(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】センサ付ケーブル
(51)【国際特許分類】
G01P 1/04 20060101AFI20240319BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240319BHJP
H01B 7/295 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01P1/04 Z
H01B7/00 306
H01B7/295
(21)【出願番号】P 2020150545
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】冨田 和彦
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-112406(JP,A)
【文献】特開2007-134137(JP,A)
【文献】特開2018-039902(JP,A)
【文献】特開2016-054031(JP,A)
【文献】特開2016-092940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 1/00 ~ 1/04
G01D 11/24
B60R 16/02
H01B 7/00 ~ 7/02
H01B 7/29 ~ 7/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサが有する端子と接続される第1導線、及び当該第1導線の周囲を被覆する第1絶縁皮膜を有する第1コア線と、
前記第1コア線を被覆し前記第1絶縁皮膜よりも燃焼に対する抵抗性が高い材料で形成されたシースと、
前記第1導線と導通するように接続された第2導線、及び当該第2導線の周囲を被覆し、燃焼に対する抵抗性が前記第1絶縁皮膜よりも高い材料で形成された第2絶縁皮膜を有
し、前記シースに被覆されていない第2コア線と、
前記シースから露出した前記第1絶縁皮膜を少なくとも覆う、燃焼に対する抵抗性が前記第1絶縁皮膜よりも高い材料で形成された被覆部材と、
を有する、センサ付ケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記第2コア線が有する前記第2絶縁皮膜には、ハロゲン系難燃剤又はノンハロゲン系難燃剤が含有された材料が用いられる、センサ付ケーブル。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記第2コア線が有する前記第2絶縁皮膜には、ハロゲン系難燃剤が含有されたポリエチレンにより形成され、
前記ハロゲン系難燃剤は、前記第2コア線が有する前記絶縁皮膜の前記ポリエチレン100質量部に対して、20質量部以上60質量部以下の量が含有された、センサ付ケーブル。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記第2コア線が有する前記第2絶縁皮膜には、ノンハロゲン系難燃剤が含有されたポリエチレンにより形成され、
前記ノンハロゲン系難燃剤は、前記第2コア線が有する前記絶縁皮膜の前記ポリエチレン100質量部に対して、20質量部以上25質量部以下の量が含有された、センサ付ケーブル。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記第2コア線と前記第1コア線とを接続する金属製の接続部を有し、
前記被覆部材は前記接続部の周面を覆うように構成された、センサ付ケーブル。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記第1コア線、前記第2コア線及び前記
金属製の接続部を複数有し、
複数の前記
金属製の接続部は、互いに線方向に沿って異なる位置に配置され
るとともに互いに線方向に沿って離間して配置された、センサ付ケーブル。
【請求項7】
請求項5に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記第1コア線、前記第2コア線及び前記接続部を複数有し、
複数の前記接続部の間には、絶縁部材が配置された、センサ付ケーブル。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記絶縁部材は、熱可塑性プラスチックにより構成された、センサ付ケーブル。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記第2コア線は、一方の端部である接続端部は前記第1コア線と接続され、他方の端部であるコネクタ側端部は、他の部品と接続可能に構成されたコネクタが接続された、センサ付ケーブル。
【請求項10】
請求項9に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記第1コア線を被覆する前記シースを第1シースとして、
前記第2コア線を被覆し、燃焼に対する抵抗性が前記第1絶縁皮膜よりも高い材料で形成された第2シースと、
前記被覆部材が被覆する範囲には、前記第1シースと前記第2シースとの近接する端部が含まれる、センサ付ケーブル。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記被覆部材は、熱収縮チューブ又は樹脂モールドにより形成される、センサ付ケーブル。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のセンサ付ケーブルであって、
