(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、それを用いて製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240321BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 505
G02B5/20 101
(21)【出願番号】P 2022197727
(22)【出願日】2022-12-12
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0176932
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0118061
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朴 白 晟
(72)【発明者】
【氏名】金 智 惠
(72)【発明者】
【氏名】金 サビナ
(72)【発明者】
【氏名】金 知 弘
(72)【発明者】
【氏名】宋 ヘ ニ
(72)【発明者】
【氏名】柳 政 豪
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-012115(JP,A)
【文献】特開2008-310009(JP,A)
【文献】特開2007-256407(JP,A)
【文献】特開2007-114723(JP,A)
【文献】特開2007-072357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光重合性化合物;
(B)光重合開始剤;
(C)着色剤;
(D)バインダ樹脂;および
(E)溶媒
を含み、
前記溶媒は第1溶媒および第2溶媒
のみからなり、
前記第1溶媒は、1気圧下で0℃超150℃未満の沸点を有し、前記第2溶媒は、1気圧下で150℃以上の沸点を有し、
前記第2溶媒は、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、またはこれらの組み合わせ
のみからなり、
前記第1溶媒は、前記第2溶媒より多い含有量で含まれ、
前記溶媒は、第1溶媒および第2溶媒を2:1~7:1の質量比で含
む、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記第1溶媒は、1気圧下で90℃以上150℃未満の沸点を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記第1溶媒は、1気圧下で110℃以上150℃未満の沸点を有する、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記第1溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n-ブチルアルコール、シクロブタノン、シクロペンタノン、またはこれらの組み合わせである、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記感光性樹脂組成物の総質量に対して、前記第1溶媒の含有量は、30質量%~60質量%である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記感光性樹脂組成物の総質量に対して、前記第2溶媒の含有量は、1質量%~20質量%である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記着色剤は顔料を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記顔料は、青色顔料、紫色顔料、またはこれらの混合物を含む、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記青色顔料は、下記化学式1で表される銅フタロシアニン系青色顔料である、請求項8に記載の感光性樹脂組成物:
【化1】
前記化学式1中、
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;
a~dは、それぞれ独立して、1~4の整数である。
【請求項10】
前記紫色顔料は、下記化学式2で表されるカルバゾールジオキサジン系紫色顔料、下記化学式3で表されるペリレン系紫色顔料、またはこれらの混合物である、請求項8に記載の感光性樹脂組成物:
【化2】
前記化学式2中、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子であり;
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;
R
7~R
10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;
eおよびfは、それぞれ独立して、1~4の整数であり;
gおよびhは、それぞれ独立して、1または2の整数であり;
【化3】
前記化学式3中、
R
11およびR
12は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;
R
13およびR
14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;
iおよびjは、それぞれ独立して、1~4の整数である。
【請求項11】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総質量に対して、
前記(A)光重合性化合物 0.1質量%~20質量%;
前記(B)光重合開始剤 0.1質量%~5質量%;
前記(C)着色剤 5質量%~50質量%;
前記(D)バインダ樹脂 0.1質量%~20質量%;および
残部量の前記(E)溶媒、
を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を含むカップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;およびラジカル重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含む、感光性樹脂膜。
【請求項14】
請求項13に記載の感光性樹脂膜を含む、カラーフィルタ。
【請求項15】
請求項14に記載のカラーフィルタを含む、CMOSイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、それを用いて製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサは、光子を電子に転換してディスプレイで表示するか、保存装置に保存できるようにする半導体に該当する。
