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特許7459502情報処理システム、プログラム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20240326BHJP
   G06Q 40/12 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06Q40/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019229260
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021096762
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】野田 圭三
(72)【発明者】
【氏名】松坂 善明
(72)【発明者】
【氏名】市川 弘幸
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-134701(JP,A)
【文献】特許第5228134(JP,B1)
【文献】特開2019-061575(JP,A)
【文献】特開2019-204202(JP,A)
【文献】特表2017-527055(JP,A)
【文献】特許第6174178(JP,B1)
【文献】米国特許第06393346(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用量に応じて費用が発生する物品のユーザによる業務利用と私用利用とを管理する情報処理システムであって、
前記物品である車両において、前記車両の走行距離データを測定して、前記車両の利用実績データを生成する走行距離測定手段と、
前記ユーザの勤怠データを管理する勤怠データ管理手段と、
前記ユーザの勤怠データ及び前記車両の利用実績データに基づき、前記車両の業務利用の利用実績データ及び私用利用の利用実績データを判別する判別手段と、
所定期間における前記業務利用の利用実績データ及び前記私用利用の利用実績データを出力する出力手段と、
を有し、
前記判別手段は、前記ユーザの勤怠データ及び事前登録された業務利用の基準走行距離データに基づき、業務利用の走行距離データを算出し、前記車両の走行距離データから前記業務利用の走行距離データ及び前記ユーザの通勤距離データを除いた前記私用利用の走行距離データを判別すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、前記私用利用の利用実績データ及び前記費用に関するデータに基づいて前記ユーザによる前記私用利用の費用を算出し、出力すること
を特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記判別手段は、前記ユーザの勤怠データと、前記車両の利用実績データに含まれる、走行距離、時刻、及び位置の情報と、に基づき、前記ユーザの勤務時間内の前記車両の走行距離データから、前記業務利用の走行距離データを算出して、前記車両の走行距離データから前記業務利用の走行距離データ及び前記ユーザの通勤距離データを除いた前記私用利用の走行距離データを判別すること
を特徴とする請求項1又は2記載の情報処理システム。
【請求項4】
ユーザ端末の出力装置に、前記業務利用の利用実績データ及び前記私用利用の利用実績データの少なくとも一方を表示させる表示制御手段、
を更に有する請求項1乃至の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記表示制御手段は、複数人の前記ユーザの前記業務利用の利用実績データ及び前記私用利用の利用実績データの少なくとも一方を集計し、集計結果を管理者のユーザ端末の出力装置に表示させること
を特徴とする請求項記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記物品は、前記ユーザである従業員に貸与され、前記従業員に業務利用及び私用利用される車両であること
を特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
利用量に応じて費用が発生する物品のユーザによる業務利用と私用利用とを管理する情報処理装置を、
前記物品である車両において、前記車両の走行距離データを測定して、前記車両の利用実績データを生成する走行距離測定手段、
前記ユーザの勤怠データを管理する勤怠データ管理手段、
前記ユーザの勤怠データ及び前記車両の利用実績データに基づき、前記車両の業務利用の利用実績データ及び私用利用の利用実績データを判別する判別手段、
所定期間における前記業務利用の利用実績データ及び前記私用利用の利用実績データを出力する出力手段、
として機能させ
前記判別手段は、前記ユーザの勤怠データ及び事前登録された業務利用の基準走行距離データに基づき、業務利用の走行距離データを算出し、前記車両の走行距離データから前記業務利用の走行距離データ及び前記ユーザの通勤距離データを除いた前記私用利用の走行距離データを判別すること、
を特徴とするプログラム。
【請求項8】
利用量に応じて費用が発生する物品のユーザによる業務利用と私用利用とを管理する情報処理装置であって、
前記物品である車両において、前記車両の走行距離データを測定して、前記車両の利用実績データを生成する走行距離測定手段と、
前記ユーザの勤怠データを管理する勤怠データ管理手段と、
前記ユーザの勤怠データ及び前記車両の利用実績データに基づき、前記車両の業務利用の利用実績データ及び私用利用の利用実績データを判別する判別手段と、
所定期間における前記業務利用の利用実績データ及び前記私用利用の利用実績データを出力する出力手段と、
を有し、
前記判別手段は、前記ユーザの勤怠データ及び事前登録された業務利用の基準走行距離データに基づき、業務利用の走行距離データを算出し、前記車両の走行距離データから前記業務利用の走行距離データ及び前記ユーザの通勤距離データを除いた前記私用利用の走行距離データを判別すること、
を特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、民間会社や公的機関など(以下、会社等と呼ぶ)が保有して各種業務を行う際に乗車することを目的とした1台の車両(以下、社用車と呼ぶ)を社用と私用とで共用する手法が提案されている。
