(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】接着剤用組成物並びに蓄電装置用外装材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 123/30 20060101AFI20240319BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20240319BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240319BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240319BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240319BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240319BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20240319BHJP
H01M 50/10 20210101ALI20240319BHJP
【FI】
C09J123/30
C09J4/02
C09J11/06
B32B15/08 F
B32B27/00 D
B32B27/32 Z
B32B15/20
H01M50/10
(21)【出願番号】P 2020110535
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100175259
【氏名又は名称】尾林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168701
【氏名又は名称】豆塚 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100109715
【氏名又は名称】塩谷 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大賀 一彦
(72)【発明者】
【氏名】川本 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】中川 加彌子
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/187216(WO,A1)
【文献】特開2018-055976(JP,A)
【文献】国際公開第2020/095461(WO,A1)
【文献】特開2015-144121(JP,A)
【文献】国際公開第2020/203213(WO,A1)
【文献】特開2016-149393(JP,A)
【文献】特開2019-218534(JP,A)
【文献】特開2019-111790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0198099(US,A1)
【文献】特開2002-273838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
H01M 50/00- 50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分1、成分2、成分3、成分4、及び成分5を含有する
とともに、
(成分1)酸変性ポリオレフィン
(成分2)1分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物
(成分3)活性エネルギー線重合開始剤
(成分4)溶剤
(成分5)1分子中にカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物
前記成分2が、1分子中のイソシアナト基の数、アクリロイル基の数、及びメタクリロイル基の数の総数が2以上である化合物であり、
前記成分5が、1分子中にカルボジイミド基を2個以上有するカルボジイミド化合物、及び、1分子中にカルボジイミド基とイソシアナト基を有するカルボジイミド化合物の少なくとも一方である接着剤用組成物。
【請求項2】
前記成分1が無水マレイン酸変性ポリオレフィンである請求項1に記載の接着剤用組成物。
【請求項3】
前記成分1がプロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体の酸変性物である請求項1又は請求項2に記載の接着剤用組成物。
【請求項4】
前記成分1の融点が70℃以上110℃以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項5】
前記成分2が、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性物のイソシアナト基の一部又は全部に、アルコール性水酸基を有し且つアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物の前記アルコール性水酸基を反応させた反応生成物を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項6】
前記成分2が、1分子中にイソシアナト基を有し且つアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物を含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項7】
前記成分2が、1分子中のイソシアナト基の数、アクリロイル基の数、及びメタクリロイル基の数の総数が3以上である化合物を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項8】
前記成分5が、下記式(1)の構造及び下記式(2)の構造の少なくとも一方を有するカルボジイミド化合物を含有する
請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【化1】
【化2】
【請求項9】
1分子中に複数個のイソシアナト基を有し且つ前記成分2及び前記成分5とは別種の化合物を、成分6としてさらに含有する
請求項1~8のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項10】
イソシアナト基の反応を促進する反応触媒を成分7としてさらに含有する
請求項1~9のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項11】
前記接着剤用組成物中に含有されるアクリロイル基の数とメタクリロイル基の数を合わせた総数に対する、イソシアナト基の総数の比が、3.0以上15.0以下の範囲である
請求項1~10のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項12】
前記接着剤用組成物の総量から前記成分3及び前記成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、前記成分1の量の割合が60質量%以上96質量%以下であり、
前記接着剤用組成物の総量から前記成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、前記成分3の量の割合が0.05質量%以上10質量%以下である
請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項13】
前記接着剤用組成物の総量から前記成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、前記成分1の量の割合が56質量%以上92質量%以下であり、前記成分3の量の割合が0.05質量%以上10質量%以下であり、且つ、前記接着剤用組成物の総量から前記成分3及び前記成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、前記接着剤用組成物の総量から前記成分1、前記成分3、及び前記成分4の総量を差し引いた量の割合が4質量%以上40質量%以下である
請求項1~12のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項14】
前記接着剤用組成物の総量を100質量%とした場合に、前記成分4の量の割合が75質量%以上95質量%以下である
請求項1~13のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項15】
基材層、第一接着剤層、金属箔層、第二接着剤層、及びシーラント層がこの順で積層された構造を有する蓄電装置用外装材において、前記第二接着剤層を形成するために使用される
請求項1~14のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【請求項16】
基材層、第一接着剤層、金属箔層、第二接着剤層、及びシーラント層がこの順で積層された構造を有する蓄電装置用外装材であって、前記第二接着剤層が、
請求項1~14のいずれか一項に記載の接着剤用組成物の反応生成物を含有する蓄電装置用外装材。
【請求項17】
前記金属箔層の少なくとも前記シーラント層側の面に腐食防止処理層が設けられており、前記シーラント層がポリオレフィン樹脂を含有する
請求項16に記載の蓄電装置用外装材。
【請求項18】
基材層、第一接着剤層、金属箔層、第二接着剤層、及びシーラント層がこの順で積層された構造を有する蓄電装置用外装材の製造方法であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の接着剤用組成物を、前記金属箔層の前記シーラント層側の面と前記シーラント層の前記金属箔層側の面との一方又は両方に塗布し、塗布した前記接着剤用組成物から前記成分4の一部又は全部を除去し、その後、前記成分4の一部又は全部が除去された前記接着剤用組成物に活性エネルギー線を照射して、前記成分1、前記成分2、及び前記成分5を反応させることにより、前記第二接着剤層をなす高分子層を形成する第二接着剤層形成工程を備える蓄電装置用外装材の製造方法。
【請求項19】
基材層、第一接着剤層、金属箔層、第二接着剤層、及びシーラント層がこの順で積層された構造を有し、前記金属箔層の少なくとも前記シーラント層側の面に腐食防止処理層が設けられており、前記シーラント層がポリオレフィン樹脂を含有する蓄電装置用外装材の製造方法であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の接着剤用組成物を、前記金属箔層の前記シーラント層側の面と前記シーラント層の前記金属箔層側の面との一方又は両方に塗布し、塗布した前記接着剤用組成物から前記成分4の一部又は全部を除去し、その後、前記成分4の一部又は全部が除去された前記接着剤用組成物に活性エネルギー線を照射して、前記成分1、前記成分2、及び前記成分5を反応させることにより、前記第二接着剤層をなす高分子層を形成する第二接着剤層形成工程と、
前記第二接着剤層形成工程の後に、前記高分子層を30℃以上70℃以下で1時間以上熱処理するエージング工程と、
を備える蓄電装置用外装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤用組成物並びに蓄電装置用外装材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが知られている。携帯機器の小型化や設置スペースの制限等のために蓄電装置のさらなる小型化が求められており、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池に用いられる外装材としては、従来は金属製の缶が用いられていたが、軽量で、放熱性が高く、低コストで作製できることから、近年は金属箔層を有する多層フィルムが用いられるようになっている。
多層フィルムを外装材として用いたリチウムイオン電池においては、内部への水分の浸入を防止するため、金属箔層としてアルミニウム箔層やSUS箔層を有する外装材により電池内容物を覆う構成が採用されている。このような構成を採用したリチウムイオン電池は、金属ラミネートタイプのリチウムイオン電池と呼ばれており、金属箔層としてアルミニウム箔層を使用した場合には、アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池と呼ばれている。
