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特許7456436露光装置、フラットパネルディスプレイ製造方法、及びデバイス製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】露光装置、フラットパネルディスプレイ製造方法、及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240319BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G03F7/20 501
H01L21/68 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021511345
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2020010753
(87)【国際公開番号】W WO2020203137
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2019066357
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】青木 保夫
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/062480(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/062483(WO,A1)
【文献】特開2012-84825(JP,A)
【文献】特開2011-228633(JP,A)
【文献】特開2012-169691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/67-21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項16】
デバイス製造方法であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
前記露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、フラットパネルディスプレイ製造方法、及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子、半導体素子等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程では、マスク(又はレチクル)に形成されたパターンを、エネルギビームを用いて基板(ガラス又はプラスチック等からなる基板、半導体ウエハ等)上に転写する露光装置が用いられている。
【0003】
この種の露光装置においては、基板搬送装置を用いて、基板を保持するステージ装置上の露光済みの基板の搬出、及び新たな基板のステージ装置上への搬入が行われる。基板の搬送方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/150787号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
露光装置は、露光装置本体と、前記露光装置本体を収容するチャンバと、前記チャンバ外の外部搬送ロボットによって搬送されてくる基板を受け取り、保持する、前記チャンバ内に設けられた基板保持部と、前記外部搬送ロボットから前記基板保持部への前記基板の受け渡し、前記基板保持部から前記露光装置本体が有する保持装置上への前記基板の受け渡し、前記保持装置上から前記外部搬送ロボットへの前記基板の受け渡し、を行う基板受け渡し装置と、を備えている。
【0006】
なお、後述の実施形態の構成を適宜改良しても良く、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させても良い。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(a)は、第1実施形態に係る露光装置を概略的に示す図であり、図1(b)は、図1(a)のA-A線断面図である。
図2図1(a)の横断面図である。
図3図3(a)は、図1(a)の基板搬出入ユニットを取り出して示す図であり、図3(b)は、図3(a)の基板搬出入ユニットを+X側から見た状態を示す図である。
図4図4(a)、図4(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図であり、第1実施形態の基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図5図5(a)、図5(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図であり、第1実施形態の基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図6図6(a)、図6(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図であり、第1実施形態の基板交換動作を説明するための図(その3)である。
図7図7(a)、図7(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図であり、第1実施形態の基板交換動作を説明するための図(その4)である。
図8図8(a)、図8(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図であり、第1実施形態の基板交換動作を説明するための図(その5)である。
図9図9(a)、図9(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図であり、第1実施形態の基板交換動作を説明するための図(その6)である。
図10図10(a)、図10(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図であり、第1実施形態の基板交換動作を説明するための図(その7)である。
図11図11(a)、図11(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図であり、第1実施形態の基板交換動作を説明するための図(その8)である。
図12】第2実施形態に係る露光装置を示す図(その1)である。
図13】第2実施形態に係る露光装置を示す図(その2)である。
図14】第3実施形態に係る露光装置の横断面図である。
図15図15(a)、図15(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び縦断面図であり、第3実施形態の基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図16図16(a)、図16(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び縦断面図であり、第3実施形態の基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図17図17(a)、図17(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び縦断面図であり、第3実施形態の基板交換動作を説明するための図(その3)である。
図18図18(a)、図18(b)は、ステージ装置近傍の平面図及び縦断面図であり、第3実施形態の基板交換動作を説明するための図(その4)である。
図19図19(a)、図19(b)は、第4実施形態に係る露光装置のステージ装置近傍の平面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図20図20(a)、図20(b)は、第4実施形態に係る露光装置のステージ装置近傍の平面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図21図21(a)、図21(b)は、第5実施形態に係る基板搬出入ユニットを説明するための図である。
図22図22(a)及び図22(b)は、第6実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図23図23(a)及び図23(b)は、第6実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図24】第6実施形態に係る露光装置の縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その3)である。
図25】第7実施形態に係る露光装置の縦断面図である。
図26図26(a)、図26(b)は、第8実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図27図27(a)、図27(b)は、第8実施形態の基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図28図28(a)、図28(b)は、第8実施形態の基板交換動作を説明するための図(その3)である。
図29図29(a)、図29(b)は、第8実施形態の基板交換動作を説明するための図(その4)である。
図30図30(a)、図30(b)は、第8実施形態の基板交換動作を説明するための図(その5)である。
図31図31(a)、図31(b)は、第9実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図32図32(a)、図32(b)は、第9実施形態に係る露光装置における基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図33図33(a)、図33(b)は、第10実施形態に係る露光装置の横断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図34図34(a)、図34(b)は、第10実施形態に係る露光装置の横断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図35図35(a)、図35(b)は、第11実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図36図36(a)、図36(b)は、第11実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図37図37(a)、図37(b)は、第11実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その3)である。
図38図38(a)~図38(c)は、第11実施形態に係る露光装置の縦断面図であり、基板交換動作を説明するための図(その4)である。
図39図39(a)は、第12実施形態に係る衝立部材近傍の縦断面図であり、図39(b)は、図39(a)のB-B線断面図である。
図40図40(a)、図40(b)は、第12実施形態における基板交換動作を説明するための図(その1)である。
図41図41(a)~図41(c)は、第12実施形態における基板交換動作を説明するための図(その2)である。
図42】基板フィーダの変形例(その1)を説明するための図である。
図43図43(a)、図43(b)は、基板フィーダの変形例(その2)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
≪第1実施形態≫
以下、本発明に係る第1実施形態について、図1図11に基づいて説明する。
【0009】
図1(a)は、第1実施形態に係る露光装置100の構成を概略的に示す縦断面図である。また、図1(b)には、図1(a)のA-A線断面図が示され、図2には、図1(a)の横断面図が示されている。なお、図1(b)においては、便宜上、チャンバ200や照明系12の図示が省略されている。
【0010】
露光装置100は、図1(a)に示すように、チャンバ200と、チャンバ200内に収容された露光装置本体10、基板搬出入ユニット150、及び基板スライドハンド140と、を備える。露光装置100のチャンバ200の外側には、外部搬送ロボット300が設けられており、外部搬送ロボット300により、外部装置(不図示)から露光装置100への基板Pの搬送及び露光装置100から外部装置への基板Pの搬送が行われる。
【0011】
(チャンバ200)
チャンバ200は、内部環境(温度、湿度、圧力、及びクリーン度の少なくとも一つ)が調整された空間を形成しており、その一部には、基板Pの搬出入に用いられる開口200aが形成されている。
【0012】
(露光装置本体10)
露光装置本体10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0013】
露光装置本体10は、照明系12、回路パターン等のパターンが形成されたマスクMを保持するマスクステージ14、投影光学系16、表面(図1(a)で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持するステージ装置20、及びこれらの制御系等を有している。以下、図1(a)に示すように、露光装置本体10に対して互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を設定し、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系16に対してそれぞれX軸方向に沿って相対走査されるものとし、Y軸が水平面内に設定されているものとして説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0014】
照明系12は、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成され、露光用照明光(照明光)ILをマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)のうち少なくとも1つの波長を含む光が用いられる。また、照明系12で用いられる光源、及び該光源から照射される照明光ILの波長は、特に限定されず、例えばArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。
【0015】
