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特許7456259省電力制御装置、画像処理装置、省電力制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】省電力制御装置、画像処理装置、省電力制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3287 20190101AFI20240319BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240319BHJP
   G06F 1/3209 20190101ALI20240319BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G06F1/3287
B41J29/38 104
G06F1/3209
H04N1/00 885
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020074273
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021174019
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161122(JP,A)
【文献】特開2011-159046(JP,A)
【文献】特開2011-114728(JP,A)
【文献】特開2011-134017(JP,A)
【文献】特開2011-041152(JP,A)
【文献】特開2016-139401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/3287
B41J 29/38
G06F 1/3209
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムと通信可能に接続されるサブシステムとを含む省電力制御装置であって、
前記サブシステムは、
HTTPリクエストとIPPリクエストとを含むUSBパケットを送受信するUSB通信部と、
前記USB通信部が受信するIPPリクエストのうち、予め定められた1つ以上のIPPリクエストに対応するIPPレスポンスを作成して応答する応答部と、
前記メインシステムが、前記所定の処理を実行可能な通常状態であるか、前記通常状態より消費電力が少ない省電力状態であるかを管理し、前記メインシステムが前記省電力状態であるときに、前記USB通信部が受信したIPPリクエストが前記1つ以上のIPPリクエストである場合、前記メインシステムの前記省電力状態を維持する状態制御部と、
を有し、
前記メインシステムは、
HTTPリクエストとIPPリクエストとを含むイーサネット(登録商標)パケットを送受信するネットワーク通信部と、
前記イーサネットパケットに対するTCP/IP処理を実行するTCP/IP処理部と、
前記通常状態において、前記ネットワーク通信部が受信したIPPリクエスト、又は前記サブシステムから通知されるIPPリクエストに応じて、前記所定の処理を実行するIPPサービス部と、
を有する、省電力制御装置。
【請求項2】
前記状態制御部は、前記省電力状態において、前記USB通信部が受信したIPPリクエストが前記1つ以上のIPPリクエストでない場合、前記メインシステムを前記通常状態に復帰させる、請求項1に記載の省電力制御装置。
【請求項3】
前記サブシステムは、前記メインシステムが、前記省電力状態であるときに、前記USB通信部が受信したIPPリクエストが、前記1つ以上のIPPリクエストであるか否かを判断する判断部を有する、請求項1又は2に記載の省電力制御装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記省電力状態において、前記USB通信部が受信したIPPリクエストが、前記応答部が応答可能な前記1つ以上のIPPリクエストである場合、前記USB通信部が受信したIPPリクエストを、前記応答部に転送する、請求項3に記載の省電力制御装置。
【請求項5】
前記判断部は、前記省電力状態において、前記USB通信部が受信したIPPリクエストが、前記応答部が応答可能な前記1つ以上のIPPリクエストでない場合、前記USB通信部が受信したIPPリクエストを、前記メインシステムに転送する、請求項3又は4に記載の省電力制御装置。
【請求項6】
前記省電力状態において、前記USB通信部が受信したIPPリクエストが、前記所定の処理の実行を要求するIPPリクエストである場合、
前記状態制御部は、前記メインシステムを前記通常状態に復帰させ、
前記判断部は、前記USB通信部が受信したIPPリクエストを、前記メインシステムに転送する、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の省電力制御装置。
【請求項7】
前記応答部が応答可能な1つ以上のIPPリクエストは、前記所定の処理に関する情報の取得要求を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の省電力制御装置。
【請求項8】
前記応答部が応答可能な1つ以上のIPPリクエストは、前記所定の処理の実行を要求する要求情報を含まない、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の省電力制御装置。
【請求項9】
前記メインシステムは、前記IPPリクエストに対応するIPPレスポンスを前記サブシステムに送信する第1の通信部を有し、
前記サブシステムは、前記IPPリクエストを前記メインシステムに送信する第2の通信部を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の省電力制御装置。
【請求項10】
前記所定の処理は、印刷データを印刷する印刷処理を含み、
前記USB通信部が受信するIPPリクエストは、前記印刷処理に関するサービスを要求する印刷サービスリクエストを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の省電力制御装置。
【請求項11】
前記応答部は、前記印刷サービスリクエストのうち、前記印刷処理に関する情報の取得要求に対応する印刷サービスレスポンスを作成する、請求項10に記載の省電力制御装置。
【請求項12】
前記メインシステムは、前記印刷サービスリクエストのうち、前記印刷処理を実行する画像形成部を有する、請求項10又は11に記載の省電力制御装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の省電力制御装置を備えた画像処理装置。
【請求項14】
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムと通信可能に接続されるサブシステムとを含む省電力制御装置が実行する省電力制御方法であって、
前記サブシステムが、
HTTPリクエストとIPPリクエストとを含むUSBパケットを送受信するUSB通信処理と、
前記USB通信処理で受信するIPPリクエストのうち、予め定められた1つ以上のIPPリクエストに対応するIPPレスポンスを作成して応答する応答処理と、
前記メインシステムが、前記所定の処理を実行可能な通常状態であるか、前記通常状態より消費電力が少ない省電力状態であるかを管理し、前記メインシステムが前記省電力状態であるときに、前記USB通信処理で受信したIPPリクエストが前記1つ以上のIPPリクエストである場合、前記メインシステムの前記省電力状態を維持する状態制御処理と、
を実行し、
前記メインシステムが、
HTTPリクエストとIPPリクエストとを含むイーサネットパケットを送受信するネットワーク通信処理と、
前記イーサネットパケットに対するTCP/IP処理と、
前記通常状態において、前記ネットワーク通信処理で受信したIPPリクエスト、又は前記サブシステムから通知されるIPPリクエストに応じて、前記所定の処理を実行するIPPサービス処理と、
を実行する、省電力制御方法。
【請求項15】
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムと通信可能に接続されるサブシステムとを含む省電力制御装置の前記サブシステムに、
HTTPリクエストとIPPリクエストとを含むUSBパケットを送受信するUSB通信処理と、
前記USB通信処理で受信するIPPリクエストのうち、予め定められた1つ以上のIPPリクエストに対応するIPPリクエストを作成して応答する応答処理と、
前記メインシステムが、前記所定の処理を実行可能な通常状態であるか、前記通常状態より消費電力が少ない省電力状態であるかを管理し、前記メインシステムが前記省電力状態であるときに、前記USB通信処理で受信したIPPリクエストが前記1つ以上のIPPリクエストである場合、前記メインシステムの前記省電力状態を維持する状態制御処理と、
を実行させ
前記メインシステムに、
HTTPリクエストとIPPリクエストとを含むイーサネットパケットを送受信するネットワーク通信処理と、
前記イーサネットパケットに対するTCP/IP処理と、
前記通常状態において、前記ネットワーク通信処理で受信したIPPリクエスト、又は前記サブシステムから通知されるIPPリクエストに応じて、前記所定の処理を実行するIPPサービス処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力状態制御装置、画像処理装置、省電力制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の処理を実行する装置において、処理を実行していないときに、処理に関する指示を受け付けるために最小限の処理能力、及びメモリサイズで構成されたサブシステムのみを動作させて、装置の消費電力を削減することが行われている。
