(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ダイレクトドライブのレチクル安全ラッチ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240318BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20240318BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/68 G
H01L21/68 P
(21)【出願番号】P 2021535672
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2019084864
(87)【国際公開番号】W WO2020126813
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】バロウズ、ジョン、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】チャベス、イサーク
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-186139(JP,A)
【文献】EUV reticle safety catch with Z-stroke,Research disclosure,2017年06月,638024
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/68
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に支持を提供するように使用される安全装置であって、
ハウジングの長さに沿って延びる回転シャフトを備えるハウジングと、
前記回転シャフトの第1端に結合された回転モーターと、
前記回転シャフトの前記第1端とは反対側にある前記回転シャフトの第2端に結合され、前記回転シャフトの回転によって回転させられる安全ラッチであって、前記回転シャフトから径方向に延びる安全ラッチと、を備え、
前記安全ラッチは、前記回転シャフトから離れた前記安全ラッチの遠位端に足部分を備え、前記足部分が前記物体への接触点として働くように構成され
、
前記安全ラッチは、前記ハウジングの底面にある環状凹部に収まる環状突起をさらに備える、安全装置。
【請求項2】
前記環状突起と前記環状凹部との間の空間が、0.5から2ミリメートルである、請求項
1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記足部分は、前記安全ラッチの前記遠位端に、前記安全ラッチの残部から角度をなして配置されている、請求項1に記載の安全装置。
【請求項4】
前記角度が約90度である、請求項
3に記載の安全装置。
【請求項5】
前記安全ラッチは、第1位置と第2位置との間で回転するように構成され、前記第1位置と前記第2位置の間隔が約5度から約20度の間である、請求項1に記載の安全装置。
【請求項6】
前記回転モーターは、摩擦駆動モーター、またはブレーキ付きの回転モーターを備える、請求項1に記載の安全装置。
【請求項7】
前記物体は、パターニングデバイスである、請求項1に記載の安全装置。
【請求項8】
放射ビームを調整するように構成された照明システムと、
前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターニングされた放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するように構築された支持構造と、
前記支持構造に結合された1つ又は複数の安全装置と、を備え、
前記1つ又は複数の安全装置の各々が、
ハウジングの長さに沿って延びる回転シャフトを備えるハウジングと、
前記回転シャフトの第1端に結合された回転モーターと、
前記回転シャフトの前記第1端とは反対側にある前記回転シャフトの第2端に結合され、前記回転シャフトの回転によって回転させられる安全ラッチであって、前記回転シャフトから径方向に延びる安全ラッチと、を備え、
前記安全ラッチは、前記回転シャフトから離れた前記安全ラッチの遠位端に足部分を備え、前記足部分が前記パターニングデバイスへの接触点として働くように構成され
、
前記安全ラッチは、前記ハウジングの底面にある環状凹部に収まる環状突起をさらに備える、リソグラフィ装置。
【請求項9】
前記環状突起と前記環状凹部との間の空間が、0.5から2ミリメートルである、請求項
8に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記足部分は、前記安全ラッチの前記遠位端に、前記安全ラッチの残部から角度をなして配置されている、請求項
8に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記角度が約90度である、請求項
10に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記安全ラッチは、第1位置と第2位置との間で回転するように構成され、前記第1位置と前記第2位置の間隔が約5度から約20度の間である、請求項
8に記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記回転モーターは、摩擦駆動モーター、またはブレーキ付きの回転モーターを備える、請求項
8に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
チャックに結合された安全装置での安全ラッチの回転位置を決定することと、
レチクルを前記チャックに向かって平行移動させることと、
前記レチクルを前記チャックの表面に結合することと、
前記安全ラッチの遠位端にある足部分が前記レチクルの下方の位置へと回転するように前記安全ラッチを回転させることと、を備え
、
前記決定することは、
前記レチクルを前記チャックに向かって平行移動させたとしたら前記安全ラッチにぶつかるであろうか否かを決定することと、
前記レチクルが前記安全ラッチにぶつかるであろう場合、前記レチクルを前記チャックに向かって平行移動させたとしても前記安全ラッチにぶつからない位置に前記安全ラッチを回転させることと、を備える方法。
【請求項15】
前記平行移動させることは、ロボットアームを使用して前記レチクルを前記チャックに向かって持ち上げることを備える、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記結合することは、前記レチクルを前記チャックの表面に静電的にクランプすることを備える、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記回転させることは、約5度から約20度の間隔だけ離れた第1位置と第2位置との間で前記安全ラッチを回転させることを備える、請求項
