(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】極端紫外線マスク吸収体材料
(51)【国際特許分類】
G03F 1/24 20120101AFI20240314BHJP
G03F 1/54 20120101ALI20240314BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/54
(21)【出願番号】P 2023501388
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021041206
(87)【国際公開番号】W WO2022015612
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-03-07
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シューウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シーユイ
(72)【発明者】
【氏名】ジンダル, ビブー
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-527382(JP,A)
【文献】特開平02-123730(JP,A)
【文献】特開平04-000711(JP,A)
【文献】特開平08-297361(JP,A)
【文献】特表2019-525240(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159392(WO,A1)
【文献】特開2007-273678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外線(EUV)マスクブランクを製作する方法であって、
基板上に、EUV放射を反射する多層積層体を形成することであって、前記多層積層体が、複数の反射層ペアを備える、多層積層体を形成することと、
前記多層積層体上に吸収体層を形成することであって、前記吸収体層が
、ルテニウムとアンチモンの合金
を備える、吸収体層を形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
ルテニウムとアンチモンの前記合金が、約4重量%から約96重量%までのルテニウムと、約4重量%から約96重量%までのアンチモンとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ルテニウムとアンチモンの前記合金が、アモルファスである、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記吸収体層を形成するために、前記合金が、アルゴン(Ar)、酸素(O
2)、または窒素(N
2)のうちの1つまたは複数から選択されたガスを用いて共スパッタリングされた
ルテニウムとアンチモンによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記吸収体層を形成するために、前記合金が、アルゴン(Ar)、酸素(O
2)、または窒素(N
2)のうちの1つまたは複数から選択されたガスを使用してルテニウムとアンチモンの層
を備える交互層の積層として層ごとに堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記吸収体層を形成するために、前記合金が、前記合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴン(Ar)、酸素(O
2)、または窒素(N
2)のうちの1つまたは複数から選択されたガスを使用してスパッタリングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記合金が、約0.1重量%から約5重量%までの範囲内の窒素または酸素のうちの1つまたは複数でドープされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
極端紫外線(EUV)マスクブランクであって、
基板と、
EUV放射を反射する多層積層体であって、前記多層積層体が、複数の反射層ペアを備える、多層積層体と、
ルテニウムとアンチモンの合金
を備える、前記多層積層体上の吸収体層と
を備える、極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項9】
ルテニウムとアンチモンの前記合金が、約4重量%から約96重量%までのルテニウムと、約4重量%から約96重量%までのアンチモンとを含む、請求項
8に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項10】
ルテニウムとアンチモンの前記合金が、アモルファスである、請求項
8に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項11】
前記吸収体層が、60nm未満の厚さを有する、請求項
8に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項12】
前記吸収体層が、窒素または酸素のうちの1つまたは複数から選択された、約0.1重量%から約5重量%までの範囲のドーパントをさらに含む、請求項
8に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項13】
前記吸収体層が、キャッピング層に対してエッチング選択的である、請求項
8に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項14】
極端紫外線(EUV)マスクブランクであって、
基板と、
EUV放射を反射する多層積層体であって、前記多層積層体が、モリブデン(Mo)およびシリコン(Si)を含む複数の反射層ペアを備える、多層積層体と、
ルテニウムとアンチモンの合金
を備える、前記多層積層体上の吸収体層と
を備える、極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項15】
ルテニウムとアンチモンの前記合金が、約4重量%から約96重量%までのルテニウムと、約4重量%から約96重量%までのアンチモンとを含む、請求項14に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項16】
ルテニウムとアンチモンの前記合金が、アモルファスである、請求項14に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項17】
前記吸収体層が、60nm未満の厚さを有する、請求項14に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項18】
前記吸収体層が、窒素または酸素のうちの1つまたは複数から選択された、約0.1重量%から約5重量%までの範囲のドーパントをさらに含む、請求項14に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項19】
前記吸収体層が、キャッピング層に対してエッチング選択的である、請求項14に記載の極端紫外線(EUV)マスクブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して極端紫外線リソグラフィに関し、より詳細には、タンタルおよびイリジウムまたはルテニウムおよびアンチモンを備える吸収体をもつ極端紫外線マスクブランク、および製作の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟X線投影リソグラフィとしても知られる極端紫外線(EUV)リソグラフィが、0.0135ミクロンおよびそれよりも小さい最小フィーチャサイズの半導体デバイスの製作のために使用される。しかしながら、概して、5~100ナノメートル波長範囲にある極端紫外線光は、ほぼすべての材料に強く吸収される。その理由で、極端紫外線システムは、光の透過によってではなく反射によって機能する。一連のミラー、またはレンズ要素、および反射要素、または無反射吸収体マスクパターンでコーティングされたマスクブランクの使用によって、パターニングされた作用光は、レジストコーティングされた半導体基板の上に反射される。
【0003】
極端紫外線リソグラフィシステムのレンズ要素およびマスクブランクは、モリブデンおよびシリコンなど、材料の反射多層コーティングでコーティングされる。13.5ナノメートルの紫外光について極めて狭い紫外線帯域通過、たとえば、12.5~14.5ナノメートルの帯域通過内の光を強く反射する多層コーティングでコーティングされた基板を使用することによって、レンズ要素またはマスクブランクごとの約65%の反射値が得られている。
【0004】
