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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】水噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20240321BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240321BHJP
   B05B 1/26 20060101ALI20240321BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B23Q11/10 A
B23Q11/10 E
H01L21/304 631
B05B1/26 Z
B24B55/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020027173
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021130168
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-238061(JP,A)
【文献】登録実用新案第3048747(JP,U)
【文献】特開2001-286832(JP,A)
【文献】特開2011-167818(JP,A)
【文献】特開2014-127594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/00 - 57/02
B23Q 11/00 - 11/10
H01L 21/304
B05B 1/00 - 3/18
B05B 7/00 - 9/08
B24C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる少なくとも2方向のうち選択した該2方向のうちのいずれか1方向に向けて水を噴射する水噴射装置であって、
水源に連通され、先端に噴射口を有する直管の水配管と、
該水配管の延在方向に平行な方向から傾いて配置され、該噴射口に合流される一端、および、大気開放される他端を有する空気導入管と、
該空気導入管に配置される開閉バルブと、
該開閉バルブを開閉制御する制御部と、を備え、
該噴射口が、先端に向かうにつれて径が大きくなる形状を有しており、該空気導入管の一端が、該噴射口の基端側に連結されており、
該制御部は、該開閉バルブを閉じて、該水配管を流れる水を該噴射口から所定方向に向けて噴射させる、または、該開閉バルブを開いて該水配管を流れる水の流速によって該空気導入管から空気を導入し、該噴射口で該水と該空気とを合流させることにより、該水を、該噴射口から、該所定方向とは異なる方向に向けて噴射させる、
水噴射装置。
【請求項2】
複数の該空気導入管、および、各空気導入管に各々配置される複数の該開閉バルブを備え、
前記制御部は、該複数の該開閉バルブを全て閉じる、または、該複数の該開閉バルブの内のいずれか1つを選択的に開くことにより、該噴射口からの該水の噴射方向を切換え可能である、
請求項1記載の水噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物を保持して回転可能な保持手段と、加工具を装着し加工具を回転可能な加工手段と、被加工物に加工水を供給する水供給手段とを備える加工装置がある(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
このような加工装置では、保持手段の外周側から、ノズルによって加工水を供給するものもある。この場合、加工条件に応じて、加工水の着水位置を、2箇所で切り換えたいことがある。
【0004】
例えば、加工具としての環状の砥石を用いて、保持手段に保持された被加工物の上面を研削する際には、回転する砥石の下面における被加工物に接触する円弧状の部分で、研削がなされる。そして、砥石の回転方向に応じて、加工水を円弧の一端に供給した方がよい場合と、加工水を円弧の中央に供給した方がよい場合とがある。このため、ノズルにおける加工水を噴射する方向を変更することによって、加工水の着水位置を切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-013989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ノズルにおける噴射方向の変更は、作業者によってノズルの向きを変更することによって行われる。このため、このノズルの位置の変更を実施すると、作業工数が増える。
