(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】多価金属カチオンと組み合わせたビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20240319BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240319BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/19
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2021547943
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2019079777
(87)【国際公開番号】W WO2020089363
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】102018127296.0
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】レネ・クローン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シュルツェ・ツーア・ヴィーシェ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537391(JP,A)
【文献】特開2010-260862(JP,A)
【文献】Redken, France,Texturizing Conditioner,Mintel GNPD [online],Internet <URL:https://portal.mintel.com>,2016年07月,ID#4147431, [検索日:2023.08.24], 表題部分及び成分
【文献】Redken, France,Texturizing Conditioner,Mintel GNPD [online],2017年11月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5255071, [検索日:2023.08.24], 表題部分及び成分
【文献】Garnier, France,Strengthening Shampoo,Mintel GNPD [online],2017年10月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5197189, [検索日:2023.08.24], 表題部分及び成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質を処理するための化粧品組成物であって、
液体であり、
a)1個~3個のケイ素原子を含む少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
b)0.001モル/L~2モル/
Lのモル濃度の少なくとも1種の多価金属カチオン
を含んでな
り、
前記少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、式(I):
R
1
R
2
N-L-Si(OR
3
)
a
(R
4
)
b
(I)
[式中、
-R
1
およびR
2
は、相互に独立して水素原子またはC
1
-C
6
アルキル基を表し、
-Lは、直鎖二価のC
1
-C
6
アルキレン基を表し、
-R
3
およびR
4
は、独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を表し、
-bは数0を表す]
で示される有機ケイ素化合物、および式(IV):
R
9
Si(OR
10
)
k
(R
11
)
m
(IV)
[式中、
-R
9
は、C
1
-C
12
アルキル基であり、
-R
10
は、水素原子またはC
1
-C
6
アルキル基であり、
-R
11
は、C
1
-C
6
アルキル基であり、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示される有機ケイ素化合物を含む、化粧品組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の有機ケイ素化合物は
、式(II):
[式中、
-R
5、R
5'、R
5"、R
6、R
6'およびR
6"は独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
-R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R
6")
d"(OR
5")
c" (III)
で示される基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c"は、1~3の整数を表し、
-d"は、整数3-c"を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる
]
で示される有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項3】
前記ケラチン物質を処理するための
化粧品組成物は、
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
からなる群から選択される式(I)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項4】
前記ケラチン物質を処理するための
化粧品組成物は、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される式(II)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項
2または3に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項5】
前記有機ケイ素化合物は、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量
%の量で化粧品組成物中に存在することを特徴とする
、請求項1~4のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項6】
前記式(I)で示される有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項7】
前
記式(IV
)で示され
る有機ケイ素化合物は、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-プロピルトリメトキシシラン
-プロピルトリエトキシシラン
-ヘキシルトリメトキシシラン
-ヘキシルトリエトキシシラン
-オクチルトリメトキシシラン
-オクチルトリエトキシシラン
-ドデシルトリメトキシシラン
-ドデシルトリエトキシシラン
-オクタデシルトリメトキシシランおよび
-オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択され
ることを特徴とする、請求項1~
6のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項8】
前記化粧品組成物中の多価金属カチオンは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、マンガン、鉄、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、パラジウム、銀、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、白金、金、アルミニウム、ケイ素、スズまたはビスマスであることを特徴
とする、請求項1~
7のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項9】
前記化粧品組成物のpH
は1~
9であることを特徴とする、請求項1~
8のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項10】
成分c)として、少なくとも1種の界面活性剤が化粧品組成物中に存在
する、請求項1~
9のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項11】
前記ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、それぞれが1個~3個のケイ素原子を含み、構造的に異なる少なくとも2種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~
10のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項12】
前記ケラチン物質を処理するための組成物は、前記ケラチン物質を処理するための組成物の総重量を基準にして、
-0.5~3重量の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される第一の有機ケイ素化合物の少なくとも1種、および
-3.2~7重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される第二の有機ケイ素化合物の少なくとも1種
を含むことを特徴とする、請求項1~
11のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項13】
ケラチン物質のケアのための、および/または
色保護シャンプーまたは色保護コンディショナーとしての、
請求項1~
12のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質を処理するための化粧品であって、液体であり、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、および少なくとも1種の多価金属カチオンを含んでなる化粧品、および該化粧品の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚および毛髪の美容処理は、人体ケアの重要な部分である。そのため、ヒトの毛髪は今日、毛髪化粧品を用いて様々な方法で処理される。これには、例えば、シャンプーによる毛髪の洗浄、コンディショナーおよび治療剤を用いたケアおよび再生、染料、毛染め料、ウェーブ剤、および整髪料による毛髪のブリーチ、カラーリング、および整髪が含まれる。頭部の毛髪の色を変えたりニュアンス付けたりすることは、特別な役割を果たす。ブリーチ剤を放置すると、天然の毛髪色素の破壊による毛髪の酸化的淡色化が生じる。基本的に、染毛の分野には重要な3種の染毛剤が存在する:いわゆる酸化染料は、耐久性のある強力な染色に使用され、相応の耐久性を有する。このような着色剤は通常、酸化染料前駆物質(いわゆる顕色成分)および発色成分を含む。
