(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】シート後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/38 20060101AFI20240326BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65H31/38
B65H37/04 D
(21)【出願番号】P 2020051416
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】平子 博士
(72)【発明者】
【氏名】久野 裕之
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-175485(JP,A)
【文献】特開2015-020833(JP,A)
【文献】特開2006-240779(JP,A)
【文献】特開2019-136946(JP,A)
【文献】特開2009-120343(JP,A)
【文献】特開2002-087693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B65H 37/00-37/06
B65H 41/00
B65H 45/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に挟まれた空間に搬送されたシートに後処理を行うシート後処理装置において、
前記空間のシートの搬送方向と交差する交差方向に設けられた第一開口部への外部からの進入を遮る遮蔽位置と前記第一開口部への外部からの進入を可能とする開放位置とに移動可能な第一カバー部材と、
前記空間内に設けられ、搬送されるシートの幅方向に移動可能であって、前記シートの少なくとも幅方向の端部を整合するシート整合手段と、
前記シート整合手段で整合された前記シートに後処理を行う後処理手段と、
を備え、
前記第一カバー部材は、前記シート整合手段の幅方向の移動に連動して前記遮蔽位置と前記開放位置とに移動される、
ことを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記後処理手段の動作を制限する動作制限手段を備え、
前記動作制限手段は、前記シート整合手段の移動によって前記第一カバー部材が前記開放位置に移動される前に前記後処理手段の動作を制限させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記動作制限手段は、前記後処理手段の動作を制限させるスイッチであって、
前記スイッチは、前記シート整合手段の移動によって前記第一カバー部材が前記開放位置に移動される前に前記スイッチが起動されることで、前記後処理手段の動作を制限させる、
請求項2に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記空間のシートの搬送方向下流側に設けられた第二開口部への外部からの進入を遮る遮蔽位置と前記第二開口部への外部からの進入を可能とする開放位置とに移動可能な第二カバー部材を備え、
前記動作制限手段は、前記第二カバー部材が前記遮蔽位置から前記開放位置に移動される場合、前記後処理手段の動作を制限させる、
請求項2又は3に記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記第一開口部および前記第二開口部とは異なり、前記後処理手段のメンテナンス用に設けられた第三開口部への外部からの進入を遮る遮蔽位置と前記第三開口部への外部からの進入を可能とする開放位置とに移動可能な第三カバー部材を備え、
前記動作制限手段は、前記第三カバー部材が前記遮蔽位置から前記開放位置に移動される場合、前記後処理手段の動作を制限させる、
請求項4に記載のシート後処理装置。
【請求項6】
前記第一カバー部材を、前記遮蔽位置と前記開放位置とに移動させるカバー駆動手段を有する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート後処理装置。
【請求項7】
前記第一カバー部材は、前記遮蔽位置に位置しているとき、前記シート整合手段の移動方向に対して外側に向けて傾斜する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート後処理装置。
【請求項8】
前記シート整合手段は、前記第一カバー部材と接触するカバー接触部を有し、
前記シート整合手段の前記第一開口部側への移動に伴って、前記カバー接触部が前記第一カバー部材と接触して前記第一カバー部材を前記遮蔽位置から前記開放位置に移動させる、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート後処理装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置により画像形成されたシートに後処理を行う請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシート後処理装置とを有する画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置において画像が形成された媒体の端部を整合させる整合処理と、合わせて綴じ処理なども行うシート後処理装置が知られている。また、画像形成装置とシート後処理装置と連結した画像形成システムも知られている。
【0003】
綴じ処理は、例えば、画像が形成されたシートを処理トレイ上に複数枚積載して端部を整合し、ステイプルなどを用いて行う。ステイプルがシート束を綴じているときに、ユーザの手指がステイプルユニットに触れることがないように、ステイプルユニットが配置される空間への進入を遮るように保護カバーを設けることもある。
【0004】