【0003】
イメージセンサは、製作工程と応用方式とによって、固体撮像素子(charge coupled device,CCD)イメージセンサと相補性金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor,CMOS)イメージセンサとに分類される。
【0004】
具体的には、イメージセンサは、赤色、緑色、および青色の加算混合原色のフィルタセグメント(filter segment)を含むカラーフィルタを備える。このようなカラーフィルタを通過した外部の光は、カラーイメージデータ(R,G,Bデータ)に変換されて信号として処理される工程によりディスプレイ装置で駆動される。
【0005】
カラーフィルタは、着色剤を含有する感光性樹脂組成物を基板上にコートして、形成しようとする形態のパターンを露光した後現像して、ベークを行って熱硬化させることにより感光性樹脂膜を形成し、このような一連の工程を繰り返すことによって製造可能である。
【0006】
一般に、カラーフィルタのコーティングは、スピンコート方式を用いて行われるので、コーティングの均一性が低下したり、下部構造による影響により斜線不良が発生したりする。特に、イメージセンサ用カラーフィルタは、薄膜として実現されるので、コーティングの工程中に異物が混入すると、コーティング不良や、パターニング欠陥などを誘発して製品の収率を低下させることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、カラーフィルタの製造工程で、スピンコート方式を用いてコートしても斜線不良がなく、コーティングの均一性を確保し、特にカラーフィルタを薄膜形態で製造しても、異物による問題を最小化する感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、上記感光性樹脂膜を用いて製造されたカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(A)光重合性化合物;(B)光重合開始剤;(C)着色剤;(D)バインダ樹脂;および(E)溶媒を含み、前記溶媒は第1溶媒および第2溶媒を含み、前記第1溶媒は1気圧下で0℃超150℃未満の沸点を有し、前記第2溶媒は1気圧下で150℃以上の沸点を有し、前記第1溶媒は前記第2溶媒より多い含有量で含まれる、感光性樹脂組成物を提供する。
【0012】
上記第1溶媒は、1気圧下で90℃以上150℃未満、具体的には110℃以上150℃未満の沸点を有し得る。
【0013】
上記第1溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(、n-ブチルアルコール、シクロブタノン、シクロペンタノンまたはこれらの組み合わせであり得る。
【0014】
上記第2溶媒は、1気圧下で150℃以上350℃以下、具体的には160℃以上290℃以下の沸点を有し得る。
【0015】
上記第2溶媒は、ケトン官能基を含む環状溶媒、エーテル官能基を含む直鎖状溶媒、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0016】
上記第2溶媒は、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0017】
上記溶媒は、第1溶媒および第2溶媒を2:1~7:1の質量比で含み得る。
【0018】
上記感光性樹脂組成物の総質量に対して、上記第1溶媒の含有量は、30質量%~60質量%であり得る。
【0019】
上記感光性樹脂組成物の総質量に対して、上記第2溶媒の含有量は、1質量%~20質量%であり得る。
【0020】
上記着色剤は、顔料を含み得る。
【0021】
上記顔料は、青色顔料、紫色顔料またはこれらの混合物を含み得る。
【0022】
上記感光性樹脂組成物は、上記感光性樹脂組成物の総質量に対して、上記(A)光重合性化合物 0.1質量%~20質量%;上記(B)光重合開始剤 0.1質量%~5質量%;上記(C)着色剤 5質量%~50質量%;上記(D)バインダ樹脂 0.1質量%~20質量%;および残部量の前記(E)溶媒を含み得る。
【0023】
上記感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むカップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;およびラジカル重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含み得る。
【0024】
本発明の他の一実施形態は、感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0025】
本発明のさらに他の一実施形態は、上記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0026】
本発明のさらに他の一実施形態は、上記カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサを提供する。
【0027】
その他、本発明の側面の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、カラーフィルタの製造工程で、スピンコート方式を用いてコートしても斜線不良がなく、コーティングの均一性を確保し、特にカラーフィルタを薄膜形態で製造しても、異物による問題を最小化する感光性樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇によってのみ定義される。
【0030】
本明細書で特に明記しない限り、「置換」とは化合物中の少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン原子(F、Cl,Br,I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基、またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたものを意味する。
【0031】
本明細書で特に明記しない限り、「ヘテロシクロアルキル基」、「ヘテロシクロアルケニル基」、「ヘテロシクロアルキニル基」および「ヘテロシクロアルキレン基」とは、それぞれシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル気、およびシクロアルキレン基の環内に、少なくとも1つの窒素原子(N)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、またはリン原子(P)のヘテロ原子が存在するものを意味する。
