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特許7458249被装着部材の固定構造、装着部品、及び、装着部品の固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】被装着部材の固定構造、装着部品、及び、装着部品の固定方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20240322BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240322BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20240322BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
F16B19/00 E
H02G3/04 087
F16B11/00 E
H02G3/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020106487
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001774
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】鷹巣 正司
(72)【発明者】
【氏名】森田 悠希
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189114(JP,A)
【文献】特開2010-019348(JP,A)
【文献】特開2020-067108(JP,A)
【文献】特開2000-192923(JP,A)
【文献】特開2008-291881(JP,A)
【文献】特開2017-087818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 19/00
H02G 3/04
F16B 11/00
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の装着箇所に装着される被装着部材と、
該被装着部材における取付箇所に取り付けられ、前記装着箇所に前記被装着部材を装着する装着部品とで構成され、
前記装着部品に、前記取付箇所に設けられた取付孔に挿入する挿入体が備えられ、
該挿入体における少なくとも前記取付孔への挿入方向の先端部分は、所定の温度で溶融する溶融体で構成され、
前記挿入体は、前記挿入方向に沿った前記取付孔の長さよりも長く、
前記取付孔が複数設けられ、
前記挿入体は、複数の前記取付孔に対応して複数設けられ、
複数の前記取付孔に挿入されたそれぞれの前記挿入体において、前記溶融体の少なくとも一部が溶融するとともに、溶融した前記溶融体が溶着して一体構成された係止部が形成されており、
該係止部が前記取付箇所に係止して、前記装着部品が前記取付箇所に取り付けられている
被装着部材の固定構造。
【請求項2】
前記係止部が、前記取付孔の貫通方向に交差する交差方向に突出し、前記挿入方向の先端側における前記取付孔の周縁部に係止する
請求項1に記載の被装着部材の固定構造。
【請求項3】
前記係止部を第1係止部とし、
前記取付孔の内面又は前記取付孔の前記周縁部に凹部又は凸部が形成され、
前記溶融体の少なくとも一部が溶融して前記凹部又は前記凸部に対応する形状の第2係止部が形成され、
前記第2係止部が前記凹部又は前記凸部に係止する
請求項2に記載の被装着部材の固定構造。
【請求項4】
前記取付孔の内面に凹部又は凸部が形成され、
前記係止部が、前記凹部又は前記凸部に対応する形状で形成され、前記凹部又は前記凸部に係止する
請求項1に記載の被装着部材の固定構造。
【請求項5】
前記取付孔の孔形状が、真円でない回転防止形状である
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の被装着部材の固定構造。
【請求項6】
前記挿入体が、前記取付孔に対応する形状である
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載の被装着部材の固定構造。
【請求項7】
前記挿入体は、前記挿入方向の後端側に、前記取付孔に挿通されない未挿通部分が備えられ、
該未挿通部分に、前記挿入方向の後端側における前記取付孔の周縁部に当接する長さ調節部が取り付けられている
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載の被装着部材の固定構造。
【請求項8】
前記取付孔の前記挿入方向が、前記取付箇所の厚み方向に対して傾斜する傾斜部分で構成され、
前記挿入体が、少なくとも前記傾斜部分まで挿入されている
請求項1乃至請求項7のうちいずれかに記載の被装着部材の固定構造。
【請求項9】
前記装着部品に、前記挿入体の前記挿入方向の後方に配置され、前記取付孔への前記挿入体の挿入位置を規制する規制体が備えられ、
前記係止部と前記規制体とで前記取付箇所が挟持されている
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載の被装着部材の固定構造。
【請求項10】
前記溶融体の溶融に伴い溶融した前記取付箇所の少なくとも一部と前記係止部が溶着している
請求項1乃至請求項9のうちいずれかに記載の被装着部材の固定構造。
【請求項11】
所定の装着箇所に装着される被装着部材の取付箇所に取り付けられ、前記装着箇所に前記被装着部材を装着する装着部品であって、
前記被装着部材の取付箇所に設けられた取付孔に挿入する挿入体を備え、
該挿入体における少なくとも前記取付孔への挿入方向の先端部分は、所定の温度で溶融する溶融体で構成されており、
前記挿入体は、前記挿入方向に沿った前記取付孔の長さよりも長く形成されるとともに、複数設けられた前記取付孔に対応して複数設けられ、
複数の前記取付孔に挿入された状態において、前記溶融体の少なくとも一部が溶融されるとともに、溶融したそれぞれの前記溶融体が溶着して一体構成された係止部を形成する
装着部品。
【請求項12】
前記挿入体が、前記取付孔に対応する形状である
請求項11に記載の装着部品。
【請求項13】
前記挿入体の前記先端部分に、前記取付孔の貫通方向に交差する交差方向に突出し、前記取付孔の周縁部に係止される仮留部が設けられた
請求項11又は請求項12に記載の装着部品。
【請求項14】
所定の装着箇所に装着される被装着部材に、請求項11乃至請求項13のうちいずれかに記載の装着部品を取り付け、前記装着部品を介して前記装着箇所に前記被装着部材を装着する装着部品の固定方法であって、
前記挿入体を前記取付孔に挿入して、前記挿入体における前記溶融体の少なくとも一部を溶融させて係止部を形成し、
該係止部を前記取付箇所に係止して前記装着部品を前記取付箇所に取り付ける
装着部品の固定方法。
【請求項15】
所定の装着箇所に装着される被装着部材に、請求項13に記載の装着部品を取り付け、前記装着部品を介して前記装着箇所に前記被装着部材を装着する装着部品の固定方法であって、
前記挿入体を前記取付孔に挿入して、前記取付孔の周縁部に前記仮留部を係止し、
前記挿入体における前記溶融体の少なくとも一部を溶融させて係止部を形成し、
該係止部を前記取付箇所に係止して前記装着部品を前記取付箇所に取り付ける