従来から、保護カバーが一定時間以上開いた場合には安全スイッチを作動させて、ユニットの動作を停止させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術をシート後処理装置に適用するならば、保護カバーを開閉するための専用のアクチュエータ(駆動手段)を必要とする。すなわち、保護カバーとステイプルの動作を連携させるための部品点数が多くなる。また、保護カバーを設けると、保護カバーが開いたとき(ユニットの配置空間への進入を開放したとき)に退避させておくための空間を設ける必要がある。ユーザの保護性を高める観点から保護カバーは重要であるが、その結果、装置全体の小型化における課題が生ずる。
【0006】
本発明は、小型化とユーザの保護性を両立できるシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、上下方向に挟まれた空間に搬送されたシートに後処理を行うシート後処理装置であって、前記空間のシートの搬送方向と交差する交差方向に設けられた第一開口部への外部からの進入を遮る遮蔽位置と前記第一開口部への外部からの進入を可能とする開放位置とに移動可能な第一カバー部材と、前記空間内に設けられ、搬送されるシートの幅方向に移動可能であって、前記シートの少なくとも幅方向の端部を整合するシート整合手段と、前記シート整合手段で整合された前記シートに後処理を行う後処理手段と、を備え、前記第一カバー部材は、前記シート整合手段の幅方向の移動に連動して前記遮蔽位置と前記開放位置とに移動される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化とユーザの保護性を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】画像形成システムの概略を示す模式図である。
【
図4】シフトモードの動作を説明するための後処理装置の側面図である。
【
図5】シフトモードの動作を説明するための後処理装置の上面図である。
【
図6】シフトモードの動作例を示すフローチャートである。
【
図7】ステイプルモードの動作を説明するための後処理装置の側面図である。
【
図8】ステイプルモード時の後処理装置の動作遷移を示す上面図である。
【
図9】ステイプルモード時の後処理装置の動作遷移を示す上面図である。
【
図10】ステイプルモード時の後処理装置の動作遷移を示す上面図である。
【
図11】ステイプルモード時の後処理装置の動作遷移を示す上面図である。
【
図12】ステイプルモードの動作例を示すフローチャートである。
【
図13】第一実施形態における、保護カバーの動作の例を示す左側面図である。
【
図14】第一実施形態における、保護カバーの動作の例を示す左側面図である。
【
図15】第一実施形態における、保護カバーの動作の例を示す左側面図である。
【
図16】第一実施形態の保護カバーによる開放状態を示す側面図である。
【
図17】第一実施形態の保護カバーによる閉鎖状態を示す側面図である。
【
図18】第二実施形態の保護カバーによる閉鎖状態を示す側面図である。
【
図19】第三実施形態の保護カバーの斜視図である。
【
図20】ステイプルモードの動作の別例を示すフローチャートである。
【
図21】第四実施形態における保護カバーの例を示す左側面図である。
【
図22】第四実施形態における、保護カバーの動作の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ実施形態に係るシート後処理装置及び画像形成システムについて説明する。また以下の説明では、シート状の媒体としてのシートの一例として紙媒体(用紙)を例示しているが、例えばプラスチック製、布製、金属製のシートなどでも適用可能である。また以下の説明では、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
<全体構成>
図1は、画像形成システムの概略を示す図である。画像形成システム1は、画像形成装置100、シート積載機能およびシート綴じ機能を有するシート後処理装置としての後処理装置200、及び画像読み取り装置300を有する。
【0012】
画像形成装置100は、カラー画像を形成する間接転写方式タンデム型の画像形成ユニットであり、シートの一方の面に画像を形成する画像形成部として機能する。なお、シートを反転させて、再度、画像形成部に搬送することで、画像がすでに形成された面の反対面(他方の面)にも画像を形成することができる。画像形成装置100は、4色の作像ステーション111が配置された作像部110、作像部110の下方に隣接して設けられた光書き込み部113を有する。画像形成装置100は、作像部110の下方に設けられた給紙部120、給紙部120でピックアップされたシートを2次転写部140及び定着部150に搬送させるために案内する給紙搬送路130を有する。画像形成装置100は、画像が定着されたシートを後処理装置200に搬送させるために案内する排紙経路160、一面に画像が形成されたシートを反転(スイッチバック)し、他方面に画像形成させるために給紙搬送路130に案内する両面搬送路170を有する。
【0013】
作像部110の作像ステーション111は、YMCK各色用の感光体ドラムと、この感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニット等を有する。作像部110は、感光体ドラムに形成された画像が1次転写ユニットによって転写される中間転写ベルト112と、感光体ドラムに色毎に画像を書き込む光書き込み部113とを有する。光書き込み部113は、作像ステーション111の下側に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。中間転写ベルト112は、複数の支持ローラによって回転可能に支持されている無端状ベルトである。中間転写ベルト112を支持するローラのうちの1つの支持ローラ114は、2次転写部140を構成する。2次転写部140では、中間転写ベルト112を介して2次転写手段としての2次転写ローラ115と支持ローラ114が対向している位置にシートを搬送させて、中間転写ベルト112上の画像をシートの面に2次転写するようになっている。なお、このような画像形成プロセスとして、上記以外に公知なものを採用してもよい。