図1は、マスクされていない部分においてブラッグ干渉によってEUV放射を反射する、基板14上の反射多層積層体12を含む、EUVマスクブランクから形成された従来のEUV反射マスク10を示す。従来のEUV反射マスク10のマスクされた(無反射)エリア16が、緩衝層18および吸収層20をエッチングすることによって形成される。吸収層は、典型的に、51nm~77nmの範囲内の厚さを有する。キャッピング層22が、反射多層積層体12の上に形成され、エッチングプロセス中に反射多層積層体12を保護する。以下でさらに考察されるように、EUVマスクブランクは、多層でコーティングされた低熱膨張材料基板上にキャッピング層および吸収層で作られ、これは、次いで、マスクされた(無反射)エリア16および反射エリア24を提供するためにエッチングされる。
【0005】
国際半導体技術ロードマップ(ITRS)は、技術の最小ハーフピッチフィーチャサイズのある割合として、ノードのオーバーレイ要件を指定している。画像配置に対する影響、およびすべての反射リソグラフィシステムに固有の重載誤差により、EUV反射マスクは、将来の生産のためにより正確な平坦度仕様に準拠する必要があるであろう。追加として、EUVブランクは、ブランクのワーキングエリア上の欠陥に非常に低い耐性を有する。その上、吸収層の役割は、光を吸収することであるが、吸収体層の屈折率と真空の屈折率(n=1)との間の差異による位相シフト効果もあり、この位相シフトは、3Dマスク効果の原因である。3Dマスク効果を緩和するために、より薄い吸収体を有するEUVマスクブランクを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、基板上に、EUV放射を反射する多層積層体を形成することであって、多層積層体が、複数の反射層ペアを備える、多層積層体を形成することと、多層積層体上に吸収体層を形成することであって、吸収体層が、タンタルとイリジウムの合金およびルテニウムとアンチモンの合金から選択される、吸収体層を形成することとを備える、極端紫外線(EUV)マスクブランクを製作する方法を対象とする。
【0007】
本開示の追加の実施形態は、基板と、EUV放射を反射する多層積層体であって、多層積層体が、複数の反射層ペアを備える、多層積層体と、反射層の多層積層体上のキャッピング層と、タンタルとイリジウムの合金およびルテニウムとアンチモンの合金から選択された吸収体層とを備える、EUVマスクブランクを対象とする。
【0008】
本開示の上記で具陳された特徴が詳細に理解され得るように、上記で手短に要約された本開示のより詳細な説明が、それらのうちのいくつかが添付の図面中に図示されている、実施形態を参照することによって行われ得る。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を図示するにすぎず、それゆえ、それの範囲の限定と見なされるべきではなく、なぜならば、本開示は、他の等しく効果的な実施形態を認め得るからであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来の吸収体を採用する背景技術のEUV反射マスクを概略的に図示する図である。
【
図2】極端紫外線リソグラフィシステムの実施形態を概略的に図示する図である。
【
図3】極端紫外線反射要素生産システムの実施形態を図示する図である。
【
図4】EUVマスクブランクなど、極端紫外線反射要素の実施形態を図示する図である。
【
図5】EUVマスクブランクなど、極端紫外線反射要素の実施形態を図示する図である。
【
図6】マルチカソード物理的堆積チャンバの実施形態を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の数個の例示の実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明において記載される構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々なやり方で実践されるか、または行われることが可能である。
【0011】
本明細書で使用される「水平(horizontal)」という用語は、それの配向にかかわらず、マスクブランクの面または表面に平行な面として定義される。「垂直(vertical)」という用語は、たった今定義された水平に直角な方向を指す。「の上方(above)」、「の下方(below)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、(「側壁」の場合のような)「側部(side)」、「より高い(higher)」、「下側(lower)」、「上側(upper)」、「の上(over)」、および「の下(under)」などの用語は、図中に示されているように、水平面に関して定義される。
【0012】
当業者は、プロセス領域を説明するための「第1の」および「第2の」などの序数の使用が、処理チャンバ内の特定のロケーション、または処理チャンバ内での曝露の順序を暗示しないことを理解するであろう。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される「基板」という用語は、プロセスがそれに対して作用する、面、または面の部分を指す。基板への言及は、コンテキストが別段に明確に指し示さない限り、基板の一部分のみを指すことも、当業者には理解されよう。追加として、基板上に堆積させることへの言及は、ベア基板と、その上に堆積または形成された1つまたは複数のフィルムまたは特徴をもつ基板の両方を意味する。
【0014】
1つまたは複数の実施形態によれば、フィルムコーティングまたは層に関して「上(on)」という用語は、層が、表面、たとえば、基板表面の直接上にあること、ならびに層と表面、たとえば、基板表面との間に1つまたは複数の下層があることを含む。これにより、1つまたは複数の実施形態では、「基板表面上(on the substrate surface)」という句は、1つまたは複数の下層を含むことが意図される。他の実施形態では、「直接上(directly on)」という句は、介在層なしに表面、たとえば、基板表面と接触している層またはフィルムを指す。これにより、「基板表面の直接上の層(a layer directly on the substrate surface)」という句は、間の層なしに基板表面と直接接触している層を指す。
【0015】
次に
図2を参照すると、極端紫外線リソグラフィシステム100の例示的な実施形態が示されている。極端紫外線リソグラフィシステム100は、極端紫外線光112を生成するための極端紫外線光源102と、反射要素のセットと、ターゲットウエハ110とを含む。反射要素は、コンデンサ104、EUV反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、ミラー、またはそれらの組合せを含む。
【0016】
極端紫外線光源102は、極端紫外線光112を生成する。極端紫外線光112は、5~50ナノメートル(nm)の範囲内の波長を有する電磁放射である。たとえば、極端紫外線光源102は、レーザー、レーザーがもたらしたプラズマ、放電がもたらしたプラズマ、自由電子レーザー、シンクロトロン放射、またはそれらの組合せを含む。
【0017】
極端紫外線光源102は、様々な特性を有する極端紫外線光112を生成する。極端紫外線光源102は、波長のある範囲にわたる広帯域極端紫外線放射をもたらす。たとえば、極端紫外線光源102は、5から50nmに及ぶ波長を有する極端紫外線光112を生成する。1つまたは複数の実施形態では、極端紫外線光源102は、狭帯域幅を有する極端紫外線光112をもたらす。たとえば、極端紫外線光源102は、13.5nmの極端紫外線光112を生成する。波長ピークの中心は、13.5nmである。
【0018】
コンデンサ104は、極端紫外線光112を反射し、集束させるための光学ユニットである。コンデンサ104は、EUV反射マスク106を照らすために、極端紫外線光源102からの極端紫外線光112を反射し、集光させる。
【0019】
コンデンサ104は、単一の要素として示されているが、いくつかの実施形態におけるコンデンサ104は、極端紫外線光112を反射し、集光させるために、凹面ミラー、凸面ミラー、平坦ミラー、またはそれらの組合せなど、1つまたは複数の反射要素を含むことを理解されたい。たとえば、いくつかの実施形態におけるコンデンサ104は、単一の凹面ミラー、または凸面光学要素、凹面光学要素、および平坦光学要素を有する光学アセンブリである。
【0020】
EUV反射マスク106は、マスクパターン114を有する極端紫外線反射要素である。EUV反射マスク106は、ターゲットウエハ110上に形成されるべき回路類レイアウトを形成するためのリソグラフィックパターンを作り出す。EUV反射マスク106は、極端紫外線光112を反射する。マスクパターン114は、回路類レイアウトの一部分を画定する。
【0021】
光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像を縮小するための光学ユニットである。EUV反射マスク106からの極端紫外線光112の反射は、光学縮小アセンブリ108によって縮小され、ターゲットウエハ110上に反射される。いくつかの実施形態における光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像のサイズを縮小するために、ミラーおよび他の光学要素を含む。たとえば、いくつかの実施形態における光学縮小アセンブリ108は、極端紫外線光112を反射し、集束させるための凹面ミラーを含む。