マスクステージ14は、光透過型のマスクMを保持している。マスクステージ14は、鏡筒定盤216上に固定された一対のマスクステージガイド218上に非接触状態で搭載されている。なお、一対のマスクステージガイド218は、X軸方向を長手方向とする角柱状の部材であり、図1(b)に示すようにY軸方向に所定間隔を空けて配置されている。マスクステージ14は、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動される。また、マスクステージ14は、照明系12、ステージ装置20、投影光学系16の少なくともいずれかとの相対位置を調整するために、そのX位置やY位置をストロークで移動させる微動駆動系により駆動させる。マスクステージ14の位置情報は、例えば、リニアエンコーダシステムや干渉計システムを含むマスクステージ位置計測系(不図示)により求められる。
【0016】
投影光学系16は、マスクステージ14の下方(-Z側)において、鏡筒定盤216に支持されている。投影光学系16は、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される投影光学系と同様な構成の、いわゆるマルチレンズ型の投影光学系であり、例えば正立正像を形成する両側テレセントリックな複数の光学系を備えている。なお、投影光学系16は、マルチレンズ型でなくてもよい。半導体露光装置に用いられるような、一つの投影光学系により構成されていてもよい。
【0017】
露光装置本体10では、照明系12からの照明光ILによる所定の照明領域内に位置するマスクMが照明されると、その照明領域内のマスクMのパターンの投影像(部分的なパターンの像)が、投影光学系16によって露光領域に形成される。そして、照明領域(照明光IL)に対してマスクMが走査方向に相対移動するとともに、露光領域に対して基板Pが走査方向に相対移動することで、基板P上に走査露光が行われ、マスクMに形成されたパターン(マスクMの走査範囲に対応するパターン全体)が転写される。
【0018】
ステージ装置20は、定盤22、基板テーブル24、支持装置26、及び基板ホルダ28を備える。
【0019】
定盤22は、床F上に設置された防振装置210によって下側から支持された一対のステージ架台212上に設けられている。なお、一対のステージ架台212は、一対のサイドコラム214を支持しており、一対のサイドコラム214により、鏡筒定盤216が支持されている。定盤22は、例えば上面(+Z面)がXY平面に平行となるように配置された平面視(+Z側から見て)矩形の板状の部材から成る。
【0020】
支持装置26は、定盤22上に非接触状態で載置され、基板テーブル24を下方から非接触で支持している。基板ホルダ28は基板テーブル24上に配置され、基板テーブル24と基板ホルダ28とは、ステージ装置20が備える不図示のステージ駆動系により一体的に駆動される。ステージ駆動系は、例えばリニアモータなどを含み、基板テーブル24をX軸、及びY軸方向に(定盤22の上面に沿って)所定のストロークで駆動可能な粗動系と、例えばボイスコイルモーターを含み、基板テーブル24を6自由度(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、及びθz)方向に微小駆動する微動系とを備える。また、ステージ装置20は、例えば光干渉計システムやエンコーダシステムなどを含み、基板テーブル24の上記6自由度方向の位置情報を求めるためのステージ計測系を備えている。なお、図1(b)及び図2には、ステージ計測系に含まれるY干渉計32Yと、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡(バーミラー)34Yとが図示されている。Y移動鏡34Yは、基板テーブル24に固定されている。
【0021】
基板ホルダ28は、平面視矩形状の上面28u(+Z側の面)を有し、上面28uには基板Pが載置される。図2に示すように、基板ホルダ28の上面28uは、その縦横比が基板Pとほぼ同じである。一例として、上面28uの長辺及び短辺の長さは、基板Pの長辺及び短辺の長さに対して、それぞれ幾分短く設定されている。
【0022】
基板ホルダ28の上面28uは、全面に渡って平坦に仕上げられている。また、基板ホルダ28の上面28uには、空気吹き出し用の微小な孔部(不図示)、真空吸引用の微小な孔部(不図示)が複数形成されている。なお、空気吹き出し用の微小な孔部と真空吸引用の微小な孔部として、共通の孔部を併用してもよい。基板ホルダ28は、不図示のバキューム装置から供給される真空吸引力を用いて、上記複数の孔部を介して、上面28uと基板Pとの間の空気を吸引し、上面28uに基板Pを吸着させる(平面矯正する)ことが可能である。基板ホルダ28は、いわゆるピンチャック型のホルダであって、複数のピン(直径が、例えば直径1mm程度と非常に小さいピン)がほぼ均等な間隔で配置されている。基板ホルダ28は、この複数のピンを有することで、基板Pの裏面にゴミや異物を挟み込んで支持する可能性を低減でき、その異物の挟み込みによる基板Pの変形の可能性が低減できる。基板Pは、複数のピンの上面に保持(支持)される。この複数のピンの上面により形成されるXY平面を、基板ホルダ28の上面とする。また、基板ホルダ28は、不図示の加圧気体供給装置から供給される加圧気体(例えば空気)を、上記孔部を介して上面28uと基板Pとの間に供給(給気)することによって、基板ホルダ28に吸着された基板Pの裏面を上面28uに対して離間(基板Pを浮上)させることが可能である。また、基板ホルダ28に形成された複数の孔部のそれぞれで、加圧気体を給気するタイミングに時間差を生じさせたり、真空吸引を行う孔部と加圧気体を給気する孔部の場所を適宜交換したり、吸引と給気とで空気圧力を適宜変化させたりすることによって、基板Pの接地状態を制御(例えば、基板Pの裏面と基板ホルダ28の上面28uとの間に空気溜まりが発生しないように)できる。
【0023】
なお、基板ホルダ28は、基板Pを上面28uに吸着させず、浮上支持した状態で基板Pの平面矯正を行うようにしても良い。この場合、基板ホルダ28は、不図示の加圧気体供給装置から供給される加圧気体(例えば空気)を、上記孔部を介して基板Pの裏面に供給(給気)することによって、基板Pの下面と基板ホルダ28の上面28uとの間に気体を介在させる(すなわち、気体膜を形成する)。また、基板ホルダ28は、真空吸引装置を用いて、真空吸引用の孔部を介して基板ホルダ28と基板Pとの間の気体を吸引し、基板Pに対して重力方向下向きの力(プリロード)を作用させることにより、上記気体膜に重力方向の剛性を付与する。そして、基板ホルダ28は、加圧気体の圧力及び流量と真空吸引力とのバランスにより、基板PをZ軸方向に微小なクリアランスを介して浮上させて非接触で保持(支持)しつつ、基板Pに対してその平面度を制御する力(例えば、平面度を矯正または補正する力)を作用させるようにしてもよい。なお、各孔部は基板ホルダ28を加工して形成してもよいし、多孔質材により基板ホルダ28を形成することで、空気を供給したり、吸引したりするようにしてもよい。また、基板Pを浮上支持される基板ホルダ28における、上面28uは、孔部が形成される面ではなく、その面から上記のクリアランス分上方に位置する仮想面、つまり、平面矯正された基板の上面を、上面28uとする。
【0024】
基板ホルダ28の上面28uにおける-X側の端部には、図1(a)、図2に示すように、例えば2つの切り欠き28aがY軸方向に離間して形成されている。2つの切り欠き28a近傍には、基板搬入ベアラ装置25が設けられている。基板搬入ベアラ装置25は、不図示のバキューム装置から供給される真空吸引力により、基板Pの下面を吸着保持する吸着パッド27と、吸着パッド27をZ軸方向に沿って駆動するZ駆動機構23Zと、Z駆動機構23Z(及び吸着パッド27)をY軸方向に沿って駆動するY駆動機構23Yと、を備える。吸着パッド27は、最も-Z側に位置した状態で、基板ホルダ28に形成された切り欠き28a内に入った状態となる。また、吸着パッド27は、最も+Z側に位置した状態で、基板ホルダ28の上方に位置するようになっている。
【0025】
上記露光装置本体10では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージ14上へのマスクMのロードが行われるとともに、後述する基板搬出入ユニット150や基板スライドハンド140によって、基板ホルダ28上への基板Pの搬入が行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、そのアライメント計測の終了後、基板P上に設定された複数のショット領域に逐次ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の露光動作と同様であるので、X方向をスキャン方向とする。なお、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作に関する詳細な説明は省略するものとする。そして、露光処理が終了した基板Pが基板スライドハンド140等により基板ホルダ28上から搬出されるとともに、次に露光される別の基板Pが基板ホルダ28に搬入されることにより、基板ホルダ28上の基板Pの交換が行われ、複数の基板Pに対する一連の露光動作が連続して行われる。
【0026】
(基板搬出入ユニット150)
基板搬出入ユニット150は、図1(a)に示すように、チャンバ200の開口200a近傍に設けられている。図3(a)には、図1(a)から基板搬出入ユニット150を取り出した状態が示され、図3(b)には、図3(a)の基板搬出入ユニット150を+X側から見た状態が示されている。
【0027】
図3(a)に示すように、基板搬出入ユニット150は、XZ断面逆L字状の衝立部材152と、衝立部材152に設けられた搬入口シャッタ154及び搬出口シャッタ156と、衝立部材152に固定された基板フィーダ160と、を備える。
【0028】
衝立部材152には、図3(a)、図3(b)に示すように、X軸方向から見た形状が矩形状であり、X軸方向に貫通形成された、搬入口152U及び搬出口152Lを有する。搬入口152U及び搬出口152Lの大きさは、基板Pが通過できるほどの僅かな開口であり、搬入口152U及び搬出口152Lを介してチャンバ200内にゴミが進入しづらくなっている。搬入口152Uの近傍には、上下方向(Z軸方向)にスライドすることで搬入口152Uを開閉する搬入口シャッタ154が設けられている。また、搬出口152Lの近傍には、Y軸方向に延びる回転軸156aを中心として回転することで搬出口152Lを開閉する搬出口シャッタ156が設けられている。
【0029】
基板フィーダ160は、衝立部材152により床Fから所定高さの位置で、衝立部材152により片持ち支持されている。ここで「所定高さの位置」とは、ステージ装置20が基板交換位置(図8(b)参照)まで移動したときに、基板フィーダ160の下方にステージ装置20が位置できる程度の高さ位置である。基板フィーダ160は、XZ断面が略直角三角形状の板状部材を含み、基板フィーダ160の上面は、XY面に対して傾斜している。なお、図3(a)の例では、基板フィーダ160の上面の+X側端部については、XY面に対して平行となっている。基板フィーダ160の上面には、不図示であるが、空気吹き出し用の微小な孔部(不図示)が複数形成されている。基板フィーダ160においては、不図示の加圧気体供給装置から供給される加圧気体(例えば空気)を孔部を介して基板フィーダ160の上面に載置された基板Pの裏面に供給(給気)することによって、基板Pの裏面を基板フィーダ160の上面に対して離間(基板Pを浮上)させることが可能である。また、基板フィーダ160は、不図示のバキューム装置から供給される真空吸引力により、基板Pの下面を吸着保持するための孔部を有する。なお、加圧気体を供給する孔部と真空吸引のための孔部は共通の孔部であってもよい。基板フィーダ160は、図2に示すように、定盤22の+X側かつ+Y側の隅部の上方に設けられている。また、図1(a)に示すように、基板フィーダ160の-X側の端部は、鏡筒定盤216の下方まで延びており、鏡筒定盤216の一部には、基板フィーダ160が保持する基板Pとの接触を避けるための切り欠き216aが形成されている。
【0030】
(基板スライドハンド140)
基板スライドハンド140は、図2に示すように、基板フィーダ160の+Y側に設けられている。基板スライドハンド140は、吸着パッド142と、吸着パッド142を上下動する(Z軸方向に沿って往復駆動する)上下動機構144とを有する。上下動機構144は、X軸方向に沿って床Fから所定高さの位置に敷設されたレール146に沿ってX軸方向に移動可能となっている。すなわち、吸着パッド142は、X軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。吸着パッド142は、不図示のバキューム装置から供給される真空吸引力により、基板Pの下面を吸着保持することができるようになっている。
【0031】
基板スライドハンド140は、外部搬送ロボット300により搬送されてきた基板Pの下面の一部を吸着保持して-X方向に移動することで、基板Pをチャンバ200の外部から内部に引き込む。また、基板スライドハンド140は、チャンバ200内に引き込んだ基板Pを保持したまま、基板フィーダ160の上面に沿って移動することで、基板Pを基板フィーダ160上に受け渡す。更に、基板スライドハンド140は、基板ホルダ28上に載置されている露光済みの基板Pの下面の一部を吸着保持して+X方向に移動することで、基板Pをチャンバ200内部から外部に送り出す。
【0032】
外部搬送ロボット300は、露光装置100(チャンバ200)外に設けられたコータ/デベロッパなどの外部装置(不図示)と露光装置100との間における基板Pの搬送を行う。外部搬送ロボット300は、図1(a)や図2に示すように、平板状のロボットハンド300Fを有している。ロボットハンド300Fの上面には、不図示であるが、空気吹き出し用の微小な孔部(不図示)が複数形成されている。ロボットハンド300Fにおいては、不図示の加圧気体供給装置から供給される加圧気体(例えば空気)を孔部を介してロボットハンド300Fの上面に載置された基板Pの裏面に供給(給気)することによって、基板Pの裏面をロボットハンド300Fの上面に対して離間(基板Pを浮上)させることが可能である。また、ロボットハンド300Fは、不図示のバキューム装置による真空吸引力により、基板Pの下面を吸着保持するための孔部を有する。なお、加圧気体を供給する孔部と真空吸引のための孔部は共通の孔部であってもよい。