【0032】
本明細書で特に明記しない限り、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との両方が可能であることを意味する。
【0033】
本明細書内の化学式で別段の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は、その位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0034】
(感光性樹脂組成物)
本発明は、(A)光重合性化合物;(B)光重合開始剤;(C)着色剤;(D)バインダ樹脂;および(E)溶媒を含み、上記溶媒は、第1溶媒および第2溶媒を含み、上記第1溶媒は、1気圧下で0℃超150℃未満の沸点を有し、上記第2溶媒は、1気圧下で150℃以上の沸点を有し、上記第1溶媒は上記第2溶媒より多い含有量で含まれる感光性樹脂組成物を提供する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、感光性樹脂組成物は沸点が互いに異なる2種の溶媒を特定の含有量比で含む。
【0036】
具体的には、第1溶媒は第2溶媒より多い含有量で含まれる主溶媒(main solvent)として、1気圧下で0℃超150℃未満の沸点を有し、第2溶媒は第1溶媒より少ない含有量で含まれる補助溶媒として、1気圧下で150℃以上の沸点を有する。
【0037】
より具体的には、第1溶媒は、感光性樹脂組成物に一般に使用される溶媒であり得る。一方、第2溶媒は150℃以上の沸点を有する溶媒であって、第1溶媒および第2溶媒を含む溶媒全体の沸点およびそれを含む感光性樹脂組成物の粘度を、第1溶媒より高めることができる。
【0038】
そのため、主溶媒として第1溶媒および補助溶媒として第2溶媒を含む溶媒を使用すれば、第2溶媒を第1溶媒より多い含有量で含む場合などに比べて、感光性樹脂組成物の粘度を高めることができる。
【0039】
したがって、主溶媒として第1溶媒および補助溶媒として第2溶媒を含む溶媒を使用すれば、高い回転速度でコートしても斜線不良がなく、コーティングの均一性を確保し、特にカラーフィルタを薄膜形態で製造しても、異物による問題を最小化することができる。
【0040】
以下、感光性樹脂組成物に含まれる各成分を具体的に説明する。
【0041】
(E)溶媒
まず、溶媒をより詳細に説明する。
【0042】
第1溶媒は、第2溶媒より多い含有量で含まれる主溶媒として1気圧下で0℃超150℃未満、具体的には90℃以上150℃未満、より具体的には100℃以上150℃未満、さらに具体的には110℃以上150℃未満の沸点を有することができる。なお、1気圧=1.01325×105Paである。
【0043】
上記範囲の沸点を有する第1溶媒は、好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、n-ブチルアルコール(n-BA)、シクロブタノン、シクロペンタノン、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0044】
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートは、1気圧下で沸点が146.4℃であり、n-ブチルアルコールは、1気圧下で沸点が117.7℃であり、シクロブタノンは、1気圧下で沸点が99.75℃であり、シクロペンタノンは、1気圧下で沸点が131℃である。
【0045】
第2溶媒は、第1溶媒より少ない含有量で含まれる補助溶媒として1気圧下で150℃以上、具体的には150℃以上350℃以下、より具体的には150℃以上300℃以下、さらに具体的には160℃以上290℃以下の沸点を有することができる。
【0046】
上記範囲の沸点を有する第2溶媒は、好ましくはケトン官能基(-(C=O)-)を含む環状溶媒、エーテル官能基(-O-)を含む直鎖状溶媒、またはこれらの組み合わせであり得、この場合、感光性樹脂組成物の固形分(すなわち、(A)光重合性化合物;(B)光重合開始剤;(C)着色剤;および(D)バインダ樹脂)中の極性基を有する物質に対する溶解度が高い。そのため、カラーフィルタの製造工程で、コーティングの均一性をより高めることができる。
【0047】
具体的には、上記範囲の沸点を有しているケトン官能基を含む環状溶媒としては、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドンなどがある。上記範囲の沸点を有しているエーテル官能基を含む直鎖状溶媒としては、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルなどがある。
【0048】
シクロヘキサノンは、1気圧下で沸点が155.6℃であり、シクロヘプタノンは、1気圧下で沸点が179℃であり、N-シクロヘキシル-2-ピロリドンは、1気圧下で沸点が284℃であり、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルは、1気圧下で沸点が176℃である。
【0049】
溶媒は、第1溶媒および第2溶媒を2:1~7:1、具体的には3:1~6:1、より具体的には4:1~5:1の質量比で含むことができる。質量比がこの範囲であれば、第1溶媒および第2溶媒を含む溶媒全体の沸点、およびそれを含む感光性樹脂組成物の粘度を適切な範囲に制御することができ、高い回転速度でスピンコートしても斜線不良がなく、コーティングの均一性を確保することができ、特にカラーフィルタを薄膜形態で製造しても、異物による問題を最小化することができる。
【0050】
感光性樹脂組成物の総質量に対して、第1溶媒の含有量は、30質量%~60質量%、具体的には35質量%~50質量%であり得;第2溶媒の含有量は、1質量%~20質量%、具体的には8~10質量%であり得る。もちろん各溶媒の含有量の範囲を満たし、かつ上記で言及した質量比の範囲を満たす必要がある。
【0051】
該溶媒は、第1溶媒および第2溶媒の他にも、着色剤、バインダ樹脂、光重合性化合物、および光重合開始剤との相溶性を有するが、反応しない第3溶媒をさらに使用することができる。
【0052】