【0022】
光学縮小アセンブリ108は、ターゲットウエハ110上のマスクパターン114の画像のサイズを縮小する。たとえば、いくつかの実施形態におけるマスクパターン114は、ターゲットウエハ110上にマスクパターン114によって表された回路類を形成するために、ターゲットウエハ110上に光学縮小アセンブリ108によって4:1の比で結像される。いくつかの実施形態における極端紫外線光112は、ターゲットウエハ110上にマスクパターン114を形成するために、ターゲットウエハ110と同期してEUV反射マスク106を走査する。
【0023】
次に
図3を参照すると、極端紫外線反射要素生産システム200の実施形態が示されている。極端紫外線反射要素は、EUVマスクブランク204、極端紫外線ミラー205、またはEUV反射マスク106などの他の反射要素を含む。
【0024】
いくつかの実施形態における極端紫外線反射要素生産システム200は、マスクブランク、ミラー、または
図2の極端紫外線光112を反射する他の要素をもたらす。極端紫外線反射要素生産システム200は、ソース基板203に薄いコーティングを塗布することによって、反射要素を製造する。
【0025】
EUVマスクブランク204は、
図2のEUV反射マスク106を形成するためのマルチレイヤード構造である。いくつかの実施形態におけるEUVマスクブランク204は、半導体製造技法を使用して形成される。いくつかの実施形態におけるEUV反射マスク106は、エッチングおよび他のプロセスによってEUVマスクブランク204上に形成された
図2のマスクパターン114を有する。
【0026】
極端紫外線ミラー205は、極端紫外線光の範囲内で反射性のマルチレイヤード構造である。いくつかの実施形態における極端紫外線ミラー205は、半導体製造技法を使用して形成される。いくつかの実施形態におけるEUVマスクブランク204および極端紫外線ミラー205は、各要素上に形成された層に関して類似の構造であるが、極端紫外線ミラー205は、マスクパターン114を有しない。
【0027】
反射要素は、極端紫外線光112の効率的なリフレクタである。実施形態では、EUVマスクブランク204および極端紫外線ミラー205は、60%よりも大きい極端紫外線反射率を有する。反射要素が極端紫外線光112の60%超を反射する場合、反射要素は効率的である。
【0028】
極端紫外線反射要素生産システム200は、ソース基板203がそれの中に運び込まれ、反射要素がそれから運び出される、ウエハローディングおよびキャリアハンドリングシステム202を含む。大気ハンドリングシステム206は、ウエハハンドリング真空チャンバ208へのアクセスを提供する。いくつかの実施形態におけるウエハローディングおよびキャリアハンドリングシステム202は、大気からシステム内の真空に基板を移送するために、基板搬送ボックス、ロードロック、および他の部品を含む。EUVマスクブランク204は、非常に小さいスケールでデバイスを形成するために使用されるので、ソース基板203およびEUVマスクブランク204は、汚染および他の欠陥を防ぐために、真空システムにおいて処理される。
【0029】
いくつかの実施形態におけるウエハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバ、すなわち、第1の真空チャンバ210および第2の真空チャンバ212を含んでいる。第1の真空チャンバ210は、第1のウエハハンドリングシステム214を含み、第2の真空チャンバ212は、第2のウエハハンドリングシステム216を含む。ウエハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバとともに説明されるが、いくつかの実施形態におけるシステムは、任意の数の真空チャンバを有することを理解されたい。
【0030】
いくつかの実施形態におけるウエハハンドリング真空チャンバ208は、様々な他のシステムの取付けのために、ウエハハンドリング真空チャンバ208の外縁の周りに複数のポートを有する。第1の真空チャンバ210は、ガス抜きシステム218、第1の物理的気相堆積システム220、第2の物理的気相堆積システム222、および前洗浄システム224を有する。ガス抜きシステム218は、基板から水分を熱的に脱着させるためのものである。前洗浄システム224は、ウエハ、マスクブランク、ミラー、または他の光学部品の表面を洗浄するためのものである。
【0031】
第1の物理的気相堆積システム220および第2の物理的気相堆積システム222など、いくつかの実施形態における物理的気相堆積システムは、ソース基板203上に導電性材料の薄膜を形成するために使用される。たとえば、いくつかの実施形態における物理的気相堆積システムは、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、またはそれらの組合せなど、真空堆積システムを含む。マグネトロンスパッタリングシステムなど、物理的気相堆積システムは、シリコン、金属、合金、化合物、またはそれらの組合せの層を含む薄層をソース基板203上に形成する。
【0032】
物理的気相堆積システムは、反射層、キャッピング層、および吸収体層を形成する。たとえば、いくつかの実施形態における物理的気相堆積システムは、シリコン、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、イリジウム、酸化イリジウム、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、アンチモン、鉄、銅、ホウ素、ニッケル、ビスマス、テルル、ハフニウム、タンタル、窒化物、化合物、またはそれらの組合せの層を形成する。いくつかの化合物は、酸化物として説明されるが、いくつかの実施形態における化合物は、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、またはそれらの組合せを含むことを理解されたい。
【0033】
第2の真空チャンバ212は、第2の真空チャンバ212に接続された、第1のマルチカソードソース226、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、および超平滑堆積チャンバ232を有する。たとえば、いくつかの実施形態における化学気相堆積システム228は、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマ支援化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾル支援CVD、ホットフィラメントCVDシステム、または類似のシステムを含む。別の例では、いくつかの実施形態における化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、および超平滑堆積チャンバ232は、極端紫外線反射要素生産システム200とは別個のシステム中にある。
【0034】
いくつかの実施形態における化学気相堆積システム228は、ソース基板203上に材料の薄膜を形成する。たとえば、いくつかの実施形態における化学気相堆積システム228は、単結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、またはそれらの組合せを含む、材料の層をソース基板203上に形成するために使用される。いくつかの実施形態における化学気相堆積システム228は、シリコン、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、タンタル、テルル、アンチモン、イリジウム、ハフニウム、鉄、銅、ホウ素、ニッケル、タングステン、ビスマス、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、および化学気相堆積に好適な他の材料の層を形成する。たとえば、いくつかの実施形態における化学気相堆積システムは、平坦化層を形成する。
【0035】
第1のウエハハンドリングシステム214は、連続真空中で、大気ハンドリングシステム206と、第1の真空チャンバ210の外縁の周りの様々なシステムとの間でソース基板203を移動させることが可能である。第2のウエハハンドリングシステム216は、連続真空中にソース基板203を維持しながら、第2の真空チャンバ212の周りでソース基板203を移動させることが可能である。いくつかの実施形態における極端紫外線反射要素生産システム200は、連続真空中で第1のウエハハンドリングシステム214と第2のウエハハンドリングシステム216との間でソース基板203およびEUVマスクブランク204を移送する。
【0036】
次に
図4を参照すると、極端紫外線反射要素302の実施形態が示されている。1つまたは複数の実施形態では、極端紫外線反射要素302は、
図3のEUVマスクブランク204または
図3の極端紫外線ミラー205である。EUVマスクブランク204および極端紫外線ミラー205は、
図2の極端紫外線光112を反射するための構造である。いくつかの実施形態におけるEUVマスクブランク204は、
図2中に示されているEUV反射マスク106を形成するために使用される。
