(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/52 20060101AFI20240319BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240319BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20240319BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65H3/52 330B
G03G15/00 405
B65H3/06 350A
B65H7/12
(21)【出願番号】P 2020051103
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 英之
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-196194(JP,A)
【文献】特開2019-059615(JP,A)
【文献】特開2015-080398(JP,A)
【文献】特開2009-051590(JP,A)
【文献】特開2005-075630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/52
G03G 15/00
B65H 3/06
B65H 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載するシート積載手段と、
前記シート積載手段に積載されたシートの最も上のシートに接してシート搬送方向に回転駆動されるピックアップローラと、
シートをシート搬送方向に送り出すように回転駆動されるフィードローラと、
前記ピックアップローラ、および前記フィードローラを回転駆動させるための第1駆動源と、
前記第1駆動源の回転量を検知する第1エンコーダと、
前記第1エンコーダで検知した回転量に基づき、前記第1駆動源を速度制
御する第1駆動制御手段と、
シートを前記フィードローラと共に圧接挟持するセパレートローラと、
前記セパレートローラを回転駆動させるための第2駆動源と、
前記第2駆動源の回転量を検知する第2エンコーダと、
前記第2駆動源をトルク制御する第2駆動制御手段と、
前記セパレートローラを前記フィードローラに押し当てる圧力を付与する分離圧付与手段を備え、
前記第2駆動制御手段のトルク制御は、前記セパレートローラが、直接接触しているかシートを共に挟んでいる前記フィードローラから所定値以上の力が加わった際には前記フィードローラに連れまわってシート搬送方向に回転し、所定値未満の力が加わった際にはシート搬送方向とは逆方向に回転する様にトルクを制御し、当該制御により、シートが複数枚重なって送り出されてきた場合には、過剰に送り出されたシートを前記シート積載手段に返送することで、シートを1枚ずつに分離して送り出すシート供給装置において、
前記第2駆動源はDCモータであり
、前記第2エンコーダで検知した前記第2駆動源の回転量から
算出した回転角速度
と、前記第2駆動制御手段から前記DCモータへ
出力される印加電圧と
を入力として、前記回転角速度および前記印加電圧と、前記DCモータのトルクとの関係式に基づいて、前記DCモータのトルクを推定するトルク推定手段を備え
、
前記シートの給紙中、前記第2駆動源のトルクの推定値を監視し、前記トルクの推定値が所定の値を下回った場合にシートが重送しており分離を開始すると判定するシート重送検知手段を備え、前記シートが重送しており分離を開始すると判定された場合には、前記第2駆動制御手段のトルク制御の目標トルクを大きくする
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の搬送装置であって、
前記シート重送検知手段が、シートが重送しており分離を開始すると判定した場合、搬送中のシートが通過するまで、目標トルクを大きくしたままとすることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の搬送装置であって、
使用者がシートの種類を入力できるシート種類入力装置を備え、
シート種類入力装置から入力されたシートの種類により、回転速度またはトルク推定値の所定の値、目標トルク、重送時の目標トルクの値、の少なくとも1つが変更可能であることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の搬送装置であって、
前記シート重送検知手段は、シートが重送しており分離を開始すると判定した後、前記第2駆動源のトルクの推定値を引き続き監視して、前記第2駆動源のトルクの推定値が所定の値を上回った場合に、シートの分離が完了したと判断し、
前記第1駆動制御手段は、前記シート重送検知手段がシートが重送しており分離を開始したと判定した場合に、前記第1駆動源の駆動を停止し、前記シート重送検知手段がシートの分離が完了したと判定した場合に、前記第1駆動源の駆動を再開することを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項
1に記載の搬送装置であって、
前記第1駆動制御手段は、前記シート重送検知手段がシートが重送しており分離を開始したと判定した場合に、前記第1駆動源の駆動を所定の速度まで低下させて、前記シート重送検知手段がシートの分離が完了したと判定した場合に、前記第1駆動源の速度を通常の速度に戻すことを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項
1に記載の搬送装置であって、
