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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/516 20060101AFI20240322BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01R13/516
H01R13/52 301E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020110096
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007250
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川原 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】椎野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 正幸
(72)【発明者】
【氏名】島貫 斉史
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-157926(JP,A)
【文献】特開2019-051324(JP,A)
【文献】特開平01-105482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/516
H01R 13/46
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を伝送する電力線の端部に設けられ接続先へ嵌る電力線接続部と、
信号を伝送する信号線の端部に設けられ前記接続先へ嵌る信号線接続部と、
前記電力線、前記信号線、前記電力線接続部及び前記信号線接続部を収容するハウジングと、
貫通する穴を有し、当該穴に前記信号線が挿入され、弾性を有する固定ブッシュと、
を備え、
前記ハウジングは、前記信号線接続部を収納する空間を有する収納部を備え、
前記固定ブッシュが前記収納部の後方側に押し付けられて前記ハウジング内で固定されて前記収納部の後方側が前記固定ブッシュで塞がれ、
前記電力線及び前記信号線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸の方向は、前記電力線接続部及び前記信号線接続部の前記接続先への挿入方向と同じであり、
前記接続先から見て少なくとも前記電力線接続部において前記接続先へ嵌る端部の中心軸が前記電力線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸に対してずれている、又は前記信号線接続部において前記接続先へ嵌る端部の中心軸が前記信号線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸に対してずれている
コネクタ。
【請求項2】
前記電力線接続部が前記電力線の端部から前記接続先へ嵌る端部までの間で曲がっていることにより、前記挿入方向から見て、前記電力線接続部において前記接続先へ嵌る端部の中心軸が前記電力線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸に対してずれている
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記信号線が前記ハウジング内で曲がっていることにより、前記信号線接続部において前記接続先へ嵌る端部の中心軸が前記信号線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸に対してずれている
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジング内で少なくとも前記電力線、前記信号線、前記電力線接続部、前記信号線接続部のいずれかを固定する固定部を備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記電力線、前記信号線、前記電力線接続部及び前記信号線接続部を収容する空間を有する収容部と、前記空間を覆うカバーとを備え、
前記カバーが前記固定部を備える
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
弾性を有するブッシュが前記電力線及び前記信号線に嵌められており、
前記ブッシュが前記電力線及び前記信号線の前記ハウジングへの挿入位置に固定されている
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記信号線は、前記ハウジング内において余長を有する
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記電力線及び前記信号線は、前記ハウジングへの挿入位置で前記電力線及び前記信号線を内包する保護層内に収められており、
前記保護層を固定する保護層固定部を備える
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記保護層は、前記信号線を内包する空間を有し、前記空間に前記信号線が収納されている
請求項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電装品へ電力供給を行う電源ラインと、制御部が電装品と通信を行うための通信ラインとを備えるケーブルが開示されている。このケーブルにおいては、アースライン、通信ライン及び電源ラインが横並びになっており、各ラインに端子が設けられている。また、これらの端子が接続される制御ボックスにおいては、これらの端子毎にコネクタが設けられ、各コネクタが横並びとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/222074号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているケーブルにおいては、各ラインの端子が横並びとなっている。このため、ケーブルや端子を横並びさせるために幅広くスペースを確保する必要があり、省スペース化が難しくなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電力線及び信号線を省スペースで接続することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るコネクタは、電力を伝送する電力線の端部に設けられ接続先へ嵌る電力線接続部と、信号を伝送する信号線の端部に設けられ前記接続先へ嵌る信号線接続部と、前記電力線、前記信号線、前記電力線接続部及び前記信号線接続部を収容するハウジングと、を備え、前記電力線及び前記信号線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸の方向は、前記電力線接続部及び前記信号線接続部の前記接続先への挿入方向と同じであり、前記接続先から見て少なくとも前記電力線接続部において前記接続先へ嵌る端部の中心軸が前記電力線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸に対してずれている、又は前記信号線接続部において