(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】静電気的にクランプされたエッジリング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240315BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022203842
(22)【出願日】2022-12-21
(62)【分割の表示】P 2019523082の分割
【原出願日】2017-10-19
【審査請求日】2023-01-18
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キンボール・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ギャフ・キース
(72)【発明者】
【氏名】ワン・フェン
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特許第7200101(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流をエッジリングに提供して温度を調節するための少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを有する静電リング
チャックを備えるプラズマ処理チャンバにおいて前記エッジリングを静電気的にクランプするための方法であって、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルに真空を提供することと、
前記真空の提供後に、前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける圧力を測定することと、
前記真空の提供後に、前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける前記圧力が閾値最大圧力に達したときに静電リングクランプ電圧を提供することと、
前記静電リングクランプ電圧の提供後に、前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルへの前記真空を停止することと、
前記真空の停止後に、前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける圧力を測定することと、
前記真空の停止後に、前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける圧力が閾値より速く上昇した場合は、シール不良を示すことと、
前記真空の停止後に、前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける圧力が前記閾値より速く上昇しない場合は、前記エッジリングの温度を調節するために前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを用い
ながら、プラズマプロセスを継続することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルに真空を提供する間は、前記プラズマ処理チャンバは大気圧である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
シール不良が示された場合に前記エッジリングを設置し直すことを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマプロセスを提供することは、
前記静電リングクランプ電圧を維持しながら、前記プラズマ処理チャンバにおいて基板をプラズマ処理することと、
前記基板をプラズマ処理しながら、前記リング裏面温度チャネルによって前記エッジリングの温度制御を提供することと、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記プラズマプロセスを提供することは、さらに、
前記プラズマ処理チャンバにおいて前記基板を設置することと、
前記プラズマ処理チャンバにおいて真空を提供することと、
を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルに前記真空を提供する前に、前記静電リング
チャックに前記エッジリングを設置することを含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記静電リング
チャックに前記エッジリングを設置することは、前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルに前記真空を提供する前に、前記エッジリングを前記静電リング
チャックから10ミクロンから50ミクロン離間させる、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルに前記真空を提供することは、前記エッジリングを前記静電リング
チャックから20ミクロン未満離間させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出題の相互参照】
【0001】