【0003】
例えば、メインシステムとサブシステムとを含む画像処理装置において、サブシステムが、シリアルバスインタフェースからデータを受信したときに、メインシステムを省電力状態から復帰させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、シリアルバスインタフェースからデータを受信する度にメインシステムを省電力状態から復帰させているため、省電力状態でシリアルバスインタフェースからデータを受信した場合に消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、サブシステムがメインシステムの電力状態を制御する省電力制御装置において、省電力状態でシリアルバスインタフェースからデータを受信した場合における消費電力の増大を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係る省電力制御装置は、所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムと通信可能に接続されるサブシステムとを含む省電力制御装置であって、前記サブシステムは、HTTPリクエストとIPPリクエストとを含むUSBパケットを送受信するUSB通信部と、前記USB通信部が受信する前記IPPリクエストのうち、予め定められた1つ以上のIPPリクエストに対応するIPPレスポンスを作成して応答する応答部と、前記メインシステムが、前記所定の処理を実行可能な通常状態であるか、前記通常状態より消費電力が少ない省電力状態であるかを管理し、前記メインシステムが前記省電力状態であるときに、前記USB通信部が受信したIPPリクエストが前記1つ以上のIPPリクエストである場合、前記メインシステムの前記省電力状態を維持する状態制御部と、を有し、前記メインシステムは、HTTPリクエストとIPPリクエストとを含むイーサネット(登録商標)パケットを送受信するネットワーク通信部と、前記イーサネットパケットに対するTCP/IP処理を実行するTCP/IP処理部と、前記通常状態において、前記ネットワーク通信部が受信したIPPリクエスト、又は前記サブシステムから通知されるIPPリクエストに応じて、前記所定の処理を実行するIPPサービス部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、サブシステムがメインシステムの省電力状態を制御する省電力制御装置において、電力状態でシリアルバスインタフェースからデータを受信した場合における消費電力の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る省電力制御装置のシステム構成の例を示す図である。
図2】一実施形態に係る省電力制御装置が送受信するパケットの構造のイメージを示す図である。
図3】第1の実施形態に係る省電力制御装置の機能構成の例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係るUSB-IPP通信のイメージを示す図である。
図5】第1の実施形態に係る通常状態の処理の例を示すシーケンス図である。
図6】第1の実施形態に係る判断処理の例を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る移行処理、及び復帰処理の例を示すシーケンス図である。
図8】第1の実施形態に係る省電力状態の処理の例を示すシーケンス図(1)である。
図9】第1の実施形態に係る省電力状態の処理の例を示すシーケンス図(2)である。
図10】第1の実施形態に係る省電力制御装置の機能構成の別の一例を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る省電力制御装置の機能構成の例を示す図である。
図12】第1の実施形態に係る通常状態の処理の例を示すシーケンス図である。
図13】第2の実施形態に係る判断処理の例を示すフローチャートである。
図14】第2の実施形態に係る省電力状態の処理の例を示すシーケンス図(1)である。
図15】第2の実施形態に係る省電力状態の処理の例を示すシーケンス図(2)である。
図16】第3の実施形態に係る判断処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る省電力制御装置のシステム構成の例を示す図である。省電力制御装置100は、例えば、PC(Personal Computer)等のUSB(Universal Serial Bus)ホスト150とUSBケーブル151を介して接続され、USBホスト150からの制御に従って所定の処理を実行する装置である。省電力制御装置100は、USBホスト150からの制御に従って所定の処理を実行可能な通常状態と、通常動作より消費電力が少ない省電力状態とを有する様々な装置であって良い。ここでは、一例として、省電力制御装置100が、所定の処理として、スキャン、プリンタ、コピー等の画像形成処理を実行する画像処理装置であるものとして以下の説明を行う。
【0011】
ただし、これに限られず、省電力制御装置100は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置等であっても良い。また、省電力制御装置100は、例えば、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、車載装置等の様々装置であって良い。
【0012】
省電力制御装置(画像処理装置)100は、図1に示すように、サブシステム110とメインシステム120とを含む。
【0013】
サブシステム110は、例えば、サブCPU(Central Processing Unit)111、サブシステムメモリ112、USB I/F(Interface)113、フィルタDMAC114、ネットワークI/F115、信号出力回路116、及びバス117等を有する。
【0014】
サブCPU111は、例えば、サブシステムメモリ112等に記憶した所定のプログラムを実行することにより、サブシステム110を制御するプロセッサ(演算装置)である。サブシステムメモリ112は、例えば、サブCPU111のワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)や、サブCPU111の起動用のプログラム等を予め記憶したROM(Read Only Memory)等を含む。また、サブシステムメモリ112には、例えば、SSD(Solid State Drive)等のストレージデバイスが含まれていても良い。
【0015】
USB I/F113は、サブシステム110をUSBホスト150に接続し、パケットデータの送受信を行うシリアルバスインタフェースである。ネットワークI/F115は、サブシステム110をネットワーク103に接続し、ネットワーク103を介してパケットデータ送受信を行うインタフェースである。フィルタDMAC114は、USB I/F113、又はネットワークI/F115等が受信したパケットデータをフィルタリングして不要なパケットデータを破棄するフィルタ機能、及びDMAC(Direct Memory Access Controller)機能を有する。
【0016】
信号出力回路116は、サブCPU111からの制御に従って、例えば、メインシステム120に省電力状態からの復帰を要求する復帰要求信号等の信号を出力する回路である。バス117は、サブシステム110の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0017】
メインシステム120は、例えば、メインCPU121、メインシステムメモリ122、電力制御回路123、及びバス124等を有し、例えば、プリンタ130、スキャナ140等を制御して画像形成処理(所定の処理の一例)を実行する。
【0018】
メインCPU121は、例えば、メインシステムメモリ122に記憶した所定のプログラムを実行することにより、メインシステム120を制御するプロセッサ(演算装置)である。メインシステムメモリ122は、例えば、メインCPU121のワークエリアとして用いられるRAM、及びメインCPU121の起動用のプログラム等を予め記憶したROM、及びストレージデバイス等が含まれる。
【0019】
電力制御回路123は、メインシステム120内への電力の供給を制御する。例えば、メインシステム120は、ユーザによる操作や、ネットワーク103、USBホスト150等からの処理の実行要求が所定の時間以上ない場合、省電力状態に移行する。このとき、電力制御回路123は、例えば、メインCPU121からの制御に従って、電力制御回路123を除く、メインシステム120内への電力の供給を停止する。また、電力制御回路123は、サブシステム110から、省電力状態から通常状態への復帰を要求する復帰要求信号を受け付けると、メインシステム120内への電力の供給を再開する。
【0020】
バス124は、メインシステム120の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0021】
プリンタ130は、例えば、印刷を実行するプリンタエンジン、及びコントローラ等を含み、メインCPU121からの制御に従って印刷処理を実行する。スキャナ140は、例えば、原稿の読み取りを実行するスキャナエンジン、及びコントローラ等を含み、メインCPU121からの制御に従ってスキャン処理を実行する。なお、プリンタ130、及びスキャナ140は、メインシステム120に含まれていても良い。
【0022】
