(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】加熱装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G03G15/20 515
(21)【出願番号】P 2020073519
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】民部 隆一
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-173457(JP,A)
【文献】特開2015-099352(JP,A)
【文献】特開2016-114876(JP,A)
【文献】特開2017-021325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な定着部材と、
前記定着部材を加熱する熱源と、
前記定着部材の外周面に当接する加圧部材と、
前記定着部材の内側に位置し、前記定着部材を介して前記加圧部材に当接して前記定着部材と前記加圧部材との間にニップ部を形成するニップ形成部材と、を備える加熱装置であって、
前記ニップ形成部材は、樹脂ニップ形成部材と、金属ニップ形成部材とで構成され、
前記金属ニップ形成部材は、前記定着部材と接触して前記ニップ部を形成する平面と、前記平面のニップ下流側の端部を前記樹脂ニップ形成部材の方向に曲げた曲げ部とを有し、
前記樹脂ニップ形成部材は、前記曲げ部を収める凹部を設け
、
前記曲げ部は、前記端部の少なくとも一箇所に凸形状を有し、
前記凹部は、前記凸形状と嵌め合う形状を有し、
前記金属ニップ形成部材は、前記定着部材の軸方向に沿った長さが、異なる複数のサイズの記録媒体に対応し、
前記曲げ部は、前記凸形状を、少なくとも一つのサイズが使用しない未使用領域に設けた
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記樹脂ニップ形成部材は、前記凹部より前記ニップ下流側で、前記定着部材までの距離が前記平面より長い位置から前記定着部材の方向へ張り出す張り出し形状を有する
ことを特徴とする請求項
1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記金属ニップ形成部材は、前記ニップ部より前記ニップ下流側の位置で前記平面を曲げて前記曲げ部とした
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記金属ニップ形成部材は、表面にフッ素樹脂コート層を有する
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記未使用領域は、前記軸方向の中央部に対し両側に存在し、
前記曲げ部は、前記凸形状を、両側の前記未使用領域に設けた
ことを特徴とする請求項
1に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記未使用領域は、前記軸方向の中央部に対し両側に存在し、
前記曲げ部は、前記凸形状を、両側の前記未使用領域に設け、
前記凸形状は、前記中央部から離れた長さが、前記中央部に近い長さより長い、少なくとも一以上の段差を有する
ことを特徴とする請求項
1に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記凸形状は、前記段差の角または隅を曲線にした
ことを特徴とする請求項
6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記凸形状は、前記軸方向に沿って、中央部より外側が段階的に長くなるようにした形状を有する
ことを特徴とする請求項
1、
5から
7のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記金属ニップ形成部材は、前記軸方向の中央部の厚さが他より厚い
ことを特徴とする請求項
1、
5から
8のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか一項に記載の加熱装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の定着装置では、通紙時の軸方向の温度ムラを抑制するために、ニップ形成部材を熱伝導性の良い金属材料とし、その部品を受ける支持部材は断熱性の高い樹脂を用いた構成になっている技術がある(例えば、特許文献1)。