14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月21日に出願された米国仮出願62/783,896号の優先権を主張し、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、安全機構、たとえばリソグラフィシステムにおけるパターニングデバイスの保持のための安全機構に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通例は基板の目標部分に与える機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)の製造に用いられる。その場合、マスク又はレチクルとも称されるパターニングデバイスが、ICの個々の層に回路パターンを生成するために使用されうる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェーハ)上の(例えばダイの一部、1つのダイ、又はいくつかのダイを備える)目標部分に転写されることができる。パターンの転写は典型的には基板に設けられた放射感応性材料(レジスト)層への結像により行われる。一般に、一枚の基板にはネットワーク状に隣接する目標部分が含まれ、これらは連続的に露光される。公知のリソグラフィ装置にはいわゆるステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、目標部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各目標部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各目標部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へと、パターンを基板にインプリントすることによってパターンを転写することも可能である。
【0004】
リソグラフィはICや他のデバイス及び/又は構造の製造における主要な工程のひとつとして広く認知されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作成されるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは小型のICや他のデバイス及び/又は構造を製造可能とするためのよりクリティカルな要因となってきている。
【0005】
パターン印刷の限界の理論推定値は、解像度に関するレイリー基準によって以下に示される式(1)で与えられる。
【数1】
ここでλは使用される放射の波長であり、NAはパターン印刷に使用される投影システムの開口数であり、k1はプロセスに依存する調整係数でありレイリー定数とも呼ばれ、CDは印刷されるフィーチャのフィーチャサイズ(または限界寸法)である。式(1)から導かれるのは、印刷可能なフィーチャサイズの最小値を小さくすることができる3つの方法があるということである。それはすなわち、露光波長λを短くすることによって、又は開口数NAを大きくすることによって、又はk1の値を小さくすることによって、である。
【0006】
露光波長を短くしそれによって印刷可能な最小サイズを小さくするために、極端紫外(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、5nmから20nmの範囲内、例えば13nmから14nmの範囲内や、例えば6.7nmまたは6.8nmといった5nmから10nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。実現可能な光源は例えばレーザ生成プラズマソース、放電プラズマソース、又は電子蓄積リングから供給されるシンクロトロン放射に基づくソースを含む。
【0007】
しかしながら、そのような光源によって生成される放射は、EUV放射だけではなく、光源は、赤外線(IR)放射や深紫外(DUV)放射を含む他の波長も発しうる。DUV放射は、コントラストの低下を招くため、リソグラフィシステムに悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、不要なIR放射は、システム内の部品に熱による損傷を与える可能性がある。そのため、スペクトル純度フィルターを使用して、透過する放射におけるEUVの割合を増やし、DUVやIRなどの不要な非EUV放射を減少ひいては除去することが知られている。
【0008】
EUV放射を使用するリソグラフィ装置では、リソグラフィ動作中、EUV放射ビーム経路、またはその少なくとも大部分を真空に保つ必要がありうる。リソグラフィ装置のそのような真空領域では、パターニングデバイスおよび/または基板などの物体を、それぞれパターニングデバイステーブルおよび/または基板テーブルなどのリソグラフィ装置の構造体にクランプするために、静電クランプが使用されうる。
【0009】
レチクルのような従来のパターニングデバイスは非常に高価である。そのため、リソグラフィ装置内でのレチクルの取り扱いには細心の注意が払われている。レチクルは通常、チャック構造にクランプされているが、クランプに失敗した場合に備えて、安全機構を含むことが望ましい。さもなければ、レチクルが落下して、レチクル自体だけでなく、リソグラフィ装置内の他の高価な光学部品にも損傷を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
レチクルなどのパターニングデバイスがチャックから不用意に落下しないようにするための従来の安全設計では典型的に、レチクルが落下した場合にレチクルを「捕らえる」ために金属製のアームを電磁石で開閉させている。これらの設計は、アームを開くのに必要な力を発生させるために大きなモーターを必要とし、また、アームを開いた状態に保つために一定の電力消費を必要とするため、あまり効率的ではない。本書の実施形態は、電磁石を必要としない、改良された安全装置のためのシステムおよび方法を記述する。
【0011】