サブシステム110とメインシステム120は、異なる電源系統を持ち、例えば、PCI Express(登録商標)等の通信路101を介して通信可能に接続されている。なお、サブシステム110とメインシステム120とを通信可能に接続する通信路101は、PCI Express以外の高速シリアルインタフェースであっても良いし、高速シリアルインタフェース以外の通信インタフェースであっても良い。
【0023】
省電力制御装置100は、メインシステム120が画像形成処理(所定の処理の一例)を実行可能な通常状態と、メインシステム120内への電力の供給が停止し、メインシステム120が画像形成処理を実行できない省電力状態とを有する。省電力制御装置100は、省電力状態では、サブシステム110のみで外部との通信を行うことにより、消費電力が多いメインシステム120の消費電力を削減する。そのため、サブシステム110は、例えば、外部から画像形成処理に関する指示を受け付けるための最小限の処理能力を有するサブCPU111と、最小限の記憶容量を有するサブシステムメモリ112を有していることが望ましい。
【0024】
図2は、一実施形態に係る省電力制御装置が送受信するパケットの構造のイメージを示す図である。本実施形態に係る省電力制御装置100は、ネットワーク103を介して、印刷処理に関するデータ(印刷データ等)やコマンド(情報の取得要求等)を送受信するIPP(Internet Printing Protocol)プロトコルを用いて、パケットデータを送受信する。
【0025】
図2(A)は、ネットワークI/Fが送受信するパケットの構造のイメージを示している。ネットワークI/F115は、一般的なイーサネットパケット210を用いて、IPPパケット200を送受信する。イーサネットパケット210には、例えば、図2(A)に示すように、イーサネットのヘッダ210a、データ210b、及びFCS(Frame Check Sequence)等が含まれる。
【0026】
このうちのデータ210bには、例えば、図2(A)に示すように、IP(Internet Protocol)ヘッダ211aとデータ211bとが含まれ、データ211bには、TCPヘッダ(Transmission Control Protocol)212aとデータ212bとが含まれる。ネットワークI/F115は、このデータ212b(ペイロード)として、IPPパケット200を送受信する。従って、省電力制御装置100は、ネットワークI/F115を用いてIPPパケット200を送受信するために、TCP/IPプロトコルを処理するためのTCP/IPプロトコルスタックを備えている。
【0027】
図2(B)は、USB I/Fが送受信するパケットの構造のイメージを示している。USB I/F113は、USBパケット220を用いて、IPPパケット200を送受信する。具体的には、USB I/F113は、IPPプロトコルをUSBインタフェース向けに拡張したIPP over USB(以下、「IPP-USB」と呼ぶ)に準拠したUSBパケット220を送受信する。このUSBパケット220には、例えば、図2(B)に示すように、PID(Packet Identifier)220a、データ220b、及びCRC(Cyclic Redundancy Check)等が含まれる。USB I/F113は、このデータ220b(ペイロード)として、IPPパケット200を送受信する。
【0028】
このIPPパケット200には、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)ヘッダ201とHTTPボディ202とが含まれ、このHTTPボディ202に、IPPリクエスト/IPPレスポンス203が格納されている。
【0029】
ネットワークI/F115が送受信するイーサネットパケット210には、様々な種類のパケットが含まれるため、イーサネットパケット210を処理するTCP/IPプロトコルスタックは、多くのCPUリソースとメモリを消費する。一方、USB I/F113が送受信するUSBパケット220は、IPPパケット200にPID220が付加されているだけなので、データを解釈するためのCPUリソースとメモリを大幅に削減することができる。
【0030】
しかし、例えば、特許文献1に示されるような従来の技術では、省電力状態で、サブシステムがUSBインタフェースからデータを受信する度に、メインシステムを省電力状態から通常状態に復帰させていたため、消費電力が増大してしまうという問題があった。
【0031】
そこで、本実施形態に係るサブシステム110は、省電力状態で、サブシステム110がUSB I/F113から要求情報を受信した要求情報のうち、1つ以上の要求情報に対応する応答情報を作成して応答する機能を有している。例えば、サブシステム110は、USB I/F113から受信するIPPリクエスト(要求情報)のうち、予め定められた1つ以上のIPPリクエスト(機種名の取得要求、状態情報の取得要求、オプション情報の取得要求等)に対して、応答することができる。なお、IPPリクエストは、印刷処理に関する印刷サービスリクエストの一例である。
【0032】
また、サブシステム110は、省電力状態で、USB I/F113が受信したIPPリクエストが、上述した1つ以上のIPPリクエストである場合、メインシステム120の省電力状態を維持したままで、IPPレスポンスを作成し返信する。なお、IPPレスポンスは、印刷サービスリクエストに対応する印刷サービスレスポンスの一例である。
【0033】
一方、サブシステム110は、省電力状態で、USB I/F113が受信したIPPリクエストが、上述した1つ以上のIPPリクエストでない場合、メインシステム120を省電力状態から通常状態へ復帰させる。
【0034】
これにより、サブシステム110は、省電力状態で、USB I/F113からIPPリクエストを受信したときに、サブシステム110で応答可能なIPPリクエストに対して、消費電力が比較的少ないサブシステム110の範囲内で応答することができる。
【0035】
また、サブシステム110は、サブシステム110で応答できないIPPリクエスト(例えば、印刷処理の実行要求等)を受信したときには、メインシステム120を省電力状態から復帰させて、メインシステム120に処理を実行させることができる。
【0036】
従って、本実施形態によれば、サブシステム110がメインシステム120の電力状態を制御する省電力制御装置100において、省電力状態でシリアルバスインタフェースからデータを受信した場合における消費電力の増大を抑制することができる。
【0037】
[第1の実施形態]
<機能構成>
図3は、第1の実施形態に係る省電力制御装置の機能構成の例を示す図である。省電力制御装置100は、所定の処理を実行するメインシステム120と、メインシステム120と通信可能に接続されるサブシステム110とを含む。
【0038】
(メインシステムの機能構成)
メインシステムは、例えば、図1のメインCPU121で所定のプログラムを実行することにより、ネットワーク通信部311、TCP/IP処理部312、第1のウェブサービス部、IPPサービス部314、画像形成部315、第1の通信部316、及び電力制御部317等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0039】
ネットワーク通信部311は、例えば、サブシステム110が備えるネットワークI/F115を介して、例えば、図2(A)に示すようなイーサネットパケット210の送受信を行う。
【0040】
TCP/IP処理部312は、例えば、図1のメインCPU121で実行されるTCP/IPプロトコルスタック等によって実現され、ネットワーク通信部311が送受信するイーサネットパケット210に対するTCP/IP処理を実行する。例えば、TCP/IP処理部312は、ネットワーク通信部311が受信したイーサネットパケット210から、HTTPヘッダ201とIPPリクエスト(以下、「HTTP+IPPリクエスト」と呼ぶ)を抽出して、第1のウェブサービス部に通知する。
【0041】
また、TCP/IP処理部312は、第1のウェブサービス部から受け付けたHTTPヘッダ201とIPPレスポンス(以下、「HTTP+IPPレスポンス」と呼ぶ)にTCPヘッダ212aとIPヘッダ211aを付加してネットワーク通信部311へ出力する。
【0042】
第1のウェブサービス部は、ネットワーク通信部311が送受信するイーサネットパケット210に対するHTTP処理を実行する。例えば、第1のウェブサービス部は、TCP/IP処理部312から受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」から、IPPリクエストを抽出して、抽出したIPPリクエストをIPPサービス部314に通知する。
【0043】
また、第1のウェブサービス部は、IPPサービス部314から受け付けたIPPレスポンスにHTTPヘッダ201を付加して、「HTTP+IPPレスポンス」を、TCP/IP処理部312に通知する。
【0044】
IPPサービス部314は、第1のウェブサービス部、又は第1の通信部316を介してサブシステム110から通知されるIPPリクエストに応じて、要求された処理を実行する。例えば、IPPリクエストで要求された処理が印刷処理である場合、IPPサービス部314は、画像形成部315に印刷処理を実行させる。また、IPPサービス部314は、処理結果を含むIPPレスポンスを作成し、作成したIPPレスポンスを、要求元の第1のウェブサービス部、又はサブシステム110に通知する。
【0045】
画像形成部315は、IPPサービス部314等からの要求に応じて、プリンタ130、スキャナ140等を制御して、例えば、印刷処理、スキャン処理等の画像形成処理を実行する。