第3溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル(EDM)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;乳酸エチル、エチレングリコールエチルアセテート(EGA)、シクロヘキサノン、3-メトキシ-1-ブタノール、メチレングリコールエチルアセテート、エチレングリコールメチルアセテート、乳酸ブチル、乳酸メチル、シクロペンタノン、シクロブタノン、シクロヘプタノン、メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0053】
これらのうち、好ましくは、相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、シクロヘキサノンなどのケトン類が挙げられる。
【0054】
溶媒は、感光性樹脂組成物の総質量に対して残部量、例えば5質量%~70質量%、例えば10質量%~50質量%で含まれ得る。溶媒の含有量が上記範囲内である場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、平坦性に優れた塗膜を得ることができる。
【0055】
(A)光重合性化合物
光重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0056】
光重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こし、耐熱性、耐光性および耐化学性に優れたパターンを形成することができる。
【0057】
光重合性化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0058】
光重合性化合物の市販品を例に挙げると、次のとおりである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックス(登録商標、以下同じ)M-101、同M-111、同M-114など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標、以下同じ)TC-110S、同TC-120Sなど;大阪有機化学工業株式会社製のV-158、V-2311などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の2官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-210、同M-240、同M-6200など;日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA、同HX-220、同R-604など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260、V-312、V-335HPなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸の3官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-309、同M-400、同M-405、同M-450、同M-710、同M-8030、同M-8060など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA、同DPCA-20、同-30、同-60、同-120など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295、同-300、同-360、同-GPT、同-3PA、同-400などが挙げられる。これら市販品は、1種単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0059】
光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0060】
光重合性化合物は、感光性樹脂組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、具体的には1質量%~15質量%、例えば5質量%~13質量%の含有量で含まれ得る。光重合性化合物の含有量が上記範囲内である場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、アルカリ現像液による現像性に優れる。
【0061】
(B)光重合開始剤
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0062】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0063】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0064】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0065】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0066】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0067】
オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オン-オキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オン-オキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0068】
光重合開始剤は、上記の化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0069】
光重合開始剤は、光を吸収して励起状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤とともに使用することもできる。
【0070】
光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0071】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物の総質量に対して、0.1質量%~5質量%、具体的には0.5質量%~4.5質量%、例えば0.1質量%~4質量%で含まれ得る。光重合開始剤の含有量が上記範囲内である場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐化学性に優れ、解像度および密着性にも優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防ぐことができる。
【0072】
(C)着色剤
