(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス検査装置及びワイヤハーネス検査方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20240326BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H02G1/06
G06K7/10 132
G06K7/10 264
(21)【出願番号】P 2023024971
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2019038552の分割
【原出願日】2019-03-04
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓実
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 賢司
(72)【発明者】
【氏名】青木 克樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 来布
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098028(JP,A)
【文献】特開2009-217977(JP,A)
【文献】特開2018-174153(JP,A)
【文献】特開2012-155443(JP,A)
【文献】国際公開第2012/101898(WO,A1)
【文献】特開2012-019643(JP,A)
【文献】特開2013-105258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
H01B 13/00
H01B 13/012
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を備えるワイヤハーネスを検査するワイヤハーネス検査装置であって、
前記複数の電線の端部にRFIDタグが取り付けられた前記ワイヤハーネスを載置可能な画像表示部を有する載置ユニットと、
前記RFIDタグの識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーと、
前記RFIDリーダーを用いて前記RFIDタグを読み取ることで、前記識別情報と、前記RFIDタグの位置情報との組み合わせの情報を取得するように構成された情報取得ユニットと、
前記情報取得ユニットが取得した前記組み合わせの情報を、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にある場合の前記組み合わせの情報と対比するように構成された対比ユニットと、
前記対比ユニットの対比結果に基づき、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるか否かを判断するように構成された判断ユニットと、
前記判断ユニットが否と判断した場合に、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるようにするための修正方法を前記画像表示部に出力する結果出力ユニットと、
を備え、
前記結果出力ユニットは、
前記複数の電線が不足していると前記判断ユニットが判断した場合には、前記電線が不足している領域を前記画像表示部に表示し、
前記複数の電線が余分にあると前記判断ユニットが判断した場合には、余分な前記電線が配置されている領域を前記画像表示部に表示し、
前記複数の電線を過不足なく備えているが、前記電線の端部が正しい位置にないと前記判断ユニットが判断した場合には、前記電線が間違えて配置されている領域と、前記電線が本来配置されるべき領域とを識別可能に前記画像表示部に表示する、
ワイヤハーネス検査装置。
【請求項2】
複数の電線を備えるワイヤハーネスを検査するワイヤハーネス検査装置であって、
前記複数の電線の端部にRFIDタグが取り付けられた前記ワイヤハーネスを載置可能な画像表示部を有する載置ユニットと、
前記RFIDタグの識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーと、
前記RFIDリーダーを用いて前記RFIDタグを読み取ることで、前記識別情報と、前記RFIDタグの位置情報との組み合わせの情報を取得するように構成された情報取得ユニットと、
前記情報取得ユニットが取得した前記組み合わせの情報を、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にある場合の前記組み合わせの情報と対比するように構成された対比ユニットと、
前記対比ユニットの対比結果に基づき、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるか否かを判断するように構成された判断ユニットと、