【0046】
第1の通信部316は、通信路101を介して、サブシステム110と通信を行う。例えば、第1の通信部316は、サブシステム110から送信されるIPPリクエスト(要求情報の一例)を受信し、IPPサービス部314に転送する。また、第1の通信部316は、IPPサービス部314から通知されたIPPレスポンス(応答情報の一例)を、サブシステム110に送信する。
【0047】
電力制御部317は、予め設定された省電力状態への移行条件が成立したときに、サブシステム110に省電力状態への移行を通知し、メインシステム120を省電力状態に移行させる。例えば、電力制御部317は、前回の処理を実行してから、或いは前回の操作を受け付けてから所定の時間を経過したとき等に、メインシステム120をシャットダウン、又は一時休止状態とする。また、電力制御部317は、図1の電力制御回路123を制御して、メインシステム120内への電力の供給を停止させる。
【0048】
また、電力制御部317は、例えば、サブシステム110からの復帰要求信号に応じて、電力制御回路123がメインシステム120内への電力の供給を再開し、メインシステム120が起動すると、サブシステム110に通常状態への移行通知を送信する。
【0049】
(サブシステムの機能構成)
サブシステム110は、例えば、図1のサブCPU111で所定のプログラムを実行することにより、USB通信部301、第2のウェブサービス部302、判断部303、応答部304、第2の通信部305、及び状態制御部306等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0050】
USB通信部301は、例えば、サブCPU111によって実行されるUSBドライバ等のプログラムによって実現され、USB I/F113を用いて、USBホスト150と、図2(B)に示すようなUSBパケット220を送受信する。
【0051】
図4は、第1の実施形態に係るUSB-IPP通信のイメージを示す図である。USBホスト150は、図2(B)に示すようなUSBパケット220を、例えば、バルクOUT転送で省電力制御装置100へ送信する。このUSBパケット220には、例えば、図4に示すように、HTTPリクエストと、IPPリクエストとから成る「HTTP+IPPリクエスト」が含まれる。USB通信部301は、USBホスト150から送信されるUSBパケット220を受信すると、受信したUSBパケット220に含まれる「HTTP+IPPリクエスト」を、第2のウェブサービス部302に通知する。
【0052】
また、USB通信部301は、例えば、第2の通信部305から「HTTP+IPPレスポンス」を受け付けると、受け付けた「HTTP+IPPレスポンス」を含むUSBパケット220を作成して、USBホスト150へ送信する。このUSBパケット220には、例えば、図4に示すように、HTTPレスポンスと、IPPレスポンスとから成る「HTTP+IPPレスポンス」が含まれる。
【0053】
第2のウェブサービス部302は、USB通信部301が送受信するUSBパケット220に対応するHTTP処理を実行する。例えば、第2のウェブサービス部302は、USB通信部301から受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」から、IPPリクエストを抽出して、判断部303に通知する。また、第2のウェブサービス部302は、例えば、第2の通信部305等から受け付けたIPPレスポンスに、HTTPヘッダ201を付加して「HTTP+IPPレスポンス」を作成し、USB通信部301に通知する。
【0054】
なお、USB通信部301、及び第2のウェブサービス部302は、シリアルバスインタフェース(USB I/F113)を介して、所定の処理に関する要求情報を受信する受信処理を実行する受信部300の一例である。
【0055】
応答部304は、受信部300が受信するIPPリクエスト(要求情報)のうち、予め定められた1つ以上のIPリクエストに対応するIPPレスポンス(応答情報)を作成して応答する応答処理を実行する。
【0056】
IPPリクエストには、例えば、印刷データの印刷を要求する印刷要求等のように、メインシステム120でないと実行できない処理の要求が含まれる。一方で、IPPリクエストには、例えば、機種名の取得要求、状態情報の取得要求、オプション情報の取得要求等、サブシステム110でも応答可能な処理の要求が含まれる。応答部304は、サブシステム110でも応答可能なIPPリクエストに対応するIPPレスポンスを作成し、作成したIPPレスポンスを、例えば、第2の通信部305を介して、第2のウェブサービス部302に通知する。或いは、応答部304は、作成したIPPレスポンスを、第2の通信部305を介さずに、第2のウェブサービス部302に通知しても良い。
【0057】
判断部303は、メインシステム120が省電力状態である場合、受信部300が受信する要求情報(第2のウェブサービス部302から通知されるIPPリクエスト)が、応答部304が応答可能な要求情報であるか否かを判断する。
【0058】
受信部300が受信した要求情報(IPPリクエスト)が、応答部304が応答可能な要求情報である場合、判断部303は、当該要求情報(IPPリクエスト)を応答部304に転送(通知)する。一方、受信部300が受信した要求情報が、応答部304が応答可能な要求情報でない場合、判断部303は、状態制御部306を用いて、メインシステム120を省電力状態から通常状態に復帰させる。また、判断部303は、受信部300から受信した要求情報(IPPリクエスト)を、第2の通信部305を介してメインシステム120に転送(送信)する。
【0059】
第2の通信部305は、通信路101を介して、メインシステム120と通信を行う。例えば、第2の通信部305は、メインシステム120から送信されるIPPレスポンスを受信し、第2のウェブサービス部302に転送する。また、第2の通信部305は、判断部303から通知されるIPPリクエストを、メインシステム120に送信する。
【0060】
さらに、第2の通信部305は、応答部304から通信されるIPPレスポンスを、第2のウェブサービス部302に転送する。
【0061】
状態制御部306は、メインシステム120の状態を管理する状態制御処理を実行する。例えば、状態制御部306は、メインシステム120が、省電力状態であるか、通常状態であるかを示す状態情報を、サブシステムメモリ112等に記憶して管理する。
【0062】
また、状態制御部306は、省電力状態において、判断部303からの通常状態への復帰要求に応じて、図2の信号出力回路116を制御して、メインシステム120に復帰要求信号を出力する。これにより、状態制御部306は、省電力状態において、受信部300が受信したIPPリクエスト(要求情報)が、応答部304が応答可能な1つ以上のIPPリクエストでない場合、メインシステム120を、省電力状態から通常状態に復帰させる。
【0063】
一方、状態制御部306は、省電力状態において、受信部300が受信したIPPリクエスト(要求情報)が、応答部304が応答可能な1つ以上のIPPリクエストである場合、メインシステム120の省電力状態を維持する。
【0064】
<処理の流れ>
続いて、第1の実施形態に係る省電力制御方法の処理の流れについて説明する。
【0065】
(通常状態の処理)
図5は、第1の実施形態に係る通常状態の処理の例を示すシーケンス図である。この処理は、メインシステム120が通常状態であるときに、サブシステム110が、USBホスト150からUSBパケット220を受信した場合の処理の例を示している。
【0066】
ステップS501において、サブシステム110のUSB通信部301が、例えば、図4に示すような「HTTP+IPPリクエスト」を含むUSBパケット220を受信すると、ステップS502以降の処理が実行される。
【0067】
ステップS502において、USB通信部301は、受信したUSBパケット220に含まれる「HTTP+IPPリクエスト」を、第2のウェブサービス部302に通知する。
【0068】
ステップS503において、第2のウェブサービス部302は、USB通信部301から受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」に対してHTTP処理を実行し、IPPリクエストを取得する。また、ステップS504において、第2のウェブサービス部302は、取得したIPPリクエストを判断部303に通知する。
【0069】
ステップS504において、判断部303は、第2のウェブサービス部302からIPPリクエストを受け付けると、例えば、図6に示すような判断処理を実行する。
【0070】
図6は、第1の実施形態に係る判断処理の例を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS601において、判断部303が、IPPリクエストを受け付けると、ステップS602以降の処理が実行される。
【0072】
ステップS602において、判断部303は、メインシステム120が省電力状態であるか否かを判断する。例えば、判断部303は、状態制御部306が、サブシステムメモリ112等に記憶して管理している状態情報を参照することにより、メインシステム120が省電力状態であるか、通常状態であるかを判断する。
【0073】
メインシステム120が省電力状態でない場合、判断部303は、処理をステップS605へ移行させて、受け付けたIPPリクエストを、第2の通信部305を介して、メインシステムに転送する。一方、メインシステム120が省電力状態である場合、判断部303は、処理をステップS603に移行させる。
【0074】
