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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】洗浄方法及び洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/00 20060101AFI20240318BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240318BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20240318BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20240318BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240318BHJP
   C25D 21/08 20060101ALI20240318BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20240318BHJP
   C25D 17/06 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
C25D21/00 Z
B08B3/02 B
B08B3/08 Z
B08B3/10 Z
H01L21/304 643Z
H01L21/304 647A
H01L21/304 642Z
C25D21/08
C25D17/00 L
C25D17/06 J
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020029646
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021134375
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潔
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-003102(JP,A)
【文献】特開2015-041756(JP,A)
【文献】特開2008-045179(JP,A)
【文献】特開2018-178176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0292254(US,A1)
【文献】特開2003-142441(JP,A)
【文献】特開2005-139558(JP,A)
【文献】特開2000-189975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 21/00
B08B 3/02
B08B 3/08
B08B 3/10
H01L 21/304
C25D 21/08
C25D 17/00
C25D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をめっきするために前記基板と接触して前記基板に給電するための電気接点を有する基板ホルダの洗浄方法であって、
前記基板ホルダの前記電気接点を、クエン酸水溶液により洗浄する洗浄工程を有し、
前記基板ホルダは、外部電源に電気的に接続されるように構成される中継接点を有する第1保持部材と、前記電気接点を有する第2保持部材とを有し、
前記洗浄工程の前に、前記第1保持部材と、前記第2保持部材とを分離する分離工程を有し、
前記洗浄工程は、前記第1保持部材を洗浄せずに、前記第2保持部材を洗浄する、
洗浄方法。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄方法において、
前記クエン酸水溶液の中のクエン酸の質量パーセント濃度は、2%から30%である、
洗浄方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄方法において、
前記電気接点を有するリング状の保持部材を、円周方向に回転させる回転工程をさらに有し、
前記洗浄工程は、前記回転工程の間に、前記電気接点に向かって前記クエン酸水溶液を噴射する工程を有する、
洗浄方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の洗浄方法において、
前記洗浄工程の前に、前記基板ホルダを水により洗浄する第1水洗工程をさらに有する、
洗浄方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄方法において、
前記洗浄工程は、前記基板ホルダの少なくとも一部の部材であって、前記電気接点を有する保持部材の全体を、洗浄槽に保持された前記クエン酸水溶液に浸漬する浸漬工程を有する、
洗浄方法。
【請求項6】
請求項5に記載の洗浄方法において、
前記洗浄工程の前に、前記保持部材の全体を、前記洗浄槽に保持された水に浸漬する第1水洗工程をさらに有する、
洗浄方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の洗浄方法において、
前記洗浄工程の後に、前記基板ホルダを水により洗浄する第2水洗工程と、
前記第2水洗工程の後に、前記基板ホルダを乾燥させる乾燥工程と、をさらに有する、
洗浄方法。
【請求項8】
請求項3、5又は6に従属する請求項7に記載の洗浄方法において、
前記乾燥工程は、
ファンが、気体を前記保持部材に送風する送風工程と、
前記保持部材に送風される前記気体をヒータが加熱する加熱工程と、を有する、
洗浄方法。
【請求項9】
めっき用に基板を保持し且つ前記基板に接触する電気接点を有するリング状の保持部材を保持するための回転部材と、
前記回転部材を回転させることにより、前記保持部材を円周方向に回転させるためのアクチュエータと、
前記回転部材により回転している前記保持部材を、クエン酸水溶液を用いて洗浄するための洗浄モジュールと、を備え、
前記洗浄モジュールは、前記クエン酸水溶液を保持するケースを有し、
前記保持部材の一部が、前記ケースが保持している前記クエン酸水溶液に浸漬されるように構成されている、
洗浄装置。
【請求項10】
請求項9に記載の洗浄装置において、
前記保持部材は、前記電気接点を有する第2保持部材であり、
基板ホルダは、外部電源に電気的に接続されるように構成される中継接点を有する第1保持部材と、前記第2保持部材とを含んで構成される、
洗浄装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の洗浄装置において、
前記洗浄モジュールは、前記保持部材に向かって前記クエン酸水溶液を噴射するためのノズルを有する、
洗浄装置。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載の洗浄装置において、
前記保持部材に向かって温風を送風するための温風装置をさらに備える、
洗浄装置。
【請求項13】
電気接点を有し且つ基板ホルダの少なくとも一部の部材である保持部材の、洗浄装置であって、
クエン酸水溶液を保持し、前記保持部材が前記クエン酸水溶液に浸漬されるための洗浄
槽を備え、
前記洗浄槽の内部に収容されるキャリアを備え、
前記キャリアは、上下方向に並べられた複数のメッシュ板であって前記保持部材を支持するための複数のメッシュ板を有する、
洗浄装置。
【請求項14】
請求項13に記載の洗浄装置において、
前記基板ホルダは、外部電源に電気的に接続されるように構成される中継接点を有する第1保持部材と、前記電気接点を有する第2保持部材とを有し、
前記保持部材は、前記第2保持部材である、
洗浄装置。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の洗浄装置において、
回転可能に構成された第1棒状部材と、
前記電気接点に向かって前記クエン酸水溶液、水又は気体を噴射するためのノズルであって、前記第1棒状部材に取付けられ、前記第1棒状部材と一体に回転可能なノズルと、をさらに備え、
前記複数のメッシュ板には、前記棒状部材が貫通するための貫通孔がそれぞれ形成されている、
洗浄装置。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか1項に記載の洗浄装置において、
回転可能に構成された第2棒状部材と、
前記第2棒状部材に取付けられ、前記第2棒状部材と一体に回転することにより前記洗浄槽の内部の液体を攪拌するための攪拌部材と、をさらに備え、
前記複数のメッシュ板には、前記第2棒状部材が貫通するための貫通孔がそれぞれ形成されている、
洗浄装置。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか1項に記載の洗浄装置において、
気体を前記保持部材に送風するためのファンと、
前記保持部材に送風される前記気体を加熱するためのヒータと、をさらに備える、
洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に金属薄膜を形成するために、めっき装置が使用されている。例えば、特許文献1には、被めっき面が上方に向けられた基板を着脱自在に保持する基板保持部と、カソード電極及びシール材を備えたカソード部と、アノードを備えた移動自在な電極ヘッドと、固定ノズルと、を有する基板めっき装置が開示されている。この基板保持部は、下方の基板受渡し位置、上方のめっき位置、及びこれら中間の前処理・洗浄位置の間を昇降自在に構成されている。基板保持部がめっき位置に位置するときに、カソード電極は基板の周縁部に当接し、アノードは基板と対峙する位置に配置される。そして、この基板めっき装置は、基板上面をめっき液に接触させてめっき処理を行う。また、基板保持部が前処理・洗浄位置に位置するときに、固定ノズルは、純水をカソード部に供給し、カソード電極を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-139558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カソード電極が用いられて、基板にめっきが行われる場合、カソード電極の基板との接触面に汚れが付着する虞がある。カソード電極に汚れが付着すると、汚れが抵抗となり、カソード電極は、基板に意図した電流を印加できなくなってしまう。その結果、基板に形成されるめっきの厚みが、不均一になる虞がある。これに対し、特許文献1に記載のめっき装置は、上述したように、カソード電極を純水で洗浄することで、カソード電極の汚れを除去し、このような問題が発生することを抑止できる。しかしながら、カソード電極に付着する汚れには様々な物が存在していて、純水による洗浄では汚れが完全に除去されない場合がある。例えば、カソード電極が接触する基板には、銅のシード層の酸化物やレジスト残渣物が堆積されている可能性がある。そして、銅の酸化物、レジスト残渣物が、カソード電極に付着して汚れとなり得る。カソード電極に付着した銅の酸化物及びレジスト残渣物は、純水による洗浄では充分に除去しきることができない虞がある。
