(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置、画像形成装置、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240326BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20240326BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20240326BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B65H41/00 B
B65H29/60 Z
B29C63/02
(21)【出願番号】P 2020111643
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 航
(72)【発明者】
【氏名】古橋 朋裕
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 航
(72)【発明者】
【氏名】浅野 翔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義人
(72)【発明者】
【氏名】門馬 真也
(72)【発明者】
【氏名】秋山 城治
(72)【発明者】
【氏名】原口 陽介
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-068115(JP,A)
【文献】特開2017-132559(JP,A)
【文献】特開2006-160429(JP,A)
【文献】特開平05-338039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/04
B65H 41/00
B65H 29/60
B29C 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、
前記シート剥離部によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の前記重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理部と、
を備え、
複数の前記重合シートに対してラミネート処理を施す場合に、先行の重合シートに対して前記ラミネート処理部でラミネート処理を施しているときに、後行の重合シートに対して前記シート剥離部で剥離処理と挿入処理とのうち少なくとも剥離処理をおこなうことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項2】
前記シート剥離部から前記ラミネート処理部に至る搬送経路と、
前記シート剥離部から前記ラミネート処理部とは異なる退避部に至る退避搬送経路と、
前記搬送経路を開放して前記退避搬送経路を閉鎖する第1状態と、前記搬送経路を閉鎖して前記退避搬送経路を開放する第2状態と、を切替える切替手段と、
を備え、
前記後行の重合シートに対して前記シート剥離部で剥離処理をおこなうときに、前記第2状態となるように前記切替手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項3】
前記シート剥離部から前記ラミネート処理部に至る搬送経路に、シート検知センサを設置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラミネート処理装置。
【請求項4】
前記先行の重合シートの後端が前記ラミネート処理部の最上流部を通過した後に、前記後行の重合シートの先端を前記最上流部に送入させることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のラミネート処理装置。
【請求項5】
前記最上流部は、複数の熱加圧ローラ対が搬送方向に並設されている場合には搬送方向最上流側に配置された熱加圧ローラ対のニップであって、1つの熱加圧ローラ対のみが設置されている場合には当該熱加圧ローラ対のニップであることを特徴とする請求項4に記載のラミネート処理装置。
【請求項6】
前記シート剥離部は、
所定の回転方向に回転して前記重合シートを巻き付ける巻付けローラと、
前記巻付けローラとの間に形成された搬送経路において前記巻付けローラに向けて前記重合シートの前記一端側の反対側の他端側を先頭にして前記重合シートを搬送する搬送ローラ対と、
前記巻付けローラによって前記他端側から巻き付けられて、前記搬送ローラ対によって前記一端側が挟持された状態の前記重合シートに対して、前記巻付けローラと前記搬送ローラ対との間で前記2枚のシートの間に形成される隙間に挿入される剥離部材と、
前記剥離部材によって剥離された前記2枚のシートを、別々の方向に分岐する2つの分岐搬送経路に導く切替部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載のラミネート処理装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載のラミネート処理装置と、
シートに画像を形成する画像形成装置本体と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれかに記載のラミネート処理装置が、シートに画像を形成する画像形成装置に対して着脱可能に設置されたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中シートが挿入された重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、画像形成システムと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部で接合された重合シートを剥離した状態で中シートを挿入して、その後にラミネート処理を施すラミネート処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、特許文献1におけるラミネート処理装置は、一端側の1辺が接合されたラミネートシート(重合シート)における2枚のシートを分離(剥離)して、その間に保護紙(中シート)を挿入している。そして、保護紙が挿入されたラミネートシートを、ヒータが設置された部分(ラミネート処理部)に搬送して、加熱してラミネート処理を施している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のラミネート処理装置は、複数の重合シートに対してラミネート処理を施す場合に、先行の重合シートに対してラミネート処理が完全に終了した後に、後行の重合シートに対する剥離処理を開始していたため、すべての重合シートに対するラミネート処理が終了するまでに時間が掛かってしまい生産性が悪かった。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、複数の重合シートに対してラミネート処理を施すときの生産性が高い、ラミネート処理装置、画像形成装置、及び、画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明におけるラミネート処理装置は、2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、前記シート剥離部によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の前記重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理部と、を備え、複数の前記重合シートに対してラミネート処理を施す場合に、先行の重合シートに対して前記ラミネート処理部でラミネート処理を施しているときに、後行の重合シートに対して前記シート剥離部で剥離処理と挿入処理とのうち少なくとも剥離処理をおこなうものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の重合シートに対してラミネート処理を施すときの生産性が高い、ラミネート処理装置、画像形成装置、及び、画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の実施の形態におけるラミネート処理装置を示す全体構成図である。
【
図2】(A)把持部材が把持位置に移動した状態を示す側面図と、(B)把持部材が退避位置に移動した状態を示す側面図と、である。
【
図3】(A)把持部材が把持位置に移動した状態を示す斜視図と、(B)把持部材が退避位置に移動した状態を示す斜視図と、である。
【
図5】
図4に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図6】
図5に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図7】
図6に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図8】
図7に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図9】
図8に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図10】
図9に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図11】剥離爪が重合シートに挿入された状態を幅方向に示す図である。
【