本出願は、全ての目的のため本明細書に参照として援用される、2016年11月3日出願の米国出願第15/343,010の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、基板をプラズマ処理するための方法および装置に関する。特に、本開示は、プラズマ処理チャンバにおいてエッジリングをクランプするための方法および装置に関する。
【0003】
プラズマ処理において、エッジリングを備えたプラズマ処理チャンバは、改良されたプロセス制御を提供するのに用いられてよい。
【発明の概要】
【0004】
前述を達成するために、および、本開示の目的に従って、プラズマ処理チャンバのエッジリングを、ガス流をエッジリングに提供して温度を調節するための少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを有する静電リングクランプと静電気的にクランプするための方法が提供される。真空は、少なくとも1つのリング裏面温度チャネルに提供される。少なくとも1つのリング裏面温度チャネル内の圧力が測定される。少なくとも1つのリング裏面温度チャネルの圧力が閾値最大圧力に達したときに、静電リングクランプ圧力が提供される。少なくとも1つのリング裏面温度チャネルへの真空が停止される。少なくとも1つのリング裏面温度チャネルの圧力が測定される。少なくとも1つのリング裏面温度チャネルの圧力が閾値速度より速く上昇する場合は、シール不良が示される。少なくとも1つのリング裏面温度チャネルの圧力が閾値速度より速く上昇しない場合は、プラズマプロセスは、エッジリングの温度を調節するために少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを用いて継続される。
【0005】
別の実施例では、エッジリングは、静電ウエハチャック、ならびに、周りを囲む冷却溝を備えた中央開口部を有し、冷却溝の下方にリングクランプ電極、および、エッジリングの温度を調節するためにガス流を冷却溝に提供するための少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを有する静電リングチャックを備えたプラズマ処理チャンバで用いるために提供される。エッジリングは、リングクランプ電極および少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを備えた静電リングチャックの上に設置される第1の表面を有するエッジリング本体を備え、エッジリング本体は、静電リングチャックの上に設置されたときにリングクランプ電極の上に位置する導電部分を備え、エッジリング本体の第1の表面は、中央開口部、および、第1の表面に一体化されて第1の表面の中央開口部を囲む第1のエラストマリングを備え、第1のエラストマリングは、冷却溝をシールするのに用いられる。
【0006】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、次の図と併せて、以下の本発明を実施するための形態においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示は、付随の図面の図において限定ではなく例示を目的として説明され、その中で類似の参照番号は、同様の要素を指す。
【0008】
【
図1】一実施形態によるプラズマ処理チャンバの概略断面図。
【0009】
【
図2】一実施形態を実行するのに用いられうるコンピュータシステムの概略図。
【0010】
【
図3】
図1に示すエッチングリングおよび静電リングチャックの拡大図。
【0011】
【0012】
【0013】
【
図6】別の実施形態におけるESCシステムおよび基板の一部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下に、付随の図面に表すようにそのいくつかの好ましい実施形態に関して詳細に説明される。以下の説明では、本発明の十分な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記載される。しかし、本発明がこれらの特定の詳細の一部または全てなしに実行されうることは、当業者には明らかだろう。他の例では、本発明を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセスステップおよび/または構造は詳細には説明されていない。
【0015】
図1は、一実施形態で用いられうるプラズマ処理チャンバの概略図である。1つ以上の実施形態では、プラズマ処理システム100は、チャンバ壁150に囲まれた処理チャンバ149内部に、ガス注入口を提供するガス分配プレート106、ならびに、セラミックプレート112およびベースプレート114を有する静電チャックシステム(ESCシステム)108を備える。処理チャンバ149内部では、基板104は、ESCシステム108の上面に設置される。ESCシステム108は、ESC源148からバイアスを提供してよい。ガス源110は、分配プレート106を介してプラズマ処理チャンバ149に接続される。ESC温度調節器151は、ESCシステム108に接続され、ESCシステム108の温度調節を提供する。真空源160は、ESCシステム108に接続される。RF源130は、RF電力をESCシステム108および上部電極(本実施形態では、ガス分配プレート106)に提供する。好ましい実施形態では、2MHz、60MHz、および任意で27MHzの電源がRF源130を構成する。