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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20240326BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G03G15/01 J
G03G15/00 303
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020048483
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021148941
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】池田 博昭
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117372(JP,A)
【文献】特開平10-020609(JP,A)
【文献】特開2005-055699(JP,A)
【文献】特開2000-141828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエロー、マゼンタ、シアンのうち少なくとも1つのカラートナーからなるカラートナー画像と、黒トナーからなる黒トナー画像とによって構成される黒カラー画像を記録媒体上に形成可能なプリンタにおいて、
カラートナーで現像処理を行うカラー用ユニットを複数保持する第1ユニット保持部と、
黒トナーで現像処理を行う黒用ユニットと、特殊トナーで現像処理を行う特殊用ユニットとのいずれか一方を着脱可能に保持する第2ユニット保持部と、
前記第2ユニット保持部で前記特殊用ユニットを保持した状態においてプリンタドライバからモノクロ印刷指令が送信された場合には、前記第1ユニット保持部で保持するカラー用ユニットのいずれか一つを選択し、当該カラー用ユニットへカラー画像情報を送信する制御部と、
を備えることを特徴とするプリンタ
【請求項2】
プリンタ本体は、各トナーカートリッジの残りのトナー量を検出するトナー残量センサをそれぞれ備え、
前記制御部は、複数のトナーカートリッジから、カラートナーの残留量が最も多いトナーカートリッジを選択し、当該トナーカートリッジに対応するカラー用ユニットにカラー画像情報を送信する、
請求項1に記載のプリンタ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、黒トナーで現像処理を行う黒用現像装置を含む黒用ユニットと、カラートナーで現像処理を行うカラー用現像装置を含むカラー用ユニットとを備え、カラートナーからなるカラートナー像と黒トナーからなる黒トナー像とで構成される黒カラー画像を記録媒体上に形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
また、画像形成装置の中には、黒用ユニットと、特殊トナーで現像処理を行う特殊用現像装置を含む特殊用ユニットとを選択的に保持するユニット保持部を設けたものがある。この画像形成装置は、例えば、3つのカラー用ユニットと、1つの黒用ユニットと、1つの特殊ユニットとを保持可能である一方、黒用ユニットと特殊用ユニットとは、いずれか一方のみが保持可能である。このため、画像形成装置を小型にすることができる。
【0004】
特殊用ユニットは、記録媒体上に視認困難な視認困難画像を特殊トナーによって形成する。そして、この画像形成装置は、カラートナーで形成されたカラートナー像である視認可能画像とともに視認困難画像を記録媒体上に作成する(例えば、特許文献1)。
【0005】
特殊トナーは、視認可能な画像中に視認困難な画像を記録媒体に埋め込む場合に使用される。例えば、不正コピー防止等の目的で、カラートナーによる可視画像とともに、特殊トナーによる視認困難画像を記録媒体に形成する場合に使用される。視認困難画像は、可視光下で、カラートナーよりも透明性が高いトナーによって形成される画像である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置は、例えば、記録媒体に対する画像形成位置を調整するため、レジスト調整機能を有する。レジスト調整をする際、画像形成装置にはモノクロ印刷指令が送信される。しかしながら、ユニット保持部で特殊用ユニットを保持した状態において、画像形成装置にモノクロ印刷指令が送信された場合には、画像形成装置に特殊用ユニットが保持されているため、記録媒体に視認可能な画像を形成することができないか、又は、画像形成することができない旨のエラーメッセッジを表示する。