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特許7456993シールを行うためのマルチノード複数回使用Oリングおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】シールを行うためのマルチノード複数回使用Oリングおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240319BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01L21/68 N
F16J15/10 C
F16J15/10 R
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021502757
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019038018
(87)【国際公開番号】W WO2020018226
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】62/700,461
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マヘシュワリ シャグン パンカジ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヤオ-フン
(72)【発明者】
【氏名】リー キング ファイ
(72)【発明者】
【氏名】ユー アンドリュー ウェン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】パル アニルッダ
(72)【発明者】
【氏名】チョ トム ケイ
(72)【発明者】
【氏名】リャオ チェン-ミン
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0220326(US,A1)
【文献】特開2003-172452(JP,A)
【文献】特開2002-130481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール面を有する第1の分離可能な処理チャンバ部品と、
部品表面を有する第2の分離可能な処理チャンバ部品であって、前記第2の分離可能な処理チャンバ部品が、前記部品表面に形成されたチャネルを含み、前記チャネルが、少なくとも2つのくぼみを分離するシーリング小結節を含む、第2の分離可能な処理チャンバ部品と、
断面のプロファイルが中心に対して対称である本体、
実質的に同じ形状を有する奇数のシーリングノードを備える複数のシーリングノードであって、前記プロファイルの中心に対して対称に配置された複数のシーリングノード、および
複数のシーリングアンチノードを含む、シーリングデバイスと
を含み、前記シーリングノードの少なくとも1つの部分が、前記第1の分離可能な処理チャンバ部品の少なくとも1つの表面と接触してシールを形成する表面を有し、前記シーリングノードの少なくとも2つが、前記第2の分離可能な処理チャンバ部品のくぼみと接触する表面を有し、3つのシーリングノードと3つのシーリングアンチノードが存在し、前記複数のシーリングノードのうちの第1のシーリングノードの表面の部分及び前記複数のシーリングアンチノードのうちの第1のシーリングアンチノードの表面の部分が、各々、第1の色を含み、前記第1の色が、前記複数のシーリングノードのうちの第2のシーリングノードの表面の部分及び前記複数のシーリングアンチノードのうちの第2のシーリングアンチノードの表面の部分に見られる第2の色と異なる、処理チャンバ。
【請求項2】
前記シーリングデバイスが弾性材料を含む、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項3】
前記本体が、トロイドの形状に形成される、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記本体がポリマー材料を含む、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
記第1及び第2の分離可能な部品が、前記シーリングデバイスの異なる部分に同時に接触するように位置づけられる、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
第1の分離可能な部品と第2の分離可能な部品との間にシールを形成する方法であって、
前記第1の分離可能な部品と前記第2の分離可能な部品との間でシーリングデバイスを圧縮することであって、
第2の分離可能な処理チャンバ部品が、前記部品の表面に形成されるチャネルであって少なくとも2つのくぼみを分離するシーリング小結節を含むチャネルを含み、
前記シーリングデバイスが、
断面のプロファイルが中心に対して対称である本体と、
実質的に同じ形状を有する奇数のシーリングノードを備える複数のシーリングノードであって、前記プロファイルの中心に対して対称に配置された複数のシーリングノードと、