【0003】
例えば1台の社用車を社用と私用とで共用する際に、社用での利用か私用での利用かの区別を明確にすることができるようにするため、社用車に搭載された車両管理装置から用途が社用であるのか私用であるのかをユーザに選択させる技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では社用での利用か私用での利用かをユーザが区別して切り替える必要があり、ユーザにとって手間が掛かっていた。また、特許文献1の技術では、ユーザが切り替えを失念したり、ユーザが切り替えを故意に行わなかったりした場合に、社用時と私用時とにおけるそれぞれの走行状況を正確に判別できなかった。
【0005】
本発明の実施の形態は、利用量に応じて費用が発生する物品のユーザによる業務利用と私用利用とを自動で判別できる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本願請求項1は、利用量に応じて費用が発生する物品のユーザによる業務利用と私用利用とを管理する情報処理システムであって、前記物品である車両において、前記車両の走行距離データを測定して、前記車両の利用実績データを生成する走行距離測定手段と、前記ユーザの勤怠データを管理する勤怠データ管理手段と、前記ユーザの勤怠データ及び前記車両の利用実績データに基づき、前記車両の業務利用の利用実績データ及び私用利用の利用実績データを判別する判別手段と、所定期間における前記業務利用の利用実績データ及び前記私用利用の利用実績データを出力する出力手段と、を有し、前記判別手段は、前記ユーザの勤怠データ及び事前登録された業務利用の基準走行距離データに基づき、業務利用の走行距離データを算出し、前記車両の走行距離データから前記業務利用の走行距離データ及び前記ユーザの通勤距離データを除いた前記私用利用の走行距離データを判別すること、を特徴とする情報処理システムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施の形態によれば、利用量に応じて費用が発生する物品のユーザによる業務利用と私用利用とを自動で判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
図2】情報処理端末の一例のハードウェア構成図である。
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図4】本実施形態に係る情報処理システムの一例の機能構成図である。
図5】事前登録データの一例の構成図である。
図6】本実施形態に係る情報処理システムの一例のフローチャートである。
図7】ステップS18の業務/私用の判別処理の一例のフローチャートである。
図8】業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データの一例の構成図である。
図9】走行距離判別部の業務/私用の判別処理の概要を説明する一例の図である。
図10】走行距離判別部の業務/私用の判別処理の概要を説明する一例の図である。
図11】ステップS20の判別処理結果の出力処理の一例のフローチャートである。
図12】業務利用/私用利用の判別処理結果を表示する一例の画面イメージである。
図13】業務利用/私用利用の判別処理結果を表示する一例の画面イメージである。
図14】業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データの一例の構成図である。
図15】ステップS18の業務/私用の判別処理の一例のフローチャートである。
図16】業務利用/私用利用の判別処理結果を表示する一例の画面イメージである。
図17】走行明細データの一例の構成図である。
図18】勤怠データの一例の構成図である。
図19】業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データの一例の構成図である。
図20】ステップS18の業務/私用の判別処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では企業が従業員に貸与した社用車を、利用量に応じて費用が発生する物品の一例とし、従業員による社用車の業務利用と私用利用とを自動で判別する情報処理システムを例に説明するが、社用車及び従業員という呼び方は一例である。例えば公的機関が職員に貸与した公用車を、利用量に応じて費用が発生する物品の一例とし、職員による公用車の業務利用と私用利用とを自動で判別する情報処理システムであってもよい。
【0010】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。図1の情報処理システム1は、情報処理装置10、社用車12、従業員用のユーザ端末14、及び管理者用のユーザ端末16が、インターネットやLANなどのネットワーク20を介してデータ通信可能に接続されている。
【0011】
社用車12は企業が従業員に貸与した車両の一例である。社用車12は貸与された従業員により業務利用される。また、本実施形態における社用車12は貸与された従業員による私用利用が許容されている。本実施形態の社用車12は、情報処理装置10で従業員の業務利用と私用利用とを判別するために必要な後述の利用実績データを収集し、情報処理装置10に提供する。
【0012】
利用実績データの提供方法は、社用車12、又は社用車12に取り付けた情報処理端末がネットワーク20を介して情報処理装置10に提供するようにしてもよいし、社用車12に取り付けた情報処理端末を、ネットワーク20を介さずに情報処理装置10にケーブル接続等して提供するようにしてもよい。
【0013】
従業員用のユーザ端末14は従業員が操作する情報処理端末であって、例えばPC、スマートフォン、タブレット端末などである。本実施形態に係る情報処理システム1を利用する従業員は、ユーザ端末14から情報処理装置10にアクセスして、後述の勤怠データを登録する。また、従業員はユーザ端末14から情報処理装置10にアクセスして、後述するような社用車12の業務利用と私用利用との判別処理結果をユーザ端末14に表示させ、判別処理結果を確認することができる。
【0014】
