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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】コンベア装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/06 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
B65G17/06 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020036843
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021138483
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤村 要
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-221036(JP,A)
【文献】特開2019-202385(JP,A)
【文献】特公昭49-028421(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライ処理槽と、
支持体に対して所定の間隔をおいて回転可能に配置される一対の駆動スプロケット及び従動スプロケットと、
前記従動スプロケットを前記支持体に対してその位置を移動可能とする機構と、
前記駆動スプロケット及び従動スプロケットに巻き掛けられ、上部側が物品の搬送面を形成し、当該物品の搬送面において前記フライ処理槽を通過させる一対の無端状のコンベアチェーンと、
コンベアチェーンの搬送の向きを規制する機構と、
前記一対のコンベアチェーン間に等間隔に装着された型枠と、
前記一対のコンベアチェーンの搬送面側のフライ処理槽を通過する領域を上方に牽引し、前記フライ槽を離脱する機構とを備えたコンベア装置と、
を備えたフライ処理装置。
【請求項2】
前記従動スプロケットを前記支持体に対してその位置を移動可能とする機構が、前記従動スプロケットがスライド移動可能に装着されるとともに、垂下した錘に連結されることによる所定のテンション力によって支持される機構である請求項1に記載のフライ処理装置。
【請求項3】
前記コンベア装置がさらに、前記従動スプロケット近傍の搬送面側のコンベアチェーンを下方より支持する一対のレールを備えた請求項1又は2に記載のフライ処理装置。
【請求項4】
前記コンベア装置がさらに、前記コンベアチェーンを牽引する際に、前記レールが移動可能な機構を備えた請求項3に記載のフライ処理装置。
【請求項5】
前記コンベア装置において、さらに従動側スプロケット近傍の搬送面の型枠に対して物品を供給する機構を備えた請求項1~4のいずれかに記載のフライ処理装置。
【請求項6】
前記一対のコンベアチェーンの牽引及びレールの移動がコンベアチェーン及びレールを係合又は連結した枠体を上方に牽引して移動させることによって実施される請求項4に記載のフライ処理装置。
【請求項7】
さらに、前記物品の搬送面における型枠に対する蓋を被せるためのコンベア装置を備えた請求項1~6のいずれかに記載のフライ処理装置。
【請求項8】
前記コンベア装置が、纏まり状態にある複数列の麺線群が垂下させた状態で連続的にカットされ、当該カット後の麺線群を、従動側スプロケット近傍の搬送面の型枠に連続的に収納し、コンベアを搬送する過程で前記物品の搬送面がフライオイルを溜めたフライ槽を通過することによってフライ処理するフライ処理装置に利用されるコンベア装置である請求項7に記載のフライ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の製造ラインにおいて、フライ食品の製造等に利用することのできるコンベア装置に関するものである。また、特に当該コンベア装置に対して処理前の食品を投入し、当該コンベア搬送の過程でフライ等の加工処理をする場合に好適に利用できるコンベア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等の製造ラインにおいては、複数列の型枠が無端状のコンベアチェーンに連結され循環するコンベア装置を利用して、当該型枠中に食品等の物品を投入し、当該コンベア装置の搬送工程の途中においてフライ等の加工処理やその他の種々の処理を施す場合が多い。