前記接続先へ嵌る端部の中心軸が前記信号線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸に対してずれていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係るコネクタは、前記電力線接続部が前記電力線の端部から前記接続先へ嵌る端部までの間で曲がっていることにより、前記挿入方向から見て、前記電力線接続部において前記接続先へ嵌る端部の中心軸が前記電力線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸に対してずれていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係るコネクタは、前記信号線が前記ハウジング内で曲がっていることにより、前記信号線接続部において前記接続先へ嵌る端部の中心軸が前記信号線の前記ハウジングへの挿入位置における中心軸に対してずれていることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係るコネクタは、前記ハウジング内で少なくとも前記電力線、前記信号線、前記電力線接続部、前記信号線接続部のいずれかを固定する固定部を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係るコネクタは、前記ハウジングは、前記電力線、前記信号線、前記電力線接続部及び前記信号線接続部を収容する空間を有する収容部と、前記空間を覆うカバーとを備え、前記カバーが前記固定部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るコネクタは、弾性を有するブッシュが前記信号線に嵌められており、前記ブッシュが前記ハウジング内で固定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係るコネクタは、弾性を有するブッシュが前記電力線及び前記信号線に嵌められており、前記ブッシュが前記電力線及び信号線の前記ハウジングへの挿入位置に固定されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係るコネクタは、前記信号線は、前記ハウジング内において余長を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係るコネクタは、前記電力線及び前記信号線は、前記ハウジングへの挿入位置で前記電力線及び前記信号線を内包する保護層内に収められており、前記保護層を固定する保護層固定部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係るコネクタは、前記保護層は、前記信号線を内包する空間を有し、前記空間に前記信号線が収納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるコネクタは、電力線及び信号線を省スペースで接続することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るコネクタの側面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るコネクタの組み立て方を説明する図である。
図4図4は、第1実施形態に係るコネクタの組み立て方を説明する図である。
図5図5は、第1実施形態に係るコネクタの組み立て方を説明する図である。
図6図6は、第1実施形態に係るコネクタの組み立て方を説明する図である。
図7図7は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図8図8は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図9図9は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図10図10は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図11図11は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図12図12は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図13図13は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図14図14は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図15図15は、第1実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図16図16は、第2実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図17図17は、カバーが嵌められる前のコネクタの断面図である。
図18図18は、カバーが嵌められたコネクタの断面図である。
図19図19は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図20図20は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図21図21は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図22図22は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図23図23は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図24図24は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図25図25は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図26図26は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図27図27は、第2実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図28図28は、に係るコネクタの斜視図である。
図29図29は、カバーが嵌められる前のコネクタの断面図である。
図30図30は、カバーが嵌められたコネクタの断面図である。
図31図31は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図32図32は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図33図33は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図34図34は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図35図35は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図36図36は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図37図37は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図38図38は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図39図39は、第3実施形態の変形例に係るコネクタの断面図である。