【0005】
また、特許文献1に記載のめっき装置において、純水の代わりに、硫酸、硫酸過水(濃硫酸と過酸化水素水の混合液)、オゾンマイクロバブルを含む水溶液等の薬剤が用いられれば、これらの薬剤は、純水で除去できない銅、銅の酸化物、レジスト等の汚れを除去でき得る。しかしながら、これらの薬剤は、カソード電極の近傍に位置するシール材等の基板を保持するための部材に悪影響を及ぼす場合がある。基板を保持するための部材は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK材)、フッ素ゴム(FKM)、ステンレス鋼等から構成されている。そして、硫酸や硫酸過水は、金属を腐食する性質を有し、オゾンマイクロバブルは、樹脂やゴムを劣化させる性質を有している。このため、カソード電極が、基板を保持するための部材から分離されることなく、これらの薬剤によって洗浄されると、上記の薬剤が、基板を保持するための部材にかかり、基板を保持するための部材を破損してしまう虞がある。
【0006】
また、カソード電極が硫酸過水で洗浄される後に、万が一、硫酸過水が、基板を保持するための部材の一部に残った場合、次に行われるめっき処理のときに残留している硫酸過
水がめっき液に混入する。この場合、硫酸過水が、めっき液の電解質を破壊してしまい、めっき液に悪影響を与えてしまう。したがって、カソード電極を洗浄するための薬液の選定は非常に重要である。
【0007】
そこで、本開示の目的は、上述した課題に鑑み、めっき液や、基板を保持するための部材である基板ホルダに悪影響を与えることなく、純水では除去できないカソード電極(電気接点)に付着した汚れを除去できる、洗浄方法及び洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る洗浄方法は、基板をめっきするために前記基板と接触して前記基板に給電するための電気接点を有する基板ホルダの洗浄方法であって、前記基板ホルダに取付けられた前記電気接点を、クエン酸水溶液により洗浄する洗浄工程を有する。
【0009】
一実施形態に係る洗浄装置は、めっき用に基板を保持し且つ前記基板に接触する電気接点を有するリング状の保持部材を保持するための回転部材と、前記回転部材を回転させることにより、前記保持部材を円周方向に回転させるためのアクチュエータと、前記回転部材により回転している前記保持部材を、クエン酸水溶液を用いて洗浄するための洗浄モジュールと、を備える。
【0010】
一実施形態に係る洗浄装置は、電気接点を有し且つ基板ホルダの少なくとも一部の部材である保持部材の、洗浄装置であって、クエン酸水溶液を保持し、前記保持部材が前記クエン酸水溶液に浸漬されるための洗浄槽を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】基板ホルダの分解斜視図である。
図2図1に示した基板ホルダの拡大部分断面図である。
図3図1に示した基板ホルダの第2保持部材の背面図である。
図4】本開示に係る洗浄装置を示す図である。
図5図4に示した洗浄装置のケースの部分の概要を示す概略図である。
図6図3に示した洗浄装置とは別の本開示に係る洗浄装置を示す斜視図である。
図7図6に示した洗浄装置の洗浄槽の内部に収容されるキャリアの斜視図である。
図8図6に示した洗浄装置の断面図である。
図9図8のA-A断面図である。
図10図6に示した洗浄装置の第1変形例を示す断面図である。
図11図6に示した洗浄装置の第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
『概要』
以下、本開示に係る2つの実施形態(第1及び第2実施形態)を例示して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態に係る洗浄装置ついて図面を参照しつつ説明する。まず、洗浄装置100で洗浄される基板ホルダ30の構成について説明する。次いで、本実施形態に係る洗浄装置100の構成を説明する。次いで、洗浄装置100における洗浄方法を説明する。
【0014】
<基板ホルダの構成>
図1は、基板ホルダ30の分解斜視図である。図1に示すように、基板ホルダ30は、
例えば塩化ビニル製で矩形平板状の第1保持部材31と、この第1保持部材31に対して着脱自在に構成されるリング状の第2保持部材32(保持部材の一例に相当する)とを有している。この基板ホルダ30は、第1保持部材31と第2保持部材32とでウェハ等の基板Wfを挟み込むことで、基板Wfを保持する(図2参照)。なお、本開示では、基板ホルダとは、基板Wfを保持するための装置及びその装置の一部を意味する。つまり、第1保持部材31及び第2保持部材32も、基板ホルダと呼ぶことができる。基板ホルダ30の第1保持部材31の略中央部には、基板Wfを支持するための支持面33が設けられる。また、第1保持部材31の支持面33の外側には、支持面33の周囲に沿って、内方に突出する突出部を有する逆L字状のクランパ34が等間隔に複数設けられている。
【0015】
基板ホルダ30の第1保持部材31の端部には、基板ホルダ30を搬送したり吊下げ支持したりする際の支持部となる一対のハンドル35が連結されている。ハンドル35が、図示されていない基板処理装置の様々な処理槽の周壁上面に引っ掛けられることで、基板ホルダ30が垂直に吊下げ支持され、処理槽の内部で基板ホルダ30に保持された基板Wfの処理が行われる。例えば、めっき液を保持するめっき槽の周壁上面に基板ホルダ30が吊り下げられると、基板Wfはめっき液に浸漬される。この状態で、基板Wfの表面にめっき処理が行われる。また、基板処理装置に備えられている搬送装置は、ハンドル35を把持して、基板ホルダ30を搬送できる。
【0016】
また、ハンドル35の一つには、外部電源と電気的に接続される外部接点38が設けられている。外部接点38は、基板ホルダがめっき槽の周壁上面に吊下げられた際に、めっき槽に設けられた、外部電源と電気的に接続されている接点と接触することにより、外部電源と電気的に接続される。この外部接点38は、複数の導線を介して支持面33の外周に設けられた複数の中継接点60(図2参照)と電気的に接続されている。
【0017】
第2保持部材32は、リング状でポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK材)から構成されたシールホルダ36を備えている。第2保持部材32のシールホルダ36には、シールホルダ36を第1保持部材31に押し付けて固定するための押えリング37が回転自在に装着されている。押えリング37は、その外周部において外方に突出する複数の突条部37aを有している。突条部37aの上面とクランパ34の内方突出部の下面は、回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパ面を有する。
【0018】
基板Wfを保持するときは、まず、第2保持部材32を第1保持部材31から取り外した状態で第1保持部材31の支持面33に基板Wfを載置し、第2保持部材32を第1保持部材31に取り付ける。続いて、押えリング37を時計回りに回転させて、押えリング37の突条部37aをクランパ34の内方突出部の内部(下側)に滑り込ませる。これにより、押えリング37とクランパ34にそれぞれ設けられたテーパ面を介して、第1保持部材31と第2保持部材32とが互いに締付けられてロックされ、基板Wfが保持される。基板Wfの保持を解除するときは、第1保持部材31と第2保持部材32とがロックされた状態において、押えリング37を反時計回りに回転させる。これにより、押えリング37の突条部37aが逆L字状のクランパ34から外されて、基板Wfの保持が解除される。
【0019】
図2は、基板Wfを保持した状態の基板ホルダ30の厚さ方向の切断面における部分拡大断面図である。図示のように、第2保持部材32のシールホルダ36の第1保持部材31と対向する面には、内側シール39と、外側シール40が設けられる。内側シール39と、外側シール40は、共にフッ素ゴムから構成されている。内側シール39は、基板ホルダ30で基板Wfを保持したとき、基板Wfの外周部に接触して基板Wf表面とシールホルダ36との間をシールするように構成される。外側シール40は、内側シール39よりも径方向外側に設けられ、第1保持部材31の支持ベース43と接触するように構成さ
れる。これにより、外側シール40は、シールホルダ36と支持ベース43との間をシールすることができる。内側シール39及び外側シール40は、シールホルダ36と、シールホルダ36にボルト等の締結具を介して取付けられるステンレス製の固定リング41との間に挟持されてシールホルダ36に取付けられている。
【0020】
第2保持部材32のシールホルダ36の外周部には段部が設けられ、この段部に、押えリング37がスペーサ42を介して回転自在に装着されている。押えリング37は、酸に対して耐食性に優れ、十分な剛性を有する金属(例えばチタン)から構成される。スペーサ42は、押えリング37がスムーズに回転できるように、摩擦係数の低い材料、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で構成されている。
【0021】
また、第1保持部材31の支持ベース43には、平板形状の中継接点60が設けられる。図2には1つの中継接点60が示されている。中継接点60は、支持面33の周囲に沿うように、支持ベース43に複数配置される。中継接点60は、図2に示した外部接点38と、図示しない導線により電気的に接続される。中継接点60は、その一端側がねじ等の任意の固定手段により支持ベース43に固定される。また、中継接点60の他端側が自由端になるように、支持ベース43に段部48が形成される。
【0022】