【0033】
(基板交換動作)
以下、露光装置100における基板ホルダ28上の基板Pの交換動作について、図1(a)~図2図4(a)~図11(b)を用いて詳細に説明する。以下の基板交換動作は、不図示の主制御装置により制御される。なお、基板交換動作を説明するための図4(a)~図11(b)の各図においては、理解を容易にするため、構成要素の動作方向が模式的に白抜矢印で示されている。また、気体を吸引または供給(給気)する状態が黒矢印又は破線矢印によって模式的に示されている。なお、図4(a)、図4(b)は、同一のタイミングにおけるステージ装置20近傍の平面図及び図1(a)のA-A線断面図を示しており、図5(a)及び図5(b)、図6(a)及び図6(b)、…図11(a)及び図11(b)も、同一のタイミングにおけるステージ装置近傍の平面図及びA-A線断面図を示している。なお、図4(a)~図11(b)においては、露光装置100の構成のうち、説明に不要な構成の図示が省略されている。
【0034】
また、基板交換動作の説明の前提として、ステージ装置20の基板ホルダ28には、あらかじめ基板P1が載置されているものとする。また、基板交換動作においては、露光済みの基板P1を搬出する動作と、新たに露光する(基板P1とは別の)基板P2を基板ホルダ28に搬入(載置)する動作とが実行されるものとする。なお、基板P2は、未露光(1度も露光されていない)基板であってもよいし、2度目以降の露光を行う基板であってもよい。
【0035】
図1(a)や図2のように、露光装置本体10において基板P1に対する露光が行われている状態で、主制御装置は、露光前の基板P2を保持する外部搬送ロボット300をチャンバ200近傍(搬入口152U近傍)まで駆動する。なお、外部搬送ロボット300のロボットハンド300Fは、基板P2の下面(-Z面)の大半に接触した状態となっているが、基板P2の-X側の端部の下面には接触していないものとする。
【0036】
図4(a)、図4(b)の動作)
この状態から、主制御装置は、搬入口シャッタ154を+Z方向にスライドさせることで、搬入口152Uを開放する(図4(b)の矢印A1参照)。次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット300を-X方向に駆動し(図4(a)、図4(b)の矢印A2参照)、基板P2の-X側の端部をチャンバ200内に進入させる。これにより、基板P2の-X側の端部は、基板フィーダ160の上方に位置するようになっている。なお、本第1実施形態では、外部搬送ロボット300は、チャンバ200内に進入しないものとする。これにより、チャンバ200内への塵埃の進入を極力抑制することができる。
【0037】
次いで、主制御装置は、基板スライドハンド140を駆動して、吸着パッド142を+X方向(図4(b)の矢印A3方向)及び+Z方向(矢印A4方向)に移動させることで、吸着パッド142を基板P2の下面の一部(-X側かつ+Y側の端部)に接触させる。また、主制御装置は、吸着パッド142による、基板P2の下面(-Z面)の一部の吸着保持を開始する(図4(b)の黒塗り矢印A5参照)。
【0038】
図5(a)、図5(b)の動作)
次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット300のロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ160の上面から、加圧気体の供給(給気)を開始する(図5(b)の矢印B1、B2参照)。これにより、基板P2がロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ160の上面から浮上し、基板P2の下面とロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ160の上面との間の摩擦が無視できる程度(低摩擦状態)になる。この状態から、主制御装置は、基板スライドハンド140の吸着パッド142を-X方向(図5(b)の矢印B2方向)及び-Z方向(矢印B3方向)に駆動する。すなわち、吸着パッド142を基板フィーダ160の上面に沿った方向(図5(a)、図5(b)の矢印B5方向であり、XZ面内でX軸及びZ軸に傾斜する方向)に移動させる。これにより、基板P2は、ロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ160の上面に沿ってチャンバ200内に搬送されるようになっている。基板P2は、ロボットハンド300Fの上面と基板フィーダ160の上面とに支持された状態で、基板スライドハンド140により移動される。
【0039】
図6(a)、図6(b)の動作)
上述のようにして、基板P2がロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ160の上面に沿って搬送され、図6(a)、図6(b)の位置まで到達すると、主制御装置は、搬入口シャッタ154を-Z方向にスライドさせ、搬入口152Uを閉じる(図6(b)の矢印C1参照)。これにより、チャンバ200の外部から内部へ搬入口152Uを介してゴミが進入することを防ぐことができる。主制御装置は、外部搬送ロボット300を-X方向に駆動する(図6(a)、図6(b)の矢印C2参照)。なお、露光装置本体10においては、基板P1に対する露光が継続して行われている。
【0040】
図7(a)、図7(b)の動作)
次いで、主制御装置は、基板フィーダ160の不図示のバキューム装置を駆動し、真空吸引力により基板P2を吸着保持する。そして、主制御装置は、基板スライドハンド140の吸着パッド142による吸着保持を解除し、吸着パッド142を-Z方向に下降駆動する(図7(b)の矢印D1参照)。また、主制御装置は、外部搬送ロボット300を-Z方向(矢印D2参照)に駆動するとともに、-X方向(矢印D3参照)に駆動することで、ロボットハンド300Fの-X端部を搬出口152Lに近づける。更に、主制御装置は、搬出口シャッタ156を反時計回り方向(矢印D4方向)に回転駆動することで、搬出口152Lを開放する。これにより、基板ホルダ28上の基板の交換準備が完了する。なお、この段階で、基板ホルダ28上の基板P1に対する露光動作が終了するものとする。
【0041】
図8(a)、図8(b)の動作)
主制御装置は、露光動作が完了した後に、ステージ装置20を基板交換位置(基板フィーダ160の下方)まで駆動する(図8(a)、図8(b)の矢印E1参照)。次いで、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27をわずかに上昇させる(矢印E2参照)とともに、吸着パッド27に基板P1の下面を吸着保持させる(矢印E3参照)。また、主制御装置は、基板ホルダ28の上面28uから加圧気体の供給(給気)を開始することで(矢印E4参照)、基板P1を基板ホルダ28の上面28uに対してわずかに浮上させる。更に、主制御装置は、基板P1を吸着保持した吸着パッド27を+Y方向に移動させる(矢印E5参照)ことにより、基板P1を基板ホルダ28から+Y方向にわずかにオフセットさせる。このオフセットにより、基板P1の下面の-X側かつ+Y側の隅部を基板スライドハンド140の吸着パッド142が保持できるようになる。
【0042】
主制御装置は、基板P1が基板ホルダ28からオフセットした状態で、基板スライドハンド140の吸着パッド142を上昇駆動し(矢印E6参照)、吸着パッド142に基板P1の下面を吸着保持させる。なお、主制御装置は、図8(a)、図8(b)の段階で、外部搬送ロボット300のロボットハンド300Fの上面からの加圧気体の供給(給気)を開始しているものとする(矢印E7参照)。なお、図7(b)の段階で、主制御装置は、搬出口シャッタ156を反時計回り方向(矢印D4方向)に回転駆動することで、搬出口152Lを開放するとしたが、図8(b)の段階で、搬出口152Lを開放するようにしてもよい。
【0043】
図9(a)、図9(b)の動作)
次いで、主制御装置は、基板スライドハンド140の吸着パッド142を+X方向に駆動し(図9(a)、図9(b)の矢印F1参照)、基板P1を基板ホルダ28上からロボットハンド300F上にスライド搬送する。これにより、露光済みの基板P1がロボットハンド300F上に受け渡される。つまり、基板P1は、基板ホルダ28の上面とロボットハンド300Fの上面とに支持された状態で、基板スライドハンド140により移動される。主制御装置は、ロボットハンド300Fが基板P1を受け取ったタイミングで、ロボットハンド300Fからの加圧気体の供給(吸気)を停止するとともに、不図示のバキューム装置を駆動し、真空吸引力により、ロボットハンド300Fに基板P1を吸着保持させる。
【0044】
また、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27を上昇駆動し(矢印F2参照)、基板フィーダ160に保持されている基板P2の下面の-X端部に接触させ、吸着パッド27による基板P2の吸着保持を開始する(矢印F3参照)。
【0045】
図10(a)、図10(b)の動作)
次いで、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27が基板P2を吸着保持した状態で、ステージ装置20を-X方向に駆動する(矢印G1参照)。この場合、ステージ装置20が基板フィーダ160から離れるにつれて、基板フィーダ160が保持する基板P2の面積が徐々に減少し、基板ホルダ28が支持する基板P2の面積が徐々に増加するようになっている。これにより、図10(a)に示すように、基板P2が基板フィーダ160上から基板ホルダ28上に受け渡されるようになっている。
【0046】
なお、主制御装置は、基板P1をロボットハンド300Fに受け渡した後の吸着パッド142を下降駆動し(矢印G2参照)、搬出口シャッタ156を時計回り方向(矢印G3参照)に回転駆動することで、搬出口152Lを閉じる。これにより、チャンバ200の外部から内部へ搬出口152Lを介してゴミが進入することを防ぐことができる。主制御装置は、基板P1を保持した外部搬送ロボット300を+X方向に駆動し(矢印G4参照)、基板P1を外部装置まで搬送させる。
【0047】
図11(a)、図11(b)の動作)
主制御装置は、基板フィーダ160から基板ホルダ28上への基板P2の受け渡しを完了すると、基板フィーダ160の上面からの加圧気体の供給(給気)を停止する。また、主制御装置は、吸着パッド27を微小駆動することで、基板P2のアライメント(位置調整)を行う(矢印H1参照)。その後、主制御装置は、吸着パッド27を下降駆動し(矢印H2参照)、基板ホルダ28による基板P2の吸着保持を開始して、基板ホルダ28上に新たに載置された基板P2に対する露光を開始する。
【0048】
その後は、上述した図4(a)、図4(b)~図11(a)、図11(b)の処理を繰り返し実行することで、複数の基板Pに対する露光が繰り返し行われるようになっている。
【0049】
以上、詳細に説明したように、本第1実施形態によると、露光装置100は、露光装置本体10と、露光装置本体10を収容するチャンバ200と、チャンバ200外の外部搬送ロボット300によって搬送されてくる基板Pを受け取り、保持する基板フィーダ160と、外部搬送ロボット300から基板フィーダ160への基板Pの受け渡し、基板フィーダ160から露光装置本体10が有する基板ホルダ28上への基板Pの受け渡し、基板ホルダ28上から外部搬送ロボット300への基板Pの受け渡し、を行う基板スライドハンド140及び基板搬入ベアラ装置25と、を備えている。これにより、従前(たとえば、特開2001-332600号)において、基板Pを外部搬送ロボット300から基板フィーダ160に受け渡すために設けられていた基板受け渡しポート部が不要となる。基板受け渡しポート部は、露光装置本体10と外部搬送ロボット300との間の位置に設けられるため、基板受け渡しポート部を設けない露光装置100では、基板受け渡しポート部の分だけ、装置の小型化(フットプリントの狭小化)を図ることができる。また、基板受け渡しポート部を省略することで、露光装置100のコスト低減を図ることもできる。さらに、基板受け渡しポート部を有する露光装置では、基板Pは、外部搬送ロボット300から基板受け渡しポート部へ、基板受け渡しポート部から基板ホルダ28へと、基板の受け渡し動作が2度生じる。基板の受け渡し動作を行う度に、基板Pには余計な応力がかかり、基板Pが変形したり破損したりする恐れがある。そのため、本第1実施形態のように、露光装置本体10と外部搬送ロボット300との間で基板受け渡し動作が1度しか生じない場合は、基板Pの変形や破損が起こりづらいという効果がある。
【0050】
また、本第1実施形態では、基板スライドハンド140は、基板Pの一部を保持した状態で、基板フィーダ160から基板ホルダ28上への基板Pの受け渡しの際に基板フィーダ160と基板ホルダ28とが並ぶX軸方向を含む方向に移動する。これにより、基板スライドハンド140の移動に伴って、基板Pを基板フィーダ160から基板ホルダ28上に移載することができる。
【0051】
また、本第1実施形態では、基板フィーダ160の上面(基板支持面)は、基板ホルダ28の上面に対して傾斜しており、基板搬入ベアラ装置25が基板Pの一部を保持した状態でステージ装置20が-X方向に移動することで、基板フィーダ160から基板ホルダ28上への基板Pの受け渡しが行われるようになっている。これにより、基板フィーダ160の上面に沿って基板Pをスライドさせながら、基板ホルダ28へ基板Pを受け渡すことができるため、基板ホルダ28へ基板Pを受け渡す際の基板Pの撓み等を抑制することができる。
【0052】
また、本第1実施形態では、外部搬送ロボット300が露光装置100のチャンバ200内に進入しないため、外部搬送ロボット300に付着した塵埃がチャンバ200内へ進入することを防ぐことができる。また、チャンバ200の容積を小さくできるため、チャンバ200内の温度管理がしやすくなる。また、チャンバ200内に外部搬送ロボット300が進入しないため、外部搬送ロボット300と露光装置100の各部との接触等を極力抑制することができる。また、チャンバ200内とチャンバ200外とを繋げる開口が、基板Pを移動させるほどの大きさを有する搬入口152U及び搬出口152Lしかなく、チャンバ内へのゴミの進入を防ぐことができる。