【0003】
リチウムイオン電池の電池内容物としては、正極、負極、セパレータ、及び電解液がある。あるいは、電解液の代わりに、該電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層が用いられる場合もある。この電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の浸透力を有する非プロトン性の溶媒に、電解質としてリチウム塩を溶解したものが挙げられる。
アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池としては、例えば、外装材の一部に冷間成形によって凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収容し、外装材の残りの部分を折り返して縁部分をヒートシールで封止したエンボスタイプのリチウムイオン電池が知られている。エンボスタイプのリチウムイオン電池を構成する外装材には、ヒートシールによって安定した密封性を示すことと共に、アルミニウム箔層とシーラント層との間のラミネート強度が電池内容物の電解液によって低下しにくい性質(以下、このような性質を「耐電解液性」と記すこともある。)が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、リチウムイオン電池用の外装材として用いられる積層体が開示されている。この積層体は、アルミニウム箔層とシーラント層との間に、分子内に水酸基及びカルボキシ基を有する樹脂からなる樹脂膜層(接着剤層)を備えている。
また、特許文献2には、アルミニウム箔層とシーラント層との間に接着剤層を備える、リチウムイオン電池用の外装材が開示されている。この接着剤層は、ポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂が、(メタ)アクリロキシ基又はアリル基を有する化合物に由来する構造を介して架橋された架橋構造を有する層である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-66645号公報
【文献】特開2017-201580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータ等の電子機器の薄型化及び大型化に伴い、電子機器に搭載される電池には、薄型化及び大容量化が求められている。そのような状況下で、電池容量の増加及びコスト削減の観点から、電池用外装材には薄型化が要求され、絶縁体であるシーラント層の薄膜化も求められている。しかしながら、従来の外装材では、シーラント層を薄膜化すると、冷間成形時の応力等によって微細なクラックがシーラント層中に発生しやすく、電解液がそのクラックに浸透してアルミニウム箔層とシーラント層との間に入ることとなる。その結果、浸透した電解液によって、アルミニウム箔層とシーラント層との間の接着強度が経時的に低下するおそれがあった。
【0007】
特許文献1、2に開示の外装材は、アルミニウム箔層とシーラント層とが前述のような構成の接着剤層によって接着されているため、上記のように電解液が浸透しても、アルミニウム箔層とシーラント層との間の接着強度の経時的な低下は比較的生じにくかった。しかしながら、電池の電解液によるアルミニウム箔層とシーラント層との間の接着強度の経時的な低下が、より長期間にわたって生じにくい外装材が求められていた。すなわち、より優れた耐電解液性を有する外装材が求められていた。
【0008】
本発明は、蓄電装置の電解液によるアルミニウム箔層とシーラント層との間の接着強度の経時的な低下が長期間にわたって生じにくい蓄電装置用外装材及びその製造方法を提供することを課題とする。また、蓄電装置の電解液による接着力の低下が生じにくい接着剤用組成物を提供することを併せて課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の[1]~[20]の通りである。
[1] 下記の成分1、成分2、成分3、成分4、及び成分5を含有する接着剤用組成物。
(成分1)酸変性ポリオレフィン
(成分2)1分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物
(成分3)活性エネルギー線重合開始剤
(成分4)溶剤
(成分5)1分子中にカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物
【0010】
[2] 前記成分1が無水マレイン酸変性ポリオレフィンである[1]に記載の接着剤用組成物。
[3] 前記成分1がプロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体の酸変性物である[1]又は[2]に記載の接着剤用組成物。
[4] 前記成分1の融点が70℃以上110℃以下である[1]~[3]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【0011】
[5] 前記成分2が、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性物のイソシアナト基の一部又は全部に、アルコール性水酸基を有し且つアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物の前記アルコール性水酸基を反応させた反応生成物を含有する[1]~[4]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
[6] 前記成分2が、1分子中にイソシアナト基を有し且つアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物を含有する[1]~[5]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【0012】
[7] 前記成分2が、1分子中のイソシアナト基の数、アクリロイル基の数、及びメタクリロイル基の数の総数が3以上である化合物を含有する[1]~[6]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
[8] 前記成分5が、1分子中にカルボジイミド基を2個以上有するカルボジイミド化合物、及び、1分子中にカルボジイミド基とイソシアナト基を有するカルボジイミド化合物の少なくとも一方を含有する[1]~[7]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【0013】
[9] 前記成分5が、下記式(1)の構造及び下記式(2)の構造の少なくとも一方を有するカルボジイミド化合物を含有する[1]~[8]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【0014】
【0015】
【0016】
[10] 1分子中に複数個のイソシアナト基を有し且つ前記成分2及び前記成分5とは別種の化合物を、成分6としてさらに含有する[1]~[9]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
[11] イソシアナト基の反応を促進する反応触媒を成分7としてさらに含有する[5]~[10]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
[12] 前記接着剤用組成物中に含有されるアクリロイル基の数とメタクリロイル基の数を合わせた総数に対する、イソシアナト基の総数の比が、3.0以上15.0以下の範囲である[5]~[11]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【0017】
[13] 前記接着剤用組成物の総量から前記成分3及び前記成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、前記成分1の量の割合が60質量%以上96質量%以下であり、
前記接着剤用組成物の総量から前記成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、前記成分3の量の割合が0.05質量%以上10質量%以下である[1]~[12]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【0018】
[14] 前記接着剤用組成物の総量から前記成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、前記成分1の量の割合が56質量%以上92質量%以下であり、前記成分3の量の割合が0.05質量%以上10質量%以下であり、且つ、前記接着剤用組成物の総量から前記成分3及び前記成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、前記接着剤用組成物の総量から前記成分1、前記成分3、及び前記成分4の総量を差し引いた量の割合が4質量%以上40質量%以下である[1]~[13]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【0019】
[15] 前記接着剤用組成物の総量を100質量%とした場合に、前記成分4の量の割合が75質量%以上95質量%以下である[1]~[14]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
[16] 基材層、第一接着剤層、金属箔層、第二接着剤層、及びシーラント層がこの順で積層された構造を有する蓄電装置用外装材において、前記第二接着剤層を形成するために使用される[1]~[15]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物。
【0020】
[17] 基材層、第一接着剤層、金属箔層、第二接着剤層、及びシーラント層がこの順で積層された構造を有する蓄電装置用外装材であって、前記第二接着剤層が、[1]~[15]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物の反応生成物を含有する蓄電装置用外装材。
[18] 前記金属箔層の少なくとも前記シーラント層側の面に腐食防止処理層が設けられており、前記シーラント層がポリオレフィン樹脂を含有する[17]に記載の蓄電装置用外装材。
【0021】
[19] 基材層、第一接着剤層、金属箔層、第二接着剤層、及びシーラント層がこの順で積層された構造を有する蓄電装置用外装材の製造方法であって、
[1]~[15]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物を、前記金属箔層の前記シーラント層側の面と前記シーラント層の前記金属箔層側の面との一方又は両方に塗布し、塗布した前記接着剤用組成物から前記成分4の一部又は全部を除去し、その後、前記成分4の一部又は全部が除去された前記接着剤用組成物に活性エネルギー線を照射して、前記成分1、前記成分2、及び前記成分5を反応させることにより、前記第二接着剤層をなす高分子層を形成する第二接着剤層形成工程を備える蓄電装置用外装材の製造方法。
【0022】
[20] 基材層、第一接着剤層、金属箔層、第二接着剤層、及びシーラント層がこの順で積層された構造を有し、前記金属箔層の少なくとも前記シーラント層側の面に腐食防止処理層が設けられており、前記シーラント層がポリオレフィン樹脂を含有する蓄電装置用外装材の製造方法であって、
[1]~[15]のいずれか一項に記載の接着剤用組成物を、前記金属箔層の前記シーラント層側の面と前記シーラント層の前記金属箔層側の面との一方又は両方に塗布し、塗布した前記接着剤用組成物から前記成分4の一部又は全部を除去し、その後、前記成分4の一部又は全部が除去された前記接着剤用組成物に活性エネルギー線を照射して、前記成分1、前記成分2、及び前記成分5を反応させることにより、前記第二接着剤層をなす高分子層を形成する第二接着剤層形成工程と、
前記第二接着剤層形成工程の後に、前記高分子層を30℃以上70℃以下で1時間以上熱処理するエージング工程と、