複数のシーリングアンチノードとを含み、
前記シーリングノードの少なくとも1つの部分が、前記第1の分離可能な処理チャンバ部品の少なくとも1つの表面と接触してシールを形成する表面を有し、前記シーリングノードの少なくとも2つが、前記第2の分離可能な処理チャンバ部品のくぼみと接触する表面を有し、3つのシーリングノードと3つのシーリングアンチノードが存在し、前記複数のシーリングノードのうちの第1のシーリングノードの表面の部分及び前記複数のシーリングアンチノードのうちの第1のシーリングアンチノードの表面の部分が、各々、第1の色を含み、前記第1の色が、前記複数のシーリングノードのうちの第2のシーリングノードの表面の部分及び前記複数のシーリングアンチノードのうちの第2のシーリングアンチノードの表面の部分の第2の色と異なり、
前記シーリングデバイスを圧縮することにより、前記第1のシーリングノードと前記第1の分離可能な部品の表面との間に第1のシールを形成し、第1の対応するシーリングアンチノードと前記第2の分離可能な部品の表面との間に第2のシールを形成する、圧縮することと、
前記第1の分離可能な部品と前記第2の分離可能な部品とを分離することと、
前記第1の分離可能な部品に対して前記シーリングデバイスを再配向し、次いで、前記シーリングデバイスを圧縮することであって、前記シーリングデバイスを再配向した後に前記シーリングデバイスを圧縮することにより、前記第2のシーリングノードと前記第1の分離可能な部品の前記表面との間に第3のシールを形成し、第2の対応するシーリングアンチノードと前記第2の分離可能な部品の前記表面との間に第4のシールを形成する、圧縮することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記本体がトロイドの形状に形成され、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記本体が、閉ループ本体であり、各シーリングアンチノードが、前記閉ループ本体の断面においてシーリングノードの直径方向の反対側に位置づけられる、請求項に記載の処理チャンバ。
【請求項9】
前記チャネルのシーリング小結節の表面が、前記複数のシーリングアンチノードの表面とシールを形成するように構成される、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項10】
前記チャネルの少なくとも2つのくぼみの表面が、前記複数のシーリングノードの表面とシールを形成するように構成される、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項11】
前記シーリングノードが、凸部であり、前記シーリングアンチノードが、シーリングノード間の凹部である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項12】
前記第1の分離可能な処理チャンバ部品のシーリング表面が、実質的に平面である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、装置および方法に関し、より具体的には、シールを行うためのマルチノード複数回使用Oリングおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一のチップに数百万のトランジスタ、キャパシタ、および抵抗器を含む複雑なデバイスに進化した。チップ設計の進化は、絶えず、より高速の回路およびより大きい回路密度を必要としている。集積回路の需要が上昇し続けるにつれて、チップ製造は、ウエハスループットを向上させ、製品歩留りを上げた半導体処理システムを要求してきている。このスループットの向上に対応するために、より大きい直径のウエハ、例えば、300mm以上の直径を有するウエハを処理するためのシステムが開発されている。
【0003】
一般にウエハを処理することができる処理チャンバは、典型的には、静電チャック(ESC)、冷却板と加熱電極とを有する温度制御ベース、および支持体ペデスタルなどのパックを含む半導体ウエハ支持体アセンブリを含む。ガスライン、電線、裏側ガス導管などのような他の様々な構成要素も半導体ウエハ支持体アセンブリに配設される。そのような半導体ウエハ支持体アセンブリの製造中に、内部チャンバ環境と外部環境との間に真空の緊密なシールを保持するために、処理チャンバおよび支持体アセンブリの構成要素間に多数のOリングを配置する必要がある。Oリングは、さらに、処理中にチャンバ内にある敵対性のプラズマまたは化学的環境が、ウエハ支持体構成要素に入り込み攻撃するのを防止する。
【0004】
