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特許7459553自律走行装置、自律走行方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】自律走行装置、自律走行方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/242 20240101AFI20240326BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20240326BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240326BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20240326BHJP
   G05D 1/225 20240101ALI20240326BHJP
   G05D 1/622 20240101ALI20240326BHJP
   G05D 1/672 20240101ALI20240326BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20240326BHJP
   G05D 105/28 20240101ALN20240326BHJP
   G05D 109/10 20240101ALN20240326BHJP
   G05D 111/30 20240101ALN20240326BHJP
   G05D 111/63 20240101ALN20240326BHJP
【FI】
G05D1/242
B65G1/04 555Z
B66F9/24 P
G01S17/931
G05D1/225
G05D1/622
G05D1/672
G05D1/43
G05D105:28
G05D109:10
G05D111:30
G05D111:63
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020025515
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021131628
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川邊 博史
(72)【発明者】
【氏名】郷 直輝
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-15571(JP,A)
【文献】特開平4-308200(JP,A)
【文献】特開平3-264499(JP,A)
【文献】特開平8-84696(JP,A)
【文献】特開2015-204946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0098910(US,A1)
【文献】特開2017-107563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00
B65G 1/04
B66F 9/24
G01S 17/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を把持し搬送する自律走行装置であって、
前記搬送物を把持するための把持機構と、
前記自律走行装置の進行方向に対して後方を含む第1検知領域に位置する障害物と、前記把持機構を移動させる範囲含む第2検知領域に位置する障害物と、を検知可能な障害物検知手段と、
前記搬送物を回収または配置する前に、前記第1検知領域から前記第2検知領域に検知領域を拡張するように、前記障害物検知手段を制御する制御手段と、を備える、
自律走行装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記障害物検知手段が前記検知領域を拡張して検知した結果、障害物が検知されなかった場合、前記障害物検知手段を無効化する、
請求項1に記載の自律走行装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記障害物検知手段が前記検知領域を拡張して検知した結果、障害物が検知されなかった場合、前記検知領域を縮小するように、前記障害物検知手段を制御する、
請求項1に記載の自律走行装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記搬送物の回収または配置のために前記把持機構を移動させる範囲の近くに障害物が存在することを示すデータを取得した場合に、前記搬送物を回収または配置する前に、前記搬送物の回収または配置のために前記把持機構を移動させる範囲を含む領域に前記検知領域を拡張するように、前記障害物検知手段を制御する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の自律走行装置。
【請求項5】
前記障害物検知手段は、前記自律走行装置の進行方向の左側に設置された第1のセンサと、前記進行方向の右側に設置された第2のセンサと、を備え、