図40図40は、変形例に係るコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ1Aの斜視図であり、図2は、コネクタ1Aの側面図である。また、図3-6は、コネクタ1Aの組み立て方を説明する図である。
【0020】
コネクタ1Aは、車両内に配索されるケーブルである電力線2A、2B及び信号線3A、3Bを、車両内に配置される電気接続箱へ接続するコネクタである。コネクタ1Aは、オス型のコネクタであり、メス型のコネクタ(図示略)に嵌められる。メス型のコネクタは、例えばバッテリからの電力やECU(Electronic Control Unit)からの信号を車両内の電装品へ供給する電気接続箱に設けられている。なお、コネクタ1Aは、ケーブル同士の接続に用いてもよい。以下の説明においては、説明の便宜上、コネクタ1Aにおいて長さ方向でメス型コネクタへの挿入される側を前方、前側と反対方向を後方、後方から前方を見て幅方向の右側を右方、後方から前方を見て幅方向の左側を左方、上下方向で上側を上方、下側を下方と称する。
【0021】
電力線2A、2Bは、車両内のバッテリから供給される電力を車両内の電装品へ供給する導体ケーブルである。電力線2A、2Bの導体は、例えばアルミニウム、銅、銅合金、錫メッキ線、鉄、ニッケル等である。電力線2A、2Bは、例えば一方が12Vの電源に接続され、他方がグラウンドに接続されている。
【0022】
電力線2Aの端部には端子20Aが圧着されており、電力線2Bの端部には端子20Bが圧着されている。端子20A、20Bは、例えば銅合金などの導体であり、メス型コネクタが有する端子に嵌る端子である。端子20Aは、電力線2Aの導体に圧着されており、端子20Bは、電力線2Bの導体に圧着されている。端子20A、20Bは、図3に示すように、圧着部21、屈曲部22、接続部23に大別される。圧着部21は、圧着工具によって電力線2A、2Bの導体に圧着される。屈曲部22は、屈曲した板状の導体であり、圧着部21と接続部23に接合されている。屈曲部22は、圧着部21から上方に伸びて前方に折れ曲がった形状となっている。接続部23は、導体であり、メス型コネクタの端子に嵌る。接続部23は、電力線接続部の一例である。なお、以下の説明において端子20A、20Bの圧着部21、屈曲部22、接続部23のそれぞれを区別する必要がある場合は、端子20A、20Bの符号の末尾のアルファベットを付して説明を行う。例えば、端子20Aの圧着部21について説明を行う場合は、圧着部21Aと称し、端子20Bの圧着部21について説明を行う場合は、圧着部21Bと称する。
【0023】
信号線3A、3Bは、車両内の電装品とECUとの間で授受される信号を伝送するケーブルであり、本実施形態においては、光ファイバーケーブルである。信号線3Aの端部には光コネクタ30Aが取り付けられており、信号線3Bの端部には光コネクタ30Bが取り付けられている。光コネクタ30A、30Bは、所謂MUコネクタである。なお、光コネクタ30A、30Bは、MUコネクタに限定されるものではなく、例えばLCコネクタなどの周知のコネクタであってもよい。光コネクタ30A、30Bは、信号線接続部の一例である。
【0024】
コネクタ1Aは、ハウジング10Aと、カバー11Aを備える。ハウジング10Aは、合成樹脂で形成されており、電力線2A、2B、信号線3A、3B、端子20A、20B、光コネクタ30A、30Bを収納する内部空間111Aと、後方及び上方へ開口した開口部112Aを有する。内部空間111Aは、収容部の一例である。ハウジング10Aを形成する合成樹脂は、例えばポリブチレンテレフタレートであるが、ポリブチレンテレフタレートに限定されるものではなく、他の合成樹脂であってもよい。
【0025】
ハウジング10Aは、図2に示すように端子収納部101A、光コネクタ収納部102A、ケーブル収納部103Aに大別される。ハウジング10Aの前後方向の長さは、上方側が下方側より短くなっている。端子収納部101Aは、端子20A、20Bを収納する空間を内部に有する。端子収納部101Aは、前方が開口しており、端子収納部101Aの内部の空間を左右に仕切る仕切り部113を幅方向の中央に有する。端子収納部101Aにおいては、後方から見て仕切り部113の右側の空間に端子20Aが収納され、後方から見て仕切り部113の左側の空間に端子20Bが収納される。光コネクタ収納部102Aは、端子収納部101Aの下方にあり、光コネクタ30A、30Bを収納する空間を内部に有する。光コネクタ収納部102Aは、前方が開口している。ケーブル収納部103Aは、光コネクタ収納部102Aの後方にあり、電力線2A、2B、電力線2Aと端子20Aとの接合部分、電力線2Bと端子20Bとの接合部分及び信号線3A、3Bを収納する空間を有する。
【0026】
カバー11Aは、開口部112Aを閉じるためのカバーであり、合成樹脂で形成されている。カバー11Aは、開口部112Aに嵌められてハウジング10Aに固定され、開口部112Aを閉じる。カバー11Aを形成する合成樹脂は、例えばポリブチレンテレフタレートであるが、ポリブチレンテレフタレートに限定されるものではなく、他の合成樹脂であってもよい。
【0027】
コネクタ1Aを組み立てる際には、図3に示す挿入方向で、端子20A、20B及び光コネクタ30A、30Bをハウジング10Aの開口部112Aから内部空間111Aへ挿入する。ここで、光コネクタ30A、30Bを光コネクタ収納部102Aに挿入し、端子20A、20Bを端子収納部101Aへ挿入する。端子収納部101Aに対しては、後方から見て仕切り部113の右側の空間に端子20Aを挿入し、後方から見て仕切り部113の左側の空間に端子20Bを挿入する。
【0028】
図4は、端子20A、20B及び光コネクタ30A、30Bが内部空間111Aへ挿入された状態のハウジング10Aの断面を示す図である。端子20A、20B及び光コネクタ30A、30Bをハウジング10Aの開口部112Aから内部空間111Aに挿入すると、端子20A、20Bは屈曲しているため、図4に示すように光コネクタ30A、30Bの上方に端子20A、20Bが位置し、接続先であるメス型のコネクタから見て接続部23A、23Bの中心軸が電力線2A、2Bのハウジング10Aへの挿入位置における中心軸に対してずれている。次に、図5に示すカバー11Aをハウジング10Aの後方から開口部112Aに嵌めてカバー11Aをハウジング10Aに固定すると、図6に示すように開口部112Aが閉じられる。
【0029】
本実施形態によれば、ハウジング10Aが端子20A、20B及び光コネクタ30A、30Bを収納するため、端子20A、20Bを収納するコネクタと、光コネクタ30A、30Bを収納するコネクタとを別々にする構成と比較すると、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bを一括で電気接続箱へ接続することができ、接続の工数を削減することができる。また、ハウジング10A内においては、端子20A、20Bが屈曲しており、電力線2A、2Bをハウジング10Aの内部で曲げないため、コネクタ1Aを組み立てるときに電力線2A、2Bの破損を防ぐことができる。また、端子20A、20B及び光コネクタ30A、30Bが幅方向に横並びする構成と比較すると、本実施形態ではハウジング10Aが幅方向に広がらず、省スペースとすることができる。
