(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】投影システム、投影方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20240326BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240326BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240326BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240326BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H04N5/74 D
G03B21/00 D
G09G5/00 X
G09G5/00 510B
G09G5/00 510V
G09G5/00 550C
G09G5/10 Z
G09G5/37 320
(21)【出願番号】P 2020080814
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直人
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-220656(JP,A)
【文献】特開2016-75883(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107820067(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
G03B 21/00
G09G 5/00 - 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投影装置に情報処理装置がそれぞれ画像データを送信し、前記複数の投影装置がそれぞれ画像を投影体に投影する投影システムであって、
前記情報処理装置は、
前記投影体に投影された画像の撮像画像から、隣り合った前記画像の重複領域を検出する重複領域検出部と、
前記重複領域検出部が検出した
前記重複領域の画像の階調を0~255のフルレンジに変更し、非重複領域の画像の階調を16~235のリミテッドレンジに変更する階調変更部と、
前記階調変更部が階調を変更した画像の
前記重複領域の輝度を低減する輝度調整部と、
前記輝度調整部が
前記重複領域の輝度を低減した画像データを複数の投影装置に送信する投影画像出力部と、を有し、
前記複数の投影装置は前記投影画像出力部が送信した
前記画像データを受信して、それぞれが画像を投影することを特徴とする投影システム。
【請求項2】
前記階調変更部は、階調を変更する前の画像の階調がフルレンジの場合、前記重複領域の画像の階調を変更せず、
前記非重複領域の画像の階調を16~235のリミテッドレンジに変更することを特徴とする請求項
1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記階調変更部は、階調を変更する前の画像の階調がリミテッドレンジの場合、前記重複領域の画像の階調をフルレンジに変更し、
前記非重複領域の画像の階調を変更しないことを特徴とする請求項
1に記載の投影システム。
【請求項4】
複数の投影装置に情報処理装置がそれぞれ画像データを送信し、前記複数の投影装置がそれぞれ画像を投影体に投影する投影システムが行う投影方法であって、
前記情報処理装置は、
重複領域検出部が、前記投影体に投影された画像の撮像画像から、隣り合った前記画像の重複領域を検出するステップと、
階調変更部が、前記重複領域検出部が検出した
前記重複領域の画像の階調を0~255のフルレンジに変更し、非重複領域の画像の階調を16~235のリミテッドレンジに変更するステップと、
輝度調整部が、前記階調変更部が階調を変更した画像の
前記重複領域の輝度を低減するステップと、
投影画像出力部が、前記輝度調整部が
前記重複領域の輝度を低減した画像データを複数の投影装置に送信するステップと、を有し、
前記複数の投影装置が、前記投影画像出力部が送信した
前記画像データを受信して、それぞれが画像を投影するステップと、
を有することを特徴とする投影方法。
【請求項5】
複数の投影装置に画像データを送信する情報処理装置を、
投影体に投影された画像の撮像画像から、隣り合った前記画像の重複領域を検出する重複領域検出部と、
前記重複領域検出部が検出した
前記重複領域の画像の階調を0~255のフルレンジに変更し、非重複領域の画像の階調を16~235のリミテッドレンジに変更する階調変更部と、
前記階調変更部が階調を変更した画像の
前記重複領域の輝度を低減する輝度調整部と、
前記輝度調整部が
前記重複領域の輝度を低減した
前記画像データを複数の投影装置に送信する投影画像出力部、として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影システム、投影方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のプロジェクタから投影して1つの大きな画面を形成するマルチプロジェクションシステムの利用が増えている。マルチプロジェクションシステムでは、複数台のプロジェクタがそれぞれ画像を投影して1つの大きな画像を表示するため、画像間に隙間ができないように、設置者は隣り合うプロジェクタが投影する画像の一部が重なるようにプロジェクタを配置する。
【0003】
そして、プロジェクタに画像を送信する情報処理装置は各画像の重複部分が目立たなくなるような画像処理を行う(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、デジタルカメラにより撮像した基準画像中の特徴点の位置を検出し、その検出された各プロジェクタの4つ以上の特徴点の位置に基づき、各プロジェクタの投影画像を変形し、重複領域を検出してブレンディング処理を施し、複数のプロジェクタからこの変形及びブレンディング処理された画像を互いに重複領域を持たせつつスクリーン上に並べることによって、1つの高解像度な画像を投影する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、重複領域の黒つぶれを抑制しながら明るさを抑制することが困難であるという問題があった。すなわち、複数の画像が重なる重複部分は非重複領域よりも明るさが増してしまうため、輝度調整(ブレンディング)により輝度を落とす処理が行われる。比較的明るい画像では輝度調整が有効であるが、暗い画像に関しては単に輝度調整すると黒つぶれを起こしやすくなる。このため、ある程度以下には輝度を落とすことができない。この結果、重複領域が非重複領域よりも不自然に明るくなってしまう場合があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、重複領域の黒つぶれを抑制しながら明るさを抑制することができる投影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、複数の投影装置に情報処理装置がそれぞれ画像データを送信し、前記複数の投影装置がそれぞれ画像を投影体に投影する投影システムであって、前記情報処理装置は、前記投影体に投影された画像の撮像画像から、隣り合った前記画像の重複領域を検出する重複領域検出部と、前記重複領域検出部が検出した前記重複領域の画像の階調を0~255のフルレンジに変更し、非重複領域の画像の階調を16~235のリミテッドレンジに変更する階調変更部と、前記階調変更部が階調を変更した画像の前記重複領域の輝度を低減する輝度調整部と、前記輝度調整部が前記重複領域の輝度を低減した画像データを複数の投影装置に送信する投影画像出力部と、を有し、前記複数の投影装置は前記投影画像出力部が送信した画像データを受信して、それぞれが画像を投影することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
重複領域の黒つぶれを抑制しながら明るさを抑制することができる投影システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理装置が行う画像処理を模式的に示す図である。
【
図2】本実施形態による投影システムの全体構成を示す概略図である。
【
図3】プロジェクタのハードウェア構成図の一例である。
【
図4】情報処理装置のハードウェア構成図の一例である。
【
図5】本実施形態による投影システムの機能ブロック図である。
【
図6】本実施形態による投影システムで用いられる2種類の校正用画像を例示する図である。
【
図7】本実施形態による校正用シーン選択部が順次選択する、第1の態様の校正用投影シーン及びその撮像方法を説明する図である。
【
図8】本実施形態による校正用シーン選択部が順次選択する、第2の態様の校正用投影シーン及びその撮像方法を説明する図である。
【
図9】本実施形態による各種補正係数の計算処理及び補正係数に基づく補正処理の全体的な処理の流れを示すフローチャート図の一例である。
【
図10】本実施形態による補正係数算出部が実行する、幾何補正係数の計算処理を示すフローチャート図の一例である。
【
図11】第1の態様の校正用投影シーンにおいて各校正用投影シーンを撮像して準備された3つの校正用撮像画像と、これらの撮像画像間各々で計算される射影変換係数について説明する図である。
【
図12】第2の態様の校正用投影シーンにおいて、各校正用投影シーンを撮像して準備された2つの校正用撮像画像と、これら撮像画像間で計算される射影変換係数について説明する図である。
【
図13】共通座標系上に統合された各プロジェクタの格子点座標の集合を模式的に示す図である。
【
図14】統合された格子点座標各々を用いた線形外挿による投影可能領域の外周座標の計算方法を示す図である。
【
図15】共通座標系上における3つのプロジェクタの投影可能領域、補正後投影目標領域及び投影コンテンツ画像を説明する図である。