管理者用のユーザ端末16は企業の管理者が操作する情報処理端末であって、例えばPC、スマートフォン、タブレット端末などである。本実施形態に係る情報処理システム1を利用する管理者は、ユーザ端末16から情報処理装置10にアクセスして、後述の事前登録データを登録する。なお、事前登録データの少なくとも一部はユーザ端末14から従業員に登録させてもよい。また、管理者はユーザ端末16から情報処理装置10にアクセスして、1人又は複数人分の業務利用と私用利用との判別処理結果をユーザ端末16に表示させ、判別処理結果を確認することができる。また、管理者は複数人分の業務利用と私用利用との判別処理結果を集計して表示させ、確認することもできる。
【0015】
情報処理装置10は、後述の利用実績データ、勤怠データ、及び事前登録データに基づいて、後述の社用車12の業務利用と私用利用との判別処理や、従業員の私用利用の費用負担額の算出処理などを実行する。また、情報処理装置10は判別処理結果や私用利用の費用負担額などをユーザ端末14及び16に出力(表示)させるための処理を実行する。
【0016】
なお、図1に示す情報処理システム1の構成は一例である。例えば情報処理装置10は図1のように一台のサーバ環境で実現してもよいし、複数台のサーバ環境で実現するようにしてもよい。また、図1に示す情報処理システム1は企業が利用している勤怠管理システムと連携し、その勤怠管理システムから従業員の勤怠データを取得する構成であってもよい。また、社用車12からの利用実績データの取得には、テレマティクスサービスを利用してもよい。テレマティクスサービスでは、自動車などの移動体に搭載された通信システムを利用して、走行距離、時刻、位置情報などの様々な情報を情報処理装置10に送信できる。
【0017】
<ハードウェア構成>
ユーザ端末14及びユーザ端末16は例えば図2に示すようなハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。
【0018】
図2は情報処理端末の一例のハードウェア構成図である。コンピュータ500は、CPU502、ROM504、RAM506、HDD/SSD508、I/F510、入力装置512、及び出力装置514などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置512及び出力装置514は必要なときに接続して利用する形態であってもよい。
【0019】
入力装置512は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含み、従業員や管理者が情報の入力や操作を行うために用いられる。出力装置514はディスプレイ等を含み、コンピュータ500による処理結果等を表示する。
【0020】
I/F510は、コンピュータ500をネットワーク20に接続するインタフェースである。コンピュータ500は、I/F510を介して情報処理装置10とデータ通信を行うことができる。
【0021】
また、HDD/SSD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOSにおいて各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア(以下、単にアプリケーションと呼ぶ)などがある。なお、HDD/SSD508はHDD(ハードディスクドライブ)又はSSD(ソリッドステートドライブ)の少なくとも一方を備えていればよい。
【0022】
ROM504は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM504には、コンピュータ500の起動時に実行されるBIOS、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM506はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0023】
CPU502は、ROM504やHDD/SSD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM506上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。ユーザ端末14及びユーザ端末16は例えば図2に示すようなコンピュータ500のハードウェア構成により、後述する各種処理を実現できる。
【0024】
情報処理装置10は例えば図3に示すハードウェア構成のコンピュータ600により実現される。なお、社用車12に取り付けた情報処理端末も例えば図3に示すハードウェア構成のコンピュータ600により実現される。
【0025】
図3はコンピュータの一例のハードウェア構成図である。コンピュータ600は、CPU602、ROM604、RAM606、HDD/SSD608、及びI/F610などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置及び出力装置を備える構成であってもよい。
【0026】
I/F610は、コンピュータ600をネットワーク20に接続するインタフェースである。社用車12に取り付けた情報処理端末の場合、コンピュータ600は、I/F610を介して情報処理装置10とデータ通信を行うことができる。また、情報処理装置10の場合、コンピュータ600は、I/F610を介して社用車12に取り付けた情報処理端末、ユーザ端末14、及びユーザ端末16とデータ通信を行うことができる。
【0027】
また、HDD/SSD608は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。格納されるプログラムやデータには、コンピュータ600全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOSにおいて各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア(以下、単にアプリケーションと呼ぶ)などがある。なお、HDD/SSD608はHDD又はSSDの少なくとも一方を備えていればよい。
【0028】
ROM604は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM604には、コンピュータ600の起動時に実行されるBIOS、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM606はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0029】
