(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】貯蔵安定性を高めるための無水相中のビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20240321BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240321BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240321BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240321BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240321BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240321BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240321BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/41
A61K8/49
A61K8/39
A61K8/86
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2021547942
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2019079776
(87)【国際公開番号】W WO2020089362
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】102018127290.1
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】レネ・クローン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シュルツェ・ツーア・ヴィーシェ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509925(JP,A)
【文献】特開2011-001344(JP,A)
【文献】特開2010-260861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259087(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)
式(I)の有機ケイ素化合物及び式(IV)の有機ケイ素化合物を含む、少なくとも1種の有機ケイ素化合物
:
式(I)
R
1
R
2
N-L-Si(OR
3
)
a
(R
4
)
b
(I)、
の有機ケイ素化合物では、
-R
1
、R
2
は両方とも水素原子を表し、
-Lは、直鎖の二価C
1
~C
6
アルキレン基を表し、
-R
3
、R
4
は、独立に、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数値3を表し、および
-bは数値0を表し、ならびに
式(IV)
R
9
Si(OR
10
)
k
(R
11
)
m
(IV)
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
式中、
-R
9
は、C
1
~C
12
アルキル基を表し、
-R
10
は、水素原子またはC
1
~C
6
アルキル基を表し、
-R
11
は、C
1
~C
6
アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、および
-mは、3-kの整数を表す、
b)少なくとも1種の分岐鎖または直鎖C
8~C
30アルカン、
c)少なくとも1種の分岐鎖または直鎖C
10~C
30脂肪アルコール、および
d)少なくとも1種の分岐鎖または直鎖C
2~C
8一価アルコール、
を含む、有機ケイ素化合物の貯蔵安定化のための無水キャリア媒体。
【請求項2】
前記少なくとも1種の有機ケイ素化合物が、式(I)および/または(II)の化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の保持安定化のための無水
キャリア媒体:
式(I)
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (I)、
の有機ケイ素化合物では、
-R
1、R
2は両方とも水素原子を表し、
-Lは、直鎖の二価C
1~C
6アルキレン
基を表し、
-R
3、R
4は、独立に、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数値3を表し、および
-bは数値0を表し、ならびに
式(II)
(R
5O)
c(R
6)
dSi-(A)
e-[NR
7-(A’)]
f-[O-(A’’)]
g-[NR
8-(A’’’)]
h-Si(R
6’)
d’(OR
5’)
c’ (II)、
の有機ケイ素化合物では、
-R
5、R
5’、R
5’’、R
6、R
6’およびR
6’’は、独立にC
1~C
6アルキル基を表し、
-A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は独立に、直鎖または分岐鎖の二価C
1~C
20アルキレン基を表し、
-R
7およびR
8は独立に、水素原子、C
1~C
6アルキル基、ヒドロキシC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニル基、アミノC
1~C
6アルキル基または式(III)
-(A’’’’)-Si(R
6’’)
d’’(OR
5’’)
c’’ (III)、
の基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c’は、1~3の整数を表し、
-d’は、整数3-c’を表し、
-c’’は、1~3の整数を表し、
-d’’は、整数3-c’’を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
ただし、e、f、gおよびhの成分の少なくとも1つが0とは異なる。
【請求項3】
前記無水キャリア媒体が、
3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール、
2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール、
3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および
N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、
からなる群から選択される式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項
2に記載の保持安定化のための無水
キャリア媒体。
【請求項4】
貯蔵安定化のための無水
キャリア媒体が
、
メチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、
プロピルトリメトキシシラン、
プロピルトリエトキシシラン、
ヘキシルトリメトキシシラン、
ヘキシルトリエトキシシラン、
オクチルトリメトキシシラン、
オクチルトリエトキシシラン、
ドデシルトリメトキシシラン、
ドデシルトリエトキシシラン
オクタデシルトリメトキシシラン、および
オクタデシルトリエトキシシラン、
からなる群から選択される、式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の貯蔵安定化のための無水
キャリア媒体。
【請求項5】
貯蔵安定化のための無水
キャリア媒体が、少なくとも2種類の構造的に異なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の貯蔵安定化のための無水
キャリア媒体。
【請求項6】
前記有機ケイ素化合物が、前記無水キャリア媒体の総重量を基準にして、0.01~10重量
%の量で前記無水キャリア媒体中に存在し、かつ前記有機ケイ素化合物
は(3-アミノプロピル)トリエトキシシランであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の貯蔵安定化のための無水キャリア媒体。
【請求項7】
前記アルカンは、C
10~C
24アルカ
ンであり、かつ/もしくは、前記アルカンは、前記無水キャリア媒体の総重量を基準にして、1~50重量
%の量で前記無水キャリア媒体中に存在することを特徴とする、ならびに/または、
前記脂肪アルコールは、C
12~C
24脂肪アルコー
ルであり、かつ/もしくは、前記脂肪アルコールは、前記無水キャリア媒体の総重量を基準にして、5~50重量
%の量で前記無水キャリア媒体中に存在することを特徴とする、ならびに/または、
前記アルコールは、C
3~C
6アルコー
ルであり、かつ/もしくは、前記アルコールは、前記無水キャリア媒体の総重量を基準にして、4~50重量
%の量で前記無水キャリア媒体中に存在することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の貯蔵安定化のための無水キャリア媒体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の無水キャリア媒体および水相を含む化粧品組成物であって、前記無水キャリア媒体または前記水相が、カチオン性界面活性
剤を含み、または、
前記カチオン性界面活性剤が、次の式、
【化1】
の1種であり、式中、
R
12、R
13、R
14は独立に、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニル基またはC
2~C
6ヒドロキシアルキル基を表し、
R
15は、C
8~C
28アルキル
基を表し、および
X
-は、生理学的に適合性があるアニオンを表すか、または、
前記カチオン性界面活性剤が、次の式、
【化2】
の1種であり、式中、
R
16は、C
1~C
6アルキル基を表し、
R
17、R
18は、独立に、C
7~C
27アルキル
基を表し、および
X
-は、生理学的に適合性があるアニオンを表すか、または、
前記カチオン性界面活性剤が、次の式、
【化3】
の1種であり、式中、
R
19、R