装着部品の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両における所定の装着箇所に装着し、ワイヤーハーネスや電線を挿通させて保護するプロテクタなどを構成する被装着部材と、装着箇所に被装着部材を装着するための装着部品とで構成される被装着部材の固定構造、装着部品、及び、装着部品の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両等に配索される電線を挿通して保護したり、経路規制したりするプロテクタとして、例えば、板材を折り曲げた四角筒状体の一面に設けられた貫通孔に、車体に取り付けるための装着部品を装着したものが、特許文献1に開示されている。
【0003】
詳述すると、四角筒状体の一面に設けられた貫通孔は、板材の幅方向に沿って幅広な方形状の幅広部と、幅広部よりも幅狭で板材の長手方向に延びる幅狭部とで平面視T字状に構成されている。一方、装着部品は、車体に装着するクリップ部分と、貫通孔に挿入され、板材を保持するように係止する係止部とで構成されている。
【0004】
この係止部は、幅広部より幅狭で、幅狭部より幅広である一対の固定片を備え、貫通孔の幅広部から挿入し、幅狭部に滑らせることで四角筒状体に係止することができる。このようにして貫通孔に装着部品を取り付けた四角筒状体は、車両の所定箇所に装着することができるとされている。
【0005】
しかしながら、車両への装着状態において、走行時の振動等によって、貫通孔の幅狭部に挿入して取り付けた係止部がガタついたり、相対的に幅広部に移動して装着部品が被装着部材である四角筒状体から外れるおそれがあるなど、被装着部材に対する装着部品の装着状態が不安定になるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-055510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述した問題を鑑み、被装着部材に対する装着部品の装着安定性を向上させることができる被装着部材の固定構造、装着部品、及び、装着部品の固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、所定の装着箇所に装着される被装着部材と、該被装着部材における取付箇所に取り付けられ、前記装着箇所に前記被装着部材を装着する装着部品とで構成され、前記装着部品に、前記取付箇所に設けられた取付孔に挿入する挿入体が備えられ、該挿入体における少なくとも前記取付孔への挿入方向の先端部分は、所定の温度で溶融する溶融体で構成され、前記挿入体は、前記挿入方向に沿った前記取付孔の長さよりも長く、前記取付孔が複数設けられ、前記挿入体は、複数の前記取付孔に対応して複数設けられ、複数の前記取付孔に挿入されたそれぞれの前記挿入体において、前記溶融体の少なくとも一部が溶融するとともに、溶融した前記溶融体が溶着して一体構成された係止部が形成されており、該係止部が前記取付箇所に係止して、前記装着部品が前記取付箇所に取り付けられている被装着部材の固定構造であることを特徴とする。
上述の係止部が前記取付箇所に係止してとは、前記係止部が、前記取付箇所における前記取付孔の周縁部や前記取付孔の内面など、前記取付箇所を構成するいずれかの部位に係止することを意味する。
【0009】
この発明により、被装着部材に対する装着部品の装着安定性を向上させることができる。
詳述すると、前記係止部は、前記溶融体の少なくとも一部が溶融して形成されたものであるため、公差などの影響を受けることなく、前記取付箇所に対して隙間なく係止させることができる。
【0010】
また、前記取付孔に挿入された前記挿入体の前記先端部分である前記溶融体が溶融された際、溶融された前記溶融体の一部が前記挿入体を伝わり、前記挿入体と前記取付孔の隙間の少なくとも一部が溶融体で充填されることになる。これにより、前記挿入体と前記取付孔との隙間の少なくとも一部が、溶融された前記溶融体で埋められている。
【0011】
このように、溶融した前記溶融体により形成された前記係止部により、前記装着部品が前記取付箇所に隙間なく取り付けられているため、前記取付孔に対し、前記装着部品が相対移動することが抑制され、装着部品のガタつきなどを抑制できる。したがって、被装着部材に対する装着部品の装着安定性を向上させることができる。
【0012】
この発明の態様として、前記係止部が、前記取付孔の貫通方向に交差する交差方向に突出し、前記挿入方向の先端側における前記取付孔の周縁部に係止されてもよい。
この発明により、前記取付孔に特段の構成を設けることなく、前記交差方向に突出された前記係止部とするだけで、前記装着部品が前記被装着部材に取り付けられた構成とすることができる。したがって、全体の構成を簡素化できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記係止部を第1係止部とし、前記取付孔の内面又は前記取付孔の前記周縁部に凹部又は凸部が形成され、前記溶融体の少なくとも一部が溶融して前記凹部又は前記凸部に対応する形状の第2係止部が形成され、前記第2係止部が前記凹部又は前記凸部に係止されてもよい。
この発明により、前記第1係止部及び前記第2係止部により前記装着部品を被装着部材に取り付けることができるため、被装着部材に対する装着部品の安定性をより向上させることができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記取付孔の内面に凹部又は凸部が形成され、前記係止部が、前記凹部又は前記凸部に対応する形状で形成され、前記凹部又は前記凸部に係止してもよい。
この発明により、前記挿入体の前記先端部分が前記取付孔から貫通方向に突出することなく、前記取付孔の内面に形成された凹部又は凸部に前記係止部が係止させることができる。したがって、前記挿入体が他の部材と干渉することを回避できるとともに、被装着部材に対する装着部品の装着安定性を向上させることができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記取付孔の孔形状が、真円でない回転防止形状であってもよい。
上述の真円でない回転防止形状とは、平面視において、重心からの距離がいずれの部分でも等しい真円に対し、少なくとも一部に重心からの距離が他の部分と異なる部分が存在することを意味する。
【0016】
この発明により、前記被装着部材に取り付けられた前記装着部品が回転することを防止でき、前記被装着部材に対する前記装着部品の安定性を向上させることができる。
詳述すると、前記取付孔の孔形状が真円でない回転防止形状であるため、前記取付孔には、平面視において、その重心からの距離が他の部分と異なる部分が生じ、溶融により一部が前記取付孔と略同形状となった前記挿入体の回転が規制される。換言すると、前記挿入体の一部を溶融して構成された前記係止部は、前記挿入体と前記取付孔の隙間を前記溶融体が埋めるように構成されているため、その部分については前記挿入体が前記取付孔の孔形状と略同形状となる。これにより、前記挿入体が前記取付孔に対して回転することを防止でき、前記被装着部材に対する前記装着部品の安定性を向上させることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記挿入体が、前記取付孔に対応する形状であってもよい。