そして、いずれの場合においても、特殊用ユニットを黒用ユニットに交換した後、再度、レジスト調整をしなければならず、手間がかかる問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、ユニット保持部で特殊用ユニットを保持した状態において、モノクロ印刷指令が送信された場合に、記録媒体に視認可能な画像形成をすることができる小型なプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係るプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアンのうち少なくとも1つのカラートナーからなるカラートナー画像と、黒トナーからなる黒トナー画像とによって構成される黒カラー画像を記録媒体上に形成可能なプリンタにおいて、カラートナーで現像処理を行うカラー用ユニットを複数保持する第1ユニット保持部と、黒トナーで現像処理を行う黒用ユニットと、特殊トナーで現像処理を行う特殊用ユニットとのいずれか一方を着脱可能に保持する第2ユニット保持部と、前記第2ユニット保持部で前記特殊用ユニットを保持した状態においてプリンタドライバからモノクロ印刷指令が送信された場合には、前記第1ユニット保持部で保持するカラー用ユニットのいずれか一つを選択する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るプリンタは、上記構成を有するため、ユニット保持部で特殊用ユニットを保持した状態において、モノクロ印刷指令が送信された場合に、記録媒体に画像形成をすることができる小型なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るプリンタの全体構成を示す説明図である。
図2図2は、実施形態のプリンタにおける通常動作の制御を示すブロック図である。
図3図3は、プリンタ本体のユニット保持部にIR用プロセスユニットが装着されているときに、これに対応する容器保持部材に対してIR用トナーカートリッジを装着する例を示す説明図である。
図4図4は、ユニット保持部に保持されたプロセスユニットの種類及び容器保持部材に保持されたトナーカートリッジの種類を判別するための識別情報を記録した情報記録部を有するプロセスユニット及びトナーカートリッジの例を示す説明図である。
図5図5は、装置本体に設けられるIDチップ読取部、及び、バーコード読取部を示す説明図である。
図6図6は、モノクロ印刷指令が送信された場合の制御部における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置であるカラープリンタ(以下「プリンタ」という。)に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、画像形成装置は、プリンタに限られず、複写機、ファクシミリ単体、あるいは、プリンタ、複写機、ファクシミリ、スキャナのうちの少なくとも2つの機能を備えた複合機でもよい。
【0012】
まず、本実施形態に係るプリンタの全体構成及び動作について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの全体構成を示す説明図である。本実施形態のプリンタは、画像形成部1と、転写部2と、記録媒体供給部3と、定着部4と、記録媒体排出部5と、制御部30と、画像形成制御部40とを備える。
【0013】
画像形成部1には、作像ユニットである4つのプロセスユニット6を保持するための4つのユニット保持部が設けられている。4つのユニット保持部のうち、3つのユニット保持部は、カラートナーに対応する3つのプロセスユニット6Y、6M、6Cにそれぞれ対応したものである。すなわち、本実施形態のプリンタには、カラートナーで現像処理を行う3つのカラー用ユニット(プロセスユニット6Y、6M、6C)を保持する第1ユニット保持部601が設けられる。このため、プリンタは、3つのカラー用ユニット(プロセスユニット6Y、6M、6C)の少なくとも1つのカラー用ユニットによって、イエロー、マゼンタ、シアンのうち少なくとも1つのカラートナーからなるカラートナー画像を記録媒体上に形成可能である。
【0014】
4つのユニット保持部のうち、残りの1つのユニット保持部は、K用プロセスユニット6K及びIR用プロセスユニット6IRに対応したものであって、いずれか一方のプロセスユニット6K、6IRを交換可能に保持するものである。すなわち、本実施形態のプリンタには、黒トナーで現像処理を行う黒用プロセスユニット(K用プロセスユニット6K)と、特殊トナーで現像処理を行う特殊用ユニット(IR用プロセスユニット6IR)とのいずれか一方を着脱可能に保持する第1ユニット保持部601が設けられる。このため、プリンタは、第2ユニット保持部602に黒用プロセスユニット(IR用プロセスユニット6IR)を装着した場合には、黒用プロセスユニットによって、黒トナーからなる黒トナー画像を記録媒体上に形成可能である。これらによって、プリンタは、第1ユニット保持部601で保持する3つのカラー用ユニット(プロセスユニット6Y、6M、6C)と、第2ユニット保持部602で保持するK用プロセスユニット6Kとによって、黒カラー画像を記録媒体上に形成可能である。なお、図1に示す第2ユニット保持部602は、K用プロセスユニット6Kではなく、IR用プロセスユニット6IRを装着させた状態が図示されている。各プロセスユニット6Y、6M、6C、6K、6IRは、使用するトナーの種類が異なる以外は同様の構成である。
