(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】無線通信方法及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 84/06 20090101AFI20240322BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20240322BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20240322BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20240322BHJP
H04B 7/185 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H04W84/06
H04W16/26
H04W4/40
G08G5/00 A
H04B7/185
(21)【出願番号】P 2021014579
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504193837
【氏名又は名称】国立大学法人室蘭工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 宗大
(72)【発明者】
【氏名】山下 史洋
(72)【発明者】
【氏名】糸川 喜代彦
(72)【発明者】
【氏名】上羽 正純
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-032739(JP,A)
【文献】特開2016-171458(JP,A)
【文献】特開2020-167539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00
H04B 7/185
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体と
無線機との間で無線通信を行う無線通信方法において、
前記飛翔体の位置を示す位置情報、及び前記飛翔体の高度を示す高度情報を取得する取得工程と、
前記位置情報及び前記高度情報に基づいて、前記飛翔体に対して
前記無線機が無線通信を維持可能な位置関係となる前記飛翔体の飛行航路を算出する飛行航路算出工程と、
前記飛行航路上を飛行する前記飛翔体の姿勢に起因して発生し得る前記飛翔体と
前記無線機との間の通信リンクに対するブロッキングを予測する予測工程と、
前記飛翔体の飛行速度及び前記飛行航路に基づいて、予測工程において予測したブロッキングが発生し得るタイミングを算出するタイミング算出工程と、
算出したタイミングに基づいて、予測したブロッキングに対処するよう制御する対処制御工程と
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
前記飛行航路算出工程では、
無線通信に必要な受信電力に基づいて前記飛行航路を算出し、
前記予測工程では、
前記飛翔体の傾き、アンテナ位置、前記飛翔体の形状、及びアンテナ指向角度に基づいて、発生し得るブロッキングを予測すること
を特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記対処制御工程では、
通信方式の制御、アンテナの切替、及び前記飛行航路の少なくともいずれかを制御することにより、予測したブロッキングに対処するよう制御すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信方法。
【請求項4】
飛翔体と
無線機との間で無線通信を行う無線通信システムにおいて、
前記飛翔体の位置を示す位置情報、及び前記飛翔体の高度を示す高度情報を取得する取得部と、
前記位置情報及び前記高度情報に基づいて、前記飛翔体に対して
前記無線機が無線通信を維持可能な位置関係となる前記飛翔体の飛行航路を算出する飛行航路算出部と、
前記飛行航路上を飛行する前記飛翔体の姿勢に起因して発生し得る前記飛翔体と
前記無線機との間の通信リンクに対するブロッキングを予測する予測部と、
前記飛翔体の飛行速度及び前記飛行航路に基づいて、前記予測部が予測したブロッキングが発生し得るタイミングを算出するタイミング算出部と、
前記タイミング算出部が算出したタイミングに基づいて、前記予測部が予測したブロッキングに対処するよう制御する対処制御部と
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
前記飛行航路算出部は、
無線通信に必要な受信電力に基づいて前記飛行航路を算出し、
前記予測部は、
前記飛翔体の傾き、アンテナ位置、及びアンテナ指向角度に基づいて、発生し得るブロッキングを予測すること
を特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記対処制御部は、
通信方式の切替、アンテナの切替、及び前記飛行航路の少なくともいずれかを制御することにより、前記予測部が予測したブロッキングに対処するよう制御すること
を特徴とする請求項4又は5に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信方法及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)を用いた高高度擬似衛星(HAPS:High Altitude Platform Station、又はHigh Altitude Pseudo Satellite)などの飛行体(飛翔体)を媒体とする無線通信システムが検討されている。
【0003】
この種の無線通信システムでは、端末などの無線機は、飛翔体を経由して地上基地局に接続し、ネットワークに接続する。このとき、飛翔体は、端末と地上基地局との間の媒体として通信のリレーを行う。つまり、当該無線通信システムには、地上基地局の設置が困難な海洋や山岳などにおいても通信サービスの提供を可能にするという利点がある。
【0004】
一方、飛翔体を経由する無線通信では、時間の経過とともに無線チャネル状態が変化することがある。例えば、特許文献1には、変動する無線チャネル状態の下でアプリケーションに必要な所要サービス品質(QoS:Quality of Service)を保つために、変調及び符号化方式レベルを調整する無線リンクアダプテーション技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
飛翔体が端末と地上基地局との間で通信のリレーを行う場合、飛翔体と端末が無線通信を維持可能な位置関係にあっても、飛翔体の姿勢によっては当該飛翔体の翼などが通信リンクをブロッキングして、通信品質が低下してしまうことがある。
【0007】
このとき、特許文献1に記載された無線リンクアダプテーション技術を適用しても、変調及び符号化方式レベルを調整するための演算に時間が必要であるため、リアルタイム性が乏しいという問題があった。例えば、従来の無線リンクアダプテーション技術では、ブロッキングが解消された後に制御が行われる可能性があった。
【0008】