図13】ラミネート処理装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【
図16】変形例1としての、ラミネート処理装置の動作の一部を示す図である。
【
図17】変形例2としての、画像形成装置を示す図である。
【
図18】変形例3としての、画像形成システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、
図1にて、ラミネート処理装置50における全体の構成・動作について説明する。
ラミネート処理装置50には、シート剥離部1、ラミネート処理部51、排出トレイ13、退避部としての第2排出トレイ55、などが設けられている。
また、シート剥離部1には、第1、第2給送トレイ11、12、第1、第2給送ローラ2、3、第1~第3搬送ローラ対4~6、第1~第8センサ41~48、巻付けローラ20、移動機構30、剥離部材としての剥離爪16(
図6、
図12等参照)、などが設けられている。
【0010】
シート剥離部1は、2枚のシートP1、P2が重ね合されて一端側が接合部Aとして接合された重合シートPJ(
図12等参照)の非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する挿入処理をおこなう機構である。
特に、本実施の形態において、重合シートPJとして、2枚のシートP1、P2を重ね合わせて、4辺のうち1辺を接合部Aとして接合したものを用いている。すなわち、重合シートPJ(2枚のシートP1、P2)は、1辺(接合部A)のみが熱溶着などによって繋がっていて、その他の部分は接合されていない。また、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2としては、透明なフィルムシート(ラミネートシート)を用いることができる。
そして、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2を剥離して(接合部Aの接合を維持した状態で2枚のシートP1、P2の接合部Aの反対側の他端側を分離して)、剥離した2枚のシートP1、P2の間に中シートPM(少なくとも1枚の普通紙、写真などのシートである。)を挿入する動作が、シート剥離部1でおこなわれることになる。
【0011】
ラミネート処理部51は、シート剥離部1によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の重合シートPJにラミネート処理を施す機構である。
詳しくは、ラミネート処理部51は、シート剥離部1によって剥離された2枚のシートP1、P2(重合シートPJを構成する2枚のシートである。)の間に中シートPMが挿入された状態の重合シートPJにラミネート処理(熱と圧力とを加えて非接合部を接合する処理である。)を施す機構であって、シート剥離部1の下流側(順方向下流側であって、
図1の左方である。)に設置されている。ラミネート処理部51には、中シートPMが挿入された状態の重合シートPJを順方向に搬送しながら、その重合シートPJに熱と圧力とを与える複数の熱加圧ローラ対51a~51c(
図9、
図10参照)が搬送方向に並設されている。また、第3搬送ローラ対6とラミネート処理部51との間には搬送経路としての第4搬送経路K6が設けられている。
【0012】
排出トレイ13は、ラミネート処理装置50から排出されたラミネート処理後の重合シートPJ(及び、中シートPJ)が載置されるためのものである。
第2排出トレイ55は、ラミネート処理を施さないシートを載置されるためのものである。なお、この第2排出トレイ55は、連続してラミネート処理をおこなうときに、後行の重合シートを一時的にパージする退避部としても機能することになるが、これについては
図9、
図10等を用いて後で詳しく説明する。
【0013】
また、ラミネート処理装置50には、第1搬送経路K1、第2搬送経路K2、第3搬送経路K3、第1分岐搬送経路K4、第2分岐搬送経路K5、第4搬送経路K6、退避搬送経路K7、などの複数の搬送経路が形成されている。これらの搬送経路K1~K7は、それぞれ、シート(重合シートPJや中シートPMである。)の搬送を案内するためのものであって、対向する2つの搬送ガイド部材(ガイド板)によって形成されている。
特に、本実施の形態において、第1分岐搬送経路K4と第2分岐搬送経路K5とは、巻付けローラ20と第3搬送経路K3との間で第3搬送経路K3を挟んで別々の方向に分岐している。
また、第4搬送経路K6は、シート剥離部1(第3搬送ローラ対6)からラミネート処理部51に至る搬送経路である。また、退避搬送経路K7は、シート剥離部1からラミネート処理部51とは異なる第2排出トレイ55(退避部)に至る搬送経路である。具体的に、第4搬送経路K6と退避搬送経路K7とは、第3搬送ローラ対6の下流側(
図1の左側である。)で、別々の方向に分岐している。
【0014】
図1等に示すように、第1給送トレイ11には、重合シートPJが積載されている。そして、第1給送トレイ11上の最上方の重合シートPJが第1給送ローラ2によって給送されて、第1搬送ローラ対4によって第1搬送経路K1に沿って搬送されることになる。
このように、第1給送トレイ11や第1給送ローラ2などが、重合シートPJを給送する第1給送手段として機能することになる。そして、第1給送手段は、制御部(制御手段)による制御によって、第1給送ローラ2を回転駆動して、第1給送トレイ11から重合シートPJを給送することになる。
また、第2給送トレイ12には、中シートPMが積載されている。そして、第2給送トレイ12上の最上方の中シートPMが第2給送ローラ3によって給送されることになる。
このように、第2給送トレイ12や第2給送ローラ3などが、中シートPM(非接合部が剥離された重合シートPJの2枚のシートP1、P2の間に挿入されるシートである。)を給送する第2給送手段として機能することになる。そして、第2給送手段は、制御部(制御手段)による制御によって、第2給送ローラ3を回転駆動して、第2給送トレイ12から中シートPMを給送することになる。
【0015】
そして、本実施の形態におけるラミネート処理装置50は、第1給送手段2、11によって重合シートPJが給送された後であって、重合シートPJの非接合部を剥離する動作が終了する前に、第2給送手段3、12によって中シートPMの給送が開始されるように制御している。
すなわち、本実施の形態では、重合シートPJの給送と中シートPMの給送とをそれぞれ別々の操作(ユーザーによる操作表示パネル49の操作である。)でおこなうのではなくて、それらを1回の操作でおこなうことができる。具体的に、ユーザーが、操作表示パネル49のボタンを1回押して処理動作を開始することで、その1回の指令に基づいて、重合シートPJが給送されておこなわれる剥離処理と、剥離された重合シートPJの間に中シートPMが挿入される挿入処理と、ラミネート処理と、が自動で一括しておこなわれることになる。
そして、中シートPMが第2給送トレイ12から給送開始される動作は、重合シートPJの剥離動作が終了した後におこなわれるのではなくて、重合シートPJの剥離動作が終了する前におこなわれる。そのため、重合シートPJを第1給送トレイ11から給送してから中シートPMの挿入が終了するまでの一連の工程に要する時間が効率的に短縮されて、装置の生産性が向上する。すなわち、シート挿入装置1で処理が開始されてから終了するまでの時間が短縮されることになる。
【0016】
ここで、第1~第3搬送ローラ対4~6や排出ローラ対7や第2排出ローラ対8は、いずれも、駆動ローラと従動ローラとからなり、そのニップに挟持されたシートを搬送するものである。第3搬送経路K3には、上流側から、第2搬送ローラ対5、巻付けローラ20、第3搬送ローラ対6が設置されている。特に、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6と第2排出ローラ対8とは、正転・逆転可能であって、第3搬送ローラ対6と第2排出ローラ対8とは、シートを順方向(
図1の左方向である。)にも逆方向(
図1の右方向である。)にも搬送可能に構成されている。また、第3搬送ローラ対6は、シートをラミネート処理部51又は第2排出トレイ55に向けて搬送する搬送ローラ対としても機能する。また、排出ローラ対7は、ラミネート処理後の重合シートPJ(及び、中シートPM)を排出トレイ13に向けて排出するための搬送ローラ対である。
【0017】
なお、第3搬送ローラ対6の順方向下流側(
図1の左方である。)には、シートPを、ラミネート処理部51に向けて搬送したり、第2排出トレイ55に向けて搬送したり、切り替えるための切替爪17(切替手段)が設置されている。
すなわち、切替爪17は、第4搬送経路K6を開放して退避搬送経路K7を閉鎖する第1状態(
図9(A)等の状態である。)と、第4搬送経路K6を閉鎖して退避搬送経路K7を開放する第2状態(
図9(C)等の状態である。)と、を切替える切替手段として機能する。
ユーザーによって選択されたモード(特に、複数の重合シートPJに対して連続してラミネート処理を施す場合である。)によって、切替爪17が制御されて、シートPの搬送先(排出先)が適宜に切替えられることになる。
この切替手段としての切替爪17の動作については、後で
図9、
図10等を用いて詳しく説明する。
【0018】
図1を参照して、シート検知センサとしての第1~第5センサ41~45や第7、第8センサ47、48は、いずれも、その位置にシートが存在するか否かを光学的に検知する反射型フォトセンサである。第1センサ41は第1搬送ローラ対4の下流側近傍に配置され、第2センサ42は第2給送ローラ3の下流側近傍に配置され、第3センサ43は第2搬送ローラ対5の下流側近傍に配置され、第4センサ44は巻付けローラ20の下流側(
