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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】棒状体保持器具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/04 20060101AFI20240322BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
F16B7/04 301H
F16B2/10 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022051006
(22)【出願日】2022-03-28
(65)【公開番号】P2023144176
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】中村 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田島 健士
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実公昭42-007721(JP,Y1)
【文献】特開平09-112083(JP,A)
【文献】特開2012-125101(JP,A)
【文献】実公昭37-016244(JP,Y1)
【文献】特開平11-236762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00-7/22
F16B 2/00-2/26
E04G 7/22
E04G 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金具と、前記第1金具に回動可能に軸支された第2金具とを備え、前記第1金具と前記第2金具とで断面視略円形を呈する棒状体を保持する棒状体保持器具であって、
前記第1金具は、
前記棒状体が載置される棒状体受け部と、
前記棒状体受け部の前端側に立設されている前板部と、
前記棒状体受け部の後端側に前記前板部よりも高く立設されて、前記前板部の上端よりも高い位置に前記第2金具が軸支されている後板部と、
当該棒状体保持器具を所定箇所に固定するための固定部と、を有しており、
前記第2金具は、その第2金具が自重により下がる方向であって前記後板部の前面に近接する方向に回動した場合に、前記棒状体受け部の上面と対向する位置に配置される棒状体当接部を有しており、
前記棒状体受け部に前記棒状体が載置され、前記棒状体当接部が前記棒状体受け部の上面と対向する位置に配置された状態で、少なくとも前記棒状体受け部の上面と前記前板部の上端と前記後板部の前面が前記棒状体の側面に接触するように構成されており、
前記棒状体受け部に載置されている前記棒状体が前記棒状体当接部を押し上げるように当接した場合に、前記第2金具を前記後板部側に近接させる向きの反作用が生じることによって、前記棒状体が前記棒状体受け部側に押し返されるように構成されていることを特徴とする棒状体保持器具。
【請求項2】
前記棒状体受け部に載置されている前記棒状体と、前記棒状体受け部の上面と対向する位置に配置された前記棒状体当接部との間隔が、前記前板部の基端から上端までの寸法よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の棒状体保持器具。
【請求項3】
前記棒状体受け部に載置されている前記棒状体が前記棒状体当接部を押し上げるように当接し、前記棒状体が前記第1金具の前記前板部上端を前方に押し出すように当接した場合に、前記棒状体を前記後板部側に近接させる向きの反作用が生じることによって、前記棒状体が前記棒状体受け部側に押し返されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の棒状体保持器具。
【請求項4】
前記第2金具は、前記棒状体当接部と鋭角を成してその棒状体当接部の基端から延設されている回動支持部を有しており、前記棒状体当接部の基端側を前記後板部寄りに配して前記回動支持部が前記後板部に軸支されており、
前記棒状体受け部の上面と対向する位置に配置された前記棒状体当接部の自由端が前記後板部側から斜め上に向いた姿勢に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の棒状体保持器具。
【請求項5】
前記棒状体当接部と前記回動支持部とが成す角度は85°以下であることを特徴とする請求項4に記載の棒状体保持器具。
【請求項6】
前記固定部は、前記後板部の後面に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の棒状体保持器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面視略円形を呈する円管や円柱などの棒状体を所定箇所に設置する際に使用する棒状体保持器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定箇所にパイプを固定するのに用いる金具として、一端側が枢着されているとともに、他端側が開閉自在とされている一対の抱持片を備えたパイプクランプ金具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このパイプクランプ金具の一対の抱持片の他端側にはナットを備えた締結具が設けられている。