本発明は、飛翔体との間で行う無線通信におけるブロッキングの影響による通信品質低下を低減することができる無線通信方法及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様にかかる無線通信方法は、飛翔体と無線機との間で無線通信を行う無線通信方法において、前記飛翔体の位置を示す位置情報、及び前記飛翔体の高度を示す高度情報を取得する取得工程と、前記位置情報及び前記高度情報に基づいて、前記飛翔体に対して前記無線機が無線通信を維持可能な位置関係となる前記飛翔体の飛行航路を算出する飛行航路算出工程と、前記飛行航路上を飛行する前記飛翔体の姿勢に起因して発生し得る前記飛翔体と前記無線機との間の通信リンクに対するブロッキングを予測する予測工程と、前記飛翔体の飛行速度及び前記飛行航路に基づいて、予測工程において予測したブロッキングが発生し得るタイミングを算出するタイミング算出工程と、算出したタイミングに基づいて、予測したブロッキングに対処するよう制御する対処制御工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様にかかる無線通信システムは、飛翔体と無線機との間で無線通信を行う無線通信システムにおいて、前記飛翔体の位置を示す位置情報、及び前記飛翔体の高度を示す高度情報を取得する取得部と、前記位置情報及び前記高度情報に基づいて、前記飛翔体に対して前記無線機が無線通信を維持可能な位置関係となる前記飛翔体の飛行航路を算出する飛行航路算出部と、前記飛行航路上を飛行する前記飛翔体の姿勢に起因して発生し得る前記飛翔体と前記無線機との間の通信リンクに対するブロッキングを予測する予測部と、前記飛翔体の飛行速度及び前記飛行航路に基づいて、前記予測部が予測したブロッキングが発生し得るタイミングを算出するタイミング算出部と、前記タイミング算出部が算出したタイミングに基づいて、前記予測部が予測したブロッキングに対処するよう制御する対処制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飛翔体との間で行う無線通信におけるブロッキングの影響による通信品質低下を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態にかかる無線通信システムの構成を例示する図である。
【
図3】飛翔体が有するRF装置及びその周辺の構成例を示す図である。
【
図5】地上基地局の構成例及びその周辺を示す図である。
【
図6】制御局が有する機能を例示する機能ブロック図である。
【
図7】第1実施形態にかかる無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図8】無線通信システムを構成する各部の位置関係を模式的に示す図である。
【
図10】(a)は、飛翔体の傾きを例示する図である。(b)は、指向性アンテナの指向角度を例示する図である。
【
図11】制御局が
図9に示したパラメータを用いて指向性アンテナの指向角度を算出した結果を示すグラフである。
【
図12】変調方式と誤り訂正符号化率の組合せ例を示す図表である。
【
図13】第2実施形態にかかる無線通信システムの構成を例示する図である。
【
図15】飛翔体が有するRF装置及びその周辺の構成例を示す図である。
【
図16】第3実施形態にかかる無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図17】第4実施形態にかかる無線通信システムの制御局が行う処理を示すフローチャートである。
【
図18】第4実施形態にかかる無線通信システムにおける各構成の位置関係を模式的に示す図である。
【
図19】第5実施形態にかかる無線通信システムの構成を例示する図である。
【
図21】飛翔体が有するRF装置及びその周辺の構成例を示す図である。
【
図22】第5実施形態にかかる無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図23】第6実施形態にかかる無線通信システムの構成を例示する図である。
【
図24】第6実施形態にかかる無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図25】比較例の無線通信システムの構成を示す図である。
【
図26】比較例の地上基地局と無線通信を行う飛翔体を正面から見た状態を示す図である。
【
図27】比較例における飛翔体が旋回しつつ地上基地局と無線通信を行っている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明がなされるに至った背景について、より具体的に説明する。
図25は、比較例の無線通信システム1の構成を示す図である。無線通信システム1は、飛翔体(飛行体)2を介して端末(又は移動局)3が地上基地局4に接続されている。なお、地上基地局4は、インターネットなどのネットワーク5に接続されている。
【0014】
飛翔体2は、例えば飛行機型の翼(
図26参照)を備えた固定翼型の無人航空機(UAV)などであり、端末3と地上基地局4との間でリレー通信を行い、地上基地局4を介してネットワーク5に常時接続されている。なお、飛翔体2は、衛星などと通信を行うものであってもよい。
【0015】
そして、飛翔体2は、機体の下部等に指向性アンテナ(
図26参照)を備え、端末3及び地上基地局4に対して電波を向けることにより、端末3及び地上基地局4それぞれとの間で通信リンクを張る。
【0016】
図26は、比較例の地上基地局4と無線通信を行う飛翔体2を正面から見た状態を示す図である。飛翔体2は、例えば垂直尾翼6、翼7、及び指向性アンテナ8を備え、当該飛翔体2よりも下方に位置する地上基地局4などに向けて指向性アンテナ8が電波を発射することにより、地上基地局4などと通信リンクを張る。指向性アンテナ8は、例えば飛翔体2の機体の下部に配置されている。
【0017】
飛翔体2は、
図25を用いて説明したように、端末3と地上基地局4との間でリレー通信を行うため、端末3及び地上基地局4それぞれと通信リンクを張ることが可能である空中の領域に留まる必要がある。そこで、飛翔体2のような固定翼型の飛行体は、空中を旋回することにより、端末3及び地上基地局4それぞれと通信リンクを張ることが可能である空中の領域に留まる。
【0018】
図27は、比較例における飛翔体2が旋回しつつ地上基地局4と無線通信を行っている状態を示す図である。飛翔体2のような固定翼型の飛行体は、旋回航路となる円の内側に機体を傾けて旋回を行う。
【0019】
飛翔体2が機体を傾けて旋回を行うときには、
図27に示したように、機体の下部に配置されている指向性アンテナ8と地上基地局4との間の直線上に飛翔体2の翼7が入り、翼7が飛翔体2と地上基地局4との通信リンクをブロッキングしてしまうことがある。このように、飛翔体2の翼7が通信リンクをブロッキングしてしまうと、一時的に指向性アンテナ8などでの受信電力が低下し、通信品質が低下してしまうことがある。
【0020】
そこで、実施形態にかかる無線通信システムは、飛翔体との間で行う無線通信のブロッキングによる品質低下を軽減するように、以下に説明する構成を有する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる無線通信システム10の構成を例示する図である。
図1に示すように、第1実施形態にかかる無線通信システム10は、飛翔体(飛行体)20、端末(又は移動局)30、及び地上基地局40を有する。地上基地局40は、インターネットなどのネットワーク50及び制御局60に接続されている。
【0022】
飛翔体20は、例えば飛行機型の翼(
図2参照)を備えた固定翼型の無人航空機(UAV)などであり、端末30と地上基地局40との間でリレー通信を行い、地上基地局40を介してネットワーク50及び制御局60に常時接続されている。
【0023】
そして、飛翔体20は、機体の下部等に指向性アンテナ(
図2参照)を備え、上空を旋回しながら端末30及び地上基地局40に対して電波を向けることにより、端末30及び地上基地局40それぞれとの間で通信リンクを張る。ここでは、飛翔体20は、例えば受信した信号に対して周波数変換と信号増幅のみを行って信号を中継する非再生中継を行う。