本実施形態では、各周波数に1つの発生器が提供される。他の実施形態では、発生器は別のRF源にある、または、別々のRF発生器が異なる電極に接続されてよい。例えば、上部電極は、異なるRF源に接続された内部電極および外部電極を有してよい。RF源および電極の他の配置は、上部電極が接地されうる別の実施形態などの他の実施形態で用いられてよい。コントローラ135は、RF源130、ESC源148、排気ポンプ120、およびエッチングガス源110に制御可能に接続される。エッジリング116は、基板104の外縁でESCシステム108に支持される。そのようなプラズマ処理チャンバの例は、カリフォルニア州フレモントのラムリサーチ株式会社によって製造されたExelan Flex(商標登録)エッチングシステムである。プロセスチャンバは、CCP(容量結合プラズマ)リアクタ、またはICP(誘導結合プラズマ)リアクタ、または、様々な実施形態における別のタイプの駆動プラズマであってよい。
【0016】
図2は、本発明の実施形態で用いられるコントローラ135を実行するのに適したコンピュータシステム200を示す高レベルブロック図である。コンピュータシステムは、集積回路、プリント回路基板、および小型ハンドヘルドデバイスから大型スーパーコンピュータに至るまでの多くの物理的形状を有してよい。コンピュータシステム200は、1つ以上のプロセッサ202を含み、さらに、電子表示装置204(画像、文章、および他のデータの表示用)、メインメモリ206(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、記憶装置208(例えば、ハードディスクドライブ)、リムーバブル記憶装置210(例えば、光ディスクドライブ)、ユーザインタフェースデバイス212(例えば、キーボード、タッチスクリーン、キーパッド、マウスまたは他のポインティングデバイス、など)、ならびに、通信インタフェース214(例えば、ワイヤレスネットワークインタフェース)を含みうる。通信インタフェース214は、ソフトウェアおよびデータがリンクを通じてコンピュータシステム200と外部デバイスとの間に転送されるようにする。システムは、また、前述のデバイス/モジュールが接続される通信インフラストラクチャ216(例えば、通信バス、クロスオーババー、またはネットワーク)を含んでもよい。
【0017】
通信インタフェース214を通じて転送された情報は、電子、電磁、光などの形態の信号、または、信号を伝達する通信リンクを通じて通信インタフェース214によって受信されうる信号であってよく、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、電話線、携帯電話リンク、無線周波数リンク、および/または、他の通信チャネルを用いて行われてよい。そのような通信インタフェースによって、1つ以上のプロセッサ202は、上述の方法のステップを実施する過程において、ネットワークから情報を受信しうる、または、情報をネットワークに出力しうると考えられる。さらに、本発明の方法の実施形態は、処理の一部を共有するリモートプロセッサと併せて、プロセッサ上のみで実行してよい、または、インターネットなどのネットワーク上で実行してよい。
【0018】
用語「非過渡コンピュータ可読媒体」は、一般に、メインメモリ、二次メモリ、リムーバブル記憶装置、ならびに、ハードディスク、フラッシュメモリ、ディスクドライブメモリ、CD-ROM、および、他の形態の永続メモリなどの記憶装置、などの媒体を指すのに用いられ、搬送波または信号などの一時的対象を網羅するとは解釈されない。コンピュータコードの例は、コンパイラによって生成されたものなどのマシンコードを含み、インタプリタを用いてコンピュータによって実行されるより高いレベルコードを含むファイルを含む。コンピュータ可読媒体は、また、搬送波において具現化され、プロセッサによって実行可能な一連の命令を表すコンピュータデータ信号によって送信されたコンピュータコードであってもよい。
【0019】
図3は、ESCシステム108および基板104の一部の拡大図である。ESCシステム108は、セラミックプレート112およびベースプレート114を備える。エラストマ接着剤304は、セラミックプレート112をベースプレート114に固定させる。セラミックプレート112の隆起した中央部分306は、基板104を静電気的にチャックするために電圧を印加するのに用いられる基板クランプ電極308である。少なくとも1つの基板チャッククランプ電極リード309は、
図1で示されるように、基板クランプ電極308とESC源148との間で接続される。セラミックプレートの下部周辺部310には、エッジリング116を静電気的にチャックするために電圧を加圧するのに用いられるエッジリングクランプ電極312がある。少なくとも1つのエッジリングクランプ電極リード314は、
図1で示されるように、エッジリングクランプ電極312とESC源148との間で接続される。一実施形態では、ESC源148は、複数の電圧源であってよい。別の実施形態では、ESC源148は、異なる電圧を基板クランプ電極308およびエッジリングクランプ電極312に別々に印加するための複数のスイッチを備える1つの電圧源であってよい。下部周辺部310の一部は、下部周辺部310とエッジリング116との間で冷却溝350によって形成されたギャップを形成するために凹んでよい。冷却溝350は、冷却剤がエッジリング116の裏側付近を流れて冷却剤用のシールの形成を促すようにする領域を提供する。
