(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ドレッサーボードの保持治具及び保持治具の使用方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/12 20060101AFI20240325BHJP
B24B 53/00 20060101ALI20240325BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
B24B53/12 Z
B24B53/00 K
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2020069687
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン・ウェイ・チャン
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-000965(JP,A)
【文献】特開2011-009324(JP,A)
【文献】特開2013-022713(JP,A)
【文献】特開2011-016205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/12
B24B 53/00
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレッサーボードを保持テーブルに保持するためのドレッサーボードの保持治具であって、
該ドレッサーボードを支持する支持部と、
該支持部の支持面に設置されたドレッサーボードの一対の辺を挟持する挟持部と、を備え、
該挟持部は、
該支持面から該一対の辺に沿って延在し、該支持面から立設する一対の板状の側壁部と、
該側壁部から該支持面と平行に延在し該支持面に支持された該ドレッサーボードの上面を押さえる押さえ部、とを
有
し、
該支持部の端部には、
該ドレッサーボードを突き当てて該保持治具から抜ける事を防止する突き当てブロックが形成されており、
該突き当てブロックは、該支持部と一方の該挟持部の端部に固定され、該突き当てブロックの上面が、該支持面よりも該支持面に載置された該ドレッサーボード側に位置し、該突き当てブロックの他方の該挟持部側の側面が、一方の該挟持部の他方の該挟持部と対向する内面よりも他方の該挟持部側に位置する事を特徴とするドレッサーボードの保持治具。
【請求項2】
該保持治具は、被加工物を保持する保持テーブルの保持面と同じ大きさに形成され、
該被加工物を搬送する搬送ユニットによって該被加工物を保持する保持テーブルに搬送される事を特徴とする請求項1に記載のドレッサーボードの保持治具。
【請求項3】
請求項
2に記載のドレッサーボードの保持治具の使用方法であって、
該ドレッサーボードは、第1の面と第2の面とを有し、
該挟持部と該支持部の支持面との間に、該第1の面側を該支持面に支持した状態で該ドレッサーボードを挿入して該保持治具に収容し、該ドレッサーボードを収容した該保持治具を該保持テーブルに載置して吸引保持させる保持治具設置ステップと、
該第1の面側を該支持面に
支持した状態で、該ドレッサーボードの外周に至り、該ドレッサーボードを完全に切断しない深さの第1の切削溝を形成する第1切削ステップと、
該第1切削ステップの実施後に、該第1の面と該第2の面とを反転させて、
該挟持部と該支持部の支持面との間に、該第2の面側を該支持面に支持した状態で
該ドレッサーボードを挿入して該保持治具に収容
し、該ドレッサーボードを収容した該保持治具を該保持テーブルに載置して吸引保持させる反転ステップと、
該反転ステップの実施後に、
該第2の面側を該支持面に支持した状態で、該第1の切削溝と交差し、該ドレッサーボードを完全に切断しない深さの第2の切削溝を形成する第2切削ステップと、
を備え
、
該保持治具設置ステップ及び該反転ステップでは、該被加工物を搬送する搬送ユニットによって、該ドレッサーボードを収容した該保持治具を該被加工物を保持する保持テーブルに搬送する事を特徴とする、請求項2に記載のドレッサーボードの保持治具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレッサーボードを保持テーブルに吸引保持する保持治具及び保持治具の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切削ブレードをスピンドルに装着した後に、切削ブレードの中心とスピンドルの軸心とを一致させるためや切削ブレードの目立てを行うために、切削ブレードの外形を修正する真円出しドレッシングを実施している。この真円出しドレッシングは、一般砥粒を樹脂やガラス質で固めたドレッサーボードを切削ブレードで切削することで遂行され、切削に伴って切削ブレードが磨耗することで切削ブレードの外形が修正される(例えば特許文献1及び2参照)。ドレッサーボードは、第1面(表面)と第2面(裏面)とを備え、コスト低減のために両面を切削する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-016205号公報
