(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】固有感覚機能の治療機器
(51)【国際特許分類】
A61H 1/00 20060101AFI20240315BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A61H1/00 311Z
A61B5/11 210
(21)【出願番号】P 2020083931
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2023-04-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔ウェブサイトのアドレス〕 https://www.mdpi.com/2076-3417/9/23/4988 〔ウェブサイトの掲載日〕 令和元年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】510108858
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
(73)【特許権者】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 義人
(72)【発明者】
【氏名】森田 良文
(72)【発明者】
【氏名】西尾 玲哉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽平
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-117959(JP,A)
【文献】特開2009-297510(JP,A)
【文献】特開2012-176170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の固有感覚機能を提供する複数の固有受容器の呼応周波数を含む周波数帯を掃引し、前記周波数帯の各周波数の振動刺激信号を発生させる信号発生器と、
前記患者の所定の部位に配置され、前記信号発生器から前記振動刺激信号を受信し、前記振動刺激信号に応じた振動刺激を前記部位に付与する振動刺激デバイスと
を備える、固有感覚機能の治療機器。
【請求項2】
前記患者が取り組むべき課題の内容が表示されるモニタと、
前記課題に取り組んでいる前記患者の立位バランスを計測する重心動揺計及びモーションセンサの少なくとも一方と
をさらに備える、請求項1に記載の固有感覚機能の治療機器。
【請求項3】
請求項1に記載の固有感覚機能の治療機器と、
前記振動刺激デバイスにより振動刺激が付与されている前記患者の立位バランスを測定する重心動揺計及びモーションセンサの少なくとも一方と、
前記重心動揺計の測定結果に基づいて前記患者の固有感覚機能を診断する診断部と
を備える、固有感覚機能の診断治療機器。
【請求項4】
前記患者が取り組むべき課題の内容が表示されるモニタをさらに備え、
前記重心動揺計及びモーションセンサの少なくとも一方が、前記課題に取り組んでいる前記患者の立位バランスを計測する、
請求項3に記載の固有感覚機能の診断治療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固有感覚機能の治療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、脳梗塞などの脳障害による筋緊張症状を持つ患者に対するリハビリテーションを行うための筋振動刺激装置及びその有効性を評価するための筋振動刺激評価システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固有感覚機能を提供する固有受容器は複数あり、各固有受容器によって、呼応する振動刺激の周波数が異なる。