【0020】
隆起した中央部分306には、
図1で示されるように、流体接続部324を通じてESC温度調節器151に接続される複数の基板裏面温度チャネル320がある。下部周辺部310には、
図1で示されるように、流体接続部332を通じてESC温度調節器151に接続される複数のリング裏面温度チャネル328がある。下部周辺部310の上面の第1のシール溝336は、隆起した中央部分306の周りに輪を作る。下部周辺部310の上面の第2のシール溝340は、第1のシール溝336の周りに第1のシール溝336と同心の輪を作る。
【0021】
エッジリング116は、エッジリング本体394と、エッジリング本体394に一体化された第1のエラストマリング344と、エッジリング本体394に一体化された第2のエラストマリング348とを備える。
図4は、エッジリング116の底面図である。エッジリング116の底面は、
図3にも示される第1の表面404を形成する。エッジリング116は、外径408および内径412を有する。この例では、外径は400mmであり、内径は290mmである。内径の内部には、エッジリング116の中央開口部がある。この例では、エッジリング116は、第1の表面404を含むエッジリング116に導電性があるようにシリコンから形成される。この例では、第1のエラストマリング344、第2のエラストマリング348、およびエッジリング116は、図のように全て同心円である。エッジリング116の中央の穴は、図のように中央開口部を形成する。
【0022】
エッジリングクランプ電極312は、静電リングチャックを形成する。基板クランプ電極308は、静電ウエハチャックを形成する。エッジリング116全体または第1の表面404に導電性がない場合は、エッジリング116は、導電部分を有する必要がある。
図3に示されるように、エッジリング116の導電部分がエッジリングクランプ電極312の上方になり、隆起した中央部分306が中央開口部を貫通するようにエッジリング116が静電リングチャック上に取り付けられたときは、第1のエラストマリング344は、第1のシール溝336に設置され、第2のエラストマリング348は、第2のシール溝340に設置される。
【0023】
この例では、第1のシール溝336および第2のシール溝340は、0.5mmの深さを有する。第1のエラストマリング344および第2のエラストマリング348は、クランプ後に0.5mmの高さを有する。
【0024】
図5は、エッジリング116をチャックするためのプロセスの高レベルフローチャートである。エッジリング116は、静電リングチャック上に設置される(ステップ504)。エッジリング116は、
図1および
図3に示されるように、静電リングチャック上に設置されてよい。静電リングチャックは、エッジリングクランプ電極312によって形成される。セラミックプレート112の下部周辺部310、下部周辺部310の上面の第1のシール溝336、下部周辺部310の上面の第2のシール溝340、冷却溝350、および複数のリング裏面温度チャネル328は、さらに、静電リングチャックを構成してよい。真空は、流体接続部332を真空源160に接続することによって複数のリング裏面温度チャネル328に提供される(ステップ508)。真空源160は真空を提供し、真空は、エッジリング116を下部周辺部310の上面に向かって動かし、第1のエラストマリング344および第2のエラストマリング348が第1のシール溝336および第2のシール溝340の内部にそれぞれ圧縮されるようにする。エッジリング116の上面の圧力が大気圧になるように、チャンバ圧は大気圧であることが好ましい。印加された真空は、エッジリング116の機械的動作にエッジリング116の静電クランプを促進させ、シールの検査を可能にする。裏面温度チャネルの圧力が測定される。圧力が閾値圧力まで低下したときに、リングクランプ電圧が印加される(ステップ512)。圧力閾値は、エッジリングクランプ電極312がエッジリング116をクランプできるようにするだろう閾値距離にエッジリング116が強制されてきたことが示される。次に、真空の印加は停止される(ステップ516)。裏面温度チャネル328の圧力が測定される(ステップ520)。測定された圧力の上昇が閾値速度より大きい場合は、シールが失敗したことが示される(ステップ524)。次に、シールは再形成されなければならない(ステップ528)。これは、エッジリングを設置し直すことによって行われてよい。このことで、第1のエラストマリング344および第2のエラストマリング348が置き換わるようにエッジリング116を交換する必要があるかもしれない。測定された圧力の上昇が閾値速度より小さい場合は、シールが十分であることが示される。次に、裏面温度チャネル328は、エッジリング116の温度調節に用いられる(ステップ532)。エッジリングクランプ電極は、ESCシステムの基板クランプ電極上方への基板の設置中、基板のクランプ中、基板の処理中、基板のデクランプ中、および基板の取り外し中は、エッジリングを継続的にクランプする。そのため、リングクランプ電極および基板クランプ電極は、独立して動作し、基板クランプ電極が基板をクランプしてその後にデクランプするのに用いられる一方で、リングクランプ電極は継続してクランプできる。
【0025】