【文献】特開2016-181540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、第1面を切削した後、ドレッサーボードの表裏を反転させ切削溝が形成された第1面を下側に配置した状態で保持テーブルの保持面にドレッサーボードの第1面を吸引保持させようとすると、ドレッサーボードの切削溝から空気が漏れてしまう。このため、切削溝が形成された第1面に保護テープを貼着させて保持テーブルに保持させるなどの工夫が必要であった。
【0005】
しかし、ドレッサーボードを使用するたびに保護テープを貼着したり、ドレッサーボードの大きさに合わせて保護テープを切り取ったりすることが面倒であるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、両面を切削するドレッサーボードにおいて、ドレッサーボードを保持テーブルに吸引保持することが容易になる保持治具及び保持治具の使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のドレッサーボードの保持治具は、ドレッサーボードを保持テーブルに保持するためのドレッサーボードの保持治具であって、該ドレッサーボードを支持する支持部と、該支持部の支持面に設置されたドレッサーボードの一対の辺を挟持する挟持部と、を備え、該挟持部は、該支持面から該一対の辺に沿って延在し、該支持面から立設する一対の板状の側壁部と、該側壁部から該支持面と平行に延在し該支持面に支持された該ドレッサーボードの上面を押さえる押さえ部、とを有し、該支持部の端部には、該ドレッサーボードを突き当てて該保持治具から抜ける事を防止する突き当てブロックが形成されており、該突き当てブロックは、該支持部と一方の該挟持部の端部に固定され、該突き当てブロックの上面が、該支持面よりも該支持面に載置された該ドレッサーボード側に位置し、該突き当てブロックの他方の該挟持部側の側面が、一方の該挟持部の他方の該挟持部と対向する内面よりも他方の該挟持部側に位置する。
【0008】
該保持治具は、被加工物を保持する保持テーブルの保持面と同じ大きさに形成され、該被加工物を搬送する搬送ユニットによって該被加工物を保持する保持テーブルに搬送されても良い。
【0009】
前記ドレッサーボードの保持治具の使用方法であって、該ドレッサーボードは、第1の面と第2の面とを有し、該挟持部と該支持部の支持面との間に、該第1の面側を該支持面に支持した状態で該ドレッサーボードを挿入して該保持治具に収容し、該ドレッサーボードを収容した該保持治具を該保持テーブルに載置して吸引保持させる保持治具設置ステップと、該第1の面側を該支持面に支持した状態で、該ドレッサーボードの外周に至り、該ドレッサーボードを完全に切断しない深さの第1の切削溝を形成する第1切削ステップと、該第1切削ステップの実施後に、該第1の面と該第2の面とを反転させて、該挟持部と該支持部の支持面との間に、該第2の面側を該支持面に支持した状態で該ドレッサーボードを挿入して該保持治具に収容し、該ドレッサーボードを収容した該保持治具を該保持テーブルに載置して吸引保持させる反転ステップと、該反転ステップの実施後に、該第2の面側を該支持面に支持した状態で、該第1の切削溝と交差し、該ドレッサーボードを完全に切断しない深さの第2の切削溝を形成する第2切削ステップと、を備え、該保持治具設置ステップ及び該反転ステップでは、該被加工物を搬送する搬送ユニットによって、該ドレッサーボードを収容した該保持治具を該被加工物を保持する保持テーブルに搬送する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、両面を切削するドレッサーボードにおいて、ドレッサーボードを保持テーブルに吸引保持することが容易になる保持治具及び保持治具の使用方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、保持治具に保持されたドレッサーボードを切削している状態を示す模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るドレッサーボードの保持治具を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、保持治具及び保持治具に収納保持されたドレッサーボードを正面から見た模式図であり、切削した後の状態を示すドレッサーボードの図である。
【
図6】
図6は、保持治具の使用方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、保持治具及び保持治具に収納保持されたドレッサーボードを正面から見た模式図であり、切削する前の状態を示すドレッサーボードの図である。
【
図8】
図8は、変形例1に係るドレッサーボードの保持治具を示す平面図である。
【
図9】
図9は、変形例1に係るドレッサーボードの保持治具を第1チャックテーブルに載置した状態を示す断面図である。
【
図10】
図10は、変形例2に係るドレッサーボードの保持治具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、保持治具に保持されたドレッサーボードを切削している状態を示す模式的な断面図である。
【0014】