を備える蓄電装置用外装材の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る接着剤用組成物は、蓄電装置の電解液による接着力の低下が生じにくい。本発明に係る蓄電装置用外装材は、蓄電装置の電解液によるアルミニウム箔層とシーラント層との間の接着強度の経時的な低下が、長期間にわたって生じにくい。本発明に係る蓄電装置用外装材の製造方法は、蓄電装置の電解液によるアルミニウム箔層とシーラント層との間の接着強度の経時的な低下が長期間にわたって生じにくい蓄電装置用外装材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蓄電装置用外装材の構成を説明する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0026】
(蓄電装置用外装材)
本発明の一実施形態に係る蓄電装置用外装材及びその製造方法について、
図1を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す蓄電装置用外装材1は、二次電池(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池)、電気化学キャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)等の蓄電装置において、正極、負極、セパレータ、電解液等の電池内容物を覆う外装材として好適に用いられるものであり、特に非水電解質系リチウムイオン電池用の外装材として好適に用いられるものである。
【0027】
図1に示す蓄電装置用外装材1は、基材層2、第一接着剤層5、金属箔層4、第二接着剤層6、及びシーラント層3がこの順で積層された構造を有する。詳述すると、金属箔層4は例えばアルミニウム箔からなり、金属箔層4の一方の面(
図1においては下面)には、第二接着剤層6を介して、例えば熱可塑性樹脂製未延伸フィルム層からなるシーラント層3が一体的に積層されている。また、金属箔層4の他方の面(
図1においては上面)には、第一接着剤層5を介して、例えば耐熱性樹脂製延伸フィルム層からなる基材層2が一体的に積層されている。
【0028】
基材層2は、外装材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材であり、すなわち、成形時の金属箔層4のネッキングによる破断を防止する役割を担うものである。耐熱性樹脂製延伸フィルム層の種類は特に限定されるものではないが、ポリアミド又はポリエステルからなる延伸フィルムが好ましい。基材層2の厚さは、12μm以上50μm以下とすることが好ましい。
【0029】
シーラント層3は、リチウムイオン電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を有すると共に、外装材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。熱可塑性樹脂製未延伸フィルム層の種類は特に限定されるものではないが、ポリオレフィン樹脂を主成分とする層を有することが好ましい。具体的には、ポリエチレン系(共)重合体、ポリプロピレン系(共)重合体、これらの重合体の酸変性物、及びこれらの重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂により構成される層を有することが好ましい。
【0030】
さらに好ましくは、熱可塑性樹脂製未延伸フィルム層は、ポリエチレン系(共)重合体、ポリプロピレン系(共)重合体、これらの重合体の酸変性物、及びこれらの重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムにより構成される層であり、熱可塑性樹脂として特に好ましいものはポリプロピレン系(共)重合体である。
【0031】
なお、本明細書に記載の「(共)重合体」とは、単独重合体と共重合体の一方又は両方を意味する。例えば、ポリエチレン系(共)重合体であれば、ポリエチレン単独重合体とポリエチレン系共重合体の一方又は両方を意味する。また、ポリプロピレン系(共)重合体であれば、ポリプロピレン単独重合体とポリプロピレン系共重合体の一方又は両方を意味する。
【0032】
シーラント層3の厚さは、20μm以上150μm以下とすることが好ましく、30μm以上100μm以下とすることがより好ましい。シーラント層3の厚さが20μm以上であれば、ピンホールの発生を十分に防止できる。また、シーラント層3の厚さが150μm以下であれば、樹脂の使用量を低減できるのでコスト低減を図ることができる。
なお、基材層2、シーラント層3は、いずれも単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0033】
金属箔層4は、酸素や水分が内部へ侵入することを阻止するガスバリア性を外装材に付与する役割を担うものである。アルミニウム箔としては、純アルミニウム又はアルミニウム合金(例えばアルミニウム-鉄系合金)からなる厚さ5μm以上50μm以下の箔を好適に用いることができる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を包含する。
【0034】
第一接着剤層5の種類は、基材層2と金属箔層4との間の接着強度を十分に確保できる接着剤層であれば、特に限定されるものではない。例えば、ウレタン系接着剤層、アクリル系接着剤層等を採用可能である。
第二接着剤層6は、下記の成分1、成分2、成分3、成分4、及び成分5を含有する本実施形態に係る接着剤用組成物から成分4(溶剤)の一部又は全部を除去したものの反応生成物によって構成される。
【0035】
(成分1)酸変性ポリオレフィン
(成分2)1分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物
(成分3)活性エネルギー線重合開始剤
(成分4)溶剤
(成分5)1分子中にカルボジイミド基(-N=C=N-)を有するカルボジイミド化合物
【0036】
この第二接着剤層6は、通常は、本実施形態に係る接着剤用組成物を、金属箔層4のシーラント層3側の面とシーラント層3の金属箔層4側の面との一方又は両方に塗布して乾燥及び反応させることによって形成される。第二接着剤層6の単位面積当たりの形成量(固形分の付与量)は、1.5g/m2以上5g/m2以下とすることが好ましい。
【0037】
本実施形態に係る蓄電装置用外装材1は、少なくとも、基材層2、第一接着剤層5、金属箔層4、第二接着剤層6、及びシーラント層3がこの順で積層された構造を有しているが、金属箔層4の少なくともシーラント層3側の面に腐食防止処理層(図示せず)が設けられていることが好ましい。金属箔としてアルミニウム箔を用いた場合は、電解液と水分との反応で生成するフッ化水素酸により、アルミニウム箔の表面に溶解や腐食が生じるおそれがあるので、金属箔層4の表面に腐食防止処理層を設けることにより、溶解や腐食を抑制することができる。
【0038】
腐食防止処理層の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔の表面に耐酸性改質皮膜を形成する方法が挙げられる。アルミニウム箔の表面に形成する耐酸性改質皮膜としては、リン酸塩系の皮膜やクロム酸系の皮膜が挙げられる。リン酸塩系の皮膜としては、例えば、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸カルシム、リン酸クロムの皮膜が挙げられ、クロム酸系の皮膜としては、例えばクロム酸クロムの皮膜が挙げられる。
【0039】
(接着剤用組成物)
次に、本実施形態に係る接着剤用組成物について説明する。本実施形態に係る接着剤用組成物の構成は、以下の通りである。
すなわち、本実施形態に係る接着剤用組成物は、基材層2、第一接着剤層5、金属箔層4、第二接着剤層6、及びシーラント層3がこの順で積層された構造を有する蓄電装置用外装材1において、第二接着剤層6を形成するために使用される接着剤用組成物である。そして、本実施形態に係る接着剤用組成物は、少なくとも下記の成分1、成分2、成分3、成分4、及び成分5を含有する。
【0040】
(成分1)酸変性ポリオレフィン
(成分2)1分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物
(成分3)活性エネルギー線重合開始剤
(成分4)溶剤
(成分5)1分子中にカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物
【0041】
(成分1)
まず、成分1の酸変性ポリオレフィンについて説明する。酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリオレフィンにエチレン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂や、オレフィンモノマーとエチレン性不飽和カルボン酸との共重合樹脂等を用いることができる。
【0042】
酸変性ポリオレフィンのポリオレフィン成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンモノマーの単独重合体又はこれらオレフィンモノマーの共重合体等が挙げられる。酸変性ポリオレフィンの酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸無水物、イタコン酸、イタコン酸無水物等を用いることができる。上記のエチレン性不飽和カルボン酸は、1種のみを単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0043】
上記の中でも、酸変性ポリオレフィンのポリオレフィン成分は、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体であることが好ましく、プロピレンとブテンを含むオレフィンとの共重合体であることがより好ましい。プロピレンとブテンの共重合体の場合には、その共重合比率は、プロピレン:ブテンが90:10~70:30(モル比)であることが好ましく、87:13~72:28であることがさらに好ましく、82:18~75:25であることが特に好ましい。
【0044】
また、酸変性ポリオレフィンとしては、エチレン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物をポリオレフィンにグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましく、無水マレイン酸又はその酸無水物をポリオレフィンにグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂を用いることがさらに好ましい。
【0045】
酸変性ポリオレフィンとして、ポリオレフィンに無水マレイン酸をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂(無水マレイン酸変性ポリオレフィン)を用いる場合には、その酸変性ポリオレフィン総量に対する無水マレイン酸の割合は、0.6質量%以上3.0質量%以下の範囲であることが好ましく、0.7質量%以上2.5質量%以下の範囲であることがより好ましく、0.8質量%以上2.0質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0046】
また、酸変性ポリオレフィンの融点は、70℃以上110℃以下であることが好ましく、70℃以上100℃以下であることがより好ましく、75℃以上95℃以下であることがさらに好ましく、75℃以上90℃以下であることが特に好ましい。ここでの融点は、示差走査熱量測定において、実施例の項で後述する条件で、昇温速度10℃/minで測定されたものである。
【0047】
酸変性ポリオレフィンの融解熱量が5J/g以上60J/g以下の範囲であることが好ましく、10J/g以上50J/g以下の範囲であることがより好ましく、15J/g以上40J/g以下の範囲であることがさらに好ましい。
酸変性ポリオレフィンの融解熱量が5J/g以上60J/g以下の範囲であると、結晶由来の凝集力を維持できるので、第二接着剤層6の接着性や耐熱性を確保でき、且つ、後述する溶剤への酸変性ポリオレフィンの溶解安定性や流動性を維持できる。その結果、接着剤用組成物を取り扱う際の操作性が良好となる。