いくつかの実施形態では、物体に支持を提供するように使用される安全装置は、ハウジングの長さに沿って延びる回転シャフトを有するハウジングを含む。安全装置はまた、回転シャフトの第1端に結合された回転モーターと、回転シャフトの第1端とは反対側にある回転シャフトの第2端に結合された安全ラッチとを含む。回転シャフトの回転は、安全ラッチを回転させる。安全ラッチは、回転シャフトから径方向に延びる。安全ラッチは、回転シャフトから離れた安全ラッチの遠位端に足部分を含む。足部分は、物体への接触点として働くように設計されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、リソグラフィ装置は、照明システムと、支持構造と、1つ又は複数の安全装置とを含む。照明システムは、放射ビームを調整する。支持構造は、放射ビームの断面にパターンを付与してパターニングされた放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するように構築されている。1つ又は複数の安全装置は、支持構造に結合され、各々が、ハウジングと、回転モーターと、安全ラッチとを含む。ハウジングは、ハウジングの長さに沿って延びる回転シャフトを有する。回転モーターは、回転シャフトの第1端に結合されている。安全ラッチは、回転シャフトの第1端とは反対側にある回転シャフトの第2端に結合されている。回転シャフトの回転は、安全ラッチを回転させる。安全ラッチは、回転シャフトから径方向に延びる。安全ラッチは、回転シャフトから離れた安全ラッチの遠位端に足部分を含む。足部分は、パターニングデバイスへの接触点として働くように設計されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、チャックに結合された安全装置での安全ラッチの回転位置を決定することと、レチクルをチャックに向かって平行移動させることとを含む。本方法はまた、レチクルをチャックの表面に結合することと、安全ラッチの遠位端にある足部分がレチクルの下方の位置へと回転するように安全ラッチを回転させることとを含む。
【0014】
更なる特徴および利点は、本発明の種々の実施形態の構造および動作とともに、付属の図面を参照しつつ以下に詳しく説明される。本発明は本明細書に述べる特定の実施形態には限定されないものと留意されたい。こうした実施形態は例示の目的のために提示されるにすぎない。付加的な実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて関連技術分野の当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
付属の図面は本明細書に組み込まれてその一部をなし、本発明を図示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の原理を説明し本発明を関連技術分野の当業者が製造し使用可能とするために供されるものである。
【0016】
【
図1】例示的な実施形態に係り、リソグラフィ装置の概略図である。
【0017】
【
図2】例示的な実施形態に係り、レチクルステージの概略斜視図である。
【0018】
【0019】
【
図4】例示的な実施形態に係り、安全装置の概略図である。
【0020】
【0021】
【
図6】例示的な実施形態に係り、安全ラッチの回転の概略図である。
【0022】
【
図7】例示的な実施形態に係り、安全ラッチの一部分の断面の概略図である。
【0023】
【
図8】
図8(A)から
図8(C)は、いくつかの実施形態に係り、チャックへのパターニングデバイスの装着の概略図である。
【0024】
【
図9】例示的な実施形態に係り、安全ラッチの動作についてのフローチャートの概略図である。
【0025】
本発明の特徴および利点は、同様の参照文字が対応する要素を特定する本図面に関連付けて後述される発明の詳細な説明によって、より明らかとなろう。図面において同様の参照番号は大概、同一の要素、機能的に類似の要素、および/または、構造的に類似の要素を指し示す。そうではないと指示されない限り、本開示を通じて提供される図面は原寸通りの図面であると解すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この明細書は、この発明の特徴を組み込んだ1つ又は複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は単に本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示された実施形態には限定されない。本発明は添付の特許請求の範囲により定義される。
【0027】
説明される実施形態、および本明細書での「一つの実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」等への言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造または特性を備えてもよいが、必ずしもあらゆる実施形態がその特定の特徴、構造または特性を備える必要はないことを示している。また、このような表現は同一の実施形態を必ずしも指し示すものではない。さらに、ある実施形態に関連してある特定の特徴、構造または特性が説明される場合、明示的に述べたか否かに関わらず、そのような特徴、構造または特性を他の実施形態に結び付けて作用させることは当業者の知識内であると理解されたい。
【0028】
本書では説明を容易にするために、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」などの空間的に相対的な用語を使用して、図面に示されるある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明することがある。このような空間的に相対的な用語は、図示される向きに加えて、使用時や動作時における装置の異なる向きを包含することを意図している。本装置は、他の向き(90度回転した状態や他の向き)とされてもよく、本書で使用される空間的に相対的な説明もそれに応じて同様に解釈されうる。
【0029】
本書で使用される「約」という用語は、特定の技術に基づいて変化しうる所与の量の値を示すものである。特定の技術に基づいて、「約」という用語は、例えば、値の10~30%(例えば、値の±10%、±20%、または±30%)の範囲内で変化する所与の量の値を示すことができる。
【0030】
本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。また、本開示の実施形態は、1つ又は複数のプロセッサにより読み込まれ、実行されうる機械可読媒体に保存された命令として実装されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータデバイス)により読み取り可能な形式の情報を保存または伝送する任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械可読媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置、電気的、光学的、音響的またはその他の形式の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号)などである。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、および/または命令は、特定の動作を実行するものとして本書に説明されうる。しかしながら、このような説明は単に便宜上のためだけであり、このような動作は実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはその他のデバイスがファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行することで生じるものであると理解すべきである。