当該コンベア装置が、一対の駆動スプロケットと従動スプロケットに巻き掛けられた無端状のコンベアチェーンに型枠(リテーナ)が連結しているようなタイプの場合、当該無端状のコンベアチェーンの上側の搬送面において、型枠に食品を収納して搬送し、当該搬送の過程でフライ槽を通過させる等によって食品を処理する。
【0003】
一方、食品のフライ等の加工処理を行う場合、当該コンベア搬送経路に備えられるフライ処理槽等の内部を洗浄したり、修理したりすることが必要になることがある。この場合、当該フライ槽の中を通過するように配置されているコンベアチェーンを一時的にフライ槽から移動させる必要がある。
【0004】
しかし、無端状コンベアチェーンの長さが決まってることから、コンベアチェーンをフライ槽内から移動させるには、コンベアチェーンの連結を外す等の煩雑な対応が必要となる場合があった。
一方、コンベアチェーンの連結を外すことなく、コンベアチェーンを移動させる方法としては特に先行技術は特に開示されていない。関連するものとして特許文献1に示すようにコンベアチェーンの収納庫に関する先行技術が開示されている程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-99355
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明者は、上記のようなフライ等の加工処理を実施するため、フライ槽等を利用するコンベア装置の場合において、コンベアチェーンに対してその連結を外すことなく牽引して移動させることのできるコンベア装置を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者の鋭意研究の結果、上記のようなコンベアチェーンを牽引して移動させることの可能なコンベア装置として、その従動スプロケットについてその位置を移動可能な構成としておき、前記搬送面のコンベアチェーンを牽引して移動させる際に、必要に応じて当該従動スプロケットを移動させることによって、コンベアチェーンの連結を外すことなく、コンベアチェーンをフライ槽等から移動させることが可能となることを見出した。
【0008】
すなわち、本願第一の発明は、
“支持体に対して所定の間隔をおいて回転可能に配置される一対の駆動スプロケット及び従動スプロケットと、
前記従動スプロケットを前記支持体に対してその位置を移動可能とする機構と、
前記駆動スプロケット及び従動スプロケットに巻き掛けられ、上部側が物品の搬送面を形成する一対の無端状のコンベアチェーンと、
前記一対のコンベアチェーン間に等間隔に装着された型枠と、
前記一対のコンベアチェーンの搬送面側の特定領域を牽引する機構と、
を備えたコンベア装置。“、である。
【0009】
次に、前記従動スプロケットを前記支持体に対してその位置を移動可能とする機構として、従動スプロケットをスライド移動可能としておき、当該スプロケットに垂下する錘を連結することで所定の方向へのテンションを加えて、これと無端状のコンベアチェーンの張力が釣り合う位置に従動スプロケットの位置を規定する方法が有効であることを見出した。
【0010】
すなわち、本願第二の発明は、
“前記従動スプロケットを前記支持体に対してその位置を移動可能とする機構が、前記従動スプロケットがスライド移動可能に装着されるとともに、垂下した錘に連結されることによる所定のテンション力によって支持される機構である請求項1に記載のコンベア装置。”、である。
【0011】
次に、本発明のコンベア装置のおいては、前記従動スプロケット近傍の搬送面側において食品等の物品を投入して当該コンベア搬送を通じてフライ等の加工処理を行う場合が多く、
コンベアチェーンに連結された型枠に対して食品を投入した際に型枠の揺動が起こり、コンベア走行時に不安定になる場合があった。このため、従動スプロケット近傍の搬送面側のコンベアチェーンを下方より支持するレールを設けることが有効であることを見出した。
【0012】
すなわち、本願第三の発明は、
“前記コンベア装置がさらに、前記従動スプロケット近傍の搬送面側のコンベアチェーンを下方より支持する一対のレールを備えた請求項1又は2に記載のコンベア装置。”、である。
