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特許7457818基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム、補助プレートおよび基板保持具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム、補助プレートおよび基板保持具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240321BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20240321BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20240321BHJP
   C23C 16/507 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/316 X
H01L21/318 B
C23C16/507
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022544524
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2021030414
(87)【国際公開番号】W WO2022044966
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2020142605
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 剛
(72)【発明者】
【氏名】原 大介
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-303029(JP,A)
【文献】特開2008-270477(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203719(WO,A1)
【文献】特開2015-005475(JP,A)
【文献】特開2007-258504(JP,A)
【文献】特開2020-043221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/316
H01L 21/318
C23C 16/507
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を処理する処理室と、
前記複数の基板を積載する基板保持具と、
前記処理室内にプラズマを形成する電極と、を有し、
前記基板よりも小さい径の中心プレートと、複数のフィンプレートで構成され、前記電極によるプラズマの形成を補助する補助プレートを前記複数の基板の間に設ける基板処理装置。
【請求項2】
前記補助プレートは、前記複数の基板それぞれの上部に設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
複数の基板を処理する処理室と、
前記複数の基板を積載する基板保持具と、
前記処理室内にプラズマを形成する電極と、を有し、
前記基板の径と同等のリング状のリングプレートと、複数のフィンプレートで構成され、前記電極によるプラズマの形成を補助する補助プレートを前記複数の基板の間に設ける基板処理装置。
【請求項4】
前記補助プレートは、前記複数のフィンプレートで前記電極からの電場を強め、前記処理室内でプラズマを形成する請求項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記補助プレートは、絶縁部材で構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記補助プレートは、SiC、SiO、SiN、GaO、GaN、AlO、AlN、ZrOのいずれかで構成される請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記複数の基板を加熱する加熱部を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記補助プレートは、前記加熱部からの熱を吸収し、前記基板に輻射熱を供給する請求項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記フィンプレートは、4枚以上20枚以下である請求項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記フィンプレートは、同一の形状である請求項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記フィンプレートは、扇形状である請求項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
2枚の前記フィンプレート間の面積は、1枚の前記フィンプレートの面積と同一または同一より広い請求項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記電極は、前記処理室の外側に設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記電極は、前記処理室と前記加熱部との間に設けられる請求項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記電極は、任意の電位が印加される電極と基準電位が与えられる電極とにより構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記処理室にガスを供給するガス供給部を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項17】
複数の基板を処理する処理室と、前記複数の基板を積載する基板保持具と、前記処理室内にプラズマを形成する電極と、を有し、前記基板よりも小さい径の中心プレートと、複数のフィンプレートで構成され、前記電極によるプラズマの形成を補助する補助プレートを前記複数の基板の間に設ける基板処理装置の前記処理室に前記基板保持具を搬入する工程と、
前記処理室内にガスを供給する工程と、
前記電極および前記補助プレートによりプラズマを生成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
複数の基板を処理する処理室と、前記複数の基板を積載する基板保持具と、前記処理室内にプラズマを形成する電極と、を有し、前記基板の径と同等のリング状のリングプレートと、複数のフィンプレートで構成され、前記電極によるプラズマの形成を補助する補助プレートを前記複数の基板の間に設ける基板処理装置の前記処理室に前記基板保持具を搬入する工程と、
前記処理室内にガスを供給する工程と、
前記電極および前記補助プレートによりプラズマを生成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
複数の基板を処理する処理室と、前記複数の基板を積載する基板保持具と、前記処理室内にプラズマを形成する電極と、を有し、前記基板よりも小さい径の中心プレートと、複数のフィンプレートで構成され、前記電極によるプラズマの形成を補助する補助プレートを前記複数の基板の間に設ける基板処理装置の前記処理室に前記基板保持具を搬入する手順と、
前記処理室内にガスを供給する手順と、
前記電極および前記補助プレートによりプラズマを生成する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項20】