本発明は、複数の固有受容器がそれぞれ提供する複数の固有感覚機能を効率的に治療することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る固有感覚機能の治療機器は、患者の固有感覚機能を提供する複数の固有受容器の呼応周波数を含む周波数帯を掃引し、前記周波数帯の各周波数の振動刺激信号を発生させる信号発生器と、前記患者の所定の部位に配置され、前記信号発生器から前記振動刺激信号を受信し、前記振動刺激信号に応じた振動刺激を前記部位に付与する振動刺激デバイスとを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の固有受容器がそれぞれ提供する複数の固有感覚機能を効率的に治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】固有感覚機能の診断治療機器を示す説明図である。
【
図2】振動刺激信号の周波数の時間変化と、前後方向重心移動量の時間変化とを示すグラフである。
【
図3】別の実施形態に係る診断治療機器を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
【0009】
固有感覚とは、外部刺激の感知、身体の位置覚、動作や姿勢の把握である深部感覚機能である。この固有感覚機能の低下は、神経と運動器との協調機能の破綻をきたし、運動機能に大きな影響を与える。従来、この固有感覚機能の低下と易転倒性との関連が指摘されており、近年では腰痛への影響に関する研究報告も散見される。
【0010】
固有感覚機能を提供する器官は、固有受容器と呼ばれ、筋や腱に多数存在する。固有受容器には、筋紡錘、パチニ小体、メルケル小体、マイスナー小体などがある。各固有受容器は、振動刺激に呼応する周波数帯すなわち呼応周波数帯が異なり、呼応周波数帯に応じた外部からの振動刺激に対して高い反応を示すことが知られている。
【0011】
本願に開示する固有感覚機能の治療機器は、呼応周波数帯が異なる複数の固有受容器がそれぞれ提供する固有感覚機能の治療を効率的に行うためのものである。
【0012】
図1に示すように、固有感覚機能の治療機器10は、パーソナルコンピュータ(「PC」とも呼ぶ。)1と、信号発生器2と、信号増幅器3と、4個の振動刺激デバイス4a~4dとを備えている。固有感覚機能の診断治療機器20は、上記治療機器10と重心動揺計5とを備えている。なお、振動刺激デバイスの数は4個に限られず、任意の数とすることができる。
【0013】
パーソナルコンピュータ1は、患者Pの固有感覚機能の診断あるいは治療に必要な振動刺激周波数(例えば5Hz~250Hz)と振動刺激付与部位(腰部又は下腿部)とを選択するユーザインタフェースを有する。パーソナルコンピュータ1は、医療従事者であるユーザにより選択された振動刺激周波数及び振動刺激付与部位に関する指令信号を信号発生器2に送る。
【0014】
患者Pは、固有感覚機能が低下してその機能の改善が必要な者である。一例として、患者Pは腰痛者である。
【0015】
なお、パーソナルコンピュータ1は、ハードウェア構成として、プロセッサと、記憶装置と、液晶ディスプレイなどの表示装置と、キーボード及びマウスなどの入力装置と、外部との通信のためのインタフェース装置と、記憶媒体を読み込むためのドライブ装置とを備えている。
【0016】
信号発生器2は、パーソナルコンピュータ1からの指令信号に基づいて振動刺激信号(正弦波)を発生させ、その振動刺激信号を信号増幅器3に送る。
【0017】
信号増幅器3は、信号発生器2から受けた振動刺激信号を増幅し、増幅された振動刺激信号を振動刺激デバイス4a~4dに送る。このように、信号増幅器3は、診断あるいは治療の必要がある振動刺激付与部位に置かれている振動刺激デバイス4a~4dを駆動するための信号を振動刺激デバイス4a~4dへ供給する。
【0018】
図1には患者Pの背面から見た姿を示している。振動刺激デバイス4a~4dは、前述のとおり4個ある。振動刺激デバイス4aは患者Pの腰部左側に固定され、振動刺激デバイス4bは患者Pの腰部右側に固定される。また、振動刺激デバイス4cは患者Pの左下腿に固定され、振動刺激デバイス4dは患者Pの右下腿に固定される。振動刺激デバイス4a~4dは、信号増幅器3からの振動刺激信号に応じて、診断あるいは治療のための振動刺激を患者Pに付与する。
【0019】