【0013】
次に、本発明のコンベア装置においてコンベアチェーンを支持するためのレールを装着した場合、前記のようにコンベアチェーンを移動させるために牽引する際に、従動スプロケットが移動する際にレールと干渉する(スプロケットの移動する空間にレールが存在して移動の邪魔となること)場合がある。そこで、前記コンベアチェーンを牽引する際に、先のレールが可動式、すなわち移動可能となる機構を備えることが好適であることを見出した。
【0014】
すなわち、本願第四の発明は、
“前記コンベア装置がさらに、前記コンベアチェーンを牽引する際に、前記レールが移動可能な機構を備えた請求項3に記載のコンベア装置。”、である。
【0015】
次に、本発明のコンベア装置においては、先に述べたように、従動側のスプロケット近傍の搬送面の型枠に食品等の物品を供給する機構を設けることが好適である。
【0016】
すなわち、本願第五の発明は、
“前記コンベア装置において、さらに従動側スプロケット近傍の搬送面の型枠に対して物品を供給する機構を備えた請求項1~4のいずれかに記載のコンベア装置。”、である。
【0017】
次に、本発明のコンベア装置においては、前記コンベアチェーン及びレールの移動をコンベアチェーン及びレールが係合又は連結した所定の枠体を牽引して移動させる方法が好適であることを見出した。
すなわち、本願第六の発明は、
“前記一対のコンベアチェーンの牽引及びレールの移動がコンベアチェーン及びレールを係合又は連結した枠体を上方に牽引して移動させることによって実施される請求項3~5のいずれかに記載のコンベア装置。”、である。
【0018】
次に、本発明のコンベア装置は、その搬送面においてフライ処理槽を通過させるためのコンベア装置であることが好適である。
すなわち、本願第七の発明は、
“前記コンベア装置が、その搬送面についてフライ処理槽を通過させるための装置である請求項1~6のいずれかに記載のコンベア装置。”、である。
【0019】
次に、本発明のコンベア装置は、即席麺等に利用させるフライ麺塊を製造する際に好適に利用できるコンベア装置であって、纏まり状態にある麺線群を垂下させた状態で連続的にカットし、当該カット後の麺線群を、従動側スプロケット近傍の搬送面の型枠に連続的に収納し、当該コンベアを搬送する過程で前記物品の搬送面がフライオイルを溜めたフライ槽を通過することによってフライ処理する場合に利用することが好適である。
【0020】
すなわち、本願第八の発明は、
“前記コンベア装置が、麺線群を垂下させた状態で連続的にカットし、当該カット後の麺線群を、従動側スプロケット近傍の搬送面の型枠に連続的に収納し、当該コンベアを搬送する過程で前記物品の搬送面がフライオイルを溜めたフライ槽を通過することによってフライ処理するフライ処理装置に利用されるコンベア装置である請求項7に記載のコンベア装置。”、である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のコンベア装置を利用することによって、フライ等の加工処理を実施するため、フライ槽等を利用するコンベア装置の場合において、コンベアチェーンに対してその連結を外すことなく牽引して移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のコンベア装置の第一実施態様の側面模式図である。
図2図1の本発明のコンベア装置の第一実施態様の従動スプロケット付近の拡大した側面模式図である。
図3】型枠が連結された一対のコンベアチェーンを示す斜視図である。
図4】即席麺の製造における麺線群のカット及び型枠への投入を示す斜視図である。
図5】型枠が連結された一対のコンベアチェーン及び当該コンベアチェーンに対するレールを示した斜視図である。
図6】本発明の第一の実施態様のコンベア装置において枠体を上方に牽引する場合の変化の状態((A)→(B)→(C))を示す側面模式図である。
図7図6の変化の状態を示す従動スプロケット付近の拡大した側面模式図である。
図8】本発明の第二の実施態様のコンベア装置において枠体を上方に牽引する場合の変化の状態((A)→(B)→(C))を示す側面模式図である。