【0053】
また、本第1実施形態では、基板フィーダ160の上面の+X側端部が、XY面に対して平行となっている。これにより、基板スライドハンド140は、外部搬送ロボット300によって搬送されてきた基板Pを容易に受け取ることができる。
【0054】
また、本第1実施形態では、基板フィーダ160の上面に基板Pを保持させた状態で、基板ホルダ28上の基板Pを外部搬送ロボット300に受け渡し、その直後に、基板フィーダ160が保持する基板Pを基板ホルダ28上に受け渡すこととしている。これにより、基板受け渡しポート部がなくても、速やかに基板ホルダ28上の基板の交換を行うことができる。
【0055】
また、本第1実施形態では、衝立部材152の搬入口152Uと搬出口152Lとを別々に設けているため、基板交換動作中に搬入口152Uと搬出口152Lとを同時に開放せず、搬入口152Uと搬出口152Lとを個別に開閉することで、塵埃の進入を抑制することが可能である。
【0056】
なお、上記第1実施形態では、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27がY軸方向に移動可能である場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、基板ホルダ28上の基板PをY軸方向に移動させなくても(オフセットさせなくても)、基板スライドハンド140の吸着パッド142が基板Pの下面を吸着保持できる場合には、吸着パッド27がY軸方向に移動できなくてもよい。
【0057】
なお、上記第1実施形態では、外部搬送ロボット300のロボットハンド300Fが、上面で基板Pをエア浮上可能な平板状の部材である場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、基板Pを発塵なくスライドさせることができるのであれば、ロボットハンド300Fはフォーク状の部材などであってもよい。また、ロボットハンド300Fは、ころがり接触によって基板PをX軸方向に送る回転ローラを有していてもよい。ロボットハンド300Fに回転ローラを設けることで、基板Pがロボットハンド300Fに接触した場合の摩擦を軽減し、発塵を抑制することができる。
【0058】
なお、上記第1実施形態では、基板搬出入ユニット150の搬入口152Uや搬出口152L近傍に、加圧気体を供給(給気)することで基板Pに浮上力を付与する機構が設けられていてもよい。また、基板搬出入ユニット150の搬入口152Uや搬出口152L近傍には、ころがり接触によって基板PをX軸方向に送る回転ローラが設けられていてもよい。
【0059】
なお、上記第1実施形態では、基板搬出入ユニット150の衝立部材152に基板フィーダ160が固定されている場合について説明したが、これに限られるものではない。基板フィーダ160は、衝立部材152とは異なる部材に固定されてもよい。
【0060】
なお、上記第1実施形態では、基板フィーダ160を定盤22の+X側かつ+Y側の隅部の上方に設ける場合について説明したが、これに限られるものでない。露光動作の邪魔にならなければ、基板フィーダ160を例えば定盤22の+X側端部かつY軸方向中央部の上方に設けることとしてもよい。
【0061】
なお、上記第1実施形態では、基板搬出入ユニット150の衝立部材152に搬入口シャッタ154及び搬出口シャッタ156を設ける場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、搬入口シャッタ154及び搬出口シャッタ156の少なくとも一方を、チャンバ200に設けることとしてもよい。
【0062】
《第2実施形態》
次に、第2実施形態に係る露光装置について、図12図13を用いて説明する。第2実施形態に係る露光装置100Aの構成は、基板フィーダの一部の構成及び動作が異なる点を除き、上記第1実施形態と同じであるので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については、上記第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図12は、第2実施形態に係る露光装置100Aを示す図(第1実施形態の図1(a)に対応する図)である。
【0064】
第1実施形態においては、基板搬出入ユニット150の衝立部材152に基板フィーダ160が固定されていたが、本第2実施形態の基板搬出入ユニット150Aにおいては、図12に示すように、衝立部材152に設けられた回転軸162に基板フィーダ161が取り付けられた状態となっている。
【0065】
基板フィーダ161の形状や機能は、第1実施形態の基板フィーダ160と同様であるが、基板フィーダ161は、Y軸方向に延びる回転軸162に取り付けられているため、回転軸162を中心とした回動が自在となっている。なお、図12図13では不図示であるが、基板フィーダ161は、不図示の駆動機構(モータ等を含む)により、回動されるようになっている。
【0066】
また、本第2実施形態では、基板フィーダ161が回動自在であることに伴い、鏡筒定盤216に形成された切り欠き216bは、基板フィーダ161や基板スライドハンド140との機械的な干渉を避けるために第1実施形態の切り欠き216aよりも大きく設定されている。
【0067】
基板フィーダ161は、図12に示すような、上面(基板支持面)がXY面と平行な状態と、図13に示すような、基板支持面がXY面に対して傾斜した状態(第1実施形態と同様の状態)との間で遷移する。
【0068】
(基板交換動作)
本第2実施形態では、主制御装置は、基板スライドハンド140により基板P(P2)をチャンバ200の外部から搬入する際に、駆動機構を制御して、図12に示すように、基板支持面(上面)をXY面に対して平行に保つようにする。また、主制御装置は、基板スライドハンド140が基板P(P2)を基板フィーダ161上に引き込むときに、外部搬送ロボット300の上面と基板フィーダ161の基板支持面から加圧気体を供給(給気)する。これにより、基板フィーダ161の基板支持面(上面)と外部搬送ロボットの支持面とが面一(同一平面内)とすることができる。この状態で、主制御装置は、基板スライドハンド140により基板P2を移動させるため、基板P2に余計な応力がかかることによる基板の変形や破損を防ぐことができる。
【0069】
そして、図12に示すように基板P(P2)が基板フィーダ161上に受け渡されると、主制御装置は、基板フィーダ161による基板P(P2)の吸着保持を開始する。また、主制御装置は、駆動機構を制御して、図13に示すように、基板フィーダ161を反時計回りに回転させ、基板フィーダ161の基板支持面をXY面に対して傾斜させた後、第1実施形態と同様に、基板ホルダ28上の基板を交換する。
【0070】
以上説明したように、本第2実施形態によると、基板フィーダ161は、基板支持面がXY面に対して平行な状態と、傾斜した状態との間で遷移できるようになっているので、基板Pを外部搬送ロボット300から受け取るときや、基板ホルダ28に受け渡すときにおいて、適切な状態(姿勢)に設定することができる。これにより、搬入口152Uや基板フィーダ161と基板Pとが接触する可能性を低減することができる。
【0071】
また、基板スライドハンド140が、基板P(P2)を外部搬送ロボット300からチャンバ200内に搬入するときには、吸着パッド142の高さ位置(Z軸方向の位置)を変更しなくてもよいため、吸着パッド142の制御を簡素化することができる。
【0072】
また、本第2実施形態では、基板交換の際には、基板フィーダ161の基板支持面を傾斜させて、基板ホルダ28に新たに載置する基板P(P2)の-X端部を基板ホルダ28の上面に近接させることができるため、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド142のZ方向のストロークを短くする(又は0にする)ことができるとともに、基板ホルダ28への基板P(P2)の受け渡しを衝撃なくスムーズに行うことができる。
【0073】
なお、上記第2実施形態では、基板フィーダ161の+X端部に回転軸162が位置する場合について説明したが、これに限らず、例えば基板フィーダ161のX軸方向中間部などに回転軸162が位置していてもよい。
【0074】
《第3実施形態》
次に、第3実施形態に係る露光装置について、図14図18を用いて説明する。図14には、第3実施形態に係る露光装置100Bの横断面図(第1実施形態の図2に対応する図)が示されている。
【0075】
上述した第1実施形態の露光装置100は、基板スライドハンド140を備えていたが、本第3実施形態の露光装置100Bは、基板スライドハンド140に代えて、第1スライドハンド240と、第2スライドハンド340と、を備えている。
【0076】
第1スライドハンド240は、基板フィーダ163の上面(基板支持面)に設けられている。なお、基板フィーダ163は、第1実施形態の基板フィーダ160と同様の構成及び機能を有する。第1スライドハンド240は、基板フィーダ163の基板支持面に設けられたレール246と、レール246に沿って移動する吸着パッド242と、を有する。なお、レール246は、基板フィーダ163に埋め込まれた状態となっており、レール246の上面と基板フィーダ163の上面(基板支持面)との間には、段差がないものとする。第1スライドハンド240は、外部搬送ロボット300により搬送されてきた基板Pの一部を吸着保持して、-X方向に移動することで、基板Pをチャンバ200内(基板フィーダ163上)に引き込むことができる。
【0077】
第2スライドハンド340は、ステージ装置20(基板テーブル24)の+X側の面に設けられている。第2スライドハンド340は、第1実施形態の基板スライドハンド140と同様の構成を有し、X軸方向に延びるレール346と、レール346に沿ってX軸方向に移動するZ駆動機構344と、Z駆動機構344によりZ軸方向に駆動される吸着パッド342と、を有する。第2スライドハンド340は、基板ホルダ28上に載置された基板Pの一部を吸着保持して+X方向に移動することで、基板Pを基板ホルダ28上から外部搬送ロボット300に受け渡すことができる。
【0078】
すなわち、本第3実施形態では、第1実施形態の基板スライドハンド140と同様の機能を、第1スライドハンド240及び第2スライドハンド340により実現している。
【0079】
露光装置100Bのその他の構成については、第1実施形態の露光装置100と同様となっている。
【0080】
(基板交換動作)
以下、露光装置100Bにおける基板ホルダ28上の基板Pの交換動作について、図14図18(b)を用いて詳細に説明する。なお、図15(a)、図15(b)は、同一のタイミングにおけるステージ装置20近傍の平面図及び縦断面図を示しており、図16(a)及び図16(b)、図17(a)及び図17(b)、図18(a)及び図18(b)も、同一のタイミングにおけるステージ装置近傍の平面図及び縦断面図を示している。なお、図15(a)~図18(b)においては、露光装置100Bの構成のうち、説明に不要な構成の図示が省略されている。
【0081】
基板交換動作においては、露光済みの基板P1を搬出する動作と、新たに露光する(基板P1とは別の)基板P2を基板ホルダ28に搬入(載置)する動作とが実行されるものとする。主制御装置は、露光装置本体10において基板ホルダ28上の基板P1に対する露光が行われている状態で、図14に示すように、露光前の基板P2を保持する外部搬送ロボット300をチャンバ200近傍(搬入口152U近傍)まで駆動する。なお、この段階で、第1スライドハンド240の吸着パッド242は、レール246の+X端部に位置しているものとする。
【0082】
図15(a)、図15(b)の動作)
この状態から、主制御装置は、搬入口シャッタ154を+Z方向にスライドさせることで、搬入口152Uを開放する(図15(b)の矢印J1参照)。次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット300を-X方向に駆動し(図15(a)、図15(b)の矢印J2参照)、基板P2の-X側の端部をチャンバ200内に進入させる。これにより、基板P2の下面の-X側の端部は、吸着パッド242に近接又は接触するようになっている。また、主制御装置は、吸着パッド242による、基板P2の下面の一部の吸着保持を開始する(図15(b)の矢印J3参照)。
【0083】
図16(a)、図16(b)の動作)
次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット300のロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ163の上面から、加圧気体の供給(給気)を開始し、第1スライドハンド240の吸着パッド242をレール246に沿って-X側(図16(a)、図16(b)の矢印K1方向)に駆動する。これにより、基板P2は、ロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ163の上面に沿ってチャンバ200内に搬送されるようになっている。なお、主制御装置は、基板P2を基板フィーダ163上へ搬送した後、基板フィーダ163及びロボットハンド300Fからの加圧気体の供給を停止するとともに、基板フィーダ163による基板P2の吸着保持を開始する。そして、主制御装置は、搬入口シャッタ154を閉じるとともに、搬出口シャッタ156を開放する。また、ステージ装置20において基板P1に対する露光が終了すると、主制御装置は、ステージ装置20を図16(a)、図16(b)に示す位置(基板交換位置)まで駆動する(矢印K2参照)。
【0084】
ステージ装置20が基板交換位置近傍まで移動すると、主制御装置は、基板ホルダ28の上面28uからの加圧気体の供給を開始し、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27を+Z方向及び+Y方向に駆動して、基板P1を基板ホルダ28から+Y側にオフセットさせる(図16(a)の矢印K3参照)。また、主制御装置は、外部搬送ロボット300を+X方向に駆動する(矢印K4参照)。
【0085】
図17(a)、図17(b)の動作)