【0037】
極端紫外線反射要素302は、基板304と、反射層の多層積層体306と、キャッピング層308とを含む。1つまたは複数の実施形態では、極端紫外線ミラー205は、
図2のコンデンサ104または
図2の光学縮小アセンブリ108において使用するための反射構造を形成するために使用される。
【0038】
いくつかの実施形態においてはEUVマスクブランク204である、極端紫外線反射要素302は、基板304と、反射層の多層積層体306と、キャッピング層308と、吸収体層310とを含む。いくつかの実施形態における極端紫外線反射要素302は、必要とされる回路類のレイアウトを用いて吸収体層310をパターニングすることによって、
図2のEUV反射マスク106を形成するために使用される、EUVマスクブランク204である。
【0039】
以下のセクションでは、EUVマスクブランク204のための用語は、簡単のために極端紫外線ミラー205の用語と互換的に使用される。1つまたは複数の実施形態では、EUVマスクブランク204は、
図2のマスクパターン114を形成するために、吸収体層310が追加として加えられた、極端紫外線ミラー205の部品を含む。
【0040】
EUVマスクブランク204は、マスクパターン114を有するEUV反射マスク106を形成するために使用される光学的に平坦な構造である。1つまたは複数の実施形態では、EUVマスクブランク204の反射面は、
図2の極端紫外線光112など、入射光を反射するための平坦な焦点面を形成する。
【0041】
基板304は、極端紫外線反射要素302に構造的支持を提供するための要素である。1つまたは複数の実施形態では、基板304は、温度変化中の安定性を提供するために、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料から作られる。1つまたは複数の実施形態では、基板304は、機械的循環、熱循環、結晶形成、またはそれらの組合せに対する安定性などの性質を有する。1つまたは複数の実施形態による基板304は、シリコン、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、またはそれらの組合せなどの材料から形成される。
【0042】
多層積層体306は、極端紫外線光112に対して反射性である構造である。多層積層体306は、第1の反射層312および第2の反射層314の交互する反射層を含む。
【0043】
第1の反射層312および第2の反射層314は、
図4の反射ペア316を形成する。非限定的な実施形態では、多層積層体306は、合計で最高120個の反射層について20~60個の範囲の反射ペア316を含む。
【0044】
いくつかの実施形態における第1の反射層312および第2の反射層314は、様々な材料から形成される。実施形態では、第1の反射層312および第2の反射層314は、それぞれ、シリコンおよびモリブデンから形成される。層は、シリコンおよびモリブデンとして示されているが、いくつかの実施形態における交互層は、他の材料から形成されるか、または他の内部構造を有することを理解されたい。
【0045】
いくつかの実施形態における第1の反射層312および第2の反射層314は、様々な構造を有する。実施形態では、第1の反射層312と第2の反射層314の両方は、単一の層、複数の層、分割された層構造、非均一な構造、またはそれらの組合せを用いて形成される。
【0046】
たいていの材料は、極端紫外線波長の光を吸収するので、使用される光学要素は、他のリソグラフィシステムにおいて使用されるような透過性の代わりに、反射性である。多層積層体306は、ブラッグリフレクタまたはミラーを作り出すために、異なる光学的性質をもつ材料の交互する薄層を有することによって、反射構造を形成する。
【0047】
実施形態では、交互層の各々は、極端紫外線光112について類似しない光学定数を有する。交互層は、交互層の厚さの周期が極端紫外線光112の波長の1/2であるとき、共鳴反射性を提供する。実施形態では、13nmの波長の極端紫外線光112について、交互層は、約6.5nmの厚さである。提供されるサイズおよび寸法は、典型的な要素のための通常の工学的許容誤差内にあることを理解されたい。
【0048】
いくつかの実施形態における多層積層体306は、様々なやり方で形成される。実施形態では、第1の反射層312および第2の反射層314は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、またはそれらの組合せを用いて形成される。
【0049】
例示的な実施形態では、多層積層体306は、マグネトロンスパッタリングなど、物理的気相堆積技法を使用して形成される。実施形態では、多層積層体306の第1の反射層312および第2の反射層314は、正確な厚さ、低い粗さ、および層の間の清浄な界面を含む、マグネトロンスパッタリング技法によって形成されることの特性を有する。実施形態では、多層積層体306の第1の反射層312および第2の反射層314は、正確な厚さ、低い粗さ、および層の間の清浄な界面を含む、物理的気相堆積によって形成されることの特性を有する。
【0050】
いくつかの実施形態における物理的気相堆積技法を使用して形成された多層積層体306の層の物理的寸法は、反射率を増加させるために正確に制御される。実施形態では、シリコンの層など、第1の反射層312は、4.1nmの厚さを有する。モリブデンの層など、第2の反射層314は、2.8nmの厚さを有する。層の厚さは、極端紫外線反射要素のピーク反射率波長を規定する。層の厚さが不正確な場合、いくつかの実施形態における所望の波長13.5nmにおける反射率は、低減される。
【0051】
実施形態では、多層積層体306は、60%よりも大きい反射率を有する。実施形態では、物理的気相堆積を使用して形成された多層積層体306は、66%~67%の範囲内の反射率を有する。1つまたは複数の実施形態では、より硬い材料を用いて形成された多層積層体306の上にキャッピング層308を形成することは、反射率を改善する。いくつかの実施形態では、70%よりも大きい反射率は、低い粗さの層、層の間の清浄な界面、改善された層材料、またはそれらの組合せを使用して実現される。
【0052】
1つまたは複数の実施形態では、キャッピング層308は、極端紫外線光112の透過を可能にする保護層である。実施形態では、キャッピング層308は、多層積層体306の直接上に形成される。1つまたは複数の実施形態では、キャッピング層308は、汚染物質および機械的損傷から多層積層体306を保護する。一実施形態では、多層積層体306は、酸素、タンタル、ハイドロタンタル、またはそれらの組合せによる汚染に対して敏感である。実施形態によるキャッピング層308は、汚染物質と相互作用し、それらを中和する。
【0053】
1つまたは複数の実施形態では、キャッピング層308は、極端紫外線光112に対して透過的である、光学的に均一な構造である。極端紫外線光112は、キャッピング層308を通過し、多層積層体306で反射する。1つまたは複数の実施形態では、キャッピング層308は、1%~2%の総反射率損失を有する。1つまたは複数の実施形態では、異なる材料の各々は、厚さに応じて、異なる反射率損失を有するが、反射率損失のすべては、1%~2%の範囲内にある。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、キャッピング層308は、滑らかな表面を有する。たとえば、いくつかの実施形態におけるキャッピング層308の表面は、0.2nm RMS(二乗平均平方根測定値)未満の粗さを有する。別の例では、キャッピング層308の表面は、1/100nmと1/1μmの範囲内の長さについて0.08nm RMSの粗さを有する。RMS粗さは、RMS粗さが測定される範囲に応じて変動する。100nm~1ミクロンの特定の範囲について、その粗さは、0.08nm以下である。より広い範囲に対して、粗さはより高くなる。
【0055】
いくつかの実施形態におけるキャッピング層308は、様々な方法で形成される。実施形態では、キャッピング層308は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、イオンビーム堆積、電子ビーム蒸着、高周波(RF)スパッタリング、原子層堆積(ALD)、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、またはそれらの組合せを用いて多層積層体306上に、または多層積層体306の直接上に形成される。1つまたは複数の実施形態では、キャッピング層308は、正確な厚さ、低い粗さ、および層の間の清浄な界面を含む、マグネトロンスパッタリング技法によって形成されることの物理的特性を有する。実施形態では、キャッピング層308は、正確な厚さ、低い粗さ、および層の間の清浄な界面を含む、物理的気相堆積によって形成されることの物理的特性を有する。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、キャッピング層308は、洗浄中の浸食に抵抗するのに十分な硬度を有する様々な材料から形成される。一実施形態では、ルテニウムは、ルテニウムが、良好なエッチング停止であり、動作条件の下で比較的不活性であるので、キャッピング層材料として使用される。しかしながら、いくつかの実施形態における他の材料が、キャッピング層308を形成するために使用されることを理解されたい。特定の実施形態では、キャッピング層308は、2.5と5.0nmの範囲内の厚さを有する。
