によって定義される水平方向に沿った向きになるように配置され得る。この実施形態では、「水平方向」は、地球の表面に対してほぼ水平な方向、または重力場の方向に対して垂直な方向と解釈されたい。尚、本明細書では、真の水平方向からずれていることを、本開示の範囲から逸脱していると解釈すべきではない。例えば、回転可能なガス封じ込め構造体502は、その対称軸515がほぼ水平方向に沿った方向を向くような向きに配置され得る。本開示においては、「ほぼ水平」は、真の水平方向の±45度以内の任意の方向と解釈され得る。いくつかの実施形態では、回転可能なガス封じ込め構造体502の水平向きに対応するために、反射体要素512は、その反射面がほぼ水平方向に沿って心出しされ、ポンプ光源508からのポンプ光照射を受けるような向きになるように方向付けられる。
【0022】
回転駆動システム503は、回転可能なガス封じ込め構造体502に回転式に結合され得る。例えば、回転駆動システム503は、モータ504および駆動シャフト506を含み得る。駆動シャフト506は、回転可能なガス封じ込め構造体502に機械的に結合され得る。これは、モータ504からの回転エネルギーを回転可能なガス封じ込め構造体502に伝達し、それにより、回転可能なガス封じ込め構造体502を、選択した軸515を中心に回転させるためである。いくつかの実施形態では、回転駆動システム503は、駆動装置すなわちコントローラ505を含み得る。駆動装置/コントローラ505は、(例えば、1つまたは複数の制御信号を介して)モータ出力を制御し、それにより、回転可能なガス封じ込め構造体502の回転速度および加速度を制御するように構成され得る。駆動装置/コントローラ505は、上記モータおよびガス封じ込め構造体502に適用される回転加速度/速度のプロファイルをプログラミングするように構成された1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを含み得る。あるいは、駆動装置/コントローラ505は、モータの手動制御と、ガス封じ込め構造体502の回転速度の手動制御を可能にし得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、回転駆動システム503は、回転可能なガス封じ込め構造体502内の対流パターンを抑制するのに十分な回転速度でガス封じ込め構造体502を回転させるように構成される。例えば、回転駆動システム503は、10~20,000RPMの回転速度で、回転可能なガス封じ込め構造体502を回転させ得る。他の実施例として、回転駆動システム503は、1000RPM以上の回転速度で、回転可能なガス封じ込め構造体502を回転させ得る。他の実施例として、回転駆動システム503は、1000~8000RPMの回転速度で、回転可能なガス封じ込め構造体502を回転させ得る。他の実施例として、回転駆動システム503は、10~600RPMの回転速度で、回転可能なガス封じ込め構造体502を回転させ得る。
【0024】
ここで注目すべきは、回転可能なガス封じ込め構造体502を低い回転速度(例えば、10~600RPM)で回転させると、プラズマ511から生じるプルームによって封じ込め構造体502がより均一に加熱され、それによって封じ込め構造体502の温度分布が回転対称になり得る点である。このように、低い回転速度では、プラズマ511からのプルームはガス封じ込め構造体502の壁まで上昇するが、ガス封じ込め構造体502の壁が回転すると、そのプルームは壁を均一に加熱するように作用する。さらに、回転可能なガス封じ込め構造体502を十分に高い回転速度(例えば、1000~8000RPM、または8000pmを超える)で回転させると、プラズマ511に関連するプラズマプルームが完全に排除され、それにより、プルームの高温ガスによって封じ込め構造体502が加熱されることがなくなり得る。さらに、回転可能なガス封じ込め構造体502を十分に高い回転速度で回転させると、プラズマ内に回転対称の温度/加熱分布が生じ、プラズマランプが好ましい熱範囲で動作することが可能になり得る。回転対称の加熱分布により、壁のガラスに過度の高温で発生し得る損傷が軽減される。さらに、ガス封じ込め構造体502内の非対称の対流パターンの排除または抑制は、レーザ屈折に関連する不安定性を排除または抑制し得る。これにより、ポンプ光照射(例えば、ポンプ光レーザなど)の焦点安定性が向上し、その結果、LSPの性能が向上し、ノイズが減少する。
【0025】
さらに、ガス封じ込め構造体502を回転させることにより、ガス封じ込め構造体502用の冷却機構が単純化される。例えば、ガス封じ込め構造体502のガラス表面の、プルームが接触する最も高温の領域に対して積極的な冷却を実施する代わりに、本開示の回転式ガス封じ込め構造体502を用いることにより、より均一な冷却手法が可能になる。ガス封じ込め構造体502の回転は、回転対称の冷却手法の確立に役立つ。さらに、高速(例えば、1000RPMを超える)では、強制的な外部冷却機構が定位置になくても、ガス封じ込め構造体502の冷却が行われ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、広帯域光源500は、ポンプ光照射510の1つまたは複数のビームを生成するための1つまたは複数のポンプ光源508を含む。1つまたは複数のポンプ光源508は、プラズマを点火かつ/または維持するのに適した当技術分野で知られている任意のポンプ光源を含み得る。例えば、1つまたは複数のポンプ光源508は、1つまたは複数のレーザ(すなわち、ポンプ光レーザ)を含み得る。ポンプ光ビームは、可視、IR放射、NIR放射、および/またはUV放射を含むがこれらに限定されない当技術分野で知られている任意の波長または波長範囲の放射を含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、広帯域光源500は、プラズマセルやプラズマバルブなどのガス封じ込め構造体502の挿入を可能にするように構成された開放アクセス孔513を含む。例えば、光源500の回転可能なガス封じ込め構造体502は、開放アクセス孔513を含み得る。