今までのニップ面全面を覆うニップ形成部材は金属材料なので熱容量が大きく、立ち上がり時間が長くなるという課題があった。また、ニップ形成部材で作られるニップ形状は、用紙分離性能に影響するため、出口部分に複雑な形状が要求されることがある。しかし、ニップ形成部材がすべて金属材料の場合、小さい曲り形状(R形状)など、狙い通りの形状が形成しにくいことで、分離性能にバラつきが大きくなり、さらには必要以上に熱容量が大きくなり、立ち上がり時間に時間がかかるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、簡単な構成で、定着部材の軸方向の温度ムラが少なく、熱容量が小さく、立ち上がり時間が短い加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、回転可能な定着部材と、前記定着部材を加熱する熱源と、前記定着部材の外周面に当接する加圧部材と、前記定着部材の内側に位置し、前記定着部材を介して前記加圧部材に当接して前記定着部材と前記加圧部材との間にニップ部を形成するニップ形成部材と、を備える加熱装置であって、
前記ニップ形成部材は、樹脂ニップ形成部材と、金属ニップ形成部材とで構成され、
前記金属ニップ形成部材は、前記定着部材と接触して前記ニップ部を形成する平面と、前記平面のニップ下流側の端部を前記樹脂ニップ形成部材の方向に曲げた曲げ部とを有し、
前記樹脂ニップ形成部材は、前記曲げ部を収める凹部を設け、
前記曲げ部は、前記端部の少なくとも一箇所に凸形状を有し、
前記凹部は、前記凸形状と嵌め合う形状を有し、
前記金属ニップ形成部材は、前記定着部材の軸方向に沿った長さが、異なる複数のサイズの記録媒体に対応し、
前記曲げ部は、前記凸形状を、少なくとも一つのサイズが使用しない未使用領域に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、簡単な構成で、定着部材の軸方向の温度ムラが少なく、熱容量が小さく、立ち上がり時間が短い加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態の加熱装置を有する定着装置が設けられるカラープリンタである画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【
図2】一実施形態の定着装置の構成例を説明する概略断面図である。
【
図3】一実施形態の定着装置が有するニップ形成部材の構成例を説明する概略断面図である。
【
図4】比較例のニップ形成部材の構成例を説明する概略断面図である。
【
図5】
図3のニップ形成部材が有する均熱部材の形状例を説明する図である。
【
図6】一実施形態の定着装置が有するニップ形成部材の他の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0008】
一実施形態の加熱装置は、回転可能な定着部材と、定着部材を加熱する熱源と、定着部材の外周面に当接する加圧部材と、定着部材の内側に位置し、定着部材を介して加圧部材に当接して定着部材と加圧部材との間にニップ部を形成するニップ形成部材と、を少なくとも備える。ニップ形成部材(例えば
図3のニップ形成部材80)は、樹脂ニップ形成部材(例えば
図3のベース部材80a)と、金属ニップ形成部材(例えば
図3の均熱部材80b)とで構成され、金属ニップ形成部材は、定着部材と接触してニップ部を形成する平面(例えば
図3の平面80b2)と、平面のニップ下流側の端部を樹脂ニップ形成部材の方向に曲げた曲げ部(例えば
図3の曲げ部80b1)とを有し、樹脂ニップ形成部材は、曲げ部を収める凹部(例えば
図3の凹部80a1)を設けたことを特徴とする。
【0009】
このように、ニップ下流にて金属製ニップ形成部材を一回の単純曲げ構成にして、樹脂ニップ形成部材の凹部に曲げ先が入りこむような形状にすることで、金属製ニップ形成部材のエッジ部と定着部材が接触することがなく、ニップ出口の分離性能確保するための形状を樹脂ニップ部材で成形することができ精度よく自由度の高い構成にできる。さらに金属製ニップ形成部材の曲げ長さを自由に変更することで、金属ニップ形成部材の幅方向の均熱性を変えて、必要な場所(通紙領域外)だけをより均熱性を上げることができるため、簡単な構成で、立ち上がりの早さと、定着部材の通紙領域外の過度な温度上昇による生産性低下が両立でき、さらに、分離性能も安定した加熱装置を提供できる。
【0010】
まず、本発明の加熱装置を有する定着装置を用いる画像形成装置の一例を説明する。以下の実施形態では、本発明の一実施形態に係る加熱装置を用いた定着装置を、適宜「一実施形態の定着装置」とも称する。
図1は、本発明の一実施形態の定着装置が設けられるカラープリンタである画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成部と、定着装置50(
図2を参照して後述する)とを備える。画像形成部は、複数の画像形成手段1a、1b、1c及び1dが設けられている。
【0011】
複数の画像形成手段1a、1b、1c及び1dは、それぞれ同一の構成であり、対応するトナー色だけが異なる。複数の画像形成手段1a、1b、1c及び1dにおいて、例えばブラックトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びイエロートナー像がそれぞれ形成される。
図1では、4つの画像形成手段を示しているが、一例であり、これに限られるわけではない。
