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特許7459504画像読取装置、画像形成装置および異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像形成装置および異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240326BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240326BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H04N1/04 105
G03G21/00 500
G03B27/50 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019229614
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021097390
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】松任 正憲
(72)【発明者】
【氏名】白土 寛貴
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-136452(JP,A)
【文献】特開2007-279256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04- 1/207
G06T 1/00
G03B 27/50-27/70
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に光を照射する光源と、
前記原稿からの反射光を光電変換して信号を出力するイメージセンサと、
前記光源を備えて前記原稿を走査する走行体と、
前記走行体を駆動する駆動手段と、
前記信号で表される画像レベルの基準レベルを検出するための基準板と、
前記イメージセンサで前記基準板を読み取った前記画像レベルの異常を検出するレベル検出手段と、
前記駆動手段の異常の有無を検出する走行体異常検出手段と、
前記レベル検出手段が異常を検出した場合に、さらに前記走行体異常検出手段で走行体の異常有無を検出し、前記走行体の駆動に異常が検出された場合は、前記走行体における異常箇所を特定し、前記走行体の駆動に異常が検出されなかった場合は、前記走行体以外における異常箇所を特定する制御部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記走行体異常検出手段は、前記原稿を読み取る前に実行される画像レベルの調整時に、前記駆動手段の異常の有無を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記走行体異常検出手段は、前記原稿を読み取る際に、前記駆動手段の異常の有無を検出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記走行体異常検出手段は、画像レベルの異常有無を検出する処理の完了後に、前記走行体を停止させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記走行体異常検出手段は、駆動パルスの幅を徐々に長くしながら、前記走行体を停止させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像読取装置と、
画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
原稿に光を照射する光源と、前記原稿からの反射光を光電変換して信号を出力するイメージセンサと、前記光源を備えて前記原稿を走査する走行体と、前記走行体を駆動する駆動手段と、前記信号で表される画像レベルの基準レベルを検出するための基準板と、を備える画像読取装置における異常検出方法であって、
前記イメージセンサで前記基準板を読み取った前記画像レベルの異常を検出するレベル検出工程と、
前記駆動手段の異常の有無を検出する走行体異常検出工程と、
前記レベル検出工程が異常を検出した場合に、さらに前記走行体異常検出工程で走行体の異常有無を検出し、前記走行体の駆動に異常が検出された場合は、前記走行体における異常箇所を特定し、前記走行体の駆動に異常が検出されなかった場合は、前記走行体以外における異常箇所を特定する工程と、
を含むことを特徴とする異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置および異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の異常を通知するサービスコール(以下、SCという)等のエラー発生時において、電子機器のメンテナンスや修理などの作業を行うカスタマーエンジニア(保守作業者)(以下、CEという)が、複数の要因(故障箇所)に対する絞り込みができない、あるいは解析に時間が掛かる等の問題が発生している。