第2保持部材32の固定リング41の内周面には、基板ホルダ30で基板Wfを保持したとき、支持面33に支持された基板Wfの外周部と接触して基板Wfに給電する複数の電気接点50が取付けられている。そして、基板Wfがめっき液中にある時に、電気接点50が基板Wfに給電をすることで、基板Wfのめっき処理が行われる。図2には一つの電気接点50が示される。ここで、図3を参照する。図3は、基板ホルダ30の第2保持部材32の背面図である。複数の電気接点50が、固定リング41のほぼ全周に亘って取り付けられている。
【0023】
再び図2を参照すると、電気接点50は、基板Wfと接触する複数の第1端部51と、中継接点60と接触する複数の第2端部52とを有する。電気接点50は、好ましくは、ステンレス鋼等のばね材から形成され、表面を金めっきされて構成される。第1端部51は、約90°の角度で折れ曲がり、前側(支持面33の中央側)に板ばね状に突出して構成される。第1端部51は、図2に示すように、基板ホルダ30で基板Wfを保持したときに、基板Wfの外周部に弾性接触するように構成される。
【0024】
図2に示すように、電気接点50の第2端部52は、基板ホルダ30の厚さ方向の切断面において略C形の断面を有する。これにより、電気接点50の第2端部52は、第1保持部材31と第2保持部材32とで基板Wfを保持したときに中継接点60に対して弾性接触するように構成される。
【0025】
<洗浄装置の構成>
図4は、本開示に係る洗浄装置100を示す図であり、図5は、洗浄装置100のケース202の部分の概要を示す概略図である。洗浄装置100は、基板ホルダ30の電気接点50を洗浄するための装置である。図5を参照すると、洗浄装置100は、回転部材102と、アクチュエータ104と、洗浄モジュール200と、回転軸106と、フレーム108と、ベアリング110と、パッキン112と、フレキシブルカップリング113と、を備える。また、洗浄モジュール200は、ケース202を有する。以下、洗浄装置100の各構成要素について説明する。
【0026】
ケース202は、回転部材102を囲うように構成され、内部に、クエン酸水溶液や水等の液体を保持する機能を有する。また、回転部材102は、一例として、円盤形状を有し、ケース202の内部に位置している。回転部材102は、リング状の第2保持部材3
2を保持する機能を有する。また、回転部材102の中心は、ケース202の外部に延びる回転軸106に固定されている。そして、回転軸106は、ケース202の外部に位置するフレーム108に取付けられたベアリング110に回転可能に支持されている。また、アクチュエータ104は、フレーム108に固定され、回転軸106とフレキシブルカップリング113を介して接続されている。これにより、アクチュエータ104は、回転部材102を回転させることができ、第2保持部材32を円周方向に回転させることができる。なお、アクチュエータ104は、一例として、防水のブラシレスモータである。また、回転軸106とケース202との間には、パッキン112が設けられていて、ケース202の内部の液体が外部に漏れることを抑止する。
【0027】
また、図5に示されるように、洗浄モジュール200は、一例として、ノズル204を有する。そして、図4に示されるように、洗浄装置100は、一例として、クエン酸槽220と、配管116と、配管117と、ポンプ118と、を備える。クエン酸槽220は、クエン酸水溶液を保持する機能を有する。本実施形態では、クエン酸槽220は、クエン酸水溶液を保持していて、このクエン酸水溶液の中のクエン酸の質量パーセント濃度は、2%から30%である。そして、配管116は、クエン酸槽220と、ポンプ118の吸引口とを連通し、配管117は、ポンプ118の排出口とノズル204とを連通している。これにより、ポンプ118は、クエン酸槽220に保持されているクエン酸水溶液を、ノズル204に圧送できる。そして、ノズル204の噴射口は、回転部材102に保持される第2保持部材32の電気接点50に向かって向けられている(図5参照)。このため、ノズル204は、第2保持部材32の電気接点50に向かってクエン酸水溶液を噴射でき、電気接点50をクエン酸水溶液で洗浄できる。
【0028】
また、洗浄装置100は、一例として、配管117に取付けられているレギュレータ122と、バルブ124と、流量計126とを有する。レギュレータ122は、配管117を流れるクエン酸水溶液の圧力を減圧する機能を有し、流量計126は、配管117を流れるクエン酸水溶液の流量を測定する機能を有する。そして、バルブ124は、配管117を流れるクエン酸水溶液の流量を調整する機能を有する。
【0029】
また、洗浄装置100は、一例として、恒温器128と、配管130と、バルブ132とを備える。恒温器128は、配管116に取付けられていて、配管116を流れるクエン酸水溶液を加熱する機能を有する。また、配管130は、ポンプ118の排出口と、クエン酸槽220とを連通する。そして、バルブ132は、配管130を流れるクエン酸水溶液の流量を調整する機能を有する。これにより、ポンプ118がクエン酸を圧送するときに、バルブ132が開放されている場合、恒温器128によって加熱されたクエン酸水溶液は、再びクエン酸槽220に戻される。すなわち、恒温器128は、クエン酸槽220に保持されているクエン酸水溶液を所定の温度に加熱できる。特に、第1実施形態では、恒温器128は、一例として、クエン酸水溶液を35度以上且つ55度以下に加熱している。
【0030】
また、洗浄装置100は、一例として、配管134と、バルブ136と、バルブ138と、を備える。配管134は、ケース202及びクエン酸槽220と、工場の廃液部900とを連通する。別言すると、配管134は、ケース202から廃液部900までの流路と、クエン酸槽220から廃液部900までの流路とを形成する。また、バルブ136は、配管134に取付けられ、ケース202から廃液部900へ流れる液体の流量を調整する機能を有する。これにより、バルブ136が開放されることで、洗浄装置100は、ケース202の内部の不要となった液体を廃液部900に廃棄できる。これに対し、バルブ138は、配管134に取付けられ、クエン酸槽220から廃液部900へ流れる液体の量を調整する機能を有する。これにより、バルブ138が開放されることで、洗浄装置100は、クエン酸槽220の内部の不要となった液体を廃液部900に廃棄できる。
【0031】
また、クエン酸槽220は、一例として、取付けられた位置の液体の有無を検知する機能を有する2つの水位計222,224を備える。水位計222は、クエン酸槽220の内部の低い位置の液体の有無を検知できるように取付けられる。これにより、制御装置(図示省略)は、水位計222が液面を検知しなくなったときに、ポンプ118を停止させて、ポンプ118の空運転を防止する。これに対し、水位計224は、クエン酸槽220の内部の水位計222よりも高い位置の液体の有無を検知できるように取付けられる。これにより、制御装置(図示省略)は、水位計224が液面を検知したときに、バルブ138を開放し、クエン酸水溶液がクエン酸槽220から溢れることを防止する。
【0032】
また、洗浄装置100は、一例として、排液管140と、バルブ142とを備える。排液管140は、ケース202と、クエン酸槽220とを連通していて、ケース202に保持されているクエン酸水溶液を、クエン酸槽220に排出する機能を有する。また、バルブ142は、排液管140を流れるクエン酸水溶液の流量を調整する機能を有する。
【0033】
また、洗浄装置100は、一例として、配管143を備える。配管143は、排液管140と同様に、ケース202と、クエン酸槽220とを連通していて、ケース202に保持されているクエン酸水溶液を、クエン酸槽220に排出する機能を有する。クエン酸槽220に連通されている配管143の口は、配管143の口よりも上に位置し、回転軸106が貫通するケース202に形成された貫通孔よりも下側に位置している。そして、ケース202の内部のクエン酸水溶液の液面が、配管143の口の高さまで上昇したときに、ケース202の内部のクエン酸水溶液が、配管143を通ってクエン酸槽220へと移動する。このため、配管143は、ケース202からクエン酸水溶液が溢れ出ることを防止する。
【0034】
また、洗浄装置100は、一例として、液体ノズル144と、配管146と、レギュレータ148と、バルブ150と、流量計152とを備える。配管146は、水を供給するための液体供給源902と液体ノズル144とを連通している。これにより、液体供給源902から液体ノズル144に水が供給される。そして、液体ノズル114は図5には示されていないが、図5に示されるノズル204と同様に、液体ノズル144の噴射口は、回転部材102に保持される第2保持部材32の電気接点50に向かうように設けられる。このため、液体ノズル144は、第2保持部材32の電気接点50に向かって水を噴射でき、電気接点50を水で洗浄できる。また、レギュレータ148と、バルブ150と、流量計152とは、配管146に取付けられている。レギュレータ148は、配管146を流れる水の圧力を減圧する機能を有し、流量計152は、配管146を流れる水の流量を測定する機能を有する。そして、バルブ150は、配管146を流れる水の流量を調整する機能を有する。
【0035】
また、洗浄装置100は、一例として、エアノズル154と、配管156と、フィルタ158と、レギュレータ160と、バルブ162と、流量計164とを備える。配管156は、気体を供給するための気体供給源904とエアノズル154とを連通している。これにより、気体供給源904からエアノズル154に気体が供給される。そして、エアノズル154は図5には示されていないが、図5に示されるノズル204と同様に、エアノズル154の噴射口は、回転部材102に保持される第2保持部材32の電気接点50に向かうように設けられる。このため、エアノズル154は、第2保持部材32の電気接点50に向かって気体を噴射でき、電気接点50を乾燥できる。また、フィルタ158と、レギュレータ160と、バルブ162と、流量計164とは、配管156に取付けられている。フィルタ158は、配管156を流れる気体からパーティクルする機能を有する。レギュレータ160は、配管156を流れる水の圧力を減圧する機能を有する。流量計164は、配管156を流れる気体の流量を測定する機能を有する。そして、バルブ162
は、配管156を流れる気体の流量を調整する機能を有する。
【0036】