【0031】
しかしながら、こうした実施形態をより詳細に説明する前に、本開示の実施形態を実装しうる例示的な環境を提示することは有益である。
【0032】
リソグラフィシステムの例
【0033】
図1は、放射源SOとリソグラフィ装置LAとを備えるリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、リソグラフィ装置LAにEUV放射ビームBを供給するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。
【0034】
照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前に、EUV放射ビームBを調整するように構成されている。そのために、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11を含んでもよい。ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11は共に、所望の断面形状および所望の強度分布を有するEUV放射ビームBを提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、またはその代わりに、他のミラーまたはデバイスを含んでもよい。
【0035】
このように調整された後、EUV放射ビームBは、パターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターニングされたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは,パターニングされたEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成されている。そのために、投影システムPSは、パターニングされたEUV放射ビームB’を、基板テーブルWTによって保持された基板Wに投影するように構成された複数のミラー13、14を備えてもよい。投影システムPSは、パターニングされたEUV放射ビームB’に縮小率を適用して、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを有する像を形成してもよい。例えば、4倍または8倍の縮小率が適用されてもよい。
図1では投影システムPSは2つのミラー13、14のみを有するものとして図示されているが、投影システムPSは異なる数のミラー(例えば6つまたは8つのミラー)を含んでもよい。
【0036】
基板Wは、以前に形成されたパターンを含んでもよい。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターニングされたEUV放射ビームB’によって形成される像を、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0037】
相対的な真空、すなわち、大気圧よりも十分に低い圧力の少量のガス(例えば水素)が、放射源SO、照明システムIL、および/または投影システムPSに与えられてもよい。
【0038】
放射源SOは、レーザー生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザー(FEL)、またはEUV放射を生成することが可能な他の放射源であってもよい。
【0039】
レチクルステージおよび安全装置システムの例
【0040】
図2および
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係り、例示的なレチクルステージ200の概略図である。レチクルステージ200は、トップステージ表面202、ボトムステージ表面204、サイドステージ表面206、レチクル208、および安全装置300を含むことができる。いくつかの実施形態では、レチクル208を有するレチクルステージ200は、リソグラフィ装置LAに実装することができる。例えば、リソグラフィ装置LAにおいて、レチクルステージ200は、支持構造MTを表してもよく、レチクル208は、パターニングデバイスMAを表してもよい。いくつかの実施形態では、レチクル208および複数の安全装置300は、トップステージ表面202上に配置されうる。例えば、
図2に示すように、レチクル208は、安全装置300がレチクル208の各角部に隣接して配置されるようにして、トップステージ表面202の中央に配置されうる。
【0041】
いくつかのリソグラフィ装置、例えばリソグラフィ装置LAでは、レチクルステージまたはチャック200を使用して、走査またはパターニング動作のためにレチクル208を保持および位置決めすることができる。レチクルステージ200は、それを支持するために、強力な駆動装置、大きなバランスマス、および重いフレームを必要とする。レチクルステージ200は大きな慣性を持っており、約0.5kgのレチクル208を推進させ位置決めするために、500kg以上の重さになることがある。リソグラフィ走査またはパターニング動作で典型的に見られるレチクル208の往復運動を達成するために、加速力および減速力がレチクルステージ200を駆動するリニアモーターによって提供されうる。
【0042】
例えば大規模な電源喪失または深刻なシステム故障によるレチクルステージ200の壊滅的な故障の際、レチクルステージ200の加速力および減速力がレチクルに伝わりレチクルの衝突をもたらす可能性がある。レチクル208は、レチクルステージ200の他の構成要素に衝突し、レチクル208および/または他の近傍の構成要素に損傷を与える可能性がある。レチクル208は、レチクルステージ200の衝突前の動きおよび運動量に依存するが、大きな力(すなわち高加速度)で衝突する可能性がある。軟らかいレチクルでは屈曲により金属の破壊(例えばパターンの損傷)が起こる可能性があり、硬いレチクルでは屈曲によりガラスの破壊(例えばレチクルに亀裂)が起こる可能性がある。現在の方法では、衝突時のレチクルの力を低減または減少させるために、何らかの形の安全機構を使用している。しかし、最悪のケースの衝突ではレチクルの衝撃応力(力)が大きいため、レチクルおよび/または現在の安全機構に損傷が発生する可能性がある。
【0043】