【0024】
端末30は、飛翔体20及び地上基地局40を介してネットワーク50に接続する。制御局60は、端末30及び飛翔体20から情報を収集し、飛翔体20の飛行制御や、地上基地局40及び端末30への通信制御及び指示を行う。
【0025】
また、飛翔体20と地上基地局40との間では、端末30とネットワーク50との間の信号送受信とは別に、テレメトリ信号の送受信が行われている。制御局60は、地上基地局40が送受信するテレメトリ信号に基づいて、飛翔体20の位置を示す位置情報、及び飛翔体20の高度を示す高度情報を取得し、飛翔体20の飛行制御等を行う。テレメトリ信号は、端末30と飛翔体20との通信リンク、及び、地上基地局40と飛翔体20との通信リンクに対する干渉を避けるために、通信リンクそれぞれとは異なる周波数帯が使われている。
【0026】
ここでは、地上基地局40は、位置や高度が不変であるため、地上基地局40の位置を示す位置情報、及び、地上基地局40の高度を示す高度情報は、既知であるとする。
【0027】
図2は、飛翔体20の構成例を示す図である。飛翔体20は、機体200に対して垂直尾翼202及び一対の翼204が設けられている。また、飛翔体20は、例えば機体200の下部にRF(Radio Frequency)装置70、及びそれぞれレドーム80に覆われた2つの指向性アンテナ(
図3参照)を有する。飛翔体20は、2つの指向性アンテナが発射する電波を端末30及び地上基地局40にそれぞれ向けることにより、端末30及び地上基地局40それぞれと通信リンクを張る。
【0028】
また、飛翔体20は、機体200に図示しない高度計、GPS(Global Positioning System)及びテレメトリ信号用のアンテナや送受信機を有する。高度計は、飛翔体20の高度情報を取得するために使用される。GPSは、飛翔体20の位置情報を取得するために使用される。
【0029】
図3は、飛翔体20が有するRF装置70及びその周辺の構成例を示す図である。RF装置70は、例えばサーキュレータ700,700、周波数変換器702,702、及び信号増幅器704,704を有し、レドーム80,80にそれぞれ覆われた2つの指向性アンテナ800,800が設けられて非再生中継を行う。
【0030】
サーキュレータ700は、それぞれ指向性アンテナ800に接続され、指向性アンテナ800が受信した信号を周波数変換器702へ転送するとともに、信号増幅器704から入力される信号を指向性アンテナ800に対して転送する。
【0031】
周波数変換器702は、サーキュレータ700から入力された信号の周波数を所定の周波数に変換し、周波数を変換した信号を信号増幅器704に対して出力する。
【0032】
信号増幅器704は、周波数変換器702から入力された信号の電力を所定値に増幅し、電力を増幅した信号をサーキュレータ700に対して出力する。
【0033】
指向性アンテナ800は、それぞれサーキュレータ700に接続され、端末30又は地上基地局40に対してアンテナ指向を向けて通信リンクを張り、端末30又は地上基地局40との間で無線信号を送受信する。
【0034】
なお、指向性アンテナ800は、飛翔体20が空中を旋回していても端末30又は地上基地局40に対する指向を維持できるように追尾機能を有する。レドーム80は、それぞれ指向性アンテナ800を保護するために指向性アンテナ800を覆っている。
【0035】
図4は、端末30の構成例を示す図である。
図4に示すように、端末30は、例えばアンテナ31、サーキュレータ32、低雑音周波数変換器33、信号処理部34、上位レイヤ処理部35、GPS36、制御部37、周波数変換器38、及び信号増幅器39を有する。
【0036】
アンテナ31は、飛翔体20との間で無線信号の送受信を行い、飛翔体20に対して通信リンクを張る。
【0037】
サーキュレータ32は、信号増幅器39からの信号をアンテナ31へ転送するとともに、アンテナ31が受信した信号を低雑音周波数変換器33に対して転送する。
【0038】
低雑音周波数変換器33は、サーキュレータ32から転送された信号に対して周波数変換を行い、周波数変換した信号を信号処理部34に対して出力する。
【0039】
信号処理部34は、例えば復調器341、誤り訂正復号器342、誤り訂正符号器343、及び変調器344を有する。
【0040】
復調器341は、低雑音周波数変換器33から入力された信号に対して復調処理を行い、誤り訂正復号器342に対して出力する。誤り訂正復号器342は、復調器341から入力された復調後の信号に対して誤り訂正のための復号処理を行い、上位レイヤ処理部35に対して出力する。
【0041】
誤り訂正符号器343は、上位レイヤ処理部35から入力された信号に対して誤り訂正用の符号化を行ってバイナリ信号を生成し、生成したバイナリ信号を変調器344に対して出力する。変調器344は、誤り訂正符号器343から入力されたバイナリ信号を変調信号に変換し、周波数変換器38に対して出力する。
【0042】
上位レイヤ処理部35は、信号処理部34から入力された信号に対して上位レイヤ処理を行う。例えば、上位レイヤ処理部35は、CRC(Cyclic Redundancy Check)用情報の付加や、CRCによるフレーム内の誤りビット有無の確認、及びルーティング処理などを行う。また、上位レイヤ処理部35は、上位レイヤ処理後に得られた制御局60からの制御情報を制御部37に対して出力する。さらに、上位レイヤ処理部35は、制御部37から入力された信号に対して上位レイヤ処理を行い、信号処理部34に対して出力する。
【0043】
GPS36は、端末30の位置を示す位置情報を取得し、取得した位置情報を制御部37に対して出力する。なお、GPS36が取得した位置情報は、飛翔体20及び地上基地局40を介して制御局60へ送信される。
【0044】
制御部37は、制御局60から地上基地局40及び飛翔体20を介して通知された制御情報に基づいて、端末30を構成する各部を制御する。また、制御部37は、GPS36により取得した位置情報を上位レイヤ処理部35に入力し、制御局60へ送信する。周波数変換器38は、信号処理部34から入力された信号の周波数を所定の周波数に変換し、周波数を変換した信号を信号増幅器39に対して出力する。信号増幅器39は、周波数変換器38から入力された信号の電力を所定値に増幅し、電力を増幅した信号をサーキュレータ32に対して出力する。
【0045】
図5は、地上基地局40の構成例及びその周辺を示す図である。
図5に示すように、地上基地局40は、例えばアンテナ41、サーキュレータ42、低雑音周波数変換器43、信号処理部44、上位レイヤ処理部45、テレメトリ信号送受信機46、制御部47、周波数変換器48、及び信号増幅器49を有する。
【0046】
アンテナ41は、飛翔体20との間で無線信号の送受信を行い、飛翔体20に対して通信リンクを張る。
【0047】
サーキュレータ42は、信号増幅器49からの信号をアンテナ41へ転送するとともに、アンテナ41が受信した信号を低雑音周波数変換器43に対して転送する。
【0048】
低雑音周波数変換器43は、サーキュレータ42から転送された信号に対して周波数変換を行い、周波数変換した信号を信号処理部44に対して出力する。
【0049】
信号処理部44は、例えば復調器441、誤り訂正復号器442、誤り訂正符号器443、及び変調器444を有する。
【0050】
復調器441は、低雑音周波数変換器43から入力された信号に対して復調処理を行い、誤り訂正復号器442に対して出力する。誤り訂正復号器442は、復調器441から入力された復調後の信号に対して誤り訂正のための復号処理を行い、上位レイヤ処理部45に対して出力する。