着色剤は顔料を含むことができ、この際、本発明の組成物は、顔料型組成物であり得る。顔料としては、緑色顔料、青色顔料、赤色顔料、紫色顔料、黄色顔料、黒色顔料などを使用することができる。
【0073】
顔料は、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。具体的には、顔料としては、青色顔料、紫色顔料またはこれらの混合物を使用することができる。
【0074】
例えば、青色顔料および紫色顔料の混合顔料を使用して、青色着色剤を実現することができる。青色顔料および紫色顔料は、当業界に公知の1:9~9:1、2:8~8:2、または3:7~7:3の質量比の範囲内で混合して青色を発現させることができる。
【0075】
青色顔料は、下記化学式1で表される銅フタロシアニン系青色顔料であり得る。
【0076】
【0077】
上記化学式1中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;a~dは、それぞれ独立して、1~4の整数である。
【0078】
青色顔料は、下記化学式1-1で表される銅フタロシアニン系青色顔料であり得る。
【0079】
【0080】
上記化学式1-1で表される銅フタロシアニン系青色顔料は、その結晶性によって、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16などに実現することができ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することできるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0081】
紫色顔料は、下記化学式2で表されるカルバゾールジオキサジン系紫色顔料、下記化学式3で表されるペリレン系紫色顔料、またはこれらの混合物であり得る。
【0082】
【0083】
上記化学式2中、X1およびX2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子であり;R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;R7~R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;eおよびfは、それぞれ独立して、1~4の整数であり;gおよびhは、それぞれ独立して、1または2の整数である;
【0084】
【0085】
上記化学式3中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり;iおよびjは、それぞれ独立して、1~4の整数である。
【0086】
具体的には、紫色顔料は、下記化学式2-1で表されるカルバゾールジオキサジン系紫色顔料、下記化学式3-1で表されるペリレン系紫色顔料、またはこれらの混合物であり得る。
【0087】
【0088】
上記化学式2-1で表されるカルバゾールジオキサジン系紫色顔料は、カラーインデックス内でC.I.ピグメントバイオレット23(V23)であり得る。また、上記化学式3-1で表されるペリレン系紫色顔料は、C.I.ピグメントバイオレット29(V29)であり得る。
【0089】
この他にも、ジオキサジンバイオレット、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、インダンスレンブリリアントバイオレットなどを使用することができ、これらを1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0090】
着色剤が青色でない場合、青色顔料および紫色顔料の他にも、赤色顔料、緑色顔料、黄色顔料、黒色顔料などを使用することができる。
【0091】
赤色顔料としては、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド89などを使用することができ、これらを1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0092】
緑色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59などを使用することができ、これらを1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0093】
黄色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー139などのようなイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150などのようなニッケル錯体顔料などを使用することができ、これらを1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0094】
黒色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でアニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、カーボンブラックなどを使用することができ、これらを1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0095】
顔料は、分散液の形態でカラーフィルタ用感光性樹脂組成物に含まれ得る。このような顔料分散液は、顔料と溶媒、分散剤、分散樹脂などからなる。固形分の顔料は、顔料分散液の総質量に対して5質量%~20質量%、例えば8質量%~15質量%の含有量で含まれ得る。
【0096】
溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができる。これらの中でも、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを使用することができる。
【0097】
分散剤は、顔料が分散液内に均一に分散するように助けるものであり、非イオン性、アニオン性またはカチオン性の分散剤をそれぞれ使用することができる。具体的には、ポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0098】
分散樹脂としては、カルボキシ基を含むアクリル系樹脂を使用することができ、これは、顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性も改善させることができる。
【0099】