【
図16】プロジェクタ・メモリ上の各座標と、投影コンテンツ画像上の位置に対応する等倍コンテンツ画像上の座標との対応付けを説明する図である。
【
図17】本実施形態による補正係数算出部が実行する、ブレンディング係数の計算処理を示すフローチャート図の一例である。
【
図18】プロジェクタ・メモリ上の各座標に対するブレンディング係数の対応付けを説明する図の一例である。
【
図19】プロジェクタの入出力特性を示すグラフの一例である。
【
図20】(A)幾何補正係数及び(B)ブレンディング係数のデータ構造を例示する図である。
【
図21】投影システムにおける階調補正を説明する図である。
【
図22】フルレンジからリミテッドレンジへの階調補正を説明する図である。
【
図23】リミテッドレンジからフルレンジへの階調補正を説明する図である。
【
図24】補正処理部が実行する、補正係数に基づく補正処理を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、情報処理装置と情報処理装置が行う投影方法について説明する。
【0010】
<処理の概略>
まず、
図1を用いて情報処理装置が行う処理の概略を説明する。
図1は情報処理装置が行う画像処理を模式的に示す図である。
図1では情報処理装置と3台のプロジェクタ(投影装置の一例)150a~150cが接続されている。
【0011】
情報処理装置110は3つの画像をそれぞれ各プロジェクタに送信する。3つの画像は重複領域を有するように予め用意されていてもよいし、情報処理装置110が1つの画像を3つに分割してもよい。分割の際、情報処理装置110は分割後の各画像の端部を予め決まった幅だけ重複させて分割する。このようにして分割され投影される画像を投影画像という。後述するように、3つのプロジェクタ150a~150cが個別に投影画像を投影した状態で、3つの投影画像を1つの撮像装置で撮像する。撮像された画像から情報処理装置110が重複領域を検出する。したがって、各投影画像の重複領域が明らかになる。
【0012】
本実施形態の情報処理装置110は投影画像の重複領域の諧調を非重複領域よりも広くすることが特徴の1つとなっている。例えば、投影画像の非重複領域のRGBレンジをリミテッドレンジ(例:16~235)とし、重複領域はフルレンジ(0~255)とする。
【0013】
各プロジェクタ150a~150cは、RGBレンジをフルレンジとして投影する。プロジェクタ150aには通常、入力信号がリミテッドレンジかフルレンジかをユーザが設定する項目を有している。本実施形態ではフルレンジに設定される。
【0014】
このような重複領域の画像処理により、リミテッドレンジに変換された非重複領域の黒レベルは少し持ち上げられ(最低でも16なので明るくなる)、フルレンジとなっている重複領域は非重複領域より暗く投影されることになる(最低では0の値をとれる)。
【0015】
なお、重複領域が非重複領域の明るさと同等となるように情報処理装置110がRGBレンジの値を決定するので、画像の重ね合わせにより重複領域が明るくなることは抑制される。
【0016】
したがって、情報処理装置110は重複領域を暗く表示することができる。重複領域が暗くなるように補正されたわけではないので、黒つぶれしにくくなっている。
【0017】
<用語について>
重複領域とは複数の画像が重なっている領域である。重なっている領域のみを検出することが好ましいが、重なっていない領域が一部に含まれてもよい。すなわち、一部でも重なっている領域があればよい。
【0018】
画像の階調とは色の濃さや明るさを何段階で表現することができるかを表す数である。RGBの各色ごとに何ビットと表現される。本実施形態では元の画像の階調が256階調であるとして説明するが、これ未満でもより多くてもよい。
<全体構成>
図2は、本実施形態による投影システム100の全体構成を示す概略図である。
図2に示す投影システム100は、システムの全体制御を行う情報処理装置110と、複数のプロジェクタ150と、カメラ160とを有している。なお、説明する実施形態では、投影システム100は、3台のプロジェクタ150a~150cの投影像を投影面上で合成し、単一のプロジェクタよりも大きな領域に画像を投影する、いわゆる大画面のマルチ・プロジェクションに対応した構成とされている。
【0019】
情報処理装置110は、典型的には、パーソナル・コンピュータ、ワークステーションなどの汎用コンピュータとして構成される。なお、情報処理装置110は、汎用コンピュータに限定されるものではなく、専用コントローラとして実装されてもよいし、いずれかのプロジェクタ150に組み込まれてもよい。
【0020】
プロジェクタ150は、それぞれ、液晶方式、CRT(Cathode Ray Tube)方式、DLP(Digital Light Processing)方式、又は、LCOS( Liquid Crystal On Silicon)方式などを採用する投影装置である。
【0021】
カメラ160は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD( Charge Coupled Device)などのイメージセンサと、イメージセンサの受光領域上に結像するためレンズなどの結像光学系とを含む撮像装置である。カメラ160は、WEBカメラ、デジタル・スチル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラなどの専用デバイスとして構成されてもよいし、あるいは、スマートフォン端末やタブレット端末などの汎用デバイスに組み込まれたデバイスとして構成されてもよい。
【0022】
本投影システム100には、投影面を提供するスクリーン102が設置されている。プロジェクタ150は、それぞれ、プロジェクタ間で投影中心の位置をずらしながらスクリーン102上に投影するように設置されている。情報処理装置110は、複数のプロジェクタ150a~150cに投影させる複数の投影画像を生成し、対応するプロジェクタ150各々に投影画像各々を出力する。プロジェクタ150は、それぞれ、情報処理装置110から本プロジェクタ150に入力される投影画像を、投影体であるスクリーン102上に投影する。スクリーン102上には、
図2に示すように、複数のプロジェクタ150a~150c各々からの複数の投影像104a~104cが投影されている。複数のプロジェクタ150a~150cからの複数の投影像104a~104cは、投影面上で重なり合わせられて、単一の投影像106に合成される。
【0023】
投影システム100は、投影モード中、上述したように複数のプロジェクタ150a~150cを用いて単一の投影像106を投影するが、上述した投影モード前に、通常、校正処理が行われる。
図2に示すカメラ160は、この校正処理の際に用いられる。情報処理装置110は、校正モード中、複数のプロジェクタ150それぞれに校正用画像を出力し、スクリーン102上に校正用投影像を投影させる。そして、所定のプロジェクタ150により投影されるスクリーン102上の投影像104がカメラ160の画角内に入るように、カメラ視点及び視野が設定され、カメラ160により校正のため複数回の撮像が行われることになる。
【0024】
カメラ160で撮像された撮像画像(以下、校正用投影像が写り込んだ撮像画像を校正用撮像画像と参照する。)は、それぞれ、無線LAN( Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、ワイヤレスUSB(Universal Serial Bus)などの無線接続、又は有線USBや有線LANなどの有線接続を介して、情報処理装置110へ送信される。あるいは、カメラ160で撮像された校正用撮像画像は、SDカード(登録商標)やコンパクトフラッシュ(登録商標)などのリムーバブル・メディアを介して、情報処理装置110で読み取られる。
【0025】
情報処理装置110は、入力された複数の校正用撮像画像を用いて、複数のプロジェクタ150a~150cの投影像各々の位置合わせ、スケール合わせ、歪み補正、及び重複領域の輝度調整などを行うための各種補正係数を計算する。情報処理装置110は、投影モード中、計算された各種補正係数に基づき、プロジェクタ150a~150c各々に投影させるための補正された投影画像を生成する。
【0026】
<ハードウェア構成>
<<プロジェクタ>>
図3は、プロジェクタのハードウェア構成図である。
図3に示すように、プロジェクタ150は、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803、メディアI/F(Interface)807、操作部808、電源スイッチ809、バスライン810、ネットワークI/F811、LED(Light Emitting Diode)駆動回路814、LED光源815、投写デバイス816、投写レンズ817、外部機器接続I/F(Interface)818、ファン駆動回路819、冷却ファン820を備えている。
【0027】
これらのうち、CPU801は、プロジェクタ全体の動作を制御する。ROM802は、CPU801の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM803は、CPU801のワークエリアとして使用される。メディアI/F807は、フラッシュメモリ等の記録メディア806に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0028】
操作部808は、種々のキー、ボタン及びLED等が配設されており、ユーザによるプロジェクタ150の電源のON/OFF以外の各種操作を行うために使用される。例えば、操作部808は、投写画像の大きさの調整操作、色調の調整操作、ピント調整操作、キーストン調整操作等の指示操作を受け付けて、受け付けた操作内容をCPU801に出力する。
【0029】