前記搬送装置の後段に、前記搬送装置から送り出されたシートをローラ対で圧接挟持する搬送ローラ対と、前記搬送ローラ対を回転駆動させるための第3駆動源と、前記第3駆動源の回転量を検知する第3エンコーダと、前記第3駆動源を位置、速度制御する第3駆動制御手段と、前記搬送ローラ対の位置、もしくは下流の位置にシートの有無を検知するシート有無検知手段により、前記搬送ローラ対がシートを挟持したかを判定する搬送ローラ対シート挟持判定手段を備え、
前記搬送ローラ対シート挟持判定手段が、前記搬送ローラ対がシートを挟持したと判定した後に、前記シート重送検知手段がシートが重送しており分離を開始したと判定すると、前記第3駆動制御手段は前記第3駆動源の駆動を停止し、前記シート重送検知手段がシートの分離を完了したと判定した場合に、前記第3駆動源の駆動を再開することを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項
1に記載の搬送装置であって、
前記搬送装置の後段に、前記搬送装置から送り出されたシートをローラ対で圧接挟持する搬送ローラ対と、前記搬送ローラ対を回転駆動させるための第3駆動源と、前記第3駆動源の回転量を検知する第3エンコーダと、前記第3駆動源を位置、速度制御する第3駆動制御手段と、前記搬送ローラ対の位置、もしくは下流の位置にシートの有無を検知するシート有無検知手段により、前記搬送ローラ対がシートを挟持したかを判定する搬送ローラ対シート挟持判定手段を備え、
前記搬送ローラ対シート挟持判定手段が、前記搬送ローラ対がシートを挟持したと判定した後に、前記シート重送検知手段がシートが重送しており分離を開始したと判定すると、前記第3駆動制御手段は前記第3駆動源の駆動を所定の速度まで低下させ、前記シート重送検知手段がシートの分離が完了したと判定した場合に、前記第3駆動源の速度を通常の速度に戻すことを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項
6または
7に記載の搬送装置であって、
前記搬送ローラ対シート挟持判定手段が、前記搬送ローラ対がシートを挟持したと判定すると、前記第1駆動制御手段は、前記第1駆動源の駆動を停止させることを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、給紙ローラの延命とカットシートに与えるストレスの軽減を図ることができるカットシート給紙装置を提供することを目的とし、重送防止機構を有するカットシート給紙装置であって、シート間摩擦係数を検出する手段と、カットシートの連れ送り頻度を検出する手段と、給紙過程におけるカットシート搬送速度を検出する手段と、制御部とを有し、制御部は、それら3つの検出手段による検出結果の組合せに基づいて、重送防止機構でのシートさばき力の大きさを変更制御することが開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、用紙の重送及び不送りの発生を確実に防止すると共に、重送と厚紙の判別の判別を行い得る給紙装置を提供することを目的とし、積載されたシート状体を一葉ずつ分離して給送する給紙装置であって、シート状体を搬送方向に搬送するフィードローラとこのフィードローラに対向して設けられるリバースローラとで構成され、これらフィードローラとリバースローラとの間を搬送されるシート状体を一葉ずつの分離する分離手段と、この分離手段によって分離されるシート状体の厚さを検知する厚さ検知手段と、この厚さ検知手段で検知された当該シート状体の厚さに係る検知情報に基づいて、前記リバースローラの押戻し力を制御する制御手段とが開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3では、分離部材を回転させる分離部材駆動モータの駆動電流の簡単な制御により、シートの異常搬送を防止すること、回転する給紙部材および分離部材の圧接する部分であるニップ部に搬送されたシートの重送状態を簡単な方法で判別できるようにすることを目的とし、給紙ロールRs1および分離ロールRs2のニップNにシートが搬送されたときに、分離ロール駆動電流Iを初期値Iaから上限値Ibに向けて上昇させ、上限値に達する前に分離ロールRs2の回転が逆回転した場合には、重送であると判断し、逆回転開始時の電流値Icを保持し、分離ロールRs2の回転が逆回転から従動(連れ回り)に変化した場合に、分離ロールRs2側のシートがニップNの上流側に移動したと判断して、その後、前記シートが下流側に搬送されないように、分離ロール駆動電流Iを制御することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、今までのリバースコロ(分離コロ、分離ローラ)を駆動するリバースモータのトルク制御は、モータ電流の測定値に基づいて行われており、比較的コストが高い、という問題があった。
【0006】