【0003】
また、CEが、電子機器のダウンタイム(動作不能時間)短縮のため、修理時間短縮を優先して関連する全ての部品を一度に交換したり、故障箇所を特定できないまま、故障箇所でない部品を交換したり、結局複数回交換したりすることによる、CEの訪問サービスコストや部品交換コストの増大が問題になっている。
【0004】
特許文献1には、不要な部品交換の無駄を防ぎサービスコストの増加を防ぐために、シェーディング補正用の基準板データを利用して照明系の異常判定を行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によれば、走行体駆動系の異常有無を検出する手段は備えておらず、従来の画像レベルの異常(基準板を読んだときのイメージセンサの出力値に異常)があった時に、読取手段と走行体駆動系とのどちらが故障箇所であるかを判別できないため、不要な部品交換が発生してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、不要な部品交換を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原稿に光を照射する光源と、前記原稿からの反射光を光電変換して信号を出力するイメージセンサと、前記光源を備えて前記原稿を走査する走行体と、前記走行体を駆動する駆動手段と、前記信号で表される画像レベルの基準レベルを検出するための基準板と、前記イメージセンサで前記基準板を読み取った前記画像レベルの異常を検出するレベル検出手段と、前記駆動手段の異常の有無を検出する走行体異常検出手段と、前記レベル検出手段が異常を検出した場合に、さらに前記走行体異常検出手段で走行体の異常有無を検出し、前記走行体の駆動に異常が検出された場合は、前記走行体における異常箇所を特定し、前記走行体の駆動に異常が検出されなかった場合は、前記走行体以外における異常箇所を特定する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不要な部品交換を防止することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の一例の構成を示す図である。
図2図2は、画像読取部の構造を例示的に示す断面図である。
図3図3は、画像読取部を構成する各部の電気的接続を示すブロック図である。
図4図4は、画像読取部の制御装置の異常箇所検出処理にかかる機能を示す機能ブロック図である。
図5図5は、画像読取部における読取処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、異常解析処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、基準板の読取位置の異常検出を示す図である。
図8図8は、第2の実施の形態にかかる基準板の読取位置の異常検出を示す図である。
図9図9は、画像レベルの検出処理時間と停止位置との関係の一例を示す図である。
図10図10は、画像レベルの検出処理時間と停止位置との関係の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、画像読取装置、画像形成装置および異常検出方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置100の一例の構成を示す図である。図1において、画像形成装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機と称される画像形成装置である。
【0012】
画像形成装置100は、画像読取装置である画像読取部101およびADF(Automatic Document Feeder)102を有し、その下部に画像形成部103を有する。画像形成部103については、内部の構成を説明するために、外部カバーを外して内部の構成を示している。
【0013】
ADF102は、画像を読み取らせる原稿を読取位置に位置づける原稿支持部である。ADF102は、載置台に載置した原稿を読取位置に自動搬送する。画像読取部101は、ADF102により搬送された原稿を所定の読取位置で読み取る。また、画像読取部101は、原稿を載置する原稿支持部であるコンタクトガラスを上面に有し、読取位置であるコンタクトガラス上の原稿を読み取る。具体的に画像読取部101は、内部に光源や、光学系や、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを有するスキャナであり、光源で照明した原稿の反射光を光学系を通じてイメージセンサで読み取る。
【0014】