ステップS603に移行すると、判断部303は、受け付けたIPPリクエストが、応答部304が応答可能なIPPリクエストであるか否かを判断する。例えば、判断部303は、応答部304が応答可能なIPPリクエストの一覧を、サブシステムメモリ112等に予め記憶しておき、この一覧を参照して、応答部304が応答可能なIPPリクエストであるか否かを判断しても良い。
【0075】
受け付けたIPPリクエストが、応答部304が応答可能なIPPリクエストでない場合、判断部303は、処理をステップS604に移行させる。一方、受け付けたIPPリクエストが、応答部304が応答可能なIPPリクエストである場合、判断部303は、処理をステップS606に移行させる。
【0076】
ステップS604に移行すると、判断部303は、メインシステム120を省電力状態から通常状態へ復帰させる。例えば、判断部303は、状態制御部306に、通常状態への復帰を要求する復帰要求を通知する。
【0077】
ステップS605において、判断部303は、受け付けたIPPリクエストを、第2の通信部305を介して、メインシステム120へ転送(送信)する。例えば、判断部303は、受け付けたIPPリクエストを第2の通信部305に通知する。これにより、第2の通信部305は、メインシステム120が起動して通信可能になったときに、判断部303から受け付けたIPPリクエストを、メインシステム120に送信する。
【0078】
一方、ステップS603からステップS606に移行すると、判断部303は、受け付けたIPPリクエストを、応答部304へ転送(通知)する。
【0079】
ここで、図5に戻り、シーケンス図の説明を続ける。図5のステップS505において、図4で説明した判断処理により、受け付けたIPPリクエストをメインシステム120に送信すると判断する。これにより、ステップS506、S507において、判断部303は、受け付けたIPPリクエストが、第2の通信部305を介して、メインシステム120へ転送される。
【0080】
ステップS508において、メインシステム120の第1の通信部316は、サブシステム110から受信したIPPリクエストを、IPPサービス部314に通知する。
【0081】
ステップS509~S511において、IPPサービス部314は、受け付けたIPPリクエストで要求された処理を実行し、実行結果を示すIPPレスポンスを、第1の通信部316を介して、サブシステム110へ送信する。例えば、IPPリクエストが、印刷データの印刷を要求する印刷要求である場合、IPPサービス部314は、画像形成部315を用いて、印刷データの印刷を実行し、印刷が完了したことを示す完了通知を含むIPPレスポンスを、サブシステム110へ送信する。
【0082】
ステップS512において、第2の通信部305は、メインシステム120から受信したIPPレスポンスを、第2のウェブサービス部302に通知する。
【0083】
ステップS513において、第2のウェブサービス部302は、第2の通信部305から受け付けたIPPレスポンスに対してHTTP処理を実行し、例えば、図4に示すような「HTTP+IPPレスポンス」を作成する。また、ステップS514において、第2のウェブサービス部302は、作成した「HTTP+IPPレスポンス」をUSB通信部301に通知する。
【0084】
ステップS515において、USB通信部301は、第2のウェブサービス部302から受け付けた「HTTP+IPPレスポンス」を含むUSBパケット220を、USBホスト150へ送信する。
【0085】
(省電力状態の移行処理、及び復帰処理)
図7は、第1の実施形態に係る移行処理、及び復帰処理の例を示すシーケンス図である。この図は、メインシステム120が省電力状態へ移行する移行処理、及び省電力状態から通常状態へ復帰する復帰処理の例を示している。
【0086】
ステップS701において、メインシステム120の電力制御部317が、予め設定された省電力状態への移行条件が成立したと判断すると、ステップS702~S708に示すような省電力状態への移行処理が実行される。なお、省電力状態への移行条件には、例えば、メインシステム120が最後に処理を実行してから所定の時間を経過したとき、又はメインシステム120が最後に操作を受け付けてから所定の時間を経過したとき等が含まれる。
【0087】
ステップS702、S703において、メインシステム120の電力制御部317は、第1の通信部316を介して、サブシステム110に省電力状態への移行通知を送信する。
【0088】
ステップS704、S705において、サブシステム110の状態制御部306は、第2の通信部305を介して、省電力状態への移行通知を受信すると、メインシステム120の状態を示す状態情報(状態フラグ等)を、「省電力状態」に更新する。
【0089】
S706において、メインシステム120の電力制御部317は、ステップS702~S705の処理と並行して、メインシステム120の休止処理、又は終了処理を実行する。
【0090】
ステップS707、S708において、電力制御部317は、メインシステム120の電力制御回路123を制御して、メインシステム120内への電力の供給を停止する。これにより、ステップS709において、メインシステム120は、省電力状態となる。なお、省電力状態においても、電力制御回路123には電力の供給が継続される。
【0091】
この省電力状態から、例えばステップS711において、サブシステム110の状態制御部306が、判断部303等から通常状態への復帰要求を受け付けると、ステップS712~S718に示すような、省電力状態からの復帰処理が実行される。
【0092】
ステップS712において、状態制御部306は、信号出力回路116を制御して、メインシステム120の電力制御回路123に、復帰要求信号を出力する。
【0093】
ステップS713において、電力制御回路123は、復帰要求信号を受け付けると、メインシステム120内への電力の供給を再開する。これにより、ステップS714において、メインシステム120が起動する。
【0094】
ステップS715、S716において、メインシステム120の電力制御部317は、メインシステム120が通常状態へ移行したことを示す通常状態への移行通知を、第1の通信部316を介して、サブシステム110に通知する。
【0095】
ステップS717、S718において、サブシステム110の状態制御部306は、第2の通信部305を介して、通常状態への移行通知を受信すると、メインシステム120の現在の状態を示す状態情報(状態フラグ等)を、「通常状態」に更新する。
【0096】
(省電力状態の処理1)
図8は、第1の実施形態に係る省電力状態の処理の例を示すシーケンス図(1)である。この処理は、メインシステム120が省電力状態であるときに、サブシステム110が、USBホスト150から、応答部304が応答可能でないIPPリクエストを受信した場合における省電力制御装置100の処理の例を示している。
【0097】
なお、図8に示す処理の開始時点において、メインシステム120は、例えば、図7のステップS701~S709の処理により、省電力状態にあるものとする。また、図8に示す処理のうち、ステップS511~S515の処理は、図5で説明した通常状態の処理と同様なので、ここでは、通常状態の処理との相違点を中心に説明する。
【0098】
ステップS801において、サブシステム110のUSB通信部301が、USBホスト150からUSBパケット220を受信すると、ステップS802以降の処理が実行される。なお、ここでは、USB通信部301が受信したUSBパケット220には、例えば、サブシステム110の応答部304が応答できないIPPリクエスト(例えば、印刷データの印刷要求等)が含まれているものとする。
【0099】
ステップS802において、USB通信部301は、受信したUSBパケット220に含まれる「HTTP+IPPリクエスト」を、第2のウェブサービス部302に通知する。
【0100】
ステップS803において、第2のウェブサービス部302は、USB通信部301から受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」に対してHTTP処理を実行し、IPPリクエストを取得する。また、ステップS804において、第2のウェブサービス部302は、取得したIPPリクエストを判断部303に通知する。
【0101】
ステップS805において、判断部303は、第2のウェブサービス部302からIPPリクエストを受け付けると、例えば、図6に示すような判断処理を実行する。ここでは、メインシステム120が省電力状態であり、かつ応答部304が応答できないIPPリクエストなので、判断部303は、図6のステップS604、S605の処理を実行する。
【0102】
例えば、図8のステップS806において、判断部303は、状態制御部306に、通常状態への復帰要求を通知する。これにより、ステップS807において、例えば、図7のステップS711~S718に示すような、通常状態への復帰処理が実行される。
【0103】
また、ステップS808において、判断部303は、第2のウェブサービス部302から受け付けたIPPリクエストを、第2の通信部305に通知する。これにより、第2の通信部305は、例えば、ステップS809において、メインシステム120との通信が可能になると、受け付けたIPPリクエストを、メインシステム120へ送信する。
【0104】
これにより、ステップS810において、メインシステム120は、例えば、図5のステップS508~S510に示すような、メインシステム側の処理を実行する。
【0105】
このように、サブシステム110は、省電力状態で受信したUSBパケット220に、応答部304が応答できないIPPリクエストが含まれている場合、メインシステム120を通常状態に移行させて、IPPリクエストを処理させることができる。
