(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】環状ポリシロキサンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/21 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
C07F7/21
(21)【出願番号】P 2022501887
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2021005600
(87)【国際公開番号】W WO2021166871
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2020027966
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 健
(72)【発明者】
【氏名】青木 俊司
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-159782(JP,A)
【文献】特開2007-023021(JP,A)
【文献】特開平07-149902(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0038219(US,A1)
【文献】米国特許第3607898(US,A)
【文献】特開2021-042128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/02- 7/21
C08G 77/00- 77/62
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは3≦a≦5の整数である。)
で表される原料環状シロキサンと、
下記一般式(2)
【化2】
(式中、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)であり、Xはハロゲン原子である。)
で表されるジハロシランとを、
酸化トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンオキシド、トリ-n-プロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、メチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルビニルホスフィン=オキシド、エチニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、メトキシメチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、シクロヘキシルジフェニルホスフィンオキシド、(4-ブロモフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、(3-ブロモフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(4-ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(3-ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド、トリス(3-ブロモフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィンオキシド、2,5-ジヒドロキシフェニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン1-オキシド、[(N,N-ジイソブチルカルバモイル)メチル]オクチルフェニルホスフィン=オキシド、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンモノオキシド、一酸化1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,8-ビス(ジフェニルホスフィニル)ナフタレン、ビス[2-[(オキソ)ジフェニルホスフィノ]フェニル]エーテル及び2,8-ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾ[b,d]フランから選ばれる1種以上の触媒の存在下において、一般式(1)で表される環状シロキサンの開環を伴う反応をさせて、分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを得る工程、
得られた分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを水と反応させることで、下記一般式(3)
【化3】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)であり、bは3≦b≦10の整数である。)
で表される環状ポリシロキサンを得る工程を含む、環状ポリシロキサンの製造方法。
【請求項2】
一般式(1),(3)において、R
1及びR
2がそれぞれ独立に炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基である請求項1記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
【請求項3】
一般式(1),(3)において、R
1及びR
2がメチル基である請求項2記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
【請求項4】
一般式(2),(3)において、R
3及びR
4が水素原子又は炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基である請求項1~3のいずれか1項記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
【請求項5】
下記一般式(1’)
【化4】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。)
で表される原料環状シロキサンと、
下記一般式(2’)
【化5】
(式中、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)である。)
で表されるジクロロシランを、
酸化トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンオキシド、トリ-n-プロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、メチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルビニルホスフィン=オキシド、エチニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、メトキシメチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、シクロヘキシルジフェニルホスフィンオキシド、(4-ブロモフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、(3-ブロモフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(4-ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