前記センサは、燃焼への抵抗性が基準を満たす筐体を有する、センサ付ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用ハーネスに用いられるセンサ付ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ハーネスなどに用いられるセンサ付ケーブルは、センサとセンサが有する端子と導通する導線とを備える。このようなセンサ付ケーブルにおいて、導線の一端がセンサの端子と導通し、導線の他端が所定の装置等に接続されることにより、センサにより取得された電気信号などが所定の装置等に伝達するように構成される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサ付ケーブルを製造する際、センサが有する端子と、当該端子と導通する導線とは、溶接によって接続される。
また、センサ付ケーブルが車両用ハーネスなどに用いられる場合には、ケーブルのシースや導線の絶縁皮膜として燃焼に対する抵抗性が高い材料が用いられる場合がある。
【0005】
ここで、燃焼に対する抵抗性が高い材料には、難燃剤が含有されていることがある。このため、当該材料は、難燃剤を含有していない材料と比較して一般的に脆くなる場合がある。その結果、例えば難燃剤を含有した材料が用いられた絶縁皮膜を導線から剥離させる際に、当該絶縁皮膜が導線表面で分離し、分離した絶縁皮膜の一部が導線表面に付着した状態で残りやすい。
【0006】
その結果、絶縁皮膜を導線から剥離させた際に残った絶縁皮膜の一部が、センサの端子と導線の表面との間、あるいは導線の表面と溶接電極との間に挟まり、センサ端子と当該導線とを溶接する際に溶接不良を引き起こす原因となる。
【0007】
本開示の一局面は、センサ付ケーブルにおいて、燃焼に対する抵抗性を高くする一方で、溶接不良の抑制が可能なセンサ付ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、センサ付ケーブルであって、第1コア線と、シースと、第2コア線と、被覆部材と、を有する。第1コア線は、センサが有する端子と抵抗溶接により溶接される第1導線、及び当該第1導線の周囲を被覆する第1絶縁皮膜を有する。シースは、第1コア線を被覆し第1絶縁皮膜よりも燃焼に対する抵抗性が高い材料で形成される。第2コア線は、第1導線と導通するように接続された第2導線、及び当該第2導線の周囲を被覆し、燃焼に対する抵抗性が第1絶縁皮膜よりも高い材料で形成された第2絶縁皮膜を有する。被覆部材は、シースから露出した第1絶縁皮膜を少なくとも覆う、燃焼に対する抵抗性が第1絶縁皮膜よりも高い材料で形成される。
【0009】
このような構成によれば、センサが有する端子と、第1コア線が有する第1導線は抵抗溶接により溶接される。そして、第1導線の第1絶縁皮膜は、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高い材料で形成されていないため、当該材料を絶縁皮膜に用いたことに起因して、分離した当該絶縁皮膜が導線の表面に付着し、溶接不良の原因となることを抑制することができる。
【0010】
また、第1コア線において、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも低い材料が用いられた第1絶縁皮膜の周面は、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高いシースにより被覆されるため、当該ケーブルは燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高くなる。
【0011】
以上から、センサ付ケーブルにおいて、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高くしつつ容易に溶接できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態におけるセンサ付ケーブルの構成を示す側面視図である。
【
図2】実施形態においてセンサと第1コア線との接続部分を表した平面視図である。
【
図3】
図1における第1コア線のA-A’断面を表した断面視図である。
【
図4】
図1におけるコネクタを除いた状態の第2コア線のB-B’断面を表した断面視図である。
【
図5】実施形態における被覆部材の内部を表した平面視図である。
【
図6】他の実施形態における被覆部材の内部を表した平面視図である。
【
図7】他の実施形態における被覆部材と第1のシース及び第2のシースの位置関係を表した平面視図である。
【
図8】比較例におけるセンサ付ケーブルの構成を示す側面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.構成]
本実施形態におけるセンサ付ケーブル1について、
図1から
図5までの図を用いて説明する。センサ付ケーブル1は、自動車などの車両用のハーネスに用いられる。センサ付ケーブル1は、例えば、ABSケーブル又はEPBケーブルとして用いられる。ここで、ABSはアンチロックブレーキシステム(Antilock Brake System)の略称であり、EPBは電動パーキングブレーキ(Electric Parking Brake)の略称である。
【0014】
図1は、実施形態におけるセンサ付ケーブル1の構成を示す側面視図である。
本実施形態では、各構成の配置を互いに直交するx軸、y軸及び、z軸を用いて位置関係を説明する。なお、xy平面を実空間での水平面とし、z軸を当該xy平面に直交する実空間での高さ方向として説明する。なお、x軸正方向を右方向、x軸負方向を左方向、y軸負方向を手前方向、y軸正方向を奥方向、z軸正方向を上方向、z軸負方向を下方向とも表記する。また、xz平面を側面として説明する。
【0015】
図1に示すように、センサ付ケーブル1は、センサ10と、ケーブル20と、を有する。また、センサ付ケーブル1は、さらに、コネクタ30を更に備えていてもよい。本実施形態では、コネクタ30を備える例に適用して説明する。
【0016】
x軸方向に沿って負側から正側に向かってセンサ10、ケーブル20、コネクタ30の順に配置される。