【0028】
回転可能なガス封じ込め構造体502は、当技術分野で知られている任意のガス封じ込め構造体を含み得る。例えば、図5Aに示されているように、ガス封じ込め構造体502は、プラズマバルブ(すなわち、プラズマランプ)であり得る。プラズマバルブの使用については、少なくとも2010年8月31日発行の米国特許第7,786,455号、2008年10月14日発行の米国特許第7,435,982号、および2016年4月19日発行の米国特許第9,318,311号に記載されており、それぞれ、その全体をすでに参照によりここに援用している。尚、本明細書において、回転可能なガス封じ込め構造体502がプラズマバルブまたはプラズマセルである場合、回転可能なガス封じ込め構造体502の透明部分(例えば、ガラス)がとり得る形状の数に制限はない。例えば、回転可能なガス封じ込め構造体502は、円筒形、球形、カージオイド形などを有し得る。
【0029】
図5Bは、本開示の1つまたは複数の追加かつ/または代替の実施形態による、ガス封じ込め構造体としてプラズマセルを備えるLSP広帯域光源500の概略図を示す。この実施形態では、図5Aに示されているプラズマバルブが、プラズマセル520に置き換えられている。尚、図5Aに関して本明細書ですでに説明した実施形態は、特に断りのない限り、図5Bの実施形態にも適用されると解釈されたい。プラズマセルの場合、そのプラズマセルは、プラズマ511の生成用のガスを封じ込めるための1つまたは複数のフランジと組み合わせて配置された透過要素を含み得るが、これに限定されない。フランジ付きプラズマセルの使用については、少なくとも2017年9月26発行の米国特許第9,775,226号、および2015年11月10日発行の米国特許第9,185,788号に記載されており、それぞれ、その全体をすでに参照によりここに援用している。
【0030】
図5Cは、本開示の1つまたは複数の追加かつ/または代替の実施形態による、ガス封じ込め構造体としてプラズマチャンバを備えるLSP広帯域光源500の概略図を示す。この実施形態では、図5Aに示されているプラズマバルブが、プラズマチャンバ530に置き換えられている。尚、図5Aおよび5Bに関して本明細書ですでに説明した実施形態は、特に断りのない限り、図5Cの実施形態にも適用されると解釈されたい。ガス封じ込め構造体としてのガスチャンバの使用については、2015年8月4日発行の米国特許第9,099,292号、2016年2月16日発行の米国特許第9,263,238号、、2016年7月12日発行の米国特許第9,390,902号に記載されており、それぞれ、その全体を参照によりここに援用する。
【0031】
この実施形態では、反射体要素512が、回転可能なガス封じ込め構造体502自体を形成するように構成され得る。例えば、反射体要素512は、その反射体要素512の表面によって画定される立体領域内にガスを封じ込めるように密封され得る。この実施例では、反射体要素512の表面と1つまたは複数の窓532がガスチャンバ530を形成しており、プラズマセルやプラズマバルブなどの内部ガス封じ込め構造体は必要ない。この場合、反射体要素512の開口部は、ポンプ光照射510とプラズマ広帯域光514の両方の通過を可能にするために、窓532(例えば、ガラス窓)で密封され得る。
【0032】
図5A~5Cを全般に参照すると、ポンプ光源508は、当技術分野で知られている任意のレーザシステムを含み得る。例えば、ポンプ光源508は、電磁スペクトルのうちの赤外部、可視部および/または紫外部の放射を放出できる、当技術分野で知られている任意のレーザシステムを含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、連続波(CW)レーザ放射を放出するように構成されたレーザシステムを含み得る。例えば、ポンプ光源508は、1つまたは複数のCW赤外レーザ源を含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、レーザ光をほぼ一定のパワーでプラズマ511に提供するように構成された1つまたは複数のレーザを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、変調レーザ光をプラズマ511に提供するように構成された1つまたは複数の変調レーザを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、パルスレーザ光をプラズマに提供するように構成された1つまたは複数のパルスレーザを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、1つまたは複数のダイオードレーザを含み得る。例えば、ポンプ光源508は、ガス封じ込め構造体内に封じ込められているガス種の任意の1つまたは複数の吸収線に対応する波長で放射を放出する1つまたは複数のダイオードレーザを含み得る。