電源スイッチ809は、プロジェクタ150の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。バスライン810は、
図3に示されているCPU801等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0030】
ネットワークI/F811は、インターネット等の通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。LED駆動回路814は、CPU801の制御下で、LED光源815の点灯及び消灯を制御する。
【0031】
LED光源815は、LED駆動回路814の制御によって点灯されると、投写光を投写デバイス816に照射する。投写デバイス816は、外部機器接続I/F818等を介して与えられた画像データに基づいて、空間光変調方式によりLED光源815からの投写光を変調して得た変調光を、投写レンズ817を通して、スクリーンの投写面へ画像として投写する。投写デバイス816としては、例えば、液晶パネル又はDMD(Digital Micromirror Device)等が用いられている。上記LED駆動回路814、LED光源815、投写デバイス816及び投写レンズ817は、全体として、画像データに基づいて投写面に投写画像を投写する投写部(投写手段)として機能している。
【0032】
外部機器接続I/F818は、直接、PC(Personal Computer)が接続され、PCとの間で、制御信号や画像データを取得する。
【0033】
ファン駆動回路819は、CPU801及び冷却ファン820に接続されており、CPU801からの制御信号に基づいて、冷却ファン820の駆動/駆動停止を行う。
【0034】
冷却ファン820は、回転することで、プロジェクタ150内部の空気を排気して、プロジェクタ150内部を冷却する。
【0035】
また、CPU801は、電源電力が供給されると、ROM802に予め記憶されている制御プログラムにしたがって起動し、LED駆動回路814に制御信号を与えてLED光源815を点灯させるとともに、ファン駆動回路819に制御信号を与えて冷却ファン820を所定の定格回転数で回転させる。また、プロジェクタ150は、電源回路21からの電源電力の供給が開始されると、投写デバイス816が画像表示可能状態になり、更に、他の種々の構成要素へ電源回路21から電力が供給される。
【0036】
また、プロジェクタ150は、電源スイッチ809がOFF操作されると、電源スイッチ809から電源OFF信号がCPU801に送られ、CPU801は、電源OFF信号を検知すると、LED駆動回路814へ制御信号を与えてLED光源815を消灯させる。CPU801は、その後、所定時間が経過すると、ファン駆動回路819へ制御信号を与えて冷却ファン820を停止させるとともに、自身で自身の制御処理を終了させ、最後に電源回路21へ指示を与えて電源電力の供給を停止させる。
【0037】
<<情報処理装置>>
図4は、情報処理装置110のハードウェア構成図である。
図4に示されているように、情報処理装置110は、コンピュータによって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0038】
これらのうち、CPU501は、情報処理装置全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0039】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0040】
<補正の概要>
以下、
図5~
図8を参照しながら、各種補正係数の計算処理及び補正係数に基づく補正処理の概要について説明する。
【0041】
<<全体機能構成>>
図5は、本実施形態による投影システム100の機能ブロック図である。
図5に示す投影システム100は、情報処理装置110上で動作する複数の機能ブロックを含む。情報処理装置110は、コンテンツ格納部112と、プロジェクタ毎の補正処理部114a~114cと、プロジェクタ毎の投影画像出力部116a~116cと、プロジェクタ毎の切替部122a~122cとを含み構成される。情報処理装置110は、更に、校正用画像格納部118と、校正用シーン選択部120と、校正用撮像画像入力部124と、補正係数算出部130とを有する。
【0042】
コンテンツ格納部112は、単一の投影像106として投影する対象であるコンテンツ画像のファイルを格納する。コンテンツ格納部112は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、着脱可能なリムーバブル・メディアの記憶領域として構成される。なお、投影対象となるコンテンツ画像は、ワードプロセッサやプレゼンテーションなどのアプリケーションでファイルを実行した場合の表示画面として与えられてもよいし、静止画像として与えられてもよいし、動画ファイル中の任意のタイミングのフレームとして与えられてもよい。また、コンテンツ画像は、ファイルとして与えられる必要はなく、情報処理装置110がオペレーティング・システムの実行により生成する画面、情報処理装置110に外部入力される映像として与えられてもよい。以下、説明の便宜上、静止画像としてコンテンツ画像が与えられた場合を一例に説明する。
【0043】
補正処理部114a~114cは、投影システム100に含まれるプロジェクタ150a~150cに対応して設けられている。補正処理部114は、それぞれ、コンテンツ格納部112からコンテンツ画像を読み出し、補正処理を施し、対応するプロジェクタ用の投影画像を生成する。なお、補正処理部114a~114cそれぞれが実行する処理については詳細を後述する。
【0044】
投影画像出力部116a~116cは、投影システム100に含まれるプロジェクタ150a~150cに対応して設けられている。投影画像出力部116は、それぞれ、対応するプロジェクタ150に接続されるディスプレイ出力を含み、接続されるプロジェクタに対し、切替部122で選択された入力画像を映像出力する。
【0045】
切替部122a~122cは、投影システム100の動作モードに応じて、画像のフローを切り替える。コンテンツ画像を投影する投影モード中は、切替部122は、補正処理部114の出力に入力側を切り替える。これに伴い、投影画像出力部116は、投影モード中は、それぞれ、対応する補正処理部114によるコンテンツ画像に基づく処理結果を映像出力する。一方、校正モード中は、切替部122は、後述する校正用シーン選択部120の出力に入力側を切り替える。これに伴い、投影画像出力部116は、校正モード中は、それぞれ、校正用シーン選択部120で選択して出力された校正用画像を映像出力する。
【0046】
校正用画像格納部118は、校正モード中にプロジェクタ150から投影させるための校正用画像を格納する。校正用画像格納部118は、HDD、SSD、着脱可能なリムーバブル・メディアの記憶領域として構成される。校正用画像は、典型的には、事前に準備された静止画像として与えられる。
【0047】
ここで、校正用画像は、投影像の格子点を規定する格子パターン及び投影像の位置合わせ点を規定する位置合わせパターンの両方又は一方を含むものである。
図6は、本実施形態による投影システム100で用いられる2種類の校正用画像を例示する図である。
図6(A)は、位置合わせパターン202及び格子パターン206の両方を含む第1校正用画像200を例示する。
図6(B)は、位置合わせパターン212のみを含む第2校正用画像210を例示する。
【0048】
格子パターン206は、プロジェクタ・メモリ上の座標を規定するものであり、任意の図形要素が所定の規則で配置されてなす模様として構成される。スクリーン102上に投影された格子パターン206を撮像することにより、投影像の台形歪みや局所的な歪みを検出することができる。
図6(A)に例示する第1校正用画像200では、格子パターン206は、プロジェクタ150の全投影領域を横に10ブロック、縦に7ブロックに分割
し、そのうちの中央の8×5ブロックに黒地上に白ベタの円204を格子状に並べたものが用いられている。
【0049】
しかしながら、格子パターン206は、特に限定されるものではなく、
図6(A)のような背景に対してコントラストを有する円形状を2次元に配列した水玉模様のほか、背景に対してコントラストを有するドットを2次元に配列したドット模様、互いにコントラストを有する2色の正方形マスが水平及び垂直方向に交互に配列された市松模様、背景に対してコントラストを有するラインを2次元に配列した格子模様など、種々の模様を用いることがきる。プロジェクタ150の全投影領域の分割方法も上述した態様に限定されるものではなく、要求される精度や情報処理装置110の性能に応じて、領域の分割数や領域の分割方法を決定すればよい。
【0050】
位置合わせパターン202,212は、撮像画像間での投影像の基準位置(位置合わせ点)を規定するものであり、複数の任意の図形要素が所定の位置に配置されてなす模様として構成される。スクリーン102上に投影された共通の位置合わせパターン202,212を収めて複数回撮像することにより、複数の撮像画像間で、位置合わせを行うことができる。
【0051】
位置合わせパターン及び格子パターンの両方を含む第1校正用画像200においては、位置合わせパターン202は、好適には、
図6(A)に示すように、格子パターン206が配置された領域の周辺の位置に配置することができる。位置合わせパターンのみを含む第2校正用画像210においても、
図6(B)に示すように、
図6(A)に示した校正用画像と同じ位置(格子パターンが含まれるとしたら配置される領域の周辺の位置)に位置合わせパターン212が配置される。
【0052】
図6(A)に例示する第1校正用画像200では、位置合わせパターン202は、プロジェクタ150の全投影画像領域の10×7ブロックの外周の四隅に矩形マーカ202LT,202RT,202LB,202RBを配置したものを用いている。