【0015】
本実施形態のプリンタは、ユニット保持部が4つであるため、上述した5つのプロセスユニット6Y、6M、6C、6K、6IRに対応する5つのユニット保持部を備えたプリンタよりも小型である。すなわち、4つのユニット保持部をもつ小型のプリンタで、Y、M、C、Kのトナーによるフルカラー画像(カラー黒可視画像)の形成と、Y、M、C、IRのトナーによるフルカラー画像(カラー可視画像)及びIR画像(視認困難画像)の形成とを、両立することができる。
【0016】
本実施形態において、各プロセスユニット6Y、6M、6C、6K、6IRは、潜像を担持する潜像担持体としての感光体7と、感光体7の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ8と、感光体7上の潜像を現像する現像手段としての現像装置9と、感光体7の表面をクリーニングする潜像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置10などで構成される。各感光体7に対向した位置には、それぞれ、感光体7の表面に潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置11が設けられている。本実施形態では、露光装置11としてLEDユニットを用いているが、レーザダイオードを用いたレーザビームスキャン方式のものを用いてもよい。
【0017】
転写部2には、感光体7上のトナー像が転写される中間転写体としての無端状の中間転写ベルト12と、感光体7上の画像を中間転写ベルト12に一次転写する一次転写手段としての複数の一次転写ローラ13と、中間転写ベルト12に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段としての二次転写ローラ14と、中間転写ベルト12の表面(外周面)をクリーニングする中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置17とが配置されている。
【0018】
中間転写ベルト12は、駆動ローラ15と従動ローラ16とに架け渡され、駆動ローラ15が回転することで周回走行(回転)する。各一次転写ローラ13は、中間転写ベルト12を各感光体7に押し当てるように配置されている。これにより、中間転写ベルト12と各感光体7との接触箇所には、各感光体7上の画像が中間転写ベルト12に転写される一次転写ニップが形成される。一方、二次転写ローラ14は、駆動ローラ15に巻き付いた中間転写ベルト12の部分に接触するように配置されている。この二次転写ローラ14と中間転写ベルト12とが接触する箇所には、中間転写ベルト12上の画像が記録媒体に転写される二次転写ニップが形成される。
【0019】
記録媒体供給部3には、記録媒体としての用紙Pを収容する記録媒体収容部としての給紙カセット18と、給紙カセット18から用紙Pを給送する記録媒体給送手段としての給紙ローラ19と、給紙ローラ19によって給送された用紙Pを所定のタイミングで二次転写ニップへ搬送する記録媒体搬送手段としてのタイミングローラ20が配置されている。なお、記録媒体としては、用紙P以外に、OHPシートやOHPフィルム、布等であってもよい。また、用紙Pには、普通紙のほか、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、和紙等の凹凸紙、トレーシングペーパ等が含まれる。
【0020】
定着部4には、用紙Pに画像を定着する定着手段としての定着装置21が配置されている。定着装置21は、ヒータ等の加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ22と、定着ローラ22に対して所定の圧力で接触して定着ニップを形成する加圧部材としての加圧ローラ23とから主に構成されている。
【0021】
記録媒体排出部5には、定着装置21から送り出された用紙Pを装置外に排出する記録媒体排出手段としての排紙ローラ24と、排紙ローラ24によって排出された用紙Pを載置する記録媒体載置部としての排紙トレイ25とが配置されている。
【0022】
制御部30は、プリンタ全体の制御を行うものであって、例えば、読取装置(スキャナ)やパソコン等からの入力画像情報に対する画像処理を行う。画像形成制御部40は、制御部30の制御の下、プリンタの各部(画像形成部1、転写部2、記録媒体供給部3、定着部4、記録媒体排出部5等)における画像形成動作の制御を行うものである。