重心動揺計5は、振動刺激付与時における患者Pの体重心の揺らぎを測定し、その測定結果をパーソナルコンピュータ1に送る。パーソナルコンピュータ1は、重心動揺計5の測定結果に基づいて、患者Pの固有感覚機能が低下しているかどうかの診断を行う。診断結果は、パーソナルコンピュータ1の表示装置に表示される。
【0020】
図2に、一例として、信号増幅器3から振動刺激デバイス4a~4dに送られる増幅後の振動刺激信号の波形の周波数と、重心動揺計5の測定結果とを示す。同図(a)の横軸及び同図(b)の横軸はいずれも、重心動揺計5の測定時間(単位:秒)である。同図(a)の縦軸は、重心動揺計5により得られる前後方向重心移動量(単位:cm)であり、同図(b)の縦軸は、振動刺激信号の周波数(単位:Hz)である。
【0021】
同図(b)に示すように、測定を開始してから15秒間は患者Pに対して振動刺激が付与されない。15秒から75秒までは、振動刺激デバイス4a~4dによる振動刺激が患者Pに付与される。振動刺激信号の周波数は時間とともに増加する。すなわち、15秒時点の周波数27Hzを開始周波数とし、75秒時点の周波数272Hzを停止周波数として周波数掃引が行われる。この周波数掃引は信号発生器2により行われる。なお、開始周波数及び停止周波数の値は一例に過ぎない。開始周波数が272Hzであり、停止周波数が27Hzであってもよい。複数の固有受容器の呼応周波数を含む周波数帯が掃引されればよい。
【0022】
同図(a)に示すように、周波数掃引により時間とともに周波数が変化する振動刺激信号に応じて、患者Pの前後方向重心移動量が変化する。
【0023】
パーソナルコンピュータ1は、固有受容器の呼応周波数帯に対応する区間ごとに前後方向重心移動量の平均値(前後方向平均重心移動量)を求める。パーソナルコンピュータ1はさらに、区間ごとの前後方向平均重心移動量を、非腰痛者の標準データと比較することで、患者Pの固有感覚機能が正常か低下しているかを判断する。例えば、非腰痛者の前後方向平均重心移動量の標準データを用いて、患者PのZ得点を求め、そのZ得点に基づいて固有感覚機能を定量的に評価する。固有感覚機能が低下している場合、前後方向重心移動量が小さくなることがわかっているため、これを前提としてZ得点に基づき評価が行われる。
【0024】
各固有受容器の、振動に呼応する周波数帯(呼応周波数帯)を以下に示す。
(1)筋紡錘 20~100Hz
(2)パチニ小体 128~250Hz
(3)メルケル小体 5~15Hz
(4)マイスナー小体 5~40Hz
【0025】
そして、各固有受容器の呼応周波数帯に対応する上記区間の一例は、以下のとおりである。
(ア)筋紡錘 30~43Hz(低周波数帯)
49~71Hz(高周波数帯)
(イ)パチニ小体 168~247Hz
【0026】
以上のような治療機器10によれば、低周波数帯から高周波数帯までを連続的にスイープしながら、各周波数の振動刺激が患者に付与される。そのため、呼応周波数が異なる複数の固有受容器がそれぞれ提供する固有感覚機能を効率的に治療することができる。
【0027】
同様に、診断治療機器20によれば、呼応周波数が異なる複数の固有受容器がそれぞれ提供する固有感覚機能を効率的に診断及び治療することができる。診断治療機器20においては、重心動揺計5とパーソナルコンピュータ1とをリンクすることにより、機能低下している周波数帯を個別に評価することができる。また、診断治療機器20を用いて、機能が低下していると診断された周波数帯と同一周波数帯の振動刺激を付与することで、生体反応が即時的に改善されることを発明者は見いだすことができた。診断治療機器20は、固有感覚機能の診断及び治療の両面において有用である。
【0028】
発明者は、特に高齢者では種々の周波数帯が障害されるという点と、このことにより多様な病態が生じるという点とを見いだしている。これに照らして、発明者は、人体が感知しうる全ての周波数帯(一例として、30~240Hz)に対する固有感覚機能の評価が必要であるとの考えに至り、その考えを治療機器10及び診断治療機器20として具現化した。
【0029】
また、発明者はこれまでの研究から、全ての周波数帯を網羅的に適切な刺激時間で行いうる基礎実験データを有している。この基礎実験データと診断治療機器20とから、人体の固有感覚機能の正確な評価を行うことができる。