センサ10は、センサ付ケーブル1がABSケーブルである場合にはABSセンサが用いられる。ここでいうABSセンサとは、センサ付ケーブル1が取り付けられる車両の車輪の速度を測定するセンサであり、車輪速センサとも表記する。なお、センサ10は、ABSセンサに限定されるものではなく、種々の種類のセンサであってもよい。
【0017】
ケーブル20は、センサ10から取得した信号を伝達する。ケーブル20は長尺状に形成される。ケーブル20は、屈曲変形が可能な材料により形成される。本実施形態では、ケーブル20の長尺形状の長手方向がx軸方向に沿うように位置する例に適用して説明する。
【0018】
ケーブル20のx軸負側の端部は、センサ10と接続される。ケーブル20のx軸正側の端部がコネクタ30と接続される。
コネクタ30は、ケーブル20と他の部品又は装置とが接続可能となるように構成される。コネクタ30には、例えばコネクタ30本体に対してx軸正側とx軸負側とのそれぞれに端子が配置されてもよい。
【0019】
コネクタ30のx軸正側に位置する端子は、他の部品又は装置と接続できるように形成される。コネクタ30のx軸正側に位置する端子の形状は、具体的には、所定の部品又は装置と接続できるような規格を満たす形状に形成されてもよい。
【0020】
コネクタ30のx軸負側の端子は、ケーブル20と接続できるように構成される。
コネクタ30の材料は後述する難燃材料が用いられてもよい。
図2は、センサ10と第1コア線21との接続部分を表した平面視図である。言い換えると、センサ10の各構成及び第1コア線21とが接続する部分の構成をz軸正側からz軸負側に向かって表した図である。なお、センサ筐体11については透過させ、センサ10の内部の構成を図示している。
【0021】
図2に示すように、センサ10は、センサ筐体11と、センサIC13と、センサ端子15と、を備える。
センサ筐体11は、内部空間を形成し、内部空間にセンサIC13とセンサ端子15とを配置させる。センサ筐体11は樹脂モールドにより形成されてもよい。すなわち、センサ筐体11の材料としては、射出成形することにより所定の形状に成形される樹脂材料が用いられてもよい。
【0022】
センサ筐体11が形成する内部空間と外部との境界面には、少なくとも一部に貫通孔11aが形成される。当該貫通孔11aはセンサ筐体11において、センサ筐体11の中心に対してx軸正側に形成される。
【0023】
センサ筐体11は、例えば上部及び下部などに分割可能に構成され、当該分割された部分同士を嵌合することにより、内部空間が形成されるように構成されてもよい。
センサ筐体11の材料は、後述する難燃材料が用いられてもよい。
【0024】
センサIC13は、例えば、所定の物理量を取得し、電気信号に変換して出力する電子部品である。例えば、センサIC13は、センサ10が車輪速センサである場合には、車両の車輪速に対応した物理量(磁束密度変化)を取得し、電気信号に変換して出力するものであってもよい。なお、センサ10が取得する物理量に応じて、センサIC13が処理する物理量の種類は種々変更されてもよい。
【0025】
センサ端子15は、センサIC13からの出力をセンサ10の外部に出力するための端子である。センサ端子15は、金属などの導体で形成される。センサ端子15の形状は、長尺状に形成され、長手方向がx軸方向となるように配置される。
【0026】
以下では、センサ端子15の両端のx軸負側の端部を第1端部15aとも表記し、センサ端子15の両端のx軸正側の端部を第2端部15bとも表記する。
第1端部15aは、センサIC13と接続される。第2端部15bは、センサIC13からセンサ筐体11に形成された貫通孔11aに向かって延びるように配置される。
【0027】
ケーブル20は、
図1に示すように、第1コア線21と、第2コア線23と、接続部25と、シース27と、被覆部材29と、を備える。なお、本実施形態では、ケーブル20は第1コア線21、第2コア線23をそれぞれ2本備え、第1コア線21と第2コア線23との本数に対応して、接続部25を2つ備える例に適用して説明する。なお、ケーブル20が備える第1コア線21、第2コア線23の本数は2本に限定されるものではなく、2本未満であっても2本より多くてもよい。また、ケーブル20が備える接続部25の数は2つに限定されるものではなく、2つ未満であっても2つより多くてもよい。
【0028】
ケーブル20が有する第1コア線21、第2コア線23及び接続部25は、それぞれ同数有していればよい。
2本の第1コア線21は、それぞれ長尺状に形成される。2本の第1コア線21は、それぞれ長手方向がx軸方向に沿うように配置される。
【0029】
2本の第1コア線21はそれぞれ、第1導線21aと、第1絶縁皮膜21bと、を備える。
第1導線21aは、長尺状の金属導線である。第1導線21aは長手方向がx軸方向を向くように配置される。第1絶縁皮膜21bは、第1導線21aの周面を被覆する。
【0030】
2本の第1コア線21のx軸に直交するyz平面(
図1におけるA-A’断面)に沿って切断した断面を表した図を、
図3に示す。
図3に示すように、2本の第1コア線21は、y軸方向に沿って互いに隣接するように配置されてもよい。第1導線21aは、yz断面において略円形形状に形成され、当該略円形形状の円周方向に沿って第1絶縁皮膜21bが配置されてもよい。
【0031】
第1導線21aの材料としては、例えば、銅が用いられる。第1導線21aには、銅合金線や、軟銅線が用いられてもよい。第1導線21aの材料は、銅に限定されるものではない。第1導線21aの材料としては、導電性を有すると共に、抵抗溶接により他の金属材料と溶接できる材料が用いられればよい。第1導線21aの材料は、一般的な導線の導体として用いられる材料であってもよい。
【0032】