【0057】
1つまたは複数の実施形態では、吸収体層310は、極端紫外線光112を吸収する層である。実施形態では、吸収体層310は、極端紫外線光112を反射しないエリアを提供することによってEUV反射マスク106上にパターンを形成するために使用される。吸収体層310は、1つまたは複数の実施形態によれば、約13.5nmなど、極端紫外線光112の特定の周波数について高い吸収係数を有する材料を備える。実施形態では、吸収体層310は、キャッピング層308の直接上に形成され、吸収体層310は、EUV反射マスク106のパターンを形成するために、フォトリソグラフィプロセスを使用してエッチングされる。
【0058】
1つまたは複数の実施形態によれば、極端紫外線ミラー205など、極端紫外線反射要素302は、基板304、多層積層体306、およびキャッピング層308を用いて形成される。極端紫外線ミラー205は、光学的に平坦な表面を有し、いくつかの実施形態においては極端紫外線光112を効率的におよび均一に反射する。
【0059】
1つまたは複数の実施形態によれば、EUVマスクブランク204など、極端紫外線反射要素302は、基板304、多層積層体306、キャッピング層308、および吸収体層310を用いて形成される。マスクブランク204は、光学的に平坦な表面を有し、いくつかの実施形態においては極端紫外線光112を効率的におよび均一に反射する。実施形態では、マスクパターン114は、EUVマスクブランク204の吸収体層310を用いて形成される。
【0060】
1つまたは複数の実施形態によれば、キャッピング層308の上に吸収体層310を形成することは、EUV反射マスク106の信頼性を増加させる。キャッピング層308は、吸収体層310についてのエッチング停止層として働く。
図2のマスクパターン114が、吸収体層310の中にエッチングされるとき、吸収体層310の下方のキャッピング層308は、多層積層体306を保護するために、エッチング作用を停止する。1つまたは複数の実施形態では、吸収体層310は、キャッピング層308に対してエッチング選択的である。いくつかの実施形態では、キャッピング層308は、ルテニウムを備え、吸収体層310は、ルテニウムに対してエッチング選択的である。
【0061】
実施形態では、吸収体層310は、タンタルとイリジウムの合金またはルテニウムとアンチモンの合金を備える。いくつかの実施形態では、吸収体は、約100nm未満の厚さを有する。吸収体層が、タンタルとイリジウムの合金を備えるいくつかの実施形態では、吸収体層は、約60nm未満、約55nm未満、約50nm未満、約45nm未満、約40nm未満、または約35nm未満を含む、約65nm未満の厚さを有する。他の実施形態では、吸収体層310は、約1nm~約60nm、1nm~約55nm、および15nm~約50nmの範囲を含む、約0.5nm~約65nmの範囲内の厚さを有する。吸収体層が、ルテニウムとアンチモンの合金を備えるいくつかの実施形態では、吸収体層は、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約35nm未満、約30nm未満、約25nm未満、約20nm未満、約15nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約1nm未満、または約0.5nm未満を含む、約100nm未満の厚さを有する。吸収体層が、ルテニウムとアンチモンの合金を備える他の実施形態では、吸収体層310は、約2nm~約85nm、10nm~約80nm、および15nm~約80nmの範囲を含む、約2nm~約90nmの範囲を含む、約1nm~約95nmの範囲内の厚さを有する。
【0062】
タンタルとイリジウムの合金またはルテニウムとアンチモンの合金を備える吸収体の模擬試験は、TaN吸収体と比較してより良いリソグラフィ性能を示した。本明細書で説明される合金吸収体は、TaN吸収体と比較してより良い焦点深度(DOF)、正規化イメージログスロープ(Normalized Image Log-Slope:NILS)およびテレセントリシティエラー(Telecentricity error:TCE)を示した。
【0063】
1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金は、合金の総重量に基づいて、約14重量%から約86重量%までのタンタルと、約14重量%から約86重量%までのイリジウムとを備える。1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金は、合金の総重量に基づいて、約24重量%から約76重量%までのタンタルと、約24重量%から約76重量%までのイリジウムとを備える。1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金は、合金の総重量に基づいて、約34重量%から約66重量%までのタンタルと、約34重量%から約66重量%までのイリジウムとを備える。1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金は、単相合金である。
【0064】
1つまたは複数の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、合金の総重量に基づいて、約4重量%から約96重量%までのルテニウムと、約4重量%から約96重量%までのアンチモンとを備える。1つまたは複数の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、合金の総重量に基づいて、約14重量%から約86重量%までのルテニウムと、約14重量%から約86重量%までのアンチモンとを備える。1つまたは複数の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、合金の総重量に基づいて、約24重量%から約76重量%までのルテニウムと、約24重量%から約76重量%までのアンチモンとを備える。特定の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、合金の総重量に基づいて、約20重量%から約80重量%までのルテニウムと、約20重量%から約80重量%までのアンチモンとを備える。1つまたは複数の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、単相合金である。
【0065】
1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金またはルテニウムとアンチモンの合金は、ドーパントを備える。ドーパントは、窒素または酸素のうちの1つまたは複数から選択され得る。実施形態では、ドーパントは、酸素を備える。代替実施形態では、ドーパントは、窒素を備える。実施形態では、ドーパントは、合金の重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の範囲内の量で合金中に存在する。他の実施形態では、ドーパントは、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、または5.0重量%の量で合金中に存在する。
【0066】
1つまたは複数の実施形態では、吸収体層の合金は、いくつかの実施形態では、(30nm未満の)はるかに薄い吸収体層厚さを、2%未満の反射率および好適なエッチング性質を実現しながら提供する、物理的堆積チャンバ中に形成された共スパッタリングされた合金吸収体材料である。1つまたは複数の実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、または窒素(N2)のうちの1つまたは複数から選択されたガスによって共スパッタリングされる。