【0023】
また、本実施形態のプリンタには、上述の各構成要素に加え、画像形成に用いられる粉体であるトナーを収容するトナー収容器としての複数のトナーカートリッジ26Y、26M、26C、26K、26IRを着脱可能に保持する容器保持部材102が設けられている。この容器保持部材102には、4つのトナー収容器保持部が設けられ、各トナー収容器保持部にそれぞれ対応するトナーカートリッジ26Y、26M、26C、26K、26IRが装着され保持される。4つのトナー収容器保持部のうちの3つのトナー収容器保持部は、カラートナーに対応する3つのトナーカートリッジ26Y、26M、26Cにそれぞれ対応したものである。残りの1つのトナー収容器保持部は、K用トナーカートリッジ26K及びIR用トナーカートリッジ26IRに対応したものであり、いずれかのトナーカートリッジ26K、26IRが選択的に装着されて保持する。なお、図1には、トナー収容器保持部に対し、K用トナーカートリッジ26Kではなく、IR用トナーカートリッジ26IRを装着した例が図示されている。
【0024】
各トナーカートリッジ26Y、26M、26C、26K、26IRは、上述した各6Y、6M、6C、6K、6IRの現像装置9内のトナーと同じ種類(色)のトナーが、それぞれに収容されている。容器保持部材102の4つのトナー収容器保持部には、それぞれ、4つのユニット保持部に装着されているプロセスユニット6のトナーに対応するトナーカートリッジ26が装着され、装着されているプロセスユニット6の現像装置9の内部におけるトナーが所定量を下回ると、対応するトナー収容器保持部に装着されたトナーカートリッジ26から同じ種類のトナーが補給される。本実施形態のプリンタの装置本体100は、トナーカートリッジ26Y、26M、26Cの残りのトナー量を検出するトナー残量センサ50Y、50M、50Cをそれぞれ備える。
【0025】
また、本実施形態のプリンタには、廃トナー収容容器27が装着されている。この廃トナー収容容器27には、ベルトクリーニング装置17あるいは感光体クリーニング装置10によって回収された廃トナーが収容される。
【0026】
また、図1に示すように、本実施形態のプリンタは、装置本体(画像形成装置本体)100の上部を開閉するためのカバー部材101を備える。カバー部材101は、装置本体100に設けられた回動軸103を中心に上下に回動可能となっている。また、カバー部材101の下方には、4つのトナーカートリッジ26を着脱可能にトナー収容器保持部に保持する容器保持部材102が配置されている。容器保持部材102は、装置本体100に設けられた別の回動軸104を中心に上下に回動可能となっている。
【0027】
本実施形態のプリンタは、第2ユニット保持部602に、黒用ユニット(K用プロセスユニット6K)に代えて、記録媒体上で視認困難な視認困難画像を形成する特殊トナーで現像処理を行う特殊用現像装置を含む特殊用ユニット(IR用プロセスユニット6IR)を交換して保持させることにより、視認困難画像を形成できるものである。このような特殊トナーは、視認可能な画像中に視認困難な画像を記録媒体に埋め込む場合に使用される。例えば、特殊トナーは、不正コピー防止等の目的で、カラートナーによる可視画像とともに、視認困難画像を記録媒体に形成する場合に使用される。視認困難画像は、人間が可視光のもとで一見して視認できない「COPY」等の文字画像によって形成される。視認困難加増は、上記「COPY」等の文字画像の他、地模様、特定の文字を複数配置することによって形成されるパターンでもよい。その上、特殊トナーは、QRコード(登録商標)等のコード画像の情報量を増やす目的で、可視画像によるコード画像と視認困難画像によるコード画像とを重ねて記録媒体に形成する場合に使用される。
【0028】
視認困難画像とは、後述するように、可視光下でカラートナーよりも透明性が高いトナーによって形成される画像であって、本実施形態ではさらに赤外光等を照射するなどの処理によって、発光、発色等が行われ、視認が容易になるようにされている。
【0029】
特殊トナーとしては、透明性を有する赤外光吸収トナーや、紫外線を当てると蛍光する透明性の蛍光トナーなど、可視光領域外の光を吸収したり、可視光領域外の光によって可視光領域の光を発光したりするものが挙げられる。本実施形態は、特殊トナーとして、赤外光吸収トナーを用いる例で説明する。以下の説明において、各部材のトナー別符号として、イエロートナー(Yトナー)は「Y」、マゼンタトナー(Mトナー)は「M」、シアントナー(Cトナー)は「C」、黒トナー(Kトナー)は「K」、赤外光吸収トナー(IRトナー)は「IR」を用いる。上述のとおり、特殊トナーは、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色、もしくは透明なトナーである。白、メタリックも含む。ただし、特殊トナーとしては、可視光下で発色を抑制されているような透明トナー(透明性トナー)が望ましい。また、カラートナーよりも色素含有量が少ない。