本発明は、従来よりも低コストでリバースモータのトルク制御を行うことが可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる搬送装置は、シートを積載するシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシートの最も上のシートに接してシート搬送方向に回転駆動されるピックアップローラと、シートをシート搬送方向に送り出すように回転駆動されるフィードローラと、前記ピックアップローラ、および前記フィードローラを回転駆動させるための第1駆動源と、前記第1駆動源の回転量を検知する第1エンコーダと、前記第1エンコーダで検知した回転量に基づき、前記第1駆動源を速度制御する第1駆動制御手段と、シートを前記フィードローラと共に圧接挟持するセパレートローラと、前記セパレートローラを回転駆動させるための第2駆動源と、前記第2駆動源の回転量を検知する第2エンコーダと、前記第2駆動源をトルク制御する第2駆動制御手段と、前記セパレートローラを前記フィードローラに押し当てる圧力を付与する分離圧付与手段を備え、前記第2駆動制御手段のトルク制御は、前記セパレートローラが、直接接触しているかシートを共に挟んでいる前記フィードローラから所定値以上の力が加わった際には前記フィードローラに連れまわってシート搬送方向に回転し、所定値未満の力が加わった際にはシート搬送方向とは逆方向に回転する様にトルクを制御し、当該制御により、シートが複数枚重なって送り出されてきた場合には、過剰に送り出されたシートを前記シート積載手段に返送することで、シートを1枚ずつに分離して送り出すシート供給装置において、前記第2駆動源はDCモータであり、前記第2エンコーダで検知した前記第2駆動源の回転量から算出した回転角速度と、前記第2駆動制御手段から前記DCモータへ出力される印加電圧とを入力として、前記回転角速度および前記印加電圧と、前記DCモータのトルクとの関係式に基づいて、前記DCモータのトルクを推定するトルク推定手段を備え、前記シートの給紙中、前記第2駆動源のトルクの推定値を監視し、前記トルクの推定値が所定の値を下回った場合にシートが重送しており分離を開始すると判定するシート重送検知手段を備え、前記シートが重送しており分離を開始すると判定された場合には、前記第2駆動制御手段のトルク制御の目標トルクを大きくすることを特徴とする搬送装置として構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来よりも低コストでリバースモータのトルク制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るシート搬送装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】シート搬送装置の分離モータの制御系のブロック図である。
【
図4】シート搬送装置がシートの重送を検知するシート重送検知手段を設けた構成例を示す図である。
【
図5】
図4に示したシート重送検知手段が、分離モータの回転速度の変化からシートの重送に伴う分離開始、およびシートの分離完了を判断するタイミングを説明する図である。
【
図6】
図4に示したシート重送検知手段が、シート重送検知手段が分離モータのトルク推定値を監視して、シートの重送に伴う分離開始と判定された場合には、分離モータの目標トルクを大きくするシート搬送装置の概略図の一例である。
【
図7】
図6に示したシート搬送装置において、トルク推定値の変化からシートが重送して分離を開始すること、およびシートの分離完了を判断するタイミングを説明する図である。
【
図8】請求項1の一実施例における給紙モータの停止による1枚目のシートと重送した紙の先端位置の説明図である。
【
図9】請求項9の一実施例におけるシート搬送装置1201の概略構成を示す断面図である。
【
図10】本実施形態に係るシート搬送装置の概略構成を示す断面図である(コントローラを1つにした場合)。
【
図11】本実施形態に係るシート搬送装置の概略構成を示す断面図である(コントローラを1つにした場合)。
【
図12】本実施形態に係るシート種類入力部の例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態としての画像形成装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、シート(紙などの記憶媒体)を積載しているトレイ等から、シートを1枚ずつに分離して送り出すシート供給装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機やオフセット印刷機等の画像形成装置と、に関し、特に、シートをシート搬送方向に送り出すように回転駆動されるフィードローラと、シートをフィードローラと共に圧接挟持するセパレートローラを備え、セパレートローラはトルク制御で駆動され、セパレートローラは直接接触しているかシートを共に挟んでいるフィードローラから所定値以上の力が加わった際にはフィードローラに連れまわってシート搬送方向に回転して、所定値未満の力が加わった際にはシート搬送方向とは逆方向に回転することにより、トレイからシートが複数枚重なって送り出されてきた場合には、過剰に送り出されたシートをシート積載手段に返送することで、シートを1枚ずつに分離して送り出すシート供給装置、及び、画像形成装置に際して、以下の特徴を有する。要するに、DCモータについて予め測定したモータの回転速度および印加電圧と、DCモータのトルクとの関係式に基づいて、モータの回転速度検出結果とコントローラの出力(モータ駆動電圧)からトルクを推定し、推定した当該トルクに基づいて制御の判断を行って目標値を設定することで、電流検出手段(センサ)を備えずにトルク制御を行うことが特徴になっている。また、分離モータの制御だけではなく、重送発生の有無で給紙モータの制御も調整することで、より重送を防ぎやすくすることが特徴になっている。 したがって、シート供給装置の給紙分離性能の向上技術と、構成備品の特性劣化(リバースコロの摩耗)の低減を、低コストで実現することができる。上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るシート搬送装置1201の概略構成を示す断面図である。シート搬送装置1201は、フィードローラである給紙コロC2、セパレートローラである分離コロC1、給紙モータM2、分離モータM1は、シート搬送手段を構成する。