【0106】
(省電力状態の処理2)
図9は、第1の実施形態に係る省電力状態の処理の例を示すシーケンス図(2)である。この処理は、メインシステム120が省電力状態であるときに、サブシステム110が、USBホスト150から、応答部304が応答可能なIPPリクエストを受信した場合における省電力制御装置100の処理の例を示している。
【0107】
なお、図9に示す処理の開始時点において、メインシステム120は、例えば、図7のステップS701~S709の処理により、省電力状態にあるものとする。また、図9に示す処理のうち、ステップS512~S515の処理は、図5で説明した通常状態の処理と同様なので、ここでは、通常状態の処理との相違点を中心に説明する。
【0108】
ステップS901において、サブシステム110のUSB通信部301が、USBホスト150からUSBパケット220を受信すると、ステップS902以降の処理が実行される。なお、ここでは、USB通信部301が受信したUSBパケット220には、例えば、サブシステム110の応答部304が応答可能なIPPリクエスト(例えば、機種名の取得要求、状態情報の取得要求、オプション情報の取得要求等)が含まれているものとする。
【0109】
ステップS902において、USB通信部301は、受信したUSBパケット220に含まれる「HTTP+IPPリクエスト」を、第2のウェブサービス部302に通知する。
【0110】
ステップS903において、第2のウェブサービス部302は、USB通信部301から受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」に対してHTTP処理を実行し、IPPリクエストを取得する。また、ステップS904において、第2のウェブサービス部302は、取得したIPPリクエストを判断部303に通知する。
【0111】
ステップS905において、判断部303は、第2のウェブサービス部302からIPPリクエストを受け付けると、例えば、図6に示すような判断処理を実行する。ここでは、メインシステム120が省電力状態であり、かつ応答部304が応答可能なIPPリクエストなので、判断部303は、図6のステップS606の処理を実行する。例えば、図9のステップS906において、判断部303は、受け付けたIPPリクエストを、応答部304に通知する。
【0112】
ステップS907において、応答部304は、判断部303から受け付けたIPPリクエストに対応するIPPレスポンスを作成する。例えば、IPPリクエストが、省電力制御装置100の機種名の取得要求である場合、応答部304は、サブシステム110のサブシステムメモリ112に予め記憶した機種名を読み出し、読み出した機種名を含むIPPレスポンスを作成する。また、例えば、IPPリクエストが、省電力制御装置100の状態を示す状態情報の取得要求である場合、応答部304は、状態制御部306から状態情報を取得して、取得した状態情報を含むIPPレスポンスを作成する。
【0113】
ステップS908において、応答部304は、作成したIPPレスポンスを第2の通信部305に通知する。これに応じて、ステップS512~S515の処理が実行される。
【0114】
このように、サブシステム110は、省電力状態で受信したUSBパケット220に、応答部304が応答可能なIPPリクエストが含まれている場合、メインシステム120の省電力状態を維持したままで、IPPリクエストを処理することができる。
【0115】
なお、図9に示す処理は一例である。例えば、省電力制御装置100は、図10に示すような機能構成を有していても良い。図10の例では、サブシステム110の第2のウェブサービス部302は、応答部304からIPPレスポンスを受け付けることができるように構成されている。
【0116】
この場合、応答部304は、例えば、図9のステップS908において、作成したIPPレスポンスを、第2の通信部305に代えて、第2のウェブサービス部302に通知することができる。
【0117】
以上、本実施形態によれば、サブシステム110がメインシステム120の電力状態を制御する省電力制御装置100において、省電力状態でシリアルバスインタフェースからデータを受信した場合における消費電力の増大を抑制することができる。
【0118】
[第2の実施形態]
<機能構成>
図11は、第2の実施形態に係る省電力制御装置の機能構成の例を示す図である。
【0119】
(メインシステムの機能構成)
第2の実施形態に係るメインシステム120は、例えば、図3で説明した第1の実施形態に係るメインシステム120と同様に、ネットワーク通信部311、TCP/IP処理部312、第1のウェブサービス部、IPPサービス部314、画像形成部315、第1の通信部316、及び電力制御部317を有している。ただし、第1の通信部316の接続先が、IPPサービス部314からウェブサービス部に変更されている。
【0120】
上記の構成により、第1のウェブサービス部は、TCP/IP処理部312から受け付ける「HTTP+IPPリクエスト」に加えて、サブシステム110から送信される「HTTP+IPPリクエスト」に対して、HTTP処理を実行することができる。
【0121】
なお、上記以外のメインシステム120の機能構成は、図3で説明した第1の実施形態に係るメインシステム120の機能構成と同様で良い。
【0122】
(サブシステムの機能構成)
第2の実施形態に係るサブシステム110は、図11に示すように、図3で説明した第1の実施形態に係るサブシステム110が備える機能構成から、第2のウェブサービス部302を省略した構成を有している。
【0123】
USB通信部301は、例えば、サブCPU111によって実行されるUSBドライバ等のプログラムによって実現され、USB I/F113を用いて、USBホスト150と、図2(B)に示すようなUSBパケット220を送受信する。例えば、USB通信部301は、USBホスト150から送信されるUSBパケット220を受信すると、受信したUSBパケット220に含まれる「HTTP+IPPリクエスト」を、判断部303に通知する。また、USB通信部301は、例えば、第2の通信部305から「HTTP+IPPレスポンス」を受け付けると、受け付けた「HTTP+IPPレスポンス」を含むUSBパケット220を作成して、USBホスト150へ送信する。
【0124】
なお、USB通信部301は、シリアルバスインタフェース(USB I/F113)を介して、所定の処理(印刷処理)に関する要求情報(IPPリクエスト)を受信する受信部300の別の一例である。
【0125】
判断部303は、メインシステム120が省電力状態である場合、受信部300が受信する要求情報(USB通信部301から通知される「HTTP+IPPリクエスト」)が、応答部304が応答可能な要求情報であるか否かを判断する。
【0126】
受信部300が受信した要求情報が、応答部304が応答可能な要求情報である場合、判断部303は、当該要求情報(「HTTP+IPPリクエスト」)を応答部304に転送(通知)する。一方、受信部300が受信した要求情報が、応答部304が応答可能な要求情報でない場合、判断部303は、状態制御部306を用いて、メインシステム120を省電力状態から通常状態に復帰させる。また、判断部303は、受信部300から受信した要求情報(「HTTP+IPPリクエスト」)を、第2の通信部305を介してメインシステム120に転送(送信)する。
【0127】
応答部304は、受信部300が受信した要求情報(「HTTP+IPPリクエスト」)のうち、1つ以上の要求情報に対応する応答情報(「HTTP+IPPレスポンス」)を作成して応答する。
【0128】
「HTTP+IPPリクエスト」には、例えば、印刷データの印刷を要求する印刷要求等のように、メインシステム120でないと実行できない処理の要求が含まれる。一方で、「HTTP+IPPレスポンス」には、例えば、機種名の取得要求、状態情報の取得要求、オプション情報の取得要求等、サブシステム110でも応答可能な処理の要求が含まれる。応答部304は、サブシステム110でも応答可能な「HTTP+IPPリクエスト」に対応する「HTTP+IPPレスポンス」を作成し、作成した「HTTP+IPPレスポンス」を、第2の通信部305を介して、USB通信部301に通知する。或いは、応答部304は、作成した「HTTP+IPPレスポンス」を、第2の通信部305を介さずに、USB通信部301に通知しても良い。
【0129】
第2の通信部305は、通信路101を介して、メインシステム120と通信を行う。例えば、第2の通信部305は、メインシステム120から送信される「HTTP+IPPレスポンス」を受信し、USB通信部301に転送する。また、第2の通信部305は、判断部303から通知される「HTTP+IPPリクエスト」を、メインシステム120に送信する。さらに、第2の通信部305は、応答部304から通信される「HTTP+IPPレスポンス」を、USB通信部301に転送する。
【0130】
状態制御部306は、第1の実施形態と同様にして、メインシステム120の状態を管理する。例えば、状態制御部306は、メインシステム120が省電力状態であるときに、受信部300が受信した要求情報(「HTTP+IPPリクエスト」)が、応答部304が応答可能な1つ以上の要求情報である場合、メインシステム120の省電力状態を維持する。
【0131】
一方、状態制御部306は、メインシステム120が省電力状態であるときに、受信部300が受信した要求情報が、応答部304が応答可能な1つ以上の要求情報でない場合、メインシステム120を通常状態に復帰させる。
【0132】
<処理の流れ>