ポンプ光源508のダイオードレーザの選択は、そのダイオードレーザの波長を、当技術分野で知られている任意のプラズマの任意の吸収線(例えば、イオン遷移線)またはプラズマ生成ガスの任意の吸収線(例えば、高励起中性遷移線)に調整するような実装を対象として行われ得る。したがって、所与のダイオードレーザ(またはダイオードレーザのセット)のどれを選択するかは、光源500で使用するガスのタイプに応じて決まってくる。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、イオンレーザを含み得る。例えば、ポンプ光源508は、当技術分野で知られている任意の希ガスイオンレーザを含み得る。例えば、アルゴンベースのプラズマの場合、アルゴンイオンをポンピングするために使用されるポンプ光源508は、Arレーザを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、1つまたは複数の周波数変換レーザシステムを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、ディスクレーザを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、ファイバレーザを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、広帯域レーザを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、1つまたは複数の非レーザ源を含み得る。ポンプ光源508は、当技術分野で知られている任意の非レーザ光源を含み得る。例えば、ポンプ光源508は、電磁スペクトルのうちの赤外部、可視部、または紫外部の放射を離散的または連続的に放出できる、当技術分野で知られている任意の非レーザシステムを含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、2つ以上の光源を含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508は、2つ以上のレーザを含み得る。例えば、ポンプ光源508(または「複数のポンプ光源」)は、複数のダイオードレーザを含み得る。いくつかの実施形態では、上記2つ以上のレーザはそれぞれ、光源500内のガスすなわちプラズマの別々の吸収線に調整されたレーザ放射を放出し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、広帯域光源500は、反射体要素512を含み、反射体要素512は、その焦点にある、回転可能なガス封じ込め構造体502内に封じ込められたガスに、ポンプ光照射510の一部を集光させて、プラズマ511を点火かつ/または維持するように構成される。反射体要素512は、プラズマ生成の分野で知られている任意の反射体要素を含み得る。いくつかの実施形態では、反射体要素512は、反射半楕円体(すなわち、楕円反射体)を含み得る。尚、本明細書では、反射体要素512は、楕円反射体に限定されない。むしろ、反射体要素512は、プラズマ生成の分野で知られている任意の反射体形状を含み得る。例えば、反射体要素512は、1つまたは複数の楕円反射体、1つまたは複数の球形反射体、および/あるいは1つまたは複数の放物面反射体を含み得る。反射体要素512は、プラズマベースの広帯域光源の分野で知られている、プラズマ511からの広帯域光のうちの任意の波長を集光するように構成され得る。例えば、反射体要素512は、プラズマ511からの紫外(UV)光、近紫外(NUV)光、真空UV(VUV)光、および/または深紫外(DUV)光を集光するように構成され得る。
【0036】
光源500のガス封じ込め構造体の透過部分(例えば、透過要素、バルブまたは窓)は、プラズマ511および/またはポンプ光照射510によって生成された広帯域光514を少なくとも部分的に透過する、当技術分野で知られている任意の材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、ガス封じ込め構造体の1つまたは複数の透過部分(例えば、透過要素、バルブまたは窓)は、ガス封じ込め構造体内で生成されたVUV放射、DUV放射、UV放射、NUV放射、および/または可視光を少なくとも部分的に透過する、当技術分野で知られている任意の材料で形成され得る。さらに、ガス封じ込め構造体の1つまたは複数の透過部分は、ポンプ光源508からのIR放射、可視光および/またはUV光を少なくとも部分的に透過する、当技術分野で知られている任意の材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、ガス封じ込め構造体の1つまたは複数の透過部分は、ポンプ光源508(例えば、IR源)からの放射と、プラズマ511から放出される放射(例えば、VUV、DUV、UV、NUV放射および/または可視光)の両方を透過する、当技術分野で知られている任意の材料で形成され得る。
【0037】
ガス封じ込め構造体502は、ポンプ光照射の吸収時にプラズマを生成するのに適した、当技術分野で知られている任意の選択されたガス(例えば、アルゴン、キセノン、水銀など)を含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ光源508からのポンプ光照射510がガスの立体領域内に集光されると、ガス封じ込め構造体内のガスすなわちプラズマがエネルギーを吸収し(例えば、1つまたは複数の選択された吸収線を介して)、このエネルギーの吸収により、ガス種が「ポンピング」されて、プラズマ511が生成かつ/または維持される。いくつかの実施形態では、図示されていないが、ガス封じ込め構造体502は、その内部の立体領域内でプラズマ511を点火するための電極セットを含み得る。プラズマ511は、この電極による点火後、ポンプ光源508からの照射によって維持される。