従来のOリングの1つの欠点は、チャンバ内での処理サイクルの繰り返しの後に劣化およびガス放出の影響を受けやすいことである。絶え間ない熱および/またはチャンバ圧力サイクルは、Oリングの弾性特性を損う。長期間にわたる使用の後、粒子が、最終的に、Oリングから剥がれ始める。そのような剥がれは、望ましくない汚染物質を生成するが、その理由は、汚染物質が処理中にウエハ上にゆっくり下降することがあるからである。これらの汚染物質は、その後、処理されたウエハに形成されたデバイスに短絡またはボイドを作り出し、それによって、ウエハの品質を低下させることがある。Oリングの交換はこれらの半導体処理チャンバの機能の必要な部分であるが、Oリングがさらされる過酷なプラズマおよび化学的環境は、Oリングの交換を必要とし、それは、利用者に大幅なコストをもたらす。
【0005】
それゆえに、耐久性のある再使用可能なOリングの必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
1つの実施形態では、少なくとも2つの分離可能な部品の間にシールを形成するためのシーリングデバイスが提供され、シーリングデバイスは、閉ループ本体、複数のシーリングノード、および複数のシーリングアンチノード(sealing antinode)を含む。各シーリングアンチノードは、閉ループ本体の断面においてシーリングノードの直径方向の反対側に位置づけられる。
【0007】
別の実施形態において、シール面を有する第1の分離可能な処理チャンバ部品と、部品表面を有する第2の分離可能な処理チャンバ部品とを含む処理チャンバが提供され、第2の分離可能な処理チャンバ部品は、部品表面に形成されたチャネルと、シーリングデバイスとを含む。シーリングデバイスは、本体、複数のシーリングノード、および複数のシーリングアンチノードを含む。シーリングノードの各々の一部分は、2つの分離可能な処理チャンバ部品の各々の少なくとも1つの表面とシールを形成するように構成された表面を有する。
【0008】
別の実施形態において、第1の分離可能な部品と第2の分離可能な部品との間にシールを形成する方法が提供され、この方法は、第1の分離可能な部品と第2の分離可能な部品との間でシーリングデバイスを圧縮することと、第1の分離可能な部品と第2の分離可能な部品とを分離することと、第1の分離可能な部品に対してシーリングデバイスを再配向し、次いで、シーリングデバイスを圧縮することと含む。シーリングデバイスは、本体、複数のシーリングノード、および複数のシーリングアンチノードを含む。シーリングノードおよびシーリングアンチノードのうちの少なくとも1つの一部分は、シーリングデバイスが圧縮されたときに2つの分離可能な部品の各々の少なくとも1つの表面とシールを形成するように構成された表面を有する。シーリングデバイスを圧縮することにより、第1のノードが、第1のシーリングノードと第1の分離可能な部品の表面との間に第1のシールを、および第1のシーリングアンチノードと第2の分離可能な部品の表面との間に第2のシールを形成する。シーリングデバイスを再配向した後、シーリングデバイスを圧縮することにより、第2のシーリングノードは、第2のシーリングノードと第1の分離可能な部品の表面との間に第3のシールを、および第2のシーリングアンチノードと第2の分離可能な部品の表面との間に第4のシールを形成する。
【0009】
本明細書に記載されるOリングは、多数のシーリング要素を含み、それにより、Oリングは、多数の場所でシールすることができる。Oリングは、Oリングの他の部分を保護しながら損傷に耐える多数の部分を有する。Oリングは、回転可能で再使用可能である。
【0010】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上述で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明を得ることができ、実施形態の一部は、添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定していると考えられるべきではなく、他の等しく効果的な実施形態を認めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】1つの実施形態による、基板処理チャンバの側面断面図である。
図1B】1つの実施形態による、処理チャンバ部品内に配設されたシーリングデバイスおよび溝の上面図である。
図2A】1つの実施形態による、溝内のシーリングデバイスの側面断面図である。
図2B】1つの実施形態による、プロセスプラズマを実施した後の溝内のシーリングデバイスの側面断面図である、
図2C】1つの実施形態による、プロセスプラズマを実施し、シーリングデバイスを回転させた後の溝内のシーリングデバイスの側面断面図である。
図2D】1つの実施形態による、溝の等角断面図である。
図2E】1つの実施形態による、排気部をもつ溝内のシーリングデバイスの側面断面図である。
図3】1つの実施形態による、異なるシーリング色付き区域が示されている、溝内のシーリングデバイスの等角断面図である。
図4A】1つの実施形態による、溝内の3つのシーリングノードのシーリングデバイスの側面断面図である。
図4B】1つの実施形態による、溝内の5つのシーリングノードのシーリングデバイスの側面断面図である。