図2に示すように、第1コア線21は、x軸負側の先端部分が所定の長さだけ、センサ筐体11の内部空間に挿入されてもよい。また、当該センサ筐体11の内部空間に挿入された先端部分において、x軸負側の先端から所定の長さだけ、第1導線21aが第1絶縁皮膜21bから露出されてもよい。すなわち、第1絶縁皮膜21bが第1導線21aから剥離された状態であってもよい。さらに、第1絶縁皮膜21bから露出した第1導線21aは、センサ端子15の第2端部15bと抵抗溶接により溶接される。なお、センサ端子15において、第1導線21aが溶接する位置は、第2端部15bに限定されるものではなく、センサ端子15と導通されれば、他の箇所であってもよい。なお、第1導線21aとセンサ端子15の第2端部15bとを溶接する方法は、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接であってもよい。
【0033】
第1絶縁皮膜21bの材料は、第1導線21aから剥離する際に、第1導線21aの周面に、第1絶縁皮膜21bの一部の付着が抑制される材料が用いられればよい。第1絶縁皮膜21bの材料としては、難燃剤や架橋助剤を含まない材料が用いられる。また、第1絶縁皮膜21bは、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも低い材料で形成される。具体的には、第1絶縁皮膜21bの材料としては架橋されたポリエチレンが用いられてよい。
【0034】
燃焼に対する抵抗性に関するあらかじめ決められた基準は、例えば、JASOに定められた規格に対応するものであってもよい。ここでいうJASOとは、Japanese Automotive Standards Organizationの略称である。また、JASOは、日本自動車技術会規格とも称される。
【0035】
燃焼に対する抵抗性に関するあらかじめ決められた基準は、以下のような方法により行われる難燃性試験により判定されるものであってもよい。
試料を水平に支持し、バーナの還元炎の先端を試料中央部の下側から、30秒間以内で絶縁体が燃焼するまで当てる。次にバーナの還元炎を静かに取り去ったときから燃焼炎が消滅するまでの時間を測定することにより判定するものであってもよい。ここで、バーナの還元炎を静かに取り去ったときから燃焼炎が消滅するまでの時間が、15秒以内である場合には、当該基準を満たすものと判定し、15秒より長い場合には、当該基準を満たさないものと判定する。ここでいう燃焼炎とは、還元炎が試料に燃え移り、試料が燃焼する際に生じる炎である。
【0036】
また、バーナの還元炎を30秒試料に当てた際に、当該試料が燃えない場合にも当該基準を満たすと判定してもよい。
なお、当該難燃性試験に用いられる試料は、電線から採取された長さ300mm程度のものであってもよい。本実施形態では、第1コア線21から採取された長さ300mm程度の第1絶縁皮膜21bが用いられてもよい。また、第1絶縁皮膜21bは当該難燃性試験により基準を満たさないと判定されるものであればよい。
【0037】
以下では、燃焼に対する抵抗性を難燃性とも記載する。また、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高い材料のことを難燃材料又は難燃性を有する材料とも記載し、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも低い材料のことを、難燃性を有しない材料又は非難燃材料とも表記する。第1絶縁皮膜21bの材料には非難燃材料が用いられる。
【0038】
2本の第2コア線23は、それぞれ長尺状に形成される。2本の第2コア線23は、それぞれ、長手方向が略x軸方向に沿うように配置される。2本の第2コア線23はそれぞれ、z軸方向に沿って傾くように配置されてよい。
【0039】
2本の第2コア線23は、それぞれ、第2導線23aと、第2絶縁皮膜23bと、を備える。第2導線23aは、第2導線23aと同様の構成であってもよい。言い換えると、第1コア線21と第2コア線23とは、第1絶縁皮膜21bに用いられる材料と第2絶縁皮膜23bに用いられる材料とが異なる以外は同様の構成であってもよい。
【0040】
第2導線23aは長尺状の金属導線である。第2導線23aは長手方向がx軸方向を向くように配置される。第2絶縁皮膜23bは第2導線23aの周面を被覆する。
2本の第2コア線23のx軸に直交するyz平面(
図1におけるB-B’断面)に沿って切断した断面をx軸方向に沿って見た図を
図4に示す。
図4に示すように、第2導線23aは、yz断面において略円形形状に形成され、当該略円形形状の円周方向に沿って第2絶縁皮膜23bが配置される。
【0041】
第2導線23aの材料としては、例えば、銅が用いられる。第2導線23aには、銅合金線や、軟銅線が用いられてもよい。第2導線23aの材料は、銅に限定されるものではない。第2導線23aの材料としては、導電性を有する材料が用いられればよい。第2導線23aの材料は、一般的な導線の導体として用いられる材料であってもよい。
【0042】
第2絶縁皮膜23bは、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高い材料で形成される。ここでいうあらかじめ決められた基準とは上述した、第1絶縁皮膜21bが満たさないとした基準と同様である。すなわち、本実施形態では、第2コア線23から採取された長さ300mm程度の第2絶縁皮膜23bが用いられてもよい。また、第2絶縁皮膜23bは当該難燃性試験により基準を満たすと判定されるものであればよい。第2絶縁皮膜23bは難燃材料が用いられればよい。第2絶縁皮膜23bは、例えば、ポリエチレンを基材とし、当該ポリエチレンの基材に難燃剤を含有させたものが材料として用いられてもよい。ここで、基材に含有させる難燃剤は、ハロゲン系難燃剤又はノンハロゲン系難燃剤であってもよい。ここでいうハロゲン系難燃剤とは、臭素や塩素などのハロゲンを含有する化合物が用いられる難燃剤である。ハロゲン系難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤であるデカブロモジフェニルエタンが用いられてもよい。難燃剤として、ハロゲン系難燃剤が用いられる場合、第2絶縁皮膜23bには、基材であるポリエチレン100質量部に対して、20質量部以上25質量部以下のハロゲン系難燃剤が含まれる材料が用いられることが好ましい。