【0003】
生成されたまたは色生成中に直接使用された染料が、極めて異なる耐久性(例えば、UV安定性、汗堅牢度、洗浄堅牢度など)を示す場合、識別可能な、従って望ましくない色ずれが徐々に起こり得る。頻繁に行う洗浄または他のケアトリートメントもまた、色ずれを起こし得る。程度の異なる損傷を受けた毛髪または毛髪の領域がヘアスタイルに含まれる場合、この現象は生じやすい。この例には長髪が含まれ、あらゆる種類の環境の影響に長期間晒された毛髪の先端は通常、比較的新しく再成長した毛髪領域より遥かに損傷を受けている。
【0004】
一時的染色のためには通常、いわゆるダイレクトプラー(direct puller)を染色成分として含む染色剤または毛染め料が使用される。これらは、毛髪に直接吸収され、発色に酸化工程を必要としない染料分子である。これらの着色は通常、酸化的着色よりも洗髪に遥かに敏感なので、多くの場合、望ましくないニュアンスのずれ、あるいは目に見える「脱色」が遥かに迅速に起こる。
【0005】
別の一般的な染色工程では、天然染毛剤メラニンの前駆物質が毛髪に適用され、その後、これは、毛髪における酸化工程の一部として天然類似染料を形成する。このような工程では、例えば、5,6-ジヒドロキシインドリンが染料前駆物質として使用される。5,6-ジヒドロキシインドリン含有剤の適用、特に反復適用により、白髪の人の天然の毛髪の色を回復させることができる。着色は、唯一の酸化剤として大気酸素を用いて実施できるので、追加の酸化剤を使用する必要はない。
【0006】
全ての染毛でいくつかの問題が生じる。一方では、染毛剤をすすぎ落とす際に、皮膚領域の望ましくない着色が起こり得る。この影響により、洗い流されたときに、より明るい「ハイライト」がヘアカラーによって再着色されたり、より暗い「ハイライト」から洗い流されたときに、染料がより明るいベースの毛髪を着色したりすることがある。染料の洗い流しは通常、元の望ましい色が変化するという欠点を伴う。特に、赤または青の色調のヘアカラーは、毛髪における残留時間が短いので、その洗い流しは、望ましくない色をもたらす。この問題はまた、色保護製品により抑制される。
【0007】
他方では、全ての化学的ストレスは、染色工程の複雑化を意味する。多種多様な発生源からの化学薬品に対する毛髪の外的暴露は、美容着色製品の開発に対して様々な課題を提起する。空気および水の不純物は、皮膚および毛髪に有害に作用する。主要な大気汚染物質には、多環式芳香族炭化水素、揮発性有機化合物、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質、およびタバコの煙が含まれる。種々の大気汚染物質の影響は、他の大気汚染物質の存在下およびUV線への暴露時、増幅され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、最適な着色工程を可能にすると同時に、毛髪が長期に持続する所望の色を維持することを確実にする、毛髪に対する特別なケア効果をもたらす製品に対する要求が存在する。
【0009】
本発明の課題は、向上したケアおよび/または保護効果を備えた製品を提供することである。特に、本発明は、損傷を受けた毛髪に対し特別なケアを与え、洗い流しまたは色変化の影響を低減する化粧品組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、ケラチン物質を処理するための化粧品であって、
液体であり、
a)1個~3個のケイ素原子を含む少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
b)0.001モル/L~2モル/L、好ましくは0.005モル/L~1.5モル/L、より好ましくは0.01モル/L~1モル/L、最も好ましくは0.02モル/L~0.5モル/Lのモル濃度の少なくとも1種の多価金属カチオン
を含んでなる、化粧品によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手指の爪および/または足指の爪)を意味する。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に含まれる。
【0012】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪(特に、手指の爪および足指の爪)を意味すると理解される。極めて好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、特に頭髪および/または髭を意味すると理解される。
【0013】
本発明に必須の第一の成分として、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、1個~3個のケイ素原子を含む少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。好ましい有機ケイ素化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランであって、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む有機ケイ素化合物から選択される。
【0014】
オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有するか、または炭素が酸素、窒素またはイオウ原子を介してケイ素原子に結合している化合物である。有機ケイ素化合物は、1個~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0015】
IUPAC命名法によると、用語「シラン」は、ケイ素骨格および水素をベースにした一群の化合物を意味する。有機シランにおいて、水素原子は(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により、完全にまたは部分的に、置換されている。有機シランにおいて、いくつかの水素原子は、ヒドロキシ基により置換されていてもよい。
【0016】
ケラチン物質を処理するための剤は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから好ましくは選択される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0017】
最も好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための剤は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上の塩基性基および1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む。
【0018】
この塩基性基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であってよく、これは、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合されている。塩基性基は、好ましくは、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0019】
加水分解性基は、好ましくは、C1-C6アルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合していることが好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基の場合、有機ケイ素化合物は好ましくは、構造単位R'R"R"'Si-O-CH2-CH3を含む。基R'、R"およびR"'は、ケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0020】
特に良好な結果は、ケラチン物質を処理するための剤が式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む場合に得られる。
【0021】
式(I)および(II)で示される化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0022】
別の極めて好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための剤は、式(I)および/または(II):
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (I)
[式中、
-R
1、R
2は、共に水素原子であり、
-Lは、直鎖二価のC
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)であり、
-R
3およびR
4は、独立して、メチル基またはエチル基であり、
-aは数3であり、
-bは数0である]
[式中、
-R5、R5'、R5"は、独立して水素原子またはC
1-C
6アルキル基であり、
-R
6、R
6'およびR
6"は、独立してC
1-C
6アルキル基であり、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基であり、
-R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R
6")
d"(OR
5")
c
" (III)
で示される基であり、
-cは、1~3の整数であり、
-dは、整数3-cであり、
-c'は、1~3の整数であり、
-d'は、整数3-c'であり、
-c"は、1~3の整数であり、
-d"は、整数3-c"であり、
-eは、0または1であり、
-fは、0または1であり、
-gは、0または1であり、
-hは、0または1であり、
-ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる]
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0023】
式(I)および式(II)で示される化合物中の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5'、R5"、R6、R6'、R6"、R7、R8、L、A、A'、A"、A"'およびA""は、下記例で説明される:
C1-C6アルキル基の例は、基メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルである。プロピル、エチルおよびメチルが、好ましいアルキル基である。C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖二価のC1-C20アルキレン基の例には、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が含まれる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3C原子の鎖長から、二価のアルキレン基が分岐していてもよい。分岐二価のC3-C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0024】
式(I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
で示される有機ケイ素化合物において、基R1およびR2は、相互に独立して水素原子またはC1-C6アルキル基である。特に、基R1およびR2は、共に水素原子である。
【0025】
有機ケイ素化合物の中央部には、構造単位またはリンカー-L-が存在し、これは、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を意味する。
【0026】
好ましくは、-L-は、直鎖二価のC1-C20アルキレン基である。さらに好ましくは、-L-は、直鎖二価のC1-C6アルキレン基である。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)である。Lは、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)である。
【0027】
式(I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
で示される有機ケイ素化合物は、一端にケイ素含有基-Si(OR3)a(R4)bを有する。
【0028】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、R3は、水素またはC1-C6アルキル基であり、R4は、C1-C6アルキル基である。R3およびR4は、相互に独立して、メチル基またはエチル基である。
【0029】
ここで、aは、1~3の整数であり、bは、整数3-aである。aが数3である場合、bは0に等しい。aが数2である場合、bは1に等しい。aが数1である場合、bは2に等しい。
【0030】
水および/または大気汚染の負の効果に対する最良の保護(「抗汚染」効果)およびストレスを受けた毛髪の最良のケアは、ケラチン物質を処理するための剤が、式(I)[式中、基R3、R4は独立してメチル基またはエチル基である]で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む場合に得られる。
【0031】
式(I)で示される特に適当な有機ケイ素化合物は、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-1-(2-アミノエチル)シラントリオール
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、
および/または
-1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
である。
【0032】
式(I)で示される有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、Sigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもSigma-Aldrichから市販品として入手できる。
【0033】
別の実施態様では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II):
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0034】
式(II)で示されるオルガノシリコン化合物は、2つの末端それぞれに、ケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6')d'(OR5')c'を有する。
【0035】
式(II)で示される分子の中央部には、基-(A)e-および-[NR7-(A')]f-および-[O-(A")]g-および-[NR8-(A"')]h-が存在する。ここで、e、f、gおよびhのそれぞれは、相互に独立して、数0または1であり、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。換言すれば、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A')]-および-[O-(A")]-および-[NR8-(A"')]-からなる群から選択される基を少なくとも1つ含む。
【0036】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6')d'(OR5')c'において、R5、R5'、R5"は、相互に独立して、水素原子またはC1-C6アルキル基である。基R6、R6'およびR6"は、独立してC1-C6アルキル基である。
【0037】
ここで、cは、1~3の整数であり、dは、整数3-cである。cが数3である場合、dは0に等しい。cが数2である場合、dは1に等しい。cが数1である場合、dは2に等しい。
【0038】
同様に、c'は、1~3の整数であり、d'は、整数3-c'である。c'が数3である場合、d'は0である。c'が数2である場合、d'は1である。c'が数1である場合、d'は2である。
【0039】
基cおよびc'が共に数3である場合、ケラチン物質を処理するための剤の極めて高い汚染防止効果が得られる。この場合、dおよびd'は、共に数0である。
【0040】
別の好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための剤は、式(II):
[式中、
-R
5およびR
5'は独立して、メチル基またはエチル基であり、
-cおよびc'は、共に数3であり、
-dおよびd'は、共に数0である]
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0041】
cおよびc'が共に数3であり、dおよびd'が共に数0である場合、有機ケイ素化合物は、式(IIa):
(R5O)3Si-(A)e-[NR7-(A')]f-[O-(A")]g-[NR8-(A"')]h-Si(OR5')3 (IIa)
に相当する。
【0042】
e、f、gおよびhは独立して、数0または1であってよく、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。従って、記号e、f、gおよびhは、基-(A)e-および-[NR7-(A')]f-および-[O-(A")]g-および-[NR8-(A"')]h-のいずれが、式(II)で示される有機ケイ素化合物の中央部に位置するかを決定している。
【0043】
本発明では、特定の基の存在が、「汚染防止」効果を高める観点から特に有利であることが見出された。特に良好な結果は、e、f、gおよびhの少なくとも2つが数1である場合に得られる。特に好ましくは、eおよびfは共に数1を意味する。さらに、gおよびhは共に数0を意味する。
【0044】
eおよびfが共に数1であり、gおよびhが共に数0である場合、有機ケイ素化合物は、式(IIb):
(R5O)c(R6)dSi-(A)-[NR7-(A')]-Si(R6')d'(OR5')c' (IIb)
に相当する。
【0045】
基A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基である。好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、直鎖二価のC1-C20アルキレン基である。さらに好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、直鎖二価のC1-C6アルキレン基である。特に、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)である。特に、基A、A'、A"、A"'およびA""は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)である。
【0046】
fが数1である場合、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造基-[NR7-(A')]-を含む。
【0047】
hが数1である場合、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造基-[NR8-(A"')]-を含む。
【0048】
式中、R7およびR8は独立して、水素原子、C1-C6アルキル基、ヒドロキシC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、アミノC1-C6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R6")d"(OR5")c" (III)
で示される基を表す。
【0049】
極めて好ましくは、R7およびR8は独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す。
【0050】
fが数1であり、hが数0である場合、有機ケイ素化合物は、基-[NR7-(A')]-を含むが、基-[NR8-(A"')]-を含まない。基R7が式(III)で示される基を表す場合、ケラチン物質を処理するための剤は、3個の反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0051】
別の好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための剤は、式(II):
[式中、
-eおよびfは、共に数1であり、
-gおよびhは、共に数0であり、
-AおよびA'は相互に独立して、直鎖二価のC
1-C
6アルキレン基であり、
-R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基である]
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0052】
別の好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II)[式中、
-eおよびfは、共に数1であり、