図9】本発明の第三の実施態様のコンベア装置において枠体を上方に牽引する場合の変化の状態((A)→(B)→(C))を示す側面模式図である。
図10】本発明の第四の実施態様のコンベア装置において枠体を上方に牽引した場合の状態を示す側面模式図である。
【符号の説明】
【0023】
3 型枠
5 フライ槽
7 従動スプロケット
9 駆動スプロケット
13 蓋体
15 支持体
17 錘
19 ワイヤー
21 コンベアチェーン
23 補助ガイド
25 麺投入機
27 蓋コンベア
29 回転刃
31 レール
311 長レール
313 短レール
33 別の搬送コンベア
35 軌道規制棒
37 枠体
39 蓋カバー
MS 麺線群
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の内容について実施例を例示しながら詳細に記載する。但し、本発明は本実施例に限定されるものではない。図1は本発明のコンベア装置を第一の実施態様を示す全体の断面模式図である。また、図2図1における従動側のスプロケット付近の拡大図である。
【0025】
図1及び図2に記載のするように本発明の第一の実施態様のコンベア装置は、コンベア搬送される型枠3が所定のフライ槽内5を通過するように構成されており、食品をフライ処理するためのコンベア装置に関するものである。
所定の支持体15に対して従動スプロケット7及び駆動スプロケット9が装着されており、駆動スプロケット9が回転することでコンベアを全体して矢印方向に搬送する。そして当該搬送途中において、フライ槽5が配置されており当該フライ槽5を通過するように構成されている。
【0026】
さらに、本発明の第一の実施態様においては、搬送される型枠3に対して上部から蓋13を被せる蓋コンベア装置27も備えられている。すなわち、型枠3に物品が収納され当該型枠3が搬送されフライ槽5に進入する前に上部より蓋体13が被さり、型枠3の上部を蓋体13が抑えた状態のままフライ槽5に進入し、対象物をフライ処理している間にフライ物が型枠から外れないように構成されている。さらに、フライ槽から脱する際に上部の蓋体が離れて型枠のみの状態で搬送される態様となっている。
尚、当該蓋13については型枠3に従動するタイプでもよいし、型枠3に同期しつつ独立して駆動するタイプのいずれも可能である。
以下さらに、各構成を詳しく説明する。
【0027】
─コンベア装置の全体構成─
図1及び図2に示すように本発明においては、所定の支持体15に対して一対の駆動スプロケット9及び従動スプロケット7が平行に配置されるように装着されている。
このうち、一対の駆動スプロケット9は支持体15に固定されており、モータ部等の所定の動力部と連結されている。
また、従動スプロケット7は、図1及び図2に示すように水平方向にスライド移動可能に装着されている。そして、当該従動スプロケットには、垂下する錘17がワイヤー19によって連結されており、図1に示すようにコンベア装置対して外方向に働くテンション力を与えられている。
【0028】
また、当該テンション力に対してコンベアチェーン21の張力が対抗しており、両者が釣り合う地点に従動スプロケット7が位置している。
従動スプロケット7及び駆動スプロケット9には、一対のコンベアチェーン21が無端状となるように巻き掛けられており、駆動スプロケット9の駆動力が従動スプロケット7に伝わるようになっている。
【0029】
尚、駆動スプロケット9及び従動スプロケット7以外に複数のガイドやスプロケットが設置されており、コンベアチェーン21の搬送の向きを変更等の規定をしている。
また、一対のコンベアチェーン間21においては、上面側が物品の搬送面となっており、図3に示すように型枠(リテーナ)3が連結されており、当該型枠内3に搬送する物品を収納し、搬送するようになっている。また、当該物品を搬送後においては逆さを向いた型枠3がコンベアチェーン21の下方側に沿って搬送される形態となっており、当該繰り返しを循環して行うようになっている。
【0030】
次に、従動スプロケット7の付近においては、物品を投入するための投入機が設置されており、上部より供給される物品が順次型枠に供給されていくようになっている。
