(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】シート材供給部、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B65H1/04 326B
B65H1/04 324
(21)【出願番号】P 2020013483
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊明
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156352(JP,A)
【文献】特開2016-060640(JP,A)
【文献】特開2009-190889(JP,A)
【文献】実開昭63-119548(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置のシート材供給部であって、
前記画像形成装置の本体筐体に挿入・引き出し可能に装着されるシート材積載トレイと、
シート材搬送方向に移動して前記シート材積載トレイに積載されたシート材端部の位置を規制する搬送方向位置規制部材と、
前記シート材搬送方向と直交する方向に移動して前記シート材積載トレイに載置されたシート材端部の位置を規制する搬送直交方向位置規制部材と、
前記シート材積載トレイに設けられたピニオンギヤと、
前記本体筐体に設けられ、前記ピニオンギヤと噛み合わされるラックギヤと、を備え、
前記シート材積載トレイの前記本体筐体への挿入・引き出し動作時に、前記ピニオンギヤが前記ラックギヤと噛み合わされて回転することによって、前記搬送方向位置規制部材及び前記搬送直交方向位置規制部材が移動し、前記シート材積載トレイを前記本体筐体に挿入する際、前記搬送方向位置規制部材の移動が前記搬送直交方向位置規制部材の移動より先に移動完了するように構成されて
おり、
前記シート材積載トレイに前記ピニオンギヤが2つ設けられ、
当該2つのピニオンギヤのうちの一方が、前記搬送方向位置規制部材を移動させるための第1のピニオンギヤであり、他方が、前記搬送直交方向位置規制部材を移動させるための第2のピニオンギヤである
ことを特徴とするシート材供給部。
【請求項2】
前記第1のピニオンギヤにかかるトルクが所定の閾値を超えた場合に当該第1のピニオンギヤから前記搬送方向位置規制部材への動力伝達を断つ第1のトルクリミッターと、
前記第2のピニオンギヤにかかるトルクが所定の閾値を超えた場合に当該第2のピニオンギヤから前記搬送直交方向位置規制部材への動力伝達を断つ第2のトルクリミッターと、を備えている
ことを特徴とする請求項
1に記載のシート材供給部。
【請求項3】
前記本体筐体に前記ラックギヤが2つ設けられ、
当該2つのラックギヤのうちの一方が、前記第1のピニオンギヤと噛み合わされる第1のラックギヤであり、他方が、前記第2のピニオンギヤと噛み合わされる第2のラックギヤである
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載のシート材供給部。
【請求項4】
前記搬送方向位置規制部材及び前記搬送直交方向位置規制部材の移動は、前記シート材積載トレイの前記本体筐体に対する完全開放位置から完全挿入位置までの間の一部の範囲でのみ行われる
ことを特徴とする請求項1~
3の何れか1項に記載のシート材供給部。
【請求項5】
前記一部の範囲は、前記完全開放位置を含まない
ことを特徴とする請求項
4に記載のシート材供給部。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか1項に記載のシート材供給部を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置のシート材供給部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置には、シート材供給部が設けられている。このシート材供給部は、画像形成装置の本体筐体に挿入・引き出し可能に装着されるシート材積載トレイと、シート材積載トレイに対し移動可能に設けられ、シート材積載トレイに積載されたシート材端部の位置を規制する位置規制部材と、を備え、シート材積載トレイから本体筐体側に所定の搬送方向でシート材を1枚ずつ供給する。
【0003】