図6(B)に例示する第2校正用画像でも同様に、位置合わせパターン212は、10×7ブロックの外周の四隅に矩形マーカ212LT,212RT,212LB,212RBを配置したものを用いている。
【0053】
しかしながら、位置合わせパターン202,212は、特に限定されるものではない。位置合わせパターン202,212のマーカの形状は、円形など任意の図形要素としてよいし、マーカの数も、少なくとも4点あればよい。なお、位置合わせのためのマーカ数を多くすることにより、位置合わせ精度を向上させることができる。
【0054】
ここで、再び
図5を参照する。本実施形態による校正処理では、複数回に分けて、プロジェクタ150の投影像の幾何歪みを検出するための格子パターンの撮像が行われ、位置合わせパターンにより複数の撮像の結果が統合される。校正用シーン選択部120は、上述した校正用画像格納部118から各校正用画像を読み出し、複数のプロジェクタ150a~150c各々に対し、適切な校正用画像を選択して出力する。ここで、校正用シーン選択部120は、複数のプロジェクタ150の投影像の位置関係を把握しており、校正用画像は、全体として過不足なく各プロジェクタ150の校正結果が得られるように、校正処理の各段階に応じて選択される。少なくとも1つのプロジェクタ150で投影させる校正用画像を含む各校正処理の段階におけるシーンを、校正用投影シーンと参照する。
【0055】
校正用シーン選択部120により、プロジェクタ150各々から、校正用投影シーンに応じた校正用画像が投影されることになる。このとき、ユーザは、カメラ160を用いて、校正用投影シーン毎に、投影された校正用投影像が画角に収まるようにして撮像を行う。校正用撮像画像入力部124は、カメラ160からの無線接続、有線接続、リムーバブル・メディアを介して各撮像画像の入力を受けて、校正処理のために複数の校正用撮像画像を準備する。なお、少なくとも1つの校正用投影シーンにおいては、ユーザは、スクリーンに対して正対して撮像することが求められ、典型的には、1回目の撮像が水準器などを用いてスクリーンに対して正対して行われる。この場合、2回目以降の撮像は、スクリーンに対して正対して行う必要はない。このスクリーン102に正対して撮像された校正用撮像画像を基準にして結果の統合が行われる。
【0056】
図2に示すような3台のプロジェクタ150a~150cを用いる実施形態においては、
図7及び
図8に示す2つの態様で校正用投影シーンを構成し、校正用撮像画像を撮像することができる。
図7は、第1の態様において、校正用シーン選択部120が順次選択する校正用投影シーン及びその撮像方法を説明する図である。
図8は、第2の態様において、校正用シーン選択部120が順次選択する校正用投影シーン及びその撮像方法を説明する図である。
【0057】
第1の態様では、
図7に示すように、3回の撮像に対応した3個の校正用投影シーンが準備される。第1の校正用投影シーンでは、第1プロジェクタ150aが
図6(A)に示す第1校正用画像200を投影し、第2プロジェクタ150bが
図6(B)に示す第2校正用画像210を投影する。第3プロジェクタ150cは何も投影しない。この第1の校正用投影シーンにおいては、カメラ160を用いて、第1プロジェクタ150a及び第2プロジェクタ150bの投影像230a,230bが視野に収まるように撮像が行われる。
【0058】
第2の校正用投影シーンでは、第1プロジェクタ150aが何も投影せず、第2プロジェクタ150bが
図6(A)に示す第1校正用画像200を投影し、第3プロジェクタ150cが
図6(B)に示す第2校正用画像210を投影する。第2の校正用投影シーンにおいては、カメラ160を用いて、第2プロジェクタ150b及び第3プロジェクタ150cの投影像232b,232cが視野に収まるように撮像が行われる。最後の第3の校正用投影シーンでは、第3プロジェクタ150cが
図6(A)に示す第1校正用画像200を投影する。第1プロジェクタ150a及び第2プロジェクタ150bは何も投影しない。この第3の校正用投影シーンにおいては、第3プロジェクタ150cの投影像234cが視野に収まるように撮像が行われる。
【0059】
なお、
図7では、投影像を水平方向に3つ並べる3台のプロジェクタ150a~150cに対応して3個の校正用投影シーンが準備されている。しかしながら、N(N ≧ 2 )台のプロジェクタ150に対して一般化すると、下記のようにN個の校正用投影シーンを構成すればよいことになる。すなわち、第n( 1 ≦ n ≦ N - 1 。)番目の校正用投影シーンは、投影像の配列において、隣接するプロジェクタのうちの一方(n台目)が
図6(A)に示すような位置合わせパターン(1台目は位置合わせパターンを必ずしも投影することを要さない。)及び少なくとも格子パターンを含む校正用画像を投影し、かつ、他方(n+1台目)が
図6(B)に示すような位置合わせパターンのみを含む校正用画像を投影するように準備される。最後となる第N番目の校正用投影シーンは、最後のプロジェクタ(N台目)が
図6(A)に示すような格子パターン及び位置合わせパターンの両方を含む校正用画像を投影するように準備される。2つの校正用撮像画像において、共通するプロジェクタ150が投影する位置合わせパターンを用いて、結果の統合が行われる。
【0060】
上述した第1の態様では、カメラ160が一度の撮像で収める範囲が最大でも2台分の投影範囲となるので、台数Nが増大したとしても、スクリーン102に対する奥行きの制約が緩和されるので、ひいては多様なスクリーンの並べ方に対応することができる。なお、投影像を垂直方向に並べる場合についても、投影像を2次元で一筆書きに並べる場合についても、同様である。
【0061】
第2の態様では、
図8に示すように、2回の撮像に対応した2個の校正用投影シーンが準備される。第1の校正用投影シーンでは、第1プロジェクタ150a及び第3プロジェクタ150cが
図6(A)に示す第1校正用画像200を投影し、第2プロジェクタ150bが
図6(B)に示す位置合わせパターンのみの第2校正用画像210を投影する。
第2の校正用投影シーンでは、第2プロジェクタ150bが
図6(A)に示す第1校正用画像200を投影する。第1プロジェクタ150a及び第3プロジェクタ150cは何も投影しない。第1の校正用投影シーンにおいては、第1プロジェクタ150a~第3プロジェクタ150cの投影像240a~240cが、第2の校正用投影シーンにおいては、第2プロジェクタ150bの投影像242bが、視野に収まるようにそれぞれカメラ160で撮像される。
【0062】
なお、
図8では、投影像を水平方向に3つ並べる3台のプロジェクタ150a~150cに対応して2個の校正用投影シーンが準備されている。N( N ≧ 3 )台のプロジェクタ150に対し一般化すると、下記のように2個の校正用投影シーンを構成すればよいことになる。すなわち、第1の校正用投影シーンでは、投影像の配列において、複数のプロジェクタ150のうちの交互に選択された第1のグループのもの(例えば奇数台目)が少なくとも格子パターンを含む第1校正用画像を投影するように構成される。第2の校正用投影シーンでは、投影像の配列において、上記第1のグループのものにそれぞれ隣接する第2のグループのもの(例えば偶数台目)が格子パターンを投影するように構成される。更に、上記第1の校正用投影シーン及び第2の校正用投影シーンは、少なくとも1つの共通するプロジェクタが位置合わせパターンを投影するように構成される。
【0063】
より好ましくは、第2のグループのもの(例えば偶数台目)が、第1の校正用投影シーンにおいて、位置合わせパターンのみを含む第2校正用画像を投影するように構成され、第2の校正用投影シーンにおいて、格子パターン及び位置合わせパターンの両方を含む第1校正用画像を投影するように構成することができる。
【0064】
上述した第2の態様では、カメラ160が一度の撮像で収める範囲が広くなるものの、撮像回数が2回で済むことになる。このため、スクリーン102に対する奥行きの制約上の問題が回避できる場合には、校正作業が簡素化される。なお、投影像を垂直方向に並べる場合についても同様である。また、上述した説明では、第1及び第2のグループに対して1回ずつ全体の撮像を行うものとして説明した。しかしながら、他の実施形態では、必要な画角を小さくするために、第1及び第2のグループそれぞれを複数回に分けて分割撮像し、グループ内で共通する位置合わせパターンを介して統合する態様としてもかまわない。
【0065】
ここで、再び
図5を参照する。補正係数算出部130は、校正用撮像画像入力部124により準備された複数の校正用撮像画像を読み出し、補正処理部114a~114bに対し設定する各種補正係数を計算する。ここでは、各校正用撮像画像と、上述した校正用シーンとは、対応付けられて校正用撮像画像入力部124に与えられているものとする。補正係数算出部130は、より詳細には、特徴点抽出部132と、格子点変換部134と、幾何学的な補正係数を計算する幾何補正係数計算部136と、投影像のブレンディングの補正係数を算出する輝度調整部138と、階調変更部139と、重複領域検出部140とを含む。
【0066】
特徴点抽出部132は、準備された複数の校正用撮像画像各々から特徴点を抽出する。ここで抽出される特徴点は、校正用画像の格子パターンに対応する、投影像の歪みを示す格子点と、校正用画像の位置合わせパターンに対応する、校正用撮像装置間の位置合わせの基準となる位置合わせ点とを含みうる。
【0067】
特徴点抽出部132により抽出されたプロジェクタ毎の格子点及び撮像画像毎の位置合わせ点は、格子点変換部134へ渡される。格子点変換部134は、上記特徴点抽出部132により複数の校正用撮像画像から抽出されたプロジェクタ150各々の投影像の格子点(この段階では格子点は各々の校正用撮像画像の座標系上の点である。)を、校正用撮像画像間で共通する位置合わせ点に基づいて、共通座標系上に変換し、統合する。共通座標系としては、説明する実施形態では、スクリーン102に正対して撮像された第1の校正用撮像画像の座標系である。