実施形態に係る加工装置1は、被加工物200を切削(加工に相当する)する切削装置である。
図1に示された加工装置1の加工対象の被加工物200は、シリコン、サファイヤ、ガリウムヒ素、又はSiC(炭化ケイ素)等などを基板とする半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。デバイスは、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。
【0015】
また、加工装置1の装置本体部4には、
図1に示すように、第1チャックテーブル10を水平方向と平行なX軸方向に加工送りする図示しないX軸移動ユニットと、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸移動ユニット32と、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りするZ軸移動ユニット33と、が設けられる。
【0016】
第1チャックテーブル(保持テーブル)10は、円盤形状であり、被加工物200を保持する保持面11がポーラスセラミック等から形成されている。第1チャックテーブル10は、保持面11が図示しない吸引源と接続され、吸引源により吸引されることで、保持面11に載置された被加工物200を吸引及び保持する。また、第1チャックテーブル10の周囲には、複数のクランプ12及びウォーターカバー14が配設されており、このウォーターカバー14と装置本体部4の端部とにわたり蛇腹16が設けられる。第1チャックテーブル10に隣接して、ウォーターカバー14上に、ドレッサーボード400の保持治具300を保持する第2チャックテーブル(保持テーブル)18が配設されている。なお、クランプ12は、フレームユニット220の環状フレーム211を把持する。
【0017】
第2チャックテーブル(保持テーブル)18は、
図2に示すように、吸引源182と接続されている。
【0018】
吸引源182により保持治具300が吸引されることで、
図2に示すように、第2チャックテーブル(保持テーブル)18に載置された保持治具300を吸引及び保持する。
【0019】
切削ユニット20は、切削ブレード21を着脱自在に装着した切削手段である。切削ブレード21によって、被加工物200及びドレッサーボード400を切削することができる。
【0020】
切削ユニット20は、
図1に示すように、装置本体部4から立設した門型の支持フレーム5の一方の柱部51に、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33などを介して支持されている。
【0021】
切削ユニット20は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33により、第1チャックテーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。切削ユニット20は、
図1及び
図2に示すように、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22内に軸心回りに回転自在に設けられたスピンドル23と、スピンドル23に装着される切削ブレード21とを備える。
【0022】
撮像ユニット30は、第1チャックテーブル10に保持された切削前の被加工物200の分割すべき領域を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子である。撮像ユニット30は、第1チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮像して、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0023】
また、加工装置1は、カセットエレベータ40と、洗浄ユニット50と、図示しない搬送ユニットと、を備える。カセット41には、切削前後の被加工物200と、ドレッサーボード400とが収容される。カセットエレベータ40は、このカセット41が載置されかつカセット41をZ軸方向に移動させる。洗浄ユニット50は、切削後の被加工物200を洗浄する。図示しない搬送ユニットは、カセット41に被加工物200及びドレッサーボード400を出し入れする。また、搬送ユニットは、被加工物200及びドレッサーボード400を、カセット41と、第1チャックテーブル10及び第2チャックテーブル18と、洗浄ユニット50との間で搬送する。
【0024】
制御ユニット100は、加工装置1の上述した構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置1の上述した構成要素に出力する。
【0025】
図3は、実施形態に係るドレッサーボードの保持治具を示す斜視図である。
図4は、
図3のIV-IV線による断面図である。
図5は、保持治具及び保持治具に収納保持されたドレッサーボードを正面から見た模式図であり、切削した後の状態を示すドレッサーボードの図である。
【0026】
図2、
図3及び
図4に示すように、ドレッサーボードの保持治具300は、支持部310と、挟持部340と、突き当てブロック350と、を備え、挟持部340は、側壁部320と、押さえ部330と、を有する。保持治具300は、例えば樹脂などが適用可能である。