主制御装置は、外部搬送ロボット300を-Z方向及び-X方向に駆動する(図17(b)の矢印L1、L2参照)ことで、ロボットハンド300Fの-X端部を搬出口152Lに近づける。そして、主制御装置は、ロボットハンド300Fの上面から加圧気体の供給(給気)を開始する。
【0086】
また、主制御装置は、第2スライドハンド340の吸着パッド342を上昇駆動し、吸着パッド342に基板P1の下面を吸着保持させる。そして、主制御装置は、吸着パッド342をレール346に沿って+X方向に駆動し(矢印L3参照)、基板P1を基板ホルダ28上からロボットハンド300F上にスライド搬送する。なお、基板P1がロボットハンド300Fにスライド搬送された後は、主制御装置は、ロボットハンド300Fを+X方向に駆動し、基板P1をチャンバ200の外部に退避させ、搬出口シャッタ156を閉じる。
【0087】
また、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27を上昇駆動し(矢印L4参照)、吸着パッド27による基板P2の-X端部の吸着保持を開始する(矢印L5参照)。更に、主制御装置は、基板フィーダ163の上面からの加圧気体の供給を開始する。
【0088】
図18(a)、図18(b)の動作)
主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27が基板P2を吸着保持した状態で、ステージ装置20を-X方向に駆動する(矢印N1参照)。これにより、基板P2が基板フィーダ163上から基板ホルダ28上に受け渡されるようになっている。なお、基板P2が基板フィーダ163上から基板ホルダ28上に受け渡される間は、基板ホルダ28の上面から加圧気体が供給されている。
【0089】
一方、主制御装置は、基板P2全体が基板フィーダ163上から基板ホルダ28上に受け渡されると、基板フィーダ163の上面からの加圧気体の供給を停止する。また、主制御装置は、吸着パッド27を微小駆動することで、基板P2のアライメント(位置調整)を行う。その後、主制御装置は、吸着パッド27を下降駆動し(矢印N2参照)、新たに基板ホルダ28上に載置された基板P2に対する露光を開始する。
【0090】
また、主制御装置は、外部搬送ロボット300を+X方向に駆動することで(矢印N3参照)、基板P1を外部装置へ搬送させる。
【0091】
その後は、上述した図15(a)、図15(b)~図18(a)、図18(b)の処理を繰り返し実行することで、複数の基板Pに対する露光が繰り返されるようになっている。
【0092】
以上、詳細に説明したように、本第3実施形態によると、チャンバ200外部からチャンバ200内部に基板Pを引き込む第1スライドハンド240と、チャンバ200内部からチャンバ200外部に基板Pを搬出する第2スライドハンド340と、を備えている。これにより、設計の自由度が上がるため、例えば、ステージ装置20の基板交換位置を定盤22の+X側端部かつY軸方向中央部近傍などとすることができる。
【0093】
また、本第3実施形態では、基板フィーダ163のY軸方向中央部に第1スライドハンド240が設けられているため、基板フィーダ163の+Y側及び-Y側にスペースが生じるようになっている。これにより、基板フィーダ163をY軸方向から保持するなど、設計変更を行うことが可能となる。
【0094】
また、本第3実施形態では、第2スライドハンド340をステージ装置20に設けることとしたため、ステージ装置20が基板交換位置に到着する前に基板搬出動作を開始することもできる。
【0095】
また、本第3実施形態では、第1スライドハンド240のレール246が基板フィーダ163の上面(基板支持面)に沿って設けられているため、第1実施形態のように吸着パッド242の駆動の際にX軸、Z軸の2軸方向の制御を行う場合と比べて、制御を簡素化することができる。また、上記第1および第2実施形態のようにレール146を設ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。
【0096】
また、本第3実施形態では、第2スライドハンド340をステージ装置20に設けることとしたため、ステージ装置20が基板交換位置に到着する前に基板搬出動作を開始することもできる。
【0097】
なお、上記第3実施形態では、基板フィーダ163の姿勢(基板支持面の傾斜)を、第2実施形態のように変更できるようにしてもよい。
【0098】
《第4実施形態》
次に、第4実施形態の露光装置100Cについて、図19図20を用いて説明する。本第4実施形態の露光装置100Cは、図19(a)、図19(b)に示すように、第1実施形態の露光装置100とほぼ同一の構成を有するが、基板フィーダ160が、下面において基板Pを非接触懸垂保持する機能を有する点が異なっている。
【0099】
例えば、基板フィーダ160の下面には、加圧気体を排気するための孔が形成されており、既知のベルヌーイチャックの要領でエア排気を行うことで、基板Pの上面と基板フィーダ160の下面との間に負圧を発生させることができるようになっている。したがって、本第4実施形態では、基板Pの上面と基板フィーダ160の下面との間に発生させた負圧により、基板Pを非接触懸垂保持する(つまり基板Pの上面が基板フィーダ160の下面に非接触で保持される)ことができるようになっている。ただし、これに限らず、基板フィーダ160の下面に、真空吸引用の孔と加圧気体排気用の孔を設けておき、これらの孔を用いた真空吸引とエア排気のバランスにより、基板Pを非接触懸垂保持することとしてもよい。
【0100】
(基板交換動作)
図19(a)、図19(b)には、第1実施形態の図8(a)、図8(b)に対応する図が示されている。図19(a)、図19(b)の状態は、基板フィーダ160の上面において露光前の基板P2が保持され、基板フィーダ160の下面に対向する位置にステージ装置20及び露光済みの基板P1が位置している状態である。この状態では、基板P1が基板ホルダ28に対して、+Y方向にわずかにオフセットしており、基板ホルダ28の上面28uから加圧気体が供給されることで、基板P1の下面と基板ホルダ28の上面との間が非接触状態となっている。また、基板スライドハンド140の吸着パッド142は、基板P1の下面の一部を吸着保持した状態となっている。
【0101】
この状態から、主制御装置は、基板フィーダ160の下面から加圧気体を排気することで、ベルヌーイチャックの原理により、基板フィーダ160の下面において基板P1を非接触懸垂保持する。
【0102】
次いで、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27に、基板フィーダ160上の基板P2の一部を吸着保持させるとともに、基板フィーダ160の上面から加圧気体の供給を開始する。そして、主制御装置は、図20(a)、図20(b)に示すように、基板スライドハンド140の吸着パッド142を+X方向に移動する(矢印Q1参照)ことで、基板P1の外部搬送ロボット300への受け渡しを開始するとともに、ステージ装置20を-X方向に駆動することで(矢印Q2参照)、基板P2を基板フィーダ160から基板ホルダ28上への受け渡しを行う。なお、上述したように基板フィーダ160の下面に負圧を発生させ、基板P1を非接触懸垂保持しているため、図20(b)のように、基板P1を基板搬入ベアラ装置25でスライド搬送する場合に、基板P1の下側に基板ホルダ28が存在していなくても、基板P1を外部搬送ロボット300までスムーズにスライド搬送することができるようになっている。
【0103】
以上説明したように、本第4実施形態によると、基板フィーダ160の下面において、外部に搬出する基板P1を非接触懸垂保持するため、基板P1が基板ホルダ28上から外部搬送ロボット300上に受け渡されるまで、ステージ装置20が基板交換位置に待機していなくてもよくなる。これにより、図20(b)に示すように、基板P1が外部搬送ロボット300に受け渡される前の段階で、新たな基板P2を基板ホルダ28上に載置する動作を開始することができる。したがって、本第4実施形態によれば、基板交換に要する時間を短縮することが可能となる。また、基板ホルダ28上に基板P2が載置され、ステージ装置20が-X方向へ移動された後、基板フィーダ160の下面に非接触保持された基板P1を外部搬送ロボット300上へ受け渡すようにしてもよい。これにより、ステージ装置20が搬出口152Lの近傍に位置する際には搬出口シャッタ156を閉じた状態とすることができ、搬出口152Lから仮にゴミがチャンバ200内に進入したとしても、ステージ装置20にゴミが付着する恐れが低い。
【0104】
なお、上記第4実施形態の基板フィーダ160は、上記第2実施形態と同様に、衝立部材152に回転可能に設けることとしてもよい。すなわち、基板フィーダ160の上面を、XY面に水平な状態と傾斜した状態との間で遷移させるようにしてもよい。
【0105】
なお、上記第4実施形態では、上記第3実施形態と同様、基板スライドハンド140に代えて、第1スライドハンド240及び第2スライドハンド340を設けることとしてもよい。
【0106】
《第5実施形態》
次に、第5実施形態について図21を用いて説明する。図21(a)には、第5実施形態に係る基板搬出入ユニット150’が示されている。基板搬出入ユニット150’は、第1実施形態の基板搬出入ユニット150の基板フィーダ160に代えて、基板フィーダ165を有しており、搬出口シャッタ156に代えて、搬出口シャッタ156’を有している。
【0107】
基板フィーダ165は、衝立部材152の-X側の面に固定された第1部分165aと、第1部分165aに対してスライド移動可能な第2部分165bとを有する。第2部分165bのスライド移動方向は、第2部分165bの上面(基板支持面)の傾斜方向(XZ面内でX軸及びZ軸に対して傾斜する方向)と同一方向であるものとする。第1部分165aと第2部分165bとの間には、図21(b)に示すように、例えば送りねじ方式の駆動機構165cが設けられている。駆動機構165cは、第2部分165bと第1部分165aとの間の間隔を変更するように、第2部分165bを駆動する。なお、駆動機構165cは、送りねじ方式に限らず、リニアモータを含む駆動機構など、他の方式の駆動機構であってもよい。
【0108】
本第5実施形態では、基板フィーダ165として、上記のような構成を採用したことで、基板交換時以外は、図21(a)に示すように第1部分165aと第2部分165bを接近させる。これにより、基板フィーダ165が露光動作やメンテナンスなどの作業の邪魔にならないようにすることができる。また、基板交換時には、基板フィーダ165の第2部分165bを図21(b)のように移動させることで、基板交換位置をより-X側の位置に設定することができる。これにより、ステージ装置20が基板交換位置に移動する際のX軸方向のストロークを短縮することができる。
【0109】
ところで、本第5実施形態では、上述したような基板フィーダ165を採用することで、基板交換位置を第1実施形態等よりも-X側に設定しているため、基板交換の際に、基板ホルダ28と外部搬送ロボット300との間の距離が長くなるおそれがある。しかるに、本第5実施形態では、図21(b)に示すように、搬出口シャッタ156’の、搬出口152Lを開放したときのX軸方向の長さを、図1(b)等に示す搬出口シャッタ156よりも長く設定し、搬出口シャッタ156’には、図21(b)の状態で+Z側の面から上方に向けて加圧気体を供給する浮上力付与機構を設けることとしている。また、搬出口シャッタ156’は、搬出口152Lを開閉するときに、搬出口シャッタ156とは逆向きに動く(搬出口152Lを開くときに時計回りに動き、閉じるときに反時計回りに動く)。これにより、搬出口シャッタ156’が基板ホルダ28と外部搬送ロボット300との間の基板Pの橋渡しを行うことができるようになる。したがって、本第5実施形態によれば、基板を撓ませずに、基板ホルダ28から外部搬送ロボット300に基板Pを受け渡すことができる。
【0110】
また、本第5実施形態では、搬出口シャッタ156’が搬出口152Lを開いたとき(図21(b))に、搬出口シャッタ156’の+X端部が、搬出口152Lの+X端部とほぼ同一位置に位置する。これにより、外部搬送ロボット300は、搬出口152Lよりも+X側の位置で、基板ホルダ28から基板を受け取ることができるため、チャンバ200内への塵埃の進入を極力抑制することができる。
【0111】
なお、上記第5実施形態では、搬出口シャッタ156’に代えて、上記第1~第4実施形態と同様の搬出口シャッタ156を用いることとしてもよい。
【0112】
なお、上記第5実施形態の搬出口シャッタ156’のように、上記第1~第4実施形態で説明した搬出口シャッタ156に、搬出口152Lを開放した状態で上側の面から加圧気体を供給する機能を設けることとしてもよい。
【0113】
なお、上記第5実施形態においても基板フィーダ165を、第2実施形態と同様に、回動可能に設けることとしてもよい。
【0114】
《第6実施形態》
次に、第6実施形態について、図22図24を用いて説明する。図22(a)、図22(b)には、第6実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図が示されている。本第6実施形態は、第3実施形態(図14図18)を変形したものであり、図22(a)に示すように、基板フィーダ166のY軸方向の幅が、図14の基板フィーダ163のY軸方向の幅よりも広く設定されている。また、基板フィーダ166は、図22(b)に示すように、その+X端部近傍において、Y軸方向に延びる回転軸176によって回動可能に支持されている。また、基板フィーダ166は、Y軸方向両端部近傍の2箇所において、衝立部材152に設けられた吊り下げ機構186により吊り下げ支持されている。なお、本第6実施形態の衝立部材152には、上記第1~第5実施形態の衝立部材152と異なり、吊り下げ機構186を保持する保持部155が設けられている。
【0115】
吊り下げ機構186は、基板フィーダ166を吊り下げ支持する2本のロープ196を有し、2本のロープ196を巻き取ったり繰り出したりして長さを調整することで、基板フィーダ166の上面(基板支持面)の傾きを調整する。本第6実施形態では、基板フィーダ166として上記のような構成を採用することで、基板フィーダ166の回転軸176付近における剛性が低い場合にも、吊り下げ機構186の小さな力により、基板フィーダ166の撓みを抑えつつ、基板フィーダ166の姿勢を正確に制御することができる。