【0068】
格子点変換部134により共通座標系上に変換されたプロジェクタ毎の格子点は、幾何補正係数計算部136へ渡される。幾何補正係数計算部136は、共通座標系上の格子点に基づいて、上記複数のプロジェクタ150各々から投影する投影画像を与えるプロジェクタ毎の幾何補正係数を計算する。幾何補正係数は、位置合わせ、スケール合わせ、歪み補正などの幾何学的な補正を織り込んだ補正係数である。
【0069】
重複領域検出部140は、複数のプロジェクタ150各々に対し、注目するプロジェクタ(例えば150a)の投影像と、この注目するプロジェクタに隣接するプロジェクタ各々(例えば150b)の投影像との間の重複領域を検出する。輝度調整部138は、重複領域の検出結果に基づき、これらの投影像の重ね合わせを調整するブレンディング係数を計算する。ブレンディング係数が1未満なら重複領域の輝度を低減する効果がある。このプロジェクタ毎のブレンディング係数により、スクリーン102上における複数のプロジェクタ150の投影像が重なる部分において、画像が滑らかに合成される。
【0070】
補正処理部114は、それぞれ、幾何補正係数計算部136及び輝度調整部138によって計算された各種補正係数に基づき、コンテンツ画像からプロジェクタ毎の投影画像を生成する。より具体的には、補正処理部114は、まず、幾何補正係数計算部136によって計算された幾何補正係数に基づき、コンテンツ画像から、プロジェクタ毎の中間画像を生成する。中間画像は、コンテンツ画像のプロジェクタが担当する画像を、検出された幾何歪みの逆に変形させたものとなる。補正処理部114は、続いて、上記中間画像に対し、上記輝度調整部138によって計算されたブレンディング係数を乗じて、プロジェクタ毎の最終的な投影画像を算出する。投影モード中、切替部122によって、補正処理部114により計算された投影画像が選択され、プロジェクタ150に出力されることになる。
【0071】
なお、本実施形態の処理は、単一の情報処理装置110により実現されるものとして説明したが、投影システム100の実施形態は、
図5に示すものに限定されるものではない。他の実施形態では、台数の増加に伴う情報処理装置110の負荷を軽減するため、補正処理部114a~114c各々をプロジェクタ150a~150c各々上で実現してもよい。他の実施形態では、本実施形態で説明した処理を複数の情報処理装置110が分散して実行してもよいし、情報処理装置110が有する機能をいずれかのプロジェクタ150上で実装してもよいし、
図5に示した情報処理装置110が有する機能と、複数のプロジェクタの機能とを備える単一の装置として構成してもよい。更に、他の実施形態では、補正係数算出部130の機能をサービスとしてネットワークを介して提供するサーバとして実装してもよい。
【0072】
<全体処理フロー>
以下、
図9を参照しながら、各種補正係数の計算処理及び補正係数に基づく補正処理の全体的な流れについて説明する。
図9は、本実施形態による各種補正係数の計算処理及び補正係数に基づく補正処理の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示す処理は、ユーザからの校正処理開始の指示に応答して、ステップS100から開始される。なお、
図9には、ステップS101~ステップS104で示す第1の態様と、ステップS105~ステップS108で示す第2の態様との両方がまとめて示されていることに留意されたい。
【0073】
図7に示す第1の態様では、ステップS101では、情報処理装置110は、第1プロジェクタ150aから第1校正用画像(格子パターンを含む。)を出力させ、第2プロジェクタ150bから第2校正用画像(位置合わせパターンを含む。)を出力させる。ステップS102では、情報処理装置110は、第2プロジェクタ150bから第1校正用画像(格子パターン及び位置合わせパターンを含む。)を出力させ、第3プロジェクタ150cから第2校正用画像(位置合わせパターンを含む。)を出力させる。ステップS103では、情報処理装置110は、第3プロジェクタ150cから第1校正用画像(格子パターン及び位置合わせパターンを含む。)を出力させる。上記ステップS101~ステップS103の各段階で、ユーザは、例えば情報処理装置110が行うガイダンスに従い、カメラ160の画角に投影中の校正用画像が収まるように撮像を行う。ステップS104では、情報処理装置110は、カメラ160からの複数の校正用撮像画像の入力をまとめて受けて、ステップS109へ処理が進められる。
【0074】
これに対して
図8に示す第2の態様では、ステップS105では、情報処理装置110は、第1プロジェクタ150a及び第3プロジェクタ150cから第1校正用画像(格子パターンを含む。)を出力させ、第2プロジェクタ150bから第2校正用画像(位置合わせパターンを含む。)を出力させる。ステップS106では、情報処理装置110は、カメラ160からステップS105で撮像された校正用撮像画像の入力を受ける。ステップS107では、情報処理装置110は、第2プロジェクタ150bから第1校正用画像(格子パターン及び位置合わせパターンを含む。)を出力させる。ステップS108では、情報処理装置110は、カメラ160からステップS107で撮像された校正用撮像画像の入力を受け、ステップS109へ処理が進められる。
【0075】
ステップS109では、詳細を後述するが、情報処理装置110は、各プロジェクタの幾何補正係数を計算する。ステップS109におけるプロジェクタ毎の幾何補正係数算出処理では、各校正用撮像画像からの特徴点の抽出、各校正用撮像画像の格子点の共通座標系への変換、及び各プロジェクタの幾何補正係数の算出が行われる。ステップS110では、詳細を後述するが、情報処理装置110は、各プロジェクタのブレンディング係数を計算する。
【0076】
ステップS111では、情報処理装置110は、各補正処理部114に対し、ステップS109及びステップS110で計算されたプロジェクタ毎の幾何補正係数及びブレンディング係数を設定する。ステップS112では、情報処理装置110は、切替部122に対し、補正処理部114の出力に、投影画像出力部116の入力を切り替えさせて、投影モードに移行する。
【0077】
ステップS113では、情報処理装置110は、コンテンツ画像を読み出す。ステップS114では、情報処理装置110は、コンテンツ画像に対し、プロジェクタ毎の補正処理部114で補正処理を実行する。ステップS115では、情報処理装置110は、補正されたプロジェクタ毎の投影画像をプロジェクタ毎の投影画像出力部116からそれぞれ出力させる。
【0078】
ステップS116では、情報処理装置110は、ユーザからの投影モードの終了指示を受け付けたか否かを判定する。ステップS116で、投影モードの終了指示を受け付けていないと判定された場合(NO)は、ステップS113へ処理をループさせ、投影画像を更新する。動画であれば次のフレームに対する処理へ進められる。ステップS116で、投影モードの終了指示を受け付けたと判定された場合(YES)は、ステップS117へ処理を分岐させ、本処理を終了する。
【0079】
<幾何補正係数の計算>
以下、
図10~
図16及び
図20(A)を参照しながら、各プロジェクタの幾何補正係数の計算処理の詳細について説明する。
図10は、本実施形態による補正係数算出部130が実行する幾何補正係数の計算処理を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、
図9に示したステップS109で呼び出されて、ステップS200から開始される。
【0080】
ステップS201では、特徴点抽出部132は、準備された複数の校正用撮像画像各々から、各々の撮像画像座標系におけるプロジェクタ150各々の投影像の円形状の重心座標を格子点座標(小数点精度)として抽出する。円形状の重心座標は、例えば、画像を2値化し、白画素のかたまりをパターンマッチングなどで切り出し、その重心座標を求めることによって計算することができる。
【0081】
ステップS202では、特徴点抽出部132は、複数の校正用撮像画像各々から、各々の撮像画像座標系におけるプロジェクタ150各々の投影像の矩形マーカの重心座標を位置合わせ点座標として抽出する。矩形マーカの重心座標も同様に、例えば、画像を2値化し、白画素のかたまりをパターンマッチングなどで切り出し、その重心座標を求めることによって計算することができる。
【0082】
図7に示した第1の態様について、より具体的に説明すると、特徴点抽出部132は、第n( 1 ≦ n ≦ N - 1 。)番目の校正用投影シーンを撮像した校正用撮像画像各々から、投影像の配列において、隣接するプロジェクタのうちの一方(n台目)が投影する位置合わせパターン(1台目は必ずしも投影されない。)の位置合わせ点及び少なくとも格子パターンの格子点と、他方(n+1台目)が投影する位置合わせパターンの位置合わせ点とを抽出する。最後の第N番目の校正用投影シーンを撮像した校正用撮像画像からは、最後のプロジェクタ(N台目)が投影する格子パターンの格子点と、位置合わせパターンの位置合わせ点とが抽出される。
【0083】
なお、1つの校正用撮像画像において、一方のプロジェクタの円パターンと、他方のプロジェクタの4つの位置合わせ矩形マーカとは、互いの位置関係を利用して識別することができる。
図7に示す第1の態様で校正用投影シーンが構成される場合は、円パターンの外側に矩形マーカが存在し、左右の隣接プロジェクタの8つの矩形マーカが、左側プロジェクタの左側2つの矩形マーカ、右側プロジェクタの左側2つの矩形マーカ、左側プロジェクタの右側2つの矩形マーカ、そして右側プロジェクタの右側2つの矩形マーカの順に存在する。このような位置関係に基づいて、各々の円パターン及び矩形マーカを識別することができる。なお、位置関係以外にも、例えば、投影する矩形マーカの色や形をプロジェクタ毎に変更することによって、撮像された矩形マーカの色や形を識別し、これら識別された特徴に基づいて判別を行ってもよい。