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、アルゴンガスと酸素ガスの混合物(Ar+O2)によって共スパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素の混合物による共スパッタリングは、タンタルの酸化物および/またはイリジウムの酸化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムの酸化物および/またはアンチモンの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素の混合物による共スパッタリングは、タンタルまたはイリジウムの酸化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、アルゴンガスと窒素ガスの混合物(Ar+N2)によって共スパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴンと窒素の混合物による共スパッタリングは、タンタルの窒化物および/またはイリジウムの窒化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムの窒化物および/またはアンチモンの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素の混合物による共スパッタリングは、タンタルまたはイリジウムの窒化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの窒化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスの混合物(Ar+O2+N2)によって共スパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物による共スパッタリングは、タンタルまたはイリジウムの酸化物および/または窒化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物および/または窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物による共スパッタリングは、タンタルまたはイリジウムの酸化物または窒化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物または窒化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層のエッチング性質および/または他の性質は、上記で考察されたように、合金割合を制御することによって仕様に適合される。実施形態では、いくつかの実施形態における合金割合は、物理的気相堆積チャンバの、電圧、気圧、流量など、動作パラメータによって正確に制御される。実施形態では、プロセスガスが、材料性質をさらに変更するために使用され、たとえば、N2ガスが、タンタルおよびイリジウムの窒化物を形成するために、またはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムおよびアンチモンの窒化物を形成するために使用される。
【0067】
1つまたは複数の実施形態では、本明細書で使用される「共スパッタリング」は、2つのターゲット、すなわち、タンタルを備える1つのターゲットおよびイリジウムを備える第2のターゲット、またはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムを備える1つのターゲットおよびアンチモンを備える第2のターゲットが、タンタルとイリジウムの合金およびルテニウムとアンチモンの合金から選択された吸収体層を堆積させ/形成するために、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、または窒素(N2)から選択された1つまたは複数のガスを使用して同時にスパッタリングされることを意味する。
【0068】
他の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金またはルテニウムとアンチモンの合金は、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、または窒素(N2)のうちの1つまたは複数から選択されたガスを使用して、タンタル層とイリジウム層の積層としてまたはルテニウム層とアンチモン層の積層として層ごとに堆積される。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、アルゴンガスと酸素ガスの混合物(Ar+O2)を使用して、タンタル層とイリジウム層の積層としてまたはルテニウム層とアンチモン層の積層として層ごとに堆積される。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルの酸化物および/またはイリジウムの酸化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムおよび/またはアンチモンの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルまたはイリジウムの酸化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、アルゴンガスと窒素ガスの混合物(Ar+N2)を使用して、タンタル層とイリジウム層の積層として、またはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウム層とアンチモン層の積層として層ごとに堆積される。いくつかの実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルの窒化物および/またはイリジウムの窒化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムの窒化物および/またはアンチモンの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルまたはイリジウムの窒化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの窒化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスの混合物(Ar+O2+N2)を使用して、タンタル層とイリジウム層の積層としてまたはルテニウム層とアンチモン層の積層として層ごとに堆積される。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、ルテニウムの酸化物および/もしくは窒化物ならびに/またはイリジウムの酸化物および/もしくは窒化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムの酸化物および/もしくは窒化物ならびに/またはアンチモンの酸化物および/もしくは窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルまたはイリジウムの酸化物または窒化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物または窒化物を形成しない。
【0069】
他の実施形態では、タンタルとイリジウムの非合金またはルテニウムとアンチモンの非合金が、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、または窒素(N2)のうちの1つまたは複数から選択されたガスを使用して、タンタル層とイリジウム層の積層としてまたはルテニウム層とアンチモン層の積層として層ごとに堆積される。いくつかの実施形態では、吸収体層の非合金は、アルゴンガスと酸素ガスの混合物(Ar+O2)を使用して、タンタル層とイリジウム層の積層としてまたはルテニウム層とアンチモン層の積層として層ごとに堆積される。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルの酸化物および/またはイリジウムの酸化物を形成するか、あるいはルテニウムおよびアンチモンの場合、ルテニウムおよび/またはアンチモンの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルまたはイリジウムの酸化物を形成しないか、あるいはルテニウムおよびアンチモンの場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の非合金は、アルゴンガスと窒素ガスの混合物(Ar+N2)を使用して、タンタル層とイリジウム層の積層として、またはルテニウムおよびアンチモンの場合、ルテニウム層とアンチモン層の積層として層ごとに堆積される。いくつかの実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルの窒化物および/またはイリジウムの窒化物を形成するか、あるいはルテニウムおよびアンチモンの場合、ルテニウムの窒化物および/またはアンチモンの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルまたはイリジウムの窒化物を形成しないか、あるいはルテニウムおよびアンチモンの場合、ルテニウムまたはアンチモンの窒化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の非合金は、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスの混合物(Ar+O2+N2)を使用して、タンタル層とイリジウム層の積層としてまたはルテニウム層とアンチモン層の積層として層ごとに堆積される。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、ルテニウムの酸化物および/もしくは窒化物ならびに/またはイリジウムの酸化物および/もしくは窒化物を形成するか、あるいはルテニウムおよびアンチモンの場合、ルテニウムの酸化物および/もしくは窒化物ならびに/またはアンチモンの酸化物および/もしくは窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物を使用する層ごとの堆積は、タンタルまたはイリジウムの酸化物または窒化物を形成しないか、あるいはルテニウムおよびアンチモンの場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物または窒化物を形成しない。