1つの可能な解決策は、安全機構、例えば、安全装置300をレチクル208の周りに配置して、衝突時にレチクル208の衝撃力を低減するためのショックアブソーバとして機能させることである。例えば、レチクル208および安全装置300への損傷を低減または完全に除去できるように、衝突によって発生する可能性のある力または衝撃を吸収するために、ショックアブソーバを有するバンパー装置201をレチクル208の周囲に使用することができる。ある実施形態によると、安全装置300は各々が、レチクルステージ200からのレチクル208の分離落下を防止するようにレチクル208下方の定位置に回転される安全ラッチ(図示せず)を含んでもよい。レチクル208は、例えばレチクル208の角に隣接して配置された4つの安全装置300によって拘束されてもよい。ある実施形態では、安全装置300は、物体がずれたり落下したりしないように収容するために使用される「かご」のように作用してもよい。安全装置300がレチクルに緊急支持を提供するために使用される場合、それらはレチクルケージと総称されてもよい。しかし、安全装置300は、他のタイプのパターニングデバイス、または他のタイプのクランプされた物体を支持するために使用することもできる。
【0044】
いくつかの実施形態では、
図2および
図3に示すように、レチクルステージ200は、位置決め動作のための第1エンコーダ212および第2エンコーダ214を含むことができる。例えば、第1および第2エンコーダ212、214は、干渉計とすることができる。第1エンコーダ212は、レチクルステージ200の第1方向、例えば横方向(すなわちX方向)に沿って取り付けられてもよく、第2エンコーダ214は、レチクルステージ200の第2方向、例えば縦方向(すなわちY方向)に沿って取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、
図2および
図3に示すように、第1エンコーダ212は、第2エンコーダ214と直交することができる。
【0045】
安全装置300は、衝突時にレチクル208を固定し、損傷を低減するように構成されうる。安全装置300は、衝突時のレチクル208の衝撃力を均一に分配するように構成されうる。いくつかの実施形態では、複数の安全装置300が、トップステージ表面202に配置され、レチクル208の外周に沿って設けられうる。例えば、複数の安全装置300は、レチクル208の衝撃力を複数の衝撃位置に均一に分配するように、レチクル208の各角部に隣接して配置されることができる。
【0046】
安全ラッチを有するレチクルケージの設計
【0047】
図4は、ある実施形態に係り、1つの安全装置300の等角図を示す。
図2および
図3で上述したように、1つまたは複数の安全装置300は、レチクル208の周囲に配置され、チャック(例えば、レチクルステージ200)に結合されてもよい。安全装置300は、Z方向に沿って最長の長さを有し、内部に配置された可動部品を保護するために設けられたハウジング402を含む。ハウジング402はポリマー材料などの射出成形材料であってもよいし、または、ハウジング402は機械加工された金属であってもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング402は、約60ミリメートルのZ方向に沿った長さを有する。
【0048】
ある実施形態によると、安全装置300は、シャフト406に結合された回転モーター404を含む。シャフト406はハウジング402内に配置され、回転モーターはハウジング402の外側でシャフト406の一端に結合される。シャフト406は、ハウジング402の長さに沿って延びていてもよい。
【0049】
回転モーター404は、双安定の摩擦駆動モーターであってもよい。あるいは、モーターの代わりにロータリーソレノイドが使用されてもよいし、ブレーキ機構を備えた別の電気式回転モーターが使用されてもよい。回転モーター404の双安定性とは、モーターの運動が電力を受けている間にのみ起こることを意味する。回転モーター404が所定の位置に固定されている間は、電力は消費されない。回転モーター404は、圧電モーターまたはDCモーターであってもよい。
【0050】
ブッシング408も、モーター設計の一部として含まれ、ハウジング402内に配置されてもよい。任意のタイプのブッシングまたはベアリング設計が使用されてもよい。いくつかの実施形態によると、ブッシング408は、可動部品から発生した何らかのパーティクルがレチクルケージ300の周囲の領域に排出されるのを低減するように設計されている。安全装置300の動作によって生成されたパーティクルが、隣接するパターニングデバイスの表面に付着すると、基板上に正確なパターンを形成する上で非常に不利となる。したがって、ブッシング408は、パーティクルが逃れにくくなる可動部品間の小さな間隔など、パーティクルトラップを含むように設計されてもよい。
【0051】
回転モーター404は、複数の電気接続部410を含んでもよい。電気接続部410は、回転モーター404に電力を供給する。いくつかの実施形態によると、回転モーター404は、回転モーター404の動作を制御するために、マイクロコントローラまたは他のタイプの制御装置から電気接続部410を介して信号を受信してもよい。
【0052】
安全装置300はまた、回転モーター404に結合された端部とは反対側のシャフト406の端部に結合された安全ラッチ412を含む。安全ラッチ412は、回転シャフト406と一緒に回転する。いくつかの実施形態では、安全ラッチ412は、Z方向に平行な軸を中心に、ハウジング402の下方で完全に360度回転することができる。安全ラッチ412は、シャフト406から径方向外側に延び、60mm未満の長さを有してもよい。図示の安全ラッチ412の設計そのものは一例にすぎず、限定することを意図していない。安全ラッチ412は、
図4に示されているように、2つ以上の別個の梁を含んでいてもよく、あるいは、1つの固体片であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態によると、足領域414が安全ラッチ412の遠位端に配置されている。足領域414は、実質的に平坦であり、パターニングデバイスの一部に接触するように設計されてもよい。いくつかの実施形態によると、足領域414は、パターニングデバイスがそのクランプされた位置からZ方向に落下した場合に、パターニングデバイスと接触する安全ラッチ412の唯一の部分である。足領域414は、約90度の角度など、角度をなして安全ラッチ412の残部から離れるように曲げられてもよい。いくつかの実施形態によると、傾斜した部材415が安全ラッチ412を足領域414に接続し、それにより足領域414が安全ラッチ412よりも低い平行な平面に配置されてもよい。
【0054】
安全装置300は、上述したように、安全バンパー201も含むことができる。安全バンパー201は、本開示の焦点ではないが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、共に係属中の弁護士整理番号2857.6980000に、より詳細に記載されている。
【0055】
例えば