なお、複数の画像形成手段1a、1b、1c及び1dは、現像剤(トナー)色の違い以外はそれぞれ同一の構成であるため、以下の説明では、参照符号におけるa、b、c及びdの添え字を適宜省略して説明する。また、以降で説明する、感光体2、帯電部材3、現像装置4、クリーニング手段5及び一次転写ローラ8についても、同様に添え字を適宜省略する。
【0012】
画像形成手段1には、静電潜像担持体であるドラム状の感光体2が配置されており、感光体2のまわりに、帯電部材3、現像装置4及びクリーニング手段5が設けられている。
感光体2は、時計回りに回転駆動することが可能であり、感光体2の表面には帯電部材3が圧接されている。
帯電部材3は、感光体2の回転駆動に伴い従動回転させられる。また、帯電部材3には、図示しない高圧電源により所定のバイアス電圧が印加され、回転駆動する感光体2の表面を一様に帯電できるようになっている。
なお、図示した帯電部材3は、感光体2に接触するローラ状部材を採用しているが、コロナ放電等を利用する非接触式のものを採用することも可能である。
【0013】
また、
図1に示される画像形成装置10では、4つの画像形成手段に並行して、斜め下に露光装置6が設けられている。
露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラーなどの適宜適切な構成部材を有している。露光装置6は、各色トナーの画像データに応じて形成された画像情報に基づいて、帯電させられた各感光体2を露光し、それぞれの感光体2上に静電潜像を作り出す。
【0014】
露光装置6を用いて感光体2上に形成された静電潜像は、感光体2の回転により、現像装置4を通るときに各色トナーが付与されることで現像され、顕像化される。
なお、画像形成装置10の内部における上方には、ブラック、マゼンタ、シアン及びイエローの各色トナーが充填されたトナーボトル20a、20b、20c及び20dが配置されている。各色トナーは、所定補給量が、トナーボトル20a、20b、20c及び20dから図示しない搬送経路を介して、それぞれ各色現像装置4a、4b、4c及び4dに補給される。
【0015】
さらに、各画像形成手段1の感光体2に対向して中間転写体として構成される、無端ベルト状の中間転写ベルト7が配置される。
図1に示した中間転写ベルト7は、複数の支持ローラ(例えば、支持ローラ15a、15bなど)に巻きかけられて構成されている。支持ローラ15aは、図示しない駆動源としての駆動モータと連結されている。駆動モータを駆動させることで、中間転写ベルト7は、図中反時計回りに回転移動すると共に、従動回転可能な支持ローラ15bが回転させられる。
中間転写ベルト7の表面には、各感光体2が当接している。
中間転写ベルト7の裏面には、ベルトを挟んで感光体2に対向して位置する一次転写ローラ8が配置されている。
【0016】
一次転写ローラ8に図示しない高圧電源から一次転写バイアスが印加され、現像装置4により顕像化された感光体2上のトナー像が中間転写ベルト7に一次転写されるようになっている。
なお、一次転写されずに感光体2上に残された一次転写残トナーは、感光体2による次の画像形成動作に備えるために中間転写ベルトクリーニング手段19により除去され、感光体2上におけるトナーが完全に除去される。
【0017】
さらに、画像形成装置10は、一次転写ローラ8の、中間転写ベルト7の駆動方向下流側に、二次転写装置としての二次転写ローラ18が設けられている。
二次転写ローラ18は、中間転写ベルト7を挟んで支持ローラ15bと対向する。二次転写ローラ18と支持ローラ15bとは、中間転写ベルト7を介して二次転写ニップ部を形成している。
また、画像形成装置10は、記録媒体積載部としての給紙カセット30、給送コロ31に加え、レジストローラ対(位置合わせローラ対)35等を備える。二次転写ローラ18から見て、記録媒体Pの搬送方向下流側には、定着装置50及び排紙ローラ対36が設けられている。
【0018】
次に、画像形成動作(画像形成工程)について説明する。
先ず、上記した感光体2が図示しない駆動源により時計回り方向に回転駆動され、このとき感光体表面に図示しない除電装置からの光が照射されて表面電位が初期化される。
表面電位を初期化された感光体2の表面が、今度は帯電部材3によって所定の極性に一様に帯電される。
帯電された感光体表面には、露光装置6からのレーザ光が照射され、これによって感光体表面に静電潜像が形成される。
このとき、各感光体2に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各トナー色情報に分解した単色の画像情報である。
このように感光体上に形成された静電潜像は、現像装置4を通る際に、現像装置4からの各色トナー(現像剤)が付与され、顕像化されたトナー像として可視化される。
【0019】
また、中間転写ベルト7は、図中反時計回りに走行駆動させられる。一次転写ローラ8には、感光体上に形成されたトナー像のトナー帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加される。これにより、感光体2と中間転写ベルト7との間に転写電界が形成される。そして、感光体2上のトナー像が、その感光体2と同期して回転駆動される中間転写ベルト7上に静電的に一次転写される。