【0030】
なお、コネクタ1Aは、端子20A、20Bが後方へ移動しないように、端子20A、20Bをハウジング10A内に固定する固定部を有する構成としてもよい。図7は、端子20A、20Bをハウジング10A内に固定する構成の一例を示す断面図である。固定部201Aは、例えば板状であり、カバー11Aに一体で水平方向に形成されている。図7においては図示されていないが、固定部201Aは、仕切り部113より左方にも設けられている。固定部201Aは、カバー11Aが開口部112Aに嵌められるときに端子20A、20Bに接し、端子20A、20Bを前方に押し込む。図7に示す構成によれば、電力線2A、2Bが後方に引っ張られても端子20A、20Bの後方への移動を固定部201Aが抑え、端子20A、20Bがハウジング10Aから抜けるのを防ぎ、電力線2A、2Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0031】
また、コネクタ1Aは、光コネクタ30A、30Bが後方へ移動しないように、光コネクタ30A、30Bをハウジング10A内に固定する固定部を有する構成としてもよい。図8は、光コネクタ30A、30Bをハウジング10A内に固定する構成の一例を示す断面図である。固定部202Aは、カバー11Aに一体に形成されている。固定部202Aは、カバー11Aから前方に伸びて下方に屈曲し、さらに前方に屈曲している。固定部202Aは、カバー11Aが開口部112Aに嵌められるときに光コネクタ30A、30Bに接し、光コネクタ30A、30Bを前方に押し込む。図8に示す構成によれば、信号線3A、3Bが後方に引っ張られても光コネクタ30A、30Bの後方への移動を固定部202Aが抑え、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Aから抜けるのを防ぎ、信号線3A、3Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0032】
また、コネクタ1Aは、端子20A、20B及び光コネクタ30A、30Bが後方へ移動しないよう、図9に示すように固定部201Aと固定部202Aの両方を備える構成であってもよい。この構成によれば、端子20A、20B及び光コネクタ30A、30Bがハウジング10Aから抜けるのを防ぎ、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0033】
また、コネクタ1Aは、光コネクタ収納部102Aの内部空間のケーブル収納部103A側を塞ぐ構成であってもよい。図10は、光コネクタ収納部102Aの内部空間のケーブル収納部103A側を塞ぐ構成の一例を示す図である。図10に示すブッシュ40は、弾性を有する合成樹脂又はゴムで形成されている。ブッシュ40は、前後方向に貫通する穴を有し、この穴に信号線3A、3Bが挿入される。また、図10に示す固定部203Aは、カバー11Aに一体に形成されている。固定部203Aは、カバー11Aから前方に伸びて下方に屈曲している。固定部203Aは、カバー11Aが開口部112Aに嵌められるときにブッシュ40に接し、ブッシュ40を光コネクタ収納部102Aの後方側の開口部に押し付ける。
【0034】
図10に示す構成によれば、光コネクタ収納部102Aの後方側の開口部がブッシュ40により塞がれるため、塵や水分が光コネクタ収納部102Aからケーブル収納部103Aへ入るのを防ぐことができる。また、ブッシュ40が光コネクタ収納部102Aの後方側の開口部に押し付けられるため、光コネクタ30A、30Bの後方への移動がブッシュ40で止められ、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Aから抜けるのを防ぎ、信号線3A、3Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0035】
なお、コネクタ1Aがブッシュ40を有する構成においては、図11に示すように、ブッシュ40において上下方向に設けられた溝に固定部203Aを嵌め、カバー11Aが開口部112Aに嵌められるときにブッシュ40を光コネクタ収納部102Aの後方側の開口部に押し付ける構成としてもよい。
【0036】
また、図12に示すように、側面から見て段状に屈曲した固定部204Aをカバー11Aに一体とする構成とし、固定部204Aが貫通する穴をブッシュ40が有する構成としてもよい。この構成においては、固定部204Aの一部がブッシュ40を貫通し、カバー11Aが開口部112Aに嵌められるときに固定部204Aがブッシュ40を光コネクタ収納部102Aの後方側の開口部に押し付け、さらに光コネクタ30A、30Bに接して光コネクタ30A、30Bを前方に押し込む。この構成においても、光コネクタ収納部102Aの後方側の開口部がブッシュ40により塞がれるため、塵や水分が光コネクタ収納部102Aからケーブル収納部103Aへ入るのを防ぐことができる。また、信号線3A、3Bが後方に引っ張られても光コネクタ30A、30Bの後方への移動が固定部204Aにより抑えられ、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Aから抜けるのを防ぎ、信号線3A、3Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0037】
また、コネクタ1Aがブッシュ40を有する構成においては、図13に示すように、ハウジング10Aの下面から内部空間111Aに貫通する穴に凹型の形状に形成されている固定具50を差し込み、内部空間111Aに突き出た固定具50でブッシュ40と光コネクタ30A、30Bを固定する構成としてもよい。なお、固定具50を用いる構成においては、図14に示すように、ブッシュ40において上下方向に設けられた溝に固定具50を嵌めることによりブッシュ40を固定するようにしてもよい。
【0038】
また、コネクタ1Aは、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを防ぐ構成を備えていてもよい。図15は、コネクタ1Aにおいて電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを防ぐ構成の一例を示す図である。ブッシュ41Aは、弾性を有する合成樹脂又はゴムで形成されている。ブッシュ41Aは、前後方向に貫通する穴を有し、この穴に電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが挿入される。ブッシュ41Aは、上下方向の溝を上面側に有する。カバー11Aは、ブッシュ41Aが有する溝に嵌められ、ブッシュ41Aをハウジング10Aに向けて押し付ける。ブッシュ41Aによれば、カバー11Aとハウジング10Aとの隙間が塞がれるため、塵や水分が外部から内部空間111Aへ入るのを防ぐことができる。また、ブッシュ41Aとの摩擦により、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを抑えることができる。なお、図15に示すブッシュ41Aを有する構成は、実施形態の構成や図8図14に示した構成と組み合わせてもよい。