(3-ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド、トリス(3-ブロモフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィンオキシド、2,5-ジヒドロキシフェニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン1-オキシド、[(N,N-ジイソブチルカルバモイル)メチル]オクチルフェニルホスフィン=オキシド、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンモノオキシド、一酸化1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,8-ビス(ジフェニルホスフィニル)ナフタレン、ビス[2-[(オキソ)ジフェニルホスフィノ]フェニル]エーテル及び2,8-ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾ[b,d]フランから選ばれる1種以上の触媒の存在下において、一般式(1’)で表される環状シロキサンの開環を伴う反応をさせて、分子鎖両末端塩素原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを得る工程、
得られた分子鎖両末端塩素原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを水と反応させることで、下記一般式(3’)
【化6】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)である。)
で表される環状ポリシロキサンを得る工程を含む、環状ポリシロキサンの製造方法。
【請求項6】
一般式(1’),(3’)において、R
1及びR
2がそれぞれ独立に、炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基である請求項5記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
【請求項7】
一般式(1’),(3’)において、R
1及びR
2がメチル基である請求項6記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
【請求項8】
一般式(2’),(3’)において、R
3及びR
4が水素原子又は炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基である請求項5~7のいずれか1項記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ポリシロキサンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環状ポリシロキサン類は、様々な分野で各種用途に用いられる。
【0003】
例えば、種々の官能基を保有する環状ポリシロキサン類を、単独又は他の種類の環状もしくは鎖状のシロキサン化合物と共に、酸又はアルカリといった平衡化反応触媒の存在下にて反応せしめることにより、高分子量のシリコーンオイル、シリコーンレジン、又はシリコーンゴムを製造する方法が知られている。製造した高分子量体は、原料由来の官能基の種類によって、各種性能の向上がもたらされる。
【0004】
さらに、環状ポリシロキサンは化粧品材料の希釈剤や、ドライクリーニングの溶剤、絶縁膜用の原料としても使われている。
【0005】
環状ポリシロキサンの合成方法については、過去に合成例が報告されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、SiH基を有する直鎖状のポリシロキサンに対して、アルミニウムトリイソプロポキシドを用いることで、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを合成する技術が提案されている。
【化1】
【0007】
特許文献2では、トリヒドロキシフェニルシランをメタンスルホン酸で処理することで、下記の環状ポリシロキサンを合成する技術が提案されている。
【化2】
【0008】
特許文献3では、ノルマルオクチルトリクロロシランを水で縮合させた後、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン及びジメチルクロロシランで処理することで下記の環状ポリシロキサンを合成する技術が提案されている。
【化3】
【0009】
また、1分子構造の中に、2種以上の異なるシロキサン単位を有する環状ポリシロキサンの合成例についても報告されている。
【0010】
特許文献4では、ジメトキシイソプロピルビニルシランと1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンに対してルイス酸触媒による脱メタン反応を用いることで下記の環状ポリシロキサンを合成している。
【化4】
【0011】
特許文献5では、トリエチルアミン下で1,3-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと、メチルジクロロシランとの縮合反応により1,1,3,3,5-ペンタメチルシクロトリシロキサンを合成している。
【化5】
【0012】
特許文献6では、下記式のZにフッ素含有有機基を有する環状ポリシロキサンの合成が報告されている。この文献では、合成法(1)ジメチルジクロロシランとフッ素含有有機基を有するジクロロシランとを共加水分解する方法、合成法(2)ジメチルジクロロシランとメチルジクロロシランとを共加水分解して得たヒドロシラン型シクロシロキサンと、フッ素含有のオレフィンをヒドロシリル化反応させる方法、合成法(3)ジメチルジクロロシランと、メチルビニルジクロロシランとを共加水分解して得たビニル型シクロシロキサンと、フッ素含有のヒドロシランをヒドロシリル化反応させる方法、合成法(4)ジメチルジクロロシランと、メチルビニルジクロロシランとを共加水分解して得たビニル型シクロシロキサンに、ペルフルオロアルキルヨージド付加させてヨウ素置換シクロシロキサンとした後、還元する方法の4種類の合成法が用いられている。
【化6】
【0013】
特許文献7~9では、環状シロキサンとジクロロシランにヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)を用いた後、加水分解することで、それぞれ下記の環状ポリシロキサンを合成している。
特許文献7:1-ビニル-1,3,3,5,5,7,7-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン
【化7】
【0014】
【0015】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2005-139123号公報
【文献】特開2015-182980号公報
【文献】特開2017-145231号公報
【文献】特開2018-172321号公報
【文献】特開平9-59383号公報
【文献】特開昭60-163887公報
【文献】特開平1-281135号公報
【文献】特開昭63-14787号公報
【文献】特開2007-23021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記の環状ポリシロキサンの製造方法について、特許文献1~3は、得られる環状ポリシロキサンの官能基がそれぞれ限定的であり、また環状の三量体、四量体、五量体等が同時に生成し、単一成分を高収率で得ることは困難である。