【0038】
光源500は、様々なガス環境でプラズマ511を点火かつ/または維持するために利用され得る。いくつかの実施形態では、プラズマ511を点火かつ/または維持するために使用されるガスは、不活性ガス(例えば、希ガスまたは非希ガス)または非不活性ガス(例えば、水銀)を含み得る。いくつかの実施形態では、プラズマ511を点火かつ/または維持するために使用されるガスは、ガスの混合物(例えば、不活性ガスの混合物、不活性ガスと非不活性ガスの混合物または非不活性ガスの混合物)を含み得る。例えば、光源500に実装するのに適したガスは、Xe、Ar、Ne、Kr、He、N、HO、O、H、D、F、CH、1つまたは複数の金属ハロゲン化物、ハロゲン、Hg、Cd、Zn、Sn、Ga、Fe、Li、Na、Ar:Xe、ArHg、KrHg、XeHg、およびこれらの任意の混合物を含み得るが、これらに限定されない。本開示は、ガス封じ込め構造体内でプラズマを維持するのに適した任意のガスにも適用されると解釈されたい。
【0039】
いくつかの実施形態では、広帯域光源500は、プラズマ511からの広帯域光514を1つまたは複数の下流の用途(図5A~5Cでは省略記号で示されている)へと方向付けるように構成された、1つまたは複数の追加の光学部品をさらに含む。上記1つまたは複数の追加の光学部品は、1つまたは複数のミラー、1つまたは複数のレンズ、1つまたは複数のフィルタ、1つまたは複数のビームスプリッタなどを含むがこれらに限定されない当技術分野で知られている任意の光学要素を含み得る。例えば、図5A~5Cに示されているように、上記1つまたは複数の追加の光学部品は、コールドミラー516を含み得るが、これに限定されない。反射体要素512は、プラズマ511から放出される可視、NUV、UV、DUV、および/またはVUV放射のうちの1つまたは複数を集光し、この広帯域光514を1つまたは複数の下流の光学要素へと方向付け得る。例えば、反射体要素512は、検査ツール、計測ツール、またはリソグラフィツールなどの、これらに限定されないが、当技術分野で知られている任意の光学特性評価システムの下流光学要素へ、可視、NUV、UV、DUV、および/またはVUV放射を送り届け得る。その際、広帯域光514は、検査ツール、計測ツール、またはリソグラフィツールの照射光学部品に結合され得る。
【0040】
図6A~6Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、ガス封じ込め構造体502の回転速度に応じたプラズマ511のプラズマプルームで生じる過程を示す。尚、図6A~6Cに示されているシミュレーションは、バルブ/ランプの直径が16mmの円筒形の形状で実行した。図6A~6Cは、それぞれ0、1200、および1600RPMでシミュレーションされたガス封じ込め構造体内のプラズマ/ガスの温度と速度の分布を示している。水平の点線は、ガス封じ込め構造体の回転軸を表す。図6Aに示されているように、回転がない(0RPM)ときは、高温のプラズマプルーム(図では5000Kで切捨て)が、ガス封じ込め構造体のガラス壁の上部(すなわち、図6Aの画像の上端)に約1m/sの流速で接触し、局所的な加熱を引き起こす。この場合、このプルームを通過して集光されるポンプ光レーザ光は強い屈折を示す。図6Bに示されているように、回転速度が1200RMに高まると、プルームは垂直方向に縮まり、水平方向に伸び、温度分布は回転対称に近づく。図6Cに示されているように、回転速度が6000RPMに高まると、プルームはなくなり、温度分布はほぼ回転対称になる。
【0041】
図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による光学特性評価システム700の概略図である。光学特性評価システム700は、図5A~5Cのいずれか(またはそれらの任意の組み合わせ)に示されているLSP広帯域光源500を実装している。
【0042】
尚、本明細書では、システム700は、任意の画像化、検査、計測、リソグラフィの各システム、または当技術分野で知られているその他の特性評価/製造システムを含み得る。その際、システム700は、試料707に対して検査、光学計測、リソグラフィ、および/または画像化を実行するように構成され得る。試料707は、ウェハ、レチクル/フォトマスクなどを含むがこれらに限定されない当技術分野で知られている任意の試料を含み得る。尚、システム700は、本開示全体に記載されているLSP広帯域光源500の様々な実施形態のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、試料707は、その移動を容易にするために、ステージ組立体712上に配設される。ステージ組立体712は、X-Yステージ、R-θステージなどを含むがこれらに限定されない当技術分野で知られている任意のステージ組立体712を含み得る。いくつかの実施形態では、ステージ組立体712は、検査または画像化中、試料707に対する焦点を維持するために、その試料707の高さを調節することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、照射光学部品セット703が、広帯域光源500からの照射を試料707へと方向付けるように構成される。