【0048】
また、酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)は、60000以上150000以下の範囲であることが好ましく、70000以上140000以下の範囲であることがより好ましく、80000以上130000以下の範囲であることがさらに好ましい。酸変性ポリオレフィンの数平均分子量(Mn)は、30000以上90000以下の範囲であることが好ましく、35000以上80000以下の範囲であることがより好ましく、40000以上70000以下の範囲であることがさらに好ましい。ここでの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量である。
【0049】
(成分2)
次に、成分2の1分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物について説明する。なお、本明細書においては、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を、「(メタ)アクリロイル基」と記すこともある。また、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を、「(メタ)アクリレート」と記すこともある。さらに、アクリルアミド及びメタクリルアミドの少なくとも一方を、「(メタ)アクリルアミド」と記すこともある。
【0050】
成分2は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、具体例としては、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0051】
また、さらなる具体例として、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
さらに、さらなる具体例として、1モルのネオペンチルグリコールに4モル以上のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、1モルのビスフェノールAに2モルのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0052】
さらに、さらなる具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0053】
さらに、さらなる具体例として、イソシアヌレート環が形成されたジイソシアネートの3量体(「イソシアヌレート変性物」と称する)にアルコール性水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートを反応させて得られるトリ(メタ)アクリレート化合物(下記式(3)、(4)、(5)を参照)や、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)が有する全てのイソシアナト基とアルコール性水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートのアルコール性水酸基とを反応させて得られるポリ(メタ)アクリレート化合物(下記式(6)を参照)を挙げることができる。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
なお、上記式(3)中の3個のR1はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、3個のpはそれぞれ独立に2以上4以下の整数を表す。
また、上記式(4)中の3個のR2はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、3個のqはそれぞれ独立に2以上4以下の整数を表す。
さらに、上記式(5)中の3個のR3はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、3個のrはそれぞれ独立に2以上4以下の整数を表す。
さらに、上記式(6)中の(2+t)個のR4はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、(2+t)個のsはそれぞれ独立に2以上4以下の整数を表し、tは0以上100以下の整数を表す。
【0059】
また、成分2として、1分子中に(メタ)アクリロイル基と、アリル基等の他のラジカル重合性基とを有する化合物を用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、ビス((メタ)アリロキシエチル)-モノ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、モノ(アリロキシエチル)-ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。1分子中に複数個のラジカル重合性基を有するこれらの化合物は、1種を単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0060】
また、成分2として、1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物を用いることができる。なお、本実施形態に係る接着剤用組成物の成分2として、1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物を使用した場合には、接着剤用組成物中にイソシアナト基が必然的に含まれることになる。したがって、後述する成分5で例示される、1分子中にイソシアナト基とカルボジイミド基とを有する化合物以外のイソシアナト基を有する化合物を使用しなくても、接着剤用組成物中にイソシアナト基を含むことができる利点を有する。
【0061】
1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物としては、例えば、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性物のイソシアナト基の一部に、アルコール性水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物のアルコール性水酸基を反応させた反応生成物が挙げられる。
【0062】
ここで、ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。また、アルコール性水酸基を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、アルコール性水酸基を有する(メタ)アクリレートやアルコール性水酸基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0063】
また、1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物の別の例としては、ジイソシアネート化合物のビュレット変性物のイソシアナト基の一部に、アルコール性水酸基を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有する化合物のアルコール性水酸基を反応させた反応生成物が挙げられる。ここで、ジイソシアネート化合物の例は、上記の反応生成物の場合と同様である。また、アルコール性水酸基を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例についても、上記の反応生成物の場合と同様である。
【0064】
さらに、1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物のさらに別の例としては、ジイソシアネート化合物をトリメチロールプロパン等の多価アルコールでアダクト変性した変性物のイソシアナト基の一部に、アルコール性水酸基を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させた反応生成物が挙げられる。ここで、ジイソシアネート化合物の例は、上記の反応生成物の場合と同様である。また、アルコール性水酸基を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例についても、上記の反応生成物の場合と同様である。
【0065】
さらに、1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物のさらに別の例としては、下記式(7)で表されるアクリロイル基とイソシアナト基とを有するオリゴマーや、下記式(8)で表されるアクリロイル基とイソシアナト基とを有する化合物等を挙げることができる。なお、下記式(7)中のuは1以上の整数であり、uの上限値は通常は16である。
【0066】
【0067】
【0068】
上記式(7)で表されるアクリロイル基とイソシアナト基とを有するオリゴマーの市販品の例としては、BASF社製のLaromer(登録商標)PR9000等を挙げることができる。また、上記式(8)で表されるアクリロイル基とイソシアナト基とを有する化合物の市販品の例としては、昭和電工株式会社製のカレンズ(登録商標)BEI等を挙げることができる。
これら成分2の1分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の基を有する化合物は、1種のみを単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0069】
本実施形態に係る接着剤用組成物に使用される成分2は、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性物のイソシアナト基の一部又は全部に、アルコール性水酸基を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有する化合物のアルコール性水酸基を反応させた前述の反応生成物を含有することが好ましい。
【0070】
また、本実施形態に係る接着剤用組成物に使用される成分2は、1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物を含有することが好ましく、さらに、本実施形態に係る接着剤用組成物に使用される成分2は、1分子中のイソシアナト基の数と(メタ)アクリロイル基の数の総数が3以上である前述の化合物を含有することが好ましい。
【0071】
例えば、構造的には、本実施形態に係る接着剤用組成物に使用される成分2としては、上記のジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性物のイソシアナト基の一部に、上記のアルコール性水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物のアルコール性水酸基を反応させた反応生成物、及び、上記式(7)で表されるアクリロイル基とイソシアナト基とを有するオリゴマーが好ましい。
【0072】
さらに、上記で用いるジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンがより好ましい。
【0073】
1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物のイソシアナト基は、酸変性ポリオレフィンと反応して、接着剤用組成物を硬化させる硬化剤として作用するものである。また、1分子中にイソシアナト基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物の(メタ)アクリロイル基は、ラジカル重合反応により、接着剤用組成物を重合又は硬化させる作用を有するものである。
【0074】
本実施形態に係る接着剤用組成物中に含有されるアクリロイル基の数とメタクリロイル基の数を合わせた総数に対する、イソシアナト基の総数の比は、3.0以上15.0以下の範囲であることが好ましく、3.5以上14.5以下の範囲であることがより好ましい。上記比が上記のような範囲であれば、アクリロイル基とメタクリロイル基の重合により、接着剤用組成物の凝集力の発現が可能になり、且つ、イソシアナト基と反応性を有する官能基(カルボキシ基、水酸基、アミノ基等)とイソシアナト基との反応を大きく阻害することがない。