前記制御手段は、前記搬送物の回収または配置のために前記把持機構を移動させる範囲の近くであって、前記左側に障害物が存在することを示すデータを取得した場合には、前記搬送物を回収または配置する前に、前記搬送物の回収または配置のために前記把持機構を移動させる範囲を含む領域に前記検知領域を拡張するように、前記第1のセンサを制御し、前記右側に障害物が存在することを示すデータを取得した場合には、前記搬送物を回収または配置する前に、前記搬送物の回収または配置のために前記把持機構を移動させる範囲を含む領域に前記検知領域を拡張するように、前記第2のセンサを制御する、
請求項4に記載の自律走行装置。
【請求項6】
搬送物を把持し搬送する自律走行装置であって、搬送物を把持するための把持機構と、前記自律走行装置の進行方向に対して後方を含む第1検知領域に位置する障害物と、前記把持機構を移動させる範囲含む第2検知領域に位置する障害物と、を検知可能な障害物検知手段と、を備える前記自律走行装置が、
前記搬送物に接近したか否かを判定し、
前記搬送物に接近したと判定すると、前記搬送物の回収または配置のために前記第1検知領域から前記第2検知領域知領域を拡張する、
自律走行方法。
【請求項7】
搬送物を把持し搬送する自律走行装置であって、搬送物を把持するための把持機構と、前記自律走行装置の進行方向に対して後方を含む第1検知領域に位置する障害物と、前記把持機構を移動させる範囲含む第2検知領域に位置する障害物と、を検知可能な障害物検知手段と、を備える前記自律走行装置に、
前記搬送物に接近したか否かを判定するステップと、
前記搬送物に接近したと判定すると、前記搬送物の回収または配置のために前記第1検知領域から前記第2検知領域知領域を拡張するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行装置、自律走行方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物流倉庫等において、コンベアや、決められた軌道に沿って走行する無人搬送車等を使って、棚に保管された物品を出庫場所まで移動させる方法が知られている。
【0003】
また、移動する機器が、自機の移動領域に存在する障害物を検出する技術が知られている。例えば、切返し地点に向かって前進中に収集した左後方検出データ及び右後方検出データのいずれからも障害物が検出できない場合は、後方監視対象領域内に障害物がないと判定する障害物判定部を備える鉱山用作業機械が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人搬送車等の自律走行装置が、搬送物を回収または配置する際には、回収先または配置先の領域の近くに置かれている物品等に、ぎりぎりまで接近する可能性がある。そのため、それらの物品等に遮られないように障害物を検知する必要がある。しかし、上述した従来の技術では、搬送物を回収または配置する際に、障害物の検知を物品等に遮られる可能性があった。
【0005】
開示の技術は、搬送物を回収または配置する際に、物品等に遮られないように障害物を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、搬送物を把持し搬送する自律走行装置であって、前記搬送物を把持するための把持機構と、前記自律走行装置の進行方向に対して後方を含む第1検知領域に位置する障害物と、前記把持機構を移動させる範囲含む第2検知領域に位置する障害物と、を検知可能な障害物検知手段と、前記搬送物を回収または配置する前に、前記第1検知領域から前記第2検知領域に検知領域を拡張するように、前記障害物検知手段を制御する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
搬送物を回収または配置する際に、物品等に遮られないように障害物を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】無人搬送車の横からの外観の一例を示す図である。
図2】無人搬送車の上からの外観の一例を示す図である。
図3】無人搬送車のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】無人搬送車による搬送物の回収動作を説明するための第一の図である。
図5】無人搬送車による搬送物の回収動作を説明するための第二の図である。
図6】第一の実施形態に係る搬送物回収処理の処理フローの一例を示す図である。
図7】第一の実施形態に係る障害物検知動作を説明するための図である。
図8】第二の実施形態に係る搬送物回収処理の処理フローの一例を示す図である。
図9】第二の実施形態に係る障害物検知動作を説明するための図である。
図10】第三の実施形態に係る搬送物回収処理の処理フローの一例を示す図である。
図11】第四の実施形態に係る搬送物回収処理の処理フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、無人搬送車の横からの外観の一例を示す図である。また、図2は、無人搬送車の上からの外観の一例を示す図である。
【0011】
無人搬送車100は、物体を把持して搬送する自律走行装置である。具体的には、無人搬送車100は、駆動輪101と、アーム102と、LRF(Laser Range Finder)103と、を備える。
【0012】
駆動輪101は、無人搬送車100内のCPUによる制御を受けて動く車輪である。