照射光学部品セット703は、当技術分野で知られている任意の数およびタイプの光学部品を含み得る。いくつかの実施形態では、照射光学部品セット703は、1つまたは複数のレンズ702、ビームスプリッタ704、および対物レンズ706などの1つまたは複数の光学要素を含むが、これらに限定されない。その際、照射光学部品セット703は、LSP広帯域光源500からの照射を試料707の表面に集光するように構成され得る。上記1つまたは複数の光学要素は、1つまたは複数のミラー、1つまたは複数のレンズ、1つまたは複数の偏光子、1つまたは複数の格子、1つまたは複数のフィルタ、1つまたは複数のビームスプリッタなどを含むがこれらに限定されない当技術分野で知られている任意の光学要素または光学要素の組み合わせを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、集光光学部品セット705が、試料707から反射、散乱、回折、および/または放出された光を集光するように構成される。いくつかの実施形態では、集光光学部品セット705は、試料707からの光を検出器組立体714のセンサ716へと方向付けかつ/または集光し得る。集光光学部品セット705は、集光レンズ710などであり、これに限定されない。尚、センサ716および検出器組立体714は、当技術分野で知られている任意のセンサおよび検出器組立体を含み得る。例えば、センサ716は、電荷結合素子(CCD)検出器、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器、時間遅延積分(TDI)検出器、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)などを含み得るが、これらに限定されない。さらに、センサ716は、ラインセンサまたは電子衝撃ラインセンサを含み得るが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの実施形態では、検出器組立体714は、1つまたは複数のプロセッサ720およびメモリ媒体722を含んだコントローラ718と通信するように結合される。例えば、1つまたは複数のプロセッサ720は、メモリ722と通信するように結合されることができ、1つまたは複数のプロセッサ720は、メモリ722に格納されたプログラム命令のセットを実行するように構成される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ720は、検出器組立体714の出力を分析するように構成される。いくつかの実施形態では、上記プログラム命令のセットは、1つまたは複数のプロセッサ720に、試料707の1つまたは複数の特性を分析させるように構成される。いくつかの実施形態では、上記プログラム命令のセットは、1つまたは複数のプロセッサ720に、システム700の1つまたは複数の特性を変更させて、試料707および/またはセンサ716に対する焦点を維持するように構成される。例えば、1つまたは複数のプロセッサ720は、対物レンズ706あるいは1つまたは複数の光学要素702を調節して、LSP広帯域光源500からの照射を試料707の表面に集光するように構成され得る。他の実施例として、1つまたは複数のプロセッサ720は、対物レンズ706および/あるいは1つまたは複数の光学要素710を調節して、試料707の表面からの照射を集め、その集めた照射をセンサ716に集光するように構成され得る。
【0047】
尚、システム700は、暗視野の構成、明視野の配置などを含むがこれらに限定されない当技術分野で知られている任意の光学構成に構成され得る。
【0048】
図8は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、リフレクトメトリおよび/またはエリプソメトリの構成に配置された光学特性評価システム800の概略図を示す。尚、図8のシステムにも、図2A~7に関して説明した様々な実施形態および構成部品が適用されると解釈され得る。システム800は、当技術分野で知られている任意のタイプの計測システムを含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、システム800は、LSP広帯域光源500と、照射光学部品セット816と、集光光学部品セット818と、検出器組立体828と、1つまたは複数のプロセッサ720およびメモリ722を含んだコントローラ718とを含む。
【0050】
この実施形態では、LSP広帯域光源500からの広帯域照射が、照射光学部品セット816を介して、試料707へと方向付けられる。いくつかの実施形態では、システム800は、集光光学部品セット818を介して、上記試料から放出される照射を集光する。照射光学部品セット816は、上記広帯域ビームの修正および/または調整に適した1つまたは複数のビーム調整部品820を含み得る。例えば、1つまたは複数のビーム調整部品820は、1つまたは複数の偏光子、1つまたは複数のフィルタ、1つまたは複数のビームスプリッタ、1つまたは複数のディフューザ、1つまたは複数のホモジナイザ、1つまたは複数のアポダイザ、1つまたは複数のビームシェイパ、あるいは1つまたは複数のレンズを含み得るが、これらに限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態では、照射光学部品セット816は、試料ステージ712上に配設された試料707へと上記ビームを集光かつ/または方向付けるために、第1の集光要素822を利用し得る。