図4C】1つの実施形態による、溝内の7つのシーリングノードのシーリングデバイスの側面断面図である。
図5】1つの実施形態による、シーリングデバイスを回転させる方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、一般に、処理チャンバの部品間のシールを形成するために使用されるOリングなどのシーリングデバイスに関する。いくつかの構成では、シーリングデバイスは、処理チャンバのチャンバ部品のうちの少なくとも1つにある溝または凹部(すなわち、図1のチャネル105)に配置される。本開示の実施形態は、さらに、一般に、少なくとも1つのチャンバ部品に形成された溝または凹部に対して第1の配向で使用可能な寿命に達したシーリングデバイスを再使用する方法も含む。いくつかの実施形態では、シーリングデバイスの再使用は、チャンバ部品に形成された溝または凹部に対してシーリングデバイスを再配向すること、例えば、溝内でシーリングデバイスを回転させることなどを含む。本開示の実施形態は、一般に、限定はしないが、回転させ再使用することができるマルチノードOリングに対して有用である。
【0013】
図1Aは、1つの実施形態による、基板処理チャンバ150の側面図である。処理チャンバ150は、周囲環境126内に配設される。基板50は、ベース135に置かれ、処理チャンバ150の処理領域125に配されたプロセスプラズマ147にさらされる。プラズマ147は、処理領域125内に配された処理ガスのイオン、中性物質、およびラジカルを含むことになる。典型的な処理ガスは、基板50に、または処理チャンバ150内に見られるチャンバ部品のうちの1つまたは複数にプロセスを実行するために使用される不活性ガスまたは反応性ガス(例えば、前駆体、ハロゲン含有ガス、アンモニア含有ガス)を含むことができる。真空ポンプ140および高周波(RF)電源145が、処理チャンバ150に接続される。処理チャンバ150の外側は、Oリング103を回転させるかまたは交換することができるように、プラズマ147の生成サイクルの間に分離することができる少なくとも2つの分離可能な部品を含む。これらの分離可能な部品は、一般に、本明細書では、下部チャンバ部品101および上部チャンバ部品100と呼ばれる。チャネル105は、下部チャンバ部品101に形成され、図2に示され、以下でさらに論じられる。
【0014】
図1Bは、1つの実施形態による、下部チャンバ部品101の表面111に形成されたチャネル105に配設されたシーリングデバイスの上面図である。以下の説明を簡単にするために、シーリングデバイスは、Oリング103と呼ぶ。但し、シーリングデバイス(例えば、Oリング)は、非円形の幾何学的形状(例えば、図4Aに示すような3ローブ形状(three lobed shape))である断面形状を有することができるので、以下での「Oリング」という用語の使用は、本明細書で提供する本開示の実施形態のうちの1つまたは複数内で使用することができるシーリングデバイスの構造的構成に関して限定するようには意図されていない。シーリングデバイスは、いくつかの実施形態によれば、端部がない連続体形状(例えば、トロイド形状)を有する。連続体形状は、円形ループ、三角形ループ、または矩形ループなどの閉ループ形状とすることができる。シーリングデバイスは、いくつかの特殊な場合には、不連続体形状(例えば、2つの端部を有する直線的ストリップ)を有することができる。Oリング103は、一般に、いくつかの実施形態によれば、天然ゴムもしくは合成ゴム、ブチル、パーフロロエラストマポリマー、ニトリル、シリコーン、テフロン(商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エラストマ、または導電性ポリマーなどの弾性材料または弾性ポリマー材料で製作される。
【0015】
図5は、1つの実施形態による、Oリング103の寿命を延ばすか、またはOリング103を再使用する方法500の流れ図を示す。方法500の操作が図2A図2Dおよび図5に関連して説明されるが、当業者は、方法のステップを任意の順序で実行するように構成された任意のシステムが本明細書に記載された実施形態の範囲内にあることを理解されよう。方法500は、操作502で始まり、Oリング103が所望の場所に取り付けられる。Oリング103は、第1の分離可能な部品と第2の分離可能な部品との間で圧縮され、その結果、Oリングの第1のノードは、第1のシーリングノード201Aと第1の分離可能な部品の表面との間に第1のシールを形成し、第1のシーリングアンチノード202Bと第2の分離可能な部品の表面との間に第2のシールを形成する。例えば、第1の分離可能な部品は上部チャンバ部品100とすることができ、第2の分離可能な部品は下部チャンバ部品101とすることができ、Oリング103はチャネル105に取り付けることができ、その結果、シーリングノード201Aは上部チャンバ部品100とシールを形成し、シーリングアンチノード202Bは下部チャンバ部品101とシールを形成する。