前記判断ユニットが否と判断した場合に、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるようにするための修正方法を前記画像表示部に出力する結果出力ユニットと、
を備え、
前記結果出力ユニットは、
前記複数の電線が不足していると前記判断ユニットが判断した場合には、前記電線が不足している領域の近傍に、不足している前記電線の識別情報を前記画像表示部に表示し、
前記複数の電線が余分にあると前記判断ユニットが判断した場合には、余分な前記電線が配置されている領域の近傍に、余分な前記電線の識別情報を前記画像表示部に表示し、
前記複数の電線を過不足なく備えているが、前記電線の端部が正しい位置にないと前記判断ユニットが判断した場合には、前記電線が間違えて配置されている領域から、前記電線が本来配置されるべき領域へ向かう表示物を前記画像表示部に表示する、
ワイヤハーネス検査装置。
【請求項3】
複数の電線を備えるワイヤハーネスを検査するワイヤハーネス検査方法であって、
前記ワイヤハーネスを載置可能な画像表示部を有する載置ユニット上に、前記複数の電線の端部にRFIDタグが取り付けられた前記ワイヤハーネスを載置し、
前記RFIDタグの識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーを用いて前記RFIDタグを読み取ることで、前記識別情報と、前記RFIDタグの位置情報との組み合わせの情報を取得し、
取得した前記組み合わせの情報を、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にある場合の前記組み合わせの情報と対比し、
対比結果に基づき、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるか否かを判断し、
否と判断された場合に、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるようにするための修正方法を前記画像表示部に出力し、
前記修正方法は、
前記複数の電線が不足していると判断した場合には、前記電線が不足している領域を前記画像表示部に表示し、
前記複数の電線が余分にあると判断した場合には、余分な前記電線が配置されている領域を前記画像表示部に表示し、
前記複数の電線を過不足なく備えているが、前記電線の端部が正しい位置にない
と判断した場合には、前記電線が間違えて配置されている領域と、前記電線が本来配置されるべき領域とを識別可能に前記画像表示部に表示する、
ワイヤハーネス検査方法。
【請求項4】
複数の電線を備えるワイヤハーネスを検査するワイヤハーネス検査方法であって、
前記ワイヤハーネスを載置可能な画像表示部を有する載置ユニット上に、前記複数の電線の端部にRFIDタグが取り付けられた前記ワイヤハーネスを載置し、
前記RFIDタグの識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーを用いて前記RFIDタグを読み取ることで、前記識別情報と、前記RFIDタグの位置情報との組み合わせの情報を取得し、
取得した前記組み合わせの情報を、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にある場合の前記組み合わせの情報と対比し、
対比結果に基づき、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるか否かを判断し、
否と判断された場合に、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるようにするための修正方法を前記画像表示部に出力し、
前記修正方法は、
前記複数の電線が不足していると判断した場合には、前記電線が不足している領域の近傍に、不足している前記電線の識別情報を前記画像表示部に表示し、
前記複数の電線が余分にあると判断した場合には、余分な前記電線が配置されている領域の近傍に、余分な前記電線の識別情報を前記画像表示部に表示し、
前記複数の電線を過不足なく備えているが、前記電線の端部が正しい位置にないと判断した場合には、前記電線が間違えて配置されている領域から、前記電線が本来配置されるべき領域へ向かう表示物を前記画像表示部に表示する、
ワイヤハーネス検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はワイヤハーネス検査装置及びワイヤハーネス検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両や航空機等の移動体はワイヤハーネスを備える。ワイヤハーネスは、束ねられた複数の電線を備える。それぞれの電線は、電力や電気信号等を伝える。