このようなシート材供給部において、シート材積載トレイの本体筐体への挿入・引き出し動作時にシート材積載トレイに設けたピニオンギヤを本体筐体に設けたラックギヤと噛み合わせて回転させることによって位置規制部材を移動させる技術が既に知られている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2016-60640号公報)には、画像形成装置の本体筐体に挿入・引き出し可能に装着されるシート材積載トレイと、シート材搬送方向に移動してシート材端部の位置を規制する搬送方向位置規制部材と、搬送直交方向に移動してシート材端部の位置を規制する搬送直交方向位置規制部材と、を備え、シート材積載トレイの本体筐体への挿入・引き出し動作に連動して、搬送方向位置規制部材及び搬送直交方向位置規制部材が所定位置と離間位置とに亘って移動するように構成されたシート材供給部が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、搬送方向位置規制部材と搬送直交方向位置規制部材とがシート材積載トレイの本体筐体への挿入動作に連動して移動し、シート材積載トレイに積載されたシート材を2方向から同時に位置規制する。しかし、この際、先にシート材と接触し位置規制した一方の位置規制部材がシート材の1方向端部を押し付けているため、他方の位置規制部材の移動負荷が大きくなり、当該他方の位置規制部材が所定位置まで移動できない場合があるという問題があった。
【0006】
上記のようにシート材の位置規制部材が正しく機能せず、シート材が適正位置に位置決めされていない状態で画像形成装置の印字動作が開始されると、シート材搬送不具合が起きる場合がある。画像形成装置においてシート材を不具合なく搬送する上での重要度は、シート材における搬送方向に対する位置のほうが、搬送直交方向に対する位置よりも高い。
【0007】
なお、従来のシート材供給部において、搬送方向位置規制部材と搬送直交方向位置規制部材とのうちどちらが先にシート材に接触するかは、シート材のサイズや向き等の諸条件によって変わることから定まっていなかった。
【0008】
そこで、本発明は、画像形成装置のシート材供給部において、積載されたシート材をシート材搬送方向に対して適正位置に保持して搬送不具合を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像形成装置のシート材供給部であって、前記画像形成装置の本体筐体に挿入・引き出し可能に装着されるシート材積載トレイと、シート材搬送方向に移動して前記シート材積載トレイに積載されたシート材端部の位置を規制する搬送方向位置規制部材と、前記シート材搬送方向と直交する方向に移動して前記シート材積載トレイに載置されたシート材端部の位置を規制する搬送直交方向位置規制部材と、前記シート材積載トレイに設けられたピニオンギヤと、前記本体筐体に設けられ、前記ピニオンギヤと噛み合わされるラックギヤと、を備え、前記シート材積載トレイの前記本体筐体への挿入・引き出し動作時に、前記ピニオンギヤが前記ラックギヤと噛み合わされて回転することによって、前記搬送方向位置規制部材及び前記搬送直交方向位置規制部材が移動し、前記シート材積載トレイを前記本体筐体に挿入する際、前記搬送方向位置規制部材の移動が前記搬送直交方向位置規制部材の移動より先に移動完了するように構成されており、前記シート材積載トレイに前記ピニオンギヤが2つ設けられ、当該2つのピニオンギヤのうちの一方が、前記搬送方向位置規制部材を移動させるための第1のピニオンギヤであり、他方が、前記搬送直交方向位置規制部材を移動させるための第2のピニオンギヤであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シート材積載トレイを本体筐体に挿入する際、シート材搬送方向に移動する搬送方向位置規制部材の移動が搬送直交方向位置規制部材の移動より先に移動完了するように構成されているので、搬送方向位置規制部材が搬送直交方向位置規制部材による移動負荷を負うことなく所定位置まで確実に移動でき、シート材をシート材搬送方向に対して適正位置に確実に位置付けることができる。よって、シート材の搬送不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】
図1のシート材供給部を構成するシート材積載トレイの平面図である。
【
図3】
図2のシート材積載トレイにシート材が積層された状態を示す平面図である。
【
図4】
図3の搬送方向位置規制部材がシート材を搬送方向に対して適正位置に位置付けた状態を示す平面図である。
【
図5】
図4の搬送直交方向位置規制部材がシート材を搬送直交方向に対して適正位置に位置付けた状態を示す平面図である。
【
図6】
図5の搬送方向位置規制部材、搬送直交方向位置規制部材を移動させる移動機構を示す平面図である。