図1において巻付けローラ20の左側である。)近傍であって第3搬送ローラ対6の上流側(
図1において第3搬送ローラ対6の右側である。)に配置され、第5センサ45はシート剥離部1からラミネート処理部51に至る第4搬送経路K6(
図1において第3搬送ローラ対6の左側(下流側)である。)に配置されている。また、第7センサ47は第1分岐搬送経路K4に配置され、第8センサ48は第2分岐搬送経路K5に配置されている。
なお、第6センサ46は、剥離動作時における異常状態を検知する異常検知手段として機能するものであるが、これについては後で詳しく説明する。
【0019】
図2、
図3、
図5(B)~(D)、
図6(A)等を参照して、巻付けローラ20は、巻付け開始位置W(
図5(B)参照)で、重合シートPJの他端側(接合部Aが形成された側の反対側である。)を被把持部Bとして、把持部材32(把持部)によって被把持部Bを把持した状態で所定の回転方向(
図5において反時計回り方向である。)に回転して重合シートPJを巻き付けるローラ部材である。巻付けローラ20は、制御部によって制御される駆動モータの駆動によって、回転軸20aを中心に正逆方向に回転可能に構成されている。
具体的に、重合シートPJは、第1給送トレイから第1搬送経路K1を経由して、第2搬送ローラ対5によって第3搬送経路K3を順方向に搬送されて、一旦、巻付けローラ20の巻付け開始位置Wを通過して第3搬送ローラ対6の位置(重合シートPJの後端が、第4センサ44を通過して、第3搬送ローラ対6を通過する手前の位置である。)まで搬送される。その後、重合シートPJは、逆転された第3搬送ローラ対6によって巻き付けローラ20の位置(巻付け開始位置W)まで逆方向に搬送されて、把持部材32に把持される。そして、重合シートPJは、その把持された状態でさらに搬送されて、
図1の反時計回り方向に回転する巻付けローラ20によって巻き付けられることになる。
【0020】
そして、
図5(C´)等を参照して、巻付けローラ20によって重合シートPJが巻き付けられていくとき、巻付き長さがローラ径に比例するため、ローラ内周面側の第1のシートP1の巻付き長さがローラ外周面側の第2のシートP2の巻付き長さよりも短くなる。そのため、接合部A及び被把持部B以外の第1のシートP1と第2のシートP2とが密着している部分(張り付いている部分)にずれが生じて、そのずれによって第2のシートP2に対して第1のシートP1が撓み(弛み)、
図5(D)、
図6(A)等に示すように、重合シートPJの接合部Aの側(一端側)で2枚のシートP1、P2の間に隙間C(上方の第1のシートP1が上方に撓んでできる隙間Cである。)が形成されることになる。このようにして、2枚のシートP1、P2が、隙間なく密着した状態から、剥離(分離)した状態になる。
特に、本実施の形態では、上述したような隙間Cを顕著に形成する(シートP1、P2の巻付き長さの差を大きくする)ために、重合シートPJを巻付けローラ20に少なくとも1周以上巻き付けている。
このように、本実施の形態では、重合シートPJを巻き付ける巻付けローラ20を設置することで、ラミネート処理装置50がそれほど大型化・高コスト化することなく、重合シートPJの剥離を可能にしている。
【0021】
ここで、本実施の形態において、把持部材32は、
図5(B´)に示すように、重合シートPJの他端側(被把持部Bの側である。)の端面に接触することなく、被把持部Bを把持するように構成されている。
詳しくは、把持部材32は、重合シートPJの他端側の端面をいかなる部材に接触させることなく、巻付けローラ20の受部20bとの間で被把持部Bを挟み込んで把持するように構成されている。受部20bは、巻付けローラ20の外周部において、外側に露呈して把持部材32に対向可能に形成されている。
具体的に、重合シートPJは、その他端側端面(先端面)が特定の部材(例えば、把持部材32自体である。)に突き当たった状態で把持部材32と受部20bとに挟まれ把持されるのではなくて、その他端側端面(先端面)がいかなる部材にも突き当たることなく、外側の把持部材32と内側の受部20bとによって挟まれて把持されることになる。
そのため、先端面を突き当てる場合に比べて、重合シートPJ(特に、先端の部分である。)が傷ついてしまう不具合を軽減することができる。特に、重合シートPの先端面が傷ついてしまうと、その部分をラミネート処理しようとしても、しにくくなってしまうため、本発明の構成が有用になる。
なお、本実施の形態において、巻付けローラ20に巻き付けられる重合シートPJは、被把持部Bとなる他端側の反対側の一端側に接合部Aが形成されたものである。
【0022】
ここで、本実施の形態では、把持部材32(把持部)と受部20bとのうち少なくとも一方が、ゴムなどの弾性材料で形成されている。
これにより、把持部材32と受部20bとの双方を金属材料や樹脂材料などの剛体で形成する場合に比べて、重合シートPJに対する把持力を高めることができるとともに、重合シートPJの表面に傷をつけにくくなる。特に、把持部材32と受部20bとの双方を弾性材料で形成した場合には、そのような効果が顕著に得られる。
【0023】
図2、
図3に示すように、移動機構30は、把持部材32を、重合シートPJを把持可能な把持位置(
図2(A)、
図3(A)に示す位置である。)と、把持位置から退避した退避位置(
図2(B)、
図3(B)に示す位置である。)と、の間を移動させるものである。
詳しくは、移動機構30は、アーム部材31、付勢部材としての圧縮スプリング33、カム34、カム34を正逆方向に回転駆動するモータ(不図示)、などで構成されている。
アーム部材31は、把持部材32を保持するとともに、支軸31aを中心に把持部材32とともに回動可能に巻付けローラ20に保持されている。本実施の形態では、把持部材32がアーム部材31の先端部に一体的に形成(保持)されている。これに対して、把持部材32をアーム部材31とは別部材にして、アーム部材31に把持部材32を設置(保持)するように構成することもできる。いずれにしても、把持部材32を保持したアーム部材31は、巻付けローラ20とともに回転軸20aを中心に回転することになる。
圧縮スプリング33は、把持部材32が
図2(B)に示す退避位置から
図2(A)に示す把持位置に移動するようにアーム部材31を付勢する付勢部材として機能している。具体的に、圧縮スプリング33は、その一端が回転軸20aの近傍の固定位置に接続され、その他端がアーム部材31の一端側(支軸31aを挟んで把持部材32が設けられた側の反対側である。)に接続されている。
カム34は、把持部材32が
図2(A)に示す把持位置から
図2(B)に示す退避位置に移動するように、圧縮スプリング33(付勢部材)の付勢に抗してアーム部材31を押動するものである。カム34は、制御部に制御されるモータによって所望の回転角度で正逆方向に回転駆動されることになる。カム34は、巻付けローラ20とは独立して、カム軸34aを中心に回転可能に装置筐体に保持されている。
【0024】
このように構成された移動機構30は、
図2(A)、
図3(A)に示すように、カム34がアーム部材31に接触していない状態では、アーム部材31が圧縮スプリング33に付勢されて、把持部材32が受部20bに圧接する状態(閉状態)になる。この閉状態は、重合シートPJを把持可能な状態である。
これに対して、
図2(B)、
図3(B)に示すように、カム34がアーム部材31を押圧した状態では、アーム部材31が圧縮スプリング33の付勢に抗するように、支軸31aを中心に
図2(B)の反時計回り方向に回転して、把持部材32が受部20bから離間した状態(開状態)になる。この開状態は、重合シートPJを把持できない状態(把持解除状態)である。
【0025】
なお、本実施の形態では、
図3に示すように、巻付けローラ20のローラ部を軸方向に複数(7つである。)に分割するとともに、その分割位置に合わせるように、カム34も軸方向に複数に分割している。
このように重合シートPJを把持する位置を、軸方向の全域とするのではなくて、軸方向に分割することで、重合シートPJを把持するために必要な負荷を分散することができる。このような構成は、必要な把持力が大きくなってしまう場合に有用である。
【0026】
ここで、
図1、
図4(D)、
図5(A)等に示すように、本実施の形態におけるラミネート処理装置50には、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間に搬送される重合シートPJを検知する第4センサ44(シート検知センサ)が設置されている。そして、第3搬送ローラ対6により巻付けローラ20に向けて搬送される重合シートPJの先端を検知する第4センサ44の検知結果に基づいて移動機構30が制御されている。
詳しくは、第4センサ44は、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間の搬送経路に配置されている。そして、
図4(D)、
図5(A)等に示すように、重合シートPJが、被把持部Bの側を先頭にして、第3搬送ローラ対6によって巻付けローラ20の位置に向けて逆方向に搬送されるときに、その先端(逆方向搬送時の先端である。)を第4センサ44によって検知する。そして、その検知タイミングをトリガにして、重合シートPJを把持位置に停止させるタイミングと、把持部材32によって被把持部Bを把持するタイミングと、を調整制御している。具体的に、重合シートPJの先端を第4センサ44によって検知してから、所定時間が経過した後に、第3搬送ローラ対6による重合シートPJの逆方向の搬送を停止して、把持部材32が