【0075】
本実施形態に係る接着剤用組成物に含有される全化合物が有するカルボキシ基(-COOH基)の総数とイソシアナト基(-NCO基)の総数との比([NCO]/[COOH])は、1.0以上20.0以下であることが好ましい。上記比([NCO]/[COOH])が上記のような範囲であれば、接着剤用組成物の初期の接着性能が優れているとともに、蓄電装置の電解液による金属箔層4とシーラント層3との間の接着強度の経時的な低下を長期間にわたって十分に抑制することができ、耐電解液性を向上させることができる。
【0076】
上記比([NCO]/[COOH])は、2.0以上15.0以下であることがより好ましく、3.0以上12.0以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明においては、-C(=O)-O-C(=O)-で表されるカルボキシ基2分子の脱水縮合生成物であるカルボン酸無水物は、カルボン酸無水物1個で2個のカルボキシ基を有するものとする。
【0077】
(成分3)
次に、成分3の活性エネルギー線重合開始剤について説明する。活性エネルギー線重合開始剤の種類は、活性エネルギー線に感応するラジカル重合開始剤であれば、特に限定されない。活性エネルギー線としては、近赤外線、可視光線、紫外線、真空紫外線、X線、γ線、電子線等の電磁波や、粒子線があるが、一般的には、可視光線又は紫外線の照射に感応する光重合開始剤が、活性エネルギー線重合開始剤として好適に使用される。
【0078】
光重合開始剤の具体的としては、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロピルフェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-ドデシルフェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパノン、ベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-メトキシベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4-ブロモベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン、2-エトキシカルボニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のテトラメチルエステル、4,4’-ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン)、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-メチルアントラキノン、フェナントラキノン、フルオレノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタノン-1、2-ベンジル-2-メチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン及びそのオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N-メチルアクリドン、N-ブチルアクリドン、N-ブチル-クロロアクリドンが挙げられる。
【0079】
また、光重合開始剤の別の具体的としては、アシルホスフィンオキサイド化合物、アシルホスホネート化合物、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6-テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0080】
アシルホスホネート化合物としては、ベンゾイルジ-(2,6-ジメチルフェニル)ホスホネート等が挙げられる。
ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,5,6-トリメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0081】
なお、水素引抜タイプの光重合開始剤(例えば、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤)に加えて、一般的には光重合促進剤と呼ばれている優れた促進機能を有する化合物(例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル)も、本発明においては光重合開始剤に包含されるものと定義する。
【0082】
また、光重合開始剤として、メタロセン化合物を使用することもできる。メタロセン化合物としては、中心金属がFe、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Lu、Ta、W、Os、Ir等に代表される遷移元素であるものを用いることができる。メタロセン化合物の例としては、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(ピロール-1-イル)フェニル]チタニウムを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0083】
これらの光重合開始剤の中では、アシルホスフィンオキサイド化合物、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-メチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン及びそのオリゴマー、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンがより好ましい。
【0084】
特に好ましい光重合開始剤としては、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-1-(4-イソプロペニルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン及びそのオリゴマー、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンがあげられ、これらの混合物であるLAMBERTI S.p.A社製の製品名「ESACURE KTO 46」は光重合開始剤として特に好適である。
【0085】
成分3である活性エネルギー線重合開始剤の使用量は、接着剤用組成物の総量から後述する成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
【0086】
活性エネルギー線重合開始剤の使用量が0.05質量%以上10質量%以下の範囲であると、活性エネルギー線の照射によって成分2を含むラジカル重合性成分を十分に重合させることができるとともに、得られる接着剤用組成物の反応生成物の物性に悪影響が生じにくい。
【0087】
また、接着剤用組成物の総量から成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、成分1の量の割合が56質量%以上92質量%以下であり、成分3の量の割合が0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましい。このような構成であれば、アルミニウム箔に代表される金属箔層4とシーラント層3との間の接着強度の経時的な低下が長期間にわたって抑制され、蓄電装置用外装材1の耐電解液性を優れたものとすることができる。よって、本実施形態に係る蓄電装置用外装材1を用いれば、長寿命な蓄電装置を製造することが可能である。
【0088】
(成分4)
次に、成分4の溶剤について説明する。本実施形態に係る接着剤用組成物に使用される溶剤の種類は、酸変性ポリオレフィンを溶解させる又は分散させることができるものであれば特に限定されるものではないが、酸変性ポリオレフィンを溶解させることができる有機溶剤が好ましく用いられる。また、有機溶剤としては、本実施形態に係る接着剤用組成物から該有機溶剤を加熱等により揮発させて除去することが容易な有機溶剤が好ましく用いられる。
【0089】
酸変性ポリオレフィンを溶解させることができ且つ加熱等により揮発させて除去することが容易な有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤、n-ヘキサン等の脂肪族系有機溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン(MCH)等の脂環族系有機溶剤、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系有機溶剤等が挙げられる。これら有機溶剤は、1種のみを単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0090】
また、上記の酸変性ポリオレフィンを溶解させることができ且つ加熱等により揮発させて除去することが容易な有機溶剤と併用して、他種の有機溶剤を使用することが可能である。この他種の有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n-プロピル等の酢酸エステル系有機溶剤が好適に使用される。
【0091】
接着剤用組成物の総量を100質量%とした場合に、成分4の量の割合は75質量%以上95質量%以下であることが好ましい。このような構成であれば、接着剤用組成物の粘度を適正に保持でき、且つ、接着剤用組成物を塗工して溶剤を除去した際に、第二接着剤層6の厚さを適正なものにすることが容易である。
なお、接着剤用組成物の塗工時の粘度は、25℃において200mPa・s以下であることが好ましい。
【0092】
(成分5)
次に、成分5の1分子中にカルボジイミド基(-N=C=N-)を有するカルボジイミド化合物について説明する。
本実施形態に係る接着剤用組成物に使用される、1分子中にカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物の種類は、カルボジイミド基を分子内に1個以上有する化合物であるならば、特に限定されない。
【0093】
成分5のカルボジイミド化合物を得る方法の一例としては、1分子中に1個以上のイソシアナト基を有する化合物を、有機溶媒中で触媒の存在下に100℃以上200℃以下の温度で加熱して、脱二酸化炭素反応を行う方法があげられる。100℃以上200℃以下の温度であれば、副反応を抑制しつつ長時間を要することなく反応を行うことができる。この反応は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0094】
カルボジイミド基の生成は、赤外分光法による測定で、2260cm-1のイソシアナト基の吸収ピークの消失、及び、カルボジイミド基の吸収ピークの生成を検出することによって確認することができる。
成分5のカルボジイミド化合物の原料である、1分子中に1個以上のイソシアナト基を有する化合物としては、単官能イソシアネート化合物、多官能イソシアネート化合物が挙げられる。
【0095】
成分5のカルボジイミド化合物を得るための上記の反応に用いられる触媒としては、ホスホレン、ホスホレンオキサイド類が挙げられる。具体的には、1-エチル-3-メチル-3-ホスホレンオキサイド、1-フェニル-3-メチル-3-ホスホレンオキサイド、1-フェニル-3-メチル-2-ホスホレンオキサイド等が挙げられる。
【0096】
成分5のカルボジイミド化合物を得るための上記の反応に用いられる有機溶媒は、原料である1分子中に1個以上のイソシアナト基を有する化合物や、生成するカルボジイミド基と反応する活性水素を持たないことが必要である。また、該有機溶媒は、沸点が高いことが好ましい。
【0097】