その対策として、ノズルの向きを変更可能な駆動部を備えることが考えられる。しかし、この場合、駆動部と、駆動部を制御する制御部とが必要となるため、加工装置が大型化してしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、加工装置の大型化を抑制しながら、加工水の噴射方向を容易に切り換えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水噴射装置(本水噴射装置)は、互いに異なる少なくとも2方向のうち選択した該2方向のうちのいずれか1方向に向けて水を噴射する水噴射装置であって、水源に連通され、先端に噴射口を有する直管の水配管と、該水配管の延在方向に平行な方向から傾いて配置され、該噴射口に合流される一端、および、大気開放される他端を有する空気導入管と、該空気導入管に配置される開閉バルブと、該開閉バルブを開閉制御する制御部と、を備え、該噴射口が、先端に向かうにつれて径が大きくなる形状を有しており、該空気導入管の一端が、該噴射口の基端側に連結されており、該制御部は、該開閉バルブを閉じて、該水配管を流れる水を該噴射口から所定方向に向けて噴射させる、または、該開閉バルブを開いて該水配管を流れる水の流速によって該空気導入管から空気を導入し、該噴射口で該水と該空気とを合流させることにより、該水を、該噴射口から、該所定方向とは異なる方向に向けて噴射させる。
【0009】
本水噴射装置は、複数の該空気導入管、および、各空気導入管に各々配置される複数の該開閉バルブを備えてもよく、前記制御部は、該複数の該開閉バルブを全て閉じる、または、該複数の該開閉バルブの内のいずれか1つを選択的に開くことにより、該噴射口からの該水の噴射方向を切換え可能であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本水噴射装置では、制御部が、空気導入管に配置された開閉バルブの開閉状態を制御することにより、噴射口から噴射される水の方向を切り換えることができる。したがって、本水噴射装置では、水の噴射方向を切り換えるための駆動部等を必要としないので、装置の大型化を抑制しながら、水の噴射方向を容易に切り換えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】研削装置の構成を示す斜視図である。
図2】研削水ノズルの構成を示す説明図である。
図3図2に示した研削水ノズルから噴射される水の方向を変更した様子を示す説明図である。
図4】他の態様にかかる研削水ノズルの構成を示す説明図である。
図5図4に示した研削水ノズルを噴射口側から示す説明図である。
図6図4に示した研削水ノズルから噴射される水の方向を変更した様子を示す説明図である。
図7図4に示した研削水ノズルから噴射される水の方向を変更した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す研削装置1は、加工装置の一例であり、被加工物としてのウェーハ100に対して研削処理を行うための装置である。図1に示すウェーハ100は、たとえば、円形の半導体ウェーハである。
【0013】
ウェーハ100の表面101には、図示しないデバイスが形成されている。表面101は、図1においては下方を向いており、保護テープ103が貼着されることによって保護されている。ウェーハ100の裏面104は、研削加工が施される被加工面となる。
【0014】
研削装置1は、Y軸方向に延設された基台10と、基台10の上における+Y方向側に立設されたコラム15とを備えている。
【0015】
基台10の上面には、X軸方向に延在する矩形状の開口が形成されている。この開口は、移動板11および蛇腹状の防水カバー12によって覆われている。
【0016】
移動板11の上には、チャックテーブル20が備えられている。チャックテーブル20は、ウェーハ100を保持するための円板形状のテーブルであり、ポーラス材からなる保持面21を備えている。保持面21にウェーハ100が載置された状態で、図示しない吸引源によって発揮される吸引力が保持面21に伝達されることによって、ウェーハ100が、保持面21によって吸引保持される。
【0017】
移動板11には、防水カバー12が伸縮自在に連結されている。チャックテーブル20および移動板11は、ウェーハ100の研削加工の際に、基台10の内部に配設されているY軸方向への移動手段によって、Y軸方向に一体的に往復移動する。防水カバー12は、移動板11のY軸方向の移動に伴って伸縮する。
【0018】
基台10の上面におけるチャックテーブル20の近傍には、厚みセンサ55が取り付けられている。厚みセンサ55は、保持面21に保持されているウェーハ100の厚みを測定する。
【0019】
基台10上のコラム15の前面には、ウェーハ100を研削する研削手段40、および、研削手段40を研削送り方向であるZ軸方向に移動させる研削送り手段30が設けられている。
【0020】