この発明により、前記挿入体と前記取付孔との隙間を少なくすることができるため、前記挿入体と前記取付孔との隙間を前記溶融体で確実に埋めることができ、被装着部材に対する装着部品のガタつきや回転などを抑制できる。したがって、装着部品に対する被装着部材の安定性を向上させることができる。また、装着部品を被装着部材に装着する際においても装着部品のガタつきや回転などが抑制され、装着作業の作業性を向上できる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記挿入体は、前記挿入方向の後端側に、前記取付孔に挿通されない未挿通部分が備えられ、該未挿通部分に、前記挿入方向の後端側における前記取付孔の前記周縁部に当接する長さ調節部が取り付けられてもよい。
【0019】
この発明により、前記被装着部材の厚み等にかかわらず、被装着部材に対する装着部品の装着安定性を向上させることができる。
詳述すると、前記被装着部材の厚み等によっては、前記挿入体のすべてを前記取付孔に挿入するのではなく、一部は前記取付孔に挿通せずに残しておく場合がある。そして、このような前記未挿通部分に対し前記長さ調整部を取り付けるため、前記挿入方向の後端側から前記取付孔の前記周縁部に当接する前記長さ調整部により、前記挿入方向への前記挿入体の相対移動を規制できる。したがって、前記被装着部材の厚み等にかかわらず、被装着部材に対して装着部品を安定的に装着させることができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記取付孔の貫通方向が、前記取付箇所の厚み方向に対して傾斜する傾斜部分で構成され、前記挿入体が、少なくとも前記傾斜部分まで挿入されていてもよい。
【0021】
この発明により、前記取付孔に前記厚み方向に対して傾斜する前記傾斜部分に前記挿入体が挿入されているため、少なくとも前記傾斜部分によって前記厚み方向まわりの回転が規制される。したがって、前記取付孔に対し、前記挿入体が回転することを防止できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記装着部品に、前記挿入体の前記挿入方向の後方に配置され、前記取付孔への前記挿入体の挿入位置を規制する規制体が備えられ、前記係止部と前記規制体とで前記取付箇所が挟持されてもよい。
この発明により、前記係止部と前記規制体とで前記取付箇所が挟持されるため、装着部品のガタつきなどをより抑制できる。したがって、被装着部材に対する装着部品の装着安定性を向上させることができる
【0023】
またこの発明の態様として、前記溶融体の溶融に伴い溶融した前記取付箇所の少なくとも一部と前記係止部が溶着していてもよい。
この発明により、前記係止部が前記取付箇所に溶着するため、装着部品のガタつきなどをより抑制できる。したがって、被装着部材に対して装着された装着部品の安定性をより向上させることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記取付孔が複数設けられ、前記挿入体は、複数の前記取付孔のそれぞれに挿入される挿入片が前記取付孔に対応して複数設けられてもよい。
この発明により、複数の前記取付孔のそれぞれに前記挿入片が挿入されているため、前記挿入片を回転軸として前記挿入体が回転することを防止できる。
【0025】
またこの発明は、所定の装着箇所に装着される被装着部材の取付箇所に取り付けられ、前記装着箇所に前記被装着部材を装着する装着部品であって、前記被装着部材の取付箇所に設けられた取付孔に挿入する挿入体を備え、該挿入体における少なくとも前記取付孔への挿入方向の先端部分は、所定の温度で溶融する溶融体で構成されており、前記挿入体は、前記挿入方向に沿った前記取付孔の長さよりも長く形成されるとともに、複数設けられた前記取付孔に対応して複数設けられ、複数の前記取付孔に挿入された状態において、前記溶融体の少なくとも一部が溶融されるとともに、溶融したそれぞれの前記溶融体が溶着して一体構成された係止部を形成することを特徴とする。
【0026】
この発明により、上述した被装着部材の固定構造を効率的に得ることができる。
【0027】
この発明の態様として、前記挿入体が、前記取付孔に対応する形状であってもよい。
この発明により、前記挿入体と前記取付孔との隙間を抑制できるため、前記被装着部材に取り付けた装着部品のガタつきや回転などを抑制できて、被装着部材を装着部品に安定的に装着できる。また、前記装着部品を被装着部材に装着する際においても装着部品のガタつきや回転などが抑制され、装着作業の作業性を向上できる。
【0028】
また、この発明の態様として、前記挿入体の前記先端部分に、前記取付孔の貫通方向に交差する交差方向に突出し、前記取付孔の周縁部に係止される仮留部が設けられてもよい。
この発明により、前記取付孔に前記挿入体を挿入した際に、前記仮留部により前記取付孔に対し前記挿入体を仮留めできる。これにより、前記溶融体を溶融する際に作業者が前記挿入体を支持する必要がない。したがって、装着作業の作業性を向上できる。
【0029】
また、この発明は、所定の装着箇所に装着される被装着部材に、上述の装着部品を取り付け、前記装着部品を介して前記装着箇所に前記被装着部材を装着する装着部品の固定方法であって、前記挿入体を前記取付孔に挿入して、前記挿入体における前記溶融体の少なくとも一部を溶融させて係止部を形成し、該係止部を前記取付箇所に係止して前記装着部品を前記取付箇所に取り付けることを特徴とする。
【0030】
この発明により、上述した被装着部材の固定構造を効率的に得ることができる。
【0031】
また、この発明は、所定の装着箇所に装着される被装着部材に、上述の装着部品を取り付け、前記装着部品を介して前記装着箇所に前記被装着部材を装着する装着部品の固定方法であって、前記挿入体を前記取付孔に挿入して、前記取付孔の周縁部に前記仮留部を係止し、前記挿入体における前記溶融体の少なくとも一部を溶融させて係止部を形成し、該係止部を前記取付箇所に係止して前記装着部品を前記取付箇所に取り付けることを特徴とする。
【0032】
この発明により、前記取付孔に前記挿入体を挿入した際に、前記仮留部により前記取付孔に対し前記挿入体を仮留めできる。これにより、前記溶融体を溶融する際に作業者が前記挿入体を支持する必要がない。したがって、装着作業の作業性を向上でき、上述した被装着部材の固定構造を効率的に得ることができる。
【発明の効果】
【0033】
この発明によれば、被装着部材に対する装着部品の装着安定性を向上させることができる被装着部材の固定構造、装着部品、及び、装着部品の固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態のプロテクタの概略斜視図。
図2】第1実施形態のクリップの概略斜視図。
図3】第1実施形態のプロテクタの説明図。
図4】第1実施形態のプロテクタの説明図。
図5】第1実施形態のプロテクタの説明図。
図6】第2実施形態のプロテクタの説明図。
図7】第2実施形態のプロテクタの説明図。
図8】第3実施形態のプロテクタの説明図。
図9】第3実施形態のプロテクタの説明図。
図10】第4実施形態のプロテクタの説明図。
図11】第5実施形態のプロテクタの説明図。
図12】第6実施形態のプロテクタの説明図。
図13】第6実施形態のプロテクタの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は第1実施形態のプロテクタ1の概略斜視図を示し、具体的には、クリップ20をプロテクタ本体10に取付けたプロテクタ1の概略斜視図を示す。図2(a)は第1実施形態のクリップ20のアンカー部30側の概略斜視図を示し、図2(b)は第1実施形態のクリップ20のクリップ本体部40側の概略斜視図を示す。