【0027】
支持部310は、平面視が矩形状の平板であり、X方向及びY方向に沿って延びている。支持部310は、上面が平坦な支持面312であり、下面311は支持面312の反対側の平面である。支持面312には、
図4に示すように、ドレッサーボード400が支持される。このように、ドレッサーボード400は、支持面312を介して支持部310で支持される。支持部310の下面311は平坦であり、
図2に示すように、第1チャックテーブル10及び第2チャックテーブル18に吸引及び保持される。
【0028】
一対の挟持部340の側壁部320は、支持面312のY方向の端部から立設してZ1方向に延び、板状の形状を有する。詳細には、一対の側壁部320は、支持部310のY1側の端部313から立設する側壁部320と、支持面312のY2側の端部313から立設する側壁部320と、を備える。側壁部320は、内側に位置してZ方向に延びる内面322と、外側に位置してZ方向に延びる側面321と、を有する。押さえ部330は、Y方向に沿って、支持面312と平行に延び、内周側には先端部331を有する。先端部331の上面331aは、Y方向の内側に向かうに従って下側に傾斜する傾斜面である。押さえ部330は、上面332と、下面333と、を備える。上面332及び下面333は、支持面312と平行に延びる。先端部331の上面331aが傾斜面であるため、切削ブレード21が当たりにくい形状となっている。
【0029】
支持部310及び側壁部320におけるY1側の端部であって且つX1側の端部に突き当てブロック350が固定されている。突き当てブロック350は、例えば、接着剤又はネジ止めによって支持部310及び側壁部320に固定される。突き当てブロック350は、上面351と、下面352と、側面353,354と、正面355と、背面356と、を備える直方体である。上面351及び下面352は、支持面312と平行に延びる。下面352は、下面311よりも上側(Z1側)に位置する。側面353は、側面321よりもY2側に位置する。上面351は、支持面312よりもZ1側に位置し、側面354は、内面322よりもY2側に位置する。これにより、支持面312の上に載置されたドレッサーボード400は、突き当てブロック350に当接して、保持治具300から抜け落ちることが防止される。
【0030】
図5に示すように、保持治具300には、ドレッサーボード400が収納保持される。ドレッサーボード400は、一般砥粒を樹脂やガラス質で固めることにより成形される。ドレッサーボード400は、表面及び裏面のうち一方側の面が第1の面410であり、他方側の面が第2の面420である。
図5では、ドレッサーボード400の下側に第1の面410が配置され、ドレッサーボード400の上側に第2の面420が配置される。
【0031】
また、
図2に示すように、ドレッサーボード400の表面及び裏面には、切削溝450が形成される。第2の面420には、第1の切削溝451が形成され、第1の面410には、第2の切削溝452が形成される。ドレッサーボード400の第1の面410は、保持治具300における支持面312によって支持される。ドレッサーボード400の第2の面420(上面)の端部は、押さえ部330の下面333によって押さえられる。なお、ドレッサーボード400の第2の面420(上面)の端部は、押さえ部330の下面333によって押さえられる。ドレッサーボード400の側面430,440は、保持治具300の側壁部320の内面322によって支持される。このように、保持治具300の一対の挟持部340は、ドレッサーボード400の側面430,440(一対の辺)を挟持する。
【0032】
次に、保持治具の使用方法を説明する。
図6は、保持治具の使用方法を示すフローチャートである。
図7は、保持治具及び保持治具に収納保持されたドレッサーボードを正面から見た模式図であり、切削する前の状態を示すドレッサーボードの図である。
【0033】
実施形態に係る保持治具の使用方法は、
図6に示すように、保持治具設置ステップ1001と、第1切削ステップ1002と、反転ステップ1003と、第2切削ステップ1004と、を備える。
【0034】
(保持治具設置ステップ)
保持治具設置ステップ1001は、保持治具300の
図3に示すX2方向の外側からX1方向に向かって挟持部340と支持面312との間にドレッサーボード400を挿入し、ドレッサーボード400を収容した保持治具300を第2チャックテーブル18に載置するステップである。オペレータまたは搬送ユニットは、
図7に示す保持治具300を把持し、
図2に示すように吸引源182に接続される第2チャックテーブル18の上に載置する。その後、制御ユニット100が吸引源182を制御して、
図2に示すように、保持治具300を第2チャックテーブル18に吸引保持する。実施形態において、保持治具300は第2チャックテーブル18とほぼ同形に形成されているため、吸引時にバキュームリークが発生する恐れがない。
【0035】
(第1切削ステップ)
第1切削ステップ1002は、