特許文献4は、ビニル基含有の環状ポリシロキサンに限定的であり、また強ルイス酸の高活性な試薬を使用するため副生成物が生成し、目的の環状ポリシロキサンの収率が低い。
特許文献5は、2種の原料を同速度で同時に滴下する合成法であるため、製造が難しく、得られる収率も低い。
特許文献6は、全ての合成法において、シランの共加水分解反応を行うため、反応収率が低く、また環状ポリシロキサンの重合度も安定的ではない。
特許文献7~9は、得られる環状ポリシロキサンの官能基がそれぞれ限定的であり、また実施例では、触媒として発がん性を有するヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)を用いているのみである。
【0018】
上記の通り、環状ポリシロキサンの従来の製造方法において、有毒な触媒を使用せず、簡便に合成可能であり、種々の官能基を有する目的の環状ポリシロキサンが高収率・高純度にて得られる合成法は知られていない。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、有毒な触媒を使用せず、簡便な工程かつ穏やかな条件下にて、高収率・高純度で環状ポリシロキサンが得られる、環状ポリシロキサンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、環状シロキサンとジハロシランを式-C(=O)N<で表されるカルボン酸アミド結合を有するルイス塩基化合物、P=O結合を有するリン化合物、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下において反応せしめて、合成中間体の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを合成し、次いでその化合物を加水分解することにより、環状ポリシロキサン化合物が高収率・高純度にて得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0021】
即ち、本発明は、下記環状ポリシロキサンの製造方法を提供する。
1.下記一般式(1)
【化10】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは3≦a≦5の整数である。)
で表される原料環状シロキサンと、
下記一般式(2)
【化11】
(式中、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)であり、Xはハロゲン原子である。)
で表されるジハロシランとを、
-C(=O)N<で表されるカルボン酸アミド結合を有するルイス塩基化合物、P=O結合を有するリン化合物、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩から選ばれる1種以上の触媒の存在下において、一般式(1)で表される環状シロキサンの開環を伴う反応をさせて、分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを得る工程、
得られた分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを水と反応させることで、下記一般式(3)
【化12】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)であり、bは3≦b≦10の整数である。)
で表される環状ポリシロキサンを得る工程を含む、環状ポリシロキサンの製造方法。
2.一般式(1),(3)において、R
1及びR
2がそれぞれ独立に炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基である1記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
3.一般式(1),(3)において、R
1及びR
2がメチル基である2記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
4.一般式(2),(3)において、R
3及びR
4が水素原子又は炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基である1~3のいずれかに記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
5.下記一般式(1’)
【化13】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。)
で表される原料環状シロキサンと、
下記一般式(2’)
【化14】
(式中、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)である。)
で表されるジクロロシランを、
-C(=O)N<で表されるカルボン酸アミド結合を有するルイス塩基化合物、P=O結合を有するリン化合物、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩から選ばれる1種以上の触媒の存在下において、一般式(1’)で表される環状シロキサンの開環を伴う反応をさせて、分子鎖両末端塩素原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを得る工程、
得られた分子鎖両末端塩素原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを水と反応させることで、下記一般式(3’)
【化15】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)である。)
で表される環状ポリシロキサンを得る工程を含む、環状ポリシロキサンの製造方法。
6.一般式(1’),(3’)において、R
1及びR
2がそれぞれ独立に、炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基である5記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
7.一般式(1’),(3’)において、R
1及びR
2がメチル基である6記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
8.一般式(2’),(3’)において、R
3及びR
4が水素原子又は炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基である5~7のいずれかに記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
9.触媒が、三級アミド結合を含有するルイス塩基化合物、及びホスフィンオキシドから選ばれる1種以上である1~8のいずれかに記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