【0043】
ノンハロゲン系難燃剤とは、臭素や塩素などのハロゲンを含有しない化合物が用いられる難燃剤である。ノンハロゲン系難燃剤としては、リン系、窒素系、シリコン系などの難燃剤が用いられてもよい。難燃剤として、ノンハロゲン系難燃剤が用いられる場合、第2絶縁皮膜23bには、基材であるポリエチレン100質量部に対して、20質量部以上60質量部以下のノンハロゲン系難燃剤が含まれる材料が用いられることが好ましい。
【0044】
第1コア線21のx軸正側の端部と第2コア線23のx軸負側の端部は互いに近接するように配置される。
なお、以下では、第2コア線23のx軸負側の端部を接続端部とも表記し、第2コア線23のx軸正側の端部をコネクタ側端部とも表記する。
【0045】
2つの接続部25はそれぞれ、2つの第1コア線21の第1導線21aと2つの第2コア線23の第2導線23aとをそれぞれ導通させた状態で固定する。2つの接続部25は、第1導線21aのx軸正側の端部と、第2導線23aのx軸負側の端部との間に配置される。
【0046】
接続部25は、金属製で形成され、接続部25に圧力を加えることにより第1コア線21と第2コア線23とを固定する。接続部25としては、例えばスプライスが用いられる。第1コア線21と第2コア線23との結合は、スプライスである接続部25により接合されてもよい。具体的には、第1導線21a及び第2導線23aの周面を曲折された板状の金属部材である接続部25が覆い、第1導線21aと第2導線23aとの周面が、その板状の面で覆われた状態で圧接することにより、第1導線21aと第2導線23aとが接合されてもよい。
【0047】
なお、接続部25は、第1導線21aと第2導線23aとを接合させるものであればよく、例えば、接続部25自体は、第1導線21a及び第2導線23aと、接していなくてもよい。すなわち、接続部25は、第1導線21aと第2導線23aとを接合させた状態で、第1導線21aを被覆する第1絶縁皮膜21b及び第2導線23aを被覆する第2絶縁皮膜23bを固定することにより、第1導線21aと第2導線23aとを保持する例えば加締め材が用いられてもよい。
【0048】
また、2つの接続部25は、x軸方向に沿って、異なる位置となるように配置される。
言い換えると、接続部25は、第1コア線21及び第2コア線23の線方向に沿って互いに異なる位置となるように配置される。
【0049】
すなわち、2つの第1導線21aの長さがそれぞれ異なる長さに形成され、当該長さに応じた長さに第2導線23aが形成されてもよい。具体的には、2つの第1導線21aの一方が他方と比べてより短く形成されると、当該より短く形成された第1導線21aと接合する第2導線23aの長さが、短く形成された分だけ長くなるように、言い換えると長さの短さを補完するように長く形成されてもよい。接続部25は、長さの異なる第1導線21aと長さの異なる第2導線23aとのそれぞれを接合するように構成される。
【0050】
シース27は、x軸方向に沿って、第1コア線21の第1絶縁皮膜21bの外側を覆うように配置される。ここでいう外側とは、2つの第1コア線21の間を内側とした場合とした際のそれぞれの部材を挟んで反対側をいう。言い換えると、2つの第1コア線21はそれぞれ、シース27の内側に配置される。
【0051】
シース27のセンサ10側の端部、すなわち、シース27のx軸負側の端部は、センサ筐体11の内部空間に入り込んだ位置に配置される。言い換えると、第1絶縁皮膜21bのセンサ10側の端部は、シース27又はセンサ筐体11の内部空間の少なくとも一方に覆われる。つまり、第1絶縁皮膜21bのセンサ10側の端部は、シース27又はセンサ筐体11の内部空間の両方から外部に露出しないように配置される。
【0052】
シース27は、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高い材料、すなわち、難燃材料で形成される。また、シース27は、難燃剤が添加された材料のほか、熱可塑性ポリウレタンなどが用いられてもよい。
【0053】
被覆部材29は、第1コア線21の外側を覆うように配置される。被覆部材29が、第1コア線21を覆う範囲は、第1コア線21の軸方向に沿って、シース27のセンサ10側とは反対側の端部と、2つの接続部25のそれぞれの少なくとも一部とを含むように配置される。言い換えると、被覆部材29のセンサ10側の端部は、シース27のセンサ10側の反対側の端部よりもセンサ10側に位置し、被覆部材29のセンサ10側と反対側の端部は、2つの接続部25のセンサ10側の端部のそれぞれよりもさらに、センサ10側とは反対に位置するように配置される。つまり、被覆部材29により第1コア線21が覆われることにより、第1絶縁皮膜21bは、被覆部材29から露出しないように配置される。被覆部材29は、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高い材料、すなわち、難燃材料で形成される。
【0054】
被覆部材29としては、例えば樹脂モールド又は熱収縮チューブが用いられてもよい。すなわち被覆部材29の材料としては、射出成形することにより所定の形状に成形される樹脂材料が用いられてもよい。
【0055】
被覆部材29に用いられる熱収縮チューブは、所定の温度以上に加熱することにより、収縮する円筒形状のチューブであり、内部に熱可塑性の封止剤が充填されたものであってもよい。
【0056】