【0014】
給紙部120は、給紙トレイ121、ピックアップローラ122、給紙搬送ローラ123を有し、給紙トレイ121からピックアップしたシートを給紙搬送路130に沿って上方に送り出す。送り出されたシートは、2次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。定着部150は、定着ローラと加圧ローラを備え、シートが両者間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、シートにトナーを定着させる。
【0015】
定着部150の下流には、排紙経路160と両面搬送路170が設けられ、分岐部材としての分岐爪161によってどちらか一方の搬送路にシートが導かれるように切り替えられることで、後処理装置200側に搬送される場合と、両面搬送路170に搬送される場合とで搬送路が選択される。尚、分岐爪161のシート搬送方向上流側の直近には分岐搬送ローラ162が設けられ、シートへ搬送力を付与している。
【0016】
後処理装置200は、画像形成装置100から搬送された画像形成済みのシートに所定の処理(例えば揃え処理や綴じ処理)を施し、最下流に位置するシート蓄積手段としての排紙トレイ204に蓄積(積載)するもので、詳細については後述する。なお、
図1に示すように画像読み取り装置300を備えた場合には、後処理装置200は、画像形成装置100と画像読み取り装置300との間であって、画像形成装置100の筐体に形成された、本来はシートの排出先として利用される空間部に装着される。これにより、空間の有効利用を図り、省スペース化を促進することができる。
【0017】
後処理装置200内に配置される制御部260は、例えば中央演算装置、主記憶装置、補助記憶装置などを含む基板であり、ソフトウェア処理により各ハードウェアを動作させるユニットである。制御手段としての制御部260は、各搬送路に設置されるセンサから、シートの有無を示す検出信号を入力し、検出信号に基づき後処理装置200内でのシートの搬送制御を行うとともに、後述の各ユニットの動作制御を行う。尚、画像形成装置100内に備えられる制御部が、制御部260と通信することによって、画像形成システム1が制御されるようになっているが、これに代えて、統括的に後処理装置200内の各ユニットの制御を行ってもよい。
【0018】
画像読み取り装置300は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取る。画像読み取り装置300自体の構成及び機能は公知なものを採用してもよい。
【0019】
上記のように構成された画像形成装置100は、画像読み取り装置300から読み取られた原稿データあるいは外部のパーソナルコンピュータなどから転送された印刷データに基づいて、書き込みに使用する画像データを生成する。そして、画像データに基づいて光書き込み部113が各感光体ドラムに対して光書き込みを行い、各作像ステーション111で色毎に形成された画像が順次、中間転写ベルト112に転写される。これにより中間転写ベルト112上に4色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。一方、給紙トレイ121からは画像形成に応じてシートが給送される。シートは、2次転写部140の直前のレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、2次転写部140で2次転写され、定着部150へと送り込まれる。
【0020】
定着部150で画像が定着されたシートは、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙経路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。両面搬送路170に搬送されたシートは、反転後、2次転写部140に再度送り込まれて他側の面に画像が形成され、排紙経路160に搬送される。排紙経路160に搬送されたシートは、後処理装置200に搬送され、後処理装置200で綴じ処理などの所定処理が施され、あるいは処理なしで排紙トレイ204に排紙される。
【0021】
<後処理装置>
図2は後処理装置200の概略構成を示す平面図である。また
図3は後処理装置200の概略構成を示す側面図である。
図2及び
図3は、以降に説明する各実施形態に適用される基本的な構成を示している。
【0022】
後処理装置200は、シート搬送方向上流側から入口ローラ対202、紙面検出センサ211(
図3参照)、後端基準フェンス210、搬送手段である排出ローラとしての排紙ローラ対203、シート束の幅方向の側端(端部)を揃えるシート整合手段としての奥側及び手前側の一対のジョガーフェンス205、206、後端ガイド手段としての後端ガイド208(
図3参照)、後処理手段である綴じ手段としてのステイプルユニット209、シートの搬送方向の先端を揃える先端揃え手段としての先端ストッパ207を有する。また後処理装置200は、これら各ユニットの下側にシート蓄積手段としての排紙トレイ204を有する。
【0023】
後処理装置200のシート受け入れ部には、画像形成装置100の排紙搬送路からシートを受け入れるガイド板201が配置され、このガイド板201のシート搬送方向最上流側に入口ローラ対202が配置される。またガイド板201のシート搬送方向最下流側には、排紙ローラ対203が設けられている。入口モータにより入口ローラ対202及び排紙ローラ対203が回転することで、ガイド板201に沿ってシートが後処理装置200内を搬送される。