このように、一次転写される各色トナー像は、中間転写ベルト7の搬送方向上流側から逐次タイミングを併せて中間転写ベルト7上に重ね合わされ、所望のフルカラー画像が形成される。
【0020】
その一方で、画像を形成されるべき記録媒体は、給紙カセット30に積載された記録媒体束から給送コロ31等の適宜適切な搬送部材の作用によりレジストローラ対35まで一枚ごとに分離されて給送される。その際には、未だ回転駆動を開始していないレジストローラ対35のニップ部に、搬送された記録媒体の先端が突き当たり、所謂ループを形成することで、記録媒体のレジストレーションが行われる。
【0021】
その後、中間転写ベルト7上に担持されたフルカラートナー像とのタイミングを図って、レジストローラ対35の回転駆動が開始される。そして、支持ローラ15bと、これに中間転写ベルト7を介して対向する二次転写ローラ18とで構成される二次転写ニップ部に向けて記録媒体が送出される。
本実施形態では、二次転写ローラ18に中間転写ベルト表面におけるトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト7表面に形成されたフルカラートナー像が記録媒体上に一括して転写される。
【0022】
トナー像を転写された記録媒体は、定着装置50までさらに搬送され、定着装置50を通過するときに、熱と圧力とを加えられ、永久画像としてトナー像が記録媒体に定着させられる。
画像を定着させられた画像形成後の記録媒体は、排紙ローラ対36を介して排出トレイ29等の記録媒体排出部に排出されることで画像形成動作が完了する。
なお、二次転写ローラ18が配置される二次転写ニップ部で転写されずに中間転写ベルト7上に残留した残留トナーは、中間転写ベルトクリーニング手段19により取り除かれ回収される。
【0023】
次に、定着装置50の構成について
図2を参照して説明する。
図2は、一実施形態の定着装置の構成例を説明する概略断面図である。
定着装置50は、回転可能な定着部材としての定着ベルト60と、定着ベルト60を両端部で保持する定着ベルト保持部材としてのホルダ51と、定着ベルト60の外周面に当接し、回転可能に設けられた加圧部材としての加圧ローラ70とを備える。
また、定着装置50は、定着ベルト60の内部に、定着ベルト60を加熱する熱源としてのハロゲンヒータ61と、加圧ローラ70と対向するよう配備されるニップ形成部材80と、ニップ形成部材80を支持する支持部材90と、ハロゲンヒータ61からの輻射熱を反射する反射板54とを備える。反射板54は、ヒータと支持部材90の間に配置され支持部材90に不図示のネジで固定されている。
さらに、定着装置50は、ホルダ51と支持部材90とを固定する側板(不図示)と、定着ベルト60の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ(図示せず)と、加圧ローラ70を定着ベルト60へ付勢してニップNを形成する図示しない付勢手段等を備えている。
【0024】
定着ベルト60は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)で構成されている。詳しくは、定着ベルト60は、ニッケル若しくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)等の樹脂材料で形成された内周側の基材を備える。
さらに、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等で形成された外周側の離型層によって構成されている。
また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させても良い。
【0025】
加圧ローラ70は、芯金72と、芯金72の表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム又はフッ素ゴム等から成る弾性層71と、弾性層71の表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層(図示せず)によって構成されている。
加圧ローラ70は、図示しない付勢手段によって定着ベルト60側へ付勢され、定着ベルト60を介してニップ形成部材80に当接している。
加圧ローラ70と定着ベルト60とが圧接する箇所では、加圧ローラ70の弾性層71が押し潰されることで、ニップ形成部材80の短手方向における所定の幅のニップ(ニップ部)Nが形成されている。
【0026】
ニップNは、ニップ形成部材80の長手方向(定着ベルト60の軸方向)に連続形成される。また、加圧ローラ70は、プリンタ本体に設けられた図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。そして、加圧ローラ70が回転駆動すると、その駆動力がニップNで定着ベルト60に伝達され、定着ベルト60が従動回転するようになっている。