成分5のカルボジイミド化合物を得るための上記の反応に用いられる有機溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素や、ジエチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコールジアセテート、グリコールジアセテート、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート等のグリコールエーテルエステル化合物や、エチルブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物や、酢酸アルミ、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル等の脂肪族エステル化合物が挙げられる。
【0098】
成分5のカルボジイミド化合物は、上記の方法以外の方法によっても得ることができる。上記の方法以外の方法としては、例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47-33279号公報、特開平5-178954号公報、特開平7-330849号公報等に開示されている方法や、J.Org.Chem.,28,2069(1963)、Chem.,Review81,619(1981)に記載されている方法が挙げられる。また、特開平6-56950号公報等に開示されているように、無溶媒下での反応によっても成分5のカルボジイミド化合物を得ることができる。
【0099】
成分5のカルボジイミド化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。まず、1分子中にカルボジイミド基を1個有するカルボジイミド化合物としては、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド等が挙げられる。
【0100】
また、1分子中にカルボジイミド基を複数個(2個以上)有するカルボジイミド化合物としては、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(1-メチル-1-イソシアナトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-メチル-1-イソシアナトエチル)ベンゼン、2,4,6-トリイソプロピルベンゼン-1,3-ジイソシアネート等の多官能イソシアネートを原料に用いて、前述した脱二酸化炭素反応を行うことによって得られるポリカルボジイミド化合物が挙げられる。
【0101】
これらの成分5のカルボジイミド化合物のうちポリカルボジイミド化合物の末端基としては、例えば、イソシアナト基(末端基が封止されていないもの)、単官能イソシアネートにより封止されたもの、アルコキシ基(例えば、末端イソシアナト基がエチレングリコールモノメチルエーテルで封止されているもの)、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル残基(例えば、末端イソシアナト基がポリエチレングリコールモノメチルエーテルで封止されているもの)等が挙げられる。
【0102】
これらの成分5のカルボジイミド化合物の中では、1分子中にカルボジイミド基を複数個有するカルボジイミド化合物が好ましい。1分子中にカルボジイミド基を複数個有するカルボジイミド化合物を使用すると、酸変性ポリオレフィンのカルボキシ基とカルボジイミド化合物のカルボジイミド基とが複数の点で反応するため、接着剤用組成物と被着体との相互作用がより高まり、結果として、アルミニウム箔に代表される金属箔層4とシーラント層3との間の接着強度が向上する。
【0103】
1分子中にカルボジイミド基を複数個有するカルボジイミド化合物の数平均分子量は、低分子量であると樹脂からブリードアウトするおそれがあることから、300以上5000以下であることが好ましく、500以上4000以下であることがより好ましい。このような構成であれば、ブリードアウトが生じにくいことに加えて、本実施形態に係る接着剤用組成物の可使時間を十分に確保することができ、且つ、アルミニウム等の金属面との接着性を向上することが可能になる。
【0104】
なお、1分子中にカルボジイミド基を複数個有するカルボジイミド化合物の数平均分子量は、例えば、以下のようにして測定することができる。すなわち、ポリカルボジイミド化合物の末端のイソシアナト基をジブチルアミンで封止した上で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。GPCの測定機器としては、例えば、昭和電工株式会社製のSHODEX-KFタイプを使用することができ、GPCの測定溶媒としては、例えばテトラヒドロフランを使用することができる。
【0105】
また、1分子中にカルボジイミド基を複数個有するカルボジイミド化合物の中では、本実施形態に係る接着剤用組成物の接着性能を向上させる観点から、末端基としてイソシアナト基を有するもの(末端基が封止されていないもの)、すなわち、1分子中にカルボジイミド基とイソシアナト基を有するカルボジイミド化合物が好ましい。
【0106】
また、成分5は、下記式(1)の構造及び下記式(2)の構造の少なくとも一方を有するカルボジイミド化合物を含有することが好ましく、下記式(2)の構造を有するカルボジイミド化合物を含有することがより好ましい。なお、下記式(1)中のmは1以上の整数であり、好ましくは100以下の整数であり、下記式(2)中のnは1以上の整数であり、好ましくは100以下の整数である。
【0107】
【0108】
【0109】
上記式(1)の構造を有するカルボジイミド化合物のカルボジイミド基中の窒素原子は、ベンゼン環の共鳴効果及びベンゼン環のオルソ位に位置する嵩高い置換基(イソプロピル基)の立体効果により安定化されているため、本実施形態に係る接着剤用組成物の可使時間を長く確保することができる。
【0110】
また、上記式(2)の構造を有するカルボジイミド化合物のカルボジイミド基中の窒素原子も、隣接する嵩高い2,2-プロピレン基(すなわち、-C(CH3)2-)の立体効果により安定化されているため、本実施形態に係る接着剤用組成物の可使時間を長く確保することができる。
【0111】
本実施形態に係る接着剤用組成物においては、接着剤用組成物の総量から成分3及び成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、成分1の量の割合は60質量%以上96質量%以下であることが好ましく、63質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
接着剤用組成物の総量から成分3及び成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、成分1の量の割合が60質量%以上96質量%以下であると、後述の熱間剥離強度や後述の電解液に24時間浸漬した後の常温剥離強度が発現するまでの加熱雰囲気下での収容時間を短くすることが可能となるので、好ましい。
【0112】
同様に、本実施形態に係る接着剤用組成物においては、接着剤用組成物の総量から成分3及び成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、成分2の量の割合は0質量%超過40質量%未満であることが好ましく、2質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
さらに、本実施形態に係る接着剤用組成物の総量から成分3及び成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、成分5の量の割合は0質量%超過40質量%未満であることが好ましく、2質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
【0113】
また、本実施形態に係る接着剤用組成物の総量から成分3及び成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、本実施形態に係る接着剤用組成物の総量から成分1、成分3、及び成分4の総量を差し引いた量の割合は4質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。このとき、接着剤用組成物の総量から成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、成分1の量の割合は56質量%以上92質量%以下であり、成分3の量の割合は0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0114】
本実施形態に係る接着剤用組成物の総量から成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、成分1の量の割合が56質量%以上92質量%以下であり、成分3の量の割合が0.05質量%以上10質量%以下であり、且つ、本実施形態に係る接着剤用組成物の総量から成分3及び成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、本実施形態に係る接着剤用組成物の総量から成分1、成分3、及び成分4の総量を差し引いた量の割合は4質量%以上40質量%以下であると、アルミニウム箔に代表される金属箔層4とシーラント層3との間の接着強度の経時的な低下が長期間にわたって抑制され、蓄電装置用外装材1の耐電解液性を優れたものとすることができる。
【0115】
(成分6)
次に、成分6について説明する。本実施形態に係る接着剤用組成物には、成分1~成分5に加えて、成分6として、1分子中に複数個のイソシアナト基を有し且つ成分2及び成分5とは別種の化合物をさらに含有させてもよい。
成分6の化合物としては、例えば、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性物、ジイソシアネート化合物のビュレット変性物、及び、ジイソシアネート化合物をトリメチロールプロパン等の多価アルコールでアダクト変性した変性物が挙げられる。
【0116】
これらの変性物におけるジイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
【0117】
また、成分6の化合物としては、下記式(9)で表されるポリメリックMDI等を挙げることができる。なお、下記式(9)中のvは、0以上50以下の整数を表し、vの平均値は0よりも大きい。
成分6の化合物は、1種のみを単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、成分6の化合物は、1分子中に有するイソシアナト基の個数が3以上であるものを含有することが好ましい。
【0118】
【0119】
上記成分6は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート変性物、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンをトリメチロールプロパン等の多価アルコールでアダクト変性した変性物、及び、上記式(9)で表されるポリメリックMDIから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
【0120】
また、上記成分6は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート変性物、及び、上記式(9)で表されるポリメリックMDIから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することがより好ましい。
【0121】
さらに、上記成分6は、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート変性物、及び、上記式(9)で表されるポリメリックMDIから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することがさらに好ましい。
【0122】
また、本実施形態に係る接着剤用組成物中に含有される全イソシアナト基の反応性に着目すると、反応性の異なる2種類以上のイソシアナト基が本実施形態に係る接着剤用組成物中に含まれることが、本実施形態に係る接着剤用組成物の反応性と可使時間とのバランスをとるためには好ましい。そして、本実施形態に係る接着剤用組成物中には、芳香環構造に直接結合したイソシアナト基と、1級イソシアナト基と、2級イソシアナト基との3種類のイソシアナト基が含まれることがより好ましい。
【0123】