【0024】
後処理装置200の排紙動作としては、シートをジョブごとにシートの幅方向の異なる位置にシフトして排紙するシフトモードと、そのまま排紙するストレート排紙モードと、複数枚のシートを綴じて排紙するステイプルモードとの3つのモードがある。ストレート排紙モードの動作は通常に排紙トレイ204に排紙するだけなので、説明を省略し、以降、シフトモードとステイプルモードにおける各部の構成や動作について説明する。
【0025】
<シフトモード>
図4~
図6を用いて、シフトモードについて説明する。なお、
図4はシフトモード時の動作を説明するための後処理装置200の側面図であり、
図5は上面図である。また
図6は、シフトモード時の動作例を示すフローチャートである。
【0026】
シフトモードは、シートを排紙(搬送)する際に所定枚数毎に、シート搬送方向と交差する方向(
図4における奥行き(Y)方向)にシートの排紙(蓄積)位置をずらす。所定枚数のシート(束)ごとに、異なる位置に載置されることにより、シートを仕分けすることができる。
【0027】
ガイド板201の最下流の端部に設けられた排紙ローラ対203は、シフトモード時において、シフトモータによりシート搬送方向に対する直交方向(
図4における奥行き(Y)方向)において往復駆動される。すなわち排紙ローラ対203は、シフトモードでシートの仕分けを行う際、所定枚数(ジョブ)毎にシートの搬送中にシート搬送方向とは異なる方向に移動されたりされなかったりの動作を交互に繰り返すように制御される。この排紙ローラ対203の移動によって、シートは排紙トレイ204上の、それまでの位置とずれた位置に排紙される。これにより、後処理装置200から排紙されるシートは、排紙トレイ204に積載される際に、所定枚数毎に排紙位置が交互にずれ、シート(束)の仕分けが行われる。なお、排紙ローラ対203をシフトさせるシフト機構自体は、公知の機構を採用してもよい。
【0028】
次にシフトモードの動作について、
図6のフローチャートを用いて説明する。尚、
図6のフローチャート、及び以降の各図面で示されるフローチャートは、制御部260からの制御信号に基づき各ユニットが動作することで実現される。
【0029】
まず
図4、
図5に示すように、ジョガーフェンス205、206は、ジョガーフェンス移動モータから駆動力により、排紙トレイ204の上部空間において、ジョガーフェンス支持部材206A(
図13等参照)、に支持されている。これらジョガーフェンス205、206が互いに離間する方向である外側方向に移動される(S601)。この移動先の位置を「待機位置」と称する。ジョガーフェンス205、206が待機位置に移動される方向は、シートの搬送方向に対して交差する方向に相当する。ジョガーフェンス205、206が待機位置に移動された後、先端ストッパ207は、先端ストッパ駆動モータから駆動力によって規定の待機位置(排紙受け位置)まで移動される(S602)。先端ストッパ207の排紙受け位置はジョガーフェンス205、206の後端ストッパとしてのシート後端受け部205B、206Bから排紙されるシート長さ+25mmであることが望ましい。
【0030】
そして排紙トレイ204が排紙トレイ昇降モータの駆動力により上昇する(S603)。排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204に積載されたシートの最上面がジョガーフェンス205、206の位置(シート積載位置)まで上昇したことを紙面検出センサ211が検出すると(S604:YES)、排紙トレイ204の上昇は停止されて、紙面検出センサ211が後端基準フェンス210内に退避する(S605)。紙面検出センサ211は、排紙トレイ204の高さがジョガーフェンス205、206未満であった場合はOFF、ジョガーフェンス205、206の高さ以上になった場合はONになるように構成されている。これの紙面検出センサ211におけるON/OFFの切り替わりにより、排紙トレイ204の高さを検出することができる。
【0031】
各ユニットの移動完了後、排紙ローラ対203からシートが排紙トレイ204に排紙され(S606)、シートの搬送方向の後端が排紙ローラ対203から抜けるタイミングで、上部に待機していた後端ガイド208が排紙トレイ204に向けて上方から下方に下降される(S607)。後端ガイド208は、排紙されたシートの搬送方向の後端部が排紙ローラ対203から落下しないまま残る状態になることを抑制する。これによって、次のシートが排紙され際に前のシートの後端と次のシートの先端がぶつかるようなジャム発生の原因となることを防ぐことができる。
【0032】
後端ガイド208の下降後、先端ストッパ207が待機位置から搬送方向上流側へ移動する(S608)。そして先端ストッパ207と後端基準フェンス210でシートの搬送方向の端部を相反する方向に押し込むことになり、シートの搬送方向の位置揃えが行われる。位置揃え完了後に、先端ストッパ207、後端ガイド208は再び待機位置へと移動される(S609)。
【0033】
また位置揃え完了後、紙面検出センサ211が退避位置から排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204に積載されたシートの最上面を検知する位置に復帰(移動)され(S610)、高さの検出を行うことで積載されたシートの厚み分に相当する位置(シート積載位置)に排紙トレイ204が下降される(S611~S613)。これにより排紙ローラ対203のニップから排紙トレイ204上の最上部のシートまでの距離が一定に保たれるため、多数枚の積載が可能になる。排紙トレイ204の下降完了後、紙面検出センサ211は退避位置へと移動される。尚、排紙トレイ204の下降動作は1枚毎ではなく複数枚毎に実施してもよい。