【0116】
(基板交換動作)
第6実施形態において、基板交換動作を行う場合、主制御装置は、吊り下げ機構186を制御して、図22(b)に示すように基板フィーダ166の上面(基板支持面)を水平に維持する。そして、主制御装置は、搬入口シャッタ154を+Z方向にスライドして搬入口152Uを開放し(矢印R1参照)、外部搬送ロボット300を搬入口152Uに近づける(矢印R2参照)ことで、基板P2の-X端部を基板フィーダ166の基板支持面の+X端部近傍に位置決めする。なお、この段階で、第1スライドハンド240の吸着パッド242は、レール246の+X端部に位置しているものとする。
【0117】
次いで、主制御装置は、吸着パッド242による、基板P2の下面の一部の吸着保持を開始する(図22(b)の矢印R3参照)。
【0118】
次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット300のロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ166の上面から、加圧気体の供給(給気)を開始し、図23(a)、図23(b)に示すように、第1スライドハンド240の吸着パッド242をレール246に沿って-X側に駆動する(矢印R4参照)。これにより、基板P2は、ロボットハンド300Fの上面及び基板フィーダ166の上面に沿ってチャンバ200内に引き込まれるようになっている。なお、主制御装置は、基板P2を基板フィーダ166上へ搬送した後、基板フィーダ166及びロボットハンド300Fからの加圧気体の供給を停止するとともに、基板フィーダ166による基板P2の吸着保持を開始する。
【0119】
次いで、主制御装置は、搬入口シャッタ154を閉じるとともに、搬出口シャッタ156を開放する。また、ステージ装置20において基板P1に対する露光が終了すると、主制御装置は、ステージ装置20を図24に示す位置(基板交換位置)まで駆動する(矢印R5参照)。
【0120】
次いで、主制御装置は、図24に示すように、吊り下げ機構186を制御してロープ196の長さを調整することで(矢印R6参照)、基板フィーダ166の基板支持面を傾斜させる。また、主制御装置は、基板ホルダ28の上面28uからの加圧気体の供給を開始し、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27を+Z方向及び+Y方向に駆動して、基板P1を基板ホルダ28から+Y側にオフセットさせる。また、主制御装置は、外部搬送ロボット300を図24に示す搬出口152L近傍の位置に位置決めし、ロボットハンド300Fの上面から加圧気体の供給(給気)を開始する。
【0121】
また、主制御装置は、第2スライドハンド340の吸着パッド342を上昇駆動し、吸着パッド342に基板P1の下面を吸着保持させる。そして、主制御装置は、吸着パッド342をレール346に沿って+X方向に駆動し、基板P1を基板ホルダ28上からロボットハンド300F上にスライド搬送する。なお、基板P1がロボットハンド300Fにスライド搬送された後は、主制御装置は、ロボットハンド300Fを+X方向に駆動し、基板P1をチャンバ200の外部に退避させ、搬出口シャッタ156を閉じる。なお、主制御装置は、外部搬送ロボット300を+X方向に駆動することで、基板P1を外部装置へ搬送させる。
【0122】
また、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27を上昇駆動し(矢印R7参照)、吸着パッド27による基板P2の-X端部の吸着保持を開始する(矢印R8参照)。更に、主制御装置は、基板フィーダ166の上面からの加圧気体の供給を開始する。
【0123】
そして、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27が基板P2を吸着保持した状態で、ステージ装置20を-X方向に駆動する。これにより、図18(b)と同様に、基板P2が基板フィーダ166上から基板ホルダ28上に受け渡されるようになっている。なお、基板P2が基板フィーダ166上から基板ホルダ28上に受け渡される間は、基板ホルダ28の上面から加圧気体が供給されている。
【0124】
一方、主制御装置は、基板P2が基板フィーダ166上から基板ホルダ28上に受け渡されると、基板フィーダ166の上面からの加圧気体の供給を停止する。また、主制御装置は、基板P2のアライメント(位置調整)を行った後、吸着パッド27を下降駆動し、新たに基板ホルダ28上に載置された基板P2に対する露光を開始する。
【0125】
その後は、上述した処理を繰り返し実行することで、複数の基板Pに対する露光が繰り返されるようになっている。
【0126】
なお、上記第6実施形態では、一対のロープ196により基板フィーダ166を吊り下げ支持するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、可撓性を有さない機構により吊り下げ支持してもよい。例えば、エアシリンダなどにより、基板フィーダ166を吊り下げ支持してもよい。
【0127】
なお、基板フィーダ166は、第5実施形態のような、第1部分と第2部分を有するものであってもよい(図21(a)参照)。
【0128】
《第7実施形態》
次に、第7実施形態について、図25を用いて説明する。図25には、第7実施形態に係る露光装置において、ステージ装置20が基板交換位置に位置決めされた状態が示されている。
【0129】
本第7実施形態では、基板フィーダ167が、その上面において、基板フィーダ167の+Y側に設けられた支持フレーム78により支持されている。また、基板フィーダ167は、基板ホルダ28上に新たに搬入する基板P(P2)を下面側にて非接触懸垂保持する点に特徴を有する。非接触懸垂保持するための機構については、第4実施形態と同様である。なお、本第7実施形態では、上記第1~第6実施形態に存在していた衝立部材152がなく、チャンバ200に、開口200aを開閉する開閉扉198a、198bが設けられている。
【0130】
本第7実施形態では、上述のように衝立部材152が省略されているため、露光装置全体のフットプリントを狭小化することができる。また、基板フィーダ167を上面側で支持するため、基板フィーダ167を片持ち支持する場合と比べ、基板フィーダ167における撓みの発生を抑制することができる。
【0131】
(基板交換動作)
主制御装置は、ステージ装置20において露光動作を行っている間に、開閉扉198a、198bを開放し(矢印S1参照)、外部搬送ロボット300を制御して、新たに搬入する基板P2の-X端部を基板フィーダ167の下面の+X端部下方に位置決めする。そして、主制御装置は、基板フィーダ167の下面における基板P2の非接触懸垂保持を開始するとともに、基板スライドハンド140を用いて、基板P2を図25に示す位置まで搬送する。
【0132】
また、主制御装置は、これまでの実施形態と同様にして、基板スライドハンド140に基板ホルダ28上の基板P1を保持させるとともに+X方向に駆動し、露光済みの基板P1を基板ホルダ28上から外部搬送ロボット300のロボットハンド300F上にスライド搬送する(矢印S2参照)。
【0133】
その後、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27に基板P2を吸着保持させ、ステージ装置20を-X方向に駆動することで、基板P2を基板フィーダ167上から基板ホルダ28上に受け渡す。
【0134】
なお、以降の動作については、上記第3実施形態と同様である。
【0135】
《第8実施形態》
次に、第8実施形態について、図26図30を用いて詳細に説明する。図26(a)、図26(b)には、第8実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図が示されている。なお、図26図30においては、便宜上、チャンバ200の図示を省略している。
【0136】
本第8実施形態では、外部搬送ロボット300’のロボットハンド300F’が、-X側の端部が櫛歯状に加工された平板状部材を有している。ただし、ロボットハンド300F’は、これまでの実施形態と同様、上面から加圧気体を供給することで、基板Pをエア浮上支持することが可能であるとともに、基板Pを真空吸着することが可能となっている。
【0137】
また、本第8実施形態では、第1実施形態等で説明した衝立部材152に代えて、衝立部材172を用いることとしている。衝立部材172は、空間173を形成する箱状部分を有しており、箱状部分の上壁(+Z側の壁)の上面には、基板フィーダ168が設けられている。また、箱状部分の+X側の壁には、搬出口172Lが設けられ、箱状部分の-X側の壁には、基板通過口172Mが設けられている。また、衝立部材172の搬出口172Lの上側には、搬入口172Uが設けられている。搬出口172L近傍には、搬出口シャッタ156が設けられ、搬入口172U近傍には、搬入口シャッタ154が設けられている。なお、図26(b)は断面図であるため、図示されていないが、箱状部分の+Y側と-Y側は、壁により閉塞されている。
【0138】
基板フィーダ168は、衝立部材172の箱状部分の上壁の上面においてX軸方向に沿って敷設された一対のレール174に沿って、X軸方向に往復移動可能となっている。なお、基板フィーダ168のX軸方向の移動可能範囲は、基板PのX軸方向長さのおよそ半分程度となっている。
【0139】
また、本第8実施形態では、基板ホルダ28の+X側の端面に複数(図26(a)では4本)の棒状のエア浮上部材29がY軸方向に所定間隔をあけて設けられている。エア浮上部材29の上面(+Z面)には、不図示の開口が設けられ、該開口からは加圧気体が供給されるようになっている。
【0140】
(基板交換動作)
次に、本第8実施形態における基板交換動作について、図26図30を用いて説明する。なお、図26(a)及び図26(b)、図27(a)及び図27(b)、図28(a)及び図28(b)は、同一のタイミングにおけるステージ装置近傍の横断面図及び縦断面図を示している。なお、図26(a)~図30(b)においては、露光装置の構成のうち、説明に不要な構成の図示が省略されている。
【0141】
図26(a)、図26(b)の動作)
図26(a)、図26(b)の状態では、ステージ装置20において基板P1に対して露光が行われている。一方、主制御装置は、次に露光を行う基板P2をチャンバ200内に受け入れるため、搬入口シャッタ154を+Z方向にスライドさせることで、搬入口152Uを開放する(図26(b)の矢印T1参照)。次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット300’を-X方向に駆動し(図26(a)、図26(b)の矢印T2参照)、基板P2の-X側の端部をチャンバ200内に進入させる。これにより、基板P2の-X側の端部は、基板フィーダ168の+X端部の上方に位置するようになっている。そして、主制御装置は、基板スライドハンド140の吸着パッド142を基板P2の下面の一部に接触させて吸着保持を開始する。また、主制御装置は、外部搬送ロボット300’のロボットハンド300F’の上面及び基板フィーダ168の上面から加圧気体の供給を開始する。
【0142】
図27(a)、図27(b)の動作)
主制御装置は、吸着パッド142を駆動することで、基板P2を基板フィーダ168の基板支持面(上面)に沿って移動させる(矢印T3参照)。
【0143】
図28(a)、図28(b)の動作)
吸着パッド142の移動により、基板P2が図28(a)、図28(b)に示す位置まで移動すると、主制御装置は、外部搬送ロボット300’を下方(-Z方向)に駆動し(矢印T4参照)、搬出口172L近傍に位置決めする。また、主制御装置は、搬入口シャッタ154を-Z方向にスライドさせることで、搬入口172Uを閉じる(矢印T5参照)。
【0144】
図29(a)の動作)
その後、ステージ装置20における基板P1に対する露光が終了すると、主制御装置は、ステージ装置20を基板交換位置まで移動させる(矢印T6参照)。ステージ装置20が基板交換位置に位置決めされた状態では、図29(a)に示すようにエア浮上部材29が基板通過口172Mを介して空間173に進入した状態となる。また、主制御装置は、基板フィーダ168による基板P2の吸着保持を開始し、基板フィーダ168をレール174に沿って-X方向に駆動する(矢印T7参照)。なお、基板フィーダ168の移動と同期して、基板P2を保持する吸着パッド142を-X方向に移動させてもよいし、基板フィーダ168の移動の際には、吸着パッド142による基板P2の吸着保持を解除しておき、吸着パッド142を予め-X方向に移動させておいてもよい。
【0145】
また、主制御装置は、搬出口シャッタ156を-Z方向にスライドさせることで、搬出口172Lを開放する(矢印T8参照)。また、主制御装置は、外部搬送ロボット300’を-X方向に駆動することで、外部搬送ロボット300を衝立部材172が形成する空間173内に進入させる(矢印T9参照)。この状態では、基板ホルダ28及びエア浮上部材29と外部搬送ロボット300’のロボットハンド300F’の上面との高さがほぼ一致している。また、エア浮上部材29とロボットハンド300F’の櫛歯状の部分は、入れ子状態となるため、機械的な干渉(接触)が回避されている。
【0146】
図29(b)の動作)
次いで、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27をわずかに上昇させるとともに、吸着パッド27に基板P1の下面を吸着保持させる。また、主制御装置は、基板ホルダ28の上面から加圧気体の供給(給気)を開始し、基板P1を吸着保持した吸着パッド27を+Y方向に移動させることにより、基板P1を基板ホルダ28から+Y方向にわずかにオフセットさせる。このオフセットにより、基板P1の下面の-X側かつ+Y側の隅部を基板スライドハンド140の吸着パッド142が保持できるようになる。
【0147】
次いで、主制御装置は、基板スライドハンド140の吸着パッド142により基板P1の下面の一部を吸着保持させる。なお、主制御装置は、図29(b)の段階で、エア浮上部材29及びロボットハンド300F’の上面からの加圧気体の供給(給気)を開始しているものとする。