特許文献1には、RFIDタグを各電線に取り付ける技術が開示されている。RFIDタグをユーザが読み取り、設計データと照合することで、電線を正しく結線できたか否かを確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤハーネスを検査し、ワイヤハーネスが複数の電線を過不足無く備えているか否かを確認する必要がある。検査の方法として、特許文献1の記載のように、各電線の端部にRFIDタグを取り付け、RFIDタグを読み取ってリストと照合する方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、多数のRFIDタグを1つずつ読み取るためには、多大な労力と時間とを要する。本開示の一局面は、ワイヤハーネスの検査を容易に行うことができるワイヤハーネス検査装置及びワイヤハーネス検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面は、複数の電線を備えるワイヤハーネスを検査するワイヤハーネス検査装置である。ワイヤハーネス検査装置は、前記複数の電線の端部にRFIDタグが取り付けられた前記ワイヤハーネスを載置可能な画像表示部を有する載置ユニットと、前記RFIDタグの識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーと、前記RFIDリーダーを用いて前記RFIDタグを読み取ることで、前記識別情報と、前記RFIDタグの位置情報との組み合わせの情報を取得するように構成された情報取得ユニットと、前記情報取得ユニットが取得した前記組み合わせの情報を、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にある場合の前記組み合わせの情報と対比するように構成された対比ユニットと、前記対比ユニットの対比結果に基づき、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるか否かを判断するように構成された判断ユニットと、前記判断ユニットが否と判断した場合に、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるようにするための修正方法を前記画像表示部に出力する結果出力ユニットと、を備える。
【0007】
本開示の一局面であるワイヤハーネス検査装置を用いれば、ワイヤハーネスの検査を容易に行うことができる。
本開示の別の局面は、複数の電線を備えるワイヤハーネスを検査するワイヤハーネス検査方法である。ワイヤハーネス検査方法は、前記ワイヤハーネスを載置可能な画像表示部を有する載置ユニット上に、前記複数の電線の端部にRFIDタグが取り付けられた前記ワイヤハーネスを載置し、前記RFIDタグの識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーを用いて前記RFIDタグを読み取ることで、前記識別情報と、前記RFIDタグの位置情報との組み合わせの情報を取得し、取得した前記組み合わせの情報を、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にある場合の前記組み合わせの情報と対比し、対比結果に基づき、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるか否かを判断し、否と判断された場合に、前記ワイヤハーネスが前記複数の電線を過不足無く備え、且つ前記複数の電線の端部が正しい位置にあるようにするための修正方法を前記画像表示部に出力する。
【0008】
本開示の別の局面であるワイヤハーネス検査方法を用いれば、ワイヤハーネスの検査を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ワイヤハーネス検査装置1の構成を表すブロック図である。
【
図2】制御部3の機能的構成を表すブロック図である。
【
図5】載置ユニット5と、その上に載置されたワイヤハーネス39との構成を表す平面図である。
【
図6】ワイヤハーネス検査装置1が実行する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の例示的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.ワイヤハーネス検査装置1の構成
ワイヤハーネス検査装置1の構成を、
図1~
図5に基づき説明する。
図1に示すように、ワイヤハーネス検査装置1は、制御部3と、載置ユニット5と、RFIDリーダー7と、移動ユニット9と、ディスプレイ11と、入力部13と、データベース14と、を備える。
【0011】
制御部3は、CPU15と、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ17とする)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部3の各種機能は、CPU15が不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ17が、プログラムを格納した不揮発性記憶媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部3を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0012】