研削送り手段30は、Z軸方向に平行な一対のガイドレール31、このガイドレール31上をスライドする移動テーブル32、ガイドレール31と平行なボールネジ33、モータ34、および、移動テーブル32の前面(表面)に取り付けられたホルダ35を備えている。ホルダ35は、研削手段40を保持している。
【0021】
移動テーブル32は、ガイドレール31にスライド可能に設置されている。図示しないナット部が、移動テーブル32の後面側(裏面側)に固定されている。このナット部には、ボールネジ33が螺合されている。モータ34は、ボールネジ33の一端部に連結されている。
【0022】
研削送り手段30では、モータ34がボールネジ33を回転させることにより、移動テーブル32が、ガイドレール31に沿って、Z軸方向に移動する。これにより、移動テーブル32に取り付けられたホルダ35、および、ホルダ35に保持された研削手段40も、移動テーブル32とともにZ軸方向に移動する。このようにして、研削送り手段30は、研削手段40をZ軸方向に沿って研削送りする。
【0023】
研削手段40は、ホルダ35に固定されたスピンドルハウジング41、スピンドルハウジング41に回転可能に保持されたスピンドル42、スピンドル42を回転駆動するモータ43、スピンドル42の下端に取り付けられたホイールマウント44、および、ホイールマウント44の下面に着脱可能に接続された研削ホイール45を備えている。
【0024】
スピンドルハウジング41は、Z軸方向に延びるようにホルダ35に保持されている。スピンドル42は、チャックテーブル20の保持面21と直交するようにZ軸方向に延び、スピンドルハウジング41に回転可能に支持されている。
【0025】
モータ43は、スピンドル42の上端側に連結されている。このモータ43により、スピンドル42は、Z軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
【0026】
ホイールマウント44は、円板状に形成されており、スピンドル42の下端(先端)に固定されて、スピンドル42の回転に応じて回転する。ホイールマウント44は、研削ホイール45を支持している。
【0027】
研削ホイール45は、ホイールマウント44と略同径を有するように形成されている。研削ホイール45は、ステンレス等の金属材料から形成された円環状のホイール基台(環状基台)46を含む。ホイール基台46の下面には、全周にわたって、略直方体形状の複数の研削砥石47が、環状に配置および固定されている。研削砥石47は、スピンドル42の回転に応じて回転することにより、チャックテーブル20に保持されたウェーハ100の裏面104を研削する。研削砥石47は、加工具の一例である。
【0028】
また、研削装置1は、研削装置1の各構成要素を制御する制御部50を備えている。制御部50は、制御プログラムに従って演算処理を行うCPU、および、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部50は、上述した研削装置1の各構成要素を制御して、ウェーハ100に対して、作業者の所望とする加工を実施する。
【0029】
また、移動板11における+X側かつ+Y側の端部には、研削水ノズル60が取り付けられている。
研削水ノズル60は、研削加工の際、チャックテーブル20の外周側から、保持面21に保持されているウェーハ100の被研削面である裏面104に、研削水を供給するものもある。
【0030】
本実施形態では、保持面21に保持されているウェーハ100の裏面104を研削する際には、回転する研削砥石47の下面における裏面104に接触する円弧状の部分で、研削がなされる。そして、裏面104には、この円弧状の部分に対応する円弧状の軌跡400が生じる。研削水ノズル60は、たとえば、円弧状の軌跡400の中央である第1着水点401、あるいは、この軌跡400の一端の点である第2着水点402に研削水を着水させるように、研削水を供給する。
【0031】
このために、研削水ノズル60は、図1および図2に示すように、先端に噴射口73を有する直管の水配管67を備えている。本実施形態では、水配管67は、研削水ノズル60における保持面21に向けて延びるノズル本体61の中央に、ノズル本体61と平行に延在するように設けられている。また、水配管67は、水源バルブ71を介して、水源69に連通されている。
【0032】
また、研削水ノズル60は、空気導入管63を有している。空気導入管63は、水配管67の延在方向に平行な方向から傾いて配置されており、ノズル本体61の側面からノズル本体61に導入されて、水配管67の先端にある噴射口73に連結されている。
【0033】
すなわち、空気導入管63は、水配管67の噴射口73に合流される一端、および、大気開放される他端を有している。空気導入管63の他端側には、開閉バルブ65が配置されている。したがって、空気導入管63は、開閉バルブ65を介して、大気開放されることが可能となっている。この開閉バルブ65、および、噴射口73に接続されている水源バルブ71は、制御部50によって開閉制御される。