-gおよびhは、共に数0であり、
-AおよびA'は相互に独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)であり、
-R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基である]
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0053】
課題の解決に適した式(II)で示される有機ケイ素化合物は、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
である。
【0054】
式(II)で示される有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
【0055】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0056】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンとしても知られ、例えば、Sigma-Aldrichから購入でき、または、Evonikから商品名Dynasylan 1122で市販品として入手できる。
【0057】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも称され、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0058】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0059】
毛髪に適用されるケラチン物質を処理するための剤が、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む場合に有利であることも見出された。
【0060】
式(IV)で示される化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0061】
式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基であり、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基であり、
-R11は、C1-C6アルキル基であり、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示される有機ケイ素化合物はまた、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランと称されることもある。
【0062】
さらに好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(I)で示される有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基であり、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基であり、
-R11は、C1-C6アルキル基であり、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示されるさらなる有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0063】
同様に好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II)で示される有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基であり、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基であり、
-R11は、C1-C6アルキル基であり、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示されるさらなる有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0064】
別の好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(I)および(II)で示される有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基であり、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基であり、
-R11は、C1-C6アルキル基であり、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示されるさらなる有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0065】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R9は、C1-C12アルキル基である。このC1-C12アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐であってよい。好ましくはR9は、直鎖C1-C8アルキル基である。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基またはn-ドデシル基である。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基またはn-オクチル基である。
【0066】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基である。特に好ましくは、R10は、メチル基またはエチル基である。
【0067】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R11は、C1-C6アルキル基である。特に好ましくは、R11は、メチル基またはエチル基である。
【0068】
さらに、kは、1~3の整数であり、mは、整数3-kである。kが数3である場合、mは0に等しい。kが数2である場合、mは1に等しい。kが数1である場合、mは2に等しい。
【0069】
ケラチン物質を処理するための剤が、kが数3である式(IV)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む場合、極めて有益な効果が得られる。この場合、残りのmは数0である。
【0070】
課題の解決に特に適した式(IV)で示される有機ケイ素化合物は、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-n-ヘキシルトリメトキシシラン
-n-ヘキシルトリエトキシシラン
-n-オクチルトリメトキシシラン
-n-オクチルトリエトキシシラン
-n-ドデシルトリメトキシシランおよび/または
-n-ドデシルトリエトキシシラン
およびプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはオクタデシルトリエトキシシランである。
【0071】
上記有機ケイ素化合物は、反応性化合物である。
【0072】
これに関連して、剤が有機ケイ素化合物として、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、すなわちアミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、および/または3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、すなわちビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンを含む場合に、特に好ましいことが見出された。
【0073】
本発明の好ましい実施態様では、式(I)で示される有機ケイ素化合物、特に(3-アミノプロピル)トリエトキシシランは、化粧品組成物中に、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~8重量%、より好ましくは0.05~6重量%、最も好ましくは0.1~4重量%の量で存在する、および/または式(II)で示される有機ケイ素化合物、特に3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、化粧品組成物中に、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~9重量%、より好ましくは0.05~8重量%、最も好ましくは0.1~7重量%の量で存在する。
【0074】
剤が、それぞれが1個~3個ケイ素原子を含み、構造的に異なる2種の有機ケイ素化合物を含む場合、特に安定かつ均一なフィルムが、ケラチン物質上に得られることが見出された。
【0075】
好ましい実施態様では、剤は、式(I)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種および式(IV)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0076】
明らかに極めて特に好ましい実施態様では、剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される式(I)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含み、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする。
【0077】
別の好ましい実施態様では、剤は、剤の総重量を基準にして、
-0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される第一の有機ケイ素化合物の少なくとも1種、および
-3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される第二の有機ケイ素化合物の少なくとも1種
を含むことを特徴とする。
【0078】
少なくとも1個の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物では、少量の水の添加であっても、加水分解が生じる。加水分解生成物および/または少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応で相互に反応し得る。このため、少なくとも1個の加水分解性基を有するオルガノシリコン化合物およびそれらの加水分解および/または縮合生成物の両方が、組成物中に存在し得る。少なくとも1個のヒドロキシル基を有するオルガノシリコン化合物を使用する場合、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびその縮合生成物の両方が、組成物中に存在し得る。