制御部3は、CPU15がプログラムを実行することで実現される機能の構成として、
図2に示すように、結果出力ユニット19と、情報取得ユニット21と、対比ユニット23と、判断ユニット25と、ガイド表示ユニット27と、を備える。
【0013】
制御部3が有する機能の一部又は全部は、一つ又は複数のIC等を用いてハードウェア的に実現されてもよい。また、制御装置は、コンピュータに代えて、又は、コンピュータに加えて、電子回路等のハードウェアを有していてもよい。電子回路は、デジタル回路及びアナログ回路のうち少なくとも一方を含み得る。
【0014】
図3に示すように、載置ユニット5は、天板29と、複数の脚31とを備える机状の部材である。天板29は、
図3における長手方向Lに沿って長く延びる長尺の部材である。長手方向Lは、載置ユニット5に載置される、後述するワイヤハーネス39の長手方向でもある。
図3、
図4に示すように、天板29の上面には、複数の画像表示部33が取り付けられている。画像表示部33は画像を表示可能なディスプレイである。画像表示部33として、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタ、スクリーン等が挙げられる。また、画像表示部33は、画像が表示された紙であってもよい。
【0015】
RFIDリーダー7は、RFIDタグ55の識別情報を読み取り可能な部材である。
図5に示すように、RFIDリーダー7は、天板29の上方に配置されている。RFIDリーダー7は、天板29上に存在するRFIDタグ55の識別情報を読み取ることができる。
【0016】
なお、RFIDリーダー7は、天板29の下方のスペースに配置されていてもよい。RFIDリーダー7を天板29の下方のスペースに配置した場合、天板29の上の作業スペースを確保し易くなる。
【0017】
天板29の上面のうち、RFIDリーダー7が一度にRFIDタグ55の識別情報を読み取ることができる範囲を、
図5に示すように、読取可能範囲35とする。読取可能範囲35は一定の形状及び広さを有する。読取可能範囲35の位置と、RFIDリーダー7の位置とは、一定の関係を有する。よって、RFIDリーダー7が移動すれば、読取可能範囲35も移動する。読取可能範囲35は、長手方向Lにおいて所定の幅を有する。その幅は、天板29の長手方向Lにおける長さに比べて充分小さい。読取可能範囲35は、長手方向Lと直交する方向(以下では短手方向Wとする)において、天板29の全幅をカバーしている。
【0018】
移動ユニット9は、RFIDリーダー7を、長手方向Lに沿って移動させることができる。移動ユニット9がRFIDリーダー7を移動させると、天板29に対する読取可能範囲35の相対的な位置(以下では読取位置とする)が変化する。
【0019】
ディスプレイ11は、画像等を表示可能である。入力部13はユーザによる入力操作を受け付ける。データベース14は、後述する正常時情報を記憶している。
2.ワイヤハーネス検査装置1が実行する処理
ワイヤハーネス検査装置1が実行する処理を、
図1~
図8に基づき説明する。
図6のステップ1(S1)では、入力部13に対し、ユーザによるガイド表示の入力があったか否かをガイド表示ユニット27が判断する。ガイド表示の入力があった場合、本処理はステップ2(S2)に進む。ガイド表示の入力がなかった場合、本処理はステップ1(S1)の前に戻る。
【0020】
ステップ2(S2)では、ガイド表示ユニット27が、
図4に示すように、画像表示部33にガイド37を表示する。ガイド37は、ユーザの入力に基づくものである。ガイド37は、後に画像表示部33の上に載置するワイヤハーネス39の載置位置を示す表示である。ガイド37は、ワイヤハーネス39の形状を表している。
【0021】
このとき、ユーザは、
図5に示すように、天板29上にワイヤハーネス39を載置することができる。ワイヤハーネス39は、束ねられた複数の電線を備える。
図5に示す例では、ワイヤハーネス39は、幹線41と、複数の枝線43、45、47、49、51、53とを備える。幹線41は、全ての電線が束ねられた部分である。枝線43、45、47、49、51、53は、幹線41から分岐した部分である。
【0022】
各電線の端部には、RFIDタグ55が取り付けられている。RFIDタグ55が記憶している識別情報は、RFIDタグ55ごとに異なる。各電線と、それに取り付けられるRFIDタグ55との対応関係は、予め決められている。
【0023】
ユーザは、ガイド37とワイヤハーネス39とが重なるようにワイヤハーネス39を載置することで、ワイヤハーネス39を、載置ユニット5における正しい位置(以下では正常位置とする)に載置することができる。
【0024】
ワイヤハーネス39が正常位置にあるとき、各電線の端部の位置は、予め定められた位置となる。