20は、独立に、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニル基またはC
2~C
6ヒドロキシアルキル基を表し、
R
21、R
22は、独立に、C
7~C
27アルキル
基であり、および
X
-は、生理学的に適合性があるアニオンを表すか、または、
前記カチオン性界面活性剤が、次の式、
NR
23R
24R
25、
の1種であり、式中、
R
23、R
24は、独立に、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニル基またはC
2~C
6ヒドロキシアルキル基を表し、および
R
25は、C
8~C
28アルキル
基を表し、かつ/または、
前記カチオン性界面活性剤が、前記水相の総重量を基準にして、0.1~5重量
%の量で前記水相中に存在することを特徴とする、化粧品組成物。
【請求項9】
前記無水キャリア媒体または前記水相が、非イオン性界面活性剤を含み、前記非イオン性界面活性剤は
、脂肪アルコールエトキシレートの脂肪アルコール部分がC
4~
C
30
のアルキル鎖長を有し、かつ/もしくは前記脂肪アルコールエトキシレート中のエトキシ基の数が2~12
0個である、脂肪アルコールエトキシレートであり、および/または前記非イオン性界面活性剤は、前記水相の総重量を基準にして、0.1~10重量
%の量で存在することを特徴とする、請求項8に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
前記無水キャリア媒体または前記水相が、アニオン性界面活性剤を含み、前記アニオン性界面活性剤は
、C
8~C
22
の鎖長を有する脂肪アルコールサルフェートであり、および/または前記アニオン性界面活性剤は、前記水相の総重量を基準にして、0.1~10重量
%の量で前記水相中に存在することを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記無水キャリア媒体の前記水相に対する重量比が、1:10~10:
1の範囲であることを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
有機ケイ素化合物の貯蔵安定性を高めるための、および/または
ケラチン物質を洗浄するための薬剤、ケラチン物質をケアするための薬剤、ケラチン物質をケアし、洗浄するための薬剤、ケラチン物質を着色するための薬剤、および/またはケラチン物質を一時的に再形成するための薬剤を調製するための、請求項1~5のいずれか1項に記載の無水キャリア媒体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物の貯蔵安定性を高めるための無水キャリア媒体であって、有機ケイ素化合物および分岐鎖または直鎖C8~C30アルカンを含む、無水キャリア媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なる発生源からの化学薬品への毛髪の外部暴露は、美容ケア製品の開発に対して様々な課題を提起する。空気および水の不純物は、皮膚および毛髪に対し有害作用を有する。種々の大気汚染物質の作用は、他の大気汚染物質の存在下およびUV照射作用下で増強され得る。
【0003】
二酸化硫黄、オゾンおよび窒素酸化物などの大気中の気体汚染物質の毒性は、生物に損傷を生ずるフリーラジカルに対する開始剤的活性に特に関連することが知られている。フリーラジカルはまた、身体中で自然に発生する代謝物である。このケースで、「酸化的損傷」という場合、フリーラジカルは、目視可能な毛髪損傷、例えば、光沢および手触り感の減少、および/または毛髪色の退色を引き起こす可能性もある。
【0004】
さらに、特定の毛髪テクスチャ-に対する消費者の要求の変化の多くは、毛髪の反復性の化学的ストレスに関連する。例えば、毛髪色剤は、毛髪にストレスを与え、この結果として、特殊な集中ケアが必要となる場合がある。
【0005】
毛髪の保護およびケアのために、少なくとも1個のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含むシランの群からの有機ケイ素化合物が先行技術で記載されている。ヒドロキシ基および/または加水分解性基の存在のために、シランは、水の存在下で、加水分解またはオリゴマー化または重合する反応性物質である。ケラチン物質に適用されると、シランのオリゴマー化または重合が水の存在により開始され、最終的に、保護作用を提供できる膜の形成に至る。
【0006】
有機ケイ素化合物の使用による問題は、水に対する有機ケイ素化合物の不安定性である。したがって、有機ケイ素化合物を活性物質として含む場合、毛髪処理のための水溶液系は、不都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある課題は、有機ケイ素化合物の貯蔵安定性を高める媒体を提供することである。特に、本発明は、化粧品組成物の調製にすぐに使える、有機ケイ素化合物を安定化する無水キャリア媒体を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、少なくとも1種の分岐鎖または直鎖C8~C30アルカン、少なくとも1種の分岐鎖または直鎖C10~C30脂肪アルコール、および少なくとも1種の分岐鎖または直鎖の一価C2~C8アルコールを含む無水キャリア媒体により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
キャリア媒体は、有機ケイ素化合物を提供するために使用される。キャリア媒体中では、有機ケイ素化合物は、ラボ安定性のままでなければならない。その後、キャリア媒体は、ヘアケア用の有効成分を含む1種以上の他の組成物と組み合わせて使用され、この他の組成物は水系であってもよい。キャリア媒体がその後、使用直前に一方または他方の組成物と組み合わせることができるという事実は、有効成分の有機ケイ素化合物は、使用まで安定のままであることを意味する。
【0010】
本発明に関連して、用語の「水不含」は、好ましくは、水がキャリア媒体に添加されていないか、またはキャリア媒体が水系ではないことを意味すると理解されたい。より好ましくは、無水キャリア媒体の含水量は、無水キャリア媒体の総重量を基準にして、5重量%未満、さらにより好ましくは、2重量%未満、最も好ましくは、1重量%未満である。小量の水分が存在する場合、有機ケイ素化合物のごく一部は、加水分解され得、加水分解物は、遊離水と平衡状態で存在する。水の量は、上述の量で存在するのが好ましい。
【0011】
ケラチン物質には、毛髪、皮膚、爪(例えば、手の指の爪および/または足指の爪)が含まれる。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に入る。
【0012】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒト毛髪、ヒト皮膚および爪、特に、手の指の爪および足指の爪であると理解される。特に、ケラチン物質は、ヒト毛髪、特に、毛髪および/または髭であると理解される。
【0013】
本発明に不可欠な第一の構成成分として、無水キャリア媒体は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、すなわち、有機ケイ素化合物の貯蔵安定性を高めるために、安定化されるべき1種以上の化合物を含む。好ましい有機ケイ素化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択され、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0014】
別名オルガノシリコン化合物とも呼ばれる有機ケイ素化合物は、直鎖ケイ素-炭素結合(Si-C)を有するか、または炭素が、酸素、窒素またはイオウ原子を介してケイ素原子に結合されるかのいずれかである、化合物である。有機ケイ素化合物は、1個~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0015】
IUPAC命名法によると、用語のシランは、ケイ素骨格および水素をベースにした一群の化学化合物を表す。有機シランでは、水素原子は(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により、完全にまたは部分的に、置換されている。有機シランでは、いくつかの水素原子は、ヒドロキシ基により置換されてもよい。
【0016】
貯蔵安定性を高めるための無水サポート媒体は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから好ましくは選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0017】
特に好ましい方法では、無水キャリア媒体は、貯蔵安定性を高めるために、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物はまた、1分子当たり、1個以上の塩基性基および1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0018】
この塩基性基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であってよく、これは、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合される。塩基性基は、好ましくは、アミノ基、C1~C6アルキルアミノ基またはジ(C1~C6)アルキルアミノ基である。
【0019】
加水分解性基(複数可)は、好ましくは、C1~C6アルコキシ基、特に、エトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合されるのが好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基の場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは、構造単位R’R’’R’’’Si-O-CH2-CH3を含む。残基R’、R’’およびR’’’は、ケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0020】