着色剤は、顔料を含むが、染料をさらに含むことができ、この際、本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、ハイブリッド型組成物であり得る。また、染料は特に限定されないが、金属錯体染料であり得る。
【0100】
金属錯体染料は、200nm~650nmの波長領域で最大吸光度を有する化合物を使用することができる。色素の組み合わせに色座標を合わせるために、上記範囲の吸光度を有する化合物であれば、有機溶媒に溶けるすべてのカラーの金属錯体染料を使用することができる。
【0101】
具体的には、金属錯体染料は、530nm~680nmの波長領域で最大吸光度を有する緑色染料、200nm~400nmの波長領域で最大吸光度を有する黄色染料、300nm~500nmの波長領域で最大吸光度を有するオレンジ染料、500nm~650nmの波長領域で最大吸光度を有する赤色染料、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0102】
金属錯体染料は、直接染料、酸性染料、塩基性染料、酸性媒染染料、硫化染料、建染染料、アゾイック染料、分散染料、反応性染料、酸化染料、油溶染料、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、カルボニウムイオン染料、フタロシアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、シアニン染料、ポリメチン染料、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0103】
金属錯体染料は、Mg、Ni、Cu、Co、Zn、Cr、Pt、Pd、およびFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属イオンを含むことができる。
【0104】
金属錯体染料は、C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35などのC.I.ソルベント染料;C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109などのC.I.アシッド染料;C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82などのC.I.ダイレクト染料、C.I.ベーシックグリーン1などのC.I.ベーシック染料;C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53などのC.I.モーダント染料、C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21、C.I.ソルベントイエロー25、C.I.ソルベントイエロー79、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー88、C.I.ソルベントオレンジ45、C.I.ソルベントオレンジ54、C.I.ソルベントオレンジ62、C.I.ソルベントオレンジ99、C.I.ソルベントレッド8、C.I.ソルベントレッド32、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド112、C.I.ソルベントレッド119、C.I.ソルベントレッド124、C.I.ソルベントレッド160、C.I.ソルベントレッド132、およびC.I.ソルベントレッド218からなる群より選択される少なくとも1種と金属イオンとの複合体を使用することができる。
【0105】
金属錯体を含む染料は、本発明の一実施形態による感光性樹脂組成物に使用される溶媒、すなわち、後述する溶媒に対する溶解度が5以上であり得、具体的には5~10であり得る。当該溶解度は、溶媒100gに溶ける染料の量(g)で得ることができる。前記金属錯体を含む染料の溶解度が前記範囲内である場合、一実施形態による感光性樹脂組成物をなす他の成分との相溶性および着色力を確保することができ、染料の析出が防止することができる。
【0106】
溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、エチレングリコールエチルアセテート(EGA)、シクロヘキサノン、3-メトキシ-1-ブタノール、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0107】
溶解度が上記特定の範囲を有することにより、所望する色座標で高輝度および高コントラスト比を発現するLCD、LEDなどのカラーフィルタに有用に使用することができる。
【0108】
金属錯体を含む染料は、感光性樹脂組成物の総質量に対して、0.01質量%~1質量%、例えば0.01質量%~0.5質量%で含まれ得る。金属錯体を含む染料の含有量が上記範囲である場合、所望する色座標で高い輝度およびコントラスト比を発現することができる。
【0109】
染料および顔料を混合して使用する場合、0.1:99.9~99.9:0.1の質量比、具体的には1:9~9:1の質量比で混合して使用することができる。上記質量比の範囲で混合する場合、耐化学性、最大吸収波長を適切な範囲で制御して、所望する色座標で高い輝度およびコントラスト比を発現することができる。
【0110】
着色剤は、感光性樹脂組成物の総質量に対して、5質量%~50質量%、具体的には6質量%~40質量%、例えば7質量%~30質量%の含有量で含まれ得る。着色剤の含有量が上記範囲内である場合、着色効果および現像性に優れる。
【0111】
(D)バインダ樹脂
バインダ樹脂は、アクリル系樹脂を含むことができる。
【0112】
アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、1つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0113】
第1エチレン性不飽和単量体は、1つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0114】
第1エチレン性不飽和単量体は、アクリル系バインダ樹脂の総質量に対して、5質量%~50質量%、例えば10質量%~40質量%の含有量で含まれ得る。
【0115】
第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0116】
アクリル系樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0117】
バインダ樹脂は、エポキシ系バインダ樹脂を含むことができる。
【0118】