【0079】
縮合生成物は、1分子当たり少なくとも1個のヒドロキシル基または加水分解性基をそれぞれが有する少なくとも2種の有機ケイ素化合物の、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴う反応により形成された生成物であると理解される。縮合生成物は、例えば、ダイマーであり得るが、トリマーまたはオリゴマーである場合もあり、縮合生成物はモノマーと平衡状態にある。加水分解で使用または消費される水の量に応じて、平衡は、モノマー有機ケイ素化合物側から縮合生成物側にシフトする。
【0080】
本発明では、重量%単位の数値は、特に記載のない限り常に、化粧品の総重量に基づく。
【0081】
本発明では、化粧品は液体である。本発明では、液体は、非ガス状の流動性物質と理解される。液体は、特定のモル濃度の多価金属カチオン、特に二価金属カチオンを含む。
【0082】
本発明に必須の第二の成分として、化粧品ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、多価金属カチオン、特に二価金属カチオンを含む。本発明に至る検討の過程で、本発明の課題を解決するためには、有機ケイ素化合物、例えば、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、すなわちビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンを、多価の、二価の金属カチオンと組み合わせる場合が特に有利であることが見出された。
【0083】
ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンと多価金属カチオンとの組み合わせが、人工の染毛剤の洗い流しから毛髪を保護することが見出された。同様に、特に酸化的損傷を受けた毛髪では、毛髪表面がより疎水性になり、変性温度、毛髪膨張、および引張-伸長パラメーターが改善されるか、または有利に変化する。これらのパラメーターが改善されることにより、損傷を受けた毛髪の物理的特性は、損傷を受けていない毛髪のレベルに戻され、毛髪構造の再安定化が示される。
【0084】
本発明において、二価金属カチオンは、元素周期表で金属として記載されており、2つの正電荷を含むカチオンと理解される。電気化学的に安定な多価イオンを形成する限り、基本的に、下記金属が考えられる:ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、タリウム、鉛およびビスマス。
【0085】
本発明の好ましい実施態様では、化粧品組成物中の多価、二価金属カチオンは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、マンガン、鉄、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、パラジウム、銀、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、白金、金、アルミニウム、ケイ素、スズ、またはビスマスを含む。
【0086】
本発明のより好ましい実施態様では、化粧品組成物中の多価、二価金属カチオンは、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、またはアルミニウム、特に、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、ランタン、セリウム、またはアルミニウムを含む。
【0087】
全ての生理学的に許容可能なアニオンが、多価金属カチオンに対する対イオンとして考えられる。
【0088】
使用できる好ましい塩には、クエン酸マグネシウム、塩化ランタンおよび/または乳酸カルシウムが包含される。
【0089】
好ましい実施態様では、化粧品組成物のpHは、1~9、好ましくは1.5~8、より好ましくは2~7、さらに好ましくは2.5~6、最も好ましくは3~5である。
【0090】
本発明の好ましい実施態様では、化粧品組成物は、いくつかの界面活性剤を成分c)として含み、より好ましくは、2種の構造的に異なる界面活性剤が化粧品組成物中に含まれる。化粧品が、2種の構造的に相互に異なる界面活性剤を含むこと、好ましくは、化粧品が、2種の構造的に異なるカチオン性界面活性剤、2種の構造的に異なるアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、またはアニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含むことが特に好ましい。
【0091】
特に、ケラチン物質を処理するための手段は、ケラチン物質を洗浄するための手段、ケラチン物質をケアするための手段、および/またはケラチン物質をケアし、洗浄するための手段を含み得る。化粧品は、色保護シャンプーまたは色保護コンディショナーである。
【0092】
本発明のさらなる好ましい実施態様では、化粧品組成物は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を成分c)として含む。これは、特に好ましくは、式(V):
[式中、
R
12、R
13、R
14は独立して、C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基であり、
R
15は、C
8-C
28アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基であり、
X
-は、生理学的に適合性のアニオンである]
で示されるカチオン性界面活性剤であり、および/または
化粧品組成物は、好ましくは、式(VI):
[式中、
R
16は、C
1-C
6アルキル基であり、
R
17、R
18は、独立して、C
7-C
27アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基であり、
X
-は、生理学的に適合性のアニオンである]
で示されるカチオン性界面活性剤の少なくとも1種を含み、および/または
化粧品組成物は、好ましくは、式(VII):
[式中、
R
19、R
20は、独立して、C
1-C
6アルキル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基であり、
R
21、R
22は、独立して、C
7-C
27アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基であり、
X
-は、生理学的に適合性のアニオンである]
で示されるカチオン性界面活性剤の少なくとも1種を含み、および/または
化粧品組成物は、好ましくは、式(VIII):
NR
23R
24R
25 (VIII)
[式中、
R
23、R
24は、独立して、C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基であり、
R
25は、C
8-C
28アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基である]
で示されるカチオン性界面活性剤の少なくとも1種を含む。
【0093】
式(VIII)で示されるカチオン性界面活性剤は、アミン誘導体、いわゆるシュードクワット(pseudoquat)である。有機基R23、R24およびR25は、窒素原子に直接結合している。酸性のpH範囲では、これらはカチオン化されている、すなわち、窒素原子はプロトン化されている。生理学的に適合性の対イオンが、対イオンとして適している。ステアミドプロピルジメチルアミンが、式(VIII)で示されるカチオン性界面活性剤の中で特に好ましい。
【0094】
本発明の好ましい実施態様では、カチオン性界面活性剤の量は、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.1~30重量%、好ましくは0.5~20重量%、より好ましくは1~10重量%である。
【0095】
本発明の好ましい実施態様では、カチオン性界面活性剤は、カチオン電荷を有する疎水性先端基および1つまたは2つの疎水性末端部を含み、疎水性末端部は、C6~C30、より好ましくはC8~C26、特に好ましくはC10~C22の鎖長を好ましくは有する、直鎖または分岐、飽和または一価もしくは多価不飽和のアルキル基である。別の好ましい実施態様では、カチオン性界面活性剤は、エステル官能基、エーテル官能基、ケトン官能基、アルコール官能基、またはアミド官能基を有する。
【0096】
本発明の好ましい実施態様では、化粧品組成物は、さらなる成分c)として、非イオン性界面活性剤含む。これは、好ましくは、下記群から選択される非イオン性界面活性剤を含む:
-飽和または不飽和、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルカミド、
-飽和または不飽和、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルフルクトシド、
-飽和または不飽和、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルコシド、
-式:R10(OR11)mOHで示されるアルキルアルコールアルコキシレート[式中、R10は、直鎖または分岐鎖のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基であり、R11は、C2~C4、好ましくはC2アルキル基であり、mは、1~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~6である]。
【0097】
本発明の好ましい実施態様では、1種以上のアニオン性界面活性剤が化粧品組成物中に成分c)として含まれ、これは好ましくは下記群から選択される:
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐、飽和または一価もしくは多価不飽和のアルキルスルホネート、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を有する直鎖α-オレフィンスルホネート、