シート搬送手段は、給紙コロC2と分離コロC1との間にシートを挟み、給紙コロC2を回転駆動することによりシートを搬送する。シート搬送装置1201は、さらに、シートを積載するシート積載トレイTと、シート積載トレイTに積載されたシートをピックアップコロC3に向けて上昇させるシート上昇板と、給紙モータM2の回転駆動をピックアップコロC3に伝達するタイミングベルトと、分離コロC1をシート搬送方向D1とは逆方向に回転駆動する分離モータM1とを備える。さらに、シート搬送装置1201は、搬送方向Dに搬送されるシートを検出する図示しないセンサと、分離コロC1を給紙コロC2に向けて付勢する分離コロ付勢部材103と、を備える。上記センサは、給紙コロC2の軸の直下か、それより少し搬送方向下流側に配置される。
【0012】
以上の構成により、シート搬送装置1201は、シートを供給する際には、シート積載トレイT内に設けられたシート上昇板を上昇させることにより、その上に積載されているシートを上昇させて最も上のシートをピックアップコロC3に押し当てる。この際、所定の範囲の圧力で押し当てたところでシート上昇板の上昇を停止する。最も上のシートがピックアップコロC3に押し当たったことは、センサを設けて検知する。シートを供給しない時は、シート上昇板を下げておいても良い。
【0013】
シート搬送装置1201は、最も上のシートがピックアップコロC3に押し当てられた 状態でピックアップコロC3をシート搬送方向D1に回転駆動させると、シート積載トレイTからシートが送り出される。ピックアップコロC3は、タイミングベルトを介して給紙コロC2の駆動源である給紙モータM2の回転駆動を伝達することにより 、回転駆動される。シート積載トレイTから送り出されたシートは、給紙コロC2と分離コロC1が圧接されている部分(ニップ部)に突入する。給紙コロC2は、給紙モータM2によりシートをシート搬送方向D1に送り出すように回転駆動されている。給紙コロC2は、分離コロC1と共にシートを圧接挟持する。コントローラ102が、給紙モータM2の位置、速度を駆動制御する。
【0014】
分離コロC1は、所定の駆動力伝達手段を介して分離モータM1で駆動される。本実施例では、所定の駆動力伝達手段として分離コロ軸にトルクリミッタを設けず、分離コロC1を、コントローラ101が分離コロ用のモータ(分離モータM1)で戻し力を制御する。分離モータM1は、分離コロC1をシート搬送方向とは逆方向に回転駆動するが、1枚通紙時はシート搬送方向に回転(戻し力をかけつつもD2方向に連れ回り)し、2枚以上のシートがニップ部に通紙された場合は停止または逆回転(D3方向に逆回転)するようなトルクで分離モータM1を制御する。
【0015】
分離コロC1は、上記D3方向に回転することにより、ピックアップコロC3からシートが複数枚重なって送り出されてきた場合には、過剰に送り出されたシートをシート積載トレイTに返送させる働きをする。これは、分離コロC1とシートの間の摩擦よりも、シートとシートの間の摩擦の方が小さいためである。これにより、シート搬送手段はシートを1枚ずつ送り出す。なお、分離コロC1の駆動源は、分離モータM1として専用に設置するのではなく、給紙モータM2と共有しても良い。
【0016】
リバースコロである分離コロC1を給紙コロC2に押し当てる圧力(分離圧)を付与する手段である分離コロ付勢部材103として、その一部(バネ)を例示したが、当該手段としては、バネ以外にも、分離コロの軸に取り付けられたギアを駆動源とつながったギアにより跳ね上げる機構を用いてもよく、従来から知られているシート搬送装置と同様の構成を採用してもよい。
【0017】
図1に示す構成では、シート搬送装置1201は、シートを積載するシート積載手段であるシート積載トレイTと、当該シート積載手段に積載されたシートの最も上のシートに接してシート搬送方向に回転駆動されるピックアップローラであるピックアップコロC3と、シートをシート搬送方向D1に送り出すように回転駆動されるフィードローラである給紙コロC2と、前記ピックアップコロC3、および給紙コロC2を回転駆動させるための第1駆動源である給紙モータM2と、当該給紙モータM2の回転量を検知する第1エンコーダ(不図示)と、当該第1エンコーダで検知した回転量に基づき、上記第1駆動源を速度制御、または位置制御する第1駆動制御手段であるコントローラ102と、シートを上記給紙コロC2と共に圧接挟持するセパレートローラである分離コロC1と、当該分離コロC1を回転駆動させるための第2駆動源である分離モータM1と、当該分離モータM1の回転量を検知する第2エンコーダ(不図示)と、分離モータM1をトルク制御する第2駆動制御手段であるコントローラ101と、上記分離コロC1を上記給紙コロC2に押し当てる圧力(分離圧)を付与する分離圧付与手段である分離コロ付勢部材103を備え、上記第2駆動制御手段のトルク制御は、上記分離コロC1が、直接接触しているかシートを共に挟んでいる上記給紙コロC2から所定値以上の力が加わった際には上記給紙コロC2に連れまわってシート搬送方向D1と同方向D2に回転して、所定値未満の力が加わった際にはシート搬送方向D1とは逆方向D3に回転する様にトルク(戻し力)を制御し、当該制御により、シートが複数枚重なって送り出されてきた場合には、過剰に送り出されたシートをシート積載手段であるシート積載トレイTに返送することで、シートを1枚ずつに分離して送り出す。このような構成において、上記第2駆動源である分離モータM1はDCモータであり、当該DCモータについて予め測定したモータの回転速度および印加電圧と、DCモータのトルクとの関係式に基づいて、上記第2エンコーダで検知した分離モータM1の回転量から回転角速度を算出した後、上記第2駆動制御手段であるコントローラ101から上記DCモータへの印加電圧と合わせて上記DCモータのトルクを推定するトルク推定手段である反力推定オブザーバ201(後述)を備える。このような構成により、用紙搬送(紙送り)において、重送の検知および重送シートの分離の制御を、搬送に寄与しているコロの1つを駆動させるモータのトルクに基づいて行うので、電流検出手段(センサ)を備えずにトルク制御を行うことができ、したがって、従来よりも低コストでリバースモータのトルク制御を行うことができる。