【0027】
支持部材90は、ニップ形成部材80の撓み防止機能を満足させるために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成されることが望ましく、本実施例では鉄鋼板で作成された3部品をカシメによって一体化することで、安価で剛性の高い支持部材90としている。
【0028】
ハロゲンヒータ61は、中央ヒータ61a、端部ヒータ61bの2本を並列状態で使用する。以下の記載において、中央ヒータ61aと端部ヒータ61bとを総称する場合にハロゲンヒータ61と記載する。
中央ヒータ61aと端部ヒータ61bとは、相互に発熱範囲が異なる。ハロゲンヒータ61は、定着装置50に通紙される用紙のサイズに応じて、定着ベルト60を加熱できる。具体的には、本実施形態の定着装置50は、定着ベルト60の軸方向(以下適宜「長手方向」とも称する)の中央部領域に対応する位置を加熱する中央ヒータ61aと、定着ベルト60の長手方向の端部領域に対応する位置を加熱する端部ヒータ61bとの2本を備える。A3縦など幅の広い用紙(記録媒体)を通紙する際は、中央ヒータ61aと端部ヒータ61bとの両方を点灯する。A4縦など幅の狭い用紙を通紙する際は、中央ヒータ61aのみを点灯する。これにより、定着ベルト60の加熱に使用する消費電力を抑えることができる。
【0029】
次に、本実施形態に係る定着装置50の基本動作について説明する。
画像形成装置10本体の電源スイッチ(不図示)が投入されると、ハロゲンヒータ61に電力が供給されると共に、加圧ローラ70が時計回りに回転駆動を開始する。これにより、定着ベルト60は、加圧ローラ70との摩擦力によって、反時計回りに従動回転する。
【0030】
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー画像Tが担持された像担持体である記録媒体Pが、不図示のガイド板に案内されながら矢印M方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト60及び加圧ローラ70のニップNに送入される。
そして、ハロゲンヒータ61によって加熱された定着ベルト60による熱と、定着ベルト60と加圧ローラ70との間の加圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー画像Tが定着される。
【0031】
トナー画像Tが定着された記録媒体Pは、ニップNから搬出される。このとき、記録媒体Pの先端が側板(不図示)により支持される分離部材75の先端に接触することにより、記録媒体Pが定着ベルト60から分離される。その後、分離された記録媒体Pは、上述のように、排紙ローラによって機外に排出され、排紙トレイにストックされる。
【0032】
次に、ニップ形成部材80について説明する。
ニップ形成部材80は、樹脂ニップ形成部材としての、樹脂からなるベース部材80aと、金属ニップ形成部材としての、ベース部材80a表面に設けられた均熱部材80bから形成されている。断面で見た時に、ベース部材80aは上下2箇所の足で支持部材90と接触するように構成している。
【0033】
この構成における樹脂からなるベース部材80aの役割としては、断熱効果である。支持部材90表面に直接均熱部材80bを配置してニップNを形成した場合には、定着ベルト60の熱が支持部材90に吸収されてフォームアップタイムやTEC(Typical Electricity Consumption)値が悪化するのを抑制している。断熱性に加え耐熱性も要求されるので、ベース部材80aの樹脂材料としてはLCP(液晶ポリマー)、PAI(ポリアミドイミド)を使用するとよい。
【0034】
一方、樹脂部材だけでニップ形成部材を構成した場合には、断熱効果が高い反面、連続通紙時の通紙領域外の温度上昇には弱い。この問題を解決するために、ニップ形成部材80は、均熱部材80bを設け、積極的に長手方向に熱を移動させて連続通紙時における端部温度上昇抑制による長手方向の温度不均一性を低減する。
このため、均熱部材80bは、短時間で熱移動が可能な材料であることが望ましく、熱伝導率の高い銅やアルミニウム、銀といった部材であることが望ましい。コスト、入手性、熱伝導率特性、加工性を総合的に考慮すると、銅を用いることが最も望ましい。
以下、一実施形態の定着装置が備えるニップ形成部材について詳細を説明する。
【0035】
実施形態1.
図3は、一実施形態の定着装置が有するニップ形成部材の構成例を説明する概略断面図であり、(A)はニップ形成部材の概略を示す図、(B)は(A)に示す破線で囲む部分を拡大した図である。
図4は、比較例のニップ形成部材の構成例を説明する概略断面図であり、(A)は比較例1を示す図、(B)は比較例2を示す図である。
【0036】
均熱部材80bは、金属材料であり、熱容量が大きい。このため、