特に良好な結果は、ケラチン物質を処理するための無水キャリア媒体が少なくとも1種の式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を含む場合に得られた。
【0021】
式(I)および(II)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0022】
別の特定の好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、式(I)および/または(II)
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
(式中、
-R1、R2の両方は、水素原子を表し、および
-Lは、直鎖の二価C1~C6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはエチレン基(-CH2-CH2-)を表し、
-R3、R4は独立に、メチル基またはエチル基を表し、および
-aは、数値3を表し、および
-bは、数値0を表す)、ならびに
【0023】
(R5O)c(R6)dSi-(A)e-[NR7-(A’)]f-[O-(A’’)]g-[NR8-(A’’’)]h-Si(R6’)d’(OR5’)c’ (II)
(式中、
-R5、R5’、R5’’は独立に、水素原子またはC1~C6アルキル基を表し、
-R6、R6’およびR6’’は独立に、C1~C6アルキル基を表し、
-A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は独立に、直鎖または分岐鎖の二価C1~C20アルキレン基を表し、
-R7およびR8は独立に、水素原子、C1~C6アルキル基、ヒドロキシC1~C6アルキル基、C2~C6アルケニル基、アミノC1~C6アルキル基または式(III)
-(A’’’’)-Si(R6’’)d’’(OR5’’)c’’ (III)、
の基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c’は1~3の整数を表し、
-d’は、整数3-c’を表し、
-c’’は、1~3の整数を表し、
-d’’は、整数3-c’’を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
-ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは、0とは異なる。)
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。
【0024】
式(I)および式(II)の化合物中の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5’、R5’’、R6、R6’、R6’’、R7、R8、L、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、以下で例として説明される:
C1~C6アルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基およびn-ヘキシル基である。プロピル基、エチル基およびメチル基は、好ましいアルキル基である。C2~C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニル、好ましいC2~C6アルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1~C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチル基および6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基は特に好ましい。アミノC1~C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基は特に好ましい。直鎖の二価C1~C20アルキレン基の例には、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が挙げられる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3つのC原子の鎖長から、二価のアルキレン基も分岐する場合がある。分岐鎖の二価C3~C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0025】
式(I)
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b(I)
の有機ケイ素化合物では、
R1基およびR2基は相互に独立に、水素原子またはC1~C6アルキル基を表す。特に、R1基およびR2基は両方とも、水素原子を表す。
【0026】
有機ケイ素化合物の中央部分には、構造単位またはリンカー-L-が存在し、これは、直鎖または分岐鎖の二価C1~C20アルキレン基を表す。
【0027】
好ましくは、-L-は、直鎖の二価C1~C20アルキレン基を表す。より好ましくは、-L-は、直鎖の二価C1~C6アルキレン基を表す。特に好ましい-Lは、メチレン基(CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に、Lは、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
式(I)の有機ケイ素化合物
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
は、それぞれの一端でケイ素含有基-Si(OR3)a(R4)bを有する。
【0028】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bでは、R3は、水素またはC1~C6アルキル基であり、R4は、C1~C6アルキル基である。特に、R3およびR4は、相互に独立に、メチル基またはエチル基である。
【0029】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数値3を表す場合、bは0に等しい。aが数値2を表す場合、bは1に等しい。aが数値1を表す場合、bは2に等しい。
【0030】
水および/または大気汚染の負の効果に対する最良の保護(「抗汚染」効果)およびストレスを受けた毛髪の最良のケアは、無水キャリア媒体が、R3基、R4基が独立にメチル基またはエチル基を表す式(I)または式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合に得られるであろう。
【0031】
特に適切な式(I)の有機ケイ素化合物は、
(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【0032】
【0033】
(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【0034】
【0035】
1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
【0036】
【0037】
(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【0038】
【0039】
(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【0040】
【0041】
1-(2-アミノエチル)シラントリオール
【0042】
【0043】
(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【0044】
【0045】
(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【0046】
【0047】
1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
【0048】
【0049】
(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【0050】
【0051】
(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または
【0052】
【0053】
1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【0054】
【0055】
である。
【0056】
上述の式(I)の有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、Sigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもSigma-Aldrichから市販品として入手できる。
【0057】
別の実施形態では、無水キャリア媒体は、式(II)
(R5O)c(R6)dSi-(A)e-[NR7-(A’)]f-[O-(A’’)]g-[NR8-(A’’’)]h-Si(R6’)d’(OR5’)c’ (II)
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。
【0058】
本発明による式(II)のオルガノシリコン化合物は、それぞれ、ケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)cを両端に有する。
【0059】
式(II)の分子の中央部分には、-(A)e-基および-[NR7-(A’)]f-基および-[O-(A’’)]g-基および-[NR8-(A’’’)]h-基が存在する。ここで、それぞれの残基e、f、gおよびhは、相互に独立に、数値0または1を表すことができ、ただし、残基e、f、gおよびhの少なくとも1つが0とは異なるという条件の場合である。換言すれば、本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR8-(A’’’)]-からなる群からの少なくとも1種のグループ化を含む。
【0060】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)cでは、R5、R5’、R5’’基は、相互に独立に、水素原子またはC1~C6アルキル基を表す。R6基、R6’基およびR6’’基は、独立にC1~C6アルキル基を表す。
【0061】