-式:R9-O-(CH2-CH2O)n-SO3X[式中、R9は、好ましくは、8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐、飽和または一価もしくは多価不飽和のアルキルまたはアルケニル基であり、nは0または1~12、より好ましくは2~4であり、Xはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属イオンまたはプロトン化トリエタノールアミンまたはアンモニウムイオンである]で示されるアルキルサルフェートおよびアルキルポリグリコールエーテルサルフェート、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐、飽和または一価もしくは多価不飽和のアルキルカルボン酸、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐、飽和または一価もしくは多価不飽和のアルキルホスフェート、
-アルキル基が、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルイセチオネート、特にココイルイセチオン酸ナトリウム、
-アルキル基が、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルグリコシドカルボン酸、
-2個のアルキル基が、同じまたは異なる、分岐または非分岐のC2~C12、好ましくはC4~C10、より好ましくはC6~C8アルキル基から選択されるアルキルスルホスクシネート、
-アルキル基が、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルタウレート、
-アルキル基が、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルサルコシネート、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個のC原子および1~6個の二重結合を有する不飽和脂肪酸のスルホネート
[ここで、アニオン性界面活性剤の対イオンは、アルカリもしくはアルカリ土類金属イオンまたはプロトン化トリエタノールアミンまたはアンモニウムイオンである]。
【0098】
特に好ましいアニオン性界面活性剤は、8~18、10~16個の炭素原子を有するアルキル基および1~6、2~4個のエチレンオキシド単位を含む、直鎖または分岐鎖アルキルエーテルサルフェートである。
【0099】
極めて好ましくは、アニオン性および両性/双性イオン性界面活性剤の混合物は、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート(INCI:ラウレス硫酸ナトリウム)、極めて好ましくは、2個のエチレンオキシド単位を有するナトリウムラウリルエーテルサルフェートを含む。
【0100】
双性イオン性界面活性剤としても知られている両性界面活性剤は、分子内に少なくとも1個の四級アンモニウム基および少なくとも1個の-COO-または-SO3-基を含む界面活性化合物である。両性/双性イオン性界面活性剤はまた、C8-C24アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の-COOHまたは-SO3H基を含み、内部塩を形成できる、界面活性化合物を包含する。
【0101】
本発明の好ましい実施態様では、化粧品組成物は、さらなる成分c)として、少なくとも1種の両性界面活性剤含む。好ましくは、化粧品組成物中の両性界面活性剤は、下記群から選択される:
-飽和または不飽和、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を少なくとも1個含むアルキルベタイン、
-アルカリまたはアルカリ土類金属対イオンを有する、アルキルアンホジアセテートまたは飽和もしくは不飽和、分岐もしくは非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルアンホジアセテート、
-飽和または不飽和、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を少なくとも1個含むアルキルアミドプロピルベタイン。
【0102】
特に好適な両性/双性イオン性界面活性剤には、INCI名称コカミドプロピルベタインおよび二ナトリウムココアンホジアセテートとして知られるものが包含される。
【0103】
本発明の好ましい実施態様では、非イオン性界面活性剤は、下記群から選択される:
-飽和または不飽和、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルカミド、
-飽和または不飽和、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルフルクトシド、
-飽和または不飽和、分岐または非分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルコシド、
-式:R10(OR11)mOH[式中、R10は、直鎖または分岐鎖のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基であり、R11は、C2~C4、好ましくはC2アルキル基であり、mは、1~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~6である]で示されるアルキルアルコールアルコキシレート、
-式:R12COOR13[式中、R12は、直鎖または分岐のC6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基であり、R13は、C1~C4、好ましくはC2アルキル基である]で示されるアルキルエステル。
【0104】
以下に、前記必須成分に加えて製品中に含まれてもよい、毛髪処理製品のさらなる成分を記載する。
【0105】
ケラチン物質を処理するための剤が、0.001~20重量%の少なくとも1種の四級化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。これは、ケラチン物質のケアのための剤およびケラチン物質のケアおよび洗浄のための剤に当てはまる。
【0106】
少なくとも1種の四級化合物が、
i)モノアルキルクワット、および/または
ii)エステルクワット、および/または
iii)式(Tkat2):
[式中、基Rは相互に独立して、8~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖の炭化水素基であり、Aは、生理学的に許容性のアニオンである]
で示される四級イミダゾリン、および/または
iv)アミドアミンおよび/またはカチオン化アミドアミン、および/または
v)ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム化合物)、および/または
vi)四級化セルロース誘導体、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、および/または
vii)カチオン性アルキルポリグリコシド、および/または
viii)カチオン化蜂蜜、および/または
ix)カチオン性グアー誘導体、および/または
x)キトサン、および/または
xi)ポリマージメチルジアリルアンモニウム塩およびこれらとアクリル酸およびメタクリル酸のエステルおよびアミドとのコポリマー、特にポリクオタニウム-7、および/または
xii)ビニルピロリドンとジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびメタクリレートの四級化誘導体とのコポリマー、特にポリクオタニウム-11、および/または
xiii)ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、特にポリクオタニウム-16、および/または
xiv)四級化ポリビニルアルコール、および/または
xv)ポリクオタニウム-74、
およびそれらの混合物
からなる群の少なくとも1から選択されることが好ましい。
【0107】
毛髪処理組成物が、四級化合物としてINCI名称ポリクオタニウム-37に相当するカチオン性ホモポリマーを含むことが特に好ましい。
【0108】
ケラチン物質を処理するための剤が、ワックス、合成ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される固定化化合物(firming compound)をさらに含むことが好ましい場合もある。
【0109】
合成ポリマーは、カチオン性、アニオン性、非イオン性および両性の強化ポリマーに分類できる。
【0110】
好適な合成ポリマーとしては、例えば、次のINCI名を有するポリマーが挙げられる:アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー、アクリルアミド/DMAPAアクリレート/メトキシPEGメタクリレートコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、アクリレート/t-ブチルアクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/C1-2スクシナート/ヒドロキシアクリレートコポリマー、アクリレート/ラウリルアクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミド/ジフェニルアモジメチコンコポリマー、アクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/VAコポリマー、アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー、アクリレート/VPコポリマー、アジピン酸/ジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/イソフタル酸/ネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパンコポリマー、アリルステアレート/VAコポリマー、アミノエチルアクリレートホスフェート/アクリレートコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アンモニウム-アクリレート/VA/アクリレートコポリマー、AMPD-アクリレート/アクリルアミドコポリマー、AMPD-アクリレート/アクリルアミド/アリルメタクリレートコポリマー、AMP-アクリレート/C1-18アルキルアクリレート/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、バシルス/ライスブランエキストラクト/大豆エキストラクトフェルメントフィルトレート、ビス-ブチルオキシアモジメチコン/PEG-60コポリマー、ブチルアクリレート/エチルヘキシルメタクリレートコポリマー、ブチルアクリレート/ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、ブチル化PVP、エチレン/MAコポリマーのブチルエステル、PVM/MAコポリマーのブチルエステル、カルシウム/ナトリウムPVM/MAコポリマー、コーンスターチ/アクリルアミド/ナトリウムアクリレートコポリマー、ジエチレングリコールアミン/エピクロロヒドリン/ピペラジンコポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジフェニルアモジメチコン、PVM/MAコポリマーのエチルエステル、加水分解小麦タンパク質/PVPクロスポリマー、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー、イソブチレン/MAコポリマー、イソブチルメタクリレート/ビス-ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、PVM/MAアクリレートクロスポリマーのイソプロピルエステル、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、MEA-サルファイト、メタクリル酸/ナトリウムアクリルアミドメチルプロパンスルホネートコポリマー、メタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、PEG/PPG-25/25ジメチコン、PEG-8/SMDIコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート-6、ポリβ-アラニン/グルタル酸クロスポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル-1、ポリエチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリロイルエチルベタイン、ポリペンタエリスリチルテレフタレート、ポリペルフルオロペルヒドロフェナントレン、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリシリコーン-9、ポリウレタン-1、ポリウレタン-6、ポリウレタン-10、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルイミダゾリニウムアセテート、ポリビニルメチルエーテル、PVM/MAコポリマーのカリウムブチルエステル、PVM/MAコポリマーのカリウムエチルエステル、PPG-70ポリグリセリル-10エーテル、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、PPG-10ソルビトール、PVM/MAコポリマー、PVP、PVP/VA/イタコン酸コポリマー、PVP/VA/ビニルプロピオネートコポリマー、リゾビアンガム、ロジンアクリレート、シェラク、PVM/MAコポリマーのナトリウムブチルエステル、PVM/MAコポリマーのナトリウムエチルエステル、ナトリウムポリアクリレート、カラヤガム、テレフタル酸/イソフタル酸/ナトリウムイソフタル酸スルホネート/グリコールコポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチルシロキシシリルカルバモイルプルラン、VA/クロトネートコポリマー、VA/クロトネート/メタクリロキシベンゾフェノン-1コポリマー、VA/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー、VA/クロトネート/ビニルプロピオネートコポリマー、VA/DBMコポリマー、VA/ビニルブチルベンゾエート/クロトネートコポリマー、ビニルアミン/ビニルアルコールコポリマー、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/DMAPAアクリレートコポリマー、VP/ヘキサデセンコポリマー、VP/VAコポリマー、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー、イーストパルミテートおよびスチレン/VPコポリマー。セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースも適している。
【0111】
また、種々の形態でCarbopol(登録商標)の名称で市販されているホモポリアクリル酸(INCI:カルボマー)も、固定化化合物として適している。
【0112】
好ましくは、固定化化合物は、ビニルピロリドン含有ポリマーを含んでなる。特に好ましくは、固定化化合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含んでなる。
【0113】
別の好ましい固定化化合物は、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)であり、これは、「Amphomer(登録商標)」の名称でAkzo Nobelから販売されている。
【0114】
従って、固定化化合物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、およびそれらの混合物からなる群から選択される合成ポリマーを含んでなることが特に好ましい。
【0115】
化粧品組成物は、合成ポリマーに加えてまたは代えて、固定化化合物として、37℃を超える融点を有する、少なくとも1種の天然または合成ワックスを含んでよい。
【0116】
天然または合成ワックスは、固体ケロシンまたはイソパラフィン;カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、アフリカハネガヤワックス、和蝋、コルクワックス、サトウキビワックス、オーリクリー蝋、モンタン蝋、ヒマワリワックス、フルーツワックスなどの植物蝋;蜜ろうおよび他の虫白蝋、鯨蝋、シェラックワックス、羊毛脂およびブラッシンググリース(brushing grease)などの動物蝋であってよく、さらに、セレシンおよびオゾケライトなどの鉱蝋;またはペトロラタム、ケロシンワックス、ポリエチレンもしくはポリプロピレンのマイクロワックス、およびポリエチレングリコールワックスなどの石油化学ワックスも使用できる。水素添加または硬化ワックスの使用が有利な場合もある。化学修飾ワックス、特に、モンタンエステルワックス、サソールワックスおよび水素添加ホホバワックスなどの硬蝋も使用できる。
【0117】
さらに、化粧品において、必須成分に加えて、任意にヒドロキシル化されていてよい飽和C16-C30脂肪酸のトリグリセリド、例えば、水素添加トリグリセリド油脂(水素添加パーム油、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油)、グリセリルトリベヘネートまたはグリセリルトリ-12-ヒドロキシステアレートが適している。
【0118】
ワックス成分は、22~44個の炭素原子の鎖長を有する飽和非分岐鎖アルカンカルボン酸と22~44個の炭素原子の鎖長を有する飽和非分岐鎖アルコールとのエステルからなる群から選択することもできる。ただし、ワックス成分またはワックス成分全体は室温で固体である。シリコーンワックス、例えば、ステアリルトリメチルシラン/ステアリルアルコールも有利であり得る。
【0119】
天然、化学修飾および合成ワックスは、単独でまたは組み合わせて使用できる。従って、複数のワックスを使用することもできる。さらに、おそらく他の添加物と混合された、複数のワックス混合物は、市販もされている。「Special Wax 7686 OE」(融解範囲73~75℃の、セチルパルミテート、蜜ろう、微結晶性ワックスおよびポリエチレンの混合物、製造業者:Kahl&Co)、「Polywax(登録商標)GP 200」(融点47~51℃の、ステアリルアルコールおよびポリエチレングリコールステアレートの混合物、製造業者:Croda)および「Softceresin(登録商標)FL 400」(融点50~54℃の、ワセリン/ワセリンオイル/ワックス混合物、製造業者:Parafluid Mineral Oil Company)の名称で販売されている製品が、使用できる混合物の例である。
【0120】
好ましくは、ワックスは、カルナウバ蝋(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、蜜ろう(INCI:蜜ろう)、ペトロラタム(INCI)、微結晶性ワックスおよび特にそれらの混合物から選択される。
【0121】
好ましい混合物には、カルナウバ蝋(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、ペトロラタムおよび微結晶性ワックスの組み合わせ、または蜜ろう(INCI:蜜ろう)およびペトロラタムの組み合わせが包含される。
【0122】
ワックスまたはワックス成分は、25℃で固体でなければならず、37℃より高い範囲で融解しなければならない。
【0123】
ケラチン物質を処理するための組成物は、好ましくは、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは1.5~30重量%、さらにより好ましくは2~25重量%の合計量で固定化化合物を含む。
【0124】
他の好適な成分には、タンパク質加水分解物、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、プロビタミン、ビタミン前駆物質、ベタイン、バイオキノン、プリン(誘導体)、ケア物質、植物抽出物、シリコーン、エステル油、UV光保護フィルター、構造剤、増粘剤、pH調節剤、膨張剤、フケ防止剤、錯化剤、乳白剤、真珠光沢剤、顔料、安定剤、噴射剤、抗酸化剤、香油および/または防腐剤が包含される。
【0125】
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
[1]ケラチン物質を処理するための化粧品組成物であって、
液体であり、
a)1個~3個のケイ素原子を含む少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
b)0.001モル/L~2モル/L、好ましくは0.005モル/L~1.5モル/L、より好ましくは0.01モル/L~1モル/L、最も好ましくは0.02モル/L~0.5モル/Lのモル濃度の少なくとも1種の多価金属カチオン
を含んでなる、化粧品組成物。
[2]前記少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、式(I)および/または(II)で示される化合物を含んでなり、
式(I):
R
1
R
2
N-L-Si(OR
3
)
a
(R
4
)
b
(I)