【0016】
図2Aは、操作502で上述したように、処理チャンバ150の下部チャンバ部品101の部品表面101Aに形成されたチャネル105内に位置づけられたOリング103の側面断面図である。Oリング103は、一般に、中実の円形本体103Aと、本体103Aのまわりにローブ構成を形成する複数のシーリングノード201(例えば、201A、201B、201C)と、複数のシーリングアンチノード202(例えば、202A、202B、202C)とを含む。いくつかの実施形態によれば、シーリングノード201の数は奇数であり、シーリングアンチノード202の数は奇数である。Oリングは、1つまたは複数のシーリングノード201とシーリングアンチノード202との中間に配置された1つまたは複数の合わせ目204をさらに含むことができる。シーリングノード201は、一般に、丸い凸形形状を有する。シーリングアンチノード202は、一般に、丸い凹形形状を有し、2つの別個のシーリングノード201と本体103Aとの三叉交差点に形成される。Oリング103は、各シーリングアンチノード202がシーリングノード201の直径方向の反対側に位置づけられるように、例えば、図2Aにおいて、シーリングノード201Aがシーリングアンチノード202Bの直径方向の反対側にあるなどのように構成される。各シーリングアンチノード202およびシーリングノード201は、Oリング103の全長に沿って延びる(図2Bには示されていない)。
【0017】
図2Dは、本明細書で提供される本開示の1つの実施形態による、2つのくぼみ205と1つの小結節203とを含む、下部チャンバ部品101に形成されたチャネル105の一部分の等角断面図である。
【0018】
上述で論じたように、チャネル105は、下部チャンバ部品101内に形成され、一般に、表面101Aに隣接して位置づけられた側壁130と、各々が側壁のうちの1つに隣接して位置づけられた少なくとも2つのくぼみ205とを含み、一般に、シーリングノード201B、201Cがくぼみ205の底部に接触できるように、およびシーリングノード201Aが上部チャンバ部品100とシールを形成できるように十分に深い下部チャンバ部品101の凹形の凹部を有する。チャネル105は、さらに、一般に、シール面203Aを有する少なくとも1つのシーリング小結節203を含み、シーリング小結節は少なくとも2つのくぼみ205を分離する。
【0019】
1つの実施形態では、シーリング小結節203の表面は、シーリングノード201の反対側に位置づけられたOリング103のシーリングアンチノード202とシールを形成するように構成され、シーリングノード201は、さらに、使用中、上部チャンバ部品100の部品表面100Aとシールを形成する。いくつかの実施形態では、表面100Aに対してシールを形成するシーリングノード201からOリングの反対側に位置づけられた2つ以上のシーリングノード201の一部分は、各々、チャネル105の表面205Aとシールを形成する。大部分の従来のOリング構成(図示せず)では、Oリングは、チャンバの反対面としかシールを形成しない。しかしながら、上記のように、Oリング103は、いくつかの実施形態では、上部チャンバ部品100の表面100Aとのシールおよびシーリング小結節203のシール面203Aとのシールだけでなく、隣接するノード201B、201Cを介してチャネル105の表面205Aとのシールも形成することができる。Oリング103は、シーリングデバイスの異なる部分に同時に接触しているときにシールを行い、これらの実施形態のうちのいくつかが、上述で列挙されている。Oリング103のシーリングノード201は、Oリング103が溝230から外れないようにするのにも役立つ。加えて、シーリングノード201は、Oリング103の追加の自由度を可能にし、それにより、Oリングは、シーリングノードのない従来のOリングよりも、Oリングの永久変形なしに、高い圧力に耐えることができる。
【0020】
通常の動作中の処理領域125の処理環境のしばしば攻撃的な性質のために、プラズマ147によって励起されたプロセス化学作用が、Oリング103の露出した面およびOリング103の露出したシール面領域220Aに達し攻撃することになる。プラズマ147は、一般に、Oリング103の材料を攻撃および/または腐食し、Oリング材料の機械的特性を変質し、シーリング能力を低下させる。時間と共に、Oリング103の露出したシール面は攻撃され、その結果、処理領域125で維持されるプロセス環境の品質(例えば、真空レベル、汚染、粒子)は、Oリングがもはや処理領域125で処理し続けるのに必要とされるプロセス環境パラメータ(例えば、圧力、リークレート、汚染、粒子)を維持することができない可能性がある点まで劣化する。大部分の従来のOリング構成(図示せず)では、Oリングが嵌合チャンバ部品と不十分なシールを形成する点に達したときの唯一の措置は、シールを交換することである。しかしながら、上記のように、チャネル105および表面100Aに対して第1の配向で使用可能な寿命に達した本開示のOリング103は、チャネル105および表面100Aに対して再配向された後、再使用することができる。
