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特許7457148油圧式自動車ブレーキシステムのための小型ブレーキ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】油圧式自動車ブレーキシステムのための小型ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20240319BHJP
   B60T 8/36 20060101ALI20240319BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20240319BHJP
   B60T 8/42 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60T8/36
B60T13/138 A
B60T8/42
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022552385
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 DE2021200048
(87)【国際公開番号】W WO2021219171
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】102020205358.8
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ログン・コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】アペトレイ・クリスティアン-コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】クレツ・エドワルド
(72)【発明者】
【氏名】カザク・コンスタンティン-ペトリカ
(72)【発明者】
【氏名】クコス・マリウス
(72)【発明者】
【氏名】アダム・マリウス-ヴァシリカ
(72)【発明者】
【氏名】ピスタ・イオヌツ-マダリン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ラドゥ-トゥドレル
(72)【発明者】
【氏名】アオネシュティ・クリスティアン
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073284(JP,A)
【文献】特開2005-104334(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0032382(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2079403(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式自動車ブレーキシステムのためのブレーキ装置(1)であって、
・ボア軸(A)に沿ってその中に形成されるシリンダボア(3)を有するハウジング(2)と、
・作動力(Fb)により作動方向(B)においてペダル(4)によって前記シリンダボア(3)内で軸方向に作動可能な少なくとも1つのピストン(5)であって、前記シリンダボア(3)内の前記ピストン(5)は、油圧媒体で充填することができる少なくとも1つの圧力チャンバ(6)を区画する、ピストン(5)と、
・前記作動力(Fb)に対抗して作用する反力(Fg)を発生させるための少なくとも1つのシミュレータユニット(7)であって、略シミュレータ軸(S)に沿って延在し、特に、前記シミュレータ軸(S)を中心として回転対称に構成される、シミュレータユニット(7)と、を有し、
・前記ハウジング(2)は、上側面(21)と、下側面(22)と、少なくとも1つの側面フランク(23)とを有し、前記シミュレータユニット(7)は、前記シリンダボア(3)の直下に配置され、前記シミュレータ軸(S)は、前記側面フランク(23)に対して垂直且つ前記ボア軸(A)に対して横方向に向けられる、
ブレーキ装置(1)。
【請求項2】
前記圧力チャンバ(6)は、第1の作動状態において前記シミュレータユニット(7)に、及び第2の作動状態において少なくとも1つの車輪ブレーキ(20)に油圧接続され、前記圧力チャンバ(6)と前記シミュレータユニット(7)との間の油圧接続を開閉するためのシミュレータバルブ(8)が設けられ、少なくとも前記シミュレータバルブ(8)を制御するよう設計される電子制御ユニット(16)が、前記ハウジング(2)上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項3】