CPU602は、ROM604やHDD/SSD608などの記憶装置からプログラムやデータをRAM606上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ600全体の制御や機能を実現する演算装置である。情報処理装置10、及び社用車12に取り付けた情報処理端末は、例えば図3に示すコンピュータ600のハードウェア構成により、後述する各種処理を実現できる。
【0030】
<機能構成>
図4は本実施形態に係る情報処理システムの一例の機能構成図である。なお、図4の機能構成は本実施形態の説明に不要な構成について適宜省略している。図4に示した社用車12、又は社用車12に取り付けた情報処理端末は、車両側送信部30、走行距離測定部32、時刻測定部34、及び位置検出部36を有する構成である。
【0031】
走行距離測定部32は、社用車12が走行した距離(走行距離)を測定する。走行距離測定部32は、例えばエンジンの回転速度を示すタコメータのデータを取得し、走行距離を測定する。また、走行距離測定部32は車輪(例えばタイヤ)の回転数から走行距離を測定してもよい。
【0032】
時刻測定部34は社用車12が走行を開始した時刻及び停止した時刻を測定する。時刻測定部34は車輪の回転が始まった時刻及び車輪の回転が終わった時刻を測定するようにしてもよい。また、時刻測定部34はエンジンが始動した時刻(エンジン始動時刻)及びエンジンが停止した時刻(エンジン終了時刻)を測定するようにしてもよい。また、走行距離測定部32及び時刻測定部34は連携し、所定の間隔(例えば5分おきなど)の走行距離を測定してもよい。
【0033】
位置検出部36は例えばGPS(グローバルポジショニングシステム)を用いて社用車12の位置を検出する。社用車12の位置を検出するタイミングは、所定の間隔(例えば5分おきなど)であってもよいし、車輪の回転が始まった時刻及び車輪の回転が終わった時刻の少なくとも一方であってもよいし、エンジン始動時刻及びエンジン終了時刻の少なくとも一方であってもよい。なお、位置検出部36は社用車12の位置を検出できるのであればGPSを用いなくてもよい。
【0034】
車両側送信部30は、走行距離測定部32が測定した走行距離、時刻測定部34が測定した時刻、及び位置検出部36が検出した社用車の位置の情報を、それぞれ情報処理装置10に送信する。
【0035】
なお、車両側送信部30は、走行距離測定部32が測定した走行距離、時刻測定部34が測定した時刻、及び位置検出部36が検出した社用車の位置の情報をまとめた、社用車12の走行距離データを生成し、情報処理装置10に送信してもよい。また、車両側送信部30が生成する社用車12の走行距離データは、少なくとも走行距離測定部32が測定した走行距離の情報を含み、時刻測定部34が測定した時刻の情報及び位置検出部36が検出した社用車の位置の情報の少なくとも一方が追加されていてもよい。
【0036】
図4に示したユーザ端末14及び16は、端末側送信部70、入力受付部72、表示制御部74、及び端末側受信部76を有する構成である。
【0037】
入力受付部72は、従業員又は管理者からの入力を受け付ける。例えばユーザ端末14の入力受付部72は従業員から勤怠データの入力を受け付ける。また、ユーザ端末14の入力受付部72は従業員からの私用利用と判別された利用実績データの承認、修正などの入力を受け付けてもよい。また、例えばユーザ端末16の入力受付部72では管理者から後述の事前登録データの入力を受け付ける。
【0038】
端末側送信部70は、入力受付部72が従業員又は管理者から受け付けた入力を情報処理装置10に送信する。端末側受信部76は、情報処理装置10から社用車12の業務利用と私用利用との判別処理結果や、私用利用の費用負担額などの情報を受信する。表示制御部74は端末側受信部76が受信した情報に基づき、社用車12の業務利用と私用利用との判別処理結果や、私用利用の費用負担額などの情報を含んだ画面等を出力装置514に表示させる。
【0039】
なお、ユーザ端末14の表示制御部74は、そのユーザ端末14を操作する従業員の社用車12の業務利用と私用利用との判別処理結果や、私用利用の費用負担額などの情報を含んだ画面を出力装置514に表示させる。
【0040】
また、ユーザ端末16の表示制御部74は、そのユーザ端末16を操作する管理者が管理する複数人の従業員の社用車12の業務利用と私用利用との判別処理結果や、私用利用の費用負担額などの情報を含んだ画面を出力装置514に表示させる。ユーザ端末16の表示制御部74は、そのユーザ端末16を操作する管理者が管理する複数人の従業員の社用車12の業務利用と私用利用との判別処理結果や、私用利用の費用負担額などの情報を集計し、その集計結果を含んだ画面を出力装置514に表示させるようにしてもよい。
【0041】
図4に示した情報処理装置10は、サーバ側受信部40、走行距離判別部42、費用算出部44、事前登録データ記憶部46、勤怠データ管理部48、及びサーバ側送信部50を有する構成である。
【0042】
サーバ側受信部40は、社用車12から社用車12の走行距離データを受信する。また、ユーザ端末14から、ユーザ端末14を操作する従業員の勤怠データを受信し、ユーザ端末16からは、後述の事前登録データを受信する。サーバ側受信部40は、受信した社用車12の走行距離データを走行距離判別部42に送信し、受信した勤怠データを勤怠データ管理部48に送信し、受信した後述の事前登録データを事前登録データ記憶部46に送信する。
【0043】
走行距離判別部42は、サーバ側受信部40から受信した社用車12の走行距離データと、勤怠データ管理部48から取得した勤怠データと、事前登録データ記憶部46から取得した後述の事前登録データと、に基づき、社用車12の走行距離データから業務利用の走行距離データと私用利用の走行距離データとを判別する。なお、走行距離判別部42の処理の詳細は後述する。
【0044】
費用算出部44は、走行距離判別部42が判別した私用利用の走行距離データと、後述の事前登録データと、に基づいて、従業員であるユーザによる社用車12の私用利用の費用負担額を算出する。費用算出部44は、走行距離判別部42が判別した私用利用及び業務利用の走行距離データと、後述の事前登録データと、に基づいて、従業員による社用車12の私用利用の費用負担額(従業員の費用負担額)と、従業員による社用車12の業務利用の費用負担額(企業の費用負担額)と、を算出する。
【0045】