また、洗浄装置100は、一例として、温風装置166を備える。温風装置166は、ケース202に取付けられている。温風装置166は、温風を送風する機能を有していて、ケース202の開口203から、ケース202の内部に温風を送風する。ここで、回転部材102に保持された第2保持部材32が温風の送風先に位置するように、温風装置166とケース202とが構成されている。このため、温風装置166は、第2保持部材32に向かって温風を送風できる。
【0037】
<洗浄方法>
次に、図1及び図5を参照しながら、洗浄装置100における洗浄時の動作の一例を説明する。初期状態では、バルブ124、バルブ132、バルブ136、バルブ138、バルブ142、バルブ150、バルブ162は閉鎖されていて、アクチュエータ104は、停止している。また、ケース202は、クエン酸水溶液や、水等の液体を保持していない。そして、第2保持部材32は、第1保持部材31に取付けられている。
【0038】
まず、図1に示されるように、第1保持部材31と第2保持部材32とが分離される(分離工程の一例に相当する)。次いで、第2保持部材32が、回転部材102に保持される(図5参照)。本実施形態では、第2保持部材32から分離された第1保持部材31は洗浄装置100には取り付けられない。すなわち、第2保持部材32は、第1保持部材31から隔離された洗浄装置100の内部に収容される。
【0039】
次いで、バルブ132が開放され、ポンプ118と、恒温器128とが始動される。これにより、クエン酸槽220の内部のクエン酸水溶液が35度以上且つ55度以下に加熱される。
【0040】
次いで、アクチュエータ104が始動される。これにより、電気接点50を有するリング状の第2保持部材32が円周方向に回転する(回転工程の一例に相当する)。このとき、第2保持部材32は、一例として、1~10rpmで回転される。
【0041】
次いで、バルブ150が開放される。これにより、液体ノズル144が、電気接点50に向かって水を2L/minの流量で噴射する。その結果、電気接点50を含む第2保持部材32が水により洗浄される(第1水洗工程の一例に相当する)。なお、液体ノズル144による水の噴射は、10分以上行われる。このとき、液体ノズル144が噴射した水がケース202に溜まる(図5参照)。その結果、電気接点50の一部が、ケース202が保持している水に浸漬され、電気接点50を含む第2保持部材32が、ケース202に保持された水によっても洗浄される(第1水洗工程の一例に相当する)。次いで、バルブ150が閉鎖されと共に、バルブ136が開放される。これにより、液体ノズル144の噴射が停止し、ケース202に保持された水が排出される。
【0042】
次いで、バルブ136が閉鎖されると共に、バルブ124が開放される。これにより、ノズル204が、電気接点50に向かってクエン酸水溶液を0.4L/minの流量で噴射する。そして、電気接点50がクエン酸水溶液により洗浄される(洗浄工程の一例に相当する)。なお、ノズル204によるクエン酸水溶液の噴射は、60分以上行われる。また、このとき、液体ノズル144が噴射したクエン酸水溶液がケース202に溜まる。その結果、電気接点50の一部が、ケース202に保持されているクエン酸水溶液に浸漬され、電気接点50が、ケース202に保持されたクエン酸水溶液によっても洗浄される(洗浄工程の一例に相当する)。このとき、電気接点50は、第2保持部材32と共に回転している。このため、電気接点50に接触しているクエン酸水溶液が対流し、クエン酸水溶液が対流しない場合よりも、電気接点50に付着したより多くの汚れが除去される。
【0043】
次いで、バルブ124が閉鎖されると共に、バルブ142が開放される。そして、ケース202に保持されたクエン酸水溶液が、クエン酸槽220に排出される。これにより、洗浄に用いられたクエン酸水溶液をケース202からクエン酸槽220に移動でき、洗浄装置100は、クエン酸水溶液を再利用できる。
【0044】
次いで、バルブ142が閉鎖されると共に、バルブ150が開放される。これにより、液体ノズル144が、電気接点50に向かって水を2L/minの流量で噴射する。その結果、電気接点50を含む第2保持部材32が水により洗浄される(第2水洗工程の一例に相当する)。なお、液体ノズル144による水の噴射は、10分以上行われる。また、このとき、液体ノズル144が噴射した水がケース202に溜まる。その結果、電気接点50を含む第2保持部材32の一部が、ケース202が保持している水に浸漬され、第2保持部材32が、ケース202に保持された水によっても洗浄される(第2水洗工程の一例に相当する)。これにより、第2保持部材32に付着したクエン酸水溶液が水で洗い流される。次いで、バルブ150が閉鎖されると共に、バルブ136が開放される。これにより、ケース202に保持された水が排出される。
【0045】
次いで、バルブ162が開放される。これにより、エアノズル154が、第2保持部材32に向かって2L/minの流量で気体を噴射する。なお、エアノズル154による気体の噴射は、10分以上行われる。これにより、電気接点50を含む第2保持部材32に付着した水が吹き飛ばされ、第2保持部材32が乾燥する(乾燥工程の一例に相当する)。
【0046】
次いで、バルブ162が閉鎖されると共に、温風装置166が、第2保持部材32に向かって45度以上の温風を送風する。なお、温風装置166による温風の送風は、60分以上行われる。これにより、エアノズル154による気体の噴射で乾かしきることができなかった第2保持部材32に付着した水が蒸発して乾燥する(乾燥工程の一例に相当する)。
【0047】
なお、エアノズル154による乾燥工程と、温風装置166による乾燥工程とは、同時に行われてもよく、温風装置166による乾燥工程がエアノズル154による乾燥工程よりも先に行われてもよい。
【0048】
次いで、アクチュエータ104が停止され、第2保持部材32の円周方向への回転が停止する。そして、洗浄装置100における動作が終了する。
【0049】
クエン酸水溶液を用いた洗浄は、水による洗浄で充分に除去することができない電気接点50に付着した銅、銅の酸化物、レジスト等の汚れを除去することができる。このため、洗浄装置100は、純水では除去できない電気接点50の汚れをクエン酸水溶液で除去できる。また、クエン酸水溶液は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素ゴム、ステンレス鋼等の基板ホルダ30を構成する材料を腐食させることや劣化させることがない。このため、洗浄装置100は、電気接点50を基板ホルダ30の第2保持部材32から分離することなく洗浄することができ、且つ第2保持部材32に悪影響を及ぼすことがない。さらに、クエン酸水溶液が、めっき液の電解質を破壊せず、めっき液に悪影響を与えない。このため、万が一、クエン酸洗浄後の電気接点50に残留したクエン酸がめっき液に混入してしまっても、洗浄装置100によって洗浄された電気接点50は、クエン酸に悪影響を与えない。
【0050】
なお、クエン酸水溶液の質量パーセント濃度は、2%から30%が望ましく、クエン酸の温度は、20度~45度が望ましい。
【0051】
また、洗浄装置100は、電気接点50がクエン酸水溶液で洗浄される前に、第2保持部材32を水で洗浄する。すなわち、水による洗浄で汚れが大まかに除去された第2保持部材32に取付けられている電気接点50が、クエン酸水溶液で洗浄される。このため、洗浄に用いられるクエン酸水溶液が汚れにくい。
【0052】
また、クエン酸水溶液が第2保持部材32を構成する部材の隙間に入って、クエン酸水溶液が乾燥すると、部材の隙間に、クエン酸の粉が残留する虞がある。これに対し、洗浄装置100は、基板ホルダ30を、クエン酸水溶液の洗浄の前に水で洗浄するため、隙間に水膜ができる。そして、水膜が、クエン酸水溶液の隙間への侵入を抑止する。その結果、クエン酸の粉の残留が抑止される。
【0053】
[第2実施形態]
次いで、第2実施形態に係る洗浄装置400ついて図面を参照しつつ説明する。まず、第2実施形態に係る洗浄装置400の構成を説明する。次いで、洗浄装置400における洗浄方法を説明する。次いで、洗浄装置400の変形例を説明する。
【0054】
<洗浄装置の構成>
図6は、洗浄装置100とは別の本開示に係る洗浄装置400を示す斜視図であり、図7は、洗浄装置400の洗浄槽520の内部に収容されるキャリア500の斜視図である。洗浄装置400は、上述した洗浄装置100と同様に、電気接点50を洗浄するための装置である。図6を参照すると、洗浄装置400は、洗浄槽520と、蓋404と、キャリア500(図8参照)とを備える。以下、洗浄装置400の各構成要素について説明する。
【0055】
洗浄槽520は、略直方体形状を有し、キャリア500を収容可能に構成される(図8参照)。また、洗浄槽520は、内部に、クエン酸水溶液や水等の液体を保持する機能を有する。蓋404は、洗浄槽520に開閉自在に取り付けられている。蓋404が開放されている状態において、キャリア500の洗浄槽520への収容及びキャリア500の洗浄槽520からの取り出しが行われる。
【0056】
図7を参照すると、キャリア500は、略直方体形状を有し、4つの柱502と、8つの梁503と、複数のメッシュ板504とを備える。上下方向に延びる4つの柱502は、四角形を構成するように並べられている。そして、各柱502の上端は、四角形を構成するように配置された梁503によってそれぞれ接続され、各柱502の下端も四角形を構成するように配置された梁503によってそれぞれ接続されている。また、複数のメッシュ板504は、四角形をしていて、上下方向に等間隔に並べられている。そして、メッシュ板504の四隅が4つの柱502により固定されている。別言すると、キャリア500は、メッシュ板504が載置台となるような、棚の形状をしている。これにより、複数のメッシュ板504は、それぞれ第2保持部材32を支持できる。
【0057】
図8は、洗浄装置400の断面図であり、図9は、図8のA-A断面図である。図8を参照すると、洗浄装置400は、一例として、クエン酸タンク540と、供給口408と、排出口410と、4つの配管412,414,416,418と、4つのバルブ420,422,424,426と、ポンプ428と、をさらに備える。
【0058】
クエン酸タンク540は、クエン酸水溶液を保持する機能を有する。本実施形態では、クエン酸タンク540は、クエン酸水溶液を保持していて、このクエン酸水溶液の中のクエン酸の質量パーセント濃度は、2%から30%である。供給口408及び排出口410は、共に洗浄槽520の底部に形成されている。配管412は、供給口408とクエン酸