そして、所定箇所に固設されているパイプクランプ金具の一対の抱持片の間にパイプをセットし、その抱持片が開かないように締結具のナットを締め付ける操作を行うようにして、パイプクランプ金具を介してパイプを所定箇所に設置することができる。
こうして所定箇所に設置されたパイプ(単管パイプ)は、例えば、足場構造など様々な用途の支持点として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-37454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のパイプクランプ金具にパイプを着脱する際には、締結具のナットを螺進させたり螺退させたりする操作を行わなければならず煩雑であった。
そこで、本発明者らが鋭意検討し、パイプなどの棒状体の着脱を容易に行うことができる器具を開発するに至った。
【0005】
本発明の目的は、より簡易な操作で棒状体を着脱することができる棒状体保持器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
第1金具と、前記第1金具に回動可能に軸支された第2金具とを備え、前記第1金具と前記第2金具とで断面視略円形を呈する棒状体を保持する棒状体保持器具であって、
前記第1金具は、
前記棒状体が載置される棒状体受け部と、
前記棒状体受け部の前端側に立設されている前板部と、
前記棒状体受け部の後端側に前記前板部よりも高く立設されて、前記前板部の上端よりも高い位置に前記第2金具が軸支されている後板部と、
当該棒状体保持器具を所定箇所に固定するための固定部と、を有しており、
前記第2金具は、その第2金具が自重により下がる方向であって前記後板部の前面に近接する方向に回動した場合に、前記棒状体受け部の上面と対向する位置に配置される棒状体当接部を有しており、
前記棒状体受け部に前記棒状体が載置され、前記棒状体当接部が前記棒状体受け部の上面と対向する位置に配置された状態で、少なくとも前記棒状体受け部の上面と前記前板部の上端と前記後板部の前面が前記棒状体の側面に接触するように構成されており、
前記棒状体受け部に載置されている前記棒状体が前記棒状体当接部を押し上げるように当接した場合に、前記第2金具を前記後板部側に近接させる向きの反作用が生じることによって、前記棒状体が前記棒状体受け部側に押し返されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の棒状体保持器具において、
前記棒状体受け部に載置されている前記棒状体と、前記棒状体受け部の上面と対向する位置に配置された前記棒状体当接部との間隔が、前記前板部の基端から上端までの寸法よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の棒状体保持器具において、
前記棒状体受け部に載置されている前記棒状体が前記棒状体当接部を押し上げるように当接し、前記棒状体が前記第1金具の前記前板部上端を前方に押し出すように当接した場合に、前記棒状体を前記後板部側に近接させる向きの反作用が生じることによって、前記棒状体が前記棒状体受け部側に押し返されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の棒状体保持器具において、
前記第2金具は、前記棒状体当接部と鋭角を成してその棒状体当接部の基端から延設されている回動支持部を有しており、前記棒状体当接部の基端側を前記後板部寄りに配して前記回動支持部が前記後板部に軸支されており、
前記棒状体受け部の上面と対向する位置に配置された前記棒状体当接部の自由端が前記後板部側から斜め上に向いた姿勢に配置されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の棒状体保持器具において、
前記棒状体当接部と前記回動支持部とが成す角度は85°以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の棒状体保持器具において、
前記固定部は、前記後板部の後面に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より簡易な操作で棒状体を着脱することができる棒状体保持器具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の棒状体保持器具を示す側面図である。
図2】棒状体保持器具の第1金具を示す上面図(a)、正面図(b)、側面図(c)である。
図3】棒状体保持器具の第2金具を示す上面図(a)、正面図(b)、側面図(c)である。
図4】棒状体保持器具にパイプを保持させる手順に関する説明図である。
図5】棒状体保持器具にパイプを保持させる手順に関する説明図である。
図6】複数の棒状体保持器具にパイプを保持させて、そのパイプを所定箇所に設置した態様を示す正面図である。