ここで、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数値3を表す場合、dは0に等しい。cが数値2を表す場合、dは1に等しい。cが数値1を表す場合、dは2に等しい。
【0062】
同様に、c’は、1~3の整数を表し、d’は、整数3-c’を表す。c’が数値3を表す場合、d’は0である。c’が数値2を表す場合、d’は1である。c’が数値1を表す場合、d’は2である。
【0063】
極めて好ましいキャリア媒体は、残基cおよびc’が両方とも数値3を表す有機ケイ素化合物を含む。この場合、dおよびd’は両方とも数値0を表す。
【0064】
別の好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、式(II)
(R5O)c(R6)dSi-(A)e-[NR7-(A’)]f-[O-(A’’)]g-[NR8-(A’’’)]h-Si(R6’)d’(OR5’)c’ (II)
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
式中、
-R5およびR5’は独立に、メチル基またはエチル基を表し、
-cおよびc’は両方とも、数値3を表し、
-dおよびおd’は両方とも、数値0を表す。
【0065】
cおよびc’が両方とも数値3で、dおよびd’が両方とも数値0である場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIa)
(R5O)3Si-(A)e-[NR7-(A’)]f-[O-(A’’)]g-[NR8-(A’’’)]h-Si(OR5’)3(IIa)
に該当する。
【0066】
残基e、f、gおよびhは独立に、数値0または1を表すことができ、それにより、e、f、gおよびhからの少なくとも1つの残基が0とは異なる。したがって、略記e、f、gおよびhは、-(A)e-および-[NR7-(A’)]f-および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-のうちのどのクループ化が式(II)の有機ケイ素化合物の中央部に位置するかを決定する。
【0067】
これに関連して、特定の基の存在が、条件付け効果を高めることに関して特に有利であることが明らかになった。特に良好な結果は、少なくとも2つの残基e、f、gおよびhが数値1を表す場合に得られた。特に好ましくは、eおよびfが両方とも数値1を表す場合である。さらに、gおよびhが両方とも数値0を表す場合である。
【0068】
eおよびfが両方とも数値1を表し、gおよびhが両方とも数値0を表す場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIb)
(R5O)c(R6)dSi-(A)-[NR7-(A’)]-Si(R6’)d’(OR5’)c’(IIb)
に該当する。
【0069】
A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’基は独立に、直鎖または分岐鎖の二価C1~C20アルキレン基を表す。好ましくは、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は相互に独立に、直鎖の二価C1~C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は相互に独立に、直鎖の二価のC1~C6アルキレン基を表す。特に、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は相互に独立に、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に、残基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0070】
残基fが数値1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造的グループ化-[NR7-(A’)]-を含む。
【0071】
残基hが数値1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造的グループ化-[NR8-(A’’’)]-を含む。
【0072】
式中、R7およびR8は独立に、水素原子、C1~C6アルキル基、ヒドロキシC1~C6アルキル基、C2~C6アルケニル基、アミノC1~C6アルキル基または式(III)
-(A’’’’)-Si(R6’’)d’’(OR5’’)c’’(III)
の基を表す。
【0073】
極めて好ましくは、R7およびR8は独立に、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0074】
残基fが数値1を表し、残基hが数値0を表す場合、本発明による有機ケイ素化合物は、グループ化-[NR7-(A’)]-を含むが、-[NR8-(A’’’)]-を含まない。次に、R7基が式(III)のグループ化を表す場合、薬剤(a)は、3個のシラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0075】
別の好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、式(II)
(R5O)c(R6)dSi-(A)e-[NR7-(A’)]f-[O-(A’’)]g-[NR8-(A’’’)]h-Si(R6’)d’(OR5’)c’ (II)
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
式中、
-eおよびfは両方とも、数値1を表し、
-gおよびhは両方とも数値0を表し、
-AおよびA’は相互に独立に、直鎖の二価C1~C6アルキレン基を表し、および
-R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0076】
別の好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、式中、
-eおよびfは両方とも、数値1を表し、
-gおよびhは両方とも数値0を表し、
-AおよびA’は相互に独立に、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表し、および
-R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0077】
課題の解決に好適する式(II)の有機ケイ素化合物は、
3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【0078】
【0079】
3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【0080】
【0081】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【0082】
【0083】
N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【0084】
【0085】
2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【0086】
【0087】
2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【0088】
【0089】
3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【0090】
【0091】
3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【0092】
【0093】
N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【0094】
【0095】
N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【0096】
【0097】
N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【0098】
【0099】
N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【0100】
【0101】
である。
【0102】
上述の式(II)の有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
【0103】
CAS番号82985-35-1のビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0104】
CAS番号13497-18-2のビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンとしても知られ、例えば、Sigma-Aldrichから購入でき、または、Evonikから商品名「Dynasylan 1122」で市販品として入手できる。
【0105】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも呼ばれ、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0106】
CAS番号18784-74-2の3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0107】
毛髪に適用されるケラチン物質を処理するための薬剤が、式(IV)
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合、有利であることも明らかになった。
【0108】
したがって、無水キャリア媒体は、式(IV)の有機ケイ素化合物も含む。
【0109】
式(IV)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0110】
式(IV)の有機ケイ素化合物(複数可)はまた、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランと称される場合もあり、
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
式中、
-R9は、C1~C12アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1~C6アルキル基を表し、