複数の基板を処理する処理室と、前記複数の基板を積載する基板保持具と、前記処理室内にプラズマを形成する電極と、を有し、前記基板の径と同等のリング状のリングプレートと、複数のフィンプレートで構成され、前記電極によるプラズマの形成を補助する補助プレートを前記複数の基板の間に設ける基板処理装置の前記処理室に前記基板保持具を搬入する手順と、
前記処理室内にガスを供給する手順と、
前記電極および前記補助プレートによりプラズマを生成する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項21】
基板よりも小さい径の中心プレートと、複数のフィンプレートで構成され、電極が生成するプラズマを補助し、基板保持部に積載される複数の前記基板の間に設けられる補助プレート。
【請求項22】
基板の径と同等のリング状のリングプレートと、複数のフィンプレートで構成され、電極が生成するプラズマを補助し、基板保持部に積載される複数の前記基板の間に設けられる補助プレート。
【請求項23】
複数の基板と、前記複数の基板の間に、前記基板よりも小さい径の中心プレートと、複数のフィンプレートで構成され、電極によるプラズマの形成を補助する複数の補助プレートと、を積載するよう構成される基板保持具。
【請求項24】
複数の基板と、前記複数の基板の間に、前記基板の径と同等のリング状のリングプレートと、複数のフィンプレートで構成され、電極によるプラズマの形成を補助する複数の補助プレートと、を積載するよう構成される基板保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム、補助プレートおよび基板保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板処理装置の処理室内に基板を搬入し、処理室内に原料ガスと反応ガスとを供給して基板上に絶縁膜や半導体膜、導体膜等の各種膜を形成したり、各種膜を除去したりする基板処理が行われることがある。
【0003】
微細パターンが形成される量産デバイスにおいては、不純物の拡散を抑制したり、有機材料など耐熱性の低い材料を使用できるようにしたりするために低温化が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-324477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題を解決するため、プラズマを用いて基板処理を行うことが一般的に行われているが、処理する基板の表面積が著しく増大すると、プラズマにより生成されるイオンやラジカルなどの活性種の供給量が必要量に対して不足するため、基板中央部でその処理能力が低下する、つまり、基板に対する処理を均一に施すことが困難になる場合がある。
【0006】
本開示の目的は、基板処理の均一性を向上させることを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
複数の基板を処理する処理室と、
前記複数の基板を積載する基板保持具と、
前記処理室内にプラズマを形成する電極と、を有し、
前記電極によるプラズマの形成を補助する補助プレートを前記複数の基板の間に設ける技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、基板処理の均一性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面で示す図である。
図2図1に示す基板処理装置におけるA-A断面図である。
図3】(a)は本開示の実施形態の外部電極を石英カバーに設置した際の斜視図であり、(b)は本開示の実施形態のヒータ、石英カバー、外部電極、外部電極を固定する突起部、反応管の位置関係を示すための図である。
図4】(a)は、本開示の実施形態の外部電極の正面図であり、(b)は、外部電極を石英カバーに固定する点を説明する図である。
図5】(a)は本開示の実施形態で好適に用いられる補助プレートの正面図であり、(b)は他の実施形態で好適に用いられる補助プレートの正面図である。
図6】(a)は補助プレートがない場合の電位(曲線)と電界(矢印)の分布図であり、(b)は補助プレートがある場合の電位(曲線)と電界(矢印)の分布図である。
図7図1に示す基板処理装置におけるコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系の一例を示すブロック図である。
図8図1に示す基板処理装置を用いた基板処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態>
以下、本開示の実施形態について図1から図8を参照しながら説明する。
(1)基板処理装置の構成
(加熱装置)
図1に示すように、処理炉202は加熱装置(加熱部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0011】
(処理室)
ヒータ207の内側には、後述する外部電極固定治具としての石英カバー301が配設され、更に石英カバー301の内側には、後述するプラズマ生成部の外部電極300が配設されている。更に、外部電極300の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)や炭化シリコン(SiC)や窒化シリコン(SiN)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、反応管203は垂直に据え付けられた状態となる。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成されている。処理容器の筒中空部には処理室201が形成されている。処理室201は、複数枚の基板としてのウエハ200と、後述する複数個の補助プレート315を収容可能に構成され、ウエハ200と補助プレート315は交互に配置されている。言い換えると、補助プレート315は複数のウエハ200の間に設けられている。補助プレート315は複数のウエハ200それぞれの上部に設けられるのが好ましい。なお、処理容器は上記の構成に限らず、反応管203のみを処理容器と称する場合もある。
【0012】
(ガス供給部)
処理室201内には、ノズル249a,249bが、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル249a,249bには、ガス供給管232a,232bが、それぞれ接続されている。このように、処理容器には2本のノズル249a,249bと、2本のガス供給管232a,232bとが設けられており、処理室201内へ複数種類のガスを供給することが可能となっている。なお、反応管203のみを処理容器とした場合、ノズル249a,249bは反応管203の側壁を貫通するように設けられていてもよい。
【0013】
ガス供給管232a,232bには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、上流方向から順に、MFC241c,241dおよびバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
【0014】