図7】棒状体保持器具に保持されたパイプが脱落しない作用に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る棒状体保持器具の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
棒状体保持器具は、断面視略円形を呈する円管や円柱などの棒状体を所定箇所に設置する際に使用する器具である。
本実施形態では、例えば、作業現場において様々な用途の支持点として用いられる単管パイプ(棒状体)を所定箇所に設置するための棒状体保持器具について説明する。
【0015】
棒状体保持器具100は、例えば、図1図3に示すように、第1金具10と、第1金具10に回動可能に軸支された第2金具20とを備えており、第1金具10と第2金具20とでパイプPなどの棒状体を保持する機能を有している。
第1金具10と第2金具20は蝶番30を介して連結されており、第2金具20が第1金具10に回動可能に軸支された態様になっている。
【0016】
第1金具10は、パイプPが載置される棒状体受け部11と、棒状体受け部11の前端側に立設されている前板部12と、棒状体受け部11の後端側に前板部12よりも高く立設されて、前板部12の上端よりも高い位置に第2金具20が軸支されている後板部13と、当該棒状体保持器具100を所定箇所に固定するための固定部14とを有している。
【0017】
第1金具10における棒状体受け部11と前板部12と後板部13とで、第1金具10の金具本体が構成されており、1枚の鋼板に曲げ加工を施して棒状体受け部11と前板部12と後板部13とが形成されている。
具体的には、鋼板の一端側の比較的短い部分が略直角に折曲されて前板部12が形成され、その鋼板の他端側の比較的長い部分が前板部12と同じ側に略直角に折曲されて後板部13が形成され、前板部12と後板部13の間が棒状体受け部11とされている。
そして、棒状体受け部11と前板部12と後板部13とで構成されている第1金具本体は、側面視略J字形状を呈している。
例えば、棒状体保持器具100で保持するパイプPの直径が48.6mmである場合、第1金具10は、前板部12の高さ(棒状体受け部11の上面からの寸法)が10mm、後板部13の高さ(棒状体受け部11の上面からの寸法)が109mm、前板部12と後板部13の間の寸法(棒状体受け部11の前後方向に長さ)が44mmであるように形成されている。
第1金具10の各部が上記寸法に形成されていることで、直径48.6mmのパイプPが棒状体受け部11に載置された状態で、棒状体受け部11の上面と前板部12の上端と後板部13の前面の3箇所がパイプPの側面(周面)と接触するようになっている。
つまり、棒状体保持器具100で保持するパイプPの直径に応じて、第1金具10の各部寸法が設計されている。
【0018】
第1金具10の固定部14は、鋼板からなるパーツが溶接などによって第1金具本体(ここでは後板部13)に一体化された部位である。
本実施形態では、後板部13の後面に左右一対の固定部14が配設されている。
この固定部14は後板部13と棒状体受け部11に直交する向きで、後板部13の後面に垂直に配設されている。
ここでの固定部14は、その端部の上角部分が切り欠かれた態様を有しており、側面視略五角形状を呈している。また、固定部14には左右方向に貫通した取付孔14aが設けられている。
【0019】
本実施形態の固定部14は、パイプPを設置する作業現場の所定箇所にある既設の角形鋼管50に対応させて設計されている。
そして、左右一対の固定部14は、角形鋼管50の左右の内壁面に沿って角形鋼管50内に挿入されて固定されるようになっている。
なお、固定部14の取付孔14aは、角形鋼管50の左右の壁部に設けられている貫通孔50aの位置に対応させて形成されている。
つまり、第1金具10の固定部14は、棒状体保持器具100を用いてパイプPを設置する所定箇所に応じて適宜設計されており、具体的には所定箇所にある鋼管や鋼材などに応じて適宜設計されている。
【0020】
第2金具20は、棒状体当接部21と、棒状体当接部21と鋭角を成している回動支持部22とを有している。回動支持部22は、棒状体当接部21と鋭角を成すようにその棒状体当接部21の基端から延設されている。
この第2金具20は、1枚の鋼板に曲げ加工を施して棒状体当接部21と回動支持部22とが鋭角を成すように形成されている。そして、棒状体当接部21と回動支持部22とで構成されている第2金具20は、側面視略レ字形状を呈している。
なお、棒状体当接部21と回動支持部22とが成す角度θは、85°以下であることが好ましい。
棒状体当接部21と回動支持部22とが成す角度θが85°以下であると、パイプPが棒状体当接部21を押し上げように当接した場合、第2金具20を後板部13側へ近接させる向きの反作用がより確実に得られ好ましい。その角度θが80°以下であると、当該作用を更に確実に得ることができる。
また、棒状体当接部21と回動支持部22とが成す角度θが55°以上であると、パイプPに対し、より確実に棒状体受け部11側に押し返す力を作用させることができるので好ましい。その角度θが60°以上であると、当該作用を更に確実に得ることができる。
【0021】