続いて、第2の実施形態に係る省電力制御方法の処理の流れについて説明する。
【0133】
(通常状態の処理)
図12は、第2の実施形態に係る通常状態の処理の例を示すシーケンス図である。この処理は、メインシステム120が通常状態であるときに、サブシステム110が、USBホスト150からUSBパケット220を受信した場合の処理の例を示している。
【0134】
ステップS1201において、サブシステム110のUSB通信部301が、例えば、図4に示すような「HTTP+IPPリクエスト」を含むUSBパケット220を受信すると、ステップS1202以降の処理が実行される。
【0135】
ステップS1202において、USB通信部301は、受信したUSBパケット220に含まれる「HTTP+IPPリクエスト」を、判断部303に通知する。
【0136】
ステップS1203において、判断部303は、USB通信部301から「HTTP+IPPリクエスト」を受け付けると、例えば、図13に示すような判断処理を実行する。
【0137】
図13は、第2の実施形態に係る判断処理の例を示すフローチャートである。
【0138】
ステップS1301において、判断部303が、「HTTP+IPPリクエスト」を受け付けると、ステップS1302以降の処理が実行される。
【0139】
ステップS1302において、判断部303は、メインシステム120が省電力状態であるか否かを判断する。例えば、判断部303は、状態制御部306が、サブシステムメモリ112等に記憶して管理している状態情報を参照することにより、メインシステム120が省電力状態であるか、通常状態であるかを判断する。
【0140】
メインシステム120が省電力状態でない場合、判断部303は、処理をステップS1305へ移行させて、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を、第2の通信部305を介して、メインシステムへ転送(送信)する。一方、メインシステム120が省電力状態である場合、判断部303は、処理をステップS1303に移行させる。
【0141】
ステップS1303に移行すると、判断部303は、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」が、応答部304が応答可能な「HTTP+IPPリクエスト」であるか否かを判断する。例えば、判断部303は、応答部304が応答可能な「HTTP+IPPリクエスト」の一覧を、サブシステムメモリ112等に予め記憶しておき、この一覧を参照して、応答部304が応答可能な「HTTP+IPPリクエスト」であるか否かを判断しても良い。
【0142】
受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」が、応答部304が応答可能なIPPリクエストでない場合、判断部303は、処理をステップS1304に移行させる。一方、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」が、応答部304が応答可能な「HTTP+IPPリクエスト」である場合、判断部303は、処理をステップS1306に移行させる。
【0143】
ステップS1304に移行すると、判断部303は、メインシステム120を省電力状態から通常状態へ復帰させる。例えば、判断部303は、状態制御部306に、通常状態への復帰を要求する復帰要求を通知する。
【0144】
ステップS1305において、判断部303は、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を、第2の通信部305を介してメインシステム120に転送(送信)する。例えば、判断部303は、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を第2の通信部305に通知する。これにより、第2の通信部305は、メインシステム120が起動して、通信可能になったときに、判断部303から受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を、メインシステム120に送信する。
【0145】
一方、ステップS1303からステップS1306に移行すると、判断部303は、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を、応答部304へ転送(通知)する。
【0146】
ここで、図12に戻り、シーケンス図の説明を続ける。図12のステップS1203において、図13で説明した判断処理により、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」をメインシステム120に送信すると判断する。これにより、ステップS1204、S1205において、判断部303は、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を、第2の通信部305を介して、メインシステム120へ送信する。
【0147】
ステップS1206において、メインシステム120の第1の通信部316は、サブシステム110から受信した「HTTP+IPPリクエスト」を、第1のウェブサービス部に通知する。
【0148】
ステップS1207において、第1のウェブサービス部は、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」に対してHTTP処理を行い、IPPリクエストを取得する。また、ステップS1208において、第1のウェブサービス部は、取得したIPPリクエストを、IPPサービス部314に通知する。
【0149】
ステップS1209、S1210において、IPPサービス部314は、受け付けたIPPリクエストに対応するIPPサービスを実行し、実行結果を示すIPPレスポンスを、第1のウェブサービス部に通知する。
【0150】
ステップS1211において、第1のウェブサービス部は、受け付けたIPPリクエストにHTTP処理を行い、「HTTP+IPPレスポンス」を作成する。また、ステップS1212、S1213において、第1のウェブサービス部は、作成した「HTTP+IPPレスポンス」を、第1の通信部316を介して、サブシステム110に送信する。
【0151】
ステップS1214において、第2の通信部305は、メインシステム120から受信した「HTTP+IPPレスポンス」を、USB通信部301に通知する。
【0152】
ステップS1215において、USB通信部301は、第2の通信部305から受け付けた「HTTP+IPPレスポンス」を含むUSBパケット220を、USBホスト150へ送信する。
【0153】
(省電力状態の処理1)
図14は、第2の実施形態に係る省電力状態の処理の例を示すシーケンス図(1)である。この処理は、メインシステム120が省電力状態であるときに、サブシステム110が、USBホスト150から、応答部304が応答可能でないIPPリクエストを受信した場合における省電力制御装置100の処理の例を示している。
【0154】
なお、図14に示す処理の開始時点において、メインシステム120は、例えば、図7のステップS701~S709の処理により、省電力状態にあるものとする。また、図14に示す処理のうち、ステップS1213~S1215に示す処理は、図12で説明した処理と同様なので、ここでは図12で説明した処理との相違点を中心に説明する。
【0155】
ステップS1401において、サブシステム110のUSB通信部301が、USBホスト150からUSBパケット220を受信すると、ステップS1402以降の処理が実行される。なお、ここでは、USB通信部301が受信したUSBパケット220には、例えば、サブシステム110の応答部304が応答できないIPPリクエスト(例えば、印刷データの印刷要求等)が含まれているものとする。
【0156】
ステップS1402において、USB通信部301は、受信したUSBパケット220に含まれる「HTTP+IPPリクエスト」を、判断部303に通知する。
【0157】
ステップS14303において、判断部303は、USB通信部301から「HTTP+IPPリクエスト」を受け付けると、例えば、図13に示すような判断処理を実行する。ここでは、メインシステム120が省電力状態であり、かつ応答部304が応答できないIPPリクエストなので、判断部303は、図3のステップS1304、S1305の処理を実行する。例えば、図14のステップS1404において、判断部303は、状態制御部306に、通常状態への復帰要求を通知する。これにより、ステップS1405において、例えば、図7のステップS711~S718に示すような、通常状態への復帰処理が実行される。
【0158】
また、ステップS1406において、判断部303は、USB通信部301から受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を、第2の通信部305に通知する。これにより、第2の通信部305は、ステップS1407において、例えば、メインシステム120との通信が可能になると、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を、メインシステム120へ送信する。
【0159】
これにより、ステップS1408において、メインシステム120は、例えば、図12のステップS1206~S1212に示すような、メインシステム側の処理を実行する。
【0160】
このように、サブシステム110は、省電力状態で受信したUSBパケット220に、応答部304が応答できないIPPリクエストが含まれている場合、メインシステム120を通常状態に移行させて、IPPリクエストを処理させることができる。
【0161】
(省電力状態の処理2)