いくつかの実施形態では、集光光学部品セット818は、試料707からの照射を集光するために、第2の集光要素826を含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、検出器組立体828は、集光光学部品セット818を介して、試料707から放出される照射を取り込むように構成される。例えば、検出器組立体828は、試料707から(例えば、鏡面反射、拡散反射などによって)反射または散乱された照射を受け取り得る。別の実施例として、検出器組立体828は、試料707によって生成された照射(例えば、ビームの吸収に伴う発光など)を受け取り得る。尚、検出器組立体828は、当技術分野で知られている任意のセンサおよび検出器組立体を含み得る。例えば、このセンサは、CCD検出器、CMOS検出器、TDI検出器、PMT、APDなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0053】
集光光学部品セット818はさらに、第2の集光要素826によって集光された照射を方向付けかつ/または修正するために、任意の数の集光ビーム調整要素830を含み得る。集光ビーム調整要素830は、1つまたは複数のレンズ、1つまたは複数のフィルタ、1つまたは複数の偏光子、あるいは1つまたは複数の位相板を含むが、これらに限定されない。
【0054】
システム800は、1つまたは複数の照射角度を有する分光エリプソメータ、ミュラー行列要素を測定するための分光エリプソメータ(例えば、回転補償子を使用)、単一波長エリプソメータ、角度分解エリプソメータ、(例えば、ビームプロファイル・エリプソメータ)、分光リフレクトメータ、単一波長リフレクトメータ、角度分解リフレクトメータ(例えば、ビームプロファイル・リフレクトメータ)、イメージングシステム、瞳イメージングシステム、スペクトルイメージングシステム、または散乱計などの、当技術分野で知られている任意のタイプの計測ツールとして構成され得るが、これらに限定されない。
【0055】
本開示の様々な実施形態に実装するのに適した検査/計測ツールが、2011年6月7日発行の米国特許第7,957,066号、「Split Field Inspection System Using Small Catadioptric Objectives」、2018年3月18日発行の米国特許第7,345,825号、「Beam Delivery System for Laser Dark-Field Illumination in a Catadioptric Optical System」、1999年12月7日発行の米国特許第5,999,310号、「Ultra-broadband UV Microscope Imaging System with Wide Range Zoom Capability」、2009年4月28日発行の米国特許第7,525,649号、「Surface Inspection System Using Laser Line Illumination with Two Dimensional Imaging」、2016年1月5日発行の米国特許第9,228,943号、「Dynamically Adjustable Semiconductor Metrology System」、1997年3月4日発行の米国特許第5,608,526号、Piwonka-Corle他「Focused Beam Spectroscopic Ellipsometry Method and System」、および2001年10月2日発行の米国特許第6,297,880号、「Apparatus for Analyzing Multi-Layer Thin Film Stacks on Semiconductors」、に記載されており、それぞれ、その全体を参照によりここに援用する。
【0056】
コントローラ718の1つまたは複数のプロセッサ720は、当技術分野で知られている任意のプロセッサまたは処理要素を含み得る。本開示においては、「プロセッサ」または「処理要素」という用語は、1つまたは複数の処理要素または論理素子(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサデバイス、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)デバイス、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、あるいは1つまたは複数のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)など)を有する、任意のデバイスを含むように広く定義され得る。そうした意味で、1つまたは複数のプロセッサ720は、アルゴリズムおよび/または命令(例えば、メモリに格納されたプログラム命令)を実行するように構成された任意のデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ720は、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、パラレルプロセッサ、ネットワーク化されたコンピュータ、あるいは本開示全体に記載されている光学特性評価システムを動作させるように、またはそれと組み合わせて動作するように構成されたプログラムを実行するように構成された他の任意のコンピュータシステムとして具体化され得る。
【0057】