タンク540とを連通し、供給口408に近い方から順に、バルブ422とバルブ426とが配管412に取付けられている。これに対し、配管414は、排出口410とクエン酸タンク540とを連通し、排出口410に近い方から順に、バルブ420とバルブ424とが配管414に取付けられている。また、配管416は、配管414のバルブ420とバルブ424との間の部分と、ポンプ428の吸引口とを連通している。そして、配管418は、配管412のバルブ422とバルブ426との間の部分と、ポンプ428の排出口とを連通している。
【0059】
これにより、バルブ420及びバルブ426が閉鎖された状態で、バルブ424及びバルブ422が開放されると、ポンプ428は、クエン酸タンク540に保持されているクエン酸水溶液を、供給口408から洗浄槽520の内部に供給できる。また、バルブ422及びバルブ424が閉鎖された状態で、バルブ420及びバルブ426が開放されると、ポンプ428は、洗浄槽520に保持されているクエン酸水溶液を排出口410から吸引して、クエン酸タンク540に供給できる。さらに、洗浄槽520が液体を保持している状態で、バルブ424及びバルブ426が閉鎖され、且つバルブ420及びバルブ422が開放されると、ポンプ428は、排出口410から洗浄槽520の内部の液体を吸引できる。そして、ポンプ428は、吸引した当該液体を供給口408から洗浄槽520の内部に供給できる。これにより、ポンプ428は、洗浄槽520の内部の液体を循環させて、対流することができる。
【0060】
また、洗浄装置400は、一例として、バッファ槽560と、配管432と、バルブ434と、を備える。バッファ槽560は、水や、クエン酸水溶液等の液体を保持する機能を有する。そして、配管432は、洗浄槽520と、バッファ槽560とを連通していて、洗浄槽520に保持されている液体を、バッファ槽560に排出する機能を有する。洗浄槽520側の配管432の口は、後述する水位計524よりも高い位置で且つ水位計526よりも低い位置に、位置している。そして、洗浄槽520の内部の液体の液面が、配管432の口の高さに上昇したときに、洗浄槽520の内部の液体が、配管432を通ってバッファ槽560へと移動する。これにより、配管432は、洗浄槽520から液体を溢れ出ることが防止する。なお、本実施形態では、配管432の口は、洗浄槽520の内部の液体が72L以上になったときに、液体を排出できる位置に配置されている。また、バルブ434は、配管432に取付けられ、配管432を通る流体の流量を調整する機能を有する。通常時には、バルブ434は開放されているが、後述する第2保持部材32の乾燥時には、バルブ434は閉鎖される。
【0061】
また、洗浄槽520は、一例として、取付けられた位置の液体の有無を検知する機能を有する3つの水位計522,524,526を備える。水位計522は、洗浄槽520の内部の位置であって、洗浄槽520の内部に収容されている第2保持部材32よりも低い位置の液体の有無を検知できるように取付けられる。より詳細には、洗浄槽520の内部の液体が1L以上あるか否かを検知できる位置に配置されている。また、水位計524は、洗浄槽520の内部の位置であって、洗浄槽520の内部に収容されている第2保持部材32よりも高い位置の液体の有無を検知できるように取付けられている。
【0062】
また、水位計526は、洗浄槽520の内部の位置であって、水位計524よりも高い位置の液体の有無を検知できるように取付けられている。より詳細には、水位計526は、洗浄槽520の内部の液体が80L以上あるか否かを検知できる位置に配置されている。水位計526は、上述した配管432の口よりも高い位置にあるために、通常、液体を検知しない。このため、水位計526が液体を検知した場合、洗浄装置400は、配管432が液つまり等の故障をしている可能性が高い。したがって、水位計526は、液体を検知した場合、洗浄装置400は、停止するように構成されている。これにより、洗浄装置400は、故障による事故を抑止している。
【0063】
また、洗浄装置400は、一例として、配管436を備える。配管436は、クエン酸タンク540と、バッファ槽560とを連通していて、クエン酸タンク540に保持されている液体を、バッファ槽560に排出する機能を有する。クエン酸タンク540に連通されている配管436の口は、後述する水位計544よりも高い位置に配置されている。そして、クエン酸タンク540の内部の液体の液面が、配管436の口の高さに上昇したときに、クエン酸タンク540の内部の液体が、配管436を通ってバッファ槽560へと移動する。別言すると、配管436は、クエン酸タンク540からクエン酸水溶液が溢れ出ることが防止する。なお、本実施形態では、配管436の口は、クエン酸タンク540の内部の液体が85L以上になったときに、液体を排出できる位置に配置されている。
【0064】
また、クエン酸タンク540は、一例として、取付けられた位置の液体の有無を検知する機能を有する2つの水位計542,544を備える。水位計542は、クエン酸タンク540の内部の液体が10L以上あるか否かを検知できる位置に配置されている。また、水位計544は、クエン酸タンク540の内部の液体が82L以上あるか否かを検知できる位置に配置されている。
【0065】
また、バッファ槽560は、一例として、取付けられた位置の液体の有無を検知する機能を有する2つの水位計562,564を備える。水位計562は、バッファ槽560の内部の液体が1L以上あるか否かを検知できる位置に配置されている。水位計562が液体を検知したときに、洗浄装置400は既知の方法で、バッファ槽560内部の液体を、工場内の廃液部(図示省略)へ排出する。
【0066】
また、水位計564は、バッファ槽560の内部の液体が10L以上あるか否かを検知できる位置に配置されている。そして、水位計564は、液体を検知した場合、洗浄装置400は、停止するように構成されている。水位計564は、水位計562よりも高い位置にあるために、上述した水位計526と同様に、通常液体を検知しない。このため、水位計564が液体を検知した場合、洗浄装置400が故障をしている可能性が高い。したがって、水位計564が液体を検知した場合に、洗浄装置400が停止することで、洗浄装置400は、故障による事故を抑止できる。
【0067】
また、洗浄装置400は、一例として、2つの吸気口438(図6参照)と、排気口440と、2つのファン442(図9参照)と、2つのヒータ444と、排気流路454と、仕切板446(図8参照)と、第1開口448と、第2開口450と、開口452と、を備える。図8を参照すると、仕切板446は、L字状の薄板部材であり、洗浄槽520を第1室528及び第2室530に分割している。そして、仕切板446は、上面456と側面458とを有している。上面456は、洗浄槽520の上面532に形成された吸気口438の直下に、吸気口438と間隔をあけて位置している。そして、第1室528は、第2室530を介することなく、吸気口438と連通している。側面458は、上面456から洗浄槽520の下面459まで延びる。このため、第2室530は、略直方体形状を有し、第1室528は、略直方体形状から第2室530がくり抜かれたL字形状をしている。また、仕切板446の上面456には第1開口448が形成され、仕切板446の側面458には第2開口450が形成されている。そして、第1室528の内部の第2開口450に隣接する位置に、キャリア500が配置される。また、第1室528の側面529における、水位計524よりも高い位置に開口452が形成されている。そして、開口452は、排気流路454を介して、排気口440と連通している(図9参照)。別言すると、第1室528は、第2室530を介することなく、排気口440と連通している。そして、ファン442は、第1室528の内部で且つ上面456に形成された第1開口448の直上に配置されている(図8参照)。このため、ファン442は、第1室528の内部の気体及び吸気口438を介して洗浄槽520の外部から吸引した気体を、第
1開口448に送風することができる。そして、第1開口448に送風された気体は、第2室530を通って、第2開口450からキャリア500に保持されている第2保持部材32に供給される。つまり、第2室530は、第1開口448から第2開口450までの流路を形成している。また、上述したように、第2保持部材32は、キャリア500のメッシュ板504によって支持されている。第2開口450から第2保持部材32に供給された気体は、メッシュ板504に設けられたメッシュによって洗浄槽520の内部で分散する。その結果、洗浄槽520の内部の温度を均一化することができる。また、2つのヒータ444は、第2室530に配置されている。このため、2つのヒータ444は、第2保持部材32に送風される気体を加熱することができる。
【0068】
また、洗浄装置400は、一例として、温度計460と、温度調節器462とを備える(図8及び図9参照)。温度計460の温度測定部は、洗浄槽202の第2室530の内部に位置している。このため、温度計460は、第2室530の内部の気体の温度を測定する機能を有する。また、温度調節器462は、洗浄槽520の外部に配置され、温度計460及び2つのヒータ444と電気的に接続されている。そして、温度調節器462は、温度計460が測定した温度に基づいて、ヒータ444を制御する機能を有する。これにより、洗浄槽202の内部は、所定の温度に保たれる。なお、本実施形態では、温度調節器462は、後述する第2保持部材32の乾燥時において、洗浄槽202の内部の温度が、40度以上50度以下になるように、ヒータ444を制御する。
【0069】
また、洗浄装置400は、一例として、サーモスタッド464をさらに備える(図9参照)。サーモスタッド464は、第2室530の内部に配置されている。そして、サーモスタッド464は、第2室530の内部の温度が60度を超えたときに、2つのヒータ444を停止させる機能を有する。
【0070】
<洗浄方法>
次に、図1及び図8を参照しながら、洗浄装置400における動作を説明する。初期状態では、一例として、第2保持部材32は、第1保持部材31に取付けられていて、バルブ420、バルブ422、バルブ424、バルブ426は閉鎖されている。また、洗浄槽520は、クエン酸水溶液や、水等の液体を保持していない。
【0071】