【0051】
誤り訂正符号器443は、上位レイヤ処理部45から入力された信号に対して誤り訂正用の符号化を行ってバイナリ信号を生成し、生成したバイナリ信号を変調器444に対して出力する。変調器444は、誤り訂正符号器443から入力されたバイナリ信号を変調信号に変換し、周波数変換器48に対して出力する。
【0052】
上位レイヤ処理部45は、信号処理部44から入力された信号に対して上位レイヤ処理を行う。例えば、上位レイヤ処理部45は、CRC用情報の付加や、CRCによるフレーム内の誤りビット有無の確認、及びルーティング処理などを行う。また、上位レイヤ処理部45は、上位レイヤ処理後に得られた端末30からの通知情報を制御部47に対して出力する。さらに、上位レイヤ処理部45は、制御部47から入力された信号に対して上位レイヤ処理を行い、信号処理部44に対して出力する。
【0053】
テレメトリ信号送受信機46は、飛翔体20との間でテレメトリ信号の送受信を行う。そして、テレメトリ信号送受信機46は、飛翔体20から受信した情報を制御部47に対して出力するとともに、制御部47の制御に応じて飛翔体20に対する制御信号を送信する。
【0054】
制御部47は、制御局60から入力される制御情報に基づいて、地上基地局40を構成する各部を制御する。また、制御部47は、制御局60から入力される制御情報に基づいて、飛翔体20及び端末30を制御する制御情報を出力するとともに、地上基地局40が端末30及び飛翔体20から取得した情報を制御局60に対して出力する。
【0055】
周波数変換器48は、信号処理部44から入力された信号の周波数を所定の周波数に変換し、周波数を変換した信号を信号増幅器49に対して出力する。信号増幅器49は、周波数変換器48から入力された信号の電力を所定値に増幅し、電力を増幅した信号をサーキュレータ42に対して出力する。
【0056】
図6は、制御局60が有する機能を例示する機能ブロック図である。
図6に示すように、制御局60は、例えば取得部601、飛行航路算出部602、予測部603、タイミング算出部604、及び対処制御部605を有する。
【0057】
取得部601は、端末30の位置を示す位置情報、飛翔体20の位置を示す位置情報、及び飛翔体20の高度を示す高度情報を、地上基地局40を介して取得し、飛行航路算出部602に対して出力する。
【0058】
飛行航路算出部602は、取得部601から入力された位置情報及び高度情報に基づいて、飛翔体20に対して無線通信を維持可能な位置関係となる飛翔体20の飛行航路を算出し、算出した飛行航路を予測部603及びタイミング算出部604に対して出力する。例えば、飛行航路算出部602は、無線通信に必要な受信電力に基づいて飛翔体20の飛行航路を算出する。
【0059】
予測部603は、飛行航路算出部602が算出した飛行航路上を飛行する飛翔体20の姿勢に起因して発生し得る飛翔体20との間の通信リンクに対するブロッキングを予測し、予測したブロッキングの発生を示す情報をタイミング算出部604に対して出力する。
【0060】
例えば、予測部603は、飛翔体20の傾き、指向性アンテナ800(
図2,3参照)の位置、及び指向性アンテナ800の指向角度に基づいて、発生し得るブロッキングを予測する。
【0061】
タイミング算出部604は、例えば予め定められた飛翔体20の飛行速度、及び、飛行航路算出部602が算出した飛行航路に基づいて、予測部603が予測したブロッキングが発生し得るタイミングを算出し、算出したタイミングを示す情報を対処制御部605に対して出力する。
【0062】
対処制御部605は、タイミング算出部604が算出したタイミングに基づいて、予測部603が予測したブロッキングに対処するように、例えば端末30及び地上基地局40を制御する制御情報を地上基地局40に対して出力する。
【0063】
例えば、対処制御部605は、通信方式の制御、アンテナの切替、及び飛翔体20の飛行航路の少なくともいずれかを制御することにより、予測部603が予測したブロッキングの影響を軽減、又はブロッキングを回避するよう制御する。
【0064】
なお、制御局60は、飛翔体20と端末30との間の通信リンクに対しても、地上基地局40と飛翔体20との間の通信リンクと同様に、位置情報及び高度情報に基づいて、ブロッキングに対処するように制御を行う。
【0065】
また、
図6に示した各機能は、制御局60が備える場合に限定されることなく、例えば端末30又は地上基地局40が一部又は全部を備えていてもよい。
【0066】
次に、第1実施形態にかかる無線通信システム10の動作例について説明する。
図7は、第1実施形態にかかる無線通信システム10の動作例を示すフローチャートである。
【0067】
まず、制御局60は、例えば定期的に端末30の位置情報、飛翔体20の位置情報、及び飛翔体20の高度情報を、地上基地局40を介して取得する(S100)。
【0068】
そして、制御局60は、飛翔体20と端末30との間、及び、飛翔体20と地上基地局40との間それぞれの通信リンクの確立に必要な受信電力を示す情報に基づいて、飛翔体20の飛行航路(旋回航路)を算出して決定する(S102)。
【0069】
例えば、制御局60は、端末30の位置情報、飛翔体20の位置情報、及び飛翔体20の高度情報に基づいて、飛翔体20と地上基地局40との間の通信リンク、及び、飛翔体20と端末30との間の通信リンクを維持するように飛翔体20の飛行航路を算出する。そして、制御局60は、地上基地局40が送信するテレメトリ信号によって飛翔体20の航路を制御する。
【0070】
次に、制御局60は、例えば予測部603が飛翔体20の飛行航路及び飛行速度に基づいて飛翔体20の傾き(旋回時の機体200(
図2)のバンク角度)を算出して(S104)、ブロッキングの発生を予測する(S106)。このとき、制御局60は、飛翔体20の傾き、指向性アンテナ800(
図3)の指向方向、翼204の形状や大きさ、指向性アンテナ800の取付位置などにより、通信リンクに対して発生し得るブロッキング(ブロッキングが発生するか否か)を予測する。
【0071】
そして、制御局60は、予測部603がブロッキングが発生し得ると予測した場合(S106:Yes)にはS108の処理に進み、ブロッキングが発生し得ないと予測した場合(S106:No)には処理を終了する。
【0072】
S108の処理において、制御局60は、予測部603が発生し得ると予測したブロッキングが発生し得るタイミング(ブロッキングタイミング)を例えば飛翔体20の飛行航路に基づいてタイミング算出部604が算出する。
【0073】
S110の処理において、制御局60は、予測部603が予測したブロッキングに対処するように、対処制御部605がブロッキングタイミングを含む端末30及び地上基地局40に対する制御情報を地上基地局40に対して通知する。ここで、地上基地局40は、端末30に対する制御情報を、飛翔体20を介して端末30へ通知する。
【0074】
そして、端末30及び地上基地局40は、それぞれブロッキングタイミングを含む制御情報に基づく通信制御を実施する(S112)。例えば、端末30及び地上基地局40は、それぞれブロッキングが予測される時間帯に送信する信号に対して通信制御を行う。具体的には、端末30及び地上基地局40は、ブロッキングに対処する通信制御として、例えば変調方式や誤り訂正の符号化率の制御を行う。
【0075】
以下に、端末30及び地上基地局40が行う通信制御の例について、
図8を用いて説明する。
図8は、無線通信システム10を構成する各部の位置関係を模式的に示す図である。