前記シミュレータバルブ(8)は、スイッチングコイル(9)により電磁的に切り替え可能であるよう設計され、前記ハウジング(2)は、前記シミュレータバルブ(8)を収容するためのバルブインターフェース(10)を有し、前記バルブインターフェース(10)は、前記スイッチングコイル(9)が前記ハウジング(2)内部に少なくとも大部分、特に完全に収容されるように、前記ハウジング(2)内部に凹設されることを特徴とする、請求項2に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項4】
前記バルブインターフェース(10)は、前記シミュレータバルブ(8)が前記ハウジング(2)内部に完全に収容されるように、前記ハウジング(2)内部に凹設されることを特徴とする、請求項3に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項5】
前記バルブインターフェース(10)は、前記シミュレータ軸(S)と軸方向に平行で、前記ボア軸(A)の下方に位置決めされるバルブ軸(V)に沿って延在するよう構成されることを特徴とする、請求項3又は4の少なくともどちらか一方に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項6】
前記制御ユニット(16)、前記シミュレータユニット(7)、及び前記シミュレータバルブ(8)は、前記ハウジング(2)の同じ側面フランク(23)上に配置され、同じ設置方向を有することを特徴とする、請求項2~5の少なくとも一項に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項7】
前記ブレーキ装置は、前記ピストン(5)の少なくとも1つの位置を検出するためのセンサ装置(11)を有し、そのセンサ装置は電気センサインターフェース(12)を有し、前記センサインターフェース(12)は、中心点(M)を中心として配置される複数の接触点を備え、前記中心点(M)が前記シミュレータ軸(S)と前記バルブ軸(V)との間の上方且つ前記作動方向(B)に配置されるように、前記ハウジング(2)の前記側面フランク(23)上に位置決めされることを特徴とする、請求項5に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項8】
前記ハウジング(2)は油圧ライン(14)のための少なくとも1つの接続部(13)を有し、前記接続部(13)は、前記制御ユニット(16)に対向する前記ハウジング(2)の側面フランク(24)上に配置され、前記シミュレータ軸(S)に対して略平行、特に軸方向に平行に向けられることを特徴とする、請求項1~7の少なくとも一項に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項9】
前記ハウジング(2)は、前記ブレーキ装置(1)を車両に締着させるための、それと一体に形成される締着フランジ(15)を有することを特徴とする、請求項1~8の少なくとも一項に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項10】
前記ハウジング(2)は鍛造ブランク(2’)から作製されることを特徴とする、請求項1~9の少なくとも一項に記載のブレーキ装置(1)。
【請求項11】
請求項1~10の少なくとも一項に記載のブレーキ装置(1)と、通常のブレーキ操作において制動圧を発生させるための少なくとも1つの電気駆動ポンプ(18)と少なくとも1つの圧力媒体コンテナ(19)とを備える別個のアクチュエータユニット(17)とを有する油圧式自動車ブレーキシステムのためのブレーキシステム(100)であって、前記アクチュエータユニット(17)は、前記ブレーキ装置(1)から空間的距離を置いて配置され、油圧ライン(14、14’)を介してそれに接続される、ブレーキシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載するような油圧式自動車ブレーキシステムのためのブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の油圧式ブレーキシステムは一般的である。制動圧を発生させるために、油圧媒体、通常はブレーキ液がピストンによって油圧チャンバから車輪ブレーキの方向に移動される。ブレーキ制御システムを含む車両制御システムの自動化が増加しているため、電気油圧式、電気機械式、及び類似のブースタステージを有する外部作動式ブレーキシステムがますます広く用いられるようになっている。
【0003】