【0030】
本実施形態において、図1に示すように、ユニット保持部にIR用プロセスユニット6IRが装着されている場合、IRトナーからなるIRトナー像(特殊トナー像)が、記録媒体上で、Y、M、Cのカラートナーからなるカラートナー像よりも記録媒体側に形成されるように、IRのプロセスユニット6IRが中間転写ベルト12の走行方向最下流側に配置され、その上流側にカラーのプロセスユニット6Y、6M、6Cが配置される。つまり、中間転写ベルト12上では、ベルト側から順に、Yトナー像、Mトナー像、Cトナー像、IRトナー像が積層されるが、これを二次転写した後の記録媒体上においては、記録媒体側から順に、IRトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の順となる。
【0031】
IRトナー像をカラートナー像よりも記録媒体側に形成することで、IRトナー像がカラートナー像に隠れ、IRトナー像による視認困難画像の不視認性を高めやすい。ただし、カラーのプロセスユニット6Y、6M、6Cに対してIRのプロセスユニット6IRをどこに配置するかは、適宜変更可能である。また、上述したように、プロセスユニット6Y、6M、6C、6IRの装着位置を互いに入れ替えることができる構成とした場合には、IRのプロセスユニット6IRの位置を自由に入れ替えることができる。
【0032】
次に、本実施形態のプリンタの基本的な動作について説明する。プリンタは、画像形成動作が開始されると、各感光体7が回転駆動され、帯電ローラ8によって各感光体7の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、読取装置(スキャナ)やパソコン等からの入力画像情報に基づき、露光装置11が各感光体7の帯電面にレーザ光を照射し、潜像(静電潜像)を形成する。
【0033】
各感光体7上に形成される潜像は、所望のフルカラー画像をY、M、Cの色情報に分解した単色の画像情報に基づく潜像である。詳しくは、入力画像情報の色情報(RGB、YCM等)を、当該プリンタ用の色情報(YMC)へ変換・分解するための色変換分解テーブルを用い、入力画像情報を、Y、M、Cの色情報に変換、分解した単色の画像情報を生成し、Y、M、C用の各露光装置11は、Y、M、Cの各色の画像情報に基づいてそれぞれの感光体7上に各色の潜像を形成する。
【0034】
なお、K用プロセスユニット6Kが装着されている場合には、Y、M、Cの単色の画像情報を生成した後、更に、Kの色情報を抽出した単色の画像情報を生成するとともに、Y、M、Cの単色の画像情報の修正を行う。この処理は、UCR(Under Color Removal)等のようにKの画像情報を生成する処理であり、Y、M、Cのトナーが重ね合わさって表現される黒色あるいはグレー色の画像情報を、Kの画像情報に置き換えるものである。Kに対応する露光装置11(IRに対応する露光装置11と共用)は、Kの画像情報に基づいてK用プロセスユニット6Kの感光体7上にKの潜像を形成する。
【0035】
また、本実施形態では、入力画像情報に含まれる付加情報や当該プリンタによって付加される付加情報等に基づいて視認困難画像を形成する場合、その付加情報からIRの画像情報を生成する。入力画像情報に含まれる付加情報は、パソコン上のアプリケーションによって付加される情報でもよいし、パソコン上のプリントドライバによって付加される情報でもよい。第2ユニット保持部602にIR用プロセスユニット6IRが装着されている場合、IRに対応する露光装置11(Kに対応する露光装置11と共用)は、IRの画像情報に基づいてIR用プロセスユニット6IRの感光体7上にIRの潜像を形成する。
【0036】
第2ユニット保持部602にK用プロセスユニット6Kが装着されている場合、感光体7上に形成されたY、C、M、Kの各潜像には、それぞれの現像装置9からトナーが供給されて、Y、C、M、Kのトナー像に現像される。各感光体7上のトナー像は、周回走行する中間転写ベルト12上に順次重ね合せて転写される。より詳細に説明すると、感光体7上のトナー像が一次転写ニップの位置に達すると、一次転写ローラ13に所定の電圧が印加されて形成される転写電界によって、感光体7上のトナー像が中間転写ベルト12上に順次転写される。このようにして、中間転写ベルト12の表面には、Y、C、M、Kトナーからなるフルカラートナー像(可視像)が形成される。なお、中間転写ベルト12に転写しきれなかった各感光体7上のトナーは、感光体クリーニング装置10によって除去される。
【0037】