本実施形態は、エッジリングの温度調節が可能なエッジリングシールを提供する。エッジリングの温度調節が可能なことはプラズマ処理中の多大な制御を提供し、プラズマ処理を向上させる。
【0026】
本実施形態は、Oリングを用いる構成に対して様々な利点を提供する。同様の目的でOリングを用いるためには、Oリングは、大径で薄く、軟質材で作られる必要があるだろう。所望のシールを形成するためにそのようなOリングを設置することは、Oリングの脆弱性、および、Oリングの挟み込みまたはバンチングを防ぐなどのシールを形成するための様々な条件から、非常に熟練した技術者を必要とするだろう。本実施形態は、エッジリングを静電リングチャック上に簡単かつ手軽に設置するため、熟練度の低い技術者で可能である。
【0027】
他の実施形態では、セラミックプレートは、下部周辺部310から分離する隆起した中央部分306を備える、2つの部分であってよい。エッジリング全体は、シリコンなどの導電材料で作られてよい。他の実施形態では、エッジリングは、エッジリングが静電リングチャック上に設置されたときにリングクランプ電極の上方に設置される導電部分を備えた誘電材である。導電部分は、静電クランプを促す。エッジリングは、ケイ素、炭化ケイ素、石英のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0028】
様々な実施形態では、各エラストマリングの高さは、エラストマリングが設置される溝の深さより大きい。これにより、エラストマリングはシールの形成時に圧縮され、シールを築くのに役立つ。様々な実施形態では、エラストマ
リングは、異なる断面を有してよい。エラストマリングの断面は、長方形、正方形、三角形、台形、半円のうちの少なくとも1つであることが好ましい。エラストマリングの断面の底部は、エッジリングの残りの部分に統合されているエラストマリングの上部より狭いことがより好ましい。エラストマリングは、
図3に示されるように、台形であることが最も好ましい。エラストマリングは、0.25mmから2mmの間の高さを有することが好ましい。エラストマリングの高さは、溝の深さより10ミクロンから50ミクロン大きいことが好ましい。エラストマリングの高さの公差は、50ミクロンまたはそれより優れていることが好ましい。エラストマリングの高さの公差は、12~13ミクロンであることがより好ましい。エッジリングの外径は、200mmから450mmの間であることが好ましい。エッジリングの外径は、300mmから400mmの間であることがより好ましい。エッジリング、第1のエラストマリング、および第2のエラストマリングは、同心円であることが好ましい。第1のエラストマリングは、エッジリングの内端から10mm以内であり、第2のエラストマリングは、エッジリングの外端から30mm以内であることが好ましい。
【0029】
ウエハのチャック時に、ウエハは湾曲してシールの形成を助けるため、エラストマリングは必要ない。エッジリングはウエハより遥かに厚いため、エッジリングは、エラグトマリングなしにシールを形成するほど十分には湾曲しない。いくつかの実施形態では、エラストマリングは、エッジリング上に湿ったエラストマまたは液体エラストマを施し、次にエッジリング上のエラストマを乾燥させまたは凝固させて硬化させることによって形成されてよい。様々な実施形態では、エラストマリングは、シリコーンなど、一定限度を超えてガスを放出させないだろう軟質エラストマで作られる。エラストマリングは、少なくとも200mmのリング径、および、0.25mmから2mmの間の高さを有するシリコーンを備えることが好ましい。エラストマの断面の厚さは、3mm未満であることが好ましい。エラストマリングは、少なくとも200mmの直径、および、0.25mmから1.5mmの間の高さを有するシリコーンを備えることが好ましい。セラミックプレートの表面の溝は、クランプを可能にするためにエッジリングの表面が静電リングクランプに近接して設置されるようにする。エラストマリングのいくらかの圧縮を伴うエラストマリングの高さおよび溝の深さは、さらなる20ミクロンのエラストマの圧縮が必要なエッジリングの20ミクロンの非平坦性を補いながら、エラストマリングの周囲にガスシールを提供する(エラストマの圧縮は、エラストマシールの高さマイナス溝の深さである)。セラミックプレートの表面における任意のフィーチャは、セラミックプレートの表面とエッジリングとの間に10ミクロンのギャップを提供する。ギャップ350は、0ミクロンから20ミクロンでありうる。
【0030】
一実施形態では、エラストマの高さは、溝の深さと、溝の深さの公差と、エラストマシールの高さの公差(全て対称公差と仮定して)と、エッジリングの平坦度との和に等しい。そのため、溝の深さが0.5mm+25μmの場合は、エラストマシールは、目標高さの+15μm以内に調節され、リングの平坦度は20μmであり、エラストマシールの目標高さは、0.5mm+25μm+15μm+20μm=0.56mmとなるだろう。これにより、エラストマが最小の高さであるときは、溝は最大の深さであり、平坦度は最も悪く、シールは、それでも溝の底部でリング面と接触するだろうことが確実となる。全ての項目が同時に最悪の場合になる可能性は低いため、時として、エラストマシールの目標高さが0.5mm+平方根(25μm2+15μm2+20μm2)=0.535mmとなるだろうRSS加算を用いる。
【0031】