10.触媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、酸化トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンオキシド、トリ-n-プロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、メチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルビニルホスフィン=オキシド、エチニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、メトキシメチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド及びシクロヘキシルジフェニルホスフィンオキシドから選ばれる1種以上である9記載の環状ポリシロキサンの製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の環状ポリシロキサンの製造方法は、有毒な触媒を使用せず、簡便な工程かつ穏やかな条件下にて、高収率・高純度で環状ポリシロキサンを得ることができる。また、合成した環状ポリシロキサンを、高分子量のシリコーンオイルやシリコーンゴムの原料として用いることにより、それらに更なる特性向上や新規な物性を付与することができる。さらに環状ポリシロキサンは、化粧品材料の希釈剤や、ドライクリーニングの溶剤、絶縁膜用の原料としても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例1で得られた環状ポリシロキサン(3-1)の
1H-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を示す図である。
【
図2】実施例1で得られた環状ポリシロキサン(3-1)の
29Si-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を示す図である。
【0024】
【
図3】実施例4で得られた環状ポリシロキサン(3-2)の
1H-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を示す図である。
【
図4】実施例4で得られた環状ポリシロキサン(3-2)の
29Si-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を示す図である。
【0025】
【
図5】実施例6で得られた環状ポリシロキサン(3-3)の
1H-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を示す図である。
【
図6】実施例6で得られた環状ポリシロキサン(3-3)の
29Si-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の環状ポリシロキサンの製造方法について詳細に説明する。
本発明は、二つの工程を有するものである。
[I]一般式(1)で表される環状シロキサンと、一般式(2)で表されるジハロシランとを、-C(=O)N<で表されるカルボン酸アミド結合を有するルイス塩基化合物、P=O結合を有するリン化合物、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩から選ばれる1種以上の触媒の存在下において、一般式(1)で表される環状シロキサンの開環を伴う反応をさせて、分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを得る工程、
[II]
得られた分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを水と反応させることで、目的とする一般式(3)で表される環状シロキサンを得るものである。
【0027】
[I]工程
[I]反応についてさらに詳述すると、一般式(1)で表される環状シロキサンと、一般式(2)で表されるジハロシランとを、-C(=O)N<で表されるカルボン酸アミド結合を有するルイス塩基化合物、P=O結合を有するリン化合物、4級アンモニウム塩、及び4級ホスホニウム塩から選ばれる1種以上の触媒の存在下において反応させて、一般式(1)で表される環状シロキサンの環状構造を開くことにより、下記一般式(3’’)(式中、X、R1、R2、R3、R4、a及びbは、上述と同じである。)で表される合成中間体である分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを製造する工程であり、以下の反応式(I)で表され、以下の記述において「開環反応」と称する工程である。
【0028】
【化16】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは3≦a≦5の整数である。R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)であり、Xはハロゲン原子である。R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)であり、bは3≦b≦10の整数である。)
【0029】
[原料環状シロキサン]
本発明において、原料として使用する環状シロキサンは、下記一般式(1)で表されるものである。
【化17】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは3≦a≦5の整数である。)
【0030】
ここでR1及びR2の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の好ましくは炭素数1~8のアルキル基、シクロヘキシル基等の好ましくは炭素数5~8のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基等の好ましくは炭素数2~8のアルケニル基、シクロヘキセニルエチル基等の好ましくは炭素数3~8のシクロアルケニルアルキル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基等の好ましくは炭素数4~10のアクリロイルアルキル基、及びメタクリロイルアルキル基、フェニル基、トリル基等の好ましくは炭素数6~10のアリール基、ベンジル基等の好ましくは炭素数7~10のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシシリル基、ポリオキシアルキレン基、エポキシ基、カルボキシル基等で置換した炭素数1~10の1価炭化水素基が挙げられる。中でも、炭素原子数1~10の非置換の1価炭化水素基、及び3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基、ビニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0031】
aは、3≦a≦5の整数であり、好ましくはa=3である(上記一般式(1’))。
【0032】
[ジハロシラン]
もう一方の原料で使用するジハロシランは、下記一般式(2)で表されるものである。
【化18】
(式中、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)である。)
【0033】
R3及びR4の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の好ましくは炭素数1~12のアルキル基、シクロヘキシル基等の好ましくは炭素数5~12のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基等の好ましくは炭素数2~12のアルケニル基、シクロヘキセニルエチル基等の好ましくは炭素数3~12のシクロアルケニルアルキル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基等の好ましくは炭素数4~12のアクリロイルアルキル基、及びメタクリロイルアルキル基、フェニル基、トリル基等の好ましくは炭素数6~12のアリール基、ベンジル基等の好ましくは炭素数7~12のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシシリル基、ポリオキシアルキレン基、エポキシ基、カルボキシル基等で置換した炭素数1~20の1価炭化水素基が挙げられる。中でも、炭素原子数1~20の非置換の1価炭化水素基が好ましく、メチル基、ビニル基、フェニル基がより好ましい。