この第2金具20の回動支持部22が蝶番30を介して第1金具10の後板部13に軸支されている。
具体的には、回動支持部22が蝶番30を介して後板部13に軸支されている第2金具20は、棒状体当接部21の基端側を後板部13寄りに配した向きであって、棒状体当接部21と回動支持部22の間の角部を後板部13寄りに配した向きで第1金具10に取り付けられている。
そして、第2金具20が自重により下がる方向であって後板部13の前面に近接する方向に回動した場合に、棒状体受け部11の上面と対向する位置に棒状体当接部21が配置されるようになっている。
また、第2金具20が自重により下がる方向に回動し、棒状体受け部11の上面と対向する位置に配置された棒状体当接部21の自由端21aが後板部13側から斜め上に向いた姿勢に配置されるようになっている。
【0022】
また、第2金具20が自重により下がる方向に回動して、第2金具20の棒状体当接部21と第1金具10の棒状体受け部11とが対向している図1に示した状態で、棒状体当接部21と棒状体受け部11の間にパイプPが収まる空間が形成されるように、第2金具20が第1金具10に軸支されている。
ここでは、第2金具20(回動支持部22)の上端部に蝶番30の一端が固着され、第1金具10(後板部13)の上端部に蝶番30の他端が固着された態様で、第2金具20と第1金具10が回動可能に連結されている。
特に、第2金具20が自重により下がる方向に回動し、棒状体当接部21が棒状体受け部11の上面と対向する位置に配置された状態であって、第2金具20の棒状体当接部21と第1金具10の棒状体受け部11の間にパイプPが収まっている状態において、棒状体当接部21とパイプPとの間には数mm程度(例えば1~3mm)の僅かな間隔があくようになっている。第2金具20の棒状体当接部21とパイプPとの間に僅かな隙間があれば、スムーズに第2金具20を回動させることができる。
本実施形態では、棒状体受け部11と棒状体当接部21の間にパイプPが配置された状態における棒状体当接部21とパイプPとの間隔が、前板部12の高さ(前板部12の基端から上端までの寸法)よりも小さくなるように設計されている。
例えば、棒状体保持器具100で保持するパイプPの直径が48.6mmである場合、棒状体当接部21とパイプPとの間隔が1mmであって、前板部12の高さが10mmであるように設計した。
【0023】
次に、本実施形態の棒状体保持器具100の使用態様であって、棒状体保持器具100を用いて所定箇所にパイプPを設置する手順について説明する。
本実施形態では、洞道における作業にて台車が移動したり転倒したりするのを防止するための支持点として利用するパイプPを洞道内に設置する場合を例に説明する。
なお、洞道内には、例えばケーブルが掛架されるケーブル受金物として、前述した角形鋼管50が所定間隔毎に複数設けられている。
【0024】
まず、棒状体保持器具100(第1金具10)の固定部14を角形鋼管50に挿し込んで、所定箇所である角形鋼管50に棒状体保持器具100を取り付ける(図4参照)。
そして、角形鋼管50に固定部14を挿し込んだ状態で重なっている貫通孔50aと取付孔14aに抜け止めピン(図示省略)を挿通させて、角形鋼管50に棒状体保持器具100を固定する。
【0025】
次いで、図4に示すように、第1金具10の棒状体受け部11から第2金具20の棒状体当接部21を離間させるように、第2金具20を回動させておき、第1金具10の棒状体受け部11にパイプPを載置する。
この第1金具10にパイプPを載置した状態で、前板部12の上端と棒状体受け部11の上面と後板部13の前面の3箇所がパイプPと接触している。具体的には、前板部12の上端と棒状体受け部11の上面と後板部13の前面の3箇所がパイプPの側面と線接触している。
【0026】
次いで、図5に示すように、第2金具20が自重により下がる方向であって、第2金具20が後板部13の前面に近接する方向に回動させて、棒状体受け部11の上面と対向する位置に棒状体当接部21を配置し、棒状体受け部11と棒状体当接部21の間にパイプPを収めるようにする。
棒状体受け部11に載置されたパイプPと、棒状体受け部11の上面と対向する位置に配置された棒状体当接部21との間には僅かな隙間があるので、第2金具20をスムーズに回動させることができる。
なお、棒状体当接部21とパイプPとが摺接する間隔(間隙0mm)であっても、第2金具20を回動させることができる。
【0027】
こうして、第1金具10の棒状体受け部11にパイプPを載置した後、第2金具20の棒状体当接部21を棒状体受け部11の上面と対向する位置に配置させることによって、第1金具10の棒状体受け部11と第2金具20の棒状体当接部21の間にパイプPを収めるようにして、第1金具10と第2金具20とでパイプPを保持することができる。
このとき、棒状体当接部21と回動支持部22の間の角部は、棒状体受け部11に載置されているパイプP側面の円頂部分(パイプP側面の最も高い部分)よりも低い位置であって、その円頂部分よりも後板部13寄りの位置にある(図5参照)。
そして、洞道内の複数箇所にある角形鋼管50に固定されている全ての棒状体保持器具100において同様の手順によるパイプPの保持を行って、図6に示すように、所定箇所である洞道内の角形鋼管50に棒状体保持器具100を介してパイプPを設置することができる。