ノズル249a,249bは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249bは、処理室201内へ搬入された各ウエハ200の端部(周縁部)の側方にウエハ200の表面(平坦面)と垂直にそれぞれ設けられている。ノズル249a,249bの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250bがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250aは、反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250bは、それぞれ、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0015】
このように、本実施形態では、反応管203の側壁の内壁と、反応管203内に配列された複数枚のウエハ200の端部(周縁部)と、で定義される平面視において円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内に配置したノズル249a,249bを経由してガスを搬送している。そして、ノズル249a,249bにそれぞれ開口されたガス供給孔250a,250bから、ウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させている。そして、反応管203内におけるガスの主たる流れを、ウエハ200の表面と平行な方向、すなわち、水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される膜の膜厚の均一性を向上させることが可能となる。ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる。但し、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0016】
ガス供給管232aからは、所定元素を含む原料として、例えば、所定元素としてのシリコン(Si)を含むシラン原料ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0017】
シラン原料ガスとは、気体状態のシラン原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるシラン原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるシラン原料等のことである。本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、それらの両方を意味する場合がある。
【0018】
シラン原料ガスとしては、例えば、Siおよびアミノ基(アミン基)を含む原料ガス、すなわち、アミノシラン原料ガスを用いることができる。アミノシラン原料とは、アミノ基を有するシラン原料のことであり、また、メチル基やエチル基やブチル基等のアルキル基を有するシラン原料でもあり、少なくともSi、窒素(N)および炭素(C)を含む原料のことである。すなわち、ここでいうアミノシラン原料は、有機系の原料ともいえ、有機アミノシラン原料ともいえる。
【0019】
アミノシラン原料ガスとしては、例えば、ビスターシャリーブチルアミノシラン(SiH[NH(C)]、略称:BTBAS)ガスを用いることができる。BTBASは、1分子中に1つのSiを含み、Si-N結合、N-C結合を有し、Si-C結合を有さない原料ガスであるともいえる。BTBASガスは、Siソースとして作用する。
【0020】
BTBASのように常温常圧下で液体状態である液体原料を用いる場合は、液体状態の原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、シラン原料ガス(BTBASガス等)として供給することとなる。
【0021】
ガス供給管232bからは、原料とは化学構造が異なる反応体(リアクタント)として、例えば、酸素(O)含有ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0022】
O含有ガスは、酸化剤(酸化ガス)、すなわち、Oソースとして作用する。O含有ガスとしては、例えば、酸素(O)ガスや水蒸気(HOガス)等を用いることができる。酸化剤としてOガスを用いる場合は、例えば、後述するプラズマ源を用いてこのガスをプラズマ励起し、励起ガス(O ガス)として供給することとなる。
【0023】
ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N)ガスが、それぞれMFC241c,241d、バルブ243c,243d、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。
【0024】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、第1のガス供給系としての原料供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、第2のガス供給系としての反応体供給系(リアクタント供給系)が構成される。主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。原料供給系、反応体供給系および不活性ガス供給系を単にガス供給系(ガス供給部)とも称する。
【0025】
(基板保持具)
図1に示すように基板保持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200および複数の補助プレート315を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成されている。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が多段に支持されている。この構成により、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。但し、本実施形態はこのような形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料により構成される筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0026】
(プラズマ生成部)
次にプラズマ生成部について、図1から図5を用いて説明する。
【0027】
図2に示すように、プラズマは容量結合プラズマ(Capacitively Coupled Plasma、略称:CCP)を用い、反応ガス供給時に石英などで作製された真空隔壁である反応管203の内部で生成する。
【0028】
図2および図3(a)に示すように、外部電極300は、ウエハ200の配列方向に長い矩形形状を有する薄板で構成されている。外部電極300は、図示しない整合器を介して高周波電源320が接続されて任意の電位が印加される(任意の電圧が印加される)第1の外部電極(Hot電極)300-1と、基準電位0Vでありアースに接地されている第2の外部電極(Ground電極)300-2が、等間隔で配置されている。本開示では特に区別して説明する必要のない場合には、外部電極300として記載して説明する。
外部電極300は反応管203とヒータ207との間に、すなわち、処理室201の外側に反応管203の外壁に沿うように略円弧状に配置され、例えば、中心角が30度以上240度以下となる円弧状に形成された後述する石英カバーの内壁面に固定されて配置される。外部電極300には、高周波電源320から図示しない整合器を介し、例えば周波数13.56MHzの高周波が入力されることによって反応管203(処理室201)内にプラズマ活性種302が生成される。このように生成されたプラズマによって、ウエハ200の周囲から基板処理のためのプラズマ活性種302をウエハ200の表面に供給することが可能となる。主に、外部電極300と、高周波電源320によってプラズマ生成部が構成される。図示しない整合器や後述する外部電極固定治具としての石英カバー301を含んでプラズマ生成部と考えてもよい。