【0039】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。図16は、本発明の第2実施形態に係るコネクタ1Bの斜視図である。コネクタ1Bは、第1実施形態のコネクタ1Aと比較すると、ハウジング10Aに替えてハウジング10Bを備え、カバー11Aに替えてカバー11Bを備える。また、コネクタ1Bは、端子20A、20Bに替えて端子20C、20Dを備える。図17は、カバー11Bがハウジング10Bに嵌められる前のコネクタ1Bの断面図であり、図18は、カバー11Bがハウジング10Bに嵌められたコネクタ1Bの断面図である。
【0040】
ハウジング10Bは、合成樹脂で形成されており、電力線2A、2B、信号線3A、3B、端子20C、20D、光コネクタ30A、30Bを収納する内部空間111Bを有する。また、ハウジング10Bは、図17に示すように、後方及び下方へ開口した開口部112Bを有する。内部空間111Bは、収容部の一例である。
【0041】
ハウジング10Bは、図17に示すように端子収納部101B、光コネクタ収納部102B、ケーブル収納部103Bに大別される。ハウジング10Bの前後方向の長さは、下方側が上方側より短くなっている。端子収納部101Bは、端子20C、20Dを収納する空間を内部に有する。端子収納部101Bは、前方が開口しており、端子収納部101Bの内部の空間を左右に仕切る仕切り部113を幅方向の中央に有する。端子収納部101Bにおいては、後方から見て仕切り部113の右側の空間に端子20Cが収納され、後方から見て仕切り部113の左側の空間に端子20Dが収納される。光コネクタ収納部102Bは、端子収納部101Bの下方にあり、光コネクタ30A、30Bを収納する空間を内部に有する。光コネクタ収納部102Bは、前方が開口している。ケーブル収納部103Bは、端子収納部101Bの後方にあり、電力線2A、2B、電力線2Aと端子20Cとの接合部分、電力線2Bと端子20Dとの接合部分及び信号線3A、3Bを収納する空間を有する。
【0042】
カバー11Bは、開口部112Bを閉じるためのカバーであり、合成樹脂で形成されている。カバー11Bは、開口部112Bに嵌められてハウジング10Bに固定され、開口部112Bを閉じる。カバー11Bを形成する合成樹脂は、例えばポリブチレンテレフタレートであるが、ポリブチレンテレフタレートに限定されるものではなく、他の合成樹脂であってもよい。
【0043】
端子20C、20Dは、例えば銅合金などの導体であり、メス型コネクタが有する端子に嵌る端子である。端子20Cは、電力線2Aの導体に圧着されており、端子20Dは、電力線2Bの導体に圧着されている。端子20C、20Dは、圧着部21、連結部24、接続部23に大別される。圧着部21は、圧着工具によって電力線2A、2Bの導体に圧着される。連結部24は、板状の導体であり、圧着部21と接続部23を連結する。接続部23は、導体であり、メス型コネクタの端子に嵌る。なお、以下の説明において端子20C、20Dの圧着部21、連結部24、接続部23のそれぞれを区別する必要がある場合は、端子20C、20Dの符号の末尾のアルファベットを付して説明を行う。例えば、端子20Cの圧着部21について説明を行う場合は、圧着部21Cと称し、端子20Dの圧着部21について説明を行う場合は、圧着部21Dと称する。
【0044】
コネクタ1Bを組み立てる際には、端子20C、20D及び光コネクタ30A、30Bをハウジング10Bの開口部112Bから内部空間111Bへ挿入する。ここで、図17に示すように、ケーブル収納部103Bにおいて信号線3A、3Bを曲げて光コネクタ30A、30Bを光コネクタ収納部102Bに挿入し、電力線2A、2Bを曲げずに端子20C、20Dを端子収納部101Bへ挿入する。なお、光コネクタ30A、30Bを光コネクタ収納部102Bに挿入する際には、信号線3A、3Bの光ファイバーが判断しないように信号線3A、3Bを緩やかに曲げて挿入するのが好ましい。端子収納部101Bにおいては、後方から見て仕切り部113の右側の空間に端子20Cを挿入し、後方から見て仕切り部113の左側の空間に端子20Dを挿入する。
【0045】
端子20C、20D及び光コネクタ30A、30Bをハウジング10Bの開口部112Bから内部空間111Bに挿入すると、図17に示すように光コネクタ30A、30Bの上方に端子20C、20Dが位置し、接続先であるメス型のコネクタから見て光コネクタ30A、30Bの中心軸が信号線3A、3Bのハウジング10Bへの挿入位置における中心軸に対してずれている。次に、カバー11Bをハウジング10Bの後方から開口部112Bに嵌めてカバー11Bをハウジング10Bに固定すると、図18に示すように開口部112Bが閉じられる。
【0046】
本実施形態によれば、ハウジング10Bが端子20C、20D及び光コネクタ30A、30Bを収納するため、端子20C、20Dを収納するコネクタと、光コネクタ30A、30Bを収納するコネクタとを別々にする構成と比較すると、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bを一括で電気接続箱へ接続することができ、接続の工数を削減することができる。また、ハウジング10B内においては、電力線2A、2Bがハウジング10Bの内部で曲げられないため、コネクタ1Bを組み立てるときに電力線2A、2Bの破損を防ぐことができる。また、端子20C、20D及び光コネクタ30A、30Bが幅方向に横並びする構成と比較すると、本実施形態ではハウジング10Bが幅方向に広がらず、省スペースとすることができる。
【0047】
なお、コネクタ1Bは、端子20C、20Dが後方へ移動しないように、端子20C、20Dをハウジング10B内に固定する固定部を有する構成としてもよい。図19は、端子20C、20Dをハウジング10B内に固定する構成の一例を示す断面図である。固定部201Bは、例えば板状でカバー11Aに一体に形成されており、カバー11Bから前方に伸びて上方に屈曲し、さらに前方に屈曲している。なお、図19においては図示されていないが、仕切り部113より左方にも固定部201Bが設けられている。固定部201Bは、カバー11Bが開口部112Bに嵌められるときに端子20C、20Dに接し、端子20C、20Dを前方に押し込む。図19に示す構成によれば、電力線2A、2Bが後方に引っ張られても端子20C、20Dの後方への移動を固定部201Bにより抑え、端子20C、20Dがハウジング10Bから抜けるのを防ぎ、電力線2A、2Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0048】
また、コネクタ1Bは、光コネクタ30A、30Bが後方へ移動しないように、光コネクタ30A、30Bをハウジング10B内に固定する固定部を有する構成としてもよい。図20は、光コネクタ30A、30Bをハウジング10B内に固定する構成の一例を示す断面図である。固定部202Bは、板状であり、カバー11Bに一体で水平方向に形成されている。固定部202Bは、カバー11Bが開口部112Bに嵌められるときに光コネクタ30A、30Bに接し、光コネクタ30A、30Bを前方に押し込む。図20に示す構成によれば、信号線3A、3Bが後方に引っ張られても光コネクタ30A、30Bの後方への移動を固定部202Bが抑え、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Bから抜けるのを防ぎ、信号線3A、3Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0049】