【0034】
Xはハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい(上記一般式(2’))。
【0035】
(I)開環反応における一般式(1)の化合物と式(2)の化合物のモル比は特に制限がなく、任意であり、bが3≦b≦10の整数となる範囲で適宜選定されるが、式(2)の化合物の1モルに対して、式(1)の化合物0.8~5モルが好ましく、0.8~3モルがより好ましい。0.8モル未満又は5モルを超えると、経済的に不利となる場合や、目的物質の精製に支障が出るような不純物を発生させる場合がある。
【0036】
[触媒]
開環反応の触媒として、-C(=O)N<で表されるカルボン酸アミド結合を有するルイス塩基化合物、P=O結合を有するリン化合物、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩から選ばれる1種以上の触媒を用いる。触媒は、1種単独であっても2種以上の併用であってもよい。
【0037】
カルボン酸アミド結合を有するルイス塩基化合物としては、任意のカルボン酸アミド化合物、ウレタン化合物又はウレア化合物を用いることができる。反応効率の点から、N原子に直接結合したH原子を有さない、三級アミド結合を含有するルイス塩基化合物が好ましい。
【0038】
カルボン酸アミド化合物の例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N,N’,N’-テトラアセチルエチレンジアミン、1-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
これらの中でも、反応効率及び入手の容易さから、N,N-ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0039】
ウレタン化合物の例としては、N-メトキシカルボニルマレイミド、3-メチル-2-オキサゾリドン、1-エトキシカルボニル-4-ピペリドン、1-tert-ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられ、ウレア化合物の例としては、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1,1,3,3-テトラエチル尿素、1,1,3,3-テトラブチル尿素、N,N’-ジメチル-N,N’-ジフェニル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチルウラシル、1,3-ジメチルバルビツル酸、カフェイン等が挙げられる。これらの中で、反応効率及び入手の容易さから、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが好ましい。
【0040】
P=O結合を有するリン化合物としては、発がん性を有するヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)等のリン酸トリアミドを除く、任意のP=O結合を有するリン化合物を用いることができる。反応効率の点から、ホスフィンオキシドが好ましい。
P=O結合を有するリン化合物の例としては、酸化トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンオキシド、トリ-n-プロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、メチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルビニルホスフィン=オキシド、エチニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、メトキシメチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、シクロヘキシルジフェニルホスフィンオキシド、(4-ブロモフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、(3-ブロモフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(4-ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(3-ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド、トリス(3-ブロモフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィンオキシド、2,5-ジヒドロキシフェニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン1-オキシド、[(N,N-ジイソブチルカルバモイル)メチル]オクチルフェニルホスフィン=オキシド、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンモノオキシド、一酸化1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,8-ビス(ジフェニルホスフィニル)ナフタレン、ビス[2-[(オキソ)ジフェニルホスフィノ]フェニル]エーテル、2,8-ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾ[b,d]フラン、リン酸、リン酸メチル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジブチル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリアリル、リン酸トリフェニル、リン酸トリス(トリメチルシリル)、メチルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジメチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、メチルホスホン酸ジメチル、ビニルホスホン酸ジエチル、メチレンジホスホン酸、メチレンジホスホン酸テトライソプロピル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジフェニル等が挙げられる。これらの中で、反応効率及び入手の容易さから、酸化トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンオキシド、トリ-n-プロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、メチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルビニルホスフィン=オキシド、エチニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、メトキシメチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、シクロヘキシルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。