画像形成部103は、画像読取部101で読み取った原稿画像を印刷する。画像形成部103は、記録紙を手差しする手差ローラ104や、記録紙を供給する記録紙供給ユニット107を有する。記録紙供給ユニット107は、多段の記録紙給紙カセット107aから記録紙を繰り出す機構を有する。供給された記録紙は、レジストローラ108を介して二次転写ベルト112に送られる。
【0015】
二次転写ベルト112上を搬送する記録紙は、転写部114において中間転写ベルト113上のトナー画像が転写される。
【0016】
また、画像形成部103は、光書込装置109や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)105や、中間転写ベルト113や、上記二次転写ベルト112などを有する。作像ユニット105による作像プロセスにより、光書込装置109が書き込んだ画像を中間転写ベルト113上にトナー画像として形成する。
【0017】
具体的に、作像ユニット(Y、M、C、K)105は、4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)を回転可能に有し、各感光体ドラムの周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素106をそれぞれ備える。各感光体ドラムにおいて作像要素106が機能し、感光体ドラム上の画像が各一次転写ローラにより中間転写ベルト113上に転写される。
【0018】
中間転写ベルト113は、各感光体ドラムと各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト113に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト113の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト112上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルト112の走行により、定着装置110に搬送され、記録紙上にトナー画像がカラー画像として定着する。その後、記録紙は、機外の排紙トレイへと排出される。なお、両面印刷の場合は、反転機構111により記録紙の表裏が反転されて、反転された記録紙が二次転写ベルト112上へと送られる。
【0019】
なお、画像形成部103は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。
【0020】
次に、画像読取部101について説明する。
【0021】
図2は、画像読取部101の構造を例示的に示す断面図である。図2に示すように、画像読取部101は、本体11内に、撮像素子であるイメージセンサ9などを備えた画像読取基板10、キャリッジ(走行体)6を有する読取部16と、画像処理基板15と、を備える。画像読取基板10は、ケーブル14を介して画像処理基板15に接続されている。ケーブル14は、フレキシブルフラットケーブル(Flexible Printed Circuit:FFC)等の伝送線である。
【0022】
イメージセンサ9は、例えばCCDやCMOSイメージセンサなどである。キャリッジ(走行体)6は、原点位置センサ4、レンズユニット8、画像読取基板10、LED(Light Emitting Diode)である光源7及びミラー3を有する。また、画像読取部101は、上面にコンタクトガラス1及び基準板13を設けている。基準板13は、画像データの濃度調整を行うための基準濃度を有する基準板(例えば、基準白板)である。基準板13は、レンズユニット8のレンズの収差や照明ムラ等を補正するシェーディング補正を行うために用いられる。
【0023】
加えて、キャリッジ(走行体)6は、原点位置センサ4により検出される検出部5を備えている。原点位置センサ4は、キャリッジ(走行体)6に備えられた検出部5が当該原点位置センサ4の検出可能域に位置したとき、検出信号をモータ信号生成部(図4参照)に出力する。
【0024】
画像読取部101は、読取動作において、キャリッジ(走行体)6を待機位置(ホームポジション)から副走査方向(A方向)に移動させながら光源7から光を上方に向けて照射する。そしてキャリッジ(走行体)6は、原稿12からの反射光を、レンズユニット8を介してイメージセンサ9上に結像させる。
【0025】
また、画像読取部101は、電源ON時などには、基準板13からの反射光を読取って画像レベルの基準レベルを設定する。即ち、画像読取部101は、キャリッジ(走行体)6を基準板13の直下に移動させ、光源7を点灯させて基準板13からの反射光をイメージセンサ9の上に結像させる。
【0026】
画像処理基板15は、基準板13からの反射光に基づくシェーディング補正などを実行する機能を備えている。
【0027】
図3は、画像読取部101を構成する各部の電気的接続を示すブロック図である。図3に示すように、画像読取部101は、読取部16と、画像処理基板15と、制御装置23と、光源駆動部24と、を備えている。読取部16は、光源7と、イメージセンサ9と、画像読取基板10と、を備える。