バインダ樹脂は、エポキシ系バインダ樹脂をさらに含むことによって、耐熱性を向上させることができる。エポキシ系バインダ樹脂は、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
さらに、エポキシ系バインダ樹脂を含むバインダ樹脂は、後述する顔料などの着色剤の分散安定性を確保すると同時に、現像工程で所望する解像度のピクセルが形成されるように助ける。
【0120】
エポキシ系バインダ樹脂は、バインダ樹脂の総質量に対して、1質量%~10質量%、例えば5質量%~10質量%の含有量で含まれ得る。エポキシ系バインダ樹脂の含有量が上記範囲内である場合、残膜率および耐化学性が大きく改善され得る。
【0121】
エポキシ系バインダ樹脂のエポキシ当量(epoxy equivalent weight)は、150g/eq~200g/eqであり得る。このような範囲内のエポキシ当量を有するエポキシ系バインダ樹脂がバインダ樹脂に含まれる場合、形成されたパターンの硬化度向上、およびパターンが形成された構造内での着色剤固着に有利な効果がある。
【0122】
バインダ樹脂は、固形で後述する溶媒に溶解して、感光性樹脂組成物を構成することができる。この場合、固形のバインダ樹脂の含有量は、溶媒に溶解したバインダ樹脂溶液の総質量に対して、0.1質量%~20質量%であってもよく、例えば10質量%~21質量%であってもよく、1質量%~10質量%であってもよい。
【0123】
バインダ樹脂は、感光性樹脂組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、具体的には3質量%~15質量%、例えば5質量%~10質量%の含有量で含まれ得る。バインダ樹脂の含有量が上記範囲内である場合、カラーフィルタの製造時に現像性に優れ、架橋性が改善されて、優れた表面平滑性を得ることができる。
【0124】
バインダ樹脂の重量平均分子量は、1,000~100,000であり得る。なお、当該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0125】
(F)その他添加剤
感光性樹脂組成物は、塗布時のむらや斑点を防止して、レベリング性能を改善するために、また、未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を含むカップリング剤;レベリング剤;界面活性剤;およびラジカル重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。
【0126】
添加剤の種類や添加量は、所望する物性によって容易に調節することができる。
【0127】
カップリング剤はシラン系カップリング剤であり得、シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0128】
シラン系カップリング剤は、具体的には感光性樹脂組成物100質量部に対して0.01質量部~1質量部の添加量で使用することができる。
【0129】
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、必要に応じて界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0130】
フッ素系界面活性剤の例としては、DIC株式会社製のF-482、F-484、F-478などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0131】
界面活性剤は、感光性樹脂組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%の含有量で含まれることが好ましく、0.01質量%~2質量%の含有量で含まれることがより好ましい。この範囲を外れる場合、現像後に異物が発生する問題が生じる場合がある。
【0132】
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で、酸化防止剤、安定剤など、その他添加剤が所定量添加されてもよい。
【0133】
(感光性樹脂膜、カラーフィルタおよびCMOSイメージセンサ)
本発明の他の一実施形態によれば、本発明による感光性樹脂組成物を用いて製造された、本発明に係る感光性樹脂組成物の硬化物を含む感光性樹脂膜を提供する。感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂膜を製造する方法は、当業界に一般に知られているとおりである。
【0134】
また、本発明の他の一実施形態によれば、前述した感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。感光性樹脂組成膜を含むカラーフィルタを製造する方法は、当業界に一般に知られているとおりである。
【0135】
一例として、カラーフィルタの製造方法は次のとおりである。
【0136】
ガラス基板の上にスピンコーティング、ローラー塗布、スプレー塗布などの適当な方法を用いて、例えば、0.1μm~10μmの厚さで前述した感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂組成物層を形成する。
【0137】
次に、感光性樹脂組成物層が形成された基板にカラーフィルタに必要なパターンを形成するように光を照射する。照射に使用される光源としてはUV、電子線またはX線を使用することができでき、例えば、190nm~450nm、具体的には200nm~400nmの波長領域のUVを照射することができる。照射する工程で、フォトレジストマスクをさらに使用して実施することもできる。このように照射する工程を実施した後、光が照射された感光性樹脂組成物層を現像液で処理する。この際、感光性樹脂組成物層から非露光部分が溶解することによって、カラーフィルタに必要なパターンが形成される。このような工程を必要な色の数によって繰り返すことで、所望するパターンを有するカラーフィルタを収得することができる。また、上記の工程で、現像によって収得された画像パターンを再び加熱するか活性線照射などによって硬化させると、耐クラック性、耐溶剤性などを向上させることができる。
【0138】
また他の一実施形態によれば、カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサを提供する。
【0139】
例えば、青色顔料および紫色顔料の混合顔料を使用して実現した青色着色剤を含む感光性樹脂組成物を用いて、青色感光性樹脂膜、青色カラーフィルタ、および青色CMOSイメージセンサを製造することができる。
【実施例】