【0030】
これまでに、診断治療機器20を用いて、高齢者、サルコペニア患者、腰痛患者において評価を試みている。本機器を使用した研究により、高齢者の慢性腰痛患者において57%に固有感覚機能の低下が認められ、慢性腰痛のない高齢者においては13%であったことが認められた。すなわち、高齢者の慢性腰痛患者と慢性腰痛のない高齢者との間で、統計学的有意差が認められた。また、サルコペニア患者、すなわち下肢骨格筋量の減少した高齢者では、サルコペニアのない高齢者に比べて、下肢における固有感覚機能が有意に低下しているという研究結果も得られた。
【0031】
さらに、治療機器10及び診断治療機器20はいずれも持ち運び可能であり、いかなる施設でも計測可能であるよう設計されている。かかる機器を用いて、固有感覚機能の即時的改善のほか、筋力、筋量をはじめ易転倒性や腰痛の改善も見込まれる。
【0032】
固有感覚機能低下のもたらす身体への影響として、高齢者の転倒および腰痛発生への関連が考えられている。また高齢者の腰痛に関しても、我が国の国民有訴率では腰痛が男性で第一位、女性で第二位となっている。整形外科ではロコモティブシンドロームという概念を提唱し、介護予防のための指針を掲げているが、骨折や変形性関節症はこのロコモティブシンドロームを構成する主要疾患とされている。診断治療機器20を用いて非侵襲的に固有感覚機能を改善することで、転倒に伴う骨折や加齢に伴う腰痛を予防、治療することが可能となることも見込まれる。
【0033】
診断治療機器20により診断にかかる時間を一人あたり17分程度から8分程度へと短縮することができる。それだけではなく、機能低下を自動的に数値化することで、体幹及び下肢における周波数帯別の固有感覚機能について、障害された固有受容器を、生体に対して非侵襲的に診断することができる。障害周波数帯が鑑別できれば、機能低下した固有受容器を標的として、呼応する特定周波数の振動刺激を付与することにより、固有受容器の機能改善が期待できる。
【0034】
障害周波数帯の振動刺激を付与した状態(付与しない状態も含む)で、患者がモニタを見ながらトレーニングを行う治療機器、あるいは患者がモニタを見ながら評価課題を行う診断機器も考えられる。以下に説明する。
【0035】
図3に、患者Pがモニタを見ながらトレーニングを行う治療機器、あるいは患者Pがモニタを見ながら評価課題を行う診断機器の構成を示す。
図1と同じ要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0036】
図示しているように、パーソナルコンピュータ1には、重心動揺計5に加えて外部モニタ6及びモーションセンサ7が接続されている。外部モニタ6は、患者Pが見るためのものであって、パーソナルコンピュータ1が備えるユーザ(医療従事者)用のモニタ(不図示)とは別のモニタである。モーションセンサ7は、患者Pの体の動きや重心動揺を測定するためのセンサである。
【0037】
患者Pは立位で、外部モニタ6に映し出された立位バランスの状態を見ながら、バランスをとるトレーニング、あるいはバランスをとる評価課題を行う。
【0038】
患者Pは立位あるいは座位で、外部モニタ6に映し出された、例えば足を動かすといった追従課題あるいは評価課題を行う。
【0039】
立位バランスの状態(例えば、重心位置)や足の動き(例えば、床面における足の位置)の計測は、重心動揺計5やモーションセンサ7を用いる。モーションセンサ7の例として、RGB-Dカメラのような非接触型センサと、3軸加速度3軸ジャイロセンサのような装着型センサとが挙げられる。
患者Pの立位バランスの状態、あるいは足の動きを、外部モニタ6を介して患者Pに見せるといったバイオフィードバックによるトレーニングを行うことで、機能の回復効果を高めることが期待できる。
障害周波数帯の振動刺激を付与することで、固有感覚機能を賦活化させながらトレーニングを行い、固有感覚機能の回復効果を高めることが期待できる。