一方、IR用プロセスユニット6IRが装着されている場合、感光体7上に形成されたY、C、M、IRの各潜像には、それぞれの現像装置9からトナーが供給されて、Y、C、M、IRのトナー像に現像される。各感光体7上のトナー像は、上述と同様に、周回走行する中間転写ベルト12上に順次重ね合せて転写される。このようにして、中間転写ベルト12の表面には、Y、C、Mからなるフルカラートナー像(可視像)及びIRトナーからなるIRトナー像(特殊トナー像)が形成される。なお、中間転写ベルト12に転写しきれなかった各感光体7上のトナーは、上述と同様、感光体クリーニング装置10によって除去される。
【0038】
また、画像形成動作が開始されると、給紙ローラ19が回転して、給紙カセット18から用紙Pが給送される。給送された用紙Pは、タイミングローラ20によって搬送が一旦停止される。その後、所定のタイミングでタイミングローラ20の回転駆動が開始され、中間転写ベルト12上のトナー像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pが二次転写ニップへ搬送される。
【0039】
用紙Pが二次転写ニップに搬送された際、二次転写ローラ14には所定の電圧が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト12上のトナー像が用紙Pに一括して転写される。また、このとき、中間転写ベルト12上に残ったトナーはベルトクリーニング装置17によって除去される。
【0040】
その後、用紙Pは定着装置21へと搬送され、定着ローラ22と加圧ローラ23によってトナー像が加熱されつつ加圧されて用紙Pに定着される。そして、用紙Pは排紙ローラ24によって装置外に排出され、排紙トレイ25上に載置される。
【0041】
次に、本実施形態のプリンタにおける通常動作の制御について説明する。図2は、本実施形態のプリンタにおける通常動作の制御に関わるブロック図である。本実施形態の制御部30は、主に、主制御部31と、記憶手段としての記憶部32と、色変換・分解処理部33と、黒生成処理部34と、ガンマ変換部35と、階調変換部36ととから構成される。なお、黒生成処理部34は、特殊動作の際には使用されない。
【0042】
主制御部31は、CPU、RAM、ROMなどから構成され、各種プログラムを実行することにより、画像処理やプリンタの全体的な制御を実行する。主制御部31は、入力画像情報の取得部において、入力画像の情報(トナー画像を形成する記録媒体のサイズ、トナーの濃度等)をプリンタドライバ等から取得する。記憶部32は、制御部30の各部で用いる各種データやプログラムを記憶している。
【0043】
色変換・分解処理部33は、記憶部32に記憶されている色変換分解テーブルを用いて、入力画像情報の色情報(RGB)を、プリンタ用の色情報であるY、M、Cの色情報に変換、分解して、Y、M、Cごとの画像情報を生成する。また、入力画像情報中にIRの画像情報が含まれている場合には、IRの画像情報を入力画像情報から抽出して生成する。
【0044】
黒生成処理部34は、K用プロセスユニット6Kが装着されて通常動作を行う際に用いられ、記憶部32に記憶されている黒生成処理用変換テーブル(UCRテーブル等)を用いて、色変換・分解処理部33から出力されるY、M、Cの単色の画像情報からKの単色の画像情報を生成するとともに、Y、M、Cの単色の画像情報の修正を行う。この黒生成処理部34の処理によって、Y、M、Cのトナーが重ね合わさって表現される黒色あるいはグレー色の画像情報は、Kの画像情報に置き換えられる。このように、Y、M、Cの3つのトナーによって表現される黒色あるいはグレー色の画像情報がKの画像情報に置き換えられる結果、当該画像情報に対応するトナー像部分を構成するトナーの量を減らすことができる。
【0045】
ガンマ変換部35は、記録媒体上において適切な階調を実現するために、記憶部32に記憶されているガンマ変換テーブルを用いて、Y、M、C、Kの各画像情報、及び、必要に応じてIRの画像情報も、γ(ガンマ)変換する処理を行う。
【0046】
階調変換部36は、記憶部32に記憶されているディザパターンデータを用いて、Y、M、C、K、IRの各画像情報を、中間調濃度に応じたディザパターンに変換する階調変換処理を実行する。
【0047】
次に、トナーカートリッジ26について説明する。各トナーカートリッジ26Y、26M、26C、26K、26IRは、内部にそれぞれ異なる色のトナーが収容される。つまり、各トナーカートリッジ26Y、26M、26C、26K、26IRは、内部にトナーを収容し、トナー排出口26aからトナーを排出する構成を有する。
【0048】