メモリ媒体722は、関連付けられた1つまたは複数のプロセッサ720によって実行可能なプログラム命令を格納するのに適した当技術分野で知られている任意の記憶媒体を含み得る。例えば、メモリ媒体722は、非一時的なメモリ媒体を含み得る。別の実施例として、メモリ媒体722は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気または光メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブなどを含み得るが、これらに限定されない。尚、メモリ媒体722は、1つまたは複数のプロセッサ720と共に、共通のコントローラハウジングに収容され得る。いくつかの実施形態では、メモリ媒体722は、1つまたは複数のプロセッサ720およびコントローラ718の物理的位置に対して遠隔に配置され得る。例えば、コントローラ718の1つまたは複数のプロセッサ720は、ネットワーク(例えば、インターネット、イントラネットなど)を介してアクセス可能なリモートメモリ(例えば、サーバ)にアクセスし得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、LSP広帯域光源500およびシステム700、800は、本明細書で説明したように、「スタンドアロンツール」として構成され得る。このスタンドアロンツールは、本明細書では、プロセスツールに物理的に結合されないツールと解釈される。他のいくつかの実施形態では、かかる検査または計測システムは、有線部分および/または無線部分を含み得る伝送媒体によってプロセスツール(図示せず)に結合され得る。上記プロセスツールは、リソグラフィツール、エッチングツール、成膜ツール、研磨ツール、めっきツール、洗浄ツール、またはイオン注入ツールなどの、当技術分野で知られている任意のプロセスツールを含み得る。本明細書に記載のシステムによって実行される検査または測定の結果は、フィードバック制御技術、フィードフォワード制御技術、および/またはその場制御技術を使用するプロセスまたはプロセスツールのパラメータを変更するために使用され得る。上記プロセスまたはプロセスツールのパラメータは、手動または自動で変更され得る。
【0059】
図9は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、LSP広帯域光源によって広帯域の照射を生成する方法900を示す流れ図である。尚、本明細書では、方法900のステップは、広帯域光源500および/またはシステム700、800によって全てまたは部分的に実施され得る。しかしながら、方法900は、広帯域光源500および/またはシステム700、800に限定されないことがさらに理解されよう。というのは、その方法900のステップの全てまたは一部を、システムレベルの追加または代替の実施形態が実行し得るからである。
【0060】
ステップ902で、ガス封じ込め構造体が回転する。
【0061】
ステップ904で、ポンプ光源がポンプ光照射を生成する。
【0062】
ステップ906で、反射体要素が、上記ポンプ光照射の一部を上記回転可能なガス封じ込め構造体内のガスへと方向付けて、プラズマを維持するように構成される。
【0063】
ステップ908で、上記反射体要素は、上記プラズマから放出された広帯域光の一部を集光し、1つまたは複数の下流の用途へと方向付ける。上記1つまたは複数の下流の用途は、検査、計測、またはリソグラフィのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0064】
さらに、上記の方法の実施形態はそれぞれ、本明細書に記載の他の任意の方法の他の任意のステップを含み得るように企図されている。さらに、上記の方法の実施形態はそれぞれ、本明細書に記載の任意のシステムによって実行され得る。
【0065】
本明細書に記載の各構成部品、動作、装置、物体とそれに伴う説明は、概念を明確にするための実施例として使用されており、様々な構成変更が企図されることが、当業者には理解されよう。したがって、本明細書で使用する限り、ここに記載の特定の実施例とそれに伴う説明は、その実施例が属するより一般的なクラスを表すよう意図されている。一般に、任意の特定の実施例を使用する意図は、その実施例の属するクラスを表すことであり、特定の構成部品、動作、装置、および物体が含まれていないことを、限定的なものと解釈すべきではない。
【0066】
本明細書におけるほぼ全ての複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適切であるように、複数形から単数形へ、かつ/または単数形から複数形への言い換えを行うことができる。本明細書では、明確にするために多様な単数形/複数形の並べ替えを明示的に記載することはしていない。
【0067】