【0034】
印刷ジョブが全て完了していない場合(S614:NO)、処理はS606に戻る。印刷ジョブが全て完了すると(S614:YES)、排紙トレイ204は最下部のイニシャル位置まで下降され(S615)、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207もイニシャル位置に移動される(S616)。
【0035】
<ステイプルモード>
図7~
図12を用いて、ステイプルモードの動作について説明する。なお、
図7はステイプルモードを説明するための後処理装置200の側面図であり、
図8~
図11はステイプルモード時の各動作遷移を示した上面図である。また
図12は、ステイプルモード時の動作例を示すフローチャートである。以下では、
図12のフローチャートに沿って説明する。
【0036】
ステイプルモードは、シートを排紙する際に所定枚数毎にステイプラによって綴じて、排紙するモードである。
【0037】
ステイプルモード時には、まず
図7、
図8に示すように、排紙トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207が、イニシャル位置から規定のシート受け位置へと移動され、ステイプルユニット209も、イニシャル位置から規定のステイプル位置に移動される(
図12のS1201)。なお、排紙トレイ204のシート受け位置は、排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204上のシートの最上面の位置がジョガーフェンス205、206の底面から30mm程度下方となる。またジョガーフェンス205、206のシート受け位置は、シート揃え部261の内側の面の位置が排紙される紙幅に対しそれぞれ7mm外側となる。先端ストッパ207はジョガーフェンス205、206のシート後端受け部205B、206Bから、排紙されるシートの長さに25mm程度加えた分排紙方向下流側に退避(待機)させた位置となる。
【0038】
紙面検出センサ211は、排紙トレイ204の移動が終了すると後端基準フェンス210内に退避させる(S1202)。ステイプルモードの場合、紙面検出センサ211は、検知位置に位置している場合、排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204上のシートの最上面の位置がジョガーフェンス205、206の底面から30mm以下になった場合はON、30mmより大きい場合にはOFFになるようなシフトモードの検知部とは別の検知部を有していて、ON/OFFの切り替わりにより高さの検出を可能としている。
【0039】
各ユニットの移動完了後、排紙ローラ対203からシートが排紙トレイ204に排紙され(S1203)、シート後端が排紙ローラ対203から抜けるタイミングで、上部に待機していた後端ガイド手段としての後端ガイド208が排紙トレイ204に向けて下降される(下方に移動される)(S1204)。この動作により、シート後端が排紙ローラ対203から落下しないまま排紙ローラ対203に引っ掛かっていた場合、シートの後端部の上面を押圧し、排紙ローラ対203に引っ掛かっていない状態にすることで、排出されたシートの後端とぶつかることなく次のシートが排紙されジャム発生の原因となることを防ぐことができる。
【0040】
後端ガイド208の下降後、
図9のように先端ストッパ207が矢印で示すシートの排紙方向と逆方向(X方向)の点線で示した揃え位置(シートを先端ストッパ207とシート後端受け部205B、206Bとで挟み込む位置)に移動され、及びジョガーフェンス205、206のシート揃え部261が相互に近接するように移動されてシートを挟み込むことで、シートの排紙方向と幅方向の位置揃えが行われる(S1205)。位置揃えの完了後、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、後端ガイド208は再びシート受け位置へと移動される(S1206)。
【0041】
上記の位置揃え動作を1枚目から最終紙まで繰り返し(S1207:NOのループ)、最終紙の位置揃えが完了すると(S1207:YES)、先端ストッパ207がジョガーフェンス205、206間から退避される(S1208)。そしてジョガーフェンス205、206は、シートを幅方向において挟み込んだ状態で、その相互の位置(挟み込み位置)を相対的に保持したまま、シート束をステイプルユニット209の設置位置(ステイプル位置)まで移動させる(
図10参照)。
【0042】
ジョガーフェンス205、206がステイプルの設置位置まで移動された後、ステイプルユニット209により綴じ処理が行われる(S1210)。なお、ステイプルユニット209は、
図10の例示するように、シート束の整合された端部の位置に沿ってシート束の長さ方向の位置を変更することができ、これによってシート束の綴じ位置を任意に変更することができるようになっている。
【0043】
ステイプルユニット209による綴じ処理が完了した後、ジョガーフェンス205、206はシートの幅方向の位置揃えを行っていた位置まで移動され(S1211)、その後、先端ストッパ207もシート搬送方向の位置揃え位置まで移動される。ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207の移動完了後、ジョガーフェンス205、206の下部に位置する排紙トレイ204にシート束を自重で落下させるため、
図11のようにジョガーフェンス205、206が、相互に離間するように移動される(S1212)。シート束が落下後、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207は上記のシート受け位置へと移動される(S1201の状態に戻る)。そして、ジョガーフェンス205、206からシート束が落下後、紙面検出センサ211が退避位置から復帰(移動)される(S1213)。