図2(B)に示す退避位置から
図2(A)に示す把持位置に移動するように、カム34を回動してアーム部材31(移動機構30)を回転させる。
このような制御をおこなうことで、重合シートPJの端面をいかなる部材に突き当てることなく把持部材32と受部20bとによって挟み込む動作が、精度良くおこなわれることになる。
【0027】
ここで、第3搬送ローラ対6は、先に説明したように、巻付けローラ20との間に形成された第3搬送経路K3(搬送経路)において巻付けローラ20(巻付け開始位置W)に向けて他端側(被把持部Bの側である。)を先頭にして重合シートPJを搬送する搬送ローラ対である。
【0028】
また、
図6(A)~(C)、
図11、
図12(A)~(E)、
図15等を参照して、剥離部材としての剥離爪16は、重合シートPJに対して所定位置で2枚のシートP1、P2の間に形成される隙間Cに、
図12(A)に示す待機位置から移動して挿入される爪状の部材である。
さらに具体的に、剥離爪16は、巻付けローラ20によって他端側(被把持部Bの側)から巻き付けられて、第3搬送ローラ対6(搬送ローラ対)によって一端側(接合部Aの側)が挟持された状態の重合シートPJに対して、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で2枚のシートP1、P2の間に形成される隙間Cに、幅方向端部の待機位置から挿入されるものである。
【0029】
さらに詳しくは、本実施の形態において、剥離爪16は、幅方向(
図6の紙面垂直方向であって、
図11、
図15の左右方向である。)の両端にそれぞれ配置された一対の剥離爪である。また、剥離爪16は、
図12に示すように、幅方向中央側の先端から幅方向外側の後端にかけて、その上下方向(重合シートPJの厚さ方向である。)の長さが徐々に増加するように形成されている。さらに、剥離爪16は、制御部により制御される移動機構76(
図15参照)によって、幅方向に移動可能に構成されている。
このように構成された剥離爪16は、通常時に、第3搬送経路K3において重合シートPJなどのシートの搬送を妨げない待機位置(
図12(A)に示すように、シートPの幅方向外側の位置である。)に待機している。そして、剥離爪16は、重合シートPJ(2枚のシートP1、P2)を分離するときに、
図11、
図12(B)等に示すように、重合シートPJの隙間Cに入り込んで、その隙間Cを確保することになる。
【0030】
図15に示すように、一対の剥離爪16をそれぞれ幅方向に移動する移動機構76は、モータ77、ギア・プーリ78、プーリ79、タイミングベルト80等で構成されている。ギア・プーリ78は、モータ77のモータ軸に設置されたモータギアに噛合するギアと、プーリ79とともにタイミングベルト80を張架・支持するプーリと、が段状に形成されている。一対の剥離爪16のうち、一方の剥離爪16の固定部16aはタイミングベルト80の一方のベルト面(
図15の上方のベルト面である。)の一部に固定されていて、他方の剥離爪16の固定部16aはタイミングベルト80の他方のベルト面(
図15の下方のベルト面である。)の一部に固定されている。
このように構成された移動機構76によって、モータ77のモータ軸が
図15の矢印方向(時計回り方向)に回転駆動されると、ギア・プーリ78が反時計回り方向に回転され、タイミングベルト80が反時計回り方向に回転され、一対の剥離爪16が幅方向外側から幅方向中央部に向けて移動することになる(一対の剥離爪16が互いに近づく方向への移動である。)。これに対して、モータ77のモータ軸が
図15の矢印方向に対して逆方向に回転駆動されると、一対の剥離爪16が幅方向中央側から幅方向外側に向けて移動することになる(一対の剥離爪16が互いに遠ざかる方向への移動である。)。
【0031】
この剥離爪16は、重合シートPJに対して隙間Cに挿入された状態で一端側(接合部Aの側である。)から他端側B(被把持部Bの側である。)に向けて相対的に移動した後に、重合シートPJの他端側の端部において2枚のシートP1、P2の間で幅方向に移動する。
詳しくは、制御部による移動機構76(
図15参照)の制御によって、一対の剥離爪16は、
図12(B)、(C)に示すように、重合シートPJに対して隙間Cの幅方向両端部にそれぞれ挿入された状態で他端側に向けて相対的に他端側の端部が16aを過ぎた位置まで移動した後に、
図12(D)に示すように、重合シートPJの他端側端部において2枚のシートP1、P2の間で幅方向両端部から幅方向中央部にそれぞれ移動する。このような一対の剥離爪16の動作を可能にするため、移動機構76は、一対の剥離爪16が待機位置から互いに近接する位置まで移動できるように構成されている。
【0032】
このような巻付けローラ20による巻付けと、剥離爪16の挿入と、によって重合シートPJを剥離する機構は、バキュームなどの大掛かりな装置を用いて剥離する機構に比べて、装置を小型化することができる。すなわち、ラミネート処理装置50が大型化することなく、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2を良好に剥離することができる。
特に、本実施の形態では、重合シートPJの幅方向他端側(後端)において剥離爪16が幅方向のほぼ全域にわたって移動することになるため、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2に対して、接合部Aの反対側の他端側の端部を充分に剥離(分離)することができる。そのため、接合部Aの反対側の他端側端部が充分に剥離されずに、重合シートPJの他端側から中シートPM(
図12(E)参照)を挿入しようとしても挿入できない不具合なども生じにくくなる。さらに、次に説明する剥離爪16の切替部材としての機能(2枚のシートP1、P2を2つの分岐搬送経路K4、K5に別々に導く機能である。)が発揮されやすくなる。
【0033】
ここで、本実施の形態において、剥離部材としての剥離爪16は、剥離爪16によって剥離された2枚のシートP1、P2を、別々の方向に分岐する2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ別々に導く切替部材としても機能する。
詳しくは、
図7(C)等に示すように、2つの分岐搬送経路K4、K5は、剥離爪16(剥離部材)と巻付けローラ20との間で第3搬送経路K3を挟んで別々の方向に分岐している。具体的に、第1分岐搬送経路K4は第3搬送経路K3から上方に向けて分岐するように形成され、第2分岐搬送経路K5は第3搬送経路K3から下方に向けて分岐するように形成されている。
そして、
図7(A)~(C)に示すように、隙間Cに剥離爪16が挿入された後に、重合シートPJの他端側の巻付けローラ20への巻付けが解除されるように第3搬送ローラ対6によって重合シートPJを一端側(
図7の左側である。)に搬送する(
図12(A)~(C)参照)。その後、
図12(D)に示すように、剥離爪16を幅方向中央部に移動した後に、その状態を維持して、第3搬送ローラ対6によって重合シートPJを再び他端側(
図7の右側である。)に搬送して、剥離爪16によって剥離された2枚のシートP1、P2を剥離爪16によって2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ別々に導く。すなわち、第1のシートP1は第1分岐搬送経路K4に導かれ、第2のシートP2は第2分岐搬送経路K5に導かれる。そして、その後に、
図8(A)~(C)、
図12(E)に示すように、剥離爪16を待機位置に移動させて、剥離された状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPMが挿入されるように中シートPMを第3搬送経路K3の一端側に向けて搬送する。
【0034】
このように、本実施の形態における剥離爪16は、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2の非接合部を剥離(分離)する剥離部材として機能するとともに、その剥離した2枚のシートP1、P2を2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ別々に導く切替部材として機能する。そのため、剥離部材と切替部材とを別々に設ける場合に比べて、ラミネート処理装置50を小型化・低コスト化することができる。すなわち、重合シートJPを構成する2枚のシートP1、P2を効率的に良好に剥離することができる。
第7センサ47は、剥離された第1のシートP1が第1分岐搬送経路K4に正常に搬送された状態を光学的に検知するものである。また、第8センサ48は、剥離された第2のシートP2が第2分岐搬送経路K5に正常に搬送された状態を光学的に検知するものである。
なお、本実施の形態では、剥離爪16が剥離部材として機能するとともに切替部材としても機能するように構成したが、剥離部材として機能する剥離爪16とは別に切替部材として機能する部材を設置することもできる。
【0035】
ここで、
図6(A)、(C)等を参照して、第1ガイド部材25は、第3搬送経路K3において剥離爪16と巻付けローラ20との間で、重合シートPJの2つのシートP1、P2のうち巻付けローラ20において内側に巻きつけられる第1のシートP1の弛み量(撓み量)を制限する制限部材として機能している。
詳しくは、制限部材としての第1ガイド部材25は、第3搬送経路において仮想面S1(巻付けローラ20の巻付け開始位置Wと第3搬送ローラ対6のニップとを通る仮想平面であって、