【0021】
加えて、本明細書で開示するOリング103および溝230の構成のために、プロセスプラズマ147は、シーリングノードのうちの1つ201Aおよび恐らくシーリングアンチノードの1つ202Aしか攻撃しないことになる。残りのシーリングノード201B、201C、およびシーリングアンチノード202B、202Cは、チャネル105内のそれらの位置によって保護される。奇数のシーリングノード201を含む構成では、シーリングノード201は、向かい合ったチャンバ部品(例えば、上部チャンバ部品100)に対してシールを形成することになり、シーリングアンチノード202は、対応するシーリングノード201の真向かいにある小結節203とシールを形成することになる。偶数のノードをもつシーリング部材は、隣接するノードと表面100Aとの間の境界の区域に室内圧力の空気を閉じ込めることがあり、それは、チャンバ使用中に高真空が達成されるときチャネル105に漏れ、チャンバ動作および薄膜成長の成功に必要な高真空を破綻させることがある。奇数のシーリングノード201をもつOリング103は、本明細書で説明するように、シーリングノードのうちの1つしか表面100Aとシールを作らないので、隣接するノードと表面100Aとの間の境界の区域を有していない。
【0022】
操作504において、プラズマ147が生成され、プラズマ147は、Oリング103を望ましくなく攻撃し、その結果、Oリング103はもはや必要とされるプロセス環境を維持しなくなる。図2Bは、操作504において上述したように処理チャンバの処理領域125の1つまたは複数のプロセスを終了した後のOリング103の露出したシール面領域220Aを示す。図2Bに示されるように、露出したシール面領域220Aは、プラズマ147の成分に長期間さらされたために損傷を受けており、その結果、Oリング103は、もはや必要とされるプロセス環境を維持することができない。一般に、シール面領域220Aの損傷部分は、物理的変化(例えば、Oリング103の表面のピットまたは細孔の形成)、および/またはOリング103の材料内の材料特性の変化、例えば、材料の機械的特性(例えば、硬度、%伸び率、圧縮永久歪み、結晶化度、モノマー鎖長)などを含む。この時点で、従来のシーリング部材は、プラズマ147からシーリング部材が被った損傷のために、チャンバから取り外され処分されなければならないことになる。しかしながら、本明細書で開示するOリング103および溝230の構成のために、Oリング103を回転させることができ、その結果、新しく露出したシール面領域220Bを露出させることができ、同じOリング103を用いて、プラズマ147を再び実施することができる。本明細書で開示するOリング103の再使用可能性は、顧客に対するコストを低減し、背景技術で提示したシーリング部材の交換および処分に費やされる時間を減じる。Oリング103は、シーリングノード201の数の回数だけ使用することができ、したがって、シーリングノード201の数の回数よりも1回少なく回転させ配置することができる。
【0023】
操作505において、第1の処理チャンバ部品と第2の処理チャンバ部品とが分離される。これにより、処置操作においてOリング103にアクセスし操作することが可能になる。例えば、上部チャンバ部品100は下部チャンバ部品101から分離され、その結果、Oリング103がアクセス可能になる。
【0024】
操作506において、Oリング103が、前の場所から持ち上げられる。例えば、Oリング103をチャネル105から持ち上げることができる。
【0025】
操作508において、Oリング103は、その場所に再挿入するために、損傷を受けていないシーリングノード201Bを位置づけるように再配向される。例えば、Oリング103は、回転させることができる。3つのシーリングノード201と3つのアンチノード202とを含むOリング103の場合には、Oリング103は、この操作で、第1の配向から第2の配向まで120°回転されることになる。一般に、多数のシーリングノード201およびシーリングアンチノード202を含むOリング103では、Oリング103は、この操作で、第1の配向から第2の配向まで、360°をシーリングノード201およびシーリングアンチノード202の数Nで割った値(例えば、360°/N)だけ回転されることになる。
【0026】
操作510において、Oリング103は、Oリングが操作508で再配向された後、所望の場所に再び取り付けられる。Oリング103は、第1の分離可能な部品と第2の分離可能な部品との間で圧縮され、その結果、Oリングの第1のノードは、第2のシーリングノード201Bと第1の分離可能な部品の表面との間に第1のシールを形成し、第2のシーリングアンチノード202Cと第2の分離可能な部品の表面との間に第2のシールを形成する。例えば、第1の分離可能な部品は上部チャンバ部品100とすることができ、第2の分離可能な部品は下部チャンバ部品101とすることができ、Oリング103はチャネル105に取り付けることができ、その結果、シーリングノード201Bは、上部チャンバ部品100とシールを形成し、シーリングアンチノード202Cは、下部チャンバ部品101とシールを形成する。