【0018】
図2は、シート搬送装置1201の分離モータM1の制御系のブロック図である。シート搬送装置1201は、モータの電流を電流検出手段(センサ)により検出するのではなく、コントローラ101の出力(モータ印加電圧)と、センサにより計測しているモータ軸回転速度を反力推定オブザーバ201に入力し、シートへの戻し力の推定値を反力推定値として算出し、フィードバック制御を行う。反力推定オブザーバとしては、例えば、
図3に示すように、モータ印加電圧とモータ軸回転速度とを入力とし、反力トルクの推定値を出力するような、従来から知られている構成を採用することができる。
【0019】
また、
図4に示すように、シート搬送装置1201は、シートの重送を検知するシート重送検知手段を設けてもよい。シート重送検知手段401が、分離モータM1の回転速度を監視して、シートが重送しており分離を開始するか否かを判定し、分離を開始すると判定した場合に、分離モータの目標トルクを大きくする。
図4では、シート重送検知手段401が、分離モータM1から回転速度を入力し、所定のしきい値以上で回転速度が一定時間変わらない場合には、シートが重送しているため重送されているシートの分離を開始すると判断し、目標トルクを変更するようコントローラ101に指示する。
【0020】
このように、
図1に示したシート搬送装置1201において、シートの給紙中、第2駆動源である分離モータM1の回転量(回転速度)を監視して、回転速度が所定の値を下回ったらシートが重送しており分離を開始すると判定するシート重送検知手段401を備え、シートが重送しており分離を開始すると判定された場合には、第2駆動制御手段であるコントローラ101のトルク制御の目標トルクを大きくする制御を行う。このような制御により、専用の重送検知センサを設置することなく、シートの重送を検知できる。また、重送時のみ戻し力を大きくするので、重送しておらず1枚のみの給紙中には無駄に戻し力をかけないので、セパレートローラのシートとのこすれ量を低減でき、セパレートローラの部品寿命を長くできる。
【0021】
図5は、
図4に示したシート重送検知手段が、分離モータの回転速度の変化からシートの重送に伴う分離開始、およびシートの分離完了を判断するタイミングを説明する図である。
【0022】
図5に示すように、シート搬送装置1201は、シート重送検知手段401が、分離モータM1の起動完了後、分離モータM1の回転速度が上記しきい値V1を超えてから分離モータM1の回転速度の監視を時刻T0で開始し、その後一定時間、分離モータM1の回転速度が上昇せずに一定となっている時間が一定時間継続した場合、当該時刻T1でシートが重送していると判断し、目標トルクを変更するようコントローラ101に指示する。すると、コントローラ101は、一定時間だけ分離モータM1が逆回転するように目標トルクを変更する。その後、シート重送検知手段401は、上記時刻T1以前の場合と同様に、分離モータM1の回転速度を上げ、当該回転速度がシートが分離完了となったと判断するためのしきい値V2を超えると、その時刻T2においてシートの分離が完了したと判断し、シートの搬送を継続する。
【0023】
シートが重送しているため分離を開始すると判断するためのしきい値(V1)と、シートが分離完了となったと判断するためのしきい値(V2)は、別の値でも、同じでも良い。
図5では、分離モータM1はシートの搬送方向とは逆方向に分離コロC1を回転させようとしているので、シートが重送して分離が開始すると分離コロは減速、逆回転となる。分離が完了して1枚目(上層)の紙に再度連れ回るようになると、分離コロC1は搬送方向に回転する。
【0024】
図6は、
図4に示したシート重送検知手段が、シート重送検知手段が分離モータのトルク推定値を監視して、シートの重送に伴う分離開始と判定された場合には、分離モータの目標トルクを大きくするシート搬送装置の概略図の一例である。
図6では、シート重送検知手段401が、コントローラ101から分離モータM1のトルク推定値を入力し、所定のしきい値以上で上記トルク推定値が一定時間変わらない場合には、シートが重送しているため重送されているシートの分離を開始すると判断し、目標トルクを変更するようコントローラ101に指示する。
【0025】
このように、
図1に示したシート搬送装置1201において、シートの給紙中、第2駆動源である分離モータM1のトルク(トルク推定手段である反力推定オブザーバ201による推定値)を監視して、トルク推定値が所定の値を下回った場合にシートが重送しており分離を開始すると判定するシート重送検知手段401を備え、シートが重送しており分離を開始すると判定された場合には、第2駆動制御手段であるコントローラ101のトルク制御の目標トルクを大きくするので、専用の重送検知センサを設置することなく、
図4とは異なる方法でシートの重送を検知できる。また、重送時のみ戻し力を大きくするので、重送しておらず1枚のみの給紙中には無駄に戻し力をかけないので、セパレートローラのシートとのこすれ量を低減でき、セパレートローラの部品寿命を長くできる。