【
図7】
図1の本体筐体からシート材積載トレイが引き出された状態を示す平面図である。
【
図8】
図7のシート材積載トレイが本体筐体に完全挿入された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかる画像形成装置及びシート材供給部を、
図1~8を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置1は、電子写真方式の画像形成装置であり、主として、本体筐体10、スキャナ部11、光書き込み部12、「シート材供給部」としての給紙部13、搬送部14、作像部15、トナー補給部16、定着部17、排紙部18を備えて構成されている。
【0014】
給紙部13は、
図6~8に示すように、「シート材積載トレイ」としての給紙トレイ3と、搬送方向位置規制部材4と、一対の搬送直交方向位置規制部材5a,5bと、搬送方向位置規制部材4を移動させる移動機構6と、搬送直交方向位置規制部材5a,5bを移動させる移動機構7と、を備えている。
【0015】
なお、本例の給紙部13は、2段の給紙トレイ3を備えている。これら給紙トレイ3は、それぞれ本体筐体10の手前に引き出して用紙9(シート材)の補給を行い、本体筐体10の内部に格納(完全挿入)された状態で本体筐体10側に給紙を行う。各給紙トレイ3の構造は同一であるので、そのうちの一つの給紙トレイ3について説明する。
【0016】
図2は、給紙トレイ3の平面図である。
図2中の矢印Aは、給紙トレイ3の本体筐体10への挿入方向を示している。矢印Bは、給紙トレイ3にセットされる用紙9の本体筐体10側への搬送方向を示している。矢印Aと矢印Bは互いに垂直である。一点鎖線Cは、給紙トレイ3における奥行方向(即ち本体筐体10への挿入方向)の中央部を示している。
【0017】
搬送方向位置規制部材4は、給紙トレイ3に積載された用紙9の搬送方向の位置を規制するものである。搬送方向位置規制部材4は、給紙トレイ3の内側に移動可能に設けられており、
図2中の一点鎖線C上を搬送方向(矢印B方向)に移動する。搬送方向位置規制部材4は、用紙9の一辺に当接して給紙トレイ3の側壁32に用紙9を押し付けることで、用紙9を搬送方向に対して適正位置に位置付ける。
【0018】
一対の搬送直交方向位置規制部材5a,5bは、給紙トレイ3に積載された用紙9の搬送直交方向の位置を規制するものである。一対の搬送直交方向位置規制部材5a,5bは、給紙トレイ3の内側に対向配置されている。一対の搬送直交方向位置規制部材5a,5bは、互いに近づく方向及び互いに離れる方向に移動可能に設けられているとともに、搬送方向と直交する方向に移動する。一対の搬送直交方向位置規制部材5a,5bは、用紙9の対辺にそれぞれ当接して互いの間に用紙9を挟み付けることで、用紙9を搬送直交方向に対して適正位置に位置付ける。
【0019】
移動機構6は、
図6に示すように、搬送方向位置規制部材4に連結された無端ベルト65と、無端ベルト65を駆動させるギヤプーリー64及びプーリー66,67と、給紙トレイ3に設けられたピニオンギヤ61と、ピニオンギヤ61からギヤプーリー64へ動力を伝達するピニオンギヤ62及びトルクリミッター63と、本体筐体10に設けられ、ピニオンギヤ61と噛み合わされるラックギヤ60(
図7,8)と、を備えて構成されている。
【0020】
移動機構6は、給紙トレイ3の本体筐体10への挿入・引き出し動作時に、ピニオンギヤ61がラックギヤ60と噛み合わされて回転し、この回転が、ピニオンギヤ62、トルクリミッター63、ギヤプーリー64を介して無端ベルト65に伝達されて搬送方向位置規制部材4を移動させる。また、移動機構6は、給紙トレイ3を本体筐体10に挿入する動作時に搬送方向位置規制部材4を用紙9に近付く方向に(
図6において左から右方向に)移動させ、給紙トレイ3を本体筐体10から引き出す動作時に搬送方向位置規制部材4を用紙9から離れる方向に(
図6において右から左方向に)移動させる。
【0021】
上記移動機構6を構成するトルクリミッター63は、ピニオンギヤ61にかかるトルクが所定の閾値を超えた場合にピニオンギヤ61から搬送方向位置規制部材4への動力伝達を断つ。すなわち、搬送方向位置規制部材4によって押された用紙9は、給紙トレイ3の側壁32に押し付けられることで移動を停止する。そして、用紙9が停止した後にピニオンギヤ61の回転が継続すると、ピニオンギヤ61にかかるトルクが所定の閾値を超える。この際、トルクリミッター63が滑ることで、ピニオンギヤ62からギヤプーリー64への動力伝達が断たれ、搬送方向位置規制部材4が停止する。