【0084】
図8に示した第2の態様について説明すると、特徴点抽出部132は、第1番目の校正用投影シーンを撮像した校正用撮像画像から、投影像の配列において、第1のグループのもの( 例えば奇数台目)が投影する格子パターンの格子点を抽出する。第2番目の校正用投影シーンを撮像した校正用撮像画像からは、上記第2のグループのもの(例えば偶数台目)が投影する格子パターンの格子点が抽出される。特徴点抽出部132は、更に、上記第1の校正用投影シーン及び第2の校正用投影シーンをそれぞれ撮像した校正用撮像画像各々から、共通するプロジェクタ150が投影する位置合わせパターンの位置合わせ点を抽出する。
【0085】
ステップS203では、格子点変換部134は、所定の校正用撮像画像の対について、撮像画像間で共通する矩形マーカの位置合わせ点座標に基づき、射影変換係数を計算する。ステップS204では、格子点変換部134は、ステップS203で計算された射影変換係数に基づき、プロジェクタ各々の投影像の格子点座標を、共通座標系に変換し、統合する。
【0086】
図11は、第1の態様において、各校正用投影シーンを撮像して準備された3つの校正用撮像画像と、これらの撮像画像間各々で計算される射影変換係数について説明する図である。
図12は、第2の態様において、各校正用投影シーンを撮像して準備された2つの校正用撮像画像と、これら撮像画像間で計算される射影変換係数について説明する図である。
【0087】
第1の態様においては、
図11に示すように、第1の校正用撮像画像250及び第2の校正用撮像画像260の対について、撮像画像間で共通する第2プロジェクタ150bの投影像252b,262bの矩形マーカ254,264の位置合わせ点座標の対が求められる。格子点変換部134は、この位置合わせ点座標の対(254,264)に基づき、第2の校正用撮像画像260の座標系から第1の校正用撮像画像250の座標系へ変換する射影変換の係数を計算する。同様に、第2の校正用撮像画像260,及び第3の校正用撮像画像270の対について、撮像画像間で共通する第3プロジェクタ150cの投影像262c,272cの矩形マーカ264,274の位置合わせ点座標の対が求められる。この位置合わせ点座標の対(264,274)に基づき、第3の校正用撮像画像270の座標系から第2の校正用撮像画像260の座標系へ変換する射影変換の係数が計算される。
【0088】
射影変換の変換式は、下記式(1)で表され、下記式(1)の分母を払って整理すると下記式(2)で表す一次多項式に展開することができる。
【0089】
【0090】
【数2】
上記式(1)及び(2)中、x,yは、変換前の平面座標を表し、u,vは、変換後の平面座標を表し、a~hの8つの係数は、射影変換係数を表す。上記式において、未知パラメータである8つの射影変換係数を算出するためには、最低でも8個の連立方程式を要するが、上述した2枚の校正用撮像画像における4つの位置合わせの対応点があれば、8個の変換式を生成することができる。この4つの矩形マーカの対応点から生成された8つの連立方程式を解くことにより、射影変換係数a~hを求めることができる。
【0091】
第1の態様において、2対の撮像画像間の射影変換係数a~hがそれぞれ計算されると、格子点変換部134は、抽出された第2の校正用撮像画像の格子点を、第1の撮像画像の座標系へ変換する射影変換を実行する。格子点変換部134は、更に、抽出された第3の校正用撮像画像の格子点を、第3の校正用撮像画像の座標系から第2の校正用撮像画像の座標系へ変換する射影変換を実行し、更に、第2の校正用撮像画像の座標系から第1の校正用撮像画像の座標系へ変換する射影変換を実行する。これにより、すべてのプロジェクタ150a~150cの格子点座標が、スクリーンに正対して撮像された第1の校正用撮像画像の座標系である共通座標系に変換され、統合される。
【0092】
第2の態様においては、
図12に示すように、第1の校正用撮像画像280及び第2の校正用撮像画像290の対について、撮像画像間で共通する第2プロジェクタ150bの投影像282b,292bの矩形マーカ284,294の位置合わせ点座標の対が求められる。そして、この位置合わせ点座標の対に基づき、第2の校正用撮像画像290の座標系から第1の校正用撮像画像280の座標系へ変換する射影変換の係数が計算される。格子点変換部134は、1組の校正用撮像画像間の射影変換係数a~hに基づいて、第2の校正用撮像画像の抽出された格子点を、第1の撮像画像の座標系へ変換する射影変換を実行し、共通座標系に変換する。
【0093】
図13は、共通座標系300上に統合された各プロジェクタの格子点座標の集合を模式的に示す図である。
図13に示すように、各プロジェクタの格子点座標の集合302a,302b,302cは、それぞれ、第1の校正用撮像画像の共通座標系300上に変換され、統合されている。なお、
図13には、撮像された複数のプロジェクタ150a~150の円形状が重ね合わせて表現されているが、画像自体は重ね合わせる必要はない。
【0094】
再び
図10を参照すると、ステップS205では、幾何補正係数計算部136は、プロジェクタ150各々について、共通座標系上に変換及び統合された格子点座標各々を線形に外挿し、投影可能領域の外周座標を計算する。
【0095】
図14は、統合された格子点座標各々を用いた線形外挿による投影可能領域の外周座標の計算方法を示す図である。
図14(A)は、プロジェクタ・メモリ上の左上隅の4つの格子点を示し、
図14(B)は、共通座標系上の対応する4つの格子点を示す。
図14(A)に示すように、プロジェクタ・メモリ上の外周座標(4隅及び4辺上の格子点)は、外周部に位置する4つの格子点(例えばP00P~P11P)の四辺形パッチを外挿する位置(格子点間距離の1.5倍の距離の位置)に定められる。
【0096】
共通座標系における各プロジェクタの投影可能領域に対応する外周画素の座標(4隅及び4辺上の格子点)は、
図14(B)に示すように、外周部に位置する各4つの格子点座標から線形に外挿することによって計算することができる。同様に、外周座標(4隅及び4辺上の格子点)以外のプロジェクタ・メモリ上の任意の座標点に対応する共通座標系上の点も、近傍の4点の格子点座標を線形に内挿又は外挿して求めることができる。
【0097】
ここで、プロジェクタ・メモリ上の任意の座標点QPが、プロジェクタ・メモリ上での座標位置が近傍にある4つの格子点P00P,P10P,P01P,P11Pにおいて、x軸方向にt :1-t ( 0 < t < 1 )で、y軸方向にs:1-s( 0 < s < 1 ) で内分する点だとする。すると、座標点QPに対応する共通座標系上の点QCは、対応する4つの格子点P00C,P10C,P01C,P11Cの座標ベクトルから、下記式(3)を用いて計算することができる。外挿する点の場合は、上記t及びsに対し、-1.5 < t< 0 、-1.5 < s < 0 の範囲を設定して下記式(3)を用いて計算することができる。
【0098】
【数3】
画像全体では非線形な幾何歪みが生じ得るが、ここでは、その一部である2×2の格子点で構成される四辺形パッチの範囲及び外周に向かって所定量外挿した範囲では、線形な幾何歪みだと見なせることを前提としている。上記四辺形パッチのサイズが充分に小さいとみなせるためである。なお、説明する実施形態では、上記式(3)を用いて線形補間により対応点を計算するものとして説明する。しかしながら、他の実施形態では、隣接する4つの格子点のP00
C,P10
C,P01
C,P11
C、P00
P,P10
P,P01
P,P11
Pを用いて求められる射影変換により、プロジェクタ・メモリ上の点Q
Pを共通座標系上での対応点Q
Cに対応付けてもよい。
【0099】
上述した線形的な外挿をプロジェクタ毎に行うことにより、3つのプロジェクタ150a~150cの投影可能領域(つまり全面白画像を投影して映る範囲である。)が共通座標系上で検出される。
図15(A)には、共通座標系300上において検出された3つのプロジェクタの投影可能領域304a~304cが表されている。第1プロジェクタ150aの投影可能領域304aは、実線の白線で示され、第2プロジェクタ150bの投影可能領域304bは、破線の白線で示され、第3プロジェクタ150cの投影可能領域304cは、2点鎖線の白線で示されている。
【0100】
再び
図10を参照すると、ステップS206では、幾何補正係数計算部136は、共通座標系において、すべてのプロジェクタの投影可能領域の論理和(OR)を求めて、コンテンツ画像をマップするための補正後投影目標領域を上記論理和の領域内に設定する。補正後投影目標領域は、コンテンツ画像を、そのアスペクト比を保って、すべてのプロジェクタの投影可能領域304a~304cの論理和となる領域内に最大の大きさでマップするように設定される。
【0101】
共通座標系上で各投影可能領域の4隅の点が既知であり、これらを結ぶ4つの辺(上辺、下辺、左辺、右辺)も、それぞれ格子点幅で線形区分された形で求まり、それらの存在範囲も把握される。したがって、共通座標系上での3つのプロジェクタの投影可能領域304a~304cの上辺306T、及び下辺306Bで挟まれた範囲、同じく左辺306L、右辺306Rで挟まれた範囲に、3つの論理和の領域内に取り得る矩形範囲が定まる。
【0102】
補正後投影目標領域310は、
図15(A)の点線で示した矩形領域のように、4辺306T,306B,306L,306Rの矩形範囲内にコンテンツ画像のアスペクト比(例えばM : N )を保って最大サイズで割り付けられた領域となる。
図15(A)の例示では、若干縦方向に余りがあるので、上下に余白が設けられて、補正後投影目標領域がセンタリングされている。そして、