【0036】
図3はクリップ20をプロテクタ本体10における取付孔12に取付ける前の状態の概略斜視図を示す。図4(a)はプロテクタ本体10に取付けたクリップ20において係止部44を形成する前の状態の概略斜視図を示し、図4(b)は同状態の断面図を示す。図5(a)はプロテクタ本体10に取付けたクリップ20において係止部44を形成した後の状態の概略斜視図を示し、図5(b)は同状態の断面図を示す。
【0037】
なお、図1では、プロテクタ本体10に設けた2つの取付孔12のうち一方の取付孔12に取付けられたクリップ20を透過状態で図示している。また、図1において、プロテクタ本体10の内部空間Sに挿通されたワイヤーハーネスWHを透過状態で図示している。
【0038】
プロテクタ1は、四角筒状のプロテクタ本体10における取付孔12に、クリップ20を取付けて構成している。
プロテクタ本体10は、側面視略正方形状の倒位の四角筒状体であり、内部に長手方向Lに貫通する内部空間Sを有している。この内部空間Sは、ワイヤーハーネスWHを長手方向Lに挿通する空間である。
【0039】
なお、図1に示すように、倒位の四角筒状であるプロテクタ本体10の長手方向を長手方向Lとし、長手方向Lに直交する方向を幅方向Wとしている。また、プロテクタ本体10の取付孔12にクリップ20を挿着する方向を挿入方向Iとする。
【0040】
プロテクタ本体10は、樹脂シートを折り曲げて構成している。詳述すると、側面視略正方形状の倒位の四角筒状体であるプロテクタ本体10は、各面を構成する部分が連続した樹脂シートを各辺部分で山折りし、一面を重ねて溶着して構成している。
【0041】
なお、本実施形態では、上面部材11と対向する底面を重ねて構成しているが、一対の側面の一方を重ねて構成してもよい。また、連続する複数面を重ねて構成してもよい。
【0042】
プロテクタ本体10を構成する熱可塑性樹脂発泡シートの密度は、特に限定されないが、例えば、機械的特性の異方性を防止、すなわち、機械的特性を等方化して、プロテクタ本体10の設計の自由度を向上させ、また、プロテクタ本体10に収容されたワイヤーハーネスWH方向への応力に対する強度をより向上させる点から、200Kg/m以上1000Kg/m以下が好ましく、軽量性と機械的強度とのバランスをより向上させる点から、300Kg/m以上600Kg/m以下がより好ましく、350Kg/m以上550Kg/m以下が特に好ましい。
【0043】
プロテクタ本体10を構成する熱可塑性樹脂発泡シートの厚さは、特に限定されないが、例えば、折り曲げ容易性と機械的強度、特に、プロテクタ本体10に収容されたワイヤーハーネスWH方向への応力に対する機械的強度とのバランスをより向上させる点から、0.50mm以上4.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下が特に好ましい。また、熱可塑性樹脂発泡シートには、両面又は片面に、非発泡層が形成されていてもよい。すなわち、熱可塑性樹脂発泡シートは、発泡層と該発泡層上に形成された非発泡層とを有する構成としてもよい。熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成されていることにより、プロテクタ本体10の機械的強度が向上して、収容されるワイヤーハーネスWHの保護性能がより向上する。非発泡層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0044】
また、プロテクタ本体10を構成する熱可塑性樹脂発泡シートの発泡層の気泡数密度は、特に限定されず、その下限値は、機械的特性の異方性をより確実に防止する点から、800個/mm以上が好ましく、1000個/mm以上が特に好ましい。一方で、上述の気泡数密度の上限値は、優れた機械的強度をより確実に得る点から、例えば、1010個/mm以下を挙げることができる。
上述のような樹脂シートを折り曲げて構成したプロテクタ本体10の上面部材11を含む各面は板状に構成される。
【0045】
このように樹脂シートで構成された四角筒状であるプロテクタ本体10における上面部材11に複数の取付孔12を、長手方向Lに所定間隔を隔てて設けている。なお、本実施形態では2つの取付孔12を設けているが、プロテクタ本体10の長さや、内部空間Sに挿通するワイヤーハーネスWHの重量等の諸条件によって装着する適宜の数のクリップ20に対応する数の取付孔12を設ければよい。
【0046】
取付孔12は、上面部材11を厚み方向、すなわち挿入方向Iに貫通する、平面視略矩形状の開口である。つまり、取付孔12の孔形状を平面視略矩形状とし、真円でない回転防止形状としており、詳しくは後述するが、これによりクリップ20の回転を防止できる。
【0047】
上面部材11における取付孔12に装着するクリップ20は、図2に示すように、車両のエンジンルームなどの所定の装着箇所に設けたアンカー孔(図示省略)に挿着するアンカー部30と、取付孔12に挿通するクリップ本体部40とで構成している。
【0048】
アンカー部30は、アンカー部30をアンカー孔に装着した際に、車体パネルに押付けられる略皿状の皿部31と、皿部31の中央から延び、アンカー孔に挿入されて係止する挿入係止部32を有する。挿入係止部32の先端には、皿部31に向かって逆ハ字形に延びる係止アーム33を有する。このように構成されたアンカー部30は、アンカー部30をアンカー孔に装着した際に、係止アーム33が撓んでアンカー孔を通過し、皿部31と係止アーム33とで車体パネルを挟み込むように装着される。
【0049】
クリップ本体部40は、熱可塑性樹脂であるポリプロピレンで構成されており、図2に示すように、所定の長さに形成された挿入体41と、挿入体41の先端部分において、挿入方向Iに交差する交差方向に突出する仮留部42とで構成している。
なお、挿入方向Iに直交する方向のうち、平面視略矩形状の挿入体41における長辺方向を長辺方向Xとし、挿入体41における短辺方向を短辺方向Yとしている(図2参照)。
【0050】
挿入体41は、平面視略矩形状の棒状であり、取付孔12に対応する形状で形成されている。また、挿入体41の挿入方向Iの長さは、上面部材11の板厚よりも長く形成され、長辺方向X及び短辺方向Yの幅は、取付孔12の長辺及び短辺よりもわずかに小さく形成されている。なお、挿入体41の挿入方向Iの先端は、先端に向かうにつれて長辺方向Xの幅が先細りするテーパー部411が形成されている。
【0051】
仮留部42は、挿入体41の平面視における長辺部分の両側に設けられ、短辺方向Yに向かって突出するように形成されている。この仮留部42は、一方の仮留部42の頂部から他方の仮留部42の頂部までの間隔が、取付孔12の一辺の長さよりわずかに長くなるように形成されている。
【0052】
また、各仮留部42は、挿入方向Iに沿う断面形状が山形であり、挿入方向Iの先端側の傾斜面の傾斜角度が、挿入方向Iの後端側の傾斜面の傾斜角度より緩やかに形成されている。そして、各仮留部42は、挿入方向Iにおける後端と挿入体41の末端との間隔が、上面部材11の板厚よりもわずかに小さくなる位置に形成されている。換言すれば、仮留部42の後端とアンカー部30の皿部31との間隔が取付孔12の挿入方向Iの沿った長さよりも狭い。
【0053】
クリップ本体部40は、挿入体41及び仮留部42の全体が、所定の温度で溶融する熱可塑性の樹脂素材等の溶融体で構成されている。つまり、融点を超える温度で加熱することにより、溶融体を溶かして変形させることができ、また、変形した状態で加熱を止めることにより、被加熱部分が変形後の形状で保たれる。