【0022】
このように、本例では、搬送方向位置規制部材4が用紙9を搬送方向に対して適正位置に位置付けた後は、搬送方向位置規制部材4が停止するように構成されているので、給紙トレイ3に積載された用紙9の大きさにかかわらず、用紙9を搬送方向に対して適正位置に位置付けることができる。
【0023】
移動機構7は、
図6に示すように、搬送直交方向位置規制部材5a,5bそれぞれに設けられたラックギヤ77,79と、給紙トレイ3の中央部(
図2の一点鎖線C上)に設けられ、ラックギヤ77,79双方と噛み合わされるピニオンギヤ78と、ラックギヤ77と噛み合わされるギヤプーリー76と、ギヤプーリー74と、ギヤプーリー74,76間に架け渡された無端ベルト75と、給紙トレイ3に設けられたピニオンギヤ71と、ピニオンギヤ71からギヤプーリー74へ動力を伝達するピニオンギヤ72及びトルクリミッター73と、本体筐体10に設けられ、ピニオンギヤ71と噛み合わされるラックギヤ70(
図7,8)と、を備えて構成されている。
【0024】
移動機構7は、給紙トレイ3の本体筐体10への挿入・引き出し動作時に、ピニオンギヤ71がラックギヤ70と噛み合わされて回転し、この回転が、ピニオンギヤ72、トルクリミッター73、ギヤプーリー74、無端ベルト75、ギヤプーリー76、を介してラックギヤ77に伝達されて一方の搬送直交方向位置規制部材5aを移動させる。また、移動機構7は、前述のようにラックギヤ77に伝達された動力が、ピニオンギヤ78を介してラックギヤ79に伝達されて他方の搬送直交方向位置規制部材5bを移動させる。また、移動機構7は、給紙トレイ3を本体筐体10に挿入する動作時に搬送直交方向位置規制部材5a,5bを用紙9に近付く方向に(互いに近づく方向に)移動させ、給紙トレイ3を本体筐体10から引き出す動作時に搬送直交方向位置規制部材5a,5bを用紙9から離れる方向に(互いに離れる方向に)移動させる。
【0025】
上記移動機構7を構成するトルクリミッター73は、ピニオンギヤ71にかかるトルクが所定の閾値を超えた場合にピニオンギヤ71から搬送直交方向位置規制部材5a,5bへの動力伝達を断つ。すなわち、搬送直交方向位置規制部材5a,5bの一方によって押された用紙9は、他方に押し付けられることで移動を停止する。そして、用紙9が停止した後にピニオンギヤ71の回転が継続すると、ピニオンギヤ71にかかるトルクが所定の閾値を超える。この際、トルクリミッター73が滑ることで、ピニオンギヤ72からギヤプーリー74への動力伝達が断たれ、搬送直交方向位置規制部材5a,5bが停止する。
【0026】
このように、本例では、搬送直交方向位置規制部材5a,5bが用紙9を搬送直交方向に対して適正位置に位置付けた後は、搬送直交方向位置規制部材5a,5bが停止するように構成されているので、給紙トレイ3に積載された用紙9の大きさにかかわらず、用紙9を搬送直交方向に対して適正位置に位置付けることができる。
【0027】
上述したように、本例では、給紙トレイ3に2つのピニオンギヤ61,71が設けられている。ピニオンギヤ61は特許請求の範囲の「第1のピニオンギヤ」に相当し、ピニオンギヤ71は特許請求の範囲の「第2のピニオンギヤ」に相当する。また、本例では、本体筐体10に2つのラックギヤ60,70が設けられており、ラックギヤ60はピニオンギヤ61と、ラックギヤ70はピニオンギヤ71と、それぞれ独立に噛み合う構成となっている。ラックギヤ60は特許請求の範囲の「第1のラックギヤ」に相当し、ラックギヤ70は特許請求の範囲の「第2のラックギヤ」に相当する。また、トルクリミッター63は特許請求の範囲の「第1のトルクリミッター」に相当し、トルクリミッター73は特許請求の範囲の「第2のトルクリミッター」に相当する。
【0028】
さらに、給紙部13は、給紙トレイ3を本体筐体10に挿入する際、搬送方向位置規制部材4が搬送直交方向位置規制部材5a,5bより先に移動開始され、かつ、搬送方向位置規制部材4が搬送直交方向位置規制部材5a,5bより先に移動完了するように構成されている。このような構成となるように、ピニオンギヤ61とピニオンギヤ71との間の距離、ラックギヤ60,70の配置が設定されている。
【0029】
具体的には、ピニオンギヤ61、71は、給紙トレイ3の側部に設けられており、ピニオンギヤ61がピニオンギヤ71よりもトレイ挿入方向(