まず、図1に示されるように、第1保持部材31と第2保持部材32とが分離される(分離工程の一例に相当する)。次いで、1つの以上の第2保持部材32がキャリア500に保持され、キャリア500が洗浄槽520の内部に配置される(図8参照)。本実施形態では、第2保持部材32から分離された第1保持部材31は洗浄槽520には収容されない。すなわち、第2保持部材32は、第1保持部材31から隔離された洗浄装置400の内部に収容される。
【0072】
まず、図示されていない既知の液体供給装置により、洗浄槽520の内部に水が供給される。これにより、洗浄槽520の内部の水位が上昇する。そして、水位計524が、水を検知したときに、水の供給が停止される。その結果、第2保持部材32の全体が水に浸漬される(第1水洗工程の一例に相当する)。
【0073】
次いで、バルブ420及びバルブ422が開放される。これにより、洗浄槽520の内部の水が排出口410から排出され、排出口410から排出された水が供給口408から洗浄槽520の内部に供給される。その結果、洗浄槽520の内部の水が循環して、対流する。なお、このポンプ428による洗浄槽520の内部の水の循環は10分以上行われる。
【0074】
次いで、バルブ420及びバルブ422が閉鎖される。その後、図示されていない既知
の液体排出装置により、洗浄槽520の内部に水が排出される。
【0075】
次いで、クエン酸タンク540の水位計544がクエン酸水溶液の有無を確認する。これにより、クエン酸タンク540に充分な量のクエン酸水溶液が保持されていることが確認される。そして、水位計544がクエン酸水溶液を検知した場合、バルブ424及びバルブ422が開放され、洗浄槽520の内部にクエン酸水溶液が供給される。これにより、洗浄槽520の内部の液面が上昇する。そして、水位計524が、クエン酸水溶液を検知したときに、クエン酸水溶液の供給を停止する。その結果、第2保持部材32の全体がクエン酸水溶液に浸漬される(浸漬工程の一例に相当する)。なお、水位計544がクエン酸水溶液を検知しなかった場合、洗浄装置400は、既知の方法で、作業者にクエン酸水溶液が不足していることを通知する。
【0076】
次いで、バルブ420及びバルブ422が開放される。これにより、洗浄槽520の内部のクエン酸水溶液が排出口410から排出され、排出口410から排出されたクエン酸水溶液が供給口408から洗浄槽520の内部に供給される。その結果、洗浄槽520の内部のクエン酸水溶液が循環して、対流する。これにより電気接点50の汚れがより多く除去される。なお、このポンプ428による洗浄槽520の内部のクエン酸水溶液の循環は60分以上行われる。
【0077】
次いで、クエン酸タンク540の水位計542がクエン酸水溶液の有無を確認する。これにより、クエン酸タンク540にクエン酸水溶液が保持されるための充分な空き容量があることが確認される。水位計544がクエン酸水溶液を検知した場合、洗浄装置400は、既知の方法で、作業者にクエン酸タンク540の空き容量の不足を通知する。他方、水位計544がクエン酸水溶液を検知しなかった場合、バルブ422が閉鎖され、バルブ426が開放される。これにより、ポンプ428は、洗浄槽520の内部のクエン酸水溶液をクエン酸タンク540に圧送し、洗浄槽520の内部を空にする。その後、バルブ420及びバルブ426が閉鎖される。このようにして、クエン酸水溶液が、クエン酸タンク540に回収される。このとき、上述したように、クエン酸水溶液による洗浄の前に、水による洗浄があるため、回収されるクエン酸タンク540には、上記の水による洗浄に用いられた水が含まれる。このため、クエン酸タンク540から洗浄槽520に供給されたクエン酸水溶液よりも、回収されるクエン酸水溶液が増加する。ここで、上述したように、洗浄装置400は、クエン酸タンク540の内部の液体が一定量以上になったときに、液体をバッファ槽560に排出するための配管436を備えている。このため、増加したクエン酸水溶液は、配管436を通って、バッファ槽560へ移動でき、クエン酸タンク540から溢れ出ない。
【0078】
次いで、再び第2保持部材32が洗浄される。具体的には、図示されていない既知の液体供給装置により、洗浄槽520の内部に水が供給される。これにより、洗浄槽520の内部の水の水位が上昇する。そして、水位計524が、水を検知したときに、水の供給が停止される。その結果、第2保持部材32の全体が水に浸漬される(第2水洗工程の一例に相当する)。
【0079】
次いで、バルブ420及びバルブ422が開放される。これにより、洗浄槽520の内部の水が排出口410から排出され、排出口410から排出された水が供給口408から洗浄槽520の内部に供給される。その結果、洗浄槽520の内部の水が循環して、対流する。なお、このポンプ428による洗浄槽520の内部の水の循環は10分以上行われる。
【0080】
次いで、バルブ420及びバルブ422が閉鎖される。その後、図示されていない既知の液体排出装置により、洗浄槽520の内部の水が排出される。
【0081】
次いで、洗浄槽520の水位計522が水の有無を確認する。これにより、洗浄槽520の内部に水が残っていないことが確認される。そして、水位計522が水を検知しなくなった後に、洗浄装置100は、第2保持部材32を乾燥させるための乾燥工程を開始する。具体的には、ファン442が、気体を第2保持部材32に送風する(送風工程の一例に相当する)。このとき、ヒータ44が、第2室530で第2保持部材32に送風される気体を加熱する(加熱工程の一例に相当する)。これにより、第2保持部材32が乾燥する。また、ファン442は、吸気口438を介して洗浄槽520の外部から吸引した気体以外に、第1室528に位置している気体も第1開口448に送風する。第1室528に位置している気体には、ヒータ444に加熱された気体が含まれている。このため、第2室530でヒータ444に加熱される気体の一部は、すでに加熱された気体となる。その結果、洗浄装置400は、気体を加熱するためのエネルギーを節約しながら、高温の気体を第2保持部材32に供給できる。なお、ファン442及びヒータ444による第2保持部材32への温風の供給は、60分以上行われる。また、第2保持部材32の乾燥時に、温度計460が、ヒータ444によって加熱された気体の温度を測定してもよい。そして、温度調節器462が、温度計460が測定した温度に基づいて、ヒータ444を制御し、第2保持部材32に送風される気体の温度を調節してもよい。以上で、洗浄装置400における動作が終了する。
【0082】
このように、洗浄装置400は、上述した洗浄装置100と同様に、クエン酸水溶液を用いて、電気接点50を洗浄できる。なお、洗浄装置400は、基板ホルダ30自体をクエン酸水溶液に浸漬して、電気接点50を洗浄してもよい。
【0083】
また、洗浄装置400は、キャリア500を用いて、第2保持部材32を洗浄するため、一度の洗浄動作で、複数の第2保持部材32を同時に洗浄できる。
【0084】
<変形例>
(第1変形例)
図10は、洗浄装置400の第1変形例を示す断面図である。図10に示されるように、洗浄装置400は、回転可能に構成された第1棒状部材466と、ノズル468を備えてもよい。この場合、ノズル468は、第1棒状部材466に取付けられ、第1棒状部材466と一体に回転可能に構成される。そして、ノズル468は、電気接点50に向かってクエン酸水溶液、水又は気体を噴射する機能を有する。また、キャリア500の複数のメッシュ板504には、第1棒状部材466が貫通するための貫通孔506がそれぞれ形成されている。
【0085】
洗浄装置400が、このように構成されることで、ノズル468が、第1棒状部材466と一体に回転しながら、電気接点50に向かってクエン酸水溶液、水又は気体を噴射できる。このため、クエン酸水溶液が電気接点50に噴射される場合には、洗浄装置400は、電気接点50をクエン酸水溶液によって洗浄できる。また、水が電気接点50に噴射される場合には、洗浄装置400は、電気接点50を水によって洗浄できる。そして、気体が電気接点50に噴射される場合には、洗浄装置400は、電気接点50を乾燥できる。
【0086】
(第2変形例)
図11は、洗浄装置400の第2変形例を示す断面図である。図11に示されるように、
洗浄装置400は、回転可能に構成された第2棒状部材470と、攪拌部材472を備えてもよい。この場合、攪拌部材472は、薄板状の部材であり、第2棒状部材470に取付けられ、第2棒状部材470と一体に回転するように構成されている。また、キャリア
500の複数のメッシュ板504には、第2棒状部材470が貫通するための貫通孔506がそれぞれ形成されている。
【0087】
洗浄装置400が、このように構成されることで、攪拌部材472は、洗浄槽520の内部の液体を攪拌できる。このため、洗浄槽520がクエン酸水溶液を保持している場合、洗浄装置400は、電気接点50に付着した汚れをより多く除去できる。
【0088】
上述の第1実施形態および第2実施形態においては、第2保持部材32のみが洗浄装置100,400によって洗浄される。すなわち、洗浄装置100,400によって、第2保持部材32が洗浄されるときに、第1保持部材31を洗浄は洗浄されない。第1保持部材31と第2保持部材32の両方を洗浄装置100,400に収容した場合に比べると、洗浄装置100,400を小型化することができる。基板Wfを保持するための機構や基板Wfに給電するための電気系統など、複雑な構造を有する第1保持部材31に洗浄液(クエン酸水溶液、水)が付着すると、洗浄液を乾燥させるための長い時間が必要である。上述の実施形態では、第1保持部材31は洗浄装置100,400の内部から隔離され、洗浄装置100,400は比較的シンプルな構造を有する第2保持部材32のみを洗浄するため、乾燥に必要な時間も短縮することができる。
【0089】
[付記]
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0090】
(付記1)
付記1に係る洗浄方法は、基板をめっきするために前記基板と接触して前記基板に給電するための電気接点を有する基板ホルダの洗浄方法であって、前記基板ホルダの前記電気接点を、クエン酸水溶液により洗浄する洗浄工程を有する。
【0091】