【0029】
外部電極300は、アルミニウムや銅、ステンレスなどの金属で構成することもできるが、ニッケルなどの耐酸化材料で構成することにより、電気伝導率の劣化を抑制しつつ、基板処理が可能となる。特に、アルミニウムが添加されたニッケル合金材料で構成することにより、耐熱性および耐腐食性の高い酸化被膜であるAlO膜が電極表面に形成される。この被膜形成の効果により、電極内部への劣化の進行を抑止できるため、電気伝導率の低下によるプラズマ生成効率の低下を抑制することが可能となる。
【0030】
また、外部電極300には、図4(a)に示すように、後述する突起頭部311を通す円形切欠き部303と、突起軸部312をスライドさせるスライド切欠き部304からなる切欠き部305が形成されている。外部電極300は、十分な強度を持ち、かつ、熱源によるウエハ加熱の効率を著しく下げないように、厚さは0.1mm以上、1mm以下、幅は5mm以上、30mm以下となる範囲で構成されることが好ましい。
【0031】
縦型基板処理装置において、高周波電源320の周波数を13.56MHzにて実施し、長さが1m、電極幅が10mm、厚さが1mmからなる電極を採用し、チューブ形状の反応管の外壁に、電極ピッチ(中心間距離)を20mmで複数本の第1の外部電極300-1と第2の外部電極300-2を図3(b)に示すように、第1の外部電極300-1、第1の外部電極300-1、第2の外部電極300-2、第1の外部電極300-1、第1の外部電極300-1、・・・の順に配置して、CCPモードのプラズマを生成した。
【0032】
(外部電極固定治具)
次に外部電極300を固定する外部電極固定治具としての石英カバー301について、図3から図4を用いて説明する。図3(a),(b)、図4(a),(b)で示すように、複数本設けられた外部電極300は、その切欠き部305を湾曲形状の外部電極固定治具である石英カバー301の内壁面に設けられた突起部310に引掛け、スライドさせて固定し、この石英カバー301と一体となるようユニット化(フック式外部電極ユニット)して反応管203の外周に設置されている。ここで、外部電極300と外部電極固定治具である石英カバー301とを含めて外部電極固定ユニットという。なお、石英カバー301と外部電極300の材料として、それぞれ、石英とニッケル合金を採用している。
【0033】
石英カバー301は、十分な強度を持ち、かつ、ヒータ207によるウエハ加熱の効率を著しく下げないよう、厚さは1mm以上、5mm以下の範囲となるように構成されることが好ましい。石英カバー301の厚みが1mm未満となってしまうと、石英カバー301の自重や温度変化などに対する所定の強度を得ることができなくなってしまい、5mmよりも大きく構成するとヒータ207から放射される熱エネルギーを吸収してしまうため、ウエハ200への熱処理を適切に行うことができなくなってしまう。
【0034】
また、石英カバー301は反応管側である内壁面に、外部電極300を固定するための鋲形状の固定部としての突起部310を複数有している。この突起部310は、突起頭部311と突起軸部312から構成されている。突起頭部311の最大幅は、外部電極300の切欠き部305の円形切欠き部303の径より小さく、突起軸部312の最大幅は、スライド切欠き部304の幅よりも小さくなっている。外部電極300の切欠き部305は鍵穴のような形状をし、このスライド切欠き部304は上記の突起軸部312をスライド時に誘導でき、かつ、この突起頭部311はこのスライド切欠き部304で抜けない構造となっている。つまり、外部電極固定治具は、外部電極300が係止される柱状部である突起軸部312から抜けてしまうことを抑制する先端部である突起頭部311を備えた固定部を有しているといえる。なお、前述した切欠き部305と突起頭部311の形状は、外部電極300が石英カバー301に係止できれば、図3、4に示した形状に限定されないことは明らかである。例えば、突起頭部311は、ハンマーやトゲのような凸形状を有してもよい。
【0035】
石英カバー301もしくは反応管203と外部電極300の距離を一定に離すために、両者の間にスペーサやバネ等の弾性体を石英カバー301または外部電極300に有してもよく、また、これらは石英カバー301または外部電極300と一体となった構造を有してもよい。本実施形態においては、図4(b)で示すようなスペーサ330が外部電極300と一体となった構造を有している。このスペーサ330は、一本の外部電極300に対して複数個を有した方が、両者間の距離を一定にして固定する上では効果的である。
【0036】
基板温度500℃以下で高い基板処理能力を得るためには、石英カバー301の占有率を中心角30°以上240°以下の略円弧形状とし、また、パーティクルの発生を避けるために排気口である排気管231やノズル249a、249bなどを避けた配置が望ましい。つまり、外部電極固定治具である石英カバー301は、反応管203内に設けられたガス供給部であるノズル249a、249bとガス排気部である排気管231が設置された位置以外の反応管203の外周に配置される。本実施形態においては中心角110°の石英カバー301を2台で左右対称に設置している。
【0037】
(スペーサ)
次に外部電極固定治具である石英カバー301や反応管203の外壁に対して、外部電極300を一定の距離で固定するためのスペーサ330について図4(a)、(b)を用いて説明する。例えば、スペーサ330は、円柱形状の石英材料で石英カバー301と一体化され、外部電極300と当接することで、外部電極300は石英カバー301に固定されている。石英カバー301や反応管203に対して、外部電極300を一定の距離で固定できるであれば、外部電極300やスペーサ330はどのような形態であっても、外部電極300と石英カバー301のどちらかと一体化されてもよい。例えば、スペーサ330は半円柱形状の石英材料で石英カバーと一体化して、外部電極300を固定してもよいし、また、スペーサ330はSUSなどの金属製板材として外部電極300と一体化して、外部電極300を固定してもよい。石英カバーに外部電極固定冶具とスペーサが設けられるため、外部電極300の位置決めが容易となり、また、外部電極300が劣化した場合に外部電極300のみを交換することができるため、コスト低減となる。ここで、スペーサ330は上述した外部電極固定ユニットに含めてもよい。
【0038】
(補助プレート)
次に補助プレート315について図5を用いて説明する。図5(a)に示すように、補助プレート315は、例えば、SiCなどの絶縁材料(絶縁部材)により構成される円盤状の中心プレート316に、同じくSiCなどの絶縁材料により構成される扇形状の12枚のフィンプレート317が接合されて一体となって構成されている。フィンプレート317は、中心プレート316と同じ厚さの板状であって、中心プレート316の中心から放射状に延びるように形成される。補助プレート315は絶縁部材で構成されているので、ヒータ207からの熱を吸収し、ウエハ200に輻射熱を供給する。中心プレート316はウエハ200よりも小さな径である。ウエハ200と交互に設置された複数の補助プレート315は、外部電極300から放射される電界(電場)を隣接するフィンプレート317間で強めることでプラズマを発生させて、対向面するウエハ200の中央付近で、活性種の生成を補助してその供給量を増加させることができる。これにより、処理するウエハ200の表面積が著しく増大しても、プラズマにより生成されるイオンやラジカルなどの活性種の供給量が必要量に対して不足することがなくなり、ウエハ200の中央部でその処理能力が低下することがなくなり、つまり、ウエハ200に対する処理を均一に施すことが可能となる。複数のフィンプレート317は同一形状であるのが好ましい。フィンプレート317間の面積は、フィンプレート317の面積と同一または同一より広く構成するが好ましい。これにより、電界(電場)発生するエリアを確保することができる。