【0027】
図2Cは、露出したシール面領域220Aが溝230内に配置されるように、操作506において取り外され、操作508において回転され、操作510において上述したように取り付けられた後のOリング103を示している。新しい露出したシール面220Bは、まだ、プラズマ147にさらされておらず、それゆえに、Oリング103は、処理領域125でのさらなる処理のための使用に利用可能である。この構成において、ノード201Bの新しい露出したシール面220B、およびシーリング小結節203に接触している202Cの部分の初期状態の性質により、処理領域125の処理環境の品質が再び確立されることになる。
【0028】
次いで、方法500に見られるプロセス操作は、Oリング103が使用可能な寿命に達するまで複数回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、方法500は、シーリングノード201のうちのすべての露出したシーリング部分が、すべて、少なくとも、上部チャンバ部品100とシールを形成するように配向され位置づけられるまで繰り返される。1つの実施形態では、操作502~510は、シーリングノード201および/またはシーリングアンチノード202の数よりも1回少ない回数まで連続的に繰り返される。
【0029】
図2Eは、1つの実施形態による、排気部250をもつ溝230内のOリング103の側面断面図である。この実施形態では、シーリング小結節203は存在せず、排気部250が、シーリングノード201B、201Cの2つの間に設けられる。排気部250により、シーリングノード201B、201Cの間の区域の圧力を低下させることができる(圧力は図2EにPで示されている)。溝230を用いて強いシールを行うには、Oリング103が溝の側面に押しつけられなければならない。シーリングノード201B、201Cの間の圧力Pを低下させると、Oリング103への接触圧力が低下し、それにより、より高い圧力差に対してOリングをシールすることができる。
【0030】
図3は、チャネル105に配設されるOリング103の1つの実施形態の等角断面図である。いくつかの実施形態では、図3に示されるように、Oリング103は、各々が色を施された多数の区域を含む。多数の区域の各々は、場合によっては、隣接するシーリングノード201の先端の間に配された重複しない区域として画定することができる。Oリング103の1つの構成では、1つのシーリングノード201Aの頂上から次の隣接するシーリングノード201Bにわたり、シーリングアンチノード202A全体を包含する区域300は、Oリング103の他の同様に画定された区域301、302と異なるように色付けされる。1つの実施形態では、1つのシーリングノード201Bの頂上から次の隣接するシーリングノード201Cおよびシーリングアンチノード202Bまでの間に配されたOリング103の表面を含む区域301は、Oリング103の区域300内に見られる色と異なる色を含む。
【0031】
別の実施形態では、1つのシーリングノード201Cの頂上から次の隣接するシーリングノード201Aおよびシーリングアンチノード202Cまでの間に配されたOリング103の表面を含む区域302は、Oリング103の区域300および区域301内に見られる色と異なる色を含む。違うように色付けされた区域300、301、302は、1)チャネル105内のOリング103の配向、2)Oリング103がチャネル105内でねじれているかねじれていないか、ならびに3)Oリング103の寿命の段階、および交換する必要なしにOリング103をさらに何回回転させることができるか、を決定することを容易にする。プラズマ147が区域300を損傷すると、方法500で説明したように、区域300がチャネル105内でかつてあった場所に、損傷を受けていない区域301が存在するように、Oリング103をチャネル105から持ち上げ、回転させ、配置することができる。区域300がプラズマ147から十分な損傷を受け、その結果、Oリング103が、もはや必要とされるプロセス環境を維持することができない場合、Oリング103は、材料に生じた損傷により、Oリング103の材料の分子構造の変化に起因して色が変化するように設計することができる。この場合、Oリング103の損傷領域の色の変化は、Oリング103の元のベースの色を有するOリング103の攻撃されていない部分と比較することができる。これは、必要とされるプロセス環境を維持するには、Oリング103の配向を回転させる必要があり、新しい損傷を受けていない区域301を露出させる必要があるというユーザへの別の指標である。
【0032】