図7中の矢印A方向)の奥側に配置されている。また、ラックギヤ60,70は、本体筐体10の内部に設けられており、ラックギヤ60がラックギヤ70よりもトレイ挿入方向の奥側に配置されている。そして、給紙トレイ3を本体筐体10に挿入する際、ピニオンギヤ61とラックギヤ60がピニオンギヤ71とラックギヤ70よりも先に噛み合う。
【0030】
また、ピニオンギヤ61とピニオンギヤ71とのトレイ挿入方向の距離により、搬送直交方向位置規制部材5a,5bの移動が開始される前の搬送方向位置規制部材4の上限移動量は決まるが、ピニオンギヤ61とピニオンギヤ71とのトレイ挿入方向の距離は、搬送直交方向位置規制部材5a,5bが移動開始するよりも先に搬送方向位置規制部材4が移動完了するために必要な移動量が設定されている。また、ピニオンギヤ61とラックギヤ70、ピニオンギヤ71とラックギヤ60が接触しないように、それぞれの部品位置が設定されている。
【0031】
また、本例において、搬送方向位置規制部材4及び搬送直交方向位置規制部材5a,5bの移動は、給紙トレイ3の本体筐体10に対する完全開放位置(最大サイズの用紙9を給紙トレイ3に補給することが可能な位置)から完全挿入位置までの間の一部の範囲でのみ行われる。これにより、給紙トレイ3を本体筐体10から少量着脱した場合でも、搬送方向位置規制部材4及び搬送直交方向位置規制部材5a,5bが用紙9を位置規制するため、給紙トレイ3の引き出し量にかかわらず、用紙9を位置規制できる。また、前記一部の範囲は、完全開放位置を含まない。これにより、用紙9の位置規制のために、給紙トレイ3を完全に開放する必要がない。
【0032】
このように、本発明によれば、給紙トレイ3を本体筐体10に挿入する際、用紙搬送方向に移動する搬送方向位置規制部材4の移動が搬送直交方向位置規制部材5a,5bの移動より先に移動完了するように構成されているので、搬送方向位置規制部材4が搬送直交方向位置規制部材5a,5bによる移動負荷を負うことなく所定位置まで確実に移動でき、用紙9を用紙搬送方向に対して適正位置に確実に位置付けることができる。よって、用紙9の搬送不具合を抑制することができる。
【0033】
続いて、給紙トレイ3に用紙9を補給する際の動作を説明する。
図2に示すように、給紙トレイ3を本体筐体10から引き出し、
図3に示すように、複数の用紙9を給紙トレイ3の底板31上に積載する。そして、給紙トレイ3を本体筐体10に挿入する。この際、給紙トレイ3の本体筐体10への挿入とともに搬送方向位置規制部材4が搬送方向へ移動し、搬送方向位置規制部材4が用紙9と接触後、搬送方向位置規制部材4により用紙9は搬送方向に押され、給紙トレイ3の側壁32と接触する位置まで移動し停止する。用紙9の停止とともに搬送方向位置規制部材4は停止する(
図4)。
【0034】
さらに給紙トレイ3を本体筐体10に挿入すると、搬送直交方向位置規制部材5a,5bが中央部(
図2中の一点鎖線C)側へ移動し、どちらか片方、または両方の搬送直交方向位置規制部材5a,5bが用紙9と接触後、搬送直交方向位置規制部材5a,5bにより用紙9は中央部側に押され、
図5に示す搬送直交方向の適正位置まで移動し停止する。用紙9の停止とともに搬送直交方向位置規制部材5a,5bは停止する。
【0035】
以上動作により、給紙トレイ3上の用紙9は、搬送方向位置規制部材4、給紙トレイ3の側壁32、一対の搬送直交方向位置規制部材5a,5bにより四辺を位置規制され、適正位置に保持される。この状態から、画像形成装置1は印字動作を開始し、用紙9は給紙部13から、搬送部14、作像部15、定着部17を通り、所定の位置に印字された状態で排紙部18へ出力される。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0037】
例えば、上記実施形態では、搬送直交方向位置規制部材5a,5bが一対設けられていたが、搬送直交方向位置規制部材1つでもよい。その場合、シート材積載トレイの壁との間にシート材を位置付けることで位置決めすればよい。また、上記実施形態では、本体筐体10にラックギヤ60,70が2つ設けられていたが、ラックギヤは1つでもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 画像形成装置
3 給紙トレイ(シート材積載トレイ)
4 搬送方向位置規制部材
5a,5b 搬送直交方向位置規制部材
10 筐体本体
13 給紙部(シート材供給部)
60 ラックギヤ(第1のラックギヤ)
61 ピニオンギヤ(第1のピニオンギヤ)
70 ラックギヤ(第2のラックギヤ)
71 ピニオンギヤ(第2のピニオンギヤ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】