【0039】
補助プレート315は、図5(b)に示すように、ウエハ200の直径と同等の外径を有し、SiCなどの絶縁材料(絶縁部材)により構成されるリング状のリングプレート318と、同じくSiCなどの絶縁材料により構成される扇形状の12枚のフィンプレート317で構成するようにしてもよい。
【0040】
電磁界解析より得られたこのときの電界分布の一例について図6を用いて説明する。図6(a)に示すような補助プレート315がない場合よりも図6(b)に示すような補助プレート315がある場合において、中心プレート316近くでの電界が強まっている(矢印の大きさが大きい)。また、補助プレート315は、ヒータ207からの熱を吸収して輻射熱をウエハ200に供給することができる。なお、1枚の補助プレート315を構成するフィンプレート317の枚数は、12枚に限定されず4枚以上20枚以下であればよく、また、中心プレート316の中心部は、くりぬき穴を有してもよい。補助プレート315は、高い酸化耐性のある材料であることが好ましく、SiO,SiN,GaO,GaN,AlO,AlN, ZrOなどを用いてもよい。
【0041】
(排気部)
反応管203には、図1に示すように処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。排気管231は、反応管203に設ける場合に限らず、ノズル249a,249bと同様にマニホールド209に設けてもよい。
【0042】
ここで、基板処理時の炉内圧力は、10Pa以上、300Pa以下の範囲で制御されることが好ましい。これは、炉内の圧力が10Paより低い場合、プラズマのデバイ長よりもガス分子の平均自由工程が長くなってしまい、炉壁を直接叩くプラズマが顕著化するため、パーティクルの発生を抑制することが困難となってしまうためである。また、炉内の圧力が300Paより高い場合、プラズマの生成効率が飽和してしまうため、反応ガスを供給してもプラズマの生成量は変化することがなく、反応ガスを無駄に消費することとなってしまうと同時に、ガス分子の平均自由行程が短くなることで、ウエハまでのプラズマ活性種の輸送効率が悪くなってしまうためである。
【0043】
(周辺装置)
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0044】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。
【0045】
ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。また、マニホールド209の下方には、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を降下させている間、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属により構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0046】
反応管203の内部には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、ノズル249a,249bと同様に、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0047】
(制御装置)
次に制御装置について図7を用いて説明する。図7に示すように、制御部(制御装置)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0048】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する成膜処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する各種処理(成膜処理)における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0049】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241d、バルブ243a~243d、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s、高周波電源320等に接続されている。
【0050】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、回転機構267の制御、MFC241a~241dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243dの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の正逆回転、回転角度および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作、高周波電源320の電力供給等を制御するように構成されている。
【0051】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0052】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成するプロセス例について、図8を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0053】
本明細書では、図8に示す成膜処理のシーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例や他の実施形態の説明においても、同様の表記を用いることとする。
【0054】
(BTBAS→O )×n ⇒ SiO
【0055】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0056】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(または膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(または膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0057】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0058】
(搬入ステップ:S1)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0059】
(圧力・温度調整ステップ:S2)
処理室201の内部、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。真空ポンプ246は、少なくとも後述する成膜ステップが終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0060】