シーリングデバイス形成プロセスにおいて、Oリング103の表面の各々の色は、Oリング103を形成する材料を形成するために使用される樹脂または前駆体配合物の一部に1つまたは複数の顔料を加えることによって作り出される。別の形成プロセスでは、有色顔料が分散された有機溶媒が、色付けされるべき区域300、301、302に送り出されて、色付けされた被覆が形成される。いくつかの構成では、顔料含有溶媒を使用して、所望の色を含むべき区域300、301、302を改変する。いくつかの構成では、Oリング103の本体103Aは、ポリマー材料を含み、本体の表面上に配されたポリマー材料の少なくとも一部は、無着色の材料の色を変更するためにポリマー材料に加えられた顔料を含む。
【0033】
図4Aは、1つの実施形態による、チャネル105に配置された3つのシーリングノード201と3つのシーリングアンチノード202とをもつOリング103の断面図である。チャネル105は、1つの小結節203と2つのくぼみ205とを有する。処理チャンバ150内での使用の間、シーリングノード201Aは、上部チャンバ部品100の表面100Aに対してシールを形成する。シーリング小結節203の表面203Aは、上部チャンバ部品100の部品表面100Aとシールを形成するシーリングノード201Aの反対側に位置づけられたOリング103のシーリングアンチノード202Aとシールを形成するように構成される。表面100Aに対してシールを形成するシーリングノード201A以外のOリング103の反対側に位置づけられた2つのさらなるシーリングノード201B、201Cの一部分は、各々が、さらに、チャネル105の表面205A、205Bとシールを形成するように位置づけられる。シーリングノード201のうちの少なくとも1つの一部分は、Oリング103がチャネル105内に配設されたときに2つの分離可能な部品の一方の少なくとも1つの表面とシールを形成するように構成された表面を有し、2つの分離可能な部品は、1つの実施形態によれば、Oリングの異なる部分に同時に接触するように位置づけられる。
【0034】
図4Bは、1つの実施形態による、チャネル105内に位置づけられた5つのシーリングノード401と5つのシーリングアンチノード402とをもつOリング400の断面図である。小結節203は、シーリングアンチノード402とともにシールし、上部チャンバ部品100は、1つのシーリングノード401とともにシールする。1つの例では、処理チャンバ内での使用の間、シーリングノード401Aは、上部チャンバ部品100の表面100Aに対してシールを形成する。シーリング小結節203の表面の203Aは、上部チャンバ部品100の表面100Aとシールを形成するシーリングノード401Aの反対側に位置づけられたOリング400のシーリングアンチノード402Aとシールを形成するように構成される。シーリングノード401A以外のOリング400の反対側に位置づけられた2つのさらなるシーリングノード401B、401Cの一部分は、チャネル105の表面の205A、205Bとシールを形成することによって表面100Aに対してシールを形成する。
【0035】
図4Cは、1つの実施形態による、チャネル105に位置づけられた7つのシーリングノード411と7つのシーリングアンチノード412とをもつOリング404の断面図である。小結節203は、シーリングアンチノード412とともにシールし、上部チャンバ部品100は、1つのシーリングノード411とともにシールする。処理チャンバ内での使用の間、シーリングノード411Aは、上部チャンバ部品100の表面100Aに対してシールを形成する。シーリング小結節203の表面の203Aは、上部チャンバ部品100の表面100Aとシールを形成するシーリングノード401Aの反対側に位置づけられたOリング404のシーリングアンチノード412Aとシールを形成するように構成される。シーリングノード411A以外のOリングの反対側に位置づけられた2つのさらなるシーリングノード411B、411Cの一部分は、チャネル105の表面の205A、205Bとシールを形成することによって表面100Aに対してシールを形成する。
【0036】
上述で示したように、Oリング103は、複数のノード201と複数のアンチノード202とを含む。Oリング103は、ノード201を介して上部チャンバ部品100のところで少なくともシールし、アンチノード202を介して下部チャンバ部品101のところで少なくともシールする。処理チャンバ150の使用中に、Oリング103の一部分が損傷されることがあり、したがって、Oリングは、Oリングの損傷を受けていない部分がプロセス環境にさらに露出されるように回転される。
【0037】
Oリング103は、再使用可能であり、ユーザのためにコストを低減する。加えて、Oリング103は、色付き部分を有することができ、それにより、Oリングがチャネル105に正しく配置されているかどうか、さらに、Oリングが損傷を受けていないかどうか、またはOリングを回転させる必要があるかどうかを調べるのを容易にする。
【0038】
前述は本開示の実施形態に関するが、本開示の他のおよびさらなる実施形態を、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図4C
図5