なお、費用算出部44が算出する社用車12の私用利用の費用負担額は、必ずしも従業員に負担させるものでなくてもよい。例えば社用車12の私用利用の費用負担を求めない企業であれば、情報処理装置10の費用算出部44は省略してもよい。
【0046】
事前登録データ記憶部46は、サーバ側受信部40から受信した後述の事前登録データを記憶する。また、勤怠データ管理部48はサーバ側受信部40から受信した従業員の勤怠データを管理する。勤怠データ管理部48が管理する従業員の勤怠データは、従業員が日常的に登録している勤怠管理システムの勤怠データを利用することができる。従業員が日常的に登録している勤怠管理システムの勤怠データを利用することで、本実施形態の情報処理システム1では、社用車12の私用利用の判別のために、勤怠データの登録を追加で行う必要がない。
【0047】
サーバ側送信部50は、ユーザ端末14又は16に、社用車12の業務利用と私用利用との判別処理結果や、私用利用の費用負担額などの情報を送信する。なお、例えば社用車12の私用利用の費用負担を求めない企業であれば、サーバ側送信部50は私用利用の費用負担額などの情報を送信しなくてもよいし、参考情報として送信してもよい。また、例えば社用車12の私用利用の費用負担を求める企業であれば、サーバ側送信部50は私用利用の費用負担額などの情報を、給与管理システムなどに送信してもよい。
【0048】
なお、図4の機能構成図は一例であって、情報処理装置10の機能の少なくとも一部が社用車12、社用車に取り付けた情報処理端末、ユーザ端末14、又はユーザ端末16の機能として設けられた構成であってもよい。
【0049】
事前登録データ記憶部46が記憶する事前登録データは、例えば図5に示すような構成である。図5は事前登録データの一例の構成図である。図5の事前登録データは、走行距離に関するデータと、燃料に関するデータとを有する。
【0050】
図5(A)の走行距離に関するデータは項目として従業員ID及び通勤距離を有する。従業員IDは従業員を識別する情報の一例を表している。通勤距離は従業員IDにより識別される従業員の通勤距離を表している。
【0051】
図5(B)の燃料に関するデータは項目として燃料種類、及び燃料単価を有する。燃料種類は、電気やガソリンなどの燃料の種類を表している。燃料単価は燃料種類により識別される燃料の単価及び燃費を表している。例えば、図5(B)では、燃料種類が「電気」の燃料単価が、1kwhあたり15円であること、または、6kmあたり15円であることを表している。なお、これに限らず、燃料の単価を示す内容であればよい。
【0052】
図5(A)の走行距離に関するデータを用いることで、本実施形態に係る情報処理システム1では従業員が業務利用及び私用利用した社用車12の走行距離から、勤務日数分の通勤距離を含む業務利用の走行距離を引き算することで、従業員の私用利用の走行距離を算出できる。また、算出した従業員の私用利用の走行距離と図5(B)の燃料に関するデータとを用いることで、従業員による私用利用の費用負担額を算出できる。
【0053】
<処理>
図6は本実施形態に係る情報処理システムの一例のフローチャートである。ステップS10において、ユーザ端末16の入力受付部72は管理者から図5の事前登録データの入力を受け付ける。端末側送信部70は、入力受付部72が管理者から入力された図5の事前登録データを情報処理装置10に送信する。
【0054】
情報処理装置10のサーバ側受信部40は、ユーザ端末16から事前登録データを受信する。サーバ側受信部40は、受信した事前登録データを事前登録データ記憶部46に送信する。事前登録データ記憶部46は、サーバ側受信部40から受信した図5の事前登録データを記憶する。
【0055】
ステップS12において、情報処理装置10の走行距離判別部42は業務/私用の判別処理を開始するタイミングまで待機する。なお、業務/私用の判別処理を開始するタイミングは、例えば一日ごと、一月毎など、適宜決めればよい。なお、社用車12では従業員が業務利用及び私用利用した社用車12の走行距離が測定されている。
【0056】
業務/私用の判別処理を開始するタイミングになると、ステップS14に進み、情報処理装置10の走行距離判別部42は、社用車12を業務利用及び私用利用した従業員の勤怠データを勤怠データ管理部48から取得する。
【0057】
また、ステップS16に進み、走行距離判別部42は業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の走行距離データを所定期間分、取得する。なお、業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の走行距離データは社用車12から受信して情報処理装置10に記憶しておいたものを取得してもよいし、業務/私用の判別処理の対象となる所定期間分の走行距離データを社用車12から取得してもよい。
【0058】
ステップS18に進み、走行距離判別部42は、ステップS14で取得した従業員の勤怠データと、ステップS16で取得した業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の走行距離データと、ステップS10で設定された図5の事前登録データと、に基づいて後述のように、業務/私用の判別処理を行う。そして、ステップS20に進み、情報処理装置10は後述するような判別処理結果の出力処理を行う。
【0059】
図7はステップS18の業務/私用の判別処理の一例のフローチャートである。走行距離判別部42はステップS14で取得した従業員の勤怠データから、業務/私用の判別処理の対象の従業員の所定期間(例えば一月)における勤務日数をステップS30でカウントする。
【0060】
ステップS32に進み、走行距離判別部42はステップS14で取得した従業員の勤怠データから、業務/私用の判別処理の対象の従業員の所定期間における勤務日及び勤務時間を取得する。
【0061】
ステップS34に進み、走行距離判別部42はステップS32で取得した業務/私用の判別処理の対象の従業員の所定期間における勤務日及び勤務時間内に、エンジン開始時刻及びエンジン終了時刻の少なくとも一方が含まれる利用実績データの走行距離データを図8から業務利用の走行距離として算出する。
【0062】