次に、容器保持部材102における被連結部29、及び、トナーカートリッジ26における連結部28を説明する。本実施形態のプリンタの異なるトナー(Y)、(M)、(C)、(K)、(IR)において、各容器保持部材102における被連結部29、及び、各トナーカートリッジ26における連結部28の構成は同一である。そこで、図3を用いながら、以下に、IR用の容器保持部材102の被連結部29IR、及び、IR用のトナーカートリッジ26における連結部28について説明する。IR用の容器保持部材102の被連結部29IRは、外側に突出する1つの凸部と、内側に凹む2つの凹部とによって構成される。一方、IR用トナーカートリッジ26IRの連結部28IRは、被連結部29IRと係合可能であり、内側に凹む1つの凹部と、外側に突出する2つの凸部とによって構成される。このため、IR用トナーカートリッジ26IRの連結部28IRを、容器保持部材102の被連結部29IRに接近させ、連結部28IRを非被連結部29IRに係合させれば、IR用トナーカートリッジ26IRを容器保持部材102に装着することができる。そして、IR用トナーカートリッジ26IRを容器保持部材102に装着することによって、IR用トナーカートリッジ26IRのトナー排出口26aがIR用プロセスユニット6IRの現像装置9におけるトナー受入口6aに接続され、IR用トナーがIR用プロセスユニット6IRの現像装置9に補給可能になる。
【0049】
次に、トナーの種類を判別するための識別情報を記録した情報記録部について説明する。図4は、ユニット保持部に保持されたプロセスユニット6の種類(トナーの種類)及び容器保持部材102に保持されたトナーカートリッジ26の種類(トナーの種類)を判別するための識別情報を記録した情報記録部を有するプロセスユニット6及びトナーカートリッジ26の例を示す説明図である。
【0050】
情報記録部としては、例えば、図4に示すように、IDチップ41A、41B、及び、識別情報をコード化したコード画像であるバーコード画像42A、42Bなどが利用可能である。装置本体100におけるプロセスユニット6及びトナーカートリッジ26には、IDチップ41A、41Bやバーコード画像42A、42Bが設けられる。一方、装置本体100には、図5に示すように、IDチップ41A、41Bの識別情報を読み出す情報読出手段として、IDチップ読取部43A、43Bが設けられ、かつ、バーコード画像42A、42Bの識別情報を読み出す情報読出手段として、バーコード読取部44A、44Bが設けられる。
【0051】
IDチップ読取部43Aは、容器保持部材102に保持されたトナーカートリッジ26上のIDチップ41Aから識別情報を読み出し、これを制御部30へ送信する。または、IDチップ読取部43Bは、ユニット保持部601、602に保持されたプロセスユニット6上のIDチップ41Bから識別情報を読み出し、これを制御部30へ送信する。
【0052】
バーコード読取部44Aは、容器保持部材102に保持されたトナーカートリッジ26上のバーコード画像42Aから識別情報を読み出し、これを制御部30へ送信する。または、バーコード読取部44Bは、ユニット保持部601、602に保持されたプロセスユニット6上のバーコード画像42Aから識別情報を読み出し、これを制御部30へ送信する。
【0053】
制御部30は、送信された識別情報に基づいて、容器保持部材102に保持されたトナーカートリッジ26の使用トナーの種類、及び、ユニット保持部601、602に保持されたプロセスユニット6の使用トナーの種類を判別することができる。制御部30は、これらの判別結果に基づき、容器保持部材102に保持されたトナーカートリッジ26のトナーと、これに対応するユニット保持部601、602に保持されたプロセスユニット6のトナーとが、対応するトナーであるか否かを判断する。制御部30は、これらのトナーが対応するものでないと判断した場合には、トナーカートリッジ26からプロセスユニット6の現像装置9へのトナー補給動作を規制する。
【0054】
これにより、装置本体100におけるユニット保持部601、602に装着されているプロセスユニット6に非対応であるトナーカートリッジ26が装着された場合でも、当該プロセスユニット6に非対応のトナーが補給されることによって、当該プロセスユニット6の現像装置9の内部において異なる色のトナーが混ざることを防止することができる。
【0055】
図6は、モノクロ印刷指令が送信された場合における制御部30の印刷処理における制御部30の制御を示すフロー図である。ここでは、上述したプリンタにおける通常動作の制御を省略して説明する。
【0056】
制御部30は、プリンタドライバからモノクロ印刷指令が与えられた場合には、IDチップ読取部43A、43Bによって、第2ユニット保持部602で保持するユニットが、K用プロセスユニット6K、及び、IR用プロセスユニット6IRのいずれであるか判断する(ステップS101)。
【0057】