図15(B)に示すように、この補正後投影目標領域310に、投影すべきコンテンツ画像320が貼り付けられることになる。
【0103】
再び
図10を参照すると、ステップS207~ステップS211のループでは、プロジェクタ毎に、ステップS208~ステップS210で示す各処理が実行され、複数のプロジェクタ各々の幾何補正係数が求められる。ステップS208では、幾何補正係数計算部136は、共通座標系上の格子点座標を、元のコンテンツ画像の座標系に変換する。以下、共通座標系上で補正後投影目標領域310に貼り付けられるコンテンツ画像を「投影コンテンツ画像」と参照し、その元となるオリジナルのコンテンツ画像を「等倍コンテンツ画像」と参照する。
【0104】
ステップS209では、幾何補正係数計算部136は、プロジェクタ・メモリ上の格子点座標を、共通座標系を経由して、等倍コンテンツ画像の座標系の画素位置に対応付ける。ステップS210では、幾何補正係数計算部136は、プロジェクタ・メモリ上の整数画素座標を、共通座標系を経由して、等倍コンテンツ画像の座標系の画素位置へ線形補間により対応付ける。
【0105】
ステップS208~ステップS210で示す各処理で計算される幾何補正係数は、
図16に示すように、プロジェクタ・メモリ330上の各座標を、投影コンテンツ画像上の位置に対応する等倍コンテンツ画像上の画素位置に対応付けるものである。
【0106】
図16に示すプロジェクタ・メモリ330aの1つの格子点P42
Pを代表して説明すると、プロジェクタ・メモリ330上の格子点P42
Pに対しては、共通座標系300上の対応点P42
C( X
P42C ,Y
P42C)が抽出されている。そして、補正後投影目標領域310にコンテンツ画像がマップされるため、
図16に示すように、共通座標系300上の対応点P42
Cに対しては、更に、等倍コンテンツ画像上での対応する画素位置P42
m(X
P42m ,Y
P42m)が定まる。
【0107】
等倍コンテンツ画像上での対応する画素位置P42m( XP42m ,YP42m )は、共通座標系300上の対応点P42Cの座標( XP42C , YP42C )から、以下式(4)で計算することができる。下記式(4)中、座標( X0 ,Y0)は、共通座標系上での投影コンテンツ画像の左上の原点の座標であり、Rは、コンテンツ画像の変倍率を表す。なお、ここでは、説明の便宜上、等倍コンテンツ画像を、所定の変倍率Rで、そのまま補正後投影目標領域310にマップするものとしているが、コンテンツの共通座標系上へのマップの仕方は特に限定されるものではない。
【0108】
【数4】
プロジェクタ・メモリ上の格子点P42
P以外のすべての格子点Pij
P(ijは整数)についても同様に、等倍コンテンツ画像上での対応する画素位置が計算される。プロジェクタ・メモリ上の格子点以外の任意の座標については、
図14を参照して説明した同様の方法により、近傍の2×2格子点のコンテンツ画像上での対応する画素位置を線形に補間( 内挿又は周辺部では外挿)することによって、等倍コンテンツ画像上での対応する画素位置を計算することができる。これにより、プロジェクタ・メモリ330a上の所定領域332aの画素に対し、コンテンツ画像320における第1プロジェクタ150aが担当する領域322aの画素位置が対応付けられる。
【0109】
図20(A)は、ステップS208~ステップS210の処理で計算される1つのプロジェクタの幾何補正係数のデータ構造を例示する。
図20(A)に示すように、こうして求めたプロジェクタ・メモリの全画素に対する等倍コンテンツ画像上での対応する画素位置が、幾何補正係数となる。
【0110】
ステップS207~ステップS211のループがプロジェクタ台数分だけ繰り返され、すべてのプロジェクタについて、プロジェクタ・メモリ上の整数画素座標と等倍コンテンツ画像の座標系との対応付けが完了すると、ステップS212に進められる。ステップS212では、本処理を終了し、
図11に示した呼び出し元へ処理が戻される。これにより、すべてのプロジェクタ150a~150cそれぞれのための幾何補正係数が準備される。
【0111】
なお、説明する実施形態では、幾何補正係数として、プロジェクタ・メモリの全画素に対する等倍コンテンツ画像上での対応する画素位置を求めているが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、プロジェクタ・メモリ上の各格子点PijPに対する等倍コンテンツ画像上での画素位置Pijmを幾何補正係数として求め、後述する補正処理部114で、格子点以外の座標については四辺形パッチ毎に射影変換あるいは線形変換することにより計算する態様としてもよい。
【0112】
<ブレンディング係数の計算>
以下、
図17~
図20を参照しながら、各プロジェクタのブレンディング係数の計算処理の詳細について説明する。
図17は、本実施形態による補正係数算出部130が実行するブレンディング係数の計算処理を示すフローチャートである。
図17に示す処理は、
図9に示したステップS110で呼び出されて、ステップS300から開始される。ステップS301~ステップS313のループでは、注目するプロジェクタ毎に、ステップS302~ステップS312で示す各処理が実行され、複数のプロジェクタ150a~150c各々のブレンディング係数が求められる。
【0113】
ステップS302では、重複領域検出部140は、共通座標系300において、注目プロジェクタと、該注目プロジェクタの隣接プロジェクタとの投影可能領域の外周座標に基づき、これらの重複領域を検出する。
図18は、プロジェクタ・メモリ330上の各座標に対するブレンディング係数の対応付けを説明する図である。
図18に示すように、共通座標系300での補正後投影目標領域310の最上辺においては、左原点(○)から右方向へ探索することにより、第1プロジェクタ150aと第2プロジェクタ150bとの重複領域の開始点(●)及び終了点(◎)が検出される。すなわち、左原点(○)から右方向へ探索した場合に、第2プロジェクタ150bの投影可能領域304bから第1プロジェクタ150aの投影可能領域304aまでが重複領域である。他の水平ラインについても同様に重複領域の開始点及び終了点が検出される。
【0114】
再び
図17を参照すると、ステップS302では、輝度調整部138は、まず、共通座標系の各座標に対するブレンディング係数を0で初期化する。ステップS304~ステップS311のループでは、共通座標系の水平ライン(補正後投影目標領域に対応する部分のみでよい。)毎に、ステップS305~ステップS310で示す各処理が実行される。ステップS305~ステップS310で示す各処理により、共通座標系上の各座標位置に対し、ブレンディング係数の中間結果が割り当てられる。
【0115】
ステップS305では、注目する水平ラインにおいて、上述した投影可能領域の外周座標と、検出された重複領域とに基づき、当該プロジェクタの投影可能領域の開始点及び終了点、並びに隣接プロジェクタとの重複領域の開始点及び終了点を設定する。
【0116】
ステップS306~ステップS310のループでは、共通座標系の水平ラインの各画素毎(投影可能領域内のみ。)に、ステップS307~ステップS309で示す処理が実行される。ステップS307~ステップS309で示す処理により、水平ラインにおける共通座標系上の各画素毎にブレンディング係数が決定される。
【0117】
ステップS307では、輝度調整部138は、注目する画素が重複領域に該当するか否かに応じて処理を分岐させる。ステップS307で、重複領域に該当しないと判定された場合(NO)は、ステップS308A、S308Bへ処理が進められる。この場合は、非重複領域であるため階調変更部139はRGBレンジをリミテッドレンジ(16~235)に変更する(元のRGB画像がリミテッドレンジの場合、変更しなくてよい。)。また、ステップS308Bでは、輝度調整部138は、ブレンディング係数を最大値1に決定する。階調の変更の詳細を
図22にて説明する。
【0118】
一方、ステップS307で、重複領域に該当すると判定された場合(YES)は、ステップS309A,S309Bへ処理が進められる。この場合は、重複領域であるため階調変更部139はRGBレンジをフルレンジ(0~255)に変更する(元のRGB画像がフルレンジの場合、変更しなくてよい。)。また、ステップS309Bでは、輝度調整部138は、ブレンディング係数を所定の関係式にしたがって計算する。
【0119】
図19は、プロジェクタの入出力特性のグラフを示すが、プロジェクタの入出力特性は、典型的には、線形とはならない。上記重複領域に対応する画素に対するブレンディング係数の計算では、この入出力特性の逆補正を一旦施して線形になるように補正した上で、両側のプロジェクタからの光量が合計して1となるように重み付けを行う。
【0120】
具体的には、
図18の下段のグラフで第1プロジェクタについて示すように、原点(○)から、重複領域の開始点(●)までの範囲の画素に対しては、上記ステップS308でブレンディング係数が最大1に決定される。一方、重複領域の開始点(●)から終了点(◎)までの範囲の画素に対しては、上記ステップS309で、開始点(●)からの水平距離に応じて、実際の明るさが線形に1.0から0へ徐々に落ちていくように、プロジェクタの入出力特性の逆補正をかけたブレンディング係数を算出する。
図19に示すような入出力特性であれば、開始点から終了点まで距離で正規化した開始点からの水平距離x(0.0≦x≦1.0)に対するブレンディング係数yは、下記式(5)で計算することができる。
【0121】
【数5】
ステップS304~ステップS311のループにより、共通座標系における整数画素各々に対しブレンディング係数の中間結果が決定される。投影可能領域以外の領域については、ステップS303の初期化により0が設定されている。ステップS304~ステップS311のループで、共通座標系のすべての水平ラインについての処理が完了すると、ステップS312へ処理が進められる。補正後投影目標領域以外の水平ラインについては、ステップS303の初期化により各画素に0が設定されている。