【0076】
なお、地上基地局40は、地表に固定されており、上述したように、位置情報及び高度情報が既知である。また、端末30も、ここでは位置情報を送信した後には位置を変えないものとする。また、制御局60は、飛翔体20の大きさや飛行速度など、飛翔体20の特徴を示す情報を予め保持しているとする。
【0077】
図8に示すように、端末30及び地上基地局40は、同一高度の地表に位置することとする。また、飛翔体20の高度をH、飛翔体20と端末30の地表面での距離をD1、飛翔体20と地上基地局40の地表面での距離をD2、飛翔体20の旋回半径をR、飛翔体20と端末30との間の仰角をφとする。
【0078】
ここでは、制御局60が飛翔体20と端末30との間で発生し得るブロッキング(ブロッキングが発生するか否か)を予測する場合について説明する。
【0079】
端末30は、GPS36(
図4)が取得した位置情報を、例えば専用の制御・通知パケットを用いて、飛翔体20及び地上基地局40を介して制御局60へ送信する。飛翔体20は、図示しない高度計やGPSにより取得した位置情報及び高度情報を、テレメトリ信号を用いて定期的に制御局60へ送信する。つまり、制御局60は、端末30及び飛翔体20の位置情報及び高度情報を取得することができる。
【0080】
制御局60は、取得した位置情報及び高度情報に基づいて、飛翔体20と端末30との間の通信リンク、及び、飛翔体20と地上基地局40との間の通信リンクを確立するための飛翔体20の飛行範囲を定期的に算出する。
【0081】
ここでは、端末30と飛翔体20との間の受信レベル、及び飛翔体20と地上基地局40との間の受信レベルは、距離に依存することとする。また、端末30からD1離れた位置、及び地上基地局40からD2離れた位置においては、高度Hかつ旋回半径R以内であれば、端末30と飛翔体20との間の最大距離は、下式(1)によって表される。
【0082】
【0083】
このとき、地上基地局40と飛翔体20との間の最大距離は、下式(2)によって表される。
【0084】
【0085】
すなわち、上式(1),(2)を満たす場合、飛翔体20は、端末30及び地上基地局40の双方と通信リンクを確立できるものとする。そして、制御局60は、上式(1),(2)を満たすように、地上基地局40が送信するテレメトリ信号を介して飛翔体20の飛行航路を制御する。
【0086】
次に、制御局60は、飛翔体20の旋回半径及び飛行速度に基づいて、旋回時の機体200(
図2)の傾き(バンク角度)を算出する。また、制御局60は、飛翔体20及び端末30の位置情報及び高度情報(D1、H、φ)に基づいて、指向性アンテナ800の端末30に対する指向角度を算出する。そして、制御局60は、飛翔体20のバンク角度及び構造(指向性アンテナ800の取付位置、翼204の大きさや形状)に基づいて、飛翔体20の旋回時に発生し得るブロッキングを予測する。
【0087】
具体例として、制御局60は、
図9に示したパラメータを用いて指向性アンテナ800の指向角度を算出する。
図10は、飛翔体20における指向性アンテナ800の指向角度を例示する図である。
図10(a)は、飛翔体20の傾きを例示する図である。
図10(b)は、指向性アンテナ800の指向角度を例示する図である。
【0088】
図10(a)に示したように、飛翔体20の傾きがAである場合、
図10(b)に示したように、指向性アンテナ800の取付平面802の傾きもAとなる。そして、指向性アンテナ800は、取付平面802の傾きAに対する傾きBが指向角度となる。
【0089】
図11は、制御局60が
図9に示したパラメータを用いて指向性アンテナ800の指向角度を算出した結果を示すグラフである。飛翔体20は飛行航路が円になるように旋回するので、指向性アンテナ800の指向角度は周期的に変化する。そして、飛翔体20は、指向性アンテナ800の指向角度が小さくになるにつれて、翼204によって通信リンクをブロッキングする可能性が高くなる。
【0090】
図11に示した例では、予測部603は、指向角度が-2°以下になる100s~137sの間にブロッキングが周期的に発生し得ると予測する。
【0091】
制御局60は、翼204によるブロッキングが発生し得ると予測した場合、ブロッキングが発生し得ると予測したタイミングを含む制御情報を地上基地局40及び端末30に対して通知する。このとき、制御局60は、端末30に対して例えば専用の制御・通知パケットを用いて通知を行う。
【0092】
そして、地上基地局40は、ブロッキングが発生し得るタイミングを含む制御情報を受信すると、制御情報に基づいて信号処理部44を制御し、変調方式や誤り訂正符号化率を変更する。
【0093】
また、端末30は、ブロッキングが発生し得るタイミングを含む制御情報を受信すると、制御情報に基づいて信号処理部34を制御し、変調方式や誤り訂正符号化率を変更する。
【0094】
図12は、変調方式と誤り訂正符号化率の組合せ例を示す図表である。
図12に示した例では、インデクスの番号が大きいほどスループットは大きくなるが、誤りが発生しやすくなる。
【0095】
そこで、地上基地局40及び端末30は、ブロッキングが発生し得るタイミングで送信する信号には、インデクス番号が小さい組合せ(例えばインデクス1の組合せ)を用いて変調及び誤り訂正符号化の処理を行う。
【0096】
一方、地上基地局40及び端末30は、ブロッキングが発生し得ないタイミングで送信する信号には、インデクス番号が大きい組合せ用いてスループットを増加させる。
【0097】
このように、無線通信システム1は、ブロッキングが発生し得るタイミングにおいて、例えば誤りに強い変調方式及び誤り訂正符号化率の組合せを選択することにより、ブロッキングが発生して通信品質が劣化し得る状態になっても、通信の持続を可能にし、通信品質の低下を低減することができる。
【0098】
なお、無線通信システム1は、変調方式や誤り訂正符号化率を制御することに限定されず、送信電力など制御して、通信品質の低下を低減することも可能である。
【0099】
また、無線通信システム1は、飛翔体20と端末30との間にブロッキングが発生し得る場合に限定されることなく、飛翔体20と地上基地局40との間にブロッキングが発生し得る場合にも、同様の処理によって通信品質の低下を低減することも可能である。
【0100】
また、上述した実施形態では、飛翔体20が非再生中継を行って端末30及び地上基地局40が制御を行う場合を例に説明したが、飛翔体20は再生中継を行ってもよい。この場合、制御局60は飛翔体20に対しても同様な制御を行い、飛翔体20は、自機内の変復調器や誤り訂正符号化・復号器を制御して、通信品質の低下を低減することも可能である。
【0101】
また、上述した実施形態では、端末30の高度と地上基地局40の高度が同じである場合を例としたが、端末30の高度と地上基地局40の高度とが大きく異なる場合には、端末30の高度を計測し、端末30と飛翔体20との間の高度を算出して同様の制御を行ってもよい。
【0102】
また、上述した実施形態では、制御局60が、ブロッキングのタイミングを含む制御情報を端末30及び地上基地局40に通知する場合を説明したが、端末30と飛翔体20との距離情報、及び、飛翔体20と地上基地局40との距離情報を制御情報に含めて通知し、距離に応じて変復調や誤り訂正符号化の制御を行って、通信品質の低下を低減するように構成されてもよい。
【0103】
[第2実施形態]
図13は、第2実施形態にかかる無線通信システム10aの構成を例示する図である。