で示される有機ケイ素化合物において、
-R
1
およびR
2
は、相互に独立して水素原子またはC
1
-C
6
アルキル基を表し、
-Lは、直鎖二価のC
1
-C
6
アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2
-CH
2
-CH
2
-)またはエチレン基(-CH
2
-CH
2
-)を表し、
-R
3
およびR
4
は、独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を表し、
-bは数0を表し、
式(II):
で示される有機ケイ素化合物において、
-R
5
、R
5'
、R
5"
、R
6
、R
6'
およびR
6"
は独立して、C
1
-C
6
アルキル基を表し、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1
-C
20
アルキレン基を表し、
-R
7
およびR
8
は独立して、水素原子、C
1
-C
6
アルキル基、ヒドロキシC
1
-C
6
アルキル基、C
2
-C
6
アルケニル基、アミノC
1
-C
6
アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R
6
")
d"
(OR
5
")
c"
(III)
で示される基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c"は、1~3の整数を表し、
-d"は、整数3-c"を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる
ことを特徴とする、[1]に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[3]前記ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
からなる群から選択される式(I)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする、[2]に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[4]前記ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される式(II)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする、[2]または[3]に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[5]前記有機ケイ素化合物は、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~9重量%、より好ましくは0.05~8重量%、さらにより好ましくは0.1~7重量%の量で化粧品組成物中に存在することを特徴とする、および/または前記式(I)で示される有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランであることを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[6]前記ケラチン物質を処理するための組成物は、式(IV):
R
9
Si(OR
10
)
k
(R
11
)
m
(IV)
[式中、
-R
9
は、C
1
-C
12
アルキル基であり、
-R
10
は、水素原子またはC
1
-C
6
アルキル基であり、
-R
11
は、C
1
-C
6
アルキル基であり、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示され、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-プロピルトリメトキシシラン
-プロピルトリエトキシシラン
-ヘキシルトリメトキシシラン
-ヘキシルトリエトキシシラン
-オクチルトリメトキシシラン
-オクチルトリエトキシシラン
-ドデシルトリメトキシシラン
-ドデシルトリエトキシシラン
-オクタデシルトリメトキシシランおよび
-オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択される有機ケイ素化合物の少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[7]前記化粧品組成物中の多価金属カチオンは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、マンガン、鉄、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、パラジウム、銀、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、白金、金、アルミニウム、ケイ素、スズまたはビスマスであることを特徴とし、好ましくは、前記二価金属カチオンは、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムまたはアルミニウム、特に、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、ランタン、セリウムまたはアルミニウムを含むことを特徴とし、特に好ましくは、前記多価金属カチオンは二価金属カチオンであることを特徴とする、[1]~[6]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[8]前記化粧品組成物のpHは、1~9、好ましくは1.5~8、より好ましくは2~7、さらにより好ましくは2.5~6、最も好ましくは3~5であることを特徴とする、[1]~[7]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[9]成分c)として、少なくとも1種の界面活性剤が化粧品組成物中に存在し、好ましくは、前記界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性界面活性剤であり、より好ましくは、前記化粧品組成物は、2種の構造的に異なる界面活性剤を含み、さらにより好ましくは、前記化粧品組成物は、2種の構造的に異なるカチオン性界面活性剤、2種の構造的に異なるアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、またはアニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含む、[1]~[8]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[10]前記ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、それぞれが1個~3個のケイ素原子を含み、構造的に異なる少なくとも2種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、[1]~[9]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[11]前記ケラチン物質を処理するための組成物は、前記ケラチン物質を処理するための組成物の総重量を基準にして、
-0.5~3重量の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される第一の有機ケイ素化合物の少なくとも1種、および
-3.2~7重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される第二の有機ケイ素化合物の少なくとも1種
を含むことを特徴とする、[1]~[10]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[12]ケラチン物質のケアのための、および/または
色保護シャンプーまたは色保護コンディショナーとしての、
[1]~[11]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物の使用。
好ましい実施態様1~168では、本発明の化粧品組成物において、下記表の有機ケイ素化合物を下記表の続く成分と組み合わせる。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
上記表の組み合わせは、上記他の成分との、化粧品において組み合わされる活性成分組み合わせである。
【0138】
少なくとも1種の有機ケイ素化合物および多価金属カチオンの活性成分の組み合わせは、ケラチン物質を処理するための剤中に既に存在していてもよい。この実施態様では、ケラチン物質を処理するための剤は、すぐに使える形態に既に分散されている。貯蔵中に可能な限り安定な組成物を提供するために、剤自体が低水分状態または無水状態で梱包されていることが好ましい。
【0139】
あるいは、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、ケラチン物質処理組成物の適用の、最大12時間前、好ましくは最大6時間前、より好ましくは最大3時間前、さらにより好ましくは最大1時間前に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物以外のケラチン物質処理組成物の成分の全てを含む基剤に添加される。
【0140】
あるいは、有機ケイ素化合物およびもう一方の成分b)は、もっぱら使用直前に、すなわち、使用の1分~12時間前、好ましくは2分~6時間前、特に好ましくは1分~3時間前、とりわけ好ましくは1分~1時間前に化粧品に添加される。
【0141】
さらなる代替実施態様では、有機ケイ素化合物は、毛髪に適用される水溶液に添加され、第二のステップで、さらなる成分b)を含む水溶液または化粧品が毛髪に適用され、このようにして、毛髪は処理される。
【0142】
例えば、使用者はまず、有機ケイ素化合物を含む剤(α)と、ケラチン物質を処理するための剤の残りの成分を含む剤(β)とを混合または震盪してよい。使用者は次に、(α)および(β)の混合物を、その調製の直後に、または1分~20分の短い反応時間の後に、ケラチン物質に適用できる。剤(β)は、水、特に、ケラチン物質を処理する剤の総重量を基準にして30重量%を超える量の水を含んでもよい。
【0143】
本出願のさらなる対象は、ケラチン物質のケアのための、および/または色保護シャンプーまたは色保護コンディショナーとしての、本発明のケラチン物質を処理するための化粧品組成物の使用である。
【0144】
さらなる好ましい使用の実施態様に関しては、必要な変更を加えて、化粧品と同じ実施態様が適用される。