【0044】
紙面検出センサ211が高さの検出を行うことで、排紙トレイ204は、積載しているシート束の厚み分下降される(排紙トレイ204の上面又は排紙トレイ204上のシートの最上面の位置が所定の位置となるように移動される)(S1214~S1216)。これによりジョガーフェンス205、206の底面から排紙トレイ204上の最上部のシートまでの距離が一定に保たれるため、多数のシート束を積載することができる。なお、ジョガーフェンス205、206のシート受入位置への移動は、S1213で行われるのではなく、S1217の直前に行われるようにしてもよい。
【0045】
印刷ジョブが全ての完了していない場合(S1217:NO)、処理はS1202まで戻る。全ての印刷ジョブが完了すると(S1217:YES)、排紙トレイ204は最下部(イニシャル位置)まで下降し、その他の部材やユニットも規定のイニシャル位置に移動される(S1218)。
【0046】
<第一実施形態>
上記にて説明をしたステイプルモードにおいて、ジョガーフェンス206の移動に連動して、ステイプルユニット209が配置され、上下方向に挟まれた空間270への外部からの進入を遮る第一実施形態について、
図13、
図14を用いて説明する。
【0047】
本実施形態に係る第一カバー部材としての第一保護カバー215は、ステイプルユニット209が綴じ動作を実行しているときには、空間270に対する外部からの進入を遮る部材である。より詳しくは、第一保護カバー215は、ジョガーフェンス205、206の移動方向のうちステイプルユニット209が設けられている側と反対側に設けられた第一開口部271から空間270への進入を遮る部材である。すでに説明したS1209及びS1210において、最終シートの位置揃えが完了したシート束Ptをジョガーフェンス205、206が挟み込んだ状態でステイプルユニット209の設置位置まで移動させて綴じ処理を実行する。このときの、ステイプルユニット209が設置されている空間270のX方向視を
図13から
図15に示す。なお、
図13等に示すように第一開口部271は、シートの搬送方向との交差方向に設けられている。
【0048】
まず、上記のS1209においてジョガーフェンス205、206が移動されると、ジョガーフェンス206に設けられているカバー接触部としてのシートガイド回転体206Cが第一保護カバー215の下面に接して、第一保護カバー215が下降しないよう支えていた位置から移動される。これによって、
図13に例示するように、第一保護カバー215が空間270への進入口となる装置前側の開口(第一開口部271)を塞ぐように傾く。このときの第一保護カバー215は、空間270の内部において、回動部分の先端が最下点に至っても、第一保護カバー215の面部分がジョガーフェンス205、206の移動方向に対して傾斜している。この傾斜は、第一開口部271に向かって上向きの傾斜である。なお、後処理装置200の前側の開口である第一開口部271は、排紙トレイ204に積載されたシート束Ptをユーザが取り出すときに手指が進入する進入経路である。
【0049】
図13の状態になったとき、第一保護カバー215の一部であるスイッチ押下部としてのインターロック押下部材215Aが、後処理装置200の内部に配置されている動作制限手段としてのスイッチであるインターロックスイッチ213を押下(起動)する。インターロックスイッチ213はいわゆる安全スイッチである。制御部260は、インターロックスイッチ213が押下(起動)されている間だけステイプルユニット209が綴じ動作を実行できるように構成されている。言い換えると、ステイプルユニット209は、インターロックスイッチ213が押下されていない状態では、動作をしないように制御される。
【0050】
その後、S1211において、ジョガーフェンス205、206がシート揃え位置に移動されると、
図14に示すように、カバー接触部としてのシートガイド回転体206Cが第一保護カバー215と接触して、第一保護カバー215の下面を回転しながら押し上げて支える位置(第一開口部271への外部からの進入を可能とする開放位置)に至る。シートガイド回転体206Cが回転しながら移動することで、第一保護カバー215との摩擦は軽減されている。
【0051】
第一保護カバー215が押し上げられたとき、第一保護カバー215が備えるインターロック押下部材215Aは、回転軸を回転中心として回動してインターロックスイッチ213の押下をしない状態になる。すなわち、第一保護カバー215が進入経路を開放する状態(開放位置)に回動したとき、ステイプルユニット209は動作できない状態になる。
【0052】
その後、S1212において、ジョガーフェンス205、206がシート束Ptを排紙トレイ204へ落下させるように、相互に離間する方向に移動される。この状態を
図15に例示する。
図15に示すように、ジョガーフェンス206が進入口(第一開口部271)側に最大に移動されたときに、第一保護カバー215が第一開口部271を最大に開放する位置で保持された状態になる。
【0053】
以上のように、第一保護カバー215は、シートガイド回転体206Cが下面を押し上げるように支える位置(開放位置)にあるとき(
図14や
図15のように)、面部分が後処理装置200の内側空間の方向(上方)に回動して、進入口としての第一開口部271を開放する。この状態のときは、インターロック押下部材215Aがインターロックスイッチ213を押下していない状態になるので、ステイプルユニット209は動作することができない。一方、シートガイド回転体206Cが第一保護カバー215の面部分を下支えしない位置(遮蔽位置)にあるときは、第一開口部271が閉鎖状態になるので、ステイプルユニット209を動作することができる状態になる。
【0054】