図6(A)参照)に対して巻付けローラ20が配置された側(仮想面S1の上方である。)に配置された搬送ガイド部材である。また、第1ガイド部材25は、巻付けローラ20の外周に沿って所定の間隔をあけて、その外周の一部を覆うように略三角柱状に形成されていて、第3搬送経路K3と第1分岐搬送経路K4との搬送ガイド部材としても機能している。すなわち、第1ガイド部材25によって、第3搬送経路K3を搬送されるシートや、第1分岐搬送経路K4を搬送されるシートや、巻付けローラ20に巻き付けられるシートが、案内されることになる。
特に、第3搬送経路K3においては、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で、重合シートPJの上方への撓み(特に、第1のシートP1の上方への撓みである。)が第1ガイド部材25によって制限されるため、第1ガイド部材25と第3搬送ローラ対6との間で、重合シートPJの隙間C(特に、第1のシートP1の上方への撓みである。)が集中的に形成されることになる。そのため、重合シートPJの巻付けローラ20への巻付け量を大きくしなくても隙間Cの間隔を大きくできて、隙間Cに剥離爪16を挿入して重合シートPJを剥離する動作を不具合なくおこなうことができる。
【0036】
また、
図6(A)、(C)等を参照して、第2ガイド部材26は、第3搬送経路K3において剥離爪16と巻付けローラ20との間で、重合シートPJの2つのシートP1、P2のうち巻付けローラ20において外側に巻きつけられる第2のシートP2を案内する案内部材として機能している。
詳しくは、案内部材としての第2ガイド部材26は、第3搬送経路において仮想面S1(
図6(A)参照)に対して巻付けローラ20が配置されていない側(仮想面S1の下方である。)に配置された搬送ガイド部材である。また、第2ガイド部材26は、第2搬送ローラ対5の上流側近傍から第3搬送ローラ対6の下流側近傍にかけて、シートの下面に対向するように配置されている。すなわち、第2ガイド部材26によって、第3搬送経路K3を搬送されるシートが案内されることになる。
特に、第3搬送経路K3においては、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で、第1ガイド部材25と第2ガイド部材26との間隔が、最大のシート厚さのシートが搬送可能な値に設定されていて、第1ガイド部材25と第2ガイド部材26との間で重合シートPJのシートP1とシートP2との間隔が大きくならないように制限されるため、重合シートPJの隙間C(特に、第1のシートP1の上方への撓みである。)が集中的に形成されることになる。そのため、隙間Cに剥離爪16を挿入して重合シートPJを剥離する動作を不具合なくおこなうことができる。
【0037】
ここで、
図6等を参照して、第6センサ46(異常検知センサ)は、剥離爪16の待機位置からの移動(
図15に示す待機位置から
図11、
図12(A)に示す剥離位置への移動である。)がおこなわれる前に、所定位置(第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20との間である。)で2枚のシートP1、P2の間に所定の間隔を超える隙間Cが形成されていない異常状態を検知する異常検知手段として機能するものである。すなわち、異常検知手段としての第6センサ46は、剥離爪16が隙間Cに挿入される前に、所定位置で2枚のシートP1、P2の間に所定の間隔を超える隙間Cが形成されていない異常状態を検知する。
さらに換言すると、異常検知手段としての第6センサ46は、
図5(D)、
図6(A)に示すように2枚のシートP1、P2の間に隙間Cが形成されるべきタイミングで、まったく隙間Cが形成されていない状態や、充分な間隔の隙間Cが形成されていない状態を、異常状態として検知するものである。
そして、本実施の形態では、第6センサ46(異常検知手段)によって異常状態が検知されたときに、異常状態が生じた旨を通知するようにしている。詳しくは、
図1に示すように、ラミネート処理装置50の外装部には、ラミネート処理装置50における種々の情報を表示したり種々の指令を入力したりするための操作表示パネル49(操作表示部)が設置されている。そして、第6センサ46によって重合シートPJに充分な間隔の隙間Cが形成されていない状態が検知されると、操作表示パネル49に異常が検知された旨が表示される。そのような表示は、例えば、「異常が生じたため、中シートを挿入する処理を中止します。ユニット給送トレイにおける重合シートのセット方向を確認してください。また、セット方向が正しくて、同じような異常が繰り返される場合にはサービスマンに連絡してください」などである。
このような第6センサ46(異常検知手段)としては、所定の間隔を超えた隙間Cが形成された重合シートPJ(上方の第1のシートP1である。)に接触するレバー式センサなどを用いることができる。
【0038】
ここで、
図9、
図10を参照して、本実施の形態におけるラミネート処理装置50は、複数の重合シートPJに対してラミネート処理を施す場合に、先行の重合シートPJに対してラミネート処理部51でラミネート処理を施しているときに、後行の重合シートPJに対してシート剥離部1で剥離処理と挿入処理とのうち少なくとも剥離処理をおこなうようにしている。
すなわち、本実施の形態では、複数の重合シートPJに対してそれぞれラミネート処理を連続的に施す場合(以下、適宜に「連続ラミネート処理」と呼ぶ。)に、先行の重合シートPJ1に対してラミネート処理が完全に終了した後に後行の重合シートPJ2に対する剥離処理を開始するのではなくて、先行の重合シートPJ1に対してラミネート処理を施している最中に、後行の重合シートPJ2に対する剥離処理を開始している。さらに換言すると、先行の重合シートPJ1と、後行の重合シートPJ2と、の隙間(紙間)を詰めて、連続ラミネート処理をおこなっている。
そのため、複数の重合シートPJに対するラミネート処理(一連のジョブ)がすべて終了するまでの時間が短縮化されて、装置における生産性が向上することになる。
【0039】
特に、本実施の形態では、
図9(C)、(D)、
図10(A)に示すように、連続ラミネート処理時において、後行の重合シートPJ2に対してシート剥離部1で剥離処理をおこなうときに、第2状態(第4搬送経路K6を閉鎖して退避搬送経路K7を開放する状態である。)となるように切替爪17(切替手段)を制御している。
すなわち、後行の重合シートPJ2に対してシート剥離部1で剥離処理をおこなうときに、第4搬送経路K6を閉鎖するとともに、退避搬送経路K7を開放している。
これにより、退避搬送経路K7が設けられておらず、第4搬送経路K6のみを用いて連続ラミネート処理をおこなう場合に比べて、第4搬送経路K6の長さ(搬送方向の長さである。)を短くしても(装置を小型化しても)、後行の重合シートPJ2が先行の重合シートPJ1に干渉してしまう不具合を防止することができる。
なお、このような切替爪17の切替え制御は、第4搬送経路K6と退避搬送経路K7との分岐部の近傍に設置された第5センサ45によって、先行の重合シートPJ1の後端を検知するタイミングをトリガにしておこなわれる。
【0040】
また、本実施の形態では、
図10(A)~(C)に示すように、連続ラミネート処理時において、先行の重合シートPJ1の後端がラミネート処理部51の最上流部(搬送方向最上流側に配置された第1熱加圧ローラ対51aのニップ)を通過した後に、後行の重合シートPJ2の先端を最上流部(第1熱加圧ローラ対51aのニップ)に送入させるように制御している。
そのため、先行の重合シートPJ1と、後行の重合シートPJ2と、の隙間(紙間)がさらに詰められた状態で、連続ラミネート処理がおこなわれることになる。したがって、複数の重合シートPJに対するラミネート処理(一連のジョブ)がすべて終了するまでの時間が短縮化されて、装置における生産性が向上することになる。
【0041】
以下、
図4~
図10を参照して、ラミネート処理装置50において、複数の重合シートPJに対して、連続ラミネート処理を施すときの動作について説明する。
また、その動作説明において、適宜に、
図11、
図12を用いて剥離爪16の動作を説明するとともに、
図13、
図14のフローチャートを用いて制御フローを説明する。
まず、重合シートPJ(先行の重合シートPJ1である。)が第1給送トレイから第1給送ローラ2と第1搬送ローラ対4とによって給送されると(
図13:ステップS1)、
図4(A)に示すように、第3搬送経路K3において、接合部Aを先頭にして第2搬送ローラ対5によって順方向(
図4の右方から左方に向かう方向である。)に搬送される。
このとき、把持部材32が把持位置に位置するように移動機構30が制御されている。すなわち、カム34は、アーム部材31を押圧しない回転位置に移動している。このように把持部材32が把持位置に位置しているとき、把持部材32によって第3搬送経路K3におけるシートの搬送が妨げられることはない。また、剥離爪16は、第3搬送経路K3におけるシートの搬送を妨げない待機位置(
図12(A)の位置である。)に待機している。
そして、
図4(B)に示すように、重合シートPJの接合部A(順方向先端、一端側)が第3センサ43によって検知されるタイミングをトリガにして、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、他端側)が巻付けローラ20の位置を通過するまで第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X1搬送させる(