図5に示す例では、枝線43の端部は領域Aにあり、枝線45の端部は領域Bにあり、枝線47の端部は領域Cにあり、枝線49の端部は領域Dにあり、枝線51の端部は領域Eにあり、枝線53の端部は領域Fにある。領域A~Fは、それぞれ、天板29の一部を占める領域である。領域A~Fの長手方向Lにおける位置は、領域ごとに異なる。
【0025】
図6に戻り、ステップ3(S3)では、入力部13に対し、ユーザによる検査実行の入力があったか否かを情報取得ユニット21が判断する。検査実行の入力があった場合、本処理はステップ4(S4)に進む。検査実行の入力がなかった場合、本処理はステップ3(S4)の前に戻る。
【0026】
ステップ4(S4)では、情報取得ユニット21が、移動ユニット9を用いてRFIDリーダー7の位置を変化させながら、RFIDリーダー7を用いて、RFIDタグ55の識別情報を読み取る。情報取得ユニット21は、ワイヤハーネス39が備える全てのRFIDタグ55の識別情報を読み取れるように、RFIDリーダー7を移動させる。
【0027】
また、情報取得ユニット21は、それぞれのRFIDタグ55の位置情報を取得する。RFIDタグ55の位置情報とは、天板29に対するRFIDタグ55の相対的な位置を表す情報である。RFIDタグ55の位置情報は、長手方向Lにおける座標で規定される位置情報である。
【0028】
情報取得ユニット21は、以下のようにしてRFIDタグ55の位置情報を取得することができる。まず、情報取得ユニット21は、RFIDタグ55の識別情報を読み取ったときのRFIDリーダー7の位置情報を取得する。次に、情報取得ユニット21は、RFIDリーダー7の位置情報から、読取位置を算出する。なお、前述したように、読取位置とRFIDリーダー7の位置とは一定の関係を有するので、情報取得ユニット21は、RFIDリーダー7の位置から、読取位置を算出することができる。識別情報を読み取られたRFIDタグ55は読取位置にあるので、情報取得ユニット21は、読取位置を表す情報を、RFIDタグ55の位置情報とする。
【0029】
情報取得ユニット21は、ワイヤハーネス39が備える全てのRFIDタグ55について、識別情報と、RFIDタグ55の位置情報との組み合わせの情報(以下では組み合わせ情報とする)を取得する。
【0030】
組み合わせ情報として、例えば、
図7に示すものがある。この例では、組み合わせ情報は、識別情報I1~I20を含んでいる。また、組み合わせ情報は、それぞれの識別情報に対応するRFIDタグ55の位置情報P1~P20を含んでいる。例えば、識別情報I1を有するRFIDタグ55の位置情報はP1である。
図6に戻り、ステップ5(S5)では、対比ユニット23が、前記ステップ4(S4)で取得した組み合わせ情報と、データベース14に記憶されている正常時情報とを対比し、以下のJ1~J3の全てが充足されるか否かを判断する。
【0031】
正常時情報とは、ワイヤハーネス39が複数の電線を過不足無く備え、各電線の端部にRFIDタグ55が正しく取り付けられ、ワイヤハーネス39が正常位置に載置された場合の組み合わせ情報である。
【0032】
正常時情報の例を
図8に示す。この例では、正常時情報は、識別情報I1~I20を含んでいる。また、正常時情報は、それぞれの識別情報に対応するRFIDタグ55の位置情報を含んでいる。
図8に示す例では、RFIDタグ55の位置情報は、
図5に示す領域A~Fのいずれかの位置を表す情報である。例えば、識別情報I1を有するRFIDタグ55の位置情報は、領域Cを表す情報である。
【0033】
J1:組み合わせ情報に含まれる全ての識別情報が、正常時情報にも含まれる。
J2:正常時情報に含まれる全ての識別情報が、組み合わせ情報にも含まれる。
J3:組み合わせ情報に含まれる識別情報に対応するRFIDタグ55の位置をxとする。正常時情報において、同じRFIDタグ55の位置を領域Xとする。組み合わせ情報に含まれる全ての識別情報について、位置xは領域Xに含まれる。
【0034】
なお、前記J1~J3の全てが充足される場合とは、全ての電線の端部が正しい位置にあり、余分な電線は存在しない場合である。前記J1が充足されない場合とは、ワイヤハーネス39に余分な電線の端部が含まれている場合である。前記J2が充足されない場合とは、本来は必要な電線の端部が欠けている場合である。前記J3が充足されない場合とは、少なくとも一部の電線の端部が、正しい位置とは異なる位置にある場合である。正しい位置とは、ワイヤハーネス39が正しく製造された場合の端部の位置である。
【0035】
ステップ6(S6)では、判断ユニット25が、前記ステップ5(S5)での対比結果に基づき、ワイヤハーネス39が正常であるか否かを判断する。具体的には、判断ユニット25は、前記J1~J3の全てが充足される場合、ワイヤハーネス39が正常であると判断し、前記J1~J3のうち1つでも充足されない場合は、ワイヤハーネス39が正常ではないと判断する。
【0036】
ステップ7(S7)では、結果出力ユニット19が、前記ステップ6(S6)の判断結果と、関連する情報とをディスプレイ11に出力する。ディスプレイ11は判断結果及び関連する情報を表示する。なお、結果出力ユニット19は、前記ステップ6(S6)の判断結果と、関連する情報とを、画像表示部33に出力してもよい。