一実施形態では、プラズマ処理中の摩耗を許容するために、および、高さの自由度を提供するために、エッジリングは、少なくとも1mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、エッジリングは、シースコントロールを提供するためウエハの上面上方にある上面を有する。
【0032】
裏面温度調節流路は、ヘリウムガス冷却剤を送るヘリウム流路であることが好ましい。冷却剤は、基板およびエッジリングの両方を冷却するのに用いられる。そのような実施形態は、基板およびエッジリングの両方の温度調節を可能にする。また、本実施形態は、基板およびエッジリングの別々の温度調節が可能である。他の実施形態では、冷却剤として、アルゴン、空気、窒素、もしくは非常に低い蒸気圧の液体などの他のガスまたは液体が用いられてよい。
【0033】
図6は、別の実施形態におけるESCシステム108および基板104の一部の拡大図である。ESCシステム108は、セラミックプレート112およびベースプレート114を備える。エラストマ接着剤604は、セラミックプレート112をベースプレート114に固定させる。本実施形態では、セラミックプレート112は、中央の基板支持部606および周辺のリング状エッジリング支持部610を備える。セラミックプレート112のエッジリング支持部610には、基板支持部606およびエッジリング支持部610の中央開口部を囲む円形の冷却溝650がある。冷却溝650の底部の下には、エッジリング116を静電気的にチャックするために電圧を印加するのに用いられるエッジリングクランプ電極612がある。少なくとも1つのエッジリングクランプ電極リード614は、
図1に示されるように、エッジリングクランプ電極612とESC源148との間で接続される。冷却溝650は、エッジリング116がエッジリング支持部610上に設置されたときに、エッジリング支持部610とエッジリング116との間にギャップを生じさせる。
【0034】
エッジリング支持部610には、
図1に示されるように、流体接続部632を通じてESC温度調節器151に、および冷却溝650に接続される複数の裏面温度チャネル628がある。エッジリング116は、エッジリング116に一体化されたエラストマリング644を有する。この例では、エラストマリング644は、リングを形成するシートの形状である。このシートは、25ミクロン未満の厚さ、および、冷却溝650の幅より大きい幅であることが好ましい。
【0035】
エッジリングクランプ電極612、冷却溝650、およびエッジリング支持部610は、静電リングチャックを形成する。
図6に示されるように、エッジリング116の導電部分がエッジリングクランプ電極612の上になり、中央基板支持部分606が中央開口部を貫通するようにエッジリング116が静電リングチャック上に取り付けられたときは、エラストマリング644は、図のように、冷却溝650を横切って延びる。
【0036】
本発明がいくつかの好ましい実施形態に関して説明されてきたが、本発明の範囲に該当する変更、修正、並べ替え、および様々な代替同等物がある。本発明の方法および装置を実行する多くの別の方法があることにも注意されたい。そのため、以下の付随の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲に該当するような全ての変更、修正、並べ替え、および様々な代替同等物を含むとして解釈されることを意図している。
本開示は、以下の形態によっても実現可能である。
[形態1]
静電ウエハチャック、ならびに、周りを囲む冷却溝を備えた中央開口部を有し、前記冷却溝の下方にリングクランプ電極、および、ガス流を前記冷却溝に提供してエッジリングの温度を調節するための少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを有する静電リングチャックと、を備えたプラズマ処理チャンバにおいて使用するためのエッジリングであって、
リングクランプ電極および前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを有する前記静電リングチャックの上方に設置される第1の表面を備えたエッジリング本体であって、前記エッジリング本体が前記静電リングチャックの上方に設置されたときに、前記エッジリング本体は、前記リングクランプ電極の上方に位置する導電部分を備え、前記第1の表面は、中央開口部を有する、エッジリング本体と、
前記エッジリング本体の前記第1の表面に一体化され、前記第1の表面の前記中央開口部を囲む第1のエラストマリングであって、前記エッジリング本体が前記静電リングチャックの上方に設置されるときに、前記第1のエラストマリングは、前記冷却溝をシールするのに用いられる、第1のエラストマリングと
を備える、エッジリング。
[形態2]
形態1に記載のエッジリングであって、
前記静電リングチャックは、さらに、前記中央開口部を囲む前記静電リングチャックにおいて、前記冷却溝の第1の側に第1のシール溝を備え、前記第1のエラストマリングは、前記エッジリング本体が前記静電リングチャックの上方に設置されたときに、前記第1のシール溝に位置する、エッジリング。
[形態3]
形態2に記載のエッジリングであって、