特に即席麺における麺塊の製造の場合においては、図4に示すように麺線群MSを投入するための麺投入機25が設置されており、上部のコンベアより垂下した麺線群MSが回転する回転刃29によって順次、切り出しされて当該カットされた麺線群MSが従動スプロケット7付近において型枠に投入されていく場合が多く、本コンベア装置は当該麺塊の生産に好適に利用することができる。
【0031】
当該型枠が搬送されている従動スプロケット7の近傍においては、麺線群MSの投入時においてコンベアチェーン21に繋がれた型枠3が上下等することを避けるために図5に示すようにコンベアチェーンを支持するレール31が設けられている。
当該、当該レールが存在することによって、従動スプロケット7の近傍の搬送面で物品(麺線群)の供給時に型枠3が衝撃で揺動する等の問題を回避できる。これによって安定した搬送が可能となる。
【0032】
また、コンベア搬送面においては、フライ対象となる物品(食品)が供給機25より供給された状態で搬送された後、当該型枠3が搬送されフライ槽5に進入する前に上部より蓋体13が被さり、型枠3の上部を蓋体13が抑えた状態のままフライ槽5に進入し、対象物をフライ処理している間にフライ物が型枠3から外れないように構成されている。
【0033】
尚、フライ槽内5でのコンベアチェーン21の軌道を規制するためにフライ槽内5には適宜、軌道規制棒35が設けられている。当該軌道規制棒35をコンベアチェーン21が通過するように構成することでコンベアチェーン21の搬送軌道を固定している。
【0034】
さらに、フライ槽5から脱する際に上部の蓋体13が離れて型枠5のみの状態で搬送される態様となっている。当該蓋体13が外れた状態の型枠3は、搬送面の終端において反転して逆さを向きくようになっており、図1に示すように当該反転状態の型枠よりフライ処理されたフライ物を別の搬送コンベア33が受け取り別途次の工程に移行するように構成されている。
【0035】
─前記一対のコンベアチェーンの搬送面側の特定領域を牽引する機構─
次に本発明においては、上記コンベア装置の上側の搬送面の特定領域のコンベアチェーン21を牽引する機構を有している。図1に示す本発明の第一の実施態様においては、フライ槽5の中にコンベア装置のコンベア搬送路が設けられている。
食品の生産においては、当該生産終了時や品種の交換等の際にフライ槽5を洗浄する必要がある。この場合、当該コンベアの搬送路からコンベアチェーン21及び当該コンベアチェーンに連結する型枠3を移動させる必要がある。
【0036】
本発明においては、このようにコンベアチェーン21を移動させる際に当該コンベアチェーン21の搬送面の特定領域を牽引する機構を有している。特に図6(A)~(C)に示す態様は、図1のコンベア装置について上部にコンベアチェーン21を牽引して上方に移動させた場合の構成の変化を示している。また、図7(A)~(C)は、図6の場合についての従動スプロケット7の近傍の拡大図である。
【0037】
図6及び図7に示すように本発明の第一の実施態様においては、コンベア装置のフライ槽内5及びその近傍に位置するコンベアチェーン21の特定領域について、当該コンベアチェーン21にフライ槽内5における軌道を規制する軌道規制棒35及び蓋体13の蓋コンベア装置27を含む枠体を上方に牽引する態様を示している。
【0038】
尚、本第一の実施態様はあくまで一例に過ぎず、コンベアチェーン21の牽引の態様は他の種々の態様が可能であることは勿論である。すなわち、枠体37を利用せずにコンベアチェーン21のみを牽引してもよいし、また、その領域は広狭を問わない。また、上方への牽引の機構については特に図示しないが、ゲートリフトやシリンダーリフト等の公知の種々の方法を利用することが可能である。
【0039】
本発明の第一の実施態様においては、図6及び図7に示すように、上方に牽引することによって、フライ槽内5の近傍に位置するコンベアチェーン21等を含む枠体37が上方に移動する。また、コンベアチェーン21は補助ガイド23において屈曲した状態となりながら上方に移動する。
【0040】
当該移動によって無端状のコンベアチェーン21の周長は一定であるため、水平方向の内向きの張力が増加する。このため、水平方向に移動可能な従動スプロケット7がコンベア装置の内側方向に移動することになる。また、錘17がこれに従って上昇する。