また、被覆部材29は、x軸正側の端部から第2コア線23が露出してもよい。被覆部材29に対して第2コア線23が露出している場合、第2コア線23の屈曲が被覆部材29により妨げられないため、第2コア線23は、柔軟に屈曲することができる。また、第2コア線23の第2絶縁皮膜23bには燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高い材料が用いられているため、当該被覆部材29から露出した部分において、燃焼に対する抵抗性を向上させることができる。
【0057】
上述したように、第2絶縁皮膜23b、シース27及び被覆部材29は難燃材料により形成される。また、センサ筐体11及びコネクタ30は難燃材料により形成されてもよい。しかしながら、それぞれ部材の難燃性の大きさ、言い換えると燃焼に対する抵抗性の大きさは、同じでも異なっていてもよい。
【0058】
[2.作用]
<センサ付ケーブルの製造方法について>
センサ付ケーブル1の製造方法について説明する。
【0059】
ケーブル20のx軸負側の端部において、シース27、第1絶縁皮膜21bを所定の長さだけ剥離させ、第1導線21aを露出させる。ここで、第1絶縁皮膜21bを第1導線21aから剥離する際に、第1絶縁皮膜21bは、難燃剤などの添加剤が含有されていないため、柔軟である。このため、剥離させた際に残った第1絶縁皮膜21bの一部が第1導線21aの表面に付着した状態で残ることを抑制することができる。
【0060】
第1導線21aの先端部分がセンサ端子15の第2端部15bに接触させた状態で抵抗溶接により溶接する。第1導線21aとセンサ端子15とを電極で挟み込み、加圧しながら電流を流すことによって、溶接部位の接触抵抗により発生するジュール熱により溶接されてもよい。
【0061】
これにより、センサ端子15と第1導線21aとが導通し、センサIC13と第1導線21aとが導通した状態となる。
次に、溶接により接続されたセンサ端子15と第1導線21aとの周囲にセンサ筐体11が形成される。センサ筐体11は樹脂モールドにより形成される場合、センサ筐体11がセンサ端子15と第1導線21aとの周囲を覆うように射出成形により形成されてもよい。すなわち、センサ筐体11は、例えば、センサ端子15と第1導線21aの周囲に金型を配置し、センサ筐体11を構成する樹脂モールドの材料となる合成樹脂を加熱し、金型に流し込み、冷却し、凝固させることにより形成される。この場合、貫通孔11aは、センサ筐体11の一部に孔を貫通させることにより形成されるものではなく、当該射出成形により第1導線21a及び第1絶縁皮膜21bが位置する位置することにより、樹脂材料が第1絶縁皮膜21bの周囲で凝固することにより形成される。
【0062】
次に、2つの第2導線23aのx軸正側の端部であるコネクタ側端部は、それぞれコネクタ30のケーブル20側の端子、言い換えると、コネクタ30のx軸負側の端子と電気的に接続される。2つの第2導線23aとコネクタ30のx軸負側の端子との電気的接続の方法は特に限定されない。なお、2つの第2導線23aと、コネクタ30のx軸負側の端子との接続は、センサ10とケーブル20とが抵抗溶接される前に接続されていてもよい。
【0063】
次に、シース27のx軸正側の端部から露出した、2つの第1導線21aと、2つの第2導線23aとを接続部25により接合させる。
2つの接続部25による接合は、スプライスによる接合が挙げられるが、このような接合方法に限定されるものではなく、種々の方法によりなされてもよい。すなわち、第1導線21aと第2導線23aとを導通させた状態で固定する方法であれば、接合方法は特に限定されない。
【0064】
そして、被覆部材29により、第1コア線21の周面を被覆する。ここで、被覆部材29が熱収縮チューブである場合には、熱収縮チューブの円筒の内側に第1コア線21を通した上で、上記接続部25による第1導線21aと第2導線23aとを接合してもよい。
【0065】
また、熱収縮チューブである場合には、第1導線21aと接続部25とを覆うように配置し、熱収縮チューブの内側面を第1コア線21及び接続部25に密着させるように加熱することにより収縮させてもよい。
【0066】
なお、上記製造方法は、あくまで一例であって、手順は特に限定されるものではない。
[3.効果]
(1)本実施形態のセンサ付ケーブル1は、第1コア線21と、シース27と、第2コア線23と、被覆部材29と、を有する。第1コア線21は、所定のセンサ10が有するセンサ端子15と抵抗溶接により溶接される導線である第1導線21a及び当該第1導線21aの周囲を被覆し、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも低い材料で形成された第1絶縁皮膜21bを有する。シース27は、第1コア線21の第1絶縁皮膜21bの周面をさらに被覆し、基準よりも燃焼に対する抵抗性が高い材料で形成される。第2コア線23は、第1コア線21の導線である第1導線21aと導通するように接続された第2導線23a及び当該第2導線23aの周囲を被覆し、燃焼に対する抵抗性が基準よりも高い材料で形成された第2絶縁皮膜23bを有する。被覆部材29は、シース27から露出した第1コア線21の第1絶縁皮膜21bを少なくとも覆う、燃焼に対する抵抗性が基準よりも高い材料で形成される。
【0067】
このような構成によれば、センサ10が有する端子であるセンサ端子15と、第1コア線21が有する第1導線21aは抵抗溶接により溶接される。そして、第1コア線21の第1導線21aの絶縁皮膜である第1絶縁皮膜21bは、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高い材料で形成されていないため、当該材料を第1絶縁皮膜21bに用いたことに起因して、分離した当該第1絶縁皮膜21bが第1導線21aの表面に付着し、溶接不良の原因となることを抑制することができる。
【0068】