【0140】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例だけであり、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0141】
(感光性樹脂組成物の製造)
(実施例1~実施例16および比較例1~比較例4)
表1~4に示した組成で混合して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0142】
具体的には、溶媒に光重合開始剤を溶かした後、常温で30分間攪拌し、ここにバインダ樹脂、光重合性化合物および添加剤を添加して常温で60分間攪拌した。次に、得られた混合物に、着色剤として顔料分散液を入れ、常温で30分間攪拌した。得られた混合物を2回濾過して、不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
上記表1~4で使用された各成分は、次のとおりである。
【0148】
(A)光重合性化合物
(A-1)ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA、製造会社:日本化薬株式会社製)
(B)光重合開始剤
(B-1)オキシム系開始剤(SPI-03,製造会社:サムヤン社製)
(C)着色剤
(C-1)フタロシアニン系ブルー顔料分散液(C.I.ピグメントブルー15:6、SAKATA社製)
(C-2)バイオレット顔料分散液(V23、SAKATA社製)
(D)バインダ樹脂
(D-1)酸価30~180KOHmg/g、および重量平均分子量5000~20000g/molのバインダ樹脂(RY-100、アクリル系樹脂、昭和電工株式会社)
(E)溶媒
(E-1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146.4℃ @1気圧、シグマアルドリッチ社製)
(E-2)n-ブチルアルコール(n-BA、沸点:117.7℃ @1気圧、シグマアルドリッチ社製)
(E-3)ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG、沸点:176℃ @1気圧、シグマアルドリッチ社製)
(E-4)シクロヘキサノン(沸点:155.6℃ @1気圧、シグマアルドリッチ社製)
(F)添加剤
(F-1)フッ素系界面活性剤(F-554,製造会社:DIC株式会社)。
【0149】
(評価)
評価例1:均一性の評価
感光性樹脂組成物から、感光性樹脂組成物の硬化物を含む感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ試験片を製造した後、樹脂膜のコーティング均一性を評価した。
【0150】
具体的には、スピンコーター(spin-coater、KDNS社製のK-Spin8)を用いて、透明な四角ガラス基板に、感光性樹脂組成物をそれぞれ0.4μmの厚さで塗布した。その後、ホットプレートを用いて、90℃で180秒間ベーキング(baking)を行った。露光機(ニコン社製のI10C)を用いて500mJの積算光量で露光した後、230℃のホットプレートで5分間ベーキングを行って、感光性樹脂組成物の硬化物を含む感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ試験片を製造した。
【0151】
各試験片に対して、ST-5000(K-MAC社製)を用いて、試験片内の厚さの分布(Max-Min)を測定して、樹脂膜のコーティング均一性を評価した。その結果は下記表5に示した。
【0152】
評価例2:斜線不良の評価
感光性樹脂組成物から、感光性樹脂組成物の硬化物を含む感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ試験片を製造した後、樹脂膜の斜線不良の有無を評価した。
【0153】
具体的には、スピンコーター(spin-coater、KDNS社製のK-Spin8)を用いて、下部パターンがあるウェーハ上に感光性樹脂組成物をそれぞれ0.4μmの厚さで塗布した。その後、ホットプレートを用いて、90℃で180秒間ベーキングを行った。露光機(ニコン社製のI10C)を用いて、500mJの積算光量で露光した後、230℃のホットプレートで5分間ベーキングを行って、感光性樹脂組成物の硬化物を含む感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ試験片を製造した。
【0154】
各試験片に対して、光学顕微鏡により感光性樹脂膜を上から見た写真を撮って、斜線不良の有無を○(良好)、△(一部不良あり)、×(不良)と評価した。その結果は、下記表5に示した。具体的には、斜線むらの発生の度合いを強=5>4>3>2>1=弱で観察し、斜線むらの度合いが1の場合を〇、2~4の場合を△、斜線むらの度合いが5の場合を×で示した。
【0155】
評価例3:異物面積の評価
感光性樹脂組成物から、感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ試験片を製造した後、樹脂膜内の異物面積を評価した。
【0156】
具体的には、スピンコーター(spin-coater、KDNS社製のK-Spin8)を用いて、下部パターンがあるウェーハ上に感光性樹脂組成物をそれぞれ0.4μmの厚さで塗布した。その後、ホットプレートを用いて、90℃で180秒間ベーキングを行った。露光機(ニコン社製のI10C)を用いて、500mJの積算光量で露光した後、230℃のホットプレートで5分間ベーキングを行って、感光性樹脂組成物の硬化物を含む感光性樹脂膜を含むカラーフィルタの試験片を製造した。
【0157】
各試験片に対して、測長SEM(CD-SEM、株式会社日立ハイテク製)により、感光性樹脂膜を上から見た写真を撮って、感光性樹脂膜の総面積(100sq%)当たりの異物の面積を確認して、その結果を下記表5に示した。
【0158】
【0159】
上記表5から明らかなように、本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィルタの製造工程で、スピンコート方式を用いてコートしても斜線不良がなく、コーティングの均一性を確保することができ、特にカラーフィルタを薄膜形態で製造しても、異物による問題を最小化することができることがわかった。
【0160】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付する図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これもまた本発明の範囲に属することは勿論である。