図8は、業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データの一例の構成図である。図8に示した所定期間分の走行距離データは社用車12の利用実績データの一例である。図8の所定期間分の走行距離データは、項目として車両番号、従業員ID、年月日、エンジン始動時刻、エンジン終了時刻、及び利用実績データの走行距離を有する。
【0063】
車両番号は社用車12を識別する情報の一例である。年月日は所定期間の一例を表している。エンジン始動時刻は社用車12のエンジンが始動した時刻を表す。エンジン終了時刻は社用車12のエンジンが停止した時刻を表す。利用実績データの走行距離は従業員がエンジン開始時刻からエンジン終了時刻までの所定期間に、従業員が業務利用及び私用利用した社用車12の走行距離を表している。
【0064】
走行距離判別部42は、図8に示した業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データから、エンジン開始時刻及びエンジン終了時刻の少なくとも一方が含まれる利用実績データの走行距離と、勤務日数分の通勤距離と、を引き算し、残りの走行距離を従業員による私用利用の走行距離として判別できる。
【0065】
ステップS36に進み、走行距離判別部42はステップS30でカウントした勤務日数と図5(A)の通勤距離とに基づき、勤務日数分の通勤距離を算出する。走行距離判別部42はステップS16で取得した例えば図8に示すような業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の所定期間分の走行距離データと、ステップS34で算出した業務利用の走行距離と、算出した勤務日数分の通勤距離と、に基づき、私用利用の走行距離を判別する。
【0066】
例えば走行距離判別部42は、図8の業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データから、勤務時間内にエンジン開始時刻及びエンジン終了時刻の少なくとも一方が含まれる利用実績データの走行距離と、勤務日数分の通勤距離と、を引き算し、残りの走行距離を従業員による私用利用の走行距離として判別できる。
【0067】
図9及び図10は走行距離判別部の業務/私用の判別処理の概要を説明する一例の図である。図9(a)~図9(d)は月曜~木曜のデータを表している。図10(e)~図10(g)は金曜~日曜のデータを表している。
【0068】
図9及び図10において、業務利用による走行距離Aは、勤怠データ、エンジン始動時刻、及びエンジン終了時刻から算出した業務利用の走行距離を表している。業務利用による走行距離Bは通勤距離を表している。したがって、私用利用の走行距離は、一日の走行距離から、業務利用による走行距離A及びBを引くことで、求められる。
【0069】
例えば図9(a)、図9(b)、及び図10(e)は、私用利用が無く、業務利用のみの場合のデータ例である。図9(d)は、私用利用及び業務利用が含まれる場合のデータ例である。図9(c)、図10(f)、及び図10(g)は、業務利用が無く、私用利用のみの場合のデータ例である。
【0070】
図9(a)、図9(b)、及び図10(e)は、私用利用が無く、業務利用のみの場合のデータ例であるため、一日の走行距離が、業務利用による走行距離A及びBの何れかとして判別されている。
【0071】
図9(d)は、私用利用及び業務利用が含まれる場合のデータ例であるため、一日の走行距離が、業務利用による走行距離A及びBと、業務利用による走行距離A及びB以外の私用利用による走行距離と、の何れかとして判別される。
【0072】
図9(c)、図10(f)、及び図10(g)は、業務利用が無く、私用利用のみの場合のデータ例であるため、一日の走行距離の全てが、私用利用による走行距離として判別される。
【0073】
図11はステップS20の判別処理結果の出力処理の一例のフローチャートである。情報処理装置10の走行距離判別部42はステップS40に進み、業務利用/私用利用の判別処理結果の画面に私用利用の費用負担額を表示する設定か否かを判定する。例えば、業務利用/私用利用の判別処理結果の画面に私用利用の費用負担額を表示する設定は、管理者等が行えばよい。
【0074】
管理者等は社用車12の私用利用の費用負担を求めるのであれば、業務利用/私用利用の判別処理結果の画面に私用利用の費用負担額を表示する設定を行い、私用利用の費用負担を求めないのであれば、業務利用/私用利用の判別処理結果の画面に私用利用の費用負担額を表示しない設定を行えばよい。
【0075】
業務利用/私用利用の判別処理結果の画面に私用利用の費用負担額を表示する設定であると判定すると、走行距離判別部42は従業員による私用利用の費用負担額の算出を費用算出部44に要求する。
【0076】
ステップS42において費用算出部44はステップS18で判別した従業員による私用利用の走行距離と、図5(B)の燃料に関するデータと、に基づき、従業員による私用利用の費用負担額を次の式(1)ように算出する。
【0077】
私用利用の費用負担額=私用利用の走行距離÷燃費×単価…(1)
ステップS44に進み、情報処理装置10のサーバ側送信部50は、私用利用の費用負担額が表示されている例えば図12の業務利用/私用利用の判別処理結果の画面データを生成する。図12は業務利用/私用利用の判別処理結果を表示する一例の画面イメージである。
【0078】
図12の画面イメージは、業務/私用の判別処理の対象の社用車12の車両番号、その社用車12を業務利用及び私用利用した従業員の従業員ID、業務/私用の判別処理の対象の所定期間を表す年月、その所定期間における業務利用の走行距離、通勤利用の走行距離、私用利用の走行距離、及び私用利用の費用負担額を情報として表示している。
【0079】
業務利用/私用利用の判別処理結果の画面に私用利用の費用負担額を表示する設定でないと判定すると、走行距離判別部42は従業員による私用利用の費用負担額の算出を費用算出部44に要求せず、ステップS46に進む。
【0080】
ステップS46において、情報処理装置10のサーバ側送信部50は私用利用の費用負担額が表示されていない例えば図13の業務利用/私用利用の判別処理結果の画面データを生成する。図13は業務利用/私用利用の判別処理結果を表示する一例の画面イメージである。
【0081】
図13の画面イメージは、業務/私用の判別処理の対象の社用車12の車両番号、その社用車12を業務利用及び私用利用した従業員の従業員ID、業務/私用の判別処理の対象の所定期間を表す年月、その所定期間における業務利用の走行距離、通勤利用の走行距離、及び私用利用の走行距離を情報として表示している。