クエン酸水溶液を用いた洗浄は、水による洗浄で充分に除去することができない電気接点に付着した銅、銅の酸化物、レジスト等の汚れを除去することができる。このため、付記1に係る洗浄方法は、純水では除去できない電気接点の汚れをクエン酸水溶液で除去できる。また、クエン酸水溶液は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素ゴム、ステンレス鋼等の基板ホルダを構成する材料を腐食させることや劣化させることがない。このため、この洗浄方法は、電気接点を基板ホルダから分離することなく洗浄することができ、且つ基板ホルダに悪影響を及ぼすことがない。さらに、クエン酸水溶液が、めっき液の電解質を破壊せず、めっき液に悪影響を与えない。このため、万が一、クエン酸洗浄後の電気接点に残留したクエン酸がめっき液に混入してしまっても、この洗浄方法によって洗浄された電気接点は、めっき液に悪影響を与えない。
【0092】
(付記2)
付記2に係る洗浄方法は、付記1に記載の洗浄方法において、前記基板ホルダは、外部電源に電気的に接続されるように構成される中継接点を有する第1保持部材と、前記電気接点を有する第2保持部材とを有し、前記洗浄工程の前に、前記第1保持部材と、前記第2保持部材とを分離する分離工程を有し、前記洗浄工程は、前記第1保持部材を洗浄せずに、前記第2保持部材を洗浄する。
【0093】
(付記3)
付記3に係る洗浄方法によれば、付記1又は付記2に記載の洗浄方法において、前記クエン酸水溶液の中のクエン酸の質量パーセント濃度は、2%から30%である。
【0094】
(付記4)
付記4に係る洗浄方法は、付記1から3のいずれか1つに記載の洗浄方法において、前記洗浄工程の前に、前記クエン酸水溶液を35度以上且つ55度以下に加熱する工程をさらに有する。
【0095】
(付記5)
付記5に係る洗浄方法は、付記1から4のいずれか1つに記載の洗浄方法において、前記電気接点を有するリング状の保持部材を、円周方向に回転させる回転工程をさらに有し、前記洗浄工程は、前記回転工程の間に、前記電気接点に向かって前記クエン酸水溶液を噴射する工程を有する。
【0096】
付記5に係る洗浄方法によれば、円周方向に回転する保持部材をクエン酸水溶液の噴流によって洗浄できる。
【0097】
(付記6)
付記6に係る洗浄方法によれば、付記5に記載の洗浄方法において、前記洗浄工程は、前記回転工程の間に、前記電気接点の一部を前記クエン酸水溶液に浸漬する工程、を有する。
【0098】
電気接点が単にクエン酸水溶液に浸漬されている場合、電気接点に接触しているクエン酸水溶液が対流をしにくく、電気接点の洗浄効果が高くない。これに対し、付記6に係る洗浄方法によれば、保持部材と共に回転する電気接点が、クエン酸水溶液に浸漬され洗浄される。このため、電気接点に接触しているクエン酸水溶液が対流し、電気接点に付着したより多くの汚れが除去される。
【0099】
(付記7)
付記7に係る洗浄方法は、付記1から6のいずれか1つに記載の洗浄方法において、前記洗浄工程の前に、前記基板ホルダを水により洗浄する第1水洗工程をさらに有する。
【0100】
付記7に係る洗浄方法によれば、電気接点がクエン酸水溶液で洗浄される前に、基板ホルダが水で洗浄される。すなわち、水による洗浄で汚れが大まかに除去された基板ホルダに取付けられている電気接点が、クエン酸水溶液で洗浄される。このため、洗浄に用いられるクエン酸水溶液が汚れにくい。また、クエン酸水溶液が基板ホルダを構成する部材の隙間に入って、クエン酸水溶液が乾燥すると、部材の隙間に、クエン酸の粉が残留する虞がある。これに対し、付記7に係る洗浄方法では、基板ホルダが、クエン酸水溶液による洗浄の前に水で洗浄されるため、隙間に水膜ができる。そして、水膜が、クエン酸水溶液の隙間への侵入を抑止する。その結果、クエン酸の粉の残留が抑止される。
【0101】
(付記8)
付記8に係る洗浄方法は、付記5から7のいずれか1つに記載の洗浄方法において、前記回転工程の間で且つ前記洗浄工程の後に、前記基板ホルダを水により洗浄する第2水洗工程をさらに有する。
【0102】
付記8に係る洗浄方法は、基板ホルダに付着したクエン酸水溶液を水で洗い流すことができる。
【0103】
(付記9)
付記9に係る洗浄方法によれば、付記1から4のいずれか1つに記載の洗浄方法において、前記洗浄工程は、前記基板ホルダの少なくとも一部の部材であって、前記電気接点を有する保持部材の全体を、洗浄槽に保持された前記クエン酸水溶液に浸漬する浸漬工程を有する。
【0104】
付記9に係る洗浄方法によれば、電気接点を洗浄槽に保持されたクエン酸水溶液で洗浄できる。
【0105】
(付記10)
付記10に係る洗浄方法は、付記9に記載の洗浄方法において、前記浸漬工程の間に、前記洗浄槽の内部の前記クエン酸水溶液を排出口から排出し、前記排出口から排出された当該クエン酸水溶液を供給口から前記洗浄槽の内部に供給する工程を、さらに有する。
【0106】
付記10に係る洗浄方法では、クエン酸水溶液が、洗浄槽の内部、排出口及び供給口の間で循環することにより、洗浄槽の内部のクエン酸水溶液が対流する。このため、この洗浄方法は、電気接点の汚れをより多く除去できる。
【0107】
(付記11)
付記11に係る洗浄方法は、付記9又は付記10に記載の洗浄方法において、前記洗浄工程の前に、前記保持部材の全体を、前記洗浄槽に保持された水に浸漬する第1水洗工程をさらに有する。
【0108】
付記11に係る洗浄方法によれば、電気接点がクエン酸水溶液で洗浄される前に、基板ホルダが水で洗浄される。このため、付記7に記載の洗浄方法と同様に、洗浄に用いられるクエン酸水溶液が汚れにくく、基板ホルダの隙間へのクエン酸の粉の残留が抑止される。
【0109】
(付記12)
付記12に係る洗浄方法は、付記9から11のいずれか1つに記載の洗浄方法において、前記洗浄工程の後に、前記保持部材の全体を、前記洗浄槽に保持された水に浸漬する第2水洗工程をさらに有する。
【0110】
付記12に係る洗浄方法によれば、クエン酸水溶液の付着した基板ホルダを水で洗浄できる。
【0111】
(付記13)
付記13に係る洗浄方法は、付記8又は付記12に記載の洗浄方法において、前記第2水洗工程の後に、前記基板ホルダを乾燥させる乾燥工程をさらに有する。
【0112】
付記13に係る洗浄方法によれば、水の付着した基板ホルダを乾燥できる。
【0113】
(付記14)
付記14に係る洗浄方法によれば、付記13に記載の洗浄方法において、前記乾燥工程は、ファンが、気体を前記保持部材に送風する送風工程と、前記保持部材に送風される前記気体をヒータが加熱する加熱工程と、を有する。
【0114】
付記14に係る洗浄方法では、ファンが、ヒータにより加熱された気体を保持部材に供給できる。
【0115】
(付記15)
付記15に係る洗浄方法によれば、付記14に記載の洗浄方法において、前記乾燥工程は、前記ヒータが加熱した前記気体の温度を測定する工程と、測定された前記温度に基づいて、前記ヒータを制御し、前記保持部材に送風される前記気体の温度を調節する工程と、をさらに有する。
【0116】
付記15に係る洗浄方法では、ファンが、保持部材に供給する気体の温度を所定の温度にすることができる。
【0117】
(付記16)
付記16に係る洗浄方法によれば、付記12に従属する付記14又は付記15に記載の洗浄方法において、前記送風工程は、前記ファンが、吸気口を介して前記洗浄槽の外部から吸引した気体を、第1開口に送風する工程と、前記第1開口に送風された気体が、前記第1開口から第2開口までの流路を構成する第2室を流れ、前記第2開口から、第1室に配置されている前記保持部材に向かって送風される工程と、前記ファンが、前記保持部材に向かって送風された後の気体であって前記第1室に位置している気体を吸気し、再び前記第1開口に送風する工程と、を有し、前記加熱工程は、前記第2室を流れる気体を加熱する工程を有する。
【0118】
付記16に係る洗浄方法によれば、第2室を流れる気体が加熱されて、第1室に配置されている保持部材に向かって送風される。そして、この保持部材に向かって送風された後の気体が、再び第2室に送風される。このため、第2室に供給される気体の一部は加熱された気体である。したがって、この方法は、気体を加熱するためのエネルギーを節約しながら、高温の気体を保持部材に供給できる。
【0119】
(付記17)
付記17に係る洗浄方法によれば、付記9又は付記9に従属する付記10から16のいずれか1つに記載の洗浄方法において、前記浸漬工程は、上下方向に並べられた複数のメッシュ板を有するキャリアの前記メッシュ板に支持された少なくとも1つの前記保持部材を、前記洗浄槽に保持された前記クエン酸水溶液に浸漬する工程を有する。
【0120】
付記17に係る洗浄方法は、複数の保持部材を保持できるキャリアを用いて、保持部材をクエン酸水溶液に浸漬できる。
【0121】
(付記18)
付記18に係る洗浄方法は、付記17に記載の洗浄方法において、前記複数のメッシュ板に支持され且つリング状をしている前記保持部材の内側を貫通するように位置する第1棒状部材が回転する第1回転工程と、前記第1回転工程の間に、前記第1棒状部材に取付けられたノズルが、前記第1棒状部材と一体に回転しながら、前記電気接点に向かって前記クエン酸水溶液、水又は気体を噴射する工程と、を有する。
【0122】
付記18に係る洗浄方法によれば、ノズルが、第1棒状部材と一体に回転しながら、電気接点に向かってクエン酸水溶液、水又は気体を噴射できる。このため、クエン酸水溶液が電気接点に噴射される場合には、この洗浄方法は、電気接点をクエン酸水溶液によって洗浄できる。また、水が電気接点に噴射される場合には、この洗浄方法は、電気接点を水によって洗浄できる。そして、気体が電気接点に噴射される場合には、この洗浄方法は、電気接点を乾燥できる。
【0123】
(付記19)
付記19に係る洗浄方法は、付記17又は付記18に記載の洗浄装置において、前記複数のメッシュ板に支持され且つリング状をしている前記保持部材の内側を貫通するように位置する第2棒状部材が回転する第2回転工程と、前記第2回転工程の間に、前記第2棒状部材に取付けられている攪拌部材が、前記第2棒状部材と一体に回転することにより、前記洗浄槽の内部の液体を攪拌する工程と、をさらに有する。
【0124】
付記19に係る洗浄方法は、洗浄槽の内部の液体を攪拌できる。
【0125】
(付記20)
付記20に係る洗浄装置は、めっき用に基板を保持し且つ前記基板に接触する電気接点を有するリング状の保持部材を保持するための回転部材と、前記回転部材を回転させることにより、前記保持部材を円周方向に回転させるためのアクチュエータと、前記回転部材により回転している前記保持部材を、クエン酸水溶液を用いて洗浄するための洗浄モジュールと、を備える。
【0126】