-R11は、C1~C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、および
-mは、3-kの整数を表す。
【0111】
さらに好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、式(I)の有機ケイ素化合物(複数可)に加えて、式(IV)
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
式中、
-R9は、C1~C12アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1~C6アルキル基を表し、
-R11は、C1~C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、および
-mは、3-kの整数を表す。
【0112】
同様に好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、式(I)の有機ケイ素化合物(複数可)に加えて、式(IV)
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
式中、
-R9は、C1~C12アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1~C6アルキル基を表し、
-R11は、C1~C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、および
-mは、3-kの整数を表す。
【0113】
さらに好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、式(I)および(II)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV)
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
式中、
-R9は、C1~C12アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1~C6アルキル基を表し、
-R11は、C1~C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、および
-mは、3-kの整数を表す。
【0114】
式(IV)の有機ケイ素化合物では、R9基は、C1~C12アルキル基を表す。このC1~C12アルキル基は、飽和しており、かつ直鎖または分岐鎖となり得る。好ましくは、R9は、直鎖C1~C8アルキル基を表す。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基を表す。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基またはn-オクチル基を表す。
【0115】
式(IV)の有機ケイ素化合物では、R10基は、水素原子またはC1~C6アルキル基を表す。R10は、メチル基またはエチル基を表すのが特に好ましい。
【0116】
式(IV)の有機ケイ素化合物では、R11基は、C1~C6アルキル基を表す。R11は、メチル基またはエチル基を表すのが特に好ましい。
【0117】
さらに、kは、1~3の整数を表し、mは、整数3-kを表す。kが数値3を表す場合、mは0に等しい。kが数値2を表す場合、mは1に等しい。kが数値1を表す場合、mは2に等しい。
【0118】
無水キャリア媒体が、残基kが数値3を表す式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことが極めて有利であることが明らかになった。この場合、残りのmは数値0を表す。
【0119】
課題の解決に特に好適する式(IV)の有機ケイ素化合物は、
メチルトリメトキシシラン
【0120】
【0121】
メチルトリエトキシシラン
【0122】
【0123】
エチルトリメトキシシラン
【0124】
【0125】
エチルトリエトキシシラン
【0126】
【0127】
n-ヘキシルトリメトキシシラン
【0128】
【0129】
n-ヘキシルトリエトキシシラン
【0130】
【0131】
n-オクチルトリメトキシシラン
【0132】
【0133】
n-オクチルトリエトキシシラン
【0134】
【0135】
n-ドデシルトリメトキシシランおよび/または
【0136】
【0137】
n-ドデシルトリエトキシシラン
【0138】
【0139】
およびまた、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはオクタデシルトリエトキシシランである。
上記有機ケイ素化合物は、反応性化合物である。
【0140】
無水キャリア媒体が2種の構造上異なる有機ケイ素化合物を含む場合でも、特に安定で均一な膜が、ケラチン物質上で得られることが明らかになった。
【0141】
好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物および式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0142】
明らかに極めて特に好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物、およびさらに、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0143】
別の好ましい実施形態では、無水キャリア媒体は、無水キャリア媒体が、無水キャリア媒体の総重量を基準にして、
0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の第一の有機ケイ素化合物、および
【0144】
3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の第二の有機ケイ素化合物、を含むことを特徴とする。
【0145】
少なくとも1種の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の場合には、小量の水の添加であっても、加水分解に繋がる。加水分解生成物および/または少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応で相互に反応できる。この理由のために、少なくとも1種の加水分解性基を有するオルガノシリコン化合物およびその加水分解生成物および/または縮合生成物の両方が、無水キャリア媒体中に存在することもある。少なくとも1個のヒドロキシル基を有するオルガノシリコン化合物が使用される場合、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびその縮合生成物の両方が、無水キャリア媒体中に存在できる。
【0146】
縮合生成物は、1分子当たり、それぞれ少なくとも1個のヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2種の有機ケイ素化合物の、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴う反応により形成された生成物であると理解される。縮合生成物は、例えば、ダイマーであってもよいが、トリマーまたはオリゴマーであってもよく、縮合生成物はモノマーと平衡状態にある。加水分解で使用されたまたは消費された水の量に応じて、モノマー有機ケイ素化合物の平衡は縮合生成物側にシフトする。
【0147】
本発明に関連して、重量%の数値は、特に断りのない限り、常に、無水キャリア媒体の総重量を基準にしている。
【0148】
本発明に不可欠の第二の成分として、無水キャリア媒体は、分岐鎖または直鎖アルカンを含む。本発明に至る研究の過程で、特に良好なケア効果を得るために、有機ケイ素化合物、例えば、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランが分岐鎖または直鎖C8~C30アルカンと組み合わされる場合に、特に有利であることが明らかになった。無水キャリア媒体中の水を排除することにより、有機ケイ素化合物は、早期の加水分解から保護され、適用直前のみ加水分解反応により有機ケイ素化合物を活性化する水相との混合に必要とされるときのみに、ヘアケア乳剤に変換される。驚くべきことに、特に、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランとC8~C30アルカンとの組み合わせが化粧品としての許容性を高めることが明らかになった。毛髪はソフトであり、扱いやすさは顕著に増加し、毛髪表面は、特に化学処理毛髪で、より疎水性になる。
【0149】
本発明の好ましい実施形態によれば、アルカンは、C10~C24アルカン、より好ましくはC12~C18アルカン、さらにより好ましくはC14~C16アルカンである。別の好ましい実施形態によれば、アルカンは、無水キャリア媒体の総重量を基準にして、1~50重量%、好ましくは2~45重量%、より好ましくは3~40重量%、さらにより好ましくは4~35重量%の量で無水キャリア媒体中に存在する。
【0150】
有機ケイ素化合物、特に、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランとアルカンとの組み合わせは、毛髪上に層を形成する。毛髪表面は、酸化により損傷した毛髪が再度疎水化され、これは、縮れの減少に繋がる。加えて、毛髪の扱いやすさが改善される。
【0151】
本発明に不可欠の第三の構成成分として、無水キャリア媒体は、少なくとも1種の分岐鎖または直鎖C10~C30脂肪アルコールを含む。この配合物は、常に、炭化水素鎖が10~30個の炭素原子を有することを意味する。
【0152】
本発明の好ましい実施形態によれば、脂肪アルコールは、C12~C24脂肪アルコール、好ましくはC14~C18脂肪アルコールである。本発明の別の好ましい実施形態によれば、脂肪アルコールは、無水キャリア媒体の総重量を基準にして、5~50重量%、好ましくは6~45重量%、より好ましくは7~40重量%、さらにより好ましくは8~35重量%の量で無水キャリア媒体中に存在する。
【0153】