さらに、本第一の実施態様においては、従動スプロケット7の近傍にレール31が配置されており当該レール31の上にコンベアチェーン21が支持されている。但し、当該レール31が存在すると従動スプロケット7が上述のように内側に移動した場合、レール31と従動スプロケット7が干渉してしまう(従動スプロケット7の移動する空間にレール31が存在して移動の邪魔となる)。
【0041】
このため、枠体37が上昇し、コンベアチェーン21が上昇すると共に、従動スプロケット7との干渉を避けてるためにレール31も可動式として、コンベア装置の内側方向に移動するように構成されている。
【0042】
具体的には、レール31は従動スプロケットの側から長短の2本のレール(311,313)が蝶番で繋がった態様を有しており、当該蝶番部が可動支点となっている。さらに、短いレール313の端部と枠体37の端部が蝶番で繋がっており当該蝶番部が可動支点となっている。また、いずれのレール(311、313)も移動可能となっている。具体的には各レール(311、313)は、当該レール(311、313)の下部に設けられた支持部上に載置されており、移動が可能となっている。
【0043】
枠体37が上昇すると、まず、上記の両方の蝶番部において短レール313が屈折しながら、その一端が上方に起立を始める。これに伴い短レール313に連結された長レール311は水平方向に移動する。
さらに、枠体37が上昇しフライ槽内5の近傍に位置するコンベアチェーン21がさらに上昇すると、長レール311の水平方向の移動も進行する。このようにして従動スプロケット7の干渉を回避できる。
【0044】
図5(C)及び図6(C)においては、フライ槽内5のコンベアチェーン21が移動完了しており、フライ槽5が露出しているため、内部の洗浄・油の入れ替え等の必要な処理を行うことが可能となる。
【0045】
フライ槽5の処理が終了すると、先の工程とは逆の工程を経ることによってフライ槽内5にコンベアチェーン21を配置することができる。
このように、本発明の第一の実施態様においては、コンベアチェーン21の上方への牽引にともなう従動スプロケット7及びレール31の移動を実現している。本構成を採用することでリテーナチェーン21を外す等の煩雑な作業を伴うことなく、フライ槽内5の洗浄等の措置を採ることができる。
【0046】
また、上記の実施態様においては、レール31を従動スプロケット7の近傍の領域のコンベアチェーン21に対して設けている例を示しているが、コンベアチェーン21の他の領域に対して設けてもよいことは勿論である
さらに、本実施態様においてはレール31を装着している場合について示したが、本発明はレール31を設けない場合も可能であることは勿論である。
【0047】
─他の態様─
本発明の第一の実施態様は本発明の一例にすぎず、他に様々な態様取ることが可能である。例えば、図8に示す第二の実施態様は、駆動スプロケット9を移動する枠体側37にした場合の例を示している。このように駆動スプロケット9が上方に牽引され移動する枠体側37に存在してもよいことは勿論である。
【0048】
次に図9に示す第三の実施態様は、移動する枠体37の構成が異なる場合を示したものである。すなわち、移動する枠体37が蓋コンベア27とフライ槽内5及びその近傍に位置するコンベアチェーン21のみとなっている場合を示している。また、図9のタイプの場合、従動スプロケット7の内方向への移動距離は図5図6よりも多少短くなる。
【0049】
さらに、図10に示す第四の実施態様は、蓋コンベア27を有さず、蓋コンベアの代わりに蓋カバー39を装着した例を示す。すなわち、図10では、コンベア装置に装着された型枠がフライ槽に進入した際に、その上部を覆う固定された多孔性の板状カバー(蓋カバー)39を装備している。本発明はこのような種々の態様においても適用可能であることは勿論である。
【0050】
次に、上記各実施態様は、本発明のコンベア装置をフライ処理のためのフライ槽5を通過するフライ処理装置として利用する場合を例として示したが、本発明のコンベア装置は、フライ処理装置に限られず、例えば、本発明のコンベア装置を利用して対象となる物品(食品等)を乾燥機や蒸煮装置等の種々の処理装置を通過するために利用することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10