また、第1コア線21において、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも低い材料が用いられた第1絶縁皮膜21bの周面は、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高いシース27により被覆されるため、当該ケーブル20は燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高くなる。
【0069】
以上から、センサ付ケーブル1において、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高くしつつ容易に溶接できる。
(2)比較のため、センサ付ケーブル1とは異なるセンサ付ケーブルの構成例を
図8に示す。ここで、
図8に示す、比較例のセンサ付ケーブル100において、センサ付ケーブル1のセンサ10、シース27、被覆部材29と対応する構成をそれぞれ、センサ110、シース127、被覆部材129と表記する。
【0070】
燃焼に対する抵抗性を向上させるという観点からは、被覆部材129から露出している領域Aに含まれるコア線160の絶縁皮膜は、燃焼に対する抵抗性が基準よりも高い材料で形成されることが望ましい。しかしながら、コア線160の絶縁皮膜は、コア線160の導線を一様に被覆する。このため、コア線160の絶縁皮膜は、露出した側と反対側、図面でのx軸負側の端部まで導線を被覆する。コア線160のx軸負側の端部では、センサ110の端子と抵抗溶接をするために、コア線160の導線部分からコア線160の絶縁皮膜が剥離される。この際、コア線160の絶縁皮膜が燃焼に対する抵抗性が基準よりも高い材料で形成されている場合、当該絶縁皮膜には、難燃剤などが含有されていることにより脆くなる。その結果、脆い絶縁皮膜を導線から剥離する際に、導線の表面に絶縁皮膜が付着し、センサ110の端子とコア線160の導線との抵抗溶接において、溶接不良の原因となる。
【0071】
一方、本実施形態のセンサ付ケーブル1では、センサ10のセンサ端子15と抵抗溶接をする第1導線21aは、難燃剤を含有していない第1絶縁皮膜21bにより被覆されているため、剥離する際に第1絶縁皮膜21bの一部が第1導線21aの表面に付着することを抑制することができる。
【0072】
また、被覆部材29から露出した第2コア線23の第2絶縁皮膜23bは、燃焼に対する抵抗性が基準よりも高い材料で形成されている。センサ付ケーブル1において、燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高くしつつ、容易に溶接できる。
【0073】
(3)本実施形態のセンサ付ケーブル1は、第2コア線23が有する第2絶縁皮膜23bには、ハロゲン系難燃剤又はノンハロゲン系難燃剤が含有された材料が用いられる。
このような構成によれば、ハロゲン系難燃剤又はノンハロゲン系難燃剤が含有されることにより、第2コア線23の第2絶縁皮膜23bは、燃焼に対する抵抗性をあらかじめ決められた基準よりも高くすることができる。
【0074】
(4)本実施形態のセンサ付ケーブル1では、第2コア線23が有する第2絶縁皮膜23bは、ハロゲン系難燃剤が含有されたポリエチレンにより形成されてもよい。ハロゲン系難燃剤は、第2コア線23が有する第2絶縁皮膜23bのポリエチレン100質量部に対して、20質量部以上25質量部以下の量が含有されてもよい。
【0075】
このような構成によれば、ハロゲン系難燃剤がポリエチレン100質量部に対して、20質量部以上60質量部以下の量が含有することにより、第2コア線23の第2絶縁皮膜23bは、燃焼に対する抵抗性を基準よりも高くすることができる。
【0076】
(5)本実施形態のセンサ付ケーブル1では、第2コア線23が有する第2絶縁皮膜23bは、ノンハロゲン系難燃剤が含有されたポリエチレンにより形成されてもよい。ノンハロゲン系難燃剤は、第2コア線23が有する第2絶縁皮膜23bのポリエチレン100質量部に対して、20質量部以上25質量部以下の量が含有されてもよい。
【0077】
このような構成によれば、ノンハロゲン系難燃剤がポリエチレン100質量部に対して、20質量部以上60質量部以下の量が含有することにより、第2コア線23の絶縁皮膜は燃焼に対する抵抗性を基準よりも高くすることができる。
【0078】
(6)本実施形態のセンサ付ケーブル1は、第2コア線23と第1コア線21とを接続する金属製の接続部25を有し、被覆部材29は接続部25の周面を覆うように構成される。
【0079】
このような構成によれば、金属製の接続部25により第2コア線23と第1コア線21とを接続することができる。また、接続部25の周面を被覆部材29により絶縁することができる。
【0080】
(7)本実施形態のセンサ付ケーブル1は、第1コア線21、第2コア線23及び接続部25を複数有し、複数の接続部25は、互いに第1コア線21及び第2コア線23の長尺方向、言い換えると、x軸方向に沿って異なる位置に配置される。
【0081】
このような構成によれば、複数の接続部25同士が接触し、導通することを抑制することができる。
(8)本実施形態のセンサ付ケーブル1は、第2コア線23は、一方の端部である接続端部は第1コア線21と接続され、他方の端部であるコネクタ側端部は、他の部品と接続可能に構成されたコネクタ30が接続される。
【0082】
このような構成によれば、コネクタ30に他の部品又は装置を接続させることにより、コネクタ30を介して、他の部品又は装置とケーブル20の第2コア線23と、第1コア線21と、センサ10のセンサIC13と、センサ端子15とを導通させることができる。
【0083】
(9)本実施形態のセンサ付ケーブル1は、センサ10において燃焼への抵抗性が基準を満たす部材であるセンサ筐体11を有する。
このような構成によれば、センサ10を燃焼への抵抗性が基準を満たす部材により保護することができる。