図2に示すように、第1の面410側を保持治具300の支持面312に保持されたドレッサーボード400に、ドレッサーボード400の外周に至り、ドレッサーボード400を完全に切断しない深さの第1の切削溝451を形成するステップである。
【0036】
このとき、
図7に示すように、ドレッサーボード400の第1の面410は、保持治具300における支持面312によって支持される。また、ドレッサーボード400の第2の面420の端部は、保持治具300における押さえ部330によって支持される。なお、
図8に示す突き当てブロック350に、ドレッサーボード400の端部が当接しドレッサーボード400が位置決めされる。そして、
図2に示すように、制御ユニット100が切削ユニット20を制御して、保持テーブルと切削ユニット20の切削ブレード21とを相対的に移動させながらドレッサーボード400に切削ブレード21を切り込ませて第1の切削溝451を形成する。第1の切削溝451は、ドレッサーボード400を完全に切断しない深さである。即ち、第1の切削溝451の深さは、ドレッサーボード400の厚さよりも小さい。また、第1の切削溝451は、ドレッサーボード400の外周まで延びる。
【0037】
(反転ステップ)
反転ステップ1003は、第1切削ステップ1002の実施後に、第1の面410と第2の面420とを反転させて、第2の面420側を支持面312に支持した状態で保持治具300に収容するステップである。反転ステップ1003は搬送ユニットによって保持テーブルからカセットまで保持治具300を搬送し、その後にオペレーターがカセットから保持治具を取り出し行うか、オペレーターが保持テーブルから保持治具300を取り出し実施するかが考えられる。また反転ステップの実施後は、保持治具300をカセットに収容し搬送ユニットにより保持テーブルまで搬送するか、オペレーターが手作業に保持治具300を保持テーブル上に載置するかが考えられる。なお、反転ステップ1003は、第1切削ステップ1002により第1の面410に切削できる領域がなくなった場合に行う。
【0038】
オペレーターは、ドレッサーボード400を保持治具300から取り出し、第1の面410と第2の面420とを反転させる。すると、第2の面420が下側に位置し第1の面410が上側に位置する。そして、保持治具300に収容することにより、ドレッサーボード400の第2の面420は、保持治具300における支持面312によって支持される。また、ドレッサーボード400の第1の面410の端部は、保持治具300における押さえ部330によって支持される。
【0039】
(第2切削ステップ)
第2切削ステップ1004は、反転ステップ1003の実施後に、平面視で第1の切削溝451と交差(例えば直交)してドレッサーボード400を完全に切断しない深さの第2の切削溝452を形成するステップである。
【0040】
制御ユニット100が切削ユニット20を制御して、保持テーブルと切削ユニット20の切削ブレード21とを相対的に移動させながらドレッサーボード400に切削ブレード21を切り込ませて第2の切削溝452(
図2及び
図5の破線参照)を形成する。第2の切削溝452は、ドレッサーボード400を完全に切断しない深さである。また、第2の切削溝452は、第1の切削溝451に対して交差する。即ち、平面視において、第2の切削溝452と第1の切削溝451とは、例えば交差して延びており、互いに同一方向に沿っていない。第2の切削溝452と第1の切削溝451とが同一方向になると、ドレッサーボード400の剛性が低下して撓みやすくなり、第2の切削溝452を形成しにくくなる。また、第1の切削溝451と第2の切削溝452とを合計した深さがドレッサーボード400の厚みに近いまたはそれ以上である場合、第1の切削溝451と第2の切削溝452とが同一方向に延びる場合は、ドレッサーボードが分割されてしまい個片化されたドレッサーボード400の回収が面倒である。交差する方向に形成すれば交差点のみ貫通するがそのほかの領域は分割されないため、同一方向よりも切削ブレードを深く切り込んでより効果的に目立てや真円出しを行うことができる。
【0041】
なお、第2切削ステップ1004後に再度ドレスを行う際には、ドレッサーボード400に切削する領域が残っていないまたは異なるドレッサーボード400を使用したい場合は、制御ユニット100が搬送ユニットを制御して、ドレッサーボード400が収容された保持治具300を第2チャックテーブル18から取り外しカセットまで搬送した後、オペレーターがドレッサーボード400を入れ替え、再度カセットに収容し搬送ユニットによって第2チャックテーブルまで搬送し第2チャックテーブル上に設置するか、またはオペレーターが第2チャックテーブル18から保持治具300を取り外しドレッサーボード400を入れ替え、再度第2チャックテーブル18に設置する。
【0042】
以上の構成を有する実施形態によれば、以下の作用効果を有する。実施形態に係る保持治具300は、ドレッサーボード400を第1チャックテーブル(保持テーブル)10及び第2チャックテーブル(保持テーブル)18に保持するためのドレッサーボードの保持治具300である。保持治具300は、ドレッサーボード400を支持する支持部310と、支持部310の支持面312に設置されたドレッサーボード400の一対の辺を挟持する挟持部340と、を備え、挟持部340は、支持面312から一対の辺に沿って延在し、支持面312から立設する一対の板状の側壁部320と、側壁部320から支持面312と平行に延在し支持面312に支持されたドレッサーボード400の上面を押さえる押さえ部330、とを有する。