エンジンルーム内の狭い空間条件を最適に利用できるようにするために、機能的にブレーキシステムを、油圧ラインを介して互いに接続する2つの個別の空間的に分離したブレーキ装置に分割することが公知である。第1に、ブレーキペダルの作動を検出し、触覚フィードバックを生成し、フォールバックレベルにおいて、少なくとも緊急制動に対して、運転者の筋力を利用して直接制動圧を生成する、いわゆる運転者要求検出ユニットがある。第2に、通常のブレーキ操作中に、ポンプ及び種々のバルブアセンブリによって制動圧を供給し、調整するアクチュエータユニットがある。
【0004】
運転者によって直接作動されるため、運転者要求検出ユニットは、車両の隔壁に取り付ける必要があるのに対して、アクチュエータユニットはエンジンルーム内の他の任意の場所に取り付けることができる。
【0005】
特に、隔壁に取り付けられた運転者要求検出ユニットに対して、設置スペースを可能な限り小さくし、同時に必要な油圧及び電気接続部の自己組立及び設置を簡易化するために、隔壁を可能な限りコンパクトにすることが常に望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、この点を改善した小型ブレーキ装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、本発明により、請求項1に記載の特徴の組み合わせを有するブレーキ装置によって達成される。従属請求項は、更に有利な実施形態及び本発明の発展を指定する。
【0008】
特徴の組み合わせによれば、特に小型の構造ユニットが、特に低減された全長及び全高を有して作成される。ブレーキ装置が車両のエンジンルーム内の隔壁に設置された後、まだ設置されていない油圧及び電気接続のための全てのインターフェースも、片側からアクセス可能である。更に、ブランクの加工が簡略化される。
【0009】
本発明の更なる特徴及び利点は以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明によるブレーキ装置を備える油圧ブレーキシステムの略図を示す。
図2】本発明によるブレーキ装置の例示的な実施形態を、3次元図a)及び正面図bに示す。
図3】取り付けられた(a)及び取り外された(b)制御及びシミュレータユニットを有する、図2による例示的な実施形態を側面図で示す。
図4図2及び3によるブレーキ装置のハウジングのための鍛造ブランクを正面及び側面図で示す。
図5】金属除去後のブレーキ装置の機械加工されたハウジングを正面図及び側面図で示す。
図6】ブレーキ装置の機械加工されたハウジングを異なる側面図及びシミュレータバルブのバルブ軸を通る断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1
図1は、ブレーキ装置1を有する極めて簡略化された油圧式自動車ブレーキシステム100を示している。ブレーキシステム100は、互いに空間的に分離して配置され、ブレーキライン14、14’を介して互いに接続される2つのユニットにより構成されている。いわゆる運転者要求検出ユニットとして機能し、運転者によって直接作動されるブレーキ装置1に加えて、ブレーキシステム100は、電動ポンプ18により駆動されて制動圧を発生するアクチュエータユニット17として公知のものを備えている。
【0012】
マスタブレーキシリンダは、ブレーキ装置1に配置される。この目的のため、ブラインドホールの形態であり、ボア軸Aを有するシリンダボア3は、ブレーキ装置1のハウジング2に設けられる。ペダル4を介して運転者の筋力により作動するピストン5は、シリンダボア3に取り付けられる。ピストン5は、ピストン5とシリンダボア3の底部との間に支持される復元ばねの圧縮により、作動方向Bにボア軸Aに沿って作動力Fbにより軸方向に変位する。ピストン5は、シリンダボア3内に油圧媒体で充填される圧力チャンバ6を区画している。
【0013】
通常のブレーキ操作において、圧力チャンバ6はシミュレータユニット7に油圧接続される。図示の実施形態において、シミュレータユニット7は、シミュレータ軸Sに沿って変位可能な別個のシミュレータピストン26と弾性要素とを有している。常閉シミュレータバルブ8は、圧力チャンバ6とシミュレータユニット7との間の油圧接続を開閉する役割を果たし、電子制御ユニット16によって順に制御される。ピストン5が通常のブレーキ操作において作動される場合、圧力媒体は圧力チャンバ6から、ペダル4に漸進的反力Fgの形態で触覚フィードバックを生成するシミュレータユニット7に変位する。
【0014】
不規則なブレーキ操作の場合、又は、例えば電源の故障の場合に発生する可能性があるいわゆるフォールバックレベルの場合において、シミュレータバルブ8は閉じられ、圧力チャンバ6は代わりに1つ以上の車輪ブレーキ20、20’;20’’、20’’’に油圧で直接接続され、従って制動圧はピストン5によって運転者によって直接発生させられる。
【0015】