図13:ステップS2、S3)。なお、このとき、この重合シートPJが連続ラミネート処理時における後行の重合シートPJ2(2枚目以降の重合シートである。)である場合には、切替爪17(
図9参照)が第4搬送経路K6を閉鎖して退避搬送経路K7を開放する位置に回動される。
そして、
図4(C)に示すように、その状態で一時的に第3搬送ローラ対6による重合シートPJの搬送を停止させるとともに、把持部材32を把持位置から退避位置へ移動する(
図13:ステップS4)。すなわち、カム34を、アーム部材31を押圧する回転位置に移動させる。この状態は、把持部材32と受部20bとの間に重合シートPJの被把持部Bを受入可能な状態である。
そして、
図4(D)に示すように、第3搬送ローラ対6を逆回転して、重合シートPJの逆方向の搬送を開始する(
図13:ステップS5)。このとき、第4センサ44によって、重合シートPJの被把持部B(逆方向先端、他端側)が検知される。
【0042】
そして、
図5(A)に示すように、重合シートPJの被把持部Bが第4センサ44によって検知されるタイミングをトリガにして、重合シートPJの被把持部Bが巻付けローラ20の位置(巻付け開始位置W)に達するまで第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X2搬送して停止する(
図13:ステップS6、S7)。
そして、
図5(B)に示すように、その状態で把持部材32を退避位置から把持位置へ移動させる(
図13:ステップS8)。すなわち、カム34を、アーム部材31を押圧しない回転位置に移動する。この状態は、
図5(B´)に示すように、重合シートPJの他端側端面がいかなる部材にも突き当たることなく、把持部材32と受部20bとの間で被把持部Bが把持された状態である。
そして、
図5(C)に示すように、把持部材32によって重合シートPJを把持した状態で巻付けローラ20を逆方向(反時計回り方向)に回転するとともに、第3搬送ローラ対6を再び逆転する。このとき、巻付けローラ20の回転が進められると、
図5(D)に示すように、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で、重合シートPJの2枚のシートP1、P2の間に隙間Cが形成されていく。このとき、重合シートPJは、巻付けローラ20の近傍で第1、第2ガイド部材25、26によって、撓みが制限された状態になる。そのため、重合シートPJの隙間Cは、第3搬送ローラ対6に近い位置に集中的に形成されることになる。
【0043】
このように、第3搬送ローラ対6に対して逆方向下流側に配置された第4センサ44によって重合シートPJの逆方向先端を検知して、そのタイミングをトリガにして把持部材32によって重合シートPJを把持するタイミングを定めているため、必要なシート搬送量X2に対するシート長のばらつき(同じサイズのシートであっても存在する誤差である。)に関わらず、重合シートPJの被把持部Bを所望の把持位置に精度良く搬送することができる。
また、第4センサ44によって重合シートPJの逆方向先端を検知から必要なシート搬送量X2をシート長によらず短くすることができるので、搬送量X2のばらつきを抑えて、重合シートPJの被把持部Bを所望の把持位置に精度良く搬送することができる。
このようなことから、第4センサ44は、巻付けローラ20に近い位置に配置されることが好ましい。
【0044】
また、先に
図5(C´)を用いて、巻付けローラ20に重合シートPJを巻き付けることで、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で重合シートPJに隙間Cが生じるメカニズムについて説明した。
以下、そのメカニズムについて、さらに重ねて補足説明する。
巻付けローラ20に巻き付けられる重合シートPJは、把持部材32に把持されてシートずれが規制された状態になるため、巻付けローラ20で周長差分のスリップが生じて、内側のシートP1の搬送量が外側のシートP2の搬送量に比べて少なくなる。その結果、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20のニップ間で、内側シートP1に撓み(弛み)が生じることになる。このとき、巻付けローラ20に重合シートPJを1周以上巻き付けることで、それ以降はシートの厚み分で内周と外周で周長差が生じて、同じように撓み(弛み)が発生することになる。
詳しくは、内側のシートP1の厚さをΔRとして、巻付けローラ20の回転軸20a(軸中心)から内側のシートP1までの距離をRとすると、巻付けローラ20の回転軸20a(軸中心)から外側のシートP2までの距離はR+ΔRとなる。内側のシートP1の厚みΔRだけ半径が異なるため、重合シートPJを巻付けローラ20に1周巻き付けると、内側シートP1と外側シートP2とに2×ΔR×πの周長差が生じる。したがって、巻付けローラ20に重合シートPJを巻き付ける回数をM回とすると、2×ΔR×π×Mだけ内側シートP1に弛みが生じることになる。
そして、最終的に、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20との間に撓み(弛み)が集まって、2枚のシートP1、P2の間に、2×ΔR×π×Mに相当する隙間Cが形成されることになる。
【0045】
その後、
図6(A)に示すように、巻付けローラ20による重合シートPJの巻付けが開始されてから、第3搬送ローラ対6による搬送量が所定量X3に達した時点で、第3搬送ローラ対6による搬送が停止されるとともに、巻付けローラ20による重合シートPJの巻付けが停止される(
図13:ステップS9)。この状態は、重合シートPJが巻付けローラ20に1周以上巻き付けられた状態であって、正常であれば、重合シートPJの隙間C(シートP1とシートP2との間の距離)が充分に広がった状態になる。
このとき、重合シートPJに所定の間隔F以上の間隔の隙間Cが形成されているものと第6センサ46によって検知されたかが判別される(
図13:ステップS29)。
その結果、所定の間隔F以上の充分な間隔の隙間Cが形成されているものと判別された場合には、その後に剥離爪16による剥離動作をおこなっても問題が生じないものとして、
図6(B)に示すように、充分に広げられた重合シートPJの隙間Cに剥離爪16が挿入される(
図13:ステップS10)。すなわち、
図11、
図12(A)に示すように、一対の剥離爪16が、それぞれ、待機位置から剥離位置に移動される。
そして、
図6(C)に示すように、剥離爪16が隙間Cに挿入された状態で、第3搬送ローラ対6の正転が開始されるとともに、巻付けローラ20の正方向(時計回り方向)の回転が開始される(
図13:ステップS11)。すなわち、
図12(A)~(C)に示すように、重合シートPJに対して隙間Cに挿入された剥離爪16が一端側Aから他端側Bに向けて相対的に移動することになる。なお、本実施の形態において、このような相対的な移動は、剥離爪16の搬送方向の位置は変化せずに、重合シートPJ自体が
図12(A)~(C)に示す矢印方向に移動することで達成されている。
【0046】
なお、
図13のステップS29で、第6センサ46によって異常が検知されたものと判別された場合、すなわち、重合シートPJに所定の間隔F以上の充分な間隔の隙間Cが形成されていない場合には、その後に剥離爪16による剥離動作をおこなうと種々の問題が生じるものとして、剥離爪16の待機位置から剥離位置への移動はおこなわない。このとき、操作表示パネル49(
図1参照)に、異常が生じたことにより剥離動作や中シートPMの挿入動作を中止した旨を通知する(
図13:ステップS30)。
【0047】
その後、
図7(A)に示すように、第3搬送ローラ対6に正転による重合シートPJの搬送が所定量X4おこなわれた後に、第3搬送ローラ対6の正転と巻付けローラ20の正転とがそれぞれ停止される(
図13:ステップS12)。このとき、重合シートPJの被把持部Bは、第3搬送経路K3(
図5(B)に示す巻付け開始位置W)上に位置した状態である(把持解除可能な状態である。)。また、
図12(C)に示すように、剥離爪16は、重合シートPJに対して隙間Cに挿入されて他端側Bに向けて相対的に移動した後に他端側端部で停止することになる。
そして、その状態で把持部材32を把持位置から退避位置へ移動させる(
図13:ステップS13)。すなわち、カム34を、アーム部材31を押圧しない回転位置に移動させる。この状態は、把持部材32による重合シートPJの把持が解除された状態である。なお、本実施の形態では、カム34(移動機構30)を移動させて把持部材32による把持を解除したが、把持部材32による把持力よりも第3搬送ローラ対6の搬送による引抜き力が大きい場合には、カム34(移動機構30)の移動をせずに、第3搬送ローラ対6の搬送による引抜きによって、把持部材32による把持を解除することもできる。
その後、
図7(B)に示すように、第3搬送ローラ対6を再び正転させて、重合シートPJの順方向の搬送を開始する(
図13:ステップS14)。また、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、一端側)が、第3搬送経路K3と分岐搬送経路K4、K5との分岐部を通過した後に、把持部材32を退避位置から把持位置へ移動させる。さらに、このとき、第4センサ44によって、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、他端側)が検知される。そして、重合シートPJの順方向後端が第4センサ44によって検知されるタイミングをトリガにして、第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X5搬送して停止した後に、