なお、第一保護カバー215は、後処理装置200内部に配置されており、上記のような開閉動作を行っても後処理装置200の内部から外部にはみ出さない寸法で形成されている。
【0055】
また、後述するように、第一保護カバー215を個別に駆動する駆動手段を設け、ジョガーフェンス206の移動と連動して移動させることもできるが、本実施形態に係る第一保護カバー215のように、綴じ処理において、内部空間を移動するジョガーフェンス206を駆動源として用いている。このようにジョガーフェンス206の移動によって第一保護カバー215の開閉動作を行う構成であれば、駆動手段が兼用することができ、ジョガーフェンス206を移動できれば、第一保護カバー215を押し上げて、進入口を開放できる。
【0056】
図16は、S1209に移行するまで、または、S1212以降の処理が実行されるときの第一保護カバー215を、進入口側から見た図である。
図17は、S1210からS1212に至るまでの第一保護カバー215を、進入口側から見た図である。
【0057】
図16において、第一保護カバー215は、上昇位置(開放位置)で支持されていて、進入口(第一開口部271)が開放されている。一方、
図17において、第一保護カバー215は、下降位置(遮蔽位置)にあって、進入口を閉鎖している。
【0058】
図17に示すように、第一保護カバー215が下降することで後処理装置200の開口(第一開口部271)は閉鎖されて、ステイプルユニット209が動作している間に、ユーザが後処理装置200の内部に手指を挿入することを防止でき、ユーザの保護性を向上できる。
【0059】
また、第一保護カバー215は、上昇時には、後処理装置200の内部(上方)に向かって回動しているので、第一保護カバー215の開閉範囲のために後処理装置200の設置スペースを確保する必要はなく、省スペース化を図ることができる。
【0060】
なお、第一保護カバー215は、後処理装置200の内部において回転軸を中心に回動することによって上昇及び下降が可能になっている。そのため、第一保護カバー215の開閉範囲と、ジョガーフェンス206の動作範囲との重複している。そこで、第一保護カバー215には、スリット215Bが設けられている。
【0061】
スリット215Bは、ジョガーフェンス206を支持している2つのジョガーフェンス支持部材206Aの位置に対応するように設けられいて、第一保護カバー215が上昇位置(開放位置)に移動されるときに、ジョガーフェンス支持部材206Aとの衝突を回避できるようになっている。これによって、第一保護カバー215を、後処理装置200の内部側に開閉可能にし、ユーザの保護性を向上させ、かつ、後処理装置200の小型化を図ることもできる。
【0062】
なお、スリット215Bは、ユーザ(人)の手指が入らない程度の隙間となっている。
【0063】
<第二実施形態>
次に、ステイプルモードにおいて、ジョガーフェンス206の移動に連動して、ステイプルユニット209が配置され、上下方向に挟まれた空間270への外部からの進入を遮るカバー手段の第二実施形態について、
図18を用いて説明する。
【0064】
図18は、スリット215Bを有さない第二保護カバー215Dの正面図である。第二保護カバー215Dは、ジョガーフェンス206の二つの支持部材であるジョガーフェンス支持部材206Aの間に回動可能に保持されている。
【0065】
<第三実施形態>
次に、ステイプルモードにおいて、ジョガーフェンス206の移動に連動して、ステイプルユニット209が配置され、上下方向に挟まれた空間270への外部からの進入を遮るカバー手段の第三実施形態について、
図19及び
図20を用いて説明する。
【0066】
図19は、本実施形態に係る第三保護カバー215Eの斜視図である。
図20は、ステイプルモード時の本実施形態に係る動作例を示すフローチャートである。なお、
図12を用いて説明をしたフローチャートとの差異を主に説明し、共通する処理の詳細な説明は省略する。
【0067】
図19に例示するように第三保護カバー215Eは、駆動源である保護カバー駆動装置216の駆動によって、カム214の偏心位置に設けられた突起が回転され、このカム214の突起がインターロック押下部材215Aを回転させ、インターロックスイッチ213を押したり離したりする構成を有している。カム214の突起がインターロック押下部材215Aを押す状態(下方に移動する状態)になると、第三保護カバー215Eの支持部215Fを回転中心として、インターロック押下部材215Aがインターロックスイッチ213を押下する位置から離れる位置に回動させる。そして、面部分が上昇されて第一開口部271を開放する。例えば、第一実施形態において説明した
図16のような状態になる。また、カム214がインターロック押下部材215Aを離す状態(上方に移動する状態)になると、第三保護カバー215Eの支持部215Fを回転中心として、インターロック押下部材215Aがインターロックスイッチ213を押下する位置へと回動される。そして、面部分が上昇されて開口部を閉鎖(遮蔽)する。例えば、第一実施形態において説明した
図17のような状態になる。
【0068】
図20に示すフローチャートにおいて例示する動作の流れは、すでに説明した
図12のフローチャートにおけるS1201~S1207の処理と、S2001~S2007の処理は同様である。また、S1208~S1210の処理と、S2009~S2011の処理も同様である。さらに、S1211~S1218の処理と、S2013~2021の処理も同様である。したがって、S2008とS2012の処理を中心に説明する。
【0069】
S2007において最終紙の位置揃えが完了し(S2007:YES)、先端ストッパ207がジョガーフェンス205、206間から退避する(S2009)までの間で、制御部260が、カバー駆動手段としての保護カバー駆動装置216を動作させて、カム214を回動させ、インターロック押下部材215Aを離す状態になる。これによって、第三保護カバー215Eが開口部を閉鎖(遮蔽)する(2008)。