より具体的には、150~160℃の熱を加えることで、挿入体41及び仮留部42の全体が、溶融し、変形させることができる。
【0054】
このように構成したクリップ20は、図3に示すように、上面部材11の取付孔12に対して、挿入方向Iに沿って移動させることにより、クリップ本体部40を取付孔12に挿通させることができる。なお、板状の取付孔12の周縁部は、クリップ本体部40を取付孔12に通過させる際に、仮留部42によって押圧されて撓み変形する。
【0055】
そして、仮留部42が取付孔12を貫通すると、図4(a)及び図4(b)に示すように、短辺方向Yに向かって突出する仮留部42が取付孔12の周縁部に係止し、クリップ20がプロテクタ本体10に対して仮留めされる。
【0056】
ここで、挿入体41の長辺方向X及び短辺方向Yの幅が、取付孔12の長辺及び短辺よりもわずかに小さく形成されているため、仮留部42が取付孔12の周縁部に係止する仮留状態では、挿入体41と取付孔12の内面との間には、わずかな隙間が形成されている。
【0057】
また、アンカー部30の皿部31のプロテクタ本体10側の面が、仮留部42とは反対側の取付孔12の周縁部と当接している。つまり、皿部31は、取付孔12への挿入体41の挿入位置を規制する規制体として機能する。また、仮留部42の後端とアンカー部30の皿部31との間隔が上面部材11の厚みよりも狭いため、仮留部42と皿部31とで上面部材11における取付孔12の周縁部を挟持する状態となっている。
【0058】
そして、取付孔12の周縁部に仮留めしたクリップ本体部40において、挿入体41のうち、取付孔12から挿入方向Iの先端側に突出した被加熱部分43を溶融させることで、係止部44を形成し(図5(a)及び図5(b)参照)、クリップ20のプロテクタ本体10への取付を完了させることができる。
【0059】
具体的には、挿入方向Iの先端側から被加熱部分43をヒーター等で加熱して溶融させ、プロテクタ本体10に向かって、被加熱部分43を押しつぶすようにして変形させる。これにより、被加熱部分43の一部が取付孔12と挿入体41との隙間に入り込みつつ、取付孔12の周縁部を拡がるように変形され、取付孔12の周縁部に沿う平面方向に延びる板状の係止部44が形成される。
【0060】
このように形成された係止部44は、取付孔12を蓋するように取付孔12の周縁部に係止されるとともに、仮留部42とは反対側の取付孔12の周縁部と当接した皿部31のプロテクタ本体10側の面とで、取付孔12の周縁部を挟持することとなる。
【0061】
また、被加熱部分43を溶融させることで係止部44を形成させることにより、溶融された被加熱部分43の一部が取付孔12と挿入体41との隙間に入り込み、仮留状態において挿入方向Iの先端側に形成されていた隙間を埋めることができる(図5(a)参照)。
【0062】
さらにまた、被加熱部分43の溶融に伴い、取付孔12の周縁部や内面部分の少なくとも一部も溶融させることで、被加熱部分43から形成された係止部44と取付孔12の周縁部や内面部分と溶着させることができる。
【0063】
詳述すると、プロテクタ本体10は熱可塑性樹脂発泡シートで構成されているため、加熱された被加熱部分43と接する取付孔12の周縁部や内面部分が、被加熱部分43とともに溶融される。その後に、被加熱部分43に対する加熱を止めることで、溶融された取付孔12の周縁部や内面部分と、被加熱部分43から形成された係止部44とを溶着させることができる。
【0064】
このようにプロテクタ本体10の上面部材11にクリップ20を取付けたプロテクタ1は、プロテクタ本体10の内部空間Sに、ワイヤーハーネスWHを挿通させる。そして、内部空間SにワイヤーハーネスWHを挿通したプロテクタ1を、車両のエンジンルームなどの所定の装着箇所に設けたアンカー孔(図示省略)にクリップ20のアンカー部30を挿入してプロテクタ1を所定の装着箇所に装着することができる。これにより、プロテクタ1の内部空間Sを挿通するワイヤーハーネスWHを所定の配索経路で配索できるとともに、内部空間Sを挿通するワイヤーハーネスWHを保護することができる。
【0065】
このようにプロテクタ1は、所定のアンカー孔に装着されるプロテクタ本体10と、プロテクタ本体10における取付孔12に取付けられ、アンカー孔に向かって突出し、アンカー孔にプロテクタ本体10を装着するクリップ20とで構成されている。このクリップ20には、取付孔12に挿入する挿入体41が備えられ、挿入体41は所定の温度で溶融する溶融体で構成されている。そして、取付孔12に挿入された挿入体41において、溶融体が溶融して係止部44が形成されており、係止部44が取付孔12に係止してクリップ20が取付孔12に取り付けられている。
【0066】
これにより、プロテクタ本体10に対するクリップ20の装着安定性を向上させることができる。
詳述すると、係止部44は、溶融体である係止部44の先端部分が溶融して形成されたものであるため、公差などの影響を受けることなく、取付孔12の周縁部に対して隙間なく係止させることができる。
【0067】
また、取付孔12に挿入された挿入体41の先端部分が溶融された際、溶融された挿入体41(溶融体)の一部が挿入体41を伝わり、挿入体41と取付孔12の隙間の少なくとも一部が溶融体で充填されることになる。すなわち、挿入体41と取付孔12との隙間の少なくとも一部が、溶融された溶融体で埋められている。
【0068】
このように、熱可塑性の樹脂素材で構成された係止部44により、クリップ20が取付孔12との間に隙間なく取り付けられるため、取付孔12に対してクリップ20が相対移動することが抑制され、クリップ20のガタつきなどを抑制できる。これにより、プロテクタ本体10に対するクリップ20の装着安定性を向上させることができる。
【0069】
また、係止部44が、取付孔12の貫通方向に交差する交差方向に突出し、取付孔12の周縁部に係止されている。これにより、取付孔12に特段の構成を付与することなく、交差方向に突出された係止部44とするだけで、クリップ20をプロテクタ本体10に取り付けることができる。これにより、全体の構成を簡素化できる。
【0070】
また、取付孔12の孔形状が平面視略矩形状であり、真円でない回転防止形状であるため、プロテクタ本体10に取り付けられたクリップ20が回転することを防止でき、プロテクタ本体10に対するクリップ20の装着安定性をより向上させることができる。
【0071】
詳述すると、取付孔12の孔形状が真円でなく、平面視において、その重心からの距離が他の部分と異なる部分が生じる回転防止形状である。これにより、一部が取付孔12と略同形状となるように溶融された挿入体41の回転が規制される。換言すると、挿入体41の一部を溶融して構成された係止部44は、挿入体41と取付孔12の隙間が溶融体で埋めらるように構成されているため、その部分については挿入体41が取付孔12の孔形状と略同形状となる。これにより、挿入体41(係止部44)が取付孔12に対して回転することを防止でき、プロテクタ本体10に対するクリップ20の安定性を向上させることができる。
【0072】
また、挿入体41が平面視略矩形状であり、平面視略矩形状である取付孔12に対応する形状であるため、挿入体41と取付孔12との隙間を少なくすることができる。これにより、挿入体41と取付孔12との間に生じる隙間を溶融された挿入体41で確実に埋めることができれ、プロテクタ本体10に対するクリップ20のガタつきや回転などを抑制できる。また、クリップ20をプロテクタ本体10に装着する際においてもクリップ20のガタつきや回転などが抑制され、装着作業の作業性を向上できる。