また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくとも後述する成膜ステップが終了するまでの間は継続して行われる。但し、成膜ステップを室温以下の温度条件下で行う場合は、ヒータ207による処理室201内の加熱は行わなくてもよい。なお、このような温度下での処理だけを行う場合には、ヒータ207は不要となり、ヒータ207を基板処理装置に設置しなくてもよい。この場合、基板処理装置の構成を簡素化することができる。
【0061】
続いて、回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転を開始する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも後述する成膜ステップが終了するまでの間は継続して行われる。
【0062】
(成膜ステップ:S3,S4,S5,S6)
その後、ステップS3,S4,S5,S6を順次実行することで成膜ステップを行う。
【0063】
(原料ガス供給ステップ:S3,S4)
ステップS3では、処理室201内のウエハ200に対してBTBASガスを供給する。
【0064】
バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へBTBASガスを流す。BTBASガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介してガス供給孔250aから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してBTBASガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ243cを開き、ガス供給管232c内へNガスを流す。Nガスは、MFC241cにより流量調整され、BTBASガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0065】
また、ノズル249b内へのBTBASガスの侵入を防止するため、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232d、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0066】
MFC241aで制御するBTBASガスの供給流量は、例えば1sccm以上、2000sccm以下、好ましくは10sccm以上、1000sccm以下の範囲内の流量とする。MFC241c,241dで制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば100sccm以上、10000sccm以下の範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、上述した通り、例えば1以上、2666Pa以下、好ましくは67Pa以上、1333Pa以下の範囲内の圧力とする。BTBASガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば1秒以上、100秒以下、好ましくは1秒以上、50秒以下の範囲内の時間とする。
【0067】
ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば0℃以上150℃以下、好ましくは室温(25℃)以上100℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下の範囲内の温度となるような温度に設定する。BTBASガスは、ウエハ200等へ吸着し易く反応性の高いガスである。このため、例えば室温程度の低温下であっても、ウエハ200上にBTBASガスを化学吸着させることができ、実用的な成膜レートを得ることができる。本実施形態のように、ウエハ200の温度を150℃以下、さらには100℃以下、さらには90℃以下とすることで、ウエハ200に加わる熱量を低減させることができ、ウエハ200が受ける熱履歴の制御を良好に行うことができる。また、0℃以上の温度であれば、ウエハ200上にBTBASを十分に吸着させることができ、十分な成膜レートが得られることとなる。よって、ウエハ200の温度は0℃以上150℃以下、好ましくは室温以上100℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下の範囲内の温度とするのがよい。
【0068】
上述の条件下でウエハ200に対してBTBASガスを供給することにより、ウエハ200(表面の下地膜)上に、例えば1原子層(1分子層)未満から数原子層(数分子層)程度の厚さのSi含有層が形成される。Si含有層はSi層であってもよいし、BTBASの吸着層であってもよいし、それらの両方を含んでいてもよい。
【0069】
Si層とは、Siにより構成される連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なってできるSi薄膜をも含む総称である。Si層を構成するSiは、アミノ基との結合が完全に切れていないものや、Hとの結合が完全に切れていないものも含む。
【0070】
BTBASの吸着層は、BTBAS分子で構成される連続的な吸着層の他、不連続な吸着層をも含む。BTBASの吸着層を構成するBTBAS分子は、Siとアミノ基との結合が一部切れたものや、SiとHとの結合が一部切れたものや、NとCとの結合が一部切れたもの等も含む。すなわち、BTBASの吸着層は、BTBASの物理吸着層であってもよいし、BTBASの化学吸着層であってもよいし、それらの両方を含んでいてもよい。
【0071】
ここで、1原子層(1分子層)未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層(分子層)のことを意味しており、1原子層(1分子層)の厚さの層とは連続的に形成される原子層(分子層)のことを意味している。Si含有層は、Si層とBTBASの吸着層との両方を含み得る。但し、上述の通り、Si含有層については「1原子層」、「数原子層」等の表現を用いることとし、「原子層」を「分子層」と同義で用いる。
【0072】
BTBASが自己分解(熱分解)する条件下、すなわち、BTBASの熱分解反応が生じる条件下では、ウエハ200上にSiが堆積することでSi層が形成される。BTBASが自己分解(熱分解)しない条件下、すなわち、BTBASの熱分解反応が生じない条件下では、ウエハ200上にBTBASが吸着することでBTBASの吸着層が形成される。但し、本実施形態では、ウエハ200の温度を例えば150℃以下の低温としているので、BTBASの熱分解は生じにくい。結果として、ウエハ200上へは、Si層ではなく、BTBASの吸着層の方が形成されやすくなる。
【0073】
ウエハ200上に形成されるSi含有層の厚さが数原子層を超えると、後述する改質処理での改質の作用がSi含有層の全体に届かなくなる。また、ウエハ200上に形成可能なSi含有層の厚さの最小値は1原子層未満である。よって、Si含有層の厚さは1原子層未満から数原子層程度とするのが好ましい。Si含有層の厚さを1原子層以下、すなわち、1原子層または1原子層未満とすることで、後述する改質処理での改質の作用を相対的に高めることができ、改質処理の改質反応に要する時間を短縮することができる。また、成膜処理のSi含有層の形成に要する時間を短縮することもできる。結果として、1サイクルあたりの処理時間を短縮することができ、トータルでの処理時間を短縮することも可能となる。すなわち、成膜レートを高くすることも可能となる。また、Si含有層の厚さを1原子層以下とすることで、膜厚均一性の制御性を高めることも可能となる。
【0074】