【0028】
光源駆動部24は、光源7を駆動する。
【0029】
イメージセンサ9は、原稿からの反射光を光電変換した信号を、後段の画像読取基板10へ出力する。
【0030】
制御装置23は、光源駆動部24、イメージセンサ9、画像読取基板10、画像処理基板15の各部を制御する。
【0031】
制御装置23は、全体を制御するCPU(Central Processing Unit)、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えている。
【0032】
制御装置23で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0033】
また、制御装置23で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、制御装置23で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、制御装置23で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0034】
画像読取基板10は、A/D変換回路51、AGC(Auto Gain Control)回路52、を備えている。
【0035】
A/D変換回路51は、イメージセンサ9によって光電変換されたアナログ画像データを増幅してデジタル画像データに変換する。AGC回路52は、基準板13を読み取った際の画像データが最適な基準色を示すように、A/D変換回路51内の増幅率を自動で調整する。調整結果は、画像レベルの基準値となる。なお、A/D変換回路51およびAGC回路52は、1チップ化したAFE(Analogue Front End)であってもよい。
【0036】
画像処理基板15は、レベル検出部61と、メモリ62と、を備えている。
【0037】
レベル検出部61は、画像読取基板10で行われたゲイン調整の結果と規定値とを比較して、画像レベルが異常か否かを検出する処理を行うレベル検出手段である。なお、ゲイン調整が行われる際には、キャリッジ(走行体)6は、基準板13の読取位置に移動し、ゲイン調整後はホームポジションに戻る。
【0038】
メモリ62は、例えば、基準板13を読み取った画像データを格納する。
【0039】
続いて、画像読取部101の制御装置23のCPUがプログラムに従って実行する各種の演算処理のうち、本実施の形態の特長的な処理である異常箇所検出処理について以下に説明する。
【0040】
ここで、図4は画像読取部101の制御装置23の異常箇所検出処理にかかる機能を示す機能ブロック図である。図4に示すように、画像読取部101の制御装置23は、走行体異常検出手段として機能するものである。画像読取部101の制御装置23は、制御部231と、モータ信号生成部232と、モータ駆動制御部233と、パルスカウンタ234と、カウンタ値演算部235と、移動距離比較部236と、読取位置有効信号生成部237と、を備えている。
【0041】
制御部231は、モータ信号生成部232、カウンタ値演算部235及び読取位置有効信号生成部237、並びに画像読取部101全体の制御を司る。
【0042】
制御部231は、図2においてキャリッジ(走行体)6をホームポジションの方向へ移動を開始し、キャリッジ(走行体)6にある検出部5が原点位置センサ4の検出可能域に入ったことをモータ信号生成部232を介して検知した後、所定距離を移動した時点で停止する。この停止した位置が、ホームポジションである。このように所定の位置を指定せずに、原点位置センサ4を検知してからホームポジションまで移動させて停止させる動作をここでは“ホーミング動作”と呼ぶ。一方、キャリッジ(走行体)6を読取位置または停止位置を指定して、決められた移動距離で移動させて停止させる動作をここでは“位置決め動作”と呼ぶ。
【0043】
モータ信号生成部232は、制御部231及び読取位置有効信号生成部237からの入力に基づいて内部で生成したモータパルス及び駆動パルス、キャリッジ(走行体)6を駆動する駆動手段であるモータMの正逆転信号をモータ駆動制御部233に出力すると共に、パルスカウンタ234に出力する。モータ信号生成部232は、パルスの幅を可変させてキャリッジ(走行体)6の移動速度を可変させることができる。モータMは、駆動パルスの立ち上がりエッジで1ステップだけ回転する。
【0044】
パルスカウンタ234は、モータ信号生成部232で生成されるモータパルスをカウントし、図2においてキャリッジ(走行体)6が基準板13の方向へ移動するときはモータパルスが入力される毎にカウンタ値をインクリメントする。例えば、モータパルス及び駆動パルスが1000パルスの場合、前記の位置決め動作であるため、インクリメント後のカウンタ値は1000となる。
【0045】