【0148】
次いで、主制御装置は、基板スライドハンド140の吸着パッド142の+X方向への移動を開始する(矢印T10参照)。また、主制御装置は、基板P1が-X方向に所定距離だけ移動したタイミングで、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27を+Z方向に駆動し(矢印T11参照)、吸着パッド27により、基板フィーダ168上の基板P2の-X端部の吸着保持を開始する。
【0149】
図30(a)の動作)
次いで、主制御装置は、基板フィーダ168の上面から加圧気体の供給(給気)を開始する。そして、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27が基板P2を吸着保持した状態で、ステージ装置20を-X方向に駆動する(矢印T12参照)。また、主制御装置は、ステージ装置20を-X方向に駆動すると同時に、基板フィーダ168を+X方向に移動させる。これにより、図10(a)に示すように、基板P2が基板フィーダ168上から基板ホルダ28上に受け渡されるようになっている。これにより、ステージ装置20の-X方向への駆動だけで基板P2を基板ホルダ28上に搬入するよりも、ステージ装置20と基板フィーダ168とをX方向に関して互いに離れる方向へ駆動させることで、基板P2を基板ホルダ28上へより高速に搬入することができる。これは、チャンバ200内に空間173を設けたことで、基板フィーダ168が+X方向へ駆動できるような装置構成としたため、可能となっている。なお、ステージ装置20を-X方向に駆動するタイミングと、基板フィーダ168を+X方向に移動させるタイミングとを異ならせてもよい。なお、主制御装置は、基板P2を基板ホルダ28に受け渡した後の基板フィーダ168を+X方向に移動させるようにしてもよい。
【0150】
図30(b)の動作)
主制御装置は、吸着パッド142の+X方向への移動を継続することで、図30(b)に示すように、基板P1を外部搬送ロボット300’のロボットハンド300F’上に受け渡す。この受け渡しが完了すると、主制御装置は、吸着パッド142による基板P1の吸着保持を停止する。また、主制御装置は、基板P1を保持した外部搬送ロボット300’を+X方向に駆動し(矢印T13参照)、基板P1を外部装置に搬送させる。また、主制御装置は、搬出口シャッタ156を+Z方向にスライドさせることで、搬出口172Lを閉じる(矢印T14参照)。
【0151】
その後の動作は、上記第1実施形態等と同様となっている。
【0152】
以上詳細に説明したように、本第8実施形態によると、基板ホルダ28に対する基板P2の搬入動作と、基板ホルダ28からの基板P1の搬出動作とを並行して行うことができるため、基板交換動作に要する時間を短縮することができる。
【0153】
また、本第8実施形態では、基板ホルダ28の+X側にエア浮上部材29を設けるとともに、外部搬送ロボット300’のロボットハンド300F’の-X側端部を櫛歯状としている。これにより、エア浮上部材29とロボットハンド300F’とが入れ子状になるため、基板Pを受け渡す際の基板Pの撓みを抑制することができる。
【0154】
なお、上記第8実施形態においては、上記第4実施形態のように、基板フィーダ168の下面において基板(搬出する基板)を非接触支持するようにしてもよい。
【0155】
なお、上記第8実施形態においては、基板通過口172Mを開閉するシャッタを設けてもよい。また、基板通過口172Mを開閉するシャッタを設け、搬出口シャッタ156を省略してもよい。
【0156】
なお、上記第8実施形態では、基板スライドハンド140のレール146を基板フィーダ168に設けることとしてもよい。この場合、基板フィーダ168がX軸方向に移動可能であるため、レール146の長さ、すなわち、吸着パッド142のXストロークを短くすることができる。
【0157】
《第9実施形態》
次に、第9実施形態について、図31図32を用いて説明する。図31(a)、図31(b)には、第9実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図が示されている。
【0158】
本第9実施形態の露光装置においては、上述した第8実施形態の基板フィーダ168に代えて、基板フィーダ169を採用している点に特徴を有する。基板フィーダ169の上面の+X側には、複数(図31(a)では3つ)の溝169aが形成されている。溝169aの寸法及び間隔は、外部搬送ロボット300’のロボットハンド300F’が搬入口172Uから進入してきた場合でも、基板フィーダ169とロボットハンド300F’とが接触しないように設定されている。その他の構成は、第8実施形態と同様となっている。
【0159】
(基板交換動作)
次に、図31図32に基づいて、本第9実施形態における基板交換動作について説明する。なお、図31(a)及び図31(b)、図32(a)及び図32(b)は、同一のタイミングにおけるステージ装置近傍の横断面図及び縦断面図を示している。なお、図31(a)~図32(b)においては、露光装置の構成のうち、説明に不要な構成の図示が省略されている。
【0160】
図31(a)、図31(b)の状態では、ステージ装置20において基板ホルダ28上に載置されている基板P1に対する露光が実行されているものとする。この状態で、主制御装置は、次に露光を行う基板P2をチャンバ200内に受け入れるため、搬入口シャッタ154を+Z方向にスライドさせることで、搬入口172Uを開放する(図31(b)の矢印U1参照)。次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット300’を-X方向に駆動する(図31(a)、図31(b)の矢印U2参照)。この外部搬送ロボット300’の動作により、図32(a)、図32(b)に示すように、ロボットハンド300F’の-X側半分程度と、基板P2の-X側半分程度が基板フィーダ169の上方に位置決めされる。
【0161】
次いで、主制御装置は、ロボットハンド300F’を下降駆動することで、基板P2の一部を基板フィーダ169に受け渡す。
【0162】
そして、主制御装置は、基板フィーダ169の基板支持面(上面)と、ロボットハンド300F’の上面からの加圧気体の供給を開始する。また、主制御装置は、吸着パッド142を駆動し、基板P2の+Y側かつ-X側の端部を吸着パッド142に吸着保持させる。
【0163】
その後は、主制御装置は、第8実施形態と同様の動作を実行することで、基板ホルダ28上の基板交換を行うようになっている。
【0164】
以上のように、本第9実施形態によると、外部搬送ロボット300’がチャンバ200内に進入して、基板P2の-X側半分程度を基板フィーダ169に受け渡すこととしているので、基板P2をチャンバ200内に引き込む基板スライドハンド140(吸着パッド142)のX方向の移動範囲(ストローク)及びZ方向の移動範囲を短くすることができる。また、これに伴い、吸着パッド142の移動時間を短縮することができる。
【0165】
また、基板を外部搬送ロボット300’から基板フィーダ169に受け渡す際に、上方から受け渡すようにしているため、基板をスライドさせて受け渡す場合と比べ、基板先端の撓み(垂れ)によって基板と基板フィーダ169とが接触する可能性を低減することができる。
【0166】
《第10実施形態》
次に、第10実施形態について、図33図34を用いて説明する。図33(a)~図34(b)には、第10実施形態に係る露光装置の横断面図が示されている。図33(a)に示すように、本第10実施形態の露光装置は、上述した第9実施形態と異なり、基板スライドハンド140のレール146が基板フィーダ169に固定されている点に特徴を有する。なお、その他の構成については、第9実施形態と同様である。
【0167】
(基板交換動作)
以下、第10実施形態の露光装置における基板交換動作について、図33(a)~図34(b)を用いて説明する。
【0168】
図33(a)においては、ステージ装置20において基板ホルダ28上に載置されている基板P1に対する露光が実行されているものとする。この状態で、主制御装置は、次に露光を行う基板P2をチャンバ200内に受け入れるため、搬入口シャッタ154を+Z方向にスライドさせることで、搬入口172Uを開放する。次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット300’を-X方向に駆動する(矢印V1参照)。この外部搬送ロボット300’の動作により、図33(b)に示すように、ロボットハンド300F’の-X側半分程度と、基板P2の-X側半分程度が基板フィーダ169の上方に位置決めされる。
【0169】
次いで、主制御装置は、ロボットハンド300F’の上面が基板フィーダ169の上面とほぼ一致する高さまで、ロボットハンド300F’を下降駆動することで、基板P2の一部を基板フィーダ169に受け渡す。次いで、主制御装置は、基板フィーダ169の基板支持面(上面)と、ロボットハンド300F’の上面からの加圧気体の供給を開始する。また、主制御装置は、吸着パッド142を駆動し、基板P2の+Y側かつ-X側の端部を吸着パッド142に吸着保持させる。
【0170】
次いで、主制御装置は、図34(a)に示すように、吸着パッド142を-X方向に駆動することで、基板P2を基板フィーダ169の基板支持面に沿って移動させる(矢印V2参照)。その後、ステージ装置20において基板P1に対する露光が終了すると、主制御装置は、図34(b)に示すように、基板フィーダ169を-X方向に駆動するとともに(矢印V3参照)、外部搬送ロボット300’を+X方向に駆動して、チャンバ200内から退避させる(矢印V4参照)。その後は、主制御装置は、前述した第8実施形態の動作(図29(a)~図30の動作)と同様の動作を実行することで、基板ホルダ28上の基板交換を行う。
【0171】
以上のように、本第10実施形態によると、外部搬送ロボット300’がチャンバ200内に進入して、基板P2の-X側半分程度を基板フィーダ169に受け渡すこととしているので、基板P2をチャンバ200内に引き込む基板スライドハンド140(吸着パッド142)のX方向の移動範囲(ストローク)及びZ方向の移動範囲を短くすることができる。また、これに伴い、吸着パッド142の移動時間を短縮することができる。
【0172】
また、基板を外部搬送ロボット300’から基板フィーダ169に受け渡す際に、上方から受け渡すようにしているため、基板をスライドさせて受け渡す場合と比べ、基板先端の撓み(垂れ)によって基板と基板フィーダ169とが接触する可能性を低減することができる。
【0173】
また、本第10実施形態では、基板スライドハンド140のレール146を基板フィーダ169に設けることとしたため、基板スライドハンド140のX軸方向の移動範囲(ストローク)を第9実施形態よりも短くすることが可能となっている。
【0174】
《第11実施形態》
次に、第11実施形態に係る露光装置について、図35図38を用いて説明する。
【0175】
図35(a)、図35(b)には、本第11実施形態に係る露光装置の横断面図及び縦断面図が示されている。なお、図35(a)、図35(b)等においては、便宜上、チャンバ200の図示を省略している。
【0176】
図35(a)、図35(b)に示すように、本第11実施形態では、第9実施形態の外部搬送ロボット300’に代えて、外部搬送ロボット301を用いることとしている。また、衝立部材172には、基板フィーダ169を覆う空間171を形成する包囲部材182が設けられている。
【0177】
外部搬送ロボット301は、図35(a)に示すように、複数(例えば5本)の指部301Fを有しているが、外部搬送ロボット300、300’と異なり、基板Pをエア浮上する機能を有していないものとする。また、外部搬送ロボット301の指部301Fに合わせて、基板フィーダ169の溝169aのX軸方向の長さが第9実施形態よりも長く設定されている。なお、外部搬送ロボット301の指部301Fの上面には基板支持パッドなどの凹凸形状の部材が存在していてもよい。
【0178】
衝立部材172に設けられた包囲部材182には、開口172Nが形成されている。なお、本第11実施形態では、外部搬送ロボット301の指部301Fがチャンバ200内に進入するが、その進入範囲は、空間171と空間173内に限定されている。また、本第11実施形態においては、空間173内に、+Z方向に向けてエアを排気するエア排気装置183が設けられている。エア排気装置183には、工場設備として一般的に利用されるコンプレッサから高圧エアを供給してもよい。また、エア排気装置183は、例えば特開2009-073660号公報に開示されているようなファンを用いたものであってもよい。
【0179】
その他の構成は、第9実施形態と同様となっている。
【0180】
(基板交換動作)
次に、本第11実施形態における基板交換動作について、図35(a)~図38(c)を用いて詳細に説明する。なお、図35(a)及び図35(b)、図36(a)及び図36(b)、図37(a)及び図37(b)は、同一のタイミングにおけるステージ装置近傍の横断面図及び縦断面図を示している。なお、図35(a)~図38(c)においては、露光装置の構成のうち、説明に不要な構成の図示が省略されている。
【0181】
図35(a)、図35(b)の動作)
図35(a)、図35(b)の状態では、ステージ装置20において基板P1に対して露光が行われている。一方、主制御装置は、次に露光を行う基板P2をチャンバ200内(空間171内)に受け入れるため、搬入口シャッタ154を+Z方向にスライドさせることで、搬入口152Uを開放する(図35(b)の矢印α1参照)。
【0182】
図36(a)、図36(b)の動作)
次いで、主制御装置は、外部搬送ロボット301を-X方向に駆動する(図36(a)、図36(b)の矢印α2参照)。この外部搬送ロボット301の動作により、図36(a)、図36(b)に示すように、外部搬送ロボット301の指部301Fの-X側半分程度と、基板P2の-X側半分程度が基板フィーダ169の上方に位置決めされる。この状態で、主制御装置は、外部搬送ロボット301を下降駆動することで、基板P2の一部を基板フィーダ169に受け渡す。そして、主制御装置は、基板フィーダ169からの加圧気体の供給を開始する。また、主制御装置は、吸着パッド142を駆動し、基板P2の+Y側かつ-X側の端部を吸着パッド142に吸着保持させる。