Si含有層が形成された後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのBTBASガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244を開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはSi含有層の形成に寄与した後のBTBASガスや反応副生成物等を処理室201内から排除する(S4)。また、バルブ243c,243dは開いたままとして、処理室201内へのNガスの供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用する。なお、このステップS4を省略し、原料ガス供給ステップとしてもよい。
【0075】
原料ガスとしては、BTBASガスのほか、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH、略称:4DMAS)ガス、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CHH、略称:3DMAS)ガス、ビスジメチルアミノシラン(Si[N(CH、略称:BDMAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C、略称:BDEAS)ガス等を好適に用いることができる。このほか、原料ガスとしては、ジメチルアミノシラン(DMAS)ガス、ジエチルアミノシラン(DEAS)ガス、ジプロピルアミノシラン(DPAS)ガス、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)ガス、ブチルアミノシラン(BAS)ガス、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)ガス等の各種アミノシラン原料ガスや、モノクロロシラン(SiHCl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、テトラクロロシランすなわちシリコンテトラクロライド(SiCl、略称:STC)ガス、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl、略称:OCTS)ガス等の無機系ハロシラン原料ガスや、モノシラン(SiH、略称:MS)ガス、ジシラン(Si、略称:DS)ガス、トリシラン(Si、略称:TS)ガス等のハロゲン基非含有の無機系シラン原料ガスを好適に用いることができる。
【0076】
不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0077】
(反応ガス供給ステップ:S5,S6)
成膜処理が終了した後、処理室201内のウエハ200に対して反応ガスとしてのプラズマ励起させたOガスを供給する(S5)。
【0078】
このステップでは、バルブ243b~243dの開閉制御を、ステップS3におけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。Oガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介してガス供給孔250bから処理室201内へ供給される。このとき、高周波電源320から外部電極300へ高周波電力(本実施の形態では周波数13.56MHz)を供給(印加)する。処理室201内へ供給されたOガスは処理室201の内部でプラズマ状態に励起され、活性種(O、O 、O)としてウエハ200に対して供給され、排気管231から排気される。なお、プラズマ状態に励起されたOガスを、酸素プラズマとも称する。
【0079】
MFC241bで制御するOガスの供給流量は、例えば100sccm以上、10000sccm以下の範囲内の流量とする。高周波電源320から外部電極300へ印加する高周波電力は、例えば50W以上、1000W以下の範囲内の電力とする。処理室201内の圧力は、例えば10Pa以上、300Pa以下の範囲内の圧力とする。プラズマを用いることで、処理室201内の圧力をこのような比較的低い圧力帯としても、Oガスを活性化させることが可能となる。Oガスをプラズマ励起することにより得られた活性種をウエハ200に対して供給する時間は、例えば1秒以上、100秒以下、好ましくは1秒以上、50秒以下の範囲内の時間とする。その他の処理条件は、上述のステップS3と同様な処理条件とする。
【0080】
酸素プラズマ中で生成されたイオンと電気的に中性な活性種はウエハ200の表面に形成されたSi含有層に対して後述する酸化処理を行う。
【0081】
上述の条件下でウエハ200に対してOガスを供給することにより、ウエハ200上に形成されたSi含有層がプラズマ酸化される。この際、プラズマ励起されたOガスのエネルギーにより、Si含有層が有するSi-N結合、Si-H結合が切断される。Siとの結合を切り離されたN、H、および、Nに結合するCは、Si含有層から脱離することとなる。そして、N等が脱離することで未結合手(ダングリングボンド)を有することとなったSi含有層中のSiが、Oガスに含まれるOと結合し、Si-O結合が形成されることとなる。この反応が進行することにより、Si含有層は、SiおよびOを含む層、すなわち、シリコン酸化層(SiO層)へと変化させられる(改質される)。
【0082】
なお、Si含有層をSiO層へと改質させるには、Oガスをプラズマ励起させて供給する必要がある。Oガスをノンプラズマの雰囲気下で供給しても、上述の温度帯では、Si含有層を酸化させるのに必要なエネルギーが不足しており、Si含有層からNやCを充分に脱離させたり、Si含有層を充分に酸化させてSi-O結合を増加させたりすることは、困難なためである。
【0083】
Si含有層をSiO層へ変化させた後、バルブ243bを閉じ、Oガスの供給を停止する。また、外部電極300への高周波電力の供給を停止する。そして、ステップS4と同様の処理手順、処理条件により、処理室201内に残留するOガスや反応副生成物を処理室201内から排除する(S6)。なお、このステップS6を省略して反応ガス供給ステップとしてもよい。
【0084】
酸化剤、すなわち、プラズマ励起させるO含有ガスとしては、Oガスの他、亜酸化窒素(NO)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO)ガス、オゾン(O)ガス、過酸化水素(H)ガス、水蒸気(HO)、水酸化アンモニウム(NH(OH))ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス等を用いてもよい。
【0085】
不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、ステップS4で例示した各種希ガスを用いることができる。
【0086】
(所定回数実施:S7)
上述したステップS3,S4,S5,S6をこの順番に沿って非同時に、すなわち、同期させることなく行うことを1サイクルとし、このサイクルを所定回数(n回)、すなわち、1回以上行うことにより、ウエハ200上に、所定組成および所定膜厚のSiO膜を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すことが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成されるSiO層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、SiO層を積層することで形成されるSiO膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すことが好ましい。