【0084】
(10)本実施形態のセンサ付ケーブル1は、当該センサ付ケーブルを自動車の車両用のハーネスとして用いるための耐燃性の基準を満たしている。
このような構成によれば、自動車の車両用ハーネスが有するセンサ付ケーブルとして用いられる場合に、満たすべき耐燃性の基準を満たすことができる。
【0085】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0086】
(1)上記実施形態のセンサ付ケーブル1において、2つの接続部25のx軸方向に沿った位置が互いに異なるように配置され、これにより、金属部材である接続部25のそれぞれyz平面に沿って移動することに起因して接続部25同士が接触することが抑制される。これにより、接続部25同士、ひいては接続部25と導通している第1導線21a及び第2導線23a同士が導通することが抑制される。
【0087】
しかしながら、接続部25同士が接触することにより導通することを抑制する構成はこのような構成に限定されるものではない。他の実施形態における接続部分の構成を表した図を
図6に示す。
図6に示すように、センサ付ケーブル2の2つの接続部25同士の間に絶縁部材50を配置した構成であってもよい。
【0088】
このような構成によれば、接続部25同士の位置をx軸方向に沿って互いに異なる位置となるように配置する必要がないため、接続部25同士を互いに異なる位置に配置する場合に比べて、x軸方向に沿った2つの接続部25が配置される範囲を狭めることができる。
【0089】
その結果、2つの接続部25の外側を被覆する被覆部材29のx軸方向に沿った長さを短くすることができる。
また、絶縁部材50は、接続部25同士の接触が抑制され、絶縁部材50を介して接続部25同士が導通しない程度の絶縁性を有していればよい。
【0090】
絶縁部材50は、接続部25同士の間に配置された後に、被覆部材29で2つの接続部25の外側を被覆することにより、接続部25同士の間に固定されるものであってもよい。
また、絶縁部材50には、エチレン酢酸ビニルのような熱可塑性プラスチックが用いられてもよい。このような構成によれば、被覆部材29で、2つの接続部25の外側を被覆した後に、熱を加えることにより、絶縁部材50を軟化又は溶融させ、成形することができる。ここで、加熱される温度は、被覆部材29として熱収縮チューブが用いられる場合には、当該熱収縮チューブの収縮温度に設定されてもよい。
【0091】
さらに、
図6では、2つの接続部25がx軸方向に沿って互いに同じ位置に配置され、その間に絶縁部材50が配置される例を記載した。しかし、絶縁部材50が配置されるのは、2つの接続部25同士が互いに同じ位置に配置されるものに限定されるものではない。例えば、上記実施形態で記載したように、2つの接続部25がx軸に沿って互いに異なる位置に配置された構成で、更に絶縁部材50が2つの接続部25の間に配置されてもよい。
【0092】
このような構成によれば、2つの接続部25がx軸に沿って互いに異なる位置に配置されることにより接続部25同士が移動し、接触による導通を起こすことが抑制されると共に、絶縁部材50が2つの接続部25の間に介在することにより、更に接続部25同士が接触による導通を起こすことを抑制することができる。
【0093】
(2)上記実施形態のセンサ付ケーブル1において、コネクタ30の端子と接続されている2つの第2コア線23は、被覆部材29から露出しているが、第2コア線23は、被覆部材29から露出する構成に限定されるものではない。
【0094】
2つの第2コア線23の外側をシース40で被覆した構成を表した図を
図7に示す。
図7に示すように、例えば、2つの第2コア線23の外側をシース40で被覆した構成であってもよい。シース40は、シース27と同様、燃焼に対する抵抗性が基準よりも高い材料が用いられてもよい。
【0095】
なお、以下では、シース40を配置したセンサ付ケーブル3では、シース27を第1のシースとも表記し、シース40を第2のシースとも表記する。
ここで、上記実施形態のセンサ付ケーブル1における被覆部材29に対応するセンサ付ケーブル3の被覆部材69は、第1のシースであるシース27及び第2のシースであるシース40との両方を備える構成では、被覆する範囲が、シース27のx軸正側の端部と、シース40のx軸負側の端部とが、含まれてもよい。言い換えると、第1のシースと第2のシースとの近接する端部が被覆部材69により被覆される範囲に含まれてもよい。
【0096】
このような構成によれば、第2のシースであるシース40により第2コア線23を保護することができる。また、被覆部材69により第2コア線23を更に保護することができる。
(3)本実施形態のセンサ付ケーブル1では、コネクタ30と被覆部材29との間において、第2コア線23が露出する。露出した第2コア線23の燃焼に対する抵抗性を確保するため、第2コア線23の第2絶縁皮膜23bが燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも高いように構成される。しかしながら、第2コア線23がコネクタ30及び被覆部材29から露出しないような構成であれば、第2コア線23の第2絶縁皮膜23bが燃焼に対する抵抗性があらかじめ決められた基準よりも低いものが用いられてもよい。
【0097】
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1,2,3,100…センサ付ケーブル、10,110…センサ、11…センサ筐体、11a…貫通孔、13…センサIC、15…センサ端子、15a…第1端部、15b…第2端部、20…ケーブル、21…第1コア線、21a…第1導線、21b…第1絶縁皮膜、23…第2コア線、23a…第2導線、23b…第2絶縁皮膜、25…接続部、27,40,127…シース、29,69,129…被覆部材、30…コネクタ、50…絶縁部材、160…コア線。