【0013】
アーム102は、無人搬送車100の進行方向の左右に1つずつ配置され、搬送物を挟んで持ち上げて保持し、目的地では搬送物を目的の場所に置くための把持機構である。
【0014】
LRF103は、レーザを照射して、反射した光を測定することによって、搬送物、障害物等を検出し、これらの位置、形状等を示すデータを出力する。具体的には、LRF103は、無人搬送車100の進行方向の左右に1つずつ設置される。各LRF103は、左右それぞれの前方および後方を検知領域とする。
【0015】
図3は、無人搬送車のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0016】
無人搬送車100は、前述した構成要素の他に、CPU104と、メモリ105と、エンコーダ106と、駆動輪用モータ107と、アーム用モータ108と、D/A変換器109と、を備える。
【0017】
CPU104は、メモリ105に格納されたプログラムを読み出して、読み出したプログラムに規定された後述する各種処理を実行する演算処理装置である。例えば、CPU104は、エンコーダ106から取得したデータに基づいて、自己位置を推定する。また、推定した自己位置とメモリ105に格納された地図情報に基づいて、移動経路を決定し、決定した移動経路に沿って移動するように、駆動輪101を制御する。
【0018】
メモリ105は、揮発性または不揮発性の記憶媒体であって、各種情報を記憶し、CPU104の作業領域として機能する。
【0019】
CPU104およびメモリ105は、協働して、コンピュータとして機能する。
【0020】
エンコーダ106は、駆動輪101の回転角度を検出するセンサ(ロータリーエンコーダ)である。エンコーダ106は、検出した駆動輪101の回転角度を示すデータをCPU104に送信する。
【0021】
駆動輪用モータ107は、駆動輪101を回転させる駆動装置である。駆動輪用モータ107は、D/A(デジタルアナログ)変換器109を介して、CPU104による制御を受けて、駆動輪101を回転させる。
【0022】
アーム用モータ108は、アーム102を動かす駆動装置である。アーム用モータ108は、D/A(デジタルアナログ)変換器109を介して、CPU104による制御を受けて、アーム102を動かす。
【0023】
次に、無人搬送車100の動作について、図面を参照して説明する。
【0024】
図4は、無人搬送車による搬送物の回収動作を説明するための第一の図である。
【0025】
無人搬送車100は、搬送物202を回収する際には、搬送物202が配置された配置枠205に接近して、図4に示される位置(A)まで進行する。ここで、無人搬送車100は、位置(A)に進行するまでに、LRF103を用いて搬送物202および周辺の他の物体203の有無および位置を測定する。なお、物体203は、搬送物202とは別の搬送物であっても良いし、壁、柱等の他の種類の物体であっても良い。
【0026】
無人搬送車100は、位置(A)から進行方向の後方に向かって進行し、図4に示される位置(B)まで移動する。そして、無人搬送車100は、左右のアーム102を搬送物202と物体203との間の空間204に移動させるように、さらに後退する。
【0027】
ここで、LRF103は、位置(A)から位置(B)までの進行方向の後方に移動中に、アーム102が障害物等に接触しないように、検知領域201の範囲の障害物を検知する。検知領域201は、アーム102が障害物に接触しないように検知するための範囲にあらかじめ調整されている。
【0028】
具体的には、CPU104は、LRF103の測定範囲に含まれる距離データのうち、検知領域201に相当する距離データを抽出する。そして、CPU104は、抽出した距離データに基づいて、障害物の有無を判定する。
【0029】
LRF103は、アーム102の近傍を検知領域として障害物を検知する障害物検知手段として機能する。また、CPU104は、LRF103を制御する制御手段として機能する。
【0030】
なお、仮に検知領域201が必要以上に大きいと、実際には接触しない物体も検知してしまうため、安全を考慮しつつ、接触の可能性のある領域に調整されている。
【0031】
図5は、無人搬送車による搬送物の回収動作を説明するための第二の図である。
【0032】
無人搬送車100は、図5に示される位置(C)まで進行すると、アーム102を駆動して搬送物202を把持する。その後、無人搬送車100は、進行方向に向かって前進し、目的地に向かって移動する。
【0033】
ここで、無人搬送車100は、仮に検知領域201の範囲の障害物を検知しながら位置(B)から位置(C)まで後退しようとすると、実際には接触しない物体203を検知してしまい、位置(C)まで移動できない可能性がある。また、空間204の一部が物体203の陰に隠れて、障害物を検知できない可能性もある。
【0034】
そこで、本実施形態に係る無人搬送車100は、検知領域201を変更しつつ、位置(B)から位置(C)まで後退する処理を実行する。
【0035】
図6は、第一の実施形態に係る搬送物回収処理の処理フローの一例を示す図である。
【0036】