【0087】
(大気圧復帰ステップ:S8)
上述の成膜処理が完了したら、ガス供給管232c,232dのそれぞれから不活性ガスとしてのNガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。これにより、処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するOガス等が処理室201内から除去される(不活性ガスパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰:S8)。
【0088】
(搬出ステップ:S9)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出されることとなる(ウエハディスチャージ)。なお、ウエハディスチャージの後は、処理室201内へ空のボート217を搬入するようにしてもよい。
【0089】
ここで、基板処理時の炉内圧力は、10Pa以上、300Pa以下の範囲で制御されることが好ましい。これは、炉内の圧力が10Paより低い場合、プラズマのデバイ長よりもガス分子の平均自由工程が長くなってしまい、炉壁を直接叩くプラズマが顕著化するため、パーティクルの発生を抑制することが困難となってしまうためである。また、炉内の圧力が300Paより高い場合、プラズマの生成効率が飽和してしまうため、反応ガスを供給してもプラズマの生成量は変化することがなく、反応ガスを無駄に消費することとなってしまうと同時に、ガス分子の平均自由行程が短くなることで、ウエハまでのプラズマ活性種の輸送効率が悪くなってしまうためである。
【0090】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
(a)処理室201内のウエハ200の対向面に導入された補助プレート315は、外部電極300から放射される電界(電場)を隣接するフィンプレート317間で強めることで、ウエハ200の中央付近でもプラズマを発生させることができる。
(b)上記のプラズマの発生により、ウエハ200の中央部において、活性種の生成を補助してその供給量を増加させることができる。
(c)フィンプレート317間の面積は、フィンプレート317の面積と同一または同一より広いことにより、電界(電場)発生するエリアを確保することができる。
(d)また、補助プレート315を絶縁部材で構成することにより、ヒータ207からの熱を吸収して輻射熱をウエハ200に供給することができる。
(e)上記の(a)~(d)の作用により、表面積の大きなウエハ200に対しても均一で良質な処理を施すことができる。
【0091】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0092】
また、例えば、上述の実施形態では、原料を供給した後に反応体を供給する例について説明した。本開示はこのような態様に限定されず、原料、反応体の供給順序は逆でもよい。すなわち、反応体を供給した後に原料を供給するようにしてもよい。供給順序を変えることにより、形成される膜の膜質や組成比を変化させることが可能となる。
【0093】
上述の実施形態等では、ウエハ200上にSiO膜を形成する例について説明した。本開示はこのような態様に限定されず、ウエハ200上に、シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等のSi系酸化膜を形成する場合にも、好適に適用可能である。
【0094】
例えば、上述したガスの他、もしくは、これらのガスに加え、アンモニア(NH)ガス等の窒素(N)含有ガス、プロピレン(C)ガス等の炭素(C)含有ガス、三塩化硼素(BCl)ガス等の硼素(B)含有ガス等を用い、例えば、SiN膜、SiON膜、SiOCN膜、SiOC膜、SiCN膜、SiBN膜、SiBCN膜、BCN膜等を形成することができる。なお、各ガスを流す順番は適宜変更することができる。これらの成膜を行う場合においても、上述の実施形態と同様な処理条件にて成膜を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。これらの場合、反応ガスとしての酸化剤には、上述した反応ガスを用いることができる。
【0095】
また、本開示は、ウエハ200上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属元素を含む金属系酸化膜や金属系窒化膜を形成する場合においても、好適に適用可能である。すなわち、本開示は、ウエハ200上に、TiO膜、TiOC膜、TiOCN膜、TiON膜、TiN膜、TiSiN膜、TiBN膜、TiBCN膜、ZrO膜、ZrOC膜、ZrOCN膜、ZrON膜、ZrN膜、ZrSiN膜、ZrBN膜、ZrBCN膜、HfO膜、HfOC膜、HfOCN膜、HfON膜、HfN膜、HfSiN膜、HfBN膜、HfBCN膜、TaO膜、TaOC膜、TaOCN膜、TaON膜、TaN膜、TaSiN膜、TaBN膜、TaBCN膜、NbO膜、NbOC膜、NbOCN膜、NbON膜、NbN膜、NbSiN膜、NbBN膜、NbBCN膜、AlO膜、AlOC膜、AlOCN膜、AlON膜、AlN膜、AlSiN膜、AlBN膜、AlBCN膜、MoO膜、MoOC膜、MoOCN膜、MoON膜、MoN膜、MoSiN膜、MoBN膜、MoBCN膜、WO膜、WOC膜、WOCN膜、WON膜、WN膜、WSiN膜、WBN膜、WBCN膜等を形成する場合にも、好適に適用することが可能となる。
【0096】
これらの場合、例えば、原料ガスとして、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(Ti[N(CH、略称:TDMAT)ガス、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(Hf[N(C)(CH)]、略称:TEMAH)ガス、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(Zr[N(C)(CH)]、略称:TEMAZ)ガス、トリメチルアルミニウム(Al(CH、略称:TMA)ガス、チタニウムテトラクロライド(TiCl)ガス、ハフニウムテトラクロライド(HfCl)ガス等を用いることができる。
【0097】
すなわち、本開示は、半金属元素を含む半金属系膜や金属元素を含む金属系膜を形成する場合に、好適に適用することができる。これらの成膜処理の処理手順、処理条件は、上述の実施形態や変形例に示す成膜処理と同様な処理手順、処理条件とすることができる。これらの場合においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0098】
成膜処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、各種処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、各種処理を迅速に開始できるようになる。
【0099】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
200…ウエハ(基板)
201…処理室
207…ヒータ(加熱部)
217…ボート(基板保持具)
300…外部電極
315…補助プレート
図1
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図3
図4
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図7
図8