【0026】
図7は、
図6に示したシート搬送装置において、トルク推定値の変化からシートが重送して分離を開始すること、およびシートの分離完了を判断するタイミングを説明する図である。
図7に示すように、シート搬送装置1201は、シート重送検知手段401が、分離モータM1の起動完了後、分離モータM1のトルク推定値が上記しきい値V1を超えてから分離モータM1のトルク推定値の監視を時刻T0で開始し、その後一定時間、分離モータM1のトルク推定値が上昇せずに一定となっている時間が一定時間継続した場合、当該時刻T3でシートが重送していると判断し、目標トルクを変更するようコントローラ101に指示する。すると、コントローラ101は、一定時間だけ分離モータM1が逆回転するように目標トルクを変更する。その後、シート重送検知手段401は、上記時刻T3以前の場合と同様に、分離モータM1のトルク推定値を上げ、当該トルク推定値がシートが分離完了となったと判断するためのしきい値V2を超えると、その時刻T4においてシートの分離が完了したと判断し、シートの搬送を継続する。上記分離モータM1のトルク推定値が上昇せずに一定となっていることは、分離コロC1からの戻し力により、重送した下側のシートが上側のシートに対してスリップすると、反力推定オブザーバで推定している反力が低下することを利用して判断でき、そのタイミングをシートが重送しており分離開始するタイミングT3と判断すればよい。シートが重送しているため分離を開始すると判断するためのしきい値(V1)と、シートが分離完了となったと判断するためのしきい値(V2)は、別の値でも、同じでも良い。
【0027】
図4、
図6に示したシート搬送装置1201において、シート重送検知手段401がシートが重送しており分離を開始すると判定した場合に、搬送中のシートが通過するまで、目標トルクを大きくしたままとする制御を行ってもよい。このような制御により、重送したシートをトレイ側に戻すことができた場合には、セパレートローラはシートに連れ回り、シート搬送方向に回転する。
図4、
図6に示したシート搬送装置1201では、回転速度またはトルク推定値が所定の値を再度超えた場合、目標トルクのレベルを元の値に戻す制御を行った。しかし、請求項4の一実施例として、回転速度またはトルク推定値が所定の値を再度超えた場合でも、目標トルクのレベルを元のレベルに戻さないように制御することで、再度シートが重送しても、戻し動作を早く行うことができる。
【0028】
請求項6、7の一実施例におけるシート搬送装置1201として、
図5、
図7に示したように、シート重送検知手段401は、シート重送検知手段401自身がシートが重送しており分離を開始すると判定した後、第2駆動源である分離モータM1の回転量(回転速度)、または第2駆動源である分離モータM1のトルク(トルク推定手段による推定値)を引き続き監視し、当該第2駆動源の回転量(回転速度)、または当該第2駆動源のトルク(トルク推定手段による推定値)が所定の値を上回った場合に、シートの分離が完了したと判断し、第1駆動制御手段であるコントローラ102は、シート重送検知手段401がシートが重送しており分離を開始すると判定した場合、第1駆動源である給紙モータM2の駆動を停止し、シート重送検知手段401がシートの分離が完了したと判定した場合、上記第1駆動源の駆動を再開する。
【0029】
請求項8の一実施例におけるシート搬送装置1201として、
図5、
図7に示したように、第1駆動制御手段であるコントローラ102は、シート重送検知手段401がシートが重送しており分離を開始したと判定した場合に、第1駆動源である給紙モータM2の駆動を所定の速度まで低下させて、シート重送検知手段401がシートの分離が完了したと判定した場合に、上記第1駆動源の速度を通常の速度に戻す制御を行ってもよい。このような制御により、
図4、6に示した構成の場合よりも重送防止効果は下がるが、重送防止動作が入った際の給紙動作の遅れを少なくでき、後段のシステムへの影響を低減できる。
【0030】
図8は、請求項1の一実施例における給紙モータの停止による1枚目のシートと重送した紙の先端位置の説明図である。
図8に示すように、コントローラ101は、分離コロC1と給紙コロC2とにより形成されるニップ部であり給紙分離部の位置(P2)から、搬送方向下流の搬送ローラの位置(P1)までの間で重送を検知した場合、給紙モータM2を停止させる。
図8の上段のように、給紙モータを停止させない場合、1枚目のシートの先端の位置801は時間とともに搬送方向下流の搬送ローラの位置(P1)まで進む一方、分離コロC1により重送が防止されている下側のシートの先端位置802は、1枚目のシートとともに、搬送方向下流の搬送ローラの位置(P1)まで進もうとしたのち、一定時間経過後にもその位置が変わっていないことがわかる。一方、
図8の下段のように、給紙モータを一定時間(TT)停止させた場合には、上記下側のシートの先端位置804に示すように、当該先端は搬送方向下流の搬送ローラの位置(P1)に進もうとすることなく、一定時間経過後にもその位置が変わっていない。すなわち、給紙モータの停止により、重送したシートの行き過ぎ量を抑えて、重送したシートが下流のローラ対(搬送ローラ対)に到達してしまう可能性をより一層抑えている。
【0031】
図9は、請求項9の一実施例におけるシート搬送装置1201の概略構成を示す断面図である。
図9では、
図4の構成に加え、さらに搬送ローラ対がシートを挟持したかを判定する搬送ローラ対シート挟持判定手段903を有している。
図9では、