図示の略図において、マスタブレーキシリンダは単一ピストンシリンダとして示している。しかし、本発明は他の設計、例えばタンデムマスターシリンダにも拡張される。
【0016】
アクチュエータユニット17は、専用ハウジングと、電気モータ駆動ポンプ18と、圧力媒体コンテナ19と、1つ以上のバルブアセンブリとを有している。通常のブレーキ操作において、アクチュエータユニット17は、必要な制動圧を発生させ、例えば様々な安定性調整等のためにこれを調整する。
【0017】
図2
図2は、ブレーキ装置1の実施形態を3次元図及び正面図で示している。車両における取付位置において、ハウジング2は、上向きの上側面21と、下向きの下側面22と、2つの対向する側面フランク23及び24とを有している。
【0018】
作動側において、ハウジング2は、それと一体化され且つブレーキ装置1を車両に締着させるために設けられる締着フランジ15を有している。
【0019】
電子制御ユニット16及びシミュレータユニット7は、走行方向から見て左側面フランク23に配置されている。走行方向から見て反対側の右側面フランク24に、ハウジング2は、油圧ライン14、14’を接続するために設けられる2つの油圧接続部13、13’を有している。2つの接続部13、13’の軸は、電子制御ユニット16及びシミュレータユニット7の設置方向と平行に向けられている。
【0020】
制御ユニット16の電気インターフェース27は、2つの油圧接続部13及び13’と同じ方向に向けられている。取付状態において、これは、結果として、制御ユニット16のための及び油圧ライン14、14’のための、ここでは図示しない両方の対応するプラグコネクタの接続のために、ハウジング2の同じ側から同じ差し込み方向となる。従って、ハウジング2の反対側に設置するための可能な自由空間を省略することができ、隣接するコンポーネント又はアセンブリとの距離を短縮することができる。
【0021】
図3
図3において、ブレーキ装置1を、電気制御ユニット16及びシミュレータユニット7が着脱された状態で側面図において示している。
【0022】
シミュレータ軸Sに沿って延在する、対応するプロフィルを有するボアの形態のシミュレータインターフェース25が、ハウジング2内に形成されて、略回転対称に構成されるシミュレータユニット7を収容している。ハウジング2を可能な限り小型且つ軽量化するために、シミュレータ軸Sは側面フランク23に対して垂直に且つボア軸Aに対して横方向に向けられ、シミュレータインターフェース25又はシミュレータユニット7は、ここでは単に示しているだけのシリンダボア3の直下に位置決めされている。
【0023】
ブレーキ装置1は、実施形態の種類に応じて、1つ以上の静止位置を検出するために、又はピストン5の位置の連続検出のために設けられる別個のセンサ装置11を有している。センサ装置11は、ボア軸Aに略沿って延在している。センサ装置11は、制御ユニット16と電気的に接続するための電気センサインターフェース12を有している。前記センサインターフェースは、センサインターフェース12の中心点Mを中心として配置される複数の接点、図示する実施形態においては6を有している。センサインターフェース12はまた、ボア軸Aの高さにおいて側面フランク23上に位置決めされている。
【0024】
シミュレータバルブ8はまた、制御ユニット16、シミュレータユニット7、及びセンサ装置11が配置されるハウジング2の同じ側面フランク23上に位置している。前記シミュレータバルブも便宜上、同じ設置方向を有し、シミュレータ軸6に対して軸方向に平行に向くバルブ軸Vに沿って延在している。シミュレータバルブ8は、通常、電磁式に設計されており、従って、中実の環状スイッチングコイル9を有し、ハウジング2に形成されるバルブインターフェース10に挿入される。バルブインターフェース10は、ハウジング2内の適切なプロフィルを有するボアとして、シミュレータインターフェース25に略類似して設計される。前記バルブインターフェースは、スイッチングコイル9を含むシミュレータバルブ8がハウジング2内に完全に凹設されるような深さにあるよう設計されている。
【0025】
バルブインターフェース10は、シミュレータインターフェース25と同様に、スペースを節約するようシリンダボア3の直下に位置するが、センサインターフェース12の中心点Mがシミュレータ軸Sとバルブ軸Vとの間の上方且つ作動方向Bに位置するように、センサインターフェース12の位置を超えて作動方向Bにおいてシミュレータインターフェース25に対してオフセットされている。結果として、ハウジング2は作動方向において極めて短い寸法を有することができる。
【0026】
これに関連して、バルブインターフェース10の例示的な実施形態に対して図6を参照する。
【0027】
図4