【0183】
図37(a)、図37(b)の動作)
次いで、主制御装置は、吸着パッド142をXZ面内でX軸及びZ軸に交差する方向(基板フィーダ169の基板支持面の傾斜方向)に駆動することで(矢印α3参照)、基板P2を図37(a)、図37(b)に示す位置まで移動させる。また、主制御装置は、外部搬送ロボット301を+X方向に駆動することで、指部301Fを空間171の外に出す。そして、基板P2の+X端部が搬入口シャッタ154よりも-X側に位置し、外部搬送ロボット301の指部301Fの-X端部が搬入口シャッタ154よりも+X側に位置すると、主制御装置は、搬入口シャッタ154を-Z方向にスライドさせることで、搬入口172Uを閉じる(矢印α4参照)。また、主制御装置は、外部搬送ロボット301を-Z方向に駆動し、指部301Fの-X端部を搬出口172Lの近傍に位置決めする(矢印α5参照)。
【0184】
図38(a)の動作)
次いで、主制御装置は、基板フィーダ169による基板P2の吸着保持を開始し、基板フィーダ169を-X方向に駆動する(矢印α6参照)。なお、基板フィーダ169の移動と同期して、基板P2を保持する吸着パッド142を-X方向に移動させてもよいし、基板フィーダ169の移動の際には、吸着パッド142による基板P2の吸着保持を解除しておき、吸着パッド142を予め-X方向に移動させておいてもよい。また、主制御装置は、搬出口シャッタ156を-Z方向にスライドさせることで、搬出口172Lを開放する(矢印α7参照)。更に、主制御装置は、外部搬送ロボット301を-X方向に駆動することで(矢印α8参照)、指部301Fが搬出口172L及び基板通過口172Mを貫通した状態にする。
【0185】
図38(b)の動作)
その後、ステージ装置20における基板P1に対する露光が終了すると、主制御装置は、ステージ装置20を基板フィーダ169の下方の基板交換位置まで移動させる(矢印α9参照)。このとき、基板ホルダ28に設けられたエア浮上部材29と、外部搬送ロボット301の指部301Fは、入れ子状になる。
【0186】
また、主制御装置は、エア排気装置183を制御し、上方に向けた高圧エアの排気を開始する(破線矢印α10参照)。また、主制御装置は、基板ホルダ28の上面及びエア浮上部材29の上面からの加圧気体の供給を開始する。また、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25を用いて基板P1を+Y方向にオフセットさせるとともに、吸着パッド27に基板P2の一部を吸着保持させ、吸着パッド27を+X方向に駆動する(図38(c)矢印α11参照)。
【0187】
その後、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27を上昇駆動し、吸着パッド27により基板P2の-X端部を吸着保持する。また、主制御装置は、基板フィーダ169の上面から加圧気体の供給(給気)を開始する。そして、主制御装置は、基板搬入ベアラ装置25の吸着パッド27が基板P2を吸着保持した状態で、ステージ装置20を-X方向に駆動する(矢印α12参照)と同時に、基板フィーダ169を+X方向に移動させる(矢印α13参照)。これにより、図38(c)に示すように、基板P2が基板フィーダ169上から基板ホルダ28上に受け渡されるようになっている。これにより、ステージ装置20の-X方向への駆動だけで基板P2を基板ホルダ28上に搬入するよりも、ステージ装置20と基板フィーダ169とをX方向に関して互いに離れる方向へ駆動させることで、基板P2を基板ホルダ28上へより高速に搬入することができる。これは、チャンバ200内に空間173を設けたことで、基板フィーダ169が+X方向へ駆動できるような装置構成としたため、可能となっている。なお、ステージ装置20を-X方向に駆動するタイミングと、基板フィーダ168を+X方向に移動させるタイミングとを異ならせてもよい。なお、主制御装置は、基板P2を基板ホルダ28に受け渡した後の基板フィーダ169を+X方向に移動させるようにしてもよい。また、主制御装置は、吸着パッド27を微小駆動することで、基板P2のアライメント(位置調整)を行う。その後、主制御装置は、吸着パッド27を下降駆動し、基板ホルダ28による基板P2の吸着保持を開始して、新たに基板ホルダ28上に載置された基板P2に対する露光を開始する。なお、主制御装置は、基板P2を基板ホルダ28に受け渡した後の基板フィーダ169を+X方向に移動させるようにしてもよい(矢印α13参照)。
【0188】
また、主制御装置が吸着パッド142を+X方向に駆動し続けることで(矢印α11参照)、基板P1が基板ホルダ28及びエア浮上部材29から、外部搬送ロボット301に受け渡される。なお、この基板P1の受け渡しの間、エア排気装置183から高圧エアが上方に向かって噴出されているため、外部搬送ロボット301が加圧気体を供給する機能を有していなくても、外部搬送ロボット301の指部301Fと基板P1との接触を防止することができる。その後、主制御装置は、エア排気装置183を停止するとともに、指部301Fによる基板P1の吸着保持を開始する。そして、主制御装置は、外部搬送ロボット301を+X方向に駆動して、基板P1をチャンバ200外に搬出し、搬出口シャッタ156を閉じる。
【0189】
以上により、基板交換動作が終了する。
【0190】
以上説明したように、上記第9実施形態と同様の効果が得られるほか、エア排気装置183を用いることで、外部搬送ロボット301が加圧気体を供給する機構を有していなくても、指部301Fと基板P1との接触を防止することができる。また、衝立部材172が空間171、173を有することで、露光装置本体10近傍への塵埃の進入を抑制することができる。
【0191】
なお、上記第11実施形態では、基板通過口172Mや開口172Nにシャッタを設けることとしてもよい。これにより、チャンバ200内への塵埃の進入を抑制することができる。
【0192】
《第12実施形態》
次に、第12実施形態について、図39図41を用いて詳細に説明する。図39(a)には、本第12実施形態に係る衝立部材172近傍の縦断面図が示され、図39(b)には、図39(a)のB-B線断面図が示されている。
【0193】
本第12実施形態は、上述した第11実施形態の構成に加え、空間173内に設けられたエア排気装置183に、ベルト繰り出し機構40が設けられている点に特徴を有する。
【0194】
ベルト繰り出し機構40は、エア排気装置183に設けられたX軸方向を長手方向とする一対のレール41と、レール41に沿ってX軸方向に移動可能な一対の可動体43と、可動体43それぞれに接続されたY軸方向を長手方向とする移動部材42と、を有する。移動部材42には、Z方向に突出した複数(例えば4つ)の凸部がY軸方向に所定間隔を空けて設けられている。また、ベルト繰り出し機構40は、移動部材42の凸部それぞれに一端が固定された複数本(例えば4本)のベルト45と、ベルト45それぞれの他端に固定された錘部材47と、を有する。なお、ベルト45それぞれは、エア排気装置183に設けられたY軸方向に延びる軸部材に固定されたプーリ48に懸けられた状態となっている。
【0195】
ベルト繰り出し機構40では、可動体43に-X方向の駆動力が付与されていない場合には、図39(a)に示すように、錘部材47が空間173の底面に当接するため、図39(a)の状態が維持されるようになっている。一方、可動体43に-X方向の駆動力が付与されると、移動部材42が-X方向に移動するため、ベルト45のうち、X軸方向に延びる部分の長さが長くなる。
【0196】
(基板交換動作)
次に、図40(a)~図41(c)に基づいて、本第12実施形態の露光装置における基板交換動作について、詳細に説明する。
【0197】
図40(a)には、ステージ装置20において、基板P1に対する露光が終了しており、上述した第11実施形態と同様にして、基板P2が外部搬送ロボット301によって基板フィーダ169上に搬送され、基板フィーダ169が-X方向に移動した状態が示されている。この場合、ベルト繰り出し機構40の錘部材47は、空間173の底面に当接した状態となっている。
【0198】
主制御装置は、図40(a)において、搬出口シャッタ156を-Z方向にスライドすることで、搬出口172Lを開放する(図40(a)の矢印β1参照)。そして、主制御装置は、図40(b)に示すように、外部搬送ロボット301の指部301Fを搬出口172Lから進入させる(矢印β2参照)とともに、ステージ装置20を基板交換位置(基板フィーダ169の下方)まで駆動する(矢印β3参照)。この場合、基板ホルダ28に設けられているエア浮上部材29それぞれは、図41(a)に示すように、各ベルト45と同一直線状に並ぶようになっている。また、外部搬送ロボット301の指部301Fは、ベルト45及びエア浮上部材29と入れ子状態となるため、指部301Fと、ベルト45及びエア浮上部材29とは接触しないようになっている。なお、ベルト45には多数の小さな孔が設けられているためエア排気装置183から高圧エアを供給することで、孔から高圧エアの一部が通過するようになっている。したがって、ベルト45に、エア浮上部材29と同様の機能を持たせることが可能となっている。これにより、基板P1をベルト45に対して浮上させた状態又は半浮上状態で、スライド移動させることができる。
【0199】
すなわち、図41(a)の状態では、基板ホルダ28上に載置された基板P1を基板スライドハンド140を用いて+X方向にスライドさせることで、外部搬送ロボット301の指部301Fにエア浮上のための機能がなくても、基板P1を撓ませずに、外部搬送ロボット301の指部301Fの上方に基板P1を移動させることができる。
【0200】
その後は、第11実施形態と同様、基板フィーダ169から基板ホルダ28上への基板P2の受け渡しと、基板ホルダ28から外部搬送ロボット300への基板P1の受け渡しが行われる。この動作においては、主制御装置は、ステージ装置20を-X方向に駆動するが、このステージ装置20の-X方向の駆動に追従するように、移動部材42を-X方向に移動させるようにしている。これにより、図41(b)に示すように、外部搬送ロボット301の指部301Fの間の隙間には、エア浮上部材29又はベルト45がほぼ隙間なく配置された状態を維持することが可能となっている。
【0201】
図41(c)には、基板ホルダ28上に基板P2が載置され、基板P1が外部搬送ロボット301の指部301Fの上方に位置決めされた状態が示されている。主制御装置は、この状態から、外部搬送ロボット301を上昇駆動することで、基板P1を外部搬送ロボット301に受け渡す。その後、主制御装置は、エア排気装置183を停止するとともに、指部301Fによる基板P1の吸着保持を開始する。そして、主制御装置は、外部搬送ロボット301を+X方向に駆動して、空間173内から退避させ、搬出口シャッタ156を+Z方向にスライドさせることで、搬出口172Lを閉じる。
【0202】
なお、上記説明では、外部搬送ロボット301を空間173内に進入させた状態で、基板P1を空間173内にスライド搬送する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、基板P1を空間173内にスライド搬送した後に、外部搬送ロボット301を空間173内に進入させてもよい。
【0203】
(変形例)
なお、上記各実施形態では、衝立部材152、172の搬出口及び搬入口近傍に搬出口シャッタ及び搬入口シャッタを設ける場合について説明したが、これに限らず、チャンバ200に搬出口シャッタ及び搬入口シャッタを設けることとしてもよい。
【0204】
なお、上記各実施形態の基板フィーダを、図42に示すような基板フィーダ264とし、基板フィーダ264の+Y側の面及び-Y側の面に設けた一対のブロック状部材265にカバー199を固定することで、基板フィーダ264の上面を覆うようにしてもよい。また、上面に溝が形成されている基板フィーダの場合には、溝の上方以外を覆うようにカバー199を設けるようにしてもよい。
【0205】
カバー199は、YZ断面が逆U字状であり、カバー199と基板フィーダ264との間には、+X側から基板をスライド搬入することができるとともに、-X側から基板をスライド搬出することができるようになっている。なお、図42では、カバー199が透明である場合を図示しているが、カバー199は透明でなくてもよい。本変形例では、カバー199を設けることにより、基板Pへのゴミの付着を防止することができるとともに、基板Pの温度を一定にすることができる。
【0206】
なお、第6実施形態(図22(a)、図22(b)等)において、図42の基板フィーダ264を採用する場合には、カバー199の上面を吊り下げ機構186により吊り下げ支持することとしてもよい。また、第7実施形態(図25)において、図42の基板フィーダ264を採用する場合には、基板フィーダの下面側にカバー199を設けることとしてもよい。
【0207】
また、上記各実施形態の基板フィーダとして、図43(a)に示すような基板フィーダ364を採用してもよい。基板フィーダ364は、その上面が湾曲した状態となっている。このように、基板フィーダ364の上面(基板支持面)を湾曲させることで、基板の断面係数を大きくすることができる。すなわち、基板の撓みに対して、基板の厚みが実際よりも数倍から数百倍大きくなったのと同じ効果を得ることができる。
【0208】
このようにすることで、図43(b)のように-X端部が飛び出した状態で基板Pを基板フィーダ364上に載置しても、基板Pの-X端部に撓み(垂れ)が発生するのを抑制することができる。また、基板Pの撓み(垂れ)の発生が抑制されているため、基板Pを基板ホルダ28に接触させるときに、基板Pを-X側の辺のY軸方向中央部から接触させることができるので、基板Pの-X端部に皺を生じにくくさせることができる。
【0209】
なお、基板フィーダ近傍には、イオナイザを設置してもよい。これにより、基板ホルダ28上に載置する前の基板の静電気対策としての除電を行なうことができる。
【0210】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0211】
10 露光装置本体
100 露光装置
200 チャンバ
300 外部搬送ロボット
28 基板ホルダ
160 基板フィーダ
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