制御部30は、第2ユニット保持部602で保持するユニットが、K用プロセスユニット6Kであると判断した場合には(ステップS101:No)、黒用ユニット(K用プロセスユニット6K)に黒用画像情報を生成するとともに、各カラー用ユニット(プロセスユニット6Y、6M、6C)にカラー画像情報を生成する(ステップS102)。次に、制御部30は、黒用ユニット(K用プロセスユニット6K)に黒用画像情報を送信するとともに、各カラー用ユニット(プロセスユニット6Y、6M、6C)にカラー画像情報をそれぞれ送信し(ステップS103)、この処理を終了する。黒用ユニット(K用プロセスユニット6K)では、黒用画像情報に基づいて黒トナー画像が形成され、各カラー用ユニット(プロセスユニット6Y、6M、6C)では、各カラー用画像情報に基づいてカラートナー画像がそれぞれ形成される。その後、それらのトナー画像が記録媒体に転写され、記録媒体上にカラー黒画像が形成される。
【0058】
一方、制御部30は、第2ユニット保持部602で保持するユニットが、IR用プロセスユニット6IRであると判断した場合には(ステップS101:Yes)、複数のカラー用ユニット(プロセスユニット6Y、6M、6C)のうちから1つのカラー用ユニットを選択する(ステップS110)。次に、制御部30は、当該選択した1つのカラー用ユニットのカラー画像情報を生成する(ステップS111)。次に、制御部30は、当該選択したカラー用ユニットにカラー画像情報を送信し(ステップS112)、この処理を終了する。当該カラー用ユニットでは、カラー用画像情報に基づいてカラートナー画像が形成される。その後、そのカラートナー画像が記録媒体に転写され、記録媒体上に1色のカラー画像が形成される。
【0059】
制御部30は、複数のトナーカートリッジ26Y、26M、26Cから、カラートナーの残留量が最も多いトナーカートリッジ26Y、26M、26Cを選択し、当該トナーカートリッジ26Y、26M、26Cに対応するカラー用ユニット(プロセスユニット6Y、6M、6C)にカラー画像情報を送信することが好ましい。
【0060】
本実施形態に係るプリンタは、第2ユニット保持部602で特殊用ユニット(IR用プロセスユニット6IR)を保持した状態においてモノクロ印刷指令が送信された場合には、第1ユニット保持部601で保持するカラー用ユニットのいずれか一つを選択し、当該カラー用ユニットへカラー画像情報を送信する制御部30を備える。このため、本実施形態に係るプリンタは、例えば、レジスト調整をするため、モノクロ印刷指令が送信された場合に、1つのカラー用ユニットを使用することによって記録媒体に視認可能な画像形成をすることができる。この結果、本実施形態に係るプリンタは、例レジスト調整をする際に、黒用ユニット(K用プロセスユニット6K)を特殊用ユニット(IR用プロセスユニット6IR)に交換する必要がなくなるため、手間がかからず、作業性を向上することができる。また、本実施形態に係る画像形成装置は、黒用ユニット(K用プロセスユニット6K)と、特殊用ユニット(IR用プロセスユニット6IR)とのいずれか一方を着脱可能に保持する第2ユニット保持部602を備える。このため、記録媒体に黒カラートナー画像を形成することができるとともに、記録媒体に視認困難画像を形成することができる上に、装置本体100は、4つのプロセスユニット6しか備えていないため、小型な画像形成装置を提供することができる。
【0061】
本実施形態に係るプリンタの装置本体100は、各トナーカートリッジ26の残りのトナー量を検出するトナー残量センサ50Y、50M、50Cをそれぞれ備える。制御部30は、複数のトナーカートリッジ26から、カラートナーの残留量が最も多いトナーカートリッジ26を選択し、当該トナーカートリッジ26に対応するカラー用ユニットにカラー画像情報を送信する。このため、本実施形態に係るプリンタは、カラートナーの残留量が少ないトナーカートリッジ26のトナーが減少することを抑制することができる。この結果、本実施形態に係るプリンタは、カラートナーの使用量が少ないトナーカートリッジ26のカラートナーを積極的に使用することによって、複数色のカラートナーの使用量を平均化することができる。これにより、本実施形態に係るプリンタは、トナーカートリッジ26の交換の頻度を抑制することができる。
【符号の説明】
【0062】
6C プロセスユニット(カラー用ユニット)
6IR プロセスユニット(特殊用ユニット)
6K プロセスユニット(黒用ユニット)
6M プロセスユニット(カラー用ユニット)
6Y プロセスユニット(カラー用ユニット)
26 トナーカートリッジ
30 制御部
50C トナー残量センサ
50M トナー残量センサ
50Y トナー残量センサ
100 装置本体(画像形成装置本体)
601 第1ユニット保持部
602 第2ユニット保持部
P 用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【文献】特開2019-117372号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6