【0070】
S2008において第三保護カバー215Eが下方に回動されたとき、インターロック押下部材215Aがインターロックスイッチ213を押下する位置へと回動されるので、ステイプルユニット209が動作可能状態になる。その後、S2011において、ステイプルユニット209による綴じ処理が行なわれる。
【0071】
S2011の綴じ処理が終了したとき、制御部260は、保護カバー駆動装置216をジョガーフェンス206の移動と連動して動作させて、カム214を回動させ、インターロック押下部材215Aを押す状態にする。これによって、第三保護カバー215Eが開口部を開放し、インターロック押下部材215Aがインターロックスイッチ213を押下する位置へと回動する。すなわち、ステイプルユニット209が動作可能状態になる。
【0072】
<第四実施形態>
次に、後処理装置200において、ステイプルユニット209が配置される空間270への外部からの進入を遮る第四実施形態について説明する。
【0073】
図20は、
図16の後処理装置200を左側面から見た側面図である。
図20に例示するように、後処理装置200は、排紙ローラ対203(
図7等参照)から排出(搬送)されたシートの排出方向(X方向)の側面に、第二カバー部材としての横カバー217が設けられている。横カバー217は、筐体の一部であって、第一実施形態の空間270のシートの搬送方向下流側に設けられた第二開口部272からの空間270への進入を遮る遮蔽位置と第二開口部272からの空間270への進入を可能とする開放位置とに移動可能に構成され、後処理装置200がシフトモードやストレート排紙モードで動作するときに、開放位置に移動させることで排紙トレイ204よりも大きいシートを通紙することを可能にする。
【0074】
また、第二開口部272が設けられた側面には、第三カバー部材としてのステイプルカバー219も設けられている。ステイプルカバー219は、筐体の一部であって、ステイプルユニット209のメンテナンス用に設けられた第三開口部273からの空間270への進入を遮る遮蔽位置と第三開口部273からの空間270への進入を可能とする開放位置とに移動可能に構成され、ステイプルユニット209において使用される「針」を交換する際や壊れた部品を交換する際等のメンテナンスを行う場合に、開放位置に移動される。
【0075】
図22は、後処理装置200の側面図である。
図22に示すように、横カバー217には、横カバー押下部材217Aが設けられている。横カバー217を閉じた(遮蔽位置に移動させた)とき、横カバー押下部材217Aが横カバーインターロックスイッチ218を押下するように構成されている。横カバーインターロックスイッチ218が押下されると、ステイプルユニット209への通電が可能になる。すなわち、横カバー217が開放されているときは、横カバーインターロックスイッチ218によってステイプルユニット209は動作することができない。
【0076】
また、ステイプルカバー219には、ステイプルカバー押下部材219Aが設けられている。ステイプルカバー219を閉じた(遮蔽位置に移動させた)とき、ステイプルカバー押下部材219Aがステイプルカバーインターロックスイッチ220を押下するように構成されている。ステイプルカバーインターロックスイッチ220が押下されると、ステイプルユニット209への通電が可能になる。すなわち、ステイプルカバー219横が開放されているときは、ステイプルカバーインターロックスイッチ220によってステイプルユニット209は動作することができない。
【0077】
以上のように、後処理装置200は、綴じ手段としてのステイプルユニット209の動作を制限する構成として、動作制限手段として複数のスイッチ(インターロックスイッチ213、横カバーインターロックスイッチ218、ステイプルカバーインターロックスイッチ220)を備えている。いずれのスイッチも押下されると、ステイプルユニット209への通電が行なわれない状態になる。したがって、制御部260によるステイプルユニット209の制御動作が実行できない状態になる。
【0078】
その間、ステイプルユニット209が動作する空間である後処理装置200の内部の空間への外部からの進入経路が開放されるので、ユーザが空間270の内部に手指を入れて作業をしても、ユーザの保護性を損なうことはない。
【0079】
なお、上記の複数のスイッチ(インターロックスイッチ213、横カバーインターロックスイッチ218、ステイプルカバーインターロックスイッチ220)は、空間270への外部からの進入を各カバー部材が阻止する状態になっていなければステイプルユニット209が起動しないように制御するためのキッカケを発するものであれば、その形式には限定されない。例えば、上記の各開口部に配置されているそれぞれのカバー部材が遮蔽位置にあるとき、ステイプルユニット209が動作(起動)可能状態であることを判定するための検知手段としてのセンサでもよい。
【0080】
上記各実施形態で説明した態様を組み合わせてもよい。
【0081】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1:画像形成システム
100:画像形成装置
110:作像部
120:給紙部
200:後処理装置
204:排紙トレイ
205、206:ジョガーフェンス
205B、206B:シート後端受け部
207:先端ストッパ
208:後端ガイド
209:ステイプルユニット
210:後端基準フェンス
211:紙面検出センサ
250:制御部
251:シート揃え部
252:シート積載部
261:シート揃え部
262:シート積載部
300:画像読み取り装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】