前記静電リングチャックは、前記中央開口部を囲む前記静電リングチャックにおいて、前記冷却溝の第2の側に第2のシール溝を有し、さらに、前記エッジリング本体の前記第1の表面に一体化され、前記第1の表面の前記中央開口部を囲む第2のエラストマリングを備え、前記エッジリング本体が前記静電リングチャックの上方に設置されたときに、前記第2のエラストマリングは、前記第2のシール溝に位置する、エッジリング。
[形態4]
形態3に記載のエッジリングであって、
前記第1のエラストマリングおよび前記第2のエラストマリングは、0.25mmから2mmの間の高さを有する、エッジリング。
[形態5]
形態4に記載のエッジリングであって、
前記エラストマリングの前記高さの公差は、50ミクロンより優れている、エッジリング。
[形態6]
形態5に記載のエッジリングであって、
前記エッジリング本体は、200mmから400mmの間の外径を有する、エッジリング。
[形態7]
形態6に記載のエッジリングであって、
前記エッジリング本体、第1のエラストマリング、および第2のエラストマリングは、全て同心円状である、エッジリング。
[形態8]
形態5に記載のエッジリングであって、
前記第1のエラストマリングおよび前記第2のエラストマリングは、ケイ素を含む材料から形成される、エッジリング。
[形態9]
形態8に記載のエッジリングであって、
前記エッジリング本体の前記第1の表面は、内端および外端を有し、前記第1のエラストマリングは、前記第1の表面の前記内端から10mmの距離内にあり、前記第2のエラストマリングは、前記第1の表面の前記外端から30mmの距離内にある、エッジリング。
[形態10]
形態9に記載のエッジリングであって、
前記第1のエラストマリングは、台形、正方形、長方形、三角形、または半円の形状の断面を有する、エッジリング。
[形態11]
形態3に記載のエッジリングであって、
前記エッジリング本体は、200mmから400mmの間の外径を有する、エッジリング。
[形態12]
形態3に記載のエッジリングであって、
前記エッジリング本体、第1のエラストマリング、および第2のエラストマリングは、全て同心円状である、エッジリング。
[形態13]
形態3に記載のエッジリングであって、
前記第1のエラストマリングおよび前記第2のエラストマリングは、ケイ素を含む材料から形成される、エッジリング。
[形態14]
形態3に記載のエッジリングであって、
前記エッジリング本体の前記第1の表面は、内端および外端を有し、前記第1のエラストマリングは、前記第1の表面の前記内端から10mmの距離内にあり、前記第2のエラストマリングは、前記第1の表面の前記外端から30mmの距離内にある、エッジリング。
[形態15]
形態2に記載のエッジリングであって、
前記エラストマリングの前記高さの公差は、50ミクロンより優れている、エッジリング。
[形態16]
形態2に記載のエッジリングであって、
前記第1のエラストマリングは、台形、正方形、長方形、三角形、または半円の形状の断面を有する、エッジリング。
[形態17]
形態1に記載のエッジリングであって、
前記エッジリング本体は、ケイ素、炭化ケイ素、または石英を含む、エッジリング。
[形態18]
形態1に記載のエッジリングであって、
前記第1のエラストマリングは、25ミクロン未満の厚さおよび前記冷却溝の幅より大きい幅のシートを形成し、前記エッジリング本体が前記静電リングチャックの上方に設置されたときに、前記第1のエラストマリングは、前記冷却ギャップをシールするために前記冷却ギャップを横切って延びる、エッジリング。
[形態19]
ガス流をエッジリングに提供して温度を調節するための少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを有する静電リングクランプを備えるプラズマ処理チャンバにおいて前記エッジリングを静電気的にクランプするための方法であって、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルに真空を提供することと、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける圧力を測定することと、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける前記圧力が閾値最大圧力に達したときに静電リングクランプ電圧を提供することと、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルへの前記真空を停止することと、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける圧力を測定することと、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける圧力が閾値より速く上昇した場合は、シール不良を示すことと、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルにおける圧力が前記閾値より速く上昇しない場合は、前記エッジリングの温度を調節するために前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルを用いてプラズマプロセスを継続する、方法。
[形態20]
形態19に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのリング裏面温度チャネルに真空を提供する間は、前記プラズマ処理チャンバは大気圧である、方法。