【0034】
本実施形態では、上述したように、研削加工の際、チャックテーブル20の保持面21に保持されているウェーハ100の裏面104には、図1に示すように、研削砥石47によって、円弧状の軌跡400が生じる。
そして、本実施形態では、研削水ノズル60のノズル本体61(すなわち水配管67)は、たとえば、この軌跡400における中央の第1着水点401の方向である第1方向301(図2参照)を向いている。また、軌跡400の一端の点である第2着水点402は、第1方向301とは異なる第2方向302(図3参照)に位置している。第1方向301は、所定方向の一例である。
【0035】
制御部50は、研削加工の際、作業者の指示等に基づいて、軌跡400における第1着水点401に研削水を着水させようとする場合には、図2に示すように、水源バルブ71を開くとともに、空気導入管63に配置されている開閉バルブ65を閉じる。これにより、制御部50は、水配管67を流れる水を、噴射口73から、第1方向301に向けて噴射させる。その結果、噴射口73から噴射された水が、第1着水点401に着水する。
なお、本実施形態に用いられている図では、開放されているバルブを白色(白抜き)で示す一方、閉じられているバルブを黒色(黒塗り)で示している。
【0036】
一方、制御部50は、軌跡400の一端の点である第2着水点402に研削水を着水させようとする場合には、図3に示すように、水源バルブ71を開くとともに、開閉バルブ65を開く。これにより、制御部50は、空気導入管63の他端を大気に開放して、水配管67を流れる水の流速によって、空気導入管63から噴射口73に向けて空気を導入する。これにより、制御部50は、噴射口73で、水配管67からの水と空気導入管63からの空気とを合流させることにより、噴射口73から噴射される水配管67からの水を、空気導入管63からの空気で押して、第1方向301とは異なる第2方向302に向けて噴射させる。これにより、噴射口73から噴射された水が、軌跡400における第2着水点402に着水する。
【0037】
以上のように、本実施形態では、空気導入管63、開閉バルブ65、水配管67、および制御部50が、互いに異なる少なくとも2方向(第1方向301および第2方向302)のうち選択した該2方向のうちのいずれか1方向に向けて水を噴射する、水噴射装置を構成している。
【0038】
そして、本実施形態では、制御部50が、空気導入管63に配置された開閉バルブ65の開閉状態を制御することにより、噴射口73から噴射される水の方向を、第1方向301あるいは第2方向302の間で切り換えて、軌跡400における第1着水点401あるいは第2着水点402に研削水を着水させることができる。したがって、本実施形態では、研削水ノズル60の向きを変更することなく、水の噴射方向(すなわち、着水点の位置)を切り換えることができる。このため、本実施形態では、研削水ノズル60の向きを変更するための駆動部等を必要としないので、装置の大型化を抑制しながら、水の噴射方向を容易に切り換えることが可能である。
【0039】
なお、本実施形態では、研削水ノズル60は、1つの空気導入管63を備えるように構成されている。これに限らず、研削水ノズル60は、複数の空気導入管、および、各空気導入管に配置される複数の開閉バルブを備えるように構成されていてもよい。
【0040】
たとえば、図4、および、図4に示した研削水ノズル60を噴射口73側から示す図5に示す構成では、研削水ノズル60は、図2に示した構成において、空気導入管63および開閉バルブ65に代えて、第1空気導入管81および第2空気導入管85、第1空気導入管81に配置される第1開閉バルブ83、ならびに、第2空気導入管85に配置される第2開閉バルブ87を備えている。
【0041】
第1空気導入管81および第1開閉バルブ83は、図3に示した空気導入管63および開閉バルブ65と同様の構成を有し、同様に研削水ノズル60に配置されている。
【0042】
第2空気導入管85は、第1空気導入管81と同様に、水配管67の延在方向に平行な方向から傾いて配置されており、ノズル本体61の側面からノズル本体61に導入されて、水配管67の先端にある噴射口73に連結されている。すなわち、第2空気導入管85は、第1空気導入管81と同様に、水配管67の噴射口73に合流される一端、および、大気開放される他端を有している。
【0043】
第2開閉バルブ87は、第2空気導入管85の他端側に配置されている。第2空気導入管85は、この第2開閉バルブ87を介して、大気開放されることが可能となっている。第1開閉バルブ83および第2開閉バルブ87も、開閉バルブ65等と同様に、制御部50によって開閉制御される。
【0044】