無人搬送車100は、搬送物202に接近したか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、無人搬送車100のCPU104は、エンコーダ106から取得した駆動輪101の回転数、向き等を示すデータに基づいて、自己位置を推定し、搬送物202に接近した位置(B)に到達したか否かを判定する。
【0037】
無人搬送車100は、搬送物202に接近していないと判定すると(ステップS101:No)、このステップS101の処理を実行する。無人搬送車100は、搬送物202に接近したと判定すると(ステップS101:Yes)、停止する(ステップS102)。具体的には、無人搬送車100のCPU104は、位置(B)に到達したと判定すると、D/A変換器109を介して駆動輪用モータ107を制御して、駆動輪101の回転を停止させる。
【0038】
そして、無人搬送車100は、検知領域を拡張する(ステップS103)。具体的には、無人搬送車100のCPU104は、搬送物202の回収のためにアーム102を移動させる範囲を含む領域に検知領域を拡張するように、LRF103を制御する。
【0039】
図7は、第一の実施形態に係る障害物検知動作を説明するための図である。
【0040】
ステップS103の処理で拡張された検知領域206は、図7に示されるように、アーム102を移動させる範囲である空間204を含む領域である。位置(B)からは、物体203の陰に隠れる範囲が少ないため、空間204の障害物の検知の精度が向上する。
【0041】
図6に戻り、無人搬送車100のCPU104は、障害物を検知したか否かを判定する(ステップS104)。CPU104が、障害物を検知したと判定すると(ステップS104:Yes)、無人搬送車100は、外部に通知する(ステップS105)。
【0042】
具体的には、無人搬送車100は、例えば、警報を鳴らしても良いし、無線通信等によって、外部の機器に信号を送信しても良い。その場合、無人搬送車100は、それらの通知手段を備える。そして、無人搬送車100は、ステップS104の処理を繰り返し実行する。
【0043】
CPU104は、障害物を検知しなかったと判定すると(ステップS104:No)、障害物の検知を無効化する(ステップS106)。例えば、ステップS105の通知を受けた担当者によって障害物が除去されると、このステップS106の処理に進む。
【0044】
具体的には、CPU104は、LRF103を無効化する。例えば、CPU104は、LRF103からデータが送信されないように制御する。あるいは、CPU104は、LRF103から取得したデータを無視しても良い。
【0045】
そして、無人搬送車100は、搬送物202を把持する位置に移動する(ステップS107)。具体的には、無人搬送車100のCPU104は、D/A変換器109を介して駆動輪用モータ107を制御して、駆動輪101を回転させる。そして、無人搬送車100は、図5に示される位置(C)まで移動する。
【0046】
次に、無人搬送車100は、搬送物202を回収する(ステップS108)。具体的には、無人搬送車100のCPU104は、D/A変換器109を介してアーム用モータ108を制御して、アーム102を動かす。そして、無人搬送車100は、アーム102を用いて搬送物202を把持し、目的地への移動を開始する。
【0047】
本実施形態に係る無人搬送車100によれば、搬送物202を回収する前に、搬送物202の回収のためにアーム102を移動させる範囲を含む領域に検知領域を拡張するように、LRF103を制御する。これによって、物体203等に遮られないように障害物を検知することができる。
【0048】
また、無人搬送車100は、LRF103が検知領域を拡張して検知した結果、障害物が検知されなかった場合、LRF103を無効化する。これによって、無人搬送車100は、物体203等に接近する必要がある場合であっても、物体203を障害物と検知することが無いため、搬送物202を把持する位置まで移動することができる。
【0049】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、検知を無効化する代わりに、検知領域を縮小する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0050】
図8は、第二の実施形態に係る搬送物回収処理の処理フローの一例を示す図である。
【0051】
本実施形態に係る搬送物回収処理のステップS201からステップS205までは、第一の実施形態に係る搬送物回収処理のステップS101からステップS105までと同じである。
【0052】
ステップS204において、CPU104は、障害物を検知しなかったと判定すると(ステップS204:No)、検知領域を縮小する(ステップS206)。
【0053】
図9は、第二の実施形態に係る障害物検知動作を説明するための図である。
【0054】
ステップS206の処理で縮小された検知領域207は、図9に示されるように、LRF103の近く、例えば20cmの領域である。検知領域207の範囲に障害物が存在すると、LRF103を含む突起部分が障害物に衝突する可能性がある。
【0055】
図8に戻り、無人搬送車100は、移動を開始する(ステップS207)。具体的には、CPU104は、D/A変換器109を介して駆動輪用モータ107を制御して、駆動輪101を回転させる。この時、CPU104は、駆動輪用モータ107を制御して、駆動輪101の回転速度を小さくすることが望ましい。これによって、無人搬送車100は、障害物を検知した場合にすぐに停止できる。