【0082】
ステップS44又はS46からステップS48に進み、サーバ側送信部50は生成した画面データをユーザ端末14又は16に送信して、図12又は図13に示す業務利用/私用利用の判別処理結果の画面をユーザ端末14又は16に表示させる。
【0083】
以上、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、従業員に貸与した社用車12の私用利用を許容する場合に、従業員の手間を増やすことなく、業務利用の走行距離と私用利用の走行距離とを判別できる。したがって、従業員に社用車12を貸与した企業は判別した私用利用の走行距離に対し、従業員に費用負担を求めることができる。
【0084】
また、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、業務利用/私用利用の判別処理に勤怠データが利用されるため、従業員が勤怠データを正確に登録するようになるという副次的な効果も期待できる。
【0085】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では例えば図14に示すように、業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の所定期間分の走行距離データ、エンジン始動時刻、エンジン始動場所、エンジン終了時刻、及びエンジン終了場所、を社用車12の利用実績データとした例である。なお、第2の実施形態は一部を除いて第1の実施形態と同一である。したがって、第1の実施形態と同一の部分については適宜説明を省略する。
【0086】
図14は、業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データの一例の構成図である。図14に示した所定期間分の走行距離データは社用車12の利用実績データの一例である。図14の所定期間分の走行距離データは、図8の所定期間分の走行距離データの項目に、エンジン始動場所とエンジン終了場所とが項目として追加された構成である。
【0087】
エンジン始動場所は社用車12のエンジンが始動した場所を表す。エンジン終了場所は社用車12のエンジンが停止した場所を表す。したがって、図14の利用実績データの走行距離は従業員がエンジン開始場所からエンジン終了場所まで走行した間における社用車12の走行距離を表している。
【0088】
走行距離判別部42は、図14に示した業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データから、エンジン始動場所及びエンジン終了場所を考慮して、私用利用の走行距離を判別できる。
【0089】
第2の実施形態では図7に示した業務/私用の判別処理のフローチャートが、図15に示す業務/私用の判別処理のフローチャートとなる。図15はステップS18の業務/私用の判別処理の一例のフローチャートである。
【0090】
走行距離判別部42はステップS14で取得した従業員の勤怠データから、業務/私用の判別処理の対象の従業員の所定期間(例えば一月)における勤務日数をステップS120でカウントする。
【0091】
ステップS122に進み、走行距離判別部42はステップS14で取得した従業員の勤怠データから、業務/私用の判別処理の対象の従業員の所定期間における勤務日及び勤務時間を取得する。
【0092】
ステップS124に進み、走行距離判別部42はステップS122で取得した業務/私用の判別処理の対象の従業員の所定期間における勤務日及び勤務時間内に、エンジン開始時刻及びエンジン終了時刻の少なくとも一方が含まれる利用実績データの走行距離データを図14から業務利用の走行距離の候補として算出する。
【0093】
ステップS126に進み、走行距離判別部42はステップS124で算出した業務利用の走行距離の候補から、エンジン始動場所及びエンジン終了場所を考慮して、私用利用の走行距離を削除する。例えばエンジン始動場所やエンジン終了場所がコンビニエンスストアなどの業務に関係のない場所であれば、その業務利用の走行距離の候補を削除する。
【0094】
ステップS128に進み、走行距離判別部42はステップS120でカウントした勤務日数と図5(A)の通勤距離とに基づき、勤務日数分の通勤距離を算出する。走行距離判別部42はステップS16で取得した例えば図14に示すような業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の所定期間分の走行距離データと、ステップS126で業務利用の走行距離の候補から削除されなかった業務利用の走行距離と、算出した勤務日数分の通勤距離と、に基づき、私用利用の走行距離を判別する。
【0095】
例えば走行距離判別部42は、図14の業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データから、ステップS126で業務利用の走行距離の候補から削除されなかった業務利用の走行距離と、勤務日数分の通勤距離と、を引き算し、残りの走行距離を従業員による私用利用の走行距離として判別できる。
【0096】
第2の実施形態において、情報処理装置10のサーバ側送信部50は、例えば図16に示すような業務利用/私用利用の判別処理結果の画面データを生成してもよい。図16は業務利用/私用利用の判別処理結果を表示する一例の画面イメージである。図16の画面1000は、業務利用/私用利用の判別処理結果を用いて「月次走行&燃料費集計」の情報を表示している。
【0097】
図16の「月次走行&燃料費集計」の情報は、月次の走行距離と、その月次の走行距離の燃料費換算とを、総走行距離、業務利用、通勤利用、及び私用利用に分けて表示した例である。総走行距離は、前述のステップS16で取得した業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の月次の走行距離データを表している。
【0098】
したがって、従業員は図16の画面1000をユーザ端末14に表示して、社用車12を私用利用した月次の走行距離、及びその月次の走行距離の燃料費換算を容易に確認することができる。また、業務/私用の判別処理結果の詳細を確認したい従業員は、例えば画面1000の「業務/利用の判別処理結果の詳細表示」ボタン1002を押下する操作を行うことで、図17に示すような走行明細データ及び図18に示すような勤怠データを画面に表示できるようにしてもよい。