【0070】
1つまたは複数の実施形態では、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、または窒素(N2)のうちの1つまたは複数から選択されたガスを使用する通常のスパッタリングによって本明細書で説明される合金組成のバルクターゲットが作られ得る。1つまたは複数の実施形態では、合金は、吸収体層を形成するために、合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、または窒素(N2)のうちの1つまたは複数から選択されたガスを使用してスパッタリングされる。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴンガスと酸素ガスの混合物(Ar+O2)を使用してスパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルの酸化物および/またはイリジウムの酸化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムおよびアンチモンの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルまたはイリジウムの酸化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴンガスと窒素ガスの混合物(Ar+N2)を使用してスパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルの窒化物および/またはイリジウムの窒化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムの窒化物および/またはアンチモンの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルまたはイリジウムの窒化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの窒化物を形成しない。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層の合金は、合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスの混合物(Ar+O2+N2)を使用してスパッタリングされる。いくつかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルの酸化物および/もしくは窒化物ならびに/またはイリジウムの酸化物および/もしくは窒化物を形成するか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムの酸化物および/もしくは窒化物ならびに/またはアンチモンの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素の混合物を使用するバルクターゲット堆積は、タンタルまたはイリジウムの酸化物または窒化物を形成しないか、あるいはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムまたはアンチモンの酸化物または窒化物を形成しない。いくつかの実施形態では、タンタルとイリジウムの合金またはルテニウムとアンチモンの合金は、0.1重量%から5重量%までの範囲内の窒素または酸素のうちの1つまたは複数でドープされる。
【0071】
いくつかの実施形態におけるEUVマスクブランクは、第1の吸収体材料を備える第1のカソード、第2の吸収体材料を備える第2のカソード、第3の吸収体材料を備える第3のカソード、第4の吸収体材料を備える第4のカソード、および第5の吸収体材料を備える第5のカソードを有する物理的堆積チャンバにおいて作られ、ここにおいて、第1の吸収体材料、第2の吸収体材料、第3の吸収体材料、第4の吸収体材料および第5の吸収体材料は互いに異なり、吸収体材料の各々は、他の材料とは異なる吸光係数を有し、吸収体材料の各々は、他の吸収体材料とは異なる屈折率を有する。
【0072】
次に
図5を参照すると、極端紫外線マスクブランク400は、基板414、基板414上の反射層412の多層積層体を備えるものとして示されており、反射層412の多層積層体は、複数の反射層ペアを含む。1つまたは複数の実施形態では、複数の反射層ペアは、モリブデン(Mo)含有材料およびシリコン(Si)含有材料から選択された材料から作られる。いくつかの実施形態では、複数の反射層ペアは、モリブデンとシリコンの交互層を備える。極端紫外線マスクブランク400は、反射層412の多層積層体上のキャッピング層422をさらに含み、キャッピング層422上の吸収体層の多層積層体420がある。1つまたは複数の実施形態では、複数の反射層412は、モリブデン(Mo)含有材料およびシリコン(Si)含有材料から選択され、キャッピング層422は、ルテニウムを備える。
【0073】
吸収体層の多層積層体420は、複数の吸収体層ペア420a、420b、420c、420d、420e、420fを含み、各ペア(420a/420b、420c/420d、420e/420f)は、タンタルとイリジウムの合金およびルテニウムとアンチモンの合金から選択される。
【0074】
一例では、吸収体層420aは、タンタルから作られ、吸収体層420bを形成する材料は、イリジウムである。同じように、吸収体層420cは、タンタルから作られ、吸収体層420dを形成する材料は、イリジウムであり、吸収体層420eは、タンタル材料から作られ、吸収体層420fを形成する材料は、イリジウムである。別の例では、吸収体層420aは、ルテニウムから作られ、吸収体層420bを形成する材料は、アンチモンである。同じように、吸収体層420cは、ルテニウムから作られ、吸収体層420dを形成する材料は、アンチモンであり、吸収体層420eは、ルテニウム材料から作られ、吸収体層420fを形成する材料は、アンチモンである。
【0075】
実施形態では、吸収体層310は、タンタルとイリジウムの合金またはルテニウムとアンチモンの合金から作られる。1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金は、合金の総重量に基づいて、約14重量%から約86重量%までのタンタルと、約14重量%から約86重量%までのイリジウムとを備える。1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金は、合金の総重量に基づいて、約24重量%から約76重量%までのタンタルと、約24重量%から約76重量%までのイリジウムとを備える。1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金は、合金の総重量に基づいて、約34重量%から約66重量%までのタンタルと、約34重量%から約66重量%までのイリジウムとを備える。1つまたは複数の実施形態では、タンタルとイリジウムの合金は、単相合金である。
【0076】
1つまたは複数の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、合金の総重量に基づいて、約4重量%から約96重量%までのルテニウムと、約4重量%から約96重量%までのアンチモンとを備える。1つまたは複数の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、合金の総重量に基づいて、約14重量%から約86重量%までのルテニウムと、約14重量%から約86重量%までのアンチモンとを備える。1つまたは複数の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、合金の総重量に基づいて、約24重量%から約76重量%までのルテニウムと、約24重量%から約76重量%までのアンチモンとを備える。1つまたは複数の実施形態では、ルテニウムとアンチモンの合金は、単相合金である。
【0077】