図1に示したシート搬送装置1201のシートの搬送方向D1の後段に、シート搬送装置1201から送り出されたシートをローラ対で圧接挟持する搬送ローラ対(搬送ローラR1と対向ローラR2)と、当該搬送ローラ対(または搬送ローラR1)を回転駆動させるための第3駆動源である搬送モータM3と、当該搬送モータM3の回転量を検知する第3エンコーダ(不図示)と、搬送モータM3を位置、速度制御する第3駆動制御手段であるコントローラ902と、上記搬送ローラ対の位置、もしくは若干下流の位置にシートの有無を検知するセンサ等のシート有無検知手段901により、上記搬送ローラ対がシートを挟持したかを判定する搬送ローラ対シート挟持判定手段903を有している。
図9に示したシート搬送装置1201では、搬送ローラ対シート挟持判定手段903が、上記搬送ローラ対がシートを挟持したと判定した後に、シート重送検知手段401が、シートが重送しており分離開始するタイミングであると判定すると、上記コントローラ902は上記搬送モータM3の駆動を停止し、シート重送検知手段401がシートの分離が完了したと判定すると、搬送モータM3の駆動を再開する。このような制御により、1枚目のシートが搬送ローラ対に到達した後に、2枚目以降のシートが給紙分離部を構成するフィードローラとセパレートローラが接触している部分に突入してきた際にも、
図4、6と同様の効果が得られる。
【0032】
また、
図9に示したシート搬送装置1201において、請求項9の一実施例として、搬送ローラ対シート挟持判定手段903が、上記搬送ローラ対がシートを挟持したと判定した後に、前記シート重送検知手段がシートが重送しており分離を開始したと判定した場合、上記コントローラ902は上記搬送モータM3の駆動を所定の速度まで低下させ、シート重送検知手段401がシートの分離が完了したと判定した場合に、搬送モータM3の速度を通常の速度に戻す。このような制御により、1枚目のシートが搬送ローラ対に到達した後に、2枚目以降のシートが給紙分離部を構成するフィードローラとセパレートローラが接触している部分に突入してきた際にも、
図4、6と同様の効果が得られる。
【0033】
また、
図9に示したシート搬送装置1201において、請求項10の一実施例として、搬送ローラ対シート挟持判定手段903が、上記搬送ローラ対がシートを挟持したと判定すると、第1駆動制御手段であるコントローラ102は第1駆動源である給紙モータM2の駆動を停止させてもよい。このような制御により、シート搬送を搬送ローラ対のみで行い、省エネ効果を得ることができる。なお、
図10、11に示すように、コントローラ102の機能をコントローラ101に含め、1つのコントローラを有したシート搬送装置1201にとしてもよい。これにより、よりコンパクトなシート搬送装置1201を実現することができる。
【0034】
図12は、本実施形態に係るシート種類入力部1202の例を示す図である。シート搬送装置1201は、シート積載トレイ1203と、シートを排出するシート排出口トレイ1204と、シート種類を入力(選択)するためのシート種類入力部1202を備えたシート種類入力装置を有している。
【0035】
これまでの図に示したシート搬送装置1201において、使用者がシートの種類を入力できるシート種類入力部1202を有したシート種類入力装置を備え、シート種類入力装置から入力されたシートの種類により、回転速度またはトルク推定値の所定の値、目標トルク、重送時の目標トルクの値、の少なくとも1つを変更可能としてもよい。このような構成により、シートの種類(特性)に応じて、最適な戻し力を設定でき、重送防止性能(分離性能)が向上や、セパレートローラのシートとのこすれ量の低減ができる。
【0036】
図13は、本発明の一実施形態としての画像形成装置を示す断面図である。図示する画像形成装置は、電子写真式タンデム型間接転写カラー複写機(以下、単に複写機と言う。)の一例の内部機構の全体概略構成を示す。図中100は画像形成装置本体である複写機本体、200はそれを載せるシート搬送装置、300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける自動原稿搬送装置(ADF)である。
【0037】
複写機本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を駆動ローラ14と二つの従動ローラ15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能に設けてある。もちろん、別途に、中間転写体10の片寄りを調整するローラに掛け回すなど、4つ以上のローラに掛け回すようにしてもよい。なお中間転写体10は、図示の例ではほぼ水平に張り渡してあるが、水平ではなく、斜めに張り渡すようにしてもよい。
【0038】
また図示の例では、一方の従動ローラ15の図中左側に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を設けてある。
【0039】
駆動ローラ14と従動ローラ15間に水平に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの単色作像手段18を横に並べて配置してタンデム作像装置20を設けてある。タンデム作像装置20の上には、さらに露光装置21を設けてある。
【0040】
一方、中間転写体10の張り渡し領域の下方には、二次転写装置22を備えている。二次転写装置22は、図示の例では、二つのローラ23間に、無端ベルトである二次転写ベルト24を掛け渡して構成し、他方の従動ローラ16に押し当てて中間転写体10上の画像を記録媒体に転写する。
【0041】