本実施形態に係る接着剤用組成物中に含有される成分6の好ましい量は、その他の成分の量によって変わるため一概には言えないが、本実施形態に係る接着剤用組成物の総量から成分3及び成分4の総量を差し引いた量を100質量%とした場合に、0質量%超過30質量%未満であることが好ましい。
【0124】
また、成分6は、必要に応じて、ラジカル重合性官能基を有し且つ成分2以外の化合物(すなわち、(メタ)アクリロイル基以外のラジカル重合性官能基を有する化合物)を含有してもよい。(メタ)アクリロイル基以外のラジカル重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、ビニロキシカルボニル基、ビニルカルバモイル基等を挙げることができる。
【0125】
(成分7)
次に、成分7について説明する。本実施形態に係る接着剤用組成物には、成分1~成分5に加えて、成分7として、イソシアナト基の反応を促進する反応触媒をさらに含有させてもよい。この反応触媒の種類は、カルボキシ基とイソシアナト基との反応を促進させるための物質であれば特に限定されるものではないが、例えば、有機スズ化合物、第3級アミン等が挙げられる。この反応触媒は、1種のみ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0126】
この反応触媒を使用する場合には、本実施形態に係る接着剤用組成物の総量から成分4の量を差し引いた量を100質量%とした場合に、成分7の量の割合は0.01質量%以上3質量%以下であることが好ましい。このような構成であれば、混合後の可使時間と、本実施形態に係る接着剤用組成物の反応生成物を介して金属箔層4とシーラント層3を貼り合わせた後の接着力が発現するまでの時間とのバランスが取り易い。
【0127】
(他の成分)
また、本実施形態に係る接着剤用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、粘着付与剤、可塑剤や、カルボキシ基やスルホ基などのような酸性官能基を有しないポリオレフィンを含有させてもよいし、ポリオレフィン以外の熱可塑性樹脂を含有させてもよい。
【0128】
粘着付与剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、天然系の粘着付与剤としては、ポリテルペン系樹脂、ロジン系樹脂等が挙げられ、石油系の粘着付与剤としては、ナフサの分解油留分より得られる脂肪族(C5)系樹脂、芳香族(C9)系樹脂、共重合(C5/C9)系樹脂、脂環族系樹脂等が挙げられる。また、これら樹脂の二重結合部分を水素化した水添樹脂も挙げることができる。これらの粘着付与剤は、1種のみ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0129】
酸性官能基を有しないポリオレフィン、ポリオレフィン以外の熱可塑性樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-エチルアクリレート共重合樹脂、ワックス等が挙げられる。酸性官能基を有しないオレフィン系熱可塑性エラストマーの例としては、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)が挙げられる。
【0130】
(蓄電装置用外装材の製造方法)
次に、本実施形態に係る蓄電装置用外装材1の製造方法について説明する。本実施形態に係る蓄電装置用外装材1の製造方法の一例は、基材層2、第一接着剤層5、金属箔層4、第二接着剤層6、及びシーラント層3がこの順で積層された構造を有する蓄電装置用外装材1の製造方法であって、本実施形態に係る接着剤用組成物を、金属箔層4のシーラント層3側の面とシーラント層3の金属箔層4側の面との一方又は両方に塗布し、塗布した接着剤用組成物から成分4の一部又は全部を除去し、その後、成分4の一部又は全部が除去された接着剤用組成物に活性エネルギー線を照射して、成分1、成分2、及び成分5を反応させることにより、第二接着剤層6をなす高分子層を形成する第二接着剤層形成工程を備える。
【0131】
なお、金属箔層4のシーラント層3側とは反対側の面には、第二接着剤層6を塗工する前に、予め第一接着剤層5を介して基材層2が積層されていることが好ましい。また、金属箔層4の少なくともシーラント層3側の面に腐食防止処理層が設けられていることが好ましい。さらに、シーラント層3がポリオレフィン樹脂を含有することが好ましい。
【0132】
基材層2、第一接着剤層5、金属箔層4、第二接着剤層6、及びシーラント層3がこの順で積層された構造を有し、金属箔層4の少なくともシーラント層3側の面に腐食防止処理層が設けられており、シーラント層3がポリオレフィン樹脂を含有する蓄電装置用外装材1を製造する場合には、その製造方法は、以下のとおり第二接着剤層形成工程とエージング工程とを備えることが好ましい。
【0133】
第二接着剤層形成工程は、本実施形態に係る接着剤用組成物を、金属箔層4のシーラント層3側の面とシーラント層3の金属箔層4側の面との一方又は両方に塗布し、塗布した接着剤用組成物から成分4の一部又は全部を除去し、その後、成分4の一部又は全部が除去された接着剤用組成物に活性エネルギー線を照射して、成分1、成分2、及び成分5を反応させることにより、第二接着剤層6をなす高分子層を形成する工程である。エージング工程は、第二接着剤層形成工程の後に、高分子層を30℃以上70℃以下で1時間以上熱処理する工程である。
【0134】
接着剤用組成物の塗布方法は特に限定されるものではないが、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、バーコート印刷等の印刷方法を挙げることができる。ただし、第二接着剤層6の厚さを考慮すると、グラビア印刷による塗布方法が最も好ましい。
【0135】
接着剤用組成物の塗布後に成分4の一部又は全部を除去する方法としては、室温以上の所定の温度で成分4を乾燥し除去する方法が好ましい。上記の所定の温度は、成分4として使用する溶剤の沸点未満の温度とすることが好ましい。複数種の溶剤を混合して成分4とする場合には、上記の所定の温度は、成分4として使用する複数種の溶剤の沸点のうち最も低い沸点よりも低い温度とすることが好ましい。
【0136】
成分4の一部又は全部が除去された接着剤用組成物には、活性エネルギー線が照射される。このときに使用される活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、真空紫外線、X線、γ線、電子線などのエネルギーを持つ電磁波又は粒子線を使用することができるが、一般的には、紫外線、可視光線を使用する場合が多い。
【0137】
活性エネルギー線が紫外線や可視光線である場合、重合や硬化のための照射光源に特に制限はなく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプなどを用いることができる。この際の光の照射量は、接着剤用組成物の組成により異なるが、一般的には、50mJ以上2000mJ以下の範囲であることが多い。
【0138】
成分4の一部又は全部が除去された接着剤用組成物に活性エネルギー線を照射して反応させることにより、第二接着剤層6をなす高分子層を形成することができる。また、第二接着剤層6をなす高分子層を形成した後には、形成された高分子層を30℃以上70℃以下で1時間以上熱処理することが好ましい。熱処理温度は、40℃以上60℃以下がより好ましい。
【0139】
このエージング工程により、接着剤用組成物中のイソシアナト基と、カルボキシ基及びアルコール性水酸基との反応時間が促進される。カルボキシ基及びアルコール性水酸基は、接着剤用組成物中や、金属箔層4のシーラント層3側の面及びシーラント層3の金属箔層4側の面に存在する。エージング工程における温度が30℃以上70℃以下であれば、シーラント層3の物性が変化することはほとんど無い。エージング工程において30℃以上70℃以下の温度に曝す時間は、1時間以上であれば特に限定されるものではないが、3時間以上であることが好ましく、6時間以上であることがより好ましい。
【0140】
なお、本実施形態に係る蓄電装置用外装材1は、非水電解質系リチウムイオン電池用外装材として好適に用いることができるが、本実施形態に係る蓄電装置用外装材1を適用する蓄電装置の種類は特に限定されるものではなく、他種の蓄電装置用の外装材として好適に用いることができる。本実施形態に係る蓄電装置用外装材1を、深絞り成形、張り出し成形等の成形方法によって所望の形状に成形すれば、電池等の蓄電装置用のケースを得ることができる。
【実施例】
【0141】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。
〔製造例1〕
塩化カルシウム管を上部に取り付けたコンデンサー、温度計、滴下ロート、及び、攪拌羽付きの攪拌機を備えた三口フラスコに、三井化学株式会社製のタケネート(登録商標)D-127N(1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート変性物が主成分である、有効成分濃度75.5質量%の酢酸エチル溶液、イソシアナト基濃度:13.8質量%)112.27質量部と、スズ触媒であるジブチルスズラウレート0.02質量部とを仕込んだ。
【0142】
また、滴下ロートに4-ヒドロキシブチルアクリレート17.72質量部を仕込み、滴下の準備をした。その後、攪拌機により三口フラスコの内容物の攪拌を開始し、オイルバスを用いて、三口フラスコの内温を70℃に昇温した。攪拌機による攪拌を続けながら、滴下ロートから4-ヒドロキシブチルアクリレート17.72質量部を、三口フラスコ内に20分間かけて滴下した。その際には、三口フラスコの内温が70℃以上75℃以下になるように制御しながら、滴下を行った。
【0143】
滴下が終了したら、反応を4時間継続して、ガスクロマトグラフィーで4-ヒドロキシブチルアクリレートのピークが観測されなくなったのを確認して反応を終了した。このような反応により、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート変性物中のイソシアナト基の総数の1/3のイソシアナト基に4-ヒドロキシブチルアクリレートが付加したオリゴマー(以下、「オリゴマー1」と記す。)の酢酸エチル溶液(固形分濃度78.8質量%)を得た。
【0144】
〔製造例2〕
タケネート(登録商標)D-127Nの量を98.81質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレートの量を31.19質量部に変更した点以外は、製造例1と同様の操作を行って、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート変性物中のイソシアナト基の総数の2/3のイソシアナト基に4-ヒドロキシブチルアクリレートが付加したオリゴマー(以下、「オリゴマー2」と記す。)の酢酸エチル溶液(固形分濃度81.4質量%)を得た。
【0145】
〔製造例3〕
塩化カルシウム管を上部に取り付けたコンデンサー、温度計、滴下ロート、及び、攪拌羽付きの攪拌機を備えた三口フラスコに、旭化成株式会社製のデュラネート(登録商標)TKA-100(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性物、イソシアナト基濃度:21.7質量%)104.15質量部と、スズ触媒であるジブチルスズラウレート0.02質量部とを仕込んだ。
【0146】
また、滴下ロートに4-ヒドロキシブチルアクリレート25.85質量部を仕込み、滴下の準備をした。その後、攪拌機により三口フラスコの内容物の攪拌を開始し、オイルバスを用いて、三口フラスコの内温を70℃に昇温した。攪拌機による攪拌を続けながら、滴下ロートから4-ヒドロキシブチルアクリレート25.85質量部を、三口フラスコ内に20分間かけて滴下した。その際には、三口フラスコの内温が70℃以上75℃以下になるように制御しながら、滴下を行った。
【0147】
滴下が終了したら、反応を4時間継続して、ガスクロマトグラフィーで4-ヒドロキシブチルアクリレートのピークが観測されなくなったのを確認して反応を終了した。このような反応により、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性物中のイソシアナト基の総数の1/3のイソシアナト基に4-ヒドロキシブチルアクリレートが付加したオリゴマー(以下、「オリゴマー3」と記す。)を得た。