一方、キャリッジ(走行体)6がホームポジションの方向へ移動するときは、モータパルスが入力される毎にカウント値をデクリメントする。ホーミング動作より原点位置センサ4の検出誤差を含むことから、デクリメント後のカウンタ値は走行体駆動の異常がなくとも0とはならない。
【0046】
続いて、読取位置の異常判定機能について説明する。
【0047】
カウンタ値演算部235は、ホーミング動作を開始するときにパルスカウンタ234のカウント値を開始カウント値として記憶し、ホーミング動作が終了したときのカウント値を終了カウンタ値とする。そして、カウンタ値演算部235は、開始カウント値から終了カウント値を差し引く演算を行い、演算された差分のカウント値を移動距離比較部236に出力する。
【0048】
移動距離比較部236は、差分のカウンタ値をホーミング動作の移動距離とし、公差を考慮した期待値以内か否か比較して判定する。期待値は、キャリッジ(走行体)6を“位置決め動作”で移動させるときのキャリッジ(走行体)6の停止位置の設定値であり、減速停止する場合は減速後の減速停止位置となる。なお、公差は、原点位置センサ4の検出誤差を考慮した値で設定される。
【0049】
移動距離比較部236は、否と判定した場合、基準板13の読取位置の異常として処理する。
【0050】
読取位置有効信号生成部237は、基準読取位置信号の開始又は終了の位置を設定するとともにパルスカウンタ234のカウント値を受けて、基準読取位置信号を発生する。
【0051】
読取位置有効信号生成部237は、基準読取位置信号の開始又は終了の位置をパルスカウンタ234のカウント値に対応させた情報として保持している。
【0052】
次に、基準板13の読取位置の異常判定の実施タイミングについて説明する。
【0053】
ここで、図5は画像読取部101における読取処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すように、画像読取部101の制御装置23は、主電源ON、または省エネ復帰後、電源をONし(ステップS1)、初期設定を行う(ステップS2)。
【0054】
次いで、制御装置23のモータ駆動制御部233は、画像濃度を調整するためにキャリッジ(走行体)6を“レベル読取位置”に移動させて停止させるホーミング動作を実行する(ステップS3)。
【0055】
次いで、制御装置23は、イメージセンサ9で基準板13を読み取らせ、画像読取基板10においてイメージセンサ9の出力レベルを調整(ゲイン調整)する(ステップS4)。
【0056】
このとき、レベル検出部61が画像の出力レベルに異常を検出した時、キャリッジ(走行体)6のパルスカウント値(移動距離)により、基準板13の読取位置の異常検出を行い、キャリッジ(走行体)6の駆動の異常有無を判別することができる。
【0057】
その後、制御装置23は、原稿の読取要求があった場合には(ステップS5のYes)、原稿の読取を行う(ステップS6)。
【0058】
このように本実施形態によれば、主電源ONまたは省エネ復帰時に、キャリッジ(走行体)6の駆動の異常有無を検出できるため、原稿を読み取らずともダウンタイムの短縮ができる。
【0059】
次に、図5のステップS4において画像の出力レベルに異常を検出した後の異常解析処理について説明する。
【0060】
ここで、図6は異常解析処理の流れを示すフローチャート、図7は基準板13の読取位置の異常検出を示す図である。
【0061】
図6に示すように、図5のステップS4においてレベル検出部61が画像の出力レベルに異常を検出した場合(ステップS11のYes)、制御部231は、モータ駆動制御部233を制御してキャリッジ(走行体)6を移動させ、読取位置の異常を解析する(ステップS12)。
【0062】
より詳細には、図7に示すように、移動距離比較部236は、基準板13を読み取ったときの画像レベルの異常を検出した時、カウンタ値演算部235にて取得したキャリッジ(走行体)6のパルスカウント値(移動距離)に基づく判定により、基準板13の読取位置の異常を検知し、キャリッジ(走行体)6の駆動の異常有無を検出する。
【0063】
制御部231は、キャリッジ(走行体)6の駆動に異常ありと判定した場合(ステップS13のNo)、異常箇所(キャリッジ(走行体)6の駆動部分)を特定し(ステップS14)、ユーザに通知する(ステップS15)。
【0064】
一方、制御部231は、キャリッジ(走行体)6の駆動に異常無しと判定した場合(ステップS13のYes)、読取位置以外の異常箇所を解析し(ステップS16)、異常箇所(キャリッジ(走行体)6の駆動部分以外)を特定し(ステップS14)、ユーザに通知する(ステップS15)。
【0065】
これにより、キャリッジ(走行体)6の駆動以外の部品(イメージセンサ9、光源7、画像処理基板15、ケーブル14など)の不要な交換を回避することができる。
【0066】