1つまたは複数の実施形態によれば、吸収体層ペアは、第1の層(420a、420c、420e)と第2の吸収体層(420b、420d、420f)とを備え、第1の吸収体層(420a、420c、420e)および第2の吸収体層(420b、420d、420f)の各々は、0.1nmと10nmの範囲内の、たとえば、1nmと5nmの範囲内の、または1nmと3nmの範囲内の厚さを有する。1つまたは複数の特定の実施形態では、第1の層420aの厚さは、0.5nm、0.6nm、0.7nm、0.8nm、0.9nm、1nm、1.1nm、1.2nm、1.3nm、1.4nm、1.5nm、1.6nm、1.7nm、1.8nm、1.9nm、2nm、2.1nm、2.2nm、2.3nm、2.4nm、2.5nm、2.6nm、2.7nm、2.8nm、2.9nm、3nm、3.1nm、3.2nm、3.3nm、3.4nm、3.5nm、3.6nm、3.7nm、3.8nm、3.9nm、4nm、4.1nm、4.2nm、4.3nm、4.4nm、4.5nm、4.6nm、4.7nm、4.8nm、4.9nm、および5nmである。1つまたは複数の実施形態では、各ペアの第1の吸収体層および第2の吸収体層の厚さは、同じであるか、または異なる。たとえば、第1の吸収体層および第2の吸収体層は、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、または20:1の第1の吸収体層の厚さと第2の吸収体層の厚さとの比があるような厚さを有し、これは、各ペアにおいて、第2の吸収体層の厚さに等しいかまたはそれよりも大きい厚さを有する第1の吸収体層を生じる。代替的に、第1の吸収体層および第2の吸収体層は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、または20:1の第2の吸収体層の厚さと第1の吸収体層の厚さとの比があるような厚さを有し、これは、各ペアにおいて、第1の吸収体層の厚さに等しいかまたはそれよりも大きい厚さを有する第2の吸収体層を生じる。
【0078】
1つまたは複数の実施形態によれば、吸収体層の異なる吸収体材料および厚さは、極端紫外線光が、吸光度により、および反射層の多層積層体からの光との破壊的な干渉によって引き起こされた位相変化により吸収されるように選択される。
図5中に示されている実施形態は、3つの吸収体層ペア420a/420b、420c/420dおよび420e/420fを示しているが、特許請求の範囲は、特定の数の吸収体層ペアに限定されるべきではない。1つまたは複数の実施形態によれば、いくつかの実施形態におけるEUVマスクブランク400は、5~60個の吸収体層ペアの範囲内で、または10~40個の吸収体層ペアの範囲内で含む。
【0079】
1つまたは複数の実施形態によれば、吸収体層は、2%未満の反射率および他のエッチング性質を提供する厚さを有する。いくつかの実施形態における供給ガスが、吸収体層の材料特性をさらに変更するために使用され、たとえば、いくつかの実施形態における窒素(N2)ガスが、上記で提供された材料の窒化物を形成するために使用される。1つまたは複数の実施形態による吸収体層の多層積層体は、EUV光が、吸光度により吸収されるだけではなく、多層吸収体積層体によって引き起こされた位相変化によっても吸収されるような、個々の厚さの異なる材料の繰返しパターンであり、これは、下方の反射性材料の多層積層体からの光と破壊的に干渉し、より良いコントラストを提供する。
【0080】
本開示の別の態様は、基板上に、反射層の多層積層体を形成することであって、多層積層体が、複数の反射層ペアを含む、反射層の多層積層体を形成することと、反射層の多層積層体上にキャッピング層を形成することと、キャッピング層上に吸収体層を形成することであって、吸収体層が、タンタルとイリジウムの合金およびルテニウムとアンチモンの合金から選択される、吸収体層を形成することとを備える、極端紫外線(EUV)マスクブランクを製作する方法に関係する。
【0081】
いくつかの実施形態におけるEUVマスクブランクは、
図4および
図5に関して上記で説明された実施形態の特性のうちのいずれかを有し、いくつかの実施形態における方法は、
図3に関して説明されたシステムにおいて実施される。
【0082】
これにより、実施形態では、複数の反射層は、モリブデン(Mo)含有材料およびシリコン(Si)含有材料から選択され、吸収体層は、本明細書で説明されるタンタルとイリジウムの合金またはルテニウムとアンチモンの合金である。
【0083】
別の特定の方法実施形態では、異なる吸収体層は、第1の吸収体材料を備える第1のカソードと、第2の吸収体材料を備える第2のカソードとを有する物理的堆積チャンバにおいて形成される。次に
図6を参照すると、実施形態によるマルチカソードソースチャンバ500の上側部分が示されている。マルチカソードチャンバ500は、上部アダプタ504によってキャッピングされた円筒形本体部分502をもつベース構造501を含む。上部アダプタ504は、上部アダプタ504の周りに置かれた、カソードソース506、508、510、512、および514など、いくつかのカソードソースのためのプロビジョンを有する。
【0084】
1つまたは複数の実施形態では、方法は、5nmと60nmの範囲内の厚さを有する吸収体層を形成する。1つまたは複数の実施形態では、吸収体層は、51nmと57nmの範囲内の厚さを有する。1つまたは複数の実施形態では、吸収体層を形成するために使用される材料は、吸収体層のエッチング性質を生じさせるように選択される。1つまたは複数の実施形態では、吸収体層の合金は、物理的堆積チャンバにおいて形成された合金吸収体材料を共スパッタリングすることによって形成され、これは、いくつかの実施形態においてはるかに薄い吸収体層の厚さ(30nm未満)を提供し、2%未満の反射率および所望のエッチング性質を実現する。実施形態では、いくつかの実施形態における吸収体層のエッチング性質および他の所望の性質は、各吸収体材料の合金割合を制御することによって仕様に適合される。実施形態では、いくつかの実施形態における合金割合は、物理的気相堆積チャンバの、電圧、気圧、流量など、動作パラメータによって正確に制御される。実施形態では、プロセスガスが、材料性質をさらに変更するために使用され、たとえば、N2ガスが、タンタルおよびイリジウムの窒化物を形成するために、またはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムの窒化物またはアンチモンの窒化物を形成するために使用される。
【0085】
いくつかの実施形態におけるマルチカソードソースチャンバ500は、
図3中に示されているシステムの一部である。実施形態では、極端紫外線(EUV)マスクブランク生産システムは、真空を作り出すための基板ハンドリング真空チャンバと、基板ハンドリング真空チャンバ中に運び込まれた基板を搬送するための、真空にある基板ハンドリングプラットフォームと、基板上の反射層の多層積層体を含むEUVマスクブランクを形成するための、基板ハンドリングプラットフォームによってアクセスされる複数のサブチャンバであって、多層積層体が、複数の反射層ペアと、反射層の多層積層体上のキャッピング層と、キャッピング層上の吸収体層とを含み、吸収体層が、タンタルとイリジウムの合金から作られるか、またはルテニウムとアンチモンの合金の場合、ルテニウムとアンチモンの合金から作られる、複数のサブチャンバとを備える。いくつかの実施形態におけるシステムは、
図4または
図5に関して示され、上記の
図4または
図5に関して説明されたEUVマスクブランクに関して説明された性質のうちのいずれかを有する、EUVマスクブランクを作るために使用される。
【0086】
プロセスは、概して、プロセッサによって実行されたとき、プロセスチャンバが本開示のプロセスを実施することを引き起こすソフトウェアルーチンとして、メモリに記憶され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって制御されているハードウェアから離れて配置された第2のプロセッサ(図示せず)によって記憶および/または実行されてもよい。本開示の方法の一部または全部は、ハードウェアで実施されてもよい。よって、プロセスは、ソフトウェアで実装され、コンピュータシステムを使用して実行されるか、たとえば、特定用途向け集積回路または他のタイプのハードウェア実装形態としてハードウェアで実装されるか、あるいはソフトウェアとハードウェアの組合せとして実装され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されたとき、プロセスが実施されるようにチャンバ動作を制御する専用コンピュータ(コントローラ)に汎用コンピュータを変換する。
【0087】
「一実施形態」、「いくらかの実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」への本明細書全体を通しての言及は、実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。これにより、本明細書全体にわたる様々な場所での「1つまたは複数の実施形態では」、「いくらかの実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの句の出現は、本開示の同じ実施形態を必ずしも指しているとは限らない。その上、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0088】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照しながら説明されたが、これらの実施形態は、本開示の原理および用途の例示的なものにすぎないことを理解されたい。様々な変更形態および変形形態が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく本開示の方法および装置に対して行われ得ることが当業者には明らかであろう。これにより、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある変更形態および変形形態を含むことが意図される。