ハウジング2のためのブランク2’を、図4の3つの図に示している。ブランク2’は、鍛造によって作製されることが好ましい。鍛造によって、特に均質な高強度構造が、例えば、かかる構造に対して従来用いられる鋳造法と比較して、達成される。結果として、特に、壁厚及び個々のボア間の距離を、機能上及び安全上の不利なしに、特に小さく保持することができる。ブレーキ装置1を車両に設置するための締着フランジ15は、鍛造時にハウジングと効果的に一体に形成することができ、従って、再加工量を低減することができる。
【0028】
接続及びインターフェースは、ブランク2’内の2つの対向する機能側に略集中している。これにより、後続の加工量を削減している。一方の側面は、流出油圧接続部13、13’のために用いられ、他方の側面は、シミュレータインターフェース25、バルブインターフェース10、センサインターフェース12、及び、制御ユニット16のための支持又は締着面のために用いられる。必要な凹凸は、金属除去量を減少させるよう予め形成される。
【0029】
図5
図5において、図4によるブランク2’が加工された後のハウジング2を示している。
【0030】
油圧接続部13、13’のためのインターフェースは、制御ユニット16のためのインターフェースに対向するハウジング2の側面フランク24上に配置されている。加えて、前記インターフェースは、バルブインターフェース10及びシミュレータインターフェース25に対して軸方向に平行に向けられることが好ましい。これは、後続の機械加工又は金属除去を大幅に簡略化する。2つの側面フランク23、24を加工するために、ブランク2’を正確に180°だけ回転させる必要がある。
【0031】
図6
図6は、図5によるブレーキ装置1の加工されたハウジング2を、別の側面図及びシミュレータバルブ8のバルブ軸Vを通る断面図で示している。
【0032】
ハウジングの左側の側面図a)は、ブレーキ装置1のコンパクトな設計を示している。インターフェース10、25、12の互いに対するパターン及び空間的配置は、制御ユニット16をボア軸Aに対して約45°の角度で取り付けることを可能にしている(図3も参照)。結果として、制御ユニット16の細長いハウジングは、特に前方に突出せず、上方又は下方にも突出しない。シミュレータインターフェース25は、制御ユニット16の外郭と締着フランジ15との間の構造空間を効率的に充填している。加えて、シリンダボア3の直下に隣接してシミュレータユニット7を横方向に取り付けることにより、ブレーキ装置1全体の高さも低くなる。
【0033】
ここでは図示しないシミュレータバルブ8を収容するためのバルブインターフェース10は、バルブ軸Vを中心として略回転対称に設計されている。バルブ軸Vはまた、ボア軸Aの下方に、シミュレータ軸Sに対して軸方向に平行に位置決めされる。
【0034】
バルブインターフェース10は、シミュレータバルブ8が対応するスイッチングコイル9と共に、制御ユニット16のための接触面又は支持面の下方のハウジング2内部に少なくともかなりの程度、好ましくは完全に収容されるように、ハウジング2内部に凹設される。
【0035】
結果として、制御ユニット16全体の高さは、例えば、バルブ及びスイッチングコイルの一部が、命令ユニット16のハウジング内部に少なくとも略収容される標準的な解決法と比較して、低くすることができる。
【0036】
更に、バルブインターフェース10は、センサ装置11のセンサインターフェース12に直接隣接して配置されており、その結果として、制御ユニット16もより小型化することができる。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.油圧式自動車ブレーキシステムのためのブレーキ装置(1)であって、
・ボア軸(A)に沿ってその中に形成されるシリンダボア(3)を有するハウジング(2)と、
・作動力(Fb)により作動方向(B)においてペダル(4)によって前記シリンダボア(3)内で軸方向に作動可能な少なくとも1つのピストン(5)であって、前記シリンダボア(3)内の前記ピストン(5)は、油圧媒体で充填することができる少なくとも1つの圧力チャンバ(6)を区画する、ピストン(5)と、
・前記作動力(Fb)に対抗して作用する反力(Fg)を発生させるための少なくとも1つのシミュレータユニット(7)であって、略シミュレータ軸(S)に沿って延在し、特に、前記シミュレータ軸(S)を中心として回転対称に構成される、シミュレータユニット(7)と、を有し、
・前記ハウジング(2)は、上側面(21)と、下側面(22)と、少なくとも1つの側面フランク(23)とを有し、前記シミュレータユニット(7)は、前記シリンダボア(3)の直下に配置され、前記シミュレータ軸(S)は、前記側面フランク(23)に対して垂直且つ前記ボア軸(A)に対して横方向に向けられる、