【0073】
また、クリップ20に、挿入体41の挿入方向Iの後方に配置され、取付孔12への挿入体41の挿入位置を規制する皿部31が備えられ、係止部44と皿部31とで取付孔12が挟持されているため、クリップ20のガタつきなどをより抑制できる。
【0074】
さらにまた、被加熱部分43の溶融に伴い溶融したプロテクタ本体10側の溶融箇所の少なくとも一部と係止部44が溶着しているため、プロテクタ本体10に対し、より安定的にクリップ20を取付けることができる。したがって、プロテクタ本体10に対するクリップ20の装着安定性をより向上させることができる。
【0075】
また、挿入体41の先端部分に、取付孔12の貫通方向(挿入方向I)に交差する交差方向に突出し、取付孔12の周縁部に係止される仮留部42が設けられているため、取付孔12に挿入体41を挿入した際に、仮留部42により取付孔12に対し挿入体41を仮留めできる。これにより、被加熱部分43を溶融する際に作業者がクリップ20を支持する必要がない。したがって、装着作業の作業性を向上できる。
【0076】
また、所定のアンカー孔に装着されるプロテクタ本体10に、クリップ20を取り付け、クリップ20を介してアンカー孔にプロテクタ本体10を装着するプロテクタ本体10の固定方法において、挿入体41を取付孔12に挿入して、挿入体41を溶融させて係止部44を形成し、係止部44を取付孔12に係止することでクリップ20を取り付けている。これにより、上述したプロテクタ本体10の固定構造を効率的に得ることができる。
【0077】
さらにまた、挿入体41の先端部分に、取付孔12の貫通方向に交差する交差方向に突出し、取付孔12の周縁部に係止される仮留部42が設けられている。そして、当該固定方法において、挿入体41を取付孔12に挿入して、取付孔12の周縁部に仮留部42を係止し、挿入体41を溶融させて係止部44を形成し、係止部44を取付孔12に係止してクリップ20を取付孔12に取り付けている。
【0078】
これにより、取付孔12に挿入体41を挿入した際に、仮留部42により取付孔12に対し挿入体41を仮留めできる。これにより、被加熱部分43を溶融する際に作業者がクリップ20を支持する必要がない。したがって、装着作業の作業性を向上でき、上述した被装着部材の固定構造を効率的に得ることができる。
【0079】
また、プロテクタ本体10は、軽量であるとともに、変形性が高い樹脂シートで構成されているため、取り扱い性が高く、且つ挿入体41を樹脂シートで構成されたプロテクタ本体10の上面部材11に設けた取付孔12に容易に挿入して、クリップ20を取付けることができる。
【0080】
さらにまた、プロテクタ本体10は、加工性が高い板状の樹脂シートを折り曲げて構成されているため、所望の立体形状のプロテクタ本体10を簡易に構成することができる。
【0081】
続いて、第2実施形態のプロテクタ1aについて図6及び図7とともに説明する。
なお、図6(a)は、プロテクタ本体10aに取付けたクリップ20aにおいて係止部44aを形成する前の断面平面図を示し、図6(b)は、同状態の断面正面図を示す。図7(a)は、プロテクタ本体10aに取付けたクリップ20aにおいて係止部44aを形成した後の断面平面図を示し、図7(b)は、同状態の断面正面図を示す。
【0082】
また、以下の説明において、上述のプロテクタ1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成について詳細に説明する。
プロテクタ1aは、図6及び図7に示すように、プロテクタ本体10aとクリップ20aとで構成している。プロテクタ本体10aでは、取付孔12の内面における各面に、凹部13が形成されている。また、クリップ20aにおける挿入体41aは、取付孔12の孔長さよりは短く形成されている。なお、挿入体41aは、取付孔12に挿入した際に、先端が取付孔12における凹部13より挿入方向Iの先端側に配置されるように構成されている。
【0083】
このように構成されたクリップ20の挿入体41aを取付孔12に挿入した状態で、挿入体41aの挿入方向Iの先端部分である被加熱部分43を溶融することで、被加熱部分43が各凹部13に入り込むように係止部44aが形成される。このとき、被加熱部分43は、取付孔12の内面に拡がるように変形するため、凹部13に対応する形状の係止部44aが形成され、各係止部44aを各凹部13に係止させることができる(図7(a)及び図7(b)参照)。
【0084】
このようなプロテクタ1aでは、取付孔12の内面に凹部13が形成され、係止部44aが凹部13に対応する形状で形成され、凹部13に係止される。これにより、挿入体41aの先端部分が取付孔12から挿入方向Iの先端側に突出することなく、取付孔12の内面に形成された凹部13に係止部44aを係止させることができる。したがって、挿入体41aが他の部材と干渉することを回避できるとともに、プロテクタ本体10aに対するクリップ20の装着安定性を向上させることができる。
【0085】
続いて、第3実施形態のプロテクタ1bについて図8及び図9とともに説明する。
なお、図8は、プロテクタ本体10bの平面図を示し、図9(a)は、プロテクタ本体10bに取付けたクリップ20bにおいて係止部44を形成した後の平面図を示し、図9(b)は、同状態の断面図を示す。
【0086】
以下の説明においても、上述のプロテクタ1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成について詳細に説明する。
プロテクタ1bは、プロテクタ本体10bとクリップ20bとで構成している。
【0087】
プロテクタ本体10bでは、図8に示すように、上面部材11の挿入方向Iの先端側の表面における取付孔12の周縁部に、凹部13bが複数形成されている。
このように構成されたクリップ20bの挿入体41を取付孔12に挿入した状態で被加熱部分43を溶融することで、図9(a)に示すように、上面部材11の挿入方向Iの先端側の表面における取付孔12の周縁部を拡がるように変形した板状の係止部44が形成される。
【0088】
このとき、平面板状に拡がった係止部44bは、各凹部13bに入り込むように凸状係止部45が形成され、各凸状係止部45が各凹部13bに係止することとなる。これにより、係止部44がプロテクタ本体10bに係止するとともに、凸状係止部45が各凹部13bに係止することとなる。
【0089】
このように構成されたプロテクタ1bは、取付孔12の周縁部に凹部13bが形成され、溶融体が溶融して凹部13bに対応する形状の第2係止部として凸状係止部45が形成され、凸状係止部45が凹部13bに係止する。これにより、係止部44と凸状係止部45とによりクリップ20bをプロテクタ本体10bに取付けることができ、クリップ20bのガタつきなどをより抑制でき、プロテクタ本体10bをアンカー孔により安定的に装着できる。
【0090】
続いて、第4実施形態のプロテクタ1cについて図10とともに説明する。
なお、図10は、プロテクタ本体10に取付けたクリップ20cにおいて係止部44を形成した後の断面図を示している。
【0091】
以下の説明においても、上述のプロテクタ1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成について詳細に説明する。
【0092】