【0056】
次に、CPU104は、障害物を検知したか否かを判定する(ステップS208)。CPU104が、障害物を検知したと判定すると(ステップS208:Yes)、無人搬送車100は、停止して(ステップS209)、外部に通知する(ステップS210)。
【0057】
続いて、CPU104は、移動再開の指示を受けたか否かを判定する(ステップS211)。CPU104は、移動再開の指示を受けていないと判定すると(ステップS211:No)、このステップS211の処理を繰り返し実行する。
【0058】
例えば、通知を受けた担当者が、障害物が除去し、移動再開を指示すると、CPU104は、移動再開の指示を受けたと判定する。無人搬送車100は、CPU104が移動再開の指示を受けたと判定すると(ステップS211:Yes)、移動を再開して(ステップS212)、ステップS208の処理を再度実行する。
【0059】
また、CPU104は、障害物を検知しなかったと判定すると(ステップS208:No)、搬送物202の回収位置に到達したか否かを判定する(ステップS213)。具体的には、CPU104は、エンコーダ106から取得した駆動輪101の回転数、向き等を示すデータに基づいて、自己位置を推定し、搬送物202の回収位置である図9に示される位置(C)に到達したか否かを判定する。
【0060】
CPU104が、搬送物202の回収位置に到達していないと判定すると(ステップS213:No)、ステップS208の処理を再度実行する。
【0061】
CPU104が、搬送物202の回収位置に到達したと判定すると(ステップS213:Yes)、無人搬送車100は停止し(ステップS214)、搬送物202を回収する(ステップS215)。
【0062】
本実施形態に係る無人搬送車100によれば、LRF103が検知領域を拡張して検知した結果、障害物が検知されなかった場合、検知領域を縮小するように、LRF103を制御する。これによって、搬送物202の回収位置への移動中における衝突のリスクを低下させることができる。
【0063】
具体的には、無人搬送車100が位置(B)から位置(C)に移動する間に、搬送物202の隣の物体203が載置されたり、動かされたりすることが考えられる。その場合でも、本実施形態に係る無人搬送車100によれば、衝突を回避することができる。
【0064】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態では、搬送物202の左右のいずれにも障害物が無い場合、元の検知領域のまま検知を実行する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0065】
図10は、第三の実施形態に係る搬送物回収処理の処理フローの一例を示す図である。
【0066】
本実施形態に係る搬送物回収処理のステップS301およびステップS302は、第一の実施形態に係る搬送物回収処理のステップS101およびステップS102と同じである。
【0067】
ステップS302に続いて、CPU104は、搬送物202の左右のいずれかに障害物があるか否かを判定する(ステップS303)。具体的には、無人搬送車100は、図4に示される位置(A)に進行するまでに、LRF103を用いて搬送物202および周辺の他の物体203の有無および位置を測定し、測定されたデータをメモリ105に格納している。
【0068】
したがって、CPU104は、メモリ105に格納されたデータに基づいて、搬送物202の左右のいずれかに、物体203等の障害物があるか否かを判定する。そして、CPU104が、搬送物202の左右のいずれにも障害物が無いと判定すると(ステップS303:No)、無人搬送車100は、移動を開始する(ステップS304)。
【0069】
以下、本実施形態に係る搬送物回収処理のステップS305からステップS311までの処理は、第二の実施形態に係る搬送物回収処理のステップS208からステップS214までと同じである。
【0070】
また、CPU104が、搬送物202の左右のいずれかに障害物があると判定すると(ステップS303:Yes)、無人搬送車100は、検知領域を拡張する(ステップS312)。以下、本実施形態に係る搬送物回収処理のステップS312からステップS317までの処理は、第一の実施形態に係る搬送物回収処理のステップS103からステップS108までと同じである。
【0071】
本実施形態に係る無人搬送車100によれば、搬送物202の回収のためにアーム102を移動させる範囲の近くに障害物が存在することを示すデータを取得した場合に、搬送物202を回収する前に、搬送物202の回収のためにアーム102を移動させる範囲を含む領域に検知領域を拡張するように、LRF103を制御する。
【0072】
すなわち、無人搬送車100は、アーム102を移動させる範囲の近くに障害物が存在することを示すデータを取得しなかった場合には、LRF103が元の検知領域で障害物を検知しながら、搬送物202を回収する位置まで移動する。
【0073】
したがって、本実施形態に係る無人搬送車100は、実際の状況に適応した障害物の検知方法を自動で選択することができるため、より精度の高い障害物検知を実現することができる。