図4(A)の比較例1のニップ形成部材91のように、均熱部材91bがベース部材91a表面全面を覆うように構成した場合、省エネ復帰等で冷えた状態からの立ち上がり時間が長くなるという課題と、用紙分離性能を確保するための複雑な曲げ加工が必要で、形状のバラつきが大きくなり、機械ごとに分離性能に差が発生してしまうという課題がある。また、
図4(B)の比較例2のニップ形成部材92のように、ニップNの途中で均熱部材92bの金属材料の端部が存在する場合には、ベース部材92aに接触する前に金属材料の端部が定着ベルト60へ接触することにより、定着ベルト60にキズが付きやすいという問題があった。
【0037】
そこで、一実施形態では、
図3(A)に示すように構成する。
ベース部材80aは、均熱部材80bと接する側のニップ下流側に凹部80a1を、溝、凹み、段差などにより設ける。
均熱部材80bは、ニップ下流側の端部をベース部材80a側に曲げた曲げ部80b1を形成し、凹部80a1へ入り込ませる。また、均熱部材80bは、定着ベルト60と接触する平面であって、ニップNを形成する平面80b2を有する。曲げ部80b1は、平面80b2のニップ下流側の端部をベース部材80aの方向に曲げて形成する。
ここで、ニップ下流側は、定着装置50の記録媒体Pの搬送方向M(以下適宜「搬送方向M」とも称する)に沿って、ニップNの中央より下流の部分とする。また、幅方向(「軸方向」とも称する)は、搬送方向Mと直交する方向であり、定着ベルト60の軸方向に沿った方向とする。
【0038】
図2に示すニップ長L1、長さL2を用いて均熱部材80bを説明すると、平面80b2は、ニップ長L1に長さL2を加えた長さ(L1+L2)を最低限とする長さを有し、かつ、曲げ部80b1は、ニップ下流側に設けた凹部80a1へ収納される。このようにすると、
図3に示すように、均熱部材80bの端部(板金エッジ部)を凹部80a1に入れ込み、定着ベルト60に接触させないようにすることができる。また、定着ベルト60には、曲げ部80b1の曲り形状が接触するようにしている。
ここで、ニップ長L1は、搬送方向Mに沿って、ニップ形成部材80が定着ベルト60を介して加圧ローラ70と当接してニップNを形成する長さとする。
長さL2は、ニップNから曲げ部80b1までの長さであり、ニップNの形成に支障がないように、平面80b2に余裕を持たせる長さとする。そのため、L2は、最低限の長さとすることが好ましい。
また、凹部80a1は、曲げ部80b1を収納可能な形状とする。
尚、実施例ではL2を設けているが、L2は無くても本発明の効果は当然に得ることができる。言い換えると均熱部材のある平坦個所のみならず、ベース部材の張り出し形状80a2までニップNに含まれる場合にも本発明の効果を得ることはできる。
【0039】
このように、ニップ形成部材80の内、定着ベルト60と主に接する部分を熱伝導性の良い金属材料からなる均熱部材80bで構成し、定着ベルト60と平面80b2とが接触することで、軸方向の均熱効果により、小サイズ通紙時の端部温度上昇が軽減される。
また、他の部分を樹脂部材からなるベース部材80aとすることで、樹脂部材の熱伝導性が低いことによりニップN以外への放熱が抑制され、立ち上がり時間を短縮することができる。
【0040】
さらに、ニップ下流に曲げ部80b1を設けることで、金属部材からなる均熱部材80bの端部(エッジ部)と定着ベルト60とが接触することを回避し、曲げ部80b1の曲げ形状(平面80b2と曲げ部80b1とを分ける折り曲げ部分)で接触することで、定着ベルト60の摩耗を低減することができる。
さらに加え、均熱部材80bは、曲げ部80b1をニップ部下流に設け、加圧ローラ70が当接する範囲(ニップ幅)より外側に配置した。このように、均熱部材80bの平面80b2をニップNの長さ(例えば、
図2のニップ長L1)より大きくすることで、摺動抵抗の高いニップ範囲に段差をなくすことができる。
【0041】
ベース部材80aは、凹部80a1よりニップ下流側で、平面80b2より一段下がった位置(定着ベルト60と平面80b2より離れた位置)から定着ベルト60の方向へ張り出す張り出し形状80a2を有する。
図3(B)では、ベース部材80aは、平面80b2より、均熱部材80bの厚さXの長さ下がった位置から張り出し形状80a2が設けられている。このようにすると、定着ベルト60がベース部材0aのエッジ部分に接触することなくなり、高耐久、かつ、分離性を確保できる。
【0042】
また、張り出し形状80a2は、ベース部材80aの凹部80a1のエッジが、均熱部材80bよりも下がった位置からニップ下流側に向かって突き出すようにすることで、用紙分離性(記録媒体分離性)を確保することができる。加えて、凹部80a1のエッジが定着ベルト60に接触しないため、定着ベルト60の摩耗を低減しつつ、分離性能も安定した定着装置となっている。さらに加えて、樹脂で形成されるベース部材80aは、型により形状を作製できるため、狙いの形状にバラつきが少なく、所望の形状を確保することが可能となる。
【0043】
本実施形態によれば、簡単な構成で、定着部材の軸方向の温度ムラが少なく、分離機能も余裕があり、熱容量が小さいことで立ち上がり時間を短くすることができる。
【0044】
実施形態2.