付記20に係る洗浄装置によれば、円周方向に回転する保持部材をクエン酸水溶液によって洗浄できる。また、この洗浄装置は、付記1に係る洗浄方法と同様に、めっき液や、基板を保持するための部材である基板ホルダに悪影響を与えることなく、純水では除去できない電気接点に付着した汚れを除去できる。
【0127】
(付記21)
付記21に係る洗浄装置によれば、付記20に記載の洗浄装置において、前記保持部材は、前記電気接点を有する第2保持部材であり、基板ホルダは、外部電源に電気的に接続されるように構成される中継接点を有する第1保持部材と、前記第2保持部材とを含んで構成される。
【0128】
(付記22)
付記22に係る洗浄装置によれば、付記20又は付記21に記載の洗浄装置において、前記洗浄モジュールは、前記保持部材に向かって前記クエン酸水溶液を噴射するためのノズルを有する。
【0129】
付記22に係る洗浄装置によれば、円周方向に回転する保持部材をクエン酸水溶液の噴流によって洗浄できる。
【0130】
(付記23)
付記23に係る洗浄装置によれば、付記20から22のいずれか1つに記載の洗浄装置において、前記洗浄モジュールは、前記クエン酸水溶液を保持するケースを有し、前記保持部材の一部が、前記ケースが保持している前記クエン酸水溶液に浸漬されるように構成されている。
【0131】
付記23に係る洗浄装置を用いて、電気接点を有する保持部材を洗浄する場合、保持部材と共に回転する電気接点が、クエン酸水溶液に浸漬され洗浄される。このため、電気接点に接触しているクエン酸水溶液が対流し、この洗浄装置は電気接点に付着したより多くの汚れを除去できる。
【0132】
(付記24)
付記24に係る洗浄装置は、付記20から23のいずれか1つに記載の洗浄装置において、前記クエン酸水溶液を保持するためのクエン酸槽と、前記クエン酸槽に保持されている前記クエン酸水溶液を35度以上且つ55度以下に加熱するための恒温器と、前記クエン酸槽に保持されている前記クエン酸水溶液を、前記洗浄モジュールに圧送するためのポンプと、をさらに備える。
【0133】
(付記25)
付記25に係る洗浄装置は、付記23に従属する付記24に記載の洗浄装置において、前記ケースに保持されている前記クエン酸水溶液を、前記クエン酸槽に排出するための排液管をさらに備える。
【0134】
付記25に係る洗浄装置は、洗浄に用いられたクエン酸水溶液をケースからクエン酸槽に移動できる。このため、洗浄装置は、クエン酸水溶液を再利用できる。
【0135】
(付記26)
付記26に係る洗浄装置は、付記20から25のいずれか1つに記載の洗浄装置において、前記保持部材に向かって水を噴射するための液体ノズルをさらに備える。
【0136】
付記26に係る洗浄装置は、液体ノズルが保持部材に向かって水を噴射することで、保持部材を水で洗浄できる。
【0137】
(付記27)
付記27に係る洗浄装置は、付記20から26のいずれか1つに記載の洗浄装置において、前記保持部材に向かって気体を噴射するためのエアノズルをさらに備える。
【0138】
付記27に係る洗浄装置は、エアノズルが保持部材に向かって気体を噴射することで、保持部材を乾燥できる。
【0139】
(付記28)
付記28に係る洗浄装置は、付記20から27のいずれか1つに記載の洗浄装置において、前記保持部材に向かって温風を送風するための温風装置をさらに備える。
【0140】
付記28に係る洗浄装置は、温風装置が保持部材に向かって温風を送風することで、保持部材を乾燥できる。
【0141】
(付記29)
付記29に係る洗浄装置は、電気接点を有し且つ基板ホルダの少なくとも一部の部材である保持部材の、洗浄装置であって、クエン酸水溶液を保持し、前記保持部材が前記クエン酸水溶液に浸漬されるための洗浄槽を備える。
【0142】
付記29に係る洗浄装置は、電気接点を洗浄槽に保持されたクエン酸水溶液で洗浄できる。また、この洗浄装置は、付記1の洗浄方法と同様に、めっき液や、基板を保持するための部材である基板ホルダに悪影響を与えることなく、純水では除去できない電気接点に付着した汚れを除去できる。
【0143】
(付記30)
付記30に係る洗浄装置によれば、付記29に記載の洗浄装置において、前記基板ホルダは、外部電源に電気的に接続されるように構成される中継接点を有する第1保持部材と、前記電気接点を有する第2保持部材とを有し、前記保持部材は、前記第2保持部材である。
【0144】
(付記31)
付記31に係る洗浄装置は、付記29又は付記30に記載の洗浄装置において、前記洗浄槽の内部に液体を供給するための供給口と、前記洗浄槽の内部から液体を排出するための排出口と、前記排出口から前記洗浄槽の内部の液体を吸引し、吸引した当該液体を前記供給口から前記洗浄槽の内部に供給するように構成されたポンプと、をさらに備える。
【0145】
付記31に係る洗浄装置は、クエン酸水溶液を、洗浄槽の内部、排出口、ポンプ及び供給口の間で循環することができ、洗浄槽の内部のクエン酸水溶液を対流できる。
【0146】
(付記32)
付記32に係る洗浄装置は、付記29から31のいずれか1つに記載の洗浄装置において、前記洗浄槽の内部に収容されるキャリアを備え、前記キャリアは、上下方向に並べられた複数のメッシュ板であって前記保持部材を支持するための複数のメッシュ板を有する。
【0147】
付記32に係る洗浄装置によれば、キャリアが複数の保持部材を保持できる。このため、この洗浄装置は、キャリアを用いて、複数の保持部材を一度にクエン酸水溶液に浸漬できる。
【0148】
(付記33)
付記33に係る洗浄装置は、付記32に記載の洗浄装置において、回転可能に構成された第1棒状部材と、前記電気接点に向かって前記クエン酸水溶液、水又は気体を噴射するためのノズルであって、前記第1棒状部材に取付けられ、前記第1棒状部材と一体に回転可能なノズルと、をさらに備え、前記複数のメッシュ板には、前記棒状部材が貫通するための貫通孔がそれぞれ形成されている。
【0149】
付記33に係る洗浄装置によれば、ノズルが、第1棒状部材と一体に回転しながら、電気接点に向かってクエン酸水溶液、水又は気体を噴射できる。このため、クエン酸水溶液が電気接点に噴射される場合には、この洗浄装置は、電気接点をクエン酸水溶液によって洗浄できる。また、水が電気接点に噴射される場合には、この洗浄装置は、電気接点を水によって洗浄できる。そして、気体が電気接点に噴射される場合には、この洗浄装置は、電気接点を乾燥できる。
【0150】
(付記34)
付記34に係る洗浄装置は、付記32又は付記33に記載の洗浄装置において、回転可能に構成された第2棒状部材と、前記第2棒状部材に取付けられ、前記第2棒状部材と一体に回転することにより前記洗浄槽の内部の液体を攪拌するための攪拌部材と、をさらに備え、前記複数のメッシュ板には、前記第2棒状部材が貫通するための貫通孔がそれぞれ形成されている。
【0151】
付記34に係る洗浄装置は、洗浄槽の内部の液体を攪拌できる。
【0152】
(付記35)
付記35に係る洗浄装置は、付記29から34のいずれか1つに記載の洗浄装置において、気体を前記保持部材に送風するためのファンと、前記保持部材に送風される前記気体を加熱するためのヒータと、をさらに備える。
【0153】
付記35に係る洗浄装置では、ファンが、ヒータにより加熱された気体を保持部材に供給できる。
【0154】
(付記36)
付記36に係る洗浄装置は、付記35に記載の洗浄装置において、前記洗浄槽の内部の気体の温度を測定するための温度計と、前記温度計が測定した温度に基づいて、前記ヒータを制御するための温度調節器と、をさらに備える。
【0155】
付記36に係る洗浄装置では、ファンが、保持部材に供給する気体の温度を所定の温度にすることができる。
【0156】
(付記37)
付記37に係る洗浄装置は、付記32に従属する付記36に記載の洗浄装置において、前記洗浄槽の内部に気体を供給するための吸気口と、前記洗浄槽の内部から気体を排気するための排気口と、前記洗浄槽を、前記キャリアが配置されるための第1室、及び第2室に分割するための仕切板と、前記仕切板に形成された第1開口及び第2開口と、を備え、前記第2室は、第1開口から第2開口までの流路であって、前記ヒータが配置されている流路を構成し、前記第1室は、第2室を介することなく、前記吸気口及び前記排気口と連通し、前記第2開口は、前記キャリアに隣接し、前記ファンは、前記第1室内部の気体及び前記吸気口を介して前記洗浄槽の外部から吸引した気体を、第1開口に送風することにより、前記第2開口から前記保持部材に向かって、前記第1室内部の気体及び前記吸気口を介して前記洗浄槽の外部から吸引した気体を送風するように構成されている。
【0157】
付記37に係る洗浄方法によれば、第2室を流れる気体が加熱されて、第1室に配置されている保持部材に向かって送風される。そして、この保持部材に向かって送風された後の気体が、再び第2室に送風される。このため、第2室に供給される気体の一部は加熱された気体である。したがって、この方法は、気体を加熱するためのエネルギーを節約しながら、高温の気体を保持部材に供給できる。
【0158】
以上、本発明に係る幾つかの実施形態のみを説明したが、本発明の新規の教示や利点から実質的に外れることなく例示の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には容易に理解できるであろう。従って、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含むことを意図する。また、上記実施形態を任意に組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0159】
30:基板ホルダ
31:第1保持部材
32:第2保持部材
50:電気接点
100:洗浄装置
102:回転部材
118:ポンプ
140:排液管
144:液体ノズル
154:エアノズル
166:温風装置
200:洗浄モジュール
202:ケース
204:ノズル
220:クエン酸槽
400:洗浄装置
408:供給口
410:排出口
428:ポンプ
438:吸気口
440:排気口
442:ファン
444:ヒータ
446:仕切板
448:第1開口
450:第2開口
460:温度計
462:温度調節器
466:第1棒状部材
468:ノズル
470:第2棒状部材
472:攪拌部材
500:キャリア
504:メッシュ板
520:洗浄槽
540:クエン酸タンク
900:廃液部
902:液体供給源
904:気体供給源
Wf:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11