また、コネクタ1Bは、端子20C、20D及び光コネクタ30A、30Bが後方へ移動しないよう、図21に示すように固定部201Bと固定部202Bの両方を備える構成であってもよい。この構成によれば、端子20C、20D及び光コネクタ30A、30Bがハウジング10Bから抜けるのを防ぎ、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0050】
また、コネクタ1Bは、光コネクタ収納部102Bの内部空間のケーブル収納部103B側を塞ぐ構成であってもよい。図22は、光コネクタ収納部102Bの内部空間のケーブル収納部103B側を塞ぐ構成の一例を示す図である。図22に示す構成においては、カバー11Bは、ブッシュ40を位置決めする固定部203Bを有する。固定部203Bは、例えば板状であり、カバー11Bに一体に形成されている。固定部203Bは、カバー11Bが開口部111に嵌められるときにブッシュ40に接し、ブッシュ40を光コネクタ収納部102Bの後方側の開口部に押し付ける。
【0051】
図22に示す構成によれば、光コネクタ収納部102Bの後方側の開口部がブッシュ40により塞がれるため、塵や水分が光コネクタ収納部102Bからケーブル収納部103Bへ入るのを防ぐことができる。また、ブッシュ40が光コネクタ収納部102Bの後方側の開口部に押し付けられるため、光コネクタ30A、30Bの後方への移動がブッシュ40で止められ、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Bから抜けるのを防ぐことができる。
【0052】
なお、コネクタ1Bがブッシュ40を有する構成においては、図23に示すように、ブッシュ40において上下方向に設けられた溝に対し、カバー11Bが有する凸型の固定部204Bを嵌め、カバー11Bが開口部112Bに嵌められるときにブッシュ40を固定部204Bで光コネクタ収納部102Bの後方側の開口部に押し付ける構成としてもよい。
【0053】
また、図24に示すように、カバー11Bは、前方側の端部を屈曲させた固定部205Bを一体に有する構成としてもよい。この構成においては、固定部204Bがブッシュ40を光コネクタ収納部102Bの後方側の開口部に押し付け、さらに固定部205Bが光コネクタ30A、30Bに接して光コネクタ30A、30Bを前方に押し込む。この構成においても、光コネクタ収納部102Bの後方側の開口部がブッシュ40により塞がれるため、塵や水分が光コネクタ収納部102Bからケーブル収納部103Bへ入るのを防ぐことができる。また、信号線3A、3Bが後方に引っ張られても光コネクタ30A、30Bの後方への移動が固定部205Bにより抑えられ、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Bから抜けるのを防ぐことができる。
【0054】
また、コネクタ1Bがブッシュ40を有する構成においては、図25に示すように、ハウジング10Bの下面から内部空間111Bに貫通する穴に固定具50を差し込み、内部空間111Bに突き出た固定具50でブッシュ40と光コネクタ30A、30Bを固定する構成としてもよい。なお、固定具50を用いる構成においては、図26に示すように、ブッシュ40において上下方向に設けられた溝に固定具50を嵌めることによりブッシュ40を固定するようにしてもよい。
【0055】
また、コネクタ1Bは、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを防ぐ構成を備えていてもよい。図27は、コネクタ1Bにおいて電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを防ぐ構成の一例を示す図である。ブッシュ41Bは、弾性を有する合成樹脂又はゴムで形成されている。ブッシュ41Bは、前後方向に貫通する穴を有し、この穴に電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが挿入される。また、ブッシュ41Bは、上下方向の溝を下面側に有する。カバー11Bは、ブッシュ41Bが有する溝に嵌められ、ブッシュ41Bをハウジング10Bに向けて押し付ける。カバー11Bとハウジング10Bとの隙間がブッシュ41Bにより塞がれるため、塵や水分が外部から内部空間111Bへ入るのを防ぐことができる。また、ブッシュ41Bとの摩擦により、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを抑えることができる。なお、図27に示す構成は、図18図26に示す構成と組み合わせてもよい。
【0056】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について説明する。図28は、本発明の第3実施形態に係るコネクタ1Cの斜視図である。コネクタ1Cは、第1実施形態のコネクタ1Aと比較すると、ハウジング10Aに替えてハウジング10Cを備え、カバー11Aに替えてカバー11C、11Dを備える。また、コネクタ1Cは、端子20A、20Bに替えて端子20E、20Fを備える。図29は、カバー11Cがハウジング10Cに嵌められる前のコネクタ1Cの断面図であり、図30は、カバー11Cが嵌められたコネクタ1Cの断面図である。
【0057】
ハウジング10Cは、合成樹脂で形成されており、電力線2A、2B、信号線3A、3B、端子20E、20F、光コネクタ30A、30Bを収納する内部空間111Cを有する。また、ハウジング10Cは、図29に示すように、後方へ開口した開口部112Cを有する。内部空間111Cは、収容部の一例である。
【0058】
ハウジング10Cは、図29に示すように端子収納部101C、光コネクタ収納部102C、ケーブル収納部103Cに大別される。ハウジング10Cの前後方向の長さは、下方側及び上方側が中央部より短くなっている。端子収納部101Cは、端子20E、20Fを収納する空間を内部に有する。端子収納部101Cは、前方が開口しており、端子収納部101Cの内部空間を左右に仕切る仕切り部113を幅方向の中央に有する。端子収納部101Cにおいては、後方から見て仕切り部113の右側の空間に端子20Eが収納され、後方から見て仕切り部113の左側の空間に端子20Fが収納される。光コネクタ収納部102Cは、端子収納部101Cの下方にあり、光コネクタ30A、30Bを収納する空間を内部に有する。光コネクタ収納部102Cは、前方が開口している。ケーブル収納部103Cは、端子収納部101C及び光コネクタ収納部102Cより後方にあり、電力線2A、2B、電力線2Aと端子20Eとの接合部分、電力線2Bと端子20Fとの接合部分及び信号線3A、3Bを収納する空間を有する。
【0059】