ブレーキ装置(1)。
2.前記圧力チャンバ(6)は、第1の作動状態において前記シミュレータユニット(7)に、及び第2の作動状態において少なくとも1つの車輪ブレーキ(20)に油圧接続され、前記圧力チャンバ(6)と前記シミュレータユニット(7)との間の油圧接続を開閉するためのシミュレータバルブ(8)が設けられ、少なくとも前記シミュレータバルブ(8)を制御するよう設計される電子制御ユニット(16)が、前記ハウジング(2)上に配置されることを特徴とする、上記1.に記載のブレーキ装置(1)。
3.前記シミュレータバルブ(8)は、スイッチングコイル(9)により電磁的に切り替え可能であるよう設計され、前記ハウジング(2)は、前記シミュレータバルブ(8)を収容するためのバルブインターフェース(10)を有し、前記バルブインターフェース(10)は、前記スイッチングコイル(9)が前記ハウジング(2)内部に少なくとも大部分、特に完全に収容されるように、前記ハウジング(2)内部に凹設されることを特徴とする、上記2.に記載のブレーキ装置(1)。
4.前記バルブインターフェース(10)は、前記シミュレータバルブ(8)が前記ハウジング(2)内部に完全に収容されるように、前記ハウジング(2)内部に凹設されることを特徴とする、上記3.に記載のブレーキ装置(1)。
5.前記バルブインターフェース(10)は、前記シミュレータ軸(S)と軸方向に平行で、前記ボア軸(A)の下方に位置決めされるバルブ軸(V)に沿って延在するよう構成されることを特徴とする、上記3.又は4.の少なくともどちらか一方に記載のブレーキ装置(1)。
6.前記制御ユニット(16)、前記シミュレータユニット(7)、及び前記シミュレータバルブ(8)は、前記ハウジング(2)の同じ側面フランク(23)上に配置され、同じ設置方向を有することを特徴とする、上記2.~5.の少なくとも一つに記載のブレーキ装置(1)。
7.前記ブレーキ装置は、前記ピストン(5)の少なくとも1つの位置を検出するためのセンサ装置(11)を有し、そのセンサ装置は電気センサインターフェース(12)を有し、前記センサインターフェース(12)は、中心点(M)を中心として配置される複数の接触点を備え、前記中心点(M)が前記シミュレータ軸(S)と前記バルブ軸(V)との間の上方且つ前記作動方向(B)に配置されるように、前記ハウジング(2)の前記側面フランク(23)上に位置決めされることを特徴とする、上記5.又は6.に記載のブレーキ装置(1)。
8.前記ハウジング(2)は油圧ライン(14)のための少なくとも1つの接続部(13)を有し、前記接続部(13)は、前記制御ユニット(16)に対向する前記ハウジング(2)の側面フランク(24)上に配置され、前記シミュレータ軸(S)に対して略平行、特に軸方向に平行に向けられることを特徴とする、上記1.~7.の少なくとも一つに記載のブレーキ装置(1)。
9.前記ハウジング(2)は、前記ブレーキ装置(1)を車両に締着させるための、それと一体に形成される締着フランジ(15)を有することを特徴とする、上記1.~8.の少なくとも一つに記載のブレーキ装置(1)。
10.前記ハウジング(2)は鍛造ブランク(2’)から作製されることを特徴とする、上記1.~9.の少なくとも一つに記載のブレーキ装置(1)。
11.上記1.~10.の少なくとも一つに記載のブレーキ装置(1)と、通常のブレーキ操作において制動圧を発生させるための少なくとも1つの電気駆動ポンプ(18)と少なくとも1つの圧力媒体コンテナ(19)とを備える別個のアクチュエータユニット(17)とを有する油圧式自動車ブレーキシステムのためのブレーキシステム(100)であって、前記アクチュエータユニット(17)は、前記ブレーキ装置(1)から空間的距離を置いて配置され、油圧ライン(14、14’)を介してそれに接続される、ブレーキシステム(100)。
【符号の説明】
【0037】
1 ブレーキ装置
2 ハウジング
3 シリンダボア
4 ペダル
5 ピストン
6 チャンバ
7 シミュレータユニット
8 シミュレータバルブ
9 スイッチングコイル
10 バルブインターフェース
11 センサ装置
12 センサインターフェース
13 接続部
14 油圧ライン
15 締着フランジ
16 制御ユニット
17 アクチュエータユニット
18 ポンプ
19 圧力媒体コンテナ
20 車輪ブレーキ
21 上側面
22 下側面
23 側面フランク
24 側面フランク
25 シミュレータインターフェース
26 シミュレータピストン
27 電気インターフェース
100 ブレーキシステム
A ボア軸
B 作動方向
Fb 作動力
Fg 反力
M 中心点
S シミュレータ軸
V バルブ軸
図1
図2a)】
図2b)】
図3a)】
図3b)】
図4
図5a)】
図5b)】
図6a)】
図6b)】