二次転写装置22の横には、記録媒体上の転写画像を定着する定着装置25を設けてある。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。そして、図示の例ではその一部を(全部でもよい)、中間転写体10の張り渡し領域の下方に入り込ませて備えている。この二次転写装置22には、画像転写後の記録媒体をこの定着装置25へと搬送する媒体搬送機能も備えている。もちろん、二次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよい。ただし、そのような構成の場合は、この媒体搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0042】
このような二次転写装置22及び定着装置25の下には、中間転写体10の張り渡し方向と平行に、記録媒体の両面に画像を形成すべく記録媒体を反転する記録媒体反転装置28を備える。
【0043】
この複写機を用いて複写するときは、自動原稿搬送装置400の原稿台30上に原稿を セットするか、または自動原稿搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラ ス32上に直接原稿をセットし、自動原稿搬送装置400を閉じてそれで押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動してから、スキャナ300を駆動して原稿内容を読み取る。コンタクトガラス32上に直接原稿をセットしたときは、そのまま原稿内容を読み取る。
【0044】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで駆動ローラ14が回転駆動されて従動ローラ15、16が従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の単色作像手段18でそれぞれの像担持体40を回転させて各像担持体40上にそれぞれの色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)の単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を一次転写して順次重ね、中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0045】
一方、不図示のスタートスイッチを押した後、適宜のタイミングでシート搬送装置200のピックアップコロ42の1つが選択されて回転する。すると、ペーパーバンク43に多段に備えるシート積載トレイ44の1つから記録媒体が繰り出される。記録媒体は、分離コロ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れられ、搬送部47で搬送され、複写機本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ49に突き当って止まる。手差し給紙の場合は、給紙コロ50を回転させて開いた手差しトレイ51上にセットした記録媒体を繰り出し、分離コロ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0046】
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体10と二次転写装置22との間に記録媒体を送り込み、二次転写装置22で中間転写体10上の合成カラー画像を一括二次転写して記録媒体上にカラー画像を形成する。
【0047】
画像転写後の記録媒体は、二次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込む。定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着させた後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出し、排紙トレイ57上にスタックする。記録媒体の両面に画像形成をする場合は、切換爪55で切り換えて記録媒体反転装置28に入れ、そこで反転させて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を形成して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0048】
一方、画像転写後の中間転写体10は、ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム作像装置20による再度の画像形成に備える。
【0049】
このような画像形成装置においては、紙などのシート状の記憶媒体を供給する装置が搭載されているが、当該記憶媒体を供給する装置に、本発明のシート搬送装置1201を適用することができ、重送防止性能(分離性能)を維持か向上しつつ、低コストでセパレートローラの劣化の程度を低減した画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0050】
1201 シート搬送装置
T シート積載トレイ
C3 ピックアップコロ
C2 給紙コロ
M2 給紙モータ
102 コントローラ
C1 分離コロ
M1 分離モータ
101 コントローラ
103 分離コロ付勢部材
401 シート重送検知手段
901 シート有無検知手段
902 コントローラ
903 搬送ローラ対シート挟持判定手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【文献】特開平09‐067037号公報
【文献】特開平08‐217290号公報
【文献】特許4103648号明細書