そして、第2空気導入管85は、たとえば、水配管67に関して第1空気導入管81と対称形をなすように、すなわち、第1空気導入管81とともに水配管67を挟むように、研削水ノズル60に配置されている。したがって、第1空気導入管81および第2空気導入管85は、一端において水配管67の噴射口73に合流するように、互いに傾斜している。
なお、第2空気導入管85は、水配管67に関して第1空気導入管81と対称形をなすように配置されていなくてもよい。
【0045】
この構成では、制御部50は、第1着水点401に研削水を着水させようとする場合には、図4に示すように、水源バルブ71を開くとともに、第1開閉バルブ83および第2開閉バルブ87を閉じる。これにより、制御部50は、水配管67を流れる水を、噴射口73から、第1方向301に向けて噴射させる。その結果、噴射口73から噴射された水が、軌跡400における第1着水点401に着水する。
【0046】
一方、制御部50は、図1に示した軌跡400の一端の点である第2着水点402に研削水を着水させようとする場合には、図6に示すように、水源バルブ71を開くとともに、第1開閉バルブ83を開き、第2開閉バルブ87を閉じる。
【0047】
これにより、制御部50は、第1空気導入管81の他端を大気に開放して、水配管67を流れる水の流速によって、第1空気導入管81から噴射口73に向けて空気を導入する。これにより、図3を用いて示した開閉バルブ65を開いた場合と同様に、噴射口73から噴射された水が、軌跡400における第2着水点402に着水する。
【0048】
さらに、制御部50は、図7に示すように、軌跡400のさらに他の点である第3着水点403に研削水を着水させようとする場合には、水源バルブ71を開くとともに、第1開閉バルブ83を閉じ、第2開閉バルブ87を開く。これにより、制御部50は、第2空気導入管85の他端を大気に開放して、第2空気導入管85から噴射口73に向けて空気を導入する。これにより、噴射口73から噴射された水が、第2空気導入管85からの空気で押されて、第1方向301および第2方向302とは異なる第3方向303に向けて噴射され、軌跡400における第3着水点403に着水する。
【0049】
このように、図4図7に示す構成では、制御部50は、第1開閉バルブ83および第2開閉バルブ87を閉じて、水配管67を流れる水を噴射口73から第1方向301に向けて噴射させることができる。また、制御部50は、複数の開閉バルブ83および85の内のいずれか1つを選択的に開くことにより、噴射口73からの水の噴射方向を、第2方向302および第3方向303の間で切換え可能である。この構成では、互いに異なる3つの方向に水を噴射し、互いに異なる3つの着水点に水を着水させることが可能となる。したがって、水の噴射および着水に関する自由度を高めることができる。
【0050】
なお、3本以上の空気導入管と各空気導入管に開閉バルブとが研削水ノズル60に配置されてもよい。この場合、制御部50は、複数の開閉バルブの全てを閉める、あるいは、複数の開閉バルブの内のいずれか1つを選択的に開くことにより、噴射口73からの水の噴射方向を切換え可能である。
つまり、制御部50が、複数の開閉バルブの全てを閉めると、中央配管の延在方向で噴射口から水が噴射される。制御部50が、複数の開閉バルブの内のいずれか1つを選択して開くと、開かれた開閉バルブが配設される空気導入管の延在方向で該噴射口から水が噴射される。
【0051】
また、本実施形態では、たとえば、図3に示したように、開閉バルブ65を開けることにより、噴射口73から噴射される水配管67からの水を、空気導入管63からの空気で押して、第1方向とは異なる第2方向302に向けて噴射させることができる。この状態で、開閉バルブ65を閉じた場合、本実施形態では、噴射口73からの水の噴射方向は、第2方向302のままに維持される。したがって、作業者は、水の噴射方向を所望の方向に設定した後、水源バルブ71以外の全ての開閉バルブを閉じてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:研削装置、10:基台、15:コラム、
20:チャックテーブル、21:保持面、
30:研削送り手段、40:研削手段、47:研削砥石、
50:制御部、
60:研削水ノズル、61:ノズル本体、
63:空気導入管、65:開閉バルブ、
67:水配管、69:水源、71:水源バルブ、73:噴射口、
81:第1空気導入管、83:第1開閉バルブ、
85:第2空気導入管、87:第2開閉バルブ、
100:ウェーハ、101:表面、103:保護テープ、104:裏面、
301:第1方向、302:第2方向、303:第3方向、
400:軌跡、401:第1着水点、402:第2着水点、403:第3着水点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7