【0122】
ステップS312では、輝度調整部138は、プロジェクタ・メモリ上の整数画素座標各々に対し、
図20(A)に示すデータ構造によって対応付けられる共通座標系の座標(小数点)の最近傍の整数画素に割り当てられたブレンディング係数を対応付ける。
図20(B)は、ステップS302~ステップS312の処理で計算された1つのプロジェクタのブレンディング係数のデータ構造を例示する。
図20(B)に示すように、プロジェクタ・メモリの全画素に対するブレンディング係数が求められる。
【0123】
ステップS301~ステップS313のループで、すべてプロジェクタについての処理が完了すると、ステップS314で本処理を終了し、
図9に示した呼び出し元へ処理が戻される。
【0124】
上述した処理により、複数のプロジェクタ150a~150cの各々に対して、プロジェクタ・メモリの全画素分のブレンディング係数が得られることになる。なお、上述した説明では、第1プロジェクタ150aと第2プロジェクタ150bとの重複領域について説明している。第2プロジェクタ150bが対象となる場合は、左右の第1プロジェクタ150a及び第3プロジェクタ150cを合わせて、2つの重複領域についてブレンディング補正の計算が行われることとなる。
【0125】
<階調補正>
図21は、投影システム100における階調補正を説明する図である。3台のプロジェクタを使用した投影システムでは、隙間をつくらないように投影画像の一部が重なるように配置される。情報処理装置110から例えばネットワーク経由で各プロジェクタに投影画像が送信される。各プロジェクタは、送信された画像をRAMやSDDなどに保存して、投影開始の指示が送信された場合、投影する。動画の場合、情報処理装置110は各プロジェクタ150a~150cの間で同期を取って投影する。例えば、情報処理装置110は全てのプロジェクタから投影完了を受信してから次の投影画像の投影を指示する。同期はプロジェクタ150a~150c間で通信して取ってもよい。
【0126】
図22はフルレンジからリミテッドレンジへの階調補正を説明する図である。フルレンジとは、RGB信号を0~255(8bitの場合)の256階調で表す階調表現方法をいい、リミテッドレンジとはRGB信号を16~235(8bitの場合)の220階調で表す階調表現方法をいう。一般にコンピュータ内部ではフルレンジで処理される。PCモニターはフルレンジで処理することが一般的である。テレビ受像機は元来リミテッドレンジであったが、通常のテレビはリミテッドレンジをフルレンジに変換する機能を有している。
【0127】
図22(a)は元の画像データのRGBレンジがフルレンジの場合に、非重複領域の階調変換を模式的に示す図である。非重複領域はリミテッドレンジに変換されるので、階調が狭くなる。フルレンジのRGB信号からリミテッドレンジのRGB信号への変換は、フルレンジを均等にリミテッドレンジに対応づけることで行われる。「256-220=36」なので、
図22(b)に示すように、約7階調に1回、フルレンジのRGB値は同じリミテッドレンジの同じRGB値に対応づけられる。
図22(b)は対応テーブルの一例を示す図である。このような対応テーブルによりフルレンジのRGB信号はリミテッドレンジに変換される。なお、均等に対応づける
図22(b)の例は一例であって、暗い領域(例えば16未満)と明るい領域(例えば235超)の少なくともどちらか一方でフルレンジとリミテッドレンジを1対1に対応付け、中間領域でフルレンジのRGB値を同じリミテッドレンジのRGB値に対応づけてもよい。
【0128】
なお、重複領域の階調はフルレンジのままなので、元の画像データのRGBレンジがフルレンジの場合、変換は不要である。
【0129】
例えば、フルレンジで10の非重複領域のRGB値は25に変換される。重複領域の同じく10のRGB値は変換されない。この結果、25>10となり、非重複領域の黒レベルは持ち上げられ、重複領域が非重複領域よりも暗く投影される。重複領域は暗くなるように補正されたわけではないので黒つぶれしにくい。
【0130】
コンピュータ内で扱われる画像データは主にフルレンジであると説明したが、変換前の画像データがリミテッドレンジの場合もある。RGB信号がリミテッドレンジ(16~235)である場合、階調変更部139は、非重複領域のRGBレンジをリミテッドレンジのままとする。そして重複領域についてはRGBレンジをフルレンジに変換する。
【0131】
図23はリミテッドレンジからフルレンジへの階調補正を説明する図である。
図23(a)は元のRGB信号がリミテッドレンジの場合に、重複領域の階調変換を模式的に示す図である。重複領域はフルレンジに変換されるので、階調が広くなる。リミテッドレンジのRGBからフルテッドレンジのRGBへの変換は、リミテッドレンジを均等にフルレンジに対応づけることで行われる。したがって、フルレンジからリミテッドレンジとは逆の変換になる。
図23(b)に示すように、約7階調に1回の割合で、リミテッドレンジのRGB値は異なるフルレンジに対応づけられる。例えば、RGB値が22の場合、2回に1回ずつ、フルレンジの6又は7に対応づけられる。
図23(b)は対応テーブルの一例を示す図である。このような対応テーブルによりリミテッドレンジのRGB信号はフルレンジに変換される。なお、均等に対応づける
図23(b)の例は一例であって、暗い領域(例えば16未満)又は明るい領域(例えば235超)の少なくとも一方でリミテッドレンジとフルレンジを1対1に対応付け、中間領域でリミテッドレンジのRGB値を異なるフルレンジのRGB値に対応づけてもよい。
【0132】
例えば、リミテッドレンジで25の非重複領域のRGB値は25のまま変換されない。重複領域の同じく25のRGB値は10に変換される。この結果、25>10となり、重複領域が非重複領域よりも暗く投影される。重複領域は階調が広がっているので黒つぶれしにくい。
【0133】
階調補正の後、ブレンディング処理により、隣り合うプロジェクタの重複領域が非重複領域と同等となるように調整されるので、重なり領域が不自然に明るくなってしまうのを防ぐことができる。
【0134】
なお、本実施形態では、フルレンジとリミテッドレンジという用語で説明したが、重複領域の方が非重複領域よりも階調が大きくなればよい。したがって、例えば、非重複領域のRGBレンジを50~200、重複領域のRGBレンジを0~255としてもよい。あるいは、非重複領域のRGBレンジを50~255、重複領域のRGBレンジを0~255としてもよい。
【0135】
<補正処理>
以下、
図20及び
図24を参照しながら、上記補正係数に基づく補正処理の詳細について説明する。
図24は、上記補正係数に基づく補正処理を説明する図である。上述した幾何補正係数計算部136で算出された各プロジェクタの幾何補正係数と、上述した輝度調整部138で算出された各プロジェクタのブレンディング係数とが、
図9に示したステップS111で、各補正処理部114に設定される。
【0136】
まず、補正処理部114は、プロジェクタ・メモリの全画素と、等倍コンテンツ画像上での対応する画素位置との対応付けデータを準備する。上述した幾何補正係数計算部136での処理により、
図20(A)に示すようなプロジェクタ・メモリの全画素に対する画素位置が求められている場合は、補正処理部114は、
図20(A)に示す対応付けデータをそのまま読み出す。プロジェクタ・メモリの格子点座標毎の等倍コンテンツ画像上での画素位置だけが与えられている場合は、格子点以外のプロジェクタ・メモリ上の全画素について、格子点の座標から線形補間等で、参照すべき等倍コンテンツ画像上の座標を計算し、
図20(A)に示すような対応付けデータを計算する。
【0137】
補正処理部114は、プロジェクタ・メモリの画素毎の参照すべき等倍コンテンツ画像上の画素位置(小数点数)に基づき、投影すべき等倍コンテンツ画像から、バイリニア、バイキュービックなどの画素補間方法によって中間画像を生成する。補正処理部114は、更に、生成された中間画像のR,G,B各色の画素値に対し、
図20(B)の対応付けデータにより対応付けられるブレンディング係数を乗じ、最終的な投影画像を生成する。
【0138】
図24には、3台のプロジェクタ150a~150cについて、補正処理部114a~114cによりコンテンツ画像から最終的に得られた投影画像350a~350cが示されている。
図24に示すように、投影モード中、これらの投影画像350a~350cが、プロジェクタ150から投影される。投影画像350は、対応するプロジェクタ150が担当すべきコンテンツ画像の部分に対し各種補正がかけられているので、投影画像350a~350cの投影像は、投影面上で好適に重なり合わせられて、単一の投影像352に合成される。
【0139】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の投影システムは、重複領域の階調を非重複領域よりも広くすることで、黒つぶれを抑制しながら重複領域が不自然に明るくなってしまうのを防ぐことができる。
【0140】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0141】
例えば、
図5などの構成例は、情報処理装置110による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。情報処理装置110の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0142】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0143】
100 投影システム
110 情報処理装置
150 プロジェクタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0144】