【0148】
〔製造例4〕
デュラネート(登録商標)TKA-100の量を86.88質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレートの量を43.12質量部に変更した点以外は、製造例3と同様の操作を行って、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性物中のイソシアナト基の総数の2/3のイソシアナト基に4-ヒドロキシブチルアクリレートが付加したオリゴマー(以下、「オリゴマー4」と記す。)を得た。
【0149】
〔実施例1~7及び比較例1、2〕
コンデンサー及び攪拌機を備えた容量500mLのフラスコに、酸変性ポリオレフィンとしてプロピレン-ブテン共重合体の無水マレイン酸グラフト変性物(成分1)と、溶剤であるメチルシクロヘキサン及び酢酸エチル(成分4)を仕込み、60℃で10分間攪拌して、液状の樹脂組成物を得た。その後、当該樹脂組成物を室温に冷却した。
【0150】
なお、フラスコに仕込んだ成分1と成分4の量は、表1に示すとおりである。表1中の各成分の数値の単位は質量部である。また、成分1である酸変性ポリオレフィンの酸価は12.6mg-KOH/gであり、融点は80℃である。さらに、成分1である酸変性ポリオレフィンにおけるプロピレンとブテンの共重合比率(モル比)は、プロピレン:ブテン=78:22である。さらに、成分1である酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)は110000であり、数平均分子量(Mn)は58000である。
【0151】
次に、上記の樹脂組成物に、成分5であるカルボジイミド化合物と成分7である反応触媒とを混合するとともに、必要に応じて成分2の化合物、成分3である活性エネルギー線重合開始剤、成分6の化合物を混合して、接着剤用組成物を製造した。成分2、成分3、成分5、成分6、及び成分7の使用量は、表1に示すとおりである。表1中の各成分の数値の単位は質量部である。
【0152】
【0153】
なお、表1に示すように、各成分を単独で添加する場合と、各成分の混合物を添加する場合とがある。例えば、成分2は、実施例1においては成分2、成分4、成分6、成分7の混合物として添加されるが、実施例4においては成分2、成分6、成分7の混合物として添加され、実施例3においては成分2単独で添加される。
また、後述する試験片の作製に際しては、成分2や成分5を配合してから2時間以内に接着剤用組成物を使用した。
【0154】
表1に記載のCarbodilite(登録商標)V-05は、日清紡績株式会社製のポリカルボジイミド化合物であり、その末端基はイソシアナト基であり、数平均分子量は800である。このポリカルボジイミド化合物は、下記式(10)の化合物(メタ体で純度98%)を重合することにより得られるものである。
【0155】
【0156】
表1に記載のStabaxol(登録商標)Pは、Rhein Chemie Co.社製のポリカルボジイミド化合物(数平均分子量3500)であり、下記式(11)の化合物である。
【0157】
【0158】
表1に記載のスミジュール(登録商標)44V40は、住化コベストロウレタン株式会社製のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートであり、イソシアナト基濃度は31.0質量%である。
表1に記載のデュラネート(登録商標)TKA-100は、旭化成株式会社製のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性物であり、イソシアナト基濃度は21.7質量%である。
【0159】
表1に記載のデスモジュール(登録商標)Z 4470 BAは、住化コベストロウレタン株式会社製のイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性物の酢酸ブチル溶液(固形分濃度70質量%)であり、イソシアナト基濃度は11.9質量%である。
表1に記載のライトアクリレート(登録商標)DCP-Aは、共栄社化学株式会社製のトリシクロデカンジメタノールジアクリレートである。
表1に記載のカレンズ(登録商標)MOI-EGは、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナートである。
【0160】
このようにして得られた実施例1~7及び比較例1、2の接着剤用組成物を使用して、各種評価を行った。
以下に、成分1及び接着剤用組成物の各種評価の方法について説明する。
(酸価の測定方法)
成分1の酸変性ポリオレフィンの酸価は、JIS K0070:1992に規定の方法に準拠して測定した。
【0161】
(融点の測定方法)
成分1の酸変性ポリオレフィンの融点は、JIS K7121(1987年制定)「プラスチックの転移温度測定方法」に規定された方法に準拠して測定した。測定には株式会社島津製作所製のDSC(示差走査熱量計)(型式DSC-60A)を用い、昇温速度10℃/分で示差走査熱量測定を行った結果得られた融解ピーク温度を「融点」とした。
【0162】
さらに詳細な測定方法は、以下の通りである。すなわち、酸変性ポリオレフィンの粉状サンプルを室温から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、180℃に5分間保持して融解させ、その後-30℃まで降温し、-30℃で5分間保持した。そして、昇温速度10℃/分で再度昇温し、この再昇温時に検出された融解ピーク温度を融点とした。
【0163】
(融解熱量の測定方法)
融点の測定方法と同様にして示差走査熱量測定を行い、得られた測定チャートのベースラインの延長線と融解ピークとで囲まれる部分の面積から融解熱量を測定した。
(酸変性ポリオレフィンにけるプロピレンとブテンの共重合比率の測定方法)
溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を用いて、酸変性ポリオレフィンの炭素13核磁気共鳴測定(13C NMR測定)を行い、以下の方法により解析した。13C NMRスペクトルの34.0ppmのピークはポリブテンのメチンの炭素由来であり、27.0ppm~28.0ppmのピークは、ポリブテンの側鎖のメチレンの炭素とポリプロピレンのメチンの炭素由来である。
【0164】
したがって、34.0ppmのピークの積分比を27.0ppm~28.0ppmのピークの積分比で除して100を掛け合わせた値により、ブテンの共重合比率(モル%)を算出した。また、上記のようにして算出されたブテンの共重合比率を100から差し引くことにより、プロピレンの共重合比率(モル%)を算出した。
【0165】
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定条件は以下の通りである。
【0166】
装置名:日本分光株式会社製HPLCユニット HSS-2000
カラム:昭和電工株式会社製ShodexカラムLF-805L×3本(直列)
移動相:テトラヒドロフラン
流速 :1.0mL/min
検出器:日本分光株式会社製RI-2031Plus
温度 :40.0℃
試料量:サンプルループ 100μL
試料濃度:約0.1質量%
ポリスチレン標準物質:昭和電工株式会社製のSTANDARD SM-105
【0167】
(接着剤用組成物の粘度の測定方法)
ブルックフィールド社製のB型回転粘度計(LVDV-II+Pro ビスコメーター)と少量サンプルアダプターモデル(スピンドル/チャンバー:SC4 18/13RP)を用いて、温度25.0℃、回転速度20rpmの条件で接着剤用組成物の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0168】
〔接着強度の評価方法〕
(試験片の作製方法)
表面に腐食防止処理(化成処理)層を有するアルミニウム箔(幅:35cm、厚さ:40μm)のアルミロールをグラビア印刷機にセットし、グラビア印刷法によって、アルミニウム箔の腐食防止処理(化成処理)層が形成された面に接着剤用組成物を塗布した。そして、120℃の熱風乾燥炉を通過させて接着剤用組成物中の溶剤を蒸発させ、アルミニウム箔上に接着剤用組成物膜を形成した。
【0169】
次に、シーラント層用の熱融着性フィルムである厚さ80μmの無延伸ポリプロピレン(以下、「CPP」と記す。)と接着剤用組成物膜を形成したアルミニウム箔とを重ねて、2本のロールの間に通し、アルミニウム箔の接着剤用組成物膜が形成された面にCPPを貼り合わせて、積層フィルムを得た。なお、2本のロールの一方は、昇温させないゴムロールで、他方は、80℃に昇温した金属ロールである。また、ロール通過時の圧力は0.5MPaで、通過速度は8m/minである。
【0170】
紫外線照射装置を用いて積層フィルムにCPP面側から600mJの照射量の光(波長365nm)を照射した後に、2本のロールを用いて、積層フィルムをロール状に巻き取った。なお、2本のロールの一方は、昇温させないゴムロールで、他方は、95℃に昇温した金属ロールである。また、ロール通過時の圧力は0.5MPaで、通過速度は8m/minである。
【0171】
得られたロール状の積層フィルムを温度50℃の熱風循環式オーブンに入れ、12時間又は24時間保持した。上記の時間の保持が終了したら、熱風循環式オーブンからロール状の積層フィルムを取り出し、幅35cmの積層フィルムのうち中央部の幅19cmの部分を裁断して、幅15mmの短冊状の試験片を作製した。
【0172】
(剥離強度の測定方法)
試験片のアルミニウム箔とCPPとの間の剥離強度を、JIS K6854-3:1999に規定の方法に準拠するT字剥離試験によって測定した。上記試験片を裁断して長さ150mm、幅15mmの測定サンプルを作製し、剥離強度の測定に用いた。引張速度は100mm/minとし、測定温度25℃で常温剥離強度を測定し、測定温度85℃で熱間剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
【0173】
【0174】
次に、試験片を85℃の電解液中に24時間又は1週間浸漬した後に、上記と同様にして常温剥離強度と熱間剥離強度をそれぞれ測定した。電解液としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルを体積比1:1で混合し、これに1モル/Lの濃度となるようにヘキサフルオロリン酸リチウムを添加したものを用いた。結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1~7の接着剤用組成物は、比較例1、2の接着剤用組成物に比べて、電解液によるアルミニウム箔とCPPとの間の接着強度の経時的な低下が長期間にわたって抑制されており、十分な耐電解液性を有していた。
【0175】
(蓄電装置用外装材の評価方法)
厚さ40μmのアルミニウム箔の一方の面にグラビアロールでウレタン系樹脂接着剤を塗布し、加熱により乾燥させて第一接着剤層を形成した。次に、第一接着剤層上に、厚さ25μmの2軸延伸ナイロンフィルムからなる基材層をラミネートして、積層フィルムを得た。なお、アルミニウム箔の他方の面には化成処理が施されており、腐食防止処理層が形成されている。
【0176】
このようにして得られた積層フィルムを、表面に腐食防止処理(化成処理)層を有するアルミニウム箔の代わりに用いた点以外は、前述した「試験片の作製方法」と同様の方法により、ロール状の積層フィルムを作製した。すなわち、アルミニウム箔の腐食防止処理(化成処理)層が形成された面に、第二接着剤層とシーラント層が積層され、アルミニウム箔の他方の面に第一接着剤層と基材層が積層された積層フィルムを作製した。
実施例1~7の接着剤用組成物を第二接着剤層として使用して作製した積層フィルムは、上記の耐電解液性の評価で使用した電解液に85℃で1週間浸漬しても、第二接着剤層とシーラント層との接着面の剥離等の異常は見られなかった。
【符号の説明】
【0177】
1・・・蓄電装置用外装材
2・・・基材層
3・・・シーラント層
4・・・金属箔層
5・・・第一接着剤層
6・・・第二接着剤層