本明細書に記載の主題は、場合により、他の構成部品内に含まれている、または他の構成部品と接続されている様々な構成部品を示す。ここに記載のかかる構成は単なる例示であり、実際、同じ機能を実現する他の多くの構成が実装され得ることを理解されたい。概念的には、同じ機能を実現するための、複数の構成部品からなる構成はいずれも、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付けられたもの」になる。したがって、特定の機能を実現するために本明細書で組み合わされた任意の2つの構成部品は、各構成または各中間構成部品に関係なく、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられている」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成部品は、所望の機能を実現するために、互いに「接続」または「結合」されていると見なすこともでき、また、そのように関連付けることができる任意の2つの構成部品は、所望の機能を実現するために、互いに「結合可能」であると見なすこともできる。結合可能な特定の実施例には、物理的に嵌合可能かつ/または物理的に相互作用する構成部品、および/または無線的に相互作用可能かつ/または無線的に相互作用する構成部品、および/または論理的に相互作用するかつ/または論理的に相互作用可能な構成部品が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されると理解されたい。一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の各請求項の特徴部分(body))に記載の用語は、「非限定的な(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(例えば、「含んでいる(including)」という用語は、「含んでいるがこれに限定されない」と解釈すべきであり、「有する(having)」という用語は「少なくとも有する」と解釈すべきであり、「含む(includes)」という用語は「含むがこれに限定されない」と解釈すべきである、など)。さらに、請求項に導入された記載物について特定の個数が意図される場合には、かかる意図がその請求項に明示的に記載され、かかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されよう。その理解の一助として例を挙げると、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項記載物の導入に、「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」といった導入句を使用することが含まれ得る。ただし、かかる句が使用されていることで、「1つの(a)」または「1つの(an)」といった不定冠詞によって請求項記載物が導入された場合、かかる導入記載物を含んだ特定の請求項は、かかる記載物を1つのみ含んだ発明に限定されることになると解釈すべきではない。これは、たとえ同一の請求項内に、「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」といった導入句と「1つの(a)」または「1つの(an)」といった不定冠詞とが含まれている場合も同様であり(例えば、「1つの(a)」および/または「1つの(an)」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈すべきである)、定冠詞を使用した請求項記載物の導入の場合にも同様のことが当てはまる。さらに、導入された請求項記載物について特定の個数が明示的に記載されている場合であっても、かかる記載は、通常、少なくとも記載された個数を意味すると解釈すべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他に修飾語のない単なる「2つの記載物」という記載がある場合、この記載は通常、少なくとも2つの記載物、または2つ以上の記載物を意味する)。さらに、「A、BおよびCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣用表現が使用される場合、一般に、かかる構成は、当業者がその慣用表現を解釈するはずの意味に意図される(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの両方、AおよびCの両方、BおよびCの両方、および/またはA、B、およびCの全て、などを有するシステムを含むが、これらに限定されない)。「A、BまたはCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣用表現が使用される場合、一般に、かかる構成は、当業者がその慣用表現を解釈するはずの意味に意図される(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの両方、AおよびCの両方、BおよびCの両方、および/またはA、B、およびCの全て、などを有するシステムを含むが、これらに限定されない)。さらに、2つ以上の代替用語を提示するほぼ全ての選言的な語および/または句は、明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれにあろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、またはそれらの用語の両方を含む可能性を企図していると解釈すべきことが、当業者には理解されよう。例えば、「AまたはB」という句は、「A」または「B」、あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0069】
本開示およびそれに付随する利点の多くは、以上の説明から理解されると考えられ、ここで開示する主題から逸脱することなく、またはその重要な利点の全てを損なうことなく、構成部品の形態、構成、および配置に様々な変更を加えることができることは明らかであろう。ここに記載の形態は単に説明上のものに過ぎず、以下の特許請求の範囲は、かかる変更を包含すると意図される。さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9