図13に示すように、第2実施形態にかかる無線通信システム10aは、HAPS20a、端末30a、及び地上基地局40を有する。地上基地局40は、インターネットなどのネットワーク50及び制御局60に接続されている。以下、上述した構成と実質的に同一の構成には同一の符号が付してある。
【0104】
HAPS20aは、機体の直下にサービスエリアを形成し、サービスエリア内に複数の端末30aを収容して通信サービスを提供する。端末30aは、それぞれHAPS20a及び地上基地局40を介してネットワーク50に接続する。
【0105】
第2実施形態にかかる無線通信システム10aにおいては、HAPS20aと端末30aとの間ではブロッキングは発生せず、HAPS20aと地上基地局40との間でブロッキングが発生する可能性が大きい。制御局60は、第1実施形態にかかる無線通信システム10における場合と同様に、HAPS20aと地上基地局40との間の通信リンクに対するブロッキングを予測し、予測したブロッキングによる通信品質の低下を低減するような制御を行う。
【0106】
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる無線通信システムは、第1実施形態にかかる無線通信システム10における飛翔体20が、
図14、15を用いて示す飛翔体20bに置き換えられている。また、第3実施形態にかかる無線通信システムにおいては、端末30及び地上基地局40は、いずれも自局の変調処理や誤り訂正処理に対して、上述した制御情報に基づく制御を行わないこととする。また、制御局60は、地上基地局40が送信するテレメトリ信号により、飛翔体20bに対して制御情報を送信する。
【0107】
図14は、飛翔体20bの構成例を示す図である。飛翔体20bは、機体200に対して垂直尾翼202及び一対の翼204が設けられている。また、飛翔体20bは、例えば機体200の下部にRF装置70b、及びそれぞれレドーム80a~80dに覆われた4つの指向性アンテナ(
図15参照)を有する。
【0108】
飛翔体20bは、2つずつの指向性アンテナを端末30及び地上基地局40にそれぞれに割り当て、1つずつ切替えて電波を向けることにより、端末30及び地上基地局40それぞれと通信リンクを張る。
【0109】
また、飛翔体20bは、機体200に図示しない高度計、GPS及びテレメトリ信号用のアンテナや送受信機を有する。高度計は、飛翔体20bの高度情報を取得するために使用される。GPSは、飛翔体20bの位置情報を取得するために使用される。
【0110】
図15は、飛翔体20bが有するRF装置70b及びその周辺の構成例を示す図である。RF装置70bは、例えばサーキュレータ700,700、周波数変換器702,702、及び信号増幅器704,704、スイッチ706,706、及び制御部708を有し、4つのレドーム80a~80dにそれぞれ覆われた4つの指向性アンテナ800a~800dが設けられて非再生中継を行う。
【0111】
なお、指向性アンテナ800a,800bに対し、指向性アンテナ800c,800dは、翼204によるブロッキングが同時に発生しないように、翼204の幅以上の間隔をあけて配置されている。
【0112】
指向性アンテナ800a,800cは、それぞれ端末30との通信リンクに対する1つの通信経路を形成する。指向性アンテナ800b,800dは、それぞれ地上基地局40との通信リンクに対する1つの通信経路を形成する。
【0113】
制御部708は、制御局60から通知された制御情報に基づいて、スイッチ706,706を制御し、端末30及び地上基地局40それぞれに対する通信経路を切り替える。つまり、制御部708は、制御情報に基づいてブロッキングに対処するように、端末30に対して指向性アンテナ800aと指向性アンテナ800cを切替え、地上基地局40に対して指向性アンテナ800bと指向性アンテナ800dを切り替える。
【0114】
次に、第3実施形態にかかる無線通信システムの動作例について説明する。
図16は、第3実施形態にかかる無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【0115】
まず、制御局60は、例えば定期的に端末30の位置情報、飛翔体20bの位置情報、及び飛翔体20bの高度情報を、地上基地局40を介して取得する(S200)。このとき、飛翔体20bは、指向性アンテナ800aを使用して端末30と通信を行い、指向性アンテナ800bを使用して地上基地局40と通信を行っているとする。
【0116】
そして、制御局60は、飛翔体20bと端末30との間、及び、飛翔体20bと地上基地局40との間それぞれの通信リンクの確立に必要な受信電力を示す情報に基づいて、飛翔体20bの飛行航路(旋回航路)を算出して決定する(S202)。
【0117】
例えば、制御局60は、端末30の位置情報、飛翔体20bの位置情報、及び飛翔体20bの高度情報に基づいて、飛翔体20bと地上基地局40との間の通信リンク、及び、飛翔体20bと端末30との間の通信リンクを維持するように飛翔体20bの飛行航路を算出する。そして、制御局60は、地上基地局40が送信するテレメトリ信号によって飛翔体20bの航路を制御する。
【0118】
次に、制御局60は、例えば予測部603が飛翔体20bの飛行航路及び飛行速度に基づいて飛翔体20bの傾き(旋回時の機体のバンク角度)を算出して(S204)、ブロッキングの発生を予測する(S206)。このとき、制御局60は、飛翔体20bの傾き、指向性アンテナ800a,800bの指向方向、翼204の形状や大きさ、指向性アンテナ800a,800bの取付位置などにより、通信リンクに対して発生し得るブロッキング(ブロッキングが発生するか否か)を予測する。
【0119】
なお、制御局60は、指向性アンテナ800c,800dに対しても同様に、通信リンクに対して発生し得るブロッキング(ブロッキングが発生するか否か)を予測する。
【0120】
そして、制御局60は、予測部603がブロッキングが発生し得ると予測した場合(S206:Yes)にはS208の処理に進み、ブロッキングが発生し得ないと予測した場合(S206:No)には処理を終了する。
【0121】
S208の処理において、制御局60は、予測部603が発生し得ると予測したブロッキングが発生し得るタイミング(ブロッキングタイミング)を例えば飛翔体20bの飛行航路に基づいてタイミング算出部604が算出する。
【0122】
S210の処理において、制御局60は、予測部603が予測したブロッキングに対処するように、対処制御部605がブロッキングタイミングを含む制御情報を飛翔体20bに対して通知する。
【0123】
そして、飛翔体20bは、ブロッキングタイミングを含む制御情報に基づく通信制御を実施する(S212)。例えば、飛翔体20bは、ブロッキングが予測される時間帯に送信する信号に対して通信制御を行う。具体的には、飛翔体20bは、ブロッキングに対処する通信制御として、例えば指向性アンテナ800a,800bを指向性アンテナ800c,800dに切り替える制御を行う。
【0124】
同様に、飛翔体20bは、指向性アンテナ800c,800dによる通信においてブロッキングが発生し得ると予測した場合には、指向性アンテナ800c,800dを指向性アンテナ800a,800bに切り替える制御を行う。
【0125】
[第4実施形態]
第4実施形態にかかる無線通信システムは、第1実施形態にかかる無線通信システム10と同じ構成であるが、制御局60が行う処理が異なる。
【0126】
図17は、第4実施形態にかかる無線通信システムの制御局60が行う処理を示すフローチャートである。
【0127】
まず、制御局60は、例えば定期的に端末30の位置情報、飛翔体20の位置情報、及び飛翔体20の高度情報を、地上基地局40を介して取得する(S300)。