図5に示すように、ハウジング402を有する安全装置300は、固定機構304、安全ラッチ412、およびバンパー装置201を含んでもよい。安全装置300は、例えば、金属またはセラミックなどの剛性材料とすることができる。いくつかの実施形態では、安全装置300のハウジング302は、レチクルステージ200の一部を通って延びていてもよい。例えば、ハウジング302は、円筒形であり、レチクル208の角部との厳密な位置合わせのために、トップステージ表面202を通って延びていてもよい。いくつかの実施形態では、安全装置300は、1つ又は複数の固定機構304を用いてトップステージ表面202に固定することができる。例えば、固定機構304は、ボルトとすることができる。いくつかの実施形態では、安全ラッチ412は、衝突時にレチクル208を固定(すなわち捕捉)して、レチクル208への損傷を低減するように構成されうる。例えば、安全ラッチ412の足領域414は、レチクル208の上面の上で延在し、トップステージ表面202に垂直な方向(すなわちZ方向)へのレチクル208の移動を防止するように構成されてもよい。
【0056】
図6は、ある実施形態に係り、パターニングデバイス208とパターニングデバイス208の1つの角に隣接する安全装置300とを上から見た図である。
図6は縮尺通りに描かれておらず、明確のために特定の特徴が大きくされていることに留意すべきである。さらに、パターニングデバイス208に対する安全装置300の位置は、限定することを意図したものではなく、安全装置300は、パターニングデバイス208の周囲のどこにあってもよい。
【0057】
図6に示すように、安全装置300の安全ラッチ412は、左に示す第1位置と右に示す第2位置との間で回転する。第1位置では、足領域414は、パターニングデバイス208がチャック(
図6には示されていない)から離脱してZ方向に落下した場合にパターニングデバイス208が足領域414に接触するように、パターニングデバイス208の下方に位置合わせされている。第2位置では、安全ラッチ412は、安全ラッチ412のどの部分もパターニングデバイス208の下方にないように、パターニングデバイス208から離れるように回転している。ある実施形態によると、安全ラッチ412は、パターニングデバイス208がチャックにクランプされている間、第1位置に回転されているであろう。ある実施形態によると、安全ラッチ412は、パターニングデバイス208をチャックにロードする間、またはパターニングデバイス208をチャックから除去する間、第2位置に回転されているであろう。第1位置と第2位置との間の安全ラッチ412の回転角度θは、5度から20度の間であってもよい。安全ラッチ412の長さに応じて、他の回転角度も可能である。
【0058】
ある実施形態によると、安全ラッチ412を回転させるために摩擦駆動モーターを使用することの1つの利点は、モーターが回転中にのみ電力を消費し、安全ラッチ412が第1位置または第2位置のいずれかに静止している間には電力を消費しないことである。さらに、安全装置300は、安全ラッチ412を第1位置に維持するための力を提供するために、回転ばねまたは圧縮ばねに依存しない。ある実施形態では、安全装置300は、安全ラッチ412を第1位置に「閉じている」とき、少なくとも1.5Nの力を提供する。摩擦駆動モーターを使用していることもあり、安全ラッチ500は、以前の安全設計と比較して、全体的な体積および質量が小さい。
【0059】
図7は、シャフト406が安全ラッチ412と結合している安全装置300の下部の断面図である。
図7に示すように、シャフト406は、ハウジング402を通って延び、安全ラッチ412と結合している。シャフト406は、シャフト406の中心を通りZ方向に平行な軸「A」まわりに、ハウジング402の下方で回転する。
【0060】
安全ラッチ412は、ハウジング402の底部に設けられた環状凹部706に突出する環状突起704を含む環状軸受702を含んでもよい。突起704が環状であることは必須ではなく、安全ラッチ412の回転を依然として安定させられる他の設計も可能である。
【0061】
ある実施形態によると、突起704と凹部706との間の間隔は、安全ラッチ412の回転中に可動部品から発生するパーティクルがハウジング402内に捕捉された状態となり安全装置300の周囲の空間に排出されないように設計されている。突起704と凹部706の間の間隔は、約0.5mmから約2mmの間になるように設計されてもよい。
【0062】
動作方法の例
【0063】
図8(A)から
図8(C)は、いくつかの実施形態に係り、レチクル208をチャック200にロードするための例示的な手順を示す。ローディングの手順の間、安全装置300の回転の向きが変化する。
図8(A)において、レチクル208は、レチクルアーム802を使用してチャック200に向かって平行移動される。レチクルアーム802は、レチクル
208などのパターニングデバイスをリソグラフィ装置内の様々な位置に安全に移送するために使用されるロボットアームであってもよい。例えば、レチクル208は、レチクルアーム802によって格納位置から取り出され、チャック200の表面にレチクル208をクランプできる場所までチャック200に向かって平行移動される。
【0064】
レチクル208がチャック200に向かって平行移動している間、安全装置300の回転の向きが、安全ラッチ412がレチクル208のローディングの進行を妨げないように進路外に回転しているか否かを決定するために確認される。安全ラッチ412は、レチクル208またはレチクルアーム802のいずれかの部分に安全ラッチ412がぶつかるであろう位置にある場合、安全な位置に回転される。
【0065】
図8(B)では、レチクルアーム802がレチクル208をチャック200に接触させている。この時点で、レチクル208は、任意の既知の方法を用いてチャック200にクランプされることができる。いくつかの一般的なクランプ技術としては、レチクル208を保持するために真空圧力を使用すること、またはレチクル208を保持するために静電電荷を使用することが挙げられる。
【0066】
図8(C)では、レチクルアーム802は、レチクル208(いまはチャック200にクランプされている)から引き離され、ある実施形態によると、安全ラッチ418は、レチクル208の一部分の下方の位置に回転される。「安全な」第1位置とレチクル208下方の第2位置との間の回転角度は、5度から20度の間であってもよく、これはさらにラッチの長さ(既に先のセクションで述べた)に応じて変更されうる。レチクル208の周りに配置された各安全装置300は、それぞれが自身の安全ラッチを一斉に回転させてもよい。
【0067】
図9は、ある実施形態に係り、安全装置の安全ラッチを動作させる例示的な方法900のフローチャートである。方法900は、
図2から
図8を参照して上述した安全装置300およびその対応する安全ラッチ412の動作を説明する(908および910は逆であり、ラッチが最初に回転され、次に位置決めアームが取り外される)。方法900に示された動作は網羅的なものではなく、図示された動作のいずれかの前、後、または間に同様に他の動作も行うことができることを理解すべきである。本開示の様々な実施形態では、方法900の動作は、異なる順序で実行することができ、および/または変化させることができる。