カバー11C、11Dは、開口部112Cを閉じるためのカバーであり、合成樹脂で形成されている。カバー11C、11Dは、開口部112Cに嵌められてハウジング10Cに固定され、開口部112Cを閉じる。カバー11C、11Dを形成する合成樹脂は、例えばポリブチレンテレフタレートであるが、ポリブチレンテレフタレートに限定されるものではなく、他の合成樹脂であってもよい。
【0060】
端子20E、20Fは、例えば銅合金などの導体であり、メス型コネクタが有する端子に嵌る端子である。端子20Eは、電力線2Aの導体に圧着されており、端子20Fは、電力線2Bの導体に圧着されている。端子20E、20Fは、圧着部21、屈曲部25、接続部23に大別される。圧着部21は、圧着工具によって電力線2A、2Bの導体に圧着される。屈曲部25は、屈曲した板状の導体であり、圧着部21と接続部23に接合されている。接続部23は、導体であり、メス型コネクタの端子に嵌められる。以下の説明において端子20E、20Fの圧着部21、屈曲部25、接続部23のそれぞれを区別する必要がある場合は、端子20E、20Fの符号の末尾のアルファベットを付して説明を行う。例えば、端子20Eの圧着部21について説明を行う場合は、圧着部21Eと称し、端子20Fの圧着部21について説明を行う場合は、圧着部21Fと称する。
【0061】
コネクタ1Cを組み立てる際には、端子20E、20F及び光コネクタ30A、30Bをハウジング10Cの開口部112Cから内部空間111Cへ挿入する。ここで、図29に示すように、ケーブル収納部103Cにおいて信号線3A、3Bを曲げて光コネクタ30A、30Bを光コネクタ収納部102Cに挿入し、端子20E、20Fを端子収納部101Cへ挿入する。なお、光コネクタ30A、30Bを光コネクタ収納部102Cに挿入する際には、信号線3A、3Bの光ファイバーが判断しないように信号線3A、3Bを緩やかに曲げて挿入するのが好ましい。端子収納部101Cにおいては、後方から見て仕切り部113の右側の空間に端子20Eを挿入し、後方から見て仕切り部113の左側の空間に端子20Fを挿入する。
【0062】
端子20E、20F及び光コネクタ30A、30Bをハウジング10Cの開口部112Cから内部空間111Cに挿入すると、図29に示すように光コネクタ30A、30Bの上方に端子20E、20Fが位置し、接続先であるメス型のコネクタから見て接続部23E、23Fの中心軸が電力線2A、2Bのハウジング10Cへの挿入位置における中心軸に対してずれており、光コネクタ30A、30Bの中心軸が信号線3A、3Bのハウジング10Cへの挿入位置における中心軸に対してずれている。次に、カバー11C及びカバー11Dをハウジング10Cの後方から開口部112Cに嵌めてカバー11C及びカバー11Dがハウジング10Cに固定されると、図30に示すように開口部112Cが閉じられる。
【0063】
本実施形態によれば、ハウジング10Cが端子20E、20F及び光コネクタ30A、30Bを収納するため、端子20E、20Fを収納するコネクタと、光コネクタ30A、30Bを収納するコネクタとを別々にする構成と比較すると、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bを一括で電気接続箱へ接続することができ、接続の工数を削減することができる。また、ハウジング10C内においては、電力線2A、2Bがハウジング10Bの内部で曲げられないため、コネクタ1Cを組み立てるときに電力線2A、2Bの破損を防ぐことができる。また、端子20E、20F及び光コネクタ30A、30Bが幅方向に横並びする構成と比較すると、本実施形態ではハウジング10Cが幅方向に広がらず、省スペースとすることができる。
【0064】
なお、コネクタ1Cは、端子20E、20Fが後方へ移動しないように、端子20E、20Fをハウジング10C内に固定する固定部を有する構成としてもよい。図31は、端子20E、20Fをハウジング10C内に固定する構成の一例を示す断面図である。固定部201Cは、例えば板状であり、カバー11Cに一体で水平方向に形成されている。なお、図31においては図示されていないが、カバー11Cにおいては、仕切り部113より左方にも固定部201Cがある。固定部201Cは、カバー11Cが開口部112Cに嵌められるときに端子20E、20Fに接し、端子20E、20Fを前方に押し込む。図31に示す構成によれば、電力線2A、2Bが後方に引っ張られても端子20E、20Fが後方へ移動するのを固定部201Cにより抑え、端子20E、20Fがハウジング10Cから抜けるのを防ぎ、電力線2A、2Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0065】
また、コネクタ1Cは、光コネクタ30A、30Bが後方へ移動しないように、光コネクタ30A、30Bをハウジング10C内に固定する固定部を有する構成としてもよい。図32は、光コネクタ30A、30Bをハウジング10C内に固定する構成の一例を示す断面図である。固定部202Cは、板状であり、カバー11Dに一体で水平方向に形成されている。固定部202Cは、カバー11Dが開口部112Cに嵌められるときに光コネクタ30A、30Bに接し、光コネクタ30A、30Bを前方に押し込む。図32に示す構成によれば、信号線3A、3Bが後方に引っ張られても光コネクタ30A、30Bの後方への移動を固定部202Cが抑え、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Cから抜けるのを防ぎ、信号線3A、3Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0066】
また、コネクタ1Cは、端子20E、20F及び光コネクタ30A、30Bが後方へ移動しないよう、図33に示すように固定部201Cと固定部202Cの両方を備える構成であってもよい。この構成によれば、端子20E、20F及び光コネクタ30A、30Bがハウジング10Cから抜けるのを防ぎ、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bの後方への移動を引き留めることができる。
【0067】
また、コネクタ1Cは、光コネクタ収納部102Cの内部空間のケーブル収納部103C側を塞ぐ構成であってもよい。図34は、光コネクタ収納部102Cの内部空間のケーブル収納部103C側を塞ぐ構成の一例を示す図である。図34に示す構成においては、カバー11Dは、ブッシュ40を位置決めする固定部203Cを有する。固定部203Cは、例えば板状であり、カバー11Dに一体に形成されている。固定部203Cは、カバー11Dが開口部112Cに嵌められるときにブッシュ40に接し、ブッシュ40を光コネクタ収納部102Cの後方側の開口部に押し付ける。
【0068】
図34に示す構成によれば、光コネクタ収納部102Cの後方側の開口部がブッシュ40により塞がれるため、塵や水分が光コネクタ収納部102Cからケーブル収納部103Cへ入るのを防ぐことができる。また、ブッシュ40が光コネクタ収納部102Cの後方側の開口部に押し付けられるため、光コネクタ30A、30Bの後方への移動がブッシュ40で止められ、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Cから抜けるのを防ぐことができる。
【0069】
なお、コネクタ1Cがブッシュ40を有する構成においては、図35に示すように、ブッシュ40において上下方向に設けられた溝に対し、カバー11Dが有する凸型の固定部204Cを嵌め、カバー11Dが開口部112Cに嵌められるときにブッシュ40を固定部204Cで光コネクタ収納部102Cの後方側の開口部に押し付ける構成としてもよい。