本発明に不可欠の第四の成分として、無水キャリア媒体は、少なくとも1種の分岐鎖または直鎖C2~C8一価アルコールを含む。本発明の好ましい実施形態によれば、アルコールは、C3~C6アルコール、好ましくはC4~C5アルコールである。別の好ましい実施形態によれば、無水キャリア媒体の総重量を基準にして、4~50重量%、好ましくは6~45重量%、より好ましくは8~40重量%、さらにより好ましくは10~30重量%の量で無水キャリア媒体中に存在する。一価アルコールは、1個のみのOH官能基を有するアルコールを意味すると理解されたい。
【0154】
本発明は、化粧品組成物にも関する。これは、本発明による無水キャリア媒体を含み、この無水キャリア媒体は、水相あるいはさらに無水相とも組み合わされる。このように、有機ケイ素化合物が加水分解から保護される、化粧品組成物に好都合な全ての所望成分を含む化粧品組成物を提供できる。
【0155】
本発明の好ましい実施形態は、本発明による無水キャリア媒体および水相を含む化粧品組成物に関し、該無水キャリア媒体または水相は、カチオン性界面活性剤、好ましくは、1個以上のC8~C22、より好ましくはC10~C18、さらにより好ましくはC12~C16アルキル基を有するアルキルトリモニウム化合物を含み、または、
カチオン性界面活性剤は、次の式、
【0156】
【0157】
の1種であり、式中、
R12、R13、R14は独立に、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニル基またはC2~C6ヒドロキシアルキル基を表し、
R15は、C8~C28アルキル基、好ましくはC10~C22アルキル基を表し、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表すか、または、
カチオン性界面活性剤は、次の式、
【0158】
【0159】
の1種であり、式中、
R16は、C1~C6アルキル基を表し、
R17、R18は、独立に、C7~C27アルキル基、好ましくはC10~C22アルキル基であり、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表すか、または、
カチオン性界面活性剤は、次の式、
【0160】
【0161】
の1種であり、式中、
R19、R20は独立に、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニル基またはC2~C6ヒドロキシアルキル基を表し、
R21、R22は、独立に、C7~C27アルキル基、好ましくはC10~C22アルキル基であり、および
X-は、生理学的に適合性があるアニオンを表すか、または、
カチオン性界面活性剤は、次の式、
NR23R24R25、
の1種であり、式中、
R23、R24は、独立に、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニル基またはC2~C6ヒドロキシアルキル基を表し、および
R25は、C8~C28アルキル基、好ましくはC10~C22アルキル基を表す。
【0162】
本発明では、界面活性剤は、水相およびキャリア媒体を乳化する働きをし、またはより一般的には、水相および油相を乳化する働きをする。
【0163】
本発明の好ましい実施形態によれば、カチオン性界面活性剤は、水相の総重量を基準にして、0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1~3重量%の量で、水相中に存在する。
【0164】
本発明の好ましい実施形態は、無水キャリア媒体または水相が非イオン性界面活性剤を含む化粧品組成物に関し、該非イオン性界面活性剤は、好ましくは、脂肪アルコールエトキシレートの脂肪アルコール部分がC4~C30、好ましくはC6~C25、より好ましくはC8~C20のアルキル鎖長を有し、かつ/もしくは脂肪アルコールエトキシレート中のエトキシ基の数が2~120、好ましくは4~100、より好ましくは6~80、さらにより好ましくは8~60、最も好ましくは10~40個である、脂肪アルコールエトキシレートであり、および/または該非イオン性界面活性剤は、無水キャリア媒体の総重量を基準にして、0.1~10重量%、好ましくは0.25~7.5重量%、より好ましくは0.5~5重量%の量で存在する。
【0165】
本発明の別の好ましい実施形態は、無水キャリア媒体または水相がアニオン性界面活性剤を含む化粧品組成物に関し、該アニオン性界面活性剤は、好ましくは、C8~C22、好ましくはC10~C20、より好ましくはC12~C18の鎖長を有する脂肪アルコールサルフェートであり、および/または該アニオン性界面活性剤は、無水キャリア媒体の総重量を基準にして、0.1~10重量%、好ましくは0.25~7.5重量%、より好ましくは0.5~5重量%の量で無水キャリア媒体中に存在する。
【0166】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、無水キャリア媒体の水相に対する重量比は、1:10~10:1、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは2:1~1:2の範囲である。
【0167】
上記必須成分に加えて、無水キャリア媒体または水相中に存在し得る毛髪処理組成物のさらなる成分が、以下に記述される。
【0168】
さらなる好ましい実施形態によれば、無水キャリア媒体または水相は、グリセロール、尿素、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸のシラノールエステル、パンテノール、タウリン、セラミド、フィトステロール、アロエベラ抽出物、クレアチン、クレアチニン、ヒアルロン酸ナトリウム、多糖類、ビオサッカリドガム-1、キュウリ抽出物、ブチレングリコール、プロピレングリコール、メチルプロパンジオール、エチルヘキシルグリセロール、ソルビトール、アミノ酸、グリシン、グリシンソイ、ヒスチジン、チロシンまたはトリプトファン(特に好ましいアミノ酸)、アミノ酸誘導体、天然ベタイン化合物、ピロリドンカルボン酸またはピロリドンカルボン酸の塩、乳酸、ラクテート、特に、乳酸ナトリウム、および/またはエチルヘキシルオキシグリセロールからなる群から選択される皮膚保湿剤またはさらにスキンケア剤をさらに含む。特に、これらの皮膚保湿剤の選択により、無水キャリア媒体の栄養補給特性が高まる。
【0169】
別の好ましい実施形態によれば、無水キャリア媒体または水相は、いくつかの界面活性剤を含む。無水キャリア媒体または水相が2種の構造上異なる界面活性剤、好ましくは無水キャリア媒体または水相が2種の構造上異なるカチオン性界面活性剤、2種の構造上異なるアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、またはアニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含むことが特に好ましい。
【0170】
本発明の好ましい実施形態によれば、使用されるカチオン性界面活性剤は、カチオン電荷を有する疎水性先端基および1つまたは2つの疎水性末端部を含み、疎水性末端部(複数可)は、好ましくはC6~C30、より好ましくはC8~C26、特に好ましくはC10~C22の鎖長を有する、直鎖または分岐鎖で、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキル基を表す。別の好ましい実施形態によれば、カチオン性界面活性剤は、エステル官能基、エーテル官能基、ケトン官能基、アルコール官能基、またはアミド官能基を有する。
【0171】
式NR23R24R25のカチオン性界面活性剤は、アミン誘導体、いわゆるシュードクワット(pseudoquat)である。有機基R23、R24およびR25は、窒素原子に直接に結合されている。酸性のpH範囲では、これらは、カチオン化されている、すなわち、窒素原子はプロトン化されている。生理学的に適合性がある対イオンは、対イオンとして好適する。ステアミドプロピルジメチルアミンが、これらのカチオン性界面活性剤の中で特に好ましい。
【0172】
原理的には、全ての生理学的に適合性がある対イオンは、本化合物の対イオンとして使用でき、これらは、塩として存在する。
【0173】
本発明の好ましい実施形態によれば、無水キャリア媒体または水相は、さらなる成分として、さらなる非イオン性界面活性剤を含み、これは、好ましくは、以下からなる群から選択される非イオン性界面活性剤を含む:
-飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルカミド、
-飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルフルクトシド、
-飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルコシド、
-式R10(OR11)mOHのアルキルアルコールアルコキシレート(式中、R10は、直鎖または分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を表し、R11は、C2~C4、好ましくはC2アルキル基を表し、およびmは、1~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~6を表す)。
【0174】
本発明の好ましい実施形態によれば、1種以上のさらなるアニオン性界面活性剤が無水キャリア媒体または水相の成分として存在し、好ましくは、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキルスルホネート、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を有する直鎖αオレフィンスルホネート、
-アルキルサルフェートおよび式R9-O-(CH2-CH2O)n-SO3Xのアルキルポリグリコールエーテルサルフェート(式中、R9は、好ましくは、8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキル基またはアルケニル基であり、nは0または1~12、より好ましくは2~4であり、Xはアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンまたはプロトン化トリエタノールアミンまたはアンモニウムイオンである)、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキルカルボン酸、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキルホスフェート、