実施形態2では、
図3に示す均熱部材80bに設ける曲げ部の形状について説明する。
図5は、
図3のニップ形成部材が有する均熱部材の形状例を説明する図であり、(A)はニップ形成部材80を定着ベルト60と接触する側から見た模式図、(B)は均熱部材80bの形状例を説明する図、(C)は(A)に示すA-A線に沿った断面図、(D)は(A)に示すB-B線に沿った断面図、(E)は(A)に示すC-C線に沿った断面図である。なお、(E)に示すA-A’線は、(A)に示すA-A線に対応する位置を示すものであり、B-B’線も同様に(A)に示すB-B線に対応する位置を示すものである。
【0045】
曲げ部80b1の端部は、平面80b2から曲げ部80b1に変わる曲り形状から端部までの長さに変化を設けない直線状でもよいが、
図5(B)に示すように、曲げ部80b1の曲げ形状から端部までの長さ(以下適宜「曲げ部の長さ」とも称する)を、幅方向の位置に応じて変化させ、凸形状80b3を設けるとよい。例えば、A-A線(
図6(C))の曲げ部の長さは、長さL3であり、B-B線(
図6(D))の曲げ部の長さは、長さL4とし、B-B線の曲げ部の長さをA-A線より長くしている(L3<L4)。
【0046】
また、ニップ形成部材80は、曲げ部80b1の凸形状80b3が凹部80a1と係合するようにするとよい。具体的には、均熱部材80bは、幅方向で、少なくとも一箇所は変化させて凸形状80b3とし、かつ、ベース部材80aは、凸形状80b3と嵌め合わさる形状を凹部80a1に設けるとよい。このようにすると、曲げ部80b1を凹部80a1に入り込ませるときに、幅方向(スラスト方向)の位置の規制を兼ねることになり(例えば、
図5(E)の矢印Sの位置の規制)、位置決めが容易になる。これにより、シンプルな構成でベース部材80aと均熱部材80bとの位置を精度よく維持することを可能する。
凸形状80b3は
図3(D)のように貫通して加圧時に金属製の支持部材に当接することで熱を支持部材に逃がす構成とすることもできる。或いは貫通せずに、または貫通していても加圧時に支持部材に接触しない長さにした上で、凸形状を含む曲げ部の長さがニップ形成部材の凹部深さより小さくすることで、加圧時の均熱部材とニップ形成部材の接触部は平面となり、平面接触により加圧部材を安定して支持することができる。
【0047】
凸形状80b3は、少なくとも主要な紙幅に相当する通紙領域外に設け、曲げ部80b1の長さを長くするとよい。このようにすると、主要な通紙領域外の過度な温度上昇を防止することができる。主要な紙幅に相当する通紙領域外は、例えば、A4縦サイズ(略210mm)とする。また、主要な紙幅に相当する通紙領域外は、例えば、均熱部材80bの軸方向に沿った長さが、異なる複数のサイズの記録媒体に対応するときに、少なくとも一つのサイズが使用しない未使用領域(全サイズの通紙領域を除く領域)としてもよい。
図5(B)では、幅W1は、記録媒体Pの主要サイズであるA4縦サイズの幅W2以上とし、幅W1の外側で、曲げ部80b1の端部に凸形状80b3を設けた例を示す。幅W1の範囲では、曲げ部80b1が長さL3であり、幅W1の外側に、凸形状80b3を設け、曲げ部80b1を長さL4としている。
【0048】
実施形態3.
実施形態3では、ニップ形成部材の他の構成例について説明する。
図6は、一実施形態の定着装置が有するニップ形成部材の他の構成例を説明する概略断面図である。
図6(A)に示すように、ニップ形成部材81は、均熱部材81bの端部を折り曲げて重ねた曲げ部81b1を、凹部81a1に収めてもよい。このとき、凹部81a1は、均熱部材81bが定着ベルト60と接する面が平面となるように、折り曲げて重ねた曲げ部81b1を収納可能な段差を有するように形成されるとよい。
このように、均熱部材のニップ下流側の曲げ部を、L字型曲げ形状にするのではなく、ヘミング曲げ形状にしてもよい。
【0049】
また、均熱部材80bは、定着ベルト60の内面に対向する面が、定着ベルト60に直接接触する面となり、ニップ形成面となる。そこで、さらに均熱効果を高めるために、均熱部材80bは、表面に摺動性能に優れたコーティングを施し、さらに、定着ベルト60と接触抵抗を低くするため、コーティングを施した表面に、さらにグリスを塗布することが好ましい。このようにすると、均熱部材80bと定着ベルト60との接触抵抗を減らし、定着ベルト60が摩耗するのを防止することができる。
【0050】
例えば、
図6(B)のように均熱部材が直接ベルトに接触するような構成ではなく、ニップNの摺動抵抗を低減するために、PTFE製の糸から形成された摺動シート82cにシリコーンオイル等の潤滑剤を含浸させたものを巻付けてニップ形成部材とする構成にしてもよい。
なお、
図6(B)のニップ形成部材82は、
図3に示すニップ形成部材80に摺動シート82cを巻付けた構成例を示しているが、
図6(A)に示すニップ形成部材81に摺動シートを巻付けてもよい。
【0051】
実施形態4.