【0041】
4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩としては、任意の4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩を用いることができる。
4級アンモニウム塩の例としては、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。4級ホスホニウム塩の例としては、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド等が挙げられる。これらの中で、反応効率及び入手の容易さから、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミドが好ましい。
【0042】
上記の触媒の使用量は、一般式(2)で表されるジハロシラン1モルに対して、0.0001~5モルが好ましく、0.0005~3モルがより好ましく、0.001~1モルがさらに好ましい。0.0001モル以上とすることで、より十分な触媒効果が得られ、5モルを超えると経済的に不利な場合がある。なお、使用量が多い場合の条件は、反応溶媒として使用されることを想定しているものである。
【0043】
開環反応の反応温度は、特に制限はないが、-10~150℃が好ましく、0~100℃がより好ましい。反応温度が150℃を超えると、経済的に不利な場合があり、また収率の低下を招くような副生物が発生する場合もある。一方、反応温度が-10℃未満だと、反応速度が必要以上に遅くなる場合がある。
【0044】
開環反応においては、反応原料の混合方法及び混合順序には特に制限はない。式(1)の化合物、式(2)の化合物及び触媒を一括に混合、式(1)の化合物及び式(2)の化合物の混合物に触媒を添加、式(1)の化合物又は式(2)の化合物と触媒の混合物に式(2)の化合物又は式(1)の化合物を滴下、式(1)の化合物又は式(2)の化合物に、式(2)の化合物又は式(1)の化合物と触媒の混合物を滴下、触媒又は触媒と溶媒の混合物中で式(1)の化合物と式(2)の化合物を反応させる、具体的には、触媒又は触媒と溶媒の混合物中に式(1)の化合物及び式(2)の化合物をそれぞれ個別にもしくは混合して滴下するのいずれでもよい。
【0045】
開環反応では、反応溶媒は本質的に必須の物質ではないが、反応系の均一性を向上させたり、反応系の容積を増加させて撹拌性を向上させたり等の必要に応じて使用してもよい。溶媒は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、パラフィン等の脂肪族系炭化水素系溶剤、工業用ガソリン(ゴム揮発油等)、石油ベンジン、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、2-メトキシエチルアセタート、2-エトキシエチルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、2-ブトキシエチルアセタート等のエステルとエーテル部分を有する溶剤、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ジメチルシリコーンオイル等のシロキサン系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素化炭化水素系溶剤、m-キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等のフッ素変性芳香族炭化水素系溶剤、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)等のフッ素変性エーテル系溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0046】
これらの中でも、芳香族系炭化水素系溶剤、脂肪族系炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤、フッ素変性芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルスルホキシドが好ましく、さらにトルエン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、アセトニトリル、m-キシレンヘキサフロライド、ジメチルスルホキシドが好ましい。但し、原料の一方である一般式(2)のジハロシランと反応する可能性のある種類、例えばアルコール類、アミン類等は好ましくない。
【0047】
原料である環状シロキサンが固体である場合、有機溶媒に均一に溶解している必要はなく、一部が溶解した状態で開環反応を行ってもよい。
【0048】
溶媒の使用量は、原料環状シロキサンとジハロシランとの合計100質量部に対し1~1,000質量部が好ましく、5~300質量部がより好ましい。
【0049】
開環反応の反応圧力は、常圧もしくは加圧のいずれの条件でも実施でき、特に制限はないが、一般的には、大気圧条件で十分である。
【0050】
開環反応の反応系の雰囲気は、特に制限はないものの、引火性化合物を取り扱うために、防災上の観点からは、一般的には不活性ガスの雰囲気下が望ましく、不活性ガスの具体例としては窒素もしくはアルゴン等が挙げられる。
【0051】
開環反応の反応時間は、0.1~100時間であり、好ましくは1~50時間で十分である。0.1時間未満だと、反応が不完全となる場合や短時間で急激に反応させることにより反応熱で系内の温度が急上昇する場合があり、100時間を超えると、経済的に不利になる場合がある。
【0052】
[II]工程
[II]工程についてさらに詳述すると、上記の反応式(1)によって表される「開環反応」の生成物である一般式(3’’)の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを、さらに水と反応せしめることにより、両末端のハロゲン基同士を加水分解縮合させて、分子内で環状構造を形成させ、本発明の目的物質である一般式(3)の環状ポリシロキサンを得る工程であり、「加水分解反応」と称し、以下の反応式(II)で表される。式中、X、R1、R2、R3、R4及びbは上記と同じである。
【0053】
【0054】
加水分解反応における水と一般式(3’’)の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンのモル比は特に制限がなく、任意ではあるが、式(3’’)の化合物の1モルに対して、水が1~1,000モルが好ましく、2~100モルがより好ましい。1モル未満では、化学量論的に水が不足の条件となり、未反応の(3’’)の化合物が残存してしまう。また、1,000モルを超えると経済的に不利となる場合がある。
【0055】
加水分解反応の反応温度は、特に制限はないが、-10~100℃が好ましく、0~80℃がより好ましい。反応温度が100℃を超えると、水が沸騰して突沸等の現象を起こす場合や不純物が発生する場合があり、一方、反応温度が-10℃未満だと、水が固化して撹拌性に支障を来す場合や反応速度が必要以上に遅くなる場合がある。
【0056】
加水分解反応においては、反応原料の混合方法には特に制限はない。一般式(3’’)の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサンを含む(I)「開環反応」の反応混合物に水を滴下してもよいし、水にその反応混合物を滴下してもよい。
【0057】