【0175】
-アルキル基が、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基、特にココイルイセチオン酸ナトリウムから選択されるアルキルイセチオネート、
-アルキル基が、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルグリコシドカルボン酸、
-2個のアルキル基が、同一かまたは異なる、分岐鎖または非分岐鎖C2~C12、好ましくはC4~C10、より好ましくはC6~C8アルキル基から選択されるアルキルスルホサクシネート、
-アルキル基が、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルタウレート、
-アルキル基が、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルサルコシネート、
-8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個のC原子および1~6個の二重結合を有する不飽和脂肪酸のスルホネート、
からなる群から選択され、アニオン性界面活性剤の対イオンは、アルカリまたはアルカリ土類金属イオンまたはプロトン化トリエタノールアミンまたはアンモニウムイオンである。
【0176】
極めて好ましくは、水相は、アニオン性および両性/双性イオン界面活性剤ナトリウムラウリルエーテルサルフェート(INCI:ラウレス硫酸ナトリウム)の界面活性剤混合物、極めて好ましくは、2つのエチレンオキシド単位を有するナトリウムラウリルエーテルサルフェートを含む。
【0177】
両性界面活性剤は、双性イオン界面活性剤としても知られ、分子内に少なくとも1種の第四級アンモニウム基および少なくとも1個の-COO-基または-SO3
-基を含む界面活性化合物である。両性/双性イオン界面活性剤はまた、C8~C24アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の-COOH基または-SO3H基を含み、かつ内部塩を形成できる、界面活性化合物を含む。
【0178】
本発明の好ましい実施形態によれば、無水キャリア媒体または水相は、さらなる成分として、少なくとも1種の両性界面活性剤を含む。好ましくは、無水キャリア媒体中の両性界面活性剤は、
-少なくとも1種の飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくは、C10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルベタイン、
-飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含み、アルカリまたはアルカリ土類金属対イオンを有するアルキルアンホジアセテートまたはアルキルアンホジアセテート、
-少なくとも1種の飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくは、C10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルアミドプロピルベタイン、
からなる群から選択される。
【0179】
特に好適な両性/双性イオン界面活性剤には、INCI名コカミドプロピルベタインおよびジナトリウムココアンホジアセテートとして知られるものが含まれる。
【0180】
有機ケイ素化合物を安定化させるための無水サポート媒体は、特に、ケラチン物質を精製するための薬剤、ケラチン物質をケアするための薬剤、ケラチン物質をケアし、精製するための薬剤、ケラチン物質を着色するための薬剤、および/またはケラチン物質を一時的に再形成するための薬剤を調製するために使用されることもある。
【0181】
ケラチン物質を処理するための無水キャリア媒体または水相は、0.001~20重量%の少なくとも1種の第四級化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。これは特に、ケラチン物質のケア、またはケラチン物質のケアおよびケラチン物質の洗浄ための薬剤の調製に使用される無水キャリア媒体または水相に適用される。
【0182】
少なくとも1種の第四級化合物は、
i)モノアルキルクワットおよび/または
ii)エステルクワットおよび/または
iii)式(Tkat2)の四級イミダゾリン、
【0183】
【0184】
(Tkat2)
(式中、R基は相互に独立に、それぞれ、8~30の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和の、直鎖または分岐鎖の炭化水素基を表し、Aは、生理学的に耐容性のあるアニオンを表す)、および/または
iv)アミドアミンおよび/またはカチオン化アミドアミンの四級イミダゾリン、および/または
v)ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム化合物)、および/または
vi)四級化セルロース誘導体、特に、ポリクアテルニウム-10、ポリクアテルニウム-24、ポリクアテルニウム-27、ポリクアテルニウム-67、ポリクアテルニウム-72、および/または
vii)カチオン性アルキルポリグリコシド、および/または
viii)カチオン化蜂蜜、および/または
ix)カチオン性グアー誘導体、および/または
x)キトサン、および/または
xi)ポリマー性ジメチルジアリルアンモニウム塩およびこれらとアクリル酸およびメタクリル酸のエステルおよびアミドとのコポリマー、特に、ポリクアテルニウム-7、および/または
xii)ビニルピロリドンと、ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびメタクリレートの四級化誘導体とのコポリマー、特に、ポリクアテルニウム-11、および/または
xiii)ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、特に、ポリクアテルニウム-16、および/または
xiv)四級化ポリビニルアルコール、および/または
xv)ポリクオタニウム-74、および
これらの混合物、
からなる群の少なくとも1種から選択されることが好ましい。
【0185】
特に、無水キャリア媒体または水相が、第四級化合物としてINCI名ポリクアテルニウム-37に該当するカチオン性ホモポリマーを含むことが好ましい。
【0186】
無水キャリア媒体または水相が、好ましくは、ワックス、合成ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される固化化合物(firming compound)をさらに含むことが好ましい場合がある。
【0187】
ケラチン物質の一時的再形成のためにケラチン物質の処理用の薬剤(=スタイリング剤)の調製に使われる化粧品組成物の種々の要求を満たすために、多数の合成ポリマーが、ケラチン物質の処理のための薬剤に使用できる強化化合物(strengthening compound)として既に開発されている。代わりにまたは追加して、ワックスが、強化化合物として使用される。理想的には、ポリマーおよび/またはワックスは、ケラチン物質に適用される場合、一方では、ヘアスタイルに強力な保持力を与え、他方では、応力が加えられた場合に壊れないように充分に柔軟である、ポリマーフィルムまたはシートを生成する。
【0188】
合成ポリマーは、カチオン性、アニオン性、非イオン性および両性強化ポリマーに分類できる。
【0189】
好適な合成ポリマーには、例えば、以下のINCI名を有するポリマーが含まれる:アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー、アクリルアミド/DMAPAアクリレート/メトキシPEGメタクリレートコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、アクリレート/t-ブチルアクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/C1-2スクシネート/ヒドロキシアクリレートコポリマー、アクリレート/ラウリルアクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミド/ジフェニルアモジメチコンコポリマー、アクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/VAコポリマー、アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー、アクリレート/VPコポリマー、アジピン酸/ジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/イソフタル酸/ネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパンコポリマー、アリルステアレート/VAコポリマー、アミノエチルアクリレートホスフェート/アクリレートコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アンモニウムVA/アクリレートコポリマー、AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/アリルメタクリレートコポリマー、AMP-アクリレート/C1-18アルキルアクリレート/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、
【0190】