患者Pの立位バランスの状態、あるいは足の動きに対応して付与する振動刺激の周波数を変化させながら上記トレーニングを行うことで、機能の回復効果を高めることが期待できる。
重心動揺計5に代えてモーションセンサ7を用いるか、あるいは重心動揺計5とモーションセンサ7とを併用することで、固有感覚機能の診断も可能となる。
【0040】
表1に、考えられる各種の治療機器及び診断治療機器の構成を示す。
【表1】
【0041】
表1の治療機器Aは、信号発生器2と、信号増幅器3と、振動刺激デバイス4a~4dとを備えている。
【0042】
治療機器B-1~B-3はいずれも、PC1と、信号発生器2と、信号増幅器3と、振動刺激デバイス4a~4dと、外部モニタ6とを備えている。治療機器B-1は重心動揺計5をも備えている。治療機器B-2は、外部モニタ6及びモーションセンサ7をも備えている。治療機器B-3は、重心動揺計5、外部モニタ6及びモーションセンサ7をも備えている。このように、治療機器B-1~B-3はいずれも、PC1と、信号発生器2と、信号増幅器3と、振動刺激デバイス4a~4dと、外部モニタ6と、重心動揺計5及びモーションセンサ7の少なくとも一方とを備えている。
【0043】
診断治療機器Cは、PC1と、信号発生器2と、信号増幅器3と、振動刺激デバイス4a~4dと、重心動揺計5とを備えている。この診断治療機器Cは、
図1に示した診断治療機器20と同じ構成である。
【0044】
診断治療機器D-1及びD-2はいずれも、PC1と、信号発生器2と、信号増幅器3と、振動刺激デバイス4a~4dと、重心動揺計5と、外部モニタ6とを備えている。診断治療機器D-2はモーションセンサ7をも備えている。
【0045】
治療機器B-1と診断治療機器D-1とを比較すると、前者は固有感覚機能の治療のためのものであって、パーソナルコンピュータ1は診断機能を有していない。これに対し、後者は固有感覚機能の診断及び治療のためのものであって、パーソナルコンピュータ1は診断機能をも有している。これと同様のことが、治療機器B-3及び診断治療機器D-2についてもいえる。
【0046】
これまでに述べたように、パーソナルコンピュータ1は、信号発生器2に対して指令信号を出力する指令信号出力機能と、重心動揺計の測定結果に基づく診断機能とを有するものとすることができる。
パーソナルコンピュータ1の指令信号出力機能と信号増幅器3の機能とを、信号発生器2へ統合することができる。
また、パーソナルコンピュータ1の診断機能と重心動揺計5及びモーションセンサ7の少なくとも一方とを統合して診断部を構成することができる。
【0047】
これまでに説明した実施形態に関し、以下の付記を開示する。
[付記1]
患者の固有感覚機能を提供する複数の固有受容器の呼応周波数を含む周波数帯を掃引し、前記周波数帯の各周波数の振動刺激信号を発生させる信号発生器と、
前記患者の所定の部位に配置され、前記信号発生器から前記振動刺激信号を受信し、前記振動刺激信号に応じた振動刺激を前記部位に付与する振動刺激デバイスと
を備える、固有感覚機能の治療機器。
[付記2]
前記患者が取り組むべき課題の内容が表示されるモニタと、
前記課題に取り組んでいる前記患者の立位バランスを計測する重心動揺計及びモーションセンサの少なくとも一方と
をさらに備える、付記1に記載の固有感覚機能の治療機器。
[付記3]
付記1に記載の固有感覚機能の治療機器と、
前記振動刺激デバイスにより振動刺激が付与されている前記患者の立位バランスを測定する重心動揺計及びモーションセンサの少なくとも一方と、
前記重心動揺計の測定結果に基づいて前記患者の固有感覚機能を診断する診断部と
を備える、固有感覚機能の診断治療機器。
[付記4]
前記患者が取り組むべき課題の内容が表示されるモニタをさらに備え、
前記重心動揺計及びモーションセンサの少なくとも一方が、前記課題に取り組んでいる前記患者の立位バランスを計測する、
付記3に記載の固有感覚機能の診断治療機器。
【0048】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 パーソナルコンピュータ
2 信号発生器
3 信号増幅器
4a~4d 振動刺激デバイス
5 重心動揺計
10 治療機器
20 診断治療機器