【0070】
また、図36に示すように、カバー11Dは、前方側の端部を屈曲させた固定部205Cを一体に有する構成としてもよい。この構成においては、固定部204Cがブッシュ40を光コネクタ収納部102Cの後方側の開口部に押し付け、さらに固定部205Cが光コネクタ30A、30Bに接して光コネクタ30A、30Bを前方に押し込む。この構成においても、光コネクタ収納部102Cの後方側の開口部がブッシュ40により塞がれるため、塵や水分が光コネクタ収納部102Cからケーブル収納部103Cへ入るのを防ぐことができる。また、信号線3A、3Bが後方に引っ張られても光コネクタ30A、30Bの後方への移動が固定部205Cにより抑えられ、光コネクタ30A、30Bがハウジング10Cから抜けるのを防ぐことができる。
【0071】
また、コネクタ1Cがブッシュ40を有する構成においては、図37に示すように、ハウジング10Cの下面から内部空間111Cに貫通する穴に固定具50を差し込み、内部空間111Cに突き出た固定具50でブッシュ40と光コネクタ30A、30Bを固定する構成としてもよい。なお、固定具50を用いる構成においては、図38に示すように、ブッシュ40において上下方向に設けられた溝に固定具50を嵌めることによりブッシュ40を固定するようにしてもよい。
【0072】
また、コネクタ1Cは、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを防ぐ構成を備えていてもよい。図39は、コネクタ1Cにおいて電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを防ぐ構成の一例を示す図である。ブッシュ41Cは、弾性を有する合成樹脂又はゴムで形成されている。ブッシュ41Cは、前後方向に貫通する穴を有し、この穴に電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが挿入される。また、ブッシュ41Cは、上下方向の溝を上面側と下面側に有する。カバー11C及びカバー11Dは、ブッシュ41Cが有する溝に嵌められる。カバー11Cと電力線2A、2B及び信号線3A、3Bとの隙間がブッシュ41Cにより塞がれ、カバー11Dと電力線2A、2B及び信号線3A、3Bとの隙間もブッシュ41Cにより塞がれるため、塵や水分が外部から内部空間111Cへ入るのを防ぐことができる。また、ブッシュ41Cとの摩擦により、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bが前後方向へ移動するのを抑えることができる。なお、図39に示す構成は、図30図38に示す構成と組み合わせてもよい。
【0073】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0074】
上述した実施形態においては、信号線3A、3Bは光ファイバーであるが、光ファイバーに限定されるものではなく、例えば、導体ケーブルであってもよい。信号線3A、3Bを導体ケーブルとする場合、例えば、LANケーブルであってもよい。また、信号線3A、3Bの一方を光ファイバーとし、他方を導体ケーブルとしてもよい。
【0075】
ハウジング10A、10B、10Cは、嵌めあわされたメス型のコネクタから抜けるのを防ぐ固定機構を有する構成であってもよい。
【0076】
コネクタ1Aにおいては、図40に示すように、内部において信号線3A、3Bに余長があるように信号線3A、3Bを収納してもよい。また、コネクタ1B、1Cについても、内部において信号線3A、3Bに余長があるように信号線3A、3Bを収納してもよい。コネクタ1Aの内部において信号線3A、3Bに余長がある構成の場合、コネクタ1Aをメス型コネクタへ挿抜するときに信号線3A、3Bが引っ張られたとしても、余長の分がコネクタ1Aの外に伸びて引っ張りの力が緩和され、信号線3A、3Bに張力がかかって破断することを抑制ないし防止することができる。
【0077】
本発明においては、図40に示すように、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bを被覆材5で覆った構成としてもよい。被覆材5は、保護層の一例である。また、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bを被覆材5で覆った構成においては、被覆材5をコネクタ1A、1B、1Cに固定具で固定する構成としてもよい。また、電力線2A、2B及び信号線3A、3Bを被覆材5で覆う構成においては、被覆材5の内部において、長手方向に沿った空間を形成し、この空間の内部に信号線3A、3Bが位置する構成としてもよい。信号線3A、3Bが被覆材5の内部の空間に位置する構成においては、コネクタ1A、1B、1Cは、信号線3A、3Bに余長があるように信号線3A、3Bを収納してもよい。
【0078】
上述した実施形態においては、コネクタ1A、1B、1Cは、電力線2A、2Bを収納する構成であるが、1本又は3本以上の電力線を収納してメス型のコネクタへ接続する構成であってもよい。コネクタ1A、1B、1Cに収納される電力線が1本の構成においては、電力線は電源に接続される構成としてもよい。コネクタ1A、1B、1Cに収納される電力線が複数の構成においては、いずれか一本の電力線がグラウンドに接続されている構成や、全ての電力線が電源に接続されている構成としてもよい。また、コネクタ1A、1B、1Cに収納される複数の電力線が電源に接続される構成においては、例えば、いずれの電力線も同じ電圧の電源に接続される構成としてもよい。また、コネクタ1A、1B、1Cに収納される複数の電力線の複数が電源に接続される構成においては、例えば一本が12Vの電源に接続され、他の一本が48Vの電源に接続される構成としてもよい。
【0079】
図13図25図37に示す構成においては、固定具50で光コネクタ30A、30Bが固定されているが、固定具50で光コネクタ30A、30Bを固定する構成においては、固定具50がハウジング10A、10B、10Cに挿入された状態で固定具50を前方と後方へ移動可能な構成とし、長さ方向の任意の位置で固定具50をハウジング10A、10B、10Cに固定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1A、1B、1C コネクタ
2A、2B 電力線
3A、3B 信号線
5 被覆材
10A~10C ハウジング
11A~11D カバー
20A~20F 端子
21 圧着部
22、25 屈曲部
23 接続部
24 連結部
30A、30B 光コネクタ
40、41A~41C ブッシュ
50 固定具
101A、101B、101C 端子収納部
102A、102B、102C 光コネクタ収納部
103A、103B、103C ケーブル収納部
111A、111B、111C 内部空間
112A、112B、112C 開口部
113 仕切り部
201A~201C 固定部
202A~202C 固定部
203A~203C 固定部
204A~204C 固定部
205B、205C 固定部
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