実施形態4では、均熱部材の他の形状例について説明する。
図7は、一実施形態のニップ形成部材が有する均熱部材の他の形状例を説明する図である。
曲げ部80b1に設ける凸形状を、主要な紙幅(例えばA4縦サイズ)の通紙領域の外側であって、主要な紙幅よりも大きな第二の紙幅(例えばA3縦サイズ)に相当する領域の外側の曲げ長さが内側よりもさらに長く形成されるとよい。
図7(A)は、均熱部材83bにおいて、曲げ部83b1の曲げ形状から端部までの長さを、長さL3、L4、L5(L3<L4<L5)の三段階に幅方向の中央部に対し(中央部から)外側に向けて長くした凸形状83b3を示している。
【0052】
また、曲げ部80b1に設ける凸形状を、幅方向の外側の曲げ部の長さが段階的に長くなるように形成されるとよい。
図7(B)は、均熱部材84bにおいて、曲げ部84b1の曲げ形状から端部までの長さを、幅方向の中央部に対し外側に向けて、多段階に長くした凸形状84b3を示している。
図5、
図8(A)、(B)の均熱部材において、曲がり部は、段差の角または隅を曲線(なめらかな段差)にした凸形状とするとよい。さらに、
図5、
図8(A)、(B)の均熱部材において、曲げ部は、幅方向の曲げ部の長さが、少なくとも最大通紙領域の範囲では外側ほど長くなるように徐変して(徐々に変化させて、または、なめらかに変化させて)形成するとよい。
【0053】
さらに加えて、均熱部材の中央部が凸形状になるように形成され、凸部が樹脂ニップ形成部材又は支持部材に当接するとよい。
図7(C)の均熱部材85bでは、曲が部85b1の中央部になめらかな凸形状85b4を設けた例を示している。
ニップNがフラットな均熱部材を有するニップ形成部材では、加圧ローラ70や定着ベルト60の撓みにより中央部の加圧力が弱まってしまう。均熱部材85bは、幅方向の中央部に凸形状を設けることで、撓みによる加圧力低下を防止する。なお、
図7(C)では、なめらかな凸形状85b4を形成した例を示したが、これに限られるものではなく、中央部の一部に凸状が形成されていてもよい。
【0054】
上記各実施形態で説明した通り、本発明の一実施形態は、電子写真の定着装置のニップ構成部材に際して、以下の特徴を有する。
ニップ形成部材のうち、断熱性の高い樹脂材料でできたベース部材に、加圧部材と当接する均熱板部分を熱伝導性の良い(例えば金属製)均熱部材にした構成とする。ニップ形成部材の材料は2種類以上でも良い。
また、均熱部材は、断面形状で、加圧部材と当接する均熱部材の折り曲げ部分をなくしたことで、ニップ部を構成する形状が平板となり、作成を容易とすることができる。さらに均熱部材全体の体積(熱容量)が小さくなったことで立ち上がり時間も短くなり、熱伝導の良い材料を使うことで、軸方向の均熱性を向上させることができる。
【0055】
さらに、均熱部材のニップ部を形成する平面が平板なので形状を変更することが容易になり、軸方向の面積を中央、端部で変更することで、立ち上がり直後の端部温度低下を改善することができる。
さらに加えて、加圧部材と当接する均熱部材と、断熱樹脂でできたベース部材は、連続したニップ平面を構成している。ベルトの形状で分離性を向上させるために、ニップ出口の異形形状が必要な場合、樹脂製のベース部材で成型できるため形状の自由度が大きい。そのため、均熱部材に複雑な加工の必要がない。
このようにすることで、ニップ構成部材が、異種材料(熱伝導性の良い、悪い)で連続した面を形成している。
【符号の説明】
【0056】
50 定着装置
60 定着ベルト(定着部材)
70 加圧ローラ(加圧部材)
80 ニップ形成部材
80a~85a ベース部材(樹脂ニップ形成部材)
80a1、81a1 凹部
80b~85b 均熱部材(金属ニップ形成部材)
80b1~80b1 曲げ部
80b2、83b2~85b2 平面
82c 摺動シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】