図12(D)に示すように剥離爪16の幅方向の移動をおこなう(
図13:ステップS15、S28)。これにより、
図7(B)に示すように、重合シートPJにおける2枚のシートP1、P2の順方向後端が大きく分離して開かれた状態になる(
図12(D)参照)。このとき、重合シートPJの剥離(分離)が開始されることになる。
そして、
図7(C)に示すように、第3搬送ローラ対6を逆転して重合シートPJの逆方向の搬送を開始する(
図13:ステップS16)。このとき、剥離爪16は、第3搬送経路K3への重合シートPJの進入を遮断する切替位置(
図12(D)に示す位置である。)に位置しているため、剥離された状態の2枚のシートP1、P2は、
図7(C)に示すように、2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ導かれていくことになる。このとき、第5センサ45(
図1参照)によって、重合シートPJの接合部A(逆方向後端、一端側)が検知される。そして、重合シートPJの逆方向後端がシート検知手段としての第5センサ45(
図1参照)によって検知されるタイミングをトリガにして、第2給送トレイ12からの第2給送ローラ3による中シートPMの給送が開始される(
図13:ステップS17、S18)。
なお、中シートPMの給送を開始するタイミングは、これに限定されることなく、剥離処理及び挿入処理に要する時間が短くなるように設定することが好ましい。
【0048】
そして、
図8(A)に示すように、重合シートPJの逆方向後端が第5センサ45(
図1参照)によって検知されるタイミングをトリガにして、第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X6搬送して停止する(
図13:ステップS19)。このとき、重合シートPJの接合部Aは、第3搬送ローラ対6のニップの位置か、ニップよりも僅かに左方の位置にある。すなわち、重合シートPJの一端側が第3搬送ローラ対6に挟持された状態である。そして、この状態が重合シートPJの剥離動作が終了した状態である。
また、中シートPMは、重合シートPJの剥離動作が終了する前に、既に第2給送トレイ12から給送開始されている。そのため、
図8(A)に示すように、重合シートPJの剥離動作が終了した時点では、中シートPMの先端(順方向先端、一端側)が、重合シートPJの間の挿入位置に近づいた状態になっている。
一方、第3センサ43によって、中シートPMの先端(順方向先端、一端側)が検知される。そして、その検知タイミングをトリガにして、
図8(B)に示すように、中シートPMに干渉しないタイミングで、剥離爪16を待機位置に移動させる。
さらに、
図8(C)、
図12(E)に示すように、中シートPMの順方向先端が第3センサ43によって検知されるタイミングをトリガにして、第2搬送ローラ対5で中シートPMを所定量X7搬送した後に、第3搬送ローラ対6による重合シートPJの順方向の搬送を再開する(
図13:ステップS20、S21)。このとき、中シートPMは、2枚のシートP1、P2の間の所望位置に、精度よく挟まれた状態になる。
こうして、重合シートPJにおける2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する工程(挿入処理)が終了する(
図13:ステップS22)。
【0049】
このとき、
図9(A)に示すように、切替爪17(
図1参照)によって第4搬送経路K6が開放される(
図13:ステップS23)。そして、重合シートPJ(剥離後に中シートPMが挿入されたものである。)は、第3搬送ローラ対6によって第4搬送経路K6を通過してラミネート処理部51に搬送される。
そして、
図9(B)に示すように、ラミネート処理部51で、重合シートPJ(先行の重合シートPJ1である。)に対するラミネート処理が開始されることになる(
図14:ステップS31)。すなわち、重合シートPJ1は、ラミネート処理部51において搬送されながら、中シートPMが内部に挿入された状態で全域が徐々に接合されていくことになる。このとき、このような先行の重合シートPJ1に干渉しないように、第1給送トレイ11からシート剥離部1への後行の重合シートPJ2(剥離前のものである。)の搬送がおこなわれている。
そして、
図9(C)に示すように、先行の重合シートPJ1の後端(順方向後端、他端側)が第5センサ45によって検知されてから、先行の重合シートPJ1が所定量X8搬送されるタイミングをトリガにして、後行の重合シートPJ2に対する剥離処理が開始される(
図14:ステップS32、S33)。このタイミングは、先行の重合シートPJ1の後端が第4搬送経路K6と退避搬送経路K7との分岐部を通過するタイミングである。そして、このときに、
図9(C)に示すように、切替爪17によって、第4搬送経路K6が閉鎖されて、退避搬送経路K7が開放される。そして、
図9(C)の矢印方向に回転する第3搬送ローラ対6や第2排出ローラ対8によって、後行の重合シートPJ2が退避搬送経路K7に案内されて第2排出トレイ55(退避部)に搬送される。このとき、後行の重合シートPJ2の後端(被把持部B)が巻付けローラ20の巻付け開始位置W(
図5(B)参照)の上流側に位置していなければよく、第3搬送ローラ対6の上流側に突き出た後行の重合シートPJ2の部分が退避搬送経路K7に一時的にパージされることになる。
【0050】
そして、
図9(C)に示すように、巻付けローラ20、第3搬送ローラ対6、第2排出ローラ対8の矢印方向の回転により、巻付けローラ20への後行の重合シートPJ2の巻付け動作がおこなわれる。
さらに、
図10(A)に示すように、後行の重合シートPJ2を構成する2枚のシートP1、P2の剥離(分離)や、第2給送トレイ12からの中シートPM(重合シートPJ2に挿入する中シートPMである。)の給送を開始する。これらの一連の剥離処理や挿入処理は、先行の重合シートPJ1におけるもの(先に
図4~
図8等も用いて説明したものである。)と同様である。
そして、
図10(B)に示すように、先行の重合シートPJ1の後端が第1熱加圧ローラ対51aのニップ(最上流部)を抜けるタイミングをトリガにして、後行の重合シートPJ2(中シートPMが挿入されたものである。)をラミネート処理部51に向けて搬送する(
図14:ステップS34、S35)。このとき、切替爪17は、第4搬送経路K6を開放して、退避搬送経路K7を閉鎖する位置に回動している。なお、本実施の形態では、先行の重合シートPJ1の後端が第1熱加圧ローラ対51aのニップを抜けるタイミングを、その後端を第5センサ45で検知したタイミングに基づいて定めているが、そのタイミングを第1熱加圧ローラ対51aの回転時間に基づいて定めることもできるし、第1熱加圧ローラ対51aの近傍にシート検知センサを設置して直接的にシート後端を検知して定めることもできる。
そして、
図10(C)に示すように、ラミネート処理部51で、後行の重合シートPJ2に対するラミネート処理が開始されることになる(
図14:ステップS36)。また、ラミネート処理が施された先行の重合シートPJ1は、排出ローラ対7によって装置外に排出されて、排出トレイ13上に載置されることになる。
【0051】
その後、後行の重合シートPJ2に続く次の重合シート(さらに後行の重合シートである。)があるかが判別されて(
図14:ステップS37)、次の重合シートがある場合にはステップS32~S37の制御フローが繰り返される。
これに対して、ステップS37で、次の重合シートがない場合には、後行の重合シートPJ2に対するラミネート処理が完了すると(
図14:ステップS38)、その重合シートPJ2を排出トレイ13上に排出して本フローを終了する。
このように、本実施の形態におけるラミネート処理装置50は、重合シートPJを給送する工程と、重合シートPJの2枚のシートP1、P2を剥離する工程と、剥離した2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する工程と、中シートPMが挿入された状態の重合シートPJにラミネート処理を施す工程と、が一連の動作としておこなわれるため、ユーザーの利便性を高めることができる。そして、これらの処理を複数の重合シートPJに対して連続的におこなうときに、先行の重合シートPJ1に対してラミネート処理を施しているときに、後行の重合シートPJ2に対して剥離処理をおこなっているため、生産性を高めることができる。
【0052】
<変形例1>
図16(A)、(B)は、変形例1におけるラミネート処理装置50の連続ラミネート処理時の動作の一部を示す図であって、本実施の形態における
図10(B)、(C)に対応する図である。
図16に示すように、変形例1におけるラミネート処理装置50は、ラミネート処理部51に1つの熱加圧ローラ対51aのみが設置されている点が、3つの熱加圧ローラ対51a~51cが設置されている本実施の形態のものと異なる。
このように構成されたラミネート処理装置50においても、
図16(A)、(B)に示すように、連続ラミネート処理時において、先行の重合シートPJ1の後端がラミネート処理部51の最上流部(熱加圧ローラ対51aのニップである。)を通過した後に、後行の重合シートPJ2の先端を最上流部(第1熱加圧ローラ対51aのニップ)に送入させるように制御している。
そのため、先行の重合シートPJ1と、後行の重合シートPJ2と、の隙間(紙間)が詰められた状態で、連続ラミネート処理がおこなわれることになる。したがって、複数の重合シートPJに対するラミネート処理(一連のジョブ)がすべて終了するまでの時間が短縮化されて、装置における生産性が向上することになる。