このように、所定箇所である角形鋼管50に固定されている棒状体保持器具100の第1金具10と第2金具20とでパイプPを保持することによって、所定箇所にパイプPを設置することができる。
【0028】
特に、この棒状体保持器具100において、棒状体受け部11と棒状体当接部21の間に載置されて保持されているパイプPが棒状体当接部21を押し上げるように当接した際に、第2金具20を後板部13側に近接させる向きの反作用が生じることによって、パイプPが棒状体受け部11側に押し返されるようになっており、第1金具10と第2金具20の間からパイプPが脱落しないようになっている。
これは、第1金具10に載置されているパイプPが前板部12の上端と棒状体受け部11の上面と後板部13の前面の3箇所に接触していることと、第2金具20の棒状体当接部21と回動支持部22とが鋭角を成してその角部を後板部13側に向けて軸支されていることに起因しており、パイプPが棒状体当接部21を押し上げるように当接した際にその反作用で第2金具20が後板部13側に近接する向きに回動することによる。
具体的には、第1金具10に載置されているパイプPが前板部12を乗り越えようとして、そのパイプPが棒状体当接部21を押し上げるように当接しても、図5中、第2金具20は時計回りに回動せず、反時計回りに回動するようになっており、第1金具10に軸支されている第2金具20が開かないので、第1金具10と第2金具20の間からパイプPが脱落してしまうことがない。
より具体的には、図7に示すように、この棒状体保持器具100において、棒状体受け部11と棒状体当接部21の間に載置されて保持されているパイプPが棒状体当接部21を押し上げるように当接し、そのパイプPが第1金具10の前板部12上端を前方に押し出すように当接した場合に、パイプPを後板部13側に近接させる向きの反作用が生じることによって、パイプPが棒状体受け部11側に押し返されるようになっているので、第1金具10と第2金具20の間からパイプPが脱落してしまうことがない。
【0029】
一方、第1金具10と第2金具20とでパイプPを保持している棒状体保持器具100からパイプPを取り外す場合には、ユーザーが第2金具20を掴んで、その第2金具20が自重により下がる方向とは逆向きに回動させて、第2金具20を第1金具10から離間させるように開くことで、図4に示した状態にすることができるので、棒状体保持器具100からパイプPを容易に取り外すことができる。
【0030】
以上のように、この棒状体保持器具100であれば、第1金具10にパイプPを載置した後、第2金具20が自重により下がる方向(図5中、反時計回り)に回動させれば、第1金具10と第2金具20とでパイプPを保持させることができ、棒状体保持器具100にパイプPを取り付けることができる。
また、パイプPを保持している棒状体保持器具100からパイプPを取り外す場合には、第2金具20が自重により下がる方向とは逆向き(図5中、時計回り)に回動させて、第2金具20を第1金具10から離間させるように開くようにすれば、棒状体保持器具100からパイプPを取り外すことができる。
このような棒状体保持器具100であれば、レンチやスパナなどの工具を使うことなく、より簡易な操作でパイプPを着脱することができる。
【0031】
本実施形態の棒状体保持器具100であれば、より簡易な操作でパイプPを着脱することができるので、支持点として利用するパイプPの設置や撤去を速やかに行うことができる。
【0032】
なお、以上の実施の形態においては、棒状体保持器具100を所定箇所に固定するための固定部14は、第1金具10の後板部13の後面に配設されているとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1金具10の棒状体受け部11の下面に配設されて、後板部13よりも後方に延在するように設けられていてもよい。
【0033】
また、以上の実施の形態においては、棒状体受け部11と棒状体当接部21の間にパイプPを収めた状態で、そのパイプPと棒状体当接部21との間には僅かな隙間がある、または棒状体当接部21とパイプPとは摺接する程度である(間隙0mm)としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2金具20の棒状体当接部21が第1金具10の棒状体受け部11に向けてパイプPを押圧するようにして、第2金具20と第1金具10とでパイプPを把持するようにしてもよい。
この場合、間隙0mmのときに比べて、棒状体当接部21とパイプPとはより強く擦れる距離間で配されている。
【0034】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
10 第1金具
11 棒状体受け部
12 前板部
13 後板部
14 固定部
14a 取付孔
20 第2金具
21 棒状体当接部
21a 自由端
22 回動支持部
30 蝶番
50 角形鋼管(所定箇所)
50a 貫通孔
100 棒状体保持器具
P パイプ(棒状体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7