加水分解反応においては、有機溶媒を必要に応じて使用してもよい。なお、有機溶媒は反応前に添加しても、反応後に添加してもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、パラフィン等の脂肪族系炭化水素系溶剤、工業用ガソリン(ゴム揮発油等)、石油ベンジン、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、2-メトキシエチルアセタート、2-エトキシエチルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、2-ブトキシエチルアセタート等のエステルとエーテル部分を有する溶剤、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等のアルコール系溶剤、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ジメチルシリコーンオイル等のシロキサン系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素化炭化水素系溶剤、m-キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等のフッ素変性芳香族炭化水素系溶剤、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)等のフッ素変性エーテル系溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0058】
これらの中でも、芳香族系炭化水素系溶剤、脂肪族系炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、フッ素変性芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルスルホキシドが好ましく、さらにトルエン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトニトリル、m-キシレンヘキサフロライド、ジメチルスルホキシドが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
溶媒の使用量は、好ましくは、中間体である一般式(3’’)の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサン100質量部に対し、1~1,000質量部が好ましく、5~500質量部がより好ましい。
【0060】
加水分解反応の反応圧力は、常圧もしくは加圧のいずれの条件でも実施でき、特に制限はないが、一般的には、大気圧条件で十分である。
【0061】
加水分解反応の反応系の雰囲気は、特に制限はないものの、引火性化合物を取り扱うために、防災上の観点からは、一般的には不活性ガスの雰囲気下が望ましく、不活性ガスの具体例としては窒素もしくはアルゴン等が挙げられる。
【0062】
加水分解反応の反応時間は、0.1~100時間が好ましく、より好ましくは1~50時間で十分である。0.1時間未満だと反応が不完全となる場合があり、100時間を超えると、長いと経済的に不利になる場合がある。
【0063】
加水分解反応後に公知の手段により水で有機層を洗浄してもよい。また、水洗後の残留水分の除去については、Na2SO4、MgSO4、CaCl2等の市販の乾燥剤を使用してもよい。
【0064】
反応溶液から目的物質の式(3)の環状ポリシロキサンを取り出す方法は特に制限はないが、溶媒や原料等の低分子成分を蒸発させて除去する方法、目的物質の式(3)の環状ポリシロキサンを蒸留する方法、反応溶液に水、メタノール等の貧溶媒を添加し、目的物質を析出させ、乾燥させる方法等が挙げられる。
【0065】
[目的物質の環状ポリシロキサン]
本発明の目的物質の環状ポリシロキサンは、下記一般式(3)で表される化合物である。
【化20】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R
3及びR
4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基(但し、フッ素含有1価炭化水素基を除く。)であり、bは3≦b≦10の整数である。)
【0066】
ここでR1、R2、R3、及びR4は、上記式(1),(2)で記載した通りである。bは、3≦b≦10の整数であり、3≦b≦6が好ましく、b=3がより好ましい(上記一般式(3))。
【0067】
本発明の製造方法によって得られる環状ポリシロキサンは、シリコーン樹脂やシリコーンオイルへの添加剤、又は重合性モノマーとして使用されることにより、各種高分子量体の更なる特性向上や新規な物性を付与する改質剤として産業上有用である。さらに化粧品材料の希釈剤や、ドライクリーニングの溶剤、絶縁膜用材料としても用いることができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。また、各例中、Meはメチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表す。なお、実施例2、3、5及び7は参考例である。
【0069】
[実施例1]
撹拌機及び温度計を備えて窒素置換を十分に行った四つ口フラスコに、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(222.5g、1.00mol)、ジクロロメチルビニルシラン(141.1g、1.00mol)、ヘキサン(136.3g)及びメチルエチルケトン(45.4g)を仕込んだ。次いで撹拌しながら、触媒としてトリ-n-オクチルホスフィンオキシド(3.87g、0.01mol)を添加し、室温(25℃)窒素雰囲気下で撹拌を行った。5時間後、ガスクロマトグラフィーによる分析により、原料の消失を確認した。開環反応中間体である分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサン(3’-1)の生成量は約96GC%であった。
次いで、撹拌機及び温度計を備えて窒素置換を十分に行った別の四つ口フラスコ中に、ヘキサン(330g)、メタノール(100g)、水(100g、5.56mol)を仕込み、氷で冷やして撹拌しながら10℃以下で、上記の開環反応中間体溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃以下で1時間撹拌し、ガスクロマトグラフィーによる分析により、開環反応中間体の消失を確認した。その後、分液漏斗にて水層を除去し、さらに水(500g)を加えて有機層を洗浄する工程を3回繰り返した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウム(10g)にて1時間乾燥した。この後、減圧蒸留にて、目的物質260.1gを分留した。
減圧蒸留後に得られた目的物質を
1H-NMR及び
29Si-NMRで測定し、目的物質が下記式(3-1)であると同定した。目的物質の収率は84%、ガスクロマトグラフィーによる分析での純度は96%GCであった。得られた環状ポリシロキサン(3-1)の
1H-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を
図1に、得られた環状ポリシロキサン(3-1)の
29Si-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を
図2に示す。
【0070】
【0071】
[実施例2]