プロテクタ1cは、図10に示すように、プロテクタ本体10とクリップ20cとに加え、長さ調節スリーブ50で構成している。
【0093】
クリップ20cは、挿入体41cは、挿入体41よりも長く形成されており、挿入方向Iの後端側に、取付孔12に挿通されない未挿通部分412cを有する。
【0094】
長さ調節スリーブ50は、略筒状の部材であり、挿入体41cにおける未挿通部分412cを内部に挿通した状態で、未挿通部分412cに取り付けられている。この長さ調節スリーブ50は、未挿通部分412cの長さに対応する長さで形成されており、挿入方向Iの先端側の面が挿入方向Iの後端側の取付孔12の周縁部に当接し、挿入方向Iの後端側の面が皿部31に当接している。これにより、挿入体41cに挿入方向Iに沿う力が作用した場合でも、一方側の面が取付孔12の周縁部に当接し、他方側の面が皿部31に当接する長さ調節スリーブ50により、取付孔12に対する挿入体41cの挿入方向Iの相対移動が規制される。
【0095】
なお、プロテクタ1cでは、挿入体41cに長さ調節スリーブ50を挿通した状態のクリップ20cをプロテクタ本体10の取付孔12に挿入し、上述の説明と同様に、被加熱部分43を溶融することで係止部44を形成することができる。これにより、クリップ20cがプロテクタ本体10に取り付けることができる。
【0096】
このようにプロテクタ1cは、挿入体41cは、挿入方向Iの後端側に、取付孔12に挿通されない未挿通部分412cが備えられ、未挿通部分412cに、挿入方向Iの後端側における取付孔12の周縁部に当接する長さ調節スリーブ50が取り付けられている。これにより、プロテクタ本体10の厚み等にかかわらず、プロテクタ本体10aに対するクリップ20の装着安定性を向上させることができる。
【0097】
詳述すると、プロテクタ本体10の厚み等によっては、挿入体41cのすべてを取付孔12に挿入するのではなく、一部は取付孔12に挿通せずに残しておく場合がある。そして、このような未挿通部分412cに対し長さ調節スリーブ50を取り付けるため、前記挿入方向への前記挿入体の相対移動を規制できる。したがって、プロテクタ本体10の厚み等にかかわらず、プロテクタ本体10aに対するクリップ20の装着安定性を向上させることができる。
【0098】
続いて、第5実施形態のプロテクタ1dについて図11とともに説明する。
なお、図11は、プロテクタ本体10dに取付けたクリップ20dにおいて係止部44を形成した後の断面図を示している。
【0099】
以下の説明においても、上述のプロテクタ1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成について詳細に説明する。
【0100】
プロテクタ1dは、図11に示すように、プロテクタ本体10dとクリップ20dで構成している。
【0101】
プロテクタ本体10dには、上面部材11の厚み方向に対して傾斜する方向に沿って上面部材11を貫通する取付孔12dが設けられている。
クリップ20cには、取付孔12dの傾斜角度と同じ傾斜角度で、皿部31に対して傾斜する挿入体41dが設けられている。そのため、取付孔12dに挿入体41dを挿入した際には、上面部材11に対し平行な状態で皿部31が取付孔12dの周縁部に当接することとなる。したがって、上述の説明と同様に、被加熱部分43を溶融することで係止部44を形成することで、取付孔12dが傾斜していたとしても、係止部44と皿部31とで取付孔12dを挟持させることができる。
【0102】
このようなプロテクタ1dは、取付孔12dが、その貫通方向が、上面部材11の厚み方向に対して傾斜する傾斜貫通孔で構成され、挿入体41dが、傾斜貫通孔である取付孔12dに挿入されている。これにより、傾斜貫通孔である取付孔12dに挿入された挿入体41dにおいて厚み方向まわりの回転が規制される。
【0103】
続いて、第6実施形態のプロテクタ1eについて図12及び図13とともに説明する。
なお、図12は、プロテクタ本体10eに取付けたクリップ20eにおいて係止部44eを形成する前の断面図を示し、図13は、プロテクタ本体10eに取付けたクリップ20eにおいて係止部44eを形成した後の断面図を示す。
【0104】
以下の説明においても、上述のプロテクタ1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成について詳細に説明する。
プロテクタ1eは、図12に示すように、プロテクタ本体10eとクリップ20eで構成している。
【0105】
プロテクタ本体10eは、挿入方向Iに沿ってプロテクタ本体10を貫通する取付孔12eが2つ設けられている。
クリップ20eには、挿入体41eに対応する2つの挿入片413eが設けられている。この挿入片413eは、各取付孔12eに対応する位置に設けられ、各取付孔12eの孔長さよりも長く形成されている。
【0106】
このように構成されたクリップ20eをプロテクタ本体10eに装着させたプロテクタ1eでは、図13に示すように、各取付孔12eに挿入した挿入片413eをそれぞれ先端側から溶融させて、各取付孔12eの周縁部を拡がるように変形させた係止部44eが形成されている。この係止部44eは、2つの取付孔12eの間で、溶融させた挿入片413eがそれぞれが互いにぶつかり、一部が互いに溶着されることで、一体構成されている。
【0107】
このようなプロテクタ1eは、取付孔12eが複数設けられ、挿入体41eは、複数の取付孔12eのそれぞれに挿入される挿入片413eが取付孔12eに対応して複数設けられている。これにより、各挿入片413eを、他の挿入片413eを中心として挿入体41eが回転する際の回り止めとして機能させることができる。これにより、取付孔12eに対し、挿入体41eが回転することを防止できる。
【0108】
また、各挿入片413eから形成された各係止部44eが、その一部が互いに溶着した状態であるため、互いが別々である場合に比べ、係止部44eの取付孔12eへの係止をより強固にしている。
【0109】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の装着箇所はアンカー孔に対応し、
以下同様に、
被装着部材はプロテクタ本体10,10a,10b,10d,10eに対応し、
装着部品はクリップ20,20a,20b,20c,20d,20eに対応し、
取付孔は取付孔12,12d,12eに対応し、
挿入体は挿入体41,41a,41b,41c,41d,41eに対応し、
挿入方向は挿入方向Iに対応し、
係止部は係止部44,44a,44eに対応し、
被装着部材の固定構造はプロテクタ1,1a,1b,1c,1d,1eに対応し、
凹部は凹部13,14bに対応し、
第1係止部は係止部44に対応し、
第2係止部は凸状係止部45に対応し、
未挿通部分は未挿通部分412cに対応し、
長さ調節部は長さ調節スリーブ50に対応し、
規制体は皿部31に対応し、
挿入片は挿入片413eに対応し、
仮留部は仮留部42に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0110】
上述の説明では、挿入体41の全体を所定の温度で溶融する溶融体で構成したが、必ずしもこれに限られず、少なくとも挿入体41における挿入方向の先端部分が溶融体で構成されていればよく、溶融体で構成する範囲は適宜変更してもよい。また、挿入体41における溶融体で構成した部分は、その全体を用いて係止部を形成してもよいし、その一部のみを溶融して係止部を形成してもよい。