【0074】
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して、第四の実施形態について説明する。第四の実施形態では、搬送物202の左右のいずれかに障害物がある場合、左右それぞれの検知領域を拡張する点が、第三の実施形態と相違する。以下の第四の実施形態の説明では、第三の実施形態との相違点について説明し、第三の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第三の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0075】
図11は、第四の実施形態に係る搬送物回収処理の処理フローの一例を示す図である。
【0076】
本実施形態に係る搬送物回収処理のステップS401からステップS411までの処理は、第三の実施形態に係る搬送物回収処理のステップS301からステップS311までと同じである。
【0077】
ステップS403の処理において、CPU104は、搬送物202の左右のいずれかに障害物があると判定すると(ステップS403:Yes)、さらに、搬送物202の左に障害物があるか否かを判定する(ステップS412)。
【0078】
CPU104が、搬送物202の左に障害物があると判定すると(ステップS412:Yes)、無人搬送車100は、左側の検知領域を拡張する(ステップS413)。具体的には、無人搬送車100のCPU104は、搬送物202の回収のためにアーム102を移動させる範囲を含む領域に検知領域を拡張するように、進行方向の左側のLRF103(第1のセンサ)を制御する。
【0079】
CPU104が、搬送物202の左に障害物が無いと判定すると(ステップS412:No)、ステップS413の処理をスキップする。
【0080】
続いて、CPU104が、搬送物202の右に障害物があると判定すると(ステップS414:Yes)、無人搬送車100は、右側の検知領域を拡張する(ステップS415)。具体的には、無人搬送車100のCPU104は、搬送物202の回収のためにアーム102を移動させる範囲を含む領域に検知領域を拡張するように、進行方向の右側のLRF103(第2のセンサ)を制御する。
【0081】
CPU104が、搬送物202の右に障害物が無いと判定すると(ステップS414:No)、ステップS415の処理をスキップする。
【0082】
以下、ステップS416からステップS420までの処理は、第三の実施形態に係る搬送物回収処理のステップS313からステップS317までと同じである。
【0083】
本実施形態に係る無人搬送車100によれば、搬送物202の回収のためにアーム102を移動させる範囲の左右のいずれかに障害物が存在することを示すデータを取得した場合に、搬送物202を回収する前に、搬送物202の回収のためにアーム102を移動させる範囲を含む領域に検知領域を拡張するように、左右独立にLRF103を制御する。
【0084】
これによって、本実施形態に係る無人搬送車100は、左右独立に、精度の高い障害物検知を実現することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、左右のいずれかに障害物が存在すると判定された場合に、障害物の検知を無効化する例を示したが、左右のいずれかにのみ障害物が存在すると判定された場合には、障害物が存在すると判定された側のLRF103を無効化し、障害物が存在しないと判定された側のLRF103は有効のままとしても良い。
【0086】
このようにすれば、左右それぞれの状況に応じた障害物検知を実現することができる。
【0087】
上述した各実施形態では、搬送物202を回収する例を示したが、本発明の範囲はこれに限られず、無人搬送車100は、搬送物202を搬送中に、配置枠205に配置する際にも上述した搬送物回収処理と同様の処理を行っても良い。
【0088】
上述した各実施形態は、適宜組み合わせても良い。例えば、第二の実施形態と第三の実施形態とを組み合わせ、図10に示される第三の実施形態に係る搬送物回収処理のステップS315からステップS317までの処理の代わりに、図8に示される第二の実施形態に係る搬送物回収処理のステップS206からステップS215までの処理を実行しても良い。
【0089】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGAや従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0090】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0091】
100 無人搬送車
101 駆動輪
102 アーム
103 LRF
104 CPU
105 メモリ
106 エンコーダ
107 駆動輪用モータ
108 アーム用モータ
109 D/A変換器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【文献】特開2018-043599号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11