【0043】
このように、保持治具300は、ドレッサーボード400を支持する。保持治具300の底面は、第2チャックテーブル(保持テーブル)18に吸引及び保持される。従って、両面を切削するドレッサーボード400は、保持治具300を介して第2チャックテーブル(保持テーブル)18に保持される。このように、切削溝が形成されたドレッサーボード400の第1の面410に保護テープを貼着させてドレッサーボード400を保持テーブルに保持させる場合に比べて、保持治具300を介して保持テーブルに保持した方が、オペレーターの作業が削減される。
【0044】
支持部310の端部には、突き当てブロック350が形成されている。従って、保持治具300にドレッサーボード400を挿入する際に、ドレッサーボード400を突き当てブロック350から抜けることが抑制される。
【0045】
ドレッサーボードの保持治具の使用方法において、ドレッサーボード400は、第1の面410と第2の面420とを有し、第1の面410側を支持面312に保持して、ドレッサーボード400の外周に至り、ドレッサーボード400を完全に切断しない深さの第1の切削溝451を形成する第1切削ステップ1002と、第1切削ステップ1002の実施後に、第1の面410と第2の面420とを反転させて、第2の面420側を支持面312に支持した状態で保持治具300に収容する反転ステップ1003と、反転ステップ1003の実施後に、第1の切削溝451と交差し、ドレッサーボード400を完全に切断しない深さの第2の切削溝452を形成する第2切削ステップ1004と、を備える。
【0046】
ドレッサーボード400を保持治具300から取り出したのち、ドレッサーボード400の表裏を反転して、ドレッサーボード400を保持治具300に挿入して収容させる。従って、両面に切削加工を施すドレッサーボード400について、保持治具300を介して保持テーブルにより容易に保持することができる。
【0047】
〔変形例1〕
図8は、変形例1に係るドレッサーボードの保持治具を示す平面図である。
図9は、変形例1に係るドレッサーボードの保持治具を第1チャックテーブルに載置した状態を示す断面図である。
【0048】
図8及び
図9に示すように、ドレッサーボードの保持治具300Aは、支持部310Aと、挟持部340Aと、突き当てブロック350Aと、を備え、挟持部340Aは、側壁部320Aと、押さえ部330Aと、を有する。保持治具300は、例えば樹脂などが適用可能である。
【0049】
支持部310Aは、円盤形状であり、X方向及びY方向に沿って延びている。支持部310Aは、上面が平坦な支持面312Aであり、下面311Aは支持面312Aの反対側の平面である。支持面312Aには、ドレッサーボード400が支持される。このように、ドレッサーボード400は、支持面312Aを介して支持部310Aで支持される。支持部310Aの下面311Aは平坦であり、第1チャックテーブル10に吸引及び保持される。一対の側壁部320Aは、側壁部320Aと、押さえ部330Aと、を備える。押さえ部330Aは、Y方向に沿って、支持面312Aと平行に延びる。
【0050】
このように、変形例1に係る保持治具300Aは、第1チャックテーブル10とほぼ同じ大きさの略円形に形成されているため、バキュームリークを発生させず第1チャックテーブル10によって吸引及び保持することができる効果がある。また、被加工物がテープを介して貼着される環状フレームとほぼ同形に形成されているため、カセットに収容しておけば従来の搬送ユニットによって第1チャックテーブル10に搬送する事ができる。
【0051】
〔変形例2〕
図10は、変形例2に係るドレッサーボードの保持治具を示す斜視図である。変形例2に係る保持治具300Bは、
図3に示す実施形態に係る保持治具300に対して、突き当てブロック350が設けられていない。即ち、保持治具300Bは、支持部310と、挟持部340と、を備え、挟持部340は、側壁部320と、押さえ部330と、を有する。保持治具300は、例えば樹脂などが適用可能である。
【0052】
このように、突き当てブロック350が設けられていない保持治具300Bによっても、保持治具300Aを介してドレッサーボード400を保持テーブルにより容易に吸引保持することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 第1チャックテーブル(保持テーブル)
18 第2チャックテーブル(保持テーブル)
300,300A,300B 保持治具
310,310A 支持部
312,312A 支持面
320,320A 側壁部
330,330A 押さえ部
340,340A 挟持部
350,350A 突き当てブロック
400 ドレッサーボード
410 第1の面
420 第2の面
451 第1の切削溝
452 第2の切削溝
1001 保持治具設置ステップ
1002 第1切削ステップ
1003 反転ステップ
1004 第2切削ステップ