【0053】
<変形例2>
図17に示すように、変形例2としての画像形成装置100は、シートPに画像を形成する画像形成装置本体に、
図1に示すラミネート処理装置50が設置されている。ただし、この画像形成装置100では、画像形成装置本体100に設置された給送装置112から給送ローラ197によって給送され搬送されたシートPが中シートPMとしてラミネート処理装置50に搬送されることになる。
図17を参照して、画像形成装置100において、まず、原稿Dが、原稿搬送装置110の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送(給送)されて、原稿読込装置102上を通過する。このとき、原稿読込装置102では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込装置102で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、書込み装置103に送信される。そして、書込み装置103から、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光が、色ごとに、それぞれの感光体ドラム105Y、105M、105C、105K上に向けて発せられ、露光工程がおこなわれる。
そして、それぞれの作像部104Y、104M、104C、104Kの感光体ドラム105Y、105M、105C、105K上で帯電工程、露光工程、現像工程がおこなわれて、感光体ドラム105Y、105M、105C、105K上に所望の画像がそれぞれ形成される。
その後、感光体ドラム105Y、105M、105C、105K上にそれぞれ形成された画像は、カラー画像として中間転写ベルト178上に重ねて転写される。さらに、中間転写ベルト178上に形成されたカラー画像は、2次転写ローラ189との対向位置で、第2給送手段としての給送装置112から給送ローラ197によって給送され搬送されたシートP(中シートPMとなるシートである。)に転写される。
その後、カラー画像が転写されたシートP(中シートPM)は、定着装置120の位置に搬送される。そして、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは排出ローラ対131によって画像形成装置本体100から排出されて、中シートPMとしてラミネート処理装置50に送入される。このとき、ラミネート処理装置50では、先に
図4~
図7を用いて説明した工程(重合シートPJを剥離する剥離処理である。)が終了していて、ラミネート処理装置50に中シートPMが挿入された後に
図8を用いて説明した工程(重合シートPJに中シートPMを挿入する工程である。)がおこなわれることになる。さらに、中シートPMが挿入された重合シートPMに対するラミネート処理がラミネート処理部51でおこなわれた後に、その重合シートPJが排出ローラ対8によって装置外に排出されて排出トレイ13上に載置されることになる。
こうして、画像形成装置1における一連の画像形成プロセス(印刷動作)と、画像形成された中シートPMを用いた一連のシート剥離処理及びラミネート処理と、が完了することになる。
そして、このように構成された画像形成装置100においても、連続ラミネート処理がおこなわれるときに、先行の重合シートPJ1に対してラミネート処理を施している最中に、後行の重合シートPJ2に対する剥離処理を開始している。そのため、全体的な生産性を向上させることができる。
なお、画像形成装置100には、操作表示パネル49が設けられている。そして、第6センサ46(異常検知センサ)によって異常が検知されたものと判別された場合、異常が生じたことにより剥離動作や中シートPMの挿入動作を中止した旨が操作表示パネル49に表示されるようになっている。
また、変形例2では、カラーの画像形成装置100に対して本発明を適用したが、モノクロの画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。また、変形例2では、電子写真方式の画像形成装置100に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に対しても本発明を適用することができる。
【0054】
<変形例3>
図18に示すように、変形例3としての画像形成システム200は、画像形成部101が設置された画像形成装置本体100に対して、シート剥離部1やラミネート処理部51が設置されたラミネート処理装置50が着脱可能に設置されている。また、変形例3においても、画像形成装置本体100に設置された給送装置112から給送ローラ197によって給送され搬送されたシートPが中シートPMとしてラミネート処理装置50に搬送されることになる。
図18を参照して、画像形成システム200において、先に
図17を用いて説明した画像形成プロセスを経て、画像形成装置100の排出ローラ対131から排出されたシートP(所望の画像が形成された中シートPMである。)は、ラミネート処理装置50に送入された後に、同じように重合シートPJに挿入されて、その後にラミネート処理が施され、排出ローラ対7によって排出されて排出トレイ13上に載置されることになる。
そして、このように構成された画像形成装置100においても、連続ラミネート処理がおこなわれるときに、先行の重合シートPJ1に対してラミネート処理を施している最中に、後行の重合シートPJ2に対する剥離処理を開始している。そのため、全体的な生産性を向上させることができる。
また、そのようなラミネート処理を施さない場合には、画像形成システム200において、画像形成プロセスを経て画像が形成されたシートPは、画像形成装置100の第2の排出ローラ対132から装置外に排出されて、第2の排出トレイ150上に載置されることになる。
ここで、ラミネート処理装置50は、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されていて、ラミネート処理装置50が不要であるときには、画像形成装置100から取り外すことができる。そして、そのようにラミネート処理装置50を取り外した場合には、ラミネート処理装置50が載置されていた載置面149が排出トレイとして機能して、排出ローラ対131から装置外に排出されたシートP(所望の画像が形成されたシートPである。)が載置されることになる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態におけるラミネート処理装置50は、2枚のシートP1、P2が重ね合されて一端側が接合部Aとして接合された重合シートPJの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部1が設けられている。また、シート剥離部1によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の重合シートPJにラミネート処理を施すラミネート処理部51が設けられている。そして、複数の重合シートPJ1、PJ2に対してラミネート処理を施す場合に、先行の重合シートPJ1に対してラミネート処理部51でラミネート処理を施しているときに、後行の重合シートPJ2に対してシート剥離部1で剥離処理と挿入処理とのうち少なくとも剥離処理をおこなっている。
これにより、複数の重合シートP1、P2に対してラミネート処理を施すときの生産性が高くなる。
【0056】
なお、本実施の形態では、2つの分岐搬送経路K4、K5を、剥離爪16(剥離部材)と巻付けローラ20との間で第3搬送経路K3(搬送経路)を挟んで別々の方向に分岐するように構成した。これに対して、2つの分岐搬送経路K4、K5を、剥離爪16(剥離部材)の位置で第3搬送経路K3(搬送経路)を挟んで別々の方向に分岐するように構成することもできる。
また、本実施の形態では、2つの分岐搬送経路K4、K5を分岐部から
図2の右方に広がるように略U字状に形成したが、2つの分岐搬送経路K4、K5の形状はこれに限定されず、例えば、2つの分岐搬送経路K4、K5を分岐部から
図2の左方に広がるように略U字状に形成することもできるし、2つの分岐搬送経路K4、K5を分岐部から
図2の左右の異なる方向に広がるように略S字状に形成することもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0058】
なお、本願明細書等において、重合シートの「端面」とは、重合シートのオモテ面とウラ面とに繋がる厚さ方向の面(側面)であるものと定義する。したがって、矩形の重合シートの端面は、前後左右4つあることになる。
【符号の説明】
【0059】
1 シート剥離部、
6 第3搬送ローラ対(搬送ローラ対)、
11 第1給送トレイ、
12 第2給送トレイ、
13 排出トレイ、
16 剥離爪(剥離部材、切替部材)、
17 切替爪(切替手段)、
20 巻付けローラ、
45 第5センサ(シート検知センサ)、
50 ラミネート処理装置、
51 ラミネート処理部(定着部)、
51a~51c 熱加圧ローラ対、
55 第2排出トレイ(退避部)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
200 画像形成システム、
P、P1、P2 シート、
PM 中シート、
PJ 重合シート、 A 接合部、
K4、K5 分岐搬送経路、
K6 第4搬送経路(搬送経路)、 K7 退避搬送経路。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】