【0068】
動作902では、安全ラッチの位置が決定される。安全ラッチの位置がレチクルをレチクルチャックにロードする際にレチクルまたはレチクルアームとぶつかるであろう場合には、安全ラッチは、もはやレチクルの経路外となるまで回転させられる。これは、安全ラッチを「開」位置まで回転させることと同等と考えられる。安全ラッチがすでに「開」位置にある場合は、安全ラッチのさらなる移動は必要ない。安全ラッチがレチクルチャックにレチクルをロードする進路上にない限り、安全ラッチはどの位置にあっても「開」位置とみなすことができることを理解すべきである。
【0069】
動作904では、レチクルは、可動アームを用いてレチクルチャックに向かって平行移動される。可動アームは、アームの一端でレチクルを支持し、リソグラフィ装置の内部を通ってレチクルを搬送するように設計されてもよい。可動アームは、まずレチクルをレチクルチャックと位置合わせし、次にレチクルをレチクルチャックに向けて平行移動させてもよい。
【0070】
動作906では、レチクルがレチクルチャックの表面にクランプされる。クランプは、真空圧または静電力を用いて行われてもよい。他のいくつかの例では、レチクルは、レチクルチャック上の固定具を用いて機械的にクランプされる。
【0071】
動作908では、可動アームがレチクルから取り外される。クランプされたレチクルは、レチクルチャックの表面に対して所定の位置に残されている。可動アームは、レチクルをロードするために用いられたのとは反対の方向に、レチクルから離れるように平行移動してもよい。この動作は、910の後に行われる。
【0072】
動作910では、レチクルの周りに配置された1つまたは複数の安全装置の安全ラッチが回転され、それにより安全ラッチの一部分がレチクルの下方にくる。安全ラッチのこの一部分は、レチクルがレチクルチャックから離れて落下した場合にレチクルの重量を安全かつ確実に保持するように設計された安全ラッチ上の足領域であってもよい。安全ラッチは、「開」となる第1位置と「閉」となる第2位置との間で回転させられてもよく、第1位置と第2位置は、5度から20度の任意の角度だけ離れていてもよい。この動作は908の前に行われる。
【0073】
実施形態は、さらに以下の項により記述されうる。
1.物体に支持を提供するように使用される安全装置であって、
ハウジングの長さに沿って延びる回転シャフトを備えるハウジングと、
前記回転シャフトの第1端に結合された回転モーターと、
前記回転シャフトの前記第1端とは反対側にある前記回転シャフトの第2端に結合され、前記回転シャフトの回転によって回転させられる安全ラッチであって、前記回転シャフトから径方向に延びる安全ラッチと、を備え、
前記安全ラッチは、前記回転シャフトから離れた前記安全ラッチの遠位端に足部分を備え、前記足部分が前記物体への接触点として働くように構成されている、安全装置。
2.前記安全ラッチは、前記ハウジングの底面にある環状凹部に収まる環状突起をさらに備える、項1に記載の安全装置。
3.前記環状突起と前記環状凹部との間の空間が、0.5から2ミリメートルである、項2に記載の安全装置。
4.前記足部分は、前記安全ラッチの前記遠位端に、前記安全ラッチの残部から角度をなして配置されている、項1に記載の安全装置。
5.前記角度が約90度である、項4に記載の安全装置。
6.前記安全ラッチは、第1位置と第2位置との間で回転するように構成され、前記第1位置と前記第2位置の間隔が約5度から約20度の間である、項1に記載の安全装置。
7.前記回転モーターは、摩擦駆動モーター、またはブレーキ付きの回転モーターを備える、項1に記載の安全装置。
8.前記物体は、パターニングデバイスである、項1に記載の安全装置。
9.放射ビームを調整するように構成された照明システムと、
前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターニングされた放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するように構築された支持構造と、
前記支持構造に結合された1つ又は複数の安全装置と、を備え、
前記1つ又は複数の安全装置の各々が、
ハウジングの長さに沿って延びる回転シャフトを備えるハウジングと、
前記回転シャフトの第1端に結合された回転モーターと、
前記回転シャフトの前記第1端とは反対側にある前記回転シャフトの第2端に結合され、前記回転シャフトの回転によって回転させられる安全ラッチであって、前記回転シャフトから径方向に延びる安全ラッチと、を備え、
前記安全ラッチは、前記回転シャフトから離れた前記安全ラッチの遠位端に足部分を備え、前記足部分が前記パターニングデバイスへの接触点として働くように構成されている、リソグラフィ装置。
10.前記安全ラッチは、前記ハウジングの底面にある環状凹部に収まる環状突起をさらに備える、項9に記載のリソグラフィ装置。
11.前記環状突起と前記環状凹部との間の空間が、0.5から2ミリメートルである、項10に記載のリソグラフィ装置。
12.前記足部分は、前記安全ラッチの前記遠位端に、前記安全ラッチの残部から角度をなして配置されている、項9に記載のリソグラフィ装置。
13.前記角度が約90度である、項12に記載のリソグラフィ装置。
14.前記安全ラッチは、第1位置と第2位置との間で回転するように構成され、前記第1位置と前記第2位置の間隔が約5度から約20度の間である、項12に記載のリソグラフィ装置。
15.前記回転モーターは、摩擦駆動モーター、またはブレーキ付きの回転モーターを備える、項12に記載のリソグラフィ装置。
16.チャックに結合された安全装置での安全ラッチの回転位置を決定することと、
レチクルを前記チャックに向かって平行移動させることと、
前記レチクルを前記チャックの表面に結合することと、
前記安全ラッチの遠位端にある足部分が前記レチクルの下方の位置へと回転するように前記安全ラッチを回転させることと、を備える方法。
17.前記平行移動させることは、ロボットアームを使用して前記レチクルを前記チャックに向かって持ち上げることを備える、項16に記載の方法。
18.前記結合することは、前記レチクルを前記チャックの表面に静電的にクランプすることを備える、項16に記載の方法。
19.前記回転させることは、約5度から約20度の間隔だけ離れた第1位置と第2位置との間で前記安全ラッチを回転させることを備える、項16に記載の方法。
20.前記決定することは、
前記レチクルを前記チャックに向かって平行移動させたとしたら前記安全ラッチにぶつかるであろうか否かを決定することと、
前記レチクルが前記安全ラッチにぶつかるであろう場合、前記レチクルを前記チャックに向かって平行移動させたとしても前記安全ラッチにぶつからない位置に前記安全ラッチを回転させることと、を備える、項16に記載の方法。
【0074】
結辞
【0075】