【0128】
次に、制御局60は、ブロッキングが発生し得ない飛翔体20のバンク角度、飛翔体20と端末30との間、及び、飛翔体20と地上基地局40との間それぞれの通信リンクの確立に必要な受信電力を示す情報に基づいて、飛翔体20の飛行航路(旋回航路)を算出して決定する(S302)。
【0129】
なお、制御局60は、飛翔体20の飛行速度、ブロッキングが発生し得ない飛翔体20のバンク角度などの情報を予め保持している。
【0130】
そして、制御局60は、地上基地局40が送信するテレメトリ信号によって飛翔体20を制御し、飛翔体20によるブロッキングに対処する(S304)。
【0131】
以下に、第4実施形態にかかる無線通信システムにおいて制御局60が行う制御の例について、
図18を用いてより具体的に説明する。
図18は、第4実施形態にかかる無線通信システムにおける各構成の位置関係を模式的に示す図である。
【0132】
制御局60は、端末30及び飛翔体20の位置情報及び高度情報、ブロッキングが発生し得ないバンク角度に基づいて、飛翔体20と地上基地局40が常時通信リンクを確立するための飛行領域(航行領域)を算出する。
【0133】
すなわち、制御局60は、ブロッキングが発生し得ないバンク角度に基づいて、飛翔体20の最小旋回半径Rminを求めた後、飛翔体20と端末30の通信リンク、及び飛翔体20と地上基地局40の通信リンクの双方を確立できる距離を算出して、飛行領域(航行領域)を算出する。
【0134】
ここでは、端末30と飛翔体20との間の受信レベル、及び飛翔体20と地上基地局40との間の受信レベルは、距離に依存することとする。
図18に示したように、端末30と飛翔体20の通信リンクを確立できる最大距離をD1
maxとすると、水平方向の最大距離D1
max_horは、飛翔体20の高度Hを用いて下式(3)により表される。
【0135】
【0136】
飛翔体20の高度Hを不変とすると、飛翔体20が最小旋回半径Rminより大きな旋回半径でD1max_horの範囲内の領域を旋回すると、ブロッキングは発生し得ない。この場合、制御局60は、高度H上の平面に飛翔体20と端末30との間の通信リンクを確立できる飛行領域を算出することができる。
【0137】
同様に、制御局60は、地上基地局40と飛翔体20との間の水平方向最大距離D2max_horも算出することができる。
【0138】
そして、制御局60は、飛翔体20と端末30との間の通信リンクを確立できる飛行領域と、地上基地局40と飛翔体20との間の通信リンクを確立できる飛行領域とが重複する領域を飛翔体20が飛行すべき飛行領域とする。
【0139】
その後、制御局60は、飛翔体20が飛行すべき飛行領域内を飛行するように、地上基地局40が送信するテレメトリ信号によって飛翔体20を制御する。よって、端末30と地上基地局40とは、飛翔体20がブロッキングを発生させることなく、安定した通信を行うことができる。
【0140】
なお、制御局60は、ブロッキングを発生させないような飛行領域を算出できない場合には、第1実施形態に示したように、ブロッキングタイミングを算出して通信制御を行ってもよい。
【0141】
[第5実施形態]
図19は、第5実施形態にかかる無線通信システム10bの構成を例示する図である。
図19に示すように、第5実施形態にかかる無線通信システム10bは、飛翔体20c、端末30、地上基地局40、静止衛星90、及び飛行体管制局95を有する。地上基地局40は、インターネットなどのネットワーク50及び制御局60に接続されている。
【0142】
静止衛星90は、地上基地局40と飛翔体20cとの間で無線通信を行う。また、静止衛星90は、データを送受信する無線通信とは別に、テレメトリ信号によって地上基地局40と通信を行う。
【0143】
飛行体管制局95は、テレメトリ信号によって飛翔体20cの飛行航路を制御し、飛翔体20cの位置情報及び高度情報を取得する。
【0144】
そして、端末30は、飛翔体20c、静止衛星90、及び地上基地局40を介してネットワーク50に接続する。
【0145】
図20は、飛翔体20cの構成例を示す図である。飛翔体20cは、機体200に対して垂直尾翼202及び一対の翼204が設けられている。また、飛翔体20cは、例えば機体200の上部及び下部にそれぞれRF装置70e,70fを備える。ただし、RF装置70e及びRF装置70fは、配置が分離されているが、互いに接続されて一体に構成されており、実質的にRF装置70(
図3参照)と同じ構成である。
【0146】
RF装置70eは、レドーム80eに覆われた指向性アンテナ(
図21参照)が接続されており、静止衛星90と通信リンクを張る。また、RF装置70fは、レドーム80fに覆われた指向性アンテナ(
図21参照)が接続されており、端末30と通信リンクを張る。
【0147】
また、飛翔体20cは、機体200に図示しない高度計、GPS及びテレメトリ信号用のアンテナや送受信機を有する。高度計は、飛翔体20cの高度情報を取得するために使用される。GPSは、飛翔体20cの位置情報を取得するために使用される。
【0148】
図21は、飛翔体20cが有するRF装置70e、RF装置70f及びその周辺の構成例を示す図である。RF装置70e及びRF装置70fは、接続されて一体に構成されており、例えばサーキュレータ700,700、周波数変換器702,702、及び信号増幅器704,704を有し、レドーム80e及びレドーム80fに覆われた2つの指向性アンテナ800e及び指向性アンテナ800fが設けられて非再生中継を行う。
【0149】
指向性アンテナ800eは、サーキュレータ700に接続され、静止衛星90に対してアンテナ指向を向けて通信リンクを張り、静止衛星90との間で無線信号を送受信する。指向性アンテナ800fは、サーキュレータ700に接続され、端末30に対してアンテナ指向を向けて通信リンクを張り、端末30との間で無線信号を送受信する。
【0150】
なお、静止衛星90も、
図3に示したRF装置70及び2つの指向性アンテナ800,800と実質的に同じ構成を有し、飛翔体20cと地上基地局40との間で非再生中継を行って通信リンクを張る。
【0151】
次に、第5実施形態にかかる無線通信システムの動作例について説明する。
図22は、第5実施形態にかかる無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【0152】
まず、制御局60は、例えば定期的に端末30の位置情報、飛翔体20cの位置情報、及び飛翔体20cの高度情報を、地上基地局40を介して取得する(S400)。このとき、飛翔体20cは、指向性アンテナ800eを使用して静止衛星90と通信を行い、指向性アンテナ800fを使用して端末30と通信を行っているとする。
【0153】
静止衛星90は、地上から見て高度や位置が相対的に不変である。よって、制御局60は、静止衛星90の相対的高度情報や位置情報を予め保持しているとする。
【0154】
そして、制御局60は、端末30と飛翔体20cとの間、及び飛翔体20cと静止衛星90との間それぞれの通信リンクの確立に必要な受信電力を示す情報に基づいて、飛翔体20cの飛行航路(旋回航路)を算出して決定する(S402)。
【0155】
次に、制御局60は、例えば予測部603が飛翔体20cの飛行航路及び飛行速度に基づいて飛翔体20cの傾き(旋回時の機体のバンク角度)を算出して(S404)、ブロッキングの発生を予測する(S406)。このとき、制御局60は、飛翔体20cの傾き、指向性アンテナ800e及び指向性アンテナ800fの指向方向、翼204の形状や大きさ、指向性アンテナ800e及び指向性アンテナ800fの取付位置などにより、通信リンクに対して発生し得るブロッキング(ブロッキングが発生するか否か)を予測する。