【0111】
また、取付孔12の孔形状を矩形状とし、挿入体41も同様に矩形状で構成したが、必ずしもこれに限られない。例えば、取付孔12の孔形状を真円としてもよいし、また、孔形状を回転防止形状とする場合でも、矩形に限られず、H字など挿入体の回転を防止できる種々の形状に適宜変更してもよい。さらにまた、挿入体41の形状も、取付孔12の孔形状とは異なる形状としてもよいし、取付孔12の孔形状に対応させる場合でも、取付孔12の相似形とするのではなく、取付孔12の一部に嵌り込み、回転を防止できる形状としてもいい。
【0112】
上述の説明では、挿入体41と取付孔12の内面との間にわずかな隙間が形成され、溶融した被加熱部分43の一部をその隙間に入り込ませる構成とした。しかしながら、必ずしもこれに限られず、挿入体41が取付孔12に対し隙間なく挿入されるようにしてもよい。
【0113】
また、上述の説明では、被加熱部分43の溶融に伴い、取付孔12の周縁部や内面部分の少なくとも一部を溶融させ、被加熱部分43から形成された係止部44と溶着させた構成としたが、必ずしもこれに限られない。例えば、プロテクタ本体10を溶融しにくい素材とし、被加熱部分43の溶融に伴い取付孔12の周縁部や内面部分の少なくとも一部を溶融させないようにしてもよい。
【0114】
さらにまた、上述の説明では、皿部31を、取付孔12への挿入体41の挿入位置を規制する規制体として機能させ、係止部44と皿部31とにより取付孔12の周縁部を挟持した構成としたが、必ずしもこれに限られない。皿部31と係止部44とにより取付孔12の周縁部を挟持しなくてもよいし、また、規制体に相当する構成を設けなくてもよい。
【0115】
また、上述の説明では、クリップ本体部40に仮留部42を設けた構成としたが、必ずしもこれに限られない。仮留部42の構成は、取付孔12の貫通方向に交差する交差方向に突出し、取付孔12の周縁部に係止できるものであれば適宜変更してもよく、また、仮留部42を設けなくてもよい。
【0116】
また、係止部の係止態様は、必ずしも上述の説明で示したものに限られず、係止部の係止態様は、取付孔に対して係止するものであれば、どのような構成としてもよい。
例えば、取付孔12の周縁部に係止する係止部として、プロテクタ1では、取付孔12の周縁部に沿う平面方向に延びる板状の係止部44を形成したが、取付孔の貫通方向に交差する交差方向に突出するものであれば適宜変更してもよい。例えば、取付孔12に対し、長辺方向X又は短辺方向Yに延びる棒状の係止部を形成してもよい。
【0117】
例えば、プロテクタ1aでは、取付孔12の内面に形成された凹部13に係止する係止部44aを形成したが、必ずしもこれに限られず、取付孔12の内面に凸部を形成し、係止部として、この凸部が嵌り込む凹部が形成されるようにしてもよい。
【0118】
例えば、プロテクタ1bでは、取付孔12の周縁部に凹部13bを設け、第2の係止部として凹部13bに係止する凸状係止部45を形成したが、必ずしもこれに限られない。取付孔12の周縁部に凹部ではなく凸部を形成し、第2の係止部として、この凸部が嵌り込む凹部が形成されるようにしてもよいし、取付孔12の周縁部ではなく取付孔12の内面に凹部又は凸部を形成し、凹部又は凸部に係止する第2の係止部を形成するようにしてもよい。また、取付孔12の周縁部と内面の双方に凹部又は凸部を形成し、それぞれと係止する係止部を形成するようにしてもよい。
【0119】
その他、取付孔12の周縁部を他の箇所に対して凹ませて、凹ませた領域内で溶融した被加熱部分43を拡がらせて係止部44を形成するようにしてもよい。これにより、周囲に対して係止部44が突出せず、挿入体41が他の部材と干渉することを回避できる。また、この際、目的とする係止部の形状に合わせて取付孔12の周縁部を凹ませ、凹ませた領域と同形状の係止部を形成すれば、クリップ20のガタつきなどをより抑制できる。
【0120】
また、上述の説明では、高さ調節スリーブ50を略筒状の部材とし、挿入方向Iの先端側の面が挿入方向Iの後端側の取付孔12の周縁部に当接し、挿入方向Iの後端側の面が皿部31に当接する構成とした。しかしながら、必ずしもこれに限られず、高さ調節スリーブ50の構成は、未挿通部分412cに取り付けられて、挿入方向Iの後端側の取付孔12の周縁部に当接するものであれば、適宜変更してもよい。
【0121】
また、未挿通部分412cへの取付方法についても、予め挿入体41cに挿通しておくのみならず、スリットを設けて該スリットから挿入体41cを内部に通したり、分割部材で構成し、分割部材で挿入体41cを挟み込むようにして取り付けるようにしてもよい。
【0122】
さらにまた、上述の説明では、取付孔12dを全体が厚み方向に対して傾斜する傾斜貫通孔としたが、必ずしもこれに限られず、取付孔の一部のみを、その貫通方向が、上面部材11の厚み方向に対して傾斜する傾斜部分で構成したジグザグ形状とし、挿入体41cが、少なくとも前記傾斜部分まで挿入されている構成としてもよい。
【0123】
また、挿入体41cが皿部31に対して傾斜する構成としたが、皿部31に対して傾斜しない挿入体を、取付孔12dに挿通させるに伴い厚み方向に対して傾斜させるようにしてもよい。
さらにまた、上述の説明では、プロテクタ1eを、取付孔12eを2つ設けた構成としたが、必ずしもこれに限られず、取付孔12eを3以上設けてもよい。また、挿入片413eは必ずしも取付孔12eと同数でなくてもよいし、各挿入片413eから形成される係止部44eは、互いに溶着させなくてもよい。その他、各挿入片413を互いに向かって折り曲げられるようにし、各挿入片413を互いに向かって折り曲げて、突き合わさった先端同士を溶着させることで、取付孔12eの周縁部に対し係止した状態としてもよい。
【0124】
なお、上述の説明では、プロテクタ本体10の上面部材11に設けた取付孔12にクリップ20を取付けたが、プロテクタ本体10の側面や底面にクリップ20を取付けてもよい。さらには、プロテクタ本体10の異なる面にクリップ20を取付けてもよい。
【0125】
プロテクタ本体10は、倒位の四角筒状であったが、扁平な長方形断面の四角筒状や三角筒状などの多角筒状体であってもよいし、円筒状であってもよい。さらには、断面角形U字状断面であっても、断面L字状であってもよい。
また、凸状係止部45をクリップ20に備え、位置決め凹部121を取付孔12に形成したが、凸状係止部を取付孔12に備え、位置決め凹部をクリップ20に形成してもよい。
【0126】
また、上述の説明では、クリップ本体部40はポリプロピレンで構成されているが、他の熱可塑性樹脂で構成されていてもよい。例えば、ポリアミドやポリカーボネートであってもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は、クリップ20の配置される環境によって適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1,1a,1b,1c,1d,1e プロテクタ
10,10a,10b,10d,10e プロテクタ本体
12,12d,12e 取付孔
14,14b 凹部
20,20a,20b,20c,20d,20e クリップ
31 皿部
41,41a,41b,41c,41d,41e 挿入体
44,44a,44e 係止部
45 凸状係止部
413e 挿入片
412c 未挿通部分
50 長さ調節スリーブ
I 挿入方向
図1
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