本書では「レチクル」について具体的な言及がなされている場合があるが、これはパターニングデバイスの一例に過ぎず、本明細書に記載の実施形態は、任意のタイプのパターニングデバイスに適用可能でありうることを理解すべきである。また、本明細書に記載の実施形態は、クランプの失敗によって物体が落下して自身または他の装置のいずれかを損傷することがないように、任意の物体に安全支持を提供するために使用されてもよい。
【0076】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされている場合があるが、ここに説明したリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有しうるものと理解されたい。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において、例えばトラックユニット(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジユニット、及び/又はインスペクションユニットにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらの又は他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は、処理された多数の層を既に含む基板をも意味し得る。
【0077】
上記では光リソグラフィにおける本発明の実施形態の使用について具体的に言及がなされている場合があるが、文脈が許す限り、本発明は光リソグラフィに限定されず、例えばインプリントリソグラフィなどの他の用途に使用されうることが理解されるであろう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィによって、基板上に生成されるパターンが画定される。パターニングデバイスのトポグラフィを基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射、熱、圧力またはその組合せにより、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離すと、硬化したレジストにパターンが残される。
【0078】
本明細書の言葉遣いまたは専門用語は、限定ではなく説明を目的とするものであり、本書の教示を考慮して関連技術分野の当業者によって解釈されるべきものである。
【0079】
本書で使用される「基板」という用語は、ある材料に複数の材料層が追加されたものを記述している。いくつかの実施形態では、基板自体がパターニングされておりその上に追加される材料もパターニングされてもよいし、あるいはパターニングされずに残っていてもよい。
【0080】
本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。また、本発明の実施形態は、1つ又は複数のプロセッサにより読み込まれ、実行されうる機械可読媒体に保存された命令として実装されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータデバイス)により読み取り可能な形式の情報を保存または伝送する任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械可読媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置、電気的、光学的、音響的またはその他の形式の伝搬信号などである。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、および/または命令は、特定の動作を実行するものとして本書に説明されうる。しかしながら、このような説明は単に便宜上のためだけであり、このような動作は実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはその他のデバイスがファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/または命令などを実行することで生じるものであると理解すべきである。
【0081】
後述の例は、本開示の実施形態を例示するものであるが、限定するものではない。関連技術分野の当業者にとって明らかであろう当該分野で通常遭遇する様々な条件およびパラメータについての他の適切な修正および適応は、本開示の精神および範囲内にある。
【0082】
本書ではICの製造における本発明に係る装置及び/またはシステムの使用について具体的な言及がなされている場合があるが、このような装置及び/またはシステムは、例えば集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターン及び検出パターン、LCDパネル、薄膜磁気ヘッド等の製造といった多くの他の用途を有しうるものと理解されたい。当業者であればこうした代替の用途の文脈において、本書における「レチクル」、「ウェーハ」、または「ダイ」という用語がそれぞれ「マスク」、「基板」、「目標部分」という、より一般的な用語に置換されるとみなされると理解することができるであろう。
【0083】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、説明したもの以外の態様で本発明が実施されてもよい。本説明は発明を限定することを意図しない。
【0084】
「発明の概要」および「要約」の欄ではなく、「詳細な説明」の欄が特許請求の範囲の解釈に使用されるよう意図されていることを認識されたい。「発明の概要」および「要約」の欄は、発明者によって考案された実施形態のうち一つまたは複数について述べているが、全ての例示的な実施形態について述べているわけではなく、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる方法によっても限定する意図はない。
【0085】
上記では、本発明が特定の機能およびその関係の実装を示す機能ブロックを用いて説明されている。これらの機能ブロックの境界は、本書では説明の便宜上任意に定められている。特定の機能およびその関係が適切に実行される限り、代替の境界が定められてもよい。
【0086】
特定の実施形態についての上記説明は本発明の一般的性質を完全に公開しており、したがって、当業者の知識を適用することによって、過度の実験をすることなく、および本発明の一般概念から逸脱することなく、こうした特定の実施形態を種々の応用に対して直ちに修正しおよび/または適応させることができる。したがって、そのような修正および適応は、本書に提示された教示および助言に基づき、開示された実施形態の意義および等価物の範囲内にあるものと意図されている。
【0087】
本発明の広がりおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲およびその等価物にしたがってのみ定められるべきである。