【0156】
そして、制御局60は、予測部603がブロッキングが発生し得ると予測した場合(S406:Yes)にはS408の処理に進み、ブロッキングが発生し得ないと予測した場合(S406:No)には処理を終了する。
【0157】
S408の処理において、制御局60は、予測部603が発生し得ると予測したブロッキングが発生し得るタイミング(ブロッキングタイミング)を例えば飛翔体20cの飛行航路に基づいてタイミング算出部604が算出する。
【0158】
S410の処理において、制御局60は、予測部603が予測したブロッキングの影響を軽減するように、対処制御部605がブロッキングタイミングを含む端末30及び地上基地局40に対する制御情報を地上基地局40に対して通知する。ここで、地上基地局40は、端末30に対する制御情報を、静止衛星90及び飛翔体20cを介して端末30へ通知する。
【0159】
そして、端末30及び地上基地局40は、それぞれブロッキングタイミングを含む制御情報に基づく通信制御を実施する(S412)。例えば、端末30及び地上基地局40は、それぞれブロッキングが予測される時間帯に送信する信号に対して通信制御を行う。具体的には、端末30及び地上基地局40は、ブロッキングの影響を軽減する通信制御として、例えば変調方式や誤り訂正の符号化率の制御を行う。
【0160】
なお、第5実施形態にかかる無線通信システムでは静止衛星90が通信リンクを張る場合を例に説明したが、無線通信システムは、低軌道衛星などが通信リンクを張るように構成されてもよい。
【0161】
低軌道衛星は軌道が決まっているため、制御局60は、地上に対する低軌道衛星の位置と時間を予め保持しておくことにより、同様に低軌道衛星との通信リンクに対するブロッキングに対処する通信制御を行うことができる。
【0162】
また、第5実施形態にかかる無線通信システムでは、静止衛星90が非再生中継を行って端末30及び地上基地局40が制御を行う場合を例に説明したが、静止衛星90は再生中継を行ってもよい。この場合、静止衛星90は、自機内の変復調器や誤り訂正符号化・復号器を制御して、通信品質の低下を低減することも可能である。
【0163】
[第6実施形態]
図23は、第6実施形態にかかる無線通信システム10cの構成を例示する図である。
図23に示すように、第6実施形態にかかる無線通信システム10cは、飛翔体20d,20e、端末30、地上基地局40、及び飛行体管制局96を有する。地上基地局40は、インターネットなどのネットワーク50及び制御局60に接続されている。
【0164】
飛翔体20dは、地上基地局40と飛翔体20eとの間で無線通信を行う。また、飛翔体20eは、飛翔体20dと地上基地局40との間で無線通信を行う。
【0165】
飛行体管制局96は、テレメトリ信号によって飛翔体20d及び飛翔体20eそれぞれの飛行航路を制御し、飛翔体20d及び飛翔体20eそれぞれの位置情報及び高度情報を取得する。
【0166】
そして、端末30は、飛翔体20d、飛翔体20e、及び地上基地局40を介してネットワーク50に接続する。なお、飛翔体20d及び飛翔体20eそれぞれは、上述した飛翔体20(
図2,3参照)と実質的に同一の構成を備えている。
【0167】
次に、第6実施形態にかかる無線通信システムの動作例について説明する。
図24は、第6実施形態にかかる無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【0168】
まず、制御局60は、例えば定期的に端末30の位置情報、飛翔体20d,20eそれぞれの位置情報、及び飛翔体20d,20eそれぞれの高度情報を、地上基地局40を介して取得する(S500)。
【0169】
そして、制御局60は、端末30と飛翔体20dとの間、飛翔体20dと飛翔体20eとの間、及び飛翔体20eと地上基地局40との間それぞれの通信リンクの確立に必要な受信電力を示す情報に基づいて、飛翔体20d及び飛翔体20eそれぞれの飛行航路(旋回航路)を算出して決定する(S502)。
【0170】
次に、制御局60は、例えば予測部603が飛翔体20d及び飛翔体20eそれぞれの飛行航路及び飛行速度に基づいて、飛翔体20d及び飛翔体20eそれぞれの傾き(旋回時の機体のバンク角度)を算出して(S504)、ブロッキングの発生を予測する(S506)。このとき、制御局60は、飛翔体20d及び飛翔体20eそれぞれの傾きなどを用いて、通信リンクに対して発生し得るブロッキング(ブロッキングが発生するか否か)を予測する。
【0171】
そして、制御局60は、予測部603がブロッキングが発生し得ると予測した場合(S506:Yes)にはS508の処理に進み、ブロッキングが発生し得ないと予測した場合(S506:No)には処理を終了する。
【0172】
S508の処理において、制御局60は、予測部603が発生し得ると予測したブロッキングが発生し得るタイミング(ブロッキングタイミング)を例えば飛翔体20d及び飛翔体20eそれぞれの飛行航路に基づいてタイミング算出部604が算出する。
【0173】
S510の処理において、制御局60は、予測部603が予測したブロッキングに対処するように、対処制御部605がブロッキングタイミングを含む端末30及び地上基地局40に対する制御情報を地上基地局40に対して通知する。ここで、地上基地局40は、端末30に対する制御情報を、飛翔体20e及び飛翔体20dを介して端末30へ通知する。
【0174】
そして、端末30及び地上基地局40は、それぞれブロッキングタイミングを含む制御情報に基づく通信制御を実施する(S512)。例えば、端末30及び地上基地局40は、それぞれブロッキングが予測される時間帯に送信する信号に対して通信制御を行う。具体的には、端末30及び地上基地局40は、ブロッキングの影響を軽減する通信制御として、例えば変調方式や誤り訂正の符号化率の制御を行う。
【0175】
このように、各実施形態にかかる無線通信システムは、飛翔体との間の通信リンクに対するブロッキングを予測し、飛翔体の飛行速度及び飛行航路に基づいて、予測したブロッキングが発生し得るタイミングを算出するので、飛翔体との間で行う無線通信のブロッキングによる品質低下を低減することができる。
【0176】
なお、制御局60が有する各機能は、それぞれ一部又は全部がハードウェアによって構成されてもよいし、CPU等のプロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。
【0177】
すなわち、制御局60は、コンピュータとプログラムを用いて実現することができ、プログラムを記憶媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0178】
10,10a,10b,10c・・・無線通信システム、20,20a~20e・・・飛翔体、30,30a・・・端末、31・・・アンテナ、34・・・信号処理部、36・・・GPS、37・・・制御部、40・・・地上基地局、41・・・アンテナ、44・・・信号処理部、46・・・テレメトリ信号送受信機、47・・・制御部、50・・・ネットワーク、60・・・制御局、70,70b,70e,70f・・・RF装置、80,80a~80f・・・レドーム、90・・・静止衛星、95,96・・・飛行体管制局、200・・・機体、204・・・翼、601・・・取得部、602・・・飛行航路算出部、603・・・予測部、604・・・タイミング算出部、605・・・対処制御部、706・・・スイッチ、708・・・制御部、800,800a~800d・・・指向性アンテナ、802・・・取付平面