図9は、第2の実施形態に係る省電力状態の処理の例を示すシーケンス図(2)である。この処理は、メインシステム120が省電力状態であるときに、サブシステム110が、USBホスト150から、応答部304が応答可能なIPPリクエストを受信した場合における省電力制御装置100の処理の例を示している。
【0162】
なお、図15に示す処理の開始時点において、メインシステム120は、例えば、図7のステップS701~S709の処理により、省電力状態にあるものとする。また、図15に示す処理のうち、ステップS1214~S1215の処理は、図12で説明した通常状態の処理と同様なので、ここでは、通常状態の処理との相違点を中心に説明する。
【0163】
ステップS1501において、サブシステム110のUSB通信部301が、USBホスト150からUSBパケット220を受信すると、ステップS1502以降の処理が実行される。なお、ここでは、USB通信部301が受信したUSBパケット220には、例えば、サブシステム110の応答部304が応答可能なIPPリクエストが含まれているものとする。
【0164】
ステップS1502において、USB通信部301は、受信したUSBパケット220に含まれる「HTTP+IPPリクエスト」を、判断部303に通知する。
【0165】
ステップS1503において、判断部303は、USB通信部301から「HTTP+IPPリクエスト」を受け付けると、例えば、図13に示すような判断処理を実行する。ここでは、メインシステム120が省電力状態であり、かつ応答部304が応答可能な「HTTP+IPPリクエスト」なので、判断部303は、図13のステップS1306の処理を実行する。例えば、図15のステップS1504において、判断部303は、受け付けた「HTTP+IPPリクエスト」を、応答部304に転送(通知)する。
【0166】
ステップS1505において、応答部304は、判断部303から受け付けた、例えば、図4に示すような「HTTP+IPPリクエスト」から、IPPリクエストを取得する。
【0167】
ステップS1506において、応答部304は、取得したIPPリクエストに対応するIPPレスポンスを作成する。例えば、IPPリクエストが、省電力制御装置100のオプション情報の取得要求である場合、応答部304は、サブシステム110のサブシステムメモリ112に予め記憶したオプション情報を読み出し、オプション情報を含むIPPレスポンスを作成する。
【0168】
ステップS1507において、応答部304は、作成したIPPレスポンスを含む、たとえば、図4に示すような「HTTP+IPPレスポンス」を作成する。
【0169】
ステップS1508において、応答部304は、作成した「HTTP+IPPレスポンス」を第2の通信部305に通知する。これに応じて、ステップS1214、S1215の処理が実行される。
【0170】
このように、サブシステム110は、省電力状態で受信したUSBパケット220に、応答部304が応答可能なIPPリクエストが含まれている場合、メインシステム120の省電力状態を維持したまま、IPPリクエストを処理することができる。
【0171】
なお、図15に示す処理は一例である。例えば、図15のステップS1508において、応答部304は、作成した「HTTP+IPPレスポンス」を、第2の通信部305を介さずに、USB通信部301に通知するものであっても良い。
【0172】
このように、サブシステム110は、図3に示した第2のウェブサービス部302を有していなくても良い。
【0173】
[第3の実施形態]
第1、2の実施形態では、サブシステム110の判断部303は、サブCPU111で実行されるプログラムによって実現されていた。ただし、これは一例であり、判断部303の機能のうち、少なくとも一部は、図1のフィルタDMAC114等によって実現されるものであっても良い。
【0174】
フィルタDMAC114は、前述したように、USB I/F113、又はネットワークI/F115等が受信したパケットデータをフィルタリングして不要なパケットデータを破棄するフィルタ機能、及びDMAC機能を有するハードウェアである。第3の実施形態では、このフィルタDMAC114に、USB I/F113が受信したパケットデータをフィルタリングさせる場合の処理の例について説明する。
【0175】
このフィルタDMAC114に、IPPリクエストのフィルタを設定し、例えば、フィルタAを、印刷データの印刷等の印刷処理用のIPPリクエストを通過するフィルタとし、フィルタBを、応答部304が応答可能なIPPリクエストを通過するフィルタとする。なお、印刷処理は、所定の処理の一例であり、印刷処理用のフィルタは、所定の処理用のフィルタの一例である。
【0176】
また、判断部303は、ファイルタDMAC114を用いて、例えば、図16に示すような判断処理を実行する。
【0177】
<処理の流れ>
図16は、第3の実施形態に係る判断処理の例を示すフローチャートである。
【0178】
ステップS1601において、フィルタDMAC114が、要求情報(IPPリクエスト、又は「HTTP+IPPリクエスト」等)を受け付けると、ステップS1602以降の処理が実行される。
【0179】
ステップS1602において、判断部303は、メインシステム120が省電力状態であるか否かに応じて処理を分岐させる。
【0180】
メインシステム120が省電力状態でない場合、判断部303は、処理をステップS1606に移行させて、要求情報をメインシステム120へ転送する。なお、判断部303は、メインシステム120が通常状態である場合、ファイルタDMAC114が受け付けた要求情報を、メインシステム120へDMA転送するように予め設定しておくものであっても良い。
【0181】
一方、メインシステム120が省電力状態である場合、判断部303は、処理をステップS1603に移行させる。
【0182】
ステップS1603に移行すると、判断部303は、フィルタDMAC114に、上述したフィルタA、フィルタBによるフィルタリング処理を実行させる。なお、判断部303は、メインシステム120が省電力状態である場合、フィルタリング処理を実行するように、予め設定しておくものであっても良い。これにより、要求情報が、印刷処理用の要求情報(IPPリクエスト、又は「HTTP+IPPリクエスト」)である場合、フィルタAを通過する。また、要求情報が、応答部304が応答可能な要求情報である場合、ファイルタBを通過する。
【0183】
ステップS1604において、要求情報が、フィルタA(印刷処理用のフィルタ)を通過した場合、判断部303は、処理をステップS1605に移行させる。一方、要求情報が、フィルタAを通過していない場合、判断部303は、処理をステップS1607に移行させる。
【0184】
ステップS1605に移行すると、判断部303は、メインシステム120を省電力状態から通常状態へ復帰させる。例えば、判断部303は、状態制御部306に、通常状態への復帰を要求する復帰要求を通知する。
【0185】
ステップS1606において、判断部303は、受け付けた要求情報を、例えば、フィルタDMAC114のDMA転送機能を利用して、メインシステム120へ転送する。
【0186】
また、ステップS1607において、要求情報がフィルタB(応答部用のフィルタ)を通過した場合、判断部303は、処理をステップS1608へ移行させる。一方、要求情報がフィルタBを通過していない場合、判断部303は、処理をステップS1609へ移行させる。
【0187】
ステップS1608に移行すると、判断部303は、受け付けた要求情報を応答部304に転送(通知)する。
【0188】
一方、ステップS1609に移行すると、判断部303は、要求情報を破棄する。或いは、判断部303は、USBホスト150に対してNAKを返信するもの等であっても良い。
【0189】
なお、ステップS1609の処理は一例である。例えば、判断部303は、図16のステップS1607で、要求情報がフィルタB(応答部用のフィルタ)を通過していない場合、ステップS1605、S1606の処理を実行しても良い。或いは、判断部は、図16のステップS1607で、要求情報がフィルタB(応答部用のフィルタ)を通過していない場合、さらに別のフィルタ(フィルタC、フィルタD、・・・等)を利用して、処理をさらに分岐させても良い。
【0190】
このように、判断処理の一部をハードウェア(フィルタDMAC114等)で実行することにより、サブCPU111の負荷を軽減し、省電力制御装置100の消費電力をさらに低減することができる。
【0191】
以上、本発明の各実施形態によれば、サブシステムがメインシステムの電力状態を制御する省電力制御装置において、省電力状態でシリアルバスインタフェースからデータを受信した場合における消費電力の増大を抑制することができる。
【0192】
なお、上記の各実施形態では、省電力制御装置100の機能を、画像処理装置が備えている場合の例について説明したが、本発明は、省電力状態において、USBホスト150からの要求情報を受け付ける様々な装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0193】
100 省電力制御装置(画像処理装置)
110 サブシステム
113 USB I/F(シリアルバスインタフェース)
120 メインシステム
300 受信部
303 判断部
304 応答部
305 第2の通信部
306 状態制御部
316 第1の通信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0194】
【文献】特開2016-170649号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16