バチルス/米糠エキス/大豆エキス発酵濾過物、ビス-ブチルオキシアモジメチコン/PEG-60コポリマー、ブチルアクリレート/エチルヘキシルメタクリレートコポリマー、ブチルアクリレート/ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、ブチル化PVP、エチレンのブチルエステル/MAコポリマー、PVMのブチルエステル/MAコポリマー、カルシウム/ナトリウムPVM/MAコポリマー、トウモロコシ澱粉/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー、ジエチレングリコールアミン/エピクロロヒドリン/ピペラジンコポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジフェニルアモジメチコン、PVM/MAコポリマーのエチルエステル、加水分解小麦タンパク質/PVPクロスポリマー、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー、イソブチレン/MAコポリマー、イソブチルメタクリレート/ビス-ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、PVMのイソプロピルエステル/MAコポリマー、ラウリルアクリレートクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、MEA-スルファイト、メタクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウムコポリマー、メタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、PEG/PPG-25/25ジメチコン/アクリレートコポリマー、PEG-8/SMDIコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート-6、ポリβ-アラニン/グルタル酸クロスポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル-1、ポリエチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリロイルエチルベタイン、ポリペンタエリスリチルテレフタレート、ポリパーフルオロパーヒドロフェナントレン、
【0191】
ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリシリコーン-9、ポリウレタン-1、ポリウレタン-6、ポリウレタン-10、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルイミダゾリニウムアセテート、ポリビニルメチルエーテル、PVMのカリウムブチルエステル/MAコポリマー、PVMのカリウムエチルエステル/MAコポリマー、PPG-70ポリグリセリル-10エーテル、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、PPG-10ソルビトール、
【0192】
PVM/MAコポリマー、PVP、PVP/VA/イタコン酸コポリマー、PVP/VA/ビニルプロピオネートコポリマー、リゾビアンガム、ロジンアクリレート、シェラック、PVMのナトリウムブチルエステル/MAコポリマー、PVMのナトリウムエチルエステル/MAコポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、カラヤガム、テレフタル酸/イソフタル酸/イソフタル酸スルホン酸ナトリウム/グリコールコポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチルシロキシシリルカルバモイルプルラン、VA/クロトネートコポリマー、VA/クロトネート/メタクリロキシベンゾフェノン-1コポリマー、VA/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー、VA/クロトネート/ビニルプロピオネートコポリマー、VA/DBMコポリマー、VA/ビニルブチルベンゾエート/クロトネートコポリマー、ビニルアミン/ビニルアルコールコポリマー、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/DMAPAアクリレートコポリマー、VP/ヘキサデセンコポリマー、VP/VAコポリマー、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー、イーストパルミテートおよびスチレン/VPコポリマー。
【0193】
セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースも好適である。
【0194】
ホモポリアクリル酸(INCI:カルボマー)は、カーボポール(登録商標)の名称で種々の形態で市販品として入手可能であり、固化化合物として好適する。
【0195】
好ましくは、固化化合物は、ビニルピロリドン含有ポリマーである。特に好ましくは、固化化合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0196】
別の好ましい固化化合物は、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)であり、これは、「Amphomer(登録商標)」の名称でAkzo Nobelから販売されている。
【0197】
したがって、固化化合物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、およびこれらの混合物からなる群から選択される合成ポリマーを含むのが特に好ましい。
【0198】
合成ポリマーに加えて、またはその代わりに、化粧品組成物は、固化化合物として、37℃を超える融点を有する少なくとも1種の天然ワックスまたは合成ワックスを含んでよい。
【0199】
天然ワックスまたは合成ワックスは、固体ケロシンまたはイソパラフィン;カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、アフリカハネガヤワックス、和蝋、コルクワックス、サトウキビワックス、オーリクリー蝋、モンタン蝋、ヒマワリワックス、フルーツワックスなどの木蝋;蜜ろうおよび他の虫白蝋などの動物蝋;鯨蝋、シェラックワックス、羊毛脂およびブラッシンググリース(brushing grease)であってよく、さらに、セレシンおよびオゾケライトなどの鉱蝋;またはペトロラタム、ケロシンワックス、ポリエチレンまたはポリプロピレンのマイクロワックスおよびポリエチレングリコールワックスなどの石油化学ワックスを使用できる。水素添加ワックスまたは硬化ワックスの使用が有利な場合もある。化学修飾ワックス、特に、モンタンエステルワックス、サソールワックスおよび水素添加ホホバワックスなどの硬蝋も使用できる。
【0200】
また、飽和および任意選択でヒドロキシル化されたC16~C30脂肪酸のトリグリセリド、例えば、水素添加トリグリセリド油脂(水素添加パーム油、水素添加ヤシ油、硬化ヒマシ油)、グリセリルトリベヘネートまたはグリセリルトリ-12-ヒドロキシステアレートが好適である。
【0201】
ワックス成分は、22~44個の炭素原子の鎖長を有する、飽和した非分岐鎖のアルカンカルボン酸および22~44個の炭素原子の鎖長を有する、飽和した非分岐鎖のアルコールのエステルの群からも選択できるが、ただし、ワックス成分または全体のワックス成分が室温で固体であることが条件である。シリコーンワックス、例えば、ステアリルトリメチルシラン/ステアリルアルコールも有利な場合もある。
【0202】
天然ワックス、化学修飾ワックスおよび合成ワックスは、単独でまたは組み合わせて使用できる。しかし、これは、アルカンを含むことではない。アルカンは、必然的に本発明による無水キャリア媒体中に含まれる。いくつかのワックスもさらに使用できる。さらに、多数のワックス化合物も、おそらくその他の添加物と混合して、市販品として入手できる。「Special Wax 7686 OE」(セチルパルミテート、蜜ろう、微結晶性ワックスおよびポリエチレンの混合物で融解範囲73~75℃;製造業者:Kahl&Co)、Polywax(登録商標)GP 200(ステアリルアルコールおよびポリエチレングリコールステアレートの混合物で、融点47~51℃;製造業者:Croda)および「Softceresin(登録商標)FL400」(ワセリン/ワセリンオイル/ワックス混合物で、融点50~54℃;製造業者:Parafluid Mineral Oil Company)の名称で販売されている製品は、使用できる混合物の例である。
【0203】
好ましくは、ワックスは、カルナウバ蝋(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、蜜ろう(INCI:蜜ろう)、ペトロラタム(INCI)、微結晶性ワックスおよび特にこれらの混合物から選択される。
【0204】
好ましいブレンドには、カルナウバ蝋(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、ペトロラタムおよび微結晶性ワックスの組み合わせ、または蜜ろう(INCI:蜜ろう)およびペトロラタムの組み合わせが含まれる。
【0205】
ワックスまたはワックス成分は、25℃で固体であり、>37℃の範囲で融解すればよい。
【0206】
無水キャリア媒体または水相は、好ましくは、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは1.5~30重量%、さらにより好ましくは2~25重量%の合計量の固化化合物を含む。
【0207】
他の好適な成分には、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、(追加の)カチオン性ポリマー、ワックス、タンパク質加水分解物、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、プロビタミン、ビタミン前駆物質、ベタイン、バイオキノン(biochinone)、プリン(誘導体)、植物抽出物、シリコーン、エステル油、UV光フィルター、構造剤、増粘剤、電解質、pH調節剤、膨張剤、着色剤、フケ防止剤、錯化剤、乳白剤、真珠光沢剤、顔料、安定化剤、噴射剤、抗酸化剤、香油および/または保存剤が含まれる。
【0208】
好ましい実施形態1~48では、本発明による無水キャリア媒体中で、好ましい有機ケイ素化合物が好ましいアルカンおよびアルコールと組み合わされる。
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
本出願のさらなる主題は、有機ケイ素化合物の貯蔵安定性を高めるための、ならびに/またはケラチン物質を洗浄するための薬剤、ケラチン物質をケアするための薬剤、ケラチン物質をケアし、洗浄するための薬剤、ケラチン物質を着色するための薬剤、および/もしくはケラチン物質を一時的に再形成するための薬剤を調製するための、本発明による無水キャリア媒体の使用である。
【0214】
使用のさらなる好ましい実施形態に関して、無水キャリア媒体について記載したことは、必要な変更を加えて適用される。