【0037】
前記J1が充足されない場合、関連する情報として、正常時情報に含まれるが、組み合わせ情報には含まれない識別情報がある。前記J2が充足されない場合、関連する情報として、組み合わせ情報には含まれるが、正常時情報には含まれない識別情報がある。前記J3が充足されない場合、関連する情報として、領域Xに含まれない位置xと、その位置xに存在するRFIDタグ55とを表す情報がある。
【0038】
J1が充足されない場合の関連する情報として、電線が不足している領域を表す情報がある。結果出力ユニット19は、正常時情報に含まれるRFIDタグ55の位置情報に基づき、電線が不足している領域を画像表示部33に視認可能に表示してもよい。電線が不足している領域を画像表示部33に視認可能に表示するときの態様として、電線が不足している領域を囲む枠を表示したり、電線が不足している領域の色を他の領域とは異なる色にしたりする態様が挙げられる。
【0039】
結果出力ユニット19は、電線が不足している領域の近傍に、不足している電線の識別情報を、正常時情報に基づき表示してもよい。
J2が充足されない場合の関連する情報として、余分な電線が配置されている領域を表す情報がある。結果出力ユニット19は、組み合わせ情報に含まれるRFIDタグ55の位置情報に基づき、余分な電線が配置されている領域を、画像表示部33に視認可能に表示してもよい。
結果出力ユニット19は、余分な電線が配置されている領域の近傍に、余分な電線の識別情報を、組み合わせ情報に基づき表示してもよい。
【0040】
J3が充足されない場合の関連する情報として、電線が間違えて配置されている領域及び電線が本来配置されるべき領域を表す情報がある。結果出力ユニット19は、電線が間違えて配置されている領域及び電線が本来配置されるべき領域を、正常時情報に含まれるRFIDタグ55の位置情報及び組み合わせ情報に含まれるRFIDタグ55の位置情報に基づき、画像表示部33に視認可能に表示してもよい。
結果出力ユニット19は、電線が間違えて配置されている領域、電線が本来配置されるべき領域、又はその両方の領域に対応する電線の識別情報を、組み合わせ情報又は正常時情報に基づき、画像表示部33に表示してもよい。
【0041】
結果出力ユニット19は、電線が間違えて配置されている領域と、電線が本来配置されるべき領域とを識別するための表示物を画像表示部33に表示してもよい。表示物として、例えば、電線が間違えて配置されている領域から、電線が本来配置されるべき領域へ向かう矢印等が挙げられる。この表示物により、ユーザは、電線を、どの領域からどの領域に移動させればよいかを理解することができる。
【0042】
ワイヤハーネス検査装置1は、例えば、ステップ7(S7)の終了後に、ステップ1(S1)に戻り、ガイド表示の入力を待つことができる。
ワイヤハーネス検査装置1は、例えば、複数のガイド37を記憶することができる。ユーザは、複数のガイド37をワイヤハーネス検査装置1に入力することができる。ワイヤハーネス検査装置1は、例えば、
図6の処理が1回終了するごとに、ガイド37を次のガイド37に切り替えることができる。ワイヤハーネス検査装置1は、例えば、記憶している全てのガイド37についての処理が終了するまで、
図6に示す処理を繰り返す。
【0043】
3.ワイヤハーネス検査装置1が奏する効果
(1A)ワイヤハーネス検査装置1を用いれば、電線の端部を一つずつチェックする作業を必ずしも行わなくても、ワイヤハーネス39が複数の電線を過不足無く備えているか否かを判断することができる。また、ワイヤハーネス検査装置1を用いれば、電線の端部を一つずつチェックする作業を必ずしも行わなくても、複数の電線の端部が正しい位置にあるか否かを判断することができる。よって、ワイヤハーネス検査装置1を用いれば、ワイヤハーネス39の検査を容易且つ正確に行うことができる。
【0044】
(1B)天板29は画像表示部33を備える。画像表示部33はガイド37を表示する。そのため、ワイヤハーネス検査装置1は、検査対象となるワイヤハーネス39に応じて、表示するガイド37を容易に変更することができる。
【0045】
(1C)ワイヤハーネス検査装置1は、長手方向Lにおいて、載置ユニット5に対するRFIDリーダー7の相対的な位置を変化させる。そのため、ワイヤハーネス検査装置1は、長手方向Lにおいて読取位置を変化させることができる。その結果、ワイヤハーネス検査装置1は、長手方向LにおけるRFIDタグ55の位置の違いを識別することができる。
<第2実施形態>
1.第1実施形態との相違点
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0046】
前述した第1実施形態では、移動ユニット9は、RFIDリーダー7を、長手方向Lに沿って移動させる。これに対し、第2実施形態では、移動ユニット9は、RFIDリーダー7を、長手方向L及び短手方向Wにおいて走査する。また、読取可能範囲35の短手方向Wにおける幅は、天板29の短手方向Wにおける幅に比べて小さい。