【0099】
図17は走行明細データの一例の構成図である。図18は勤怠データの一例の構成図である。図17の走行明細データはテレマティクスデータと判別処理結果とが、エンジン始動時刻からエンジン終了時刻までの単位ごとに含まれている。例えば従業員は例えば図17の走行明細データと図18の勤怠データとを参照しながら、業務利用と私用利用との判別が間違っていないかを確認できる。
【0100】
また、画面1000には業務利用/私用利用の判別処理結果を従業員が承認する仕組みや修正を行う仕組みを設けてもよい。図16の画面1000は一例であって、例えば業務利用及び通勤利用の月次の走行距離と、その月次の走行距離の燃料費換算とを、省略した画面であってもよい。また、管理者が画面1000を表示した場合は、その管理者が管理する複数人分の従業員の「月次走行&燃料費集計」の情報を個別に又は集計して表示するようにしてもよい。
【0101】
以上、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、従業員に貸与した社用車12の私用利用を許容する場合に、従業員の手間を増やすことなく、業務利用の走行距離と私用利用の走行距離とを第1の実施形態よりも精度良く判別できる。したがって、従業員に社用車12を貸与した企業は判別した私用利用の走行距離に対し、従業員に公平に費用負担を求めることができる。
【0102】
[第3の実施形態]
第1の実施形態は、図8に示すように、業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の所定期間分の走行距離データと、エンジン始動時刻と、エンジン終了時刻と、を社用車12の利用実績データとした例である。第3の実施形態では例えば図19に示すように、業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の所定期間分の走行距離データを、社用車12の利用実績データとした例である。なお、第3の実施形態は一部を除いて第1の実施形態と同一である。したがって、第1の実施形態と同一の部分については適宜説明を省略する。
【0103】
図19は、業務/私用の判別処理の対象となる社用車の所定期間分の走行距離データの一例の構成図である。図19に示した所定期間分の走行距離データは社用車12の利用実績データの一例である。図19の所定期間分の走行距離データは、項目として車両番号、従業員ID、年月、利用実績データの走行距離を有する。年月は所定期間の一例を表している。利用実績データの走行距離は従業員が所定期間に業務利用及び私用利用した社用車12の走行距離を表している。
【0104】
走行距離判別部42は、図19の利用実績データの走行距離から、勤務日数分の業務利用の走行距離と、勤務日数分の通勤距離と、を引き算し、残りの走行距離を従業員による私用利用の走行距離として判別できる。なお、第3の実施形態では、事前登録データの走行距離に関するデータとして、従業員ID、通勤距離、及び業務利用基準走行距離を有する。業務利用基準走行距離は従業員IDにより識別される従業員が、社用車12を業務で走行させる1日当たりの基準走行距離を表している。業務利用基準走行距離は、例えば従業員IDにより識別される従業員の過去の業務利用の走行距離の平均値としてもよいし、例えば従業員IDにより識別される従業員の営業先までの距離等から算出してもよい。
【0105】
第3の実施形態では図7に示した業務/私用の判別処理のフローチャートが、図20に示す業務/私用の判別処理のフローチャートとなる。図20はステップS18の業務/私用の判別処理の一例のフローチャートである。
【0106】
走行距離判別部42はステップS14で取得した従業員の勤怠データから、業務/私用の判別処理の対象の従業員の所定期間(例えば一月)における勤務日数をステップS130でカウントする。
【0107】
ステップS132に進み、走行距離判別部42はステップS130でカウントした勤務日数と走行距離に関するデータの業務利用基準走行距離とに基づき、勤務日数分の業務利用基準走行距離を業務利用の走行距離として算出する。ステップS134に進み、走行距離判別部42はステップS130でカウントした勤務日数と走行距離に関するデータの通勤距離とに基づき、勤務日数分の通勤距離を算出する。
【0108】
走行距離判別部42はステップS16で取得した例えば図19の業務/私用の判別処理の対象となる社用車12の所定期間分(例えば一月)の走行距離データと、算出した勤務日数分の業務利用の走行距離と、算出した勤務日数分の通勤距離と、に基づき、私用利用の走行距離を判別できる。
【0109】
以上、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、従業員に貸与した社用車12の私用利用を許容する場合に、従業員の手間を増やすことなく、業務利用の走行距離と私用利用の走行距離とを第1及び第2の実施形態よりも簡易的に判別できる。
【0110】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0111】
なお、勤怠データ管理部48は特許請求の範囲に記載した勤怠データ管理手段の一例である。走行距離判別部42は判別手段の一例である。費用算出部44及びサーバ側送信部50は出力手段の一例である。走行距離測定部32は走行距離測定手段の一例である。表示制御部74は表示制御手段の一例である。業務利用基準走行距離は基準走行距離データの一例である。
【符号の説明】
【0112】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
12 社用車
14、16 ユーザ端末
20 ネットワーク
30 車両側送信部
32 走行距離測定部
34 時刻測定部
36 位置検出部
40 サーバ側受信部
42 走行距離判別部
44 費用算出部
46 事前登録データ記憶部
48 勤怠データ管理部
50 サーバ側送信部
70 端末側送信部
72 入力受付部
74 表示制御部
76 端末側受信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【文献】特開2009-217759号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20