実施例1において、触媒としてトリ-n-オクチルホスフィンオキシド(3.87g、0.01mol)に代えて、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(6.41g、0.05mol)を用いる以外は、同様の操作にて反応を行った。開環反応5時間後の、中間体の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサン(3’-1)の生成量は約89GC%であった。同様の加水分解反応、及び蒸留精製した環状ポリシロキサン(3-1)の収量は238.1g(収率77%)であり、純度は94GC%であった。
【0072】
[実施例3]
実施例1において、触媒としてトリ-n-オクチルホスフィンオキシド(3.87g、0.01mol)に代えて、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(20.21g、0.05mol)を用いる以外は、同様の操作にて反応を行った。開環反応5時間後の、中間体の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサン(3’-1)の生成量は約83GC%であった。同様の加水分解反応、及び蒸留精製した環状ポリシロキサン(3-1)の収量は221.8g(収率72%)であり、純度は93GC%であった。
【0073】
[実施例4]
実施例1において、ジハロシランとしてジクロロメチルビニルシラン(141.1g、1.00mol)に代えて、ジクロロメチルシラン(115.0g、1.00mol)を用いる以外は、同様の操作にて反応を行った。開環反応5時間後の、中間体の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサン(3’-2)の生成量は約86GC%であった。同様の加水分解反応、及び蒸留精製した環状ポリシロキサン(3-2)の収量は211.2g(収率75%)であり、純度は79GC%であった。得られた環状ポリシロキサン(3-2)の
1H-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を
図3に、得られた環状ポリシロキサン(3-2)の
29Si-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を
図4に示す。
【0074】
【0075】
[実施例5]
実施例4において、触媒としてトリ-n-オクチルホスフィンオキシド(3.87g、0.01mol)に代えて、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(6.41g、0.05mol)を用いる以外は、同様の操作にて反応を行った。開環反応5時間後の、中間体の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサン(3’-2)の生成量は約84GC%であった。同様の加水分解反応、及び蒸留精製した環状ポリシロキサン(3-2)の収量は200.2g(収率73%)であり、純度は78GC%であった。
【0076】
[実施例6]
実施例1において、ジハロシランとしてジクロロメチルビニルシラン(141.1g、1.00mol)に代えて、ジクロロジフェニルシラン(253.2g、1.00mol)を用いる以外は、同様の操作にて反応を行った。開環反応5時間後の、中間体の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサン(3’-3)の生成量は約94GC%であった。同様の加水分解反応、及び蒸留精製した環状ポリシロキサン(3-3)の収量は322.1g(収率77%)であり、純度は92GC%であった。得られた環状ポリシロキサン(3-3)の
1H-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を
図5に、得られた環状ポリシロキサン(3-3)の
29Si-NMRスペクトル(溶媒CDCl
3)を
図6に示す。
【化23】
【0077】
[実施例7]
実施例6において、触媒としてトリ-n-オクチルホスフィンオキシド(3.87g、0.01mol)に代えて、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(6.41g、0.05mol)を用いる以外は、同様の操作にて反応を行った。開環反応5時間後の、中間体の分子鎖両末端ハロゲン原子封鎖の直鎖状ポリシロキサン(3’-3)の生成量は約86GC%であった。同様の加水分解反応、及び蒸留精製した環状ポリシロキサン(3-3)の収量は300.1g(収率71%)であり、純度は90GC%であった。
【0078】
[実施例8]
撹拌機及び温度計を備えて窒素置換を十分に行った四つ口フラスコに、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシロキサン(258.5g、1.00mol)、ジクロロジフェニルシラン(253.2g、1.00mol)、ヘキサン(136.3g)及びメチルエチルケトン(45.4g)を仕込んだ。次いで撹拌しながら、触媒としてトリ-n-オクチルホスフィンオキシド(3.87g、0.01mol)を添加し、室温(25℃)窒素雰囲気下で撹拌を行った。5時間後、ガスクロマトグラフィーによる分析により、原料の消失を確認した。
次いで、撹拌機及び温度計を備えて窒素置換を十分に行った別の四つ口フラスコ中に、ヘキサン(330g)、メタノール(100g)、水(100g、5.56mol)を仕込み、氷で冷やして撹拌しながら10℃以下で、上記の開環反応中間体溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃以下で5時間撹拌し、その後、分液漏斗にて水層を除去し、さらに水(500g)を加えて有機層を洗浄する工程を3回繰り返した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウム(10g)にて1時間乾燥した。この後、減圧乾燥にて溶媒と低分子成分を留去し、粗生成物411.1gを得た。得られた粗生成物を
1H-NMR及び
29Si-NMRにて測定し、下記式(3-4)が生成していることを確認した。
【化24】
【0079】
[実施例9]
実施例8において、原料環状シロキサンとして2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシロキサン(258.5g、1.00mol)に代えて、1,3,5-トリス(3,3,3-トリフルオロプロピル)-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン(468.5g、1.00mol)を用いる以外は、同様の操作にて反応を行った。開環反応5時間後に原料の消失を確認した。同様の加水分解反応を行い、減圧乾燥にて溶媒と低分子成分を留去し、粗生成物605.2gを得た。得られた粗生成物を1H-NMR及び29Si-NMRで測定し、下記式(3-5)が生成していることを確認した。
【0080】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の環状ポリシロキサンの製造方法によって得られる環状ポリシロキサンは、シリコーン樹脂やシリコーンオイルへの添加剤、又は重合性モノマーとして使用されることにより、各種高分子量体の更なる特性向上や新規な物性を付与する改質剤として産業上有用である。さらに化粧品材料の希釈剤や、ドライクリーニングの溶剤、絶縁膜用材料としても用いることができる。