このように本実施形態によれば、原稿の読み取り前に基準板13を読み取って画像レベルを検出し、画像レベルに異常があった時にキャリッジ(走行体)6の駆動系の異常有無を検出するので、キャリッジ(走行体)6の駆動系以外の部品(イメージセンサ9、光源7、画像処理基板15、ケーブル14など)の不要な交換を回避することができる。
【0067】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0068】
第1の実施の形態では、ゲイン調整の際に基準板13の読取位置の異常判定の実施するようにしたが、第2の実施の形態では、原稿読取時に基準板13の読取位置の異常判定の実施するようにした点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0069】
ここで、図8は第2の実施の形態にかかる基準板13の読取位置の異常検出を示す図である。
【0070】
図5のステップS6における原稿読取時においても、毎回、基準板13を読み取るタイミングがある。そこで、本実施形態においては、画像読取部101の制御装置23は、原稿読取の動作を開始して、走行体(キャリッジ)6が基準板13を通過するとき、“基準板13の読取位置信号”が有効になっている期間にイメージセンサ9で基準板13を読み取りながらレベル検出部61で画像レベルを確認する。
【0071】
より詳細には、図8に示すように、移動距離比較部236は、基準板13を読み取ったときの画像レベルの異常を検出した時、カウンタ値演算部235にて取得したキャリッジ(走行体)6のパルスカウント値(移動距離)に基づく判定により、基準板13の読取位置の異常を検知し、キャリッジ(走行体)6の駆動の異常有無を検出する。
【0072】
これにより、原稿読取時の基準板13の読取位置から原稿読取開始位置までの間に駆動異常が生じた場合でも異常有無を検出できるため、更なるダウンタイムの短縮ができる。
【0073】
ところで、メモリ62から画像データを取り出して画像レベルを検出する場合、画像処理基板15は制御装置23のCPUからの指令でメモリ62にアクセスする。そのため、全ての画像データをメモリ62から読み出した後にレベル検出部61で画像レベルの異常有無を検出する処理には時間がかかる。
【0074】
ここで、図9は画像レベルの検出処理時間と停止位置との関係の一例を示す図である。図9に示すように、制御装置23のCPUが、モータ信号生成部232及びモータ駆動制御部233にキャリッジ(走行体)6の停止処理を開始するには、その前に移動距離比較部236で読取位置の異常解析処理(図6のステップS12)の結果を制御装置23のCPUにアクセスして通知しておく必要がある。しかしながら、制御装置23のCPUは異常箇所検出処理が完了するまで占有されている状態のため、移動距離比較部236は画像レベルの異常有無を検出する処理が完了するまでの間、制御装置23のCPUにアクセスすることができない。
【0075】
そこで、本実施形態においては、図9に示すように、予めキャリッジ(走行体)6の停止位置を異常箇所検出処理が完了するタイミングで指定し、画像レベルが異常と検知されたとき、制御装置23のCPUがモータ信号生成部232及びモータ駆動制御部233にキャリッジ(走行体)6の停止処理を開始させる。これにより、指定した原稿サイズの後端に達する前にキャリッジ(走行体)6を停止させることで、キャリッジ(走行体)6の駆動にかかる異常有無を検出するまでの時間を短縮することができる。
【0076】
ところで、キャリッジ(走行体)6を突然停止させると、キャリッジ(走行体)6に搭載された光学部品にダメージが発生する可能性がある。
【0077】
ここで、図10は画像レベルの検出処理時間と停止位置との関係の他の例を示す図である。図10に示すように、モータ信号生成部232で生成するモータパルス及び駆動パルスの幅を徐々に長くすることで、キャリッジ(走行体)6の速度をゆっくりと減速させるようにしてもよい。
【0078】
このようにすることで、キャリッジ(走行体)6に搭載された光学部品へのダメージを軽減することができる。
【0079】
このように本実施形態によれば、原稿を読み取る際に、キャリッジ(走行体)6の駆動系の異常有無を検出することにより、出力レベル調整から原稿を読み取るまでの間に駆動異常が生じた場合でも有無を検出できるため、更なるダウンタイムを短縮できる。
【0080】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 コンタクトガラス
6 走行体
7 光源
9 イメージセンサ
12 原稿
13 基準板
23 走行体異常検出手段
61 レベル検出手段
100 画像形成装置
101 画像読取装置
103 画像形成部
M 駆動手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【文献】特開2007-150934号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10