【0047】
前記ステップ4(S4)の処理では、情報取得ユニット21は、移動ユニット9を用いてRFIDリーダー7の位置を、長手方向L及び短手方向Wにおいて走査しながら、RFIDタグ55の識別情報及びRFIDタグ55の位置情報を取得する。RFIDタグ55の位置情報は、長手方向Lにおける座標と、短手方向Wにおける座標とで規定される。組み合わせ情報及び正常時情報に含まれるRFIDタグ55の位置情報も、長手方向Lにおける座標と、短手方向Wにおける座標とで規定される。
【0048】
2.ワイヤハーネス検査装置1が奏する効果
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1A)、(1B)を奏し、さらに、以下の効果(2C)を奏する。
【0049】
(2C)ワイヤハーネス検査装置1は、長手方向L及び短手方向Wにおいて、載置ユニット5に対するRFIDリーダー7の相対的な位置を変化させる。そのため、組み合わせ情報及び正常時情報に含まれるRFIDタグ55の位置情報は、長手方向Lにおける座標と、短手方向Wにおける座標とで規定される。その結果、ワイヤハーネス検査装置1は、RFIDタグ55の位置が、長手方向Lだけではなく、短手方向Wにおいても正しいか否かを判断することができる。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0050】
(1)第1実施形態において、移動ユニット9は、RFIDリーダー7を固定した状態で、載置ユニット5を長手方向Lに移動させてもよい。この場合も、天板29に対する読取可能範囲35の相対的な位置を変化させることができる。
【0051】
また、第2実施形態において、移動ユニット9は、RFIDリーダー7を固定した状態で、載置ユニット5を長手方向L及び短手方向Wに移動させてもよい。この場合も、天板29に対する読取可能範囲35の相対的な位置を変化させることができる。
【0052】
(2)ワイヤハーネス39のうち、電線の端部以外の場所にさらにRFIDタグ55を取り付けてもよい。例えば、幹線から枝線が分岐する場所、枝線がさらに分岐する場所等にさらにRFIDタグ55を取り付けることができる。
【0053】
ワイヤハーネス検査装置1は、前記ステップ4(S4)の処理において、電線の端部以外の場所に取り付けられたRFIDタグ55の識別情報と、そのRFIDタグ55の位置情報とをさらに取得し、それらを組み合わせ情報に含めることができる。この場合、ワイヤハーネス検査装置1は、ワイヤハーネス39を一層詳しく検査することができる。
【0054】
(3)ワイヤハーネス39は、RFIDタグ55に加えて、識別情報を含んだ他のラベルをさらに備えていてもよい。前記ラベルに含まれる識別情報として、例えば、1次元コード、2次元コード等が挙げられる。2次元コードとして、例えば、QRコード(登録商標)等が挙げられる。前記ラベルは、例えば、各電線の端部に取り付けられる。この場合、各電線を個別に認識する作業が容易になる。
【0055】
1次元コード、2次元コード等は、例えば、RFIDタグ55の上に印刷されていてもよい。ワイヤハーネス39は、視認可能な識別情報が記載されたラベルを備えていてもよい。ラベルには、例えば、正常時情報に含まれる識別情報と対応する記号が印刷されている。
【0056】
(4)ガイド37は、画像表示部33に表示されるものでなくてもよい。例えば、ガイド37は、紙等の媒体に描かれたものであってもよい。その媒体を天板29上に乗せることができる。
【0057】
(5)ガイド37は、ワイヤハーネス39の全体の形状ではなく、一部の形状を表すものであってもよい。一部として、例えば、電線の端部、幹線から枝線が分岐する部分、枝線から個々の電線が分岐する部分等が挙げられる。
【0058】
(6)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0059】
(7)前述したワイヤハーネス検査装置1の他、当該ワイヤハーネス検査装置1を構成要素とするシステム、当該ワイヤハーネス検査装置1の制御部3としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、ワイヤハーネス39の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1…ワイヤハーネス検査装置、3…制御部、5…載置ユニット、7…RFIDリーダー、9…移動ユニット、11…ディスプレイ、13…入力部、14…データベース、15…CPU、17…メモリ、19…結果出力ユニット、21…情報取得ユニット、23…対比ユニット、25…判断ユニット、27…ガイド表示ユニット、29…天板、31…脚、33…画像表示部、35…読取可能範囲、37…ガイド、39…ワイヤハーネス、41…幹線、43、45、47、49、51、53…枝線、55…RFIDタグ